JP6493147B2 - 不織布、不織布の製造方法および繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体の成形材料として好適に使用される不織布と、該不織布の製造方法と、該不織布が加熱加圧成形された繊維強化プラスチック成形体に関する。
ガラス繊維、炭素繊維等を補強材として樹脂に配合した繊維強化プラスチック(FRP)成形体は、強度等の機械特性に優れる点から、幅広い分野で使用されている。また、ガラス繊維として、長手方向に対して垂直な断面が扁平形状である扁平ガラス繊維を用いることにより、FRP成形体の機械特性が向上することが知られている。このようなFRP成形体の製造方法としては、熱可塑性樹脂とガラス繊維とを溶融混練してペレットとし、該ペレットを射出成形する方法が知られている(たとえば特許文献1および2参照。)。
特開2013−221072号公報 特開2013−166840号公報
しかしながら、最近では、FRP成形体にはより高い機械特性が求められるようになり、上記の方法で製造されたFRP射出成形体は、充分な曲げ弾性率を有しているとは言えなかった。
本発明は、FRP成形体の成形材料として使用した場合に、曲げ弾性率の高いFRP成形体を製造できる不織布と、該不織布の製造方法と、該不織布が加熱加圧成形されたFRP成形体の提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1]長手方向に対して垂直な断面が扁平形状であり、前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜8である扁平ガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを含む、不織布。
[2]湿式不織布である、[1]の不織布。
[3]前記扁平ガラス繊維の長径の平均値が10〜50μm、前記熱可塑性樹脂繊維の長径の平均値が9〜40μmであり、
前記扁平ガラス繊維と前記熱可塑性樹脂繊維の合計100質量%に対して、前記扁平ガラス繊維の含有量が30〜90質量%、前記熱可塑性樹脂繊維の含有量が10〜70質量%である、[1]または[2]の不織布。
[4]前記熱可塑性樹脂繊維は、融点が150℃以上、または、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂からなる、[1]〜[3]の不織布。
[5]前記扁平ガラス繊維が単繊維状に分散している、[1]〜[4]の不織布。
[6][1]〜[5]の不織布が加熱加圧成形された、繊維強化プラスチック成形体。
[7]長手方向に対して垂直な断面が扁平形状であり、前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜8である扁平ガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを含む分散液を抄紙する抄紙工程を有する、不織布の製造方法。
[8]前記分散液の分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)が、1.00mPa・sを超え4.00mPa・s以下である、[7]の不織布の製造方法。
[9]前記分散液の固形分濃度が、0.1質量%以下である、[7]または[8]の不織布の製造方法。
[10]前記熱可塑性樹脂繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、[7]〜[9]の不織布の製造方法。
[11]前記扁平ガラス繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、[7]〜[10]の不織布の製造方法。
本発明によれば、FRP成形体の成形材料として使用した場合に、曲げ弾性率の高いFRP成形体を製造できる不織布と、該不織布の製造方法と、該不織布が加熱加圧成形されたFRP成形体を提供できる。
繊維の断面の長径と短径を決定する方法を説明する説明図である。 扁平ガラス繊維の断面形状を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<不織布>
本発明の不織布は、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含み、FRP成形体の成形材料(繊維強化プラスチック成形体用基材)等として好適に使用されるものである。本発明の不織布は、詳しくは後述するように1枚で、または2枚以上重ねられて、加熱加圧成形されることにより、FRP成形体に成形される。
[扁平ガラス繊維]
扁平ガラス繊維は、本発明の不織布を用いて成形されたFRP成形体において、補強材として作用するものである。
本明細書において扁平ガラス繊維とは、断面が扁平形状であり、該断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜8の範囲内にあるガラス繊維をいう。
本明細書において繊維の断面とは、繊維の長手方向に対して垂直な断面のことをいう。
本明細書において繊維の断面の長径とは、図1に示すように、繊維10の断面に外接する長方形Rを想定した時に、その長方形Rの長辺の長さLであり、繊維10の断面の短径とは、短辺の長さLである。
不織布中において、比(長径/短径)が上記範囲である扁平ガラス繊維は、その長径方向が不織布の面方向に沿うように配向しやすい。そして、このような不織布を用いて成形されたFRP成形体中においても、扁平ガラス繊維は、その長径方向がFRP成形体の面方向に沿うように配向しやすい。そのため、得られたFRP成形体は、曲げ弾性率に優れる。
また、後述するように、不織布が、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む分散液を抄紙する抄紙工程を経て製造された湿式不織布であると、該湿式不織布中において、扁平ガラス繊維は、その長径方向が不織布の面方向に沿うように、より配向しやすい。そのため、湿式不織布が加熱加圧成形されたFRP成形体は、曲げ弾性率により優れる。
これに対して、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレットとし、該ペレットを射出成形する方法等で製造されたFRP射出成形体においては、扁平ガラス繊維は溶融混練を経ているために折れて短くなっている。また、その長径方向が特定の方向に沿うようには配向せず、ランダムに存在している。そのため、このようなFRP射出成形体は、曲げ弾性率が低い。また、射出成形では、射出成形体中の扁平ガラス繊維含有量を高めようとすると、成形自体が困難となり、充分な量の扁平ガラス繊維を含有させることができない。
扁平ガラス繊維の断面の上記比(長径/短径)は、2〜7が好ましく、2.5〜6がより好ましい。比(長径/短径)が上記範囲の下限値未満であると、得られたFRP成形体の曲げ弾性率が不充分となる。比(長径/短径)が上記範囲の上限値を超えると、繊維が薄くなりすぎるので成形時等に破壊される場合があり、所望の効果が得られない場合がある。
扁平ガラス繊維の断面は、比(長径/短径)が上記範囲内であればその形状に制限はなく、図2(a)のような楕円、図2(b)のような括れ部20のある楕円、図2(c)のような対向する一対の短辺21,21が外側に凸の半円状である長方形状の形状等が挙げられる。断面の形状が図2(b)のような括れ部20のある楕円であると、扁平ガラス繊維の括れ部20に、他の扁平ガラス繊維の括れ部20以外の部分が嵌り、不織布中で扁平ガラス繊維の充填効率が高まりやすい。そのため、得られるFRP成形体の曲げ弾性率がより優れる。また、図2(c)のような長方形状の形状は、直線状の長辺を有するため、長辺同士が接触した状態で積層しやすく、扁平ガラス繊維同士の接触面積が大きくなり、充填効率も高くなる。そのため、得られるFRP成形体の曲げ弾性率がより優れる。
扁平ガラス繊維の繊維長(長手方向)は、長さ加重平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることが特に好ましい。扁平ガラス繊維の繊維長が上記範囲の下限値以上であれば、得られるFRP成形体の曲げ弾性率がより優れる。また、不織布が湿式不織布である場合には、後述する抄紙工程を経て製造されるが、該抄紙工程において扁平ガラス繊維がワイヤー(抄紙網)から落下しにくく、扁平ガラス繊維の歩留まりに優れる。扁平ガラス繊維の繊維長が上記範囲の上限値以下であれば、扁平ガラス繊維が上述のように配向しやすく、得られるFRP成形体の曲げ弾性率がより優れるとともに、抄紙工程において扁平ガラス繊維同士が絡みにくい。
本明細書において、長さ加重平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
扁平ガラス繊維は、不織布中で単繊維状に分散している。単繊維状に分散していることにより、得られたFRP成形体は、曲げ弾性率等の特性が均質なものとなりやすく、外観も優れる。なお、本明細書において「単繊維状に分散している」とは、不織布中でストランド状ではないことを意味し、単繊維同士の多少の重なりは許容される。
不織布に含まれる扁平ガラス繊維は、1種のみであっても、長径、短径、比(長径/短径)、繊維長、断面形状等のうちの1つ以上が異なる2種以上であってもよい。
[熱可塑性樹脂繊維]
熱可塑性樹脂繊維は、本発明の不織布を用いて成形されたFRP成形体において、マトリックス樹脂として作用するものである。熱可塑性樹脂繊維は、不織布中では繊維状の形態を維持しているが、不織布を加熱加圧成形して得られるFRP成形体中では、繊維状の形態を維持していない。
熱可塑性樹脂繊維の断面の形状には特に制限はなく、いかなる形状であってもよい。たとえば、断面の長径と短径が同じであるいわゆる丸断面(円形断面)でもよいし、断面の長径と短径が異なる扁平等の各種形状でもよいが、入手性およびコスト面から、丸断面の熱可塑性樹脂繊維が好適である。
熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、FRP成形体の耐熱性等の点から、融点が150℃以上、または、ガラス転移温度が120℃以上を満たす樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点は155℃以上がより好ましく、ガラス転移温度は140℃以上がより好ましい。
本明細書において融点とは、示差走査熱量測定により求められる。具体的には、JISK 7121に準拠し、窒素流下、融解温度より50℃以上低い温度から融解温度より30℃高い温度まで、5℃/分の速度で昇温し、融解温度より30℃高い温度で10分間保持し、その後、5〜10℃/分で融解温度より50℃以上低い温度まで冷却した後、再び5℃/分で融解温度より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの温度である。
本明細書においてガラス転移温度とは、示差走査熱量測定により求められる中間点ガラス転移温度である。
熱可塑性樹脂の種類としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル等が挙げられ、FRP成形体の用途等に応じて、1種以上を選択できる。ポリカーボネートおよびポリエーテルイミドは、非結晶性熱可塑性樹脂であり、ガラス転移温度が120℃以上の樹脂に該当する。ポリプロピレン、ポリアミド、PET等のポリエステルは、結晶性熱可塑性樹脂であり、融点が150℃以上の樹脂に該当する。
たとえばFRP成形体がパソコン(タブレットパソコンを含む。)、携帯電話、スマートフォン等の電化製品の筐体等である場合には、ポリカーボネート等が好適に使用される。FRP成形体が自動車の外装材(バンパー等)・内装材(天井材等)等である場合には、ポリプロピレン、ポリアミド等が好適に使用され、FRP成形体が鉄道車両や航空機に使用される部材等、特に火災時等において低発煙性であることが好ましい用途である場合には、ポリエーテルイミド等が好適に使用される。
不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、1種のみであっても、融点、ガラス転移温度、長径、短径、繊維長、断面形状等のうちの1つ以上が異なる2種以上であってもよい。
熱可塑性樹脂繊維は、融点またはガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂からなる芯の外周上に、融点またはガラス転移温度の低い熱可塑性樹脂からなる鞘が形成された芯鞘型構造の繊維に由来するものを含んでいてもよい。このような芯鞘型構造の繊維の鞘の部分は、不織布の製造工程中に加えられた熱(たとえば後述の乾燥工程における加熱。)により溶融して繊維同士を結合するバインダーとして作用しており、不織布中では繊維状の形態をほぼ維持していない。そのため、芯鞘型構造の繊維の鞘に由来する部分については、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維には含めず、後述するバインダー成分として取り扱う。一方、このような芯鞘型構造の繊維の芯は、不織布の製造工程中に加えられた熱により溶融せず、繊維状の形態を維持している。そのため、芯の部分については、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維として取り扱う。
芯鞘型構造の熱可塑性樹脂繊維としては、芯の部分が、融点が150℃以上、好ましくは155℃以上、または、ガラス転移温度が120℃以上、好ましくは140℃以上の樹脂であることが好ましく、材質としては、上述したポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、PET等のポリエステル等から選ばれる1種以上が好ましい。
なお、バインダー成分として取り扱われる鞘の部分は、(メタ)アクリル樹脂、変性PET(いわゆる低融点PET。)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。
)等から選ばれる1種以上が好ましい。
このような芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維の芯および鞘の組合せとしては、「PET/変性PET」、「PET/EVA」、「PP/PE」等が挙げられる。ここで「/」の前に記載している材質が芯で、後ろに記載している材質が鞘を意味する。また、EVAは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、PPはポリプロピレンを、PEはポリエチレンをそれぞれ意味する。
不織布を構成している熱可塑性樹脂繊維100質量%中、このような芯鞘型構造の繊維に由来する熱可塑性樹脂繊維(すなわち、芯鞘型構造の繊維の芯の部分が繊維状に残っているもの。)の割合には特に制限はなく、0〜100質量%の範囲であってよい。しかしながら、不織布中に含まれる、芯鞘型構造の繊維に由来する熱可塑性樹脂繊維の割合が高いと、バインダー成分として取り扱われる鞘由来の樹脂の割合もそれに同伴して高まり、その場合、得られるFRP成形体の耐熱性、機械特性等が低下することがある。このような観点から、不織布を構成している熱可塑性樹脂繊維100質量%中の芯鞘型構造の繊維に由来する熱可塑性樹脂繊維の割合は、バインダー成分として取り扱われる鞘由来の樹脂の量が、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の合計100質量部に対して後述する好ましい範囲内となるように、調整することが好ましい。
不織布を構成している熱可塑性樹脂繊維100質量%中の割合としては、芯鞘型構造の繊維に由来する熱可塑性樹脂繊維の割合(芯の部分の割合)は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、長さ加重平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜50mmであることがより好ましく、3〜25mmであることが特に好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長が上記範囲の下限値以上であれば、不織布が湿式不織布である場合、その製造工程のうちの抄紙工程において、熱可塑性樹脂繊維がワイヤーから落下しにくく、熱可塑性樹脂繊維の歩留まりに優れる。熱可塑性樹脂繊維の繊維長が上記範囲の上限値以下であれば、抄紙工程において熱可塑性樹脂繊維同士が絡みにくい。
熱可塑性樹脂繊維は、不織布中で単繊維状に分散している。単繊維状に分散していることにより、得られたFRP成形体は、曲げ弾性率等の特性が均質なものとなりやすい。
[扁平ガラス繊維および熱可塑性樹脂繊維の径および配合比]
不織布中において、扁平ガラス繊維が、その長径方向が不織布の面方向に沿うように配向しやすい点から、扁平ガラス繊維の断面の長径の平均値は10〜50μm、熱可塑性樹脂繊維の断面の長径の平均値は9〜40μmであり、かつ、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の合計100質量%に対して、扁平ガラス繊維の含有量が30〜90質量%、熱可塑性樹脂繊維の含有量が10〜70質量%であることが好ましい。
上記のように扁平ガラス繊維の断面の長径の平均値が10〜50μmである場合に、熱可塑性樹脂繊維の断面の長径の平均値が上記範囲の上限値以下であれば、熱可塑性樹脂繊維はあまり太くはないため、扁平ガラス繊維同士の間に熱可塑性樹脂繊維が介在しても、扁平ガラス繊維が上述のように配向することを妨げにくい。
一方、熱可塑性樹脂繊維の含有量が上記範囲内である場合に、熱可塑性樹脂繊維の断面の長径の平均値が上記範囲の下限値以上であれば、熱可塑性樹脂繊維が太く、不織布中に存在する熱可塑性樹脂繊維の本数が減ることになる。このように不織布中に存在する熱可塑性樹脂繊維の本数が少ないと、多くの扁平ガラス繊維は、熱可塑性樹脂繊維に妨げられることなく、上述のように配向しやすい。
扁平ガラス繊維の断面の長径の平均値は、15〜40μmがより好ましく、20〜35μmが特に好ましい。熱可塑性樹脂繊維の断面の長径の平均値は、10〜35μmがより好ましく、13〜32μmが特に好ましい。扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の合計100質量%に対して、扁平ガラス繊維の含有量は60〜90質量%、熱可塑性樹脂繊維の含有量は10〜40質量%であることがより好ましい。
それぞれがこのような範囲内であると、扁平ガラス繊維は、その長径方向が不織布の面方向に沿うように、より配向しやすい。
また、扁平ガラス繊維の断面の短径の平均値と熱可塑性樹脂繊維の短径の平均値との比(扁平ガラス繊維の断面の短径の平均値/熱可塑性樹脂繊維の短径の平均値)は、0.125〜2.0が好ましい。これにより、不織布中に、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維が均一に存在しやすくなる。
なお、本明細書において、扁平ガラス繊維の断面の長径の平均値、短径の平均値、熱可塑性樹脂繊維の断面の長径の平均値、短径の平均値は、それぞれ繊維100本についての平均値であり、各長径および短径は、顕微鏡観察により測定できる。
[その他の成分]
(バインダー成分)
本発明の不織布は、扁平ガラス繊維および熱可塑性樹脂繊維を互いに結合し、不織布の保形性を維持するためのバインダー成分を含んでもよい。
上述のように、不織布の材料に芯鞘型構造の熱可塑性樹脂繊維を用いることにより、鞘の部分が溶融してバインダー成分となって不織布に含まれてもよいし、詳しくは後述するが、不織布の製造工程において、粉状、繊維状、液状(溶液、エマルション等。)等の形態でバインダー成分を付与することもできる。
また、必要に応じて、不織布の材料に芯鞘型構造の熱可塑性樹脂繊維を用い、かつ、不織布の製造工程において、粉状、繊維状、液状等の形態でバインダー成分を付与することもできる。
なお、不織布の製造工程において、後述する水流交絡法により繊維同士を絡ませる場合には、通常、不織布はバインダー成分を含まない。
バインダー成分としては、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル樹脂、変性PET、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。バインダー成分は、不織布の製造工程中に加えられる熱(たとえば後述の乾燥工程における加熱。)により溶融し、バインダーとして作用する。なお、乾燥工程は、熱可塑性樹脂繊維が溶融しない温度で行う。
不織布に、バインダー成分は1種が含まれても、2種以上が含まれてもよい。
バインダー成分の含有量は、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。バインダー成分の量が上記範囲の下限値以上であれば、繊維を充分に結合でき、上記範囲の上限値以下であれば、FRP成形体の耐熱性、機械特性等を低下させにくい。
(他の成分)
本発明の不織布は、その効果を妨げない範囲で、上述の扁平ガラス繊維には該当しないガラス繊維を含んでもよい。該ガラス繊維を含有する場合、その量は、扁平ガラス繊維100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下がより好ましい。
また、本発明の不織布は、その効果を妨げない範囲で、ガラス粉末や扁平ガラス粉末等のフィラー、他の強化繊維、熱硬化性樹脂、顔料等のうちの1種以上を含んでもよい。
[坪量、厚み]
本発明の不織布の坪量は、20〜600g/mであることが好ましく、25〜550g/mであることがより好ましく、25〜500g/mであることがさらに好ましく、50〜150g/mであることが特に好ましい。坪量が上記範囲の下限値以上であれば、製造効率よく不織布を製造することができる。また、上記範囲の上限値以下であれば、不織布中において、扁平ガラス繊維が、その長径方向が不織布の面方向に沿うように配向しやすく、また、坪量や繊維配向の均一性が高い不織布を得ることができる。
本発明の不織布の密度は、たとえば後述の抄紙工程および乾燥工程を経た状態において、通常0.1〜0.5g/cm程度である。本発明の不織布はこのままの状態で使用す
ることもできるが、輸送コストやハンドリング性などの観点から、その体積を小さくする目的において、該不織布に影響を与えない条件の加熱加圧プレス等によってこれを圧縮し、密度を高めてもよい。
本発明の不織布の厚みは、特に限定されず、坪量および密度により決まる。
<不織布の製造方法>
本発明の不織布の製造方法は、いわゆる湿式抄紙法によるものであり、上述の扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む分散液を抄紙する抄紙工程を有する。分散液とは、抄紙工程で抄紙機のワイヤーに供給される、抄紙機のストックインレット内の液のことをいい、分散液の分散媒は、通常、水である。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機等が挙げられる。
分散液は、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維とを結合するためのバインダー成分を含んでもよい。バインダー成分としては、上述のとおり、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル樹脂、変性PET、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)等の熱可塑性樹脂が挙げられ、粉末状、繊維状、液状(溶液、エマルション等。)等の状態で分散液に配合できる。
分散液は、界面活性剤等の分散剤(扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の分散性を向上させる。)、必要に応じて使用される扁平ガラス繊維には該当しないガラス繊維等を含んでもよい。
分散液の分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)は、1.00mPa・sを超え4.00mPa・s以下であることが好ましく、1.05〜2.00mPa・sがより好ましい。分散媒の粘度が上記範囲の下限値以上であると、ワイヤー付近における分散液の流れが乱れることなく層流となり、扁平ガラス繊維を熱可塑性樹脂繊維と混抄した場合でも、扁平ガラス繊維の長径方向を得られる不織布の面方向に沿うように配向させやすい。また、抄紙機の脱水ボックス等で脱水を行う際に、その吸引力の調整幅を広く採ることができ、脱水量を調整しやすい。分散媒の粘度が上記範囲の上限値以下であると、濾水性に優れ、生産性よく抄紙工程を行える。
分散媒の粘度を上記範囲に調整するためには、粘剤を添加することが好ましい。粘剤としては、例えばポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド等が好ましい。粘剤が粉末の場合には、液中でダマになったり、未溶解物が残ったりしないように、0.3質量%以下の濃度となるように水にあらかじめ溶解しておき、その溶液を添加することが好ましい。
なお、分散媒の上記粘度は、分散液を80meshのフィルターで濾過して得られた濾液を採取して測定してもよいし、分散液に用いたものと同じ粘剤を同じ濃度となるように添加した粘度測定用サンプルを別途調製して測定してもよい。
本明細書において粘度は、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定される測定方法に従って、25℃において測定する。
分散液の固形分濃度(インレット濃度)は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.001〜0.07質量%であることがより好ましい。分散媒の固形分濃度が上記のような低濃度であると、分散液中での繊維の動きの自由度が高まる。そのため、扁平ガラス繊維の長径方向を得られる不織布の面方向に沿うように配向させやすい。
なお、固形分とは、扁平ガラス繊維および任意に使用される他のガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維およびバインダー成分である。
抄紙工程におけるジェットワイヤー比は、1以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。ジェットワイヤー比は、繊維を等方向に配向させる点で、0.7以上が好ましい。
ジェットワイヤー比とは、抄紙機におけるワイヤーの走行速度(W)に対する分散液の流速(J)の比であり、J/Wで表される。J/Wを上記範囲に調整することにより、ワイヤー付近における分散液の流れを層流域にコントロールでき、これにより、扁平ガラス繊維をその長径方向が不織布の面方向に沿うように配向させやすくなる。また、上述のように、分散媒の固形分濃度が低濃度であって、分散液中での繊維の動きの自由度が高い場合には、ジェットワイヤー比を1以下、好ましくは0.9以下とすることにより、固形分濃度とジェットワイヤー比との相乗効果により、より一層、扁平ガラス繊維をその長径方向が得られる不織布の面方向に沿うように配向させやすくなる。
抄紙機としては、上述のとおり、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機等の公知の抄紙機を使用できるが、ジェットワイヤー比等の抄紙条件の調整が容易であって、熱可塑性樹脂繊維と混抄した場合でも、扁平ガラス繊維をその長径方向が得られる不織布の面方向に沿うように配向させやすい点から、傾斜型抄紙機を使用することが好ましい。
傾斜型抄紙機におけるジェットワイヤー比の調整は、分散液のワイヤーへの供給速度と、供給された分散液中の分散媒をワイヤーを介して脱水ボックスで吸引する速度とをコントロールする常法により行える。
ワイヤーの走行速度(W)は、5〜200m/分が好ましい。ワイヤーの走行速度(W)が上記範囲の下限値以上であると、得られる不織布の均一性が高まり、上記範囲の上限値以下であると、インレット内の液の流れが乱れないため、扁平ガラス繊維をその長径方向が得られる不織布の面方向に沿うように配向させやすい。ワイヤーの走行速度(W)は、「抄速」に相当する。
抄紙工程は、たとえば以下のように行う。
まず、アジテータ付のタンク内で、分散液を調製する。具体的には、扁平ガラス繊維、熱可塑性樹脂繊維、水(分散媒)、分散剤、粘剤を混合し、アジテータで撹拌する。この際、分散剤は、水で溶解または希釈して添加してもよい。また、バインダー成分を添加してもよい。これにより扁平ガラス繊維と熱可塑性繊維とがモノフィラメント(単繊維)化した原料液を調製する。
扁平ガラス繊維および熱可塑性樹脂繊維としては、先に不織布について説明したものを用いる。
原料液の固形分濃度は、0.5〜2.0質量%程度に調整することが好ましい。
分散剤の添加量(正味量)は、扁平ガラス繊維100質量部に対して0.01〜3.0質量部程度が好ましい。
ついで、このようにして調製された原料液に水(たとえば白水。)を加えて、固形分濃度が上記範囲である分散液を得る。ここで加える水にも、分散液の粘度が好ましい範囲となるように、あらかじめ粘剤を加えておくことが好ましい。
そして、分散液を抄紙機のストックインレットから抄紙機のワイヤーに供給し、繊維層を形成する。この際、ジェットワイヤー比は、上述の範囲に制御することが好ましい。
その後、繊維層を脱水し、ウェットウェブを得る。脱水は、繊維層をたとえばサクションボックスを通過させることで行う。
このような抄紙工程の後、必要に応じてバインダー供給工程または水流交絡工程を行う。その後、ヤンキードライヤー等によりウェットウェブの水分を、蒸発、乾燥させる乾燥工程を行う。
バインダー供給工程および水流交絡工程は、抄紙工程で得られたウェットウェブがバインダー成分を含んでいる場合に行ってもよいが、通常は、ウェットウェブがバインダー成分を含んでいない場合に行う。
バインダー供給工程は、たとえばバインダー成分を含む液を脱水後のウェットウェブに対してスプレー、塗布、含浸する方法等で行う。このようにして付与されたバインダー成分は、ついで行われる乾燥工程での熱で溶解し、繊維同士を結合する。バインダー成分が(メタ)アクリル樹脂である場合には、バインダー成分を含む液として、エマルションが使用されることが好ましい。
水流交絡工程は、ウェットウェブに対して高圧水を噴射することにより、繊維同士を部分的に絡ませる工程であり、公知の方法で行える。水流交絡法によれば、適切な強度を有する不織布を得ることができる。
乾燥工程に供給されるウェットウェブがバインダー成分を含む場合には、この乾燥工程で加えられる熱により水分を蒸発、乾燥させることに加え、バインダー成分を溶融させ、繊維同士を結合させる。
乾燥工程に供給されるウェットウェブがバインダー成分を含まず、水流交絡工程を経たものである場合には、この乾燥工程では水分を蒸発、乾燥させる。
以上のようにして、扁平ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む湿式不織布を製造することができる。
<繊維強化プラスチック成形体>
本発明のFRP成形体は、上述の不織布を加熱加圧成形することにより得られる。不織布は1枚のみを加熱加圧成形しても、2枚以上を重ねて加熱加圧成形してもよく、FRP成形体の用途等に応じて決定できる。
加熱加圧成形の温度は、熱可塑性樹脂繊維の融点またはガラス転移温度に応じて決定することが好ましく、結晶性熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維の場合は、熱可塑性樹脂繊維の融点よりも5〜100℃高い温度、非結晶性熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維の場合は、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度よりも50〜200℃高い温度(たとえば100℃高い温度。)で行うことが好ましい。熱可塑性樹脂繊維が結晶性熱可塑性樹脂からなる場合には、その融点に基づいて加熱加圧成形の温度を決定する。熱可塑性樹脂繊維が非結晶性熱可塑性樹脂からなる場合には、該樹脂は融点を示さないため、そのガラス転移温度に基づいて加熱加圧成形の温度を決定する。
以下に、熱可塑性樹脂繊維の融点およびガラス転移温度の一例を示し、該熱可塑性樹脂繊維を用いた際の好適な加熱加圧成形の温度の一例を示す。
(非結晶性熱可塑性樹脂)
ポリカーボネート:ガラス転移温度が140〜160℃、加熱加圧成形の温度が200〜280℃。
ポリエーテルイミド:ガラス転移温度が210〜220℃、加熱加圧成形の温度が280〜400℃。
(結晶性熱可塑性樹脂)
ポリプロピレン:融点が160〜170℃、加熱加圧成形の温度が180〜230℃。
ポリアミド:融点が210〜230℃、加熱加圧成形の温度が200〜280℃。
加熱加圧成形の圧力は、3〜50MPa程度であり、加熱加圧時間は、5〜1200秒程度である。
このようにして得られたFRP成形体は、本発明の不織布が加熱加圧成形されたものであるため、曲げ弾性率に優れる。そのため、たとえば、パソコン(タブレットパソコンを含む。)、携帯電話、スマートフォン等の電化製品の筐体、自動車の外装材(バンパー等)・内装材(天井材等)等に好適に使用される。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1)
以下のようにして、表1に示す割合で各繊維を含む不織布(湿式不織布)を傾斜型抄紙機(傾斜ワイヤー型抄紙機)を用いた抄紙工程を経て製造した。
なお、扁平ガラス繊維としては、長さ加重平均繊維長が13mm、長径が28μm、短径が7μm、比(長径/短径)が4の日東紡社製の扁平ガラス繊維を用いた。この扁平ガラス繊維は、断面の形状が図2(c)の形状であった。
ポリカーボネート繊維(熱可塑性樹脂繊維)としては、長さ加重平均繊維長が15mm、長径および短径がいずれも30μmのダイワボウポリテック社製のポリカーボネート繊維(丸断面繊維)を用いた。このポリカーボネート繊維のガラス転移温度は、150℃であった。
まず、プロペラ型アジテーター付のタンクに、扁平ガラス繊維の濃度が0.5質量%となるように、扁平ガラス繊維と水を投入した。さらに、分散剤として「エマノーン(登録商標)3199V」(花王株式会社製、モノステアリン酸ポリエチレングリコール)の0.5質量%水溶液を、その固形分が扁平ガラス繊維100質量部に対して0.5質量部となるように添加し、プロペラ型アジテーターを用いて回転数250rpmで攪拌した。
ついで、ポリカーボネート繊維と、バインダー成分としてポリビニルアルコール繊維(「VPB105−2」(クラレ社製))とを表1の配合比(質量比)となるように投入し、回転数250rpmで攪拌を続けた。ポリビニルアルコール繊維は水溶性であるため、得られた不織布中では繊維の形態を維持していない。
ついで、ポリアクリルアミド系粘剤(「FA−40MT」(アクアポリマー社製)、質量平均分子量:1700万)の0.2質量%水溶液を、得られる原料液に対してポリアクリルアミドの固形分が9ppmとなるように投入し、回転数250rpmで攪拌し、各繊維がモノフィラメント化した原料液を得た。
その後、これに水を加え、固形分濃度(扁平ガラス繊維、ポリカーボネート繊維、ポリビニルアルコール繊維の合計濃度。)が0.5質量%となるように調整した。
その後、この原料液に水(白水)を加え、固形分濃度が0.05質量%の分散液を得た。この分散液の分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)は、1.05mPa・sであった。
この分散液を傾斜型抄紙機のワイヤーに連続的に供給し、抄速:10m/min、ジェットワイヤー比:0.8になるよう調整し、抄紙工程を行った。サクションボックスを通過させて脱水した後、ヤンキードライヤーにより140℃で乾燥し、幅50cm、坪量100g/mの不織布を得た。
得られた不織布を20枚積層し、245℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:245℃、圧力:10MPa、時間:60秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。
その後、70℃に冷却し、厚み1.2mmのFRP成形体を得た。
得られたFRP成形体について、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ弾性率を測定した。
そして、MD方向とCD方向の値の相乗平均値を下式にて求めた。
相乗平均値=√(MD方向の曲げ弾性率×CD方向の曲げ弾性率)
各曲げ弾性率の値を表1に示す。
Figure 0006493147
(実施例2〜10、比較例1〜3)
実施例1と同様にして、表1および表2に示す割合で各繊維を含む不織布を製造し、FRP成形体を得た。そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ弾性率を測定した。
なお、扁平ガラス繊維およびポリカーボネート繊維は、実施例1と同じものを用いた。
ただし、実施例2〜10、比較例1〜3では、実施例1で使用したポリビニルアルコール繊維を使用せず、代わりに、芯がPET(融点:260℃)で、鞘(融点:110℃)が変性PETである芯鞘型の熱可塑性樹脂繊維(長さ加重平均繊維長が5mm、長径および短径がいずれも12.5μm、芯の長径および短径がいずれも4.4μm、芯および鞘の質量比率は芯:鞘=1:1。)を用いた。この繊維は、芯は、得られた不織布中で熱可塑性樹脂繊維として存在し、鞘はバインダー成分として存在する。
実施例7〜9は、実施例6のポリカーボネート繊維に代えて、ポリエーテルイミド繊維(実施例7)、酸変性ポリプロピレン繊維(実施例8)、ポリアミド繊維(実施例9)をそれぞれ用いた例である。
実施例7では、長さ加重平均繊維長が15mm、長径および短径がいずれも15μmのポリエーテルイミド繊維(丸断面繊維)を用いた。この繊維のガラス転移温度は、217℃であったため、加熱加圧成形は、温度:317℃(予熱および成形時の温度)、圧力:10MPa、時間:60秒間の条件で行った。
実施例8では、長さ加重平均繊維長が15mm、2.2dtexの酸変性ポリプロピレン繊維(ダイワボウ社製)を使用した。この繊維の融点は160℃であったため、加熱加圧成形は、温度:180℃(予熱及び成形時の温度)、圧力:10MPa、時間:60秒の条件で行った。
実施例9では、ポリアミド繊維として、長さ加重平均繊維長が15mm、3.3dtexのナイロン6(登録商標)繊維(東レ社製)を用いた。この繊維の融点は225℃であったため、加熱加圧成形は、温度:250℃(予熱及び成形時の温度)、圧力:10MPa、時間:60秒の条件で行った。
また、実施例10および比較例1〜3では、ガラス繊維として、長さ加重平均繊維長が18mm、長径および短径がいずれも9μmであって扁平ではない丸断面ガラス繊維を用いた。
(比較例4)
二軸押出機(テクノベル製「TZW15−TW」)を用いて、表2に示す割合で扁平ガラス繊維とペレット状のポリカーボネート樹脂とを溶融混練し、ペレットを製造した。このペレットを(日精樹脂製「FNX110III」)で成形し、厚さ1.0mmの板状の射出成形体(シリンダー温度:310℃、金型温度:110℃)を得た。得られた射出成形体について、実施例1と同様にして曲げ弾性率を測定した。
なお、扁平ガラス繊維は、実施例1と同じものを用い、ポリカーボネート樹脂は、実施例1で使用したポリカーボネート樹脂繊維を製造するのに使用した樹脂と同一のものを用いた。
(比較例5)
比較例4と同様の方法により、表2に示す割合で扁平ガラス繊維とポリカーボネート樹脂とを溶融混練し、ペレットを製造し、射出成形したが、扁平ガラス繊維の量が多すぎるため射出成形体の均一性が低くなり割れてしまい、板状の成形体を製造することができなかった。
Figure 0006493147
表1に示すように、各実施例の不織布を加熱加圧成形したFRP成形体は、曲げ弾性率に優れていた。また、実施例5と実施例10との比較から、不織布に含まれるガラス繊維の総量が同じであっても、そのうちに占める扁平ガラス繊維の割合が多い方が、曲げ弾性率に優れるFRP成形体を製造できることがわかった。
一方、表2に示すように、比較例1〜3では、ガラス繊維として扁平ガラス繊維を用いず、丸断面ガラス繊維を用いたため、曲げ弾性率に優れるFRP成形体は得られなかった。
また、比較例4および5の結果から、扁平ガラス繊維を含むFRP射出成形体は、曲げ弾性率が小さいこと、また、扁平ガラス繊維の含有率が高い射出成形体は製造自体が困難であることがわかった。

Claims (14)

  1. 繊維強化プラスチック成形体を製造するための不織布であって、長手方向に対して垂直な断面が扁平形状であり、前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜8であり、長径の平均値が10〜50μmである扁平ガラス繊維と、長径の平均値が9〜40μmであり、前記繊維強化プラスチック成形体においてマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂繊維とを含み、
    前記扁平ガラス繊維と前記熱可塑性樹脂繊維の合計100質量%に対して、前記扁平ガラス繊維の含有量が30〜90質量%、前記熱可塑性樹脂繊維の含有量が10〜70質量%である、不織布。
  2. 湿式不織布である、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記熱可塑性樹脂繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、請求項1または2に記載の不織布。
  4. 前記扁平ガラス繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布。
  5. 前記熱可塑性樹脂繊維は、融点が150℃以上、または、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の不織布。
  6. 前記扁平ガラス繊維が単繊維状に分散している、請求項1〜のいずれか一項に記載の不織布。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の不織布が加熱加圧成形された、繊維強化プラスチック成形体。
  8. 繊維強化プラスチック成形体を製造するための不織布の製造方法であって、長手方向に対して垂直な断面が扁平形状であり、前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜8であり、長径の平均値が10〜50μmである扁平ガラス繊維と、長径の平均値が9〜40μmであり、前記繊維強化プラスチック成形体においてマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂繊維とを含む分散液を抄紙する抄紙工程を有し、
    得られる不織布における前記扁平ガラス繊維と前記熱可塑性樹脂繊維の合計100質量%に対する前記扁平ガラス繊維の含有量は30〜90質量%、前記熱可塑性樹脂繊維の含有量は10〜70質量%である、不織布の製造方法。
  9. 前記分散液の分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)が、1.00mPa・sを超え4.00mPa・s以下である、請求項に記載の不織布の製造方法。
  10. 前記分散液の固形分濃度が、0.1質量%以下である、請求項8または9に記載の不織布の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、請求項8〜10のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
  12. 前記扁平ガラス繊維の長さ加重平均繊維長が、3〜100mmである、請求項8〜11のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
  13. 前記熱可塑性樹脂繊維は、融点が150℃以上、または、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂からなる、請求項8〜12のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
  14. 前記抄紙工程におけるジェットワイヤー比が1以下である、請求項8〜13のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
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