JP2016087602A - 親液部と撥液部を有する基材の製造方法、組成物、導電膜の形成方法、電子回路および電子デバイス - Google Patents

親液部と撥液部を有する基材の製造方法、組成物、導電膜の形成方法、電子回路および電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】液状の膜形成材料の濡れ広がり、滲みを抑えて高精細なパターンを形成するのに用いられる親液部と撥液部を有する基材の製造方法を提供し、その基材の製造に用いる組成物を提供し、導電膜の形成方法、電子回路および電子デバイスを提供する。【解決手段】親液部と撥液部を有する基材の製造方法は、基板1上に、親液部と撥液部を有する基材の製造方法は、基板1上に、(1)(A)アタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体、(B)酸発生剤、(C)(A)とは異なる化合物とを含む組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、(2)前記塗膜の所定部分に放射線照射を行う工程を含む。導電膜形成方法は、工程(2)の後、基板上の塗膜の放射線照射部に形成された親液部に導電膜形成用の膜形成材料を塗布し、加熱して、パターン6を形成する。導電膜の形成方法を用いて電子回路および電子デバイスを提供する。【選択図】図5

Description

本発明は、親液部と撥液部を有する基材の製造方法、組成物、導電膜の形成方法、電子回路および電子デバイスに関する。
液晶ディスプレイ、携帯電話、タブレット等のモバイル情報機器、デジタルカメラ、有機ELディスプレイ、有機EL照明、センサー等の電子機器においては、小型化、薄型化に加え、さらなる高性能化が求められている。これら電子機器をより安価に製造する方法として、配線を直接印刷するプリンテッドエレクトロニクス技術が注目されている。この技術を利用した印刷法による電子部品の製造は、通常、露光や現像を含む多段の工程や、蒸着法等の真空工程をスキップすることができ、大幅な工程の簡略化が期待されている。
インクジェットやスクリーン印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷等の印刷法は、基板上に直接所望パターンの配線を形成できることから、簡便で低コストなプロセスとして使用される。しかしながら、所望パターンの配線を形成するにあたり、印刷に使用する膜形成材料が流動する結果、これらの濡れ広がりや滲みが生じ、直線性に優れる微細なパターンを形成するには限界があった。
また、膜形成材料を印刷によりパターニングし、熱焼成や光焼成により金属配線を形成する技術が活発に検討されているが(例えば、特許文献1を参照。)、印刷時の材料の広がりや滲みの問題に加え、得られる配線の基板との密着性において問題があった。
そこで、上述の課題を解決して高精細な印刷を可能とし、また、高精細な膜形成のため、配線の下地となる層(下地層)を設ける技術が検討されている。下地層を設ける下地処理は、基板上に塗布された膜形成材料の濡れ広がり、滲み等を抑え、印刷性を向上させることを目的として行われる場合が多い。
例えば、基板にエポキシ基のグラフトを行う技術が知られている(例えば、特許文献2および特許文献3を参照。)。また、基板上に光触媒を塗布する技術が知られている(例えば、特許文献4および特許文献5を参照。)。さらに、基板上にアクリル系の共重合体を塗布する技術が知られている(例えば、特許文献6および特許文献7を参照。)。
特開2011−241309号公報 特開2003−114525号公報 特開2006−58797号公報 特開2003−209340号公報 特開2004−98351号公報 特開2012−232434号公報 特開2012−218318号公報
しかしながら、従来の下地層を設ける下地処理では膜形成材料の濡れ広がり、滲みの抑制が十分ではなく、高精細な配線の形成を行うことは困難であった。例えば、従来の下地処理では、膜形成材料が塗布される下地層表面の特性は一様である。このため、膜形成材料が所定のパターンで印刷された場合、該材料が印刷直後の状態から拡がってしまうのを十分に抑えることができなかった。さらに、従来の下地層は耐熱性に乏しく、導電膜の焼成時に下地層が劣化してしまう問題があった。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、膜形成インクの濡れ広がり、滲みを抑えて高精細なパターンを形成可能で、耐熱性に優れた下地膜を有する基材の製造方法および下地膜の形成に用いられる組成物を提供することにある。そして、本発明の目的は、膜形成インクの濡れ広がり、滲みを抑えて高精細なパターンを形成するのに用いられる親液部と撥液部を有する基材およびそれを製造する製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上述の親液部と撥液部を有する基材の製造方法を用いた導電膜の形成方法を提供することにあり、その導電膜を有する電子回路およびその電子回路を有する電子デバイスを提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
このような状況のもと、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の工程を含み、現像工程を含まない方法によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の構成例は以下のとおりである。
[1] 下記の(1)および(2)の工程を含み、親液部と撥液部を有する基材を製造することを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
(1)[A]アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体、[B]酸発生剤、[C][A]とは異なる化合物とを含む組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、
(2)前記塗膜の所定部分に放射線照射を行う工程
[2] さらに、(3)前記放射線照射後の塗膜を加熱する工程を含むことを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[3] 前記アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基が酸解離性基であることを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[4] 前記アセタール結合を有する基が、フッ素原子を有する酸解離性基であることを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法
[5] 前記工程(2)による放射線照射部と放射線未照射部のテトラデカンに対する接触角差が、30°以上であることを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[6] 前記[C][A]とは異なる化合物が、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリシロキサン、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[7][C][A]とは異なる化合物が(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基から選ばれる少なくとも一つの重合性基を有することを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[8]前記組成物が、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含むことを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
[9][A]アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体、[B]酸発生剤、(C)[A]とは異なる化合物とを含み、親液部と撥液部を有する基材の製造方法に用いることを特徴とする組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法により形成された前記親液部の上に導電膜形成用組成物を用いて導電膜を形成することを特徴とする導電膜の形成方法。
[11] [10]に記載の導電膜の形成方法により形成された導電膜を有することを特徴とする電子回路。
[12] [11]に記載の電子回路を有することを特徴とする電子デバイス。
[13] [A]フッ素原子とアセタール結合を有する酸解離性基またはケイ素原子を含む酸解離性基から選ばれる少なくとも一つの酸解離性基を有する重合体
[B]酸発生剤、
[C](メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基から選ばれる少なくとも一つの重合性基を有する[A]とは異なる重合体とを含有する感放射線性樹脂組成物。
本発明によれば、膜形成インクの濡れ広がり、滲みを抑えて高精細なパターンを形成するのに用いられる親液部と撥液部を有する基材の製造方法、親液部と撥液部を有する基材の製造に用いられる組成物、導電膜の形成方法、電子回路、電子デバイスが提供される。
基板上に形成された本発明の実施形態の組成物の塗膜を模式的に示す断面図である。 基板上の本発明の実施形態の組成物の塗膜の露光を模式的に説明する断面図である。 一部が露光された本発明の実施形態の組成物の塗膜の加熱を模式的に説明する断面図である。 本発明の実施形態の膜形成方法における膜形成材料の塗布を模式的に説明する断面図である。 基板上に形成された本発明の実施形態のパターンを模式的に示す断面図である。 実施例で使用した石英マスクを示す図であり、[A]は平面図であり、[B]は断面図である。 良好なパターニングの例を示す拡大写真である。 不良なパターニングの例を示す拡大写真である。
以下で、本発明の実施形態について説明するが、まず、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法を説明する。その後、本発明の実施形態の組成物について説明する。
〔親液部と撥液部を有する基材の製造方法〕
本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法は、下記の(1)〜(2)の工程を含む。そして、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法は、下記の(3)の工程を含むことが好ましい。
(1) [A]アセタール結合を有する基,またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体、[B]酸発生剤、[C][A]とは異なる化合物とを含む組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、
(2) 前記塗膜の所定部分に放射線照射を行う工程、
(3) 前記放射線照射後の塗膜を加熱する工程
本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法は、上述の(1)〜(2)の工程(以下、工程(1)および工程(2)ともいう。)、さらに、上述の(3)の工程(以下、工程(3)ともいう。)を用いることにより、従来のパターニングに必要である現像工程を用いることなく凹パターンを形成することができ、親液部と撥液部を有する基材を製造することができる。
そして、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法において、使用されるアセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体は、それらの基が酸解離性基であることが好ましい。すなわち、工程(1)で用いられる、ケイ素原子等を含む基を有する重合体と酸発生剤とを含む組成物は、ケイ素原子等を含む酸解離性基を有する重合体と酸発生剤とを含む組成物であることが好ましい。工程(1)の組成物が、ケイ素原子を含む酸解離性基を有する重合体と酸発生剤を含むことにより、工程(1)の後、上述の工程(2)、さらに工程(3)が適用される。
以下、工程(1)の例とし、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法が有する各工程について説明する。
[工程(1)]
図1は、基板上に形成された本発明の実施形態の組成物の塗膜を模式的に示す断面図である。
工程(1)は、基板1上に組成物を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより、基板1上に塗膜2を形成する工程である。本発明の実施形態の組成物は、感放射線性を有し、工程(1)の後、後述する工程(2)に適用されて、基板1上に凹部を形成することができる。
すなわち、工程(1)において、感放射線性を備えた本実施形態の組成物を用いることにより下記工程(3)等において現像工程を行うことなく、基板1上に凹部を形成することができる。
以下、本発明の実施形態の組成物を「感放射線性組成物」ともいう。そして、本発明の実施形態の組成物については、後に具体的に説明する。
工程(1)において、使用できる基板1の材質としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、樹脂等を挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体(ROMPポリマー)およびその水素添加物が挙げられる。
また、基板1としては、本発明に係る配線の製造方法で最終的に得られる配線付基板をそのまま電子回路等に用いることが好ましいことから、従来より電子回路に用いられてきた、樹脂製基板、ガラス基板、半導体基板が好ましい。
尚、基板1に感放射線性組成物を塗布する前に、必要に応じて基板表面を洗浄、粗面化、微少な凹凸面の付与等の前処理を施しておいてもよい。
感放射線性組成物の塗布方法としては特に限定されず、はけやブラシを用いた塗布法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンス法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスリットダイ塗布法またはスピンコート法が好ましい。
工程(1)で形成される塗膜2の厚みは、所望の用途に応じ適宜調整すればよいが、好ましくは0.1μm〜20μm、より好ましくは0.2μm〜10μmである。
プレベークの条件は、使用する感放射線性組成物の組成等によっても異なるが、好ましくは60℃〜120℃で1分間〜10分間程度である。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で形成した塗膜2の少なくとも一部に放射線を照射して露光を行う。
図2は、基板上の本発明の実施形態の組成物の塗膜の露光を模式的に説明する断面図である。
工程(2)では、図2に示すように、基板1上の塗膜2の一部に放射線が照射され、放射線照射部3と放射線未照射部3−2とを有する塗膜2aが形成される。
工程(2)により、図1の塗膜2中に存在する酸解離性基が酸発生剤の効果により脱離する。その結果、放射線照射部3の膜厚が放射線未照射部3−2の膜厚に比べ薄くなり、凹パターンが形成される(尚、図2では、この膜厚変化を明確には示していない)。このとき、工程(1)で得られた塗膜2およびその放射線未照射部3−2は撥液性を示すが、放射線照射部3は酸解離性基の消失に伴い、放射線未照射部3−2に比べ親液性となる。
したがって、工程(1)において、使用する本実施形態の組成物が、フッ素原子もしくはケイ素原子を含む酸解離性基を有する重合体を含む場合には、工程(2)により、基板1上に、放射線未照射部3−2と放射線未照射部3−2の撥液性と親液性の差が大きい塗膜が形成される。
工程(2)では、形成したい配線の形状と同様の形状の放射線照射部3が形成されるように、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、または直描式露光装置を用いて所定のパターンを描画露光することができる。
本発明において、露光に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、荷電粒子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
工程(2)における露光量は、下記工程(3)後に得られる凹部の膜厚が、下記範囲となるように放射線を露光することが好ましく、具体的には、放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OA1 model356、OA1 Optical Associates 1nc.製)により測定した値として、好ましくは10mJ/cm〜1000mJ/cm、より好ましくは20mJ/cm〜500mJ/cmである。
[工程(3)]
図3は、一部が露光された本発明の実施形態の組成物の塗膜の加熱を模式的に説明する断面図である。
工程(3)では、工程(2)で得られた塗膜を加熱することで、図3に示すように、工程(2)の放射線照射部であった部分に相当する凹部13と、工程(2)の放射線未照射部であった部分に相当する凸部12とを有する塗膜を形成する。
工程(3)により、工程(2)の放射線照射部において生じた、酸解離性基が酸発生剤の効果により脱離させることができる。その結果、放射線照射部における凹状のくぼみがさらに深化し(凹部13の膜厚がさらに薄くなり)、凹部13の膜厚が前記凸部12の膜厚に対して10%以上薄い形状の塗膜を形成することができる。
工程(1)において、使用する本実施形態の組成物が、フッ素原子またはケイ素原子の少なくとも一方のいずれかを含む酸解離性基を有する重合体を含む場合には、工程(3)により、基板上に、撥液性の凸部12と、該部分より親液性の凹部13とを有する塗膜が形成される。そして、このような塗膜上に液状の膜形成材料を塗布すると、凸部12と凹部13の膜厚差が大きいため、塗膜表面の凹凸により凹部13上に該材料が集まりやすくなるが、この塗膜表面形状の効果だけではなく、該表面の親液・撥液性により、凹部13上に該膜形成材料が集まりやすくなり、より所望の形状の、具体的には高精細な配線を形成しやすくなる。
また、工程(1)において、使用する本実施形態の組成物が、酸解離性基を有する重合体を含む場合には、放射線照射により、酸解離性基が脱離することなる。この脱離基は比較的揮発し易いため、工程(3)において、より簡便に、凸部12と凹部13の膜厚差の大きい塗膜を形成することができる。
工程(3)における塗膜を加熱する方法としては、例えば、該塗膜付基板を、ホットプレート、バッチ式オーブンまたはコンベア式オーブンを用いて加熱する方法、ドライヤー等を用いて熱風乾燥する方法、真空ベークする方法が挙げられる。
前記加熱の条件は、工程(1)で用いる感放射線性組成物の組成や、工程(2)で得られた塗膜の厚み等によっても異なるが、好ましくは60℃〜150℃で3分間〜30分間程度である。
工程(3)では、凹部13の膜厚が前記凸部の膜厚に対して、好ましくは10%以上薄い、より好ましくは11%以上薄い、さらに好ましくは12%〜70%薄い形状の塗膜を形成することが望ましい。得られる塗膜がこのような形状を有していると、凹部13に膜形成材料を塗布する際に、塗膜表面の凹凸の段差により、凹部13から該膜形成材料が溢れ出にくく、また、凹部13以外の箇所に該膜形成材料が残りにくくなるため、多量の膜形成材料を塗布することができ、多量の配線材料を用いても高精細な配線を得ることができる。
凹部13および凸部12の膜厚は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、工程(3)で得られる凹部13の膜厚は、所望の用途に応じ適宜調整すればよいが、好ましくは0.01μm〜18μm、より好ましくは0.05μm〜15μmである。
前記凹部13表面と凸部12表面のテトラデカンに対する接触角差(凸部12表面の接触角−凹部13表面の接触角)は、好ましくは30°以上であり、より好ましくは40°以上、さらに好ましくは50°以上である。接触角差が前記範囲にあることにより、後述する工程(1v)において、凸部12表面にも液状の膜形成材料を塗布した場合であっても、撥液部である凸部12において、該膜形成材料をはじき、親液部である凹部13に該膜形成材料が移動しやすくなることにより、凹部13に沿った配線の形成が可能となる。
前記接触角差は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、凹部13表面および凸部12表面とは、それぞれ図3で示すように、基板1上に形成された塗膜の、基板1に接する側とは反対側の表面のことをいう。
得られる凹部13と凸部12が、凹部13の膜厚が前記凸部12の膜厚に対して10%以上薄く、かつ、凹部13表面と凸部12表面のテトラデカンに対する接触角差が30°以上という条件を満たすと、前記と同様の理由から、多量の膜形成材料を凹部13上のみに容易に塗布することが可能となる。
〔凹部上に膜を形成する方法〕
本発明の実施形態では、前記工程(3)で得られた、基板1上に凹部13と凸部12の形成された本発明の実施形態の基材、すなわち、親液部と撥液部を有する基材を用いることにより、その親液部である凹部13上に膜を形成する方法を含むことができる。
[工程(4)]
図4は、本発明の実施形態の膜形成方法における膜形成材料の塗布を模式的に説明する断面図である。
工程(4)では、図4に示すように、前記本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法によって得られた基板1を用い、その親液部である凹部13上に、膜形成材料4を塗布する。
尚、膜形成材料4については、後に具体的に説明する。
上述した膜形成材料の塗布の方法としては、特に限定されず、例えば、はけやブラシを用いた塗布法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、スキージ法、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンス法等の適宜の方法を採用することができる。この中でも特にディッピング法、スプレー法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、オフセット印刷法、インクジェット印刷、ディスペンス法が好ましい。
また、微細で厚みがあり、低抵抗で断線しにくい配線を形成する観点からは、オフセット印刷が好ましい。オフセット印刷は、例えば、特開2010−159350号公報、特開2011−178006号公報の記載に基づいて行うことができる。
上述したように、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法により、基板1上には、撥液性の凸部12とそれより親液性の凹部13とが形成されている。そのため、前記工程(3)で得られた膜形成材料4の塗膜5は、液状の膜形成材料4を用いる場合には、前記いずれの塗布方法を用いても、凸部12では膜形成材料4がはじかれ、凹部13に集まりやすいため、凹部13に沿って膜形成材料4の塗膜が形成された状態となる。
[工程(5)]
工程(5)では、工程(4)で得られた膜形成材料付基板を加熱する。
図5は、基板上に形成された本発明の実施形態のパターンを模式的に示す断面図である。
工程(5)での加熱の温度としては特に限定されないが、190℃以下が好ましい。また、基板1として、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性に乏しいフィルムを用いる場合には、該フィルムの耐熱温度以下、具体的には150℃以下が好ましい。
また、加熱時間も特に制限されないが、1分間〜120分間が好ましく、3分間〜60分間がより好ましい。
工程(5)での加熱の方法としては、例えば、ホットプレート、バッチ式オーブンまたはコンベア式オーブンを用いて加熱する方法、ドライヤー等を用いて熱風乾燥する方法、真空ベークする方法が挙げられる。
〔導電性パターンの形成方法〕
本発明の実施形態においては、本発明の実施形態である親液部と撥液部を有する基材の製造方法の工程(1)、工程(2)および工程(3)により形成された基材を用い、膜形成材料として導電膜形成インクや導電膜形成ペーストを用いることにより、上述した本発明の実施形態の膜形成方法と同様の方法で、本発明の導電膜を形成することができる。すなわち、上述した本発明の親液部と撥液部を有する基材を用い、その凹パターンである親液部上に導電膜形成インクを塗布する方法、および、凹パターンである親液部上で導電膜形成を行う方法を実施することにより、本発明の導電性パターンを形成することができる。
また、本実施形態の感放射線性組成物の膜上で形成された本実施形態の導電性パターンにおいては、導通性および密着性等の特性にも優れ、高精細な配線や電極の形成に有効となる。
そして、本実施形態の導電性パターン等は、本発明の実施形態の導電膜として、本発明の実施形態の電子回路の形成に好適に用いることができる。すなわち、本発明の実施形態の電子回路は、本発明の実施形態の導電性パターン等のパターンを有して構成される。
〔電子回路および電子デバイス〕
本発明の電子回路は、前記導電性パターンの形成方法によって製造された配線を有し、好ましくは、前記導電性パターンの形成方法によって製造された配線と基板との積層体を有する。
また、本発明の電子デバイスは、前記電子回路を有する。このため、小型化、薄型化、高機能化された電子デバイスとなる。
前記電子デバイスとしては、例えば、液晶ディスプレイ、携帯電話等の携帯情報機器、デジタルカメラ、有機ディスプレイ、有機EL照明、各種センサーやウェアラブルデバイスが挙げられる。
〔組成物〕
本発明の実施形態の組成物(以下、単に、組成物と称することがある。)は、アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体([A]重合体とも言う)と酸発生剤とを成分として含有する。本発明の実施形態の組成物は、上述した本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法に用いられて、親液部と撥液部を有する基材を製造することができる。
そして、本発明の実施形態の組成物において、アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体は、その基が酸解離性基であることが好ましい。本発明の実施形態の組成物は、上述した本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法における工程(1)および工程(2)、さらに工程(3)に適用され、親液部と撥液部を有する基材を製造することができる。
本実施形態の組成物は、[A]重合体のほか、溶剤、酸発生剤(以下、[B]酸発生剤と称することがある。)、[C][A]とは異なる化合物、酸発生剤の補助材料としてさらに増感剤(以下、[D]増感剤と称することがある。)、酸発生剤からの酸の拡散抑制材としてクエンチャー(以下、[E]クエンチャーと称することがある。)を含むことができる。
さらに、本実施形態の組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、[F]重合性化合物と称することがある。)を含有することができる。またさらに、本実施形態の組成物は、感放射線性重合開始剤(以下[G]感放射線性重合開始剤と称することがある)を含有することができる。
そして、本発明の実施形態の組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有することができる。
本発明の実施形態の組成物の粘度(温度:20℃、剪断速度:10sec−1)は、所望の塗布方法および形成したい塗膜の膜厚等によって調節することができる。
以下、本実施形態の組成物として用いることができる各成分について説明する。
<[A]重合体>
本実施形態の組成物の成分となる[A]アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体([A]重合体)である。
まず、アセタール結合を有する基を有する重合体について説明する。
アセタール結合を有する基は、アセタール結合およびヘミアセタールエステル結合の群から選ばれる少なくとも1つの構造単位を含む基を有する。より具体的には下記式(1a−1)もしくは(1a−2)で示される構造単位から選ばれるすくなくとも一種を含むことが好ましい。
(式(1a−1)および式(1a−2)中、R1aおよびR2aはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示し、Rfは独立して、フッ素原子で置換された有機基を示す。*は、結合部位を示す。)
アセタール結合を含む化合物は、アルコールと基CH=C(R1a)−O−を有する化合物とを反応させることで得ることができ、ヘミアセタールエステル結合を含む化合物は、カルボン酸と基CH=C(R1a)−O−を有する化合物とを反応させることで得ることができる。
前記Rfとしては、フッ素原子を有する有機基が挙げられる。 前記Rfとしては、下記式(1−1−1)〜(1−1−33)で示す基が好ましい。


[A]重合体は、前駆体である水酸基を有する化合物の水酸基に、下記式(1D)で示されるビニルエーテル化合物(以下、「化合物(1D)」と称することがある。)に由来する保護基が導入されてなる構造を有することが好ましい。また、[A]重合体は、前駆体であるカルボキシル基を有する化合物のカルボキシル基に、化合物(1D)に由来する保護基が導入されてなる構造を有していてもよい。
上記式(1D)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。上記式(1D)中、Rは独立して、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数6〜13の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜12の置換または非置換の脂環式炭化水素基、または、これらの基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。
上記式(1D)のRにおける炭素数2〜12のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
上記式(1D)のRにおける炭素数2〜12のアルケニレン基としては、ビニレン基、エテン−1,2−ジイル基、2−ブテン−1,4−ジイル等が挙げられる。
上記式(1D)のRにおける炭素数6〜13の置換または非置換の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、トリレン基、メシチレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。
上記式(1D)のRにおける炭素数4〜12の置換または非置換の脂環式炭化水素基としては、(シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、ビシクロへキシル基)が挙げられる。
上記式(1D)のRにおける、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数6〜13の置換または非置換の芳香族炭化水素基または炭素数4〜12の置換または非置換の脂環式炭化水素基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基としては、前記で例示した基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
上記式(1D)のRとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、ビニレン基が好ましい。
上記式(1D)中、Rは、炭化水素基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。
上記式(1D)中、Rは、例えば、前記Rfにおける前記式(1−1−1)〜(1−1−33)で示す基、2,2,2−トリフルオロエチル基、4,4,5,5,6,6,6,−ヘプタフルオロへキシル基、1,2,2−トリフルオロビニル基が挙げられ、2,2,2−トリフルオロエチル基、前記式(1−1−1)の3,3,3−トリフルオロプロピル基、式(1−1−2)の4,4,4−トリフルオロブチル基、式(1−1−4)の3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、式(1−1−8)の3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、1,2,2−トリフルオロビニル基、式(1−1−29)の2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基が好ましい。
上記アセタール結合を有する基を有する重合体としては、WO2014/178279号公報に記載を参考に重合体を用いることができる。
次いで、ケイ素原子を含む基について説明する。
ケイ素原子を含む基は、下記式(1−1)、下記式(1−2)、下記式(1−3)および下記式(1−4)で示される基の群から選ばれる少なくとも1つの基を有する。

(式(1−1)および(1−2)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示し、Rsは独立して、ケイ素原子を有する1価の有機基を示す。
式(1−3)および(1−4)中、Rは単結合または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基、これらの基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基、またはケイ素原子を有する1価の有機基を示す。式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)および(1−4)中、*は結合部位を示す。)
上記式(1−1)および上記式(1−2)における好ましいRsの具体例として、次の各式で示される基を挙げることができる。尚、各式中、*は結合部位を示す。
次に、上記式(1−3)および上記式(1−4)で示される基について説明する。
上記式(1−3)および上記式(1−4)中、Rは単結合または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基、これらの基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基、またはケイ素原子を有する1価の有機基を示す。
は、式(1−1)および式(1−2)における好ましいRsの具体例と同様な基を用いることができる。
このようなケイ素原子を含む基は、アセタール結合を有する基を有する重合体と同様に、水酸基を有する重合体にケイ素原子を含むビニル化合物を反応させることで得られる。特願2014−157156号に記載の基を用いることができる。
[A]重合体は、前駆体である水酸基を有する化合物の水酸基に、ケイ素原子を含むビニルエーテル化合物に由来する保護基が導入されてなる構造を有することが好ましい。また、[A]重合体は、前駆体であるカルボキシル基を有する化合物のカルボキシル基に、ケイ素原子を含むビニルエーテル化合物に由来する保護基が導入されてなる構造を有していてもよい。
次に、[A]重合体を得るための方法について説明する。[A]重合体を得るための方法としては、前駆体となる化合物として重合体を用いる方法と、前駆体となる化合物としてモノマーを用いる方法の2つの方法が可能である。
前駆体となる化合物として重合体を用いる方法では、前駆体となる重合体が水酸基またはカルボキシル基を分子内に含有し、前駆体となる重合体の水酸基に前記化合物(1D)を反応させることで[A]重合体を得ることができる。
また、前駆体となる化合物としてモノマーを用いる方法では、前駆体となるモノマーが分子内に水酸基またはカルボキシル基を含有し、前駆体となるモノマーの水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させた後、得られたモノマーを重合させることで[A]重合体を得ることができる。
[A]重合体を得る方法としては、 WO2014/178279号公報、特願2014−157156号に記載の重合体の合成方法と同様にして、重合体を得ることができる。[A]重合体の好ましい例としては、下記式(2)〜(5)で示される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つを有する重合体を挙げることができる。
式(2)〜(5)中、Rは独立して、水素原子又はメチル基を示す。Rは独立して、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、該アルキレン基又はアルケニレン基の一部が、−O−、−(C=O)O−又は−O(C=O)−で置換された基、炭素数6〜13の置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜12の置換若しくは非置換の脂環式炭化水素基、又は、これらの基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。でRは独立して、炭化水素基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。mは0又は1を示す。nは独立して0〜12の整数を示す。)
[A]重合体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい
上述した[A]重合体の前駆体となる化合物、特に前駆体として水酸基を有する化合物は、熱による保護基の脱離が生じ難いという性質を備え、一方で、放射線照射による保護基の脱離の制御ができるという性質を備えるため、[A]重合体を得るのに好適に使用できる。さらに、[A]重合体は、後述する[B]酸発生剤との組み合わせによって、放射線照射による、より高精度の保護基の脱離の制御が可能となるため好ましい。
本発明の実施形態の組成物は、以上の構造を備えた[A]重合体の含有し、上述した本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。に用いられる。そして、上述した工程(1)で形成される塗膜は、形成の直後、[A]重合体の有する上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(1−3)および上記式(1−4)で示される基に由来する特性を示す。具体的には、本発明の実施形態の組成物を用いた場合、まず、上述の工程(1)において、ケイ素原子に由来する撥液性の塗膜が形成される。次いで、上述の工程(11)でこの塗膜に対して放射線を照射すると、露光部分では、上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(1−3)および上記式(1−4)のいずれかで示される基であってそこに含まれるものが分解し、水酸基やカルボキシル基に対する保護基が脱離した状態が形成される。その結果、本発明の実施形態の組成物を用いた塗膜において、露光によって水酸基等の保護基が脱離した状態となった部分では、水酸基等が残されて、保護基に起因した撥液性が失われる。
<[B]酸発生剤>
[B]酸発生剤は、少なくとも放射線の照射によって酸を発生する化合物である。本発明の実施形態の組成物が、[B]酸発生剤を含有することで、[A]重合体から酸解離性基を脱離させることができる。
[B]酸発生剤としては、例えば、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。
本実施形態の組成物において、[B]酸発生剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[オキシムスルホネート化合物]
上述のオキシムスルホネート化合物としては、下記式(2A)で表されるオキシムスルホネート基を含む化合物が好ましい。
前記式(2A)中、R21は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基、あるいはこれらのアルキル基、脂環式炭化水素基およびアリール基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基である。
上述のR21で表されるアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。この炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基は置換基により置換されていてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基等の橋かけ環式脂環基を含む脂環式基等が挙げられる。炭素数1〜12のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプチルフルオロプロピル基等が挙げられる。
上述のR21で表される炭素数4〜12の脂環式炭化水素基は置換基により置換されていてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
上述のR21で表される炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基が好ましい。上述のアリール基は置換基により置換されていてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
これらのオキシムエステル化合物の具体例としては、例えば、(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ)−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル等が挙げられる。
また、特開2011−227106号公報、特開2012−150494号公報に記載のオキシムエステル化合物を光酸発生剤として用いることができる。
[オニウム塩]
オニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、スルホンイミド化合物等が挙げられる。
上述のスルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル等が挙げられる。
その他の光酸発生剤としては、特開2011−215503号公報、WO2011/087011A1に記載の光酸発生剤を用いることができる。
本実施形態の組成物において、[B]酸発生剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上述の範囲とすることで、感放射線性組成物の感度を最適化できるため、上述した工程(1)〜(3)を経ることで高解像度な凹パターンを形成できる。
<[C][A]とは異なる化合物>
[C][A]とは異なる化合物は、アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有しない化合物を示し、さらには酸解離性基を有しない化合物である(以下、[C]化合物ともいう)。[C]化合物は、低分子化合物でも重合体等の高分子化合物でもよい。得られる膜の耐熱性等の向上の観点から重合体であることが好ましい。
[C]化合物は、[A]重合体と併用することで、得られる膜の耐熱性、耐溶剤性を向上できる。さらには[A]重合体と[C]重合体の混合比を適宜変更することで、例えば[A]重合体よる親撥機能を発現しつつ、露光部の凹形状の制御が可能となる。
また、[A]重合体と[C]化合物の種類、混合比を適宜変更することで、フッ素原子、ケイ素原子を有する[A]重合体が膜中の上部に、[C]化合物が下部にとなるような層分離膜を形成できる場合がる。
このような[C]化合物について、以下に説明する。
[C]化合物としては、アクリル樹脂、ポリイミド及びポリイミド前駆体、ポリシロキサン、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体であることが好ましい。重合体について説明する。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む重合体を挙げることができる。
カルボキシル基と重合性基とを含む樹脂は、カルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位とを含む樹脂である。
重合性基としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
このようなエポキシ基を有する重合体としては、例えば、1分子内に2個以上のオキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル基等を有する重合体が挙げられる。
その場合、重合性基を有する構成単位とは、エポキシ基を有する構成単位および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが好ましい。上記特定の構成単位を含むことで、優れた表面硬化性および深部硬化性を有する硬化膜を形成することができる。
1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(a1)」という。)とエポキシ基を有する単量体等他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(a2)」という。)との共重合することで、エポキシ基とカルボキシル基を有する重合体を得ることができる。
上記不飽和単量体(a1)としては、例えば、飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル、両末端にカルボキシル基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する不飽和多環式化合物およびその無水物等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等、 不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等、不飽和ジカルボン酸の無水物としては、例えば、上記ジカルボン酸として例示した化合物の無水物等が挙げられる。不飽和単量体(a1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(a1)と不飽和単量体(a2)の共重合体において、該重合体中の不飽和単量体(a1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(a1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた組成物を得ることができる。
不飽和単量体(a2)のうち、エポキシ基を有する単量体としては、上述した(メタ)アクリル酸グリシジル、3−(メタ)アクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和単量体(a1)と不飽和単量体(a2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728、特開平4−352101等に開示されている共重合体を挙げることができる。
また、本発明においては、重合性として(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を使用することもできる。
<ポリイミド及びポリイミド前駆体>
ポリイミドは、重合体の構成単位中にアルカリ可溶性の基を有するポリイミドであることが好ましい。アルカリ可溶性の基としては、例えば、カルボキシル基を挙げることができる。構成単位中にアルカリ可溶性の基、例えば、カルボキシル基を有することでアルカリ現像性(アルカリ可溶性)を備え、アルカリ現像時に露光部のスカム発現を抑えることができる。同様に、ポリイミド前駆体も、例えば、カルボキシル基等のアルカリ可溶性の基を有してアルカリ可溶性を備えることができる。
また、ポリイミドは、構成単位中にフッ素原子を有すると、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が付与され、界面のしみこみ等が抑えられるため好ましい。ポリイミド中のフッ素原子含有量は、界面のしみこみ防止効果を充分得るために10質量%以上が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20質量%以下が好ましい。
本実施形態の組成物に用いられる[ポリイミドは、例えば、酸成分とアミン成分とを縮合して得られるポリイミドである。酸成分としてはテトラカルボン酸二無水物を選択することが好ましく、アミン成分には、ジアミンを選択することが好ましい。
ポリイミドの形成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン二無水物または下記に示した構造の酸二無水物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
ポリイミドの形成に用いられるジアミンの具体的な例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルヒド、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンまたは下記に示した構造のジアミン等が好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
このようなポリイミド及びポリイミド前駆体としては、例えば、特開2011−133699号公報、特開2009−258634号公報等に開示されている重合体を使用することもできる。
<ポリシロキサン>
ポリシロキサンは、シロキサン結合を有する化合物のポリマーである限りは特に限定されるものではない。このポリシロキサンは、通常、例えば、光酸発生剤から発生した酸や光塩基発生剤から発生した塩基を触媒として硬化する。
ポリシロキサンとしては、下記式(2B)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
式(2B)中、R20は、炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。R21は、炭素数1〜4のアルキル基である。qは、0〜3の整数である。R20またはR21が複数の場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
上記R20で表される炭素数1〜20の非加水分解性の有機基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、または環状であってよい。また、これらのアルキル基、アリール基およびアラルキル基が有する水素原子の一部または全部は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。
上記R21で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。qは0〜3の整数であるが、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0および1であり、さらに好ましくは1である。qが、上記数値である場合、加水分解・縮合反応の進行がより容易となり、その結果、硬化反応の速度が大きくなり、得られる硬化膜の強度や密着性などを向上させることができる。
これらの上記式(2B)で表される加水分解性シラン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、および1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物がより好ましい。好ましい加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。このような加水分解性シラン化合物は、1種単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
してもよい。
上記式(2B)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させる条件は、上記式(2B)で表される加水分解性シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
上記式(2B)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。
上記式(2B)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合に使用することができる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類等が挙げられる。
ポリシロキサンとしては、例えば、特開2011−28225号公報、特開2006−178436号公報等に開示されているポリシロキサンを使用することもできる。
<環状オレフィン系樹脂>
環状オレフィン系樹脂としては、特に制限されず、環状オレフィン部位を含む樹脂であればよく、例えば、WO2013/054864号公報に記載されている環状オレフィン系樹脂を使用することができる。記載されている方法で合成することができる。
<ポリカーボネート>
ポリカーボネートとしては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008−163194号公報に記載されているポリカーボネートを使用することができる。
<ポリエステル>
ポリエステルとしては、特に制限されず、ウレタン結合部位を有するポリエステル、フルオレン部位を含むポリエステルが特に好ましく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、特に制限されず、エポキシ基を有する化合物であればよく、以下に具体例を示す。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型ジグリシジルエーテル類;
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類; フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂; ポリフェノール型エポキシ樹脂; 脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;
高級脂肪酸のグリシジルエステル類; 脂肪族ポリグリシジルエーテル類; エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
<フェノール樹脂>
本実施形態の組成物に用いられる樹脂として好ましいフェノール樹脂としては、フェノール類をホルマリンなどのアルデヒド類で公知の方法で重縮合することにより得ることができるフェノール樹脂が好適に用いられ、ノボラック樹脂、レゾール樹脂のいずれも用いる。これらのうち、特に分子量の制御の観点から特にノボラック樹脂が好ましい。
<ポリアミド>
ポリアミドとしては、有機溶剤に溶解するポリアミドが好適に用いられ、このようなポリアミドとしては、例えば、特殊ポリアミド樹脂:PAシリーズ(株式会社T&K TOKA社製)等を用いることができる。
本実施形態の組成物において、[C]化合物の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、10質量部〜9900質量部が好ましく、100質量部〜8500質量部がより好ましい。[C]化合物剤の含有量を上述の範囲とすることで、得られる膜の耐熱性、耐溶剤性、耐光性を向上できる。
<[D]増感剤>
本発明の実施形態の組成物は、[D]増感剤を含有することができる。[D]増感剤をさらに含有することで、その組成物の放射線感度をより向上することができる。[D]増感剤は、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となる化合物であることが好ましい。電子励起状態となった[D]増感剤は、[B]酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱等が生じ、これにより[B]酸発生剤は化学変化を起こして分解し酸を生成する。
[D]増感剤としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nm〜450nmの領域に吸収波長を有する化合物等が挙げられる。
[D]増感剤としては、多核芳香族類、アクリドン類、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類、キサントン類が好ましく、キサントン類がより好ましい。キサントン類の中でもジエチルチオキサントンおよびイソプロピルチオキサントンが特に好ましい。
本実施形態の組成物において、[D]増感剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態の組成物において、[D]増感剤の含有量としては、[B]酸発生剤100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、1質量部〜4質量部がより好ましい。[D]増感剤の含有量を上述の範囲とすることで、本実施形態の組成物は、感放射線性組成物としての感度を最適化できるため、高解像度な凹パターンを形成して親液部と撥液部を有する基材を製造することができる。
<[E]クエンチャー>
本発明の実施形態の組成物は、上述した[A]重合体、[B]酸発生剤、[D]増感剤のほか、[E]クエンチャーを含有することができる。
[E]クエンチャーは、[B]酸発生剤からの酸の拡散を防止する酸拡散抑制材として機能する。[E]クエンチャーとしては、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることができる。光崩壊性塩基は、露光部においては酸を発生する一方、未露光部ではアニオンによる高い酸捕捉機能が発揮されて、[C]酸発生剤からの酸を補足し、露光部から未露光部拡散する酸を失活させる。すなわち、未露光部のみにおいて酸を失活させるため、保護基の脱離反応のコントラストが向上し、結果として解像性をより向上させることができる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。
本実施形態の組成物において、[E]クエンチャーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。本実施形態の組成物において、[E]クエンチャーの含有量としては、[B]酸発生剤100質量部に対して、0.001質量部〜5質量部が好ましく、0.005質量部〜3質量部がより好ましい。上述の範囲とすることで、本実施形態の組成物の反応性を最適化できるため、高解像度な凹パターンを形成して親液部と撥液部を有する基材を製造することができる。
<[F]重合性化合物>
本発明の実施形態の組成物は、[F]重合性化合物を含有することで、該組成物の硬化を行うことができる。
[F]重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である。このような重合性化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの化合物、特開2013−164471号公報、特開2012−212114号公報、特開2010−85929号公報、に記載の光重合開始剤を使用することができる。
本実施形態の組成物において、[F]重合性化合物の使用量は、[A]重合体100質量部に対して、1質量部〜9900質量部が好ましく、3質量部〜8000質量部がより好ましく、5質量部〜5000質量部がさらに好ましい。[F]重合性化合物の使用量を上述の範囲内とすることで、本実施形態の組成物から得られる塗膜の高度を高め、耐熱性をより良好とすることができる。
<[G]光ラジカル重合開始剤>
[G]光ラジカル重合開始剤は、放射線の照射を受けて、[F]重合性化合物の重合を促進する化合物である。したがって、本発明の実施形態の組成物が[F]重合性化合物を含有する場合、[G]光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、放射線に感応して、重合性を備えた化合物の重合を開始し得るラジカル種を生じる成分である。重合性化合物の架橋反応を開始し、得られる膜の耐熱性、耐溶剤性を向上させることが可能となる。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
O−アシルオキシム化合物としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
アセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
アセトフェノン化合物の中でも、α−アミノケトン化合物が好ましく、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)―ブタノン−1がより好ましい。
また、特開2013−164471号公報、特開2012−212114号公報、特開2010−85929号公報に記載の光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
光ラジカル重合開始剤として例示した光重合開始剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは1質量部〜5000質量部であり、より好ましくは5質量部〜3000質量部である。光ラジカル重合開始剤の含有量を1質量部〜5000質量部とすることで、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、低露光量であっても、高い耐溶媒性、高い硬度および高い密着性を有する硬化膜を形成することができる。
<その他の任意成分>
本実施形態の組成物は、さらに、本発明の効果を損なわない限りその他の任意成分を含有することができる。 その他の任意成分としては、界面活性剤、保存安定剤、接着助剤、耐熱性向上剤等を挙げることができる。本実施形態の組成物において、その他の任意成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
次に、本発明の実施形態の親液部と撥液部を有する基材の製造方法によって得られた基材を用いて、高精細なパターンを形成するのに好適に使用される膜形成材料について説明する。
〔膜形成材料〕
前記膜形成材料は特に限定されるものではない。例えば、配線を形成できるような材料であればよく、流動性を持った液状のインク、ペーストであることが好ましい。前記膜形成材料としては、例えば、導電膜形成インク、導電膜形成ペースト、膜を形成可能な樹脂溶液インク、樹脂溶液ペースト、顔料や染料を含む着色性インク、着色性ペースト、有機半導体溶液や酸化物半導体分散体、有機EL発光体溶液や量子ドット、ナノカーボン導電膜形成インク、カーボンナノチューブや、グラフェン、カーボンブラック等のナノカーボンの機能性インク、導電膜形成ペースト等が挙げられる。
これらの中でも、導電膜形成インクおよび導電膜形成ペーストが好ましく、特に導電性と塗工性の観点から金属粒子を分散したインクまたはペースト、金属塩と還元剤を含むインクまたはペーストが好ましい。
前記金属塩は、その金属塩に含まれる金属イオンが前記還元剤により還元されて金属単体となる。そして、形成される配線において、導電性を発現させる役割を果たす。例えば、金属塩が銅塩である場合、銅塩に含まれる銅イオンは還元剤により還元され、銅単体となり、導電性の配線が形成される。前記金属塩としては銅塩、銀塩が好ましい。前記金属塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
銅塩としては、還元剤または溶剤に対する溶解性や分散性、形成される配線の電気抵抗特性を考慮した場合、酢酸銅、プロピオン酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ギ酸銅、ギ酸銅四水和物、グリオキシル酸銅等の銅カルボン酸塩が好ましい。
銀塩としては、硝酸銀、酢酸銀、酸化銀、アセチルアセトン銀、安息香酸銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、フッ化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、硫酸銀、硫化銀、およびトリフルオロ酢酸銀を挙げることができる。
金属塩に含まれる金属イオンを還元して金属単体とすることを目的として、上述した金属塩とともに、還元剤を含有することが好ましい。還元剤は、用いられる金属塩に含まれる金属イオンに対し還元性を有していれば特に限定するものではない。
前記還元剤としては、例えば、アルカンチオール類、アミン類、ヒドラジン類、モノアルコール類、ジオール類、ヒドロキシアミン類、α−ヒドロキシケトン類およびカルボン酸類が挙げられる。
前記膜形成材料としては、特開2009−235964号公報、特開2011−122177号公報、特開2011−241309号公報記載の組成物を使用することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、本発明は、この実施例に限定的して解釈されるものではない。
[GPC分析]
重合体[A]および重合体(PA)の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)法を用いて、テトラヒドロフラン(THF)溶媒の条件下、ポリスチレン換算で測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・標準物質:ポリスチレン換算
・装置 :東ソー(株)製、商品名:HLC−8220
・カラム :東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL 2本、TSK gel G2000HXLを順次連結したもの
・溶媒 :テトラヒドロフラン
・サンプル濃度:0.7質量%
・注入量 :70μL
・流速 :1mL/min
H−NMRの測定]
H−NMRは、核磁気共鳴装置(Bruker製 AVANCEIII AV400N)で25℃、CDCLで測定した。
本実施例では、上述した本発明の実施形態の[A]酸解離性基を有する化合物の例である重合体を合成した。
<[A]重合体の合成>
[合成例1]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、ジエチレングリコールジメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸2−ヒドロキシエチル42質量部、メタクリル酸ベンジル58質量部を仕込み、窒素雰囲気下、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である重合体(A−1)を含有する溶液を得た(固形分濃度=34.6質量%、Mw=26000、Mw/Mn=2.2)。尚、固形分濃度は共重合体溶液の全質量に占める共重合体質量の割合を意味する。
次いで、得られた重合体(A−1)を含む溶液10質量部に、ジエチレングリコールジメチルエーテル13質量部、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−ビニルオキシオクタン4.8質量部を加え、十分に攪拌した後、トリフルオロ酢酸0.27質量部を加え、窒素雰囲気下、80℃で9時間反応させた。続いて反応溶液を室温まで冷却し、ピリジン0.3質量部を加え反応をクエンチした。得られた反応溶液を大過剰のメタノールに滴下することにより再沈殿精製を行い、続いて10質量部のジエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させた後、大過剰のヘキサンに滴下することにより再沈殿精製を行い、乾燥後、白色固形状の共重合体として[A]重合体(P−1)が6.8質量部得られた。得られた[A]重合体(P−1)についてH−NMRを用いて分析を行い、アセタール化が進行していることを確認した(化学シフト:4.80ppm、アセタール基C−H)。
[合成例2]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き2−メタクリロイロキシエチルコハク酸60質量部、メタクリル酸ベンジル40質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である重合体(A−2)を含有する溶液を得た。得られた溶液を大過剰のヘキサンに滴下し、乾燥後、白色固体状の重合体(A−2)を得た(Mw=23400、Mw/Mn=2.2)。
次いで、重合体(A−2)5質量部をテトラヒドロフラン20質量部に溶かし、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ビニルオキシヘキサン3.5gを加え、十分に攪拌した後にパラトルエンスルホン酸ピリジニウム0.06質量部を加え、窒素雰囲気下、60℃で5時間反応させた。続いて反応溶液を室温まで冷却し、ピリジン0.03質量部を加え反応をクエンチした。得られた反応溶液を過剰量のメタノールに滴下することにより再沈殿精製を行い、続いて再度15質量部のテトラヒドロフランに溶解させた後、ヘキサンに滴下することにより再沈殿精製を行い、白色固形状の共重合体として[A]重合体(P−2)が6.0質量部得られた。得られた[A]重合体(P−2)についてH−NMRを用いて分析を行い、アセタール化が進行していることを確認した(化学シフト:5.74ppm、アセタール基C−H)。
[合成例3]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ポリビニルフェノール(マルカリンカーS−4P 丸善石油化学(株))5質量部を加え、テトラヒドロフラン50質量部で溶かし、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−ビニルオキシオクタン16質量部を加え、十分に攪拌した後にトリフルオロ酢酸0.50質量部を加え、窒素雰囲気下、60℃で9時間反応させた。続いて反応溶液を室温まで冷却し、ピリジン0.5質量部を加え反応をクエンチした。得られた反応溶液を過剰量のメタノールに滴下することにより再沈殿精製を行い、続いて再度30質量部のテトラヒドロフランに溶解させた後、ヘキサンに滴下することにより再沈殿精製を行い、白色固形状の共重合体として[A]重合体(P−3)が得られた。得られた[A]重合体(P−3)についてH−NMRを用いて分析を行い、アセタール化が進行していることを確認した(化学シフト:5.48ppm、アセタール基C−H)。
[合成例4]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ヒドロキシフェニルメタクリレート25質量部、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−ビニルオキシ−オクタン82質量部、トリフルオロ酢酸(TFA)1.6質量部およびテトラヒドロフラン(THF)200質量部を仕込み、窒素雰囲気下、60℃で9時間保持して反応させた。冷却後、反応液にピリジン1.7質量部を加えクエンチした。得られた反応液を水洗、分液し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、減圧蒸留により未反応成分を除去することによりアセタール化生成物(M−1)を得た。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を仕込んだ。次いで、前記で得られたアセタール化生成物(M−1)75質量部、メタクリル酸n−ブチル25質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である[A]重合体(P−4)を含有する溶液を得た(Mw=22200、Mw/Mn=2.2、H−NMR 化学シフト:5.50ppm、アセタール基C−H)。
[合成例5]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル25質量部、塩化トリメチルシリル30質量部、イミダゾール1.0質量部を仕込み、窒素雰囲気下、40℃で7時間保持して反応させた。得られた反応液を水洗、分液し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、減圧蒸留により未反応成分を除去することにより化合物(M−1)を得た。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、ジエチレングリコールジメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き前記で得られた化合物(M−1)70質量部、メタクリル酸ベンジル30質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である[A]重合体(P−5)を含有する溶液を得た(Mw=18000、Mw/Mn=2.3)。
<[C]重合体の合成>
[合成例6]
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル300質量部を仕込み、メタクリル酸23質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸ベンジル32質量部及びメタクリル酸メチル35質量部、並びに分子量調節剤としてのα−メチルスチレンダイマー2.7質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得た(固形分濃度=24.9質量%)。得られた共重合体のMwは、12,500であった。次いで、共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤としての4−メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、メタクリル酸グリシジル16質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることにより、共重合体(C−1)を得た(固形分濃度=29.0質量%)。共重合体(C−1)のMwは、14,200であった。共重合体(C−1)をヘキサンに滴下することで再沈殿精製を行い、再沈殿した樹脂固形分について、H−NMR分析によりメタクリル酸グリシジルの反応率を算出した。6.1ppm付近及び5.6ppm付近にメタクリル酸グリシジルのメタクリル基に由来するピークと共重合体のメタクリル酸ベンジルの構造単位に由来する6.8ppm〜7.4ppm付近の芳香環のプロトンとの積分比の比較から、メタクリル酸グリシジルと共重合体中のカルボキシ基との反応率を算出した。その結果、反応させたメタクリル酸グリシジルの96モル%が共重合体中のカルボキシ基と反応したことが確認された。
[合成例7]
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込み、メタクリル酸18質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、スチレン10質量部及びメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル32質量部を仕込み窒素置換し、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(C−2)を含有する溶液を得た(固形分濃度=31.3質量%)。共重合体(C−2)は、Mw=12,000であった。
[合成例8]
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込み、メタクリル酸18質量部、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン40質量部、スチレン10質量部及びメタクリル酸ベンジル32質量部を仕込み窒素置換し、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(C−3)を含有する溶液を得た(固形分濃度=31.3質量%)。共重合体(C−3)は、Mw=11,000であった。
[合成例9]
反応容器に重合溶剤としてプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)80gを加えた後、重合溶剤の合計80gに対し固形分濃度20質量%となるように、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸誘導体であるテトラカルボン酸二無水物を重合溶剤中に加えた。このときこの例では、ジアミン化合物としては、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)を用い、これを溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(TCA)と1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル(TMHQ)とを、テトラカルボン酸二無水物の組成がTCA:TMHQ=95:5(モル比)となるように投入した。そして、ジアミン化合物の全体量100モル部に対し、テトラカルボン酸二無水物は90モル部を加えた。その後、この混合物を60℃で3時間反応させた。これにより、固形分濃度20質量%、溶液粘度100mPa・sのポリアミック酸(C−4)を約100g得た。
[合成例10]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル20質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン70質量部、およびトリルトリメトキシシラン30質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、リン酸0.15質量部、イオン交換水19質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、4時間保持した。さらに、溶液温度を40℃にし、この温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水および加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物であるポリシロキサンとして(C−5)を得た。Mw=5000であった。
[合成例11]
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン250部、1−ヘキセン180部およびトルエン750部を、窒素置換した反応容器に仕込み、60℃に加熱した。これに、トリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部、tert−COH/CHOHで変性(tert−COH/CHOH/W=0.35/0.3/1;モル比)したWCl6溶液(濃度0.05モル/l)3.7部を加え、80℃で3時間加熱攪拌して、開環重合体溶液(α−1)を得た。この重合反応における重合転化率は90%であり、重合体(C−6)の重量平均分子量は17000であった。
[合成例12]
冷却管、ディーンスターク及び撹拌機を備えたフラスコに、モノマーとして2,6−ジフルオロベンゾニトリルを1.7質量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを0.5質量部、5,5−ビス(4−ヒドロキフェニル)ヘキサン酸を0.5質量部 、塩基として炭酸カリウム2.2質量部を仕込み、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド100質量部、トルエン25質量部を加えた。真空引きと窒素置換を繰り返し、系中の水を除去した。その後、反応系中を窒素加圧下にし、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を130℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合した。これにより、芳香族ポリエーテルとしての重合体(C-12)を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液にイオン交換樹脂を加え、4時間撹拌して濾過した。重合体溶液を濾過し、N,N−ジメチルアセトアミドで固形分を洗浄した後、溶液を回収し、得られた溶液を水で再沈することで目的の樹脂を得た。重合体(C−12)のMwは12,000であった。
[比較合成例1]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(1)71質量部、メタクリル酸ベンジル21質量部を仕込み、窒素雰囲気下、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である重合体(PA−1)を含有する溶液を得た。得られた溶液を大過剰のヘキサンに滴下し、乾燥後、白色固体状の重合体(PA−1)を得た(Mw=18800、Mw/Mn=2.1)。
2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
[比較合成例2]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続きヘキサフルオロプロピルメタクリレート(2)50質量部、メタクリル酸ベンジル50質量部を仕込み、窒素雰囲気下、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である重合体(PA−2)を含有する溶液を得た。得られた溶液を大過剰のヘキサンに滴下し、乾燥後、白色固体状の重合体(PA−2)を得た(Mw=20500、Mw/Mn=2.1)。
ヘキサフルオロプロピルメタクリレート
<感放射線性組成物の調製>
実施例および比較例で用いた各成分の詳細を以下に示す。
<[B]酸発生剤>
C−1:N−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル
C−2:4,7−ジ−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウム トリフルオロメタンスルホネート
C−3:CGI725 (BASF社製)
<[C]化合物>
C−1:合成例6で合成したポリマー
C−2:合成例7で合成したポリマー
C−3:合成例8で合成したポリマー
C−4:合成例9で合成したポリマー
C−5:合成例10で合成したポリマー
C−6:合成例11で合成したポリマー
C−7:CCR−1316H (日本化薬社製)VANARYL
C−8:jER YX−4000HK(三菱化学社製)エポキシ樹脂
C−9:PI−1 (T&K TOKA社製)可溶性ポリイミド
C−10:バイロン200 (東洋紡績社製)ポリエステル
C−11:UR−4410(東洋紡績社製)ポリエステルウレタン
C−12:ポリエーテル:合成例12で合成したポリマー
<[D]増感剤>
D−1:2−イソプロピルチオキサントン
D−2:2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン
<[E]クエンチャー>
E−1:2−フェニルベンゾイミダゾール
E−2:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
<[F]重合性化合物>
F−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
F−2:1,9−ノナンジオールジアクリレート
<[G]光ラジカル重合開始剤>
G−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)
G−2:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア(登録商標)379、BASF社製)
G−3:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュア(登録商標)OXE02、BASF社製)
[実施例1〜15および比較例1〜4]
表1に示す種類、含有量の各成分を混合し、固形分濃度が20質量%となるように、それぞれ[B]溶剤として、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、各感放射線性組成物を調製した。尚、表1中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
<膜評価>
実施例1〜15および比較例1〜4で調製した各感放射線性樹脂組成物を用いて膜形成を行い、以下の評価を実施した。結果を表2に示す。
[撥液-親液変換露光感度]
無アルカリガラス基板上に、実施例1〜実施例15、比較例1〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物をスピンナーにより塗布した後、90℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより0.5μm厚の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に石英マスク(コンタクト)を介して高圧水銀ランプを用いて(露光機:大日本科研社製MA−1400)放射線照射を行い、その後、ホットプレートを用い110℃で5分ベークした。この時、未露光部と露光部上でのテトラデカンの接触角を接触角計(協和界面科学社製CA−X)を用い測定し、接触角差が十分に生じた放射線照射量を撥液-親液変換露光感度とした。
[接触角]
[撥液-親液変換露光感度]の評価と同様の方法で得られた露光部分が親液部となり、露光部分以外が撥液部となって、親液部と撥液部とによりパターニングされた膜(以下、親撥パターニング膜と称することがある。)に関し、形成された親撥パターニング膜において、それぞれ親液部に該当する露光部、撥液部に該当する未露光部において、接触角計(協和界面科学社製CA−X)を用い、水およびテトラデカンの接触角を測定し、親撥性能を確認した。尚、表2中、露光部での水の接触角を「親液部 水」として示し、未露光部での水の接触角を「撥液部 水」として示し、露光部でのテトラデカンの接触角を「親液部 テトラデカン」として示し、未露光部でのテトラデカンの接触角を「撥液部 テトラデカン」として示した。
[親撥パターン上でのインクアシスト性能]
[接触角]の評価と同様の方法で石英マスク(L/S=50μm/450μm)を用いてパターニングし、得られた凹パターンに、自動極小接触角計(協和界面社製MCA−2)を用い、マイクロキャピラリーにてテトラデカンを60pl滴下し、5秒後にパターンを顕微鏡観察した。そして、親撥凹パターンに沿ってテトラデカンがパターニングできれば良好(○)、パターンから溢れれば不良(×)として評価した。
図7は、良好なパターニングの例を示す拡大写真である。
図8は、不良なパターニングの例を示す拡大写真である。
[親撥パターニング膜形成の解像度評価]
[接触角]の評価と同様の方法により、石英マスク(L/S=1/9)でライン幅10μmのマスク部で250mJ/m2で露光を行い、自動極小接触角計(協和界面社製MCA−2)を用い、マイクロキャピラリーにてテトラデカンを微小量(<10pl)滴下したところ、テトラデカンがパターニングできれば解像度良好(○)とし、溢れるなどしてパターニングできなければ解像度不良(×)として評価を行った。
[外観評価]
[接触角]の評価と同様の方法で得られた膜を用い、透明膜が得られていれば良好(○)、目視で膜荒れ、白化等が起こっていれば不良(×)として外観の評価を行った。
[密着性評価]
[接触角]の評価と同様の方法で得られた膜を用い、碁盤目剥離試験を実施し、剥離が発生しなければ良好(○)、部分的に剥離が発生すれば一部不良(×)、全面剥がれが生じれば不良(×)として密着性評価を実施した。
[耐熱性評価]
上記撥液-親液変換露光感度と同様に、基板上に塗膜を形成した。この基板をクリーンオーブン内にて200℃で1時間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜を波長400nmにおける透過率を、分光光度計(日立製作所社製の「150−20型ダブルビーム」)を用いて測定して評価した。次いでクリーンオーブン内にて220℃で30分追加ベークした後、加熱による透過性が大きく低下した場合、耐熱性が不良と判断できる。透明性がほとんど低下しなかった場合を「○」、透明性がわずかに低下した場合を「△」、透明性が大きく低下した場合を「×」とした。評価結果を表1に示す。
表2の結果から実施例1〜実施例15で調製された組成物を用いて形成された親撥パターニング膜は、比較例1〜比較例4で調製された感放射線性組成物を用いて形成された比較例の膜と比べ、良好な親撥性能、パターニング性、外観および密着性を有することがわかった。また親撥性感光剤を塗布、パターニングしなかった立体構造物への塗布に比べ、良好に銀パターンを形成できることがわかった。
すなわち、実施例1〜実施例15で調製された組成物は、比較例1〜比較例4で調製された組成物と比べ、形成される膜に対して、良好な親撥性能、パターニング性、外観および密着性を付与できることがわかった。そして、実施例1〜実施例15で調製された組成物は、本発明の凹パターンを有する立体構造物の製造方法に好適使用できることがわかった。
本発明の組成物は、塗布によって立体構造物上に膜を形成することができ、また、放射線照射を利用し、形成される膜に親撥パターニングを施すことができる。本発明の組成物を用いて形成される膜は、導電膜形成インク等の各種インクを滴下法やディッピング法、スプレー塗布法や各種曲面印刷法を用いて塗布する際に、親撥性能によりパターニングをアシストすることができる。そして、本発明の組成物を用いて形成される膜は、微細かつ精巧なパターンを形成でき、得られるパターンは密着性にも優れる。本発明の組成物を用いて形成される膜は、プリンテッドエレクトロニクスにおける下地膜として好適に用いることができる。
本発明の方法を用いることにより、立体構造物への各種導電膜形成インクを用いた配線形成が、滴下法、ディッピング法、スプレー塗布法や各種曲面印刷法などの簡便な方法で、微細かつ精巧に形成できる。そして、得られる金属配線等の導電性パターンは、密着性および導電性にも優れ、電子回路の形成に好適となる。したがって、本発明は、高精度の立体構造体への配線形成技術として利用できる。本発明は、曲面や立体構造物への半導体チップ等の電子デバイスが実装する配線基板を提供し、自動車用部品や液晶ディスプレイ、携帯電話等の携帯情報機器、デジタルカメラ、有機ディスプレイ、有機EL照明、各種センサーやウェアラブルデバイス等の電子機器における、小型化、薄型化、軽量化、高機能化に有効となる。
1 基板
2,2a,5 塗膜
3 放射線照射部
3−2 放射線未照射部
4 膜形成材料
6 パターン
12 凸部
13 凹部

Claims (13)

  1. 下記の(1)および(2)の工程を含み、親液部と撥液部を有する基材を製造することを特徴とする親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
    (1)[A]アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体、
    [B]酸発生剤、
    [C][A]とは異なる化合物
    とを含む組成物を塗布し、塗膜を形成する工程、
    (2)前記塗膜の所定部分に放射線照射を行う工程
  2. さらに、(3)前記放射線照射後の塗膜を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  3. 前記アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基が、酸解離性基である請求項1または2に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  4. 前記アセタール結合を有する基が、フッ素原子を有する酸解離性基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  5. 前記工程(2)による放射線照射部と放射線未照射部のテトラデカンに対する接触角差が、30°以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  6. 前記[C][A]とは異なる化合物が、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリシロキサン、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  7. さらに、[C][A]とは異なる化合物が(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基から選ばれる少なくとも一つの重合性基を有する重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  8. 前記組成物が、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法。
  9. [A]アセタール結合を有する基またはケイ素原子を含む基から選ばれる少なくとも一つの基を有する重合体
    [B]酸発生剤、
    [C][A]とは異なる化合物とを含み、請求項1〜8のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法に用いることを特徴とする組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の親液部と撥液部を有する基材の製造方法により形成された前記親液部の上に導電膜形成用組成物を用いて導電膜を形成することを特徴とする導電膜の形成方法。
  11. 請求項10に記載の導電膜の形成方法を用いて形成された導電膜を有することを特徴とする電子回路。
  12. 請求項11に記載の電子回路を有することを特徴とする電子デバイス。
  13. [A]フッ素原子とアセタール結合を有する酸解離性基またはケイ素原子を含む酸解離性基から選ばれる少なくとも一つの酸解離性基を有する重合体
    [B]酸発生剤、
    [C](メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基から選ばれる少なくとも一つの重合性基を有する[A]とは異なる重合体とを含有する感放射線性樹脂組成物。

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