JP5866749B2 - 導電性インク組成物、電気的導通部位の製造方法、及びその用途 - Google Patents

導電性インク組成物、電気的導通部位の製造方法、及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、導電性インク組成物、電気的導通部位の製造方法、及びその用途に関する。本発明の導電性インク組成物は、エレクトロニクス分野で配線基板の回路パターン形成用材料として好適に用いることができる。
近年、金属微粒子の分散体を導電性インクとして用い、インクジェット印刷法や、スクリーン印刷法により所望のパターンを形成し、回路基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が注目を集めている。金属微粒子の平均粒子径が数nm〜数10nm程度であるとき、バルクの金属よりも融点が著しく降下し、低い温度で粒子同士の融着が起こることを利用し、金属微粒子を低温で焼結させて電気的導通部位を得るものである。現状、このような導電性パターン形成用組成物としては銀微粒子を含有するものが中心である。
しかしながら、銀では、エレクトロマイグレーション(electromigration)が発生しやすいという問題や、銀自体が高価な金属であるといった問題がある。ここで、エレクトロマイグレーションとは、電界の影響で、金属成分(例えば、配線や電極に使用した金属)が非金属媒体(例えば、絶縁物)の上や中を横切って移動する現象である。
そこで、低コスト化が可能で且つエレクトロマイグレーションが生じるおそれが少なく且つ、高い導電性をもつ銅を主成分とする配線を印刷法により形成可能な電気的導通部位形成用材料が望まれている。
銅の電気的導通部位形成用材料としては、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を分子構造内に有する有機化合物を金属銅表面に吸着させ、酸素や水との接触を妨げ酸化を防ぐと同時に、金属銅微粒子相互の凝集を抑制した、平均粒子径が数nm〜数100nm程度の銅微粒子を利用する方法が多数提案されている。例えば、酸化抑制剤として、アルキルアミンを利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような金属銅微粒子を利用した電気的導通部位形成用材料は、金属銅微粒子を塗布後、電気的導通部位とする工程で、金属銅微粒子表面を被覆する酸化抑制剤を除去し、金属銅微粒子同士を融着させるために一般的に、300℃程度といった高温での加熱が必要であり、適応できる基材が限られる問題がある。また、金属銅の酸化を抑制するために水素を含む還元雰囲気下での加熱が必要な場合が多いため、安全面にも大きな問題があった。
そこで、銅微粒子を利用せず、水素を含まない非還元雰囲気下で、比較的低温度での加熱により、銅の電気的導通部位を形成可能な電気的導通部位形成用材料が検討されている。
例えば、ギ酸銅(II)とアルコキシアルキルアミンとからなる混合生成物を、80〜200℃及び0.1〜5barで基材に接触させることでより、基材上に銅層を析出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、少なくとも金属塩及び還元剤を含有し、かつ25℃における粘度が3〜50mPa・sである金属パターン形成用の金属塩混合物を用い、基材上にパターンを描画した後、加熱することで金属膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらの方法によれば、非還元雰囲気下において、180℃程度の温度での加熱により、銅膜又は金属膜が形成されるとされている。
しかしながら、特許文献2の方法では、ギ酸銅(II)をアルコキシアルキルアミンに完全に溶解させた溶液であるため、粘度が低く、適応粘度が10〜300Pa・sであるスクリーン印刷法によるパターン形成が困難であるといった問題や、基板へ塗布した後の加熱処理時において粘度や表面張力が変化し、塗布時と加熱後の配線幅や配線形状の変化が大きいといった問題があり、工業的には利用できないおそれがあった。
また、特許文献3の方法においても、金属塩混合物の粘度が3〜50mPa・sと低いため、上記と同様にスクリーン印刷法によるパターン形成が困難であるといった問題や、金属塩濃度が金属塩混合物全体の重量に対して10重量%以下であり、金属の含有量が低いと、電気的導通部位を形成する際、所望の膜厚とするために、何度も塗り重ねが必要となり、作業効率が低下するといった問題があり、工業的には利用できないおそれがあった。
以上のように従来法はいずれも十分なものとは言えず、工業的な実用化を図るために更なる検討が要望されていた。すなわち、銅を主成分とする電気的導通部位の形成において、基材として樹脂を利用できる温度で電気的導通部位の形成が可能であり、且つスクリーン印刷法によるパターン形成が可能な導電性インク組成物の開発が望まれていた。
特開2007−321215号公報 特開2005−2471号公報 特開2008−205430号公報
本発明は、上記した背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、銅を主成分とする電気的導通部位の形成において、基材として樹脂を利用できる温度で電気的導通部位の形成が可能であり、且つスクリーン印刷法によるパターン形成が可能な導電性インク組成物、それを用いた電気的導通部位の製造方法、及びその用途を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)、及び配位性化合物(B)を含有する導電性インク組成物を見出した。そしてこの導電性インク組成物は、基材として樹脂を利用できる温度で電気的導通部位の形成が可能であり、且つスクリーン印刷法によるパターン形成が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの導電性インク組成物、電気的導通部位の製造方法、及びその用途である。
[1]還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)、及び配位性化合物(B)を含有する導電性インク組成物。
[2]還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)、配位性化合物(B)、及び金属触媒(C)を含有する導電性インク組成物。
[3]還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩が、ギ酸銅、ヒドロキシ酢酸銅、グリオキシル酸銅、乳酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、及びクエン酸銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の導電性インク組成物。
[4]銅塩の微粒子(A)の一次平均粒子径が、1nm〜5μmの範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
[5]配位性化合物(B)が、アルカンチオール、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び環状アミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
[6]金属触媒が、金属微粒子及び/又は金属化合物を含有することを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
[7]金属微粒子が、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子、白金微粒子、及びパラジウム微粒子からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[6]に記載の導電性インク組成物。
[8]金属微粒子の平均粒子径が、1〜1000nmの範囲であることを特徴とする上記[6]又は[7]に記載の導電性インク組成物。
[9]金属化合物が、金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群より選ばれる一種又は二種以上の金属元素からなる化合物であることを特徴とする上記[6]に記載の導電性インク組成物。
[10]金属化合物が、金属塩、金属酸化物、及び金属硫化物からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[6]又は[9]に記載の導電性インク組成物。
[11]さらに分散媒(D)を含有することを特徴とする上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
[12]導電性インク組成物の粘度が、10〜300Pa・sの範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[11]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
[13]上記[1]乃至[12]のいずれかに記載の導電性インク組成物を、基材中の電気的導通を得たいと所望する部位に塗布又は充填し、当該基材を加熱処理することを特徴とする電気的導通部位の製造方法。
[14]基材が、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、及び木材からなる群より選ばれる一種、又は二種以上の複合基材であることを特徴とする上記[13]に記載の電気的導通部位の製造方法。
[15]加熱処理の温度が60℃〜300℃の範囲であることを特徴とする上記[13]又は[14]に記載の電気的導通部位の製造方法。
[16]非酸化性雰囲気で加熱処理を行うことを特徴とする上記[13]乃至「15」のいずれかに記載の電気的導通部位の製造方法。
[17]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により形成された電気的導通部位。
[18]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする画像表示装置。
[19]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする発光装置。
[20]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする回路基板。
[21]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とするコンデンサ。
[22]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする太陽電池。
[23]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする二次電池。
[24]上記[13]乃至[16]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする電波方式認識タグ。
[25]上記[13]乃至[17]のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする電磁波遮蔽シールド。
本発明は以下に示す効果を奏する。
(1)本発明の導電性インク組成物は、塗布又は充填、加熱といった簡便な方法で、導電性パターン等の電気的導通部位を形成することが可能であるため、省エネルギー、低コスト、低環境負荷を達成でき、工業的に極めて有用である。
また、本発明の導電性インク組成物は、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)を含有し、これは銅が主金属成分であるため、銅の優れた特性を有する電気的導通部位を形成可能である。
また、本発明の導電性インク組成物は、固体として、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)と、必要に応じて金属触媒(C)を含有するため、金属濃度が高く、膜厚を厚くするための塗り重ね回数を削減でき、作業効率に優れる。また、塗布後加熱時の粘度変化、表面張力変化の影響が少ないため、塗布時と加熱後の配線幅や配線形状の変化が小さく寸法精度が優れる。
さらに、本発明の導電性インク組成物は、必要に応じて分散媒(D)を含有させることで、所望する粘度に容易に調整できるため、スクリーン印刷法によるパターン形成が可能である。
(2)本発明の電気的導通部位の製造方法は、本発明の導電性インク組成物を用いることにより、電気的導通部位の形成工程において、水素を含む還元雰囲気を必要とせず、窒素等の不活性雰囲気下での加熱で電気的導通部位形成が可能であり、安全性に優れる。
また、本発明の電気的導通部位の製造方法によれば、基材として樹脂を利用できる温度で、電気的導通部位の形成が可能であり、汎用性に優れる。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、本発明の導電性インク組成物について説明する。
本発明の導電性インク組成物は、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)[以下、表記を簡潔にするため、これを「銅塩の微粒子(A)」と称する。]、配位性化合物(B)を含む。
本発明の導電性インク組成物を加熱処理することにより、銅塩の微粒子(A)中に含まれる銅イオンが還元力を有するカルボン酸により還元され、銅金属となり、形成される電気的導通部位の導電性を発現させる役割を果たす。また、配位性化合物(B)は、銅塩の微粒子(A)の分散性向上、電気的導通部位形成時の銅イオンの還元反応を安定化させる役割を果たす。
本発明の導電性インク組成物において、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩としては、銅イオンをカチオン種とし、還元力を有するカルボン酸をアニオン種とする銅塩であればよく、特に限定するものではない。例えば、一価の銅イオン、二価の銅イオン、及び三価の銅イオンからなる群より選ばれる一種又は二種以上と、還元力を有するカルボン酸からなる銅塩が挙げられる。これらの中でも、安定性、及び入手の容易さから、二価の銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩が好ましい。
例えば、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩としては、具体的には、ギ酸銅、ヒドロキシ酢酸銅、グリオキシル酸銅、乳酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、及びクエン酸銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上が挙げられ、中でも、コストの面から、ギ酸銅及び/又はシュウ酸銅が好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、これら以外の銅イオンと還元力を有するカルボン酸とからなる銅塩を使用しても差し支えないが、入手が困難であったり、高価であったりするため、工業的に不利な場合がある。また、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩としては、市販のものでも、公知の方法により合成したものでも良く、さらには、銅イオンを含む化合物と還元力を有するカルボン酸を混合することにより、系中で形成させたものでも何ら差し支えなく使用することができ、特に限定されない。
本発明の導電性インク組成物において、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩の純度については特に限定するものではないが、あまりにも低純度であると導電性薄膜とした際に、導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、銅塩の微粒子(A)としては、特に限定するものではないが、例えば、ギ酸銅微粒子、ヒドロキシ酢酸銅微粒子、グリオキシル酸銅微粒子、乳酸銅微粒子、シュウ酸銅微粒子、酒石酸銅微粒子、リンゴ酸銅微粒子、及びクエン酸銅微粒子からなる群より選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。中でも、コスト面、及び入手のし容易さから、ギ酸銅微粒子及び/又はシュウ酸銅微粒子が好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、銅塩の微粒子(A)の一次平均粒子径は、特に限定するものではないが、1nm以上、5μm未満の範囲であることが好ましい。粒子径が1nm未満になると、粒子表面の活性が非常に高くなり、溶解するおそれがある。溶解した場合、再析出した際に、他の微粒子を核として析出し、微粒子の粗大化を引起すおそれがあるため好ましくない。また、5μm以上では、印刷法により配線等のパターン形成できる導電性インク組成物への適応が困難となったり、電気的導通部位を形成する際に、粒子の内部まで完全に反応せず、金属銅への還元が不十分となり、形成された電気的導通部位の導電性に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、上記範囲内であることが望ましい。
本発明の導電性インク組成物において、銅塩の微粒子(A)としては、市販のものでも、公知の方法により合成したものでも、さらには、銅イオンを含む化合物と還元力を有するカルボン酸を混合することにより、系中で形成させたものでも何ら差し支えなく使用することができ、特に限定されない。
銅塩の微粒子(A)を製造する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の粉末を機械的粉砕により粉砕する方法や、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩の溶液から、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩の微粒子を析出させる方法等が挙げられる。これらのうち、粒子サイズの再現性が良好なことや、大量の溶媒及び大規模な設備が必要ないことから、還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の粉末を機械的粉砕により粉砕する方法が好ましい。
機械的粉砕としては、特に限定するものではなく、例えば、乾式であっても、湿式であっても一向に差し支えなく、具体的には、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ジェットミル、カッターミル、ハンマーミル、振動ミル、コロイドミル、ロールミル、乳鉢、及び石臼からなる群の一種又は二種以上を用いることができる。中でも微細粒子が効率的に得られることから、ビーズミルを用いることが好ましい。
本発明において、銅塩の微粒子(A)の粒子径を測定する方法としては、一般的な粒子の測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM),電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM),電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上記装置を用いて測定し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。各々の写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより、求めることができる。
本発明の導電性インク組成物において、配位性化合物(B)としては、銅塩の微粒子(A)に対して配位能を有する化合物であればよく、特に限定するものではないが、例えば、チオール基、ニトリル基、アミノ基、ヒドロキシル基、又はヒドロキシカルボニル基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の極性官能基を有する単分子化合物や、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる群より選ばれる一種又は二種以上のヘテロ原子を分子構造内に有するポリマー等が挙げられる。このような単分子化合物としては、例えば、チオール類、アミン類、又は脂式カルボン酸類が挙げられ、ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。
これらの中でも、溶解性、及び電気的導通部位形成時の除去性を考慮すると、具体的には、アルカンチオール、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び環状アミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
例えば、アルカンチオール類としては、具体的には、エタンチオール、n−プロパンチオール、i−プロパンチオール、n−ブタンチオール、i−ブタンチオール、t−ブタンチオール、n−ペンタンチオール、n−ヘキサンチオール、シクロヘキサンチオール、n−ヘプタンチオール、n−オクタンチオール、2−エチルヘキサンチオール等が例示される。
また、脂肪族アミンとしては、具体的には、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ベンジルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチル−n−プロピルアミン、N−メチル−i−プロピルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、N−メチル−i−ブチルアミン、N−メチル−t−ブチルアミン、N−メチル−n−ペンチルアミン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチル−n−ヘプチルアミン、N−メチル−n−オクチルアミン、N−メチル−2−エチルヘキシルアミン、N−メチル−n−ノニルアミン、N−メチル−n−デシルアミン、N−メチル−n−ウンデシルアミン、N−メチル−n−ドデシルアミン、N−メチル−n−トリデシルアミン、N−メチル−n−テトラデシルアミン、N−メチル−n−ペンタデシルアミン、N−メチル−n−ヘキサデシルアミン、及びN−メチル−ベンジルアミン等が例示される。
また、芳香族アミンとしては、具体的には、アニリン、p−トルイジン、4−エチルアニリン、N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン、N−メチル−4−エチルアニリン等が例示される。
また、環状アミンとしては、具体的には、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、イミダゾール、ピラゾール、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、及びホモピペラジン等が例示される。
本発明の導電性インク組成物において、配位性化合物(B)は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよい。
本発明の導電性インク組成物において、配位性化合物(B)の純度は、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
本発明の導電性インク組成物は、以下の理由により、金属触媒(C)を含有させることが好ましい。
すなわち、本発明の導電性インク組成物に、金属触媒(C)を含有させなくても、導電性インクとして使用することはできるが、金属触媒(C)を含有させることにより、例えば、当該導電性インク組成物を基材上に塗布し、加熱処理した際に、銅塩の微粒子(A)中に含まれる銅イオンの還元を促進する役割を果たし、その結果として、処理温度を低下させ、処理時間を短縮させることができる。
金属触媒(C)に用いられる金属微粒子としては、特に限定するものではないが、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウムからなる群より選ばれる一種又は二種以上の金属種を含有するものが挙げられる。これらの金属種は、単体であってもその他の金属との合金であっても差し支えない。これらの中でもコスト面、入手の容易さ、及び電気的導通部位形成時の触媒能から、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子、白金微粒子、及びパラジウム微粒子からなる群より選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
金属触媒(C)にこれら以外の金属微粒子を使用しても差し支えないが、銅塩の微粒子(A)に含まれる銅イオンにより金属微粒子が酸化を受けたり、触媒能が低下したり又は発現しなかったりして、銅塩の微粒子(A)から金属銅への還元析出速度が低下するおそれがあるため、上記した金属微粒子を使用することが望ましい。
金属触媒(C)に用いられる金属微粒子は、その平均粒子径が1〜1000nmの範囲のものが好ましい。金属微粒子の粒子径が1nm未満になると、金属表面の活性が非常に高くなり、酸化されたり、溶解するおそれがある。また、1000nmを超えると、長期保存した場合に金属微粒子が沈降することがある。よって、上記範囲内であることが望ましい。
本発明において、金属微粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な粒子の測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM),電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM),電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上記装置を用いて測定し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。各々の写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより、求めることができる。
金属触媒(C)に用いられる金属微粒子は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。公知の合成方法としては、例えば、スパッタリング法やガス中蒸着法等、物理的な手法で合成反応を行う気相法(乾式法)や、基金属化合物溶液を表面保護剤の存在下、還元して貴金属微粒子を析出させる等の液相法(湿式法)等が一般的に知られている。これらの中でも、一般的に用いられる液相法の例としては、保護剤としてのポリビニルアルコールを含む水とメタノールやエタノール等との混合溶媒に溶解した金属錯イオンを加熱することにより、金属微粒子を得る方法(例えば、「Journal of Macromolecular Science : Part A. Pure & Applied Chemistry」, 1979年, 第13巻, p.727参照)や、エチレングリコールやジエチレングリコール等のポリオールを溶媒に用い、それらの沸点近傍またはそれ以下で加熱することにより、緩やかに金属イオンを還元析出させ、金属微粒子を得る方法(例えば、「MRS Bulletin」, 1989年, 第14巻, p.29参照)等を挙げることができる。
金属触媒(C)に用いられる金属微粒子の純度としては、特に限定するものではないが、余りに低純度であると導電性薄膜とした際に、導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
一方、金属触媒(C)に用いられる金属化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムからなる群より選ばれる一種又は二種以上の金属種を含有する化合物が好ましい。これらの中でもコスト面、入手の容易さから、金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群より選ばれる、一種又は二種以上の金属種を含有する化合物であることが好ましく、銀、及び/又はパラジウムを含有することがさらに好ましい。金属化合物としては、上記金属のイオンを含有する化合物であればよく、特に限定するものではないが、例えば、金属塩、金属酸化物、金属硫化物等が挙げられる。これらの中でも、溶解度の面から金属塩を用いることが好ましい。
金属塩としては、特に限定するものではないが、金属イオンと、無機アニオン種及び/又は有機アニオン種とからなるものが好ましい。例えば、金属ハロゲン化物、金属硝酸塩、金属亜硝酸塩、金属炭酸塩、金属カルボン酸塩、金属テトラフルオロほう酸塩、金属とアセチルアセトン誘導体との錯塩等が挙げられ、これらの中でも、コスト及び溶解性の面から、金属カルボン酸塩、及び/又は金属とアセチルアセトン誘導体との錯塩が好ましい。
具体的には、金属カルボン酸塩としては、例えば、ギ酸銀、酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、吉草酸銀、イソ吉草酸銀、ピバリン酸銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、シクロヘキサンカルボン酸銀、オクタン酸銀、2−エチルヘキサン酸銀、ノナン酸銀、デカン酸銀、ウンデカン酸銀、ドデカン酸銀、トリデカン酸銀、オレイン酸銀、リノール酸銀、リノレン酸銀、安息香酸銀、ギ酸パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、酪酸パラジウム、イソ酪酸パラジウム、吉草酸パラジウム、イソ吉草酸パラジウム、ピバリン酸パラジウム、ヘキサン酸パラジウム、ヘプタン酸パラジウム、シクロヘキサンカルボン酸パラジウム、オクタン酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸銀パラジウム、ノナン酸パラジウム、デカン酸パラジウム、ウンデカン酸パラジウム、ドデカン酸パラジウム、トリデカン酸パラジウム、オレイン酸パラジウム、リノール酸パラジウム、リノレン酸パラジウム、安息香酸パラジウム等が好適なものとして挙げられる。
また、金属とアセチルアセトン誘導体との錯塩としては、例えば、アセチルアセトナト銀、ヘキサフルオロアセチルアセトナト銀、アセチルアセトナトパラジウム、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム等が好適なものとして挙げられる。
これらの中でも、コスト及び溶解性の面から、酢酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、酪酸パラジウム、イソ酪酸パラジウム等の金属カルボン酸塩が好ましい。
金属触媒(C)にこれら以外の金属化合物を使用しても差し支えないが、入手が困難であったり、高価であったりするため、工業的に不利な場合がある。また、金属化合物としては、市販のもの、公知の方法により合成したものでも良く、さらには、金属イオンを含む化合物と無機アニオン種、及び/又は有機アニオン種を混合すること等により、系中で形成させたものでも何ら差し支えなく使用することができ、特に限定されない。また、還元成分の影響により系中で還元され、0価の錯体となったり、金属粒子となっても一向に差し支えない。
本発明の導電性インク組成物において、金属化合物の純度については特に限定するものではないが、低純度であると電気的導通部位を形成した際に、導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、各成分の濃度は特に制限はないが、導電性インク組成物全量に対し、銅塩の微粒子(A)を0.1〜80重量%、配位性化合物(B)を0.1〜80重量%の範囲、及び金属触媒(C)を0重量%〜50重量%の範囲で含有することが好ましい[ただし、銅塩の微粒子(A)、配位性化合物(B)及び金属触媒(C)の合計量が100重量%を超えることはない。]。
銅塩の微粒子(A)の濃度が0.1重量%未満では、銅塩の微粒子(A)から生じる金属銅の量が少なく、十分な膜厚を有する電気的導通部位を形成できない場合があり、80重量%を超えると、導電性インク組成物の粘度上昇又は固化が起こり作業性が低下する場合がある。
また、配位性化合物(B)の濃度が0.1重量%未満では、銅イオンと還元力を有するカルボン酸からなる銅塩の微粒子が十分に分散しないおそれがあり、80重量%を超えて使用しても入れただけの向上効果がないばかりではなく、導電性インク組成物全量における銅の濃度が低下し、所望する膜厚の電気的導通部位を得るための導電性インク組成物の塗布量が増加し、工業的に不利となる。
さらに、金属触媒(C)の濃度は、その触媒能を発現させるためには1重量ppb以上であることが好ましいが、50重量%を超えて使用しても、入れただけの向上効果は得られないばかりでなく、導電性インク組成物の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下し、工業的に不利となるおそれがある。
なお、本発明の導電性インク組成物において、銅塩の微粒子(A)と金属触媒(C)とが複合化して、これらの複合体微粒子を形成することはない。ここで、複合化の方法としては、例えば、物理的な複合化方法や化学的な複合化方法が挙げられる。物理的な複合化方法としては、具体的には、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩上へ触媒金属を担持する方法、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩上へ触媒金属を吸着させる方法、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩上へ触媒金属を析出させる方法等が例示される。また、化学的な複合方法としては、具体的には、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩と触媒金属を複合塩化する方法や、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩の一部を、触媒金属と合金化する方法等が例示される。
本発明の導電性インク組成物は、上記成分に加えて、分散媒(D)を含有しても一向に差し支えない。
本発明の導電性インク組成物において、分散媒(D)は、その濃度を変えることにより、導電性インク組成物の粘度を、所望の粘度に容易に調整することができる。
本発明の導電性インク組成物において分散媒(D)は、銅塩の微粒子(A)と反応しないものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類、及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
例えば、アルコール類としては、具体的には、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が例示される。
エーテル類としては、具体的には、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が例示される。
エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が例示される。
脂肪族炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が例示される。
芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が例示される。
これらの中でもコスト、及び安全性の面から、ヘキサノール、ターピネオール、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、分散媒(D)は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよい。
本発明の導電性インク組成物において、分散媒(D)の純度は、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、分散媒(D)の濃度は特に限定するものではないが、例えば、導電性インク組成物全量に対し、分散媒(D)の濃度が0〜90重量%の範囲であることが好ましい[ただし、銅塩の微粒子(A)、配位性化合物(B)、金属触媒(C)及び分散媒(D)の合計量が100重量%を超えることはない。]。
分散媒(D)の濃度が90重量%を超えて使用しても入れただけの向上効果がないばかりではなく、導電性インク組成物全量における銅の濃度が低下し、所望する膜厚の電気的導通部位を得るための導電性インク組成物の塗布量が増加し、工業的に不利となる。
本発明の導電性インク組成物において、導電性インク組成物の粘度は、所望する塗布方法により、適宜、調整すれば良く、特に限定するものではないが、例えば、スクリーン印刷法により塗布し、パターン形成を行う場合、通常10〜300Pa・sの範囲に調整することが好ましい。
本発明の導電性インク組成物は、上記成分に加えて、電気的導通部位平滑化剤、表面張力調整剤等の添加剤(E)を含有しても一向に差し支えない。
本発明の導電性インク組成物において、電気的導通部位平滑化剤としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル等の含酸素化合物を挙げることができ、これらより選ばれる一種又は二種以上を用いることが好ましい。
本発明の導電性インク組成物において、表面張力調整剤としては、特に制限するものではないが、例えば、導電性インク組成物の各成分と反応しない有機溶媒が挙げられ、所望の表面張力となるように適宜添加すればよい。このような有機溶媒としては、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
本発明の導電性インク組成物における、上記した添加剤の濃度は特に制限はないが、導電性インク組成物全量に対し、添加剤の濃度が0〜50重量%の範囲であることが好ましく、0〜20重量%の範囲とするのがさらに好ましい[ただし、銅塩の微粒子(A)、配位性化合物(B)、金属触媒(C)、分散媒(D)、及び添加剤(E)の合計量が100重量%を超えることはない。]。
添加剤(E)の濃度が50重量%を超えて使用しても、入れただけの向上効果は得られないだけでなく、導電性インク組成物の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下し、工業的に不利となるおそれがある。
次に本発明の導電性インク組成物を用いた電気的導通部位の製造方法[以下、表記を簡潔にするため、これを「本発明の製造方法」と称する。]について説明する。
本発明において、「電気的導通部位」とは、本発明の電気的導通部位の製造方法によって形成された電気的導通を有する部位を意味する。例えば、導電性薄膜、配線、電極、スルーホールを介した両面及び/又は多層間の電気的導通部位、基板と被接合物との電気的導通を有する接合部位等が挙げられる。
本発明の製造方法は、本発明の導電性インク組成物を、基材中の電気的導通を得たいと所望する部位に塗布又は充填し、当該基材を加熱処理することで行われる。例えば、本発明の導電性インク組成物を基材上に塗布した後に、加熱処理することによって、銅塩の微粒子(A)中に含まれる銅イオンを還元させると共に、配位性化合物(B)が揮発し除去され、当該基材上に電気的導通部位を容易に形成することができる。
具体的な製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、
(a)本発明の導電性インク組成物を基材上に塗布し、非酸化性雰囲気下で加熱処理して、導電性薄膜を形成する方法、
(b)本発明の導電性インク組成物を基材上にパターン塗布し、非酸化性雰囲気下で加熱処理して、配線及び/又は電極を形成する方法、
(c)本発明の導電性インク組成物を、基材に設けたスルーホールに充填し、非酸化性雰囲気下で加熱処理して、当該スルーホールを介した両面及び/又は多層間の電気的導通部位を形成する方法、
(d)本発明の導電性インク組成物を基材上に塗布した後、当該基材と被接合物とを密着させ、非酸化性雰囲気下で加熱処理して、当該基材と被接合物を接合させ、電気的導通部位を形成する方法、
等を挙げることができる。
また、上記した以外の方法により電気的導通部位を形成しても一向に差し支えない。例えば、表面処理、洗浄、加熱、冷却、焼成、精製、濾過、分級、乾燥、及びその他薬液での処理等の工程を適宜実施することができる。
本発明の製造方法において、基材としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材等からなる一種又は二種以上、若しくは二種以上の複合基材が挙げられる。
具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。
本発明の製造方法において、加熱処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等が挙げられる。これらの中でも安価なことから、窒素を用いることが好ましい。また、非酸化性雰囲気中には、形成された電気的導通部位の酸化に大きな影響を与えない程度ならば酸素を含んでいても良く、その濃度は、通常5000ppm以下であり、500ppm以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法において、加熱処理の温度は、導塩の微粒子(A)中の銅イオンが還元され、配位性化合物(B)が揮発し除去される温度であればよく、特に限定するものではないが、通常60〜300℃の範囲であり、80〜200℃の範囲がさらに好ましい。加熱処理の温度が60℃未満であると、銅塩の微粒子(A)中の銅イオンの還元が完全には進行しなかったり、また配位性化合物(B)の残存が顕著になるおそれがある。一方、300℃を超えると有機基材を利用できなくなるおそれがある。
また、加熱処理の時間は、温度や所望する導電性により適宜選択すればよいが、200℃程度の加熱温度を設定した場合には、通常10〜60分程度である。
本発明の製造方法において、本発明の導電性インク組成物を基材に塗布する方法としては、公知の方法によって行うことができ、特に限定するものではないが、例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、ディスペンサーでの塗布法等が挙げられる。塗布の形状としては面状であっても、ドット状であっても、問題は無く、特に限定されない。導電性インク組成物を基材に塗布する塗布量としては、所望する電気的導通部位の膜厚に応じて適宜調整すればよいが、通常、乾燥後の導電性インク組成物の膜厚が0.01〜5000μmの範囲、好ましくは0.1〜1000μmの範囲となるよう塗布すれば良い。
本発明の製造方法において、本発明の導電性インク組成物を基材に設けたスルーホールに充填する方法としては、公知の方法によって行うことができ、特に限定するものではないが、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサーで注入する方法等が挙げられ、適宜選択して使用すればよい。
本発明の製造方法は、様々な工業製品を製造する工程の一部として利用することができ、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有する工業製品を得ることができる。
本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有する工業製品としては、特に限定するものではないが、例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル、液晶パネル等の画像表示装置;LED(Light Emitting Diode)発光装置、及び有機エレクトロルミネッセンス発光装置等の発光装置;1層(片面)プリント配線基板、2層(両面)プリント配線基板、多層プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板等の回路基板;積層コンデンサ、固体電解コンデンサ等のコンデンサ;シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機半導体型太陽電池等の太陽電池;リチウム二次電池、ニッケル−水素二次電池等の二次電池;電波方式認識タグ;電磁波遮蔽シールド等が挙げられる。
例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネルとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、カソード電極及び/又はカソード電極の取出部を有する有機エレクトロルミネッセンスパネル;本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、スルーホールを介した電気的導通部位及び/又はスルーホールに接続する取出電極を有する有機エレクトロルミネッセンスパネル等が例示される。
また、プラズマディスプレイパネルとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、バス電極及び/又はアドレス電極を有するプラズマディスプレイパネル等が例示される。
また、液晶パネルとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、対向電極及び/又は対向電極に接続する端子電極を有する液晶パネル等が例示される。
また、LED発光装置としては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、スルーホールを介した電気的導通部位、スルーホールに接続する電極、及び基板と発光ダイオード素子を接合させた電気的導通部位からなる群より選ばれる一種又は二種以上を有するLED発光装置等が例示される。
また、有機エレクトロルミネッセンス発光装置としては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、カソード電極及び/又はカソード電極の取出部を有する有機エレクトロルミネッセンス発光装置;本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、スルーホールを介した電気的導通部位及び/又はスルーホールに接続する取出電極を有する有機エレクトロルミネッセンス発光装置等が例示される。
また、回路基板としては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、スルーホールを介した両面及び/又は多層間の電気的導通部位を有する、1層(片面)プリント配線基板、2層(両面)プリント配線基板、多層プリント配線基板、又はフレキシブルプリント配線基板;本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、基板と電子部品が接合した電気的導通部位を有する、1層(片面)プリント配線基板、2層(両面)プリント配線基板、多層プリント配線基板、又はフレキシブルプリント配線基板等が例示される。
また、積層コンデンサとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、内部電極及び/又は外部電極を有する積層コンデンサ等が例示される。
また、固体電解コンデンサとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した導電性薄膜層を陰極電極層に有する固体電解コンデンサ等が例示される。
また、太陽電池としては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、光入射側電極及び/又は裏面側電極を有する、シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機半導体型太陽電池等が例示される。
また、二次電池としては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、電極タブと電極リードが接合した電気的導通部位を有する、リチウム二次電池、ニッケル−水素二次電池等が例示される。
また、電波方式認識タグとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明のの製造方法により一部乃至全体を製造した、導電性薄膜、配線、及び電極からなる群より選ばれる一種又は二種以上からなるアンテナ及び/又は電子部品が接合した電気的導通部位を有する電波方式認識タグ等が例示される。
また、電磁波遮蔽シールドとしては、特に限定するものではないが、具体的には、本発明の製造方法により一部乃至全体を製造した、導電性薄膜、配線、及び電極からなる群より選ばれる一種又は二種以上からなる電気的導通部位を有する電磁波遮蔽シールド等が例示される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
なお、以下の参考例において、微粒子の平均粒子径は、粒子サイズに応じて、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、観測した視野の中から、ランダムに3箇所選択し、50,000〜1,000,000倍の範囲における任意の倍率で撮影を行い、それぞれの写真から、粒子を計100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより求めた。TEMは日本電子社製、商品名:JEM−2000FX、SEMは、日本電子社製、商品名:JSM T220Aを使用した。
また、元素分析はパーキンエルマー社製、全自動元素分析装置、商品名:2400IIにより測定し、H−NMRはVarian社製、商品名:Gemini−200により測定した。
さらに、導電性インク組成物の粘度は、別途記載が無い限り、レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名:ARレオメーター AR2000ex)を用い、測定温度30℃で測定した。
[参考例1] ギ酸銅微粒子の調製.
エタノール40gにギ酸銅粉末(一次平均粒子径21μm)2.24g、及びジルコニア製ビーズ(ニッカトー社製、商品名:YZT ボール、サイズ:Φ0.1mm)150gを添加し、攪拌用モーターに連結した攪拌羽を用い、周速10m/秒で、12時間攪拌し粉砕を行った。
次にこのスラリー状の混合物を、目開き0.075mmの篩に通し、さらにエタノール160gで洗浄し、ジルコニア製ビーズを分離し、ギ酸銅微粒子分散体を得た。
このギ酸銅微粒子分散体をSEMで観測し、一次平均粒子径を求めたところ、210nmであった。次に、このギ酸銅微粒子分散体を、減圧条件で60℃を超えない温度で、エタノールと余分な水分を留去することで、ギ酸銅微粒子の粉末を1.68g得た。
[参考例2] 銀微粒子分散液の調製.
アニリン10gに酢酸銀1.67gを加え、固形物が完全に溶解し、均一溶液となるまで約10分間40℃で攪拌した。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌し、窒素気流下分液ロートに移液した。相分離した下部の無色透明な水相を除去した後、10gのイオン交換水で洗浄し再び相分離した下部の水相を除去することで、黒色の銀微粒子分散体を得た。
この銀微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、9.2nm(標準偏差4.2、変動係数46%)であった。銀微粒子分散体を減圧下(120Pa)、80℃に加熱し留出物を除くことにより、銀微粒子を2.19g得た。元素分析の結果、得られた銀微粒子は46重量%の銀と、54重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はアニリンであった。
[実施例1] ギ酸銅微粒子、及びn−オクチルアミンを含有する導電性インク組成物の調製.
テトラヒドロフラン10gに、参考例1で得たギ酸銅微粒子(一次平均粒子径210nm)1.68g、及びn−オクチルアミンを0.65g添加し、乳鉢で完全に分散状態になるまで十分に混練した。このスラリー状の混合物を、減圧条件で60℃を超えない温度で、テトラヒドロフランと余分な水分を留去することで、ペースト状の導電性インク組成物を調製した。
得られた導電性インク組成物の粘度は168Pa・sであり、元素分析の結果、25.6重量%の銅、36.8重量%のギ酸、37.4重量%のn−オクチルアミンを含有していた(以下、表記を簡潔にするため、これを「ペーストA」と称する)。
[実施例2] ギ酸銅微粒子、2−エチルヘキシルアミン、及びターピネオールを含有する導電性インク組成物の調製.
テトラヒドロフラン10gに、参考例1で得たギ酸銅微粒子(一次平均粒子径210nm)1.68g、2−エチルヘキシルアミン 0.65g、及びターピネオール 0.75gを添加し、乳鉢で完全に分散状態になるまで十分に混練した。このスラリー状の混合物を、減圧条件で60℃を超えない温度で、テトラヒドロフランと余分な水分を留去することで、ペースト状の導電性インク組成物を調製した。
得られた導電性インク組成物の粘度は72Pa・sであり、元素分析の結果、20.8重量%の銅、29.9重量%のギ酸、23.1重量%の2−エチルヘキシルアミン、26.1重量%のターピネオールを含有していた(以下、表記を簡潔にするため、これを「ペーストB」と称する)。
[実施例3] ギ酸銅微粒子、ヘキサメチレンイミン、及び銀微粒子を含有する導電性インク組成物の調製.
n−ヘキサン10gに、参考例1で得たギ酸銅微粒子(一次平均粒子径210nm)1.68g、参考例2で得た銀微粒子を0.15g、及びヘキサメチレンイミンを0.90g添加し、乳鉢で完全に分散状態になるまで十分に混練した。このスラリー状の混合物を、減圧条件で60℃を超えない温度で、ヘキサンと余分な水分を留去することで、ペースト状の導電性インク組成物を調製した。
得られた導電性インク組成物の粘度は144Pa・sであり、元素分析の結果、22.8重量%の銅、32.8重量%のギ酸、37.3重量%のヘキサメチレンイミン、4.2重量%の銀を含有していた(以下、表記を簡潔にするため、これを「ペーストC」と称する)。
[実施例4] ギ酸銅微粒子、n−ヘキサンチオール、及び酢酸パラジウムを含有する導電性インク組成物の調製.
テトラヒドロフラン10gに、参考例1で得たギ酸銅微粒子(一次平均粒子径210nm)1.68g、酢酸パラジウムを0.15g、及びn−ヘキサンチオールを0.98g添加し、乳鉢で完全に分散状態になるまで十分に混練した。このスラリー状の混合物を、減圧条件で60℃を超えない温度で、テトラヒドロフランと余分な水分を留去することで、ペースト状の導電性インク組成物を調製した。
得られた導電性インク組成物の粘度は189Pa・sであり、元素分析の結果、21.6重量%の銅、31.1重量%のギ酸、42.0重量%のn−ヘキサンチオール、2.7重量%の酢酸、3.0重量%のパラジウムを含有していた(以下、表記を簡潔にするため、これを「ペーストD」と称する)。
[比較例1] ギ酸銅、及びn−ヘキシルアミンを含有する導電性インク組成物の調製.
テトラヒドロフラン10gにギ酸銅を2.24g、n−ヘキシルアミンを2.1g順次添加した。室温で、完全に溶解するまで10分間攪拌し、均一な溶液とした。この溶液を、0.5μmメンブランフィルターで濾過した後、得られた濾液中のテトラヒドロフランを、減圧濃縮により脱溶剤して、導電性インク組成物を調製した。
得られた導電性インク組成物の粘度をB型粘度計(東機産業社製、商品名:BL II)で測定した結果、4.9mPa・sであった。また、元素分析の結果、17.6重量%の銅、25.3重量%のギ酸、56.1重量%のn−ヘキシルアミンを含有していた(以下、表記を簡潔にするため、これを「ペーストE」と称する)。
[実施例5〜8、比較例2] 印刷性評価、導電性評価、及び形状安定性評価.
ガラス基材上に、ペーストA〜Dを、スクリーン印刷法(スクリーン仕様 メッシュ数:200、線径:40μm、織厚:115μm、目開き:87μm、空間率:46.9%、ペースト透過体積:53.94mg/cm)を用いてガラス基板に塗布し、幅2mm×長さ30mm、膜厚54μmの均一な塗布膜とした。
次に、窒素ガスを6L/分の流量で流通した加熱炉で、これらペーストを塗布したガラス基材を30分間、加熱処理を行い、電気的導通部位を得た。各加熱温度を表1に示す。
Figure 0005866749
形成された各電気的導通部位について、表面抵抗率を四探針抵抗測定機(三菱化学社製、商品名:ロレスタGP)にて測定した。
また、形成された各電気的導通部位を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、各電気的導通部位の平均膜厚を評価した。すなわち、各電気的導通部位について、走査型電子顕微鏡(SEM)で観測した視野の中から、ランダムに3箇所選択し、5000倍の倍率で撮影を行い、それぞれの写真において、電気的導通部位の膜厚を計測し、これらの値を撮影倍率で除し、3箇所の膜厚を算術平均して得られた値を各電気的導通部位の平均膜厚とした。
印刷性の評価は、印刷したパターンの形状を目視で確認し、
断裂、欠け、にじみが無い場合:○,
断裂、欠け、にじみがある場合:×,
と評価した。
また、導電性の評価は、各電気的導通部位において、測定した表面抵抗率と、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察結果から得られた平均膜厚から算出した体積抵抗率の比較により行った。
また、形状安定性については、各ペースト塗布時の塗布サイズからの加熱処理後の面積変化率で評価した。
面積変化率(%)=[(加熱処理後面積/塗布時面積)−1]×100。
導電性の評価は、各電気的導通部位において、表面抵抗率と走査型電子顕微鏡(SEM)の観察結果から得られた平均膜厚から算出した、体積抵抗率の比較により行った。
これら評価の結果を表1に併せて示す。
表1から明らかなとおり、実施例5〜8において、本発明の導電性インク組成物は、いずれも良好な印刷性を示し、断裂、欠け、にじみは全く見られなかった。また導電性に関しても、良好な導電性を示し、加熱処理前後の形状安定性も優れていた。
これに対し、比較例2において、ギ酸銅が完全に溶解した溶液である導電性インク組成物は、粘度が低いため、断裂、欠け、にじみ等の印刷不良により、配線を均一に塗布できなかった。また導電性に関しては、導電性は大差ないものの、加熱処理前後の形状変化が大きかった。

Claims (21)

  1. 還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩の微粒子(A)、配位性化合物(B)、金属触媒(C)及び分散媒(D)を含有し、粘度が10〜300Pa・sの範囲である導電性インク組成物。
  2. 還元力を有するカルボン酸と銅イオンとからなる銅塩が、ギ酸銅、ヒドロキシ酢酸銅、グリオキシル酸銅、乳酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、及びクエン酸銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性インク組成物。
  3. 銅塩の微粒子(A)の一次平均粒子径が、1nm〜5μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性インク組成物。
  4. 配位性化合物(B)が、アルカンチオール、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び環状アミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の導電性インク組成物。
  5. 金属触媒が、金属微粒子及び/又は金属化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性インク組成物。
  6. 金属微粒子が、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子、白金微粒子、及びパラジウム微粒子からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項5に記載の導電性インク組成物。
  7. 金属微粒子の平均粒子径が、1〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の導電性インク組成物。
  8. 金属化合物が、金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群より選ばれる一種又は二種以上の金属元素からなる化合物であることを特徴とする請求項5に記載の導電性インク組成物。
  9. 金属化合物が金属塩、金属酸化物、及び金属硫化物からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項5又は請求項8に記載の導電性インク組成物。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の導電性インク組成物を、基材中の電気的導通を得たいと所望する部位に塗布又は充填し、当該基材を加熱処理することを特徴とする電気的導通部位の製造方法。
  11. 基材が、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、及び木材からなる群より選ばれる一種、又は二種以上の複合基材であることを特徴とする請求項10に記載の電気的導通部位の製造方法。
  12. 加熱処理の温度が60℃〜300℃の範囲であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の電気的導通部位の製造方法。
  13. 非酸化性雰囲気で加熱処理を行うことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の電気的導通部位の製造方法。
  14. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする画像表示装置。
  15. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする発光装置。
  16. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする回路基板。
  17. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とするコンデンサ。
  18. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする太陽電池。
  19. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする二次電池。
  20. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする電波方式認識タグ。
  21. 請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の製造方法により、一部乃至全体を製造した電気的導通部位を有することを特徴とする電磁波遮蔽シールド。
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