JP5441550B2 - 金属ナノ粒子分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物質にて表面が被覆された金属ナノ粒子を所望の溶媒に対して分散させた分散液に関する。
金属ナノ粒子(以降、単に粒子ともいう)は、微小な粒径に起因して様々なバルク態と異なる特性を示すため、導電材料を初めとした各種分野で利用が検討されてきている。また、昨今の製造技術の進歩は、平均粒子径が1〜100nmの粒子を簡便に作成できるようにまでなってきている。こうしたナノクラスの金属ナノ粒子を用いることにより、金属ナノ粒子が有する特性を更に活かした材料の登場が期待されている。
しかしながら、金属ナノ粒子は活性が非常に高く、かつ低温でも焼結が進むような特性を有している。そのため通常では、表層に有機化合物からなる被覆層を形成することで、粒子同士が自然焼結や凝結を起こすことを防止している。
そして上述の有機化合物等で被覆された金属ナノ粒子を含むインク(分散液)やペーストを基板に塗布した後に加熱・焼成することで、このインクやペーストを金属塊または膜に変化させて使用している。この時、表面を被覆している保護剤である有機化合物は、分解または蒸散させて系外に除去されることになる。
この加熱・焼成温度を低くすることができれば、基板に対する熱的なダメージを抑制することに繋がるため、使用できる基板の選択の幅を広くできることが期待される。この期待を実現するための手法としては、具体的には保護剤の炭素鎖が短いものを選択することが挙げられるが、この手法にも問題点が指摘されていた。すなわち炭素鎖が短いものを選択してしまうが故に、粒子同士の間隔が狭くなりすぎることに起因して、粒子の接触頻度が高くなり、結果として粒子の凝集、極端な場合には凝結が発生するということである。
そこで、金属ナノ粒子分散液が保存状態にあるときには、粒子の接触可能性を抑制するために粒子の周囲を比較的体積の大きい有機化合物で被覆することで保存安定性を確保する。そして、体積が大きい、いわゆる比較的粒子間の接触が頻繁になっても問題とはならないような有機化合物を、それよりも体積が小さい、いわゆる炭素鎖の短い有機化合物と交換する試みが検討されるようになってきた。
例えば特許文献1には、有機化合物で被覆された金属ナノ粒子の合成段階において、還元剤を滴下して形成した金属ナノ粒子に対して、表面に形成された有機化合物を置換する、という発明が開示されている。特許文献2には、置換反応時のドライビングフォースとして特定の有機溶媒を使用する、という手法が開示されている。特許文献3には、インクジェット用の金属ナノ粒子の製造方法として、脂肪酸金属塩を形成させた後、二段階の置換を経て炭素鎖8〜20のアミンと原料由来の脂肪酸がともに表面に存在した金属ナノ粒子を得る方法が開示されている。特許文献4には、ある有機化合物からなる保護剤にて銀ナノ粒子を一旦保護した後、別の有機化合物からなる保護剤にて保護剤の置換を行う技術が、本出願人により開示されている。
特開2006−089786号公報 特開2008−095194号公報 特開2008−150701号公報 特開2008−297580号公報
従来では、このように有機化合物からなる保護剤にて金属ナノ粒子を保護したものを非極性溶媒(例えばテトラデカンなどからなる溶媒)に分散させたもの、すなわち金属ナノ粒子分散液である導電性インクや導電性ペーストが広く知られている。
しかし、従来の金属ナノ粒子は、特定の溶媒には分散性を呈するが、異なる性質の分散液には分散性を呈さないことが通常である。例えば、炭化水素系の溶剤に分散性を呈する粒子は、アルコール系の溶剤には分散性を呈しづらい、といった関係にあるのが通常である。
その金属ナノ粒子が分散性を示す対象が所望の溶剤の場合には、特段問題とはならない。しかしながら、もし分散が必要な溶剤に対して分散性を示さない場合には、その溶剤に対してはその金属ナノ粒子が使用できないとする判断に至ることになる。すると、基板の性質上その溶剤が必須である場合には、その金属ナノ粒子を用いることは困難であるという判断になることがあった。
こうした溶剤と金属ナノ粒子との間における分散性の問題を解決することができれば、金属ナノ粒子あるいはその分散液の用途を飛躍的に増やすことができると推測される。そこで本発明は、所望溶媒に対して良好に分散した金属ナノ粒子分散液を提供することを目的として定めた。
上記目的は下記のような手段で解決できる。
すなわち、カルボキシル基を有する有機化合物である保護剤(以降、有機保護剤ともいう)が表面に被覆された金属ナノ粒子を製造することで解決しようとするものである。さらには、有機概念図で示される有機性基値が80以上かつ無機性基値が分散溶媒よりも高い保護剤にて被覆された金属ナノ粒子を前記分散溶媒に分散させた金属ナノ粒子分散液を製造することで解決しようとするものである。
さらに具体的には、金属ナノ粒子表面には、前記保護剤のカルボキシル基を介して前記保護剤が被覆されている。
また、前記保護剤における(無機性基値−150)の値が、0以上かつ分散溶媒の無機性基値未満である。
一方、有機保護剤が表面に被覆された金属ナノ粒子であって、この有機保護剤には、有機概念図で示される(有機性基値/無機性補正値)の値が0.65以上となるものが用いられた金属ナノ粒子に対して、前記分散溶媒に分散させた金属ナノ粒子分散液を製造することで解決しようとするものでもある。ただし、無機性補正値とは、保護剤の(無機性基値−150)の値のことである。
また、有機保護剤が表面に被覆された金属ナノ粒子であって、この有機保護剤には、有機概念図で示される(有機性基値/無機性補正値)の値が、分散溶媒において(有機性基値/無機性基値)の値以上となるものが用いられた金属ナノ粒子に対して、前記分散溶媒に分散させた金属ナノ粒子分散液を製造することで解決しようとするものでもある。
また、前記保護剤のSP値が、分散溶媒のSP値よりも高くかつ13.5未満であると好適である。
また、前記保護剤はケトン基、エーテル基、および水酸基のいずれかを少なくとも一つとカルボキシル基を構造中に含むと好適である。
また、前記分散溶媒は、グリコールエーテルを含むのが好適であり、さらにはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであるのがより好適である。
さらに、有機化合物からなる保護剤により被覆された金属ナノ粒子を分散溶媒に分散させてなる金属ナノ粒子分散液であって、前記保護剤は、金属ナノ粒子合成当初から被覆されていた保護剤Xとは異なる保護剤Yから構成されたものであり、保護剤Yの方が保護剤Xよりも金属粒子表面に対して親和性が高い金属ナノ粒子分散液を製造することで解決しようとするものである。ただし、保護剤Xは分子量150〜1000の有機化合物であり、保護剤Yはカルボキシル基を有する有機化合物である。
本発明によれば、溶媒が有する性質に応じて金属ナノ粒子界面の性質を変化させ、所望の溶媒に分散させうる金属ナノ粒子を得ることができ、また該溶媒に分散させた金属ナノ粒子分散液を得ることができる。
本発明の一実施形態における金属ナノ粒子分散液の製造方法を示した概略説明図である。 本発明の一実施例における分散性評価を分散液の写真を用いて示した説明図である。 本実施例および比較例における、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを分散溶媒とした場合の、各保護剤Yの有機性基値と無機性基値との相関、および分散性の評価を示した図である。 本実施例および比較例における、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを分散溶媒とした場合の、各保護剤Yの有機性基値と無機性補正値との相関、および分散性の評価を示した図である。 本実施例および比較例における、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを分散溶媒とした場合の、有機保護剤Yの(有機性基値/無機性補正値)の値とSP値との相関、および分散性の評価を示した図である。 本実施例における、有機保護剤Yにより被覆された銀ナノ粒子に対するGC/MSによる分析結果を示す図である。
本発明者らは、所望の分散溶媒が有する性質に応じて、良好な分散性を有する金属ナノ粒子の性質について種々検討した。その結果、本願明細書に開示するように、金属ナノ粒子の表面を特定の有機化合物で被覆することで、所望の分散溶媒に対して好適な分散性を有する粒子が得られることを見いだし、本願発明を完成させた。
本願発明における金属ナノ粒子およびその分散液を得るための方法について、概略を示した図1に基づいて説明する。本願明細書において「金属ナノ粒子」とは有機保護剤により被覆される前の金属粒子のことであり、「被覆金属ナノ粒子」とは金属ナノ粒子が保護剤により被覆されたもののことであり、「金属ナノ粒子分散液」とは保護剤により被覆された金属ナノ粒子が分散溶媒に分散した液のことをいう。また、「金属ナノ粒子の凝集体」とは、金属ナノ粒子表面に存在する保護剤を置換させた後に、分離・洗浄工程を経て得
られる、主に被覆金属ナノ粒子からなるケーキ状の物質のことを言う。そして「金属ナノ粒子」および「被覆金属ナノ粒子」は、特に断らない限り構成金属粒子の平均粒子径が20nm以下のものである。
また、「有機保護剤」とは、有機化合物からなる、金属ナノ粒子表面に対する保護剤のことをいう。さらにはこの「保護剤」は、一般に界面活性剤と呼ばれる物質を含むものとする。以降、「有機保護剤」のことを「界面活性剤」ともいい、単に「保護剤」ともいう。
図1についての詳細な説明は個別工程の説明の項に譲るが、概要としては下記の通りである。当初、保護剤としてXが被覆されている被覆金属ナノ粒子2が液状有機媒体Aに分散された分散液を準備する(ただし、被覆金属ナノ粒子2を液状有機媒体Aに分散させるという工程は場合により経由しなくても構わず、被覆金属ナノ粒子2そのものを用いてもよい)。これに、カルボキシル基を有する保護剤Yの含まれた液状有機媒体Bを添加し攪拌する(液状有機媒体Aよりも液状有機媒体Bの方が保護剤Xの溶解性に優れている)(図1(a))。そうすることで、有機媒体Bに金属ナノ粒子表面を被覆していた保護剤Xが溶解して剥離し、保護剤Xに代わって、カルボキシル基を有しかつ金属ナノ粒子表面の周囲に存在する保護剤Yが金属ナノ粒子表面を被覆するようになる(図1(b)〜(e))。保護剤Yにより付着された被覆金属ナノ粒子3は、分離後有機媒体Bにより洗浄することで、表面に残存する保護剤Xをさらに取り除くことができる(図1(f)〜(g))。こうして得られた被覆金属ナノ粒子3は、別種の金属ナノ粒子分散液用溶媒Cにも分散するようになる。
本願発明においては、表面被覆有機物および分散溶媒の「有機性」および「無機性」が大きく関係する。ここで、「有機性」は「甲田善生、他著 新版 有機概念図 基礎と応用 三共出版(2008)」に記載されるような指標であり、分子内の炭素原子1個あたり20を乗じて求められる(この数値のことを以降「有機性基値」という)。「無機性」は同上文献p15に記載されるような値を採るものであり、具体例としては、COOH基が150、OH基が100、CO基が65、O基が20として表される(これらの数値のことを以降「無機性基値」という)。
〔金属ナノ粒子の合成〕
本発明は金属ナノ粒子全般に対して適用でき、例えば金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、および、タングステンから選ばれた1種、または2種以上からなる合金、あるいは混合物を用いた金属ナノ粒子に適用することができるが、本実施形態においては銀を用いたものについて詳述する。以降、「金属ナノ粒子」を「銀ナノ粒子」ともいい、「被覆金属ナノ粒子」を「被覆銀ナノ粒子」ともいい、「金属ナノ粒子の凝集体」であって、主に保護剤Yによる被覆銀ナノ粒子3からなるものを「銀ナノ粒子の凝集体」ともいう。それに伴い、本実施形態においては、被覆銀ナノ粒子を金属ナノ粒子分散液用溶媒(すなわち「分散溶媒」)に分散させて銀インクを作製する工程について詳述するが、前記被覆銀ナノ粒子3を分散させるための「分散溶媒」のことを「銀インク用溶媒」ともいい、「金属ナノ粒子分散液」を「銀インク」ともいう。
本実施形態においては、図1(a)に示すように、銀ナノ粒子分散液の原料となる銀化合物を還元処理することにより析出した銀ナノ粒子1の表面に、保護剤Xを付着させることにより、銀ナノ粒子1の表面が保護剤Xで覆われた被覆銀ナノ粒子2を作製する。なお、銀ナノ粒子1の表面に、表面を覆い尽くすように保護剤Xにより被覆されている必要がある。保護剤の効果を十分発揮することができ、銀ナノ粒子1の焼結を防ぐことができるためである。したがって、粒子間距離を適度に保つことができるのであれば、被覆量には
特段の定めはない。
この時使用される被覆銀ナノ粒子2は、置換を円滑に進めるため、凝集および沈降の生じにくいものであることが好ましい。そのような粒子は例えば、本出願人により特許文献4にて開示されている方法を使用して製造することができる。
以下、本出願人により特許文献4に開示した合成法およびその合成法に用いる化合物について簡単に説明する。特許文献4に記載の方法とは、銀ナノ粒子をアルコールまたはポリオールを用いて還元し、その表面をオレイルアミン等で被覆することを要旨とするものである。それぞれの原料、製造方法について各々説明する。
銀の供給源である銀化合物としては、前記溶媒に溶解し得るものであれば種々のものが適用でき、塩化銀、硝酸銀、酸化銀、炭酸銀などが挙げられるが、工業的観点から硝酸銀が好ましい。
前記銀化合物を還元するための還元剤を兼ねた溶媒としては、アルコールまたはポリオールを使用する。これによって不純物の混入の少ない銀ナノ粒子1を得ることができる。
前記アルコールとしては、具体的には、プロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、シクロペンタノール等が使用できる。またポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等、またその組み合わせが使用できる。またアルコールは、できるだけ炭素鎖が長いほうが還元性の観点からは好ましいことから、前記化合物の中でもイソブタノール、n−ブタノールが好適である。
前記還元反応の温度は、50〜200℃の範囲内とすることが望ましい。また、前記還元反応に際しては還流操作を行うことが効率的である。このため、前記アルコールまたはポリオールの沸点は低い方が好ましく、具体的には80℃以上300℃以下、好ましくは80℃以上200℃以下、より好ましくは80℃以上150℃以下であるのがよい。
なお、還元反応を促進させるためには還元補助剤を添加しても構わない。還元補助剤としては公知のものを用いればよいが、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンを用いるのが特に好ましい。
ここで本実施形態においては、前記還元反応を進行させる際に、溶媒中に保護剤として機能する有機化合物を共存させておく。この有機化合物は、後に被覆銀ナノ粒子2の保護剤Xを構成することになる。
ここで、保護剤Xを構成する有機化合物は、銀ナノ粒子1表面との付着力が必要以上に高くないことが望まれる。すなわち本実施形態では、後の工程で混合する液状有機媒体Bに溶解でき、かつ銀ナノ粒子1表面から比較的容易に脱離できるような性質の保護剤Xを採用することが極めて有効である。また、保護剤Xには分子量が150〜1000のものを使用することが望ましく、200〜400のものがより好ましい。具体的には、この有機化合物としてはアミン類や脂肪酸などが挙げられるが、とりわけアミン類、なかでも不飽和結合を持つものが適しており、特にオレイルアミンが好ましい。
還元反応時に溶媒中に共存させる有機化合物(保護剤Xを構成させるもの)の量は、銀に対して0.1〜20当量とすることができ、1.0〜15当量とすることがより好ましく、2.0〜10当量が一層好ましい。
なお、このような還元反応を経ることにより保護剤Xにて覆われた被覆銀ナノ粒子2は、銀ナノ粒子1と保護剤Xとの合計に対する保護剤Xの存在割合が0.05〜25質量%に調整されていることが望ましい。
この被覆銀ナノ粒子2の合成工程における、反応時の液中のAgイオン濃度は0.05mol/L以上、好ましくは0.05〜5.0mol/Lとすることができる。モル比(有機化合物/Ag)については0.05〜5.0の範囲とすることができる。モル比(還元補助剤/Ag)については0.1〜20の範囲とすることができる。
場合によっては、前記還元反応を多段に分け実施することもできる。例えば、一度に急激に還元が進行すると粒子の成長が著しくなりすぎる場合がある。粒子径の制御を効果的に行うためには、還元をまずは低温で行い、その後温度を高温に切り替えて、あるいは徐々に高めながら還元を進行させるとよい。このとき、温度の差が大きいと粒度分布に著しい変化が生じることが懸念されるので、最も低い温度と最も高い温度の差を20℃以内とすることが望ましい。15℃以内、あるいはさらに10℃以内で厳密にコントロールすることが一層好ましい。
以上のような被覆銀ナノ粒子2の合成工程によって、保護剤X(本実施形態においてはオレイルアミン)に覆われた被覆銀ナノ粒子2を得ることができる。すなわち、銀ナノ粒子1がオレイルアミンに覆われることにより、非極性溶媒への分散性に優れた被覆銀ナノ粒子2を得ることができる。
〔金属ナノ粒子分散液の作成〕
保護剤Xに覆われた被覆銀ナノ粒子2は、例えば前記のような湿式プロセスでの還元反応で合成されたのち、固液分離および洗浄に供される。その後、後述する実施例のように、この被覆銀ナノ粒子2そのものに対して保護剤置換工程を行ってもよいし、図1(a)に示すように、得られた「銀ナノ粒子1/保護剤X複合体」を液状有機媒体Aと混合して分散液を作製してもよい。以下、本実施形態においては、「銀ナノ粒子1/保護剤X複合体」を液状有機媒体Aと混合して分散液を作製する場合について説明する。
液状有機媒体Aとしては、保護剤Xが溶解しにくい有機化合物質で構成することが望ましい。溶解しやすいと、その時点で被覆銀ナノ粒子2表面から保護剤Xが脱離する現象が生じやすく、運搬時や分散液の取扱い時に被覆銀ナノ粒子2同士の不用意な焼結が生じたり、凝集・沈降が生じたりする場合がある。
液状有機媒体Aとしては、保護剤Xに覆われた被覆銀ナノ粒子2が良好に分散する物質が好まれ、例えば、炭化水素系が好適に使用できる。特に、イソオクタン、n−デカン、イソドデカン、イソヘキサン、n−ウンデカン、n−テトラデカン、ドデカン、n−ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、デカリン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらの物質を1種以上使用して液状有機媒体Aとすれば良い。なお、本実施形態においては、液状有機媒体Aとしてテトラデカンを用いて説明する。
このようにして、不飽和結合を持つ分子量150〜1000の有機化合物、すなわち本実施形態においてはオレイルアミンを付着させた被覆銀ナノ粒子2を非極性の液状有機媒体A(テトラデカン)に分散させ、非極性溶媒分散液を作製する。
前記分散液の作製後、保護剤置換工程を行うことになるが、ここで本実施形態に至るま
での知見について、詳細を加えながら再度説明する。
先にも述べたように、通常、テトラデカンのような脂肪族炭化水素溶媒、すなわち非極性溶媒が、主に金属ナノ粒子分散液用の分散溶媒として用いられていた。しかし、金属ナノ粒子の用途のさらなる検討を進める過程で、極性溶媒に対して分散性を有するような金属ナノ粒子を得たいとする要望が高まってきた。こうした要望に応えるべく、金属ナノ粒子を被覆する有機化合物と液状有機媒体との関係について、発明者らは鋭意検討を重ねた。
その結果、以下のことが判明した。まず、オレイルアミンにより被覆された金属ナノ粒子を使用し、後述する保護剤Yには金属ナノ粒子に付着させるためのカルボキシル基を有する有機化合物を使用した。そしてこの時、保護剤Yの有機性基値Yoを80以上、且つ無機性基値Yiを前記分散溶媒Cの無機性基値より高く設定することにより、金属ナノ粒子の粒子サイズを変化させることなしに、所望の分散溶媒Cに対して優れた分散性を有する金属ナノ粒子分散液が得られることを見いだした。
こうした知見に基づき本発明者らは、金属ナノ粒子の表面を保護剤にて保護しながらも、保護剤Yおよび分散溶媒Cにおける有機性基値および無機性基値を所定の関係になるように設定して被覆金属ナノ粒子の性質を自在に変化させることにより、所望の分散溶媒に対して良好な分散性を示す被覆金属ナノ粒子、金属ナノ粒子凝集体、ひいてはその分散液が得られることを見出した。以上の点を踏まえて、保護剤Yにて保護剤Xを置換する工程について説明する。
〔保護剤置換工程〕
図1(b)〜(c)に示すように、銀ナノ粒子1表面を保護剤Yで被覆するために、本実施形態では「銀ナノ粒子1/保護剤X複合体(被覆銀ナノ粒子2)」の分散液(上述)と、保護剤Xを構成する有機化合物が溶解しやすい液状有機媒体Bとを混合して、保護剤Xを銀ナノ粒子1表面から脱離させる。その際、保護剤Yを構成する有機化合物が存在する状況下で脱離を進行させる。被覆銀ナノ粒子2の近くに保護剤Yを構成する有機化合物が存在すると、保護剤Xが脱離した銀ナノ粒子1同士の凝集や焼結が生じる前に、銀ナノ粒子1表面を素早く保護剤Yで覆うことができる(図1(d))。その意味で、保護剤Yを構成する有機化合物は、銀ナノ粒子1表面との親和性(すなわち保護剤の銀ナノ粒子表面への付着力、高い吸着性や被覆しやすさ)が良好であることに加え、保護剤Xの方が保護剤Yよりも銀ナノ粒子1への親和性が弱いことが望まれる。
液状有機媒体Bには、保護剤Xを構成する有機化合物の溶解性が液状有機媒体Aよりも高いものを使用するのがよい。そのような物質として、アルコール類を使用することが簡便かつ経済的である。オレイルアミンをはじめとする多くのアミン化合物は一般に上で例示した液状有機媒体Aには溶解しにくいが、アルコール類には比較的良好な溶解性を示す。そのようなアルコール類として、比較的安価で入手しやすいメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールなどが使用できる。2種以上の物質で液状有機媒体Bを構成しても良い。
保護剤Yは、銀ナノ粒子1に付着するためのカルボキシル基を有する有機化合物であり、有機性基値Yoが80以上、且つ無機性基値Yiが前記分散溶媒(銀インク用溶媒)Cの無機性基値Ciより高い化合物である。推測ではあるが、有機性基値Yoを80以上とすることにより、銀ナノ粒子1の表面に十分な分子量を有する保護剤Yを付着させることができ、分散性を向上させることができるためと考えられる。また、同じく推測であるが、無機性基値Yiを銀インク用溶媒Cの無機性基値Ciより高い化合物とすることにより、前記銀インク用溶媒Cへの分散性を向上させることができるためと考えられる。
また、保護剤Yはカルボキシル基を有するのみならず、そのカルボキシル基を介して金属ナノ粒子表面に付着されるのが好ましい。さらに言えば、保護剤Yは金属ナノ粒子を被覆するのが好ましい。この被覆については、本出願人による特許文献4でも述べているが、前記カルボキシル基における不飽和結合の影響によって、カルボキシル基にて金属ナノ粒子表面を取り囲む。つまり、保護剤Yは、金属ナノ粒子の酸化・還元の進行を制御するバリアとしての機能を発揮する。その結果、金属ナノ粒子の酸化および粒成長が抑制され、酸化による機能的劣化もなく比較的粒径の揃った金属ナノ粒子の形成が可能になると推測される。
また、保護剤Yの無機性基値Yiから150を減じて得られる補正値(以降、無機性補正値ともいう)が0を超えた値となるようにし、且つ前記無機性補正値が銀インク用溶媒Cの無機性基値Ci未満となるように、保護剤Yおよび銀インク用溶媒Cを選択するのが望ましい。望ましい理由については、以下のことが推測される。
この無機性基値の150という値は、カルボキシル基1つ分の無機性基値に相当する。先にも述べたように、保護剤Yのカルボキシル基を介して、銀ナノ粒子1の表面が保護剤Yによって被覆される。つまり、保護剤Yのカルボキシル基は銀ナノ粒子1の表面被覆のために使用されることから、保護剤Yが銀ナノ粒子1の表面に被覆されている状態だと、カルボキシル基1つ分の無機性基値が減少していると考えられる。そのため、本実施形態においては、保護剤Yの無機性基値Yiから150を減じて得られる値を「無機性補正値」と定義した。この無機性補正値が0を超えた値となることにより、例え保護剤Yが銀ナノ粒子1の表面に被覆されている状態であっても、保護剤Yは無機性を有することができる。ひいては、所望の銀インク用溶媒C、好ましくは極性溶媒への分散性を向上させることができる。さらに、先に述べたように、保護剤Yの無機性基値Yiが銀インク用溶媒Cの無機性基値Ciよりも高いことに加え、前記無機性補正値(Yi−150)が銀インク用溶媒Cの無機性基値Ci未満となることにより、保護剤Yが銀インク用溶媒Cによって溶解することなく、保護剤Yが銀ナノ粒子1の表面に被覆された状態を維持しつつも、銀インク用溶媒C中に良好に分散させることができる。
また、前記保護剤Yの有機性基値Yoを、無機性基値Yiから150を減じて得られる無機性補正値によって除した値(Yo/(Yi−150))が、0.65以上となるように、保護剤Yおよび銀インク用溶媒Cを選択する。さらに、前記保護剤Yの有機性基値Yoを、無機性基値Yiから150を減じて得られる無機性補正値によって除した値(Yo/(Yi−150))が、銀インク用溶媒Cの有機性基値Coを無機性基値Ciによって除した値(Co/Ci)以上となるように、保護剤Yおよび銀インク用溶媒Cを選択する。
前記数値範囲であれば、銀ナノ粒子1の表面に被覆された後の保護剤Yおよび銀インク用溶媒Cにおける有機性基値・無機性基値のバランスが取れており、保護剤Yが銀インク用溶媒Cによって溶解することなく、保護剤Yが銀ナノ粒子1の表面に被覆された状態を維持しつつも、銀インク用溶媒C中に対する良好な分散性を有する銀ナノ粒子分散液(銀インク)が得られるためと推測される。
さらに、本実施形態においては、前記保護剤Yの有機性基値Yoおよび無機性基値Yiについてだけではなく、保護剤YのSP値が、前記銀インク用溶媒CのSP値より高く設定するのが好ましい。さらには、前記銀インク用溶媒CのSP値より高くかつ13.5未満であるのが好ましい。
ここでいうSP値とは、溶解性パラメータ(Solubility Parameter)のことであり、Fedorsの提案する置換基の1molあたりの凝集エネルギー密度(Ecoh,J/mol)、モル体積をV(cm/mol)とするとき、(ΣEcoh/ΣV)1/2として算出される値とした。一般に、このSP値が近い物質同士は互い
に溶けやすいという性質を有する。
ここで、保護剤YのSP値が前記銀インク用溶媒CのSP値より高ければ、保護剤Yにて保護された金属ナノ粒子が銀インク用溶媒Cに対して良好に分散する。その上で保護剤YのSP値が13.5未満であると、保護剤Yの銀インク用溶媒Cへの溶解によって銀ナノ粒子1表面から保護剤Yが脱離するということもなく、保護剤Yによる銀ナノ粒子1の被覆状態をより良好に維持することができる。
その他の要素としては、保護剤Yは、銀ナノ粒子1に付着するためのカルボキシル基を有する有機化合物であり、被覆銀ナノ粒子3を用いたインクやペーストの焼結温度を100〜180℃好ましくは100〜150℃に低下できるよう、分子量が例えば150以下と比較的小さいものから選ばれる。ここで、カルボキシル基を有する有機化合物が選ばれる理由は、銀ナノ粒子1表面との親和性が良好であることに加え、保護剤Y(カルボキシル基)の方が保護剤X(例えばオレイルアミンのアミノ基)よりも銀ナノ粒子1への親和性が強くなると推測されるためである。
前記保護剤Yは、後述する実施例において表1に示すように、銀インク用溶媒Cが例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以降、BCAともいう。BCA:Butyl Carbitol Acetate : 2−(2−ブトキシエトキシ)酢酸エチル)の場合だと、リシノール酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、タンニン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、3−アミノ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸、アニス酸(4−メトキシ安息香酸)、4−ブトキシ安息香酸、4−アミルオキシ安息香酸、4−オクチルオキシ安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、2−フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酪酸、2−メトキシフェノキシ酢酸、4−メトキシフェノキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸、2−ブトキシエトキシ酢酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、4−メトキシけい皮酸、2,4−ジメトキシけい皮酸、3,4,5−トリメトキシけい皮酸、3,4−メチレンジオキシけい皮酸、フェルラ酸、ホルミルフェノキシ酢酸、3−アセチルフェノキシ酢酸、4−アセチルフェノキシ酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、10−ウンデセン酸、3,4−メチレンジオキシけい皮酸のいずれか、またはその組み合わせであることが好ましい。
また、前記保護剤Yは、ケトン基、エーテル基および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基とカルボキシル基と有することが好ましい。さらには、最も銀インク用溶媒側に位置する官能基として、ケトン基、エーテル基、および水酸基のうちの少なくとも一つを有することが好ましい。銀インクにおいて銀インク用溶媒Cを多価アルコールエーテルが含まれるものとした場合、極性の性質をさらに高めることができるためと推測される。
なお、「最も銀インク用溶媒側に位置する官能基」とは、保護剤Yが有する官能基において、前記官能基が結合する保護剤Yの炭素骨格の中で、前記カルボキシル基と結合している炭素から最も離れた炭素に結合している官能基のことをいう。
さらに、前記保護剤Yは、保護剤Xを置換して銀ナノ粒子1に付着するためのカルボキシル基(粒子側官能基ともいう)、および最も銀インク用溶媒C側に位置する官能基(溶媒側官能基ともいう)以外にも、エーテル基およびケトン基のうちの少なくとも一つを有するのが好ましい。特に、保護剤Yの炭素骨格の中で、前記カルボキシル基と結合している炭素と、前記最も銀インク用溶媒C側に位置する官能基と結合している炭素との間の炭素に結合している官能基としてエーテル基およびケトン基のうちの少なくとも一つを有するのが好ましい。保護剤Yの極性をさらに高めることができ、銀インク用溶媒Cを多価ア
ルコールエーテル極性溶媒とした場合に、分散性がさらに向上するためと推測される。
なお、焼結により銀の配線や電極を形成する用途を考慮すると、高い導電性を得る観点から、保護材Bが揮発・除去される際に銀焼結体の中に固溶したり微細な介在物となって存在したりするような不純物元素ができるだけ存在しないものが好ましい。特に硫黄は絶縁性の金属化合物を作るので、電子部品関係の用途においては、硫黄を含む官能基を持つ有機化合物(例えば、スルホン酸化合物のような硫酸系化合物やチオール系化合物など)は使用しないことが望ましい。
保護剤Yより金属ナノ粒子への親和性が弱くかつ銀ナノ粒子1表面からの脱離が容易である保護剤Xを使用したときには、保護剤Yを構成する有機化合物として金属表面との親和性(吸着性)を特段に高めた官能基をもつ化合物を使用しなくても、保護剤Yで銀ナノ粒子1表面を被覆することが可能になる。具体的には、銀ナノ粒子1表面からの脱離が容易である保護剤を使用したときには、保護剤Yを構成する有機化合物として、カルボキシル基を有する有機化合物を使用しても、銀ナノ粒子1表面への被覆が十分可能である。
また、保護剤Yとしては、インクやペーストの焼結温度を低下させる意味からは、その保護剤Yを被覆した被覆銀ナノ粒子において、銀濃度60質量%以上の銀インクを構築することができ、かつ、その銀インクをガラス基板上にスピンコート法などによって塗布した膜厚1000nm以下の塗膜を大気中で焼成したとき100〜150℃の間で被覆銀ナノ粒子2の焼結が起こるような有機化合物を選択することが好ましい。焼結が起こったかどうかは、焼成体の電気抵抗を測定することによって判断できる。すなわち、焼結が起こった焼成体は、焼結が起こっていない焼成体と比べ、電気抵抗が著しく低下する。なお、部分的にしか焼結が起こっておらず電気抵抗が十分に低下していない状態は、ここでは「焼結が起こった」とはみなさない。
このような保護剤Yで被覆された銀ナノ粒子を得るためには、下記(i)〜(iii)の
ものを混合する。
(i)「銀ナノ粒子1/保護剤X複合体」が液状有機媒体Aに分散した分散液
(ii)保護剤Yとして銀ナノ粒子1を被覆するための有機化合物
(iii)液状有機媒体Aよりも保護剤X溶解性が高い液状有機媒体B
その際、(ii)の有機化合物存在下で(i)と(iii)の液を混合することが肝要である
。換言すれば、(i)と(iii)の液を混合して被覆銀ナノ粒子2から保護剤Xの脱離が
進行してしまった後に(ii)の有機化合物を添加しても、保護剤Yによって個々の銀ナノ粒子1を被覆することは難しい。つまり、被覆銀ナノ粒子2から保護剤Xの脱離が生じるときに、その粒子の近傍には保護剤Yを構成させるための有機化合物が存在していることが重要である。その結果、液状有機媒体B中への被置換剤となる保護剤Xの溶解と、銀ナノ粒子1表面への置換剤となる保護剤Yの付着とを、同時に進行させるのがより好ましい。
前記(i)〜(iii)を混合する方法として、例えば以下の混合方法1〜3が採用でき
る。
〔混合方法1〕
(i)の分散液に、(ii)の有機化合物と(iii)の液状有機媒体Bを同時に添加してい
く方法。
〔混合方法2〕
(i)の分散液と(ii)の有機化合物を予め混合しておき、その混合液と(iii)の液状
有機媒体Bを混合する方法。
〔混合方法3〕
(iii)の液状有機媒体Bと(ii)の有機化合物を予め混合しておき、その混合液と(i
)の液を混合する方法。
いずれの混合方法も常温で実施することができる。液の撹拌は特別に強撹拌とする必要はない。液状有機媒体Bの使用量は「銀ナノ粒子1/保護剤X複合体」の保護剤Xが全量溶解するに足る量とすることが好ましい。また、保護剤Yを構成する有機化合物の使用量は、銀ナノ粒子1を完全に被覆することができる量、すなわち銀ナノ粒子1の金属表面同士が混合時に常温で焼結しない量を確保する。
前記(i)〜(iii)を混合すると、図1(d)に示すように、保護剤Xで被覆されて
いた被覆銀ナノ粒子2は、保護剤Yにて置換処理される。その結果、保護剤Yで被覆された被覆銀ナノ粒子3が生成する。
〔固液分離・洗浄〕
図1(e)に示すように、保護剤置換工程により作製された保護剤Yで被覆された被覆銀ナノ粒子3は通常、液状有機媒体Bの液中に沈降する。より詳しく言うと、保護剤Xで被覆された被覆銀ナノ粒子2は液状有機媒体Aに対して沈降せず分散していたけれども、保護剤Yによる保護剤置換工程を経ることによって、保護剤Yで被覆された被覆銀ナノ粒子3は液状有機媒体Bに対して沈降するようになる。
図1(f)に示すように、遠心分離や沈降などを用いてこの液を固液分離することにより、保護剤Yで被覆された銀ナノ粒子1からなる被覆銀ナノ粒子3を液状有機媒体Bから抽出する。このとき、抽出された被覆銀ナノ粒子3を主とする銀ナノ粒子凝集体が液状有機媒体B中に形成されている。そのため、ここで述べた固液分離は言い換えると、銀ナノ粒子凝集体を液状有機媒体Bから抽出する、とも言える。先にも述べたようにこの銀ナノ粒子凝集体はケーキ状の物質であり、主として被覆銀ナノ粒子3からなる。
その後、メタノールやイソプロパノールを用いてこの銀ナノ粒子凝集体を洗浄する。なお、この固液分離および洗浄の組み合わせは、複数回行ってもよい。
本実施形態においては、この固液分離・洗浄工程を行うことにより、液状有機媒体Bに溶解された保護剤Xおよび置換に用いられず残存した保護剤Yを、被覆銀ナノ粒子3、すなわち銀ナノ粒子凝集体から取り除く。この固液分離および洗浄の組み合わせを行った後、さらに固液分離を行い、被覆銀ナノ粒子3を抽出する。
このように液状有機媒体Bから銀ナノ粒子凝集体のみを抽出することにより、この抽出工程後に新たに用意する銀インク用溶媒Cに、不純物を少なくした銀ナノ粒子凝集体を分散させる際に、溶解された保護剤Xおよび残存した保護剤Yからなる異物の混入を防ぐことができる。その結果、銀インクの品質を向上することができる。
〔金属ナノ粒子分散液の調整〕
図1(g)に示すように、本実施形態においては、このように抽出された被覆銀ナノ粒子3に、銀インク用溶媒Cを加え、分散させる。
先に述べた工程を踏まえて本実施形態を言い換えると、保護剤Yより銀ナノ粒子1への親和性が弱い保護剤Xを銀ナノ粒子1表面に付着させて被覆銀ナノ粒子2を作製し、前記被覆銀ナノ粒子2の保護剤Xを溶解し、かつ銀ナノ粒子1表面に保護剤Yを付着させて被覆銀ナノ粒子3を作製し、その被覆銀ナノ粒子3を銀インク用溶媒Cに対して分散させる。
詳しく言うと、保護剤置換工程直後においては液状有機媒体Bに対して沈降していた被覆銀ナノ粒子3すなわち銀ナノ粒子凝集体を、液状有機媒体Bそして残存している液状有
機媒体A、保護剤X、保護剤Yから抽出し、別途用意した銀インク用溶媒Cと混合することにより、良好な分散性を有する銀インクを得ることができる。この理由については定かではないが、以下のことが考えられる。保護剤置換工程直後においては液状有機媒体Bのみならず液状有機媒体A、保護剤X、保護剤Yが溶媒中に存在している。そのため、これらの物質と銀ナノ粒子凝集体との間に分子間力による相互作用が生じて分散性に影響を与えてしまう。その一方、前記固液分離・洗浄工程を経た後に、別途銀インク用溶媒Cを準備して銀インク調整工程を行えば、前記相互作用は極めて微小なものとなるため、さらには上述のように残存した保護剤Xのような異物の混入を防ぐことができるため、良好な分散性を有する銀インクを得ることができるものと推測される。
この場合、銀インク用溶媒Cと被覆銀ナノ粒子3とを混合してその混合液を攪拌後に静置したとき、沈降が生じない分散状態が少なくとも24時間維持される程度の分散性を有するのが好ましい。
前記分散溶媒C(銀インク用溶媒C)として用いられる化合物の種類については、上述のように保護剤Yの有機性基値および無機性基値と、前記エーテル化合物の有機性基値および無機性基値とが所定の関係を有するならば、極性溶媒であっても非極性溶媒であってもよく、複数の化合物を混合したものであってもいいし、単一の化合物からなってもよい。望ましいのはエーテル化合物を含む溶媒であって、その中でも多価アルコールエーテルを含む溶媒の場合である。この多価アルコールエーテルとしては、メチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシルなどの脂肪族、二重結合を有するアリル、並びにフェニルやベンジルの各基をベースとするエチレングリコール系エーテル、例えばiPG(エチレングリコールモノイソプロピルエーテル)、BG(エチレングリコールモノブチルエーテル),iBDG(ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル)が例示される。とプロピレングリコール系エーテル、例えば、MFDG(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、PFG(プロピレングリコールモノプロピルエーテル)、PFDG(ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル)、ジアルキル系としてDMTG(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、MEDG(ジエチレングリコールメチルエチルエーテル),DEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル)、DMFDG(ジプロピレングリコールジメチルエーテル)が例示される。さらにはBC(ブチルカルビトール)、BCA(ブチルカルビトールアセテート)、などが挙げられるが、銀インクを基板に印刷する工程での使いやすさなどから、より好ましいのはBCAである。
このBCAのみからなる銀インク用溶媒Cを使用した場合、前記保護剤Yの有機性基値Yoが165〜255であり、無機性基値Yiが180〜360であるのが好ましい。さらに、このBCAのみからなる銀インク用溶媒Cを使用した場合、前記保護剤Yの有機性基値Yoを、無機性基値Yiから150を減じて得られる無機性補正値によって除した値(Yo/(Yi−150))が1.80〜10.6となるのが好ましい。詳細な作用機構は不明なところが多いが、この条件を満たす保護剤Yであるならば、保護剤Yの有機性・無機性のバランスが取れており、金属ナノ粒子の表面の被覆を維持しつつも、金属ナノ粒子をBCA中に良好に分散させることができるためと考えられる。
なお、本実施形態では、銀インク用溶媒Cとして多価アルコールエーテルを含むものを用いた場合について説明しているが、それ以外のケトン、エーテル、アルコール、ポリオール、水、そしてこれらを組み合わせた極性溶媒を用いることもできる。
銀インク用溶媒Cに用いられる前記ケトンとしては、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジ−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、イソホロン、テキサノールおよびその組み合わせ、さらに
はその派生物が挙げられる。
前記エーテルは先に示したものの他、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびその組み合わせ、さらにはその派生物が挙げられる。
前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−デカノール、ドデカノール、ベンジルアルコール、テルピネオールおよびその組み合わせ、さらにはその派生物が挙げられる。
前記ポリオールとしては、エチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびその組み合わせ、さらにはその派生物が挙げられる。
このように、金属ナノ粒子1の表面に保護剤Yが付着された金属ナノ粒子3を、所望の分散溶媒Cに分散させた金属ナノ粒子分散液を作製することができる。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。すなわち、ある溶媒に対して分散性を有していた金属ナノ粒子に対して、別の溶媒に対して分散性を有する金属ナノ粒子となるよう、分散溶媒が有する性質に応じて金属ナノ粒子の性質を自在に変化させることにより、その分散溶媒に対して良好な分散性を有する金属ナノ粒子、およびその分散液を提供することができる。
なお、本実施形態は種々の変形が可能であり、例えば非極性溶媒に良好な分散性を有する被覆銀ナノ粒子を、極性溶媒に良好な分散性を有するように性質を変化させる場合にも適用でき、その逆に、極性溶媒に良好な分散性を有する被覆銀ナノ粒子を、非極性溶媒に良好な分散性を有するように性質を変化させる場合にも適用できる。
さらに、本願明細書における「有機性」「無機性」は、「親油性」「親水性」と一定の関係を有していることから、親油性溶媒に良好な分散性を有する被覆銀ナノ粒子を、親水性溶媒に良好な分散性を有するように性質を変化させる場合にも適用できると考えられる。
(実施例1)
〔銀粒子合成工程〕
オレイルアミン(和光純薬工業株式会社製試薬)6009.2g、2−オクタノール(
東京化成工業株式会社製試薬)2270.3g、硝酸銀結晶(関東化学株式会社製特級試
薬)1495.6gを用意した。
2−オクタノールと、オレイルアミンと、硝酸銀結晶を混合して、硝酸銀が完全に溶解した液を作成した。配合は以下のとおりである。
・モル比(オレイルアミン/銀)=2.5
・モル比(アルコール/銀)=2.0
・モル比(アルコール/オレイルアミン)=2.0/2.5=0.8
上記配合の液10Lを準備し、その液を還流器の付いた容器に移し、その容器をオイルバスに載せ、プロペラにより撹拌しながら120℃まで昇温速度1.0℃/min、次いで140℃まで昇温速度0.5℃/minで昇温した。その後、上記撹拌状態を維持しな
がら、140℃で1時間保持した。その際、容器の気相部に窒素ガスを500mL/minの流量で供給しながらパージしている。その後、加熱を止め、冷却した。反応後のスラリーを3日間以上静置した後、上澄み液を除去した。その際、還元された銀が全スラリーに対して20質量%となるように上澄みの除去量を調整した。
上澄み液除去後のスラリーにイソプロパノールを、スラリー中の銀:イソプロパノール=1:30のモル比にて混合し攪拌洗浄した。このとき、攪拌回転数は400rpm、攪拌時間は60minとした。その後、遠心分離により銀粒子を含む固形分を回収した。このようにして洗浄された固形分中には、保護剤X(オレイルアミン)に被覆された被覆銀ナノ粒子2が存在している。
なお、洗浄前の上記スラリー100g中には金属Ag20g:約0.19モルが存在することが別途測定により判っている。
〔保護剤置換工程〕
保護剤置換工程においては、保護剤Yとして表1縦軸に示す物質を、そして液状有機媒体Bとしてイソプロパノール(和光純薬株式会社製特級試薬、分子量60.1)を、前記被覆銀ナノ粒子2に加えられる保護剤置換用溶液として用意した。
保護剤Yとイソプロパノールとを、保護剤Y:イソプロパノール=0.007〜0.139:1のモル比にて混合して、液温を40℃に保った。この液中へ、保護剤X(オレイルアミン)に被覆された被覆銀ナノ粒子2が存在している、前記洗浄後の固形分(Agを約0.19モル(約20g)含有)を添加し、プロペラにて撹拌した。この撹拌状態を維持しながら40℃で5時間保持した。この場合、Agに対する保護剤Yの量は0.05〜1.0当量となるように、保護剤Yの仕込量を調整してある。
〔固液分離・洗浄〕
得られたスラリーを3000rpm×5minの遠心分離により固液分離した。その後、前記固体成分:メタノール=1:30のモル比にて、前記固体成分を攪拌洗浄した。このとき、攪拌回転数は400rpm、攪拌時間は30minとした。
本実施例においては、この固液分離・沈降工程をさらにもう一度行い、その後固液分離を行い、固体成分を回収することにより被覆銀ナノ粒子3を抽出した。
図6に示すように、本実施例における被覆銀ナノ粒子3に対して、保護剤による置換の有無の確認をGC−MSによる有機分析にて行ったが、保護剤Xは、ほぼ全てが保護剤Yに置換されていることがわかった。なお、図6の上部が置換後の粒子のGC−MSのスペクトル、下部が置換前粒子のGC−MSスペクトルを表す。
同様に、置換前後における銀ナノ粒子1の焼結の有無の確認をXRDによる結晶粒子径から、そしてTEMおよび画像解析による粒子径の判別にて行ったが、銀ナノ粒子1の焼結はほとんど確認されなかった。
〔金属ナノ粒子分散液の調整〕
前記固液分離・沈降により被覆銀ナノ粒子3を得た後、金属ナノ粒子分散液用の銀インク用溶媒CであるBCA10gに対して、前記被覆銀ナノ粒子を0.3g加えた。その後、40℃を維持しつつ超音波分散を10min行った。
〔分散性の評価〕
その後、この溶液を24時間静置させ、沈殿物、上澄み観察を実施し、分散性を評価した。この評価は、図2に示されるサンプルに対して目視で行い、金属光沢を有する程度に
分散性が良好な場合は“優(○)”、金属光沢は有さないが一定の分散性を有する場合は“良(△)”そして被覆銀ナノ粒子3の沈降が生じた場合は“不可(×)”とした。この評価結果を表1に示す。
この表1には、分散性の評価結果と同様に、保護剤Yごとの有機性基値・無機性基値、有機性基値と無機性基値の比(有機性基値/無機性基値)、さらには無機性基値Yiから150を減じて得られる無機性補正値、およびその無機性補正値を用いた場合の有機性基値と無機性基値の比(有機性基値/無機性補正値)、SP値についても記載した。
なお、BCAの無機性基値は125、有機性基値は200、(有機性基値/無機性基値)は1.6、SP値は9.3である。
表1より、例えば表の一番上のリシノール酸を保護剤Yとした場合は、BCAのような極性溶媒に対して一定以上の分散性を有することがわかった。つまり、オレイルアミンにて覆われることによりテトラデカンなどの非極性溶媒に対して良好な分散性を有していたはずの被覆銀ナノ粒子2の性質を変化させることを、本実施例が可能としたことがわかった。さらに、BCAを銀インク用溶媒Cとした場合、少なくとも以下の有機化合物が保護
剤Yとして適していることがわかった。
保護剤Yとして適している有機化合物:リシノール酸、3−アミノ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸、4−アミルオキシ安息香酸、2−フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酪酸、2−メトキシフェノキシ酢酸、4−メトキシけい皮酸、2,4−ジメトキシけい皮酸、3,4−メチレンジオキシけい皮酸、ホルミルフェノキシ酢酸、3−アセチルフェノキシ酢酸、4−アセチルフェノキシ酢酸、3,4−メチレンジオキシけい皮酸のいずれか、またはその組み合わせである。
さらに表1より、銀ナノ粒子表面に吸着する側の官能基がカルボキシル基(COOH)である保護剤Yを用いた場合、BCAからなる銀インク用溶媒Cに対して一定の分散性が得られることがわかった。
また、前記保護剤Yが、ケトン基(CO)、エーテル基(O)および水酸基(OH)からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基とカルボキシル基と有し、しかも最も分散溶媒側に位置する官能基としてケトン基、エーテル基、および水酸基のうちの少なくとも一つを有する場合、より良好な分散性が得られやすいことがわかった。
さらに、前記ケトン基、エーテル基、および水酸基のうちの少なくとも一つおよび前記カルボキシル基以外にも、保護剤Yの炭素骨格の中で、前記カルボキシル基と結合している炭素と、前記最も分散溶媒側に位置する官能基と結合している炭素との間の炭素に結合している官能基としてエーテル基を有するホルミルフェノキシ酢酸、3−アセチルフェノキシ酢酸および4−アセチルフェノキシ酢酸の場合は、銀インク用溶媒CであるBCAに対して非常に良好な分散性が得られることがわかった。
(実施例2)
実施例1で用いた保護剤Yごとに、銀インク用溶媒CをBCAとした場合の、各保護剤Yの有機性基値と無機性基値との相関、および分散性の評価を行った。この結果を図3に示す。なお、図3および後述する図4と5における◆は銀インク用溶媒CであるBCAのパラメータを示す。
図3より、保護剤Yの有機性基値Yoが80以上且つ無機性基値YiがBCAの無機性基値125より高い場合は、いずれの保護剤Yを用いたとしても一定の分散性を有する銀インクが得られた。
さらに、図4には、各保護剤Yの有機性基値と、各保護剤Yの無機性基値ではなく150を差し引いた無機性補正値との相関、および分散性の評価を示す。図4を見ると、前記保護剤Yの無機性基値Yiから150を減じて得られる無機性補正値が0を超えた値となり、且つ前記無機性補正値が銀インク用溶媒Cの無機性基値Ci未満となった場合、さらに良好な分散性を有する金属ナノ粒子分散液が得られた。
また、前記保護剤Yの有機性基値Yoを、無機性基値Yiから150を減じて得られる補正値によって除した値(Yo/(Yi−150))が、銀インク用溶媒Cの有機性基値Coを無機性基値Ciによって除した値(Co/Ci)以上となった場合も、さらに良好な分散性を有する銀インクが得られた。
これに加えて、図5には、各保護剤Yの(有機性基値/無機性補正値)の値とSP値との相関、および分散性の評価を示す。図5を見ると、前記保護剤YのSP値が、前記銀インク用溶媒CのSP値より高く且つ13.5未満であった場合、さらに良好な分散性を有する銀インクが得られた。
本発明に従う金属ナノ粒子の分散液は、例えば微細配線基板を用いた電子部品、例えばプリント配線板、アンテナ回路、コンデンサー等の電子部品、フラットパネルディスプレイと言われる液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ等の電極部材や電子回路、IC実装、パワーデバイス等の電気的接合部材,RFID用タグ、太陽電池、燃料電池等の電極、熱線遮蔽、電磁波遮蔽の微細配線への適用することができる。
1 金属ナノ粒子
2 保護剤Xで被覆された金属ナノ粒子(置換前)
3 保護剤Yで被覆された金属ナノ粒子(置換後)
X 保護剤X
Y 保護剤Y
A 液状有機媒体A
B 液状有機媒体B
C 金属ナノ粒子分散液用溶媒C

Claims (1)

  1. 有機化合物からなる保護剤により被覆された金属ナノ粒子を分散溶媒に分散させてなる金属ナノ粒子分散液であって、
    前記保護剤は、リシノール酸、4−アミルオキシ安息香酸、2−フェノキシプロピオン酸、フェノキシ酪酸、2−メトキシフェノキシ酢酸、4−メトキシけい皮酸、2,4−ジメトキシけい皮酸、3,4−メチレンジオキシけい皮酸、ホルミルフェノキシ酢酸、3−アセチルフェノキシ酢酸、4−アセチルフェノキシ酢酸、4−アセトキシ安息香酸、けい皮酸のうちのいずれか又はそれらの組み合わせであり、
    前記分散溶媒はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである、金属ナノ粒子分散液。
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