JP7262059B2 - 広分布な粒度分布を持つ銀ナノ粒子の製造方法及び銀ナノ粒子 - Google Patents

広分布な粒度分布を持つ銀ナノ粒子の製造方法及び銀ナノ粒子 Download PDF

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Description

本発明は、大粒径で粒度分布の広く、スクリーン印刷にも適した粘性挙動に調整しやす
い銀ナノ粒子の製造方法及び銀ナノ粒子に関する。
銀ナノ粒子は、金属ナノ粒子の融点降下の性質により、低温でも焼結するため、基板上への電気配線や、パワーデバイス半導体の接合材として利用されている。しかし、銀ナノ粒子は微細であることから凝集しやすく、また融点降下により融着しやすいため、銀ナノ粒子の表面には保護剤と呼ばれる有機物層を存在させている。これらの有機物層は、脂肪酸やアルキルアミン等が用いられることが多いが、特にアルキルアミンまたはアルキルジアミンで被覆された銀ナノ粒子は比較的低温で保護剤が脱離し、低温焼成可能な銀ナノ粒子として知られている(特許文献1~2)。
このような低温焼成可能な銀ナノ粒子を用いた焼成塗膜を配線などの導電材料としての利用が期待されるが、配線等の導電材料としての信頼性や導電性を担保するために、配線を厚膜にして対応する手法がとられている。そういった厚膜化を目的とするために設計された銀ナノ粒子として、特許文献3では、数nm~数十nm程度の一次粒子径を持った銀ナノ粒子を用いて、5~20μmの導電性銀塗膜が得られる銀塗料組成物(インク)が報告されている。また、特許文献4では、粒径100~200nmの銀粒子を粒子数基準で30%以上含むことにより焼結体とした際に低抵抗化できること、水分を銀化合物100重量部に対して5~100重量部反応系内に含ませることにより、そのような銀粒子を得ることができることが記載されている。
これらの公知文献では、銀化合物とアミン化合物との錯体形成反応を利用して銀ナノ粒子を作成する。具体的にはシュウ酸銀とアルキルアミンまたはアルキルジアミンとを用い、無溶媒下で錯体形成を行う。しかし、無溶媒下で錯体形成すると、流動性がない固体物となり撹拌がしにくく、系の均一性に欠け、局所的に発熱反応を伴ったりするため、品質面・安全面に問題があり、工業的実用化が難しい。そこで、アルコール溶媒中で錯体形成反応を行うことで、錯体反応を促進・補助したり、系内の撹拌性を上げたり、熱分解で急激に発生する炭酸ガスを抑えたり、品質面・安全面を向上された銀ナノ粒子製造方法が報告されている(特許文献5~7)。
また、シュウ酸銀-アルキルアミン錯体を加熱分解する過程で、副生ガス(主に炭酸ガス)が発生して排出される際に、揮発しやすいアルキルアミンも含まれて系外に排出されてしまう問題を回避するため、前記錯体を連続的に反応容器内に導入し、熱分解反応時の副生ガス発生量を制御した製造方法が報告されている(特許文献8)。
特許第5574761号公報 特開2012-162767号公報 特許第6001861号公報 特許第5795096号公報 特許5975440号公報 特許6026565号公報 特開2016-132825号公報 特開2015-40319号公報
しかし、特許文献3では、実施例では8μmに達しない厚さの塗膜しか作成していない。仮に10μm以上の導電性塗膜を作成したとしても、銀粒子は一次粒子径が数10nmの粒子が主体なので、有機保護剤量も多く、保護剤離脱による体積収縮が生じるため、寸法安定性が低く、クラックによる断線が起こる可能性が高い。
また、特許文献5~8のように副生ガスの量を制御したとしても、最終的に系外へアルキルアミンを含んだ炭酸ガスを排出する事には変わりはない。
さらに、銀ナノ粒子分散体や塗料組成物(インク)は、基材に塗布して利用されるが、基材に塗布するのに適した粘度挙動を有する銀ナノ粒子の条件は十分に検討されていなかった。このため、実際に得られた塗膜は十分な性能を有さないこともあった。
特にスクリーン印刷においては、スクリーンを通過させるために精密な粘度特性が求められるが、特許文献4記載の粒子を用いただけでは十分でないことがわかった。
本発明は、以上の問題点を解決し、作業性・安全性・環境面等のスケールアップを考慮した銀ナノ粒子の製造方法、及び様々な印刷法、特にスクリーン印刷に適応でき、厚膜導電膜を形成できる広分布の粒度分布範囲を持つ銀ナノ粒子、及び銀ナノ粒子塗料組成物を提供することを課題とする。
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた。その結果、銀化合物とアミン化合物とを有機溶媒中で錯体形成させ、かつ錯体形成時に、一定量の水を存在させることにより、得られる銀粒子は粒径と分布が優れたものであり、得られる焼結塗膜も優れた性能を有することを見出し、本発明に到達した。さらに、特定の分子の長さのアミン化合物を銀粒子表面に結合させることで、分散性と低温焼結性のバランスの取れた銀粒子を作製することができ、この銀粒子を有機溶媒へ分散した分散体は、特にスクリーン印刷に適した粘度特性を持ち、凝集物の発生を抑制できた銀塗料組成物が得られることがわかった。
すなわち、本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 熱分解性を有する銀化合物(a)と、(a)と錯体形成しうるアミン化合物(b)とを有機溶媒(c)中で反応させて錯体を形成し、得られた錯体を加熱して熱分解させることにより、銀ナノ粒子を形成する銀ナノ粒子の製造方法であって、錯体形成時に、銀化合物(a)100重量部に対して5~20重量部の水を存在させ、かつアミン化合物(b)と銀化合物(a)中の銀原子のモル比が0.7以上であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法、
(2) (b)が、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールであることを特徴とする上記(1)記載の銀ナノ粒子の製造方法、
(3) (a)がシュウ酸銀である上記(1)又は(2)記載の銀ナノ粒子の製造方法、
(4) (c)/(a)の重量比が0.8~1.3であることを特徴とする上記(3)記載の銀ナノ粒子の製造方法、
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法により銀ナノ粒子を作製し、得られた銀ナノ粒子を有機溶媒に分散することを特徴とする、銀ナノ粒子分散体の製造方法、
(6) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法により銀ナノ粒子を作製し、得られた銀ナノ粒子を有機溶媒に分散し、さらに有機バインダーを添加することを特徴とする、銀塗料組成物の製造方法、
(7)上記(5)記載の方法により得られた銀ナノ粒子分散体又は上記(6)記載の方法により得られた銀塗料組成物を基板上に塗布し、焼成して銀導電層を形成する工程を含む銀導電材料の製造方法、
(8) テキサノール中に78.5重量%含有させた際に、せん断速度2~30s-1の領域で、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降時の粘度(v2)の粘度比(v1/v2)が2.0以下であり、かつ平均粒子径が70~350nm、変動係数40%~80%であり、粒子表面にアミン化合物が結合した銀ナノ粒子、
(9) 上記(8)記載の銀粒子において、粒子表面に結合したアミン化合物の分子の長さが7~8Åである銀ナノ粒子、
(10) 上記(8)又は(9)記載の銀粒子が有機溶媒中に分散されていることを特徴とする銀ナノ粒子分散体、
(11) 上記(8)又は(9)記載の銀ナノ粒子を70~95wt%含有し、せん断速度2~30s-1の領域で、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降時の粘度(v2)の粘度比(v1/v2)が2.0以下であることを特徴とする銀ナノ粒子分散体、
(12) 上記(8)又は(9)記載の銀ナノ粒子が有機溶媒に分散され、さらに有機バインダーを含有することを特徴とする、銀塗料組成物、
(13) 上記(10)又は(11)記載の銀ナノ粒子分散体を基板上に塗布し、焼成して銀導電層を形成する工程を含む銀導電材料の製造方法、
(14) 上記(12)記載の銀塗料組成物を基板上に塗布し、焼成して銀導電層を形成する工程を含む銀導電材料の製造方法。
本発明により大粒径で広い分布の粒径に制御された銀粒子を容易に得ることができる。このような銀粒子を含む銀塗料組成物は、150℃以下の低温領域であっても焼結が可能で、生成する焼結体はバルクの銀に近い低抵抗値を示す。本発明は、スクリーン印刷を代表とする印刷方法により、PETやポリプロピレンなどの比較的耐熱性の低いプラスチック基板上に、数~数10μmの厚膜の銀配線を成形できる材料、または導電性の接合材料やパワーデバイス等の大電流を取り扱う電気機器の接合材として利用が期待できる。
また、本発明での銀粒子の合成では、使用するアミン化合物量が従来の合成法よりも少なくても大粒径かつ広分布の銀粒子を得ることができ、人体や環境の負荷の高いアルキルアミンの利用をさらに低減できるので、スケールアップされた工業的な製造において、安全性の高い製造方法が提供される。
図1は、実施例1で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図2は、実施例2及び3で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図3は、実施例4で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図4は、実施例5で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図5は、実施例6で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図6は、実施例7で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図7は、実施例8、実施例9で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図8は、比較例1で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図9は、比較例2で得られた粒子のSTEM写真を示す図である。 図10は、比較例3で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図11は、比較例4で得られた粒子のSEM写真を示す図である。
図12は、比較例5で得られた粒子のSEM写真を示す図である。 図13は、比較例6で得られた粒子のSTEM写真を示す図である。 図14は、比較例7で得られた粒子のSTEM写真を示す図である。 図15は、実施例1で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図16は、実施例2及び3で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図17は、実施例4で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図18は、実施例5で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図19は、実施例6で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図20は、実施例7で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図21は、実施例8、実施例9で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図22は、比較例1で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図23は、比較例2で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図24は、比較例6で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図25は、比較例7で得られた粒子の粒度分布ヒストグラムを示す図である。 図26は、実施例8で得られた粒子から作製したペーストの塗膜表面のSEM写真を示す図である。 図27は、実施例9で得られた粒子から作製したペーストの塗膜表面のSEM写真を示す図である。 図28は、比較例1で得られた粒子から作製したペーストの塗膜表面のSEM写真を示す図である。 図29は、実施例8、実施例9で得られた粒子から作製したペーストの粘度比較データを示す図である。 図30は、比較例1で得られた粒子から作製したペーストの粘度データを示す図である。
本発明は、熱分解性を有する銀化合物(a)と錯体形成するアミン化合物(b)を反応させて銀ナノ粒子を製造する方法において、有機溶媒中で錯体形成を行い、かつ錯体形成時に、一定量の水を存在させることが特徴である。これにより、広分布を持った銀ナノ粒子を製造する際に、200~500nmの大粒径領域の銀ナノ粒子を合成しやすく、さらに極性溶媒と併用することで、アミン化合物全体の使用量を少なくすることができる。
また、特定の粒子径・粒度分布の銀粒子に、特定の保護剤を銀粒子表面に結合させることにより、凝集物が抑制でき、特にスクリーン印刷に適した粘度挙動を持つ銀塗料組成物を作製することを可能にする。
以下、詳細に説明する。
<銀ナノ粒子合成における材料の説明>
〔1.銀化合物(a)〕
本発明の銀粒子の製造方法では、まず、出発原料として熱分解性を有する銀化合物を用いる。熱分解性を有する銀化合物とは、後述する成分(b)と錯体化して、通常の設備で可能な加熱条件下で熱分解する銀化合物をいう。具体的には、シュウ酸銀、硝酸銀、酢酸銀、炭酸銀、酸化銀、亜硝酸銀、安息香酸銀、シアン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀等を適応できる。これら銀化合物のうち、特に好ましいのは、炭酸銀又はシュウ酸銀(Ag)である。さらに好ましくはシュウ酸銀である。シュウ酸銀は、還元剤を要することなく比較的低温で分解して銀粒子を生成することができる。また、分解により生じる二酸化炭素はガスとして放出されることから、溶液中に不純物を残留させることもないためである。
〔2.錯体形成するアミン化合物(b)〕
次に、本発明においては、(b)成分として銀化合物と錯体形成しうるアミン化合物を用いる。この化合物は、銀化合物と錯体を形成して銀化合物の熱分解温度を下げ、低温で銀粒子を生成することを可能にする機能を有する。同時に、アミン化合物の有する有機基により、銀粒子の分散安定性の効果を持たせる保護剤の機能を有する。
このようなアミン化合物としては、銀化合物と錯体を形成しうるアミン化合物であれば特に限定されない。特に、アミン化合物のアミノ基に結合する水素原子の数は、1つまたは2つ、すなわち、1級アミン(RNH2)、又は2級アミン(R2NH)が好ましい。
このように銀化合物と、これと錯体形成しうるアミン化合物から銀粒子を形成すること自体は背景技術として説明したように公知である。そして本発明でも、アミン化合物として公知技術で使用されてきた「脂肪族炭化水素モノアミン」や「脂肪族炭化水素ジアミン」のような脂肪族炭化水素アミン化合物を使用することも差し支えない。「脂肪族炭化水素モノアミン」や「脂肪族炭化水素ジアミン」として具体的には、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルキルエーテルアミンが挙げられる。このうちアルキルアミンとしては、n-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン等が挙げられる。
しかし、これらのアミン化合物のうちアルキルアミンは刺激臭が強く、分解反応時に炭酸ガスとともに高温で排出されるリスクがあるので、刺激臭を抑えたい場合には、酸素原子を含むアミン化合物を用いるのが好ましい。具体的には、アルコキシアミン、アルキルエーテルアミン、アミノアルコールである。
本発明者の検討により、これらの酸素原子を含むアミン化合物は、刺激臭が抑えられるだけでなく、そのうち特に以下に説明する特定のアミノアルコールは、得られる銀粒子の物性も優れていることが判明した。
(2-1. アミノアルコール(b1))
酸素原子を含むアミン化合物として特に炭素数3~4のアミノアルコールは、粒子径を大きく、かつ粒度分布を広くする効果を一層上げることができるので好ましい。さらに好ましくは、(i)炭素数3~4の分岐型1級アミノアルコールであって、(ii)アミノ基と水酸基とを1つずつ持ち、かつ(iii)炭素数2のアルキル鎖を介して、アミノ基と水酸基が結合されているもの、またはiv)炭素数3の直鎖状2級アミノアルコールである。このような特定のアミノアルコールを用いることにより、特に得られる銀粒子の粒径を容易に大きくかつ広い分布のものとすることを可能にする。
ここで、(i)「分岐型」とは、炭素原子とヘテロ原子とからなる骨格が直線状ではなく枝分かれしていることをいう。また(ii)アミノ基と水酸基とを1つ以上ずつ持つものが好ましく、特に各々1つずつが好ましい。(iii)「炭素数2のアルキル鎖を介して、アミノ基と水酸基が結合されている」とは、炭素原子とヘテロ原子とからなる骨格中、隣り合った2つの炭素原子に各々、アミノ基と水酸基とが結合していることをいう。
また、このような(i)~(iii)またはiv)を満たすアミノアルコールを用いることにより、銀化合物との錯体形成を促進させることができ、かつ大粒径で分布の広い粒子を得ることができる。
以上の条件を満たす炭素数4以下のアミノアルコールとしては、(i)~(iii)を満たすアミノアルコールとして、1-アミノ-2-ブタノール、DL-1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(以下、AMP)、DL-2-アミノ-1-プロパノールが挙げられる。また、(iv)を満たすアミノアルコールとして、N-メチルエタノールアミン、が挙げられる。
これらのうち特に、AMP、1-アミノ-2-ブタノール、DL-1-アミノ-2-プロパノール、DL-2-アミノ-1-プロパノールが扱いやすく、アルコール溶媒のような極性溶媒存在下での錯形成が容易に起こり、かつ大粒径かつ広い粒度分布の銀粒子を容易に得ることができるので最も好ましい。これらのうちでも特に、AMPが最も以上の効果が高く優れている。さらに銀表面に結合することで、分散体の粘度を上げる効果も優れている。
なお、以上の(b)成分は、1種のみを用いても、2種以上混合して用いてもよい。
(2-2. 分子の長さが5Å以上のアミン化合物(b2))
本発明では、粒子の融着・凝集を防ぎ、安定な分散体を得るために、以下のアミン化合物を含有させるのが好ましい。すなわち、銀化合物と錯形成しうるアミン化合物であって、分子の長さが5Å以上であり、かつアミン化合物を構成する原子が、N、C及びHであるもの、又はN、C、H及びOであるものである。
ここで、分子の長さとは、水素原子を含まない最も距離の長い2原子の距離である。この分子の長さは計算により求めることができる。計算条件は、密度汎関数法、関数 ωB97X-D、基底関数 6-31+G*、環境 真空中 エネルギー状態 基底状態、で、SPARTAN`16V1,1,0 など各種の分子計算ソフトウェアで計算できる。また、分子の長さが5Å以上、より好ましくは7Å以上であれば、特に立体障害効果による分散安定性を持たせる保護剤としての機能が優れている。その中でも、分子の長さが5~8Åであるものが好ましく、さらに好ましいのは、分子の長さが7~8Åのものである。これらのアミン化合物のうち、特にアミノ基を含めて7原子以上で構成された主鎖(主骨格)を持つアミン化合物が好ましい。なお枝分かれしている場合は、最も長い鎖を主鎖とする。アミン化合物のアミノ基に結合する炭化水素基の数は限定されないが、1つまたは2つである1級アミン又は2級アミンが特に銀と配位結合しやすいので好ましい。
このような分子の長さが5Å以上のアミン化合物の具体例としては、アルキルアミンとしては、n-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン等が挙げられる。アルコキシアミンとしては、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン等が挙げられる。アルキルエーテルアミンとしては、HUNTSMAN製JEFFAMINEのMシリーズ、M-600、M-1000、M-2005、M-2070等が挙げられる。アミノアルコールとしては、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール等が挙げられる。アミノエトキシとしては、ジグリコールアミン等が挙げられる。
より好適な具体例である7原子以上であり、かつ分子の長さが7Å以上のものは、アルキルアミンとしては、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン等が挙げられる。アルコキシアミンとしては、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン等が挙げられる。アミノアルコールとしては、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール等が挙げられる。アミノエトキシとしては、ジグリコールアミンが挙げられる。さらに好ましくは、n-ヘキシルアミン、3-エトシキプロピルアミンである。以上の(b2)成分は、1種類もしくは2種類以上併用しても可能である。
(2-3. (b1)と(b2)の比率)
錯体形成しうるアミン化合物((b)成分)のうち、炭素数4以下の特定のアミノアルコール(b1)と分子の長さが5Å以上のアミン化合物(b2)とを用いた場合の(b1)/[(b1)+(b2)]であらわされるモル比率は、好ましくは0.3~0.8(モル比)、好ましくは0.4~0.8である。
この範囲は、大粒子で高分布を持つ銀ナノ粒子を製造するのに、最も適している。前記モル比率が、0.3よりも小さくなると、分子の長さが長いアミン化合物の添加量が多くなり、粒子が全体に小さくなり、粒度分布も狭くなる傾向があるため大粒径で広い分布の粒子を得るのが難しくなる。また、前記モル比率が0.8より大きくなると、保護剤としての立体障害効果が弱くなり、合成時に銀粒子の融着が起こるリスクが高くなる。
〔3. アミン化合物(b)と銀化合物(a)の比率・添加量〕
銀化合物の銀原子とアミン化合物(b)との混合量について、そのモル比(アミン化合物/銀化合物の銀原子)が、0.7以上である。好ましくは0.7~2.0、さらに好ましくは0.8~1.5、最も好ましくは0.8~1.3となるようにしてアミン化合物(b)+(d)の量を調整する。そうすることにより、粒径にばらつきが生まれ、目的の粒径範囲の銀粒子を得ることが容易である。
前述した従来の各種の合成方法(特許文献1~9)においては、アミン化合物/銀化合物の銀原子のモル比が2.0以上用いられている。これに対して本発明では、より少ないアミン量で銀粒子を得ることができるので、アミン排出量も少なくて済む。したがって、アミンの系外放出による人体や環境負荷のリスクを軽減できる。また同時に、このような従来の方法では、粒子径も小さく、分布の狭い粒子が合成されやすくなってしまうのに対し、本発明においては、分布が広く大粒径の銀粒子を得ることができ、最終的に低温焼結性に優れ、低抵抗な厚膜導電焼結体が得ることができるのである。
他方、モル比が0.7を下回ると、扁平状の粒子ができやすく、凝集しやすく銀塗料組成物の分散安定性が低くなる。
また、扁平状の粒子ができやすい条件では、せん断速度におけるヒステリシスが生じやすくなる。粒子が不均一な形状の場合、粒子表面の分散剤の吸着が不均一となるほか、粒子間の接触面積の増加による粒子間相互作用も大きいためと考えられる。このため、後述するせん断速度2~30s-1の領域で、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降の粘度(v2)の粘度比(v1/v2)が1.2以下の粒子を得ることが難しくなる。
b成分のうち特に(b2)と銀化合物の比率(b2)/(銀化合物の銀原子)のモル比は、0.2以上が好ましい。特に好ましくは0.2~1.4、さらに好ましくは0.4~0.9である。この比率が0.2よりも下回ると、銀粒子の融着が起こりやすい傾向がある。b2成分の保護材としての立体障害効果が低下するためと推測される。他方、1.4を超えると、前述したb/銀化合物のモル比、及びb1/b2の好ましい比率を満たすのが難しくなる。
〔4.有機溶媒(c)〕
本発明は、以上説明した銀化合物とアミン化合物の錯体形成反応を、有機溶媒の存在下で行う。
本発明では、極性の官能基を持っている溶媒が好ましく、具体的には、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アルデヒド系溶媒、アミド系溶媒、エスエル系溶媒、ニトリル系溶媒、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、グリコールエステル系溶媒、グライム系溶媒が好ましい。
特にアルコール溶媒又はグライム系溶媒が好ましく、中でも炭素数3~12のアルコールが好ましい。例えば、n-プロパノール(沸点bp:97℃)、イソプロパノール(bp:82℃)、n-ブタノール(bp:117℃)、イソブタノール(bp:107.89℃)、sec-ブタノール(bp:99.5℃)、tert-ブタノール(bp:82.45℃)、n-ペンタノール(bp:136℃)、n-ヘキサノール(bp:156℃)、n-オクタノール(bp:194℃)、2-オクタノール(bp:174℃)、n-ノナノール(bp:215℃)、5-ノナノール(bp:195℃)、n-デカノール(bp:232.9℃)、n-ウンデカノール(bp:243℃)、2-ウンデカノール(bp:131℃)、n-ドデカノール(bp:259℃)、2-ドデカノール(bp:250℃)等が挙げられる。
また、グライム系溶媒としては、例えば、モノグライム(bp:85℃)、エチルグライム(bp:121℃)、ジグライム(bp:162℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp:171℃)、エチルジグライム(bp:188℃)、トリグライム(bp:216℃)、ブチルジグライム(bp:256℃)、テトラグライム(bp:275℃)等が挙げられる。中でも沸点が150℃以上のものが扱いやすい。
これらの中でも、後に行われる錯化合物の熱分解工程の温度を高くできること、銀ナノ粒子の形成後の後処理での利便性を考慮して、n-ブタノール、n-ヘキサノール、n-デカノール、ジグライムが好ましい。これら単独で用いても良いし、2種類以上混同して用いてもよい。
(4-1.有機溶媒の添加量)
また、有機溶媒は、各成分の十分な撹拌操作のため、前記銀化合物(a)100重量部に対し、80~130重量部(すなわち(c)/(a)の重量比が0.8~1.3となる量)の有機溶媒を混合したものが好ましい。さらに好ましくは(a)100重量部に対し80~125重量部である。
(4-2.有機溶媒の添加方法)
本発明において、アミン化合物(b)と銀化合物(a)とを銀化合物とアミン化合物の錯体形成反応を、有機溶媒の存在下で行うには、いくつかの形態をとり得る。
例えば、固体の銀化合物と有機溶媒特にアルコール溶媒とを混合して、銀化合物―アルコールスラリーを得て、次に得られた銀化合物-アルコールスラリーに、アミン化合物(b)を添加してもよい。本発明においてスラリーとは、固体の銀化合物が有機溶媒または有機溶媒とアミン化合物との混液中に分散されている混合物を表している。スラリーを得るには、反応容器に、固体の銀化合物を仕込み、それに有機溶媒または有機溶媒とアミン化合物との混液を添加しスラリーを得ると良い。
あるいは、有機溶媒とアミン化合物との混液を反応容器に仕込み、それに銀化合物を添加しても良い。
尚、シュウ酸銀については、乾燥状態において爆発性があることが報告されている。したがって、銀化合物としてシュウ酸銀を用いる場合には、湿潤状態にしたものを利用するのが好ましい。湿潤状態にすることで爆発性が著しく低下し、取扱い性が容易になるためである。そこで、水又は前述した有機溶媒を混合して湿潤状態にして用いればよい。
〔5.脂肪族カルボン酸について〕
また、粒子径、粒度分布の調整のために、錯形成時に脂肪族カルボン酸を用いてもよい。脂肪族カルボン酸を添加することで、粒子径は小さく、粒度分布は狭くなる傾向にある。水分量と適宜調整し、利用することが望ましい。前記脂肪族カルボン酸は前記アミン類と共に用いるとよく、銀化合物とアミンを混合させる際に添加して用いることもできる。
前記脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸が用いられる。例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、エイコセン酸等の炭素数4以上の飽和脂肪族モノカルボン酸; オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸等の炭素数8以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
これらの内でも、炭素数8~18の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボンが好ましい。炭素数8以上とすることにより、カルボン酸基が銀粒子表面に吸着した際に他の銀粒子との間隔を確保できるため、銀粒子同士の凝集を防ぐ作用が向上する。入手のし易さ、焼成時の除去のし易さ等を考慮して、通常、炭素数18までの飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸化合物が好ましい。特に、オクタン酸、オレイン酸等が好ましく用いられる。前記脂肪族カルボン酸のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(5-1.脂肪族カルボン酸の添加量)
前記脂肪族カルボン酸は、用いる場合には、原料の前記銀化合物の銀原子1モルに対して、例えば0.05~10モル程度用いるとよく、好ましくは0.1~5モル、より好ましくは0.5~2モル用いるとよい。前記脂肪族カルボン酸の量が、前記銀原子1モルに対して、0.05モルよりも少ないと、前記脂肪族カルボン酸の添加による粒子径制御の効果が弱い。一方、前記脂肪族カルボン酸の量が10モルに達すると、粒子径が小さく揃いすぎる可能性もあるし、洗浄もしくは、表面保護剤置換工程においても、残存する可能性があるので、低温焼成での該脂肪族カルボン酸の除去がされにくくなる。ただし、脂肪族カルボン酸を用いなくてもよい。
〔6.水、水分量の説明〕
本発明では、以上説明した銀化合物とアミン化合物の錯体形成時に、有機溶媒存在下において、一定量の水を存在させることを特徴とする。すなわち、銀化合物(a)100重量部に対して5~20重量部の水を存在させる。これにより、得られる銀ナノ粒子は、粒径が比較的大きく、しかも粒度分布が広いものであることが本発明者らの検討により判明したのである。この大粒径で分布が広い銀ナノ粒子は、後述するように、優れた効果を有するものである。
特に好ましくは12~18重量部、さらに好ましくは14~16重量部である。
水分含有量が5重量部より少ないと、得られる銀粒子の粒度分布が揃いすぎ、焼結体の空隙が生まれ、広い分布の銀粒子を得るのが困難である。一方、20重量部を超えると、銀粒子が粗大になりすぎ、粒子が融着・合一する部分が生まれ、好ましくない。使用する水に関しては、金属イオン不純物を低減したイオン交換水が好ましい。水を添加するタイミングについては、加熱工程の前であればよく、銀-アミン錯体の形成前、あるいは錯体形成後の、いずれの段階で添加してもよい。
また、前述した有機溶媒(c)と水との比率は、水/有機溶媒の重量比が0.03~0.3が好ましい。より好ましくは0.1~0.25である。この範囲で特に、後述する本発明の粒子径及び粒度分布を有する銀ナノ粒子を得るのが容易である。
<銀ナノ粒子の製造方法>
〔7.液体原料の混合〕
本発明において、通常は、前記極性溶媒(c)の中に、前記錯体形成するアミン化合物を入れ、混合する。必要に応じて、脂肪族カルボン酸、水を添加・混合し、反応に必要な液体原料を調整することができる。
液体原料で、常温で固体の物質があった場合は、適宜加熱を行い混合する事もできる。加熱する温度としては、100℃以下、好ましくは、80℃以下、さらに好ましくは、60℃以下で加熱し、液状化する液体原料の構成が望ましい。前記温度域よりも高い温度だと、銀化合物と混ぜてスラリー化する場合に、先に一部錯体化・シュウ酸分解反応が始まってしまい、系内の均一性が確保されないまま銀ナノ粒子が生成されてしまう可能性がある。
〔8.銀化合物スラリーの作製〕
前記銀化合物(a)と前記液体原料を混合し、銀化合物スラリーを調製する。または、先に極性溶媒と前記銀化合物(a)のみを混合し、前記アミン化合物を後で添加してもよい。
銀化合物と、所定量のアミン混合液、または、必要に応じて脂肪族カルボン酸、水を混合する。この際の混合は、室温で撹拌しながら、あるいは銀化合物へのアミン類との配位反応(錯体化反応)は発熱を伴うため室温以下に適宜冷却して撹拌しながら行うとよい。銀化合物とアミン化合物等との混合液は、有機溶媒存在下にて行われるので、撹拌及び冷却は良好に行うことができる。有機溶媒とアミン化合物の過剰分が反応媒体の役割を果たす。
それと、揮発性の高いアルキルアミンの臭気は作業環境への悪影響が大きい、本発明においては、銀ナノ粒子合成時に使用する揮発性の高いアルキルアミンの量を軽減、または無くすことができるので、原料を仕込む際に臭気や作業者への暴露を軽減できる。
〔9.銀アミン錯体について〕
生成する錯化合物が一般にその構成成分に応じた色を呈するので、反応混合物の色の変化から、錯化合物の生成反応の進行を検知することができる。また、色の変化で確認がとりにくい場合、反応混合物の粘性の変化や、温度の変化などで生成状態を検知することができる。このようにして、極性溶媒及びアミン化合物を主体とする媒体中に銀アミン錯体が得られる。
〔10.錯体化から分解反応までの昇温速度条件の説明〕
反応系の加熱工程において、加熱速度は析出する銀粒子の粒径に影響を及ぼすことから、加熱工程の加熱速度の調整により銀粒子の粒径をコントロールすることができる。ここで、加熱工程の速度は、設定した分解温度まで、3.0~50℃/minの範囲で調整することが望ましい。昇温時間が遅い方が、粒子成長が起こりやすく大粒子径が形成されやすいが、3.0℃/minよりも遅い昇温速度であると、粒子成長が促進されやすく、隣の粒子とも同一してしまい、好ましくない。
〔11.水添加することにおける広分布銀粒子生成のメカニズムについて〕
上記のような熱分解による銀粒子形成の反応機構の中に、本発明で規定する量の水を添加することにより、形成される銀ナノ粒子の粒径にバラつきが生じ、高分布な銀粒子が得られる。そのメカニズムについては、不明な部分もあるが、水が銀化合物、特にシュウ酸銀に近づき、銀アミン錯体形成または、加熱分解する際に、アミン化合物が銀原子へ吸着するのを阻害し、その阻害された部分が粒子成長すると考えられる。さらに、この水分子のシュウ酸銀への吸着量も偏りがある(局在化する)ことから、粒径に適度なバラつきが生じると考えられる。これに対し、銀化合物に対して20wt%よりも多い量の水を添加すると、アミンの銀原子の吸着を阻害しすぎて、銀粒子自体が肥大化し、隣の粒子とも焼結・合一を起こしてしまっていることが考えられる。
〔12.銀粒子の洗浄工程について〕
銀化合物の熱分解により、得られた粒子の粒子径により、色が異なるが、黒褐色からグレーまでの色に呈する懸濁液となる。この懸濁液から極性溶媒や過剰のアミン化合物等の除去操作、例えば、銀ナノ粒子の沈降、適切な溶媒(水または、有機溶媒)によるデカンテーション・洗浄操作を行うことによって、アミン化合物が結合した銀ナノ粒子が得られる。
〔13.洗浄溶媒の説明〕
この銀粒子の洗浄は、溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノール等の沸点が150℃以下のアルコールを適応するのが好ましい。そして、洗浄の詳細な方法としては、銀粒子合成後の溶液に溶媒を加え、懸濁するまで撹拌した後、デカンテーションで上澄み液を除去することが好ましい。アミンの除去量は、加える溶媒の体積と洗浄回数で制御可能である。上述の一連の作業を線回数1回とする場合、好ましくは、銀粒子合成後の溶液に対して1/20~3倍の体積の溶媒を使用し、1~5回洗浄する。
〔14.保護剤置換工程〕
さらに、上記の錯体形成過程でアミン化合物により銀ナノ粒子に導入された有機基を、他のアミン化合物により置換することもできる。例えば、より立体障害が大きく分散安定効果が高い官能基を有するアミン化合物で置換することもできる。その他、銀粒子の用途に合ったアミン化合物へ置換してよい。ここで置換に用いるアミン化合物は、前述した(b)成分、特に(b2)成分又は(b1)を用いてもよいし、それ以外のものを使用してもよい。
特に、炭素数4~8のアルキルアミンまたは、酸素原子を含むアミン化合物(アルコキシアミン、アルキルエーテルアミン、アミノアルコール、アミノエトキシ)が好ましい。アルキルアミンと、酸素原子を含むアミン化合物は、1種類もしくは2種類以上併用しても可能であり、その組成によって、ペーストとしての粘性の調整も可能となる。
置換の方法は、洗浄後の銀粒子を、最終的に置換したいアミン化合物の中で一定時間撹拌・懸濁することで、銀粒子の表面保護剤が置換される。その際、含まれている純銀分に対して、最終的に置換したいアミン化合物を50~100wt%添加して、通常約1h常温下で撹拌・懸濁させる。表面保護剤置換工程の前後の違いについては、DTA測定での焼結性の違いや、ヘッドスペースGC/MSなどで、表面保護剤の確認は可能である。上述した表面保護剤の置換工程後、再度洗浄工程を経て、目的の銀粒子を得る。
〔15.生成された銀粒子の状態(保護剤、粒度分布、粘度のヒステリシス)〕
このようにして、アミン化合物が結合した銀ナノ粒子が形成される。銀ナノ粒子とは、以上の方法で製造されうる、銀成分を主体として通常1nm~1000nm程度の粒径を有する微細な粒子をいう。
銀ナノ粒子表面に結合しているアミン化合物は、粒子同士の融着・凝集を防ぐ保護剤として機能する。本発明の銀ナノ粒子のSTEM画像を確認しても、粒子表面に1nm弱~数nmの層が確認されており、これが粒子表面に結合されたアミン化合物であると考えられる。ここで「粒子表面に結合」しているとは、銀粒子表面に存在する銀原子と配位結合している状態を指す。配位結合していることにより、余剰のアミン化合物を除去する洗浄工程を実施した後でも残存する。遊離しているアミン化合物と粒子表面に結合しているアミン化合物の違いについては、TG/DTA等の熱分析等でも確認することはできる。結合しているアミン化合物については、遊離しているアミン化合物と比較して、熱分解温度が高くなる傾向にある。保護剤として結合しているアミン化合物が熱分解すると、それと同時に銀粒子の焼結が始まり、DTAチャートでは発熱ピークが現れる。その温度付近で分解しているアミン化合物が、いわゆる「粒子表面に結合」しているアミン化合物である。
銀ナノ粒子は前述した錯体形成工程と置換工程で用いたアミン化合物を含む他、さらに用いた場合は前記脂肪族カルボン酸を含んでいる。銀粒子中でのこれら各成分の含有割合は、基本的に粒子作製工程での使用割合に、洗浄工程、保護剤置換行程での増減を加味して決定される。したがって、これらの工程の配合割合と条件とによって、アミン化合物の種類や総量を調整することが可能である。
最終的に銀粒子に結合しているアミン化合物の分子の長さは、2~8Åが好ましく、さらに5~8Åがより好ましい。そして、7~8Åが最も好ましい。これらの条件を満たすアミン化合物の具体例は、(b2)成分として前述したとおりである。また、アミン化合物の総量は純銀分100重量部に対して、0.3~2.0重量部であることが好ましい。さらに0.5~1.0重量部であればより好ましい。
本発明の銀ナノ粒子は、通常、粒子径が1000nm以下である。
また、平均粒子径が70~350nm、好ましくは70~300nm、さらに好ましくは80~200nmである。
粒子径のばらつき(分布)を示す変動係数は40~80%、好ましくは40~70%、さらに好ましくは50~60%で構成されている。
平均粒子径及び変動係数は、以下のようにして求める。得られた銀ナノ粒子をFE-SEMにて粒子形状の観察を行う。その後画像解析ソフトSCANDIUM(OLYMPUS製)を用いて、400個以上の粒子径(長径)を測長し、平均粒子径、標準偏差の値を求める。これらの値を用いて、変動係数は以下の計算式に基づき計算する。
変動係数(%)={標準偏差(nm)/平均粒子径(nm)}×100
なお粒子径測定の機材は、上記の方法と同等の結果を得られるものであれば制限されない。
以上の平均粒子径と変動係数とを有することにより、銀塗料を塗布して得られる塗膜の膜厚を厚くすることができる。具体的には、10~30μmもの厚膜も得ることができる。さらに、厚いだけでなく、得られる膜の体積抵抗率も低くすることができる。具体的には、20μm以上の厚膜で、6~7μΩ・cm程度の小さな体積抵抗率のものを得ることもできる。これは、粒度分布が広く、小さい粒子が大きい粒子の間に細密充填に近く充填されることにより、銀粒子が高充填されて銀粒子の含有量の高い膜が得られているためであると推測される。
平均粒子径が70nm未満だと、銀粒子の表面を保護するアミン化合物量が増え、得られる塗膜の体積抵抗率を低くすることができない。他方、平均粒子径が350nmを超えると、銀ナノ粒子の融点降下の現象が弱くなり、低温で焼結しづらくなるため、この場合も塗膜の体積抵抗率を低くすることができない。
また、変動係数が30%未満だと、粒子が揃ってしまい、粒子間の空隙を埋めることができず、塗膜の体積抵抗率を低くすることができなくなる。他方、変動係数が80%を超えると、粒子のばらつきがあっても、粒子サイズが異なりすぎるため、この場合も粒子間の空隙を埋めることが難しくなり、この場合も塗膜の体積抵抗率を低くすることができない。
以上の平均粒子径とばらつきとを有する本発明の銀粒子を用いれば、銀塗料組成物として好適な粘度に調整することができる。
スクリーン印刷用インクの粘度においては、0.1~500Pa・sの範囲(せん断速度5s-1 時)が好ましい。高すぎると、流動性がなく印刷不良を起こしやすい、また低すぎると印刷したインクがダレて、線幅が広がってしまうためである。そこで、粘度を高くするには、通常、有機バインダーを添加することが多いが、有機バインダーは得られる塗膜の抵抗値を上げてしまう。これに対し、本発明の銀粒子は、銀分約70wt%のペーストにおいて、有機バインダーとしてエトセル45(日新化成製)を純銀分に対し、1wt%添加した状態でも比較的高粘度とすることができ、例えば粒度を平均粒子径約80nm、変動係数約35%に調整することにより、30~40Pa・s程度の粘度に調整できる。したがって有機バインダーの添加量が純銀分に対し、1wt%以下でも上記のスクリーン印刷に適した粘度にすることができる。このように、粒度の調整で粘度をコントロールできるので、有機バインダーの添加量の自由度が上がり、少なくすることもできるため、非常に優れている。
さらに本発明は、100nm以下の小粒子と200nm以上の大粒子が適切な範囲で混在しているため、塗布した時の平滑性があり、光沢感が出やすい。
本発明の銀ナノ粒子は、特に、粒子径が100~200nm以外の粒子((i)100nm以下及び(ii)200nm以上の粒子の合計)が個数基準で、70%以上とするのが好ましい。
ここでの粒子径は、先述の方法でSEM画像を画像解析ソフトにより測長して求められた個々の粒子の粒子径である。
より好ましくは、粒子径が(i)100nm以下及び(ii)200~500nm以下の粒子の合計が個数基準で70%以上である。さらに好ましくは、100nm以下の粒子が、個数基準で60%以上である。
これらの100nm以下の小さな粒子と200nm以上の大きな粒子の双方が含まれていることにより、小さな粒子が大きな粒子の間に入り込んで充填する効果が特に高く、高い銀粒子の含有率の低体積抵抗率で厚膜の塗膜を得る効果に優れている。特に、100nm以下の粒子の割合を60%の高含有率で含むことにより、接着性を高める効果も出る。
以上説明した本発明の銀ナノ粒子は、低温焼結性や導電性が確保され、焼結塗膜(基板上に塗布して焼結して得られた塗膜)は20~30μm程度の厚みを持たせることは容易である。これは、大粒子径領域と小粒子径領域とが共存していることで、塗膜化した際に銀粒子が密に充填されて、空隙が少なくなっているためと推測される。
さらに、本発明の銀ナノ粒子は、テキサノール中に78.5重量%含有させた際に、せん断速度2~30s-1の領域で、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降の粘度(v2)の粘度比(v1/v2)が2.0以下である。好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。
これは、せん断速度上昇時と下降時の粘度の差が小さい、すなわちせん断速度を変化させた際の粘度のヒステリシスが小さいことを意味する。例えば、本発明の銀ナノ粒子を用いた実施例8及び実施例9の粘度変化を示す図29と、比較例1の粘度変化を示す図30とを比較すると、図29ではせん断速度上昇時と下降時の粘度の差が小さく、せん断速度2~30s-1のいずれの範囲でも(v1/v2)が2.0以下であるのに対し、図30では2.0を超える部分がある(せん断速度1、2、3、4s-1における、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降の粘度(v2)並びにこれらの粘度比(v1/v2)については表-9のとおりである)。(v1/v2)が大きいことは粘度ヒステリシスが生じることを意味し、粒子間の相互作用が大きく擬架橋状態を形成することを意味する。このことから凝集が生じやすいと考えられ、塗膜表面の写真である図28において凝集塊が観察されることにより裏付けられている。
これに対し、本発明の銀ナノ粒子は、(v1/v2)が小さく、凝集が生じにくい。このため、塗膜化した際の塗膜表面の平滑性も優れている。
また、凝集物が少ないため、特にスクリーン印刷においても印刷の精度・連続印刷性に優れ、スクリーンメッシュの目詰まりも起こしにくい。
本発明の製造方法は、前述したように、使用するアミン種、有機溶媒種、水の添加量等で、粒子径コントロールが可能である。したがって、200~500nmの大粒子径領域の銀粒子と50~200nmの小粒子径領域の銀粒子を1バッチで合成することもできるなど、工業生産にも適している。
こうして得られる本発明の銀ナノ粒子は、200nm以上の大粒子径領域の銀粒子をも多く存在させることができるため、銀ナノ粒子の余剰保護剤の洗浄・保護剤置換処理・ペースト化などの工程途中においても凝集(焼結)しにくく、本来の銀粒子の特性を損ねることなく、銀ナノ粒子分散体・銀塗料組成物を製造しやすい。このことはスケールアップを考慮した際も有効である。
<用途>
〔16.銀ナノ粒子分散体及び銀塗料組成物及びこれらの製造方法〕
上記に記載の方法で得られた銀ナノ粒子を用いて、銀ナノ粒子分散体を作製することができる。ここで、銀ナノ粒子分散体とは、少なくとも銀ナノ粒子及び分散媒を含有する組成物をいう。このような銀ナノ粒子分散体、制限されることなく、種々の形態をとり得る。銀ナノ粒子を適切な有機溶媒(分散媒体)中に懸濁状態で分散させることにより、本発明の銀ナノ粒子分散体を得ることができる。
本発明の銀ナノ粒子は、前述したように、分散性に優れているので、高濃度で分散媒中に安定に存在させることができる。例えば、組成物中の銀ナノ粒子の含有量として、70~95wt%、さらに好ましくは、75~80wt%の高濃度で含有させることができ、いわゆるペースト状態とすることができる。
さらに、銀ナノ粒子及び分散媒のほか、いわゆるバインダー成分を含有させた銀塗料組成物とすることができる。70~95wt%、さらに好ましくは、75~80wt%の高濃度で銀ナノ粒子を含有させた銀塗料組成物とすることにより、印刷性が良好で、厚膜な導電膜が作製しやすい銀塗料組成物を得ることができる。
すなわち、前述した本発明の銀ナノ粒子を70~95wt%含有し、せん断速度2~30s-1の領域で、せん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降の粘度(v2)の粘度比(v1/v2)が1.2以下であることを特徴とする、銀ナノ粒子分散体や銀塗料組成物を得ることができる。
(16-1.分散体又は塗料組成物の分散媒)
銀ナノ粒子分散体又は銀塗料組成物を得るための分散媒としては、各種の有機溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等のような芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール等のようなアルコール溶媒等が挙げられる。
有機溶媒としてはこれらの中でも特に、炭素数8~16で構造内に酸素原子を有する沸点280℃以下の有機溶媒が好ましい。銀粒子の焼結温度の目標を150℃以下とする場合、沸点280℃を超える溶媒は揮発・除去が困難だからである。この溶媒の好ましい具体例としては、ターピネオール(C10、沸点219℃)、ジヒドロターピネオール(C10、沸点220℃)、テキサノール(C12、沸点260℃)、エチルカルビトールアセテート(C8、沸点219℃)、ブチルカルビトールアセテート(C10、沸点247℃)、2,4-ジメチルー1,5-ペンタンジオール(C9、沸点150℃)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(C16、沸点280℃)が挙げられる。溶媒は複数種を混合して使用しても良く、単品で使用しても良い。
所望の銀塗料組成物又は銀ナノ粒子分散体の濃度や粘性に応じて、有機溶媒の種類や量を適宜定めると良い。
(16-2.塗料組成物のバインダーの説明)
銀塗料組成物においてバインダーを添加することにより、銀粒子の分散性の補助、又は基材との密着性を付与することができる。有機バインダーの添加量としては、含有している銀に対して、0.1~10wt%が好ましい。
上記バインダー樹脂の塗料組成物中における存在形態は、溶媒に対して溶解していてもよいし、エマルジョン、またはサスペンションであってもよい。上記バインダーとしては特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ロジン、ロジンエステル、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルプチラール、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。
使用するバインダーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
〔17.銀塗料組成物による印刷方法・使い方〕
銀塗料組成物を基板上に塗布し、その後、焼成するのが一般的である。塗布は、スピンコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華型印刷、オフセット印刷、レーザープリンタ印刷(トナー印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷などの公知の方法により行うことができる。印刷技術を用いると、パターン化された銀塗料組成物層が得られ、焼成により、パターン化された銀導電層が得られる。また、この銀導電層は導電性・熱伝導性に優れた接合材料としての応用が可能であり、パワーデバイス等の大電流を取扱う電気機器の接合材としても有用である。
焼成は、200℃以下、例えば室温(25℃)以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上120℃以下の温度で行うことができる。しかしながら、短い時間での焼成によって、銀の焼結を完了させるためには、60℃以上200℃以下、例えば80℃以上150℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下の温度で行うとよい。焼成時間は、銀インクの塗布量、焼成温度などを考慮して、適宜定めるとよく、たとえば数時間(例えば3時間、あるいは2時間)以内、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分間以内にするとよい。
本発明で得られる銀ナノ粒子は、前述のように大粒径で粒度分布が広いので、このような低温短時間での焼成工程によっても、銀粒子の焼結が十分に進行する。その結果、優れた導電性(低い抵抗値)が発現し、低い抵抗値(例えば15μΩcm以下、範囲としては7~15μΩcm)を有する銀導電層を形成できる。バルク銀の抵抗値は1.6μΩcmである。
〔18.銀ナノ粒子分散体及び銀塗料組成物の用途〕
低温での焼成が可能であるので、基板として、ガラス製基板、ポリイミド系フィルムのような耐熱性プラスチック基板の他に、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルムのような耐熱性の低い汎用プラスチック基板をも好適に用いることができる。また、短時間の焼成は、これら耐熱性の低い汎用プラスチック基板に対する負荷を軽減するし、生産効率を向上させる。
銀導電層の厚みは、目的とする用途に応じて適宜定めるとよく、特に本発明に係る銀ナノ粒子を使用することで比較的膜厚の大きい銀導電層を形成した場合でも高い導電性を示すことができる。銀導電層の厚みは、例えば、100nm~30μm、好ましくは1μm~20μm、より好ましくは10μm~20μmの範囲から選択するとよい。
本発明の銀ナノ粒子分散体及び銀塗料組成物は、電磁波制御材、回路基板、アンテナ、放熱板、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、ICカード、ICタグ、太陽電池、LED素子、有機トランジスタ、コンデンサー(キャパシタ)、電子ペーパー、フレキシブル電池、フレキシブルセンサ、メンブレンスイッチ、タッチパネル、EMIシールド等に適応することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例及び比較例で用いたアミン化合物の名称、構造式等の特徴を、表-1~2に示す。
Figure 0007262059000001
Figure 0007262059000002
[実施例1]
(銀粒子の製造)
2Lフラスコに原料となる銀化合物としてシュウ酸銀の乾燥品420.00g(1.38mol)と、極性溶媒としてn-ヘキサノール339.87g(3.33mol)とを撹拌し、シュウ酸銀を湿潤状態にさせた。その後、n-ブチルアミン128.22g(1.75mol)、n-ヘキシルアミン55.83g(0.55mol)を添加し、粒子径制御のための添加剤として、オレイン酸(日油製:NAA-35)4.71g(0.017mol)、イオン交換水21.00g(シュウ酸銀に対して15.0wt%)を添加した。その後、1時間撹拌し、銀―アミン錯体を製造した。その後、昇温速度3℃/minで加熱し100℃でシュウ酸銀の分解反応が起こったと思われる二酸化炭素の発生を確認した。二酸化炭素の発生が止まるまで加熱を継続し、銀粒子が懸濁された液体を得た。銀粒子の析出後、反応液にメタノール900ccを添加して洗浄し、これを遠心分離した。この洗浄と遠心分離は3回行った。このようにして、銀ナノ粒子を得た。
(保護剤置換処理)
得られた銀ナノ粒子中のn-ブチルアミンをn-ヘキシルアミンに置換するため、得られた銀ナノ粒子の純銀分に対して71.8wt%のn-ヘキシルアミンと銀ナノ粒子を常温で1時間撹拌し、上記と同様に洗浄と遠心分離を3回繰り返し、ヘキシルアミンを保護剤とした銀ナノ粒子を得た。
(粒子径の確認)
得られたメタノールで湿った状態の銀ナノ粒子をn-ヘキサノール中へボルテックスミキサーを用いて懸濁させ、その液をコロジオン膜等の支持体へ滴下し、溶媒を乾燥させて試料を得た。FE-SEM観察にて、倍率20000~70000倍で観察・撮影し、画像の中で400個以上粒子が存在している倍率の画像を選定する。その後画像解析ソフトSCANDIUM(OLYMPUS製)を用いて、粒子数400個以上をカウントした。粒子径の測長する場合、粒子の長径を測長し、そのデータより、平均粒径、粒度分布等を算出した。
粒子の100nm以下、200~500nm、500nm超の粒子割合(%)、平均粒径(nm)、変動係数(%)を表-3に示す。FE-SEM写真を図1に示す。粒度分布ヒストグラムを図15に示す。
(銀ナノ粒子ペースト、インクの調製と焼成)
次に、回収した銀ナノ粒子に、溶媒としてテキサノールを銀分75wt%になるよう添加し、混合した。さらに銀粒子に対して添加量が1wt%になるように、有機バインダーとしてエトセル45(日新化成製)を添加し、最終的に銀分約70wt%の銀ナノ粒子ペーストインクを作製した。このペーストをスライドガラス上でキャストし、送風乾燥機にて、150℃で1h加熱した。乾燥後の塗膜厚みは10~30μmになるようにした。
得られた塗膜は、4端子法により表面抵抗値を測定し、得られた塗膜の厚みを乗じて、体積抵抗率を得た。
体積抵抗率の値を表-3に示す。
[実施例2~9、比較例1~7]
(銀粒子の製造)
使用材料及び配合割合を表-3~7に示すものに代え、銀―アミン錯体化合物生成後の昇温速度を表-3~7に示すものに代え、反応容器/加熱装置を表-3~7に示すものに代えた以外は実施例1の(銀粒子の製造)と同様にして、銀粒子を作製した。
表-3~4に示すとおり、実施例3、4、7、8については、実施例1と同様の方法で、(保護剤置換処理)を行った銀粒子も作製した。実施例9は、(保護剤置換処理)においてn-ヘキシルアミンに代えてn-ブチルアミンを用いた以外は、実施例1と同様の方法で銀粒子を作製した。
得られた銀粒子について実施例1と同様の方法で(粒子径の確認)を行った。なお、比較例2、6、7については、STEM像で粒子径の確認を実施した。
また、実施例2~7、比較例1、2については、得られた粒子を用いて実施例1と同様の方法で(銀ナノ粒子ペースト、インクの調製と焼成)を行った。なお、実施例3については、インク溶媒をターピネオールC(日本テルペン社製 α-,β-,γ-異性体混合体)を用いている。
なお実施例3、4については、保護剤置換処理前の粒子と保護剤置換処理後の粒子を用いて各々(銀ナノ粒子ペースト、インクの調製と焼成)を行った。
また、比較例6及び、7については、特許文献1及び、2のように、銀分55wt%になるようにし、イソオクタン/n-ブタノール=4/1(体積比)の混合溶媒中に分散させた銀ナノ粒子分散体をスピンコートすることにより、ガラス上に塗工した。
実施例2~9、比較例1~7について、得られた粒子の平均粒径(nm)、変動係数(%)、各粒子径範囲での粒子割合(%)、を表-3~7に示す。SEMもしくはSTEM画像を図2~14に示す。実施例2~9、比較例1,2、6,7の粒度分布ヒストグラムを図16~25に示す。実施例2~9及び、比較例1,2,6,7について、焼結塗膜の体積抵抗率及び膜厚の値を表-3~7に示す。表中「(b)/銀粒子mol比」は(b)/(a)中の銀粒子のモル比を示す。
Figure 0007262059000003
Figure 0007262059000004
Figure 0007262059000005
Figure 0007262059000006
Figure 0007262059000007
Figure 0007262059000008
Figure 0007262059000009
(塗膜観察)
実施例8、比較例1、実施例9載の粒子を用いて作成した銀分78.5%テキサノールペーストについて、目開き20μmのナイロンメッシュを通過させたペーストをアルミ箔上にスパチュラで塗布した膜をドライヤーで乾燥させた塗布膜表面についてSEM観察を実施した。SEM観察した塗布膜は図26~28のとおりである。
(銀ペーストの粘度測定)
さらに、実施例8、比較例1、実施例9載の粒子を用いて作成した銀分78.5%テキサノールペーストについて、レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製HAAKE MARSIII)にて粘度を測定した。測定条件は、測定モード:ヒステリシス・ループ、せん断速度:0.1s-1→30s-1(90s)、30s-1→0.1s-1(90s)、測定治具:コーンプレート(Cone C35/1°TiL、Lower plate TMP35)、ギャップ:0.052mm、測定温度:25℃とした。測定した粘度データは実施例8、実施例9ついては図29記載のとおりで、比較例1については図30記載のとおりである。
また、測定した粘度データに基づき、解析ソフト(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 HAAKE RheoWin Data Maneger)により、各せん断速度における粘度値を確認した。実施例8、実施例9、及び比較例1のせん断速度1、2、3、4s-1におけるせん断速度上昇時の粘度(v1)及びせん断速度下降の粘度(v2)並びにこれらの粘度比(v1/v2)を表-9に記載する。本発明の銀ナノ粒子を用いた実施例8及び9では、せん断速度1~4s-1で(v1/v2)は2.0以下である。またグラフからわかるように、4~30s-1の範囲では、より小さく、2.0を超える点はない。これに対し、比較例1では、2s-1及び3s-1の点で、粘度比(v1/v2)が1.2を超えており、粘度ヒステリシスが大きいことがわかる。
以上のように、本発明により、錯体形成時に銀化合物100重量部に対して5~20重量部の範囲の水を存在させ、かつアミン化合物と銀化合物中の銀原子のモル比が0.7~2.0の範囲で反応させることにより、粒子表面にアミン化合物が結合し、平均粒子径が70~350nm、かつ変動係数40%~80%の銀粒子が得られることが確認できた。
また、これらの本発明の銀粒子により、20μm以上の焼結塗膜を形成することが可能でかつ、150℃での焼成条件において、塗膜の体積抵抗率が50μΩ・cm以下であり、導電性がある膜を得られることが確認できた。その中でも、アミン化合物としてAMPを使用し、インク溶媒としてテキサノールを使用している実施例2及び4において、平均粒子径約80nmの小粒子径、または260nmの大粒子径、かつ変動係数が40%~80%の粒子を得ることができたこと、かつ、これらの粒子は、100℃焼成での塗膜の体積抵抗率が50μΩ・cm以下とすることができたことから、優れた低温焼結性がある銀ナノ粒子を得ることができることが確認できた。
さらに、実施例3は実施例2と同じ粒子を用いて、インク溶媒をターピネオールCへ変更しているが、保護基を分子の長さ7~8Åのn-ヘキシルアミンへ置換することで、100℃の焼成条件において、保護基置換なしの状態と比較して塗膜の体積抵抗率が大幅に下がることも確認された。このように本発明の銀ナノ粒子においては、銀粒子表面の保護基の種類、インク溶媒、焼結条件等の調整で、適切な銀塗料組成物や焼結塗膜を得ることができることがわかる。
また、(b1)成分を使用することによる銀ナノ粒子の大粒子径化について、実施例5、6では、錯体形成を促進させる活性化剤として、N,N―ジメチルプロピルジアミンと1-アミノ-2-ブタノールを同じモル数添加し、その他の原料は同じ組成で、同じ条件で合成して合成される銀ナノ粒子の大きさを比較した。実施例5、6を比較すると、(b1)成分を使用した実施例6の方が、実施例5よりも、200~500nmの粒子径を合成されやすいことが確認できた。また、実施例2、3のように、(b1)成分を使用しても、(b2)成分の割合を多くすることで、粒子径を小さくすることも可能であることがわかる。
さらに、実施例7では、合成溶媒をn-ヘキサノールではなく、ジグライムを使用しているが、広分布な粒度分布を持つ銀ナノ粒子ができ、20~30μmの厚膜導電膜を得ることができる。
これに対し、比較例1、2では水を添加しておらず、この場合は平均粒子径が65nm未満と小さいだけでなく、変動係数が30%未満でばらつきが小さく、99%以上が100nm以下の小さな粒子径を有している。このような小さくてばらつきの少ない粒子では、10μm以下の膜厚でないと、各焼成温度において、十分な導電性は得られないことがわかる。特に膜厚が20μm以上で、120℃以下の低温領域での焼成条件においては大きく体積抵抗率が上昇している。
また、(b1)成分や水を用いた場合でも、比較例3のように水を添加しすぎたり、または比較例4のように(b2)成分が少なすぎたり、または比較例5のように昇温速度が遅すぎたりすると、粒子が融着し、独立した銀粒子が得られず、粒子径制御が困難であることがわかる。
(b)と(a)中の銀原子のモル比が本発明の範囲を外れる特許文献1,2の製法と同等の方法で作製した比較例6及び7の粒子では、変動係数が小さく本発明の範囲を外れているので、インクを塗工すると、0.5μm程度の焼結塗膜となってしまい、厚膜化は困難である。
以上の結果からわかるように、有機溶媒中におけるアミン化合物と銀化合物の錯体形成反応において、水とアミン化合物の割合を本発明で規定する範囲内とし、かつアミン化合物と銀化合物の割合を本発明で規定する範囲内とした本発明の方法により、粒度分布に適度なバラつきを持たせた本発明の銀ナノ粒子を得ることができ、低抵抗な厚膜導電膜を得られやすい銀塗料組成物を作製することが可能であることがわかる。また、特にアミン化合物として(b1)成分を用いて得られた銀ナノ粒子は以上の効果が格段に優れていることがわかる。
図29で粘度挙動の比較を示している実施例8と実施例9の銀ペーストは、前述のように粒子における保護剤置換処理で導入されたアミンの分子の長さのみが異なる(実施例8のn-ヘキシルアミン:7.559Åに対し実施例9はn-ブチルアミン:5.004Å、)。実施例8の分散体は、表―9にも示してあるように、せん断速度2~30s-1の範囲内でのせん断速度上昇時の粘度(v1)とせん断速度下降時の粘度(v2)がほぼ同じ、すなわち粘度比(v1/v2)が約1.0である擬塑性流体であるのに対し、実施例9の分散体は、せん断速度2~4s-1の範囲内でのせん断速度上昇時の粘度(v1)と比較し、せん断速度下降時の粘度(v2)が低くなる、すなわち粘度比(v1/v2)が1.1~1.2であり、ややチキソトロピック流体の挙動を示す傾向がある。
実施例8と実施例9の銀粒子分散体の(塗膜観察)の結果の写真を比較すると、実施例8では、凝集物がほぼない状態で平滑な塗膜が得られるが、実施例9では数10μmの凝集物の存在が確認できる。この凝集物が多い現象が、ペーストのチキソトロピック流体の挙動を引き起こしていることが推測される。実施例9では粒子表面のアミン化合物の分子の長さが短いので、立体障害の度合いが比較的低く、銀粒子同士が疑似架橋状態を作り出し、凝集の発生、静置状態のペーストの高粘度化を生み出していると推察できる。一度シェアをかけると、疑似凝集状態が解消し、1次粒子が分散状態となり、粘度上昇時のペーストが、低粘度化する。しかし、しばらく静置していると再び、疑似架橋状態を作り出し、2次凝集物とペースト粘度の高粘度化が再構築されると考えられる。このため、連続印刷性は、実施例8の分散体のほうが優れていると推測できる。また、凝集物がメッシュ詰まりの要因となる可能性もある。
したがって、スクリーン印刷用途では、アミン化合物の分子の長さが7~8Åの範囲にある実施例8の分散体のほうが、より優れている。他方、実施例9の分散体も、実施例8の分散体同様に平均粒子径と変動係数が好ましい範囲にあるため、表-8に示すように20μmの厚膜での電気特性が優れており、500μm~数mmオーダーの線幅の配線やパワー半導体用接合材として好適に用いることができる。
これに対し、比較例1の銀粒子は、本発明の平均粒子径・変動係数の範囲から外れている。図29からわかるように、表面のアミン化合物の長さが同じ実施例9の粒子に比較しても、表―9に示してある通り、せん断速度2~4s-1の範囲内でのせん断速度上昇時の粘度(v1)と比較し、せん断速度下降時の粘度(v2)がより低くなっている、すなわち粘度比(v1/v2)が1.1~2.2であり、チキソトロピック流体の挙動を示す傾向がある。この要因としては、図28からわかるように、凝集物も多いことからも推察されるし、焼成してもクラックが発生しやすいので、厚膜化した際に導電性が劣ってしまう。
以上の結果より、本発明の銀粒子のように、適度な粒子径とバラつきを持つ本発明の銀粒子は、優れた電気特性を発揮する厚膜を容易に製造できる。特に銀表面に適度な分子の長さ(7~8Å)を持つ保護剤を結合させたものは、特に分散性が良好で、スクリーン印刷に適した粘度挙動をもつ銀塗料組成物を作製することができ、その印刷された銀塗料組成物は、低温焼成において導電性が良好な厚膜導電膜を提供することが可能である。
本発明により、刺激臭の強いアミンの排出量が抑えられた方法で、大粒径で広い分布を有し、厚膜で且つ高い導電性を有する銀導電層を容易に形成することのできる銀ナノ粒子、特にスクリーン印刷に適した銀塗料組成物を得ることができる。

Claims (2)

  1. 熱分解性を有する銀化合物(a)と、(a)と錯体形成しうるアミン化合物(b)とを有機溶媒(c)中で反応させて錯体を形成し、得られた錯体を加熱して熱分解させることにより、銀ナノ粒子を形成する銀ナノ粒子の製造方法であって、錯体形成時に、銀化合物(a)100重量部に対して5~20重量部の水を存在させ、かつアミン化合物(b)と銀化合物(a)中の銀原子とのモル比が0.7以上であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法であって、アミン化合物(b)として、n-ヘキシルアミン及びn-ブチルアミンの2種、又はn-ヘキシルアミン及びジメチルアミノプロピルアミンの2種を用いることを特徴とする、銀ナノ粒子の製造方法
  2. 熱分解性を有する銀化合物(a)と、(a)と錯体形成しうるアミン化合物(b)(n-ヘキシルアミン及びn-ブチルアミンの2種、又はn-ヘキシルアミン及びジメチルアミノプロピルアミンの2種)とを有機溶媒(c)中で反応させて錯体を形成し、得られた錯体を加熱して熱分解させることにより、銀ナノ粒子を形成する銀ナノ粒子の製造方法であって、錯体形成時に、銀化合物(a)100重量部に対して5~20重量部の水を存在させ、かつアミン化合物(b)と銀化合物(a)中の銀原子とのモル比が0.7以上であることを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法。
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