JPWO2016002881A1 - 微粒子分散液、配線パターンおよび配線パターンの形成方法 - Google Patents

微粒子分散液、配線パターンおよび配線パターンの形成方法 Download PDF

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Abstract

本発明の微粒子分散液は、微粒子と、シロキサン結合を含む繰り返し単位を有する主鎖を有し、かつ、その主鎖の側鎖および末端の少なくともいずれかに親水性基を有する表面調整剤を含有する。この微粒子分散液を用いれば、微細な配線パターンを均一な線幅で形成することができる。

Description

本発明は、微粒子分散液、配線パターンおよび配線パターンの形成方法に関する。
近年、インクジェット法をはじめとした印刷技術を用い、導電性微粒子分散液を直接描画して導電性回路パターンを形成するという、プリンタブルエレクトロニクスという新技術が注目されており、微細で高性能な配線パターンの形成が可能になると期待されている。
これまで半導体などの各種電子部品の製造プロセスにおいては、微細な金属配線形成は真空装置を使ったスパッタリングや真空蒸着によって金属薄膜を形成した後、エッチングなどにより不要部分を除去することで配線パターンを形成する真空・フォトリソグラフィプロセスとエッチングプロセスが中心であった。しかし、この方法では大規模な装置が必要であるため、装置導入コストや製造コストが高くなる。さらに有機溶剤や洗浄水、エッチング液廃液など排出物が多いため環境負荷が大きいなどの問題もあった。そのため製造工程が少なく、廃棄物も少量で済むため、省資源、省エネルギー化および低コストでの製品作成が可能なプリンタブルエレクトロニクス技術において、微細な配線パターンや電極形成の実現が求められている。
また、このプリンタブルエレクトロニクス技術による配線パターンは、種々のデバイスへの応用が期待されており、金属または金属酸化物ナノ粒子を分散したインクを用い、インクジェット法やグラビア印刷、ナノインプリント法等の各種印刷法を用い、微細配線、電極形成や透明導電膜への応用が期待されている。応用製品としては、タッチパネルや有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイや照明等の補助配線や電極、および薄膜トランジスタの電極形成としての利用が検討されている。例えば有機トランジスタの電極として用いる場合、膜形状が不均一であると抵抗値が十分に小さくすることができなかったり、抵抗のバラツキが生じてしまったりすること、さらにその上部に形成する有機膜を均一に成膜することができず、特性の十分な再現性が得られない等の課題がある。よって、これらナノ粒子を用いた配線や電極形成において、配線形状を平坦化かつ細線化する技術の開発が強く求められている。
ところで、机にこぼしたコーヒーが乾燥した後に生じるシミは、コーヒーステインと呼ばれる。これは、液滴の外周部の乾燥速度が大きいため、蒸発過程においてコーヒー滴外周部の溶質濃度が高くなり、溶質がリング状に堆積するためである。同様に、基板上に滴下した高分子溶液滴が蒸発すると、特に接触線付近において溶質が析出し、リング状薄膜が形成される。このようなリング状薄膜の形成は、プリンタブルエレクトロニクス技術で配線パターンを形成する際にも生じるものと考えられ、この現象が配線形状の平坦化および微細化を妨げる原因になっている。このリング形成については、その原因を検討した報告がいくつか見受けられる。
例えば、非特許文献1〜3には、微粒子を懸濁させた水溶液滴を用いて、液滴径1mm以上のマクロ液滴の蒸発過程における微粒子の挙動を観察した結果が報告されている。同文献では、リングを形成する原因は接触線が蒸発過程で固定されること、および液滴中央部よりも接触線付近の蒸発速度が大きいことであると報告している。そのため、接触線付近で失われた溶媒を補う流動が液滴内部に生じ、溶質が接触線方向に運ばれるため、接触線付近の溶質の濃度が高くなりリングが形成されると報告している。また、同文献では、溶質がリング状に堆積する一次元物質移動モデルを提案している。このモデルにおいては、液滴自由表面の境界値問題として、蒸発速度分布を与える必要がある。ここでは、液滴自由表面の境界値問題が楔形の2平板で構成するコンデンサ内の電磁気学の境界値問題と同一であると仮定し、液滴自由表面の蒸発速度分布を初期の液滴接触角で決まる指数関数で与えている。
非特許文献4では、薄膜形成に及ぼす基板温度、溶質濃度および液滴体積の影響について、二次元有限要素法による熱伝導解析により推算した自由表面の蒸発速度分布を1次元物質移動モデルに加え、薄膜形成の理論解析を行い、実験と比較検討している。また、同文献では、流動・伝熱・物質移動を考慮した2次元物質移動モデルにより厳密な理論解析を行い実験と比較検討している。これによれば、基板温度と蒸発潜熱により液滴内部に生じる温度勾配が、液滴高さの高い液滴中心付近と高さの低い接触線付近で異なることに起因して、液滴表面温度に分布を生じるために、液滴表面に蒸発速度分布を生じる。基板温度が高くなるとともに、液滴内部に生じる接触線に向かう移流速度は大きくなり、溶質が接触線方向により多く輸送され、リングの幅が狭くなり、リングの高さが高くなる。加えて膜形状制御の可能性についても触れており、蒸発速度分布を変化させると形状の異なる薄膜を生じることを示している。このように比較的濡れの良い基板上におけるリングの形成過程については十分な検討がなされているが、リングの形成を抑制し、厚みが均一な薄膜を形成する過程については十分な検討がなされていない。
また、蒸発過程の液滴内部に生じる流動の原因の1つにMarangoni対流が考えられている。この対流を薄膜形成に利用する研究も行われている.
例えば、非特許文献5には、エチルアセテートを主溶媒とする高分子溶液に不揮発性の溶媒(アセトフェノン)を少量混合した溶液を用い、成膜実験を行った結果が報告されている。この結果では、不揮発性溶媒であるアセトフェノンを少量混合した場合には、液滴の接触線が大きく後退し、ドット状の薄膜を形成した。一方、不揮発性の溶媒を混合しなかった場合は、リング状の薄膜であった。同文献では、この接触線の後退を蒸発により接触線部のアセトフェノン濃度が上昇したことによるMarangoni対流の影響であると考察しており、二成分溶媒の高分子溶液滴において、蒸発により液滴自由表面上の溶媒成分が一様でなくなると、溶媒の濃度分布により表面張力差が生じその勾配によりMarangoni対流が誘起されるとし、この対流による攪拌効果により、接触線固定のタイミングが遅れドット状の薄膜を生じると結論付けている。
また、非特許文献6では、親液性基板上において、水とホルミアミドの二成分溶媒にシリカを混合した液滴を用い、溶媒間の表面張力差を利用したMarangoni対流を利用することで、シリカの単一膜を得ることができると報告している。ここでは、二成分溶媒の組み合わせにより、Marangoni対流に2つの方向があると考えている。そして、液滴中心部で上昇流を伴う循環流では、リング形成を促進するとし、下降流を伴う循環流では、リング形成を抑制するとしている。しかし,この実験では固体のシリカを使用しており、高分子溶液滴についての十分な検討はなされていない。
非特許文献7、8では、水およびオクタン液滴を用いて、懸濁法による実験および数値解析によってMarangoni対流に関する検討を行なっている。同文献には、基板上の純溶媒液滴では液滴頭頂部が最も冷却されるため、気液界面に沿って上昇するMarangoni対流が生じること、界面活性剤の影響を受けにくいオクタン純溶媒液滴では実験と数値解析とで流動が一致し、リング形成が抑制されているが、界面活性剤の影響を受けやすい水滴では実験のMarangoni対流が弱くなり、リング形成の抑制効果が小さくなることが判明したことが記載されている。そして、この結果より、界面活性剤のないきれいな界面に生じるMarangoni対流が、リングの形成を抑制すると結論付けられている。
非特許文献9では、インクジェット装置を使用し、径20〜300μmのポリスチレン−キシレン溶液滴を用い、接触角が大きな接触線の後退を伴う液滴の薄膜形成過程に関する研究を行っている。ここでは、接触線の固定にかかる時間、接触線固定時の平均溶質濃度、蒸発速度が薄膜形状に及ぼす影響について、実験的な検討を行っており、蒸発速度が小さいほど薄膜はリング状からドット状になること、液滴の自由表面における溶質の移動には、対流だけではなく、拡散も重要な因子になることなどを報告している。
また、非特許文献10では、インクジェット成膜法における2成分溶媒のリング抑制効果を検討するために、非特許文献5の追実験を行い、詳細な検討を加えている。この報告によると、蒸発初期に溶媒濃度分布に起因するMarangoni対流が液滴内を攪拌し,溶質濃度を均一にしながら後退する。そして、低沸点溶媒の蒸発完了後には、溶質濃度分布が一様な高粘度液滴となっており、接触線固定時における液滴粘度が高くなるため、ドット状の薄膜が形成されると結論付けている。また、同文献では、初期粘度が高い場合においても、同様にリング状ではなくドット状薄膜となることを報告している。
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このように、液滴からの薄膜形成過程で生じるリング形成については、様々な研究が見受けられる。しかしながら、いずれもリング形成の原因となるファクターを検討したに留まっており、例えば配線パターンの形成に用いられる導電性の微粒子分散液について、配線パターンを効果的に微細化しうる最適な組成は見出されていない。一方、プリンタブルエレクトロニクスの分野で、従来から用いられている微粒子分散液は、形成される配線の線幅がどうしても広くなり、線幅が安定しないといった問題があり、配線パターンの微細化に限界があるのが実情である。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、微細な配線パターンを均一な線幅で形成することができる微粒子分散液を提供することを目的として検討を進めた。また、そのような微粒子分散液を用いることにより、微細で均一な配線パターンを提供すること、および、そのような配線パターンを形成しうる配線パターンの形成方法を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、微粒子分散液に特定の表面調整剤を添加することにより、微細なパターンの薄膜が均一な線幅で形成できることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 微粒子と表面調整剤を含有する微粒子分散液であって、
前記表面調整剤は、シロキサン結合を含む繰り返し単位を有するポリシロキサン鎖か、(メタ)アクリルポリマー鎖の少なくとも一方のポリマー鎖を有し、かつ、そのポリマー鎖の側鎖および末端の少なくともいずれかに親水性基を有する、微粒子分散液。
[2] 前記表面調整剤が、前記ポリマー鎖としてポリシロキサン鎖を有する[1]に記載の微粒子分散液。
[3] 前記表面調整剤が、下記一般式(1)で表される化合物である[1]に記載の微粒子分散液。
[一般式(1)において、R〜Rは、各々独立に置換基を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つは親水性基である。分子内に存在する複数のRおよび複数のRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。nは、3〜50の整数である。]
[4] R〜Rの少なくとも1つが、(メタ)アクリルポリマー鎖を含む[3]に記載の微粒子分散液。
[5] 分子内に存在する複数のRの一部または複数のRの一部が親水性基である[3]または[4]に記載の微粒子分散液。
[6] 前記親水性基は、下記一般式(2)で表される基である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
一般式(2)
−(O−R
[一般式(2)において、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であり、mは20〜30の整数である。]
[7] 一般式(2)のRは、エチレン基である[6]に記載の微粒子分散液。
[8] 増粘剤を、さらに含有する[1]〜[7]のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
[9] 前記増粘剤は、ジエチレングリコールである[8]に記載の微粒子分散液。
[10] 前記微粒子は、金属微粒子である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
[11] 前記微粒子は、導電性を有する微粒子である[1]〜[10]のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
[12] 配線パターンの形成に用いられる[11]に記載の微粒子分散液。
[13] [11]に記載の微粒子分散液を用いて形成されたことを特徴とする配線パターン。
[14] [11]に記載の微粒子分散液を配線パターン形成面に供給して塗膜を形成する工程と、該塗膜を乾燥することで導電層を形成する工程を有することを特徴とする配線パターンの形成方法。
[15] 前記微粒子分散液の供給方法が、インクジェット法である[14]に記載の配線パターンの形成方法。
本発明の微粒子分散液によれば、微細なパターンの薄膜を均一な線幅で形成することができる。例えば、微粒子分散液の微粒子として導電性微粒子を用いた場合には、微細な配線パターンを形成することができる。こうして形成された配線パターンは各種電子機器の配線として好適に用いることができる。
表面調整剤溶液における表面調整剤の濃度と表面張力の関係を示すグラフである。 young式における力の釣り合いを示す模式図である。 化合物4−1を0.05質量%含む微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物4−1を0.05質量%含む微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物3−2を0.05質量%含む微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物3−2を0.05質量%含む微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物4−1を0.1質量%含む微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物4−1を0.1質量%含む微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物3−2を0.1質量%含む微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物3−2を0.1質量%含む微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 表面調整剤を添加していない微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 表面調整剤を添加していない微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物4−1とジエチレングリコールを含む微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 化合物4−1とジエチレングリコールを含む微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 ジエチレングリコールを含み、表面調整剤を含まない微粒子分散液を滴下間隔30μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 ジエチレングリコールを含み、表面調整剤を含まない微粒子分散液を滴下間隔50μmのストライプ状に描画することで形成された配線の断面形状を示す図および平面形状を示す写真である。 実施例3におけるベーク後放置の有無による配線線幅の変化を示す写真である。 実施例3におけるベーク後放置の有無による配線線幅の変化を示す写真である。 実施例6におけるベーク後の配線表面クラックの有無を示す写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(微粒子分散液)
本発明の微粒子分散液は、微粒子と表面調整剤を含有する。その表面調整剤は、シロキサン結合を含む繰り返し単位を有するポリシロキサン鎖か(メタ)アクリルポリマー鎖の少なくとも一方のポリマー鎖を有しており、かつ、そのポリマー鎖の側鎖および末端の少なくともいずれかに親水性基を有するものである。本発明において「親水性基」とは、水との間に水素結合を形成しうる基のことをいい、「表面調整剤」とは、金属微粒子分散液の物性(粘度、表面張力、接触角等)を変化させる作用を有するものをいう。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」という表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念である。
この微粒子分散液は、薄膜形成面に供給された後、乾燥されることで薄膜となるものである。ここで、本発明の微粒子分散液は、上記の表面調整剤が含まれていることにより、薄膜形成面に滴下されたとき、その濡れ広がりが効果的に抑えられる。このため、この微粒子分散液を用いることにより、目的とする薄膜のパターンが微細な場合でも、そのパターンを精密に反映した薄膜を均一な線幅で形成することができる。ここで、この微粒子分散剤の液滴が濡れ広がり難いのは、液滴に含まれる表面調整剤の親水性基同士が互いに凝集するように作用して固液間(膜形成面と金属微粒子分散液間)の表面張力γSLが上昇し、液滴の接触角が増加したことによるものと推測される。
本発明の微粒子分散液に用いられる表面調整剤は、少なくともポリシロキサン鎖を有するものであることが好ましい。なかでも、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1)において、R〜Rは、各々独立に置換基を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つは親水性基である。分子内に存在する複数のRおよび複数のRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。
〜Rは、全てが親水性基であってもよいし、その一部が親水性基であってもよいが、RおよびRの少なくともいずれかは親水性基であることが好ましい。また、分子内に存在する複数のRおよび複数のRは、それぞれ、その全てが親水性基であってもよいし、その一部が親水性基であってもよいが、その一部が親水性基であることが好ましい。
〜Rがとりうる親水性基は、下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン構造を有する基であることが好ましい。
一般式(2)において、Rは炭素数2〜3のアルキレン基であり、mは20〜30の整数である。
〜Rがとりうる置換基は、特に限定されない。置換基は、繰り返し単位を有するポリマー鎖を含む基であってもよいし、繰り返し単位を有さない基であってもよい。繰り返し単位を有するポリマー鎖としては、(メタ)アクリルポリマー鎖を挙げることができる。(メタ)アクリルポリマー鎖は、親水性基をその側鎖および末端の少なくともいずれかに有するものであってもよい。また、繰り返し単位を有するポリマー鎖として、ポリシロキサン鎖を挙げることもできる。そのようなポリシロキサン鎖も、親水性基をその側鎖および末端の少なくともいずれかに有するものであってもよい。さらに、繰り返し単位を有するポリマー鎖は、(メタ)アクリルポリマー鎖とポリシロキサン鎖が連結したものであってもよい。そのような連結鎖も、親水性基をその側鎖および末端の少なくともいずれかに有するものであってもよい。
繰り返し単位を有さない置換基としては、例えば置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができる。アルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。ここでいうアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。アルキル基としては、エチル基またはメチル基であることがさらに好ましい。
nは、3〜50の整数であり、3〜30であることがより好ましい。
好ましい表面調整剤としては、下記一般式(3)および(4)で表される化合物を挙げることができる。これらは市販品として、入手することができる。例えばBYK307、BYK348(いずれも、ビックケミー・ジャパン社製)を挙げることができる。
一般式(1)で表される表面調整剤において、下記一般式(3)および(4)で表される化合物がより好ましく用いられる。

一般式(3)において、Alkylene oxide chainとは、一般式(2)に示したポリオキシアルキレン構造の繰り返しユニットを含む基を表し、好ましくはエチレンオキシド鎖を表す。Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。nは3〜100の整数であり、3〜50であることがより好ましい。
一般式(4)において、Alkylene oxide chainとは、一般式(2)に示したポリオキシアルキレン構造の繰り返しユニットを含む基を表し、好ましくはエチレンオキシド鎖を表す。Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。x、y、zはそれぞれ整数を表し、xは1〜10、yは0〜10、zは0〜10を表す。xは1〜3、yは0〜3、zは0〜3を表す。yとzは同時に0でない。
本発明で好ましく用いられる表面調整剤は代表的には以下の構造を有する。
一般式(3)で表される例示化合物
(3−1) R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約40のエチレンオキシド鎖
n=約20
(3−2) R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約50のエチレンオキシド鎖
n=約40
(3−3) R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約10のエチレンオキシド鎖
n=約20
(3−4) R=エチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約20のエチレンオキシド鎖
n=約20
(3−5) R=プロピル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約50のエチレンオキシド鎖
n=50
一般式(4)で表される例示化合物
(4−1)R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約10のエチレンオキシド鎖
x=1,y=1,z=1
(4−2)R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約20のエチレンオキシド鎖
x=1,y=1、z=0
(4−3)R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約40のエチレンオキシド鎖
x=1,y=2,z=2
(4−4)R=プロピル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約20のエチレンオキシド鎖
x=1,y=1,z=1
(4−5)R=メチル基
Alkylene oxide chain=エチレンオキシドユニット数が約50のエチレンオキシド鎖
x=2、y=20、z=20
本発明に含まれる表面調整剤は、種々のメーカーから市販品として入手することが可能であり、ビックケミー・ジャパン社、東芝シリコーン社、信越化学社等の製品を挙げることができる。例えば、ビックケミー・ジャパン社の、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン変性表面調整剤等を用いることができる。
微粒子分散液における表面調整剤の含有量は、溶質である微粒子に対して0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。微粒子分散液における表面調整剤の含有量は、溶媒に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜4質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましく、0.3〜2質量%であることがさらにより好ましい。
本発明の微粒子分散液に含まれる微粒子としては、無機微粒子であってもよいし、有機微粒子であってもよいが、無機微粒子であることが好ましい。無機微粒子としては、各種の金属、合金、または金属酸化物等の、金属原子を含有する材料からなる微粒子(金属微粒子)を好適に用いることができる。また、例えば、配線パターン形成用の微粒子分散液では、プリンタブルエレクトロニクスの分野で通常用いられる導電性微粒子がいずれも使用でき、中でも金、銀、パラジウム、銅やインジウムスズ酸化物、亜酸化銅(CuO)の微粒子を用いることが好ましい。
微粒子の粒径は、特に限定されないが、ナノメーターオーダー(1〜数百nm)であることが好ましい。ここで、本発明における微粒子の粒径は、光散乱法等の市販の粒径分布測定器で測定される平均粒径のことをいう。
微粒子分散液における微粒子の含有量は、微粒子分散液の用途や用いる塗布プロセスによっても異なるが、1〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
本発明は、これらのナノ粒子に限らず、銀ナノワイヤ等の粒子状の形状を持たないナノ材料の分散液を塗布する場合も有効に機能する。
金属微粒子分散液の分散媒としては、特に限定されず、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、テトラデカン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒および水が挙げられ、これらの混合溶媒も使用できる。
微粒子分散液には、以上に説明した成分の他に、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、増粘剤等を挙げることができる。増粘剤としては、例えばジエチレングリコール等のグリコール系増粘剤を挙げることができる。微粒子分散液に増粘剤を添加することにより、その粘度が増大し、形成される薄膜の平坦性を顕著に高めることができる。
(配線パターンおよびその形成方法)
本発明の配線パターンは、本発明の微粒子分散液であって、微粒子として導電性微粒子を含む微粒子分散液を用いて形成されたものである。この配線パターンは、上記のように、本発明の微粒子分散液が濡れ広がり難い特性を有することにより、設定されたパターンが微細である場合でも、そのパターンを精密に反映した均一な線幅で形成されている。このため、この配線パターンは、各種電子部品の配線パターンとして好適に用いることができる。
配線パターンは、具体的には、本発明の微粒子分散液を配線形成面に供給し、乾燥することによって形成することができる。
微粒子分散液の供給方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法のような塗布法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法のような印刷法等が挙げられ、中でも印刷法を用いることが好ましく、インクジェット法を用いることがより好ましい。
配線形成面は、配線を形成する面を意味しており、配線を形成することが可能な面であればその種類は特に制限されない。典型的な配線形成面は基板表面である。基板の材質は、通常用いられる基板の材質の中から適宜用途に応じて選択することが可能であり、例えば、ガラス、ITO(インジウム錫オキシド)、シリコン等の無機物からなる基板、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)などに代表される高分子からなる基板を挙げることができるが、これに限定されるものではなくフィルムで供給されるすべての高分子基板にも適用可能である。
配線パターンは、例えば基板上の配線を形成したい領域にインクジェット法等の供給方法により本発明の微粒子分散液を供給することに形成することが可能である。本発明の微粒子分散液を用いれば、用いなかった場合に比べて線幅の拡大を著しく抑えることができるため、意図した線幅を容易に実現することができる。
配線パターンは、基板上にあらかじめ本発明の微粒子分散液に対する濡れ性が高い領域をパターン状に形成しておき、そのような濡れ性の高い領域上に本発明の微粒子分散液が集積するようにすることもできる。本発明の微粒子分散液に対する濡れ性が低い基板を使用するときには、基板上に本発明の微粒子分散液に対する濡れ性が高い領域をパターン状に形成して用いることができる。逆に、本発明の微粒子分散液に対する濡れ性が高い基板を使用するときには、基板上に本発明の微粒子分散液に対する濡れ性が低い領域をネガパターン状に形成して用いることができる。ここでいうネガパターン状に形成するとは、微粒子分散液を存在させたい領域を除く領域に形成することをいう。パターンの形成は、例えば光硬化性樹脂溶液を基板上にスピンコートして、紫外線等でパターン状に露光した後に可溶性領域を溶剤で洗い流す等の方法により行うことができる。一例をあげるとフッ素で置換された自己組織化材料を基板に塗布し光で微細パターニンされた基板を用いた場合、本発明の微粒子分散液を用いることにより吐出された液滴が親液、撥液領域にまたがって塗布された場合でも撥液領域から親液領域に液滴が集合しパターニングされた領域に従って配線を描画することを可能とするものである。
薄膜形成面に供給された微粒子分散液の乾燥温度は、20〜300℃であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましい。微粒子分散液の乾燥時間は、1〜60分であることが好ましく、2〜20分であることがより好ましい。
このような乾燥は、特に高温で行う場合はベークと呼ばれる。従来の微粒子分散液を用いて配線パターンを形成した後にベークを行うと、配線パターンを形成してからベークするまでの時間経過によって、ベーク後の配線が著しく太くなってしまうという課題があった。本発明の微粒子分散液を用いれば、配線パターンを形成してからベークするまでの時間によって、ベーク後の配線が太くなる影響を抑えることが可能である。このため、本発明の微粒子分散液を用いれば、配線パターン形成からベークまでの一連の作業をゆとりをもって行うことができ、製造設備のコストを抑え、歩止まりを上げることが可能である。
また、本発明の微粒子分散液を用いて配線を形成すれば、ベーク後の配線表面のクラックを抑え、配線の比抵抗を低くすることが可能であるという利点もある。従来は、ベーク後に配線表面にクラックが観測され、その影響で導電パスが制限されて配線の比抵抗が高くなってしまうという課題があった。本発明の微粒子分散液を用いて配線を形成すれば、ベーク後のクラック発生を抑えることが可能になり、導電面積を大きくすることができるため、比抵抗を低くすることが可能である。このため、本発明の微粒子分散液を用いれば、高品質な配線を効率よく形成することができるという利点がある。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<実験に用いた材料>
本実施例では、溶媒としてγ−ブチロラクトン(GBL)を用い、金属微粒子として亜酸化銅(CuO)ナノ粒子(粒径10〜20nm)を用い、表面調整剤として、シロキサン系表面調整剤である化合物4−1、化合物3−2(いずれも、ビックケミー・ジャパン社製)を用いた。γ−ブチロラクトンの物性値は、蒸気圧200Pa、表面張力43.3mN/m、粘度1.7mPa・s、密度1131kg/mである。化合物4−1は側鎖にポリオキシエチレン鎖を有するシロキサン系化合物であり、化合物3−2は末端にポリオキシエチレン鎖を有するシロキサン系化合物であり、本発明の要件を満たす表面調整剤である。
<表面張力の測定>
濃度が異なる表面調整剤溶液の表面張力を測定した。
γ−ブチロラクトンに表面調整剤を溶解して、表面調整剤の溶液を調製した。表面調整剤として、化合物3−2と化合物4−1を用いた。各化合物について、初期表面調整剤濃度を0、0.05、0.1、0.5質量%と変えた溶液を調製した。溶液調整のための質量の測定には、電子天秤(A&D社製、商品名ER182A、最小秤量0.00001g)を使用した。これら表面調整剤の各溶液について、それぞれ表面張力の測定を3回行い、その平均値をとった。表面張力の測定は、表面張力計のサンプルカップと接続した恒温槽(アズワン)を25℃に設定した後、30分以上置いてから行った。
表面張力の測定には、自動表面張力計(協和界面科学社製、商品名CBVP−Z)を使用した。この装置での計測方法には、白金プレート法とリング法とがあるが、本実験では白金プレート法を採用した。白金プレート法は、プレートを側面から試験液に漬けて,引き出す際に生まれる表面張力(試験液中に引き込まれる力)を計測する方法である。本装置の特徴として、試験液の表面状態を変化させないため、粘度の高い液体や界面活性剤水溶液などでも測定できることや、経時変化の測定ができることが挙げられる。本装置も粘度計と同様、サンプルカップと恒温槽とが接続可能であり、温度制御ができる。
表面張力の測定結果を図1に示す。図1に示すように、表面調整剤濃度ともに表面張力は低下した。化合物3−2を表面調整剤として用いた場合は、濃度増加に伴って表面張力はほとんど低下しなかったが、化合物4−1を表面調整剤として用いた場合は、濃度増加に伴って表面張力は低下した。これは、化合物4−1が化合物3−2と比べて分子量が小さくて溶解性が高いため、気液界面に配向しにくいためであると考えられる。
<接触角の測定>
金属微粒子分散液中に表面調整剤を添加することによる接触角の変化を測定した。金属微粒子分散液として、亜酸化銅(CuO)ナノ粒子をγ−ブチロラクトンに分散させた分散液を用いた。この分散液に、表面調整剤として化合物4−1または化合物3−2を溶媒に対して0.05質量%の濃度で添加した金属微粒子分散液と、添加していない金属微粒子分散液を用意して測定を行った。各金属微粒子分散液を、インクジェットノズルを用いてUVO処理を行ったガラス基板上に1滴ずつ吐出して、滴下後の濡れ径から表面調整剤の添加による接触角の変化を検討した。
測定は、ノズル径25μmのインクジェットヘッド(CLUSTER TECHNOLOGY社製、商品名Pulse Injector)を用いて、インクジェット装置(CLUSTER TECHNOLOGY社製、商品名Desk Viewer)により行った。この装置を用いれば、液滴を着滴させたいワークをステージ上面のワーク固定台にのせ、ステージコントローラを制御することにより、ステージを前後左右に移動させることができる。液滴飛翔状態や着滴状態の観察は、USBカメラにより行い、パソコン画面上で確認を行った。
測定した結果、表面調整剤を添加した金属微粒子分散液の滴下後の濡れ径は、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液の滴下後の濡れ径よりも縮小していた。これは表面調整剤の添加によって接触角が高くなったことを示している。
平滑基板上における液滴の接触角は、youngの式における力の釣り合いで説明される。図2にyoungの式における力の釣り合いの図を示す。一般的な溶液は,液体の表面張力が小さいほど接触角も小さくなる。上記の表面張力の測定結果(図1)から、いずれの表面調整剤を用いた場合も、表面調整剤の濃度とともに表面張力は低下した。表面調整剤の種類によって、表面張力と接触角の変化に違いがあることについて、表面調整剤の分子構造から次のように考察した。化合物4−1はポリエチレンオキシド鎖を構造内に持ち分子量が小さい。化合物3−2はポリエチレンオキシド鎖が末端についており、分子量は化合物4−1に比べ大きい。シロキサン基およびエチレンオキシド単位は親水的な性質を持ち、アラルキル基は疎水的な性質を持つ。化合物4−1を添加した場合、ポリエチレンオキシド鎖が液滴内で凝集する力が働き、固液間の表面張力γSLが上昇するため、接触角が大きく上昇したと考えられる。
<金属配線パターンの形成>
次に、金属微粒子分散液を親液性ガラス基板に描画することで金属配線を形成し、表面調整剤の種類、初期表面調整剤濃度、および粘度が配線の外形および配線断面形状に及ぼす影響について検討した。
金属微粒子分散液の描画には、上記の物性値の測定で用いたのと同様のインクジェット装置(CLUSTER TECHNOLOGY社製、商品名Desk Viewer)を用いた。ここでは、Desk Viewer専用ソフトウェア(CLUSTER TECHNOLOGY社製、商品名Desk Designer)上で描画パターンを作成し、コントローラの内部メモリに一旦データを転送した後、PCからの指令でプログラムデータを実行する内部プログラム描画という方法を用いた。
配線断面形状の測定および配線外形の撮影には、超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE社製、商品名VK−8510)と触針式表面形状測定装置(ULVAC社製、商品名DEKTAK 6M)を使用した。この超深度形状測定顕微鏡は、物体の表面形状を3次元で走査できるレーザ顕微鏡である。半導体レーザの波長は685nmであり、レーザの光学系は共焦点系である。測定原理は次の通りである。まず、対象物上の一点上に、対物レンズを通してレーザを鉛直に照射する。屈折率の異なる界面があればレーザは反射する。反射光の強度を受光素子により測定する。対物レンズを最小0.01μmピッチで上下させ、各対物レンズ位置で反射光の強度を測定すれば、反射光強度の鉛直分布が得られる。反射光強度が最大となる位置が、界面位置である。以上の界面位置特定法を、2次元に走査することで、3次元表面形状を得ることができる。測定時の鉛直方向最小分解能は0.01μmである。最大測定範囲は295μm×221μmである。一連の測定は、画角、分解能、入射光量、測定モード等の測定条件を入力すれば自動で行うことができる。また、ハロゲンライトを有しており、通常の実体顕微鏡として使用することもできる。実体顕微鏡として使用する場合、最大測定範囲は1479μm×1109μmである。一方、触針式表面形状測定装置は、ダイヤモンドの触針の下で精密な基準表面上を、サンプルステージが直線的に移動することで2次元のサンプル表面形状を物理的に測定するものである。サンプル表面の変化は触針の垂直方向の動きに交換され、差動トランスにより検出される。検出された信号は、積算型のA−Dコンバータによってアナログからデジタルに変換される。デジタル化された信号はコンピュータのメモリに保存され、水平調整・拡大などのデータ処理を行った後、表面状態がモニタに表示される。触針の先端半径は12.5μmで、60°の角度で太くなっている。触針圧は1〜15mgの範囲でプログラムでき、50〜30000μmの測定距離を300点/sで計測できる。最大サンプリングデータ数は60000点である。
質量量計としては、電子天秤(ER182A社製、商品名AND、最小秤量0.00001g)を用いた。また、ガラス基板には、UVオゾンクリーナー(Filgen社製、商品名UV253)を適用した。この装置は、極短波長(185nm)の光により酸素からオゾンを発生させ、短波長(254nm)の光がもつ化学結合解離効果との組み合わせにより、基板に付着している有機汚染物質を除去する仕組みになっている。発生したオゾンはオゾンキラー(Filgen社製)により分解した。
実験を行う前に、水平器を用いてステージ上の水平を確認した。ダスターを用いて実験装置周辺およびステージ上の埃を取り除いた。雰囲気温度を25℃に設定して60分ほど放置することで雰囲気温度が一定になるようにした。インクジェットヘッドをインクジェットドライバーに接続し、インクジェット装置のPIJ固定金具にスライドさせ挿入し、固定ねじを締め付け固定した。また、インクジェットドライバーの駆動波形はB、繰り返し周波数は1000Hzに固定して実験を行った。ステージの移動速度も同様に1500μm/sに固定して描画を実行した。実験開始前に有機汚染物質を除去するため、使用するガラス基板をUVオゾンクリーナーに入れ、UVO処理終了後30分以内に描画を開始できるように実験準備を行った。
溶媒としてγ−ブチロラクトン(GBL)を用い、金属微粒子として亜酸化銅(CuO)ナノ粒子(粒径10〜20nm)を用い、表面調整剤として化合物3−2と化合物4−1を用いて金属微粒子分散液を調製した。ここで、表面調整剤の濃度は、溶媒に対して0質量%、0.05質量%または0.1質量%とした。また、これらと同じ組成の分散液に、増粘剤としてジエチレングリコールを配合した金属微粒子分散液も調製した。
調製した各金属微粒子分散液を用いて、下記の手順により、インクジェットノズルにより30μmまたは50μmの滴下間隔で金属配線を3本形成した。
(1)フィルターを通してシリンジに金属微粒子分散液を吸い上げた。
(2)シリンジをカートリッジに接続し、金属微粒子分散液を充填した。
(3)金属微粒子分散液を充填しシリンジを接続したカートリッジを、PIJに接続した。
(4)カートリッジのチューブ内に気泡がないことを再度確認し、接続したシリンジでカートリッジ内の金属微粒子分散液を押し出してPIJに導入した。押し出し速度は金属微粒子分散液がカートリッジのチューブ内を1mm/sで進む程度で押し出した。
(5)ノズルから金属微粒子分散液が出たことを確認して、カートリッジからシリンジを静かに外した。PIJとカートリッジが水平になるようにヘッドを固定した。ノズルから金属微粒子分散液が出ていれば、溶媒で湿らせたキムワイプでノズル面を軽く拭って除いた。
(6)未処理のガラス基板上に金属微粒子分散液を連続吐出し、吐出状態を観察しながら、適当な吐出状態が得られるようにVoltageを変化させた。
(7)適当な吐出状態が1〜2分保たれれば、連続吐出を停止し、USBカメラでノズル表面とワーク表面の 位置を確認しながら着滴距離を調節した。
(8)UVオゾンクリーナーから取り出したUVO処理後のガラス基板を未処理のガラス基板と入れ替え、予備吐出後、基板上に液滴間隔30μm、50μmで配線パターンを描画した。
(9)ガラス基板をホットプレート(ASONE社製)にて130℃で10分間ベークした。
(10)VK−8510またはDEKTAK 6Mで配線の外形および配線断面形状を測定した。
形成した各金属配線の断面形状および平面形状の測定結果を図3〜図16に示す。ここで、各図において、A、Bは、それぞれ、3本の金属配線のいずれかを表しており、観測箇所が異なる。
これらの測定結果から、表面調整剤種類の及ぼす影響、表面調整剤初期濃度の及ぼす影響、粘度の及ぼす影響を評価した。
図3〜図10に示す化合物4−1または化合物3−2を添加した微粒子分散液の測定結果と図11、12に示す表面調整剤無添加の微粒子分散液の測定結果との比較から、表面調整剤の添加により配線幅を縮小させられることがわかった。また、表面調整剤の種類によって配線幅の縮小に差があることがわかった。これは表面調整剤の添加によって接触角が大きくなったために、それにともなって配線幅が縮小したものであると考えられる。化合物3−2を0.05質量%添加した場合よりも、化合物4−1を0.05質量%添加した場合の方が配線幅が縮小したのは、上記の接触角の測定のところでも説明したように、化合物3−2においても化合物4−1と同様に接触角を上げるが、直鎖が長く、エチレンオキシドの構造に占める割合が小さいために、化合物4−1と比べ接触角の上昇が小さくなったためであると考えられる。
また断面形状においては、表面調整剤を添加することで、リング形状を抑制することができた。従来の研究による平滑基板上における成膜実験においては、接触角が大きいほどリング形状が抑制されることが知られている。しかしながら最も配線幅が縮小した化合物4−1の0.05質量%においてもリング形状の配線が形成された。従来の研究によって、接触角同様、粘度が大きいほどリング形状が抑制されることも知られており、これは増粘剤を添加していない系では粘度が小さかったため、粘度の影響を大きく受けたと考えられる。
また、表面調整剤の添加により配線幅の縮小とともに配線幅のばらつきが少なくなり安定した。これは、表面調整剤が界面に配向することでレベリング剤として働いたと考えられる。同時に形成された金属配線表面の平滑性が向上していることも確認できた。
図7〜図10は、化合物3−2、化合物4−1の初期添加濃度を0.1質量%にした金属配線の測定結果である。物性変化から液量の変化が見られたが、配線断面形状は依然リング形状であり、初期添加濃度が0.05質量%の場合と傾向は変わらなかった。塗装用として表面調整剤を用いる場合において、表面調整剤濃度を高くすると、臨界ミセル濃度に達することによって溶質や粒子が凝集するということがおきる。それぞれ表面調整剤を0.1質量%添加して形成した配線の拡大画像からも0.05質量%添加時には見られなかった粒子が観察されたため、0.1質量%添加した場合、臨界ミセル濃度に達してしまい、表面調整剤の添加による影響が0.05質量%添加時と変わらなかったと考えられる。この結果から、表面調整剤の添加濃度を0.05質量%に固定し、増粘剤を配合した金属微粒子分散液を用いて、下記の金属配線の形成実験を行った。
図13〜図14から示されるように、増粘剤を添加した系においても、化合物4−1を0.05質量%添加することで、平坦な断面形状をもつ配線を形成することができた。接触角および粘度を大きくすることでリング形状を抑制できたと考えられる。また配線表面の平滑性も向上しており、表面調整剤のレベリング効果も確認できた。
本実験から、金属微粒子分散液に添加する表面調整剤の種類、初期添加濃度を調整することで金属配線の細線化が可能であり、粘度を最適化することで平坦な断面形状をもつ金属配線を形成することが可能であることが示された。
以上のように、微粒子分散液に表面調整剤を添加すると、その添加濃度に応じて接触角が変化した。表面調整剤の種類によって表面張力を下げるとともに,接触角を大きくすることもできた。また、微粒子分散液に表面調整剤を添加することで、形成した金属配線の配線幅を縮小し、細線化を可能にした。さらに、表面調整剤のレベリング効果により,配線幅が安定化するとともに,配線表面の平滑性が向上した。これらの結果から、表面調整剤の種類、添加濃度および粘度を最適化することで、平坦な断面形状をもつ配線を形成できることが示された。
[実施例2]
実施例2では、銀ナノ粒子と混合溶媒を用いた場合について検討した。
<手順>
実施例2においては、溶媒として水と有機溶媒を混合した溶媒を用い、金属粒子として銀ナノ粒子(DIC株式会社、JAGLT-01)を用いた。この粒子分散液に、本発明の表面調整剤(化合物4−1)を0.05質量%添加し、実施例1と同様な系にて、液滴滴下間隔50μm、100μmにてライン上に塗布を行った。なお、比較のため、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液も用意して同様に塗布した。
<結果>
その結果、50μmの滴下間隔の条件では、表面調整剤無添加のサンプルは線幅が120μmであったのに対し、本発明の表面調整剤を添加したサンプルは70μmとより細い線幅のパターンが得られた。滴下間隔100μmの条件では表面調整剤無添加のサンプルは液滴がつながらずにドット状に点在したのに対し、本発明の表面調整剤を添加したサンプルは液滴がつながったライン状のパターンが見られた。なお、50μmの滴下間隔で得られたラインの抵抗値をテスターにて測定したところ、表面調整剤の添加有無での差は見られなかった。
以上の結果から、本発明の表面調整剤を添加することにより線幅が細くなり微細な描画ができること、液滴のつながりが良化しよりスムーズなラインパターンが得られることが実証できた。
また、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子のどちらにおいても、表面調整剤として、アラルキル変性ポリメチルシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン社製、商品名BYK322)を用いることでも液滴の繋がりを良化し、よりスムーズなラインパターンを形成できることが確認できた。
[実施例3]
実施例3では、種々の表面調整剤を銀ナノ粒子とともに用いた場合について検討した。
<手順>
実施例3においては、溶媒としてテトラデカンを用い、金属粒子として銀ナノ粒子(ハリマ化成株式会社、商品名NPS−JL)を用いた。テトラデカンに銀ナノ粒子を分散させた分散液(銀含有量52.5質量%)に、表面調整剤として、化合物4−1、化合物3−2、化合物5(ジメチルシロキサン、分子量10万;信越化学株式会社製、商品名KF96)、または化合物6(ポリエチレンオキシド鎖とアクリルポリマー鎖の両方をシロキサン骨格に有する化合物;ビックケミー・ジャパン社製、商品名BYK3550)を溶媒に対して2質量%添加して、金属微粒子分散液とした。また、比較のため、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液も用意した。実施例1と同様に径25μmのノズルを用いた系で液滴滴下間隔50μmにてライン上に塗布を行った。塗布直後、または、室温(20℃)で2分間放置した後に、150℃で60分間ベークした。
<結果>
結果を図17および図18に示す。表面調整剤無添加のサンプルは、塗布直後にベークした場合は配線の線幅が460μmになり、塗布から2分後にベークした場合は線幅が600μm以上に広がった。これに対して、表面調整剤を添加したサンプルは、無添加のサンプルよりも線幅がいずれも細くなった。ポリアルキレンオキシド鎖を有する化合物4−1、化合物3−2、化合物6を添加したサンプルは、塗布直後にベークした場合の線幅が150μm以下、塗布から2分後にベークした場合の線幅が200μm以下であり、塗布後ベークするまでの時間による影響が小さかった。その中でも化合物3−2と化合物6を添加したサンプルは、塗布直から2分後にベークした場合の線幅が塗布直後にベークした場合の線幅とほとんど変わらず、いずれも80μm以下で好ましかった。化合物3−2は、いずれの場合の線幅も60μm以下で特に好ましかった。
塗布後ベークするまでの時間による影響を受けにくいことは、表面調整剤を添加した金属微粒子分散液の取り扱いが容易で、適用範囲や応用範囲が広いことを意味している。
[実施例4]
実施例4では、表面調整剤の濃度により影響について検討した。
<手順>
実施例4においては、溶媒としてテトラデカンを用い、金属粒子として銀ナノ粒子(ハリマ化成株式会社、商品名NPS−JL)を用いた。テトラデカンに銀ナノ粒子を分散させた分散液(銀含有量52.5質量%)に、表面調整剤として化合物4−1を溶媒に対して0.01質量%、0.10質量%、1.00質量%、2.00質量%添加して、金属微粒子分散液とした。また、比較のため、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液も用意した。実施例1と同様に径25μmのノズルを用いた系で液滴滴下間隔20μmにてライン上に塗布を行った。塗布直後に、150℃で60分間ベークした。
<結果>
その結果、化合物4−1を溶媒に対して0.01質量%添加したサンプルは、化合物を添加していないサンプルよりも配線の線幅が幾分小さくなっていることが確認された。化合物4−1を溶媒に対して0.10質量%添加したサンプルでは線幅は実用レベルに細くなり、化合物4−1を溶媒に対して1.00質量%または2.00質量%添加したサンプルではともに極めて細い線幅を達成した。1.00質量%でも2.00質量%でも線幅がほぼ同等であったことから、実施例4の条件で化合物4−1を表面調整剤として用いる場合は、溶媒に対して1.00質量%添加すれば十分であることが示された。
[実施例5]
実施例5では、ベーク後の比抵抗について検討した。
<手順>
実施例5においては、溶媒としてテトラデカンを用い、金属粒子として銀ナノ粒子(株式会社イオックス製)を用いた。テトラデカンに銀ナノ粒子を分散させた分散液(銀含有量52.5質量%)に、表面調整剤として化合物3−2を溶媒に対して0.50質量%添加して、金属微粒子分散液とした。また、比較のため、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液も用意した。実施例1と同様に径25μmのノズルを用いた系で塗布を行った。塗布直後に、150℃、180℃、210℃、240℃の各温度で60分間ベークした。
<結果>
ベーク後の配線表面の比抵抗を測定した結果を以下の表に示す。表から明らかなように、表面調整剤を添加することによって比抵抗は低下することが確認された。これは、表面調整剤を添加していないサンプルでは、ベーク後の表面にクラックが生じて導電パスが制限され、導電面積が小さくなっている一方で、表面調整剤を添加したサンプルでは、ベーク後の表面にクラックがほぼ認められず、導電パスの面積が増大しているためであると考えられる。
[実施例6]
実施例6では、ベーク後の表面クラックについて検討した。
<手順>
実施例6においては、溶媒としてテトラデカンを用い、金属粒子として銀ナノ粒子(株式会社イオックス製)を用いた。テトラデカンに銀ナノ粒子を分散させた分散液(銀含有量52.5質量%)に、表面調整剤として化合物3−2を溶媒に対して2.00質量%添加して、金属微粒子分散液とした。また、比較のため、表面調整剤を添加していない金属微粒子分散液も用意した。実施例1と同様に径25μmのノズルを用いた系で塗布を行った。塗布直後に、150℃で60分間ベークした。
<結果>
ベーク後の配線表面状態を観測した結果を図19に示す。表面調整剤を添加していないサンプルでは、ベーク後の表面にクラックが認められたが、表面調整剤を添加したサンプルでは、ベーク後の表面にクラックは認められなかった。
本発明の微粒子分散液によれば、平坦性が高く、微細な薄膜を形成することができる。このため、本発明の微粒子分散液を用いれば、平坦性が高く、微細な配線パターンを高コストな真空・フォトリソグラフィプロセスとエッチングプロセスによらずに形成することができる。このため、本発明は電子部品等の配線形成に効果的に利用することができ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (15)

  1. 微粒子と表面調整剤を含有する微粒子分散液であって、
    前記表面調整剤は、シロキサン結合を含む繰り返し単位を有するポリシロキサン鎖か、(メタ)アクリルポリマー鎖の少なくとも一方のポリマー鎖を有し、かつ、そのポリマー鎖の側鎖および末端の少なくともいずれかに親水性基を有する、微粒子分散液。
  2. 前記表面調整剤が、前記ポリマー鎖としてポリシロキサン鎖を有する請求項1に記載の微粒子分散液。
  3. 前記表面調整剤が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載の微粒子分散液。
    [一般式(1)において、R〜Rは、各々独立に置換基を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つは親水性基である。分子内に存在する複数のRおよび複数のRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。nは、3〜50の整数である。]
  4. 〜Rの少なくとも1つが、(メタ)アクリルポリマー鎖を含む置換基である請求項3に記載の微粒子分散液。
  5. 分子内に存在する複数のRの一部または複数のRの一部が親水性基である請求項3または4に記載の微粒子分散液。
  6. 前記親水性基は、下記一般式(2)で表される基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
    一般式(2)
    −(O−R
    [一般式(2)において、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であり、mは20〜30の整数である。]
  7. 一般式(2)のRは、エチレン基である請求項6に記載の微粒子分散液。
  8. 増粘剤を、さらに含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
  9. 前記増粘剤は、ジエチレングリコールである請求項8に記載の微粒子分散液。
  10. 前記微粒子は、金属微粒子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
  11. 前記微粒子は、導電性を有する微粒子である請求項1〜10のいずれか1項に記載の微粒子分散液。
  12. 配線パターンの形成に用いられる請求項11に記載の微粒子分散液。
  13. 請求項11に記載の微粒子分散液を用いて形成された配線パターン。
  14. 請求項11に記載の微粒子分散液を配線パターン形成面に供給して塗膜を形成する工程と、該塗膜を乾燥することで導電層を形成する工程を有する配線パターンの形成方法。
  15. 前記微粒子分散液の供給方法が、インクジェット法である請求項14に記載の配線パターンの形成方法。
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