JPWO2018074539A1 - 硬化膜の形成方法、感放射線樹脂組成物、硬化膜を備える表示素子及びセンサー - Google Patents

硬化膜の形成方法、感放射線樹脂組成物、硬化膜を備える表示素子及びセンサー Download PDF

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Abstract

現像性に乏しい硬化性組成物や着色剤等の不溶物を分散、含有している硬化性組成物を用いて効率的に硬化膜パターンを形成することである。さらに当該硬化膜の形成方法から得られた硬化膜パターンを具備する表示素子又はセンサーを提供することである。前記課題を解決するためになされた発明は、基板上に、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程、前記親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布する工程、前記塗膜を硬化させる工程及び、撥液性表面を含む層を除去する工程を備える硬化膜の形成方法である。撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層の形成に、酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む感放射線性組成物を用いていることで達成される。

Description

本発明は、硬化膜の形成方法、感放射線樹脂組成物、硬化膜を備える表示素子及びセンサーに関する。
表示素子や半導体素子等に使われるパターンの形成には感放射線性材料が用いた、フォトリソグラフィー法が広く用いられている。現像工程を有するフォトリソグラフィー法では、ネガ型であれば感放射線性材料の未露光部の除去を現像により行い、ポジ型であれば感放射線性材料の露光部の除去を現像により行う。
そのため、フォトリソグラフィー法に用いる感放射線性材料は現像液によって除去できる材料でなければ用いることができない。
一方、着色剤等を含む感放射線性である硬化性組成物は、表示素子、イメージセンサー等の形成に広く用いられているが、着色パターン形成においては、着色機能等を効率良く実現させる観点から、近年は着色剤等を高濃度にした硬化性組成物が求められている。
ここで、着色剤等が含まれている感放射線性である硬化性組成物では、感放射線性である硬化性組成物から形成される塗膜が着色しているため露光による放射線が十分に透過せず、塗膜下部の光反応が不十分になった結果、所望のパターン形状を形成できない等の問題があった。このような問題は、特に、露光による放射線を遮る高濃度の黒色剤や、高濃度の屈折剤が含まれている感放射線性である硬化性組成物で発生しやすい。
一方、プリンテッドエレクトロニクスにおいて用いられるインクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の各印刷法は、基板上に直接所望パターンを形成できるため、簡便で低コストな方法とされている。しかしながら、印刷法によるパターンの形成においては、使用するインク材料が流動して濡れ広がりやにじみが生じるため、微細なパターンを形成するには限界がある。
このような中、エネルギーの付与により表面エネルギーが変化する材料を用いた印刷法により積層パターンを形成する方法が提案されている(特開2015−15378号公報参照)。
しかし、上記方法は、パターンとなる濡れ性の高い領域の形成に高エネルギーのレーザー照射を行うものであり、効率性が良いとは言い難い。レーザーを用いる場合、例えば、パターンが複雑になるにつれて、走査経路が複雑になり、作業時間も長くなる。
また、上記方法は、導電性インクを使用したパターンに限定されており、またエネルギーの付与により表面エネルギーが変化する具体的な材料としては、主鎖中にポリイミドを含み、紫外線の照射により親水性基を生成可能な側鎖を有するポリマーが用いられているのみである。
特開2015−15378号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、現像性に乏しい硬化性組成物や着色剤等の不溶物を分散、含有している硬化性組成物を用いて効率的に硬化膜パターンを形成することである。さらに当該硬化膜の形成方法から得られた硬化膜パターンを具備する表示素子又はセンサーを提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、基板上に、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程、上記親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布する工程、上記塗膜を硬化させる工程及び、撥液性表面を含む層を除去する工程を備える硬化膜の形成方法である。
当該形成方法においては、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層の形成に、例えば酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む感放射線性組成物を用いることができる。このため、放射線が照射された領域においては、酸が発生し、この酸の発生により重合体の酸解離性基が解離することにより、濡れ性が変化する。
この放射線の照射は、レーザーを用いなくとも、フォトマスクを介した露光等により行うことができる。得られた親液性表面を含む層は、現像により除去することも可能であり、親液性の基板面を得ることが出来る。この撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を有するテンプレート上に、硬化物組成物を塗布すると、その濡れ性の差により硬化組成物が親液部分に集り、その状態で硬化組成物を硬化させることにより親液性表面を含む層上にのみ硬化物を形成することが出来る。
本発明は、現像性に乏しい硬化性組成物や着色剤等の不溶物を分散、含有している硬化性組成物を用いて効率的に硬化膜パターンを形成することができ、この硬化膜パターンは、表示素子としてのカラーフィルターやブラックマトリクス、イメージセンサーとしてのCCD、CMOS、各種光学用途等に好ましく適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)の説明図であり、テンプレート用塗膜を形成する工程(A−1)の説明図、放射線の照射により、親液性表面を含む層を形成する工程(A−2)の説明図、及び現像によりパターンを形成する工程(A−3)の説明図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)の説明図であり、テンプレート用塗膜を形成する工程(A−1)の説明図、放射線の照射により、親液性表面を含む層を形成する工程(A−2)の説明図、及び露光条件の変更等により残膜がある場合の工程(A−4)の説明図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る(A−3)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布する工程(B)の説明図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布する工程(B)の説明図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る(A−3)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)の説明図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)の説明図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る(A−3)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る(A−3)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を撥液性表面を含む層パターンの厚さと同程度の高さになるように塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)の説明図である。 図10は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を撥液性表面を含む層パターンの厚さと同程度の高さになるように塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)の説明図である。 図11は、本発明の一実施形態に係る(A−3)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を、撥液性表面を含む層パターンの厚さと同程度の高さになるように塗布し、その塗膜を硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。 図12は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を、撥液性表面を含む層パターンの厚さと同程度の高さになるように塗布し、その塗膜を硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。 図13は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの膜厚を薄く形成した下地膜に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)で硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。の説明図である。 図14は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの膜厚を薄く形成したテンプレート用塗膜に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させる工程(C)で硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)の説明図である。の説明図である。 図15は、本発明の一実施形態に係る(A−4)の親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し、その塗膜を硬化させ、その後、撥液性表面を含む層を除去した後に、親液性表面を含む層に形成された硬化膜パターンの電子顕微鏡写真である。 図16は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの斜視図、断面図に係る電子顕微鏡写真である。 図17は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの間に硬化膜を形成し、その後撥液性表面を含む層を除去し、残った硬化膜パターンの斜視図、断面図に係る電子顕微鏡写真である。 図18は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの斜視図、断面図に係る電子顕微鏡写真である。 図19は、本発明の一実施形態に係る撥液性表面を含む層パターンの間に硬化膜を形成し、その後撥液性表面を含む層を除去し、残った硬化膜パターンの斜視図、断面図に係る電子顕微鏡写真である。
本発明の目的は、下記によって達成された。
1)基板上に、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程、
前記親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し塗膜を形成する工程、
前記塗膜を硬化させる工程及び、
前記撥液性表面を含む層を現像液で現像して除去する工程、
とを備え、前記撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角差が、30°以上である、硬化膜の形成方法。
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の一実施形態に係る硬化膜の形成方法について詳説する。
<硬化膜の形成方法>
本発明の一実施形態に係る硬化膜の形成方法は、
基板上に、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)、上記親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布する工程(B)、上記塗膜を硬化させる工程(C)及び、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)を備える。
撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)は、上記基材の表面に、酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む感放射線性組成物を塗布し、塗膜を形成する工程を備え、上記塗膜を放射線の照射により親液性表面を含む層を形成する工程を備える。この場合、放射線を照射していない領域が、撥液性表面を含む層を有する領域となる。
ここで撥液性表面とは、テトラデカンに対する接触角が30°以上の表面をいい、撥液性表面を含む層とは、テトラデカンに対する接触角が30°以上の表面を含む層をいう。特に硬化性組成物のパターニング性の観点から、40°以上の表面を含む層であることが好ましい。
撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)は、テンプレート用塗膜を形成する工程(A−1)、放射線の照射により、親液性表面を含む層を形成する工程(A−2)、及び現像によりにパターンを形成する工程(A−3)または(A−4)を備えることが好ましい。
この場合、パターン化された領域が撥液性表面を含む層となり、現像によって除去された部分が親液性表面を含む層となる。また、親液性表面を含む層は完全に除去せずに一部膜を残存させて親液性表面を含む層を形成することも可能である。
当該形成方法における硬化性組成物を塗布する工程(B)は、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層が形成された基板上に、スピン塗布、インクジェット法、ディップ法、印刷等を適用でき、塗膜を形成する方法には限定されない。
さらに、基板上の親液性表面を含む層に形成された塗膜を硬化させる工程(C)は、塗膜を加熱又は光照射によって硬化することができる。光照射の場合、塗膜全面へ露光してもよく、フォトマスクを介して露光してもよく、レーザー等で直接照射することも好ましい。
また、撥液性表面を含む層を除去する工程(D)は、上記加熱又は光照射によって形成された硬化膜以外の部分を除去し、硬化膜のパターンを形成する工程である。除去する方法は、特に限定されないが、現像、エッチング等を挙げることができる。
本発明の場合、現像はアルカリ性現像液による現像でもよく、有機溶剤による現像でもよい。本発明において、酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む感放射線性組成物により撥液性表面を含む層を形成した後、当該領域をさらに露光することで、酸解離性基が解離し、親液性領域となる。この場合、アルカリ性現像液によって、当該領域を含む層を除去することが可能となる。
以下、当該形成方法について、順に詳説する。なお、工程の順は、以下の順に限定されるものでは無く、同様の硬化膜を形成することができる限り、工程の順は異なっていてもよく、複数の工程を同時に行ってもよい。
<撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)>
撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程(A)は、テンプレート用塗膜を形成する工程(A−1)、放射線の照射により、親液性表面を含む層を形成する工程(A−2)、及び現像によりパターンを形成する工程(A−3)から好ましく構成される。
<テンプレート用塗膜形成工程(A−1)>
テンプレート用塗膜形成工程(A−1)は、感放射線性組成物により、撥液性の表面を有するテンプレート用塗膜を形成する工程である。感放射線性組成物は、酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む。酸解離性基とは、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基中の水素原子を置換した基をいい、酸の存在下で解離する基をいう。この感放射線性組成物については、後に詳述する。工程(A−1)は、具体的には、図1に示すように、基板10表面への感放射線性組成物の塗布により、テンプレート用塗膜11を形成する。
基板10の材質としては、例えばガラス、石英、シリコン、樹脂等を挙げることができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフラレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体(ROMPポリマー)、ポリアクリレート、ABS樹脂、AES樹脂等を挙げることができる。
基板10としては、従来の樹脂製基板、ガラス基板及び半導体基板が好ましい。このような基板を用いることで、得られる積層パターンをそのまま光学用途等に用いることができる。
なお、基板10に感放射線性組成物を塗布する前に、必要に応じて基板10表面に前処理を施してもよい。前処理としては、洗浄、粗面化処理等を挙げることができる。
感放射線性組成物の塗布方法としては特に限定されず、はけやブラシを用いた塗布法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンス法等の公知の方法を挙げることができる。
感放射線性組成物の塗布後、好ましくはテンプレート用塗膜11を加熱(プレベーク)する。加熱条件は、感放射線性組成物の組成等によって異なるが、例えば60℃以上120℃以下、1分以上10分以下程度である。
得られるテンプレート用塗膜11の平均厚みは、用途等に応じて適宜調整することができるが、この下限としては0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。一方、この上限としては20μmが好ましく、10μmがより好ましい。
<親液性表面を含む層形成工程(A−2)>
親液性表面を含む層形成工程(A−2)は、図1に示すように、テンプレート用塗膜11の一部の表面領域への放射線(hν)の照射(露光)により、親液性表面を含む層12を形成する工程である。なお、感放射線性組成物から得られるテンプレート用塗膜11の表面は、撥液性を有しており、放射線が照射された領域が親液性表面を含む層12となる。
一方、放射線が照射されていない領域は撥液性表面を含む層13である。
本発明において親液性表面を含む層とは、後述するテトラデカンに対する接触角が、撥液性表面のテトラデカンに対する接触角よりも30度以上小さくなる領域のことであり、前記のような接触角差が存在すれば、テンプレート用塗膜由来の領域である必要はない。つまり、現像によりテンプレート用塗膜が除去され、基板表面が露出した場合、基板表面が親液性表面を含む層となる。基板表面の露出は、全部であっても良いが、一部であっても親液性表面となることから好ましい。
放射線の照射により、親液性表面を含む層12が形成される理由は以下の通りである。放射線の照射により、感放射線性組成物中の感放射線性酸発生体から酸が発生し、これにより、重合体が有する酸解離性基が解離する。酸解離性基の解離により、照射された領域の表面エネルギーが変化し、濡れ性が高まる。特に、酸解離性基がフッ素原子を有する場合、この撥液性の発現が顕著になる。
なお、解離した酸解離性基に由来する成分は、好ましくは揮発するため、親液性表面を含む層12は凹部(凹パターン)となる。親液性表面を含む層12が凹部となることで、後述するようにこの凹部(親液性表面を含む層12)に、滲みだすことなく硬化膜組成物を充填することができる。
放射線の照射(露光)は、形成したい硬化物のパターン形状と同様の形状の親液性表面を含む層12が形成されるように、所定のパターンを有するフォトマスクを介して行うことができる。フォトマスクを介して露光を行うことで、複雑なパターンを形成する場合も効率的に照射を行うことができる。その他、直描式露光機等を用いて、所定のパターンを描画露光することができる。
本工程(A−2)において照射する放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、荷電粒子線、X線等を使用することができる。これらの中でも、波長が190nm以上450nm以下の範囲内にある放射線が好ましく、365nmの波長の紫外線を含む放射線がより好ましい。
本工程(A−2)における放射線の露光量としては、十分な濡れ性の変化や、凹部の形成ができる範囲で適宜設定すればよい。この露光量の下限としては、放射線の波長365nmにおける強度として、10mJ/cmが好ましく、20mJ/cmがより好ましい。一方、この上限としては、1000mJ/cmが好ましく、500mJ/cmがより好ましい。
形成される親液性表面を含む層12のサイズ及び形状は、所望するパターンのサイズ及び形状に対応するものであるが、幅が50μm以下の線状とすることができ、好ましくは0.1〜30μm、さらに好ましくは0.5〜10μmの線状とすることができる。
感放射線性組成物への露光後、テンプレート用塗膜11、親液性表面を含む層12を加熱してもよい。加熱条件は、感放射線性組成物の組成等によって異なるが、例えば50℃以上120℃以下、1分以上20分以下程度である。
<現像工程(A−3)または(A−4)>
現像工程(A−3)は、放射線が照射されたテンプレート用塗膜11を現像する工程である。この現像により、放射線が照射された領域(親液性表面を含む層12)において酸解離性基を解離させることができる。これにより、放射線が照射された部分が親液性表面を含む層となり、現像液によって除去することができる。これにより基板表面が露出することで、親液性表面を含む層の濡れ性がより高まる。また、工程(A−4)として現像条件を変更することで、基板表面を露出ることなく、一部膜を残すことによっても親液性表面を含む層を形成することができる。
一部膜を残すことによって形成された親液性表面を含む層12(凹部)の深さとしては、例えば0.1μm以上1μm以下とすることができる。また、テンプレート用塗膜11における撥液性表面を含む層13の平均厚みに対する親液性表面を含む層12(凹部)の深さの下限としては、5%が好ましく、10%がより好ましい。一方、この上限としては、70%が好ましく、50%がより好ましい。
現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解した水溶液を使用することができる。上述のアルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を適当量添加して使用することもできる。
また、以下に示す有機溶剤を用いて現像することができる。この場合、放射線が照射された領域(親液性表面を含む層)が残膜し、非放射線領域(疎水性表面領域)が有機溶剤によって除去される、アルカリ水溶液を現像液に用いた場合と逆のパターン形成が可能となる。使用できる有機溶剤現像液としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の有機溶剤を現像液に用いて現像することもできる。
現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、スプレー法等が挙げられる。現像時間は、硬化膜形成用組成物の組成によって異なるが、その現像時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。また、現像時間の上限としては、300秒が好ましく、180秒がより好ましい。現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30秒以上90秒以下の時間で行った後、圧縮空気や圧縮窒素で乾燥させることにより、所望の硬化膜のパターンが得られる。
このようにして形成される親液性表面を含む層12と、撥液性表面を含む層13とのテトラデカンに対する接触角差(撥液性表面を含む層13における接触角−親液性表面を含む層12における接触角)は、30°以上であり、40°以上が好ましく、50°以上がより好ましい。
この接触角差の上限としては、例えば70°である。また、親液性表面を含む層12と、撥液性表面を含む層13との水に対する接触角差(撥液性表面を含む層13における接触角−親液性表面を含む層12における接触角)の下限としては、20°が好ましく、25°がより好ましい。
この接触角差の上限としては、例えば90°である。このように、テトラデカン又は水に対しての接触角差が大きいことで、撥液性表面を含む層13に接触した硬化性組成物が、親液性表面を含む層12へ移動しやすくなり、親液性表面を含む層12に沿った硬化膜の形成を好適に行うことができる。
<硬化性組成物を塗布する工程(B)>
硬化性組成物を塗布する工程(B)は、放射線が照射されたテンプレート用塗膜表面または基材面への硬化性組成物を塗布することにより、硬化性組成物の塗膜を形成する工程である(図3、図4参照)。
≪硬化性組成物≫
硬化性組成物は、特に限定されるものではない。例えば、熱または光で架橋する成分を含有する硬化性材料であればよく、重合性化合物、重合開始剤、添加剤、例えば着色剤、蛍光物質、金属酸化物、樹脂等を含んでよく、硬化性樹脂組成物も好ましく使用することができる。ここで添加剤とは、重合に寄与しない成分をいう。
硬化性組成物としては硬化性成分を含有しているものなら特に限定されないが、パターンの複雑化が可能であることから、近接と干渉しないために導電性成分を含有していても、硬化膜としては絶縁性であることが好ましい。本発明において絶縁性とは、体積固有抵抗率が1Ω・cm以上のものをいう。JISK7194に準じて測定することができる。
例えば、特開2012−149141号公報、特開2013−237835号公報等に記載の硬化性組成物が挙げられる。
[重合性化合物]
重合性化合物としては、2個以上の重合可能な基を有する化合物が好ましく、重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。
上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。
2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。
3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、特に好ましい。
本発明において、重合性化合物の含有量は、(A)着色剤の合計100質量部に対して、通常3〜200質量部、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは10〜50質量部である。また、重合性化合物の含有量は、(B)樹脂100質量部に対して、通常20〜300質量部、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは100〜200質量部である。
<添加剤>
本発明の硬化性組成物は添加剤としての着色剤等を含む硬化性組成物であることが好ましい。添加剤としては、着色顔料、染料、カーボンブラック、高屈折率である金属酸化物、中空粒子等があげられる。
具体的には、特開2006−113380号公報、特開2013−134263号公報、WO2009/119622号公報、WO2009/119622号公報、特開2014−146029号公報、特開2008−46330号公報、特開2013−225091号公報等に記載の着色剤等含有の硬化性組成物が挙げられる。
蛍光物質としては、無機蛍光物質、有機蛍光物質、量子ドット、量子ロッドが挙げられ、これらの蛍光物質を含む硬化性組成物としては、例えば、特開2014−174406号公報、特開2015−018131号公報、特開2015−127733号公報、特開2015−125197号公報、特開2016−35602号公報等の硬化性組成物が挙げられる。
金属酸化物としては、チタン酸化物、セシウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウムおよび鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む金属酸化物が挙げられる。このような金属酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化バリウム、セシウムタングステン酸化物、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらの金属酸化物を含む硬化性組成物としては、例えば、特開2016−14849号公報、特開2016−27384号公報等が挙げられる。
カーボン材料としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイト、カーボンブラック材料が挙げられ、例えば、特開2016−83618号公報、特開2016-162863号公報、特開2007−249113号公報等に記載のカーボン材料が挙げられる。
中空粒子としては、内部に空孔を有していれば特に制限されず、有機中空粒子であっても、無機中空粒子であってもよいが、溶剤への分散容易性の観点から、有機中空粒子が好ましい。
ここで、有機中空粒子としては、市販品を用いてもよく、従来公知の方法、例えば、特開昭62−127336号公報、特開平01−315454号公報、特開平04−126771号公報、特開2002−241448号公報、特開2007−112935号公報、特許第5439102号公報に記載の方法で合成して得てもよい。無機中空粒子としては特に制限されず、ガラス、SiO、CaCOおよびポリオルガノシロキサン系化合物などからなる無機粒子等が挙げられる。
本発明での着色剤等を高濃度にした硬化性組成物において高濃度とは、具体的には、硬化性組成物の溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに、30質量%以上95質量%以下であることを言い、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、前記のような高濃度の着色剤等を含む硬化性組成物によって形成される塗膜は、露光による放射線が十分に透過しないため、例えば、特開2013−134263号公報に記載の組成物によって形成される塗膜は、現像性が不十分になる結果、所望パターン形状を得ることが困難である。一方、本発明によれば、硬化性組成物によって形成される塗膜を、現像により除去する必要がないため、高濃度の着色剤等を含む硬化性組成物によって容易に所望パターン形状を得ることができる。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、以下の光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。光重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。中でも、O−アシルオキシム系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物及びチタノセン系化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、O−アシルオキシム系化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、1−オクタノン,1−[4−[3−[4−[[2−(アセチルオキシ)エチル]スルホニル]−2−メチルベンゾイル]−6−[1−[(アセチルオキシ)イミノ]エチル]−9H−カルバゾール]−9−イル]フェニル,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)、DFI−020、DFI−091(以上、ダイトーケミックス株式会社製)、Irgacure OXE−03、Irgacure OXE−04(以上、BASF社製)等を使用することもできる。
これらのO−アシルオキシム系化合物の中でも、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、1−オクタノン,1−[4−[3−[4−[[2−(アセチルオキシ)エチル]スルホニル]−2−メチルベンゾイル]−6−[1−[(アセチルオキシ)イミノ]エチル]−9H−カルバゾール]−9−イル]フェニル,1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、アセトフェノン系化合物としてはα−アミノアルキルフェノン系化合物がより好ましく、例えば、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
これらのアセトフェノン系化合物の中でも、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オンが好ましい。
アセトフェノン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、p−t−ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−t−ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−(t−ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド;
ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド;などが挙げられる。このほか、特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のアシルホスフィン化合物を用いることもできる。
これらのアシルホスフィンオキサイド系化合物の中でも、モノアシルホスフィンオキサイドとしては2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(例えば、BASF社製、Darocur TPO)が好ましく、ビスアシルホスフィンオキサイドとしては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(例えば、BASF社製、Irgacure819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド(例えば、BASF社製、Irgacure1700)が好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。
アシルホスフィンオキサイド系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チタノセン系光化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(例えば、BASF社製、Irgacure727L)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(例えば、BASF社製、Irgacure784)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウムの他、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−10602号公報、特開昭63−41483号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−291号公報、特開平3−12403号公報、特開平3−20293号公報、特開平3−27393号公報、特開平3−52050号公報、特開平4−219756号公報、特開平4−221958号公報等に記載されている化合物などを挙げることができる。
これらのチタノセン系化合物の中でも、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。チタノセン系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
上記以外の光重合開始剤としては、例えば、特開2010−134419の段落〔0079〕〜〔0095〕に例示されているものを挙げることができる。
中でも、光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド系化合物及びチタノセン系化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系化合物及びチタノセン系化合物から選ばれる少なくとも1種を含む場合、その含有割合は、全光重合開始剤の90質量%以上、特に96質量%以上であることが好ましい。
本発明において、光重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは15〜50質量部である。
また、前記硬化性組成物によって形成される所望パターンに、第二の硬化性組成物を塗布する工程がさらに存在する場合、前記所望パターンは、第二の硬化性組成物を容易に塗布する観点から、撥液性表面を含む層を含むことが好ましい。前記所望パターンに、撥液性表面を含む層を付与する方法としては、WO2015/190294号公報等に記載の撥インク剤を、硬化性組成物に添加する方法などが挙げられる。
硬化性組成物のテンプレート用塗膜11表面への接触は、塗布等の公知に方法で行うことができる。具体的には、はけやブラシを用いた塗布法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンス法等の公知の方法を挙げることができる。
これらの中でも、ディッピング法、スプレー法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、オフセット印刷法、インクジェット法及びディスペンス法が好ましい。
特に工業的な観点から、硬化組成物の省液化が可能であり、かつ所望の位置に硬化組成物を塗布しやすいインクジェット法が好ましい。
テンプレート用塗膜11の表面には、親液性表面を含む層12と撥液性表面を含む層13とが形成されている。このため、テンプレート用塗膜11の表面へ硬化性組成物を接触させた場合、硬化性組成物は、撥液性表面を含む層13でははじかれ、好ましくは凹部である親液性表面を含む層12に流れ込む。これにより、凹部である親液性表面を含む層12に沿って硬化性組成物の塗膜が形成される。
通常のフォトレジスト等を用いた凹パターンにおいては、硬化組成物が凹部のみならず、凸部にも塗布されてしまい、硬化組成物のパターニングを達成することが出来ない。そのため親液性、撥液性によるパターニングを用いた本手法が優れている。
<放射線照射工程>
放射線照射工程は、硬化性組成物が塗布された側に放射線(hν)を照射する工程である。この場合、フォトマスクを介して露光することもできるが、フォトマスクを使用しないで露光することもできる。この場合、硬化性組成物が塗布された親水性領域は硬化し、疎水性領域は酸解離性が解離するため、親水性領域となる。この場合、アルカリ性水溶液で現像することで、硬化した部分以外の領域を除去することができる(図7、図8参照)。
本工程において照射する放射線の具体例、及び好ましい例としては、親液性表面を含む層形成工程と同様である。また、本工程における放射線の露光量も、親液性表面を含む層形成工程と同様とすることができる。
放射線の照射後、加熱することが好ましい。この加熱により、露出部分(露光部分)において解離した酸解離性基由来の成分が揮発し、露出部分が薄くなると共に親液性がより高まる。
この加熱方法としては、特に限定されず、ホットプレート、オーブン、ドライヤー等を用いて加熱する方法を挙げることができる。その他、真空ベークによって加熱してもよい。加熱条件も特に限定されないが、例えば50℃以上200℃以下、1分以上120分以下とすることができる。
本工程において照射する放射線の露光後の現像工程は、例としては、親液性表面を含む層形成工程と同様である。また、本工程における放射線の露光量も、親液性表面を含む層形成工程と同様とすることができる。
また、本発明において得られる硬化膜を逆テーパ形状(上が大きく下が小さい下向き台形やT字型の形状をいう)で得られることができる。
<感放射線性組成物>
前記感放射線性組成物は、特に制限されないが、該組成物から形成された塗膜の一部が、放射線の照射および加熱により、揮発、分解するような組成物であることが好ましく、酸解離性基を有する重合体(以下「[A]重合体」ともいう。)および酸発生剤(以下「[C]酸発生剤」ともいう。)を含有する組成物であることがより好ましい。
このような感放射線性組成物は、基板上でパターン形成材料の滲みを抑えて高精細なパターンを形成するための下地層形成用組成物として、また、パターンと基板との密着性を向上させる下地層形成用組成物として、好適に使用することができる。
前記組成物は、更に、溶剤(以下「[B]溶剤」ともいう。)を含有してもよい。該組成物が、[B]溶剤を含有することで液状を呈し、塗布によって容易に塗膜を形成できる。
前記組成物は、[C]酸発生剤の補助材料として、更に、増感剤を含んでもよく、[C]酸発生剤からの酸の拡散抑制材料としてクエンチャーを含んでもよい。
また、前記組成物は、[A]重合体以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含んでもよく、感放射線性重合開始剤を含んでもよい。
さらに、前記組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。
前記組成物の粘度(温度:20℃、剪断速度:10sec−1)は、所望の塗布方法および形成したい塗膜の膜厚等によって調節すればよい。該粘度としては、膜厚0.5〜2μmの塗膜を形成する場合であって、塗布方法としてスピンコート法を用いる場合、好ましくは5cP(0.003Pa・s)〜20cP(0.02Pa・s)を例示でき、塗布方法としてスリットダイ塗布法を用いる場合、好ましくは1cP(0.001Pa・s)〜20cP(0.01Pa・s)を例示できる。
<[A]酸解離性基を有する重合体>
前記[A]重合体は、酸により、解離する性質を有する基を含有する重合体であれば特に制限されない。
前記酸解離性基としては、フッ素原子を含む基であることが好ましい。前記[A]重合体がこのような基を有することで、前記工程(i)で、撥液性の塗膜を形成することができ、その後の工程(ii)等を経ることで、撥液性の凸部と、該部分より親液性の凹部とを容易に形成することができ、その後の工程(iv)や(v)等を経ることで高精細なパターンを製造することができるため好ましい。
また、前記酸解離性基としては、高精細なパターンを製造することができる等の点から、アセタール結合およびヘミアセタールエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む基を有する基であることがより好ましく、このような基としては、下記式(1−1)で示される基および下記式(1−2)で示される基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であることが特に好ましい。
式(1−1)および(1−2)中、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示し、Rfは独立して、フッ素原子を有する有機基を示す。*は結合部位を示す。
アセタール結合を含む化合物は、アルコールと基CH2=C(R1)−O−を有する化合物とを反応させることで得ることができ、ヘミアセタールエステル結合を含む化合物は、カルボン酸と基CH2=C(R1)−O−を有する化合物とを反応させることで得ることができる。
前記Rfとしては、下記式(1−1)〜(1−33)の基、2,2,2−トリフルオロエチル基および1,2,2−トリフルオロビニル基が好ましい。
[A]重合体は、前駆体である水酸基を有する化合物の水酸基に、下記式(1)で示されるビニルエーテル化合物(以下「化合物(1)」ともいう。)に由来する酸解離性基が導入されてなる構造を有する化合物であることが好ましい。また、[A]重合体は、前駆体であるカルボキシル基を有する化合物のカルボキシル基に、化合物(1)に由来する酸解離性基が導入されてなる構造を有する化合物であってもよい。
これらの酸解離性基が導入されてなる構造を有する化合物(以下「化合物(a)」ともいう。)、特に前駆体として水酸基を有する化合物は、熱による酸解離性基の解離が生じ難いという性質を備え、一方で、放射線照射による酸解離性基の解離の制御ができるという性質を備えるため、[A]重合体として好適に使用できる。さらに、化合物(a)は、後述する[C]酸発生剤との組み合わせによって、放射線照射による、より高精度の酸解離性基の解離の制御が可能となるため好ましい。
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。式(1)中、Rは独立して、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数6〜13の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜12の置換または非置換の脂環式炭化水素基、または、これらの基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。
としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、ビニレン基が好ましい。
式(1)中、Rは、炭化水素基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。
式(1)中、Rは、例えば、前記Rfにおける前記式(1−1)〜(1−33)で示す基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロビニル基が挙げられ、2,2,2−トリフルオロエチル基、前記式(1−1)の3,3,3−トリフルオロプロピル基、式(1−2)の4,4,4−トリフルオロブチル基、式(1−4)の3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、前記式(1−16)の4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、式(1−8)の3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、1,2,2−トリフルオロビニル基、式(1−29)の2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基が好ましい。
式(1)中、xは0〜12の整数を示し、0〜9の整数が好ましく、0がより好ましい。
工程(i)において用いる感放射線性組成物が、[A]重合体を含む組成物である場合、前記工程(i)で形成される塗膜は、[A]重合体に基づく特性を示し、[A]重合体として、前記化合物(a)を用いる場合、該化合物(a)の酸解離性基に由来する特性を示す。具体的には、該化合物(a)を含む感放射線性組成物から塗膜を形成すると、まず、前記工程(i)において、撥液性の塗膜が形成され、この塗膜を放射線照射すると、露光部分では、酸解離性基の解離が生じ、酸解離性基が解離した部分では、水酸基が残って、酸解離性基に起因した撥液性が失われる。
次に、[A]重合体、を得るための方法について説明する。該[A]重合体を得るための方法としては、前駆体となる化合物として重合体を用いる方法と、前駆体となる化合物としてモノマーを用いる方法の2つの方法が可能である。
前駆体となる化合物として重合体を用いる方法では、前駆体となる重合体が水酸基またはカルボキシル基を分子内に含有し、前駆体となる重合体の水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させることで[A]重合体を得ることができる。
また、前駆体となる化合物としてモノマーを用いる方法では、前駆体となるモノマーが分子内に水酸基またはカルボキシル基を含有し、前駆体となるモノマーの水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させた後、得られたモノマーを重合させることで[A]重合体を得ることができる。
以下、[A]重合体を得るための2つの方法について、より具体的に説明する。
(1)前駆体となる化合物として重合体を用いる方法
この方法では、水酸基またはカルボキシル基を有するモノマーを重合して水酸基またはカルボキシル基を有する重合体(前駆体)を得て、その後、前駆体となる重合体の水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させて、[A]重合体を得ることができる。
上述の水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシベンジルアクリルアミド、3、5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミドなどを挙げることができ、株式会社ダイセル製のプラクセルFM1、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D、プラクセルFM3、プラクセルFM3Xを挙げることができる。
なお、水酸基を有するモノマーとしては、上述の(メタ)アクリル酸エステルが好ましいが、この化合物以外にも、イソプロペニルフェノールなどの水酸基および不飽和結合を有する化合物を用いることもできる。
水酸基を有するモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上述のカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、4−カルボキシルフェニル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
[A]重合体の前駆体となる、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体は、上述の水酸基またはカルボキシル基を有するモノマーのみを用いて得ることができる他、上述の水酸基またはカルボキシル基を有するモノマーと、水酸基またはカルボキシル基を有するモノマー以外のモノマーとを共重合して得ることができる。
水酸基またはカルボキシル基を有するモノマー以外のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和芳香族化合物、共役ジエン、テトラヒドロフラン骨格を含有する不飽和化合物、マレイミドおよびこれら以外のモノマーを挙げることができる。
水酸基またはカルボキシル基を有するモノマー以外のモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。具体的には、WO2014/178279号公報に記載の不飽和化合物を用いることができる。
[A]重合体の前駆体となる、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体を合成するための重合反応に用いられる溶媒としては、例えばジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテルを用いることができ、その他の具体例としては、WO2014/178279号公報に記載の溶媒を用いることができる。該溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
[A]重合体の前駆体となる、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体を得るための重合反応においては、分子量を調整するために、1種または2種以上の分子量調整剤を使用できる。
水酸基またはカルボキシル基を有する重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1000〜40000が好ましく、1000〜30000がより好ましく、5000〜30000がさらに好ましい。水酸基またはカルボキシル基を有する重合体のMwを上述の範囲とすることで、この分子量を有する[A]重合体を含有する感放射線性組成物の感度を高めることができる。
次に、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体の水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させ、[A]重合体を得る方法は、WO2014/178279号公報に記載の重合法により重合できる。
(2)前駆体となる化合物としてモノマーを用いる方法
この方法では、水酸基またはカルボキシル基を有するモノマーの水酸基またはカルボキシル基に前記化合物(1)を反応させて付加物を得て、それらを重合させることで、[A]重合体を得る。このような[A]重合体を得る方法は、公知の方法を参考にすることができる。
例えば、特開2005−187609号公報に記載されているように、水酸基を有するモノマーの水酸基と化合物(1)のビニルエーテル基によってアセタール結合を生成して、または、カルボキシル基を有するモノマーのカルボキシル基と前記化合物(1)のビニルエーテル基によってヘミアセタールエステル結合を生成して、付加物を形成する。
次いで、得られたモノマーを用いて、上述した水酸基またはカルボキシル基を有する重合体の製造方法と同様にして、[A]重合体を得ることができる。
以上のようにして得られる[A]重合体の好ましい例としては、下記式(2)〜(6)で示される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つを有する重合体を挙げることができる。
式(2)〜(6)中、R3は独立して、水素原子またはメチル基を示す。R4は独立して、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、炭素数6〜13の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜12の置換または非置換の脂環式炭化水素基、または、これらの基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。R5は独立して、炭化水素基の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された基を示す。mは0または1を示す。nは独立して0〜12の整数を示す。
[A]重合体のより好ましい例としては、下記式で示される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つを有する重合体を挙げることができる。
[A]重合体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
<[B]溶剤>
[B]溶剤としては特に限定されないが、[A]重合体の他、後述する[C]酸発生剤および任意成分の重合性化合物等の各成分を均一に溶解または分散することができる溶剤が好ましい。
好適な[B]溶剤としては、アルコール系溶剤、エーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類およびエステル類等を挙げることができる。以上で挙げた[B]溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
[B]溶剤の使用量は、前記感放射線性組成物の溶剤を除く成分100質量部に対して、好ましくは200〜1600質量部、より好ましくは400〜1000質量部である。[B]溶剤の使用量を上述の範囲内とすることによって、感放射線性組成物のガラス基板等に対する塗布性を向上し、さらに塗布ムラ(筋状ムラ、ピン跡ムラ、モヤムラ等)の発生を抑制し、膜厚均一性の向上した塗膜を得ることができる。
<[C]酸発生剤>
[C]酸発生剤は、少なくとも放射線の照射によって酸を発生する化合物である。感放射線性組成物が、[C]酸発生剤を含有することで、[A]重合体から酸解離性基を解離させることができる。
[C]酸発生剤としては、例えば、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。
[C]酸発生剤は、単独または2種類以上を用いてもよい。
[オキシムスルホネート化合物]
上述のオキシムスルホネート化合物としては、下記式(5)で表されるオキシムスルホネート基を含む化合物が好ましい。
前記式(5)中、R11は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基、あるいはこれらのアルキル基、脂環式炭化水素基およびアリール基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基である。
オキシムスルホネート化合物の具体例としては、(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(4−メトキシフェニル)アセトニトリルであり、その他の具体例としては、WO2014/178279号公報に記載のオキシムスルホネート化合物を用いることができる。
[オニウム塩]
オニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、アルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩が挙げられる。これらの内、特にトリフェニルスルホニウム塩が好ましい。
[スルホンイミド化合物]
[C]酸発生剤として好ましいスルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミドが挙げられる。
[C]酸発生剤としては、WO2014/178279号公報に記載の酸発生剤を用いることができる。
[C]酸発生剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上述の範囲とすることで、感放射線性組成物の感度を最適化できるため、前記工程(i)〜(v)を経ることで高解像度な凹パターンを形成できる。
<その他の任意成分>
その他の任意成分としては、界面活性剤、保存安定剤、接着助剤、耐熱性向上剤等を配合することができる。これらの任意成分の具体例、配合例はWO2014/178279号公報に記載の具体例、配合例を参考にすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、本発明は、この実施例に限定的して解釈されるものではない。以下に、本実施例で用いた測定方法を示す。
[重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
以下の合成例で得られた重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、以下の条件で測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・標準物質:ポリスチレン換算
・装置 :東ソー社の「HLC−8220」
・カラム :東ソー社のガードカラム「HXL−H」、「TSK gel G7000HXL」、「TSK gel GMHXL」2本、及び「TSK gel G2000HXL」を順次連結したもの
・溶媒 :テトラヒドロフラン
・サンプル濃度:0.7質量%
・注入量 :70μL
・流速 :1mL/min
H−NMRの測定]
H−NMRは、溶媒としてCDCl3を用い、核磁気共鳴装置(Bruker社の「AVANCEIII AV400N」)を用い、温度25℃の条件下で測定した。
<実施例>
<重合体の合成>
[合成例1]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300質量部を仕込んだ。引き続き4-ヒドロキシフェニルメタクリレート60質量部、メタクリル酸メチル40質量部を仕込み、窒素雰囲気下、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体である重合体(A−1)を含有する溶液を得た(固形分濃度=26.1質量%、Mw=23000、Mw/Mn=2.6)。尚、固形分濃度は共重合体溶液の全質量に占める共重合体質量の割合を意味する。
次いで、得られた重合体(A−1)にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190質量部、ピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.4質量部、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−ビニルオキシオクタン155質量部を加え、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させた。
得られた反応溶液を大過剰のメタノールに滴下することにより再沈殿精製を行い、乾燥後、白色固形状の共重合体として[A]重合体(P−1)が230質量部得られた。得られた[A]重合体(P−1)についてH−NMRを用いて分析を行い、アセタール化が進行していることを確認した(化学シフト:5.50ppm、アセタール基C−H)。
[合成例2]
冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸5質量部、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート40質量部、スチレン5質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部およびα−メチルスチレンダイマー3質量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し、共重合体である重合体(P−2)を含む重合体溶液を得た。重合体(P−2)のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は9000であった。また、ここで得られた重合体溶液の固形分濃度は、31.3質量%であった。
<感放射線性組成物(X−1)の調製>
上記合成例1で得られた[A]重合体(P−1)を100質量部、[C]酸発生剤としてPA−528(ヘレウス社)を2質量部、クエンチャーとして2−フェニルベンゾイミダゾールを0.1質量部混合し、界面活性剤としてポリフローNo95(共栄社化学(株)製)0.1質量部を加え、溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに30質量%となるように、それぞれ[B]溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性組成物(X−1)を調製した。
<感放射線性組成物(X−2)の調製>
上記合成例1で得られた[A]重合体(P−1)を2質量部、合成例2で得られた重合体(P−2)を98質量部、[C]酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステルを2質量部、増感剤として2,4−ジエチルチオキサントンを0.5質量部、および、クエンチャーとして2−フェニルベンゾイミダゾールを0.2質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を混合し、界面活性剤としてポリフローNo95(共栄社化学(株)製)0.1質量部を加え、溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに30質量%となるように、それぞれ[B]溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性組成物(X−2)を調製した。
<感放射線性組成物(X−3)の調製>
上記合成例2で得られた[A]重合体(P−2)を100質量部、[C]酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステルを2質量部、増感剤として2,4−ジエチルチオキサントンを0.5質量部、および、クエンチャーとして2−フェニルベンゾイミダゾールを0.2質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を混合し、界面活性剤としてポリフローNo95(共栄社化学(株)製)0.1質量部を加え、溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに30質量%となるように、それぞれ[B]溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性組成物(X−3)を調製した。
<テンプレートの作製>
上記の感放射線性組成物(X−1)から(X−3)を用いて、基板上に塗膜を形成し、露光、現像工程を経てテンプレートを形成した。以下に形成方法を示す。テンプレートパターン(T−1〜T−7)と記す。
<テンプレート(T−1)の作製>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−1)をスピンナーにより0.5μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=50μm/450μm)を介して高圧水銀ランプを用いて露光量を200mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて90℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを90℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−1)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は60°、水に対する接触角は109°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は8°、水に対する接触角は23°となり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<テンプレート(T−2)の作製>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−1)をスピンナーにより10μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=10μm/30μm)を介して高圧水銀ランプを用いて露光量を300mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて90℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部を除去した。最後に得られたパターンを90℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−2)(図18)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は61°、水に対する接触角は110°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は9°、水に対する接触角は25°となり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<テンプレート(T−3)の作製>
6インチガラスウェハ(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製)上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−2)をスピンナーにより10μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(10μm×10μm)を介してミラープロジェクションアライナー(CANON(株)製)を用いて露光量を300mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて70℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを70℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−3)(図16)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は61°、水に対する接触角は110°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は7°、水に対する接触角は23°となり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<テンプレート(T−4)の作製>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−2)をスピンナーにより2μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=50μm/450μm)を介して高圧水銀ランプを用いて露光量を200mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて90℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを90℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−4)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は60°、水に対する接触角は106°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は8°、水に対する接触角は25°となり、であり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<テンプレート(T−5)の作製>
6インチガラスウェハ(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製)上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−2)をスピンナーにより10μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=10μm/30μm)を介してミラープロジェクションアライナー(CANON(株)製)を用いて露光量を200mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて70℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを70℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−5)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は60°、水に対する接触角は108°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は8°、水に対する接触角は25°となり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<テンプレート(T−6)の作製>
6インチガラスウェハ(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製)上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−2)をスピンナーにより5μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=10μm/30μm)を介してミラープロジェクションアライナー(CANON(株)製)を用いて露光量を200mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて70℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを70℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−6)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は60°、水に対する接触角は109°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は8°、水に対する接触角は24°となり、撥液性表面を含む層は十分に撥液性であることを確認した。
<比較例テンプレート(T−7)の作製>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(X−3)をスピンナーにより2μmの膜厚になるように塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜を形成した。得られた塗膜にフォトマスク(ライン&スペース=50μm/450μm)を介して高圧水銀ランプを用いて露光量を200mJ/cmとして放射線照射を行った。続いて70℃のホットプレート上で15分間ベークを行った。
その後、基板を2.38%テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより露光部が除去した。最後に得られたパターンを70℃のホットプレート上で15分間乾燥ベークすることにより、撥液性のテンプレートパターン(T−6)を得た。
残留した撥液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角は5°、水に対する接触角は52°であり、膜が存在しない親液性表面のテトラデカンに対する接触角は6°、水に対する接触角は28°であった。
<硬化性組成物としての硬化性インクの調製>
以下のように硬化性組成物を、硬化性インク組成物として調製した。
<硬化性インク組成物(B−1)の調製>
重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(30質量部)、トリメチロールプロパントリアクリレート(30質量部)、イソボルニルアクリレート(35質量部)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(5質量部)、光重合開始剤としてIrgacure907(BASF社、8質量部)、着色材としてベーシックブルー7(TCI社、0.5質量部)を均一になるまで攪拌し、インク組成物(B−1)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−2)の調製>
重合性化合物としてジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業(株)製のA−9550)61.8質量部と、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製のIrgacure184)3.0質量部とを混合溶解し、均一な組成物を得た。乳化剤としてアニオン系界面活性剤(日本乳化剤(株)製のニューコール707SF、有効成分濃度30質量%)3.3質量部(有効成分換算)と、水60質量部とを前記組成物に加え、氷冷下で超音波分散機を用いて分散・混合することにより、前記単量体の水性分散体を調製した。
前記水性分散体に、特許第5181566号公報の実施例<中空基材粒子(A−1)の製造>記載の方法に従って作成した中空有機粒子(孔径0.4μm、外径0.6μm、中空率30体積%)の水性分散体7.0質量部(不揮発分換算)、中実有機粒子の水性分散体28.0部(不揮発分換算)、濡れ剤としてフッ素系界面活性剤(共栄社化学(株)製のフタージェント215M)0.3質量部、および水を不揮発分が25質量%となるように加え、よく撹拌し、インク組成物(B−2)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−3)の調製>
重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100質量部、光重合開始剤としてIrgacure907(BASF社、3質量部)、黒色顔料としてカーボンブラックMA100R(三菱化学社製、20質量部)を加え、室温下でよく撹拌し、インク組成物(B−3)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−4)の調製>
カーボンブラック(プリンテックス45、平均一次粒子径26nm 、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)15質量部、分散剤としてDISPERBYK−168(ビックケミ−社製)を5質量部、重合禁止剤としてパラメトキシフェノール0.1質量部、反応性希釈剤としてフェノキシエチルアクリレート60質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)20質量部を混合し、ビーズミルで一昼夜練肉し、黒色分散液(V−1)を調製した。
上記黒色分散液(V−1)に光重合開始剤としてIrgacure907(BASF社製)3質量部を混合しインク組成物(B−4)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−5)の調製>
カーボンブラック(プリンテックス45、平均一次粒子径26nm 、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)20質量部、分散剤としてDISPERBYK−161(ビックケミ−社製)を5質量部、分散助剤としてソルスパース5000(ルーブリゾール社製)を1質量部、溶剤として3−メトキシブタノールを74質量部を混合し、ビーズミルで一昼夜練肉し、黒色分散液(V−2)を調製した。
上記黒色分散液(V−2)87.8質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)9.2質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル1.7質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.2質量部を混合し、溶剤を除く成分全量に対しカーボンブラック濃度が50質量%であるインク組成物(B−5)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−6)の調製>
上記黒色分散液(V−2)97.6質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)1.84質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル0.34質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.24質量部を混合し、溶剤を除く成分全量に対しカーボンブラック濃度が70質量%であるインク組成物(B−6)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−7)の調製>
上記黒色分散液(V−2)87.8質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)8.6質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル1.6質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.1質量部、撥インク剤としてサーフロンS386(フッ素系撥液剤、AGCセイミケミカル社製)を0.88質量部混合し、溶剤を除く成分全量に対しカーボンブラック濃度が50質量%であるインク組成物(B−7)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−8)の調製>
上記黒色分散液(V−2)87.8質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)8.6質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル1.6質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.1質量部、撥インク剤としてモディパーFS700(シリコン系撥液剤、日油社製)を0.88質量部混合し、溶剤を除く成分全量に対しカーボンブラック濃度が50質量%であるインク組成物(B−8)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−9)の調製>
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸30質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート60質量部および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて滴下し、この温度を保持して1時間重合した。
その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、重合体(Q−1)を得た。重合体(Q−1)は、重合体溶液(固形分濃度=33質量%)の状態で得られ、Mw=11000、Mn=6100、Mw/Mn=1.80であった。これを重合体(Q−1)溶液とする。
重合体(Q−1)溶液90質量部にメチルシクロヘキサン40質量部を加えて溶解させた後、InP/ZnSコアシェル型量子ドットを10質量部混合して均一な溶液を作製し、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASFジャパン社製イルガキュア(登録商標)OXE01)10質量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート70質量部を混合し、量子ドットを含む硬化性材料(B−9)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−10)の調製>
重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100量部、光重合開始剤としてIrgacure907(BASF社、3質量部)、金属酸化物料として酸化チタン(20質量部)を加え、室温下でよく撹拌し、インク組成物(B−10)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−11)の調製>
酸化チタン(C R − 5 0、平均粒子径250nm 、石原産業社製)40質量部、分散剤としてDISPERBYK−145(ビックケミ−社製)を5質量部、溶剤として3−メトキシブタノール55質量部を混合し、ビーズミルで一昼夜練肉し、白色分散液(V−3)を調製した。
上記白色分散液(V−3)74.6質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)19.3質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル3.6質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.5質量部を混合し、溶剤を除く成分全量に対し酸化チタン濃度が50質量%であるインク組成物(B−11)を調製した。
<硬化性インク組成物(B−12)の調製>
上記白色分散液(V−3)89.2質量部に架橋剤としてEPICLON EXA−4816(DIC社製)8.2質量部、酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミド−トリフルオロメタンスルホン酸エステル1.5質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.06質量部を混合し、溶剤を除く成分全量に対し酸化チタン濃度が70質量%であるインク組成物(B−12)を調製した。
本発明の硬化性インク組成物による硬化膜は、すべて絶縁体であった。
<比較用硬化性インク組成物(B−13)の調製>
≪アルカリ可溶性樹脂の合成≫
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコ内で、メタクリル酸15.0g、アセナフチレン30.0g、ベンジルメタクリレート40.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート10.0g及びω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート5.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート220gに溶解した。次いで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0g及びα−メチルスチレンダイマー6.0gを投入し、フラスコ内を15分間窒素パージした。
窒素パージの後、反応液を攪拌しながら、80℃に加熱した。そして、この温度を保持して5時間重合することにより、アルカリ可溶性樹脂(P−3)を33質量%含む重合溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂C1のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
≪黒色顔料分散液(V−4)の調製≫
カーボンブラック(プリンテックス45、平均一次粒子径26nm、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)20.0質量部と、DISPERBYK−2001(ビックケミ−社製)4.0質量部と、溶剤として3−メトキシブチルアセテートと、を固形分濃度が24質量% となるよう用いて、ビーズミルにより混合して、黒色顔料分散液(V−4)を調製した。
≪黒色レジスト組成物の調製≫
黒色顔料分散液(V−4)150質量部と、アルカリ可溶性樹脂(P−3)を含む重合溶液(固形分濃度33質量% )19質量部と、重合性オリゴマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.0質量部と、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン2.6質量部、2,2’ −ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール2.0質量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.7質量部と添加剤として2−メルカプトベンゾチアゾール1.0質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.7質量部と、界面活性剤としてメガファックF475(DIC社製)0.02質量部と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0質量部と、シクロヘキサノン17.0質量部とを混合して、溶剤を除く成分全量に対しカーボンブラック濃度が60質量%である黒色レジスト組成物(B−13)を得た。
<比較用白色レジスト組成物(B−14)の調製>
≪白色顔料分散液(V−5)の調製≫
酸化チタン(CR−50、平均粒子径250nm、石原産業社製)40.0質量部と、DISPERBYK−2096(ビックケミ−社製)5.0質量部と、溶剤として55−メトキシブチルアセテートとを固形分濃度が45質量%となるよう用いて、ビーズミルにより混合して、白色顔料分散液(V−5)を調製した。
≪白色レジスト組成物の調製≫
白色顔料分散液(V−5)150質量部と、アルカリ可溶性樹脂(P−3)を含む重合溶液(固形分濃度33質量% )19質量部と、重合性オリゴマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.0質量部と、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン2.6質量部、2,2’ −ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール2.0質量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.7質量部と添加剤として2−メルカプトベンゾチアゾール1.0質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.7質量部と、界面活性剤としてメガファックF475(DIC社製)0.02質量部と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0質量部と、シクロヘキサノン17.0質量部とを混合して、溶剤を除く成分全量に対し酸化チタン濃度が74質量%である白色レジスト組成物(B−14)を得た。
<テンプレートを用いたパターニング性評価>
上記で作製したテンプレートに対し、パターニング性を評価した。
[実施例1]
感放射線性樹脂組成物(X−1)を用いて得られた、0.5μmの膜厚、50μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−1)上に、インク組成物(B−1)をシリンジ塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、50μmの現像パターン上に選択的に塗布された。その後、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−1)が残った((図15)。得られたパターン幅は50μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例2]
感放射線性樹脂組成物(X−1)を用いて得られた、10μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−2)上に、インク組成物(B−1)をダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ社)を用いてインクジェット塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−1)が残った。得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
なお、テンプレートを使用せず、インク組成物(B−1)を塗布し、フォトマスクを介して、露光量を1000mJ/cmで露光し、現像しても、パターンは形成されず、パターンが解像されなかった。発明のテンプレートを用いてパターン形成した場合、適切な露光量でパターンを解像できると考えられる。
[実施例3]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、10μmの膜厚、10μm×10μmの四角状撥液性テンプレート(T−3)(図16)上に、インク組成物(B−1)をダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ社)を用いてインクジェット塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μm×10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−1)(図17)が残った。
得られたパターンは10μm×10μmであり、テンプレートに合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例4]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、2.0μmの膜厚、50μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−4)上に、インク組成物(B−2)をディップ塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、50μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−2)が残った。
得られたパターン幅は50μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例5]
感放射線性樹脂組成物(X−1)を用いて得られた、撥液性テンプレート(T−2)上に、インク組成物(B−3)をダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ社)を用いインクジェット塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μm幅の現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、インク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−3)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例6]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、10μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−5)(図18)上に、インク組成物(B−4)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−4)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された(図19)。
[実施例7]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−5)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−5)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例8]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−6)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−6)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例9]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−7)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−7)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例10]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−8)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−8)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例11]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、2.0μmの膜厚、50μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−3)上に、インク組成物(B−9)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところ、インク組成物は撥液パターン上には残らず、50μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−9)が残った。
得られたパターン幅は50μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
得られたパターンについて、さらに、絶対PL量子収率測定装置(C11347−01、浜松ホトニクス社)を用いて、25℃における蛍光量子収率を調べた。蛍光量子収率は38%であり、蛍光特性は良好と判断した。
[実施例12]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−10)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−10)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例13]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−11)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−11)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
[実施例14]
感放射線性樹脂組成物(X−2)を用いて得られた、5μmの膜厚、10μm幅のライン状撥液性テンプレート(T−6)上に、インク組成物(B−12)をマイクロキャピラリ−を用い塗布したところインク組成物は撥液パターン上には残らず、10μmの現像パターン上に選択的に塗布された。
その後高圧水銀ランプを用い、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を硬化させた。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に2分間浸漬することにより、撥液性テンプレート部が除去され、硬化したインク組成物(B−12)が残った。
得られたパターン幅は10μmであり、テンプレート幅に合わせたパターンが良好に形成された。
(比較例1)
感放射線性樹脂組成物(X−3)を用いて得られた、撥液性テンプレートパターン(T−7)上に、インク組成物(B−1)をシリンジ塗布したところインク組成物は50μmの現像パターン上に選択的に塗布されることなく濡れ広がってしまい、パターニングすることが出来なかった。
(比較例2)
感放射線性樹脂組成物(X−3)を用いて得られた、撥液性テンプレートパターン(T−7)上に、インク組成物(B−2)をディップ塗布したところインク組成物は50μmの現像パターン上に選択的に塗布されることなく全面に塗布されてしまい、パターニングすることが出来なかった。
(比較例3)
感放射線性樹脂組成物(X−3)を用いて得られた、撥液性テンプレートパターン(T−7)上に、インク組成物(B−3)をダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ社)を用いインクジェット塗布したところインク組成物は50μmの現像(T−7)パターン上に選択的に塗布されることなく濡れ広がってしまい、パターニングすることが出来なかった。
(比較例4)
黒色レジスト組成物(B−13)を、シリコンウエハ基板に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレート上で150秒間プレベークを行って、膜厚1.7μmの被膜を形成した。次いで、基板を室温に冷却し、露光装置( 商品名「マスクアライナーMA200e」、SUSS社製)を用いて、幅50μmサイズを有するフォトマスクを介して、被膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を露光した。
このときの露光量は500mJ/cm2であった。その後、23℃のポリオキシエチレン系界面活性剤含有0.05質量% テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、基板を1 分間シャワー現像した。
そして、超純水を用いて洗浄して風乾した。次いで、1 8 0 ℃ のホットプレート上で5分間ポストベークを行って、基板上にパターン化皮膜を形成した。得られたパターン化皮膜を電子顕微鏡にて観察し、パターンが良好に形成されているか確認した。その結果、黒色パターンは確認されず現像時に消失していることがわかった。これは黒色顔料濃度が高過ぎ、光硬化が十分に進行しなかったためである。
(比較例5)
白色レジスト組成物(B−14)を、シリコンウエハ基板に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレート上で150秒間プレベークを行って、膜厚1.7μmの被膜を形成した。次いで、基板を室温に冷却し、露光装置( 商品名「マスクアライナーMA200e」、SUSS社製)を用いて、幅50μmサイズを有するフォトマスクを介して、被膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む紫外線を露光した。このときの露光量は500mJ/cm2であった。
その後、23℃のポリオキシエチレン系界面活性剤含有0.05質量% テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、基板を1 分間シャワー現像した。そして、超純水を用いて洗浄して風乾した。次いで、1 8 0 ℃ のホットプレート上で5分間ポストベークを行って、基板上にパターン化皮膜を形成した。得られたパターン化皮膜を電子顕微鏡にて観察し、パターンが良好に形成されているか確認した。
その結果、白色パターンは確認されず現像時に消失していることがわかった。これは白色顔料濃度が高過ぎ、光硬化が十分に進行しなかったためである。
<黒色の硬化性インク組成物(B−3〜B−7)のOD値測定>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、黒色インク組成物(B−3)〜(B−7)を全面塗布し、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を1μm膜厚になるように硬化させた。その後、X−Rite361T(サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて、23℃55%RHの雰囲気下、黒色硬化膜の光学濃度OD値を測定した。
カーボンブラック濃度の高いB−5〜B−8においてOD/μm>3の高い遮光性が確認された。
<黒色の硬化性インク組成物(B−5.7,8)の撥液性測定>
9.5cm角の無アルカリガラス基板(EAGLE-XG、0.7mm厚,コーニング社製))上に、黒色インク組成物(B−5)、(B−7)、(B−8)を全面塗布し、高圧水銀ランプを用いて露光量を1000mJ/cmとして、基板全体に放射線照射を行い、続いて70℃で15分間加熱することによりインク組成物を1μm膜厚になるように硬化させた。
その後、DM−501(協和界面科学社製)を用いて、23℃55%RHの雰囲気下、黒色硬化膜の水及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する静的接触角を測定した。
本発明の硬化膜表面の接触角が確認された。
10 基板
11 テンプレート用塗膜
12 親液性表面を含む層
13 撥液性表面を含む層
14 硬化性樹脂組成物
15 硬化膜
hν 放射線

Claims (16)

  1. 基板上に、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程、
    前記親液性表面を含む層に、硬化性組成物を塗布し塗膜を形成する工程、
    前記塗膜を硬化させる工程及び、
    前記撥液性表面を含む層を現像液で現像して除去する工程、
    とを備え、前記撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層のテトラデカンに対する接触角差が、30°以上である、硬化膜の形成方法。
  2. 前記撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成する工程が、
    酸解離性基を有する重合体及び感放射線性酸発生体を含む感放射線性樹脂組成物により、撥液性の表面を有する塗膜を形成する工程、及び
    前記塗膜の一部の表面領域への放射線の照射により、前記親液性表面を含む層を形成する工程を備える請求項1に記載の硬化膜の形成方法。
  3. 前記酸解離性基が、フッ素原子を含有する請求項2に記載の硬化膜の形成方法。
  4. 前記硬化性組成物が重合性化合物および重合開始剤を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法。
  5. 前記硬化性組成物が、蛍光粒子、着色剤、金属酸化物およびカーボン材料から選ばれる少なくとも一種の添加剤をさらに含む請求項4に記載の硬化膜の形成方法。
  6. 前記添加剤が、酸化チタン、酸化バリウム、セシウムタングステン酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイトおよびカーボンブラックから選ばれる少なくとも一種を含む請求項4または5に記載の硬化膜の形成方法。
  7. 前記硬化性組成物の添加剤の使用量が、硬化性組成物中、溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに、40質量%以上95質量%以下である請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法。
  8. 前記硬化性組成物の添加剤の使用量が、硬化性組成物中、溶剤を除く成分全量を100質量%としたときに、60質量%以上95質量%以下である請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法。
  9. 前記硬化性組成物が撥インク剤を含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法。
  10. 前記撥インク剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくとも1つを含む請求項9に記載の硬化膜の形成方法。
  11. 前記硬化性組成物が、さらに分散剤を含む請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法において、硬化性組成物の塗布をインクジェット法またはディップ法により行い塗膜を形成する硬化膜の形成方法。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法により形成される硬化膜の形状が、逆テーパ形状である硬化膜の形成方法。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の硬化膜の形成方法において、撥液性表面を含む層と親液性表面を含む層を形成するために用いられる感放射線性樹脂組成物。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載の表示素子用の硬化膜の形成方法。
  16. 請求項1から13のいずれか1項に記載のセンサー用の硬化膜の形成方法。
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