JP2017040869A - ネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、隔壁ならびに光学素子およびその製造方法 - Google Patents

ネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、隔壁ならびに光学素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な撥インク性を有するとともに開口部における残渣の低減が可能な光学素子(有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイ、薄膜太陽電池)用のネガ型感光性樹脂組成物、良好な撥インク性を有する光学素子用の樹脂硬化膜、精度の高いパターンの形成が可能な光学素子用の隔壁および、該隔壁を有する光学素子の提供。
【解決手段】光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体と、光重合開始剤(B1)と、撥インク剤とを含有する、有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用のネガ型感光性樹脂組成物、該ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜、隔壁、および基板表面に複数のドットと隣接するドット間に位置する該隔壁とを有する有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイ、薄膜太陽電池。
【選択図】図1C

Description

本発明は、有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池に用いるネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、隔壁および光学素子、具体的には、有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイおよび薄膜太陽電池、ならびに該光学素子の製造方法に関する。
有機EL(Electro-Luminescence)素子、量子ドットディスプレイ、TFT(Thin Film Transistor)アレイ、薄膜太陽電池等の光学素子の製造においては、発光層等の有機層をドットとして、インクジェット(IJ)法にてパターン印刷する方法を用いることがある。かかる方法においては、形成しようとするドットの輪郭に沿って隔壁を設け、該隔壁で囲まれた区画(以下、「開口部」ともいう。)内に、有機層の材料を含むインクを注入し、これを乾燥および/または加熱等することにより所望のパターンのドットを形成する。
インクジェット(IJ)法にてパターン印刷をする際には、隣接するドット間におけるインクの混合防止とドット形成におけるインクの均一塗布のため、隔壁上面は撥インク性を有する必要がある。その一方で、隔壁側面を含む隔壁で囲まれたドット形成用の開口部は親インク性を有する必要がある。そこで、上面に撥インク性を有する隔壁を得るために、撥インク剤を含ませた感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によりドットのパターンに対応する隔壁を形成する方法が知られている。
例えば、特許文献1には有機EL素子等において酸性基および分子内に3個以上のエチレ性二重結合を有するアルカリ可溶の感光性樹脂と、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数20以下のアルキル基(ただし、前記アルキル基はエーテル性の酸素を有するものを含む。)を有する重合単位、およびエチレン性二重結合を有する重合単位を有する重合体からなる撥インク剤と、光重合開始剤とを含有するネガ型感光性樹脂組成物が記載されている。光重合開始剤として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IR907)が開示されている。
しかしながら、有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイ、薄膜太陽電池の製造においては、特許文献1の組成物を用いた場合ではパネルとした時にムラが発生しやすいという問題があった。
国際公開第2004/042474号
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、得られる隔壁の上面が良好な撥インク性を有するとともに、パネルとした時にムラの低減された有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用のネガ型感光性樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明は、また、隔壁で仕切られた開口部にインクが均一塗布され精度よく形成されたドットを有するムラの低減された光学素子、具体的には有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイおよび薄膜太陽電池、ならびに該光学素子の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下[1]〜[8]の要旨を有する。
[1]光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)と、光重合開始剤(B)と、撥インク剤(C)とを含有し、該光重合開始剤(B)が、アシルホスホンオキサイド系の化合物およびベンゾイン系の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる光重合開始剤(B1)を含むことを特徴とする、有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用のネガ型感光性樹脂組成物。
[2]さらに波長365nmにおける吸光度が0.2以上である光重合開始剤(B2)(ただし、光重合開始剤(B1)を除く)を含む[1]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]さらに溶媒(F)を含み、該溶媒(F)が水を含み、該水の含有量が該溶媒(F)全体の1〜10質量%である、[1]または[2]に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4]さらに7個以上のエチレン性二重結合を有する架橋剤(D)を含む[1]〜[3]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用の樹脂硬化膜。
[6]基板表面をドット形成用の複数の区画に仕切る形に形成された隔壁であって、[5]の樹脂硬化膜からなることを特徴とする有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用の隔壁。
[7]基板表面に複数のドットと隣接するドット間に位置する隔壁とを有する光学素子であって、該光学素子は有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池であり、前記隔壁が[6]の隔壁で形成されていることを特徴とする光学素子。
[8]前記ドットをインクジェット法で形成することを特徴とする[7]の光学素子の製造方法。
本発明によれば、得られる隔壁上面が良好な撥インク性を有するとともにムラの低減された有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池が作製可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供できる。
本発明の光学素子は、隔壁で仕切られた開口部にインクが均一塗布され精度よく形成されたドットを有するムラの低減された光学素子、具体的には有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイおよび薄膜太陽電池である。
本発明の実施形態の隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。 本発明の実施形態の隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。 本発明の実施形態の隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。 本発明の実施形態の隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。 本発明の実施形態の光学素子の製造方法を模式的に示す工程図である。 本発明の実施形態の光学素子の製造方法を模式的に示す工程図である。
本明細書において、次の用語は、それぞれ、下記の意味で使用される。
「(メタ)アクリロイル基」は、「メタクリロイル基」と「アクリロイル基」の総称である。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリル樹脂もこれに準じる。
式(x)で表される基を、単に基(x)と記載することがある。
式(y)で表される化合物を、単に化合物(y)と記載することがある。
ここで、式(x)、式(y)は、任意の式を示している。
「ある成分を主として構成される樹脂」または「ある成分を主体とする樹脂」とは、該成分の割合が樹脂全量に対して50質量%以上を占めることをいう。
「側鎖」とは、炭素原子からなる繰り返し単位が主鎖を構成する重合体において、主鎖を構成する炭素原子に結合する、水素原子またはハロゲン原子以外の基である。
「感光性樹脂組成物の全固形分」とは、感光性樹脂組成物が含有する成分のうち後述する硬化膜を形成する成分を指し、感光性樹脂組成物を140℃で24時間加熱して溶媒を除去した残存物から求める。なお、全固形分量は仕込み量からも計算できる。
樹脂を主成分とする組成物の硬化物からなる膜を「樹脂硬化膜」という。
感光性樹脂組成物を塗布した膜を「塗膜」、それを乾燥させた膜を「乾燥膜」という。該「乾燥膜」を硬化させて得られる膜は「樹脂硬化膜」である。また、「樹脂硬化膜」を単に「硬化膜」ということもある。
樹脂硬化膜は、所定の領域を複数の区画に仕切る形に形成された隔壁の形態であってもよい。隔壁で仕切られた区画、すなわち隔壁で囲まれた開口部に、例えば、以下の「インク」が注入され、「ドット」が形成される。
「インク」とは、乾燥、硬化等した後に、光学的および/または電気的な機能を有する液体を総称する用語である。
有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイおよび薄膜太陽電池においては、各種構成要素としてのドットを、該ドット形成用のインクを用いてインクジェット(IJ)法によりパターン印刷することがある。「インク」には、かかる用途に用いられるインクが含まれる。
「撥インク性」とは、上記インクをはじく性質であり、撥水性と撥油性の両方を有する。撥インク性は、例えば、インクを滴下したときの接触角により評価できる。「親インク性」は撥インク性と相反する性質であり、撥インク性と同様にインクを滴下したときの接触角により評価できる。または、インクを滴下したときのインクの濡れ広がりの程度(インクの濡れ広がり性)を所定の基準で評価することにより親インク性が評価できる。
「ドット」とは、光学素子における光変調可能な最小領域を示す。有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイおよび薄膜太陽電池においては、白黒表示の場合に1ドット=1画素であり、カラー表示の場合に例えば3ドット(R(赤)、G(緑)、B(青)等)=1画素である。
「パーセント(%)」は、特に説明のない場合、質量%を表す。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[ネガ型感光性樹脂組成物]
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)と、特定の化合物からなる光重合開始剤(B1)を含有する光重合開始剤(B)と、撥インク剤(C)と、を含有する有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用のネガ型感光性樹脂組成物である。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、光重合開始剤(B2)、光重合開始剤(B3)、架橋剤(D)、着色剤(E)、溶媒(F)、その他の任意成分を含有する。
以下、各成分について説明する。
(アルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A))
アルカリ可溶性樹脂には符号(AP)、アルカリ可溶性単量体には符号(AM)を付して、それぞれ説明する。なお、以下の説明においてこれらを総称して「アルカリ可溶性樹脂(A)」ということもある。
アルカリ可溶性樹脂(AP)としては、1分子中に酸性基とエチレン性二重結合とを有する感光性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂(AP)が分子中にエチレン性二重結合を有することで、ネガ型感光性樹脂組成物の露光部は、光重合開始剤(B)から発生したラジカルにより重合して硬化して硬化膜を形成する。
このようにして充分に硬化した露光部はアルカリ現像液にて容易に除去されない。また、アルカリ可溶性樹脂(AP)が分子中に酸性基を有することで、アルカリ現像液にて、硬化していないネガ型感光性樹脂組成物の非露光部を選択的に除去できる。その結果、硬化膜を、所定の領域を複数の区画に仕切る形の隔壁の形態とすることができる。
酸性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、スルホ基およびリン酸基等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基およびビニルオキシアルキル基等の付加重合性を有する二重結合が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、エチレン性二重結合が有する水素原子の一部または全てが、メチル基等のアルキル基で置換されていてもよい。
エチレン性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂(AP)としては、酸性基を有する側鎖とエチレン性二重結合を有する側鎖とを有する樹脂(A−1)、およびエポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とが導入された樹脂(A−2)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このようなアルカリ可溶性樹脂(AP)としては、WO2014/084279号明細書に記載されているものが使用できる。
アルカリ可溶性樹脂(AP)としては、現像時の硬化膜の剥離が抑制されて、高解像度のドットのパターンを得ることができる点、ドットが直線状である場合のパターンの直線性が良好である点、平滑な硬化膜表面が得られやすい点で、樹脂(A−2)を用いることが好ましい。なお、パターンの直線性が良好であるとは、得られる隔壁の縁に欠け等がなく直線的であることをいう。
樹脂(A−2)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、フルオレニル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、特開2006−84985明細書に記載のエポキシ樹脂にそれぞれ酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(AP)が、1分子中に有するエチレン性二重結合の数は、平均3個以上が好ましく、6個以上が特に好ましい。エチレン性二重結合の数が上記範囲の下限値以上であると、露光部分と未露光部分とのアルカリ溶解度に差がつきやすく、より少ない露光量での微細なパターン形成が可能となる。
アルカリ可溶性樹脂(AP)の質量平均分子量(Mw)は、1.5×10〜30×10が好ましく、2×10〜15×10が特に好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、500〜20×10が好ましく、1.0×10〜10×10が特に好ましい。質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、露光時の硬化が充分であり、上記範囲の上限値以下であると、現像性が良好である。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により、ポリスチレンを標準物質として、測定されたものをいう。
アルカリ可溶性樹脂(AP)の酸価は、10〜300mgKOH/gが好ましく、30〜150mgKOH/gが特に好ましい。酸価が上記範囲であると、ネガ型用感光性組成物の現像性が良好になる。
アルカリ可溶性単量体(AM)としては、例えば、酸性基とエチレン性二重結合とを有する単量体(A−3)が好ましく用いられる。酸性基およびエチレン性二重結合は、アルカリ可溶性樹脂(AP)と同様である。アルカリ可溶性単量体(AM)の酸価についても、アルカリ可溶性樹脂(AP)と同様の範囲が好ましい。
単量体(A−3)としては、2,2,2−トリアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸等が挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中のアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)の含有割合は、5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性および現像性が良好である。
(光重合開始剤(B))
本発明における光重合開始剤(B)は、アシルホスホンオキサイド系、ベンゾイン系の化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる光重合開始剤(B1)を含む。
アシルホスホンオキサイド系の化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフォンオキサイドが挙げられる。
ベンゾイン系の化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、[2−オキソ-1,2−ジ(フェニル)エチル]アセテートが挙げられる。
光重合開始剤(B1)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(B1)を用いることにより、露光量を変化させても本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁の形状が変化しにくい。
光重合開始剤(B)は、光重合開始剤(B1)に加えて、光重合開始剤(B2)および/または光重合開始剤(B3)を含有することが好ましい。
本発明における光重合開始剤(B2)は、光重合開始剤(B1)以外の化合物からなり、波長365nmにおける吸光度が0.2以上である。波長365nmにおける吸光度は、光重合開始剤(B2)の濃度を10−3質量%としたメタノール溶液を1cm角のセルで測定したときの値である。以下、「吸光度」は、特に断りのない場合、該方法で測定された波長365nmにおける吸光度をいう。
光重合開始剤(B2)としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(吸光度;0.8)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(吸光度;0.8)等が挙げられる。光重合開始剤(B2)を用いることにより、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁のテーパー角を高くすることができるとともに、該隔壁の形状も変化しにくい。なお、隔壁のテーパー角とは、基材に対して隔壁のテーパー部の断面の成す角度をいう。隔壁の断面形状は走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察可能である。
本発明における光重合開始剤(B3)は、チオキサントン系化合物であり、波長365nmにおける吸光度が0.2未満である。吸光度は、前記光重合開始剤(B2)と同じ条件で測定した値である。光重合開始剤(B3)としては、イソプロピルチオキサントン(吸光度;0.1)、2,4−ジエチルチオキサントン(吸光度;0.1)等が挙げられる。光重合開始剤(B3)を用いることにより、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁の撥液性が向上する。
また、光重合開始剤(B)は、光重合開始剤(B1)、(B2)、(B3)以外の他の光重合開始剤を含有してもよい。他の光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物における光重合開始剤(B)の全固形分中の含有割合は、0.1〜50質量%が好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の光重合開始剤(B1)の含有割合は、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。かかる(B1)の含有割合が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の隔壁の形状が露光量を変更しても安定する。
ネガ型感光性樹脂組成物が光重合開始剤(B2)を含有する場合、該組成物における全固形分中の光重合開始剤(B2)の含有割合は、1〜10質量%が好ましい。光重合開始剤(B2)の含有割合が上記範囲であると、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁のテーパー角を高くすることができるとともに、該隔壁の形状も変化しにくい。
ネガ型感光性樹脂組成物が光重合開始剤(B3)を含有する場合、該組成物における全固形分中の光重合開始剤(B3)の含有割合は、1〜10質量%が好ましい。光重合開始剤(B3)の含有割合が上記範囲であると、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁の撥液性が低露光量でも発現しやすくなる。また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁の現像時の細線形成性が向上する。
(撥インク剤(C))
本発明における撥インク剤(C)は、フッ素原子を有する。フッ素原子を有することで、撥インク剤(C)は、これを含有するネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する過程で上面に移行する性質(上面移行性)および撥インク性を有する。撥インク剤(C)を用いることで、得られる硬化膜の上面を含む上層部は、撥インク剤(C)が密に存在する層(以下、「撥インク層」ということもある。)となり、硬化膜上面に撥インク性が付与される。
上面移行性と撥インク性の観点から、撥インク剤(C)中のフッ素原子の含有率は1〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。撥インク剤(C)のフッ素原子の含有率が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜上面に良好な撥インク性を付与でき、上限値以下であると、ネガ型感光性樹脂組成物中の他の成分との相溶性が良好になる。
また、撥インク剤(C)は、エチレン性二重結合を有する化合物が好ましい。撥インク剤(C)がエチレン性二重結合を有することで、上面に移行した撥インク剤(C)のエチレン性二重結合にラジカルが作用して、撥インク剤(C)同士または撥インク剤(C)とネガ型感光性樹脂組成物が含有するエチレン性二重結合を有する他成分と(共)重合による架橋が可能となる。
これにより、ネガ型感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜の製造において、撥インク剤(C)の硬化膜の上層部、すなわち撥インク層における定着性を向上できる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、露光の際の露光量が低い場合であっても撥インク剤(C)を撥インク層に充分に定着させることができる。撥インク剤(C)がエチレン性二重結合を有する場合は上記のとおりである。撥インク剤(C)がエチレン性二重結合を有しない場合には、撥インク剤(C)の周辺に存在するアルカリ可溶性樹脂(A)を主体とする光硬化成分の硬化が充分に行われることで、撥インク剤(C)を充分に定着させることができる。
撥インク剤(C)としては、例えば、主鎖が炭化水素鎖であり、側鎖にフッ素原子を含む化合物からなる撥インク剤(C1)が挙げられる。撥インク剤(C)としては、フッ素原子を有する加水分解性シラン化合物を含む加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物からなる撥インク剤(C2)を用いてもよい。
撥インク剤(C1)および撥インク剤(C2)は、単独で、または組み合わせて用いられる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、より高い撥液性を発現させる点で、特に撥インク剤(C1)を用いることが好ましい。また、耐紫外線/オゾン性が求められる場合には、撥インク剤(C2)を用いることが好ましい。
撥インク剤(C1)は、主鎖が炭化水素鎖であり、フッ素原子を有する側鎖を含む化合物である。撥インク剤(C1)の質量平均分子量(Mw)は、100〜200,000が好ましく、1,000〜150,000がより好ましく、10,000〜130,000が特に好ましい。質量平均分子量(Mw)が下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する際に、撥インク剤(C1)が上面移行しやすい。上限値以下であると開口部残渣が少なくなり好ましい。
撥インク剤(C1)は、エーテル性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基からなる側鎖および/またはエーテル性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を有する側鎖を含む重合体であることが好ましい。
フルオロアルキル基は直鎖状でもよく、分岐状でもよい。
エーテル性酸素原子を含まないフルオロアルキル基の具体例としては、以下の構造が挙げられる。
−CF、−CFCF、−CFCHF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CF11CF、−(CF15CF
エーテル性酸素原子を含むフルオロアルキル基の具体例としては、以下の構造が挙げられる。
−CF(CF)O(CFCF
−CFO(CFCFO)r1CF
−CF(CF)O(CFCF(CF)O)r213
および−CF(CF)O(CFCF(CF)O)r3
上記式中、r1は1〜8の整数、r2は1〜4の整数、r3は1〜5の整数である。
撥インク剤(C1)の主鎖を構成する炭化水素鎖として、具体的には、エチレン性二重結合を有する単量体の重合で得られる主鎖、−Ph−CH−(ただし、「Ph」はベンゼン骨格を示す。)の繰り返し単位からなるノボラック型の主鎖等が挙げられる。
撥インク剤(C1)は、酸性基を有する側鎖、エチレン性二重結合を有する側鎖、およびオキシアルキレン基を有する側鎖のうち1種以上の側鎖を含むことができる。1つの側鎖に、酸性基、エチレン性二重結合、およびオキシアルキレン基のうち2種以上が含まれていてもよい。
また、撥インク剤(C1)は、ジメチルシリコーン鎖、アルキル基、グリシジル基、イソボルニル基、イソシアネート基、トリアルコキシシリル基等の側鎖を含むことができる。
撥インク剤(C1)の主鎖が−Ph−CH−の繰り返し単位からなるノボラック型の主鎖である場合、通常、主鎖を構成するベンゼン骨格(Ph)に、フッ素原子を有する側鎖を有し、および任意に酸性基を有する基、エチレン性二重結合を有する基、オキシアルキレン基が結合した重合体が撥インク剤(C1)として用いられる。
撥インク剤(C1)として、具体的には、国際公開第2014/046209号の例えば、段落[0080]〜[0102]、国際公開2014/069478号の例えば、段落[0145]〜[0170]に記載されたものが挙げられる。
撥インク剤(C2)は、加水分解性シラン化合物混合物(以下、「混合物(M)」ともいう。)の部分加水分解縮合物である。該混合物(M)は、フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基、および、ケイ素原子に加水分解性基が結合した基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「加水分解性シラン化合物(s1)」ともいう。)を必須成分として含み、任意に加水分解性シラン化合物(s1)以外の加水分解性シラン化合物を含む。混合物(M)が任意に含有する加水分解性シラン化合物としては、以下の加水分解性シラン化合物(s2)、(s3)が挙げられる。混合物(M)が任意に含有する加水分解性シラン化合物としては、加水分解性シラン化合物(s2)が特に好ましい。
加水分解性シラン化合物(s2);ケイ素原子に4個の加水分解性基が結合した加水分解性シラン化合物。
加水分解性シラン化合物(s3);エチレン性二重結合を有する基とケイ素原子に加水分解性基が結合した基とを有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物。
加水分解性シラン化合物(s1)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFCHCHCHSi(OCH
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCH
F(CFO(CFO(CFCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFCHCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFOCF(CF)CFO(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCH
なかでも、F(CFCHCHSi(OCHおよびF(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCHが特に好ましい。
混合物(M)における加水分解性シラン化合物(s1)の含有割合は、該混合物から得られる部分加水分解縮合物におけるフッ素原子の含有率が1〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%となる割合であることが好ましい。加水分解性シラン化合物(s1)の含有割合が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の上面に良好な撥インク性を付与でき、上限値以下であると、該混合物中の他の加水分解性シラン化合物との相溶性が良好になる。
化合物(s2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Si(OCH、Si(OC
Si(OCHの部分加水分解縮合物、
Si(OCの部分加水分解縮合物。
混合物(M)における加水分解性シラン化合物(s2)の含有割合は、加水分解性シラン化合物(s1)の1モルに対して、0.01〜5モルが好ましく、0.05〜4モルが特に好ましい。含有割合が上記範囲の下限値以上であると撥インク剤(C2)の造膜性が良好であり、上限値以下であると撥インク剤(C2)の撥インク性が良好である。
化合物(s3)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
[CH=C(CH)COO(CH]CHSi(OCH
[CH=C(CH)COO(CH]CHSi(OC
CH=CHSi(OCH
CH=CHCSi(OCH
混合物(M)における加水分解性シラン化合物(s3)の含有割合は、加水分解性シラン化合物(s1)の1モルに対して、0.1〜5モルが好ましく、0.5〜4モルが特に好ましい。含有割合が上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤(C2)の上面移行性が良好であり、また、上面移行後に上面を含む撥インク層において撥インク剤(C2)の定着性が良好であり、さらに、撥インク剤(C2)の貯蔵安定性が良好である。上限値以下であると撥インク剤(C2)の撥インク性が良好である。
混合物(M)は、任意に加水分解性シラン化合物(s1)〜(s3)以外の加水分解性シラン化合物を1種または2種以上含むことができる。
その他の加水分解性シラン化合物としては、ケイ素原子に結合する基として炭化水素基と加水分解性基のみを有する加水分解性シラン化合物(s4)、メルカプト基と加水分解性シリル基とを有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物(s5)、エポキシ基と加水分解性シリル基とを有し、フッ素原子を含有しない加水分解性シラン化合物(s6)、オキシアルキレン基と加水分解性シリル基を有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物(s7)、スルフィドと加水分解性シリル基を有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物(s8)、ウレイド基と加水分解性シリル基を有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物(s9)、アミノ基と加水分解性シリル基を有し、フッ素原子を含まない加水分解性シラン化合物(s10)等が挙げられる。
具体的には、加水分解性シラン化合物(s4)として、例えば、(CH−Si−OCH、(CHCH−Si−OC、(CH−Si−OC、(CHCH−Si−OCH、(CH−Si−(OCH、(CH−Si−(OC、(CHCH−Si−(OC、(CHCH−Si−(OCH、Ph−Si(OC、Ph−Si(OCH、C1021−Si(OCHが挙げられる。なお、式中Phはフェニル基を示す。
また、加水分解性シラン化合物(s5)として、例えば、HS−(CH−Si(OCH、HS−(CH−Si(CH)(OCHが、加水分解性シラン化合物(s6)として、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが、加水分解性シラン化合物(s7)として、例えば、CHO(CO)Si(OCH(ポリオキシエチレン基含有トリメトキシシラン)(ここで、kは例えば約10である。)、加水分解性シラン化合物(s8)として、例えば、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、加水分解性シラン化合物(s9)として、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、加水分解性シラン化合物(s10)として、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
特に撥インク剤(C2)が(s5)や(s8)を含む場合、低露光量でも撥液性が発現しやすくなり好ましい。
特に撥インク剤(C2)が(s7)を含む場合、撥インク剤(C2)の分散安定性、貯蔵安定性が向上し、好ましい。
撥インク剤(C2)の一例として、化合物(s1)をn1含み、化合物(s2)をn2、(s3)をn3含む混合物(M)の部分加水分解縮合物が挙げられる。ここで、n1〜n3は構成単位の合計モル量に対する各構成単位のモル分率を示す。n1>0、n2≧0、n3≧0、n1+n2+n3=1である。
n1:n2:n3は混合物(M)における化合物(s1)、(s2)、(s3)の仕込み組成と一致する。各成分のモル比は、各成分の効果のバランスから設計される。
n1は、撥インク剤(C2)におけるフッ素原子の含有率が上記好ましい範囲となる量において、0.02〜0.4が好ましい。
n2は、0〜0.98が好ましく、0.05〜0.6が特に好ましい。
n3は、0〜0.8が好ましく、0.2〜0.5が特に好ましい。
撥インク剤(C2)の質量平均分子量(Mw)は、500以上が好ましく、1,000,000未満が好ましく、5000以下が特に好ましい。
質量平均分子量(Mw)が下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する際に、撥インク剤(C2)が上面移行しやすい。上限値未満であると、開口部残渣が少なくなり好ましい。
撥インク剤(C2)の質量平均分子量(Mw)は、製造条件により調節できる。
撥インク剤(C2)は、上述した混合物(M)を、公知の方法により加水分解および縮合反応させることで製造できる。この反応には、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ触媒、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等の無機酸、あるいは、酢酸、シュウ酸およびマレイン酸等の有機酸を触媒として用いることができる。また、上記反応には公知の溶媒を用いることができる。上記反応で得られる撥インク剤(C2)は、溶媒とともに溶液の性状でネガ型感光性樹脂組成物に配合してもよい。
撥インク剤(C2)として、具体的には、国際公開第2014/046209号の例えば、段落[0033]〜[0078]、国際公開2014/069478号の例えば、段落[0095]〜[0143]に記載されたものが挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の撥インク剤(C)の含有割合は、これを用いて得られる隔壁において、表面が上記(I)の特性を満足する含有割合とする。該含有割合は、用いる撥インク剤(C)の種類にもよるが、具体的には、0.03〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.10〜3質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲の下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜の上面は優れた撥インク性を有する。上記範囲の上限値以下であると、硬化膜と基材との密着性が良好になる。
(架橋剤(D))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物が任意に含有する架橋剤(D)は、1分子中に2個以上のエチレン性二重結合を有し酸性基を有しない化合物である。ネガ型感光性樹脂組成物が架橋剤(D)を含むことにより、露光時におけるネガ型感光性樹脂組成物の硬化性が向上し、低い露光量でも硬化膜を形成することができる。
架橋剤(D)としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタアクリレート、テトラペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が結合したウレタン骨格を持つモノマー(10官能)およびウレタンアクリレート等が挙げられる。
光反応性の点からは、架橋剤(D)の内少なくとも1つは、7個以上のエチレン性二重結合を有することが好ましい。例えば、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタアクリレート、テトラペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が結合したウレタン骨格を持つモノマー(10官能)が好ましい。
また、架橋剤(D)の有するエチレン性二重結合の数は、9個以上がより好ましく、10個以上が特に好ましい。
架橋剤(D)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の架橋剤(D)の含有割合は、10〜60質量%が好ましく、20〜55質量%が特に好ましい。
(着色剤(E))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、用途に応じて、硬化膜、特には隔壁に遮光性を付与する場合に、着色剤(E)を含有する。本発明における着色剤(E)としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料およびアゾメチン系黒色顔料等の各種無機顔料または有機顔料が挙げられる。
着色剤(E)としては赤色顔料、青色顔料および緑色顔料等の有機顔料および/または無機顔料の混合物を用いることもできる。
好ましい有機顔料の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、メチル−2−シアノアクリレート、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、C.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントレッド254、ピグメントグリーン36、ピグメントイエロー150等が挙げられる。
着色剤(E)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。本発明のネガ型感光性樹脂組成物が、着色剤(E)を含有する場合には、全固形分中の着色剤(E)の含有割合は、15〜65質量%が好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂等(A)の100質量%に対しては、15〜1500質量%が好ましく、20〜1000質量%がより好ましい。かかる着色剤(E)の上記範囲であると得られるネガ型感光性樹脂組成物は感度が良好であり、また、形成される隔壁は遮光性に優れる。
(溶媒(F))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、溶媒(F)を含有することで粘度が低減され、ネガ型感光性樹脂組成物の基材表面への塗布がしやすくなる。その結果、均一な膜厚のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜が形成できる。
溶媒(F)としては公知の溶媒が用いられる。溶媒(F)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶媒(F)としては、アルキレングリコールアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、アルコール類、ソルベントナフサ類、および水等が挙げられる。なかでも、アルキレングリコールアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、およびアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒がさらに好ましい。
なお、溶媒(F)が水を含む場合、水の含有量は溶媒(F)全体の10質量%以下であるのが好ましい。上記範囲であると、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜から形成された隔壁からなるパターン基板のムラを低減できる。また、水の含有量は1〜10質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると組成物の分散安定性が良好である。
ネガ型感光性樹脂組成物における溶媒(F)の含有割合は、組成物全量に対して50〜99質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、65〜90質量%が特に好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂等(A)の100質量%に対しては、0.1〜3000質量%が好ましく、0.5〜2000質量%がより好ましい。
(その他の成分)
(チオール化合物(G))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物が任意に含有するチオール化合物(G)は、1分子中にメルカプト基を2個以上有する化合物である。本発明のネガ型感光性樹脂組成物がチオール化合物(G)を含有すれば、露光時に光重合開始剤(B)から生成したラジカルによりチオール化合物(G)のラジカルが生成してアルカリ可溶性樹脂等(A)やネガ型感光性樹脂組成物が含有するその他成分のエチレン性二重結合に作用する、いわゆるエン−チオール反応が生起する。このエン−チオール反応は、通常のエチレン性二重結合がラジカル重合するのと異なり、酸素による反応阻害を受けないため、高い連鎖移動性を有し、さらに重合と同時に架橋も行うため、硬化物となる際の収縮率も低く、均一なネットワークが得られやすい等の利点を有する。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物が、チオール化合物(G)を含有する場合には、上述のようにして低露光量でも充分に硬化でき、特に酸素による反応阻害を受け易い隔壁上面を含む上層部においても光硬化が充分に行われることから隔壁上面に良好な撥インク性を付与することが可能となる。
チオール化合物(G)中のメルカプト基は、1分子中に2〜10個含むことが好ましく、2〜8個がより好ましく、2〜5個がさらに好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性の観点からは、3個が特に好ましい。
チオール化合物(G)の分子量は特に制限されない。チオール化合物(G)における、[分子量/メルカプト基数]で示されるメルカプト基当量(以下、「SH当量」ともいう。)は、低露光量での硬化性の観点から、40〜1,000が好ましく、40〜500がより好ましく、40〜250が特に好ましい。
チオール化合物(G)としては、具体的には、トリス(2−メルカプトプロパノイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールトリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリフェノールメタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリフェノールメタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、2、4,6−トリメルカプト−S−トリアジン等が挙げられる。
チオール化合物(G)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物がチオール化合物(G)を含有する場合、その含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物中の全固形分が有するエチレン性二重結合の1モルに対してメルカプト基が0.0001〜1モルとなる量が好ましく、0.0005〜0.5モルがより好ましく、0.001〜0.5モルが特に好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂等(A)の100質量%に対しては、0.1〜1200質量%が好ましく、0.2〜1000質量%がより好ましい。かかるチオール化合物(G)の含有割合が上記範囲であると、低露光量においてもネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性および現像性が良好である。
(リン酸化合物(H))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、得られる硬化膜における基材やITO等の透明電極材料等に対する密着性を向上させるために、任意にリン酸化合物(H)を含むことができる。
このようなリン酸化合物(H)としては、硬化膜の基材や透明電極材料等に対する密着性を向上できるものであれば特に限定されるものではないが、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するリン酸化合物であることが好ましい。
分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するリン酸化合物としては、リン酸(メタ)アクリレート化合物、すなわち、分子内に少なくともリン酸由来のO=P構造と、(メタ)アクリル酸系化合物由来のエチレン性不飽和二重結合である(メタ)アクリロイル基とを有する化合物やリン酸ビニル化合物が好ましい。
本発明に用いるリン酸(メタ)アクリレート化合物としては、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタアクリロイルオキシエチル)カプロエートアシッドホスフェート等が挙げられる。
また、リン酸化合物(H)としては、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するリン酸化合物以外にも、フェニルホスホン酸などが使用できる。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、リン酸化合物(H)として、これに分類される化合物の1種を単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物がリン酸化合物(H)を含有する場合、その含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物中の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂等(A)の100質量%に対しては、0.01〜200質量%が好ましく、0.1〜100質量%がより好ましい。かかるリン酸化合物(H)の含有割合が上記範囲であると、得られる硬化膜と基材等との密着性が良好である。
本発明におけるネガ型感光性樹脂組成物はさらに、必要に応じて、重合禁止剤、熱架橋剤、高分子分散剤、分散助剤、シランカップリング剤、微粒子、硬化促進剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤およびハジキ防止剤等の他の添加剤を1種または2種以上含有してもよい。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、上記各成分の所定量を混合して得られる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物は有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用であり、例えば、有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池に用いる硬化膜や隔壁の形成に用いることで特に効果が発揮できる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いれば、上面に良好な撥インク性を有する硬化膜、特には隔壁の製造が可能である。また、撥インク剤(C)のほとんどは、撥インク層に充分に定着しており、撥インク層よりも下の部分の隔壁に低濃度で存在する撥インク剤(C)も隔壁が充分に光硬化しているため、現像時に、撥インク剤(C)が隔壁で囲まれた開口部内にマイグレートしにくく、よってインクが均一に塗布できる開口部が得られる。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、その機構は定かではないが、光重合開始剤(B1)により、塗膜上層部、塗膜内部および塗膜下層部の硬化性が同程度となり、露光量によって隔壁のテーパー角が変化しにくくなるものと考えられる。露光時は、必ずしも基板面内に照射される光の照度は一定ではなく、テーパー角が大きく変化することがある。本発明のネガ型感光性樹脂組成物を使用することにより、テーパー角の変化の少ない隔壁が得られ、ムラなどが低減されるものと考えられる。
[樹脂硬化膜および隔壁]
本発明の実施形態の樹脂硬化膜は、上記の本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される。本発明の実施形態の樹脂硬化膜は、例えば、基板等の基材の表面に本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥して溶媒等を除去した後、露光することで硬化して得られる。本発明の実施形態の樹脂硬化膜は光学素子、特には、有機EL素子や量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池に用いられる場合に特に顕著な効果が発揮される。
本発明の隔壁は、基板表面をドット形成用の複数の区画に仕切る形に形成された上記の本発明の硬化膜からなる隔壁である。隔壁は、例えば、上記の樹脂硬化膜の製造において、露光前にドット形成用の区画となる部分にマスキングを施し、露光した後、現像することで得られる。現像によって、マスキングにより非露光の部分が除去されドット形成用の区画に対応する開口部が隔壁とともに形成される。本発明の実施形態の隔壁は、光学素子、特には、有機EL素子や量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池に用いられる場合に特に顕著な効果が発揮される。
以下、本発明の実施形態の隔壁の製造方法の一例を、図1A〜1Dを用いて説明するが、隔壁の製造方法は以下に限定されない。なお、以下の製造方法は、ネガ型感光性樹脂組成物が溶媒(F)を含有するものとして説明する。
図1Aに示すように、基板1の一方の主面全体にネガ型感光性樹脂組成物を塗布して、塗膜21を形成する。このとき、塗膜21中には撥インク剤(C)が全体的に溶解し、均一に分散している。なお、図1A中、撥インク剤(C)は模式的に示してあり、実際にこのような粒子形状で存在しているわけではない。
次に、図1Bに示すように、塗膜21を乾燥させて、乾燥膜22とする。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥および減圧加熱乾燥等が挙げられる。溶媒(F)の種類にもよるが、加熱乾燥の場合、加熱温度は50〜120℃が好ましい。
この乾燥過程において、撥インク剤(C)は乾燥膜の上層部に移行する。なお、ネガ型感光性樹脂組成物が、溶媒(F)を含有しない場合であっても、塗膜内で撥インク剤(C)の上面移行は同様に達成される。
次に、図1Cに示すように、隔壁に囲まれる開口部に相当する形状のマスキング部31を有するフォトマスク30を介して、乾燥膜22に対して光を照射し露光する。乾燥膜22を露光した後の膜を露光膜23と称す。露光膜23において、露光部23Aは光硬化しており、非露光部23Bは乾燥膜22と同様の状態である。
照射する光としては、可視光;紫外線;遠紫外線;KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、Fエキシマレーザ光、Krエキシマレーザ光、KrArエキシマレーザ光およびArエキシマレーザ光等のエキシマレーザ光;X線;電子線等が挙げられる。
照射する光としては、波長100〜600nmの光が好ましく、300〜500nmの光がより好ましく、i線(365nm)、h線(405nm)またはg線(436nm)を含む光が特に好ましい。また、必要に応じて330nm以下の光をカットしてもよい。
露光方式としては、全面一括露光、スキャン露光等が挙げられる。同一箇所に対して複数回に分けて露光してもよい。この際、複数回の露光条件は同一でも同一でなくても構わない。
露光量は、上記いずれの露光方式においても、例えば、5〜1,000mJ/cmが好ましく、5〜500mJ/cmがより好ましく、5〜300mJ/cmがさらに好ましく、5〜200mJ/cmが特に好ましく、5〜50mJ/cmが最も好ましい。なお、露光量は、照射する光の波長、ネガ型感光性樹脂組成物の組成および塗膜の厚さ等により、適宜好適化される。
単位面積当たりの露光時間は特に制限されず、用いる露光装置の露光パワーおよび必要な露光量等から設計される。なお、スキャン露光の場合、光の走査速度から露光時間が求められる。
単位面積当たりの露光時間は通常1〜60秒程度である。
次に、図1Dに示すように、アルカリ現像液を用いた現像を行い、露光膜23の露光部23Aに対応する部位のみからなる隔壁4が形成される。隔壁4で囲まれた開口部5は、露光膜23において非露光部23Bが存在していた部位であり、現像により非露光部23Bが除去された後の状態を、図1Dは示している。非露光部23Bは、上に説明したとおり、撥インク剤(C)が上層部に移行してそれより下の層にほとんど撥インク剤(C)が存在しない状態でアルカリ現像液により溶解、除去されるため、撥インク剤(C)は、開口部5にはほとんど残存しない。
なお、図1Dに示す隔壁4において、その上面を含む最上層は撥インク層4Aである。撥インク剤(C)がエチレン性二重結合を有する側鎖を有しない場合、露光の際に、撥インク剤(C)はそのまま最上層に高濃度に存在して撥インク層となる。露光の際、撥インク剤(C)の周辺に存在するアルカリ可溶性樹脂等(A)、さらに任意に含有するチオール化合物(G)やそれ以外の光硬化成分は、強固に光硬化して撥インク剤(C)は撥インク層に定着する。
撥インク剤(C)がエチレン性二重結合を有する側鎖を有する場合、撥インク剤(C)は互いにおよび/または、アルカリ可溶性樹脂等(A)、さらに任意に含有するチオール化合物(G)やその他の光硬化成分とともに光硬化して、撥インク剤(C)が強固に結合した撥インク層4Aを形成する。
上記のいずれの場合も、撥インク層4Aの下側には、主としてアルカリ可溶性樹脂等(A)および任意に含有するチオール化合物(G)、さらにそれ以外の光硬化成分が光硬化して、撥インク剤(C)をほとんど含有しない層4Bが形成される。
このようにして、撥インク剤(C)は、撥インク層4Aその下部層4Bを含む隔壁に充分に定着しているため、現像時に開口部にマイグレートすることがほとんどない。
現像後、隔壁4をさらに加熱してもよい。加熱温度は130〜250℃が好ましい。加熱により隔壁4の硬化がより強固なものとなる。また、撥インク剤(C)は撥インク層4A内により強固に定着する。
このようにして得られる本発明の樹脂硬化膜および隔壁4は、露光が低露光量で行われる場合であっても、上面に良好な撥インク性を有する。また、隔壁4においては、現像後、開口部5に撥インク剤(C)が存在することがほとんどなく、開口部5におけるインクの均一な塗工性を充分に確保できる。
なお、開口部5の親インク性をより確実に得ることを目的として、上記加熱後、開口部5に存在する可能性があるネガ型感光性樹脂組成物の現像残渣等を除去するために、隔壁4付きの基板1に対して紫外線/オゾン処理を施してもよい。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される隔壁は、例えば、幅が100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。また、隣接する隔壁間の距離(パターンの幅)は300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。隔壁の高さは0.05〜50μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることが特に好ましい。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される隔壁のテーパー角(例えば、図1Dにおいてαで示す。)は、25度以上90度以下が好ましい。35度以上70度以下が特に好ましい。本発明のネガ型感光性樹脂組成物に光重合開始剤(B2)が含まれていると、テーパー角を35度以上70度以下に調整することが容易になる。前記範囲内であると、インクジェットの注入性やインク層の均一性が良好となり好ましい。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される隔壁は、上記幅に形成された際の縁の部分に凹凸が少なく直線性に優れる。なお、隔壁における高い直線性の発現は、特に、アルカリ可溶性樹脂としてエポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とが導入された樹脂(A−2)を用いた場合に顕著である。それにより、たとえ微細なパターンであっても精度の高いパターン形成が可能となる。このような精度の高いパターン形成が行えれば、特に、有機EL素子用の隔壁として有用である。
本発明の隔壁は、IJ法にてパターン印刷を行う際に、その開口部をインク注入領域とする隔壁として使用できる。IJ法にてパターン印刷を行う際に、本発明の隔壁を、その開口部が所望のインク注入領域と一致するように形成して用いれば、隔壁上面が良好な撥インク性を有することから、隔壁を超えて所望しない開口部すなわちインク注入領域にインクが注入されることを抑制できる。また、隔壁で囲まれた開口部は、インクの濡れ広がり性が良好であるので、インクを所望の領域に白抜け等が発生することなく均一に印刷することが可能となる。
本発明の隔壁を用いれば、上記のとおりIJ法によるパターン印刷が精巧に行える。よって、本発明の隔壁は、ドットがIJ法で形成される基板表面に複数のドットと隣接するドット間に位置する隔壁を有する光学素子、特に有機EL素子や量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池の隔壁として有用である。
[光学素子]
本発明の光学素子としての有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池としては、基板表面に複数のドットと隣接するドット間に位置する上記本発明の隔壁とを有する有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池である。本発明の光学素子(有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池)において、ドットはIJ法により形成されることが好ましい。
有機EL素子とは、有機薄膜の発光層を陽極と陰極で挟んだ構造であり、本発明の隔壁は有機発光層を隔てる隔壁用途、有機TFT層を隔てる隔壁用途、塗布型酸化物半導体を隔てる隔壁用途などに用いることができる。
また、有機TFTアレイ素子とは、複数のドットが平面視マトリクス状に配置され、各ドットに画素電極とこれを駆動するためのスイッチング素子としてTFTが設けられ、TFTのチャネル層を含む半導体層として有機半導体層が用いられる素子である。有機TFTアレイ素子は、例えば、有機EL素子あるいは液晶素子等に、TFTアレイ基板として備えられる。
本発明の実施形態の光学素子、例えば、有機EL素子について、上記で得られた隔壁を用いて、開口部にIJ法によりドットを形成する例を以下に説明する。なお、本発明の有機EL素子等の光学素子におけるドットの形成方法は以下に限定されない。
図2Aおよび図2Bは、上記図1Dに示す基板1上に形成された隔壁4を用いて有機EL素子を製造する方法を模式的に示すものである。ここで、基板1上の隔壁4は、開口部5が、製造しようとする有機EL素子のドットのパターンに一致するように形成されたものである。
図2Aに示すように、隔壁4に囲まれた開口部5に、インクジェットヘッド9からインク10を滴下して、開口部5に所定量のインク10を注入する。インクとしては、ドットの機能に合わせて、有機EL素子用として公知のインクが適宜選択して用いられる。
次いで、用いたインク10の種類により、例えば、溶媒の除去や硬化のために、乾燥および/または加熱等の処理を施して、図2Bに示すように、隔壁4に隣接する形で所望のドット11が形成された有機EL素子12を得る。
本発明の実施形態の光学素子(有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池)、は、本発明の隔壁を用いることで、製造過程において隔壁で仕切られた開口部にインクがムラなく均一に濡れ広がることが可能であり、これにより精度よく形成されたドットを有する光学素子(有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池)である。
なお、有機EL素子は、例えば、以下のように製造できるがこれに限定されない。
ガラス等の透光性基板にスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性電極をスパッタ法等によって成膜する。この透光性電極は必要に応じてパターニングされる。
次に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用い、塗布、露光および現像を含むフォトリソグラフィ法により、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状に隔壁を形成する。
次に、ドット形成用開口部内に、IJ法により、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層および電子注入層の材料をそれぞれ塗布および乾燥して、これらの層を順次積層する。ドット形成用開口部内に形成される有機層の種類および数は適宜設計される。
最後に、アルミニウム等の反射電極、またはITO等の透光性電極を蒸着法等によって形成する。
また、量子ドットディスプレイは、例えば、以下のように製造できるがこれに限定されない。
ガラス等の透光性基板にスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性電極をスパッタ法等によって成膜する。この透光性電極は必要に応じてパターニングされる。
次に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用い、塗布、露光および現像を含むフォトリソグラフィ法により、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状に隔壁を形成する。
次に、ドット形成用開口部内に、IJ法により、正孔注入層、正孔輸送層、量子ドット層、正孔阻止層および電子注入層の材料をそれぞれ塗布および乾燥して、これらの層を順次積層する。ドット形成用開口部内に形成される有機層の種類および数は適宜設計される。
最後に、アルミニウム等の反射電極、またはITO等の透光性電極を蒸着法等によって形成する。
さらに本発明の実施形態の光学素子は、例えば以下のように製造される、青色光変換型の量子ドットディスプレイにも応用可能である。
ガラス等の透光性基板に本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用い、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状に隔壁を形成する。
次に、ドット形成用開口部内に、IJ法により青色光を緑色光に変換するナノ粒子溶液、青色光を赤色光に変換するナノ粒子溶液、必要に応じて青色のカラーインクを塗布、乾燥して、モジュールを作製する。青色を発色する光源をバックライトとして使用し前記モジュールをカラーフィルター代替として使用することにより、色再現性の優れた液晶ディスプレイが得られる。
TFTアレイは、例えば、以下のように製造できるがこれに限定されない。
ガラス等の透光性基板にアルミニウムやその合金等のゲート電極をスパッタ法等によって成膜する。このゲート電極は必要に応じてパターニングされる。
次に、窒化ケイ素等のゲート絶縁膜をプラズマCVD法等によって形成する。ゲート絶縁膜上にソース電極、ドレイン電極を形成してもよい。ソース電極およびドレイン電極は、例えば、真空蒸着やスパッタリングでアルミニウム、金、銀、銅やそれらの合金などの金属薄膜を形成し、作製することができる。ソース電極およびドレイン電極をパターニングする方法としては、金属薄膜を形成後、レジストを塗装し、露光、現像して電極を形成させたい部分にレジストを残し、その後、リン酸や王水などで露出した金属を除去、最後にレジストを除去する手法がある。また、金などの金属薄膜を形成させた場合は、予めレジストを塗装し、露光、現像して電極を形成させたくない部分にレジストを残し、その後金属薄膜を形成後、金属薄膜と共にフォトレジストを除去する手法もある。また、銀や銅等の金属ナノコロイド等を用いてインクジェット等の手法により、ソース電極およびドレイン電極を形成してもよい。
次に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、塗布、露光および現像を含むフォトリソグラフィ法により、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状に隔壁を形成する。
次にドット形成用開口部内に半導体溶液をIJ法によって塗布し、溶液を乾燥させることによって半導体層を形成する。この半導体溶液としては有機半導体溶液、無機の塗布型酸化物半導体溶液も用いることができる。ソース電極、ドレイン電極は、この半導体層形成後にインクジェットなどの手法を用いて形成されてもよい。
最後にITO等の透光性電極をスパッタ法等によって成膜し、窒化ケイ素等の保護膜を成膜することで形成する。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例1〜7が実施例であり、例8〜12が比較例である。
各測定は以下の方法で行った。
[数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)]
分子量測定用の標準試料として市販されている重合度の異なる複数種の単分散ポリスチレン重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を、市販のGPC測定装置(東ソー社製、装置名:HLC−8320GPC)を用いて測定した。ポリスチレンの分子量と保持時間(リテンションタイム)との関係をもとに検量線を作成した。
各試料について、テトラヒドロフランで1.0質量%に希釈し、0.5μmのフィルタを通過させた後、上記装置を用いてGPCを測定した。上記検量線を用いて、GPCスペクトルをコンピュータ解析することにより、試料の数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を求めた。
[PGMEA接触角]
静滴法により、JIS R3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、基材上の測定表面の3ヶ所にPGMEA滴を載せ、各PGMEA滴について測定した。液滴は2μL/滴とし、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)から求めた。なお、PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略号である。
各例で用いた化合物の略語は以下の通りである。
(アルカリ可溶性樹脂等(A))
A−1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂をアクリル酸、次いで1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と反応させて、アクリロイル基とカルボキシル基とを導入した樹脂をヘキサンで精製した樹脂、固形分70質量%、酸価60mgKOH/g。
A−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂にカルボキシル基とエチレン性二重結合を導入した樹脂、固形分70質量%、酸価60mgKOH/g。
A−3:ビスフェノールF型エポキシ樹脂にカルボキシル基とエチレン性二重結合を導入した樹脂、固形分70質量%、酸価60mgKOH/g。
A−4:下式(A−a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂に、エチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂、固形分:50質量%、酸価60mgKOH/g。
Figure 2017040869
(光重合開始剤(B1))
B1−1:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド。
B1−2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド。
B1−3:ベンジルジメチルケタール。
(光重合開始剤(B2))
B2−1:4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン。
(光重合開始剤(B3))
B3−1:イソプロピルチオキサントン。
(光重合開始剤(B4))
B4−1:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン。
(撥インク剤(C−1)の原料)
C6FMA:CH=C(CH)COOCHCH(CFF。
MAA:メタクリル酸。
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。
n−DM:n−ドデシルメルカプタン。
BEI:1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート。
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート。
TBQ:t−ブチル−p−ベンゾキノン。
MEK:2−ブタノン。
(撥インク剤(C−2)の原料としての加水分解性シラン化合物)
化合物(s1)に相当する化合物(cx−1):F(CFCHCHSi(OCH(公知の方法で製造した。)。
化合物(s2)に相当する化合物(cx−2):Si(OC
化合物(s3)に相当する化合物(cx−3):CH=CHCOO(CHSi(OCH
化合物(s5)に相当する化合物(cx−5):SH(CHSi(OCH
化合物(s6)に相当する化合物(cx−6):COCHO(CHSi(OCH
(架橋剤(D))
D−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレート。
D−2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が結合したウレタン骨格を持つモノマー(10官能)。
(チオール化合物(G))
G−1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)。
(溶媒(F))
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
EDGAC:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート。
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル。
(その他成分:重合禁止剤))
MHQ:2−メチルハイドロキノン。
[撥インク剤(C)の合成]
撥インク剤(C−1)および撥インク剤(C−2)を以下のとおり合成、または準備した。
(合成例1:撥インク剤(C−1)の合成)
撹拌機を備えた内容積1,000cmのオートクレーブに、MEKの415.1g、C6FMAの81.0g、MAAの18.0g、2−HEMAの81.0g、重合開始剤V−65の5.0gおよびn−DMの4.7gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃で24時間重合させ、さらに70℃にて5時間加熱し、重合開始剤を不活性化し、共重合体の溶液を得た。共重合体は、数平均分子量が5,540、質量平均分子量が13,200であった。
次いで、撹拌機を備えた内容積300cmのオートクレーブに上記共重合体の溶液の130.0g、BEIの33.5g、DBTDLの0.13g、TBQの1.5gを仕込み、撹拌しながら、40℃で24時間反応させ、粗重合体を合成した。得られた粗重合体の溶液にヘキサンを加えて再沈精製した後、真空乾燥し、撥インク剤(C−1)の65.6gを得た。
撥インク剤(C−1)は数平均分子量(Mn)7540、質量平均分子量(Mw)16200、フッ素原子の含有率14.8(質量%)、C=Cの含有量3.73(mmol/g)および酸価35.1(mgKOH/g)であった。
(合成例2:撥インク剤(C−2)液の調製)
撹拌機を備えた1,000cmの三口フラスコに、化合物(cx−1)2.8g、化合物(cx−2)5.5g、化合物(cx−3)4.1g、化合物(cx−5)2.1g、化合物(cx−6)2.5gを入れて、加水分解性シラン化合物混合物を得た。次いで、この混合物にPGMEを74.4g入れて、原料溶液とした。
得られた原料溶液に、1%塩酸水溶液を8.6g滴下した。滴下終了後、40℃で5時間撹拌して、撥インク剤(C−2)のPGME溶液(撥インク剤(C−2)濃度:10質量%、以下、「撥インク剤(C−2)溶液」ともいう。)を得た。
なお、反応終了後、反応液の成分をガスクロマトグラフィを使用して測定し、原料としての各化合物が検出限界以下になったことを確認した。
得られた撥インク剤は、数平均分子量(Mn)950、質量平均分子量(Mw)1150、フッ素原子の含有率15.0(質量%)、C=Cの含有量1.75(mmol/g)であった。
[例1:ネガ型感光性樹脂組成物の製造および樹脂硬化膜、隔壁の製造]
(ネガ型感光性樹脂組成物の製造)
上記合成例1で得られた(C−1)の0.12g、A−1の16.9g(固形分は11.9g、残りは溶媒のEDGAC)、B1−2の1.2g、D−1の11.9g、PGMEの69.9g、を200cmの撹拌用容器に入れ、5時間撹拌してネガ型感光性樹脂組成物を製造した。表1に、固形分濃度と、固形分における各成分の含有量(組成)および溶媒における各成分の含有量(組成)を示す。
(樹脂硬化膜1の製造)
10cm四方のITO基板(Indium−Tin-Oxideをガラス基板上に成膜したもの)をエタノールで30秒間超音波洗浄し、次いで、5分間のUV/O処理を行った。UV/O処理には、UV/O発生装置としてPL2001N−58(センエンジニアリング社製)を使用した。254nm換算の光パワー(光出力)は10mW/cmであった。なお、以下の全てのUV/O処理においても本装置を使用した。
上記洗浄後のITO基板表面に、スピンナを用いて、上記ネガ型感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間ホットプレート上で乾燥させ、膜厚2.4μmの乾燥膜を形成した。得られた乾燥膜に対して、開口パターンを有するフォトマスク(開口部がそれぞれ1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、12、14、16、18、20、30、40、50μm×1000μm(パターン間の間隔は50μm)のパターンが20mm×20mmの範囲に繰り返されているもの)を介して、365nm換算の露光パワー(露光出力)が25mW/cmである超高圧水銀ランプのUV光を全面一括照射した。露光の際に、330nm以下の光はカットした。また、乾燥膜とフォトマスクとの離間距離は50μmとした。各例において、露光条件は、露光量が80mJ/cmの場合、露光時間が3.2秒間であり、露光量が150mJ/cmの場合、露光時間が6秒間であり、露光量が300mJ/cmの場合、露光時間が12秒間である、というように評価内容により変更した。
(樹脂硬化膜2の製造)
次いで、上記露光処理後のITO基板を0.4質量%テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液に40秒間浸漬して現像し、非露光部を水により洗い流し、乾燥させた。次いで、ホットプレート上、230℃で60分間加熱することにより、フォトマスクの開口パターンに対応したパターンを有する硬化膜(隔壁)付ITO基板を得た。
また、上記と同様にしてITO基板表面に乾燥膜を形成し、フォトマスク(遮光部の大きさ:100μm×200μmで、開口部の幅:20μmの格子パターンが20mm×20mmの範囲に繰り返されているもの)を使用して上記露光条件は、露光量が150mJ/cmで乾燥膜を露光し、次いで上記現像条件と同様の条件で現像し、ホットプレート上、230℃で60分間加熱することにより、線幅20μmの隔壁でドット形成用開口部(100μm×200μm)を囲むパターンで樹脂硬化膜2付きITO基板を得た。
[例2〜12]
上記例1において、ネガ型感光性樹脂組成物を表1、表2に示す組成に変更した以外は、同様の方法で、ネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜および隔壁を製造した。
(評価)
例1〜12において得られたネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜および隔壁について、以下の評価を実施した。結果を表1、表2の下欄に示す。
<隔壁上面の撥インク性>
上記樹脂硬化膜1で露光量が80mJ/cmで得られた隔壁上面のPGMEA接触角を上記の方法で測定した。
◎:接触角40度以上
○:接触角30度以上40度未満
×:接触角30度未満
<隔壁のテーパー角の測定およびその評価>
上記樹脂硬化膜1でマスクを介して、露光時の露光量を150mJ/cm,300mJ/cmとした時の30μmのパターン部分の断面形状をSEM(Scaning Electro Microscope)で確認した。各々の露光量で形成した隔壁において、基材に対して隔壁のテーパー部の断面の成す角度(テーパー角)を測定した。測定結果から、露光量が150mJ/cmの時と、300mJ/cmの時に形成された隔壁のテーパー角の差が15度以下の場合を○、15度超から25度以下の場合は△、25度超の場合を×とした。
<ムラ評価>
上記樹脂硬化膜2付ITO基板をNaランプ下で観察し、コータ、ホットプレートのステージやピン、露光機のステージ、あるいは現像機の吸着チャックやシャワーのノズルの軌道に起因するような規則性のある直線や円状の反射光が目視で観察できるものを×、僅かに見えるものを△、全く見えないものを○とした。
<現像密着性>
上記樹脂硬化膜1の開口パターンを有するフォトマスク(開口部がそれぞれ1、2、3、4、5、6、7、8,9、10、12、14、16、18、20、30、40、50μm×1000μm、)を介して、露光量150mJ/cmで得られた隔壁を顕微鏡で観察し、マスク幅10μm未満のラインが残っている場合を◎、10μm以上50μm未満のラインが残っている場合を○、50μm以上のパターン無しの場合を×とした。
Figure 2017040869
Figure 2017040869
表1、表2から明らかなように、実施例に相当する例1〜7の、撥インク剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(B)を選定することにより、基板上への隔壁形成において、パターン形状の変化が小さく、ムラが良好であり、かつ隔壁上面が良好な撥インク性を有する。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、有機EL素子や量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池において、IJ法によるパターン印刷を行う際の隔壁形成用等の組成物として好適に用いることができる。
本発明の隔壁は、有機EL素子において、発光層等の有機層をIJ法にてパターン印刷するための隔壁(バンク)、あるいは量子ドットディスプレイにおいて量子ドット層や正孔輸送層などをIJ法にてパターン印刷するための隔壁(バンク)等として利用できる。
本発明の隔壁はまた、TFTアレイにおいて導体パターンまたは半導体パターンをIJ法にてパターン印刷するための隔壁等として利用できる。
本発明の隔壁は例えば、TFTのチャネル層をなす有機半導体層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート配線、およびソース配線等をIJ法にてパターン印刷するための隔壁等として利用できる。
1…基板、21…塗膜、22…乾燥膜、23…露光膜、23A…露光部、23B…非露光部、4…隔壁、4A…撥インク層、5…開口部、31…マスキング部、30…フォトマスク、9…インクジェットヘッド、10…インク、11…ドット、12…有機EL素子。

Claims (8)

  1. 光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)と、光重合開始剤(B)と、撥インク剤(C)とを含有し、該光重合開始剤(B)が、アシルホスホンオキサイド系の化合物およびベンゾイン系の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる光重合開始剤(B1)を含むことを特徴とする、有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用のネガ型感光性樹脂組成物。
  2. さらに波長365nmにおける吸光度が0.2以上である光重合開始剤(B2)(ただし、光重合開始剤(B1)を除く)を含む請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
  3. さらに溶媒(F)を含み、該溶媒(F)が水を含み、該水の含有量が該溶媒(F)全体の1〜10質量%である、請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
  4. さらに7個以上のエチレン性二重結合を有する架橋剤(D)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用の樹脂硬化膜。
  6. 基板表面をドット形成用の複数の区画に仕切る形に形成された隔壁であって、請求項5に記載の樹脂硬化膜からなることを特徴とする有機EL素子用、量子ドットディスプレイ用、TFTアレイ用または薄膜太陽電池用の隔壁。
  7. 基板表面に複数のドットと隣接するドット間に位置する隔壁とを有する光学素子であって、該光学素子は有機EL素子、量子ドットディスプレイ、TFTアレイまたは薄膜太陽電池であり、前記隔壁が請求項6に記載の隔壁で形成されていることを特徴とする光学素子。
  8. 前記ドットをインクジェット法で形成することを特徴とする請求項7に記載の光学素子の製造方法。
JP2015163785A 2015-08-21 2015-08-21 ネガ型感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、隔壁ならびに光学素子およびその製造方法 Pending JP2017040869A (ja)

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