JP2016003377A - 二相ステンレス鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度、耐孔食性および低温靭性に優れた二相ステンレス鋼管の提供
【解決手段】質量%で、C:0.03%以下、Si:0.2〜1%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Sol.Al:0.040%以下、Ni:4%以上6%未満、Cr:20%以上25%未満、Mo:2.0〜4.0%、N:0.1〜0.35%、O:0.003%以下、V:0.05〜1.5%、Ca:0.0005〜0.02%、B:0.0005〜0.02%、残部:Feと不純物である化学組成を有するオーステナイト相およびフェライト相で構成される二相ステンレス鋼管であって、、金属組織が、シグマ相の析出がなく、かつ、面積率で、金属組織に占めるフェライト相の割合が50%以下であり、300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数が15個以下である、二相ステンレス鋼。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二相ステンレス鋼管に関する。
油田・ガス田から産出される石油・天然ガスにおいては、炭酸ガス(CO)や硫化水素(HS)などの腐食性のあるガスが随伴ガスとして存在する。このような腐食性の高い石油・天然ガスを輸送するラインパイプにおいては、応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)、硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking:SSC)および肉厚減少の要因となる全面腐食等が問題となる。特に、応力腐食割れ(SCC)および硫化物応力割れ(SSC)は、進行速度が速いために割れがラインパイプを貫通するまでの時間が短く、かつ局所的に発生するのでより深刻な問題となる。そのため、上記のようなラインパイプ用の鋼材には優れた耐食性が要求される。従来、耐食性に優れた鋼材として、フェライト相・オーステナイト相からなるいわゆる二相ステンレス鋼が使用されている。
例えば、特許文献1には、質量%で、Ni:6.0〜7.0%を含有する二相ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、溶接部の耐孔食性と低温靭性に優れたものであるとされている。
特許文献2には、質量%で、Cuを1〜3%を含有する二相ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、塩化物、硫化物環境下での耐食性を向上したものであるとされている。
特許文献3には、Cr、Ni、Cu、Mo、NおよびWの含有量を適正に調整し、かつフェライト相の面積率を40%〜70%に制御した二相ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、強度、靭性、耐海水性を向上させたものであるとされている。
特許文献4には、質量%で、Mo:0.5〜2.0%、Cu:2.0%を超えて4.0%以下を含有する二相ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、大入熱溶接時における溶接性に優れかつ塩化物環境下における耐応力腐食割れ性に優れているとされている。
特許文献5には、質量%で、Cu:0.2〜2.0%、Ni:5.0〜6.5%、Cr:23.0〜27.0%、W:1.5〜4.0%を含有し、σ相感受性指数、強度指数、耐孔食性指数などを特定の範囲に規制した二相ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、高強度でσ相感受性に優れかつ耐水素脆化性に優れるとされている。
特開平7−197130号公報 国際公開第96/18751号 特開2003−171743号公報 国際公開第2011/030709号 特開2014−043616号公報
二相ステンレス鋼は、オーステナイト相とフェライト相で構成されており、それぞれの相における特性で鋼管の性能が決定される。一方で、鋼管に含まれる微量元素でのコントロール、酸化物制御を適切に行わなければ、安定した性能の確保をすることは困難である。特に、製管ラインおよび熱処理設備が直結したインライン熱処理設備において、仕上げ圧延する場合には、安定した性能の確保が極めて困難となる。
本発明は、インライン工程によって仕上げ圧延された場合でも、強度、耐孔食性および低温靭性に優れた二相ステンレス鋼管を提供することを目的とする。
Ni含有量を増加させると、二相ステンレス鋼管の靭性を向上させることができるが、Ni含有量が過剰な場合には、σ相が生成して靭性が劣化する。このため、本発明者らは、二相ステンレス鋼管の相バランスを維持しつつ、Ni含有量を極力低減することが可能となる化学組成を研究した結果、フェライト相生成の基本成分であるCrを20%以上25%未満、Moを2.0〜4.0%を含有し、かつ、オーステナイト生成の基本成分である、Niを4%以上6%未満、Mnを0.5〜2.0%を含有する化学組成を基本とし、さらに、微量添加されるその他の元素の含有量についても厳密にその範囲を特定した。
本発明者らは、また、上記の化学組成を有する二相ステンレス鋼管の相バランスについても鋭意研究を重ねた。二相ステンレス鋼管において、フェライト相率が高くなる、すなわち、オーステナイト相が増加するにつれて、靭性値が向上することが知られている。しかし、低温靭性を向上させるのに適切な相バランスがどのような範囲であるのかは、化学組成がどのようなものであるかによって異なる。そして、本発明者らは、上記の基本的な化学組成を有する二相ステンレス鋼管において低温靭性を十分に向上させる相バランスがどのような範囲にあるのかについて研究を重ね、金属組織に占めるフェライト相の割合を面積率で50%以下とする必要があることを見出した。
本発明者らは、さらに、上記の化学組成および相バランスを有する二相ステンレス鋼管において、更なる靭性向上を達成するためには、粗大な酸化物、特に30μm以上の酸化物の個数を制限することが重要であることも見出した。
このように、二相ステンレス鋼管において基本となる化学組成を適正化するとともに、金属組織中のフェライト相面積率および特定サイズの酸化物個数の制御を行うことにより、インライン工程によって仕上げ圧延された鋼管であっても、その性能を安定化および向上することが達成することができる。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の二相ステンレス鋼管およびその製造方法を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.03%以下、Si:0.2〜1%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Sol.Al:0.040%以下、Ni:4%以上6%未満、Cr:20%以上25%未満、Mo:2.0〜4.0%、N:0.1〜0.35%、O:0.003%以下、V:0.05〜1.5%、Ca:0.0005〜0.02%、B:0.0005〜0.02%、残部:Feと不純物である化学組成を有し、金属組織が、フェライト相とオーステナイト相の二相組織にて構成され、シグマ相の析出がなく、かつ、面積率で、金属組織に占めるフェライト相の割合が50%以下であり、300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数が15個以下である、二相ステンレス鋼。
(2)上記(1)の化学組成を有する二相ステンレス鋼管を製管した後、1000℃以上1100℃未満での溶体化熱処理を実施するに際し、製管から溶体化熱処理までの温度をシグマ相が生成しない温度域に管理する、二相ステンレス鋼管の製造方法。
本発明によれば、製管ラインおよび熱処理設備が直結したインライン熱処理設備において仕上げ圧延された場合でも、強度、耐孔食性および低温靭性に優れた二相ステンレス鋼管を製造することができる。
300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数と−20℃における吸収エネルギーとの関係を示す図
以下、本発明に係る二相ステンレス鋼の実施形態を説明する。なお、含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
1.化学組成
C:0.03%以下
Cは、オーステナイト相を安定化するのに有効な成分である。しかし、C含有量が0.03%を超えると炭化物が析出しやすくなり、耐食性が低下する。したがって、C含有量は、0.03%以下とする。好ましい上限は0.02%である。
Si:0.2〜1%
Siは、溶接時の溶融金属の流動性を確保できるので、溶接欠陥を防止するのに有効な成分である。この効果を得るためには、Siを0.2%以上含有させる。一方、その含有量が1%を超えると、金属間化合物(シグマ相等)が生成されやすくなる。したがって、Si含有量は、0.2〜1%とする。好ましい上限は0.5%である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、二相ステンレス鋼の溶製時の脱硫および脱酸効果によって熱間加工性を向上させるのに有効な成分である。また、Mnは、Nの溶解度を大きくする作用がある。したがって、Mnを0.5%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が2.0%を超えると耐食性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.5〜2.0%とする。好ましい下限は0.8%であり、好ましい上限は1.5%である。
P:0.040%以下
Pは、鋼中に不純物として混入し、鋼の耐食性および靭性を低下させる。そのため、Pの含有量は、0.040%以下とする。好ましい上限は0.03%である。
S:0.010%以下
Sは、鋼中に不純物として混入し、鋼の熱間加工性を低下させる。また、硫化物は孔食の発生起点となり、鋼の耐孔食性を低下させる。これらの悪影響を避けるため、Sの含有量は0.010%以下とする。好ましいS含有量は、0.007%以下である。
sol.Al:0.040%以下
Alは、鋼の脱酸剤として有効な成分である。一方、鋼中のN量が多い場合には、AlはAlN(窒化アルミニウム)として析出し、鋼の靱性および耐食性を低下させる。そのため、Alの含有量は0.040%以下とする。好ましい上限は0.020%である。なお、本発明にいうAl含有量とは、酸可溶Al(いわゆるsol.Al)の含有量を指す。ここで、本発明に係る二相ステンレス鋼においては、脱酸剤としても有効な成分であるSiの含有量を抑制しているので、脱酸剤としてAlを用いることが多い。しかし、真空溶解により二相ステンレス鋼を製造する場合にはAlは含有させなくてもよい。
Ni:4%以上6%未満
Niは、オーステナイトを安定化するために有効な成分である。Ni含有量が少なすぎると、フェライト相量が多くなり過ぎて二相ステンレス鋼の特徴が失われるので、Niを4%以上含有させる。Ni含有量が6%以上の場合、フェライト相量の減少により二相ステンレス鋼の基本的な性質が確保しにくくなるとともに、金属間化合物(シグマ相等)が生成されやすくなる。また、フェライト相中へのNの固溶度は小さいため、フェライト相量が多くなり過ぎることにより窒化物が析出して耐食性が低下する。したがって、Ni含有量は、4%以上6%未満とする。好ましい下限は4.5%であり、好ましい上限は5.5%である。
Cr:20%以上25%未満
Crは、耐食性を維持するために有効な成分である。塩化物環境下での耐SCC性を得るためには、Crを20%以上含有させる必要がある。一方、Crの含有量が25%以上の場合、金属間化合物(シグマ相等)の析出が顕著になり、熱間加工性の低下および溶接性の低下を招く。そのため、Cr含有量は20以上25%未満とする。好ましい下限は22%であり、好ましい上限は24%である。
Mo:2.0〜4.0%
Moは、耐SCC性を向上させるのに非常に有効な成分である。この効果を得るためには、Moを2.0%以上含有させる必要がある。一方、Mo含有量が4.0%を超えると、大入熱溶接時に金属間化合物の析出が著しく促進され、熱間加工性の低下および溶接性の低下を招く。したがって、Mo含有量は、2.0〜4.0%とする。好ましい下限は、2.5%であり、より好ましい下限は3.0%である。また、好ましい上限は3.5%である。
N:0.1〜0.35%
Nは、強力なオーステナイト生成元素であり、二相ステンレス鋼の熱的安定性と耐食性の向上に有効である。本発明に係る二相ステンレス鋼は、フェライト相生成元素であるCrおよびMoを多量に含有するので、フェライト相とオーステナイトのバランスを適正なものにするためにNを0.1%以上含有させる必要がある。一方、N含有量が0.35%を超えると、溶接欠陥であるブローホールの発生、あるいは溶接時の熱影響による窒化物生成等により鋼の靱性および耐食性が低下する。したがって、N含有量は、0.1〜0.35%とする。好ましい下限は0.12%であり、好ましい上限は0.30%であり、より好ましい上限は0.25%である。
O:0.003%以下
Oは、非金属介在物である酸化物を構成する有害な元素であり、過剰な含有は靭性を阻害する。したがって、O含有量は0.003%以下とする。好ましい上限は0.0025%である。
V:0.05〜1.5%
Vは、二相ステンレス鋼の耐食性(特に酸性環境下での耐食性)を向上させるのに効果がある。しかし、Vの含有量が過剰な場合、フェライト相量が過度に増加し、靱性および耐食性の低下が生じるおそれがある。よって、Vを含有させる場合には、その含有量を1.5%以下とする。なお、上記の効果を十分に得るためにはVを0.05%以上含有させることが好ましい。
Ca:0.0005〜0.02%
B:0.0005〜0.02%
Caは、S(硫黄)またはO(酸素)を固定し、粒界強度の低下を防止する作用があり、Bは、粒界を強化する作用があり熱間加工性を向上させる効果がある。傾斜圧延法によるシームレスパイプの製造など、厳しい加工条件でより一層の熱間加工性が求められる場合には、CaおよびBを含有させることにより二相ステンレス鋼の熱間加工性をさらに改善することができる。しかし、これらの元素の含有量が過剰な場合、非金属介在物(CaまたはBの酸化物および硫化物等)が増加し、孔食の起点となり耐食性の低下が生じるおそれがある。したがって、これらの元素を含有させる場合には、いずれの元素もその含有量を0.02%以下とする。CaまたはBによる熱間加工性の向上効果を十分に得るためには、単独または合計で「S(質量%)+0.5×O(質量%)」以上含有させることが好ましい。
本発明に係る二相ステンレス鋼は、上記の化学組成を有し、残部がFeおよび不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。
2.金属組織
金属組織は、フェライト相とオーステナイト相の二相組織にて構成される。
金属組織に占めるフェライト相の割合(面積率):50%以下
上記の化学組成を有する二相ステンレス鋼管においては、金属組織に占めるフェライト相の割合が大きすぎると、低温靭性を劣化させる。したがって、金属組織に占めるフェライト相の割合は50%以下とする。特に、48%以下とするのが好ましい。金属組織に占めるフェライト相の割合の下限は特に定めないが、あまりに低いと、耐食性を劣化させるという問題があるため、30%以上とするのが好ましい。
本発明に係る二相ステンレス鋼管において、シグマ相が析出すると、耐孔食性が劣化する。このため、シグマ相の析出がない金属組織とする必要がある。「シグマ相の析出がない金属組織」とは、シグマ相の析出がゼロである場合だけでなく、限りなくゼロに近いことを意味し、具体的には、金属組織に全体に占めるシグマ相の割合(面積率)は、0.5%以下であれば許容できる。
300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数:15個以下
二相ステンレス鋼管中に粒径30μm以上の粗大酸化物が多数析出すると、低温靭性が劣化する。特に、300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数が15個を超えると、低温靭性の劣化が顕著となる。したがって、300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数は15個以下とする。酸化物個数は、13個以下とするのが好ましい。
3.製造方法
本発明に係る二相ステンレス鋼は、通常、商業的な生産に用いられている製造設備および製造方法によって製造することができる。例えば、二相ステンレス鋼の溶製は、電気炉、Ar−O混合ガス底吹き脱炭炉(AOD炉)や真空脱炭炉(VOD炉)などを利用することができる。溶製された溶湯は、インゴットに鋳造してもよいし、連続鋳造法で棒状のビレットなどに鋳造してもよい。
ただし、二相ステンレス鋼管を製管した後には、1000℃以上1100℃未満でのインライン熱処理によって溶体化することが好ましい。熱処理温度が1000℃未満では、金属間化合物の析出による靭性劣化という問題が生じる。一方、1100℃以上の場合、過剰なフェライト相の発生により耐食性の劣化という問題が生じる。熱処理時間は、溶体化を十分に行える時間保持すればよく、鋼管のサイズによって適切な時間が変わるため、特に定めないが、典型的には、5分以上の範囲とするのが好ましい。
ここで、製管から溶体化熱処理まで二相ステンレス鋼管の温度をシグマ相が析出しない温度域に管理することが重要である。この温度域については材料成分固有のものであり、特に定めないが、例えば実施例No.1の成分系ではサーモCalc(T−CバージョンS、データベースFE6)により計算されたシグマ相析出の最高温度である925℃、No.5の成分系では980℃以上の温度域で管理することにより、シグマ相の析出を抑制することができる。
表1に示す化学組成を有する二相ステンレス鋼を、電気炉により溶製し、熱管加工によりビレットを製造した。その後、得られたビレットをマンネスマン法による穿孔圧延により鋼管を得た。得られた鋼管の一部は、製管後、直ちに溶体化炉にて、1050〜1070℃×5分のインライン熱処理を実施し、試験用鋼管(No.1〜27)をした。また、鋼管の他の一部は、製管後から900℃までの温度域を0.1℃/秒以下の冷却速度にて冷却して、室温以下にした後、1050℃×5分の熱処理を実施して、試験用鋼管(No.28〜30)とした。
Figure 2016003377
各種試験用鋼管について、フェライト相の面積率、シグマ相の有無および酸化物個数を測定するとともに、−20℃でのシャルピー試験、引張試験および孔食試験を行った。孔食試験は、ASTM G48に記載の第二塩化鉄での孔食試験を30℃にて実施し、孔食発生有無の評価を行った。これらの結果を表2に示す。また、図1にはフェライト相の面積率、酸化物個数および低温靭性値との関係をプロットした図を示した。
[金属組織およびフェライト率の測定]
各鋼管から組織観察用の試験片を採取した。採取された試験片を機械研磨し、研磨された試験片を電解エッチングした。光学顕微鏡(400倍)を用いてエッチング後の試料表面を観察した。このとき、観察される領域の面積は約2000μmであった。観察された領域内で試験片に存在する組織の確認を行った。また、フェライト率の測定は、ASTM E562に準拠したポイントカウント法により求めた。シグマ相については、0.5%を超えるものを「有」、0.5%以下のものを「無」と判定した。
[靭性試験]
靭性試験として、シャルピー衝撃試験を実施した。シャルピー衝撃試験用に、各鋼管からフルサイズのVノッチ試験片(幅10mm、厚さ10mm、長さ55mm、ノッチ深さ2mm)を採取した。採取されたVノッチ試験片を用いて、JIS Z2242に基づいて、−20℃にてシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーを求めた。
[引張強度試験]
各試験番号の鋼管から、弧状引張試験片を採取した。弧状引張試験片は、厚み38.1mmであり、平行部長さは50.0mmであった。平行部は、鋼管の圧延方向に延在した。採取された弧状試験片に対して、常温で引張試験を実施し、降伏強度YS(MPa)を求めた。ASTM A370に基づく0.2%オフセット耐力を降伏強度YS(MPa)と定義した。
Figure 2016003377
表2および図1に示すように、フェライト相の面積率が50%を超える試験片(No.13〜23および27)では、−20℃でのシャルピー試験においてエネルギー値が200J未満であった。また、フェライト相の面積率が50%以下であるが、酸素量が0.0030%を超える例(No.24〜26)においても、−20℃でのシャルピー試験においてエネルギー値が200J未満であった。また、化学組成が本発明で規定される範囲内にあり、かつフェライト相の面積率が50%以下であっても、シグマ相が発生した例(No.28〜30)では、−20℃でのシャルピー試験においてエネルギー値が200J未満であり、しかも、耐孔食性が劣化していた。これに対して、本発明の条件を満足する例(No.1〜12)は、低温靭性、強度および耐孔食性のいずれにおいても優れていた。
本発明によれば、製管ラインおよび熱処理設備が直結したインライン熱処理設備において仕上げ圧延された場合でも、強度、耐孔食性および低温靭性に優れた二相ステンレス鋼管を製造することができる。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.03%以下、
    Si:0.2〜1%、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P:0.040%以下、
    S:0.010%以下、
    Sol.Al:0.040%以下、
    Ni:4%以上6%未満、
    Cr:20%以上25%未満、
    Mo:2.0〜4.0%、
    N:0.1〜0.35%、
    O:0.003%以下、
    V:0.05〜1.5%、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    B:0.0005〜0.02%、
    残部:Feと不純物である化学組成を有し、
    金属組織が、フェライト相とオーステナイト相の二相組織にて構成され、シグマ相の析出がなく、かつ、面積率で、金属組織に占めるフェライト相の割合が50%以下であり、
    300mm視野中に存在する粒径30μm以上の酸化物個数が15個以下である、
    二相ステンレス鋼。
  2. 請求項1に記載の化学組成を有する二相ステンレス鋼管を製管した後、1000℃以上1100℃未満での溶体化熱処理を実施するに際し、製管から溶体化熱処理までの温度をシグマ相が生成しない温度域に管理する、二相ステンレス鋼管の製造方法。
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