JP2015226543A - 幹細胞培養のためのマイクロキャリア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】霊長類又はヒトのES細胞をコートされたマトリックスを含み、陽電荷を有する粒子で培養する方法。前記粒子は、50〜400μm、例えば約200μmの最長寸法を有し、実質的に細長い、円筒形又はロッドの形状の粒子で20〜30μmの断面寸法、又は、約20μm〜約120μm、例えば約65μmのサイズを有し、実質的にコンパクトな、又は球形の形状の粒子。各粒子に付着した第1及び第2の霊長類又はヒトのES細胞を接触させて細胞集合体を形成させ、そしてこの集合体を培養して霊長類又はヒトのES細胞を少なくとも1継代伝播させることを含む方法及びES細胞分化を誘導する条件下で、前記方法によりES細胞をインビトロで培養する方法をも開示する。
【選択図】図1A
Description
現在、コロニーとして増殖する幹細胞(ヒト胚性幹細胞hESCを含めて)は、通常はプラスチック培養表面において二次元(2D)成長で維持されている。2D培養においてより多量にまで拡張するには大きな表面積の使用が必要であろう。これらの2Dコロニーをより小さなサイズに分断するためのピペッティングまたは酵素処理の反復による細胞継代の手動性は、非実用的となるであろう。大きな表面積に接種するための多数のプレートの調製は、取扱い誤差の対象となる可能性がある。さらに、たとえばヌンク(Nunc)トレーのような著しく大きな表面積が必要であろう。
化させるもの(Dang et al., 2004; Fok and Zandstra, 2005; Cameron et al., 2006)な
ど幾つかの研究を除いて、hESCを懸濁培養において長期間、連続培養する強力な方法はない。
al (2004)には、胚様体を培養するための回転壁バイオリアクターの使用が記載されている。撹拌システムを用いる胚様体培養も、Zandstra et al (2003), Dang et al (2004)およびWartenberg et al (1998)により示された。胚様体の懸濁培養も、Dang and Zandstra
(2005)およびKing and Miller (2007)により報告されている。そのような技術は、分化
した幹細胞を含むこれらの組織様の胚様体集合体を培養するのには適しているが、未分化の幹細胞には適さない。
の撹拌懸濁培養システムが記載されている。この撹拌懸濁培養システムは、マイクロキャ
リアおよび集合体の培養からなっていた。ガラスマイクロキャリア上で培養されたマウス胚性幹細胞は、組織培養フラスコ対照に匹敵する集団倍増時間をもっていた。白血病阻害因子を除去すると、このmESC集合体は多系列分化しうる胚様体(EB)に発生した。マウスESCの懸濁培養は、King and Miller (2005)にも記載されている。しかし、King
and Miller (2005)には、”未分化のヒトESCs(hESC)の拡張はmESCの場合より難しく、まだ撹拌培養においては報告されていない”と述べられている。
Cをマイクロキャリア上で集合体および単一細胞の接種により培養する試みが報告されている。最初は3倍拡張が5日間かけて達成されたが、各連続継代に伴って細胞拡張が低下し、最終的に6週目を超えて細胞を継代することはできなかった。
培養において培養して、好ましくは培養物中の幹細胞の数を拡張させる。次いで、培養幹細胞を継代し、同一または異なるマトリックスコーティングをもつマイクロキャリア上に継代幹細胞を接種する。こうして、培養および継代した幹細胞が多分化能性状態を維持したまま、幹細胞は複数継代、たとえば少なくとも3継代を経ることができる。この方法を用いると、継代間の各培養サイクル期間中に幹細胞の増殖がみられ、多数(少なくとも10)継代にわたって増殖を維持することができる。
本発明の他の観点は、マイクロキャリアに付着した多分化能性幹細胞の分化に関する。
ることができる。
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性である。
マトリックスは、好ましくは細胞外マトリックス成分を含む。より好ましくは、マトリックスはMatrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む。マトリックスは、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
他の態様において、フィーダー細胞がマイクロキャリアに付着してもよい。フィーダー細胞は、幹細胞が付着するマイクロキャリアとは異なるマイクロキャリアに付着してもよい。
他の態様において、本方法はさらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含むことができる。これは、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことにより達成できる。あるいは、本方法は、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含むことができる。
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
ある態様においては、さらなる分化を誘導することができ、その際、本方法はさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
本発明方法により得られる分化した細胞を培養して胚様体を形成させることができる。胚様体をマイクロキャリアに付着させることができる。こうして得られる胚様体は本発明
の一部を形成する。
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はMatrigel(商標)中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも7継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性であり、培養物はフィーダー細胞を含まず、各継代間で幹細胞の数が拡張し、幹細胞はヒトもしくは霊長類の胚性幹細胞またはヒトもしくは霊長類の誘導された多分化能性幹細胞である。
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第1マイクロキャリアの表面は第1マトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性であり、この方法はさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
本方法はさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含むことができる。
において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む。
マトリックスは、好ましくは細胞外マトリックス成分を含む。より好ましくは、マトリックスはラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む。マトリックスは、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
れかの方法、観点、態様、および好ましい特徴に従って実施できる。多能性幹細胞の培養、成長、増殖および/または分化のために用いるマイクロキャリアはコートされていなくてもよく、あるいはマトリックスコーティングをもつこともできる。
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養する
ことを含み、その際、工程(ii)の後の培養物中の幹細胞は多能性である。
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多能性である。
これらの方法により得られる多能性幹細胞も提供される。
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多能性であり、該方法はさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
本発明の他の観点においては、幹細胞をインビトロで分化させる方法が提供され、この方法は、多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む。
本発明の1観点によれば、それにコートされたマトリックスを含み、陽電荷をもつ粒子
が提供され、この粒子はそれに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を集合させることができるサイズのものである。
本発明の粒子は、50μm〜400μmの最長寸法をもつ、実質的に細長い、円筒形もしくはロッドの形状の粒子を含むことができる。粒子は約200μmの最長寸法を含むことができる。粒子は20μm〜30μmの最短寸法を含むことができる。粒子は、円筒形のセルロースマイクロキャリアを含むことができる。
本発明の粒子は、約20μm〜約120μmのサイズをもつ実質的にコンパクトな、または球形の形状の粒子を含むことができる。粒子は約65μmのサイズをもつことができる。粒子は、親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリル系マトリックスマイクロキャリア、または誘導体化した親水性ビーズ状(beaded)マイクロキャリアを含むことができる。
本発明の粒子は、マクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアを含むことができる。粒子は、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)を含むことができる。
本明細書に記載する本発明の観点、態様および特徴によれば、多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ懸濁培養に使用するのに適切な粒子またはマイクロキャリアが提供され、これにより、多分化能性もしくは多能性の状態を有する新たな細胞または多分化能性もしくは多能性細胞の分化の産物である細胞が生成し、これらの粒子またはマイクロキャリアは、コンパクトな、または細長い形状をもち、約2000μm未満の最長寸法および約10μmより大きい最短寸法をもち、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており、多数の多分化能性細胞または多能性細胞がマトリックスに付着している。ある態様において、マトリックスコーティングはマトリックスの層、好ましくは薄層の形である。
多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成するための多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロでの培養における、マイクロキャリアの使用も提供される。多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ分化における、マイクロキャリアの使用も提供される。したがって、多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで培養して多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成する方法であって、多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成するのに適切な条件下でマイクロキャリアを培養することを含む方法も提供される。多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性細胞または多能性細胞の分化を誘導する条件下でマイクロキャリアを培養することを含む方法も提供される。
この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を多数継代、連続伝播させるのを可能にすることができる。この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも5、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも13、または少なくとも14継代、連続伝播させるのを可能にすることができる。この方法は、2Dコロニー培養への、または2Dコロニー培養からの継代を含むことができる。
の生物活性は、(i)多分化能性マーカーの発現;(ii)細胞の生存率;(iii)正常な核型(karyotype);(iv)内胚葉、外胚葉および中胚葉に分化する能力からなる群から選択できる。霊長類またはヒトの幹細胞の生物活性は、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84からなる群から選択される多分化能性マーカーの発現を含むことができる。
前記の方法は、さらに、霊長類またはヒトの幹細胞を粒子から分離する工程を含むことができる。
本発明の他の観点により、本発明者らは、本発明の観点による粒子または本発明の上記の観点による集合体を含む、細胞培養物を提供する。
本発明の他の観点によれば、霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させるためのデバイスが提供され、このデバイスは、本発明の観点による粒子または本発明の前記の観点による集合体を含む。
本発明の他の観点として、本発明者らは、本発明の前記の観点による方法により伝播させた霊長類またはヒトの幹細胞、本発明の前記の観点による方法により生成した分化した細胞、または本発明の前記の観点による方法により生成した胚様体を提供する。
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が250μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティングでコートされている。
ある好ましい態様において、マイクロキャリアは実質的に球形の形状であり、90μm〜10μm、より好ましくは80μm〜40μm、または70μm〜50μmの直径をもつ。ある態様において、マイクロキャリアは実質的に球形の形状であり、約65μmの直径をもつ。
に付着させたhESCの数より少なくとも2、3、4、5、10または20倍のいずれかで多くなるようにすることができる。
ある態様においては、ヒト胚性幹細胞をフィーダー細胞と共培養することができる。フィーダー細胞は培養物に添加するマイクロキャリアに付着させることができる。これらのマイクロキャリアは、本明細書に記載するように、場合によりマトリックスコーティング中にコートされていてもよい。あるいは、コートされていないマイクロキャリアにフィーダー細胞を付着させてもよい。ある態様においては、フィーダー細胞と幹細胞を同一マイクロキャリア(1以上)に接種することができる。
そのような態様において、本発明による懸濁培養に戻すのは同一培養に戻すことを必要としない。本発明による懸濁培養は、たとえば細胞の凍結および/または移植の後に、異なる場所で継続することすらできる。
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が250μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、その際、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティング中にコートされている。
はそれ以上、約45rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約50rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約75rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約100rpmから約200rpmまでまたはそれ以上で撹拌することができる。
本発明による方法は、好ましくはヒト胚性幹細胞を200万細胞/ml以上の体積生産量にまで伝播させることができる。
分化した細胞を生成するための方法も提供され、この方法は、本発明方法によりヒト胚性幹細胞を伝播させ、続いてヒト胚性幹細胞を分化させることを含む。
処置の必要な個体において疾患を処置する方法も提供され、この方法は、本発明方法によりヒト胚性幹細胞を伝播させ、分化した細胞または胚様体を生成し、そしてヒト胚性幹細胞、分化した細胞、または胚様体を個体に投与することを含む。
Irl Press; D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA
Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,
Academic Press; Using Antibodies : A Laboratory Manual : Portable Protocol NO. I by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow (1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-544-7); Antibodies : A Laboratory Manual by Ed Harlow (Editor), David Lane (Editor) (1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-314-2), 1855; and Lab Ref: A Handbook of Recipes, Reagents, and Other Reference Tools for Use at the Bench, Edited Jane Roskams and Linda Rodgers, 2002, Cold Spring Harbor Laboratory, ISBN 0-87969-630-3。これらの全般的テキストそれぞれを本明細書に援用する。
本明細書中で用いるセクション表題は組織化のためのものにすぎず、記載する主題を限定するものと解すべきではない。
本発明者らは、懸濁培養におけるヒト胚性幹細胞(hESC)の長期安定伝播を今回証明した。特に、マイクロキャリアのMatrigel、ヒアルロン酸およびラミニンコーティングは、hESCが多分化能性を維持した状態で少なくとも継代5を超えて、一般に継代8、9または10を超えて伝播されるのを可能にすることを本発明者らは証明する。こうして本発明者らは、25連続継代を超えるマイクロキャリア懸濁培養を証明するのに今回成功し、培養された細胞を細胞密度の分析、生存率、多分化能性マーカーのFACS分析、組織学的分析、および核型により特性分析した。
定性を証明した。
1.DE53セルロースマイクロキャリア上におけるhESCの継代23までの連続継代;
2.セルロースマイクロキャリア上で培養したhESCの特性分析(胚様体の核型判定、RT−PCR、およびテラトーマ形成);
3.アミノ酸代謝データ分析による、無血清培地でのhESC−セルロースマイクロキャリアの培養;
4.スピナーフラスコ内における2種類のhESC細胞系のセルロースマイクロキャリア培養;
5.球形またはロッド形マイクロキャリア上のフィーダー細胞とロッド形セルロースマイクロキャリア上で成長したhESCとの共培養;
6.Matrigelを含む小型および大型球形マイクロキャリア上におけるhESC培養;
7.Matrigelを含む大型マイクロキャリア上におけるhESC培養;
8.hESC培養のためのセルロースマイクロキャリア上のヒアルロン酸コーティング。
本発明者らは、霊長類およびヒトの幹細胞ならびにiPS細胞を粒子上で培養、伝播および継代するのが可能であることを今回証明した。特に、本発明者らは幹細胞を懸濁培養において連続成長させ、かつ継代しうることを示す。本発明者らは、マイクロキャリア上でのヒト胚性幹細胞(hESC)の連続的で継代可能な三次元培養を証明する。
本明細書に記載する方法により、それらの多分化能性を保持した幹細胞を伝播させることが可能になる。実施例は、本明細書に記載する方法および組成物により伝播したヒト胚性幹細胞が幹細胞の1以上の生物学的特性を維持することを示す。たとえば、伝播した幹細胞は5継代について、2Dコロニー培養で成長した幹細胞と同等な多分化能性マーカー、Oct−4、Tra−1−60およびSSEA−4の発現を示し、正常な核型を保持し、かつインビトロ(胚様体)およびインビボ(テラトーマ)で分化して3胚葉になることができる。
いかなる幹細胞も本明細書に記載する方法を用いて伝播させることができる。これらには、霊長類の幹細胞、たとえばサル、類人猿またはヒトの幹細胞を含めることができる。幹細胞には、胚性幹細胞または成体幹細胞を含めることができる。幹細胞には、誘導した多分化能性幹細胞を含めることができる。たとえば、幹細胞には、ヒト胚性幹細胞(hESC)を含めることができる。本明細書に記載する方法および組成物に使用するのに適切なこれらおよび他の幹細胞については後記にさらに詳細に記載する。
本発明の粒子またはマイクロキャリアは、たとえば中性pHまたは生理学的関連pH、たとえばpH7.4またはpH7.2で陽電荷をもつことができる。粒子はクロマトグラ
フィー樹脂、たとえばアニオン交換樹脂を含むことができる。
理論により拘束されたくはないが、粒子上の陽電荷の存在により細胞がそれに付着するのが可能になると本発明者らは考える。
、第一級アミノ基を付与することもできる。そのような活性化された粒子をいずれかのヘテロ二官能性架橋剤と組み合わせて用いることができる。ある態様においては、ジビニルスルホンを用いてコンパクトな粒子を活性化する。そのような活性化されたコンパクトな粒子は、たとえばペプチド上のアミノ基またはチオール基と反応しうる部分を含む。
本発明の粒子またはマイクロキャリアは、荷電していなくてもよく、あるいはたとえば中性pHまたは生理学的関連pH、たとえばpH7.4またはpH7.2で電荷中性であってもよい。
本発明の粒子をマトリックスでコートすることができ、これを本明細書に関しては粒子に、たとえばその表面に、付着した物質の層(たとえば薄層またはフィルム)と言う。マトリックスは、細胞の成長を支持しうる生体適合性または生理学的関連性のマトリックスを含むことができる。それは細胞成長のための基質を含むことができる。
ている。
マトリックスコーティングはフィブロネクチンを含むことができる。
マトリックスコーティングはビトロネクチンを含むことができる。
マトリックスコーティングは、これらの成分のうちいずれか2種類以上の種々の割合の混合物を含むことができる。マトリックスコーティングは、精製した、または実質的に精製したECM成分を含むことができる。マトリックスコーティングは、部分精製したECM成分を含むことができる。それはECM抽出物、たとえばMatrigelを含むことができる。
本発明の粒子は、Matrigelを含むマトリックスコーティングでコートすることができる。
リカン、およびエンタクチン1(約8%)である。室温でBD Matrigel(商標)マトリックスは重合して、哺乳動物の細胞基底膜に類似する生物活性マトリックス材料を生成する。
Matrigelが複雑な細胞挙動を刺激する能力は、それの不均質な組成の結果である。Matrigelの主成分は構造タンパク質、たとえばラミニンおよびコラーゲンであり、これらが培養細胞にそれらの自然環境で遭遇するであろう接着ペプチド配列を提供する。多くの細胞タイプの分化および増殖を促進する成長因子も存在する。Matrigelは下記の成長因子を含む(濃度範囲、平均濃度):EGF(0.5〜1.3ng/ml,0.7ng/ml),bFGF(<0.1〜0.2pg/ml,未知),NGF(<0.2ng/ml,未知),PDGF(5〜48pg/ml,12pg/ml),IGF−1(11〜24ng/ml,16ng/ml),TGF−β(1.7〜4.7ng/ml,2.3ng/ml)。Matrigelは多数の他のタンパク質を少量含有する。
ある態様においては、第1マトリックスコーティングをもつ粒子上で1継代以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10継代またはそれ以上)細胞を培養した後、異なる(第2)マトリックスコーティングをもつ粒子へ1継代以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10継代またはそれ以上)移植することができる。場合により、次いで第2コーティングと異なるマトリックスコーティングをもつ粒子へ、たとえば元の第1マトリックスコーティングもしくは他のマトリックスコーティングをもつ粒子またはコートしていない粒子へ細胞を移植することができる。
本明細書に記載する方法および組成物においては、粒子またはマイクロキャリア上で幹細胞を伝播させる。本明細書中で用いる用語として、”粒子”にはその上で幹細胞が付着または成長しうるいずれかの支持体が含まれる。粒子は後記に述べるようにいかなる形状または構造であってもよい。
粒子は、それが前記のようにたとえば幹細胞に対する付着点または支持体としてのその目的を果たすのを可能にする物理的特性をもつ限り、いかなる材料も含むことができる。したがって、粒子はこの目的のために、硬い(stiff)、剛性(rigid)、展性(malleable)、中実(solid)、多孔質(porous)その他の材料を含むことができる。それは固体材料または半固体、ゲルなどの材料を含むことができる。
細胞培養物は、1より多いタイプの粒子の混合物を含むことができる。たとえば、第1粒子集団(たとえばコンパクトな形状の粒子の)および第2粒子集団(たとえば細長い形状の粒子の)。ある態様においては、第1細胞タイプ、たとえばフィーダー細胞を第1粒子に付着させ、第2細胞タイプ、たとえばhESCを第2粒子に付着させることができる。各タイプの粒子は、同一または異なるマトリックスコーティングをもつことができる。場合により、一方または両方のタイプの粒子がマトリックスコーティングをもたなくてもよい。
使用するのに適切なビーズまたはマイクロビーズには、ゲルクロマトグラフィーに用いられるもの、たとえばゲル濾過媒体、たとえばSephadexが含まれる。この種の適切なマイクロビーズには、下記のものが含まれる:Sephadex G−10:ビーズサイズ40〜120をもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,103−9)、Sephadex G−15:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,104−7)、Sephadex G−25:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,106−3)、Sephadex G−25:ビーズサイズ20〜80μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,107−1)、Sephadex G−25:ビーズサイズ50〜150μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,109−8)、Sephadex G−25:ビーズサイズ100〜300μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,110−1)、Sephadex G−50:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,112−8)、Sephadex G−50:ビーズサイズ20〜80μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,113−6)、Sephadex G−50:ビーズサイズ50〜150μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,114−4)、Sephadex G−50:ビーズサイズ100〜300μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,115−2)、Sephadex G−75:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,116−0)、Sephadex G−75:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,117−9)、Sephadex G−100:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,118−7)、Sephadex G−100:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,119−5)、Sephadex G−150:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,121−7)、およびSephadex G−200:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,123−3);ただし、本明細書の他の箇所に記載するように、それらがサイズに関して適合する限りにおいてである。
、SP Sepharose XL(カタログ番号17−5073−04)およびSP Sepharose XL(カタログ番号l 17−5073−60)などとして入手できる。
粒子は細胞の成長に適切ないずれかの形状、たとえばコンパクトな形状または細長い形状をもつことができる。
コンパクトな形状の例は、概して球形の粒子、楕円体の形状の粒子、または顆粒状の粒子である。
ドロン(holyhedron)、直方体(cuboid)、三面体(deltahedron)、五面体(pentahedron)、十四面体(tetradecahedron)、多面体(polyhedron)、テトラフレクサゴン(tetraflexagon)、偏四角面体(trapezohedron)、切頭多面体(truncated polyhedron)、フラードーム(geodesic dome)、七面体(heptahedron)、および六十面体(hexecontahedron)が含まれる。上記の形状はいずれも、前記の定義に従った”コンパクト”なものとして使用できる。たとえば、その形状が扁平回転楕円体を含む場合、これはその回転楕円体がコンパクトであって細長くないような適切な扁平度をもつ。
粒子は概して細長い形状をもつことができる。細長い形状の例は、概してロッド形の粒子、円筒形の粒子、またはスティック形の粒子である。細長い粒子は中空繊維を含むことができる。
したがって、適用できる場合、粒子の長さは幅または直径の2倍より大きく、たとえばそれの幅または直径の3倍より大きく、たとえば4倍より大きく、たとえば5倍より大きく、または10倍より大きい。
粒子が連続成長を支持するためには、それらは細胞が粒子上で成長しうるサイズをもつことができる。粒子のサイズは、細胞が他の粒子上で成長している細胞と集合するのを可能にするものでもある。たとえば、粒子のサイズは、少なくとも1つの寸法が霊長類また
はヒトの幹細胞の寸法と適合するものであることが必要である可能性がある。
寸法は、マイクロキャリアの直径であってもよい。
コンパクトな粒子は、たとえば親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリル系マトリックスマイクロキャリア、または誘導体化した親水性ビーズ状マイクロキャリア、たとえばTSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)を含むことができる。
細長いマイクロキャリアは、10μm〜50μmの範囲の最短寸法をもつことができる。細長いマイクロキャリアは、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μmまたは約45μmの最短寸法をもつことができる。
μm(平均長さ130±50μm)の可能性があり、キャリアの直径は17μmと少なくとも50μmの間(平均直径35±7μm)の可能性があることが分かった。
いずれか適切な幹細胞培養方法、たとえば実施例に述べる方法を、本明細書に記載する方法および組成物に使用できる。
。
本明細書に記載する方法および組成物は、継代、または培養中の分割を含むことができ
る。この方法は、連続的または継続的な継代を伴うことができる。
粒子上で成長している細胞を粒子培養へ戻して継代することができる。あるいは、それらを一般的な(2D)培養に戻して継代することができる。プレート上で成長している組織培養細胞を粒子培養へ継代することができる。これらの各方法を、後記および実施例にさらに詳細に記載する。
。幹細胞を25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95継代以上、継代することができる。幹細胞を培養において無限に伝播させることができる。
本明細書に記載する方法および組成物は、幹細胞の大量生産を可能にする。
本発明方法は、培養における幹細胞の指数成長を可能にする。指数成長は遅滞期を伴ってもよく、伴わなくてもよい。指数成長は培養細胞の成長の一部または実質的期間を形成することができる。指数成長を評価する方法は当技術分野で既知である。
伝播した幹細胞は、霊長類またはヒトの幹細胞の少なくとも1つの特性を保持することができる。幹細胞は、1以上の継代後にその特性を保持することができる。それらは複数回の継代後にその特性を保持することができる。それらは前記に述べた回数の継代数後にその特性を保持することができる。
幹細胞の特性
本発明方法により伝播させた幹細胞は、下記の幹細胞特性のいずれかを表わすことができる:
幹細胞は、Oct4および/またはSSEA−1および/またはTRA−1−60および/またはMab84の発現の増大を示すことができる。自己再生している幹細胞は、自己再生していない幹細胞と比較して短縮した細胞周期を示す。
多分化能性マーカーの発現
保持される生物活性には、1以上の多分化能性マーカーの発現を含めることができる。
Human Germ Cell Tumors, in E. J. Robertson, 1987, 前掲)。ヒト胚性幹細胞は一般にSSEA−1陰性およびSSEA−4陽性である。hEG細胞は一般にSSEA−1陽性である。霊長類多分化能性幹(primate pluripotent stem)(pPS)細胞がインビトロで分化すると、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81の発現が失われ、SSEA−1の発現が増大する。pPS細胞はアルカリホスファターゼ活性の存在により特徴づけることもでき、これは、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで基質としてのVector Redで、製造業者(Vector
Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲーム)の記載に従って発色させることにより検出できる。
結合イムノアッセイ(ELISA)などを使用できる。
時期特異的胚性抗原1および4(SSEA−1およびSSEA−4)、ならびに腫瘍拒絶抗原(Tumor Rejection Antigen)1−60および1−81(TRA−1−60、TRA−1−81)は、たとえばChemicon International、Inc(米国カリフォルニア州テメキュラ)から市販されている。モノクローナル抗体を用いるこれらの抗原の免疫学的検出は、多分化能性幹細胞を特性分析するために広く用いられている(Shamblott M.J. et. al. (1998) PNAS 95: 13726-13731; Schuldiner M. et. al. (2000). PNAS 97: 11307-11312; Thomson J.A. et. al. (1998). Science 282: 1145-1147; Reubinoff B.E. et. al. (2000). Nature Biotechnology 18: 399-404; Henderson J.K. et. al. (2002). Stem Cells 20: 329-337; Pera M. et. al. (2000). J. Cell Science 113: 5-10.)。
てはU.S.Pat.No.5,843,780を参照されたい。
生物活性には、前記の回数の継代後の細胞の生存率を含めることができる。細胞の生存率は、多様な方法で、たとえばトリパンブルー排除によりアッセイできる。
伝播した幹細胞は、伝播の前または後に正常な核型を保持していることができる。”正常な”核型は、幹細胞が由来する親幹細胞の核型と同一、類似または実質的に類似の核型、あるいはそれと異なるけれども実質的な程度にではない核型である。たとえば、何らか
の大きな異常、たとえば転座、染色体喪失、欠失などがあってはならない。
(1973)の記載に従って調製および分析することができる。標準的なG−バンド法(ルー
ティンな核型判定サービスを提供する多くの臨床診断検査室で入手できる;たとえばCytogenetics Lab、カリフォルニア州オークランド)を用いて細胞の核型を判定し、公開された幹細胞核型と比較することもできる。
伝播した幹細胞は、3つの細胞系列、すなわち内胚葉、外胚葉および中胚葉のすべてに分化する能力を保持していることができる。幹細胞を誘導してこれらの系列それぞれに分化させる方法は当技術分野で既知であり、多分化能性幹細胞の可能性を評価するために採用できる。伝播した細胞の全部または実質部分がこの能力を保持することができる。これは伝播した幹細胞の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または実質的に100%の可能性がある。
本発明方法は、共培養物の存在下または不存在下での幹細胞の培養を含むことができる。用語”共培養物(co−culture)”は、一緒に成長している2以上の異なる種類の細胞、たとえば間質フィーダー細胞の混合物を表わす。これらの2以上の異なる種類の細胞を同一表面、たとえば粒子もしくは細胞容器表面で、または異なる表面で成長させることができる。異なる種類の細胞を異なる粒子の上で成長させることができる。
フィーダー細胞が存在しないか、または要求されない様式もありうる。たとえば、フィーダー細胞または幹細胞により調整した培地中で細胞を成長させることができる。
多分化能性幹細胞を分離および伝播するための培地は、得られる細胞が目的の特性をもち、かつさらに伝播しうる限り、幾つかの異なる処方のいずれかをもつことができる。
本明細書に記載する方法および組成物は、無血清培地中での幹細胞の培養を含むことができる。
無血清培地には、1種類以上の成分、たとえば血清代替媒質を、たとえば5%、10%、15%などの濃度で補充することができる。無血清培地には、Invitrogen−Gibco(ニューヨーク州グランドアイランド)からの血清代替媒質を10%補充することができる。
培養培地に1種類以上の添加物を補充することができる。たとえば、これらは下記のうち1以上から選択できる:脂質混合物、ウシ血清アルブミン(たとえば0.1% BSA)、ダイズタンパク質の水解物。
本明細書中で用いる用語”幹細胞”は、分裂に際して2つの発生選択肢に直面する細胞を表わす:娘細胞は元の細胞と同一である可能性があり(自己再生)、あるいはそれらはより特殊化した細胞タイプの子孫である可能性がある(分化)。したがって、幹細胞は一方または他方の経路をとることができる(各細胞タイプの1つを形成しうる他の経路がある)。したがって、幹細胞は、最終分化しておらず他のタイプの細胞を生成しうる細胞である。
全能性幹細胞(Totipotent Stem Cell)
”全能性”細胞とは、成体内のいかなる細胞タイプにもなる可能性をもつ細胞、または胚体外膜(extraembryonic membrane)(たとえば胎盤)のいずれかの細胞を表わす。したがって、唯一の全能性細胞は受精卵およびそれの分裂により生成する最初の4個程度の細胞である。
”多分化能性”幹細胞は、体内の分化したいかなる細胞をも作る可能性を備えた真の幹細胞である。しかしそれらは、栄養芽細胞(trophoblast)に由来する胚体外膜を作るのには関与できない。幾つかのタイプの多分化能性幹細胞が見いだされている。
胚性幹(ES)細胞は、卵子着床が起きた際に胚が発生する段階である胞胚(blastocyst)の内細胞塊(inner cell mass)(ICM)から分離することができる。
胚性生殖(EG)細胞は、流産胎児内の生殖腺への前駆体から分離することができる。
胚性癌腫細胞(Embryonic Carcinoma Cell)
胚性癌腫(EC)細胞は、奇形癌、すなわち胎児の生殖腺に稀に起きる腫瘍から分離することができる。最初の2つと異なり、それらは通常は異数性である。3種類のこれらのタイプの多分化能性幹細胞は、胚または胎児の組織のみから分離することができ、培養により成長させることができる。これらの多分化能性細胞が分化するのを阻止する方法は当技術分野で既知である。
成体幹細胞は多種多様なタイプを含み、これには神経幹細胞、皮膚幹細胞、および骨髄移植における活性成分である造血幹細胞が含まれる。これら後者の幹細胞タイプは、臍帯に由来する幹細胞の主要な特徴でもある。成体幹細胞は、実験室および体内の両方において機能性でより特殊化した細胞タイプに成熟させることができるが、細胞タイプの厳密な数は選択する幹細胞のタイプによって制限される。たとえば、成体幹細胞は間葉幹細胞、造血幹細胞、乳腺幹細胞、内皮幹細胞、または神経幹細胞であってもよい。成体幹細胞は多能性である可能性がある。
多能性幹細胞は、真の幹細胞であるが、限られた数のタイプに分化しうるにすぎない。たとえば骨髄は、血液のすべての細胞を生じうるけれども他のタイプの細胞を生じない多能性幹細胞を含む。多能性幹細胞は成体動物にみられる。身体のあらゆる臓器(脳、肝臓)は、それらが死んだ細胞または損傷を受けた細胞を交換できる場合にはそれらを含むと考えられる。
U.S.Pat.No.5,851,832に、脳組織から得られた多能性神経幹細胞が報告されている。U.S.Pat.No.5,766,948に、新生児大脳半球から神経芽細胞を生成することが報告されている。U.S.Pat.No.5,654,183および5,849,553に、哺乳動物神経冠幹細胞の使用が報告されている。
胚性幹細胞は、霊長類の種のメンバーの胚盤胞から分離できる(Thomson et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 92:7844, 1995)。ヒト胚性幹(hES)細胞は、ヒト胚盤胞細胞から、Thomson et al.(U.S.Pat.No.5,843,780;Science 282:1145, 1998; Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff., 1998)およびReubinoff et al, Nature Biotech. 18: 399, 2000に記載された技術を用いて調製できる。
の短時間曝露により胚盤胞から透明帯を除去する。内細胞塊をイムノサージェリーにより分離する;その際、胚盤胞をウサギ抗ヒト脾細胞抗血清の1:50希釈液に30分間曝露し、次いでDMEM中で5分間、3回洗浄し、モルモット補体(Gibco)の1:5希釈液に3分間曝露する(参照:Solter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:5099, 1975)。DMEM中でさらに2回洗浄した後、溶解した栄養外胚葉細胞を無傷の内細胞塊(ICM)から穏やかなピペッティングにより除去し、ICMをmEFフィーダー層上に播種する。
ヒト胚性生殖(hEG)細胞は、最終月経期後の約8〜11週目に採取したヒト胎児材料中に存在する始原生殖細胞から調製できる。適切な調製方法は、Shamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13726, 1998、およびU.S.Pat.No.6,090,622に記載されている。
LのEG増殖培地を添加する。EG増殖培地は、DMEM;4500mg/LのD−グルコース;2200mg/L mMの炭酸水素ナトリウム;15%の胚性幹(ES)細胞用ウシ胎仔血清(BRL);2mMのグルタミン(BRL);1mMのピルビン酸ナトリウム(BRL);1000〜2000U/mLのヒト組換え白血病阻害因子(LIF,Genzyme);1〜2ng/mlのヒト組換え塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF,Genzyme);および10μMのフォルスコリン(10% DMSO中)である。別法においては、ヒアルロニダーゼ/コラゲナーゼ/DNAseを用いてEG細胞を分離する。生殖腺原基または生殖隆起を腸間膜と共に胎児材料から切除し、生殖隆起をPBS中ですすぎ、次いで0.1mlのHCD消化液(0.01%のV型ヒアルロニダーゼ、0.002%のDNAse I、0.1%のIV型コラゲナーゼ;すべてSigmaから;EG増殖培地中に調製)に入れる。組織をミンスし、37℃で1時間または一夜インキュベートし、1〜3mLのEG増殖培地に再懸濁し、フィーダー層上へ播種する。
本明細書に記載する方法および組成物は、誘導された多分化能性幹細胞の伝播に使用できる。
本発明のある観点および態様は、多分化能性細胞の使用に関する。胚性幹細胞および誘導された多分化能性幹細胞をそのような細胞の例として記載する。
ent cell line from early mouse embryos cultured in medium conditioned by teratocarcinoma stem cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 7634-7638. Thomson, J.A., Itskovitz-Eldor, J., Shapiro, S.S., Waknitz, M.A., Swiergiel, J.J., Marshall, V.S., and Jones, J.M. (1998). Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts. Science 282, 1145-1147)。これらの方法は、胚性幹細胞を分離する際に胚の破壊を
引き起こす可能性がある。
1.核移植によるリプログラミング。この技術は、体細胞から卵母細胞または受精体への核移植を伴う。ある状況において、これは動物−ヒトハイブリッド細胞の作製をもたらすことができる。たとえば、ヒトの体細胞と動物の卵母細胞もしくは受精体との融合、またはヒトの卵母細胞もしくは受精体と動物の体細胞の融合により、細胞を作製することができる。
841-847, 1992, 本明細書に援用する)。骨髄に由来する細胞の長期培養後の多分化能性
幹細胞の発現も報告された(Jiang et al., Pluripotency of mesenchymal stem cells derived from adult marrow. Nature 418, 41-49, 2002, 本明細書に援用する)。彼らはこ
れらの細胞を多能性成体前駆細胞(multipotent adult progenitor cell)(MAPC)と表記した。Shinoharaらも、マウス新生仔精巣由来
の生殖系列幹(GS)細胞の培養中に多分化能性幹細胞が生成する可能性があることを証明し、これを彼らは多能性生殖系列幹(multipotent germline stem)(mGS)細胞と表記した(Kanatsu-Shinohara et al., Generation of pluripotent stem cells from neonatal mouse testis. Cell 119, 1001-1012, 2004)。
、Klf4、Oct4およびSox2のコード配列を含む単一の多タンパク質発現ベクターの非ウイルストランスフェクションを記載している;これはマウスおよびヒト両方の線維芽細胞をリプログラミングすることができる。この非ウイルスベクターを用いて生成したiPS細胞は、リプログラミングされた状態の指標となる強い多分化能性マーカー発現を示し、これはインビトロ分化アッセイおよび成体キメラマウス形成によって機能的に確認される。彼らは、胚線維芽細胞から、強い多分化能性マーカー発現を伴うリプログラミングされたヒト細胞系を樹立するのに成功した;
方法1〜4は、Shinya Yamanaka,Strategies and New Developments in the Generation of Patient-Specific Pluripotent Stem Cells (Cell Stem Cell 1, July 2007 a2007
Elsevier Inc)に記載および考察されている;本明細書に援用する。
Chung Y, Becker S, Lu SJ, Lanza R. Human embryonic stem cell lines derived from
single blastomeres. Nature 2006; 444: 512, Lei et al Xeno-free derivation and culture of human embryonic stem cells: current status, problems and challenges. Cell Research (2007) 17: 682-688, Chung Y, Klimanskaya I, Becker S, et al. Embryonic and extraembryonic stem cell lines derived from single mouse blastomeres. Nature. 2006; 439: 216-219. Klimanskaya I, Chung Y, Becker S, et al. Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres. Nature. 2006; 444: 481-485. Chung Y, Klimanskaya I, Becker S, et al. Human embryonic stem cell lines generated without embryo destruction. Cell Stem Cell. 2008; 2: 113-117 and Dusko Ilic et al (Derivation of human embryonic stem cell lines from biopsied blastomeres on
human feeders with a minimal exposure to xenomaterials. Stem Cells And Development -公表前報文);すべてを本明細書に援用する。
化を用いて幹細胞を生成させた。
書に援用する)は、ヒト臍帯のワートンゼリー(Wharton’s jelly)から
純粋な間葉幹細胞集団を分離した。ワートンゼリー由来の間葉幹細胞は、Troyer & Weiss
(Concise Review: Wharton’s Jelly-Derived Cells Are a primitive Stromal Cell Population. Stem Cells 2008:26:591-599)にも概説されている。Kim et al (Ex vivo characteristics of human amniotic membrane-derived stem cells. Cloning Stem Cells 2007 Winter;9(4):581-94;本明細書に援用する)は、ヒト羊膜からヒト羊膜由来間葉細胞を分離するのに成功した。臍帯は普通は廃棄される組織であり、この組織に由来する幹細胞は、道徳または倫理上の反対を引き寄せにくい。
いた多分化能性または多能性幹細胞は、胚の破壊を引き起こさない方法により得られた。より好ましくは、ある態様において、本発明方法に用いた多分化能性または多能性幹細胞は、ヒトまたは哺乳動物の胚の破壊を引き起こさない方法により得られた。したがって本発明方法は、それらの細胞を誘導しうるヒト胚の破壊を必然的に伴う方法によってのみ調製されたものではない細胞を用いて実施することができる。この任意制約は、特に欧州特許庁のDecision G0002/06 of 25 November 2008 of the Enlarged Board of Appealを考
慮に入れるためのものである。
当業者に既知の種々の分化方法を用いて培養幹細胞を分化させて、いずれか適切な細胞タイプにすることができる。
胚様体を、たとえば適切な誘導因子または環境変化に曝露することによりさらに誘導して、種々の系列に分化させることができる。Graichen et al (2007)は、ヒト胚性幹細胞
からp38MAPキナーゼ経路の操作により心筋細胞を形成することを記載している。Graichenは、p38 MAPキナーゼの特異的阻害剤、たとえば10マイクロモル濃度未満のSB203580への曝露により幹細胞からの心筋細胞形成が誘導されることを証明している。
本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞を用いて、医療処置方法に使用するための他の細胞タイプに分化させることができる。たとえば、分化した細胞タイプは、本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞から、これを続いて分化させて誘導することができる。分化した細胞タイプは、本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞を続いて分化させた産物とみなすことができる。そのような分化した細胞を、場合により医薬的に許容できるキャリア、佐剤または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供することができる。そのような医薬組成物は、医療処置方法に有用となることができる。
本発明によれば、幹細胞、特に胚性幹細胞およびiPSを、マイクロキャリア上での懸濁培養中に分化するように誘導することができる。
マイクロキャリア培養中に幹細胞を分化させる方法は、前記に従ってマイクロキャリアをマトリックスコーティング中にコートすることが必要な場合がある。たとえば、適切なコーティングは下記のうち1以上を含むことができる:Matrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヒアルロン酸。
本明細書に記載する方法および組成物は、多様な手段に利用できる。
たとえば、本明細書に記載する粒子を、より簡単な幹細胞培養のための研究用ツールまたは実験室試薬として提供できる。それらは、分化した細胞を生成するために、マイクロキャリア上での未分化幹細胞の拡張に使用できる。これは受注製造の可能性に発展させることができる。幹細胞を薬物検査に使用するために、拡張させ、場合により分化させることができる。粒子またはマイクロキャリアを種々の培地条件での幹細胞のコンビナトリアル分化のために標識することができる。
療法用途
本明細書に記載する方法および組成物を用いて、再生医療のための幹細胞を伝播させることができる。幹細胞を拡張し、そして患者に直接投与することができる。それらは外傷
後の損傷を受けた組織の再構成(repopulation)のために使用できる。
本明細書に記載する方法および組成物により生成する幹細胞、外胚葉、中胚葉または内胚葉の前駆細胞、および分化した細胞は、疾患の処置に使用でき、あるいは疾患の処置のための医薬組成物の調製に使用できる。そのような疾患は、再生医療により処置できる疾患を含むことができ、これには心不全、骨髄疾患、皮膚疾患、火傷、変性性疾患、たとえば糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病など、および癌が含まれる。
たとえば、未分化細胞または分化した細胞の集団を用いて、その分化した表現型に特異的な抗体およびcDNAライブラリーを調製することができる。抗体を産生、精製および修飾する際に用いる一般法、ならびに免疫アッセイ法および免疫分離法におけるそれらの使用は、Handbook of Experimental Immunology (Weir & Blackwell, eds.); Current Protocols in Immunology (Coligan et al., eds.);およびMethods of Immunological Analysis (Masseyeff et al., eds., Weinheim: VCH Verlags GmbH)に記載されている。mR
NAおよびcDNAライブラリーの調製に関する一般法は、RNA Methodologies: A Laboratory Guide for Isolation and Characterization (R. E. Farrell, Academic Press, 1998); cDNA Library Protocols (Cowell & Austin, eds., Humana Press);およびFunctional Genomics (Hunt & Livesey, eds., 2000)に記載されている。薬物スクリーニングお
よび医療用途に使用するためには、比較的均一な細胞集団が特に適切である。
幹細胞および分化した細胞を用いて、幹細胞または分化した細胞の特性に影響を及ぼす因子(たとえば溶媒、低分子薬物、ペプチド、ポリヌクレオチドなど)または環境条件(たとえば培養条件または操作)をスクリーニングすることもできる。
できる。たとえば、候補となる成熟因子または成長因子を異なるウェル内の細胞に添加し、次いで生じる何らかの表現型変化を以後の細胞の培養および使用のために望ましい基準に従って判定することにより、それらを試験する。
、およびU.S.Pat.No.5,030,015)、ならびに本明細書の他の箇所にある薬物スクリーニングの一般的記載を参照されたい。候補となる医薬化合物の活性の評価は、一般に、幹細胞または分化した細胞を候補化合物と接触させ、その化合物に起因する細胞の形態、マーカー表現型、または代謝活性における何らかの変化を判定し(非処理細胞または不活性化合物で処理した細胞と比較して)、次いでその化合物の作用と観察した変化との相関性を求めることを伴う。
本明細書に記載する方法および組成物により伝播した幹細胞(およびそれに由来する分化した細胞)は、療法、たとえばその必要がある個々の患者における組織の再構築または再生のために使用できる。それらの細胞を、意図する組織部位にそれらがグラフトして機能欠損領域を再構築または再生しうる様式で投与することができる。
5,000〜500,000細胞/mu.Lの密度で行われる(U.S.Pat.No.5,968,829)。神経細胞移植体の有効性は、McDonald et al. (Nat. Med. 5:1410, 1999に従って急性脊髄損傷のラットモデルにおいて評価することができる。移植が成
功すると、病変部に存在する移植体由来の細胞が2〜5週後に神経膠星状細胞、乏突起神経膠細胞および/または神経細胞に分化し、病変部末端から脊髄に沿って移動し、ゲート、協調および負荷が改善されたことを示すであろう。
1993)。処置の有効性は、肝細胞マーカーについての免疫組織化学的染色、成長している組織中に小管構造が形成されているかどうかの顕微鏡判定、およびその処置が肝特異的タンパク質の合成を回復させる能力により決定できる。肝細胞は、劇症肝不全後に、直接投与により、または対象の肝組織が自己再生する間の一時的な肝機能を提供する生体補助デバイスの一部として、療法に使用できる。
心室壁組織の55%を瘢痕組織にする心臓冷却傷害の動物モデルにおいて評価することができる(Li et al., Ann. Thorac. Surg. 62:654, 1996; Sakai et al., Ann. Thorac. Surg. 8:2074, 1999, Sakai et al., J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 118:715, 1999)。処
置が成功すると、瘢痕領域が縮小し、瘢痕拡大が制限され、収縮期血圧、拡張期血圧および活動血圧(developed pressure)により判定される心機能が改善されるであろう。心臓傷害は左後方下行動脈の遠位部分に塞栓形成コイルを用いてモデル化することもでき(Watanabe et al., Cell Transplant. 7:239, 1998)、処置の有効性は組
織学的所見および心機能により評価することができる。心筋細胞調製物は、心筋を再生し、不完全な心機能を処置するための療法に使用できる(U.S.Pat.No.5,919,449およびWO 99/03973)。
本明細書に記載する方法および組成物により伝播した幹細胞およびそれに由来する分化した細胞は、癌の処置に使用できる。
のタイプの頭頚部癌。他の例は、大腸癌、乳癌、肺癌および前立腺癌を含めた固形腫癌、白血病およびリンパ腫を含めた造血系悪性疾患、ホジキン病、再生不良性貧血、皮膚癌および家族性腺腫様多発ポリポーシスである。他の例には下記のものが含まれる:脳新生物、結腸直腸新生物、胸部新生物、子宮頚部新生物、眼新生物、肝新生物、肺新生物、膵臓新生物、卵巣新生物、前立腺新生物、皮膚新生物、精巣新生物、新生物、骨新生物、栄養膜新生物、ファロピウス管新生物、直腸新生物、結腸新生物、腎新生物、胃新生物、および甲状腺新生物。乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、肺癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫、卵巣癌、子宮頚癌、および胆管癌も含まれる。
本発明者らは、ヒト幹細胞を伝播させる方法であって、下記の工程を含む方法を記載する:(a)ヒト幹細胞が付着した第1マイクロ粒子を用意し;(b)第1マイクロ粒子を、付着した第2のヒト幹細胞を含む第2マイクロ粒子と接触させて、集合体を形成させ;そして(c)集合体を培養する;その際、それぞれの第1および第2マイクロ粒子はその上にコートされたマトリックスを含み、かつ陽電荷をもつ。
1.それにコートされたマトリックスを含み、かつ陽電荷をもつ粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞が集合しうるサイズの粒子。
3.パラグラフ1または2による粒子であって、50μm〜400μmの最長寸法を有し、実質的に細長い、円筒形またはロッド形の粒子。
5.パラグラフ3または4による粒子であって、20μm〜30μmの最短寸法を有する粒子。
7.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、DE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)またはQA−52(Whatman)を含む粒子。
9.パラグラフ8による粒子であって、約65μmのサイズを有する粒子。
東ソー)を含む粒子。
13.パラグラフ12による粒子であって、SM1010(Blue Membranes) or SH1010(Blue Membranes)を含む粒子。
15.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、粒子の乾燥重量グラム当たり1〜2ミリ当量の小さなイオン交換容量の第三級または第四級アミンとカップリングした粒子。
17.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、陽電荷が0.5〜4ミリ当量単位/ml(mEq)である粒子。
19.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む粒子。
22.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を含む粒子。
(a)第1粒子に付着した霊長類またはヒトの第1幹細胞を用意し;
(b)第2粒子に付着した霊長類またはヒトの第2幹細胞を用意し;
(c)霊長類またはヒトの第1幹細胞を霊長類またはヒトの第2幹細胞に接触させて細胞の集合体を形成させ;そして
(d)集合体を培養して霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも1継代、伝播させる
ことを含み;その際、第1および第2粒子はそれぞれその上にコートされたマトリックスを含み、陽電荷をもち、粒子はそれに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を集合させることができるサイズのものである。
25.パラグラフ23または24による方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を複数継代、連続伝播させるのを可能にする方法。
胞を少なくとも5、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14継代、連続伝播させるのを可能にする方法。
28.パラグラフ23〜27のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を凍結および融解することを含む方法。
30.パラグラフ23〜29のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を25ml以上または50ml以上の体積で伝播させることを含む方法。
32.パラグラフ23〜31のいずれかによる方法であって、伝播した霊長類またはヒトの幹細胞が前記回数の継代後に霊長類またはヒトの幹細胞の少なくとも1つの生物活性を保持している方法。
37.パラグラフ23〜36のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を無血清培地または幹細胞用馴化培地中で伝播させることを含む方法。
39.分化した細胞を生成する方法であって、パラグラフ23〜38のいずれかにより霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、続いて霊長類またはヒトの幹細胞を分化させることを含む方法。
の幹細胞、分化した細胞、または胚様体を個体に投与することを含む方法。
44.パラグラフ1〜22もしくは42のいずれかによる2以上の粒子、またはパラグラフ43による集合体を含む、細胞培養物。
46.霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させるためのデバイスであって、パラグラフ1〜22もしくは42のいずれかによる2以上の粒子またはパラグラフ43による集合体を含むデバイス。
48.パラグラフ23〜37のいずれかによる方法により伝播させた霊長類またはヒトの幹細胞、パラグラフ39による方法により生成した分化した細胞、またはパラグラフ40による方法により生成した胚様体。
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が90μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、マイクロキャリアはMatrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびヒアルロン酸のうち1以上を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
53.パラグラフ51の方法であって、マイクロキャリアがロッド形である方法。
55.パラグラフ51〜54のいずれかの方法であって、マイクロキャリアが、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーン、ゼラチン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシル化メタクリレート、ポリスチレンおよび/またはコラーゲンのうち1以上から構成される方法。
57.パラグラフ51〜56のいずれかの方法であって、工程(ii)においてhESCを集密状態またはほぼ集密状態にまで拡張させる方法。
60.パラグラフ51〜58のいずれかの方法であって、工程(iv)の後に培養物中の少なくとも90%のhESCが多分化能性である方法。
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイ
クロキャリアは
(a)最長寸法が90μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、その際、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアはMatrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびヒアルロン酸のうち1以上を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
本発明者らは、種々の細胞外マトリックスコーティング(たとえばmatrigel、ラミニンおよびヒアルロン酸)を含む多様なロッド形および球形のマイクロキャリアを用いる、容易かつ強力なプラットホーム技術を開発した;これらは三次元懸濁培養において未分化hESCの連続伝播を支持することができる。マイクロキャリア培養は一般に、フィーダー細胞を含まない2Dコロニー培養の場合より2〜4倍高い細胞密度を達成した。マイクロキャリア上における2種類のhESC系の安定な連続伝播が、馴化培地中で6カ月間証明された。マイクロキャリア培養は、2種類の無血清規定培地(StemProおよびmTeSR1)においても証明された。マイクロキャリア培養は、懸濁スピナーフラスコにおいてさらに高い細胞濃度を達成し、したがって制御されたバイオリアクターにおける伝播の将来性を開いた。
2Dコロニー培養へ再播種すると、それらはmatrigelコートした表面に拡散し、7日間にわたって細胞密度が4倍増大し、90%を超える生存率をもち、3種類の幹細胞マーカー、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60を発現し続けた。9週間の継代後、hESCはなおこれらの多分化能性マーカーの高発現レベルを保持し、6ウェルプレート内において90%を超える生存率で一般に120〜180万細胞/mlに達した。馴化培地中で25継代まで(6カ月間)伝播した正常な核型のMCが2種類の細胞系(HES−2およびHES3)について証明された。
未分化状態のhESCの成長を支持する幾つかのタイプのマイクロキャリアの使用を証明する。主な所見を特に図1〜5に示す。
ロンもしくは500ミクロンのふるいを通して、または酵素解離、たとえばコラゲナーゼもしくはtrypLE収穫したクランプにより、継代することができる。
ヒト胚性幹細胞系HES−2(46 X,X)およびHES−3(46 X,X)は、ES Cell Internationalから得られる。細胞を2Dコロニー培養からから得た200x200μmの細胞クランプの懸濁液として、またはマイクロキャリア
培養から得た細胞−マイクロキャリア集合体として凍結し、液体窒素中に保存する。ヒトiPS細胞(iMR90)は、J.Thomson(University of Wisconsin)から得られた。
DE−52、DE−53およびQA−52微粒状円筒形アニオン交換クロマトグラフィーマトリックス(Whatman)を、細胞伝播のためのマイクロキャリアとして用いる。
TSKgel Tresyl−5PwおよびToyopearl AF−Tresyl−650(TOSOH Bioscience LLC,米国ペンシルベニア州モントゴメリービル)を、マイクロキャリア調製のベースとして用いる:不活性親水性ヒドロキシル化メタクリル系マトリックス、トレシル活性基、ならびにそれぞれ10および65μmのビーズ直径をもつもの。
SM1010(1mm)ミクロ多孔質およびSH1010(1mm)マクロ多孔質、生体不活性、乱層構造(turbostratic)カーボンマイクロキャリア(Blue
Membranes GmbH,Wiesbaden,Germany;およびCinvention AG,Nano−Composite Systems.Rheingaustr.190−196,65203 Wiesbaden,Germany)をhESC培養に用いる。マイクロキャリアを70%エタノールおよびUV線により殺菌する。
実施例6.細胞培養:馴化培地(CM)
マウス胚性線維芽細胞で調整した培地(MEF−CM)を調製するために、ゼラチン処理した培養皿に、1.4x105細胞cm−2のマイトマイシン−C処理した不死化△E−MEFを、F−DMEM培地(90%のDMEM高グルコース;10%のFBS、2mMのL−グルタミン、ならびに25U/mlのペニシリンおよび25μmg/mlのストレプトマイシンを補充したもの,Invitrogen)中において、先の記載に従って接種する(Choo et al, 2006)。24時間後、培地をKNOCKOUT(KO)培地に交換する;これは85%のKO−DMEMに、15%のKO血清代替物、1mMのL−グルタミン、1%の非必須アミノ酸、ならびに0.1mMの2−メルカプトエタノールおよび4〜8ng ml−1の塩基性線維芽細胞成長因子(Invitrogen)を補充したものを含んでいた。KO培地を皿に添加した後、24時間毎にCMを採集する。CMを濾過し(0.22μm)、さらに8ng ml−1の組換えヒト塩基性線維芽細胞成長因子(Invitrogen)を補充する。
細胞を37℃/5%CO2において、Matrigelコートした培養皿(4℃で一夜、冷KO−DMEM中に1:30の希釈比で希釈したmatrigel(Becton Dickinson)と共にインキュベートしたもの)上で培養する。1mlの培地を含む臓器培養皿(OCD)内で細胞をルーティンに維持する。2Dコロニー培養とマイクロキャリア培養を比較する実験を、5mlの培地を含む6ウェル皿内で実施する。
分散2Dコロニー培養から得た、または液体窒素保存(2Dコロニー培養から得た200x200μmの組織、または細胞−マイクロキャリア集合体として)から直接得た細胞懸濁液を、0.1〜0.3x106/mlの濃度でマイクロキャリア懸濁液(4mg/ml)に接種する。
、静止状態または100もしくは500rpmの撹拌状態で(IKA Orbital Shaker)培養する。用いる培地はMEF−CMまたは規定培地である。培地を1日1回交換する。
マイクロキャリアに付着した細胞を核計数法で計数することにより、細胞の成長をモニターする。hESC培養物(0.25%トリプシン−EDTA(Invitrogen)またはTrypLE Expressで処理し、40ミクロンメッシュのスクリーンに通した後のもの)の単一細胞懸濁液を、細胞生存率(トリパンブルー排除法)の測定およびフローサイトメトリー分析に用いる。
hESC集団における細胞外抗原SSEA−4、TRA−1−60、および細胞内転写因子Oct−4の発現レベルを、フローサイトメトリーを用いて免疫蛍光により評価する。トリプシンまたはtrypLE expressを用いて細胞を単一細胞懸濁液として収穫し、40μmのふるい(BD)により濾過し、固定し、透過処理し(Caltag Laboratories)、下記に対する一次抗体と共にインキュベートする:SSEA−4(1:1希釈、Developmental Studies Hybridomas Bank,MC−813−70)、TRA−1−60(1:50希釈、Chemicon,MAB4360/4381)およびOct−4(1:20希釈、Santa Cruz)。
インビトロでhESCの分化を誘導するために、HES−2およびHES−3細胞をク
ランプとして収穫し、胚様体(EB)として8日間、EB培地(80%のKO−DMEM、20%のFCS、25U/mlのペニシリン、25μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、0.1mMのNEAA、および0.1mMの2−メルカプトエタノール)中において非付着型懸濁培養皿(Corning)上で培養する。
実施例12.RNAの分離および逆転写PCR(RT−PCR)
hESCからNucleoSpin RNA II Kit(Macherey Nagelから)を用いて全RNAを分離し、紫外線分光光度法(Nanodrop)により定量する。1μgの全RNAについて、オリゴdTプライマーおよびImProm II逆転写酵素(Promega)を用いて標準的な逆転写反応を実施する。
実施例13.SCIDマウスモデル
2D培養物、再平板培養物、または3Dマイクロキャリア集合体のいずれかからの400〜500万の細胞を機械的解離により収穫し、PBSに再懸濁し、無菌22G注射針で4週令の雌SCIDマウスの後足筋肉内へ注射する。
1mlのKO−培地中に希釈したコルセミド溶液と共に37℃/5% CO2で15〜16時間のインキュベーションにより、活発に成長しているhESC培養を分裂中期段階で停止させる。細胞遺伝学的分析をthe KK Women’s and Children’s HospitalのCytogenetics Laboratories(シンガポール)に外注する。
シリコーン処理した(Sigmacote,SL2 Sigma−Aldrich)100ml Bellco スピナーフラスコに、hESCを3x105細胞/mlの密度で5mg/mlのマイクロキャリアに、初期体積25mlで、撹拌せずに、37℃および5% CO2の制御インキュベーター内で接種する。
マイクロキャリアに接種した2Dコロニー培養物は多分化能性マーカーを発現し、高い
生存率を示した(データは示していない);これを続いてマイクロキャリア上へ継代する。100または500ミクロンのふるいを通し、そしてマイクロキャリア上に再接種したhESC(HES−3細胞系)マイクロキャリア培養物は、7日間の培養後、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の高い発現を保持する。
図8Aはおよび図8Bは、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60がそれぞれ継代5および9で80%〜90%以上発現していることを、マイクロキャリア上で成長させたhESCについて示し、この新規なプラットホーム上での培養が安定であることが示される。
図11Aは、凍結hESCコロニーをマイクロキャリア上へ直接融解することができ、これが細胞を速やかに捕獲することを示す。7日後、細胞は高レベルのOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACSを発現し、6ウェルプレートのウェル当たり5ml中で約420細胞に達する。
hESCを67万細胞/ウェルで、培地5ml中に20mg/mlのマイクロキャリアを入れた6ウェルプレートに接種する。対照2Dコロニー培養にも同じ細胞数で接種する。
5種類の特定のコーティングを、hESC成長のための標準的なコーティングmatrigelと比較した代替物として試験する。これらは、2種類のヘパラン硫酸源:ウシ腎臓由来のものおよびブタ由来の高速移動画分、2種類のヒアルロン酸源:ウシガラス体液由来のものおよび連鎖球菌由来のもの、ならびにデキストラン硫酸である。
図19に示す最初の結果は、ヒアルロン酸がmatrigelに対する最も有望な代替物であるけれどもmatrigelは7日間の成長後になおより高い細胞数を可能にすることを示す。hESCはこれらの特定のコーティング上で3種類の多分化能性マーカーを発現し続ける(データは示していない)。
実施例20.100および150rpmにおける撹拌
同様に、hESCをマイクロキャリア上で6ウェルプレート内において培養し、100および150rpmで撹拌する。マイクロキャリアは、100rpmで1日目に互いに集合し、6日目に種々のサイズのクランプを形成する;嚢胞性領域は見られず、hESCが多分化能性のままであることが示される(図20)。
にウェル当たり200〜300万細胞を達成した。
DE53は、別途記載しない限り、すべての実験にルーティンに用いるマイクロキャリア上の電荷である。第三級アミンの低電荷(DE52)、高電荷(DE53)、および第四級アミンの高電荷(QA52)のセルロースマイクロキャリアを、それらがhESCの培養を支持する能力について試験し、表E2に示すように本質的にそれらはすべての電荷で同等な細胞数を達成しうることを示す。
とが示される。
5および7日目について、DAPI核染色およびTRA−1−60多分化能性マーカーにより示すように、ミクロ多孔質(SM1010)カーボンマイクロキャリアは表面にhESCを付着させ、成長させることができる;図28Aおよび図28Bに示す。
図39は、Oct−4およびTRA−1−60多分化能性マーカーが接種後15日間発現し続けることを示す。
図41は、ビーズ上で2倍体積のMEF−CMを供給して培養したhESCによる多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60の発現が90%を超えることを示す。
図45は、HES−2 GFP細胞が1日目から7日目までマイクロキャリア上に均一に拡散することを示す。図46Aに示すように、hESCを接種したマクロ多孔質マイクロキャリアは、高速混合(30分毎)および低速混合(2時間毎)でhESCの成長をウェル当たり約60〜80万細胞に到達させることができる;これは2Dコロニー対照により7日後に達成されたウェル当たり約1200万細胞より低い。
実施例23.マイクロキャリア上での共培養およびフィーダー
図47Aは、静止培養における、hESCを接種したセルロースマイクロキャリア間にあるフィーダーを含む球形Cytodexマイクロキャリアを示し、一方、図47Bは、hESCを接種したセルロースマイクロキャリア間にあるフィーダーを含むポリリジンコートした東ソー・マイクロキャリアを示す。
図49は、50mlスピナー培養で、hESCがセルロースマイクロキャリア上において指数速度で成長し、30万細胞/mlを接種した5日後に360万細胞/mlに達したことを示す;これは、170万細胞/mlに達した静止マイクロキャリア培養、および90万細胞/mlに達したにすぎない2Dコロニー対照より、有意に高い。
図50は、細胞系HES−2およびHES−3の両方がマイクロキャリア培養において、約24の集団倍増と同等の連続6継代後に、正常な核型をもつことを示す。
不活性化したフィーダー(MEF)を、まず東ソー、Cytodex 1またはDE53マイクロキャリア上へ接種した。24時間後、matrigelコートしたマイクロキャリア上のhESCを、Knockout DMEMにKnockout血清代替物、グルタミン、2−メルカプトエタノール、非必須アミノ酸原液および塩基性FGF(Invitrogen)を補充したものからなる増殖培地中での培養に導入した。
Cytodex 1および3(GE Healthcare)ならびにHillex(Hyclone)を製造業者のプロトコルに従って調製した;これは、水和、すすぎ、および高圧蒸気滅菌によるマイクロキャリアの殺菌からなっていた。matrigelによるコーティングは、DE53セルロースマイクロキャリアの場合と同じ方法で実施された。5mgのマイクロキャリアを、matrigel原液33μlを含有するKO培地1mlでコートした。コートしていないマイクロキャリアおよびmatrigelコートしたマイクロキャリアの両方の培養に、1〜3×105細胞/mlの細胞濃度で接種した。
セルロースマイクロキャリア上の細胞外マトリックス(ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸)のコーティングはこれらの条件に従った:
ヘパリン:0.44mgヘパリン/mg DE53(1:10希釈と同等)
コンドロイチン:0.91mgコンドロイチン/mg DE53(1:10希釈と同等)
ヒアルロン酸:0.016mgヒアルロン酸/mg DE53(1:10希釈と同等)
他の細胞外マトリックスと組み合わせてヒアルロン酸およびヘパリンでコートしたマイクロキャリアについては、下記の条件を用いた:
フィブロネクチン:20μg/mg DE53
ラミニン:2μg/mg DE53
I型コラーゲン:20μg/mg DE53
IV型コラーゲン:20μg/mg DE53
Cytodex 3実験については、下記のコーティング濃度を用いた:
ラミニン:2〜4μg/mg Cytodex 3
フィブロネクチン:20μg/mg Cytodex 3
実施例29.DE53セルロースマイクロキャリア上におけるhESCの継代23までの連続継代
図51は、23継代、継代したセルロースマイクロキャリア上で成長したhESCが、2Dコロニー培養において成長したhESCの成長速度より高いそれらの成長速度を保持することを示す。一般に、マイクロキャリア培養における継代に際しての分割比率は1:10であり、2Dコロニー培養については1:4である。したがって、23回目の継代までに、マイクロキャリア培養において達成できる細胞総数に10 logの差が生じる。図52は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現が、それぞれ940万および710万細胞/ウェルの高い細胞密度をもつ継代15および16で、安定な状態を維持することを示す。図53はさらに、継代21〜23、および2Dコロニー培養上へ再播種した場合の、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60の強い発現を示し、これらのマーカーの発現は高くかつ安定な状態を維持する。
図54は、HES−3のマイクロキャリア培養が継代22および25に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。図55は、HES−2のマイクロキャリア培養も継代14に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。継代3および27のマイクロキャリア培養からのhESCを胚様体に分化させると、それらは内胚葉(アミラーゼおよびGATA6)、外胚葉(ケラチンおよびニューロフィラメントNF)および中胚葉(MSX1およびHAND1)の遺伝子により表わされる3胚葉の細胞を形成することができた;図56を参照。図57に示すように、3胚葉の細胞についてテラトーマも
形成された。
図58は、2種類の無血清培地mTeSR1およびStemPRO中でのhESCのマイクロキャリア培養を示す;2.7×105細胞の接種後、細胞数はそれぞれ200万および150万に達した。pHが約6.7に低下したことは7日間にわたる活発な細胞成長を指摘する。図59は、mTeSR1(BD Biosciences)およびStemPRO(Invitrogen)マイクロキャリア培養の成長速度および倍増時間を比較する。mTeSR1は、StemPROの49時間と対比して25時間のより速やかな倍増時間をもつことが観察された。図60は、2種類の無血清培地についてグルコースおよびグルタミンの消費ならびにラクテートおよびアンモニア産生の代謝を比較する。グルコースおよびグルタミンの比消費率ならびにアンモニアの比産生率は2種類の培地について類似するように思われる;ただし、StemPRO培地中のGlutamaxからグルタミンが産生する初期を除く。しかし、ラクテート産生率はStemPROマイクロキャリア培養と比較してmTeSR1の場合の方が高い(図61)。ナトリウムイオンおよびカリウムイオンも増加し、これは消費済み培地のオスモル濃度増大に関与し、mTeSR1はより高いオスモル濃度をもつ(図62)。
図67は、HES−3細胞系の2回目のスピナーフラスコ培養を示し、この場合も1回目のスピナーフラスコ実験に匹敵する約350万細胞/mlの細胞密度を7日目までに達成することができる。この場合も、これらの細胞密度は静止マイクロキャリア培養および2Dコロニー培養より有意に高い。図68は、2回目のスピナーフラスコ培養について、グルコースおよびグルタミンの消費ならびにラクテートおよびアンモニアの産生を示す。これらの濃度をグルコースおよびグルタミンの体積消費率および比消費率、ならびにラクテートおよびアンモニアの体積産生率および比産生率に換算し、図69に示す。図70は、馴化培地を供給する前と後の各日の急激なpH低下を示し、各日のオスモル濃度の上昇も示す。図71は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が
3および4日目に高い状態のままであることを示し、一方、図72に示すように、hESCの形態は4および5日目にマイクロキャリア上で緻密な集合体として保持される。
セルロースDE53上のhESCを球形Cytodexおよび東ソー・マイクロキャリア上のフィーダーとの共培養において支持できるかどうかも判定した。コートしていないマイクロキャリアにフィーダー細胞を付着させ、hESCをMatrigelコートしたマイクロキャリアに付着させた。図78は、Cytodex上のマウスフィーダー、およびフィーダーでコートしたポリリジンコート 東ソー・ビーズと一緒に、セルロースDE53マイクロキャリア上のhESCと共培養して成長した、セルロースマイクロキャリア上のhESCの写真を示す。表3は、2種類の球形マイクロキャリア上のフィーダーとの共培養、ならびにセルロースDE53マイクロキャリア上での共培養における、P0およびP1継代のhESCの細胞密度を示す。細胞数は、matrigelでコートしたDE53マイクロキャリア上のhESC対照と同等であった。図79は、hESCと、それぞれCytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上のフィーダーとの3種類の共培養物について、P1におけるFACSを示す。DE53と共培養したCytodex 3、およびDE53の共培養について、3種類の多分化能性マーカーの高発現レベルがみられた。表4は、3種類の共培養物中のhESCの細胞数が、matrigelコートしたマイクロキャリア上の対照と比較して約2倍高いことを示す。図80は、Cytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上のフィーダーとの3種類の異なる共培養物における、継代2における3種類の多分化能性マーカーの強い発現を示す;これらはmatrigelコートしたマイクロキャリアを用いた対照と同等またはより良好である(図81)。
次いで、別の小型および大型球形の東ソー・マイクロキャリアがhESCの成長を長期間にわたって支持できるかを調べた。
度で最大の細胞集合体を形成した。図84は、プロタミン 東ソー・ビーズを示す;matrigelコーティングを含まないものと含むもの、原液と30倍希釈濃度のもの。この場合も、30倍希釈したmatrigelコートしたビーズがより大きなhESC集合体を形成した。
表6および図85は、ポリリジンコートおよびプロタミンコートした両方の東ソー・ビーズ(65μm)の細胞数を示す;matrigelを含むものと含まないもの、4継代。継代4までにmatrigelコーティングを含むビーズのみは生存したが、ビーズにカップリングしたmatrigelを含むものおよびmatrigelを含まないものは継代3後は成長しなかった。”カップリング”は、ポリリジンコートおよびプロタミンコートしたビーズにMatrigelを添加した際に直ちに行われ、次いで使用のために数週間にわたって保存された。”コーティング”のためには、培養する週の間のみMatrigelを新たにビーズに添加した。図36は、ポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCについて、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、P1。Oct4発現は、matrigelを含まないマイクロキャリアについて最低であった。図87は、プロタミン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCの、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、P1。この場合も、Oct4発現は、matrigelを含まないマイクロキャリアについて最低であった。図38は、P2において、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。同様に図89は、P2において、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。図90は続いて、P3において、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。図91は、P3において、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現が最高であることを示す。継代4において、matrigelでコートした大型ポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で、hESCは未分化集合体をなお形成し続ける(図92)。図93は、継代4における、matrigelコートしたポリリジンおよびプロタミン−マイクロキャリア上でのhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示す。図94は、matrigelコーティングを含むポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で5継代成長させたhESCの比較的安定な細胞数を示す。図95は、継代5における、matrigelコーティングを含むポリリジンおよびプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でのhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示し、一方、図96は、P5におけるhESC集合体を示す。
Cytodex 3は細胞培養に一般的に用いられているので、それの性能をDE53および 東ソー・マイクロキャリアと比較した。さらに、コーティングを含まないCytodex 3を単独で静止および撹拌条件でのhESCの培養に使用できるとTerst
eggeら(US patent application 2007/0264713
A1)は主張している。
3マイクロキャリアは、静止条件では3種類の多分化能性マーカーを強く発現するhESCをなお支持することができる。これに対し、ラミニンおよびフィブロネクチンでコートしたCytodex 3は、継代6においてOct4およびTRA−1−60マーカーの部分的なダウンレギュレーションを示す。この実験は、コラーゲン、ラミニンおよびフィブロネクチンをもつmatrigelをシミュレートするために実施された。さらに、図110において、hESCの核型判定は、matrigelでコートしたCytodex 3上で11継代後に正常な46XX核型を示した。
いずれのコーティングも含まない荷電マイクロキャリアCytodex 1およびHillexマイクロキャリア単独についても、それらがhESCを支持する能力を評価した。この場合も、以前のCrookらによる特許は、matrigelコーティングを含まないこれらのマイクロキャリアが単独でhESC培養を静止培養において3〜5継代支持することができると主張している(WO 2008/004990 A2)。同グループによるその後の刊行物(Phillips et al, 2008)は、彼らが各継代で3倍拡張を達成し得たにすぎず、Hillexマイクロキャリア上では継代6により多分化能性マーカーは保持されたけれどもhESCを拡張できなかったことを明らかにした。
のhESCはコートしていないマイクロキャリアと比較してより大きな集合体として成長する。図112は、Hillexマイクロキャリア上で成長しているhESCを示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの。Hillexマイクロキャリアは培地からフェノールレッドを吸着し、互いに集合する傾向がある。hESCは、これらのマイクロキャリア(matrigelを含むものまたは含まないもの)への付着がより劣る。図113は、これら2タイプのマイクロキャリア上のhESCの細胞数を示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの、撹拌するものと撹拌しないもの、3継代後。3継代後に、撹拌を伴うCytodex 1およびHillexマイクロキャリア培養において細胞数は減少する傾向があり、継代できないので中断された。しかし、図114に示すように、これらのマイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)の静止(または非撹拌)培養は、継代9まで継代できたが、最終細胞数は継代7後に減少する傾向があった。図115は、Cytodex 1およびHillexマイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)上で成長したhESCの平均細胞濃度および平均拡張倍率をまとめる。平均して、matrigelを含むCytodex 1上ではより高い細胞濃度が達成され、これはセルロースマイクロキャリアに匹敵した。
さらに、別の細胞外マトリックス(ECM)をmatrigelの代替物としてマイクロキャリア上でhESCを支持するために使用できるかを調べた。
のダウンレギュレーションが最も少ないからである。
HAはhESCを支持するためにmatrigelに対する代替ECMとして最も有望であると思われたので、細胞をHAコートしたセルロースマイクロキャリア上で多数継代、継代した。図136に示すように活発な成長、ならびに多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現(図137)が3継代(継代4〜6)継続し、これらは対照2Dコロニー培養に匹敵した。図138は、HAコートしたマイクロキャリア上で、継代8および9においてTRA−1−60の高い発現が継続することを示す。最後に、図139は、HAコートしたセルロースマイクロキャリア上で継代6において成長した緻密なhESC集合体の形態を2つの異なる倍率で示す。
実施例40.1
ヒトiPS(IMR90)細胞を、MatrigelコートしたDE53マイクロキャリア20mg/ウェル(4mg/ml)上で、100ng/mlのbFGF(5ml/ウェル)を含むMEF調整KO培地中での懸濁培養において培養した。フィーダー細胞上で2D培養において8回継代し、続いてMatrigel上で2D培養において5継代適応させたiPS(IMR90)細胞(iPS IMR90PMGP5)から、セルロースマ
イクロキャリアに接種した。
2種類のヒトiPS細胞系を、無血清培地mTeSR1中で、Matrigelコートしたセルロースマイクロキャリア上において2または3週間にわたって連続継代した。図186は、細胞数の増加、ならびに多分化能性マーカーOct−4およびmAb84の安定発現を示す。
実施例41.マイクロキャリア上での心筋細胞分化
種々の細胞外マトリックス(ECM)コーティングをもつマイクロキャリアを用いて、hESCが心筋細胞へ分化する能力を調べた。種々のECMコーティングを用いて細胞の拡張および分化を調べた。種々の培地補充物を用いて同様に分化を調べた。マイクロキャリアからマイクロキャリアへのhESCの接種に続いて、同様に分化を調べた。
DE53セルロースマイクロキャリアを、Matrigel、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチンのいずれかひとつにコートした(図165)。東ソー 65マイクロキャリアをプロタミン誘導体化し、場合によりラミニン中にコートした(図165)。マイクロキャリアを、各ECMで、低温室内において撹拌下に一夜コートした。翌日、各ウェル(5ml)に、コラゲナーゼ処理して掻き取った2Dコロニー培養物から2.5x106細胞/ウェルを接種した。次いでプレートを接種後1時間、撹拌下に保持した。
分化したhESCがマイクロキャリア上で拡張するかを判定するために、下記のマイクロキャリアコーティングを試験した:
1.コートしていないセルロースDE53
2.ラミニン(20μg)を15mgのセルロースDE53上に一夜コートしたもの
3.MatrigelをセルロースDE53上にコートしたもの。
広範な培地および補充物を、それらが分化に及ぼす影響についてスクリーニングした。
DE53セルロースマイクロキャリア(3mg/ml,6ウェルプレート内)を、CM中において静止条件で2時間コンディショニングした。次いでそれらに2D培養から収穫したhESC(コラゲナーゼおよび4方向のスクレーパー)を3x106細胞/ウェルで接種した。接種後、培養物を15分間撹拌(100rpm)した後、静止条件に切り換えた。
BSA,1x脂質混合物、またはこれらの組合わせ−図170を参照)に切り換えた。用いた細胞はH3 p33kK47であった。
DE53セルロースマイクロキャリア(3mg/ml)を6ウェルプレート内においてCM中で4時間コンディショニングし、1.6x106細胞/ウェルを接種した。培養物を1時間撹拌(100rpm)した後、静止条件に切り換えた。
陰電荷をもつ微粒状カルボキシメチルセルロースCM52マイクロキャリア(20mg/ウェル,4mg/ml)にHES−3細胞を接種し、懸濁培養および継代した。分化は、Matrigelコーティングを含む場合および含まない場合について、継代1内で大きな嚢胞性領域により示された(データは示していない)。細胞密度は、Matrigelコートしたマイクロキャリア上の方がコートしていないマイクロキャリアより高かった。これは、陰電荷をもつマイクロキャリアはhESCの多分化能性成長を支持しない可能性があるけれどもhESCの分化を支持しうることを指摘する。
直接酵素処理(たとえばトリプシンまたはTryple)により、hESCをマイクロキャリア培養物から収穫することができる。
MatrigelコートしたセルロースDE53上における継代13のヒトiPS細胞を、EB培地(KO基礎培地+20%血清+非必須アミノ酸)へのマイクロキャリアの移
植により懸濁液中で14日間分化させ、続いてゼラチンコートした6cmの組織培養皿上で7日間、再び平板培養した。幾つかの拍動性集合体がみられた。拍動性集合体のうち2つをさらに観察するために、ゼラチンでコートした新たな6cmの皿へ移植した。23日後、すべての拍動性クランプがなお活発に拍動していた。
ラミニンコートしたマイクロキャリア上で培養したHES−2 hESC(2マイクログラム/mgマイクロキャリア)を用いて、18日目の試料で拍動性集合体(3重試験)を生成させるのに成功した。
実施例41.8 内胚葉系列への分化
hESC−Matrigelコートマイクロキャリア懸濁培養物をスピナーフラスコ内で撹拌(40rpm)することにより、また6ウェルプレート内での撹拌(120rpm)によっても、hESCを内胚葉系列(たとえば膵島細胞、肝細胞、肺)へ分化させた。内胚葉遺伝子GATA6およびアルファフェトプロテインのアップレギュレーションと共に、多分化能性マーカーOct4、Mab84およびTra−1−60のダウンレギュレーションがみられた。図73(実施例32)に示した結果と合わせて考慮すると、これらの結果は、細胞の培養および細胞の多分化能性/多能性状態の維持のためにはより低速の撹拌を使用できること、ならびに分化を誘導するためにはより高速の撹拌を使用できることを指摘する。
ヒト胚性幹細胞を分化させて、臨床的に適応する間葉性幹細胞(MSC)を再現性をもって供給することがLian et al (Derivation of Clinically Compliant MSCs from CD105+, CD24- differentiated human ESCs. Stem Cells 2007;25:425-436)に記載されている
。彼らは、hESCをトリプシン処理し、フィーダー支持体なしにFGF2およびPDGF ABを補充した培地中で伝播させ、続いてCD105+およびCD24−細胞を選別することにより、hESCから類似性が高くかつ臨床的にコンプライアントなMSC集団を再現性をもって生成させるために使用できるプロトコルを記載している。得られたMSCは骨髄MSC(BM−MSC)に顕著に類似し、MSCを同定するために一般に用いられる形態、表現型および機能規準を満たした;すなわち、線維芽細胞表現型をもつ接着性の単層、表面抗原プロフィール、すなわちCD29+、CD44+、CD49a+、CD49e+、CD105+、CD166+、CD34−およびCD45−、ならびに脂肪形成、軟骨形成および骨形成を含めた分化能。Lianらは、彼らのMSCを生成させるためにHues9およびH1 hESCの使用を記載している。
Cytodex 3マイクロキャリアに、hESC由来MSCを種々のマイクロキャリア濃度(1.5、3および5キャリア/ml)で接種し、40rpmで撹拌するスピナー
培養において50%の培地を3日毎に交換して培養した。図174および175は、マイクロキャリア上でのhESC由来MSCの成長を示す。試験した最低のマイクロキャリア濃度を用いて最良の成長が得られた。
Cytodex 3マイクロキャリアに、広範な濃度のhESC由来MSC細胞(5〜14細胞/マイクロキャリア)を3mg/mlのマイクロキャリアにおいて40rpmで撹拌するスピナー培養に接種し、50%の培地を3日毎に交換した。図176および177は、出発細胞濃度が高いほど高い最終細胞密度が得られたことを示す。
Cytodex 3マイクロキャリア上でのhESC由来MSCの成長を、単層培養におけるhESC由来MSCの成長と比較した;培地を1日1回交換した。図178および179は、マイクロキャリア上で成長したhESC由来MSCがより速やかな倍増時間およびより高い細胞密度を達成したことを示す。
hESC由来MSCをCytodex 3マイクロキャリア上で2方法により継代した:
(i)50%の新たなマイクロキャリアを添加;または
(ii)細胞をtryplE酵素で脱着し、続いて新たなマイクロキャリアを添加;
すべての培養に1日1回供給した。図180および181は、両方の場合とも細胞は類似の倍増時間および細胞密度を3継代にわたって達成したことを示す。図182および183は、Cytodex 3マイクロキャリア上で前記の2方法により継代した場合の10日目におけるhESC由来MSCによる5種類のMSCマーカーCD73、CD90、CD105、CD29およびCD44の陽性発現、ならびにCD34およびCD45の陰性発現を示す。
図187は、StemPRO培地を用いたマイクロキャリア懸濁培養におけるhESCの細胞密度に対する制御した低グルコース供給(1日1回、2g/l)の結果を、StemPROのみを1日1回供給した培養と比較して示す。低グルコース供給はより高い細胞密度をもたらした。
参考文献
Claims (115)
- 幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性である方法。 - 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項1に記載の方法。
- 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項1または2に記載の方法。
- 工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代、または少なくとも7継代、または少なくとも10継代反復する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがロッド形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがプロタミンまたはポリリジンとカップリングしている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが親水性である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが実質的に球形の形状を有する、請求項1〜4または6〜14のいず
れか1項に記載の方法。 - 工程(ii)において、培養物中の幹細胞の数を拡張させるのに十分な期間、幹細胞を培養する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 各反復サイクルにおいて、工程(i)の幹細胞がその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(iv)において、工程(i)〜(iii)を通して少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアがマトリックス中にコートされている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(i)〜(iii)のサイクルにおいて、マイクロキャリアが同一マトリックス中にコートされている、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(i)〜(iii)の第1と第2の連続サイクルにおいて、マトリックスが異なるか、または存在しない、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が多分化能性である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が、Oct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2、3またはすべてを発現する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
- 該方法が、幹細胞を無血清培地、または幹細胞用馴化培地、またはフィーダー細胞を含まない状態で培養することを含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
- フィーダー細胞もマイクロキャリアに付着している、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 培養がさらに、幹細胞が付着するマイクロキャリアとは異なるマイクロキャリアに付着したフィーダー細胞を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法により得られる多分化能性幹細胞。
- さらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項28に記載の方法。
- 該方法が、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、多分化能性幹細胞の分化を含む方法であって、
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。 - 第1マトリックスと第2マトリックスが同一である、請求項31に記載の方法。
- 第1マトリックスと第2マトリックスが異なる、請求項31に記載の方法。
- 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが同一である、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
- 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが異なる、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
- 該方法がさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む、請求項31〜35のいずれか1項に記載の方法。 - 第3マトリックスが第1および第2マトリックスと異なる、請求項36に記載の方法。
- 第3マトリックスが第1および第2マトリックスのいずれか1つと同一である、請求項36に記載の方法。
- 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアと異なる、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
- 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアの1つと同一である、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法により得られる分化した細胞。
- 分化した細胞を培養して胚様体を形成させる、請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項42に記載の方法により得られる胚様体。
- 幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はMatrigel(商標)中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも7継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性であり、培養物がフィーダー細胞を含まず、各継代間で幹細胞の数が拡張し、幹細胞がヒトもしくは霊長類の胚性幹細胞またはヒトもしくは霊長類の誘導された多分化能性幹細胞である方法。 - 幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法であって、
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第1マイクロキャリアの表面は第1マトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性であり、該方法がさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む方法。 - 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項45に記載の方法。
- 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項45または46に記載の方法。
- マイクロキャリアがロッド形である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
- 第1マトリックスと第2マトリックスが同一である、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
- 第1マトリックスと第2マトリックスが異なる、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
- 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが同一である、請求項45〜50のいずれか1項に記載の方法。
- 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが異なる、請求項45〜50のいずれか1項に記載の方法。
- 該方法がさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分
化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む、請求項45〜52のいずれか1項に記載の方法。 - 第3マトリックスが第1および第2マトリックスと異なる、請求項53に記載の方法。
- 第3マトリックスが第1および第2マトリックスの1つと同一である、請求項53に記載の方法。
- 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアと異なる、請求項53〜55のいずれか1項に記載の方法。
- 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアの1つと同一である、請求項53〜55のいずれか1項に記載の方法。
- 幹細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む方法。
- 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項58に記載の方法。
- 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項58または59に記載の方法。
- マイクロキャリアがロッド形である、請求項58〜60のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項58〜64のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項58〜64のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがプロタミンまたはポリリジンとカップリングしている、請求項58〜66のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項58〜67のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項58〜68のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが親水性である、請求項58〜69のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが実質的に球形の形状を有する、請求項58〜60または62〜70のいずれか1項に記載の方法。
- 多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養する
ことを含み、その際、工程(ii)の後の培養物中の幹細胞が多能性である方法。 - 工程(i)においてマイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされている、請求項72に記載の方法。
- さらに、工程(ii)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項72または73に記載の方法。
- 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項74に記載の方法。
- 該方法が、工程(ii)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含む、請求項72〜75のいずれか1項に記載の方法。
- 多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多能性である方法。 - 工程(i)においてマイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされている、請求項77に記載の方法。
- 請求項72、73、77または78のいずれか1項に記載の方法により得られる多能性幹細胞。
- さらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項77または78のいずれか1項に記載の方法。
- 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項80に記載の方法。
- 該方法が、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養
する工程を含む、請求項77〜81のいずれか1項に記載の方法。 - さらに、多能性幹細胞の分化を含む方法であって、
(v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む、請求項77に記載の方法。 - 請求項74〜83のいずれか1項に記載の方法により得られる分化した細胞。
- 多能性幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法であって、
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多能性であり、該方法がさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む方法。 - 工程(i)においてマイクロキャリアの表面が第1マトリックス中にコートされている、請求項85に記載の方法。
- 幹細胞をインビトロで分化させる方法であって、多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む方法。
- 幹細胞が成体幹細胞、または多分化能性幹細胞に由来する多能性幹細胞である、請求項72〜87のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがロッド形である、請求項72〜88のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。
- マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、および
エンタクチン1の混合物を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。 - マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項72〜92のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項72〜92のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項72〜94のいずれか1項に記載の方法。
- マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項72〜95のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(ii)において、培養物中の幹細胞の数を拡張させるのに十分な期間、幹細胞を培養する、請求項72〜96のいずれか1項に記載の方法。
- 各反復サイクルにおいて、工程(i)の幹細胞がその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる、請求項77〜97のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(iv)において、工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代、少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する、請求項77〜98のいずれか1項に記載の方法。
- 霊長類またはヒトの幹細胞の伝播および/または分化のための、マトリックス中にコートされたマイクロキャリアの使用であって、マイクロキャリアがDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)、QA−52(Whatman)、TSKgel
Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)から選択される使用。 - マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項100に記載の使用。
- マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項100に記載の使用。
- 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロ懸濁培養において成長および/または分化させる際に使用するのに適切なマイクロキャリアであって、マイクロキャリアがセルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、またはコラーゲンのうち1以上を
含み、マイクロキャリアが細長い形状を有し、約2000μm未満の最長寸法および約10μmより大きい最短寸法を有し、マイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされ、1個または複数の多分化能性細胞または多能性細胞がマトリックスコーティングに付着しているマイクロキャリア。 - マイクロキャリアがロッド形である、請求項103に記載のマイクロキャリア。
- マトリックスコーティングが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニンまたはフィブロネクチンのうち1以上を含む、請求項103または104に記載のマイクロキャリア。
- 細胞が多分化能性細胞である、請求項103〜105のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
- 多分化能性細胞が霊長類もしくはヒトの胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項103〜106のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
- マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項103〜107のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
- マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項103〜108のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
- 50μm〜400μmの最長寸法を有する、請求項103〜109のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
- それに多分化能性細胞または多能性細胞が付着したそれぞれ請求項103〜110のいずれか1項に記載の2以上のマイクロキャリアを含む、集合体。
- 多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成するための多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロでの培養における、請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアの使用。
- 多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ分化における、請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアの使用。
- 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで培養して多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成する方法であって、多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成するのに適切な条件下で請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアを培養することを含む方法。
- 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性細胞または多能性細胞の分化を誘導する条件下で請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアを培養することを含む方法。
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