JP2015211679A - モナチンの立体異性体およびそれらの前駆体の生成のためのポリペプチドおよび生合成経路 - Google Patents

モナチンの立体異性体およびそれらの前駆体の生成のためのポリペプチドおよび生合成経路 Download PDF

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Abstract

【課題】L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸(I3P)を生成しモナチンを合成する方法の提供。
【解決手段】I3Pから少なくともRモナチン前駆体(R−MP)を含むモナチン前駆体(MP)をL−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、又はL−アミノ酸オキシダーゼ及びその組合せから選ばれ酵素群により生成し、次いでMPからモナチンをD−アミノトランスフェラーゼ又はD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ及びその組合せから選ばれる1つ又は複数の第3の酵素によって生成する方法。モナチン及びR,Rモナチン、S,Rモナチン、その塩のごときモナチンのある種の立体異性体をポリペプチド及び生合成経路を用いて生成する方法。
【選択図】なし

Description

本開示は、D−トリプトファン、インドール−3−ピルビン酸、R−2−ヒドロキシ−2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(R−MP)、およびR,Rモナチン、S,Rモナチン、その塩のごときモナチンのある種の立体異性体の生成に有用であるポリペプチドおよび生合成経路を提供する。
関連出願の相互参照
本出願は、2005年4月26日に出願された米国特許仮出願第60/674,932号の利益を主張する2006年4月26日に出願された米国特許出願第11/411,229号の一部継続出願である2006年10月20日に出願された米国特許出願第11/584,016号の一部継続出願である。
モナチンは、次の化学式を有する高強度甘味料である。
Figure 2015211679
モナチンは、4つの潜在的な立体異性体の立体配置に導く2つのキラル中心を含む。R,R立体配置(「R,R立体異性体」または「R,Rモナチン」);S,S立体配置(「S,S立体異性体」または「S,Sモナチン」);R,S立体配置(「R,S立体異性体」または「R,Sモナチン」);およびS,R立体配置(「S,R立体異性体」または「S,Rモナチン」)。特記されない限りは、本明細書に用いた用語「モナチン」は、モナチンのすべての4種の立体異性体を含む組成物、モナチン立体異性体のいずれかの組合せを含む組成物(例えば、モナチンのR,RおよびS,S立体異性体のみを含む組成物)、および単一の異性体形態を指すために用いられる。
本開示において、モナチン炭素主鎖は、上記に示されるように番号を付けられ、アルコール基に直接的に共有結合した炭素は、2位の炭素として識別され、アミノ基に直接的に共有結合した炭素は、4位の炭素として識別される。従って、R,Rモナチン、S,Sモナチン、R,Sモナチン、およびS,Rモナチンに対する本明細書での言及は、他に示されない限り、それぞれ、2R,4Rモナチン、2S,4Sモナチン、2R,4Sモナチン、および2S,4Rモナチンを意味する。
文献では、モナチン炭素主鎖は、同様に、代替の規則を用いて番号を付けられていることに注目されたい、また、アルコール基に結合された炭素は、4位の炭素であり、アミノ基に結合された炭素は、2位の炭素である。従って、例えば、本開示における2S,4Rモナチンに対する言及は、代替の番号付け規則を用いる文献における2R,4Sモナチンに対する言及と同じであろう。
さらに、種々の命名規則のために、モナチンは、次のものを含めた多数の代替の化学名によって知られている:2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸;4−アミノ−2−ヒドロキシ−2−(1H−インドール−3−イルメチル)−ペンタン二酸;4−ヒドロキシ−4−(3−インドールメチル)グルタミン酸;および3−(1−アミノ−1,3−ジカルボキシ−3−ヒドロキシ−ブタン−4−イル)インドール。
モナチンのある種の異性体形態は、南アフリカのトランスバール地方にあるシュレロチトン・イリシホリアス(Schlerochiton ilicifolius)植物の根皮内に見出すことができる。ここに出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許出願第10/422366号(「’366出願」)、第10/979821号(「’821出願」)、および第11/114922号(「’922出願)は、とりわけ、モナチンのin vitroおよびin vivoでの生成のためのポリペプチド、経路、および微生物を開示する。
D−トリプトファン、インドール−3−ピルビン酸、R−2−ヒドロキシ−2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(R−MP)、およびR,Rモナチン、S,Rモナチン、その塩のごときモナチンのある種の立体異性体の生成に有用であるポリペプチドおよび生合成経路を提供する。
本開示は、とりわけ、D−トリプトファン、インドール−3−ピルビン酸、R−2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(R−アルファケト酸モナチン、R−モナチン前駆体、R−MP、およびモナチンのアルファケト型とも称される)、およびR,Rモナチン、S,Rモナチン、その塩のごときモナチンのある種の立体異性体の生成に有用であるポリペプチドおよび生合成経路を提供する。方法は、1つまたは複数のポリペプチド、特に、ラセマーゼ(例えば、グルタミン酸ラセマーゼ、アスパラギン酸ラセマーゼ、およびアラニンラセマーゼ)、広域特異性D−アミノトランスフェラーゼ(D−アラニンアミノトランスフェラーゼ、D−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ、およびD−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとも呼ばれる)、L−アミノトランスフェラーゼ(L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびL−アラニン−アミノトランスフェラーゼを含む)、アルドラーゼ(例えば、R特異的アルドラーゼ)、D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(D−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼとも呼ばれる)、D−メチオニンアミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アスパラギン酸デカルボキシラーゼ、およびアスパラギン酸−4−デカルボキシラーゼのごとき酵素の使用を、4−R異性体の形態で豊富なモナチン組成物を生成するために、および/またはMPアミノ化のためにアミノ酸供与体として理論量のD−アミノ酸基質を使用せずにR,Rモナチンを生成するために含む。
簡潔にするために、中間体/生成物が、本明細書および特許請求の範囲において形成されるとして同定される(例えば、モナチン、またはモナチン前駆体)場合には、適用可能な場合、用語「および/またはその塩」が含まれると理解されるべきである。換言すれば、例えば、語句「インドール−3−ピルビン酸はMPに変換される」は、「インドール−3−ピルビン酸はMPおよび/またはその塩に変換される」と解釈されると理解されるべきである。当業者は、実際に、示された反応条件下で中間体/生成物の塩が実際に存在すること、または存在するであろうことも十分に理解すると考えられる。
いくらかの具体例によれば、方法は、モナチン組成物を生成し、組成物のモナチン成分は、モナチンのR,RおよびS,Rの形態のみを含む。用語「のみ」は、ある種の異性体のみが形成されることを示すために用いる場合、特記されない限りは、経路は、ラセミ化が起こらなかったならば、同定された異性体のみを生成するであろうということを意味する。結果的に、用語「のみ」は、他の異性体が存在しないことを意味するとみなされるべきではなく、むしろ当業者は、生じる可能性のあるラセミ化により、他の異性体形態が、相対的に少量で存在する可能性があることを理解すると考えられる。いくらかの具体例によれば、方法は、組成物のモナチン成分が、モナチンのR,R形態のみを含むモナチン組成物を生成する(かくして、エクステントラセミ化が起こり、他の異性体形態をもたらされる場合を除くことを意味する)。
本明細書に用いた語句「モナチン組成物」は、モナチンの1つまたは複数の異性体を含む組成物を意味し、その用語はまた、文脈に応じて、ただ、モナチンの単一の異性体形態のみを含む組成物を意味することもできる。
本発明によるいくらかの具体例において、モナチン組成物を生成するためのプロセスが提供され、プロセスは、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、インドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「モナチン前駆体」または「MP」)を生成し、次いでMPからモナチンを生成することを含む。インドール−3−ピルビン酸を生成するためのL−トリプトファンの反応は、R−MP、R,Rモナチン、またはその双方よりも、基質としてのL−トリプトファンに対して、より高い特異性、より高い活性、またはその双方を有する酵素によって促進される。ある種の具体例によれば、インドール−3−ピルビン酸の反応は、R−特異的アルドラーゼ活性を有する酵素によって促進され、結果的にR−MPを生成する。ある種の具体例によれば、L−トリプトファンアミノ基転移反応の副生成物として形成される(またはトリプトファン反応の副生成物であるもう1つのアミノ酸から形成される)アミノ酸の、ある異性体形態から他の異性体形態へのエピマー化を促進できるラセマーゼ酵素が提供される。
本発明によるいくらかの具体例において、モナチン組成物を生成するプロセスが提供され、プロセスは、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、インドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「モナチン前駆体」または「MP」)を生成し、次いでMPからモナチンを生成することを含む。インドール−3−ピルビン酸を生成するためのL−トリプトファンの反応は、R−MP、R,Rモナチン、またはその双方よりも、基質としてのL−トリプトファンに対して、より高い特異性、より高い活性、またはその双方を有する酵素によって促進され、モナチンを形成するためのMPの反応は、R−MPに立体選択的である酵素によって促進される。
前項においてのごとき一連の反応が言及される場合、本発明は、各工程が明示的に行われることを必要としないことに注目されるべきであり、工程が暗黙的に行われてもよいということで十分である。換言すれば、例えば、モナチン組成物を生成するためのプロセスは、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、インドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「モナチン前駆体」または「MP」)を生成し、次いでMPからモナチンを生成することを含み、各反応は、適切な酵素によって促進され、酵素とL−トリプトファンを組み合わせて、列挙された反応が起こり得るように条件を設定することによって行うことができる。かかる場合には、L−トリプトファンを反応させてインドール−3−ピルビン酸を生成でき、L−トリプトファン反応から生成されたインドール−3−ピルビン酸を反応させて、MPを形成でき、次いで、インドール−3−ピルビン酸から生成されたMPを反応させて、モナチンを形成できる。プロセスはまた、一例として、L−トリプトファン生成が起こるのに適した条件下で、L−トリプトファンを生成できる化合物を供し、それらの反応が起こるのに適した条件下で、記載された一連の反応を促進できる酵素とその化合物を組み合わせることによって行うこともできる。他の例として、プロセスは、記載された経路によってモナチンを生成するように遺伝子操作された微生物を供し、発酵プロセスが起こるのに適した条件を提供することによって行うことができる。例えば、大量のL−トリプトファン(またはD−トリプトファン)を自然に生成する微生物は、モナチンへの経路における反応を促進するために用いる1つまたは複数の酵素を生成するまたは過剰生成するように遺伝子操作できる、また、微生物がそれによってモナチンを生成するのに適した条件を提供できる。
本発明による他の具体例において、モナチンを生成するためのプロセスが提供され、L−トリプトファンがインドール−3−ピルビン酸に変換される場合、α−ケト酸基質は、L−アミノ酸を形成し、インドール−3−ピルビン酸がMP(好ましくはR−MPのみをまたはR−MPを顕著に含むが、R−MPおよびS−MPの双方を含むことができる)を形成するように反応し、R−MPがR,Rモナチンに変換される場合、L−アミノ酸は、α−ケト酸基質を再生する(「再利用する」とも称される)ように反応する。R,Rモナチンを形成するためのR−MPの反応は、D−メチオニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.41)またはD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼに由来する酵素のごとき立体反転アミノトランスフェラーゼによって促進される。
本発明による他の具体例において、モナチン組成物を生成するプロセスが提供され、プロセスは、L−トリプトファンからD−トリプトファンを生成し、D−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、インドール−3−ピルビン酸からR−MPを生成し、次いでR−MPからR,Rモナチンを生成することを含む。L−トリプトファンからのD−トリプトファンの生成は、トリプトファンラセマーゼおよびその機能的等価物によって促進される。他の具体例において、インドール−3−ピルビン酸を形成するためのD−トリプトファンの反応およびモナチンを形成するためのMPの反応は、同一の酵素によって促進される。他の具体例において、インドール−3−ピルビン酸の反応は、R−特異的アルドラーゼ活性を有する酵素によって促進され、結果的にR−MPは形成され、インドール−3−ピルビン酸を形成するためのD−トリプトファンの反応およびR,Rモナチンを形成するためのR−MPの反応は、同一の酵素によって促進される。
本発明による他の具体例において、(a)トリプトファンラセマーゼを利用してL−トリプトファンからD−トリプトファンを生成し(ラセマーゼは、モナチンに対する制限された活性を有するかまたは活性を有していないであろう)、(b)D−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、(c)インドール−3−ピルビン酸からR−モナチン前駆体を生成し、次いで(d)R−モナチン前駆体からR,R−モナチンを生成することを含むまたは本質的にそれらからなるR,R−モナチンまたはその塩の製法が本明細書に開示される。
多数の具体例が開示されるが、本発明の他の具体例は、本明細書から当業者に明らかになってもよい。本明細書の説明から認識されるように、本発明は、本発明の精神および範囲から全く逸脱することなく、種々の態様において変形ができる。従って、図面および詳細な説明は、実質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。
図1は、本発明による、L−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するための酵素プロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、R−MPに対してよりも基質としてのL−トリプトファンに対するより高い特異性および/もしくは選択性を有する、L−トリプトファンの反応におけるL−アミノトランスフェラーゼ(例としてL−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびL−アラニンアミノトランスフェラーゼを含む)を用いることを含み、ならびに/または、プロセスは、基質としてのR,Rモナチンに対して制限された活性および/もしくは特異性を持つL−アミノ酸オキシダーゼを用いることを含む。図1に図示される特定の具体例において、L−アミノトランスフェラーゼまたはL−アミノ酸オキシダーゼは、L−トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に変換し、インドール−3−ピルビン酸は、R特異的アルドラーゼおよびピルビン酸と反応して、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)を生成し、R−MPは、D−アミノトランスフェラーゼまたはD−アミノ酸デヒドロゲナーゼによってR,Rモナチンに変換される。図1に示されるように、反応は、可逆的であるが、本発明の目的のために、反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図2は、本発明による、R,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、R−MPに立体選択性である、R−MPをモナチンに変換するための酵素を用いることを含む。図2に図示される特定の具体例において、トリプトファンは、可逆的反応でインドール−3−ピルビン酸に変換されることが示される。インドール−3−ピルビン酸は、非立体特異性アルドラーゼと反応して、可逆的にアルファ−ケト酸モナチン(R−MPおよびS−MPの双方)を形成することができる。R−MPは、立体選択性D−アミノトランスフェラーゼまたは立体選択性D−アミノ酸デヒドロゲナーゼによって可逆的にR,Rモナチンに変換される。立体選択性D−アミノトランスフェラーゼまたはD−アミノ酸デヒドロゲナーゼが利用される場合、非立体特異性アルドラーゼによって形成されるあらゆるS−MPは、インドール−3−ピルビン酸に変換し戻され得る。本発明の目的のために、可逆的であるとして示された反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図3は、本発明による、L−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、R,Rモナチンを形成する反応に対して共役する反応における基質としてのインドール−3−ピルビン酸を形成する反応に対して共役する反応において、トリプトファンラセマーゼを用いてL−トリプトファンをD−トリプトファンに変換することおよびD−アミノ酸生成物を用いることを含む。図3に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、可逆的反応でトリプトファンラセマーゼによってD−トリプトファンに変換される。D−トリプトファンは、アルファ−ケトグルタル酸(α−KG)および広域特異性D−アミノトランスフェラーゼと反応して、インドール−3−ピルビン酸およびD−グルタミン酸を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換され、R−MPは、広域特異性D−アミノトランスフェラーゼおよびD−グルタミン酸と反応して、R,Rモナチンおよびアルファ−ケトグルタル酸(α−KG)を形成する。図3に示されるように、反応のそれぞれは、可逆的であるが、本発明の目的のために、反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図4は、本発明による、L−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、L−トリプトファン反応と共役する反応において形成されたL−アミノ酸をD−アミノ酸に変換することを含み、このD−アミノ酸は、R−MPがR,Rモナチンに変換される反応のためのアミノ供与体として作用する。図4に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、L−アミノトランスフェラーゼおよびアルファ−ケトグルタル酸と反応して、インドール−3−ピルビン酸およびL−グルタミン酸を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換され、R−MPは、広域特異性D−アミノトランスフェラーゼおよびD−グルタミン酸と反応して、R,Rモナチンおよびアルファ−ケトグルタル酸を形成する。図4に示されるように、反応は、可逆的であるが、本発明の目的のために、反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図5は、本発明による、L−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、L−トリプトファン反応に対して共役する反応によって形成されたL−アミノ酸が、R−MPのR,Rモナチンへの反応に対して共役する反応のための基質として用いることができるように、立体反転酵素を用いて、R,RモナチンへのR−MPの変換を酵素的に促進することを含んでいる。図5に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、L−アミノトランスフェラーゼおよびオキサロ酢酸、ピルビン酸、またはアルファ−ケトグルタル酸(α−KG)と反応して、インドール−3−ピルビン酸およびL−アスパラギン酸(オキサロ酢酸が用いられる場合)、L−アラニン(ピルビン酸が用いられる場合)、またはL−グルタミン酸(α−KGが用いられる場合)を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換され、R−MPは、立体反転アミノトランスフェラーゼおよびL−アスパラギン酸、L−アラニン、またはL−グルタミン酸と反応して、R,Rモナチンおよびオキサロ酢酸(L−アスパラギン酸が用いられる場合)、ピルビン酸(L−アラニンが用いられる場合)、またはアルファ−ケトグルタル酸(α−KG、L−グルタミン酸が用いられる場合)を形成する。図5に示されるように、反応は、可逆的であるが、本発明の目的のために、反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図6は、本発明による、R,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、一連の変換反応を通して、インドール−3−ピルビン酸を形成する反応において生成されたL−アミノ酸を、R,Rモナチンを形成する反応においてR−MPとの反応物として用いられるD−アミノ酸に再利用することを含む。図6に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、L−アミノトランスフェラーゼおよびオキサロ酢酸と可逆的に反応して、インドール−3−ピルビン酸およびL−アスパラギン酸を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと可逆的に反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換され、R−MPは、D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アラニンと可逆的に反応して、R,Rモナチンおよびピルビン酸を形成する。L−アスパラギン酸は、アスパラギン酸4−デカルボキシラーゼを用いてL−アラニンおよびCOに変換される。L−アラニンは、アラニンラセマーゼを用いてD−アラニンに変換される。本発明の目的のために、可逆的であるとして示された反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図7は、本発明による、R,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、その反応のL−アミノ酸副生成物を他の生成物に変換することによって、L−トリプトファン反応を前に押し進めることを含む(すなわち、インドール−3−ピルビン酸の生成に向けて反応を駆動する)。この例では、L−アミノ酸L−アスパラギン酸副生成物は、デカルボキシラーゼを用いて不可逆反応においてL−アラニンに変換される。図7に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、L−アミノトランスフェラーゼとおよびアルファ−ケトグルタル酸(α−KG)またはオキサロ酢酸と可逆的に反応して、インドール−3−ピルビン酸、L−グルタミン酸(α−KGが用いられる場合)またはL−アスパラギン酸(オキサロ酢酸が用いられる場合)を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと可逆的に反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換される。R−MPは、D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アミノ酸と可逆的に反応して、R,Rモナチンおよびオキサロ酢酸、ピルビン酸、またはα−KGのいずれかを形成する。L−アミノトランスフェラーゼ反応の生成物であるL−グルタミン酸またはL−アスパラギン酸は、グルタミン酸デカルボキシラーゼまたはアスパラギン酸デカルボキシラーゼを用いて、4−アミノブタン酸およびCO(L−グルタミン酸が基質である場合)にまたはβ−アラニンおよびCO(L−アスパラギン酸が基質である場合)に変換される。本発明の目的のために、可逆的であるとして示された反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図8は、本発明による、R,Rモナチンを生成するための他のプロセスの例を示す流れ図である。この例では、プロセスは、一連の変換反応を通して、R−MP反応のアミノ酸反応物にL−トリプトファン反応のアミノ酸副生成物を再利用することを含む。図8に図示される特定の具体例において、L−トリプトファンは、L−アミノトランスフェラーゼとおよびアルファ−ケトグルタル酸(α−KG)と可逆的に反応して、インドール−3−ピルビン酸およびL−グルタミン酸を生成する。インドール−3−ピルビン酸は、ピルビン酸およびR特異的アルドラーゼと可逆的に反応し、R−アルファ−ケト酸モナチン(R−MP)に変換される。R−MPは、D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アラニンと可逆的に反応して、R,Rモナチンおよびピルビン酸を形成する。L−アラニンアミノトランスフェラーゼおよびピルビン酸を用いることにより、L−アミノトランスフェラーゼ反応の生成物であるL−グルタミン酸は、副生成物としてのL−アラニンと共にα−KGに可逆的に変換し戻される。アラニンラセマーゼは、L−アラニンを、第3の反応、(D−アミノトランスフェラーゼ反応で有用なD−アラニンに可逆的に変換する。本発明の目的のために、可逆的であるとして示された反応が逆方向に進行することは必要とされない。 図9(AおよびB)は、種々の公開されたバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(「DAAT」)のアミノ酸配列アラインメントを示す。下線を引いたアミノ酸は、相同領域を示す。5つのPCRプライマーを保存領域に基づいて設計した。PCRプライマーは以下の通りである:5’−GAAGACCGTGGTTATCAATTT−3’(配列番号65)(順方向プライマー、図9A中に示されるF1)、5’−GATGGTATTTACGAAGTAATC−3’(配列番号66)(順方向プライマー、図9A中に示されるF2)、5’−AGATTTAATATCACAACGTAAC−3’(配列番号67)(逆方向プライマー、図9A中に示されるR1)、5’−GCCAAGTAAAATTTAAGATTTA−3’(配列番号68)(逆方向プライマー、図9A中に示されるR2)、5’−ATTTGCTGGGTGCGTATAAAG−3’(配列番号69)(逆方向プライマー、図9B中に示されるR3)。BsphDAT遺伝子によってコードされたD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは配列番号205であり、B.ハロデュランスのD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは配列番号206であり、GsteDAT遺伝子によってコードされたD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは配列番号207であり、B.セレウス145のD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは配列番号208であり、BsubDATは配列番号209であり、B.リケニフォルミスのD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは配列番号210である。 図10(AおよびB)は、2つの新規なDAAT:ATCC4978(B.ロタンス、図10A;配列番号211)からのDAATおよびATCC7063(B.セロシティディス(B.serositidis)、図10B(配列番号212))からのDAATの、実施例18でクローニングしたB.スファエリクスDAAT(配列番号205および配列番号213)とのアミノ酸配列アラインメントを示す。非相同アミノ酸に下線を引く。 図11は、G.ステアロサーモフィルス由来のアラニンラセマーゼおよびその変異体(Y354A)と比較した、広域特異性アミノ酸ラセマーゼ(「BAR」)のトリプトファンラセミ化アッセイ結果を示す。比較したラセマーゼ調製物は、(#1)BAR−200μg(#2)BAR粗抽出物−50μL;(#3)BAR粗抽出物−10μL;(#4)BAR粗抽出物−5μL;(#5)Y354A−1000μg;(6)Y354A−200μg;(#7)野生型(WT)アラニンラセマーゼ−1000μg;(#8)野生型(WT)アラニンラセマーゼ−200μg;(9)酵素なしとした。
略語および用語
用語および方法の以下の説明は、本開示をより十分に記載し、かつ本開示の実施において当業者を誘導するために提供される。本明細書に用いた「含む(including)」は、「含む(comprising)」を意味する。用語「〜を含む」が用いるところはいかなるところでも、「〜を含むが、限定されない」と意味されることが、「限定されない」が明示的に述べられているまたはいないのいずれにせよ理解される。さらに、単数形「1つの(a)」または「1つの(an)」または「その(the)」は、文脈が明らかに指定しない限り、複数の言及を含む。例えば、「タンパク質を含む」についての言及は、1つまたは複数の上記のタンパク質を含み、「細胞を含む」についての言及は、1つまたは複数の細胞および当業者に知られている等価物についての言及を含む等とする。用語「約」は、いかなる測定においても起こる実験誤差の範囲を包含する。特に述べられていない限り、測定数はすべて、「約」という語が明確に用いられていなくとも、それらの前に「約」という語を有するとみなされる。
保存的置換:置換がポリペプチドの活性に対して影響をほとんどまたは全く及ぼさない、ポリペプチドにおける、あるアミノ酸の他のアミノ酸への置換。置換は、交換されたアミノ酸が構造上または機能的に類似するようであるかどうかとは無関係に保存的であると考えられる。例えば、理想的には、1つまたは複数の保存的置換を含むトリプトファンアミノトランスフェラーゼポリペプチドは、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ活性を保持する。ポリペプチドは、例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCRまたは当業者に知られている他の方法のごとき標準的手順を用いて、そのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を操作することによって、1つまたは複数の保存的置換を含有するように生成できる。
タンパク質における本来のアミノ酸の代わりに置換されてもよい、かつポリペプチドの活性に対してほとんどまたは全く影響を及ぼさない場合に保存的置換とみなされてもよいアミノ酸の非限定的な例は、serまたはthrで置換されたala;gln、his、またはlysで置換されたarg;glu、gln、lys、his、またはaspで置換されたasn;asn、glu、またはglnで置換されたasp;serまたはalaで置換されたcys;asn、glu、lys、his、asp、またはargで置換されたgln;asn、gln lys、またはaspで置換されたglu;proで置換されたgly;asn、lys、gln、arg、またはtyrで置換されたhis;leu、met、val、またはpheで置換されたile;ile、met、val、またはpheで置換されたleu;asn、glu、gln、his、またはargで置換されたlys;ile、leu、val、またはpheで置換されたmet;trp、tyr、met、ile、またはleuで置換されたphe;thr、またはalaで置換されたser;serまたはalaで置換されたthr;phe、またはtyrで置換されたtrp;his、phe、またはtrpで置換されたtyr;およびmet、ile、またはleuで置換されたvalを含む。
保存的置換についてのさらなる情報は、文献の中でも、Ben−Bassatら,J.Bacteriol.169:751−757,(1987)、O’Reganら,Gene 77:237−251,(1989)、Sahin−Tothら,Protein Sci.3:240−247,(1994)、Hochuliら,Bio/Technology 6:1321−1325,(1988)、国際公開第00/67796号(Curdら)にならびに遺伝学および分子生物学の標準的な教科書に見出すことができる。
由来する:本明細書および特許請求の範囲において、物質は、いずれかの1つまたは複数の以下のものが真である場合、生物または源に「由来する」:1)物質が、生物/源の中に存在する;2)物質が、天然の宿主から取り出される;または3)物質が、天然の宿主から取り出され、例えば、突然変異誘発によって進化する。
単離された:本明細書に用いた用語「単離された」は、その天然の宿主から取り出されたいずれかの物質を指し、物質は、どのような特定の純度を示す必要もない。例えば、「単離核酸」は、それが由来する生物の自然発生のゲノムの中で直接的に隣接する配列の双方(5’端の配列および3’端の配列)に直接的に隣接していない自然発生の核酸を指す。例えば、単離核酸は、自然発生ゲノムにおける組換えDNA分子の直接的に側面に位置して見つかる核酸配列の一方が除去されるまたはないという条件で、限定されないが、いずれかの長さの組換えDNA分子とすることができる。従って、単離核酸は、限定されないが、他の配列とは無関係に分離した分子(例えば、cDNAまたはPCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生成されたゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAおよびベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、もしくはヘルペスウイルス)の中にまたは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAの中に組み込まれた組換えDNAを含む。さらに、単離核酸は、ハイブリッド核酸配列または融合核酸配列の一部である組換えDNA分子を含むことができる。
核酸に関して本明細書に用いた用語「単離された」はまた、非自然発生核酸配列が、天然には見出されず、自然発生のゲノムの中に直接的に隣接する配列を有していないので、いずれかの非自然発生核酸も含む。例えば、操作された核酸のごとき非自然発生核酸は、単離核酸であると考えられる。操作された核酸は、一般の分子クローニングまたは化学的核酸合成技術を用いて作製できる。単離非自然発生核酸は、他の配列とは無関係とすることができ、ベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、もしくはヘルペスウイルス)、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAの中に組み込むことができる。さらに、非自然発生核酸は、ハイブリッド核酸配列または融合核酸配列の一部である核酸分子を含むことができる。
例えば、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー内の数百から数百万もの他の核酸分子中に存在する核酸またはゲノムDNA制限消化物を含有するゲルスライスは、単離核酸と考えられない。
断片:タンパク質またはポリペプチドまたは核酸に関して本明細書に用いられる「断片」は、それぞれ、タンパク質、ポリペプチド、または核酸の一部分である。断片は、断片が由来するより長いタンパク質、ポリペプチド、または核酸配列と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列または核酸配列を有することができる。より長いタンパク質、ポリペプチド、または核酸の3次元構造と比較して異なる3次元構造を有する断片もまた含まれる。この例は、有意により高い活性を有する成熟酵素を生成するために開裂によって改変することができる低活性プロタンパク質のごとき「プロ形態」分子である。タンパク質またはポリペプチドの断片は、タンパク質またはポリペプチドの酵素的に活性な部分とすることができる。
精製された:本明細書に用いた用語「精製された」は、混入物が、注目する試料から除去されたことを示す。用語「精製された」は、文脈によって他に示されない限り、絶対的な純度を必要としないが、相対的な用語としてむしろ意図される。従って、例えば、精製されたポリペプチドまたは核酸の調製物は、対象のポリペプチドもしくは核酸が、ポリペプチドもしくは核酸が生物内でその自然環境にあるよりも高濃度でまたは取り出された環境よりも高濃度であるものとすることができる。
立体反転アミノトランスフェラーゼ:「立体反転アミノトランスフェラーゼ」は、アミノ供与体として反対のキラル基質を用いながらキラルアミノ酸生成物(モナチンのごとき)を優先的にまたは選択的に生成できるポリペプチドである。例えば、立体反転アミノトランスフェラーゼは、R,Rモナチンを生成するために基質として優先的にまたは選択的にL−グルタミン酸を用いるD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(D−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼとも呼ばれる)であってもよい。立体反転アミノトランスフェラーゼの非限定的な例は、D−メチオニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.41)およびD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ活性またはD−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素を含む。
補完遺伝子:「補完遺伝子」は、発現した場合に、生物における突然変異を無効にする遺伝子である。例えば、生物が、細胞によるトリプトファンの合成に必要な遺伝子のうちの1つに無発現変異を有する場合、補完遺伝子は、発現した場合に、株が最少培地(すなわち、トリプトファンなし)上で成長するのを可能にする遺伝子となることができる。
立体選択性酵素:「立体選択性酵素」は、他の立体異性体に対する特異性および/または活性と比較して、ある立体異性体に対するより高い特異性および/またはより高い活性を有する酵素である。例えば、立体選択性酵素は、S−MPよりもR−MPに対するより高い特異性および/またはより高い活性を有する酵素である。好ましい具体例において、立体選択性酵素は、他の立体異性体と比較して、ある立体異性体に対して制限された活性を有する。「制限された」活性は、例えば、本明細書に提供される実験によって決定されるように、最小に認められるかまたは認められない活性を意味する。実施例6は、例えば、HEXAspCP9T/R122Gを、S,Sモナチンに対して制限された活性を持つ酵素として同定する。実施例8は、S.メリロティTatAを、S−MPに対して制限された活性を持つもう一つの酵素として同定する。実施例18では、B.ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼは、S−MPと比較して、R−MPに対するより高い選択性を有する結果、R,Rモナチンのより高い立体純度を生じた。また、実施例19は、ハイブリッドDATが、R−MPと比較して、S−MPに対して制限された活性を有することを示す。
同族体:本明細書に用いた用語「同族体」は、タンパク質または核酸が、標準的方法を用いて2つの配列を整列させた場合に、他のタンパク質または核酸の配列に対して、相対的に高度な配列同一性を呈することを示す。例えば、標準的方法を用いて2つの配列を整列させた場合に、R特異的アルドラーゼが、配列番号22のアルドラーゼに対して少なくとも約50%の配列同一性を含有するならば、R特異的アルドラーゼは、配列番号22のアルドラーゼの同族体である。
EC番号:酵素分類番号は、国際生化学分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)によって指定される。
モナチン誘導体:本明細書に用いた語句「モナチン誘導体」は、以下の構造を有する。
Figure 2015211679

式中、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、アミノ基、またはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、もしくはフッ素原子のごときハロゲン原子から選択される任意の置換基を表す。しかしながら、R、R、R、R、およびRは、同時にすべて水素とすることはできない。あるいは、RおよびRならびに/またはRおよびRは、それぞれ、C〜Cアルキレン基を共に形成してもよい。
置換トリプトファン:本明細書に用いた「置換トリプトファン」は、トリプトファンのインドール環の1つまたは複数の炭素原子が、上記に定義されるR、R、R、R、およびR置換基の1つまたは複数で独立して置換されることを意味する。しかしながら、R、R、R、R、およびRは、同時にすべて水素とすることはできない。一具体例において、置換トリプトファンは、インドール環上に最終モナチン誘導体と同じ置換基(複数可)を含有する。
モナチンのR,Rおよび他の立体異性体を生成する生合成経路
とりわけ国際公開第03/091396A2号(例えば、図1〜3および11〜13参照)に記載のように、モナチンは、生物学的変換(すなわち、基質から生成物への反応をポリペプチドで促進すること)を含む複数工程の経路によってトリプトファンから生成できる。記載した経路は、トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に生物学的に変換し、インドール−3−ピルビン酸を2−ヒドロキシ2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「MP」)に生物学的に変換し、MPをモナチンに生物学的に変換することを含む。モナチンを生成するために用いる本発明の生合成の経路は、1つまたは複数の下記に記載される工程、メカニズム、および/または経路を含んでいてもよいまたは本質的にそれからなってもよい。下記に記載される工程、メカニズム、および/または経路は、単に例示的であることが意図される。
モナチンまたはその塩を生成する1つの方法は、(a)L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、(b)インドール−3−ピルビン酸からモナチン前駆体を生成し、次いで(c)モナチン前駆体からモナチンを生成することを含む。
トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に変換するのに有用な酵素は、酵素分類(「EC」)2.6.1.27、1.4.1.19、1.4.99.1、2.6.1.28、1.4.3.2、1.4.3.3、2.6.1.5、2.6.1.−、2.6.1.1、2.6.1.21、および3.5.1.−のメンバーを含む。これらのクラスは、L−トリプトファンおよびα−KG(すなわち、α−ケトグルタル酸、2−オキソグルタル酸とも呼ばれる)をインドール−3−ピルビン酸およびL−グルタミン酸に変換するトリプトファンアミノトランスフェラーゼ、D−トリプトファンおよび2−オキソ酸をインドール−3−ピルビン酸およびアミノ酸に変換するD−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−トリプトファンおよびNAD(P)をインドール−3−ピルビン酸およびNHおよびNAD(P)Hに変換するトリプトファンデヒドロゲナーゼ、D−アミノ酸およびFADをインドール−3−ピルビン酸およびNHおよびFADHに変換するD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、L−トリプトファンおよびフェニルピルビン酸をインドール−3−ピルビン酸およびL−フェニルアラニンに変換するトリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ、L−アミノ酸およびHOおよびOを2−オキソ酸およびNHおよびHに変換するL−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸およびHOおよびOを2−オキソ酸およびNHおよびHに変換するD−アミノ酸オキシダーゼ、ならびにL−トリプトファンおよびHOおよびOをインドール−3−ピルビン酸およびNHおよびHに変換するトリプトファンオキシダーゼのごときポリペプチドを含む。これらのクラスは、さらに、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、D−アミノ酸(またはD−アラニン)アミノトランスフェラーゼ、および多数のアミノトランスフェラーゼ活性を有し、それらのうちのいくつかは、トリプトファンおよび2−オキソ酸をインドール−3−ピルビン酸およびアミノ酸に変換できる広域(多基質)アミノトランスフェラーゼを含有する。さらに、これらのクラスは、水の存在下で、トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸およびアンモニウムに変換できるフェニルアラニンデアミナーゼを含む。
インドール−3−ピルビン酸をMPに変換するのに有用な酵素は、酵素クラスEC4.1.3.−、4.1.3.16、4.1.3.17、および4.1.2.−のメンバーを含む。これらのクラスは、2つのカルボン酸基質の縮合を触媒するアルドラーゼのごとき炭素間合成酵素/リアーゼを含む。酵素クラスEC4.1.3.−は、求電子体としてオキソ酸基質(インドール−3−ピルビン酸のごとき)を利用する炭素間結合を形成するそれらの合成酵素/リアーゼであり、一方、EC4.1.2.−は、求電子体としてアルデヒド基質(ベンズアルデヒドのごとき)を利用する炭素間結合を形成する合成酵素/リアーゼである。例えば、KHGアルドラーゼ(EC4.1.3.16)およびProAアルドラーゼ(EC4.1.3.17)は、インドール−3−ピルビン酸およびピルビン酸をMPに変換することで知られている。ProAアルドラーゼは、本明細書で、コマモナス・テストステローニに由来する4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸アルドラーゼのみを同定すると考えることができるが、用語ProAアルドラーゼは、特記されない限りは、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ活性を有するいずれかのポリペプチドを意味するために用いる。Proアルドラーゼの適した例は、コマモナス・テストステローニProA(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))およびシノリゾビウム・メリロティProA(NCBI受入番号:CAC46344)またはコマモナス・テストステローニProA(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))および/もしくはシノリゾビウム・メリロティProA(NCBI受入番号:CAC46344)に対して相同性を示す酵素を含む。例えば、適した酵素は、コマモナス・テストステローニProA(配列番号2)および/またはシノリゾビウム・メリロティProA(NCBI受入番号:CAC46344)と少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、および/または99%のアミノ酸配列同一性を有していてもよい。MPは、さらに、アルドール縮合のごとき化学反応を用いて生成できる。
MPのモナチンへの変換に有用な酵素には、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(2.6.1.27)、トリプトファンデヒドロゲナーゼ(1.4.1.19)、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(1.4.99.1)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(1.4.1.2−4)、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(2.6.1.28)の酵素クラス(EC)のメンバー、またはより一般的には、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(2.6.1.5)、D−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、もしくはD−アラニン(2.6.1.21)アミノトランスフェラーゼなどのアミノトランスフェラーゼファミリー(2.6.1.−)のメンバーが含まれる(国際公開第03/091396A2号の図2を参照)。この反応は、化学反応を用いて行うこともできる。ケト酸(MP)のアミノ化は、アンモニアおよびシアノボロ水素化ナトリウムを用いた還元性アミノ化によって行う。国際公開第03/091396A2号の図11〜13は、MPをモナチンに変換するため、およびモナチンからインドール−3−ピルビン酸またはトリプトファンへの収率の増加を提供するために用いることができるさらなるポリペプチドを示す。
モナチン組成物の味プロフィールは、組成物中のモナチンの様々な立体異性体の相対量を制御することによって変更できる。本開示は、所望の割合のR,Rモナチンおよび/またはS,Rモナチンを有するモナチン組成物を生成するための経路および物質を提供する。
本明細書に例示される経路のごとき経路によって生成されるモナチン化合物のキラリティは、pHおよび生物学的変換に用いるポリペプチドの双方によって変えることができる。生合成経路を用いてモナチンが形成される場合、以下を考慮できる。生体触媒反応では、モナチン炭素−2(上記の化学構造を参照されたい)のキラリティは、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換する酵素によって決定される。多数の酵素(例えば、EC4.1.2.−、4.1.3.−からの)は、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換できる。従って、所望の異性体を形成する酵素を選ぶことができる。あるいは、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換する酵素のエナンチオ特異性は、進化分子工学の使用を通して改変できるまたは触媒抗体は、所望の反応を触媒するために操作できる。MPが生成される(酵素的にまたは化学的縮合によって)と、アミノ基は、立体特異的に追加され得る。炭素−4のRまたはS立体配置のいずれか(先の化学構造を参照されたい)は、D−またはL−芳香族酸アミノトランスフェラーゼが用いるかどうかに依存して生成できる。多くのアミノトランスフェラーゼはL−異性体に特異的であるが、しかし、特定の植物中にはD−トリプトファンアミノトランスフェラーゼが存在する(KohibaおよびMito、ビタミンBおよびカルボニル触媒作用の第8回国際シンポジウムの予稿集(Proceedings of the 8th International Symposium on Vitamin B and Carbonyl Catalysis)、大阪、日本1990)。さらに、D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21)、D−メチオニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.41)および(R)−3−アミノ−2−メチルプロパン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.61)、(S)−3−アミノ−2−メチルプロパン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.22)の双方、ならびにD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼが同定されている。特定のアミノトランスフェラーゼは、この反応の基質をC2炭素の特定の立体配置でしか許容しない場合がある。従って、MPへの変換が立体特異的でない場合でも、アミノトランスフェラーゼの適切な選択によって最終産物の立体化学を制御できる。反応は可逆的であるので、未反応のMP(望ましくない異性体)をその構成物に再利用して戻すことができ、MPのラセミ混合物を再度形成できる。
ここで図を参照して、以下に注目されたい。流れ図は、モナチンを生成するための経路の例を明らかにするが、図に示される経路および本発明の方法は、特記されない限りは、経路を実施するためのいずれかの特定の方法に限定されない。例えば、経路は、in vivo、in vitro、またはその組合せで実施してもよい。
さらに、本明細書に開示される1つまたは複数の経路を利用して本発明の方法を実施することに、同定された成分(例えば、反応物および酵素)のそれぞれが実施者によって明示的に提供されることを必要としない。むしろ、成分(または成分の源)および反応条件が、組成物(または宿主細胞)中に存在するまたはそうでない場合は、経路が可能性として進行できるよう利用可能であることで十分である。換言すれば、例えば、図が、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を生成し、インドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「モナチン前駆体」すなわち「MP」)を生成し、MPからモナチンを生成し、それぞれの反応が適切な酵素によって促進されることが含まれる、モナチン組成物を生成するプロセスを示す場合、その経路の実施には、L−トリプトファンをα−ケトグルタル酸および同定した反応を促進することを企図する酵素と、インドール−3−ピルビン酸またはMPを明確に提供することもなしに反応のそれぞれが起こるために適切な条件下で合わせることが含まれることが企図される。そのような場合、L−トリプトファンがα−ケトグルタル酸と反応してインドール−3−ピルビン酸を生成できる。条件および提供された酵素に依存して、L−トリプトファン反応から生成されたインドール−3−ピルビン酸は、MPを形成するように反応でき、次いで、条件および提供された酵素に依存して、インドール−3−ピルビン酸反応から生成されたMPは、モナチンを形成するように反応できる。
本明細書に開示される1つまたは複数の経路を利用する本発明の方法の実施は、上記の物質または酵素が、そうでない場合は、既に存在するもしくは利用可能であるまたは反応環境において既に存在するもしくは利用可能である物質から合成できる場合、実施者が、同定された出発物質または酵素を明示的に提供することを必要としないこともまた注目されたい。換言すれば、L−トリプトファンを出発物質として同定するいずれかの経路の実施には、L−トリプトファンを生成できる化合物を、L−トリプトファンの生成が起こる条件下で提供し、その化合物を一連の反応を促進できる酵素と、それらの反応が起こるために適切な条件下で合わせることが含まれることを企図する。別の例として、同定した経路の実施には、記載した経路に従ってモナチンを産生するように遺伝子操作した微生物を供し、発酵プロセスが起こるために適切な条件を提供することが含まれることを企図する。例えば、自然に大量のL−トリプトファンまたはD−トリプトファンを産生する微生物(米国特許第5728555号参照)を、モナチンへの経路中の反応を促進(触媒)するための酵素の1つまたは複数を産生または過剰産生するように遺伝子操作でき、それにより微生物がモナチンを産生するように適切な条件を提供できる。
ここで図1を参照すると、示された流れ図は、R,Rモナチンを含めたモナチン組成物を作製するための本発明に従ったプロセスを模式的に示す。図1に示すように、全体的な経路は、インドール−3−ピルビン酸を形成するトリプトファンの反応、MPを生成するインドール−3−ピルビン酸の反応、およびR,Rモナチンを含めたモナチンを生成するMPの反応を含む。
図1はさらに、モナチンのS,S、R,SおよびS,R体を犠牲にしてモナチンのR,R体の生成を増加するように設計した、この全体的な経路の特定の順列をさらに例示する。具体的には、図1は、L−トリプトファンの反応で利用するアミノトランスフェラーゼ酵素が、その反応に対して、MPと4Sモナチンとの反応と比較してより高い活性および/もしくは特異性を有する、またはオキシダーゼがL−トリプトファンに対して4Rモナチンよりも高い活性および/もしくは特異性を有し、インドール−3−ピルビン酸の反応を促進する酵素がR−特異的アルドラーゼであり、MPの反応を促進する酵素が広い特異性のD−酵素、好ましくはMPのR異性体でより効率的に作動するように進化した酵素である具体例を例示する。
図1はまた、R,Rモナチンの生成をより経済的にするように設計した特定の順列も例示する。例えば、図1では、D−トリプトファンまたはL−およびD−トリプトファンの組合せではなく、L−トリプトファンを出発物質として同定する。トリプトファンの特定の形態の選択はモナチン組成物中の最終的なモナチン化合物のキラリティに影響を与えないが(トリプトファン反応は、キラリティを有さないインドール−3−ピルビン酸を形成するので)、少なくともL−トリプトファンが現在D−トリプトファンよりも安価であり、より容易に入手可能であるので、L−トリプトファンを出発物質として利用することを好む場合がある。
ここで図1に示す第1の反応に注目して、トリプトファンがインドール−3−ピルビン酸に変換される際、α−ケトグルタル酸、オキサロ酢酸、および/またはピルビン酸のいずれかの1つまたは複数がトリプトファンと反応してアミノ酸(それぞれグルタミン酸、アスパラギン酸、およびアラニン)およびヘンドール−3−ピルビン酸を形成する。図1は、トリプトファン出発物質がL−トリプトファンであり、α−ケトグルタル酸、オキサロ酢酸、および/またはピルビン酸がアミノ酸のL−異性体を形成する(例えば、それぞれL−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、および/またはL−アラニン)具体例を示す。
図1に示すように、R,Rモナチンの生成を増強する手法は、L−トリプトファンとMPまたはモナチンよりもトリプトファンに対するより高い特異性、より高い活性、またはどちらもを有する酵素との反応を促進すること、およびMPとD−特異的酵素との反応を促進することを含む。国際公開第03/091396A2号に開示のように、特定の酵素が、インドール−3−ピルビン酸を生成するトリプトファンの反応、およびモナチンを生成するMPのアミノ化反応を促進できる。アミノ化工程においてL−アミノトランスフェラーゼを用いることにより、D−酵素の使用ではモナチンC−4位でDキラル中心が作製されることに対して、モナチンのC−4位でSキラル中心が作製される。従って、トリプトファン反応を促進するL−アミノトランスフェラーゼもMP反応中で活性がある場合には、存在するMPの形態に応じてR,SおよびS,Sモナチンを形成できる。さらに、特定の他の酵素、すなわちL−アミノ酸オキシダーゼは、トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸への反応を促進できるだけでなく、R,Rモナチンを分解する副活性も有し得る。いくらかの具体例によれば、この4R副活性を最小化するまたは排除する。モナチンの4S体に対するオキシダーゼの副活性は、それらを最終産物から低下または排除し、所望の最終組成物次第では望ましい場合がある。その結果、MPまたはモナチンと比較してトリプトファンに対するL−酵素の特異性および/または活性が高いほど、S,SおよびR,Sモナチンと比較してより大量のR,RおよびS,Rが生成される。
図1に例示した具体例に従ったトリプトファン反応の適切な酵素には、インドール−3−ピルビン酸を形成するL−トリプトファンの反応を促進でき、その反応に対して、モナチンの4S異性体を形成するR−MPの反応よりも高い特異性を有するL−アミノトランスフェラーゼ、インドール−3−ピルビン酸を形成するL−トリプトファンの反応を促進でき、その反応に対して、MPを形成するモナチンの4R異性体の反応と比較してより高い特異性および/または活性を有するL−アミノ酸オキシダーゼ、ならびに前述のいずれかのものの機能的な等価物が含まれる。より具体的には、適切な酵素の非限定的な例は、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(E.C.2.6.1.27)およびチロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.5)およびL−アミノ酸オキシダーゼ(EC1.4.3.2)、ならびにアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素に由来する変異体から選択できる。
実施例6は、それぞれインドール−3−ピルビン酸およびL−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、およびL−アラニンを形成する、L−トリプトファンとα−KG、オキサロ酢酸、ピルビン酸、またはその組合せとの反応の促進に有用な、特定の酵素、すなわち、Pro9からTyrへの置換およびArg122からGlyへの置換が含まれる変異体HEXaspCポリペプチドを同定する。「制限された」活性を有する別の特定の酵素は、TatA、すなわちエス・メリロチからのL−トリプトファンアミノトランスフェラーゼである。図1に示す経路の好ましい具体例に従ったトリプトファン反応に適した他の酵素には、以下の特徴を有するもの、すなわち、実施例6に記載のように、L−トリプトファンの1/10の割合もしくはそれ未満でMPをトランスアミノ化する酵素、または実施例9に記載のように、ラセマーゼと共に用いた場合に、90%を超えるモナチンの4R異性体を生成する酵素が含まれる。
MPからモナチンへの変換と比較してL−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸への変換に対する特異性が低い酵素の例には、HEXAspC(実施例6)、リーシュマニア・メジャーの広い特異性のアミノトランスフェラーゼ(国際公開第03/091396A2号)、ブタアミノトランスフェラーゼ(国際公開第03/091396A2号)およびロドバクター・スファロイデスのTatA(実施例9)が含まれる。しかし、これらの酵素は、例えば、突然変異誘発によって、トリプトファンと比較してR−MPおよび/またはR,Rモナチンに対して制限された活性を有するように進化させ得る。
ここで図1に同定した第2の反応に注目して、インドール−3−ピルビン酸からMPへの反応を促進する(または触媒する)酵素の選択は、生成されるR,Rモナチン対S,Rモナチンの相対量に影響を与える。一般的に、生成されるR−MP対S−MPの相対量が多いほど、生成されるR,Rモナチン対S,Rモナチンの相対量が多くなる(D−酵素がMPからモナチンへの反応を促進する場合)。この点に関して有用な酵素は、イー・コリKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号AAC74920.1)、バチルスKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号CAB14127.1)、またはコマモナス・テストステローニProAアルドラーゼ(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))のうちのいずれか1つによって促進された場合にインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸の反応によって生成されるよりも高いR−MP:S−MP比を生成するいずれかの酵素を含む。従って、優先的にR−MPを生成することが望まれる場合、S−MPと比較してより大量のR−MPを生成できる1つまたは複数の酵素を用いることができる。その唯一のモナチン成分としてモナチンのR,R形態を有するモナチン組成物が望まれる場合、S−MPに対立するものとしてR−MPを選択的に生成する酵素(「R特異的酵素」)が用いるべきである。実施例3に示されるように、S−MPに対立するものとしてR−MPを選択的に生成するために用いられてもよいR特異的酵素の例は、配列番号22のアルドラーゼ、配列番号104のアルドラーゼおよびシノリゾビウム・メリロティHMGアルドラーゼである。
図1は、R特異的アルドラーゼが、インドール−3−ピルビン酸とピルビン酸の反応を促進して、R−MPを形成する特定の具体例を明らかにする。しかしながら、R−MPを優先的に生成するインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸の反応のためのアルドラーゼならびにイー・コリKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号AAC74920.1)、バチルスKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号CAB14127.1)、またはコマモナス・テストステローニProAアルドラーゼ(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))のうちのいずれか1つによって生成されるよりも高いR−MP:S−MP比を生成するアルドラーゼの使用もまた企図される。さらに、インドール−3−ピルビン酸が、異なるC3源(例えば、セリンまたはシステイン)と反応して、R−MPを形成してもよく、従って、他の酵素(例えば、他のリアーゼまたは合成酵素)が上記の反応を促進してもよいこともまた企図される。ピルビン酸(オキサロ酢酸のごとき)に容易に変換される他の基質もまた用いられてもよい。実施例3は、配列番号22のアルドラーゼのごとき優先的にもしくは選択的にR−MPを生成する可能性があるまたはイー・コリKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号AAC74920.1)、バチルスKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号CAB14127.1)、もしくはコマモナス・テストステローニProAアルドラーゼ(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))のうちのいずれか1つによって促進された場合にインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸の反応によって生成されるよりも高いR−MP:S−MP比を生成する可能性があるアルドラーゼ酵素の源を提供する。実施例5は、さらに、上記の酵素を同定するためのスクリーニング法を提供する。優先的にもしくは選択的にR−MPを生成するまたはイー・コリKHGアルドラーゼ(GenbankNo.AAC74920.1)、バチルスKHGアルドラーゼ(Genbank受入番号CAB14127.1)、コマモナス・テストステローニProAアルドラーゼ(配列番号1(核酸配列)、配列番号2(アミノ酸配列))、配列番号22のアルドラーゼもしくは配列番号104のアルドラーゼのうちのいずれか1つよりも多くのR−MPを生成する酵素は、知られているまたは自然界に見つけられるアルドラーゼから進化させてもよいこともまた企図される。例えば、野生型酵素と比較して、所望の特徴を改善するために−基質に対する酵素の活性を増加させる等のために−酵素を進化させるための、当技術分野で知られているいずれかの技術を用いることができる。実施例4、5、6、7、9、10、および11は、酵素を進化させるためのいくつかの技術を提供する。
ここで、図1で明らかにされた経路の最後の工程に焦点を当てると、R,Rモナチンを形成するためのR−MPの反応は、広域特異性D−アミノトランスフェラーゼ、例えば、D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21、D−アミノ酸アミノトランスフェラーゼもしくはD−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとしても知られている)またはD−アミノ酸デヒドロゲナーゼによって促進されることが示される。上記に論じられるように、MPからモナチンへの変換は、モナチンのC−4炭素でキラル中心を作り出すアミノ化反応である。R−キラル形態がC−4位で望まれる場合、アミノ酸中で「R」キラル中心を生成する酵素を用いるべきである。非限定的な例示的な酵素は、次のものを含む:バチルス・ハロデュランスに由来するD−アラニンアミノトランスフェラーゼ(実施例18)を含むバチルスに由来するD−アラニンアミノトランスフェラーゼ(実施例15〜18)、改変された立体特異性を有する突然変異分岐鎖アミノトランスフェラーゼ(実施例7)、およびバチルスに由来する突然変異D−アミノトランスフェラーゼ(実施例6B)。
他の例示的な酵素は、ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼを含む。ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼは、2つの異なるアミノ酸アミノトランスフェラーゼからの構造要素を含有できる。次いで、ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼは、モナチンへのMPの変換における性能の改善のために(例えば、突然変異誘発または組換え操作を介して)さらに進化させることができる。上記のハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼの例は、実施例19に示される。実施例19に示されるハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼは、B.スファエリクスからのD−アミノトランスフェラーゼおよびG.ステアロテルモフィルスからのD−アミノトランスフェラーゼからの要素を含んだ。R,R−モナチンは、このD−アミノトランスフェラーゼを利用して生成された(実施例19)。
実施例2は、さらに、種々のD−アミノトランスフェラーゼを利用するR,Rモナチンの生成を示す。
いくらかの具体例によれば、D−アミノトランスフェラーゼは、インドール−3−ピルビン酸よりも、基質としてのR−MPに対する特異性、活性、またはその双方が高い。ある種の他の具体例において、D−アミノトランスフェラーゼは、基質としてのインドール−3−ピルビン酸に対する制限された活性を有する。例えば、実施例6に示されるように、上記の特徴を有する酵素は、既存の酵素から進化させてもよいまたは突然変異させてもよい。
さらに、いくらかの具体例において、R,Rモナチンを形成するためのR−MPの反応は、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼによって促進できる。実施例20は、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(D−AADH−101〜108、BioCatalytics社)を利用するR−MPからのR,Rモナチンの生成を示す。これらのD−アミノ酸デヒドロゲナーゼは、性能の改善のために(例えば、突然変異誘発または組換え操作を介して)さらに進化させてもよい。
図2は、R,Rモナチンの生成を標的とするためのもう一つの戦略を表す。図1の具体例において、R−MPを形成するためのインドール−3−ピルビン酸の反応中で用いるアルドラーゼは、形成されるR,R:S,Rの比に影響を及ぼすが、図2の具体例において、モナチンへのMPの変換を促進するD−酵素は、形成されたR,R:S,Rの比に影響を及ぼす。図2の具体例によれば、非立体特異性酵素は、MPへのインドール−3−ピルビン酸の変換を促進するために用いられてもよく、従って、S−MPおよびR−MPの双方を形成され得る。S,Rモナチンに対するR,Rモナチンの所望の比を得るために、D−酵素は、R−MPに対するS−MPに対しての適切な立体選択性で選ばれる(または進化させる)。その唯一のモナチン成分としてモナチンのR,R形態を有するモナチン組成物が望まれる場合、モナチンへのS−MPに対立するものとしてモナチンへのR−MPの反応を選択的に促進する酵素が好まれると考えられる。例えば、バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ(実施例18)ならびにバチルス・スファエリクスおよびゲオバチルス・ステアロテルモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)(実施例19)の双方からの構造要素を含有するハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼは、モナチンへのR−MPの反応を選択的に促進する酵素として利用されてもよい。
図3は、R,Rモナチンが豊富な組成物の生成のための他の代替経路を示す。図3の経路は、図1の経路の改変である。図3に示される経路では、インドール−3−ピルビン酸は、L−トリプトファンから、直接的にではなく間接的に生成される。より具体的に、L−トリプトファンは、D−トリプトファンに変換され、次いで、D−トリプトファンは、インドール−3−ピルビン酸に変換される。実施例4は、トリプトファンラセマーゼまたは広域特異性アミノ酸ラセマーゼを用いる、L−トリプトファンからのR,Rモナチンの生成を示す。
D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換は、トリプトファンラセマーゼまたはその機能的等価物によって促進できる。実施例4は、トリプトファンラセマーゼおよび広域特異性アミノ酸ラセマーゼの潜在的な源ならびに上記の酵素を同定するためのスクリーニング法を提供する。実施例4は、L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換することができるトリプトファンラセマーゼおよび広域特異性アミノ酸ラセマーゼの例を記載する。これらのトリプトファンラセマーゼは、(例えば突然変異誘発または組換え操作を介して)性能の改善のためにさらに進化させることができる。トリプトファンラセマーゼの活性を有するラセマーゼの例は、ジオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)から単離されたアラニンラセマーゼである。より具体的に、トリプトファンラセマーゼの活性を有するラセマーゼの例は、Y354A突然変異を有する、配列番号41に対応するアラニンラセマーゼのごとき配列番号41に由来するアラニンラセマーゼである。
トリプトファンラセマーゼの非限定的な例には、アミノ酸ラセマーゼ(EC5.1.1.−)の同族体または変異体、例えば、セリンラセマーゼが含まれ、同族体または変異体は、L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換できる。アミノ酸ラセマーゼが由来し得る源の非限定的な例には、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、ジオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、ジオバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、ペディオコッカス・ペントサウセス(Pediococcus pentosaceus)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、ラクトバチルス・ファーメンチ(Lactobacillus fermenti)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、アキフェックス・ピロフィラス(Aquifex pyrophilus)、ラクトバチルス、ストレプトコッカス(Lactobacilli, Streptococcus)、アナバエナsp.(Anabaena sp.)、シュードモナス・ストリアタ(Pseudomonas striata)、レンチナス・エドデス(Lentinus edodes)、スカファルカ・ブロウトニ、デスルフロコッカスsp.(Scapharca brouhtonii Desulfurococcus sp.)、サーモコッカスsp.(Thermococcus sp.)、およびシュードモナス・ストリアタ(Pseudomonas striata)などの微生物が含まれる。アミノ酸ラセマーゼが由来し得る源のさらなる非限定的な例には、カイコ、ラット脳、またはマウス脳が含まれる。これらのアミノ酸ラセマーゼは、D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換における性能の改善のために(例えば、突然変異誘発または組換え操作を介して)進化させてもよい。
適切なトリプトファンラセマーゼが由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、シュードモナス、例えば、シュードモナス・クロロラフィス(シュードモナス・アウレレオファシエンス)(ATCC15926)、およびブルクホルデリア・ピロシーナ(ATCC15958)などの微生物が含まれる。適切なトリプトファンラセマーゼが由来し得る潜在的な源のさらなる非限定的な例には、植物、例えば、ニコチアナ・タバカムなどのタバコ植物、トリチカム・アエスチバムなどのコムギ植物、ビート、トマト、およびスクレロチドン・イリシフォリウスが含まれる。
適した広域特異性アミノ酸ラセマーゼの非限定的な例は、配列番号120の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Y396C突然変異を有する、配列番号120に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号128の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号128に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号YP_204118のアラニンラセマーゼ、シュードモナス・タエトロレンス(Pseudomonas taetrolens)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、プチダ菌(シュードモナス・プチダ)(シュードモナス・ストリアタとしても知られている)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号116の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Genbank受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC4683からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダKT2440から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダNBRC12996から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC7966からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス株2150から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、蛍光菌(P.オレオボランス)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オーレオファシエンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダ12633から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.フルオレッセンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダSCRC−744から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.グラベオレンス(P.graveolens)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.ストリアタAKU083から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、アミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイ(Aeromonas jandei)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC14486からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号146の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号155の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ならびにその活性断片および相同体から選ばれる広域特異性アミノ酸ラセマーゼを含む。
適した広域特異性アミノ酸ラセマーゼの他の非限定的な例は、配列番号120の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Y396C突然変異を有する、配列番号120に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号128の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号128に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号YP_204118のアラニンラセマーゼ、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス・プチダ(シュードモナス・ストリアタとしても知られている)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号116の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Genbank受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC4683からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダKT2440から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダNBRC12996から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC7966からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス株2150から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オレオボランスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オーレオファシエンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダ12633から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.フルオレッセンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダSCRC−744から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.グラベオレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.ストリアタAKU083から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、アミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリアから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC14486からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号146の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号155の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、およびその活性断片から選ばれる1つまたは複数の広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対する少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む1つまたは複数の酵素を含む。いくつかの具体例において、配列同一性パーセントは、少なくとも95%である。
適した広域特異性アミノ酸ラセマーゼのさらに他の非限定的な例は、Genbank受入番号AB096176によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、Genbank受入番号AB096176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号119によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号127によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、CP 000020.1 GI:59478708の領域800842..802053によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NC_006840によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、KT2440 Bar DNAによってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがY396C突然変異を含むような置換を有する、配列番号119に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号127に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の部分遺伝子配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号154の部分遺伝子配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NZ_AALM01000002ヌクレオチド53173..54402によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがL383M突然変異を含むような置換を有する、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号193に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、およびその相同体を含む。
適した広域特異性アミノ酸ラセマーゼの他の非限定的な例は、Genbank受入番号AB096176によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、Genbank受入番号AB096176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号119によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号127によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、CP 000020.1 GI:59478708の領域800842..802053によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NC_006840によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、KT2440 Bar DNAによってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがY396C突然変異を含むような置換を有する、配列番号119に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号127に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の部分遺伝子配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号154の部分遺伝子配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NZ_AALM01000002ヌクレオチド53173..54402によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがL383M突然変異を含むような置換を有する、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号193に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、および配列番号176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼから選ばれる1つまたは複数の広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼを含む。いくつかの具体例において、上述の配列同一性パーセントは、少なくとも95%である。
いくつかの具体例において、ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼの活性を有する酵素、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼの活性を有する酵素、Genbank受入YP_204118のアラニンラセマーゼの活性を有する酵素、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、アミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリアから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、シュードモナス・プチダから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、アミノ酸ラセマーゼシュードモナス・プチダKT2440 BARに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC35994からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、配列番号120に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196の部分配列を含有する遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号146の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号155の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、および配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素ならびにその活性断片から選ばれる1つまたは複数の酵素を利用して、D−トリプトファンはL−トリプトファンから生成されるまたはL−トリプトファンはD−トリプトファンから生成される。
図3に示す経路は、R,Rモナチンが所望の生成物である場合でもインドール−3−ピルビン酸を生成する反応と生成物としてモナチンを生成する反応とで同一の酵素を用い得ることを含めた、特定の利点を有する。すなわち、図1に例示した経路では、L−アミノトランスフェラーゼ(または適切なL−酵素)がインドール−3−ピルビン酸を生成する反応を促進するが、D−アミノトランスフェラーゼがモナチンを生成する反応を促進する。対照的に、図3の経路では、インドール−3−ピルビン酸を生成する反応を促進する特定のD−アミノトランスフェラーゼが、モナチンを生成する反応も促進できる。その結果、図3に従った経路では、インドール−3−ピルビン酸を形成する反応とモナチンを形成する反応とで同一の酵素を用いる要求がある場合は、広い特異性のD−アミノトランスフェラーゼが好ましい場合がある。対照的に、図1、2、4、6、7、および8に従った経路では、R−MPと比較してインドール−3−ピルビン酸に対して制限された活性および/または特異性を有するD−アミノトランスフェラーゼを選択した場合は、モナチンの生成がより効率的であり得る。
図3に模式的に表した経路の別の利点は、ここでは、インドール−3−ピルビン酸を生成する反応に関連する反応のアミノ酸生成物を、モナチンを生成する反応に関連する反応において基質として用いることができることである。すなわち、図1に例示した経路では、L−トリプトファンが反応してインドール−3−ピルビン酸を生成し、同時にオキサロ酢酸、α−ケトグルタル酸および/またはピルビン酸が反応してL−アミノ酸を生成する。モナチンを形成するR−MPの反応がD−アミノ酸を基質として利用する反応に関連しているので、インドール−3−ピルビン酸を形成する反応のL−アミノ酸は、示した条件下では、R−MPの反応に関連する反応で用いるために再利用されない。対照的に、図3に例示した経路では、インドール−3−ピルビン酸を形成するD−トリプトファンの反応はD−アミノ酸生成物を形成する反応に関連しており、R−MPの反応に関連する反応で用いるためにD−アミノ酸を再利用できる。これにより、工程1で非理論量のアミノアクセプターを用いることが可能となり、工程3のアミノ供与体は工程1で生成される。本発明のいくつかの具体例において、D−アミノ酸はD−アラニンである。
図4および5は、図1に示した経路のさらなる改変を例示する。これらの改変は、L−トリプトファントランスアミノ化反応に関連する反応によって形成されたアミノ酸生成物を、MPからモナチンへの反応に関連する反応のアミノ酸反応物質で再利用することに向けられている。
図4を参照して、再利用は、L−アミノ酸からD−アミノ酸への変換およびその逆を促進できる酵素を提供することによって達成する。より具体的には、図4に示すように、L−トリプトファンが反応してインドール−3−ピルビン酸を形成する際にα−KGが反応してL−グルタミン酸を形成する場合に、L−グルタミン酸からD−グルタミン酸への変換およびその逆促進できる、グルタミン酸ラセマーゼ(EC5.1.1.3)または機能的な等価物を提供できる。そのような場合、インドール−3−ピルビン酸の生成と一緒に生成物として形成されたL−グルタミン酸は、D−グルタミン酸へのその変換によって部分的に除去され、L−グルタミン酸の変換から形成されたD−グルタミン酸は、MPからモナチンの反応に関連する反応の基質として利用可能となる。同様に、D−グルタミン酸の反応で形成されたα−KGは、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸の反応に関連する反応の基質として利用可能である。
グルタミン酸ラセマーゼが由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、ペディオコッカス・ペントサウセス、バチルス・プミルス、ラクトバチルス・ファーメンチ、ラクトバチルス・ブレビス、イー・コリ、アキフェックス・ピロフィラス、およびバチルス・サチリスが含まれる。より具体的には(かつ非限定的)、グルタミン酸ラセマーゼは、ペディオコッカス・ペンタオサシウスmurI遺伝子(Genbank受入番号L22789)などの核酸から発現させるか、またはラクトバチルス・ブレビス グルタミン酸ラセマーゼであり得る。
L−トリプトファンが反応してインドール−3−ピルビン酸を形成する際にオキサロ酢酸が反応してL−アスパラギン酸を形成する場合、L−アスパラギン酸をD−アスパラギン酸に変換するためにアスパラギン酸ラセマーゼ(EC5.1.1.13)または機能的な等価物を提供できる。そのような場合、インドール−3−ピルビン酸を生成する同一の反応で形成されたL−アスパラギン酸は、D−アスパラギン酸へのその変換によって部分的に除去され、D−アスパラギン酸は、MPからモナチンの反応に関連する反応の基質として利用可能となる。同様に、D−アスパラギン酸の反応で形成されたオキサロ酢酸は、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸の反応に関連する反応の基質として作用するために利用可能である。
アスパラギン酸ラセマーゼ活性を有する適切な酵素の非限定的な例には、ASPR−101(BioCatalytics,Inc.、129N.Hill Ave,Suite 103,Pasadena,CA 91106−1955)およびL−アスパラギン酸からD−アスパラギン酸への変換を促進できるアミノ酸ラセマーゼ(EC5.1.1.−)の同族体または変異体が含まれる。
アスパラギン酸ラセマーゼが由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、デスルフロコッカス、サーモコッカス、二枚貝軟体動物スカファルカ・ブロウトニ、アシネトバクター(Acinetobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アルカエグロブス(Archaeoglobus)、バチルス、ボルデテラ(Bordetella)、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、ブルクホルデリア(Burkholderia)、カンピロバクター(Campylobacter)、カンジダ(Candida)、コーロバクター(Caulobacter)、クロストリジウム(Clostridium)、デサルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)、デスルホタレア(Desulfotalea)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エルウィニア(Erwinia)、エシェリキア(Escherichia)、フェロプラズマ(Ferroplasma)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、マンハイミア(Mannheimia)、メディカゴ(Medicago)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、メタノコッカス(Methanococcus)、メタノサルシーナ(Methanosarcina)、オーシアノバチルス(Oceanobacillus)、オエノコッカス(Oenococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ポラリバクター(Polaribacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、ピロコッカス(Pyrococcus)、ラルソニア(Ralsonia)、シゲラ(Shigella)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、サルモネラ(Salmonella)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)、ビブリオ(Vibrio)、ウォリネラ(Wolinella)、キサントモナス(Xanthomonas)、キサントバクター(Xanthobacter)、エルシニア(Yersinia)およびザイモモナス(Zymomonas)が含まれる。
L−トリプトファンが反応してインドール−3−ピルビン酸を形成する際にピルビン酸が反応してL−アラニンを形成する場合、L−アラニンをD−アラニンに変換するためにアラニンラセマーゼまたは機能的な等価物を提供できる。そのような場合、インドール−3−ピルビン酸を生成する同一の反応で形成されたL−アラニンは、D−アラニンへのその変換によって除去され、L−アラニンの変換から形成されたD−アラニンは、MPからモナチンの反応に関連する反応の基質として作用するために利用可能となる。同様に、D−アラニンの反応で形成されたピルビン酸は、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸の反応に関連する反応の基質として作用するために利用可能である。
適切なアラニンラセマーゼの非限定的な例には、A8936(Sigma、PO Box14508,St.Louis,MO,63178)および実施例4に記載のゲオバチルス、ステアロテルモフィルスのアラニンラセマーゼが含まれる。
アラニンラセマーゼが由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、ブルセラ・アボルタス、ストレプトコッカス・ファカエリス、サルモネラ・チフィムリウム、エシェリキア・コリ、バチルス・サチリス、シュードモナス・アエルギノーザ、ビブリオ・コレラ、シゾサッカロミセス・ポンベ、バチルス・セレウスおよびレンチナス・エドデスが含まれる。
実施例9および12は、上記ラセマーゼの使用、所望のモナチン生成物の比の増加に対するその影響を例示し、ラセマーゼ酵素の潜在的な源を提供する。
図5を参照して、立体反転アミノトランスフェラーゼを用いてR−MPからモナチンへの反応を促進する。典型的には、R,Rモナチン(またはS,Rモナチン)を形成するR−MP(またはS−MP)の反応は、D−アミノ酸の反応と関連しているが、立体反転アミノトランスフェラーゼは、R,Rモナチン(またはS,Rモナチン)を形成するR−MP(またはS−MP)の関連する反応を、L−アミノ酸を用いて促進できる。このようにして、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ反応のL−アミノ酸生成物をMPからモナチンへのトランスアミノ化の基質として用いることができ、MPからモナチンの反応に関連する反応の生成物(すなわち、オキサロ酢酸、ピルビン酸、および/またはα−KG)を、L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸の反応に関連する反応の出発物質として用いることができる。使用し得る立体反転アミノトランスフェラーゼの非限定的な例には、D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.72、D−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼとしても知られる)、D−メチオニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.41、D−メト−アミノトランスフェラーゼおよびD−メチオニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼとしても知られる)に由来する変異体およびその同族体が含まれる。D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼの変異体が由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、シュードモナス・プチダLW−4およびシュードモナス・スツツゼリST−201などのシュードモナスが含まれる。D−メチオニンアミノトランスフェラーゼが由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、カリフラワーおよびピーナッツが含まれる。
実施例10および11は一緒に、立体反転酵素の潜在的な源、およびそのような酵素を作製する方法を提供する。これらの実施例はまた、そのような酵素を同定するためのスクリーニング方法も提供する。そのような酵素は、知られているまたは自然に見つかる立体反転酵素から進化させ得ることも企図される。非限定的な例として、立体反転アミノトランスフェラーゼは、D−アミノ酸アミノトランスフェラーゼの同族体もしくは変異体またはアミノ酸ラセマーゼ(EC5.1.1.−)の同族体もしくは変異体であり得る。
図6および7はまた、図1の経路の改変も例示する。図6および7に例示した経路は、不可逆反応でトリプトファン反応の副産物を除去し、一部の例ではMP反応の基質を提供することによって平衡反応を前に(すなわち、モナチン生成の方向に)推し進める方法を提供する。
図6を参照して、示した経路は、トリプトファン反応に関連する反応のL−アミノ酸生成物を、異なるL−アミノ酸およびCOに変換することによって除去し、その後、新しく形成されたL−アミノ酸をD−アミノ酸に変換することによって、MPの反応に関連する反応の基質を提供する。具体的には、L−トリプトファンは、オキサロ酢酸と一緒に反応してインドール−3−ピルビン酸およびL−アスパラギン酸を形成することが示されている。アスパラギン酸4−脱炭酸酵素(EC4.1.1.12)または機能的な等価物を用いてL−アスパラギン酸からL−アラニンおよび二酸化炭素への変換を促進し、アラニンラセマーゼ活性を有する酵素を用いてL−アラニンからD−アラニンへの変換を促進し、D−アラニンは、R−MPからモナチンへの変換のアミノドナーとして役割を果たすことができる。
図7を参照して、示した経路は、トリプトファン反応に関連する反応のL−アミノ酸生成物を除去するさらなる方法を例示する。図に示した具体例は、例えば、揮発性(二酸化炭素など)または非反応性の最終産物への自発的変換によって逆方向に反応できない副産物(または複数の副産物)を生成する。そのような手法の例には、α−KGがL−トリプトファンと一緒に反応してL−グルタミン酸を生成し、および所望の場合、L−グルタミン酸から4−アミノブタノエートへの変換(副産物として二酸化炭素)を促進できるグルタミン酸脱炭酸酵素(EC4.1.1.15)または機能的な等価物を提供できる具体例が含まれる。L−グルタミン酸 脱炭酸酵素が由来し得る潜在的な源の非限定的な例には、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、シー・ウェルチ、またはイー・コリが含まれる。
トリプトファン反応を前方に(モナチン生成の方向に)駆動するための上記のアプローチの他の例は、オキサロ酢酸が、L−トリプトファンを利用する反応中で補助基質として利用され、オキサロ酢酸が、L−アスパラギン酸に変換される反応を含む。所望の場合、アスパラギン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.11)または機能的等価物は、β−アラニンへのL−アスパラギン酸の変換(副生成物としての二酸化炭素と共に)を促進するために提供できる。
図8を参照して、示す経路は、トリプトファン反応に関連する反応のL−アミノ酸生成物を、MPの反応に関連する反応の基質に変換する、さらなる方法を例示する。具体的には、α−KGがL−トリプトファンと同一の反応で利用され、ここでα−KGがL−グルタミン酸を形成する場合、L−アラニンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素およびピルビン酸を提供でき、L−アラニンアミノトランスフェラーゼ酵素は、L−アラニンを形成するピルビン酸とL−グルタミン酸との反応を促進する。L−アラニンからD−アラニンへの変換を促進するために、アラニンラセマーゼまたは機能的な等価物も提供でき、D−アラニンは、モナチンおよびピルビン酸を形成するためにMPと共に基質として用いることができる。実施例12を参照されたい。
R,Rモナチンを含むモナチンまたはRモナチン前駆体を含むモナチン前駆体の生成のために生合成の経路において必要とされる1つまたは複数の化合物および/または酵素を含有する混合物が、上記の生合成の経路および下記の実施例に記載される反応において暗黙的に記載される。
in vitroでの生成については、本明細書に記載される生合成経路または本明細書に記載される経路の個々の工程のうちのいずれかまたはすべては、in vitro溶液もしくはin vivoで、宿主細胞中で、連続して、または並行して進めることができる。本発明の方法が、in vitroで行われる1つまたは複数の反応を利用する場合、in vitroで行われる生合成反応は、反応(複数可)のための所望の成分を水性反応媒体または溶液中での混合によって組み合わせることにより行うことができる。そのように形成された反応混合物は、所望の生成物(複数可)が合成されるのに十分な期間、維持される。
さらに、1つまたは複数の酵素の活性は、1つまたは複数の酵素の精製の間の補因子の継続的な使用を通して増強できる。例えば、B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼを精製する場合にピリドキサール−5’−リン酸を含むと、活性の増加がもたらされる(実施例14)。
本発明の経路における1つまたは複数の反応が、in vitroで行われることになる場合、本明細書に記載される生合成の経路において利用される酵素のうちのいずれかまたはすべては、所望により、固体担体上に固定化できる。上記の固体担体の例は、エポキシ、アルデヒド、キレーター、または第一級アミン基を含有するものを含む。適した固体担体の特定の例は、Eupergit(登録商標)C(Rohm and Haas社、フィラデルフィア、PA)樹脂ビーズおよびSEPABEADS(登録商標)EC−EP(Resindion社)を含むが、これらに限定されない。実施例21は、Eupergit(登録商標)C樹脂ビーズ上へのB.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼの固定化を示す。実施例22は、Eupergit(登録商標)C樹脂ビーズ上へのシノリゾビウム・メリロティProAアルドラーゼの固定化を示す。これらの固定化酵素を利用するR,Rモナチンの生成は、実施例23に示される。
本発明の経路における1つまたは複数の反応が、in vivoで行われることとなる場合、当業者は、種々の方法によって、R,Rモナチンを含む、微生物でのモナチンの生成をルーチン的に最適化してもよい。そのような微生物は、以下の非限定的な例の具体例の1つもしくは複数で他の微生物よりも自然に優れている微生物、または(そのような改変の前の微生物と比較して)
・tnaT遺伝子を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作する等、微生物によるトリプトファンの取り込みを増加させる、
・(i)L−アミノ酸の最小量のみを含有する培地中で微生物を成長させること、(ii)フェニルアラニンパーミアーゼタンパク質を改変すること、および/または(iii)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分を有するキメラタンパク質を作り出すこと等によって、微生物によるD−トリプトファンの取り込みを増加させる(Cosgriff AJ、Brasier G、Pi J、Dogovski C、Sarsero JP、Pittard AJ.「A study of AroP−PheP chimeric proteins and identification of a residue involved in tryptophan transport」、J Bacteriol.、182(8):2207〜17頁(2000年))、
・微生物によるインドール−3−ピルビン酸の分泌を阻止または低減する、
・微生物によるインドール−3−ピルビン酸の取り込みを増加させる、
・利用可能なインドール−3−ピルビン酸が微生物内で分解されるのを阻止または低減する、
・(i)デアシラーゼが欠乏していない微生物でtRNAtrpを過剰生成すること、(ii)適切なD−アミノ酸デアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作すること、(iii)tRNAtrpを発現または過剰発現するようにおよび適切なD−アミノ酸デアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作すること、(iv)遺伝子操作された微生物のバイオマスを生成し、次いでモナチンオペロンを誘導すること、(v)栄養素要求株を補完するためにフェニルアラニン、チロシン、およびイソロイシンに富むペプチドもしくはタンパク質を用いること、(vi)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作すること、(vii)D−トリプトファン以外のD−アミノ酸を用いないもしくはその使用を最小化すること、(viii)外部からの基質としてL−トリプトファンを提供し、L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換するラセマーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作すること、および/または(ix)D−トリプトファンの取り込みの阻害が起こる閾値未満のレベルでD−トリプトファンを提供すること等によって、D−トリプトファンの毒性を緩和する
ように改変された微生物とすることができる。
上記の具体例は下記により詳細に記載される。
各最適化方法の相対的な効果は、遺伝子操作された微生物によって生成されたモナチンの量を、適切なコントロール、例えば、遺伝子操作されていないおよび/または最適化方法にさらされていない微生物と比較することにより決定されてもよい。利用されることとなる適切なコントロールは、試験されている最適化方法から当業者にとって明らかとなるであろう。
上記に示されるように、微生物によって生成されるモナチンの量を増加させるための1つの方法は、微生物による、上記に記載されるモナチン生合成の経路で利用される基質のうちの1つであるトリプトファンの取り込みを増加させることである。微生物が取り込むトリプトファンの量が増加する可能性がある1つの方法は、ナトリウム依存性の神経伝達物質輸送体に相同であるまたはそのファミリーであるタンパク質をコードするtnaT遺伝子をモナチン生成株で発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することである。一具体例において、そのようなtnaT遺伝子は、シンビオバクテリウム・サーモフィラム(Symbiobacterium thermophilum)に由来する遺伝子である。理論によって拘束されることなく、イー・コリでのS.サーモフィラムtnaT遺伝子の発現は、細菌宿主に、培地からトリプトファンを蓄積するための能力および唯一の炭素源としてトリプトファンで成長するための能力を付与すると考えられている。したがって、tnaT遺伝子、例えばS.サーモフィラムからのtnaTを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、微生物を成長させている培地からのトリプトファン取り込みの増加をもたらすために用いられてもよい。細菌および古細菌で見つかった、S.サーモフィラムに由来するtnaT遺伝子の相同体もまた用いられてもよい。したがって、tnaT遺伝子、例えばS.サーモフィラムに由来するtnaT遺伝子またはその相同体を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、モナチン生合成の経路で利用されてもよい基質であるD−トリプトファンの取り込みを増加させることによって増加させてもよい。微生物が取り込むD−トリプトファンの量が増加する可能性がある1つの方法は、微生物の成長培地中に少量のL−アミノ酸をただ含むことである。理論によって拘束されることなく、成長培地中のL−アミノ酸の枯渇に際して、一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼ系は、成長培地からのD−トリプトファンの取り込みを媒介すると考えられている。したがって、少量のL−アミノ酸を有する成長培地中で微生物を成長させることは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、D−トリプトファンの取り込みを増加させるようにフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質を改変することによって増加させてもよい。微生物は、そのような改変フェニルアラニンパーミアーゼタンパク質を発現するまたは過剰発現してならびにTnaT輸送体を発現するまたは過剰発現して、次いでモナチンに変換される可能性がある、微生物の内部で利用可能なD−トリプトファンの量を増加させるように遺伝子操作されてもよい。したがって、改変フェニルアラニンパーミアーゼタンパク質を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分を有するキメラタンパク質を作り出すことによって増加させてもよい。一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質のキメラタンパク質はトリプトファンを輸送するのにより有効である可能性がある。したがって、一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質のキメラタンパク質を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を最大にするのを助けるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、微生物からのインドール−3−ピルビン酸の分泌を阻止または低減することによって増加させてもよい。インドール−3−ピルビン酸は上記に記載されるモナチン合成経路中の中間体である。微生物からのインドール−3−ピルビン酸の分泌が阻止または低減される可能性がある1つの方法は、インドール−3−ピルビン酸またはオーキシンのごとき関連化合物を輸送するための能力を有する輸送体の活性を微生物から排除することである。例えば、これらの輸送体は、モナチンを生成するために用いられる微生物で「ノックアウト」されてもよい。したがって、R,Rモナチンを含むモナチンは、微生物からインドール−3−ピルビン酸を輸送するための能力を有する輸送体が「ノックアウト」されている微生物で生成されてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、微生物によるインドール−3−ピルビン酸の取り込みを増加させることによって増加させてもよい。微生物によるインドール−3−ピルビン酸の取り込みが増加する可能性がある1つの方法は、微生物の中にインドール−3−ピルビン酸を輸送する輸送体の発現を増加させることである。活性化されてもよいまたは活性が増加されてもよい輸送体の例は、輸送体のアミノ酸/オーキシンファミリーおよびAUX1に対する相同性を呈するプロトン共輸送パーミアーゼを含むが、これらに限定されない。これらの輸送体はすべて、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)のごとき菌類に存在することが報告されている。Prusty,R.およびGrisafi,P.、Proc.Natl Acad.Sci.USA 101:4153〜4157頁(2004年)。さらに、他の微生物に由来する相同輸送体もまた利用されてもよい。したがって、微生物の中へのインドール−3−ピルビン酸の取り込みを増加させる輸送体を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、利用可能なインドール−3−ピルビン酸が微生物内で分解されるのを阻止または低減することによって増加させてもよい。インドール−3−ピルビン酸およびピルビン酸の間の反応の生成物である、高濃度のモナチン前駆体は、モナチンの生成に向けて平衡状態に移るであろう。インドール−3−ピルビン酸が微生物内で分解されるのを阻止または低減する可能性がある1つの方法は、ipdC遺伝子またはその相同体を「ノックアウトする」ことである。ipdC遺伝子またはその相同体はインドール−3−ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする。インドール−3−ピルビン酸デカルボキシラーゼは、インドール−3−ピルビン酸からカルボキシル基を除いて、インドール−3−アセトアルデヒドを産生する。インドール−3−アセトアルデヒドの存在は、さらなる分解反応のカスケードを開始する。インドール−3−ピルビン酸デカルボキシラーゼの生成を「ノックアウトする」ことによって、利用可能なインドール−3−ピルビン酸は分解されないはずである。より高濃度のインドール−3−ピルビン酸は、モナチンの生成に向けて平衡状態に移るはずである。したがって、ipdC遺伝子またはその相同体の発現または過剰発現が低減されるように微生物を遺伝子操作することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、インドール−3−アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを不活性化することによって増加させてもよい。インドール−3−アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼは、インドール−3−アセトアルデヒドの分解経路に関連する。インドール−3−アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを不活性化することによって、インドール−3−アセトアルデヒドの濃度は増加し、インドール−3−ピルビン酸の生成に向けて平衡状態に戻るはずである。その結果として、より高濃度のインドール−3−ピルビン酸は、モナチンの生成に向けて反応の平衡状態に移るはずである。したがって、インドール−3−アセトアルデヒドの発現が低減されるように微生物を遺伝子操作することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるのに有効である可能性がある。
いくつかの具体例において、R,Rモナチン生成を含むin vivoモナチン生成は、D−トリプトファンの毒性を緩和することならびに/または微生物によるD−トリプトファンの耐性および取り込みを増加させることによって増加させてもよい。上記に記載されるモナチンの生成のための生合成経路のうちのいくつかは、出発物質としてD−トリプトファンを利用するが、D−トリプトファンは微生物に対して有毒である可能性がある。したがって、毒性を緩和することならびに/または微生物によるD−トリプトファンの耐性および取り込みを増加させることは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性がある1つの方法は、tRNAtrp(つまりトリプトファンのためのtRNA)を過剰生成するように、デアシラーゼが欠乏していない微生物を遺伝子操作することである。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性がある他の方法は、チロシンまたはトリプトファンのD−アミノ酸デアシラーゼを含む適切なD−アミノ酸デアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することである。適切なD−アミノ酸デアシラーゼを発現または過剰発現することによって、tRNA類の再利用が起こり、tRNAtrpのごとき、D−アミノ酸で満たされたtRNAのプールの集積が回避されることが期待される。したがって、適切なD−アミノデアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるのに有効である可能性がある。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性があるさらに別の方法は、tRNAtrpを発現または過剰発現するようにおよびチロシンまたはトリプトファンのD−アミノ酸デアシラーゼを含む適切なD−アミノ酸デアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することである。したがって、tRNAtrpの発現または過剰発現と組み合わせて、適切なD−アミノデアシラーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性があるさらに別の方法は、遺伝子操作された微生物のバイオマスを生成し、次いでモナチンオペロンを誘導することである。次いで、モナチン生成のために誘発されたバイオマスは、L−アミノ酸が枯渇した新鮮培地に移されてもよい。L−アミノ酸を枯渇させた新鮮培地へのバイオマスの移動は、L−チロシンの阻害効果を緩和し、さらにD−トリプトファンの取り込みを促進するはずである。したがってバイオマスを生成し、低濃度のL−アミノ酸を有する培地にそれを移すことは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
栄養要求性株、特にチロシンおよびフェニルアラニンの栄養要求性株で、D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性がある他の方法は、栄養素要求株を補完するためのフェニルアラニン、チロシン、およびイソロイシンに富むペプチドもしくはタンパク質を用いることならびにD−トリプトファンのごときD−アミノ酸の輸送についての競合を緩和することである。したがって、フェニルアラニン、チロシン、およびイソロイシンに富むペプチドまたはタンパク質を含有する培地中で微生物を成長させることは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性があるさらに別の方法は、D−トリプトファンの取り込みを増加させるであろう一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼ(「aroP」)を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することである。aroP遺伝子の発現または過剰発現は、高コピー数プラスミド上にaroP遺伝子をクローニングすることによって増加させてもよい。aroP遺伝子およびモナチンオペロンは、D−トリプトファンを取り込み、次いで、D−トリプトファンをモナチンに変換することができる細胞を生成するために同時に誘発されてもよい。したがって、aroP遺伝子を発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することおよび同時にモナチンオペロンを誘導することは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性があるさらに別の方法は、D−トリプトファン以外のD−アミノ酸の使用を回避することである。したがって、D−トリプトファン以外のD−アミノ酸を含有していない培地中で微生物を成長させることは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性がある他のメカニズムは、D−トリプトファンではなく、外部基質としてL−トリプトファンを提供することである。次いで、ラセマーゼは、L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換するために用いられてもよい。L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換する、上記に記載されるラセマーゼのごときラセマーゼを発現または過剰発現するように微生物を遺伝子操作することは、微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
D−トリプトファンの毒性が緩和される可能性があるまたはD−トリプトファンの耐性および取り込みが増加する可能性があるさらに別のメカニズムは、D−トリプトファンの取り込みの阻害が起こる閾値未満のレベルでD−トリプトファンを提供することである。したがって、阻害量よりも低い量のD−トリプトファンを含有する培地中で微生物を成長させることは、遺伝子操作された微生物によって生成される、R,Rモナチンを含むモナチンの量を増加させるために用いられてもよい。
さらに、本明細書に記載される生合成経路は、甘い可能性が高いモナチン誘導体を産生するために置換トリプトファンを利用することができる。いくつかの具体例において、本明細書に記載される生合成経路で用いられることとなる置換トリプトファンは塩化トリプトファンおよび5−ヒドロキシトリプトファンを含む。
例えば、R,Rモナチンに対する構造類似性を有する塩化D−トリプトファンは、栄養がない甘味料(詳細には6−クロロ−D−トリプトファン)として同定された。同様に、モナチンのハロゲン化形態およびセドロキシ基置換形態は、甘いことがわかった。米国特許出願公開第2005/0118317号。ハロゲンおよび水酸基は、D−もしくはL−トリプトファン、インドール−3−ピルビン酸、MP、またはモナチンへの続く変換に干渉することなく、詳細には、トリプトファンのインドール中のベンゼン環の位1〜4で水素と置換可能となるはずである。置換インドールは、PLP−酵素に適した基質であることが文献に示され、置換トリプトファンを生成した。Fukuda,D.S.ら、「Production of Substituted L−Tryptophans by Fermentation」、Appl.Environ.Microbiol.、21:841〜43頁(1971年)。ハロゲンは、トリプトファンシンターゼベータサブユニット触媒メカニズムを立体的に妨害するようには考えられず、エナンチオ特異性もまた損なわれていなかった。
本明細書に記載される生合成経路において示される個々の反応は、単一の酵素または同時に作用する多数の酵素の混合物によって促進する(触媒する)ことができる。
本発明の方法は、所望の百分率のR,R−モナチンまたは最低限の所望の百分率のR,R−モナチンを含有するモナチン組成物を作製するために用いることができる。上記に記載される反応工程に加えて、特定の反応工程は、結果として生じた組成物または調製物が、例えば、最低限の所望の百分率のR,R−モナチンまたは最大限の所望の百分率のR,R−モナチンを含む所望の百分率のR,R−モナチンを含有するように、1つを超える酵素、例えば、酵素の混合物によって触媒できる。あるいは、本発明の方法による2つの別々の操作された経路によって作製されたモナチンは、上記の所望の百分率のR,R−モナチンを含有する組成物または調製物を生成するために組み合わせられる。
指定のクラスの酵素のうちの1つの酵素が例として利用される場合、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%の相同性を有する酵素を、その反応において利用できるということが予想される。例えば、配列番号22のアルドラーゼに対して少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%の相同性を有するR特異的アルドラーゼを、R,Rモナチンを産生するために、上記に記載される経路のうちのいずれかにおいて利用できる。R,Rモナチンを産生するために、上記の記載される経路のうちのいずれかで利用することができると考えられる酵素の他の非限定的な例は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%の相同性を、T243N突然変異を有する、ATCC4978に対応するD−アミノトランスフェラーゼに対して有するD−アミノトランスフェラーゼを含む。R,Rモナチンを産生するために、上記の記載される経路のうちのいずれかで利用することができると考えられる酵素の他の非限定的な例は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%の相同性を、配列番号120の広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対して有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼを含む。
さらに、指定のクラスの酵素のうちの1つの酵素が例として利用される場合、同一の活性を有するその酵素の断片を、その反応において利用できるということが予想される。例えば、アルドラーゼとして同様に機能する配列番号22のアルドラーゼの断片は、R,Rモナチンを生成するために、上記に記載される経路のうちのいずれかにおいて利用できる。
本明細書中に開示したポリペプチドまたは生合成経路の1つまたは複数を利用して生成したモナチンは、一般的に、生成されたモナチン全体の重量の少なくとも約0.5〜約30%のR,R−モナチンである。他の具体例において、本明細書中に開示したポリペプチドまたは生合成経路の1つまたは複数を利用して生成したモナチンは、生成されたモナチン全体の重量の30%を超えるR,R−モナチンである。例えば、R,R−モナチンは、生成されたモナチン全体の40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%である。あるいは、所望の割合のR,R−モナチンである調製物をもたらすために、様々な量のモナチンの2つ以上の調製物を合わせることができる。例えば、30%のR,R−モナチンであるモナチン調製物を90%のR,R−モナチンのモナチン調製物と合わせることができ、等量の30%および90%のR,R−モナチン調製物を合わせた場合は、生じるモナチン調製物は60%のR,R−モナチンとなる。
本明細書中に開示したポリペプチドまたは生合成経路の1つまたは複数を利用して生成したモナチン、または中間体(モナチン前駆体を含む)は、反応の構成要素から精製し得る。一具体例において、モナチン、またはモナチン前駆体などの中間体は、それが合成された酵素調製物から、精製する物質を単純に取り出すことによって精製し得る。
他の具体例において、中間体、モナチン前駆体、またはモナチンは、生じる「精製した」組成物または調製物が有機化合物全体の重量の少なくとも約5〜60%のモナチンであるように、それが合成された調製物から精製する。別の具体例において、モナチン、またはモナチン前駆体などの中間体は、有機化合物全体の重量の少なくとも約70%、80%、90%、95%または99%の純度まで精製し得る。本明細書中に開示したポリペプチドまたは生合成経路の1つまたは複数を利用して生成したモナチン、または中間体(モナチン前駆体を含む)は、反応の構成要素から、当業者に知られているいずれかの方法によって精製し得る。一具体例において、モナチンまたは中間体は、実施例13に記載のように精製されてもよい。最適には、精製したモナチンまたは中間体を所望の純度に達するまで繰り返し再結晶化し得る。
本明細書に引用される特許および刊行物はすべて、それらの全体が本明細書に参照によって完全に組み込まれる。
実施例
モナチン、モナチン前駆体、トリプトファン、アラニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸の検出
本実施例は、モナチン、モナチン前駆体(「MP」)、トリプトファン、アスパラギン酸、アラニン、およびグルタミン酸の存在を検出するために用いる方法を記載する。本実施例は、さらに、モナチンの4種の立体異性体の分離および検出のための方法を記載する。
モナチンおよびトリプトファンのLC/MS/MS多重反応モニタリング(「MRM」)分析
in vitroまたはin vivo生化学反応から誘導されたモナチンおよびトリプトファンについての、混合物の分析は、クロマトグラフおよびMicromass社製Quattro Ultima三連四重極質量分析計の間に直列で設置されたWaters社製996フォトダイオードアレイ(PDA)吸光度モニターと共にWaters社製2795液体クロマトグラフを含むWaters/Micromass社製液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)機器を用いて行った。LC分離は、40℃でXterra MS C逆相クロマトグラフィーカラム、2.1mm×250mmを用いて行った。LC移動相は、A)(i)0.05%(容量/容量)トリフルオロ酢酸または(ii)0.3%ギ酸および10mMギ酸アンモニウムのいずれかを含有する水ならびにB)(i)0.05%(容量/容量)トリフルオロ酢酸または(ii)0.3%ギ酸および10mMギ酸アンモニウムのいずれかを含有するメタノールからなるものとした。
LC移動相が、A)0.05%(容量/容量)トリフルオロ酢酸を含有する水およびB)0.05%(容量/容量)トリフルオロ酢酸を含有するメタノールからなるものとした場合、勾配溶出は、0〜4分間は5%Bから35%Bまで直線的であり、4〜6.5分間は35%Bから60%Bまで直線的であり、6.5〜7分間は60%Bから90%Bまで直線的であり、7〜11分間は90%Bの均一溶媒とし、11〜12分間は90%Bから95%Bまで直線的であり、12〜13分間は95%Bから5%Bまで直線的であり、実行の間の再平衡化期間は2分間とした。流速は、0.25mL/分とし、PDA吸光度は、200nmから400nmまでモニターした。ESI−MSのパラメータはすべて、注目する分析物のプロトン化分子イオン([M+H])の発生および特徴的なフラグメントイオンの生成に基づいて最適化し、かつ選択した。以下の機器パラメータは、モナチンおよびトリプトファンのLC/MS/MS多重反応モニタリング(MRM)分析のために用いた:キャピラリー:3.5kV;コーン:40V;Hex1:20V;開口部:0V;Hex2:0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:500L/時;コーンガス:50L/時;低質量分解能(Q1):12.0;高質量分解能(Q1):12.0;イオンエネルギー:0.2;入口:−5V;衝突エネルギー:8;出口:1V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):3.5;増倍管:650。モナチンに特異的な5つの、親から娘へのMRMトランジションは、in vitroおよびin vivo反応におけるモナチンを特に検出するために用いる。モニターするトランジションは、293.1から158.3、293.1から168.2、293.1から211.2、293.1から230.2、および293.1から257.2とする。トリプトファンは、MRMトランジション204.7から146.4でモニターする。モナチンおよびトリプトファンの内部標準物質による定量化のために、d5−トリプトファンおよびd5−モナチンに対する4つの異なる比の各分析物を含有する4つの検量標準物質を分析した。これらのデータは、モナチンおよびトリプトファンについての検量線を作成するために線形最小二乗法にかける。各試料に、定量のd5−トリプトファンおよびd5−モナチンを追加し(d5−モナチンは、国際公開第03/091396A2号からの方法に従ってd5−トリプトファンから合成した)、混合物中の各分析物の量を算出するために、上記に記載される検量線と共に、応答比(モナチン/d5−モナチン;トリプトファン/d5−トリプトファン)を用いる。
LC移動相が、A)0.3%ギ酸および10mMギ酸アンモニウムを含有する水ならびにB)0.3%ギ酸および10mMギ酸アンモニウムを含有するメタノールとした場合、勾配溶出は、0〜8.5分間は5%Bから45%Bまでの直線的なものとし、8.5〜9分間は45%Bから90%Bまでの直線的なものとし、9〜12.5分間は90%Bから90%Bまでの均一溶媒とし、12.5〜13分間は95%Bから5%Bまでの直線的なものとし、実行の間の再平衡化期間を4分間とした。流速は、0.27mL/分とし、PDA吸光度は、210nmから400nmまでモニターした。ESI−MSのパラメータはすべて、注目する分析物のプロトン化分子イオン([M+H])の発生および特徴的なフラグメントイオンの生成に基づいて最適化し、かつ選択した。この第2の移動相に用いた機器パラメータは上記と同じである。モナチンに特異的な4つの、親から娘へのMRMトランジションおよびトリプトファンに特異的な1つの、親から娘へのトランジションは、in vitroおよびin vivo反応におけるモナチンおよびトリプトファンを特に検出するために用いる。モニターしたトランジションは、293.1から158.0、293.1から168.0、293.1から211.5、および293.1から257.0である。トリプトファンは、MRMトランジション205.2から146.1でモニターする。モナチンおよびトリプトファンの内部標準物質による定量化のために、d5−トリプトファンおよびd5−モナチンに対する4つの異なる比の各分析物を含有する4つの検量標準物質を分析した。これらのデータは、モナチンおよびトリプトファンについての検量線を作成するために線形最小二乗分析にかける。各試料に、定量のd5−トリプトファンおよびd5−モナチンを追加し(d5−モナチンは、国際公開第03/091396A2号からの方法に従ってd5−トリプトファンから合成した)、混合物中の各分析物の量を算出するために、上記に記載される検量線と共に、応答比(モナチン/d5−モナチン;トリプトファン/d5−トリプトファン)を用いる。d5−トリプトファンおよびd5−モナチンについてモニターした親から娘への質量トランジションは、それぞれ、210.2から151.1および298.1から172.0である。
モナチンの正確な質量測定
高分解能MS分析は、Applied Biosystems−Perkin Elmer社製 Q−Starハイブリッド四重極/飛行時間型質量分析計を用いて行った。プロトン化モナチンの測定質量には、トリプトファンを内部質量検量標準物質として用いた。元素組成C1417に基づいた、プロトン化モナチンの算出質量は、293.1137である。実施例2および3に記載される生体触媒プロセスを用いて生成されるモナチンは、293.1144の測定質量を示した。これは、100万分の2(「ppm」)未満の質量測定誤差であり、酵素的に生成されたモナチンの元素組成の決定的証拠を提供する。
モナチンのキラルLC/MS/MS(「MRM」)測定
in vitroおよびin vivo反応におけるモナチンの立体異性体分布の決定は、1−フルオロ−2−4−ジニトロフェニル−5−L−アラニンアミド(「FDAA」)を用いた誘導体化に続けて、逆相LC/MS/MS MRM測定によって達成した。
FDAAを用いたモナチンの誘導体化
50μLの試料または標準物質および10μLの内部標準物質に、アセトン中FDAAの1%溶液を100μLまたは200μL追加した。それぞれ20μLまたは40μLの1.0M炭酸水素ナトリウムを追加し、混合物は、時々混合しながら40℃で1時間インキュベートした。試料は、取り出して、冷却し、20μLの2.0M HClを用いて中和した(緩衝生物学的混合物の中和をもたらすために、より多くのHClを必要としてもよい)。脱気完了後、試料は、LC/MS/MSによる分析の準備が整った。
in vitroおよびin vivo反応における、モナチンの立体異性体分布の決定のためのLC/MS/MS多重反応モニタリング
分析は、上記に記載されるLC/MS/MS計測装置を用いて行った。モナチン(特にFDAA−モナチン)の4種の立体異性体すべてを分離できるLC分離は、40℃で、Phenomenex社製Luna 2.0×250mm(3μm)C18(2)逆相クロマトグラフィーカラムで行った。LC移動相は、A)0.05%(質量/容量)酢酸アンモニウムを含有する水およびB)アセトニトリルからなるものとした。溶出は、0〜2分間は13%Bで均一溶媒とし、2〜15分間は13%Bから30%Bまで直線的であり、15〜16分間は30%Bから80%Bまで直線的であり、16〜21分間は80%Bで均一溶媒とし、21〜22分間は80%Bから13%Bまで直線的であり、実行の間の再平衡化期間は8分間とした。流速は、0.23mL/分とし、PDA吸光度は、200nmから400nmまでモニターした。ESI−MSのパラメータはすべて、FDAA−モナチンの脱プロトン化分子イオン([M−H])の発生および特徴的なフラグメントイオンの生成に基づいて最適化し、かつ選択した。
以下の機器パラメータは、陰イオンESI/MSモードにおける、モナチンのLC/MS分析のために用いた:キャピラリー:2.0kV;コーン:25V;Hex1:10V;開口部:0V;Hex2:0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:500L/時;コーンガス:50L/時;低質量分解能(Q1):12.0;高質量分解能(Q1):12.0;イオンエネルギー:0.2;入口:−5V;衝突エネルギー:20;出口:1V;低質量分解能(Q2):12;高質量分解能(Q2):12;イオンエネルギー(Q2):3.0;増倍管:650。FDAA−モナチンに特異的な3つの、親から娘へのトランジションは、in vitroおよびin vivo反応におけるFDAA−モナチンを特に検出するために用いる。モナチンについてモニターしたトランジションは、543.2から268.1、543.2から499.3、および543.2から525.3である。モニターしたモナチン内部標準物質誘導体質量トランジションは548.2から530.3であった。FDAA−モナチン立体異性体の同定は、精製合成モナチン立体異性体と比較したクロマトグラフィーの保持時間および質量スペクトルデータに基づく。内部標準物質は、反応の進行をモニターし、S,S立体異性体の保持時間を確定するために用いる。
グルタミン酸およびアラニンを含めたアミノ酸の液体クロマトグラフィーポストカラム蛍光検出
in vitroおよびin vivo反応におけるグルタミン酸およびアラニンの決定のためのポストカラム蛍光検出を有する液体クロマトグラフィー(LC/OPA)は、Waters社製474走査蛍光検出器およびWaters社製ポストカラム反応モジュールと組み合わせたWaters社製2690LCシステムまたはその等価物で行った。モナチンおよびトリプトファンの半定量分析もまたこの方法を用いて行った。LC分離は、60℃で、相互作用ナトリウム装填イオン交換カラムで行った。移動相Aは、Pickering社製Na 328緩衝液(Pickering Laboratories社;マウンテンビュー、CA)とした。移動相Bは、Pickering社製Na 740緩衝液とした。勾配溶出は、試料マトリックスに依存して、0〜20分間は0%Bから100%Bまでとし、20〜36分間は100%Bで均一溶媒とし、36〜37分間は100%Bから0%Bまで直線的であり、実行の間の再平衡化期間は少なくとも5分間とした。移動相の流速は、0.5mL/分とした。OPAポストカラム誘導体化溶液の流速は、0.5mL/分とした。蛍光検出器設定は、EX338〜340nmおよびEm420〜425nmとした。ノルロイシンを分析のための内部標準物質として使用した。アミノ酸の同定は、精製標準物質についてのクロマトグラフィーの保持時間データに基づくものとした。
LC/MS/MSによるL−アミノ酸およびD−アミノ酸の検出
生化学反応実験からのリシン、アラニン、メチオニン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン酸、およびアスパラギン酸のごときL−アミノ酸およびD−アミノ酸の混合物を含有する試料は、タンパク質を変性させるためにギ酸を用いて最初に処理した。次いで、試料は、LC/MS/MS分析前に遠心分離し、0.45μmナイロンシリンジフィルターで濾過した。L−アミノ酸およびD−アミノ酸の同定は保持時間および質量選択的検出に基づくものとした。LC分離は、Waters社製2690液体クロマトグラフィーシステムおよびASTEC社製2.1mm×250mm Chirobiotic TAGクロマトグラフィーカラムをカラム温度を45℃に設定して用いることによって達成した。LC移動相AおよびBは、それぞれ、0.25%酢酸およびメタノール中0.25%酢酸とした。均一溶媒溶出は、L異性体およびD異性体を分離するためのすべての方法に用いた。リシンは、80%移動相Aおよび20%Bを用いて溶出した。グルタミン酸、アラニン、およびメチオニンは、60%移動相Aおよび40%Bならびに0.25mL/分の流速で溶出して分離した。アスパラギン酸、トリプトファン、チロシン、ロイシン、およびフェニルアラニンは、すべてについて、30%移動相Aおよび70%Bで異性体を分離し、フェニルアラニン以外は0.3mL/分の流速、フェニルアラニンは0.25mL/分の流速で実行した。
L−アミノ酸およびD−アミノ酸の分析のための検出システムは、Waters社製996フォトダイオードアレイ(PDA)検知器およびMicromass社製Quattro Ultima三連四重極質量分析計を含んだ。195から350nmまでを走査するPDAは、クロマトグラフィーシステムおよび質量分析計の間に直列で設置した。正エレクトロスプレーイオン化モード(+ESI)で作動するMicromass社製Quattro Ultima三連四重極質量分析計のパラメータは、以下のように設定した:キャピラリー:3.0kV;コーン:20V;Hex1:15V;開口部:1V;Hex2:0V;ソース温度:100℃;脱溶媒温度:350℃;脱溶媒ガス:530L/時;コーンガス:30L/時;低質量Q1分解能:12.5;高質量Q1分解能:12.5;イオンエネルギー1:0.2;入口:−5;衝突:8;出口1:10;低質量Q2分解能:12.5;高質量Q2分解能:12.5;イオンエネルギー2:0.5;増倍管:650V。多重反応モニタリング(MRM)モードを用いたMS/MS実験は、グルタミン酸については147.8から84.2および147.8から102.1、アスパラギン酸については134.00から74.30および134.00から88.2、リシンについては147.3から85.0、メチオニンについては150.3から104.8、チロシンについては182.3から137.0、ロイシンについては132.3から87.0、およびフェニルアラニンについては166.3から121.0の反応トランジションを選択的にモニターするために設定した。2つのトランジションが記録された場合、後のトランジションを定量化に用いた。トリプトファンについては、多重反応モニタリング(MRM)モードを用いたMS/MS実験は、205.2から118.2、205.2から146.1、および205.2から188.2の反応トランジションならびにd8−DLトリプトファンについては、212.1から151.1のトランジションを選択的にモニターするために設定した。トリプトファン定量化は、内部標準物質d8−D,Lトリプトファンの分析物応答に対する、トランジション205.2から146.1の分析物応答の比を決定することにより達成した。あるいは、トリプトファン、グルタミン酸、およびアスパラギン酸の定量化は、m/z=146.5、m/z=102.1、およびm/z=88.2のシグナル応答にそれぞれ基づくものとした。
標準物質およびアッセイのためのモナチンおよびモナチン前駆体(「MP」)の生成
モナチンの生成
R,RモナチンおよびS,Sモナチンのラセミ混合物は、米国特許第5128482号に記載されるように合成して生成した。
R,RモナチンおよびS,Sモナチンは誘導体化および加水分解の工程によって分離した。簡潔に言えば、モナチンラセミ混合物をエステル化し、遊離アミノ基はCbzを用いてブロックして、ラクトンを形成し、S,Sラクトンは、固定化プロテアーゼ酵素を用いて選択的に加水分解した。モナチンはまた、Bassoli,A.ら,Eur.J.Org.Chem.,8:1652−1658,(2005)に記載されるよう分離することもできる。
MP生成
R−MPは、アミノ受容体としてピルビン酸ナトリウムを用いて、0.1Mリン酸カリウム緩衝液中のAT−103広範囲D−アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics社)を用い、R,Rモナチンのアミノ基転移によって生成した。S−MPは、アミノ受容体としてピルビン酸ナトリウムを用いて、0.1Mリン酸カリウム緩衝液中のAT−102L−アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics社)を用い、S,Sモナチンのアミノ基転移によって生成した。両反応は、約20時間、約8.0〜8.3のpHで30℃で行った。両化合物は、Rohm and Haas社製(フィラデルフィア、PA)疎水性樹脂(XAD(商標)1600)を用いた調整用スケールのHPLCを用いて、精製し、水中に溶出させた。90%を超える純度のモナチン前駆体を含有する試料を収集し、凍結乾燥した。
インドール−3−ピルビン酸からのモナチンの生成
AT−103トランスアミナーゼは、BioCatalytics社(パサデナ、CA)から購入したトランスアミナーゼライブラリーの一部であり、またこの酵素は、C.テストステローニからのProAアルドラーゼを用いる共役反応におけるモナチンの生成について試験した。アルドラーゼは、国際公開第03/091396A2号に記載のように調製した。AT−103は、アミノ酸供与体としてD−アミノ酸(D−グルタミン酸、D−アスパラギン酸、またはD−アラニンのごとき)を必要とするバチルス種からの広域特異性D−トランスアミナーゼ(EC2.6.1.21)である。酵素および付加的な成分/基質を、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、100mMアミノ供与体、および0.1mMピリドキサール−5’−リン酸(「PLP」)を含有したキット中に提供された反応緩衝液に直接的に追加した。1mLの反応緩衝液に、以下のものを追加した:4mgインドール−3−ピルビン酸、20mgピルビン酸、細胞抽出物中に提供される約50μg ProA、1μL 2M MgCl、および2mgアミノトランスフェラーゼ酵素(AT−103)。反応は二通り行った。反応は、緩やかに振盪させながら(100rpm)、30℃で一晩インキュベートした。試料は、実施例1に記載のように濾過し、逆相LC/MS/MS分析にかけた。結果は、約370μg/mLモナチンがAT−103酵素を用いて生成されたことを示した。結果は、クロマトグラフ分離の間に分離する2種の立体異性体プールのピーク面積に基づき、R,R/S,Sモナチンに対するS,R/R,Sモナチンの比を決定するためにさらに分析した。AT−103によって生成された全モナチンのうち、69%は、混合異性体と比較してR,R/S,Sモナチンであった。この酵素(AT−103)は、D−アミノ酸に対して広域特異性を有することで知られている、国際公開第03/091396A2号に記載されるバチルス・スブチリスDAT酵素に相同である。キラル分析を、実施例1に記載されるFDAA方法論を用いて行い、D−アミノトランスフェラーゼが、予想どおり、R,RモナチンおよびいくらかのS,Rモナチンを圧倒的に作製することを検証した。基質としてS,SモナチンまたはR,Rモナチンおよびα−ケトグルタル酸を用いたさらなるアミノ基転移実験は、予想どおり、BioCatalytics社製酵素が、炭素4のD−立体配置に高度に選択的であることを検証した。これらの実験では、グルタミン酸は、基質としてS,Sモナチンおよびケトグルタル酸を用いた反応において検出されなかった。
AT−103(広範囲D−トランスアミナーゼ)およびProAアルドラーゼを用いた共役反応における副生成物として生成されたS,SモナチンまたはR,Sモナチンの量を減少させるために、アルドラーゼは、メーカーのプロトコールに従って、His−Bindカートリッジを用いて精製した(Novagen社、マディソン、WI)。精製酵素は、好ましくは、細胞抽出物中に存在し得る野生型L−アミノトランスフェラーゼ活性(天然イー・コリのAspC活性またはTyrB活性のごとき)を含有しないはずである。His−Bind溶出液は、PD−10カラム(G25 Sephadex、Amersham−Pharmacia社)を用いて、イミダゾールを除去するために脱塩し、50mM Tris−Cl、pH7中に溶出した。実験は、1mLの容量で二通り実行し、100mM Tris−Cl緩衝液、pH7.8、50μg ProAアルドラーゼ、4mgインドール−3−ピルビン酸、1または2mg D−アミノトランスフェラーゼ、200mMピルビン酸ナトリウム、2mM MgCl、3mMリン酸カリウム、0.1mM PLP、および14.7mgのD−グルタミン酸を含有した。チューブは、緩やかに振盪させながら30℃でインキュベートした。2時間の時点のものを取り、−20℃で直ちに凍結させた。pHはNaOHを用いて5〜7および8の間に2時間の時点で調整し、アッセイは一晩インキュベートした。試料は、実施例1に記載のように、濾過し、モナチンについて分析した。2時間の試料は、おそらく低pHのために、検出可能な量のモナチンを有していなかった。一晩の試料は、1mgのD−アミノトランスフェラーゼを用いた場合に、約190ng/mLモナチンを含有し、約84%はR,Rモナチンであり、16%はS,Rモナチンであった。2mgのD−アミノトランスフェラーゼを用いた場合、540ng/mLモナチンが生成され、約71%はR,Rモナチンであった。
同様の実験を、100mMリン酸カリウムpH7.5、0.1mM PLP、および100mM D−グルタミン酸を含有したBioCatalytics社製Aminotransferase緩衝液を用いて進めた。固体インドール−3−ピルビン酸およびD−アミノトランスフェラーゼを上記のように追加した。ProAアルドラーゼ(50μg)、MgCl、および50mMピルビン酸をストック溶液から追加した。この場合pH調整は必要ではなかったが、アッセイは上記のように処理した。ネガティブコントロールは、BioCatalytics社供給の酵素および緩衝液だけを用いて行い、モナチンを含有していなかった。実験結果を表1に示す。
Figure 2015211679
リン酸緩衝液中での、モナチンの生成は、Tris緩衝系での生成よりもり明らかに高い。
国際公開第03/091396A2号からのクローニングしたB.スブチリスDATの活性をBioCatalytics社製酵素(AT−103)と比較するために、付加的なアッセイを行った。B.スブチリスdat遺伝子は、さらに、pET30a中にサブクローニングし、His−6タグを除去した。タグなしおよびタグ付き酵素は、国際公開第03/091396A2号に記載のように、BL21(DE3)中で生成した。細胞抽出物を作製し、全タンパク質アッセイを、先に記載のようにタンパク濃度を評価するために行った。以下のものを含有する二通りの1mLの反応を行った:500μg D−アミノトランスフェラーゼ、50μg ProAアルドラーゼ、100mMリン酸カリウムpH7.5、3mM MgCl、4mg インドール−3−ピルビン酸、200mMピルビン酸ナトリウム、7.35mg(50mM)D−グルタミン酸、および0.1mM PLP。試料は、1時間、2時間、および一晩、30℃でインキュベートし、LC/MS/MS分析のために濾過した。実施例1に記載されるFDAA誘導体化プロトコールによって決定されるように、試料は、モナチンのS,RおよびR,R立体異性体のみを含有した。結果を下記の表2に要約する。RR%は、逆相クロマトグラフィーによって分離されたピーク面積によって決定した。
Figure 2015211679
HIS−6タグの除去は、B.スブチリスD−アミノトランスフェラーゼの活性を改善したようである。しかしながら、BioCatalytics社製D−アミノトランスフェラーゼ相同体は明らかに最も高い活性を有した。それは、さらに、R−モナチン前駆体に対してより高い基質選好性を示した。インキュベーション期間の増加は、生成されるR,Rモナチンのエナンチオマー過剰率を低下させるようである。
バチルスD−アミノトランスフェラーゼ酵素が、アミノ受容体としてのピルビン酸およびアミノ供与体としてのD−アラニンに対する選好性を有するので、D−アラニンは、同様のまたはより優れた結果を伴う、モナチンへのMPの変換のためのアミノ供与体として利用できると予想された。以下のものを含有する二通りの1mLの反応を行った:500μg D−アミノトランスフェラーゼ、50μg精製ProAアルドラーゼ、100mMリン酸カリウムpH7.5、3mM MgCl、4mgインドール−3−ピルビン酸、100mMピルビン酸ナトリウム、25mM D−グルタミン酸またはD−アラニン、および0.1mM PLP。試料は、2時間インキュベートし、分析前に上記のように処理した。D−アラニンをアミノ供与体として用いた場合、わずかに高いレベルのモナチンが予想どおり生成された(21ppmに対して23ppm)。さらに、高濃度のピルビン酸は、アミノ基転移工程を阻害する可能性があり、従って、長い間にわたるより少量のピルビン酸の添加が、モナチン生成の全体の速度を改善する可能性があることが予想される。上記の表と比較して2分の1のピルビン酸がこの場合に使用されたにもかかわらず、著しくより多くのモナチンが生成されたことが上記のデータから理解できる。たとえ文献におけるProAアルドラーゼが、アルドール縮合生成物のS−エナンチオマーを主に生成することが報告されたとしても、本研究で用いるProAアルドラーゼは、高百分率のR−MPを明らかに作製し、共役アッセイにおいてR,Rモナチンを92%まで生成する。実施例19に示されたように、高百分率のR,Rモナチンは、D−アミノトランスフェラーゼ選択性によるものではない。
3A:D−トリプトファンからのR,Rモナチンの生成
以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:約60μg C.テストステローニProAアルドラーゼ(国際公開第03/091396A2号に記載のように細胞抽出物において供給)、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン、0.5mg BioCatalytics社製D−アミノトランスフェラーゼ(AT−103)、100mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5または100mM酢酸ナトリウム緩衝液pH8、0.05mM PLP、3mMリン酸カリウム(アセテート反応にのみ)、および10mM α−ケトグルタル酸。実験は、アルドラーゼを追加しないネガティブコントロールと共に二通り実行した。試料は、緩やかに振盪させながら、30℃で、一晩(20時間)インキュベートした。酢酸ナトリウム試料の実際のpHは約5とし、リン酸緩衝試料の最終pHは約7とした。アルドラーゼのどれも、pH5で著しい活性を有するようではなく、ProAアルドラーゼを含有する試料は、ネガティブコントロールをわずかに超えたが、おそらく実験誤差を超えなかった。リン酸カリウム中では、ProAアルドラーゼは、1.7:1のR,R:S,Rの比で73.4ppmのモナチンを生成した(D−トリプトファンから約63%R,R)。
バチルスD−アミノトランスフェラーゼ酵素が、アミノ受容体としてのピルビン酸およびアミノ供与体としてのD−アラニンに対する選好性を有するので、D−トリプトファンからR,RまたはS,Rモナチンを生成する場合、アルファ−ケトグルタル酸の追加は不必要であることが予想された。上記の実験は、精製ProAアルドラーゼ(50〜60μg)および2.5時間のインキュベーション期間を用いて、繰り返した(100mMリン酸カリウム緩衝液中で)。アルファ−ケトグルタル酸有りおよびなしで二通りの実験を実行した。10mMアルファ−ケトグルタル酸を追加した場合、56.1ppmモナチンが、基質としてのD−トリプトファンを用いて形成された(79.5%R,R、20.5%S,R)。アルファ−ケトグルタル酸を省略した場合、102.5ppmモナチンが形成された(79%R,R、21%S,R)。
シノリゾビウム・メリロティからのHMGアルドラーゼ、C.テストステローニからのHMGアルドラーゼ、および配列番号22のアルドラーゼについての全モナチン生成量および異性体分布の比較
AT−103トランスアミナーゼ(広域特異性D−アミノトランスフェラーゼ)をBioCatalytics社(パサデナ、CA)から購入し、この酵素または実施例18で生成したB.スファエリクス組換え酵素のいずれかを、HMGアルドラーゼとの共役反応に用いて、米国特許出願公開第2005282260号に記載のように、D−トリプトファンおよびピルビン酸からモナチンを生成した。
C.テストステローニ(ProA)およびS.メリロティからのHMGアルドラーゼは、米国出願公開第20040063175号および国際公開第03091396A2号に記載のように調製し、精製した。試験量の配列番号22のアルドラーゼを生成するために、50mL培養物は、アンピシリン(100μg/mL)を含有するLuria−Bertani(「LB」)培地中で約0.5のOD600まで成長させた。配列番号21の構築物を含有する株は、200μg/Lアンヒドロテトラサイクリンを用いて誘発した。細胞は、誘発後5時間成長させ、細胞抽出物は、メーカーのプロトコール(Novagen社、マディソン、WI、Bugbuster試薬)に従って調製した。ベンゾヌクレアーゼ(benzonuclease)およびプロテアーゼインヒビターもまた追加した。細胞抽出物中の可溶性タンパク質は、BioRad Laboratories社製Experion Automated Electrophoresis Stationで分離し、Experion Softwareバージョン1.1.98.0を用いて濃度および発現パーセントについて分析した。配列番号22のアルドラーゼは、粗(未精製)酵素として下記の反応のために用いた。
以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:約50μgアルドラーゼ、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン、0.5mg精製B.スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ、200mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。実験は、アルドラーゼを追加しないネガティブコントロールと共に二通り実行した。試料は、緩やかに振盪させながら、30℃で、1時間および一晩(18時間)インキュベートした。マグネシウムおよびリン酸によって触媒された非酵素反応により、少量のモナチン(<0.5ppm)が一晩の反応でアルドラーゼなしで生成された。それらの値は下記に示す数から差し引いた、また平均した結果を示す。これらの方法を用いて、モナチンが生成された場合に検出された唯一の立体異性体はR,RおよびS,Rである。R,Rパーセントを表3において下記に挙げる、またR,Rパーセントは逆相LCピーク面積によって決定した。
Figure 2015211679
配列番号22のアルドラーゼについての18時間試料は、さらに、実施例1に挙げられるFDAA誘導体化法によって立体異性体の分布について分析し、結果として94.9%R,Rモナチンおよび5.1%S,Rモナチンを産生した。配列番号22のアルドラーゼは、C.テストステローニおよびS.メリロティのHMGアルドラーゼと比較して、R−MPの生成についてより高いエナンチオ特異性を有する。
開始基質としてL−トリプトファンを用い、かつ米国特許出願公開第2005282260号に記載のように生成して、精製した広域特異性L−アミノトランスフェラーゼであるHexAspCとアルドラーゼを共役させて同実験を並行して行った。これらの反応は、S,SモナチンおよびR,Sモナチンを主に産生するはずである。反応に、L−トリプトファンアミノ基転移のためのアミノ受容体として10mMアルファ−ケトグルタル酸をさらに補足した。さらに、全モナチンについて、二通りの結果を下記に平均し(アルドラーゼが存在しないバックグラウンドレベルを差し引く)、S,Sモナチンパーセントを逆相LCピーク面積に基づいて示す。いくつかの場合では、アルドラーゼはかなりR特異的であり、また生成される全モナチンはわずかであるので、立体異性体の分布の逆相による評価は、S,S/R,Rモナチンピークと共溶出し得るトリプトファンピークのいくらかのテーリングのためにそれほど正確ではなくなってしまう。この傾向は、それでもなお、アルドラーゼのR−特異性の比較において有益である。FDAA誘導体化法を用いるさらなる分析からの結果を数種の試料について括弧中に下記表4に示すが、これらの結果はより正確である。約400ppmを超える全モナチン数は、結果を定量するために用いる標準物質の目盛りの直線範囲よりも高く、よって定性的な結果となる。米国特許出願公開第2005282260号に示されるように、C.テストステローニProAアルドラーゼは、通常、95〜100%のS,Sモナチンを生成する。
Figure 2015211679
配列番号22のアルドラーゼのR−特異性は、ベンチマークProA酵素と比較してかなり高いことを理解できる。このR−特異性はまた、これらの反応におけるS−MPに対するHexAspCアミノトランスフェラーゼの高度な特異性にもかかわらず、生成されたS,Sモナチン%が低いことにも反映されている。さらに、S.メリロティHMGアルドラーゼは、生成されたS,Sモナチンのレベルに基づいて、R−特異性の点から、C.テストステローニProAアルドラーゼおよび配列番号22のアルドラーゼの間にとどまる。全モナチン数は、R,Rモナチン生成量に対してS,Sモナチン生成量を比較する場合、アルドラーゼ活性を示すものではない。D−アミノトランスフェラーゼは、詳細にはこれらの反応におけるMPの濃度では、MPアミノ基転移反応のためのHexAspCほど活性ではない。
配列番号22のアルドラーゼのC.テストステローニからのProA酵素とのさらなる比較のために、アルドラーゼに対する様々な比のD−アミノトランスフェラーゼを、D−トリプトファンから開始させる反応で利用した(これらの実験について二通りの試料はない)。反応は、上記に記載のように行った。アルドラーゼ濃度を一定に保った反応については、約50μgアルドラーゼを用いた。D−アミノトランスフェラーゼの量を一定に保った反応については、0.5mgを用いた。2mg/mLおよび10mg/mLの濃度のD−アミノトランスフェラーゼについては、凍結乾燥した酵素を用いた。2つの最も高いD−アミノトランスフェラーゼ濃度については、二通り実行した。
Figure 2015211679
400ppmを超えるモナチンレベルについては、結果は標準曲線の直線範囲にはなく、近似値にすぎない。生成されたR,Rモナチンの最大量は、適切に希釈した場合、約1100ppmであった。10mg/mL D−アミノトランスフェラーゼ試料を用い、配列番号22のアルドラーゼについて、FDAA立体異性体の分析を行った。2時間で、試料は、98.5%R,Rモナチンを含有した。17時間で、試料は、95.9%R,Rモナチンを含有した。配列番号22のアルドラーゼは、長期のインキュベーション期間の後で、かつ大量のアミノトランスフェラーゼを用いたにもかかわらず高百分率のR,Rモナチンを生成した。十分なD−アミノトランスフェラーゼが供給された場合、配列番号22のアルドラーゼは、C.テストステローニProAアルドラーゼと同じくらいの全モナチンを生成し、同様の
特異的活性を示す。
Figure 2015211679
アルドラーゼ濃度を変動させても、全モナチンはあまり増加しない。R,Rパーセントは、詳細にはD−アミノトランスフェラーゼが制限されている場合、時間と共に、さらにはアルドラーゼ濃度と共に減少する。
試験したアルドラーゼのR−特異性をさらに調査するために、実験は、L−トリプトファンおよび米国特許出願公開第2005282260号に記載のように生成し、精製したHexAspCアミノトランスフェラーゼで開始して行った。HexAspCは、R−MPに対してS−MPのアミノ基転移に強い選択性を示し、従って、50%を超えるR,Sモナチン百分率により、アルドラーゼが非常に立体特異的であることを示す。10mMアルファ−ケトグルタル酸をアミノ受容体として供給した。しかしながら、高濃度では、ピルビン酸もまたL−アミノトランスフェラーゼによって利用される。これらの反応では、通常、S,SモナチンおよびR,SモナチンのみがFDAA誘導体化プロトコールの検出限界内で生成される。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
配列番号22のごとき高度にR特異的なアルドラーゼについては、生成される全モナチンはより少なく、アルドラーゼの量を増加させると全モナチン(およびS,S%)が増加する。これらのアルドラーゼが生成する、用いるL−アミノトランスフェラーゼにとって好ましい基質であるS−MP基質はより少ない。ProAのごときそれほどR特異的ではない酵素については、アルドラーゼを増加させても全モナチン生成量またはS,Sモナチン%は著しく改善されない。追加するL−アミノトランスフェラーゼの量を増加させると、生成されるS,Sモナチンの百分率は減少する。
配列番号22のアルドラーゼの活性および特異性を、2つの緩衝系−上記の100mMリン酸カリウムおよび100mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(「MOPS」)(3mMリン酸カリウムを有する)においてさらに研究した。アッセイは、1mg/ml AT−103 D−アミノトランスフェラーゼおよび50mM D−トリプトファンを用いて上記のように行った。実験は、4.5時間、二通り実行した。配列番号22のアルドラーゼは、リン酸カリウム中で、116ppmモナチンおよび99.1%R,Rモナチンを生成した(FDAA誘導体化法)。MOPS中では、配列番号22のアルドラーゼは、75.5ppmモナチンを生成し、96.2%はR,Rモナチンであった。コントロールにおいてでさえ、配列番号22のアルドラーゼなしでMOPS中で生成されたモナチンのバックグラウンドレベルは、著しくより高く、R,Rパーセントは、MOPSでより低かった。D−アミノトランスフェラーゼ選択性および活性は、MOPSの存在によって影響される可能性がある。
配列番号21のサブクローニング
配列番号21のアルドラーゼ遺伝子は、Diversa社、サンディエゴ、カリフォルニアから得た。配列番号21は、アルドラーゼ遺伝子についてDiversa社によってスクリーニングされた環境ライブラリーの一部であった。しかしながら、配列番号21のアルドラーゼ遺伝子は、当業者に知られているいずれかの方法によって再構築されてもよい。例えば、配列番号21のアルドラーゼ遺伝子は、実施例10、18、および19に記載のように、アセンブリーPCR法を利用して再構築されてもよい。
以下のプライマーは、アルドラーゼ遺伝子(配列番号21)をPCR増幅するために用いた:5'-gaggagctcgagtcagacgtatttcagtcctttttc-3'(配列番号23)および5'-agaagacatatgatttatcagccggggac-3'(配列番号24)。結果として生じたPCR産物は、操作してプライマーにした部位で切断するためにXhoIおよびNdeIを用いて消化した。断片はゲル精製し(QIAquick(登録商標)Gel extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA))、XhoIおよびNdeIを用いて消化し、かつゲル精製したpET28b EMD Bioscience/Novagen社マディソン、WIとライゲーションした(T4 DNAリガーゼを使用)。ライゲーションしたものは、TOP10F’化学的コンピテント細胞(Invitrogen社、カールスバード、CA)中に形質転換した。平板上で成長するコロニーを挿入断片についてスクリーニングし、挿入断片を有する数個の単離物をDNA配列分析(Agencourt社、ビバリー、MA)にかけた。
配列番号22のアルドラーゼの精製
確認したアルドラーゼクローンは、BL21(DE3)またはBL21(DE3)pLysSコンピテント細胞(Novagen社、マディソン、WI)のいずれかに形質転換した。適切な抗生物質を用いて成長させた一晩培養物を、新鮮な培地中に希釈し(通常1:100)、37℃で通気しながらOD600〜0.6まで成長させた。次いで、培養物は、1mM イソプロピルチオガラクトシド(「IPTG」)を用いて誘発し、30℃(通気有り)に移し、インキュベーションを一晩継続した。細胞は、遠心分離によって採取した。細胞ペレットは、細胞溶解を助けるために、通常、1回の凍結解凍サイクルにかけた。細胞ペレットは、BugBusterおよびBenzonase(Novagen社、マディソン、WI)中で溶解させた(メーカーのプロトコールに従って)。細胞片は遠心分離によって除去した。粗タンパク質抽出物は、メーカーのプロトコールに従って調製したHisBindカラム(Novagen社、マディソン、WI)にかけた。カラムは洗浄し、タンパク質はメーカーのプロトコールに従って溶出した。精製タンパク質は、PD−10カラム(GE Healthcare社、ピスカタウェイ、NJ)を用いて脱塩した。交換に用いた緩衝液は、50mMリン酸カリウムpH7.5、100mM NaCl、4mM MgClとした。精製タンパク質は、Amicon社製遠心濃縮器(Millipore社、ビレリカ、MA)を用いて濃縮した。
3B:配列番号103のクローニングおよび配列番号104のアルドラーゼのアッセイ
配列番号104のアルドラーゼをコードする遺伝子(遺伝子のDNA配列は配列番号103として示される)を精製を考慮するためにN末端Hisタグを有するpET28b発現ベクター(EMD Biosciences/Novagen、Madison、WI)の中にサブクローニングした。
クローニングのために用いるプライマーを下記に示す。
5'-ATAAGACATATGCCTATCGTTGTTACGAAG-3'(Nde I制限部位)(配列番号105)および
5'-ATAAGAGGATCCTTATTCCTCGGGCAGCCGCTC-3'(BamH I制限部位)(配列番号106)。
配列番号103を含有するクローンを、Diversa Corporation、San Diego、CAから得て、PCRのための鋳型として用いた。しかしながら、配列番号103は、当業者に知られている他の方法によって再構築することができる。例えば、配列番号103は、実施例10、18、および19に記載されるように、アセンブリーPCR法を利用して再構築することができる。配列番号103は、PCRによって増幅し、適切な酵素(NdeIおよびBamHI)を用いて消化し、かつゲル精製した(QIAquick(登録商標)Gel extraction Kit(Qiagen、Valencia、CA))。消化物は、NdeIおよびBamHIを用いて消化し、かつゲル精製したpET28b(EMD Biosciences/Novagen Madison、WI)中にライゲーションした。ライゲーションしたものは、TOP10イー・コリ細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に形質転換した。コロニーからのミニプレップDNAは、アガロースゲル電気泳動を用いるサイズ比較によって挿入断片の存在について分析した。挿入断片を有する単離物をDNA配列分析(Agencourt、Beverly、MA)にかけた。
アルドラーゼの精製
確認したアルドラーゼクローンを、BL21(DE3)pLysSコンピテント細胞(Novagen Madison、WI)中に形質転換した。配列番号22のアルドラーゼもまた活性の比較のために同時に調製した。誘発は、50μg/mLカナマイシンを用いて30℃でTerrific Broth(TartoffおよびHobbs、Bethesda Research Laboratories Focus 9:12(1987年)中で一晩行った。適切な抗生物質を用いて成長させた一晩培養物を、新鮮な培地中に希釈し(通常1:100)、37℃で通気しながらOD600〜0.6まで成長させた。次いで、培養は、1mM IPTGを用いて誘発し、30℃(通気有り)に移し、インキュベーションを一晩継続した。細胞は、遠心分離によって採取した。細胞ペレットは、細胞溶解を助けるために、通常、1回の凍結解凍サイクルにかけた。細胞ペレットは、BugBusterおよびBenzonase Nuclease(EMD Biosciences/Novagen、Madison、WI)中で溶解させた(メーカーのプロトコールに従って)。細胞片は遠心分離によって除去した。粗タンパク質抽出物は、メーカーのプロトコールに従って調製した10mg容量HIS−Bindカラム(EMD Biosciences/Novagen、Madison、WI)にかけた。カラムは洗浄し、タンパク質はメーカーのプロトコールに従って溶出した。精製タンパク質は、PD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて脱塩し、4mM MgClおよび200mM NaClを含有する50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5中に溶出した。精製タンパク質は、Amicon遠心濃縮器(5000 MWカットオフ)(Millipore、Billerica、MA)を用いて濃縮させた。濃縮の後、配列番号104のアルドラーゼのうちのいくつかが沈殿したことに注目した。しかしながら、その沈殿は、酵素の活性のレベルに影響するようには考えられなかった。アッセイを行うまで、タンパク質は−80℃で保存した。タンパク質アッセイは、Pierce BCAキット(Rockford、IL)およびタンパク質標準物質としてウシ血清アルブミン(「BSA」)を用いるマイクロタイタープレートプロトコールを用いて行った。Experion Pro260電気泳動システム(Bio−Rad、Hercules、CA)は、精製試料中のアルドラーゼの百分率を算出するためにならびに可溶性細胞抽出物におけるおよび全タンパク質における発現レベルを評価するために用いた。
精製アルドラーゼの試験
精製アルドラーゼは、D−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するそれらの能力について試験した。アッセイは、アッセイ当たり同じ濃度の酵素(50μg/mL)を用いて、精製タンパク質を用いて、微量遠心チューブ中で二通り行った。2mg/mLのBiocatalytics AT−103をD−アミノトランスフェラーゼとして用いた。以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:アルドラーゼ、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン、D−アミノトランスフェラーゼ、200mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。試料は、振盪させながら30℃でインキュベートした。30分間、1時間、3時間、および一晩(19時間)の試料を測った。表9は、逆相ピーク面積によって決定されるように、各時点で生成された全モナチンの平均した結果および生成されたR,Rモナチン%を示す。実施例1に記載されるさらなるFDAA誘導体化LC/MS/MS分析を反応のうちのいくつかについて行った、また括弧中に示す。
Figure 2015211679
配列番号104のアルドラーゼは配列番号22のアルドラーゼよりも高い活性およびR,Rモナチンの生成についてのより高い立体特異性を有した。
配列番号104のアルドラーゼをコードする遺伝子のDNA配列を下記に示す。
atgcctatcg ttgttacgaa gatcgaccga cccagcgcgg cggacgtcga
aaggatcgcc gcctatggtg tcgcgacctt gcatgaagcg caaggacgaa
ccgggttgat ggcgtccaat atgcgcccaa tctatcgccc tgcgcacatt
gccgggcccg cggtgacctg ccttgtggcg cctggcgaca attggatgat
ccatgtcgcc gtcgaacagt gccagccggg agatgtcctg gtcgtggtac
cgaccagccc ctgcgaagac ggctatttcg gcgatctgct ggcgacctcg
ctgcggtcgc gcggggtcaa aggtctgatc atcgaggccg gcgtacgcga
tatcgcgaca ttgaccgaga tgaaattccc ggtctggtcc aaggcggtgt
tcgcgcaagg aacggtcaag gagaccatcg ccagcgtcaa tgtgcccctc
gtctgcgcgg gcgcccgcat cgtgccgggc gatctgatcg ttgccgacga
cgacggggtc gtcgtgattc caagacgttc cgttccggcg gtcctttcca
gcgccgaggc ccgcgaagag aaggaagccc gcaaccgcgc ccgcttcgaa
gctggcgagc tgggcctcga cgtctacaac atgcgccagc gcctggccga
caagggcttg cgctatgtcg agcggctgcc cgaggaatag(配列番号103)。
配列番号104のアルドラーゼのタンパク質配列は以下の通りである。
Met Pro Ile Val Val Thr Lys Ile Asp Arg Pro Ser Ala Ala Asp Val Glu Arg Ile Ala Ala Tyr Gly Val Ala Thr Leu His Glu Ala Gln Gly Arg Thr Gly Leu Met Ala Ser Asn Met Arg Pro Ile Tyr Arg Pro Ala His Ile Ala Gly Pro Ala Val Thr Cys Leu Val Ala Pro Gly Asp Asn Trp Met Ile His Val Ala Val Glu Gln Cys Gln Pro Gly Asp Val Leu Val Val Val Pro Thr Ser Pro Cys Glu Asp Gly Tyr Phe Gly Asp Leu Leu Ala Thr Ser Leu Arg Ser Arg Gly Val Lys Gly Leu Ile Ile Glu Ala Gly Val Arg Asp Ile Ala Thr Leu Thr Glu Met Lys Phe Pro Val Trp Ser Lys Ala Val Phe Ala Gln Gly Thr Val Lys Glu Thr Ile Ala Ser Val Asn Val Pro Leu Val Cys Ala Gly Ala Arg Ile Val Pro Gly Asp Leu Ile Val Ala Asp Asp Asp Gly Val Val Val Ile Pro Arg Arg Ser Val Pro Ala Val Leu Ser Ser Ala Glu Ala Arg Glu Glu Lys Glu Ala Arg Asn Arg Ala Arg Phe Glu Ala Gly Glu Leu Gly Leu Asp Val Tyr Asn Met Arg Gln Arg Leu Ala Asp Lys Gly Leu Arg Tyr Val Glu Arg Leu Pro Glu Glu(配列番号104)。
4A:(1)トリプトファンラセマーゼ
R,R−モナチンは、D−トリプトファンを出発物質として用いた場合に、D−アミノトランスフェラーゼおよびアルドラーゼを用いて生成した(実施例3)。それにもかかわらず、L−トリプトファンはいくつかの理由で好ましい出発物質となる可能性がある。例えば、L−トリプトファンは、D−トリプトファンよりも高価ではなく、容易に入手可能である可能性がある。本開示は、活性トリプトファンラセマーゼを得るための数種の方法を記載する。R,Rモナチンの収量は、R特異的アルドラーゼ、すなわち、R−MPを優先的にまたは選択的に生成するアルドラーゼを用いることより改善される。図1および2は、トリプトファンラセマーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ、およびR特異的アルドラーゼを用いて、L−トリプトファンから立体異性的に豊富なR,Rモナチンを生成するための方法を示す。
トリプトファンラセマーゼについて選択は、成長のために活性ラセマーゼを必要とする株を構築することによりもたらされた。トリプトファン栄養素要求株は、最少培地上で成長する場合、L−トリプトファン源を必要とする。D−トリプトファンの培地への補足は、D−トリプトファンをL−トリプトファンに変換するラセマーゼを選択するための1つの方法となる。D−トリプトファンを補足した最少培地上での成長についてトリプトファン栄養素要求株を試験した。株、Coli Genetic Stock CenterからのCAG18455およびCAG18579ならびにNRRL B−12264(さらにlipA、λDE3溶原化、そのプラスミドが抜かれている)は、D−トリプトファンを補足した場合、成長しなかったが、L−トリプトファンを補足した場合、成長した。イー・コリを宿主生物として用いてもよいが、酵母、他の細菌、または他の真核生物のごとき他の宿主生物もまた用いてもよい。トリプトファン栄養素要求株(特にNRRL B−12264(さらにlipA、λDE3溶原化、そのプラスミドが抜かれている))は、D−アミノトランスフェラーゼで形質転換した場合、D−トリプトファンで成長するであろう。これにより、細胞にD−トリプトファンを輸送するイー・コリの能力が確認される。
SalcherおよびLingensは、シュードモナス・オーレオファシエンス(ATCC15926)におけるトリプトファンラセマーゼの存在を記載した。Salcher,O.およびLingens,F.,J.Gen.Microbiol.121:465−471(1980)。トリプトファンラセマーゼはまた、タバコ、ビート、トマト、および小麦を含めた数種の植物においても記載されており、酵素は、浸透ストレスまたは乾燥の状態によって誘発されるようである。トリプトファンラセマーゼは、天然のモナチン生成経路においてスクレロキトン・イリキフォリウスで役割を果たす可能性がある。このラセマーゼ活性を単離するために、発現ライブラリーをATCC15926(またはトリプトファンラセマーゼ活性を有する他の生物)から構築し、ライブラリーをトリプトファン栄養素要求株に形質転換する。トリプトファン源としてD−トリプトファンを用いて成長するであろう株が選択される。D−トリプトファンに対して活性を有するラセマーゼを探すために知られているラセマーゼを用いて多くの株をスクリーニングするために、類似する方法もまた用いられる。D−トリプトファンに対する活性を有し得るラセマーゼの例は、アラニンラセマーゼ、セリンラセマーゼ、およびグルタミン酸ラセマーゼを含む。Yoshimura T.およびEsaki,N.,「Amino Acid Racemases:Functions and Mechanisms」,Journal of Bioscience and Bioengineering 96,103−109,(2003)。
アラニンラセマーゼはピリドキサール5’−リン酸(PLP)依存性であり、サルモネラ・チフィリウムからクローニングされた(dadB遺伝子)。アラニンラセマーゼの他の源は、エシェリキア・コリ、バチルス・スブチリス、シュードモナス・エルジノーサ、ビブリオ・コレレ、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびバチルス・セレウスである。担子菌類のキノコ、シイタケもまた活性の広いアラニンラセマーゼを含有する。
セリンラセマーゼもまたPLP依存性であり、真核生物(例えば、カイコ、ラット脳、マウス脳cDNA)におよび細菌(エンテロコッカス・ガリナラム(Enterococcus gallinarum))に発見されている。
グルタミン酸ラセマーゼは、PLP非依存性であり、ペディオコッカス・ペントサセウス、バチルス・プミルス、ラクトバチルス・ファーメンチ、ラクトバチルス・ブレビス、イー・コリ、アクイフェックス・ピロフィルス(Aquifex pyrophilus)、およびバチルス・スブチリスからクローニングされた。いくつかのグルタミン酸ラセマーゼは非常に特異的であり、結果的に、構造上類似するアミノ酸、アスパラギン酸、アスパラギン、およびグルタミンでさえ酵素に対する基質とならない可能性がある。
アスパラギン酸ラセマーゼもまた存在し、PLP非依存性である。アスパラギン酸ラセマーゼは、ラクトバチルス株、ストレプトコッカス株、ならびにデスルフロコッカス株およびサーモコッカス株のごときいくつかの古細菌に発見されている。二枚貝軟体動物アカガイもまたアスパラギン酸ラセマーゼを含有する。
文献に見い出される他のラセマーゼは、アナベナ種およびシュードモナス・ストリアタからのアミノ酸ラセマーゼ(EC5.1.1.10)、プロリンラセマーゼ、ならびに多機能フェニルアラニンラセマーゼを含む。関連するエピメラーゼまたはラセマーゼもまた試験されている。潜在的なラセマーゼは、それらがD−トリプトファンアミノトランスフェラーゼではないことを確かめるために試験される。潜在的なラセマーゼのスクリーニングは、配列分析および/または酵素アッセイによって行われる。トリプトファンラセマーゼの選択のためのこのスクリーニング法は、さらに、トリプトファンラセマーゼが記載された他の細菌または古細菌におよび発現を可能にする様式で構築された真核生物cDNAライブラリーに用いられる。
トリプトファンラセマーゼとして試験を通過する酵素は、実施例8に記載のように、モナチンに対する活性についてスクリーニングする。トリプトファンに非常に特異的で、モナチンに対してラセマーゼ活性をほとんどまたは全く有していない酵素を得ることが理想的である。
トリプトファンラセマーゼはまた、既存のラセマーゼ、トランスアミナーゼ、またはエピメラーゼから(突然変異誘発または組換え操作を介して)進化させてもよいおよび/または改善させてもよい。さらに、アラニンアミノトランスフェラーゼ(および他のアミノトランスフェラーゼ)の結晶構造が知られているので、これらは、合理的で構造に基づく突然変異誘発の基礎として用いてもよい。上記に記載されるプロセスは、トリプトファンラセマーゼ活性についての最初の選択としておよび改善された活性のスクリーニングとして用いられる。
(2)トリプトファンラセマーゼライブラリー
ライブラリーの構築:
バークホルデリア・ピロシナ(Burkholderia pyrrocina)(ATCC15958)およびシュードモナス・クロロラフィス(ATCC15926)をAmerican Type Culture Collection、P.O.Box1549、マナサス、VA、20108、USAから得た。それらは、ATCCによって推奨されるように成長させ、ゲノムDNAは、Mekalanos,J.J.,「Duplication and amplification of toxin genes in Vibrio cholerae」,Cell 35:253−263,(1983)に記載される方法に従って調製した。ゲノムDNAは、Sau3AI制限酵素を用いて部分的に消化した。1〜3Kbp断片を、Qiagen社製QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いてゲル精製した。精製DNAは、上記のようにBamHIを用いて消化し、かつ精製したpTrc99a(Amersham社、ピスカタウェイ、NJ)にライゲーションした。ライゲーションは、ベクターに対する挿入断片の3:1のモル比を用いて、一晩のインキュベーションにより室温で行った。ライゲーションライブラリーは、TOP10F’化学的コンピテント細胞(Invitrogen社、カールスバード、CA)中に形質転換し、100μg/mlアンピシリンを用いてLB培地上で平板培養した。形質転換平板培養物の一晩のインキュベーションの後、コロニーを平板からこすり取り、液体LB培地で洗浄した。適切なサイズの細胞ペレットを、Qiagen社製QIAquick(登録商標)ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いてミニプレップした。約30,000コロニーをプールし、ミニプレップした。
プールしたプラスミドは、(Coli Genetic Stock Centerからの)CAG18455(trpC83::Tn10、rph−1)またはCAG18579(trpC::Tn10kan、rph−1)中に形質転換した。両株は、トリプトファン栄養素要求株であり、従って、培地にトリプトファンを補足しない限り、それらはM9最少培地(Difco社)上で成長しないであろう。形質転換体は、D−トリプトファンを補足したM9最少培地上で平板培養した。これにより、D−トリプトファンをL−トリプトファンに変換できる株を選択する。
ライブラリーの形質転換前に、株は、LまたはD−トリプトファンを有する最少培地上での成長について試験した。D−トリプトファンを補足した最少培地上での成長について株を試験すると、成長は観察されなかった。両株は、D−トリプトファンの代わりにL−トリプトファンを補足した同一の培地上で成長した。さらに、NRRL B−12264の誘導体(用いる株は、トリプトファンオペロンプラスミドが抜かれ、λDE3で溶原化され、他の染色体にコードされた突然変異(serB、ΔtrpED、tnaA2、aroP)に加えてlipAが欠失していた))をバチルス・スブチリスからのD特異的アミノトランスフェラーゼを用いて形質転換した(国際公開第03/091396号)。NRRL B−12264株は、D−トリプトファンを補足した最少培地上で成長できなかったが、D−トリプトファンの代わりにL−トリプトファンを補足した同一の培地上で成長した。D−アミノトランスフェラーゼの発現はT7プロモーターによって駆動された。形質転換株は、D−トリプトファンを補足したM9最少培地上で成長できた。
D−トリプトファン培地上で成長したコロニーをスクリーニングする。プラスミドは、D−トリプトファン培地上での成長が、宿主突然変異ではなくプラスミドに依存性であることを確認するために、単離し、親株(CAG18455またはCAG18579)に再形質転換する。トリプトファン栄養要求性を補完するプラスミドのヌクレオチド配列を分析する。トリプトファンラセマーゼ遺伝子を含有すると決定されたクローンをさらに分析する。
他の組織源からのトリプトファンラセマーゼを類似する様式で単離する。タバコ組織培養細胞(タバコ L.品種Wisconsin 38)(Miura,G.A.およびMills,S.E.,「The conversion of D−tryptophan to L−tryptophan in cell cultures of tobacco」,Plant Physiol.47:483−487,(1974))ならびに小麦(コムギ)の粗タンパク質抽出物(Rekoslavskaya,N.I.ら,「Synthesis and physiological function of D−tryptophan during wheat germination」,Russian J.Plant Physiol.44:196−203,(1997))の双方においてトリプトファンラセマーゼ活性の文献報告がある。cDNA発現ライブラリーは、文献に記載のように組織から作製し、発現ライブラリーは、上記に記載のようにトリプトファン栄養素要求株を形質転換するために用いる。
文献に記載されるのと同一の株が使用され、かつ同一の成長条件が再生成される場合、トリプトファンラセマーゼ活性を有する酵素を単離できることまたはmRNAを単離できることおよびトリプトファンラセマーゼ活性を有する酵素のコード配列を含有するであろうcDNA発現ライブラリーを調製できることが予想されると考えられる。例えば、ある種の成長段階またはある種の培地成分は、トリプトファンラセマーゼ活性を有する酵素の細胞性生成を誘発するために必要とされる可能性がある。
(3)トリプトファンラセマーゼアッセイ
トリプトファンラセマーゼを可能性として有するとして同定されたクローンを、BL21のごとき組換えタンパク質の発現に一般的に用いられるイー・コリの株に形質転換する。細胞は、0.4〜0.6の600nmの光学濃度までLBブロス中で成長させる。ラセマーゼの発現を駆動するプロモーターは、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)(0.1mM最終濃度)を用いて誘発する。誘発の後、細胞に、37℃(通気有り)で1〜3時間タンパク質を発現させる。細胞は、採取し、フレンチプレス、超音波処理によって、または化学的手段(BugBuster(Novagen社、マディソン、WI)のごとき)によって溶解させる。溶解させた細胞は、細胞片を除去するために遠心分離する。清澄抽出物をアッセイに直接的に用いる。
様々な量の抽出物を、溶液に追加し、最終濃度を50mMリン酸カリウム(pH7.0)および2mM L−トリプトファンとする。ピリドキサール−5’−リン酸を10μMの最終濃度で追加する。試料は、インキュベートし、次いでLC/MSによって分析する。L−トリプトファンのみが基質として用いられる場合のD−トリプトファンピークの存在は、ポジティブの結果を示す。D−トリプトファン濃度は、平衡に達するまで、時間の経過と共に増加するはずであり、酵素の濃度が十分に高くなって酵素が基質で飽和されなくなるまで、速度もまたタンパク質濃度と共に増加するはずである。D−トリプトファンは、さらに、上記のようにL−トリプトファンに変換され得る。
補完遺伝子は、D−アミノトランスフェラーゼをコードしてもよい。このアミノ基転移反応は、アミノ受容体としてのα−ケトグルタル酸、オキサロ酢酸塩、またはピルビン酸のごときアルファ−ケト酸を必要とする。これらの化合物は、通常少量で、細胞抽出物中におそらく存在するであろう。これらの化合物はPD−10脱塩カラムを用いて除去してもよく、アッセイは、なお、粗抽出物中で行ってもよい。同様に、補完遺伝子はまた、D−アミノ酸オキシダーゼまたはD−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードしてもよい。これらの酵素もまた、PD−10脱塩カラムによって除去できる補因子および補助基質を必要とする。トリプトファンラセマーゼ活性は従来のカラムクロマトグラフイーを用いて精製する。最終的に、可能性のあるトリプトファンラセマーゼとして同定されたオープンリーディングフレームは、アフィニティータグを有する発現ベクター中にクローニングする。次いで、潜在的なトリプトファンラセマーゼはアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。いずれの場合も、精製タンパク質は、本質的に上記に記載のように酵素アッセイに用いられる。
(4)トリプトファンラセマーゼの逆遺伝子操作
トリプトファンラセマーゼは、硫安分画を含めた従来のタンパク質精製技術および従来のカラムクロマトグラフイーによって、植物源または微生物源のいずれかから精製できる。スポットが2次元ゲル上で単離できるようにタンパク質が精製されると、ペプチドマイクロシークエンシング技術または従来のEdman型アミノ酸配列決定が利用される(この種の作業に通常用いられるプロトコールおよび設備の記載について「golgi.harvard.edu/microchem/」をインターネットで参照されたい)。しかしながら、いくつかの場合では、生物のゲノム配列は、タンパク質精製のためのタンパク質源として使用できない、というのは、上記配列がまだ決定されていないからである。そういった状況では、一次縮重プライマーを、最も近い、知られている類縁のタンパク質源からの入手可能な配列に基づき設計してもよい。次いで、縮重PCRおよびゲノムウォーキングを、トリプトファンラセマーゼコード配列を単離するために確立されたプロトコールに従って行う。
(5)ゲオバチルス・ステアロテルモフィルスからのアラニンラセマーゼのクローニング
ゲオバチルス・ステアロテルモフィルスからのアラニンラセマーゼ(配列番号41)をクローニングした。G.ステアロテルモフィルス(ATCC12980D)からのゲノムDNAはATCC(マナッサス、VA)から購入した。以下のプライマーは、G.ステアロテルモフィルスからのアラニンラセマーゼ遺伝子を増幅するために用いた:5'-atggacgagtttcaccgcga-3'(配列番号25)および5'-ttatgcatcgcttcatccgc-3'(配列番号26)。PCR生成物は、Zero Blunt TOPO PCRクローニングキット(Invitrogen社、カールスバード、CA)を用いてpCR−Blunt−TOPOにライゲーションした。適正なクローンは配列決定によって確認した(Agencourt社、ビバリー、MA)。適正なクローンは、引き続いてのPCR反応における鋳型として用いた。
以下のプライマーは、アラニンラセマーゼを増幅するために用いた:5'-ataataggatcctcatccgcggccaacggcg-3'(配列番号27)および5'-gggaaaggtaccgaggaataataaatggacgagtttcaccgcg-3'(配列番号28)。PCR生成物は、制限酵素KpnIおよびBamHIを用いて消化した。これらの酵素は、操作してプライマーにした部位で切断した。消化PCR生成物は、ゲル精製し、KpnIおよびBamHIを用いて消化し、かつ続いてゲル精製したイー・コリプラスミドベクターpTrc99aにライゲーションした。ライゲーションしたものは、TOP10F’化学的コンピテント細胞に形質転換し、50μg/mlカナマイシンを補足したLB平板上で平板培養した。単離物を挿入断片についてスクリーニングし、挿入断片を有する数個の単離物は、配列分析(Agencourt社、ビバリー、MA)によって適正な配列(配列番号40)を有することを確認した。
pTrc99a/アラニンラセマーゼ構築物は、Stratagene社製(ラ ホーヤ、CA)Quick−Change Multi Site−Directed Mutagenesisキットを用いて、Site−Directed Mutagenesis(「SDM」)にかけた。突然変異誘発性プライマーは以下の通りとした:
5'-gccggacgacacgcacattnnkgcggtcgtgaaggcgaacgcc-3'(配列番号29);
5'-gtgaaggcgaacgcctatggannkggggatgtgcaggtggcaagg-3'(配列番号30);
5'-cctcccgcctggcggttgccnnkttggatgaggcgctcgctttaa-3'(配列番号31);
5'-caaccaggcgaaaaggtgagcnnkggtgcgacgtacactgcgcag-3'(配列番号32);
5'-gatcgggacgattccgatcggcnnkgcggacggctggctccgccg-3'(配列番号33);および
5'-gccatttggaaacgatcaacnnkgaagtgccttgcacgatcag-3'(配列番号34)
(n=任意のヌクレオチドおよびk=gまたはt)。
突然変異誘発のための残基は、G.ステアロテルモフィルスアラニンラセマーゼの既存の結晶構造の分析によって選択した。活性部位から5および10Å間で位置する大きなアミノ酸残基を選んだ。
すべての6つのプライマーは、メーカーのプロトコールに指示されるようにSDM反応において用いた。SDM反応物は、メーカーのプロトコールに従ってXL−10 GOLDに形質転換した。形質転換反応物は、100μg/mlアンピシリンを補足したLB培地上で平板培養した。LBブロスを平板に追加し、コロニーを平板からこすり取った。再懸濁した細胞は、数時間37℃で成長させ、プラスミドは、QIAquick(登録商標)ミニプレップキットを用いて、ミニプレップした。次いで、結果として生じた突然変異誘発ライブラリーは、トリプトファン栄養素要求株CAG18455を形質転換するために用いた。形質転換したものは、グルコース、微量元素、ビタミン、100μg/mlアンピシリン、100μM IPTG、および3mM D−トリプトファンを補足したM9最少培地上で平板培養した。37℃でのインキュベーションの数日後に、コロニーは成長した。これらのコロニーは、LB(100μg/mlアンピシリン)上で画線培養した。プラスミドはこれらの単離物から単離し、CAG18455中に再形質転換した。再形質転換した細胞は、100μg/mlアンピシリンを含有するLB上で平板培養した。単離されたコロニーが形成された後、それらは、上記に記載のようにM9 D−トリプトファン培地上で画線培養した。コロニーすべてが、再成長するように見え、これは、成長が、ラセマーゼの突然変異誘発バージョンによるものであったことを示す。コントロール細胞の成長は観察されなかった。
数個の単離物をin vitro活性についてアッセイした。細胞は、OD600を約0.6まで成長させ、100μM IPTGを用いて誘発した。細胞は、さらに2時間37℃でインキュベートし、遠心分離によって採取した。細胞ペレットは、翌日用いるまで−80℃で保存した。細胞ペレットは氷上で解凍した。細胞は、BugBuster(第一級アミンなし)細胞溶解試薬およびBenzonase(Novagen社、マディソン、WI)を用いて破壊した。細胞片は、遠心分離(4℃で30分間、約10,000×g)によって除去した。上清は粗細胞抽出物として保存した。
アッセイ緩衝液は、50mMリン酸カリウム(pH8.0)、10μMピリドキサールリン酸、0.01%β−メルカプトエタノール、および50mM D−またはL−トリプトファンを含有した。200μL抽出物をアッセイ1mL当たりに追加した。期間0時点ならびに30分および一晩の時点にあたる試料を凍結させた。試料は、実施例1に記載されるように遠心し、濾過し、キラルLC/MS/MS分析にかけた。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
この単離物中のラセマーゼ遺伝子のDNA配列を決定し(配列番号42)、単離物は、3つの突然変異を有することがわかった。対応するタンパク質単離物中の突然変異は以下の通りである:M35C、F66E、およびY354A(配列番号43)。付加的な突然変異(P197L)がこの変異体において判明した。これは、自然突然変異であり、部位特異的突然変異誘発の一部ではなかった。
突然変異誘発ラセマーゼは、発現および精製のためにpET30(Novagen社、マディソン、WI)中にクローニングした。以下のプライマーは、pTrc99a構築物からのラセマーゼ遺伝子をPCR増幅するために用いた:5'-gggaaaggtaccgaggaataataaatggacgagtttcaccgcg-3'(配列番号35)および5'-gcggcgccatggacgagtttcaccgcg-3'(配列番号36)。PCR生成物は、NcoIおよびBamHIを用いて消化し、ゲル精製し、NcoIおよびBamHIを用いて消化させ、続いてゲル精製したpET30にライゲーションした。ライゲーションしたものは、TOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen社、カールスバード、CA)中に形質転換した。形質転換からしたものからの単離物を挿入断片についてスクリーニングした。挿入断片を有するプラスミドを、配列決定(Agencourt社、ビバリー、MA)にかけた。適正な配列を有する単離物は、発現および精製のためにBL21 λDE3またはBL21λ DE3 pLysS中に形質転換した。新しい構築物は、pET30Trpラセマーゼと指定する。
(6)トリプトファンラセマーゼの精製
pET30Trpラセマーゼ構築物を有する一晩培養物は、適切な抗生物質(50μg/mlカナマイシンおよび20μg/mlクロラムフェニコール)を有する新鮮なLB培地中に継代培養させ、OD600を約0.6まで成長させた(通気有りで37℃)。発現を100μM IPTGを用いて誘発し、インキュベーションは、2時間通気有りで37℃で継続させた。細胞は、遠心分離によって採取し、使用まで−80℃で保存した。細胞ペレットは、氷上で解凍し、細胞は、BugBuster Primary Amine Free Cell Lysis ReagentおよびBenzonase Nuclease(Novagen社、マディソン、WI)を用いて溶解した。細胞片は、遠心分離によって除去し、上清は、粗タンパク質抽出物として用いた。粗タンパク質抽出物は、0.45μmシリンジフィルターを用いて濾過し、メーカーの指示に従って、あらかじめ平衡化したHisBindカラム(Novagen社、マディソン、WI)にかけた。カラムは洗浄し、タンパク質はメーカーのプロトコールに指示されるように溶出した。精製タンパク質は、溶出液として50mMリン酸カリウムpH8.0、10μMピリドキサール−5’−リン酸(「PLP」))を用いて、PD−10カラム(GE Healthcare社、ピスカタウェイ、NJ)を用いて脱塩した。脱塩したタンパク質は、Amicon社製遠心濃縮器(Millipore社、ビレリカ、MA)を用いて濃縮した。野生型のアラニンラセマーゼは、上記に記載のように精製した。
(7)トリプトファンラセマーゼのアッセイ
精製ラセマーゼは、数種のアッセイにおいて試験した。あるアッセイにおいて、D−アミノ酸オキシダーゼによる過酸化水素の生成を検出システムとして用いた。オキシダーゼについてのD−トリプトファン基質は、本実施例において記載のように単離されたラセマーゼ酵素を介してL−トリプトファンから生成された。アッセイは、アッセイ当たりに0、1、10、25、50、100、200μgの酵素、50mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、50mM L−トリプトファンを含んだ。アッセイは、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーションの後、100mg/ml D−アミノ酸オキシダーゼ(AOD−101 BioCatalytics社、パサデナ、CA)および0.5mM FADを反応ミックスに追加した。過酸化水素の発生は、Amplex Red試薬キット(Molecular Probes社、ユージーン、OR)およびPerkin Elmer社製HTS 7000 Plus BioAssay Reader Fluorometer(ウェルズリー、MA)を用いて測定した。アッセイデータを下記の表12および13に要約する。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
アッセイの結果は、変異体ラセマーゼが過酸化水素の生成に必要とされることを示す。追加した変異体ラセマーゼの量を増加した場合、生成された過酸化水素の量は増加した。
アラニンに対するラセマーゼ(野生型および変異体)の活性を分析した。反応緩衝液は次のものを含有した:100mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、50mM L−アラニン、12μg/mL野生型ラセマーゼまたは94μg/ml変異体ラセマーゼ。反応は、1容量の0.5Mギ酸を用いて停止し、実施例1に記載のように、Chirobioticカラムを用いてLC/MS/MSによって分析した。
アッセイデータを、下記の表14に要約する。
Figure 2015211679
突然変異ラセマーゼは、本来の基質であるアラニンに対して活性を保持するようである。
突然変異ラセマーゼの活性は、基質として、L−トリプトファン、D−トリプトファン、L−アラニン、およびD−アラニンのうちの1つを用いて試験した。反応物緩衝液は次のものを含有した:100mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、50mM基質、94μg/ml変異体ラセマーゼ。反応は、1容量の0.5Mギ酸を用いて停止し、実施例1に記載のように分析した。基質としてアラニンを用いたアッセイは、室温(約22℃)でインキュベートし、基質としてトリプトファンを用いたアッセイは、37℃でインキュベートした。結果を下記の表15に要約する。
Figure 2015211679
ラセマーゼ酵素は、双方向に働き、野生型の活性を保持する。
変異体ラセマーゼを数種の基質に対して試験した。アッセイに用いた酵素は、先に論じられるように精製した。アッセイ条件は以下の通りとする:50mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、25mM基質、40μg/ml変異体ラセマーゼ。反応は、1容量の2Mギ酸を用いて停止し、実施例1に記載のように分析した。アッセイは37℃でインキュベートした。結果(L−異性体から生成されたD−異性体 ppm)を下記の表16に要約する(nd=検出せず)。
Figure 2015211679
このラセマーゼは、ここで試験したアミノ酸に加えて他のアミノ酸をラセミ化するであろう。
突然変異ラセマーゼは、種々様々のアミノ酸に対して活性を有するようであるが、モナチンに対するいかなるラセマーゼ活性もあるようではない。アッセイにおいて用いた酵素は、先に論じられるように精製した。アッセイ条件は以下の通りとする:100mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、50mMモナチン、1mg/ml変異体ラセマーゼ。アッセイは37℃でインキュベートした。アッセイは、実施例1に記載のようにFDAA誘導体化によって分析した。アッセイの結果を下記の表17に示す。
Figure 2015211679
18時間後でさえ、変異体ラセマーゼを用いた、S,RモナチンへのS,SモナチンのまたはR,SモナチンへのR,Rモナチンの明らかな変換はなかった。
理想的な酵素は、トリプトファンに対して活性を有するが、他のアミノ酸またはアミノ酸様化合物、詳細にはモナチンに対して活性をほとんどまたは全く有していない。酵素がモナチンに対して著しい活性を有する場合、トリプトファン活性を不変に保ちながらまたは酵素がモナチン生成に有用であるのに十分に高いレベルに保ちながら、モナチンおよび/またはグルタミン酸に対する活性を減少させるために酵素は突然変異誘発させてもよい。突然変異誘発に用いられてもよい技術は、エラープローンPCR、部位特異的突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発標的(基質結合に関連する潜在的な部位)を同定するためのモデリング、突然変異誘発性株による継代、およびDNAシャフリングを含むが、これらに限定されない。
(8)トリプトファンラセマーゼによるモナチン生成
以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:配列番号22の約50μgアルドラーゼ、16mg/mL精製トリプトファンラセマーゼ、4mM MgCl、50mM L−トリプトファン、0.5mgD−アミノトランスフェラーゼ(実施例14に記載のようにバチルス・スファエリクスから精製)、100mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。ピルビン酸は、広域特異性D−アミノトランスフェラーゼに対して許容し得るアミノ受容体であるので、α−ケトグルタル酸は使用しなかった。D−トリプトファンを開始基質とし、ラセマーゼを含まないコントロールを含んだ。試料は、緩やかに振盪させながら、30℃で、2時間または一晩(20時間)インキュベートした。試料は、実施例1に記載のように分析した。アッセイの結果を表18において下記に示す(nd=検出せず)。
Figure 2015211679
表18は、L−トリプトファン基質をD−トリプトファンに変換するためにトリプトファンラセマーゼを用いる、R,Rモナチンの生成を示す。トリプトファンラセマーゼを用いない、D−トリプトファンからのR,Rモナチンの生成は、コントロールとして利用した。生成されたR,Rモナチンパーセントは、出発物質としてのL−またはD−トリプトファンのどちらを用いてもほぼ同じである。この結果は、ラセマーゼが、R,Rモナチンのラセミ化の触媒において検出可能な活性を有していないことを示す。
(9)重要なアミノ酸変化の単離
突然変異誘発アラニンラセマーゼの数種の復帰変異体を作り出した。復帰変異体は、以下のプライマーを用いて、先に記載のように、QuikChange Multi Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)を用いて部位特異的突然変異誘発によって作製した。
5'-gccatttggaaacgatcaactatgaagtgccttgcacgatcag-3'(配列番号37);
5'-ctcccgcctggcggttgccttcttggatgaggcgctcgctttaag-3'(配列番号38);および
5'gccggacgacacgcacattatggcggtcgtgaaggcgaacgcc-3'(配列番号39)
プライマーは、別々にならびに35、66、および354位における3つの突然変異の6つの可能な組合せをなすために組み合わせて用いた(番号付けは、ATCC12980由来のアミノ酸配列に基づく)。突然変異の数種の組合せを作り出し、トリプトファンラセマーゼ活性について試験した。アッセイ条件は以下の通りとした:50mMリン酸カリウムpH8.0、10μM PLP、30mM L−トリプトファン、100μg/ml酵素。アッセイは、特定の時間、37℃でインキュベートした。試料は、実施例1に記載のように分析した。
アッセイの結果を下記の表19に要約する(nd=検出せず)。
Figure 2015211679

突然変異リスト:
MF1:N41S(自然突然変異)、P197L、Y354A
MF2:F66E、P197L、Y354A
MY1:M35C、F66E、P197L
突然変異誘発ラセマーゼ:M35C、F66E、P197L、Y354A
結果は、Y354A突然変異がトリプトファンに対する活性に必要とされることを示す。この突然変異がない場合、トリプトファンに対する検出可能な活性はなかった。基質特異性を広げる際のこの残基の重要性をさらに示すW.M.Patrick、J.Weisner、およびJ.M.Blackburn、ChemBioChem 2002年 第8号、789〜792頁もまた参照されたい。
アラニンラセマーゼは、突然変異誘発性PCR、突然変異誘発性株による継代、または当業者に知られている他の方法のごときランダムな方法によって、広域特異性ラセマーゼにさらに変換させてもよい。アラニンラセマーゼのより集中したな進化は、Lys129、Met134、ならびにGly283およびTrp28残基を含む、Gly283およびTrp28の間にある残基(ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスからの番号付け)を含む活性部位残基上に集中させてもよい。
4B:Y354A単一変異体の単離
実施例4AでpET30中にクローニングした野生型ジオバチルス ステアロサーモフィルスアラニンラセマーゼ(配列番号:41)を、部位特異的突然変異誘発のための鋳型として用い、Y354Aの変化を加えた。突然変異誘発は、QuickChange−Multi site−directed突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて行った。以下の突然変異誘発性プライマーは、Y354Aの変化を加えるために用いた、5’−gccatttggaaacgatcaacgcggaagtgccttgcacgatcag−3’(配列番号:107)。部位特異的突然変異誘発は、メーカーのプロトコールに記載されるように行った。数種の単離物は配列決定し(Agencourt、Beverly、MA)、適正な配列を有する単離物は、さらなる分析のために選択し、用いた。
pET30Y354Aの単一の変異体はイー・コリBL21(DE3)pLysSコンピテント細胞中に形質転換した。精製タンパク質は以下の通り調製した。株は、0.4〜0.6のOD600までLBまたはTerrific Broth中で成長させ(通気させながら37℃で)、1mM IPTGを用いて誘発した。インキュベーションは約3時間通気させながら37℃で継続した。細胞は、遠心分離によって採取し、細胞ペレットは−80℃で保存した。
細胞ペレットは氷上で解凍し、次いで、Benzonase nuclease(Novagen、Madison、WI)を加えた適切な容量のBugBuster(Novagen、Madison、WI)中に再度懸濁させた。細胞片は、遠心分離によって除去し、無細胞抽出物は、Binding緩衝液を用いて平衡化したHIS−Bindカラム(Novagen、Madison、WI)にかけた。カラムは、Binding緩衝液およびWash緩衝液を用いて洗浄し、タンパク質は、Elution緩衝液を用いて溶出させた(メーカーのプロトコールに指示されるように)。精製タンパク質はPD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて脱塩した。タンパク質は、メーカーのプロトコールに従って、50mMリン酸カリウムpH8.0および10μMピリドキサール−5’−リン酸中に脱塩させた。タンパク質は、Amicon遠心濃縮器(Millipore、Billercia、MA)を用いて濃縮した。精製濃縮タンパク質は、少量のアリコートに分け、使用まで−80℃で保存した。
精製Y354Aは、アラニンアッセイおよびトリプトファンアッセイの双方で野生型アラニンラセマーゼ(上記に記載される様式で調製)と比較した。アッセイは、400μLの精製濃縮タンパク質(>1mg/ml最終濃度)および50mM基質を用いて、実施例4Aに記載されるように、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH8および10μM PLP中で行った。D−アラニンおよびD−トリプトファンの検出は、実施例1に記載されるキラルアミノ酸方法論を用いて行った。結果を下記の表20に示す。
Figure 2015211679
*nd=検出せず
これらのデータは内部標準物質を用いないで分析した、したがって、半量的であり、比較の目的のために用いられるべきである。それにもかかわらず、これらの結果は、代替基質を用いるアミノ酸ラセミ化を触媒することができるようにアラニンラセマーゼの特異性を広げるのにY354A単一突然変異が十分であることを示す。酵素が、基質としてのアラニンと活性であるので、ゼロ時間で、反応が、既に、本質的に平衡状態に達していたことに注目されたい。
4C:ジオバチルス・ステアロサーモフィルスアラニンラセマーゼの位354の飽和突然変異誘発
数種の変異体を以下の通り単離した。プライマーは、位354で「NNK」ランダム突然変異誘発を進めるために作製した。プライマー、5’−gccatttggaaacgatcaacnnkgaagtgccttgcacgatcag−3’(配列番号108)は、QuickChange Multi Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene、La Jolla、CA)と共に用いた。反応に用いた鋳型は、pET30の中にクローニングした野生型G.ステアロサーモフィルスアラニンラセマーゼとした。突然変異誘発はメーカーのプロトコールに従って進めた。数種の変異体はこの方法を用いて単離した。以下の変異体はこの方法を用いて単離した:Y354D、Y354E、Y354L、Y354H、およびY354K。他のアミノ酸置換はQuickChange Multi Kitおよびこれらのプライマー:
Y354N 5’−ccatttggaaacgatcaacaacgaagtgccttgcacgatcag−3’(配列番号109)および
Y354G 5’−gccatttggaaacgatcaacggcgaagtgccttgcacgatcag−3’(配列番号110)を用いて作製した。
さらなる突然変異は標準的なQuickChange Kitならびに以下のプライマー:Y354C 5'-TCGCCATTTGGAAACGATCAACTGCGAAGTGCCTTGCACG-3'(配列番号111)およびY354T 5'-GGAAACGATCAACACGGAAGTGCCTTGCACG-3'(配列番号112)およびそれぞれの逆方向補完物を用いて作製した。所望の配列を有するプラスミド(Agencourt、Beverly、MA)を発現株イー・コリBL21(DE3)中に形質転換した。遺伝子誘発は、例4Bに記載されるように実行した。活性を有する変異体を下記の表で比較する。アッセイは、ポジティブコントロールとしてY354A変異体を用いて、上記に記載されるように基質としてL−トリプトファンを用いて行った。変異体ラセマーゼの相対的活性はすべて、下記の表でY354Aと比較する。タンパク質を精製し、アッセイは、100μgの精製タンパク質を用いて実施例4Bに記載されるように行った。結果を下記の表21に示す。
Figure 2015211679
Y354I、Y354M、およびY354Pは、検出の限界を考慮すれば、数量化できなかった微量の活性を有した。
Y354D、Y354E、Y354H、およびY354Kは、このアッセイの条件下で活性をほとんどまたは全く有しなかった。
Y354F、Y354Q、Y354R、およびY354W変異体は上記のように同様の方法を用いて構築した、またこのアッセイの条件下で活性を有していないように考えられた。
4D:ジオバチルス・ステアロサーモフィルスアラニンラセマーゼのアミノ酸位35および265の突然変異誘発
数種の変異体を以下の通り単離した。2つのプライマーは、鋳型としてY354A変異体(実施例4Bに記載)を用いて、アミノ酸位35および265での「NNK」ランダム突然変異誘発を進めるために作製した。Y254Aをコードする遺伝子は、NcoIおよびBamHI制限部位を用いて、pPRONcoベクターの中にサブクローニングし、この構築物を突然変異誘発反応に用いた。pPRONcoプラスミドは、NcoI部位のうちの一方を突然変異T1538Cによって除去した、pPROLar.A122ベクター(BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA)の誘導体である。以下のプライマー(5’−リン酸化)を、QuikChange Multi Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene、La Jolla、CA)と共に用いた:
Y265X:5'-CAA CCA GGC GAA AAG GTG AGC NNK GGT GCG ACG TAC ACT GCG CAG-3'(配列番号113)および
M35X:5'-GCC GGA CGA CAC GCA CAT TNN KGC GGT CGT GAA GGC GAA CGC C-3'(配列番号114)
NはG、C、T、またはAを示し、KはGまたはTを示す。
突然変異誘発はメーカーのプロトコールに従って進めた。突然変異遺伝子を含有するプラスミドをエレクトロコンピテントトリプトファン栄養要求性株CY15077(E.coli Genetic Stock Center、Yaleから得た)中に形質転換した。数種の変異体は、0.4%グルコース、微量元素、ビタミン、50μg/mLカナマイシン、100μM IPTG、および3mM D−トリプトファンを補足した、M9最少培地含有するNobel寒天平板上での成長の数日後に単離した。R195H自然突然変異がいくつか場合で起こった。
以下の変異体はこの方法を用いて単離した(すべてY354Aをさらに含有する):Y265M、Y265C、M35V/R195H、M35S/Y265S。
クローンは、例4Bに記載されるように、カナマイシンを含有するLB培地中で1mM IPTGを用いて誘発した。アッセイは無細胞抽出物を用いて進めた。標的タンパク質の発現のレベルは、ExperionPro260電気泳動システム(Bio−Rad)を用いて評価した。1mLアッセイは、30mM L−トリプトファン、50mMリン酸カリウムpH8、および50μM PLPならびに約200μgの変異体酵素を含有した。試料は、一晩30℃でインキュベートした。試料は、2%ギ酸を用いて酸性化し、遠心し、濾過し、実施例1に記載されるようにD−トリプトファンの検出のために10倍に希釈した。M35V/R195H変異体のみが検出可能な活性を有した、またY354Aのみと同じ桁数であると考えられる。
さらに、Y265Aアミノ酸置換は、メーカーのプロトコールを用いて、QuickChange Multi Kit(Stratagene)および以下のプライマーを用いて、pET30構築物中のY354A(実施例4Bからの)、Y354N(実施例4Cからの)、および野生型バックグラウンド中に作製した。5'-AGG CGA AAA GGT GAG CGC GGG TGC GAC GTA CAC TG-3'(配列番号115)。プラスミドDNAは、単離し、イー・コリBL21(DE3)中に形質転換し、誘発し、上記のようにアッセイした。Y265A突然変異を含有する構築物のどれも、これらの条件下で活性を有するとは考えられなかった。
4E:シュードモナス・プチダKT2440広域特異性アミノ酸ラセマーゼ(「BAR」)のクローニング
BAR(広域特異性アミノ酸ラセマーゼ)は、文献からの情報を用いて、P.プチダKT2440中で同定した。(Roise,D.、Soda,K.、Yagi,T.、Walsch,C.T.、Biochemistry 23、5195〜5201頁、(1984年))。P.プチダKT2440はまたATCC47054としても知られている。P.ストリアタからのBAR酵素の活性部位は、配列決定され、報告された(LTAVLKADAYGXGIGL(配列番号:116)、Xは任意の自然発生アミノ酸を示す)。この配列は、NCBIで入手可能なP.プチダKT2440ゲノム配列をBLASTするのに用いた。ほとんど同一のコンセンサス配列を有するタンパク質を同定した。プライマーは、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から得たゲノムDNAからの遺伝子をクローニングするために設計した、また、以下の通りとする。
5'-AGAAGACATATGCCCTTTCGCCGTAGGG-3'(配列番号117)および
5'-AGAAGAGGATCCTCAGTCGACGAGTATCTTCG-3')(配列番号118)。
PCRは、標準的な条件下で進め、PCR産物を精製した(QIAquick(登録商標)PCR精製キット、Qiagen、Valencia、CA)。精製PCR産物はNdeIおよびBamHIを用いて消化した。消化PCR産物を、ゲル精製し(QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit、Qiagen、Valencia、CA)、同様の方法で消化し、かつゲル精製したpET30およびpET28にライゲーションした。挿入断片を有するクローンを配列決定し(Agencourt、Beverly、MA)、適正な配列を有する単離物を同定し(pET30 KT2440 BARおよびpET28 KT2440 BAR)、後の研究で用いた。
KT2440 BAR DNA配列(配列番号119)は以下の通りである。
atgccctttcgccgtacccttctggctgcatccctggcacttctgatcaccggacaggcccccctgtatgcggcaccaccgttgtcgatggacaacggcaccaacaccctgaccgtgcaaaacagcaatgcctgggtcgaagtcagcgccagcgccctgcagcacaacatccgcacgctgcaggccgagctggccggcaagtccaagctgtgcgccgtgctcaaggccgatgcctatggccacggtatcggcctggtaatgccatcgatcatcgcccaaggcgtgccctgcgtggcggtggccagcaacgaggaggcccgcgtggtccgcgccagtggcttcaccgggcaactggtgcgggtacgcctggccagcctcagcgagctggaagatggcttgcagtacgacatggaagagctggtgggcagcgcggaatttgcccgccaggccgatgccatcgccgcgcgccatggcaagaccttgcgcattcacatggcgctcaactccagcggcatgagccgcaacggggtggagatggccacctggtccggccgtggcgaagcgctgcagatcaccgaccagaagcacctcaagctggtcgcgctgatgacccacttcgccgtggaagacaaggacgatgtacgcaagggcctggcggcattcaacgagcagaccgactggttgatcaagcacgccaggctggaccgcagcaagctcaccctgcacgccgccaactcgttcgctacgctggaagtgccggaagcgcgcctggacatggtacgaacgggtggcgcgctgttcggcgacaccgtgccggcgcgcaccgagtacaaacgtgcgatgcagttcaaatcgcacgtggcggcggtgcacagctatccggccggcaacaccgtgggctatgaccgcaccttcaccctggcccgtgattcgcggctggccaacattacggtcgggtactccgatggctaccgccgggtattcaccaacaagggccatgtgctgatcaacggccaccgtgtgccggtcgtgggcaaggtgtcgatgaacacgctgatggtcgatgtcaccgacttccctgatgtgaaggggggtaacgaagtggtgctgttcggcaagcaggccgggggcgaaatcacccaggccgagatggaagaaatcaacggcgcgttgctcgccgatttgtacaccgtatggggcaattccaacccgaagatactcgtcgactga。
KT2440 BARアミノ酸配列(配列番号120)は以下の通りである。
MPFRRTLLAASLALLITGQAPLYAAPPLSMDNGTNTLTVQNSNAWVEVSASALQHNIRTLQAELAGKSKLCAVLKADAYGHGIGLVMPSIIAQGVPCVAVASNEEARVVRASGFTGQLVRVRLASLSELEDGLQYDMEELVGSAEFARQADAIAARHGKTLRIHMALNSSGMSRNGVEMATWSGRGEALQITDQKHLKLVALMTHFAVEDKDDVRKGLAAFNEQTDWLIKHARLDRSKLTLHAANSFATLEVPEARLDMVRTGGALFGDTVPARTEYKRAMQFKSHVAAVHSYPAGNTVGYDRTFTLARDSRLANITVGYSDGYRRVFTNKGHVLINGHRVPVVGKVSMNTLMVDVTDFPDVKGGNEVVLFGKQAGGEITQAEMEEINGALLADLYTVWGNSNPKILVD。
P.プチダKT2440 BARの精製。
上記に記載されるpET30 KT2440 BARプラスミドはBL21 DE3 pLysS(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に形質転換した。結果として生じた株は、0.4〜0.6のOD600まで通気させながら37℃でLBまたはTerrific Broth中で成長させ、1mM IPTGを用いて誘発した。インキュベーションは、通気させながら37℃で3〜4時間継続した。細胞は、遠心分離によって採取し、細胞ペレットは使用まで−80℃で保存した。細胞ペレットは氷上で解凍した。細胞は、BugBusterおよびBenzonase(Novagen、Madison、WI)を用いて溶解した。細胞片は、遠心分離によって除去し、無細胞抽出物は直ちに用いるか、または−80℃で保存した。KT2440 BAR遺伝子は、さらに、pET28のNdeI−BamHI部位にクローニングし、BL21 DE3 pLysSコンピテント細胞中に形質転換した。この構築物は、可溶性タンパク質をあまり効率的に発現したとは考えられず、したがって、タグなしバージョン(pET30 KT2440 BAR)をその後の研究で用いた。
抽出物は、少なくとも5カラム容量の緩衝液A(25mMリン酸カリウムpH8.0、10μMピリドキサール−5’−リン酸(PLP))を用いて平衡化したUnoQカラム(BioRad、Hercules、CA)にかけた。カラムは、2カラム容量の緩衝液Aを用いて洗浄した。タンパク質は、20カラム容量を超える、0〜100%緩衝液Bの、緩衝液B(緩衝液A+1M NaCl)の直線的な勾配を用いて溶出した。5ml画分は、勾配を開始した時から収集した。画分は、実施例4A(7)に記載されるAmplex Red法を用いてアッセイした。簡潔に言えば、100μg D−アミノ酸オキシダーゼ(Sigma、St.Louis、MO)、0.05mM FAD、25mM L−trp、およびアッセイされることになる少容量の画分を、50μL HO中で組み合わせ、メーカーのプロトコールに指示されるように調製した50μL Amplex Red反応緩衝液に追加した。活性を有する画分はPD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて脱塩し、Amicon遠心濃縮器(Millipore、Billercia、MA)を用いて濃縮した。精製タンパク質は−80℃で保存した。
BAR酵素のアッセイ
Amplex Redアッセイは本実施例に記載されるように設定した。P.プチダKT2440 BARは200μgで用いた(本実施例に記載されるように精製)。野生型G.ステアロサーモフィルスアラニンラセマーゼおよびY354Aは実施例4Bに記載されるように精製し、200μgまたは1000μgのいずれかで用いた。CEは、本実施例に記載されるように調製した無細胞抽出物である。60分の時点での結果を下記の表22に示す。全時間的経過を図11に示す。
Figure 2015211679
精製タンパク質もまた、実施例4Aに記載されるように、50mMリン酸カリウムpH8、10μM PLP、および30mM L−トリプトファン中でトリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。200μgまたは1000μgのいずれかの精製酵素をアッセイで用いた(括弧中に示す)。D−トリプトファンは、検出について実施例1のキラルアミノ酸法を用いて分析した。結果を下記の表23に示す。
Figure 2015211679
アッセイは、P.プチダKT2440 BAR酵素が、G.ステアロサーモフィルス由来の酵素およびその変異体よりもトリプトファンに対してはるかに活性であることを示す。P.プチダKT2440およびP.プチダNBRC12996のBAR酵素は、米国特許出願公開第2005/0095670 A1号に記載されるが、それらは、トリプトファンをラセミ化する能力についてアッセイされなかった。
KT2440 BARアミノ酸配列は、全ゲノム配列がパブリックドメインで入手可能である生物に存在する他の潜在的なBARタンパク質を検索するために用いた。以下の表は、KT2440 BARに相同な酵素を有する生物およびBLAST P−スコアの表を示す。結果を表24に示す。対応するタンパク質のGenbank受入番号は左欄に示す。
Figure 2015211679
BLAST P−スコアは、KT2440 BARに対して高度に相同である酵素があることおよびこれらの高度に相同な酵素は、たとえそれらが公的なデータベースでアラニンラセマーゼとして注解されているとしても、アラニン以外の基質に対して活性を有する可能性があることを示す。高度に関連するラセマーゼの分類があることおよび次いで、相同性の低下はムーレラ・サーモアセチカ以後に起こることが分かる。NCBIをBLASTすることによって、他の密接に関連する相同遺伝子がP.タエトロレンス(Genbank受入番号AB096176、ヌクレオチド配列)およびP.プチダF1(ZP_00898332.1 GI:82735470、タンパク質配列、NZ_AALM01000002ヌクレオチド53173..54402によってコード)から見出された。この情報に基づいて、さらなるクローニング作業を、他のシュードモナス種、ビブリオ菌、エルシニア属、およびフォトバクテリウム属のBAR遺伝子を単離するために行った。実施例4I、4J、4K、4L、および4Nを参照されたい。
さらに、文献レビューにより、広域特異性アミノ酸ラセマーゼがどこに存在する可能性があると考えられるかが示された。以下は、広域特異性アミノ酸ラセマーゼの存在を示唆する刊行物がある生物および各生物についての1つの参考文献の表である。
1.P.プチダIFO12996、NBRC12996、P.プチダ12996、およびP.ストリアタとしても知られている(Nagata,Shinji;Esaki,Nobuyoshi;Tanizawa,Katsuyuki;Tanaka,Hidehiko;Soda,Kenji、Agricultural and Biological Chemistry(1985年)、49(4)、1137〜41頁)
2.P.プチダSCRC−744(Asano,Yasuhisa;Endo,Kaori、Applied Microbiology and Biotechnology(1988年)、29(6)、523〜7頁)
3.P.グラベオレンス(P.タエトロレンスとしても知られている)(Soda,Kenji;Yorifuji,Takamitsu;Ogata,Koichi、Journal of Biological Chemistry (1971年)、246(16)、5085〜92頁)
4.エロモナス・キャビエ、エロモナス・パンクタータ(Aeromonas punctata)亜種キャビエとしても知られている(Inagaki,Kenji;Tanizawa,Katsuyuki;Tanaka,Hidehiko;Soda,Kenji、Agricultural and Biological Chemistry(1987年)、51(1)、173〜80頁)
5.P.ストリアタAKU0813(Soda,Kenji;Osumi,Takaharu、Biochemical and Biophysical Research Communications(1969年)、35(3)、363〜8頁)
6.P.オーレオファシエンス(Salcher,Olga;Lingens,Franz、Journal of General Microbiology(1980年)、121(2)、465〜71頁)
7.P.プチダ12633(Wolf,Larissa B.;Sonke,Theo;Tjen,Kim C.M.F.;Kaptein,Bernard;Broxterman,Quirinus B.;Schoemaker,Hans E.;Rutjes,Floris P.J.T.、Advanced Synthesis & Catalysis(2001年)、343(6+7)、662〜674頁)
8.P.フルオレッセンス株(Ju,Jiansong;Yokoigawa,Kumio;Misono,Haruo;Ohnishi,Kouhei、Journal of Bioscience and Bioengineering(2005年)、100(4)、409〜417頁)
9.P.ミヤミズ(P.miyamizu)(Chibata,Ichiro;Tosa,Tetsuya;Sano,Ryujiro、Applied Microbiology(1965年)、13(4)、618〜24頁)
10.P.オレオボランス株(P.プチダとしても知られている)
11.シュードモナス株2150(Okazaki,Hiroshi、Agricultural and Biological Chemistry(1968年)、32(2)、254〜6頁)
この文献に基づいて、例4Iおよび4Oに記載されるように、さらなる作業を、P.プチダ12996およびエロモナス種からBARコード遺伝子をうまく単離するために行った。当業者は、例えば実施例11に記載されるように、逆遺伝学技術またはゲノム/cDNA発現ライブラリーを用いて、これらの生物の残り(ゲノム配列データは限られている)から、BAR酵素をコードする遺伝子を単離することができると考えられる。P.タエトロレンス(グラベオレンス)酵素(実施例4Lに記載)と同様に、本実施例(4Eおよび4I)で試験した2つのシュードモナス・プチダラセマーゼ相同体は、共に、広域特異性アミノ酸ラセマーゼであったので、すべての相同なシュードモナス由来のラセマーゼ(上記の文献に記載されるもの等)もまた広域活性を有すると考えられることが期待される。
4F:P.プチダKT2440 BARを用いたモナチン生成
モナチン生成アッセイは、精製P.プチダKT2440 BAR(実施例4Eで精製)(100μg)または精製Y354A(実施例4Bで精製)(500μg)、D−アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics AT−103(Pasadena、CA))(500μg)、および配列番号104のアルドラーゼ(実施例3B)(50μg)を用いて行った。上記の酵素に加えて、以下のものを1mLの反応混合物当たりに追加した:4mM MgCl、50mM L−トリプトファン、100mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。コントロールとして、実験は、ラセマーゼなしでかつD−トリプトファンで始めて、行った。結果の概要を下記の表25に示す。
Figure 2015211679
モナチンは、本実験ではY354Aを用いて検出されなかった。このラセマーゼは、モナチンを生成するために過去に用いられてきたが、はるかに高いレベルの酵素を用いた(より高いレベルのモナチンを検知するためには少なくとも2mgかつ10mgまで)。P.プチダKT2440 BARはL−トリプトファンからモナチンを生成するために用いた。本実験で用いられる100μg KT2440 BARは、2時間後にモナチン生成を検知するには十分ではなかったが、18時間後にモナチン生成を検知するのに十分であった。立体異性体分布は、生成された大部分のモナチンがR,R異性体であることを示した。R,S異性体は生成されなかった。これは、KT2440 BARがモナチンのR,R異性体を検出可能にラセミ化することができないことを示す(R,R異性体のラセミ化によりR,S異性体が生成されるであろうと考えられる)。本実験で生成された著しい量のS,S異性体があった。これは、おそらく、本実験で用いたAT−103が高度に精製されておらず、かつ細胞抽出物からのL−アミノトランスフェラーゼを含有する可能性があるという事実およびS−MPのアミノ基転移のためのアミノ供与体として働くように存在する大量のL−トリプトファンがあるという事実によるものである。
4G:位396でのP.プチダKT2440 BARの突然変異誘発
P.プチダKT2440(実施例4Eに記載)に由来するBAR酵素をコードする遺伝子を、Y396C突然変異を有する酵素を生成するために改変した。同様の突然変異は、「Tryptophan Racemase Derived from Broad Specificity Amino Acid Racemase by Directed Evolution」(Sato,M.ら、10th International Symposium on the Genetics of Industrial Microorganisms、Prague、June 24〜28 206)と題するポスターならびにK.Kino、M.Sato、M.Yoneyama、およびK.Kirimura、Appl Microbiol Biotechnol(2007年)73:1299〜1305頁に記載された。突然変異誘発は、タグなしタンパク質をもたらすpET30中のBAR遺伝子を用いて、QuickChange−Multi 部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて行った。以下の突然変異誘発性プライマーはY396C変化を加えるために用いた。5'-TTGCTCGCCGATTTGTGCACCGTATGGGGCAATTC-3'(配列番号121)。
部位特異的突然変異誘発は、メーカーのプロトコールに記載されるように行った。数種の単離物は配列決定し(Agencourt、Beverly、MA)、適正な配列を有する単離物は、さらなる分析のために選択し、用いた。
プラスミドはBL21(DE3)(Novagen、Madison、WI)中に形質転換した。組換えタンパク質は、メーカーのプロトコールに従って、50μg/mLカナマイシンを含有するOvernight Express II培地(Novagen、Madison、WI)中で生成した。無細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従ってBugBuster(Novagen、Madison、WI)を用いて調製し、上記に記載されるExperion法を用いて、標的タンパク質の発現パーセントについて分析した。
全タンパク質アッセイはPierce BCAキット(Rockford、IL)を用いて行った。変異体酵素を用いるトリプトファンラセマーゼアッセイは、ポジティブコントロールと同じ方法で調製した野生型酵素を用いて三通り行った。アッセイは1mL当たり次のものを含有した:30mM L−トリプトファン、50mMリン酸カリウムpH8、10μM PLP、および無細胞抽出物中、約200μgのラセマーゼタンパク質。0、20分間、1時間、および一晩の試料を収集し、2%ギ酸を用いて処理し、濾過し、かつ実施例1に記載されるキラルアミノ酸法を用いる分析のために1:10に希釈した。20分間の時点で、野生型酵素についての761ppmと比較して、Y396C変異体は約264ppmのD−トリプトファンを生成した。1時間で、野生型酵素についての1110ppmと比較して、変異体は、平均444ppmのD−トリプトファンを生成した。一晩の試料は2300ppmのD−トリプトファンを含有していたが、野生型酵素は約3000ppmのD−トリプトファンを生成することによって平衡状態に達した。
変異体酵素の活性は、試験した条件下では野生型の約35〜40%である。しかしながら、この変異体は、野生型と比較して、アラニンに対して有意に低い活性を有し、これはモナチンを生成するための反応で有利である可能性があることが期待された。D−アラニンがより少ないと、副生成物としてL−アラニンに変換されることが期待されると考えられる。Satoらは、I384M突然変異のみを含有するP.プチダIFO 12996に由来するBAR酵素は、アラニンに対して26000nmol/分/mgの特異的活性を有したが、I384M/Y396C変異体はアラニンに対してたった825nmol/分/mgの活性しか有していなかったことを報告した。KT2440酵素は、先天的に位384でメチオニンを既に含有しており、したがって、IFO12996に見つけられるI384M変異体に匹敵する。
さらなる実験を、Y396C変異体のアラニンラセマーゼ活性をアッセイするために進めた。条件は、L−トリプトファンラセマーゼ活性について上記に記載される通りとしたが、40分間および2時間の時点で測った。KT2440に由来する野生型BARと比較すると、Y396C変異体は、アラニンラセマーゼ活性が実際に少なかった。しかしながら、実施例4Fでのように、モナチン生成実験を繰り返した場合、この変異体は、全モナチンの生成での利点をもたらさなかった(約1/3の量のモナチンを生成した)。Y396C変異体はまたR,Rモナチンの純度がより低かった(実施例1に記載されるFDAA誘導体化技術を用いて、野生型酵素についての97.6〜99.3R,Rモナチン%に対して86.2〜87.3R,R%)。
4H:代替の配列タグを有するP.プチダKT2440 BARのクローニング
実験概要
実施例4Eに記載されるシュードモナス・プチダKT2440 BARは、pET28構築物からのN末端Hisタグが不溶性タンパク質を生成するように考えられたので、可溶性を改善し、精製を促進するために、様々な配列タグと共に発現させた。遺伝子は、サブクローニングし、発現させ、D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換での活性について試験した。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
P.プチダKT2440 BARをコードする遺伝子は、実施例4Eに記載されるpET30構築物からサブクローニングした。ポリメラーゼ連鎖反応は、約100ngのプラスミドDNAを用いて、C末端Strepタグを生成するpET30aベクター(終止コドンなし、C末端Hisタグを生成する)(Novagen、Madison、WI)、pET22−b(+)(周辺質リーダー配列)、およびpASK−IBA3(IBA、Gottingen、Germany)中にクローニングするための5’制限部位およびオーバーハングを用いて設計されたプライマーを用いて行った。同じN末端プライマーを、実施例4Eでように、pET30aクローニングに用いた。用いるプライマー配列は以下の通りである。
pET30 C末端-XhoI:5'-AAGTCGCTCGAGGTCGACGAGTATCTTCGGG-3'(配列番号122);
pASK N末端:5'-ACGGTAGGTCTCAAATGCCCTTTCGCCGTACC-3'(配列番号123);
pASK C末端:5'-AACCGTGGTCTCAGCGCTGTCGAGGAGTATCTTCGGG-3'(配列番号124);
pET 22 N末端:5'-GCTCCACATGTCTCCCTTTCGCCGTACCCTTCTGGCTGCATC-3'(配列番号125);および
pET22 C末端:5'-CCGCCGGATCCTCAGTCGACGAGTATCTTCGGGTTGGAATTGC-3'(配列番号126)。
以下のPCRプロトコールをpET30構築物およびpASK構築物に用いた:50μLの反応で、1μL鋳型、1μMの各プライマー、0.2mMの各dNTP、3.5U Expand High Fidelity Polymerase、およびMg入りの1×Expand緩衝液(Roche、Indianapolis、IN)を用いた。用いられるサーモサイクラープログラムは、3分間94℃でのホットスタート、その後、以下の工程の8回の繰り返し:30秒間94℃、30秒間51℃、および2分間72℃を含んだ。さらに22回サイクルを55℃のアニール温度を用いて実行した。30サイクルの後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。正確なサイズのきれいなPCR産物を得た(約1200bp)。pET22構築物については、同様の増幅プロトコールを利用した。しかしながら、PfuTurbo(Stratagene)は、メーカーに推奨されるプロトコールのポリメラーゼとして用いられた。
クローニング
pET30構築物およびpASK−IBA3構築物についてのPCR産物を、Qiagen PCR精製キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製した。産物およびベクターを、NdeI/XhoI(pET30a)またはBsaI(pASK−IBA3)で消化し、その後、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルから精製した。消化したベクターおよび挿入断片は、Rapid(商標)DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いてライゲーションした。約50ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ、および1×ライゲーション緩衝液を室温で20分間インキュベートした。ライゲーション混合物を、TOP10化学的コンピテントイー・コリ細胞中に形質転換し、適切な抗生物質を含有するLB平板上で平板培養した。pET22構築物についてのPCR産物は、QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製し、pCR−Blunt II−TOPO(Invitrogen)中にクローニングした。挿入断片配列は、検証し、pET−22b(+)(Novagen、Madison、WI)のNcoI制限部位およびBamHI制限部位の中へBamHI/PciI断片としてクローニングした。
プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、ジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した(Agencourt、Beverly、MA)。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen、Madison、WI)中に形質転換した。BL21(DE3)中でのpET30構築物およびpET22構築物の誘発は、Overnight Express IIプロトコール(Novagen、Madison、WI)を用いて行った。pASK−IBA3構築物の誘発はメーカーのプロトコールに従って行った。細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従って、ベンゾナーゼヌクレアーゼを含有するNovagen BugBuster(商標)試薬中に細胞ペレットを懸濁させることによって一晩培養物から調製した。上清(細胞抽出物)は、可溶性タンパク質の分析および発現パーセントの評価のために4〜15%勾配ゲル上に装填した。全タンパク質アッセイは、標準物質としてBSAを用いて、Bio−Radキット(Bradfordアッセイ法)を用いて進めた。C末端HisタグBARは、十分に発現し、可溶性であり、N末端Hisタグタンパク質に対して有意に改善した。しかしながら、pASK−IBA3 Strepタグタンパク質は、全タンパク質または可溶性画分中で十分に発現するようには考えられなかった。C末端HisタグBARは、Novagen His−Bindカラムを用いて精製し、溶出の後になお可溶性であるように考えられた。しかしながら、一晩のイミダゾール中での−80℃での保存に際して、タンパク質は融解の際に沈殿した。したがって、タンパク質は細胞性抽出物中でアッセイした。タンパク質がイミダゾール溶出緩衝液からより適切に取り出された場合、タンパク質は可溶性のままであろうということが期待される。
細胞抽出物は以下のプロトコールを用いて、トリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。1mL反応は、50mMリン酸カリウム(pH8.0)、10μM PLP、および30mM Lトリプトファン中で行った。反応は、約200μgのラセマーゼ酵素の追加によって開始し、一晩30℃で5分間、30分間、120分間、および一晩インキュベートした。3パーセントのギ酸を、反応を停止させるために各時点で追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。試料は1:10に希釈し、実施例1に記載されるキラルアミノ酸法によってD−トリプトファンについて分析するまで−80℃で凍結させた。このアッセイでは、内部標準物質は用いられず、半定量分析となった。タグなしP.プチダKT2440 BARを同じ方法で調製し、ポジティブコントロールとして用いた。精製BAR(実施例4Eからの)もまたポジティブコントロールとして用いた。結果を下記の表26に示す。
Figure 2015211679
pASK−IBA3細胞抽出物は、発現が非常に乏しかったので、通常活性が検出不可能であったまたは期待どおり活性が低かった。C末端Hisタグ酵素および周辺質タグBAR酵素は、KT2440に由来するタグなしBAR酵素と等しいまたはそれよりも大きな活性を明らかに有する。反応は、2時間までに、周辺質タグBARについては30分間までに通常平衡状態に達した。反応は異なる量の酵素を用いて繰り返した。傾向は一貫しており、周辺質KT2440 BARはタグなしBARに類似するまたはそれよりも大きな活性を有する。活性は、アッセイに追加した細胞性抽出物の量に伴って直線的に高くならないことが注目された。しかしながら、BugBuster緩衝液中に阻害性のものがあるまたは濃度の増加が酵素の凝集を引き起こす可能性がある。アッセイは、他に記載されるようにPD−10カラムを用いてタンパク質を脱塩し、10μM PLPを含有する50mMリン酸カリウム緩衝液pH8中に溶出した後に繰り返した。界面活性剤およびTris緩衝液(Bugbusterから)の除去は、より多くの容量の細胞抽出物をアッセイに利用した場合、結果を改善するように考えられる。
細胞性抽出物を、C末端HISタグKT2440 BAR酵素についてさらに調製した。期待どおり、溶出緩衝液に由来するイミダゾールをPD−10カラムを用いて直ちに除去すると、タンパク質は溶液中に残存していた。SDS−PAGEによる分析は期待された分子量の高度に精製されたバンドを示した。精製C末端HISタグタンパク質を上記のように再アッセイし、凍結の前および後の双方で野生型(タグなし)BAR酵素と比較した。双方の場合で、Cタグ精製酵素はタグなしタンパク質に匹敵する活性を示した。
Technical University of Denmark(www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)のSignal P 3.0 Serverを用いる分析により、このラセマーゼについての、長さが24アミノ酸のリーダー配列が予測される。
4I:P.プチダNBRC12996 BARのクローニング
P.プチダNBRC12996 BAR配列は、株KT2440に由来する上記に記載されるBARタンパク質とDNAレベルで91%同一およびタンパク質レベルで94%同一である。P.プチダのNBRC12996株は、日本のNITE(National Institute of Technology and Evaluation)Biological Resource Centerから得た。プライマーは、実施例4Eに記載されるP.プチダKT2440 BAR遺伝子のクローニングに用いたプライマーと同じものとした。株は、ペプトン10g、酵母抽出物2g、MgSO4・7H2O 1g、蒸留水1L、寒天15g、pH7.0を含有する培地上で成長させた。細胞はペトリ皿からこすり取り、400μLの脱イオン化し、加圧滅菌したHO中に再懸濁させた。この細胞懸濁液を鋳型としてPCR反応に用いた。結果として生じたPCR産物はQIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製し、BamHIおよびNdeIで消化した。消化DNAを1%アガロースゲル上で走らせ、最も目立つバンドをゲルから切り抜いた。DNAはQIAquick(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製した。結果として生じた断片は、上記に記載されるようにNdeIおよびBamHIで消化し、精製したpET30にライゲーションした。ライゲーションしたものは、TOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に形質転換し、50μg/mLカナマイシンを補足したLB平板上で平板培養した。単離コロニーは、画線培養し、精製し、プラスミドプレップの培養を開始するために用いた。挿入断片の存在を確認するために、プラスミドをゲル上で走らせた。挿入断片を有するプラスミドを、配列決定のためにAgencourt(Beverly、MA)に送付した。適正な配列を有する単離物を同定し、後の研究に用いた。
NBRC12996 BAR DNA配列は(配列番号127):
atgccctttcgccgtaccctcctggctgcatccctcgctctgctgatcactggccaggccccgctgtacgccgcaccgcccctgtcgatggacaacggcaccaccgccctgaccgcgcagaacagcaacgcctgggtcgaaatcagtgccggcgcactgcaacacaacatccgtaccttgcaggccgagttgggcggcaagtccaagctgtgcgccgtgctcaaggccgacgcctatggccacggtatcggcctggtgatgccgtcgatcatcgcccagggcgtgccctgcgtggcggtggccagcaacgaggaggcacgcgtggtccgcgccagtggcttcaccgggcaactggtgcgggtacgcctggccagcctcggcgaagtggaagatgccttgcagtacgacatggaagagctggttggcagcgccgagttcgcccgccagctcgatgccatcgccgaacgccacggcaagaccctgcgcattcacatggcgctcaattccagcggcatgagccgcaacggcgtggaaatgaccacctggtccggccggggtgaagcgctgcagatcactgaccagaagcacctccagctggtcgcgctgatgactcacttcgccgtggaagacaaggacgatgtgcgcaaaggcctggcagcgttcaacgaacagaccgactggctgatcaagcacgcgaagcttgatcgcagcaagctcaccctgcatgccgccaactccttcgctacgctggaagtgccggaagcgcacctggacatggtgcgtaccggtggcgcgctgttcggcgacaccgtgccgacgcgcaccgaataccaacgtgtcatgcagttcaagtcgcacgtggcggcggtgcacagctacccggcaggcaacaccgtcggctacgaccgcaccttcaccctggcgcgtgattcgcgcctggccaacatcaccgtgggttactccgatggctaccgccgggtgttcaccaacaagggccatgtgctgatcaacggccaccgagtgccagtggtgggcaaggtgtcgatgaacaccttgatggtcgatgtcaccgatttccccgatgtgaaggggggcaacgaagtggtgctgttcggcaaacaggccgggagggagatcacccaggccgagatagaagaaatcaacggcgcgctgctcgccgacctctacaccgtatggggcagttccaacccgaagatactcgtcgactgaである。
NBRC12996 BARアミノ酸配列(配列番号128)は、
MPFRRTLLAASLALLITGQAPLYAAPPLSMDNGTTALTAQNSNAWVEISAGALQHNIRTLQAELGGKSKLCAVLKADAYGHGIGLVMPSIIAQGVPCVAVASNEEARVVRASGFTGQLVRVRLASLGEVEDALQYDMEELVGSAEFARQLDAIAERHGKTLRIHMALNSSGMSRNGVEMTTWSGRGEALQITDQKHLQLVALMTHFAVEDKDDVRKGLAAFNEQTDWLIKHAKLDRSKLTLHAANSFATLEVPEAHLDMVRTGGALFGDTVPTRTEYQRVMQFKSHVAAVHSYPAGNTVGYDRTFTLARDSRLANITVGYSDGYRRVFTNKGHVLINGHRVPVVGKVSMNTLMVDVTDFPDVKGGNEVVLFGKQAGREITQAEIEEINGALLADLYTVWGSSNPKILVDである。
Signal P 3.0プログラム(www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)を用いる分析により、このラセマーゼについての、長さが24アミノ酸のシグナルペプチドが予測される。
NBRC12996BARのアッセイ
pET30 NBRC12996 BARをBL21 DE3 pLysSコンピテント細胞中に形質転換し、タンパク質を発現させ、無細胞抽出物を、実施例4Eに記載されるように調製した。精製KT2440 BAR(実施例4Eに記載)(100μg)を12996BAR(100μLの無細胞抽出物)と比較した。結果を下記の表27に示す。
Figure 2015211679
NBRC12996 BARは、トリプトファンのラセミ化のための活性を有する。NBRC BARを本実験のために精製していなかったまたは定量していなかったので、KT2440 BARの活性をNBRC12996 BARと定量的に比較することは可能ではない。
「Tryptophan Racemase Derived from Broad Specificity Amino Acid Racemase by Directed Evolution」(M.Sato、M.Yoneyama、K.Kirimura、およびK.Kino、10th International Symposium on the Genetics of Industrial Microorganisms、Prague、June 24〜28 206)と題するポスターは、このタンパク質のI384M変異体がより高いトリプトファンラセマーゼ活性をもたらすであろうということを示唆した。K.Kino、M.Sato、M.Yoneyama、およびK.Kirimura、Appl Microbiol Biotechnol(2007年)73:1299〜1305頁もまた参照されたい。
突然変異誘発は、タグなしタンパク質をもたらすpET30で12996BAR遺伝子を用いて、QuickChange−Multi部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて行った。以下の突然変異誘発性プライマーはI384M変化を加えるために用いた。5'-ACCCAGGCCGAGATGGAAGAAATCAACG-3'(配列番号129)。
部位特異的突然変異誘発は、メーカーのプロトコールに記載されるように行った。数種の単離物は配列決定し(Agencourt、Beverly、MA)、適正な配列を有する単離物は、さらなる分析のために選択し、用いた。プラスミドはBL21(DE3)(Novagen、Madison、WI)コンピテント細胞中に形質転換した。組換えタンパク質は、メーカーのプロトコールに従って、50μg/mLカナマイシンを含有するOvernight Express II培地(Novagen、Madison、WI)中で生成した。無細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従ってBugBuster(Novagen、Madison、WI)を用いて調製し、脱塩し、上記に記載されるExperion法を用いて、標的タンパク質の発現パーセントについて分析した。
全タンパク質アッセイはPierce BCAキット(Rockford、IL)を用いて行った。変異体酵素を用いるトリプトファンラセマーゼアッセイは、ポジティブコントロールと同じ方法で調製した野生型酵素を用いて行った。アッセイは1mL当たり次のものを含有した:30mM L−トリプトファン、50mMリン酸カリウムpH8、10μM PLP、および無細胞抽出物中、約100μgのラセマーゼタンパク質。100μgを用いなかった(Experion発現%およびPierceの全タンパク質数に基づく)場合、結果は標準化した。0、30分間、2時間、および一晩の試料を収集し、2%ギ酸を用いて処理し、濾過し、かつ実施例1に記載されるキラルアミノ酸法を用いる分析のために1:10に希釈した。
未精製タンパク質を利用したので、完全に定量的ではないが、データは、I384M突然変異が酵素の活性に有意に影響を与えるように考えられなかったことを示唆する。
4J:ビブリオ・フィシェリアラニンラセマーゼのクローニングおよび発現
実験概要
ビブリオ・フィシェリの推定上のアラニンラセマーゼ(Genbankタンパク質受入番号AAW85230.1またはYP_204118)をコードする遺伝子をクローニングし、発現させ、D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換での活性について試験した。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
ビブリオ・フィシェリ・ゲノムDNA(ATCC700601D)を鋳型としてアラニンラセマーゼ遺伝子のPCR増幅に用いた。プライマーは、株ES114(CP000020.1 GI:59478708の(NC_006840としても挙げられる)領域800842..802053)からの公開遺伝子配列に基づいて設計した。ポリメラーゼ連鎖反応は、pET28ベクターおよびpET30ベクター(Novagen、Madison、WI)中にクローニングするために5’制限部位およびオーバーハングを用いて設計したプライマーを用いてゲノムDNAに対して行った。
プライマー配列:
N末端:
5'-GCGGCCCATATGAAGTTTACTAAATGTGCAT-3'(配列番号130)および
C末端:
5'-GGCCGCGGATCCCTATTTGTAGATCTTAGGATTTG-3'(配列番号131)。
V.フィシェリからの遺伝子は、以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。2μLのゲノムDNA(100ng/μL)をPCRのための鋳型として用いた。100μLの反応中、2μL鋳型(ゲノムDNA 100ng/μL)、0.5mLの各プライマー(100μMストック溶液)、0.3mM各dNTP(Roche dNTPミックス(Roche、Indianapolis、IN))、1μL Pfu Turbo Polymerase(Stratagene)、および1×Pfu緩衝液(Stratagene)。用いるサーモサイクラープログラムは、3分間95℃でのホットスタート、以下の工程の10回の繰り返し:30秒間94℃、45秒間52℃、および3分間72℃、その後、以下の工程の20回の繰り返し:30秒間94℃、45秒間55℃、および3分間72℃を含んだ。20回繰り返した後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールにより1.2kbの産物を生成した。
クローニング
PCR産物は、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。産物は、TOPOクローニングし、メーカーのプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従ってTOP10細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、汎発性のM13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いてジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証し、配列は、上記に挙げた受入番号と同一であることが分かった。
適正なTOPOクローンは、メーカー推奨のプロトコール(New England Biolabs、Beverly、MA)に従って、制限酵素NdeIおよびBamHIを用いて消化し、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。ベクターpET28およびpET30は、制限酵素NdeIおよびBamHIを用いた消化により調製し、その後、エビアルカリフォスファターゼを用いる処理(Roche、Indianapolis、IN)およびQiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いる0.8%TAE−アガロースゲルからの精製が続いた。
消化したベクターおよび挿入断片は、Rapid(商標)DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いてライゲーションした。約50ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ、および1×ライゲーション緩衝液を室温で5分間インキュベートした。ライゲーション反応は、イー・コリTOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)を形質転換するために用いた。3μLの各ライゲーション反応物を40μLのTOP10細胞に追加し、これらの細胞を42℃での30秒間の熱ショックパルスを用いて形質転換し、その後、5分間の氷上でのインキュベーションを続けた。細胞を、225rpmで振盪させながら37℃で1時間250μLの室温のSOC培地中で回復させた(Sambrook,J.らMolecular Cloning:A Laboratory Manual 第2版、Plainview、NY、(1989年)、1.76〜1.81&A.2))。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)pLysS(Novagen、Madison、WI)中にサブクローニングした。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagenミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。
BL21DE3中での誘発は、pET28(タグ付き)ベクターおよびpET30(タグなし)ベクターで行った。時間的経過研究は、37℃で、カナマイシン(50mg/L)を含有する100mL LB中で0.5のOD600まで成長させた培養物を用いて行い、100mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発後、0および3時間にサンプリングした。0時間および4時間の時点からの細胞は、2−メルカプトエタノールを含有する1×ドデシル硫酸ナトリウム緩衝液中に再懸濁し、10分間95℃で加熱し、冷却した。これらの全細胞タンパク質試料のアリコートを、4〜15%勾配ゲルを用いてSDS−PAGEによって分析した。
細胞抽出物は、さらに、ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)を含有するNovagen BugBuster(商標)試薬中の5mLの培養物からの細胞ペレットを緩やかに振盪させながら20分間室温で懸濁させることによってならびに細胞片を除去するために16,000xgで遠心分離することによって4時間培養物から調製した。上清(細胞抽出物)は、細胞可溶性タンパク質の分析のために4〜15%勾配ゲル上に装填した。クローニングしたV.フィシェリアラニンラセマーゼからの4時間試料は、pET28(タグ付き)ベクターおよびpET30(タグなし)ベクター中の適正なサイズ(約45kDa)に相当する全タンパク質バンドを示した。
誘発した培養物(100mL)からの細胞は、遠心分離し、0.85%NaClを用いて1回洗浄した。細胞ペレットは、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)および1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼを含有する5mL/湿細胞重量gのBugBuster(商標)(Novagen、Madison、WI)試薬中で再懸濁させた。試料は、オービタルシェーカー上で20分間室温でインキュベートした。不溶性細胞片は、4℃で20分間16,000xgでの遠心分離によって除去した。
細胞抽出物は以下のプロトコールを用いて、トリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。1mL反応は、0.05mM PLPおよび30mM Lトリプトファンを有する50mMリン酸カリウム(pH8.0)中で行った。反応は、無細胞抽出物(または精製ポジティブコントロールラセマーゼ)の追加によって開始し、一晩30℃でインキュベートした。試料のアリコートは一晩のインキュベーションの後に測った(0分間の試料はコントロール反応物として取り扱った)。濃縮ギ酸(5μL)は、反応を停止させるために各250μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。上清は、取り出し、実施例1のキラルアミノ酸法によってD−トリプトファンについて分析するまで−80℃で凍結させた。
100mM IPTGを用いたpET28およびpET30の誘発からの細胞抽出物からのアッセイ結果(3時間)は、V.フィシェリクローンがL−トリプトファンに対してラセマーゼ活性を示し、実施例4Eで生成されたポジティブコントロールKT2440 BAR精製ラセマーゼのように、D−トリプトファン生成をもたらすことを実証する。各チューブに等価な量のラセマーゼタンパク質を追加することをすべて試みた。アッセイの条件下で、発明者らは、V.フィシェリラセマーゼがpET28(Hisタグ)に対してpET30(タグなし)中にクローニングされた場合、より高いD−トリプトファン生成を観察した。結果を表28に示す。当業者は、ふさわしい折りたたみを確実にすること、可溶性発現および安定性の増加、ならびに他のところで記載される突然変異誘発法を通して、V.フィシェリラセマーゼの酵素活性を改善することができるかもしれない。
Figure 2015211679
4K:フォトバクテリウム・プロファンダムBAR相同体のクローニング
2種のP.プロファンダムBAR相同体のアミノ酸配列を公的データベース(NCBI)から得た。CR378673(ヌクレオチド342444..343658)の推定上のアラニンラセマーゼコード配列をプライマーから構築した。アミノ酸配列(NCBI受入番号CAG21670)は、GeneComposerソフトウェアパッケージ(バージョン1.0、Emerald Biosciences、Bainbridge Island、WA)を用いて最適なDNA配列を設計するために用いた。CR378673最適化DNA配列(配列番号132)は以下の通りである。
atgaagctgaagctgagcctggtcgccctggcactgatgggtcagactactgctaatgccgcaccactgctggtggacttcgataacaatgagcgtgaggaacgtgtgcaaagctctaatgcgtggctggagattgatacccaagcattcagtggcaatattcagttactgcagaaccaactgaaagccgacaccaagatctgtgcgattatgaaggcggatgcatacggtaatggcattgccggcttgatgcctagtatcattgctaaccaagtgccttgtgttggtatcaccagcaatgaggaagcgcgggtggttcgtaaacatggctttattgggaagatcatgcgtgtccgtgcagcctcgaagaatgaaattgagggtggcttgcagtaccagatggaagaattgatcggtacgaaggctcaagccgatcaaatcatcgaaattgcacgcgcaaatggcacgacgattccggttcatttagccttgaatacaagcggcatgggccgcaacggtctggacctgacgacctacgaaggccaagttgaaggtgtagagattgctggcgatccaaacctggagattgtcggcatgatgactcatttcccgaacgagggactggacgaaatcaaacggaaagtcaaacgtttcaaagtagaaacgaaatggttaatggattccactgacttgaagcgcaaagatgtgacgctccacgtcgcaaacagctatatcaccttgaatctgcctgaagcgcatctggatatggtacgcccaggtggcatgctgtatggcgactatccggcgacagcgccgtatcagcgtatcgtaagcttcaagacccacgttgcctctttgcaccactttccggctggctcaaccattgggtacggatctaccgctgttctggaacgtgattcagttctggctaatctgccgattggctattcggatggcttcgcgcgctcgttaggaaataaagccgaagtcctgattaacggccagcgtgcgcgcgtcatgggtatggtcagtatgaacacgacgatggtcgatgtaacggatattgtggatgttcagaccaatgaagaagtcgtgatctttggccgccagggtttcgaagagattacgggcgaggagacggaagagaagtctaatcgtattcttccggaacattacactgtgtggggcgccacaaacccgcgtatttatcgctaa。
プライマーは、全配列ならびにコード鎖および非コード鎖を包含するように設計した。配列は、以下のプライマーを最終的な増幅に用いて実施例10でのように構築した。5'-agaagacatatgaagctgaagctgagcc-3'(配列番号133)および5'-agaagaggatccttagcgataaatacgcggg-3'(配列番号134)。結果として生じたPCR産物は、Zero Blunt TOPO PCRクローニングキット(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いてpCR−BluntII−TOPO中にクローニングした。挿入断片を有するプラスミドを、配列決定のためにAgencourt(Beverly、MA)に送付した。適正な配列を有するプラスミドを同定し、続くクローニング工程に用いた。適正な配列を有するTOPO単離物をNdeIおよびBamHIを用いて消化し、消化物を1%アガロースゲル上で走らせ、適正な断片をゲルから切り抜いた。DNAはQIAquick(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製した。結果として生じたDNA断片は、上記に記載されるように消化し、精製したpET30にライゲーションした。挿入断片を有するクローンを、単離し、配列決定のためにAgencourt(Beverly、MA)に送付した。適正な配列を有するクローンを単離し、さらなる研究に用いた。
P.プロファンダムに由来する推定上のアラニンラセマーゼ(タンパク質配列受入番号CAG23797)をコードするCR378681(ヌクレオチド60191.. 61408)遺伝子は、以下のプライマーを最終的な増幅に用いて、上記と同じ方法で単離した。(5'-GGCCTTGGCATATGAACTTTAAGATGACTCTG-3'(配列番号135)および5'-TTCCAATTGGATCCTTACTTCAGGTAGTAACGCGGATTC-3'(配列番号136))。
最適化CR378681ラセマーゼのDNA配列(配列番号137)は次の通りである。
ATGAACTTTAAGATGACTCTGTTAAGCCTGGCCATTACATTCCCGAGCTTCAGCATCTATAGCGCGCCACTGGTCATTGATCAGAACCTGCCAAGCGAACAGTCGATTCAGCAAAGCAACAGCTGGCTGGAAGTTAGCCTGGGCCAGTTTAAATCCAATATTGAACAATTTAAATCTCATATTAAAGCCGATACTAAGATTTGTGCCGTTATGAAAGCCGATGCATACGGCAATGGCATCTTCGGTCTGATGCCGACAATTCTGGAACAGCAAATCCCATGCGTGGCGATTGCAAGTAACGCGGAAGCTCGCGCTGTGCGTGAAAGCGGGTTTAAGGGCCAGCTGCTGCGTGTCCGCAGCGCGAGCTTAGGCGAGATTAAACAGTCACTGGACCTGAACATTGAAGAACTGATCGGCTCACATCAGCAGGCGAAGTTCATTGCAGAGCTGGGTGTAGAACGTAATCAGAAGATTAACGTTCATTTAGCTCTGAACGACGGAGGGATGGGTCGCAATGGGATCGATATGTCTACCGAACAAGGCAAAGCCGAGGCCCTCGACATCGCGACCCAGGCAAATCTGAACATTGTTGGTATTATGACTCACTTCCCGAACTATAATGCGGATAAAGTGCGTGTGAAGCTGAAAGACTTCCAGACAAACTCCAGCTGGCTGATCAAGCAGGCGGATCTGAAGCGCGATGAACTCACGCTCCACGTGGCCAACAGCTATGTGTCCATTAATGTTCCAGAAGCGCAACTGGATATGGTTCGCCCGGGCGGCGTGCTGTATGGCGATCTTCCGACCAATCCGGAATATCCGAGCATCGTATCGTTCAAGACGCGGATTGCGTCAATTCACCAGCTGCCAGCATCCCAGACCGTGGGCTACGATTCGACCTATATTACGAAACGTGATAGCGTTCTGGCAAACCTGCCAGTCGGCTACAGTGATGGCTATCCGCGCCGTATGGGTAATCAGGCTGATGTGATTATCAACGGACAACGCGCCAAAGTGGTGGGTGTGACCAGCATGAATACTAGTATCGTCGATATTACCGATATTAAAGGCGTTAAACAGGGTCAAGAAGTTACCCTGTTTGGCAAGCAGAAGAATGTGCAGATTAGCGTGGCCGAAATGGAGGATTATTCGAAGTTAATCTTCCCGGAACTGTACACCATGTGGGGTCAGGCGAATCCGCGTTACTACCTGAAGTAA(配列番号137)。
プラスミドをBL21 DE3 pLysSに形質転換し、この株を発現に用いた。プラスミドを有する株を約0.6のOD600まで成長させ、発現を1mM IPTGを用いて誘発した。通気をしながらの30℃(CR378681)または26℃(CR378673)でのインキュベーションの後に、細胞ペレットを遠心分離によって採取し、細胞ペレットを−80℃で凍結させた。細胞ペレットは、氷上で解凍し、細胞は、適切な容量のBugBusterおよびBenzonaseヌクレアーゼ(製品挿入物を参照されたい)(Novagen、Madison、WI)を用いて溶解させた。溶解物は細胞片を除去するために遠心分離し、結果として生じた無細胞抽出物をラセマーゼアッセイに用いた。これらの条件下で、D−trpへのL−trpの変換を検出することはできなかった。酵素はまた、界面活性剤を無細胞抽出物から除去した場合でさえ、トリプトファンについての上記と同様の方法でアッセイした場合、D−アラニンへのL−アラニンの変換を触媒するようにも考えられなかった。アッセイで生成されたD−アラニンのレベルは、過剰発現ラセマーゼ遺伝子なしの細胞性抽出物と比較して類似しており、D−トリプトファンのバックグラウンド生成が内因的なイー・コリアラニンラセマーゼによるものであったことを示した。酵素は、十分に発現するようには考えられなかった、また、活性は、発現が増強される場合または当業者らに知られている突然変異誘発法によって酵素が改善される場合、検出される可能性がある。タンパク質活性はまた、生成されたラセマーゼ酵素の多くが、可溶性であるようには考えられず、きわめて容易に凝集したまたは沈殿したので、ふさわしい折りたたみを促すことができる方法によって増強される可能性がある。酵素活性は、不適当な折りたたみまたはピリドキサール−5’−リン酸補助因子の不適当な挿入により検出するのが困難となる可能性がある。ふさわしい折りたたみまたは補助因子の挿入を促すことは酵素活性を非常に増強する可能性がある。
4L:シュードモナス・タエトロレンスアルギニンラセマーゼのクローニングおよび発現
実験概要
シュードモナス・タエトロレンス(P.グラベオレンスとしても知られている)アルギニンラセマーゼ(Genbank受入番号AB096176、核酸配列)およびそのI384M変異体は、クローニングし、発現させ、D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換での活性について試験した。この遺伝子は、上記に記載される、KT2440に由来するP.プチダBAR遺伝子に72%同一であり、NBRC12996に由来するP.プチダBAR遺伝子に73%同一である。アミノ酸配列は双方のP.プチダBARタンパク質に72%同一である。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
シュードモナス・タエトロレンス(ATCC4683)は、225rpmで振盪させながら28℃で栄養ブロス中で成長させた。ポリメラーゼ連鎖反応は、pET28ベクターおよびpET30ベクター(Novagen、Madison、WI)中にクローニングするために5’制限部位およびオーバーハングを用いて設計したプライマーを用いて全細胞に対して行った。
プライマー配列は次の通りであった。
N末端:5'-ATAATACATATGCCCTTCTCCCGTACCC-3'(配列番号138)および
C末端:5'-GCGGCGGGATCCTTACTGATCTTTCAGGATT-3'(配列番号139)。
P.タエトロレンスに由来する遺伝子は、以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。25μLの成長させた細胞を10分間96℃で溶解した。細胞片は、遠心分離によって除去し、上清はPCRのための鋳型として用いた。100μL反応は、5μL鋳型(溶解した細胞の上清)、1.6μMの各プライマー、0.3mM各dNTP、10U rTth PolymeraseXL(Applied Biosystems、Foster City、CA)、1×XL緩衝液、および1mM Mg(OAc)を含有した。用いるサーモサイクラープログラムは、3分間94℃でのホットスタート、以下の工程の8回の繰り返し:30秒間94℃、30秒間52℃、および2分間68℃、その後、以下の工程の22回の繰り返し:30秒間94℃、30秒間58℃、および2分間68℃を含んだ。22回繰り返した後、試料は、7分間68℃での維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールにより1230bpの産物を生成した。
クローニング
PCR産物は、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。産物は、TOPOクローニングし、メーカーのプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従ってTOP10細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、汎発性のM13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いてジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。
適正なTOPOクローンは、メーカー推奨のプロトコール(New England Biolabs、Beverly、MA)に従って、制限酵素NdeIおよびBamHIを用いて消化し、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。ベクターpET28およびpET30は、制限酵素NdeIおよびBamHIを用いた消化により調製し、その後、エビアルカリフォスファターゼを用いる処理(Roche、Indianapolis、IN)およびQiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いる0.8%TAE−アガロースゲルからの精製を続けた。消化したベクターおよび挿入断片は、Rapid(商標)DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いてライゲーションした。約50ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ、および1×ライゲーション緩衝液を室温で5分間インキュベートした。ライゲーション反応は、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いて脱塩し、イー・コリDH10Bエレクトロコンピテント細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)を形質転換するために用いた。10μlの各ライゲーション反応に、40μLのDH10B細胞を追加し、以下の条件下でBioRad Gene Pulsar IIを用いてエレクトロポレーションによって形質転換した:0.2cmキュベット中2.5kV、25μF、200オーム。細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で1時間、1mLの室温SOC中で回復させた。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)pLysS(Novagen、Madison、WI)中に形質転換した。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagenミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。
BL21DE3 pLysS中での誘発は、pET28ベクター(ヒスチジンタグ付き)およびpET30(タグなし)ベクターの双方で最初に行った。時間的経過研究は、カナマイシン(50mg/L)を含有する100mL LB中で0.5のOD600まで37℃で成長させた培養物を用いて行い、100μM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発後、0および3時間にサンプリングした。0時間および3時間の時点からの細胞は、2−メルカプトエタノールを含有する1×ドデシル硫酸ナトリウム緩衝液中に再懸濁し、10分間95℃で加熱し、冷却した。これらの全細胞タンパク質試料のアリコートを、4〜15%勾配ゲルを用いてSDS−PAGEによって分析した。
細胞抽出物は、さらに、ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)を含有するNovagen BugBuster(商標)試薬中の5mLの培養物からの細胞ペレットを緩やかに振盪させながら20分間室温で懸濁させることによってならびに細胞片を除去するために16,000xgで遠心分離することによって3時間培養物から調製した。上清(細胞抽出物)は、細胞可溶性タンパク質の分析のために4〜15%勾配ゲル上に装填した。
クローニングしたP.タエトロレンスアルギニンラセマーゼからの3時間試料は、pET30(タグなし)ベクター中の適正なサイズ(約45kDa)に相当する全タンパク質バンドを示した。P.タエトロレンスpET30遺伝子産物は、P.タエトロレンスpET28(ヒスチジンタグ付き)遺伝子産物よりも高いレベルで過剰発現したが、どちらのベクターからも目に見える可溶性タンパク質バンドは生じなかった。
誘発した培養物(100mL)からの細胞は、遠心分離し、0.85%NaClを用いて1回洗浄した。細胞ペレットは、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)および1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼを含有する5mL/湿細胞重量gのBugBuster(商標)(Novagen、Madison、WI)試薬中で再懸濁させた。試料は、オービタルシェーカー上で20分間室温でインキュベートした。不溶性細胞片は、4℃で20分間16,000xgでの遠心分離によって除去した。
細胞抽出物は以下のプロトコールを用いて、トリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。1mL反応は、50mMリン酸カリウム(pH8.0)、0.05mM PLP、および30mM Lトリプトファン中で行った。反応は、無細胞抽出物の追加によって開始し、一晩30℃でインキュベートした。試料アリコートは一晩のインキュベーションの後に測った(0分間の試料はコントロール反応物として取り扱った)。濃縮ギ酸(5μL)は、反応を停止させるために各250μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。上清は、取り出し、実施例1に記載されるキラルアミノ酸法によってD−トリプトファンについて分析するまで−80℃で凍結させた。
100μM IPTGを用いたpET28およびpET30の誘発からの細胞抽出物からのアッセイ結果(3時間)は、P.タエトロレンスクローンがL−トリプトファンに対してラセマーゼ活性を示すことを実証する。さらに、BARのタグ付きバージョンはそれほど活性ではないように考えられ、沈殿する可能性があるまたはタグなし(pET28)ほど可溶性ではない可能性がある。可溶性の非常に乏しいタンパク質が得られたので定量的ではないが、下記の表29に最初の結果を示す。
Figure 2015211679
pET30(タグなし)構築物の誘発は、上述と同じ条件を用いて繰り返し、目に見える可溶性タンパク質バンドはSDS−PAGE上で観察された。アッセイは、上記に記載される同じ条件を用いて繰り返し、結果は、表30に示すように得られた。
Figure 2015211679
さらに、容量を倍増しても活性は上がらなかったことが注目された。その後の作業については、細胞抽出物の調製の後にBugbusterからタンパク質をできるだけ速く除去し、かつ0.01mM PLPを含有する50mMリン酸緩衝液pH8にタンパク質を保存することを決定した。Bugbuster中の界面活性剤は、反応を阻害する可能性があるまたは保存に際して活性の損失を引き起こす可能性がある。
pET30構築物の誘発をもう一度実行し、細胞抽出物は、より純粋な抽出物を生じさせるために陰イオン交換クロマトグラフィー(実施例4Eでのように)を用いて処理した。アッセイは、この部分的に精製したプレップを用いて繰り返した。下記の表31のラセマーゼ抽出物の列の括弧中の数は、アッセイで用いた部分的に精製したラセマーゼ酵素のおよその量を示す。アッセイの結果を下記の表31に示す。
Figure 2015211679
この場合の一晩の試料が非直線性であるのは、おそらく、反応が平衡に達しているという事実による。明らかに、P.タエトロレンスBARは、12996 BARおよびKT2440 BARのように、トリプトファンのラセミ化に対して著しい活性を有する。KT2440 BARおよびP.タエトロレンスBARは、12996 BARよりもわずかに高い、同様の活性を有するように考えられる。
P.タエトロレンスアルギニンラセマーゼのDNA配列は、配列番号140として下記に示す。PCR配列は、公開NCBI配列と比較して2つの変化を生じていた。特に、PCR配列は、位902にグアニンではなくアデノシンを、かつ位921にグアニンではなくシトシンを含有した。これらのDNA変化はさらに、1つのサイレント突然変異およびアミノ酸位301でのグリシンからアスパラギン酸への1つの変化をもたらした。
ATGCCCTTCTCCCGTACCCTGCTCGCCCTTTCCCTTGGCATGGCATTGCTGCAAAACCCGGCCTTTGCTGCGCCACCCCTGTCGATGACCGACGGCGTAGCTCAAGTGAATACCCAGGACAGCAATGCCTGGGTCGAAATCAATAAAGCCGCGTTCGAGCACAACATACGGACTCTGCAAACCGCCCTCGCCGGCAAGTCGCAGATCTGCGCCGTACTCAAGGCGGATGCCTATGGCCACGGTATCGGCTTGTTGATGCCCTCGGTGATCGCCATGGGTGTTCCCTGTGTCGGTGTCGCCAGCAACGAAGAAGCCCGCGTCGTGCGCGAGAGCGGTTTCAAGGGTCAACTGATACGCGTGCGCACCGCTGCCCTGAGCGAACTGGAAGCTGCACTGCCGTACAACATGGAAGAGCTGGTGGGCAACCTGGACTTCGCGGTCAAGGCCAGCCTGATTGCCGAGGATCACGGTCGCCCGCTGGTGGTGCACCTGGGTCTGAATTCCAGCGGCATGAGCCGTAACGGAGTGGACATGACCACCGCTCAGGGCCGTCGTGATGCGGTAGCTATCACCAAGGTGCCAAACCTGGAAGTGCGGGCGATCATGACCCACTTCGCGGTCGAAGATGCTGCCGACGTGCGTGCCGGGCTCAAGGCCTTCAATCAGCAAGCCCAATGGCTGATGAACGTGGCCCAGCTTGATCGCAGCAAGATCACCCTGCACGCGGCCAACTCGTTCGCCACACTGGAGGTGCCCGAATCGCATCTGGACATGGTCCGCCCCGGCGGCGCGCTGTTCGGCGACACCGTACCGTCCCACACCGAGTACAAGCGGGTCATGCAGTTCAAGTCCCACGTGGCGTCGGTCAACAGCTACCCCAAGGGCAACACCGTCGGTTATGACCGCACGTACACCCTGGGCCGCGACTCGCGGCTGGCCAACATCACCGTCGGCTACTCTGACGGCTACCGCCGCGCGTTTACCAATAAAGGGATTGTGCTGATCAACGGCCATCGCGTGCCAGTGGTGGGCAAAGTCTCGATGAACACCCTGATGGTGGACGTCACTGACGCGCCGGATGTGAAAAGCGGCGATGAAGTGGTGCTGTTCGGGCACCAGGGCAAGGCCGAGATTACCCAGGCTGAGATCGAAGACATCAACGGTGCACTGCTTGCGGATCTGTATACCGTGTGGGGCAATTCCAACCCTAAAATCCTGAAAGATCAGTAA
(配列番号140)。
P.タエトロレンスアルギニンラセマーゼのアミノ酸配列は、配列番号204として下記に示す。
MPFSRTLLALSLGMALLQNPAFAAPPLSMTDGVAQVNTQDSNAWVEINKAAFEHNIRTLQTALAGKSQICAVLKADAYGHGIGLLMPSVIAMGVPCVGVASNEEARVVRESGFKGQLIRVRTAALSELEAALPYNMEELVGNLDFAVKASLIAEDHGRPLVVHLGLNSSGMSRNGVDMTTAQGRRDAVAITKVPNLEVRAIMTHFAVEDAADVRAGLKAFNQQAQWLMNVAQLDRSKITLHAANSFATLEVPESHLDMVRPGGALFGDTVPSHTEYKRVMQFKSHVASVNSYPKGNTVGYDRTYTLGRDSRLANITVGYSDGYRRAFTNKGIVLINGHRVPVVGKVSMNTLMVDVTDAPDVKSGDEVVLFGHQGKAEITQAEIEDINGALLADLYTVWGNSNPKILKDQ
(配列番号204)。
配列番号140の遺伝子によってコードされるタンパク質は、シグナルペプチド予測プログラムSignal P 3.0(www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)によって分析し、23個のアミノ酸のリーダー配列を予測した。
以下のPCRプライマー対を、リーダー配列のアミノ酸2〜23のないP.タエトロレンス遺伝子をクローニングするために用いた。
P.taetリーダーなし F NdeI:5'-GGTTAATTCATATGGCGCCACCCCTGTCGAT-3'(配列番号180)
P taetC末端Xho:5'-AAGTCGCTCGAGCTGATCTTTCAGGATTTTAG-3'(配列番号181)。
上記に示されるC末端プライマーはまた、P.プチダKT2440 BARについて実施例4Hに記載されるように精製を考慮した様式で野生型タンパク質を生成するために配列番号138と共に用いた。リーダーなしP.タエトロレンスラセマーゼは、完全長遺伝子の発現産物と比較して、発現した場合に、かなりの量の活性を失うことが分かった。周辺質および細胞質のタンパク質画分を、pET System Manual(Novagen、Madison、WI)に記載されるように野生型発現産物およびリーダーなし構成物について単離した。発現した野生型BARは、周辺質画分中に存在したが、リーダーなしBARの発現は有意に低下した。リーダーなしP.タエトロレンスBARの活性の損失は、細胞質中で発現した場合のプロセシングおよび/または折りたたみの変化によるものである可能性がある。
P.タエトロレンスBARのI384M突然変異誘発
突然変異誘発は、タグなしタンパク質をもたらすpET30中のP.タエトロレンスBAR遺伝子を用いて、QuickChange−Multi部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて行った。以下の突然変異誘発性プライマーはI384M変化を加えるために用いた。5'-TACCCAGGCTGAGATGGAAGACATCAACG-3'(配列番号141)。
部位特異的突然変異誘発は、メーカーのプロトコールに記載されるように行った。数種の単離物は配列決定し(Agencourt、Beverly、MA)、適正な配列を有する単離物は、さらなる分析のために選択し、用いた。
プラスミドはBL21(DE3)細胞(Novagen、Madison、WI)中に形質転換した。組換えタンパク質は、メーカーのプロトコールに従って、50μg/mLカナマイシンを含有するOvernight Express II培地(Novagen、Madison、WI)中で生成した。無細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従ってBugBuster(Novagen、Madison、WI)を用いて調製し、脱塩し、上記に記載されるExperion法を用いて、標的タンパク質の発現パーセントについて分析した。
全タンパク質アッセイはPierce BCAキット(Rockford、IL)を用いて行った。変異体酵素を用いるトリプトファンラセマーゼアッセイは、ポジティブコントロールと同じ方法で調製した野生型酵素を用いて行った。アッセイは1mL当たり次のものを含有した:30mM L−トリプトファン、50mMリン酸カリウムpH8、10μM PLP、および無細胞抽出物中、約100μgのラセマーゼタンパク質。100μgを用いなかった(Experion発現%およびPierceの全タンパク質数に基づく)場合、結果は標準化した。0、30分間、2時間、および一晩の試料を収集し、2%ギ酸を用いて処理し、濾過し、かつ実施例1に記載されるキラルアミノ酸法を用いる分析のために1:10に希釈した。
定量化は、粗溶解物を利用したといった事実により困難であった。野生型酵素は、I384M変異体と比較して、30分間および2時間の時点で同様の量のD−トリプトファンを生成するように考えられた。I384M変異体は、試験した条件下で、野生型のせいぜい約2倍の活性を有するように考えられた。アッセイを、実施例4Fでのようにモナチン生成について行った場合、I384Mは、試験した条件下で、野生型P.タエトロレンス酵素に対していかなる有益性をも提供するようには考えられなかった。
4M:ストレプトマイセス・セリカラーラセマーゼアッセイ
ストレプトマイセス種は、D−トリプトファンのごときD−アミノ酸を含有する、カルシウム依存性の抗生物質を生成することで知られている。トリプトファンが抗生物質中への取り込み前またはその後にラセミ化されるかどうかは知られていない。公的なストレプトマイセスゲノムは、シュードモナス種に由来する活性を有するアラニンラセマーゼに対して高度に相同なアラニンラセマーゼを含有していないが、実際に酵素が同様に広域特異性を有するかどうかを決定するためにクローニング作業を試みた。
ストレプトマイセス・ビオラセオルーバー(violaceoruber)(ATCC BAA−471はストレプトマイセス・セリカラーとして委託)をISP培地1(BDカタログ#276910、Franklin Lakes、NJ)中で成長させた。細胞を超音波処理によって溶解させ、細胞片を遠心分離によって除去した。無細胞抽出物をトリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした(L−トリプトファンで始めた)。試験した条件下で、D−trpへのL−trpの変換を検出することはできなかった。
ストレプトマイセス・セリカラーは、3種のアラニンラセマーゼを含有するとしてERGO(商標)で注解されている(NCBI受入番号NP_628903、NP_628089、およびNP_629139)。公開DNA配列はPCRによってS.セリカラーから増幅した。各遺伝子は、制限部位NdeIおよびBamHIを用いて、ベクターpET30の中にクローニングした。
プラスミドを発現宿主BL21 DE3中に形質転換した。タンパク質NP_628089およびNP_629139をコードするプラスミドを有する株を約0.6のOD600まで成長させ、発現を100μM IPTGを用いて誘発した。通気ありでの37℃のインキュベーションの後に、細胞ペレットを遠心分離によって採取し、−80℃で凍結させた。タンパク質NP_628903をコードするプラスミドを有する株を30℃でOvernight Express培地II中で成長させ、メーカーの指示(Novagen,Inc、Madison、WI)によって誘発した。細胞ペレットを遠心分離によって採取し、−80℃で凍結させた。
細胞ペレットは氷上で解凍し、細胞は、適切な容量のBugBusterおよびBenzonaseヌクレアーゼ(Novagen、Madison、WI)を用いて溶解させた。溶解物は細胞片を除去するために遠心分離し、結果として生じた無細胞抽出物は実施例4Eに記載されるようにラセマーゼアッセイで用いた。これらの条件下では、界面活性剤を細胞性抽出物から除去した場合でさえ、D−トリプトファンへのL−トリプトファンの変換を検出することができなかった。酵素はまた、組換えラセマーゼが存在しないイー・コリの細胞性抽出物と比較して、同様にアッセイした場合にL−アラニンからD−アラニンを生成するようにも考えられなかった。これらの酵素が誤って注解されているまたはそれらがアッセイされた条件下で非常に低い活性を有する可能性がある。しかしながら、酵素がイー・コリで正確に生成されなかった可能性もある。
4N:エルシニア・シュードツベルクロシスBAR相同体のクローニング
Y.シュードツベルクロシスBAR相同体は、St.Louis、MOのWashington UniversityのVirginia MillerおよびMatt Lawrenzから得たゲノムDNAからクローニングした(株YPIII)。用いたプライマーは以下の通りである:5’−gcggcgcatatgcacgttcgttttcgtc−3’(配列番号142)および5’−ggcggcgggatcccggtgaaataacttaatctac−3’(配列番号143)。遺伝子をPCRによってゲノムDNAから増幅し、QIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製した。断片はNdeIおよびBamHIを用いて消化した。消化物を1%アガロースゲル上で走らせ、ラセマーゼ断片はゲルから切り取った。DNAはQIAquick(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いてゲルから精製した。断片は、上記に記載されるように消化し、精製したpET30にライゲーションした。ライゲーションしたものは、TOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)に形質転換した。プラスミドDNAを単離し、挿入断片についてスクリーニングするために1%アガロースゲル上で走らせた。挿入断片を有する数種のプラスミド単離物を、配列決定のためにAgencourt(Beverly、MA)に送付した。適正な配列を有する単離物を選択し、発現株を作製するためにBL21 DE3 pLysSコンピテント細胞中に形質転換した。
発現株を約0.6のOD600まで成長させ、次いで、1mM IPTGを用いて誘発した。培養物を3時間37℃で成長させ、細胞ペレットを遠心分離によって採取した。細胞ペレットは使用まで−80℃で保存した。
細胞ペレットは、氷上で解凍し、細胞を溶解するために、適切な容量のBugBusterおよびBenzonaseヌクレアーゼ(製品挿入物を参照されたい)(Novagen、Madison、WI)中に再懸濁させた。細胞片を遠心分離によって除去し、結果として生じた無細胞溶解物を実施例4Eでのようにラセマーゼアッセイで用いた。抽出物は、検出可能なトリプトファンラセマーゼ活性を有するようには考えられなかった。
発現株を、0.6のOD600までさらに成長させ(3つの100ml培養物)、1mM IPTGを用いて誘発した。培養物のうちの1つは6時間37℃でインキュベートし、もう1つは30℃で一晩インキュベートし、3つ目は26℃で一晩インキュベートした。細胞は、遠心分離によって採取し、細胞ペレットは保存して凍結させた。細胞ペレットは氷上で解凍し、無細胞抽出物を、本実施例に記載されるように、BugBusterおよびBenzonase(Novagen、Madison、WI)を用いて作製した。SDSゲル(4〜15%の勾配(BioRad、Hercules、CA))を走らせた。37℃での誘発は、非常に少量の可溶性ラセマーゼの発現に至り、可溶性ラセマーゼのレベルは、30℃を発現温度とした場合、より高く、26℃を発現温度とした場合、さらに高かった。26℃で作製した無細胞抽出物をラセマーゼアッセイで用い、再び、トリプトファンラセマーゼはこの無細胞抽出物中で検出されなかった。しかしながら、基質としてL−アラニンを用いる活性アッセイにより、D−トリプトファンへの非常に低い変換が生じ、これは、天然イー・コリアラニンラセマーゼによって説明することができる。Y.シュードツベルクロシスBAR相同体は異なる条件下で活性を有する可能性があり、当業者らに知られている突然変異誘発技術によってY.シュードツベルクロシスBAR相同体に対する活性を改善することが可能である。タンパク質活性はまた、ふさわしい折りたたみを促すことができる方法によっても増強される。酵素活性は、不適当な折りたたみまたはピリドキサール−5’−リン酸補助因子の不適当な挿入により検出するのが困難となる可能性がある。ふさわしい折りたたみまたは補助因子の挿入を促すことは酵素活性を非常に増強する可能性がある。
Y.シュードツベルクロシスYPIII BAR相同体DNA配列は配列番号144であり、下記のように示される。
atgcacgttcgttttcatcatttattcttattaccattaataactttggtcgcttgtagccaacccgtatcaaaaaaccatcttagcctgacctcactatctgccaacgcccagcaacctgtagtaaataatgcgtggcttgaaatctctcaaggtgcgctggatttcaatactaaaaagatgcttacactgctggataataaatccacactttgtgcaatattaaaaggtgatgcctatggacatgacctgaccttagtcacaccggtgatgctaaaaaacaatgtgcaatgtattggggttgccagcaatcaggaactaaaaacggtacgtgatctaggatttacggggcagttgatacgggtcagaagtgcaacattaaaagaaatgcaacaagctatggcttacgatgttgaagaacttattggcgataaaaccgtcgctgagcagttaaataatattgcaaaactgaatggaaaagttctgcgtatccatctggcactgaactccgcagggatgtctcgtaatgggctggaggtcagtaaggcccgcggtttaaatgacgcaaagacaattgtaggtttaaaaaatctgacaatcgttggcatcatgtcgcactacccggtggaagatgctagcgaaatcaaagcagacttggctcgattccagcaacaagccaaagatgttatcgcggtcacggggctaaaacgtgaaaagattaagctccacgtcgccaatacattcgcgaccttagcggtgcctgattcatggttggatatggtccgtgtgggaggggtgttttatggtgacaccatcgccagcacagagtataagcgggtcatgaccttcaaatctaacatcgcatcgctgaacaactaccctaagggcggtactgttggctatgaccggacctatacattgaaacgtgattccctgctggcgaatatccccgtgggttatgccgatgggtatcgccgagtatttagtaatgcggggcatgtgattattcaaggtcagcgcctgcccgtattaggcaaaacatcaatgaatacggtcatggtagacgtcaccgatctgaaaaaagtgagtttaggtgatgaagttgtcttgttcggtaagcaaggcaatgcggaaattcaggcagaagaaattgaagatctcagtggcgcactctttaccgaaatgtcaattctgtggggcgcaaccaataagcgtattctggtagattaa(配列番号144)。
Y.シュードツベルクロシスYPIII BAR相同体アミノ酸配列は配列番号145であり、下記のように示される。
MHVRFHHLFLLPLITLVACSQPVSKNHLSLTSLSANAQQPVVNNAWLEISQGALDFNTKKMLTLLDNKSTLCAILKGDAYGHDLTLVTPVMLKNNVQCIGVASNQELKTVRDLGFTGQLIRVRSATLKEMQQAMAYDVEELIGDKTVAEQLNNIAKLNGKVLRIHLALNSAGMSRNGLEVSKARGLNDAKTIVGLKNLTIVGIMSHYPVEDASEIKADLARFQQQAKDVIAVTGLKREKIKLHVANTFATLAVPDSWLDMVRVGGVFYGDTIASTEYKRVMTFKSNIASLNNYPKGGTVGYDRTYTLKRDSLLANIPVGYADGYRRVFSNAGHVIIQGQRLPVLGKTSMNTVMVDVTDLKKVSLGDEVVLFGKQGNAEIQAEEIEDLSGALFTEMSILWGATNKRILVD(配列番号145)。
4O:エロモナス種BAR遺伝子の同定
実施例4Eに言及されるように、エロモナス種は、シュードモナスに由来する酵素に同様の特性を有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼを含有するといった証拠が文献にある。この例は、A.ハイドロフィラ、A.ジャンデイ、A.ソブリアおよびA.キャビエの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの同定および単離ならびにA.キャビエ細胞性抽出物中のトリプトファンラセマーゼ活性の同定を記載する。この例はまた、A.シューベルティーおよびA.サルモニシダのBAR相同体の部分的な核酸配列の単離をも記載する。
TIGRウェブサイト(tigrblast.tigr.org/ufmg/index.cgi?database=a_hydrophila%7Cseq)上のエロモナス・ハイドロフィラATCC7966ゲノムの、公的なシュードモナス・タエトロレンスアルギニンラセマーゼタンパク質配列(受入番号AB096176によってコード)に由来するBARタンパク質配列とのblast分析は、アミノ酸レベルで60%の同一性を有する部分的なタンパク質配列の同定をもたらした。コンティグ1047085923747上のDNA位33912〜32746は390個のアミノ酸の相同領域に相当した。部分配列を下記に示す。
エロモナス・ハイドロフィラ−タンパク質1(配列番号146)に由来する推定上のBARの部分配列:
AVAAPYLPLASDHRNGEVQTASNAWLEVDLGAFEHNIQTLKDRLGDKGPKICAIMKADAYGHGIDLLVPSVVKAGIPCIGIASNEEARVAREKGFTGRLMRVRAATPAEVEQALPYKMEELIGSLVSAQGIADIAQRHHTNIPVHIALNSAGMSRNGIDLRLADSKEDALAMLKLKGITPVGIMTHFPVEEKEDVKMGLAQFKLDSQWLLEAGKLDRSKITIHAANSFATLEVPDAYFDMVRPGGLLYGDSIPSYTEYKRVMAFKTQVASVNHYPAGNTVGYDRTFTLKRDSWLANLPLGYSDGYRRALSNKAYVLIQGQKVPVVGKTSMNTIMVDVTDLKGVKPGDEVVLFGRQGEAEVKQADLEEYNGALLADMYTIWGYTNPKKIK(配列番号146)。
エロモナス・ハイドロフィラに由来する部分的な推定上のBARアミノ酸配列とNCBIのBLASTは、シュードモナス・プチダF1(受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470)、次いでシュードモナスKT2440に対して最も高い配列同一性を有するアラニンラセマーゼを同定し、これがおそらくアミノ酸ラセマーゼタンパク質であることが確認される。実施例4Eは、シュードモナスKT2440に由来するBARタンパク質が活性であり、L−トリプトファンをD−トリプトファンに変換することを実証する。したがって、おそらく、A.ハイドロフィラATCC7966ラセマーゼもまた同様に広域特異性を有すると考えられた。
シュードモナス・タエトロレンスBAR遺伝子配列(受入番号AB096176)またはシュードモナスKT2440 BAR遺伝子配列(受入番号NC_002947.3:6018117..6019190)をTIGRウェブサイトをBLASTするために用いた場合、1216個の塩基対に対して高度な相同性(69%)を有するDNA配列は、コンティグ1047085923747:a_ハイドロフィラで観察された。1.5 E−110のPスコアが観察された。そのマッチに対応するヌクレオチド番号は32754〜33954である。これらのアラインメントから得られたA.ハイドロフィラ部分遺伝子配列の配列は、以下の通りである(配列番号147)。
tcttggggtt ggtgtagccc cagatggtgt acatgtccgc cagcagggcg
ccgttgtact cttccagatc cgcctgtttc acctcagcct caccctggcg
gccgaacagc accacctcgt caccgggttt gacccctttc agatcggtca
cgtccaccat gatggtgttc atggaggtct tgcccaccac cggcaccttc
tggccctgga tcagcacata ggccttgttg ctcagcgccc ggcgatagcc
gtcggagtag cccagcggca ggttggcgag ccaggagtcg cgcttgaggg
tgaaggtgcg gtcataaccg acggtgttgc cggccgggta gtggttgacg
gaggcaacct gggtcttgaa cgccatcacc cgcttgtact cggtgtagga
ggggatggag tcaccgtaca gcaggccgcc cgggcgcacc atgtcgaagt
aggcgtccgg cacttccagg gtggcgaagg agttggcggc gtggatggtg
atcttgctgc gatccagctt gcccgcttcc agcagccact gggagtccag
tttgaactgg gccagcccca tcttgacgtc ctctttctcc tccaccggga
agtgggtcat gatgccgacc ggggtgatcc ccttgagctt gagcatggcc
agcgcgtctt ccttggagtc agccaggcgc agatcgatgc cgttgcggct
catgccggcg gagttgagcg cgatgtgcac cgggatattg gtgtggtggc
gctgggcgat gtcggcgatg ccctgagcac tcaccaggct gccgatgagc
tcttccatct tgtagggcag ggcctgttcc acttcggccg gggtggcggc
acgtacccgc atcaggcggc cggtgaagcc cttctcacgg gccacgcggg
cctcttcgtt gctggcgatg ccgatgcagg ggatgccggc cttgaccacc
gagggcacca gcaggtcgat gccgtggccg taggcgtcgg ccttcatgat
ggcgcagatc ttcggccctt tgtcaccgag gcgatccttg agggtctgga
tgttgtgctc gaaggcgccg agatcgactt ccagccaggc attgctggcg
gtctgcactt cgccgttgcg atgatcgctg gccagcggca ggtaaggggc
cgcgacggcc tgaccggcca gcaggcccag gatcagcgtg gccagcagtg t(配列番号147)。
重なる分析により、タンパク質配列の各端からの5つのアミノ酸のみが不在であったことが示唆されたので、キメラタンパク質は、他の広域特異性ラセマーゼに基づいて、上記の知られているタンパク質配列断片およびコンセンサス配列を用いて設計した。以下のプライマーは、NdeI部位およびBamHI部位を用いてpET28およびpET30の中にクローニングするためのこのキメラを構築するために設計した。
ハイドロフィラFNde1(配列番号148):5'-TTCCAAGGCATATGCCCTTCTCCCGTACACTGCTGGCCACGCTGATCCT 3';および
ハイドロフィラRBamH1(配列番号149):5'-GGAACCTTGGATCCTCAATCTTTGATTTTCTTGGGGTTGGTGTAGCCCCAGATG 3'。
A.ハイドロフィラに由来するキメラ遺伝子は、上記に記載されるプライマーおよび以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μL反応中、1μL鋳型(ゲノムDNA ATCC7965)、1.6μMの各プライマー、0.3mM 各dNTP、2.5U Pfuポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)、1×Pfu緩衝液、および2.5μLジメチルスルホキシドを用いた。用いたサーモサイクラープログラムは、3分間94℃でのホットスタート、以下の工程の8回の繰り返し:30秒間94℃、45秒間53℃、および2.5分間72℃、その後、以下の工程の22回の繰り返し:30秒間94℃、45秒間60℃、および2.5分間72℃を含んだ。22回繰り返した後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールにより約1230bpの産物を生成した。
クローニング
PCR産物は、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。産物は、TOPOクローニングし、メーカーのプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従ってTOP10細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、汎発性のM13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いてジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。
下記で得られたコンセンサス配列は、A.ハイドロフィラ(上記のタンパク質1)についての公開TIGR配列に対してアミノ酸レベルで95%相同であるタンパク質をコードする。
A.ハイドロフィラキメラタンパク質についてのアミノ酸配列は、配列番号151として下記に示される。
MPFSRTLLATLILGLLAGQAVAAPYLPLASDHRNGEVQTASNAWLEVDLTAFEQNLQTKTRLGDKGPQICAIMKADAYGHGIDLLVPSVIKAEIPCIGIASNEEARVAREKGFSGRLMRVRAATPIEVEQALPYKLEELVGSLVSAQGISDIALRHHTTIPVHVALNSAGMSRNGIDLRLADAKQDALAMLKLKGITPVGIMTHFPVEEKEDVKLGLAQFKLDSQWLLEAGKLDRSKITIHAANSFATLAVPDAYFDMVRPGGLLYGDSIPSYTEYKRVMAFKTQVASVNHYAAGNTVGYDRTFTLKRDSWLANLPLGYSDGYRRALSNKAYVLIQGQKVPVVGKTSMNTIMVDVTDLKGVKPGDEVVLFGRQGEAEVKQADLEEYNGALLADMYTIWGYTNPKKIKD(配列番号151)。
PCRから得られたA.ハイドロフィラキメラ配列のDNA配列は、配列番号150として下記に示される。
ATGCCCTTCTCCCGTACACTGCTGGCCACGCTGATCCTGGGCCTGCTGGCCGGTCAAGCCGTCGCAGCCCCCTATCTGCCTCTGGCAAGCGATCATCGCAACGGCGAAGTACAAACCGCCAGCAACGCCTGGCTGGAAGTAGATCTGACCGCGTTTGAACAGAATCTGCAGACCCTCAAGACCCGCCTCGGCGACAAGGGCCCGCAGATCTGCGCCATCATGAAGGCGGACGCCTACGGTCACGGTATCGATCTGCTGGTTCCCTCCGTCATCAAGGCCGAGATCCCCTGTATCGGCATCGCCAGCAACGAAGAGGCCCGCGTCGCCCGCGAGAAGGGGTTCAGCGGCCGCCTGATGCGGGTACGGGCCGCCACACCTATCGAAGTGGAACAGGCCCTGCCCTACAAGCTGGAAGAGCTGGTTGGCAGCCTGGTGAGTGCTCAGGGGATCTCCGACATCGCCCTGCGCCACCACACCACCATTCCGGTGCATGTCGCCCTCAACTCCGCCGGTATGAGCCGCAACGGCATCGACCTGCGTCTGGCCGATGCCAAGCAAGATGCGCTGGCCATGCTCAAGCTCAAGGGGATCACCCCGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTGGAGGAGAAAGAGGACGTCAAGCTGGGGCTGGCTCAGTTCAAGCTGGACTCCCAGTGGCTGCTGGAAGCAGGCAAGCTGGATCGCAGCAAGATCACCATCCATGCCGCCAACTCCTTCGCCACCCTGGCAGTGCCGGACGCCTACTTTGACATGGTGCGCCCGGGCGGCCTGCTCTACGGCGACTCCATCCCCTCCTACACCGAATACAAGCGGGTGATGGCATTCAAGACCCAGGTCGCCTCGGTCAACCACTATGCGGCGGGCAACACAGTCGGTTATGACCGCACCTTTACTCTCAAACGTGACTCCTGGCTCGCCAACCTGCCGCTCGGTTACTCCGACGGCTATCGCCGTGCGCTCAGCAACAAGGCCTATGTGCTGATCCAGGGTCAGAAGGTGCCGGTGGTCGGCAAGACCTCCATGAACACCATCATGGTGGACGTGACCGATCTCAAAGGGGTAAAGCCCGGTGATGAAGTGGTGCTGTTTGGCCGTCAGGGTGAGGCAGAAGTGAAACAGGCTGATCTGGAGGAGTACAACGGCGCCCTGTTGGCGGACATGTACACCATCTGGGGCTACACCAACCCCAAGAAAATCAAAGATTGA(配列番号150)。
適正なTOPOクローンは、メーカー推奨のプロトコール(New England Biolabs、Beverly、MA)に従って、制限酵素NdeIおよびBamHIを用いて消化し、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。ベクターpET30a(Novagen、Madison、WI)は、適切な制限酵素を用いた消化により調製し、その後、エビアルカリフォスファターゼを用いる処理(Roche、Indianapolis、IN)およびQiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いる0.8%TAE−アガロースゲルからの精製を続けた。消化したベクターおよび挿入断片は、Rapid(商標)DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いてライゲーションした。約65ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ、および1×ライゲーション緩衝液を室温で5分間インキュベートした。ライゲーション反応は、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いて脱塩し、イー・コリDH10Bエレクトロコンピテント細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)を形質転換するために用いた。10μlの各ライゲーション反応に、40μlのDH10B細胞を追加し、以下の条件下でBioRad Gene Pulsar IIを用いてエレクトロポレーションによって形質転換した:0.2cmキュベット中2.5kV、25μF、200オーム。細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で1時間、1mLの室温SOC中で回復させた。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製した。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen、Madison、WI)中に形質転換した。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagenミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。BL21DE3での誘発は、メーカーの指示に従ってOvernight Express培地中で行った(Novagen、Madison、WI)。
誘発した培養物からの細胞は、遠心分離し、0.85%NaClを用いて1回洗浄した。細胞ペレットは、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)および1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼを含有する5mL/湿細胞重量g BugBuster(商標)(Novagen、Madison、WI)試薬中で再懸濁させた。試料は、オービタルシェーカー上で20分間室温でインキュベートした。不溶性細胞片は、4℃で20分間16,000xgでの遠心分離によって除去した。抽出物は、10μM PLPを含有する50mMリン酸カリウムpH8.0中で平衡化したPD10カラムを用いて脱塩した。細胞抽出物タンパク質は、Pierce BCAタンパク質アッセイ(Pierce、Rockford、IL)を用いて定量し、SDS−PAGEによって可視化した。SDS−PAGEは、約45kDaの期待されたサイズのタンパク質を示した。
細胞抽出物は以下のプロトコールを用いてトリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。1mL反応は、0.05mM PLPおよび30mM Lトリプトファンを有する50mMリン酸カリウム(pH8.0)中で行った。反応は、無細胞抽出物の追加によって開始し、一晩30℃でインキュベートした。試料のアリコートは、2時間でおよび一晩のインキュベーションの後に測った(0分間の試料はコントロール反応物として取り扱った)。濃縮ギ酸(5μL)は、反応を停止させるために各250μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。上清は、取り出し、実施例1に記載されるキラルアミノ酸法によってD−トリプトファンについて分析するまで−80℃で凍結させた。
pET30の誘発からの細胞抽出物からのアッセイ結果は、A.ハイドロフィラクローンがL−トリプトファンに対してラセマーゼ活性を示すことを実証する。これらのデータを考慮して完全長TIGR A.ハイドロフィラ野生型配列(N末端およびC末端の領域が完全な上記のタンパク質1)はまたトリプトファンに対してラセマーゼ活性を有するタンパク質を生ずるであろうということが期待された。A.ハイドロフィラBARの完全長遺伝子配列は実施例15に記載されるGenome Walker法を用いて決定した。天然A.ハイドロフィラ遺伝子の遺伝子配列は、配列番号176として下記に示される。
atgcacaaga agacactgct ggccaccttg atcctgggcc tgctggccgg tcaagccgtc
gcagccccct atctgcctct ggcaagcgat catcgcaacg gcgaagtaca aaccgccagc
aacgcctggc tggaagtaga tctgaccgcg tttgaacaga atctgcagac cctcaagacc
cgcctcggcg acaagggccc gcagatctgc gccatcatga aggcggacgc ctacggtcac
ggtatcgatc tgctggttcc ctccgtcatc aaggccgaga tcccctgtat cggcatcgcc
agcaacgaag aggcccgcgt cgcccgcgag aaggggttca gcggccgcct gatgcgggta
cgggccgcca cacctatcga agtggaacag gccctgccct acaagctgga agagctggtt
ggcagcctgg tgagtgctca ggggatctcc gacatcgccc tgcgccacca caccaccatt
ccggtgcatg tcgccctcaa ctccgccggt atgagccgca acggcatcga cctgcgtctg
gccgatgcca agcaagatgc gctggccatg ctcaagctca aggggatcac cccggtcggc
atcatgaccc acttcccggt ggaggagaaa gaggacgtca agctggggct ggctcagttc
aagctggact cccagtggct gctggaagca ggcaagctgg atcgcagcaa gatcaccatc
catgccgcca actccttcgc caccctggca gtgccggacg cctactttga catggtgcgc
ccgggcggcc tgctctacgg cgactccatc ccctcctaca ccgaatacaa gcgggtgatg
gcattcaaga cccaggtcgc ctcggtcaac cactatgcgg cgggcaacac agtcggttat
gaccgcacct ttactctcaa acgtgactcc tggctcgcca acctgccgct cggttactcc
gacggctatc gccgtgcgct cagcaacaag gcctatgtgc tgatccaggg tcagaaggtg
ccggtggtcg gcaagacctc catgaacacc atcatggtgg acgtgaccga tctcaaaggg
gtaaagcccg gtgatgaagt ggtgctgttt ggccgtcagg gtgaggcaga agtgaaacag
gctgatctgg aggagtacaa cggcgccctg ttggcggaca tgtacaccat ctggggctac
accaacccca agaagatcaa acgctga
(配列番号176)。
A.ハイドロフィラBARについての対応する天然タンパク質は、配列番号177として下記に示される。
1 mhkktllatl ilgllagqav aapylplasd hrngevqtas
41 nawlevdlta feqnlqtlkt rlgdkgpqic aimkadaygh
81 gidllvpsvi kaeipcigia sneearvare kgfsgrlmrv
121 raatpieveq alpykleelv gslvsaqgis dialrhhtti
161 pvhvalnsag msrngidlrl adakqdalam lklkgitpvg
201 imthfpveek edvklglaqf kldsqwllea gkldrskiti
241 haansfatla vpdayfdmvr pggllygdsi psyteykrvm
281 afktqvasvn hyaagntvgy drtftlkrds wlanlplgys
321 dgyrralsnk ayvliqgqkv pvvgktsmnt imvdvtdlkg
361 vkpgdevvlf grqgeaevkq adleeyngal ladmytiwgy
401 tnpkkikr
(配列番号177)。
最初の21個のN末端アミノ酸残基は、実施例4Lに記載されるように、プログラムSignal P 3.0を用いると、シグナルペプチドであることが予測される。
Figure 2015211679
天然A.ハイドロフィラ遺伝子は、キメラについて上記の方法と同様にしてクローニングし、発現させた。同じN末端プライマーは、pET30中のタグなしおよびC末端Hisタグ付き構成物の双方に利用した。以下のプライマーを用いた。
A.hydroph F Nde1 5'-GGAACCTTCATATGCACAAGAAGACACTGCTGG-3'(配列番号182);
A.hydroph R BamH1(タグなし) 5'-GGTTCCAAGGATCCTCAGCGTTTGATCTTCTTGGG-3'(配列番号183);および
A.hydroph R Xho1(C末端タグ) 5'-GGCCAATTCTCGAGGCGTTTGATCTTCTTGGGGT-3'(配列番号184)。
天然A.ハイドロフィラBAR(Cタグ付きバージョンおよびタグなしバージョンの双方)は、匹敵する活性を有することが分かり、キメラタンパク質と同じ桁数の活性を有した。特異的活性の算出は未精製酵素の使用により困難となった。
A.キャビエ抽出物アッセイ
エロモナス・キャビエATCC14486は37℃で栄養ブロス中で成長させた。培養物からの細胞(200mL)は、遠心分離し、0.85%NaClを用いて1回洗浄した。細胞ペレットは、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)および1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼを含有する5mL/湿細胞重量gのBugBuster(商標)(Novagen、Madison、WI)試薬中で再懸濁させた。試料は、オービタルシェーカー上で20分間室温でインキュベートした。不溶性細胞片は、4℃で20分間16,000xgでの遠心分離によって除去した。無細胞抽出物はPD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)で脱塩した。
無細胞抽出物は以下のプロトコールを用いて、トリプトファンラセマーゼ活性についてアッセイした。1mL反応は、50mMリン酸カリウム(pH8.0)、0.05mM PLP、および30mM Lトリプトファン中で行った。反応は、無細胞抽出物(100μLまたは500μLのいずれか)の追加によって開始し、一晩30℃でインキュベートした。試料のアリコートは、2時間でおよび一晩のインキュベーションの後に測った(0分間の試料はコントロール反応物として取り扱った)。濃縮ギ酸(5μL)は、反応を停止させるために各250μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。上清は、取り出し、実施例1に記載されるキラルアミノ酸法によってD−トリプトファンについて分析するまで−80℃で凍結させた。
A.キャビエの細胞抽出物からのアッセイ結果は、表33に示されるようにL−トリプトファンに対するラセマーゼ活性を実証した。
Figure 2015211679
A.キャビエ細胞抽出物中の活性を発見した後、縮重プライマーは、この種からのBAR遺伝子を得るために設計した(知られているBAR相同体の保存領域に基づく)。縮重プライマー配列を下記に示す。
Aer deg F2:5'-GCCAGCAACGARGARGCMCGCGT-3'(配列番号152);および
Aer deg R1:5'-TGGCCSTKGATCAGCACA-3'(配列番号153)
KはGまたはTを示し、RはAまたはGを示し、SはCまたはGを示し、MはAまたはCを示す。
上記のプライマーは、A.キャビエ(ATCC14486)ゲノムDNAからの715bp DNA断片をPCR増幅するために用いた。以下のPCRプロトコールを用いた:50μL反応は、0.5μL鋳型(約100ngのA.キャビエゲノムDNA)、1.6μMの各プライマー、0.3mM各dNTP、10U rTth PolymeraseXL(Applied Biosystems、Foster City、CA)、1×XL緩衝液、1mM Mg(OAc)、および2.5μLジメチルスルホキシドを含有した。用いたサーモサイクラープログラムは、3分間94℃でのホットスタートならびに以下の工程の30回の繰り返し:30秒間94℃、30秒間53℃、および2分間68℃を含んだ。30回繰り返した後、試料は、7分間68℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールにより715bpの産物を生成した。
クローニング
PCR産物は、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。産物は、TOPOクローニングし、メーカーのプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従ってTOP10細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、EcoR1を用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、汎発性のM13順方向プライマーを用いたジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。
A.キャビエPCR産物のDNA配列は、配列番号154)として下記に示す、また縮重プライマー配列領域には下線を引いた。
GCCAGCAACGARGARGCMCGCGTTGCCCGCGAGAAGGGCTTCGAAGGTCGCCTGATGCGGGTACGTGCCGCCACCCCGGATGAAGTGGAGCAGGCCCTGCCCTACAAGCTGGAGGAGCTCATCGGCAGCCTGGAGAGCGCCAAGGGGATCGCCGACATCGCCCAGCGCCATCACACCAACATCCCGGTGCACATCGGCCTGAACTCCGCCGGCATGAGCCGCAACGGCATCGATCTGCGCCAGGACGATGCCAAGGCCGATGCCCTGGCCATGCTCAAGCTCAAGGGGATCACCCCGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTGGAGGAGAAAGAGGACGTCAAGCTGGGGCTGGCCCAGTTCAAGCTGGACTACCAGTGGCTCATCGACGCCGGCAAGCTGGATCGCAGCAAGCTCACCATCCACGCCGCCAACTCCTTCGCCACCCTGGAAGTACCGGAAGCCTACTTTGACATGGTGCGCCCGGGCGGCATCATCTATGGCGACACCATTCCCTCCTACACCGAGTACAAGAAGGTGATGGCGTTCAAGACCCAGGTCGCCTCCGTCAACCACTACCCGGCGGGCAACACCGTCGGCTATGACCGCACCTTCACCCTCAAGCGCGACTCCCTGCTGGCCAACCTGCCGATGGGCTACTCCGACGGCTACCGCCGCGCCATGAGCAACAAGGCCTATGTGCTGATCMASGGCCA(配列番号154)、RはAまたはGを示し、SはCまたはGを示し、MはAまたはCを示す。
部分的なA.キャビエBAR酵素のアミノ酸配列を下記に示す。
ASNEEARVAREKGFEGRLMRVRAATPDEVEQALPYKLEELIGSLESAKGIADIAQRHHTNIPVHIGLNSAGMSRNGIDLRQDDAKADALAMLKLKGITPVGIMTHFPVEEKEDVKLGLAQFKLDYQWLIDAGKLDRSKLTIHAANSFATLEVPEAYFDMVRPGGIIYGDTIPSYTEYKKVMAFKTQVASVNHYPAGNTVGYDRTFTLKRDSLLANLPMGYSDGYRRAMSNKAYVLIXG(配列番号155)。
XはH、Q、N、またはKである。
上記の配列番号155のコンセンサスタンパク質配列断片は、A.ハイドロフィラについての公開TIGR配列(上記のタンパク質1(配列番号146))にアミノ酸レベルで89%相同である。高度に関連するエロモナス・ハイドロフィラタンパク質がA.キャビエ細胞抽出物と同様に広域特異性ラセマーゼ活性を呈したので、A.キャビエについての完全長コード領域は、得られると、トリプトファンに対する活性を有する広域特異性を同様に有するであろうラセマーゼを生成するであろうということが期待された。Genome Walker法は、配列番号178として下記に示されるA.キャビエBAR遺伝子の完全長遺伝子配列を得るために、実施例15に記載されるように利用した。
atgcacaaga aaacactgct cgcgaccctg atctttggcc tgctggccgg ccaggcagtc gccgccccct atctgccgct cgccgacgac caccgcaacg gtcaggaaca gaccgccgcc aacgcctggc tggaagtgga tctcggcgcc ttcgagcaca acatccagac cctgaagaat cgcctcggtg acaagggccc gcagatctgc gccatcatga aggcggacgc ctacggtcac ggcatcgacc tgctggtccc ttccgtggtc aaggcaggca tcccctgcat cggcatcgcc agcaacgaag aagcacgtgt tgcccgcgag aagggcttcg aaggtcgcct gatgcgggta cgtgccgcca ccccggatga agtggagcag gccctgccct acaagctgga ggagctcatc ggcagcctgg agagcgccaa ggggatcgcc gacatcgccc agcgccatca caccaacatc ccggtgcaca tcggcctgaa ctccgccggc atgagccgca acggcatcga tctgcgccag gacgatgcca aggccgatgc cctggccatg ctcaagctca aggggatcac cccggtcggc atcatgaccc acttcccggt ggaggagaaa gaggacgtca agctggggct ggcccagttc aagctggact accagtggct catcgacgcc ggcaagctgg atcgcagcaa gctcaccatc cacgccgcca actccttcgc caccctggaa gtaccggaag cctactttga catggtgcgc ccgggcggca tcatctatgg cgacaccatt ccctcctaca ccgagtacaa gaaggtgatg gcgttcaaga cccaggtcgc ctccgtcaac cactacccgg cgggcaacac cgtcggctat gaccgcacct tcaccctcaa gcgcgactcc ctgctggcca acctgccgat gggctactcc gacggctacc gccgcgccat gagcaacaag gcctatgtgc tgatccatgg ccagaaggcc cccgtcgtgg gcaagacttc catgaacacc accatggtgg acgtcaccga catcaagggg atcaaacccg gtgacgaggt ggtcctgttc ggacgccagg gtgatgccga ggtgaaacaa tctgatctgg aggagtacaa cggtgccctc ttggcggaca tgtacaccgt ctggggctat accaacccca agaagatcaa gcgctaa
(配列番号178)。
A.キャビエ天然BARについての対応するアミノ酸配列は配列番号179として示される。
1 mhkktllatl ifgllagqav aapylpladd hrngqeqtaa
41 nawlevdlga fehniqtlkn rlgdkgpqic aimkadaygh
81 gidllvpsvv kagipcigia sneearvare kgfegrlmrv
121 raatpdeveq alpykleeli gslesakgia diaqrhhtni
161 pvhiglnsag msrngidlrq ddakadalam lklkgitpvg
201 imthfpveek edvklglaqf kldyqwlida gkldrsklti
241 haansfatle vpeayfdmvr pggiiygdti psyteykkvm
281 afktqvasvn hypagntvgy drtftlkrds llanlpmgys
321 dgyrramsnk ayvlihgqka pvvgktsmnt tmvdvtdikg
361 ikpgdevvlf grqgdaevkq sdleeyngal ladmytvwgy
401 tnpkkikr
(配列番号179)。
以下のPCRプライマーは上記の方法と同様にして天然完全長A.キャビエBARをタグ付きおよびC末端hisタグ付きの双方にクローニングするために利用した。
A.キャビエF Nde1 5'-GGAACCTTCATATGCACAAGAAAACACTGCTCGCGACC-3'(配列番号185);
A.キャビエR BamH1(タグなし) 5'-GGTTCCAAGGATCCTTAGCGCTTGATCTTCTTGGGGTTG-3'(配列番号186);および
A.キャビエR Xho1(C末端タグ) 5'-TTCCAAGGCTCGAGGCGCTTGATCTTCTTGGGGTTGGTA-3'(配列番号187)。
C末端タグ付き酵素は、タグなし天然A.キャビエBARに匹敵する活性を有した。200μgの精製(タグ付き)ラセマーゼ酵素を上記に記載されるようにトリプトファンラセマーゼアッセイで用いた場合、30分間で、A.ハイドロフィラBARは249μg/mLのD−トリプトファンを生成したが、A.キャビエBARは1034μg/mLを生成し、P.タエトロレンスBARは799μg/mLを生成した。
配列番号179の最初の21個のN末端アミノ酸残基は、実施例4Lに記載されるように、プログラムSignal P 3.0を用いると、シグナルペプチドであることが予測される。以下のN末端プライマーを、アミノ酸2〜21のリーダー配列のないA.キャビエ遺伝子をクローニングするために用いた。
A.cavリーダーなし F NdeI 5' CCTTGGAACATATGGCCCCCTATCTGCCGCT 3(配列番号188).'
リーダーなしラセマーゼは、完全長遺伝子の発現産物と比較して、発現した場合に、約65%の活性を保持することが分かった。周辺質および細胞質のタンパク質画分を、pET System Manual(Novagen、Madison、WI)に記載されるように野生型発現産物およびリーダーなし構成物について単離した。大多数の発現野生型BARは、周辺質中に見出されたが、リーダーなしBARは細胞質中にとどまるように考えられた。リーダーなしA.キャビBARの活性の低下は、細胞質中で発現した場合のプロセシングおよび/または折りたたみの変化によるものである可能性がある。
実施例4Iおよび4GでP.プチダBAR配列で成された突然変異に基づいて、同様の改変を、上記に記載される部位特異的突然変異誘発法を用いて導入して、A.キャビエ野生型BARでY395H、Y395C、およびL383Mの変異体を産生した。Y395での突然変異誘発は、L383M突然変異と組み合わせた場合でさえ、基質としてL−トリプトファンを用いる活性の95%以上の損失を引き起こす。L383M変異体は、2時間の時点でL−トリプトファンに対する約83%の活性を有した。これらの結果は、Kinoらの論文で成された突然変異は、L−トリプトファンに対する活性についてのBAR酵素の改善に普遍的に適用可能でないことを示唆する。さらなるエロモナスBAR配列を、上記に記載される縮重PCR法によって得たが、以下のプライマーを用いた。
Aer deg F1 mod:5'-AAGGCSGAYGCCTAYGGYCACGG-3'(配列番号189)
SはCまたはGおよびYはCまたはTである、ならびに
Aer deg R3:5'-CGGCGRTAGCCRTCRGAGTA-3'(配列番号190)、RはAまたはGである。
このプライマー対により、A.ソブリア(ATCC35994)、A.ジャンデイ(ATCC49572)、A.シューベルティー(ATCC43701)、およびA.サルモニシダ(ATCC27013およびATCC14174)についての部分配列が生じた。得られた完全長配列は以下の通りである。
A.ソブリアDNA配列は、配列番号191として下記に示す。
ATGCACAAGAAAACGCTATTGGCCACCCTGATCTTCGGCCTGCTCGCGGGCCAAGCCGTTGCGGCTCCCTATCTGCCCCTTGCGACGGATCATCGCAACGGTCAGGAGCAAACCGCCAGCAACGCCTGGTTGGAAGTGGATCTGGGCGCCTTCGAACACAATATCCAGACCCTCAAGGATCGCCTCGGTGACAAGGGTCCGCAGATCTGCGCCATCATGAAGGCCGACGCCTATGGTCATGGCATCGACCTGCTGGTCCCCTCCGTGGTCAAGGCCAATATCCCCTGCATCGGCATCGCCAGCAACGAAGAGGCCCGCGTCGCCCGCGAGAAGGGCTTTACCGGCCGTCTGATGCGGGTGCGTGCCGCCACACCGGCCGAAGTGGAGCAGGCGCTGCCCTACAAGATGGAAGAGCTGATCGGCAGTCTGGTGAGTGCTCAGGGGATCGCCGACATCGCCCAGCGCCACCACACCAATATTCCGGTACACATTGGTCTCAACTCTGCTGGCATGAGCCGCAACGGTATCGACCTGCGTCTGGCCGATGCCAAGCAGGATGCGCTGGCCATGCTCAAGCTCAAGGGGATCACCCCGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTGGAGGAGAAAGAGGACGTCAAGATGGGGCTGGCCCAGTTCAAACTGGACTCTCAGTGGCTGCTGGAAGCGGGCAAGCTGGATCGCAGCAAGATCACCATCCACGCCGCCAACTCCTTCGCCACCCTGGAAGTGCCGGATGCCTACTTCGACATGGTGCGTCCGGGTGGCCTGCTCTACGGCGACTCCATCCCCTCCTACACCGAATACAAGCGGGTGATGGCATTCAAGACCCAGGTCGCCTCGGTCAACCACTACCCGGCGGGCAATACCGTTGGCTATGACCGTACCTTTACCCTCAAGCGTGAATCCTGGCTCGCCAACCTGCCGCTGGGCTACTCCGATGGCTACCGCCGTGCGCTCAGCAACAAGGCCTATGTGCTGATCCAGGGTCAGAAGGTGCCGGTGGTCGGCAAGACCTCCATGAACACCATCATGGTGGACGTCACTGATCTCAAAGGGGTGAAACCCGGTGATGAGGTGGTGCTGTTTGGCCGTCAGGGCGAGGCCGAGGTGAAACAGGCTGATCTGGAAGAGTACAACGGCGCCCTGTTAGCGGACATGTACACCATCTGGGGCTACACCAACCCCAAGAAGATCAAACGCTGA
(配列番号191)。
A.ソブリアタンパク質配列は、配列番号192として下記に示す。
MHKKTLLATLIFGLLAGQAVAAPYLPLATDHRNGQEQTASNAWLEVDLGAFEHNIQTLKDRLGDKGPQICAIMKADAYGHGIDLLVPSVVKANIPCIGIASNEEARVAREKGFTGRLMRVRAATPAEVEQALPYKMEELIGSLVSAQGIADIAQRHHTNIPVHIGLNSAGMSRNGIDLRLADAKQDALAMLKLKGITPVGIMTHFPVEEKEDVKMGLAQFKLDSQWLLEAGKLDRSKITIHAANSFATLEVPDAYFDMVRPGGLLYGDSIPSYTEYKRVMAFKTQVASVNHYPAGNTVGYDRTFTLKRESWLANLPLGYSDGYRRALSNKAYVLIQGQKVPVVGKTSMNTIMVDVTDLKGVKPGDEVVLFGRQGEAEVKQADLEEYNGALLADMYTIWGYTNPKKIKR
(配列番号192)。
A.ジャンデイDNA配列は、配列番号193として下記に示す。
ATGCACAAGAAAACACTGCTGGCCACCCTGATCCTCGGCCTGCTGGCCGGGCAAGCGGTTGCAGCCCCCTACCTGCCGCTGGCCAGCGATCACCGCAACGGCGAAGTCCAGACCGCCAGCAATGCCTGGCTGGAAGTCGATCTCGGCGCCTTCGAGCACAATATCCAGACCCTCAAGGATCGTCTCGGTGACAAGGGGCCGAAGATCTGCGCCATCATGAAGGCGGATGCCTATGGCCACGGTATCGATCTGCTGGTTCCCTCGGTGGTGAAAGCGGGTATCCCCTGCATCGGTATCGCCAGCAATGAAGAAGCTCGTGTCGCCCGCGAGAAGGGCTTCACCGGTCGTCTGATGCGGGTACGTGCTGCCACCCCGGACGAAGTGGAGCAGGCCCTGCCCTACAAGATGGAGGAGCTGATCGGCAGTCTGGTGAGTGCTCAGGGCATCGCCGATATCGCCCAGCGCCACCACACCACCATTCCGGTGCATATCGCCCTCAACTCCGCCGGCATGAGCCGCAACGGCATCGATCTGCGGCTGGCCGACTCCAAGCAGGATGCGCTGGCCATGCTCAAGCTCAAGGGGATCACCCCGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTGGAGGAGAAAGAGGACGTCAAGATGGGTCTGGCCCAGTTCAAACTGGACTCCCAGTGGCTGCTGGAAGCGGGCAAGCTGGATCGCAGCAAGATCACCATCCACGCCGCCAACTCCTTCGCAACACTTGAAGTGCCGGATGCCTACTTCGACATGGTGCGCCCGGGTGGCCTGCTCTACGGTGACTCCATCCCCTCCTACACCGAGTACAAGCGGGTGATGGCGTTCAAGACCCAGGTTGCCTCCGTCAACCACTACCCGGCCGGCAACACCGTCGGTTATGACCGCACCTTCACCCTCAAGCGCGACTCCTGGCTCGCCAACCTGCCGCTCGGTTACTCCGATGGCTATCGCCGCTCCCTGAGCAACAAGGCCTATGTGCTGATCCAGGGCCAGAAGGTGCCGGTGGTCGGCAAGACCTCCATGAACACCATCATGGTGGATGTGACCGACCTGAAAGGGGTGAAACCCGGTGACGAAGTGGTGCTGTTCGGCCGTCAGGGAAATGCCGAGGTGAAGCAGGCGGATCTGGAGGAGTACAACGGCGCCCTGCTGGCGGACATGTACACCATCTGGGGCTACACCAACCCCAAGAAGATCAAGCACTAA
(配列番号193)。
A.ジャンデイタンパク質配列は、配列番号194として下記に示す。
MHKKTLLATLILGLLAGQAVAAPYLPLASDHRNGEVQTASNAWLEVDLGAFEHNIQTLKDRLGDKGPKICAIMKADAYGHGIDLLVPSVVKAGIPCIGIASNEEARVAREKGFTGRLMRVRAATPDEVEQALPYKMEELIGSLVSAQGIADIAQRHHTTIPVHIALNSAGMSRNGIDLRLADSKQDALAMLKLKGITPVGIMTHFPVEEKEDVKMGLAQFKLDSQWLLEAGKLDRSKITIHAANSFATLEVPDAYFDMVRPGGLLYGDSIPSYTEYKRVMAFKTQVASVNHYPAGNTVGYDRTFTLKRDSWLANLPLGYSDGYRRSLSNKAYVLIQGQKVPVVGKTSMNTIMVDVTDLKGVKPGDEVVLFGRQGNAEVKQADLEEYNGALLADMYTIWGYTNPKKIKH
(配列番号194)。
以下の部分的なDNA配列もまた得た。
A.サルモニシダ(ATCC27013およびATCC14174)(配列番号195):
AAGGCSGATGCCTAYGGTCACGGTATCGACCTGCTGGTCCCCTCCGTGGTCAAGGCCAATATCCCCTGTATCGGCATCGCCAGCAACGAAGAGGCCCGCGTGGCGCGCGAGAAGGGGTTCAGCGGCCGCCTGATGCGGGTACGGGCCGCCACACCGATCGAAGTGGAACAGGCCCTGCCCTACAAGCTGGAAGAGCTGGTTGGCAGCCTGGTGAGTGCTCAGGGGATCTCCGACATCGCCCTGCGCCACCACACCACCATTCCGGTGCATGTCGCCCTCAACTCCGCCGGCATGAGCCGCAACGGCATCGACCTGCGTCTGGCCGATGCCAAGCAAGATGCGCTGGCCATGCTCAAGCTCAAGGGGATCACCCCGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTGGAGGAGAAAGAGGACGTCAAGCTGGGGCTGGCCCAGTTCAAGCTGGACTCCCAGTGGCTGCTGGAAGCAGGCAAGCTGGATCGCAGCAAGATCACCATCCATGCCGCCAACTCCTTCGCCACCCTGGCAGTGCCGGACGCCTACTTTGACATGGTGCGCCCGGGCGGCCTGCTCTACGGCGACTCCATCCCCTCCTACACCGAATACAAGCGGGTGATGGCATTCAAGACCCAGGTCGCCTCGGTCAACCACTATGCGGCGGGCAACACAGTCGGTTATGACCGCACCTTTACTCTCAAACGTGACTCCTGGCTCGCCAACCTGCCTCTCGGTTACTCCGAYGGCTAYCGCCG
(配列番号195)SはCまたはGおよびYはCまたはTである。
A.シューベルティー(ATCC43701)(配列番号196):
AAGGCGGATGCCTATGGTCACGGCATCGATCTGCTGGTCCCCTCCGTGATCAAGGCCGGCATTCCTTGCATCGGCATCGCCAGCAACGAAGAGGCTCGCGTCGCCCGTGAGAAGGGCTTCGAAGGCCGTCTGATGCGGGTGCGCGCCGCCACCCCGCAAGAGGTGGAAGCCGCCCTCCCCTACAAGATGGAGGAGCTGGTCGGCAGCCTGGAGAGCGCCCGTCTGATGTCGGAGATTGCCCTGCGTCACCACACCACCATTGCGTACCATCTGGGGCTCAACTCCGCCGGCATGAGCCGCAACGGCCTGGATCTGCGCCTCTCCGACGCCAAGCGCGACGCACTCGACCTGATGAAGCTCAAGGGGCTGCAGGTGGTCGGCATCATGACCCACTTCCCGGTCGAGGAGAAAGAGGACGTGAAGATGGGCTTCGCCCAGTTTCAGCTCGACACCCAGTGGCTCATCGAAGCCGCTCGTCTGGATCGCAGCAAGTTGACCCTGCACTGTGCCAACTCCTTTACCACCCTGGAGGTGCCCGAGGCCTATCTGGACATGGTCCGCCCGGGCGGCATCATCTATGGCGACACCATTCCCTCCTACACCGAATACAAGAAGGTGATGGCCTTCAAGACCCGGGTCGCCTCGGTCAATCACTACCCGAAGGGAAATAGCGTCGGCTATGACCGCACCTTCACCCTGGCACGCGACTCCTGGCTCGCCAACCTGCCGCTGGGCTACTCCGACGGCTACCGCCGGGCGCTGAGCAACAAGGCCTATGTGCTGGTGAATGGCCAGAAGGCCCCCGTGGTGGGCAAGACATCCATGAACACCATCATGGTGGACGTGACCGACATCAAGGGGGTCAAACCGGGTGACGAGGTGGTGCTGTTTGGCCGCCAGGGCAACGCCGAGGTGAAGCAGTCCGATCTCGAGGAGTACAACGGCGCCCTCCTGGCGGACATGTACACCATCTGGGGCTACACCAATCCACGTATCATCAAGCGCTGA
上記に記載されるゲノムウォーキング法によって入手可能なA.サルモニシダおよびA.シューベルティーの完全長遺伝子配列もまた活性BAR酵素をコードするであろうということが期待される。
以下のPCRプライマーは、A.ジャンデイおよびA.ソブリアのBAR遺伝子をクローニングするために設計した。
A.ジャンデイ:
順方向NdeI 5'-CCGGAACCTTCATATGCACAAGAAAACACTGCTGGCCAC-3'(配列番号197)および
逆方向XhoI 5'-TTCCAAGGCTCGAGGTGCTTGATCTTCTTGGGGTTGGT-3'(配列番号198)。
A.ソブリア
順方向NdeI 5'-CCGGAACCTTCATATGCACAAGAAAACGCTATTGGCCAC-3'(配列番号199)および
逆方向XhoI 5'-TTCCAAGGCTCGAGGCGTTTGATCTTCTTGGGGTTGGT-3'(配列番号200)。
BAR酵素のクローニング、発現、および精製の方法は上記に記載される。P.タエトロレンス、A.キャビエ、A.ジャンデイ、およびA.ソブリアに由来する精製C末端タグ付きBAR(1mLアッセイ中100μg)は、用いたL−トリプトファンの初期濃度を約7mg/mLとした以外は上記に記載されるようにアッセイした。60分間の時点で、以下の量のD−トリプトファンが各BAR酵素によって生成された:A.キャビエ、1452μg/mL;A.ジャンデイ、407μg/mL;A.ソブリア、145μg/mL;およびP.タエトロレンス、502μg/mL。A.キャビエBARは一貫してより高い反応速度を有し、試験した他のBAR酵素よりも速く平衡状態に達する。
高度に活性なBAR相同体を一次配列保存について分析した。実施例4Eに記載されるモチーフ(配列番号116)で、本実施例の広域特異性ラセマーゼはすべてモチーフKADAYGHGI(配列番号201)を含有するが、トリプトファンラセミ化についての活性がより低いアラニンラセマーゼは通常モチーフKANAYGHGI(配列番号202)を含有することが注目された。A.キャビエBARのD76N変異体はこの位置が広域活性にとって重大であるかどうか決定するために作製した。突然変異誘発は、pET30中のCタグA.キャビエBAR遺伝子を用いて、QuickChange−Multi部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて行った。以下の突然変異誘発性プライマーはD76N変化を加えるために用いた(ヌクレオチド位226)。5'-CGCCATCATGAAGGCGAACGCCTACGGTCACG-3'(配列番号203)。部位特異的突然変異誘発は、メーカーのプロトコールに記載されるように行った。変異体および野生型酵素は上記に記載されるように生成し、200マイクログラムの精製タンパク質および基質としての約7mg/mLのL−トリプトファンを用いて上記に記載されるようにアッセイした。30分間の時点で、野生型酵素についての1mL当たり1149マイクログラムと比較して、変異体は、1mLのD−トリプトファン当たり1929マイクログラムを生成した。D76N変異体はまたより早期の時点で平衡状態にも達した。活性に改善は期待外であった。エロモナスおよびシュードモナスのBAR酵素についてのこの領域中の高い相同性に基づいて、他の広域活性ラセマーゼでの同様の突然変異もまた有益であろうと考えられることが期待される。
4P:BAR酵素のN末端リーダー配列のプロセシング
イー・コリで生成した、P.タエトロレンス(配列番号204)、A.キャビエ(配列番号179)、およびA.ハイドロフィラ(配列番号177)に由来する精製C末端Hisタグ付き広域アミノ酸ラセマーゼ(BAR)の試料を逆相液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化四重飛行時間型質量分析(LC/ESI−QTOF−MS)によって特徴づけ、各タンパク質のリーダー配列がどの位置で開裂するかを決定した。質量スペクトルは、m/z 300〜m/z 1300の範囲にわたり収集した。各タンパク質について獲得した質量スペクトルのデコンボリューション(結合した異なる数のプロトンを有する同じ質量のタンパク質分子に起因するm/z値の包絡線の分子量への数学的な変換)はMS計測装置を備えた最大エントロピーデコンボリューションソフトウェアを用いて達成した。P.タエトロレンスBARについて観察された分子量は42651Daであり、このタンパク質がアミノ酸A23の後で開裂することを示した(理論的な分子量=42654Da)。A.キャビエBARについて観察された分子量は43565Daであり、このタンパク質がアミノ酸21の後で開裂することを示した(理論的な分子量=43568Da)。A.ハイドロフィラBARについて観察された分子量は43450Daであり、このタンパク質がアミノ酸21の後で開裂することを示した(理論的な分子量=43453Da)。配列番号204のアミノ酸2〜23をコードするコドンが除去され、部分的な遺伝子が上記の方法と同じようにイー・コリで発現する場合、精製発現産物について観察された分子量は42483Daである。この結果に基づいて、リーダーなし発現産物の成熟タンパク質は、最初の2つまたは3つのアミノ酸が除去されているように考えられ、それを、野生型産物の成熟タンパク質よりも1つまたは2つのアミノ酸分短くしている。配列番号179のアミノ酸2〜21をコードするコドンが除去された場合、精製発現産物について観察された分子量は43500であり、最初の2つのアミノ酸(MA)が除去されていることに相応する(理論的な分子量=43498)。したがって、成熟タンパク質は、野生型成熟タンパク質と比較して1つのさらなるアラニンを欠いており、実施例4Oに示されるように、周辺質中に分泌されるようには考えられない。A.キャビエおよびP.タエトロレンスの双方のリーダーなし発現産物から開裂するアラニンに加えて、P.タエトロレンス(配列番号204)リーダーなし発現産物に由来する成熟タンパク質がプロリンを欠けている場合、それは、活性の低下の増加について説明する可能性がある。しかしながら、SDS−PAGEによって判断されるように発現の劇的な低下によって証拠づけられるように、タンパク質は、決して適切に発現せず、折りたたまれない可能性がある。N末端Hisタグ付きタンパク質はニッケルアフィニティーカラム上で精製されないと考えられ、Signal P 3.0プログラムはリーダー配列を予測したので、上記に記載されるP.プチダBAR酵素は、イー・コリによって同様に処理されるであろう。
組換えイー・コリ中のピルビン酸アルドラーゼのスクリーニングのための選択法
実施例4A(5)、9、および10(3)に記載され、かつ図1〜8に示されるプロセスの多くは、インドール−3−ピルビン酸およびピルビン酸からR−MPを優先的に生成するアルドラーゼで最適に働くであろう。従って、R−MPを優先的に生成するアルドラーゼをコードする核酸を含有するクローンを単離し、試験するための方法が記載される。炭素源としてのリボースを有するM9最少培地上で成長させる場合にピルビン酸の補足を必要とするエシェリキア・コリの株は先に記載された。Ponce,E.ら,「Cloning of the two pyruvate kinase isoenzymes structural genes from Escherichia coli.:The relative roles of these enzymes in pyruvate biosynthesis」,J.Bacteriol.177:5719−5722,(1995)。株の関連する遺伝子型は次の通りである:ΔpykA ΔpykF。ダブルノックアウトは、DatsenkoおよびWanner,Proceed.Natl.Acad.Sci.USA 97:6640−6645,(2000)の方法によって生成した。これらの株は、ピルビン酸生成アルドラーゼスクリーニングのためのおよびモナチンの特定の立体異性体、モナチン前駆体の特定の立体異性体、またはモナチンもしくはモナチン前駆体の類似体に対する活性が高いアルドラーゼをスクリーニングするための基礎を形成できる。モナチン前駆体の類似体は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸、4−カルボキシ−4−ヒドロキシ−2−オキソアジペート(oxoadipate)、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソアジペート、またはアルドール反応においてピルビン酸に変換される他のカルボキシルリッチ化合物のごときProAアルドラーゼまたはKHGアルドラーゼの基質として同定された化合物を含む。用いることができるモナチンの類似体の例は、4−ヒドロキシ−4−メチルグルタミン酸であり、これは、試験細胞中の天然のアミノトランスフェラーゼによって4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸(ProAの基質)に容易にアミノ基転移され得る。
クローニング
以下のプライマーは、pykAノックアウトを生成するために用いた。
5'-ATGTCCAGAAGGCTTCGCAGAACAAAAATCGTTACCACGTTAGGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC-3'(配列番号3)および
5'-CTCTACCGTTAAAATACGCGTGGTATTAGTAGAACCCACGGTACCATATGAATATCCTCCTTAG-3'(配列番号4)。
以下のプライマーは、pykFノックアウトを生成するために用いた。
5'-AGGACGTGAACAGATGCGGTGTTAGTAGTGCCGCTCGGTACCAGCATATGAATATCCTCCTTAG-3'(配列番号5)および
5'-ATGAAAAAGACCAAAATTGTTTGCACCATCGGACCGAAAACCGGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC-3'(配列番号6)。
PCR反応は、標準的なプロトコールを用いて鋳型としてpKD3またはpKD4のいずれかを用いて行った。PCR生成物は、ラムダレッド相同組換え系を発現するイー・コリの株へエレクトロポレーションした。PCR生成物は、pykAまたはpykFに対する相同性を有し、それらの部位で染色体中に再結合した。ダブルクロスオーバーが起こった場合、結果として生じた子孫は、欠失したpykAまたはpykFの遺伝子および抗生物質抵抗性マーカーを運んだ。抗生物質抵抗性マーカーを有する欠失遺伝子は、標準的なP1形質導入技術を用いてイー・コリ株(MG1655)中に形質導入した。
株分析
ダブルノックアウトは、Balchのビタミン溶液、Balchの修正微量元素溶液(Balch,W.E.ら,「Methanogens:reevaluation of a unique biological group」,Microbiol.Rev.43:260−296,(1979))、および0.4%D−リボースを補足した最少培地(M9塩)(Difco社)上での成長について試験した。5mMピルビン酸が培地にさらに含まれていない限り、成長は、ダブル変異体について見られなかった。野生型MG1655は、ピルビン酸有りおよびなしの双方で上記の培地上で成長した。ダブルノックアウトは、リボースではなく0.4%グルコースを補足した上記に記載される最少培地上での成長について試験した。この培地上での成長は、野生型株を用いて見出されたものに類似していた。この培地で、ピルビン酸は、ptsI遺伝子産物(ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸を作製し、グルコースにリン酸を移すホスホトランスフェラーゼ系の酵素)を介してグルコースから生成され得る。ダブルノックアウト株は、さらに、リボースではなく0.4%L−アラビノースまたは0.4%D−キシロースを補足した上記に記載される培地を用いて、成長について試験した。ピルビン酸は、これらの5−炭素含有(非PTS)基質での成長から生成されない。5mMピルビン酸を補足しない限り、ダブルノックアウトはこれらの条件下で成長せず、野生型株は、ピルビン酸有りおよびなしの双方で正常に成長した。
国際公開第03/091396A2号の実施例2に記載されるコマモナス・テストステローニからのproAアルドラーゼ遺伝子(pET30 Xa/LIC中でクローニング)および国際公開第03/091396A2号の実施例3に記載されるaspC/proA遺伝子オペロン(pET30 Xa/LICおよびpET32中でクローニング)は、pBAD TOPO TA発現キット(Invitrogen社)を用いて、pBAD−TOPO中にサブクローニングした。
遺伝子(複数可)の発現は、これらの構築物において、誘発性araBADプロモーターによって制御される。アラビノース(例えば、0.4%)およびIPTGの存在下で遺伝子(複数可)は発現する。ピルビン酸またはピルビン酸の源が補足されない限り、株は、最少培地上で成長しないであろう。培地は、モナチン、モナチン前駆体、またはモナチンもしくはモナチン前駆体の類似体を補足できる。文献において用いられる基質の標準的な範囲は0.5〜5mMである。ProAアルドラーゼは、例えば、モナチン前駆体をピルビン酸およびインドール−3−ピルビン酸に変換でき、従って、株にピルビン酸の源を供し、0.4%アラビノースを有する最少培地上での成長を可能にする。proAおよびaspCの遺伝子の双方を発現する構築物は、モナチンをモナチン前駆体に変換し、モナチン前駆体をピルビン酸およびインドール−3−ピルビン酸に変換できる。さらに、アミノトランスフェラーゼは、インドール−3−ピルビン酸をL−トリプトファンに変換し、トリプトファン栄養要求性を補完できる。この系は、アルドラーゼについてスクリーニングするためにおよびモナチンの特定の立体異性体、モナチン前駆体の特定の立体異性体、またはモナチンもしくはモナチン前駆体の類似体に対してより活性であるアルドラーゼをスクリーニングするために用いられる。例えば、進化分子工学が国際公開第03/091396A2号の実施例2に示されるアルドラーゼのうちのいずれかについて行われる場合、RまたはSモナチン前駆体のいずれかを含有する培地を利用する平板アッセイは、結果として生じた変異体酵素のエナンチオ特異性を比較するために用いられる。成長が、R−モナチン前駆体を含有する平板上で起こり、成長が、S−モナチン前駆体を含有する平板上でほとんどまたは全く起こらない場合、アルドラーゼは、反応部位にR−キラリティを含有する基質に対して特異性を有する。
1×Balchのビタミン溶液およびBalchの修正微量元素溶液を含有するM9最少培地平板を作製した。Balch,W.E.ら,「Methanogens:reevaluation of a unique biological group.」Microbiol.Rev.43:260−296,(1979)。グルコースまたはアラビノースが炭素源(0.4%重量/容量)として含まれ、平板は、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)中で溶かした5mMモナチン(R,R;S,Sラセミ混合物)またはモナチンなしの等容量のリン酸カリウム緩衝液のいずれかを補足した。成長を下記の表34に要約する。
Figure 2015211679
ProAおよびAspCのレベルをコントロールする、モナチンの取り込みを増加させる、モナチンの代わりにモナチン前駆体を用いる(この場合、アミノトランスフェラーゼは、存在する必要がないと考えられる)、または上記に記載されるもののごときモナチンのそれほど疎水性でない類似体を用いることによってスクリーニングを最適化できることが予想される。モナチンの取り込みを増加させるための方法は、アミノ酸混合物の追加、特定のアミノ酸の追加、界面活性剤、抗生物質、抗生物質類似体、または細胞壁を透過処理するのを助ける酵素の使用、およびアルドラーゼが、成長を支えるのに十分なピルビン酸を提供できない場合に、成長を可能にするための少量のピルビン酸の追加を含む。ポリミキシンBノナペプチド(DixonおよびChopra,Antimicrobial Agents and Chemotherapy 29:781−788(1986))およびミクロシスチンRR(Dixonら,FEMS Microbiology Letters 230:167−170(2004))はイー・コリの外側の膜を透過処理する作用物質として記載された。
他のプロモーター系/プラスミドをこのスクリーニング系において用いることができ、等価な結果となることが予想される。例として、T7プロモーター系ならびにtacおよびlacのごときIPTG誘発性プロモーターを含む。
aspCおよびproAの遺伝子は、pTrc99a発現ベクター(Amersham社、ピスカタウェイ、NJ)中にクローニングした。結果として生じたベクターは、トリプトファン栄養素要求株CAG18455またはCAG18579中に形質転換した(株の説明については実施例4を参照されたい)。形質転換体は、0.1mM IPTGおよび5mMモナチンを用いてM9最少培地上で平板培養した。37℃での3日後に、オペロンプラスミドを有する株はコロニーを形成したが、親株は、成長したようではなかった。加えて、成長は、IPTGの存在に依存性であり、オペロンの発現が成長に必要とされたことを示す。この補足性研究において、aspC/proAオペロンは、モナチンからMPを形成し、MPからインドール−3−ピルビン酸を形成した。次いで、インドール−3−ピルビン酸をL−トリプトファンに変換でき、トリプトファン栄養素要求株がM9最少培地上で成長することを可能にした。
数種の潜在的な生物は、R特異的アルドラーゼを有する可能性があり、上記に記載のように試験できる。R,R−モナチンの存在は、コリネバクテリウム・グルタミカムの培養上清において検出された。これは、R−モナチン前駆体を作製できる酵素の存在を示唆する。さらに、モナチンの多数の異性体の存在は、逆相クロマトグラフィーを用いて、シノリゾビウム・メリロティの無細胞抽出物中で検出され、さらに、モナチン前駆体のR立体異性体を作製できるアルドラーゼまたはアミノトランスフェラーゼが存在する可能性のあることを示す。
シュードモナス・ストラミネア(Pseudomonas straminea)(シュードモナス・オクラセア NGJI)、シノリゾビウム・メリロティ、スフィンゴモナス種 LB126、アルトロバクター・ケイセリ(Arthrobacter keyseri)12B、エルシニア・ペスチス株 CO92、ブラディリゾビウム・ジャポニクム株 USDA110、スフィンゴモナス(シュードモナス)パシモビリス(paucimobilis)、エルシニア・ペスチス KIM、ラルストニア・メタリデュランス(Ralstonia metallidurans)CH34、エルシニア・シュードツベルクロシス IP32953、リゾビウム・レグミノサルム ビオバル ビキア(Viciae)rhiz23g02−p1k_1009_341(Sanger Institute)、ノボスフィンゴビウム・アロマチシボラン DSM12444、シュードモナス・プチダ KT2440、マグネトスピリルム・マグネタクティカム(Magnetospirillum magnetotacticum)MS−1、ロドシューモナス・パラストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009、キサントモナス・カンペストリス ATCC−33913、キサントモナス・アキソノポディス(Xanthomonas axonopodis)シトリ 306、およびストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)MA−4680は、鋳型としてproA(コマモナス・テストステローニ)を用いたBLAST分析によって発見された相同体を有する。米国出願第20050282260号を参照されたい。これらの生物は、DNAの源として用いることができ、上記に言及されるスクリーニングにおいて試験した。
没食子酸、シリング酸、プロトカテキュ酸、フタル酸、パラヒドロキシベンゾエート、およびフルオレンで成長が可能な生物は、モナチンを作製する可能性があるアルドラーゼを有する可能性があり、上記に言及されるスクリーニングについて可能性を有する可能性がある。以下の生物は、4,5−ジオキシゲナーゼ経路を介してプロトカテキュ酸を代謝し、有用である可能性があるアルドラーゼを有する可能性がある:ボルデテラ・ブロンキセプチカ RB50、ボルデテラ・パラパータシス 12822、クレブシエラ・ニューモニエ MGH78578、マグネトスピリルム・マグネタクティカム MS−1、ロドシューモナス・パラストリス CGA009、スフィンゴモナス・アロマチシボラン F199、キサントモナス・アキソノポディス シトリ 306、キサントモナス・カンペストリス ATCC33913。
また以下の生物は、3,4ジオキシゲナーゼ経路を介してプロトカテキュ酸を分解し、有用である可能性があるアルドラーゼを有する:アシネトバクター・カルコアセティカス ADP1、アシネトバクター種 ATCC33305、ADP1、アグロバクテリウム・ツメファシエンス C58、アゾトバクター・ビネランジー AvOP、ブラディリゾビウム・ジャポニクム株 USDA110、ブラディリゾビウム・ジャポニクム株 USDA438、ブルセラ・アボルタス、ブルセラ・メリテンシス 16M、ブルセラ・メリテンシス スイス 1330、バークホルデリア・セパシア J2315、バークホルデリア・ファンゴラム(Burkholderia fungorum)LB400、バークホルデリア・シュードマレイ K96243、リネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)YS−314、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC−13032、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099、マイコバクテリウム・アビウム亜種パラツベルクローシス(paratuberculosis)株 k10、シュードモナス・エルジノーサ PAO1、シュードモナス・フルオレッセンス Pf0−1、シュードモナス・フルオレッセンス SBW25、シュードモナス・プチダ KT2440、シュードモナス・シリンゲ病原型トマト株 DC3000、ラルストニア・ソラナセラム、ロドコッカス種株 I24(IG−15)、シノリゾビウム・メリロティ 1021、ストレプトマイセス・アベルミティリス MA−4680、ストレプトマイセス・セリカラー A3(2)、およびキサントモナス・アキソノポディス シトリ 306、キサントモナス・カンペストリス ATCC−33913。
6A:HEXAspCの部位特異的突然変異誘発
実験概要
イー・コリAspC(HEXaspC)のhexa変異体は、国際公開第03/091396A2号の実施例6に記載のようにS,Sモナチンの生成についてAspCと比較してより優れた活性を有することがわかった。HEX(受入番号:/AHFA gi:127190)は、AspCからの以下の突然変異を含有する(イー・コリ番号付け):V35L、K37Y、T43I、N64L、TI04S、およびN285S。構造分析および文献報告(Rothman,S.およびKirsch,J.,J.Mol.Biol.327:593−608,(2003);Rothman,S.ら,Protein Science 13:763−772,(2004))に基づき、モナチン生成経路に利用される基質:L−トリプトファン、S−MP、またはその双方に対して速度論的活性を増加させると予想された5種以上の変異体を作り出した。変異体のうちの2種は、トリプトファンおよびS,Sモナチンの双方のアミノ基転移速度を増加させた。変異体のうちの2種は、S,Sモナチンの形成に対する立体選択性の増加を示したが、一方はそれほど立体選択性ではなかった。これに基づき、同様の突然変異を有するバチルス種からの広域特異性D−アミノトランスフェラーゼは、図3に示され、かつ実施例4(4)に記載されるR,Rモナチン経路のD−アミノトランスフェラーゼとして有用であろうことが予想される。変異体のうちの1種(HEXaspCP9T/R122G)は、L−トリプトファンアミノ基転移に対する活性を増加させたが、S,Sモナチン生成またはS,Sモナチンアミノ基転移における活性は著しく減少した。従って、この酵素は、図1、2、4、5、6、7、および8に示され、かつ実施例9および10(3)に記載されるR,Rモナチン生成経路の第1の工程に有用であることが予想される。一般的に、L−トリプトファンに対するAspCの活性に類似する活性ならびにR−MPおよびS−MPに対する制限された活性を有するアミノトランスフェラーゼは、図1、2、4、5、6、7、および8に表すプロセスに有用であろう。
方法および材料
pUC19中でクローニングしたHEX遺伝子は、J.F.Kirsch教授(Department of Molecular and Cell Biology,University of California,バークリー,バークリー,CA 94720−3206)によって提供されたものであり、pET23a中への遺伝子のクローニングのために鋳型として用いた。Onuffer,J.J.およびKirsch,J.F.,「Redesign of the substrate specificity of Escherichia coli aspartate aminotransferase to that of Escherichia coli tyrosine aminotransferase by homology modeling and site−directed mutagenesis」,Protein Science 4:1750−1757(1995)を参照されたい。NCBI受入番号1AHF_A GI:1127190(HEXアミノ酸配列)もまた参照されたい。以下のプライマーは、pET23aベクター(Novagen社、マディソン、WI)中にHEX遺伝子をクローニングするために設計した。
HEXaspCプライマー:
N末端:5'-GCGGAACATATGTTTGAGAACATTACCGCC-3'(配列番号7);
C末端:5'-ATAACCGGATCCTTACAGCACTGCCACAATCG-3'(配列番号8)。
以下のPCRプロトコールを遺伝子増幅に用いた:100μL反応中、50ng DNA鋳型、1.0μMの各プライマー、0.2mM 各dNTP、1U Pfu Turbo Polymerase(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)、および1×Cloned Pfu緩衝液を追加した。サーモサイクラープログラムには、5分間94℃のホットスタートを利用し、その後、94℃での変性工程(30秒間)、55℃でのアニーリング工程(1分間)、72℃での伸長工程(2分間)の25サイクル、および最終的な72℃での終了工程(7分間)が続いた。精製PCR生成物は、BamHIおよびNdeI(New England Biolabs社)の制限酵素を用いて消化した。PCR生成物は、Roche社製Rapid DNA Ligationキット(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて、NdeIおよびBamHIを用いて同様に消化したpET23a中にライゲーションした。脱塩したライゲーションしたものは、メーカーのプロトコールに従って、Bio−Rad社製 Gene Pulser IIシステムを用いて、イー・コリDH10B細胞中にエレクトロポレーションした。ミニプレップDNAは、Qiagen社製Spin Miniprepキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、調製し、突然変異誘発反応のための鋳型として用いた。プラスミドは、メーカーのプロトコール(Novagen社、マディソン、WI)に従ってイー・コリBL21(DE3)細胞中に形質転換した。
130位でのトリプトファン残基は、ピリドキシル環とのスタッキング相互作用に重要であると考えられるが、タンパク質モデリング観察に基づくと、S−モナチン前駆体(「S−MP」)基質との立体障害の源であるようである。従って、より小さな疎水性側鎖を有するアミノ酸(フェニルアラニン)をトリプトファンと交換するために用いた。望ましい突然変異の新しい組合せを作り出したが、残りの突然変異は文献中の反応速度データに基づくものとした。W130Fを除く、HEXaspCに対するすべての突然変異は、メーカーの指示に従って、Stratagene社製Multi−Changeキットを用いて行った。W130F突然変異は、PCR反応の伸長温度を66℃に減少させたことのみを除いて、メーカーの指示に従って、Stratagene社製QuikChangeキットを用いて行った。マルチーチェンジキットのためのプライマーは、W130F単一突然変異プライマーを除いて、〈www.stratagene.com〉のQuikChangeマルチキットプライマー設計ツールを用いて設計した。
プライマー配列を下記の表35に挙げる。
Figure 2015211679
a は、5’リン酸化によって改変されたプライマーを意味する。
HEXaspC突然変異遺伝子の発現および酵素活性の分析
Novagen Overnight Express(商標)Autoinduction System 2(カタログ#71366−3;溶液1〜6の液体培養物(5mL)は、以下の株の新鮮な平板培養物または凍結グリセロールストックから接種した。
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCpET23a
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCW130FpET23a
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCT156ApET23a
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCP9T/T156ApET23a
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCP9T/R122GpET23a
E.coli BL21(DE3)::HEXaspCR122G/T156ApET23a
培養物は、6〜8時間、230rpmで、37℃でインキュベートした。各培養物のOD600を決定し、25mL中で0.03〜0.05のOD600を得るのに必要な培養物の容量を算出した。算出した容量の各液体培養物は、25mLの同一の培地を含有するフラスコに移した。Overnight Express(商標)Autoinduction System 2は、誘発剤としてラクトースを用い、かつ細胞成長のモニターを必要としない、IPTG誘発性発現系を用いた高レベルの発現のための完全な合成培地(chemically defined medium)である。Overnight Express培養物は、18時間230rpmで振盪させながら30℃でインキュベートした。細胞は、遠心分離によって採取し、低温の50mM MOPS、pH7.0を用いて1回洗浄した。次いで、細胞は、Novagen社推奨のプロトコールに従って、1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼ(Novagen社カタログ#70746−3、マディソン、WI)、5μL/mL Protease Inhibitor Cocktail Set II(Novagen社カタログ#539132、マディソン、WI)、および0.33μL/10mL r−Lysozyme(Novagen社カタログ#71110−3、マディソン、WI)を含有するBugbuster(商標)(第一級アミンなし)Extraction Reagent(Novagen社カタログ#70923−3、マディソン、WI)を用いて溶解させた。緩やかに振盪させながら15分間、25℃でインキュベーションした後、各懸濁液からの細胞片は、4℃での15分間の21,000gでの遠心分離によってペレットにした。上清は、注意深くデカントし、無細胞抽出物として分析した。封入体画分は、30%Bugbuster(商標)(第一級アミンなし)Extraction Reagent中に細胞片画分を懸濁させて、10分間21,000×gで遠心分離し、遠心分離したペレットを10%Bugbuster(商標)(第一級アミンなし)Extraction Reagent中に懸濁させて、もう一度遠心分離して、洗浄ペレットを単離することより単離した。
無細胞抽出物および封入体画分は、4〜15%の勾配ゲル(Bio−Rad社 #161−1104)上でのSDS−PAGEによってタンパク質発現について分析した。細胞抽出物試料については、20マイクログラムの可溶性タンパク質を各ゲルレーンに装填した(1×タンパク質装填緩衝液を用いて前もって混合し、5分間95℃で加熱)。封入体画分は、1×タンパク質装填緩衝液(0.2mL)中に溶かした。95℃で10分間加熱し、5μLの各溶液をゲルレーン毎に装填した。各レーンに装填した全可溶性タンパク質と比較した各HEX変異体の量は、Labworks BioImaging 1次元ゲルツール(UVP社、アプランド、CA)を用いるバンド強度分析によって算出し、また下記の表36に報告する。
Figure 2015211679
ゲルの分析は、HEXaspCR122A/T156A変異体が、封入体として実質的な量で見つかった唯一のタンパク質であったことを示した。HEXaspCP9T/T156Aタンパク質は、HEXaspCタンパク質を上回る約90%の最も高いレベルの発現を生じた。対照的に、W130F、T156A、およびP9T/R122Gタンパク質は、HEXaspCよりも低い濃度で発現した。
S,S−モナチンの生成のためのHEXaspC変異体タンパク質の活性は、以下の反応条件を用いて測定した:各1mLの反応は、50mM TAPS、pH8.2、4mM MgCl、3mMリン酸ナトリウム、pH8.0、200mMピルビン酸ナトリウム(pHは8に調整)、5mM α−ケトグルタル酸(pHは8に調整)、50mMトリプトファン、0.05mMピリドキサール3−リン酸、50μg/mL ProAアルドラーゼ(無細胞抽出物として追加)、および様々な濃度(約50および500μg/mL)のアミノトランスフェラーゼ(無細胞抽出物として追加)を含有した。脱気した水は、ストック溶液を調製し、かつ1.0mLに反応混合物の容量を調整するために用いた。ピリドキサールリン酸は、酵素の追加の直前に追加した。反応チューブは、4時間緩やかに振盪させながら30℃でインキュベートした。試料(0.01mL)は、酵素の追加の後に、1、2、および4時間で回収し、濾過し、実施例1に記載のようにLC/MS/MSによって分析した。モナチン生成量は、反応中に存在するアミノトランスフェラーゼの量に基づいて標準化した。
これらのアッセイの条件下で、HEXaspCおよびHEXaspCT156Aは、1mgのアミノトランスフェラーゼ当たり最も多い全モナチンを生成したが、P9T/R122Gタンパク質が生成したのは最も少なく、HEXaspCW130Fが後に続いた。HEXaspCW130FおよびP9T/R122G酵素は、高酵素濃度を用いた(300μg/mL超)場合でさえ、S−MPに対して最も高い立体選択性を示した(98%を超えるS,S−モナチン)。S,S−モナチン生成物の百分率は、高濃度でP9T/T156A酵素を含有する酵素反応では90%未満まで減少した。他の変異体は、本来のHEXaspC変異体に非常に類似する生成物立体選択性を示した(約95%S,S−モナチン)。実施例1に記載されるFDAA誘導体化試薬を用いる、HEXaspC酵素を含有する反応の生成物の分析は、形成される第2の立体異性体がR,S−モナチンであることを示した。
トリプトファンおよびモナチンのアミノトランスフェラーゼ活性についてのアッセイ
変異体は、基質としてS,SモナチンおよびL−トリプトファンを用いるアミノ基転移活性について試験した。アミノトランスフェラーゼ活性は、実施例1に記載のように、OPAポストカラム誘導体化を用いたHPLCによって、反応の副産物であるグルタミン酸の形成に従って測定した。反応混合物は、1.0mL中、100mM HEPPS緩衝液、pH8.0、20mMアルファ−ケトグルタル酸、0.08mMピリドキサールリン酸、25mMトリプトファンまたはS,Sモナチン、および酵素(細胞抽出物タンパク質における2.5mgとして供給)を含有した。酵素以外の成分はすべて、一緒に混合した。酵素は、反応を開始するために追加し、反応溶液は、90分間、30℃(緩やかに振盪させる)でインキュベートした。反応は、酵素を追加しないネガティブコントロールと共に二通り行った。反応は、10%ギ酸(最終濃度)の追加によって停止させ、混合物は、21,000rpmで遠心分離し、上清は注意深く取り出し、濾過した。データは、グルタミン酸のバックグラウンドレベルについておよびタンパク質を沈殿させるための、酸の追加による希釈について補正し、次いで、追加した変異体アミノトランスフェラーゼの量によって標準化した。トリプトファンを基質として利用した場合、HEXaspCは、毎時1mgのアミノトランスフェラーゼ当たり13.0mMグルタミン酸を生成した。変異体の、百分率として表した相対的活性は、以下の通りである:HEXaspCW130F(156%)、HEXaspCT156A(151%)、HEXaspCP9T/T156A(63.7%)、HEXaspCP9T/R122G(116%)、およびHEXaspCR122G/T156A(107%)。S,Sモナチンを基質として利用した場合、HEXaspCは、毎時1mgのアミノトランスフェラーゼ当たり7.43mMグルタミン酸を生成した。変異体の、百分率として表した相対的活性は、以下の通りである:HEXaspCW130F(113%)、HEXaspCT156A(87.7%)、HEXaspCP9T/T156A(67.3%)、HEXaspCP9T/R122G(11.2%)、およびHEXaspCR122G/T156A(114%)。
HEXaspCP9T/R122G変異体は、トリプトファンのインドール−3−ピルビン酸への変換に対する活性を増加させたが、S,Sモナチンアミノ基転移に対する活性を減少させた。モナチンに対するトリプトファンの活性の比は、HEXaspCの1.75と比較して18.2であり、これにより、HEXaspCP9T/R122G変異体は、実施例9および10(2)に記載されるL−アミノトランスフェラーゼ等のL−アミノトランスフェラーゼを必要とする経路を用いるR,Rモナチンの生成のための望ましい候補となる。そのため、HEXaspCP9T/R122Gは、S,SモナチンおよびMPに対する制限された活性を持つアミノトランスフェラーゼの例となる。
大部分の突然変異は、L−トリプトファン活性を改善したが、2つの変異体だけが、L−トリプトファンおよびS,Sモナチンの双方に対する活性を増加させる(HEXaspCW130FおよびHEXaspCR122G/T156A)。25mMの基質をこれらのアッセイに用いたので、酵素はおそらく飽和され、活性は酵素のkcatの反映となる。しかしながら、上記に記載される、S,Sモナチン生成についてのアッセイを行った条件下では、おそらくS−MPの濃度は酵素を飽和させるのに十分ではなく、従って、kcatの増加がKmの増加によって相殺されるので、S,Sモナチン生成における全体の増加はない。同様の基質に対して、いくつかの突然変異はkcatを増加させたが、アミノ酸基質に対する見かけのKmもまた増加させたことが報告された。増加性の濃度の基質を用いた場合、これらの2つの変異体は、HEXaspCと比較して、S,Sモナチンの生成速度における有益性を提供すると考えられることが予想される。HEXaspCT156A突然変異は、S,Sモナチン生成に対する上記の条件下でのMPアミノ基転移速度に対して著しい効果を伴わずに、トリプトファンアミノ基転移速度を増加させたようである。
HEXaspCおよびバチルス種D−アミノトランスフェラーゼ酵素のうちの1つの構造の比較によって(例えば、Sugio,Sら,Biochemistry 34:9661−9669,(1995)を参照されたい)、D−アミノトランスフェラーゼ構造中の対応する残基にAspCのW130F、R122G、T156A、およびHEX突然変異をマッピングできる。広域特異性D−アミノトランスフェラーゼ中の同様の突然変異は、実施例3Aに記載のように、R,Rモナチンの全体の生成を改善すると考えられることが予想される。例えば、AspC中のトリプトファン130によって提供される機能性は、バチルスD−アミノトランスフェラーゼ中でセリン179−181およびグルタミン酸166(YM−1番号付けスキーム)の側鎖間の水素結合と交換される。立体障害を減らすために、グルタミン酸をアスパラギン酸残基に突然変異させることができる。いくつかのD−アミノトランスフェラーゼは179位にトレオニン残基を有し、これは立体障害を増加させるであろうが、回避されるべきである。B.スファエリクス酵素は、181位にセリンの代わりにアラニンを有し、アラニンはさらに立体障害を低下させる可能性がある。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼに関する研究からの付加的な情報は、D−アミノ基転移酵素に同様に適用できる。AspC酵素は、ジカルボン酸基質の側鎖と相互作用する活性部位にアルギニンを有しているが、D−アミノトランスフェラーゼはSer240からSer243までのループを有する。Ser240、Thr242、およびSer243の側鎖は、同一の方向を向き、Ser180のヒドロキシル基と共に、無極性基質および極性基質の双方が相互作用できる表面を提供するポケットを形成する。Ser180はPLP結合に関連する。しかしながら、R−MPとのD−アミノトランスフェラーゼの活性を改善するために、Ser240、Thr242、またはSer243残基は、より大きな基質を受容するようまたは負に荷電した基質に好都合となるように改変できる。例えば、Thr242は、側鎖長を減らすためにSerに突然変異させることができる。Ser243のごとき、残基のうちの1つは、リシンまたはアルギニンに突然変異させることができる。残基(YM−1番号付け)Val30〜Val36は、D−アミノトランスフェラーゼの活性部位を横切るベータストランドに位置し、さらに、活性にとって重要である。Tyr31、Val33、Glu32、およびLys35は活性部位に面すると考えられる。Tyr31、Glu32、およびVal33はすべてのバチルス相同体において不変である。Roら,FEBS Lett 398:141−145,(1996))は、Val33をAlaに突然変異誘発させ、アルファ−ケトグルタル酸アミノ基転移に対する触媒効率がわずかに増加し、かつよりかさ高い基質(それほど立体障害にならない)に対する触媒効率が著しく改善されることを見い出した。いくつかの相同体では、Lys35はアルギニンと交換されるが、立体障害が関係する場合、Lys残基が好ましい可能性がある。バリン34および36もまた、なおまたMP等の大きな分子に対してそれほど立体障害にならないので、イソロイシンのごとき、保存的置換に関して好ましい。実施例15および16に記載される新規なD−アミノトランスフェラーゼ(「4978」)が実施例19に記載されるB.スファエリクス酵素およびハイブリッドDATよりも高い活性を有したので、それは、さらなる突然変異誘発反応のために当然選ばれる。YM−1 D−アミノトランスフェラーゼの結晶構造分析に基づいた上記のアイデアは、ATCC株4978からD−アミノトランスフェラーゼに適用できる。上記の番号付けは、4978タンパク質配列中の対応するアミノ酸ではないアミノ酸である。
6B:ATCC4978からのD−アミノトランスフェラーゼの変異体のキャラクタリゼーション
実験概要
バチルス株ATCC4978からの新規なD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子(実施例15に記載される)は、部位特異的方法を用いて突然変異誘発させた。変異体遺伝子を発現させ、モナチン生成経路について注目する活性についてアッセイした。
部位特異的突然変異誘発標的について実施例6Aに挙げたアイデアに加えて、他のアイデアは、YM−1結晶構造の活性部位中にR−MPを実際にドッキングさせることによっておよび一次アミノ酸配列アラインメントを用いて発展させ、4978タンパク質がその領域中で同様の構造的な特徴を有しそうかどうかを決定した。以下のさらなる突然変異は有益であろうと期待された(4978アミノ酸番号付けを使用)。アラニン153のアルギニンへの突然変異誘発は、基質(R−MP)の第2のカルボキシル基を安定化するであろうと考えられた。この変化は、おそらく立体障害を増加させる、したがって、これを補うために、位181および182のセリン残基をアラニンまたはグリシンに変化させた。位180、181、または182にアルギニンを導入し、他のセリン残基の1つまたは複数をアラニンまたはグリシンに変換し、アルギニンのよりかさ高い側鎖のために空間を作ることができるということもまた仮定された。アミノ酸200のフェニルアラニンは、R−MPが活性部位にドッキングすると予測される場所に空間的に接近しており、モナチンアミノ基転移をかなり十分に触媒するD−アミノトランスフェラーゼの中のこの残基に多大な変異性がある。この位置のアミノ酸改変は有用となり得ると考えられた。フェニルアラニンへのロイシン151の突然変異は、基質のインドール環との相互作用を可能性として改善することが予測された。
文献に基づき、アスパラギンへのトレオニン243の突然変異は、アミノ基転移反応についてのR−MP選択性を改善する可能性があると仮定された。同様に、アラニンへのアスパラギン100の突然変異誘発は、モナチンアミノ基転移反応に対する酵素の特異的活性を改善する可能性があると考えられた(Roら、FEBS Lett 398:141〜145頁、(1996年);Sugio,Sら,Biochemistry 34:9661〜9669頁、(1995年);欧州特許第1580268号)。
Leeらは、141〜144の領域(ループ)の変異体を特徴づけ、LRcD(4978のタンパク質に固有)ではなくEYcYを有するD−アミノトランスフェラーゼはジカルボン酸基質に対してより低いKを有する傾向があることが分かった。(Lee SG、Hong SP、Song JJ、Kim SJ、Kwak MS、Sung MH.Functional and structural characterization of thermostable D−amino acid aminotransferases from Geobacillus spp.Appl Environ Microbiol.2006年2月;72(2):1588〜94頁)。MPは、アルファ−ケトグルタル酸に類似するジカルボン酸基質であり、MPの濃度は標準的なモナチン生成反応混合物中でかなり低いので、Kの低減は、可能性として、モナチン生成についての変異体DATの活性を助けることができると考えられる。
下記の方法は、4978D−アミノトランスフェラーゼ変異体を作り出すことおよびこれらの変異体を用いたアッセイ結果を記載する。
突然変異誘発
突然変異誘発のためのプライマーは、Stratagene Multi−Changeキット(La Jolla、CA)に挙げられた示唆に従って設計した。プライマーは5’−リン酸化した。突然変異誘発は、メーカーの指示に従って、Stratagene Multi−Changeキットを用いて行った。突然変異誘発のために用いた鋳型は、実施例15に記載されるpET30(タグなし)またはpET28(タグ付き)の4978DAT構築物のいずれかとした。プライマーは表37で下記に挙げる。
Figure 2015211679
イー・コリXL10−Gold細胞(Stratagene)は、形質転換し、結果として生じた精製プラスミド調製物は、適正な突然変異が組み込まれたかを検証するために配列決定した。
発現およびアッセイ
適正な突然変異を含有するプラスミドDNAをイー・コリBL21(DE3)コンピテント細胞中に形質転換し、実施例16に記載されるように誘発した。細胞抽出物は、BugBuster試薬およびBenzonase Nuclease(EMD Biosciences/Novagen、Madison、WI)を用いて調製した。1mlのアッセイは、緩やかに振盪させながら30℃で行った、また10.2mg D−トリプトファン、0.05mM PLP、4mM MgCl、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、約50μgのアルドラーゼ、200mMピルビン酸、および細胞抽出物として供給された0.150〜0.5mg/mL D−アミノトランスフェラーゼを含有した。全タンパク質アッセイは、Bio−Rad(Hercules、CA)全タンパク質キット(Coomassie)またはPierce(Rockford、IL)BCAキットを用いて行い、D−アミノトランスフェラーゼの発現パーセントは、SDS−PAGEまたはBio−Rad Experion Automated Electrophoresis Systemによって評価した。試料は、3時間および一晩の時点で測った。
配列番号22のR特異的アルドラーゼと共に約0.150mg/mLのD−アミノトランスフェラーゼを用いると、第1のアッセイは、以下の変異体(タグなし)がアミノ基転移活性を有したことを示した(最も高いものから最も低いものの順):T243N、T243S、T243N/N100A、N100A。T243Nは、生成されたR,Rモナチンの立体純度を上昇させるように考えられたこともまた注目された。アッセイは、精製コマモナス・テストステローニProAアルドラーゼ(100μg/ml)および0.50mg/mlのD−アミノトランスフェラーゼ変異体(タグなし、細胞抽出物として供給)を用いて繰り返した。試料は、2時間および一晩の時点で測った。活性タンパク質についての結果を下記に示す、また二通りの結果は平均した。R,Rモナチン%は逆相HPLCのピーク面積によって決定し、次いで、実施例1に記載されるFDAA誘導体化法を用いて測定した(結果は括弧中に示す)。結果を表38に示す。R,RモナチンおよびS,RモナチンのみがD−トリプトファンから生成される。T243R変異体は、試験した条件下でモナチンを生成するようには考えられなかった、またT243A変異体は、非常に低いレベルのモナチンを生成した。
Figure 2015211679
アッセイを行い、Bio−Rad Experion(登録商標)ソフトウェアを用いてD−アミノトランスフェラーゼパーセントを評価したが、T243SおよびT243Nの変異体は野生型酵素と比較して活性を増加させたことは明らかである。T243N変異体はまた形成されたR,Rモナチン%を劇的に増加させるさらなる有益性もまた提供した。この酵素は、アミノ基転移反応でS−MPと比較してR−MPに対する選好性を増加させる。N100A変異体は、文献に示唆されるように、単独でまたはT243Nとの組合せで活性を増加させなかった。タグなし4978DATのV34A部位特異的変異体もまた、上記に記載されるように同様の方法を用いて作り出した。V34A部位特異的変異体は、試験した条件下で野生型酵素よりも有意に低い活性を有することがわかった。
最初のアッセイにおける注目する他のポイントは、野生型酵素がN末端Hisタグと共に生成された場合に、より活性を有するように考えられたことであった。続く突然変異誘発は、遺伝子のタグ付きバージョンで行った。さらに、最も有望な上記の変異体は、N末端Hisタグを有するpET28b中にサブクローニングした。これらは、Novagen HIS−結合カラムおよび推奨される緩衝液を用いるメーカーのプロトコール(EMD Biosciences/Novagen、Madison、WI)を用いて精製した。溶出液画分の緩衝液は、GE Healthcare PD10カラム(Piscataway、NJ)を用いて、アッセイで用いた緩衝液に交換した。
精製D−アミノトランスフェラーゼ(0.5mg/ml)および配列番号104の精製R特異的アルドラーゼ(50μg/ml)を用いる1mlアッセイは、緩やかに振盪させながら30℃で進め、また10.2mg D−トリプトファン、0.05mM PLP、200mMピルビン酸、4mM MgCl、および100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5を含有した。二通りの試料は、2時間および一晩インキュベートした。ポジティブコントロールとして、バチルス・スファエリクスDAT(実施例18でクローニング)を同じアッセイで用いた。結果を表39に示す(FDAAアッセイによって示されるR,R%は括弧中に示す)。
Figure 2015211679
上記のデータからT243N変異体が最も高い量のモナチンを2時間で明らかに生成することが分かる。時間が経過するにつれて、B.スファエリクスDATポジティブコントロールに対するT243N変異体の比は低下する。この結果は、T243N変異体が、モナチン反応の間にB.スファエリクスDATほど安定性ではないことを示唆する。同様の条件下でアッセイした場合、T243S(精製タグ付き)酵素は、T243N変異体に類似するレベルの活性を有した。しかしながら、生成されたR,Rパーセントモナチンはより低かった(2時間および一晩の双方で97.2%)。T243N/N100A変異体はT243N変異体よりも低い活性を有した。しかしながら、T243SおよびT243N/N100Aの双方は野生型4978 DATよりも高い活性を有した。
アミノ基転移アッセイは、B.スファエリクスDATの代わりにT243N変異体を用いた場合に、どの反応速度が改善されたか決定するために行った。2分の1mLアッセイは、30℃で行い、1時間、2時間、および5時間の時点で測った。アッセイは、25mMモナチンまたはD−トリプトファン、25mMピルビン酸、100mMリン酸カリウムpH7.5、50μM PLP、および0.1mg D−アミノトランスフェラーゼ(タグ付き、精製済み)を含有した。100μg未満DATを用いた場合、アラニンの量は、100μgのD−アミノトランスフェラーゼに標準化した。試料をギ酸を用いて処理し、副生成物であるアラニンの存在についてポストカラム蛍光検出を用いてLCによって分析した(実施例1に記載されるように)。結果を表40および41に示す。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
D−トリプトファン反応については、結果は、酵素のうちのいくつかが2時間で平衡に達したことを示す。R,Rモナチン反応は明らかに律速的であり、この活性に対する改善は、D−トリプトファンからのモナチン生成速度により多くの影響を及ぼす。
さらなるアッセイは、T243N 4978 DAT変異体の安定性を調査するために行った。野生型酵素もまた長い間にわたって活性を失った。実施例6Cは、T243N D−アミノトランスフェラーゼ変異体の安定性を改善するための方法を記載する。T243N変異体の新たに調製したタグなしおよびタグ付きバージョンを調整し、活性について比較すると、タグなしバージョンは、より優れた一時的な安定性を有し、タグなしバージョンを、全体として、モナチン生成反応で用いるための酵素のより優れたバージョンとしたことがわかった。
4978 DATのさらなる変異体は、当業者に一般に知られている方法によって作製した。しかしながら、これらの突然変異はすべて、それらが調製された条件下で不溶性であり、したがって活性についてアッセイすることができなかったタンパク質をもたらした。不溶性のタンパク質をもたらした突然変異は次の通りであった:
S180A/S181A/S182R;
L151F;
V34G
S181R
A153R/S181A/S182A;
A153R/S182A;
A153R/S182G;
S180R/S181A/S182G;
S180R/S181A/S182A;
S180R/S181G/S182G;
S180G/S181R/S182G;および
S180A/S181R/S182A。
さらなる突然変異誘発
F200M 4978 DAT変異体を作り出すために、実施例15からの野生型4978 DATオープンリーディングフレーム(タグ付き)は、プライマー73および80ならびにPfuTurbo(登録商標)DNA Polymerase(Stratagene)を用いて増幅し、pCRII−Blunt(Invitrogen、Carlsbad、CA)中にクローニングし、その配列を検証した(Agencourt、Beverly、MA)。5’領域および3’領域は、プライマー80および96および99および103をそれぞれ用いて増幅した(表42)。次いで、増幅したDNAは、Qiagen QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いてゲル精製した。それらを組み合わせ、プライマー80および99を用いてPCRにさらにかけた(表42)。増幅したDNAは、上記に記載されるようにゲル精製し、pCRII Blunt中にクローニングし、その配列を検証した。DATオープンリーディングフレームは、pET28b中にNdeI/XhoI制限消化物断片としてサブクローニングした。
Figure 2015211679
以下のプライマー(表43)は、QuikChange(登録商標)Multi Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を用いるさらなる部位特異的突然変異誘発のために設計した。突然変異誘発は、メーカーの指示に従って、Stratagene Multi−Changeキットを用いて行った。突然変異誘発のために用いた鋳型は、実施例15に記載されるpET28(タグ付き)4978 DAT構築物とした。二重変異体もまた、鋳型としてF200Y変異体を用い、かつT243N(上記に挙げた)プライマーを用いた突然変異誘発のさらなるラウンドを行って作り出した。
Figure 2015211679
変異体コード領域はDNA配列決定(Agencourt)によって検証した。配列を検証したプラスミドはBL21(DE3)細胞(Novagen、Madison、WI)に形質転換した。
発現およびアッセイ
500mLバッフル付きフラスコ中に、50μg/mLカナマイシンを有する100mL LBを含有する培養物に、1mL一晩培養物を接種し、約0.6の光学濃度(600nm)まで37℃で成長させた。タンパク質の生成は、1mMの最終濃度でIPTGによって誘発した。細胞は、IPTGの追加後、4.5時間30℃でインキュベートした。細胞は遠心分離し、−80℃で凍結した。細胞は、破壊し(Novagen推奨のプロトコールに従って、1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼ、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルII、および0.033μL/mL rLysozymeを含有するNovagen BugBuster試薬を用いて調製)、SDS−PAGEによって分析した。変異体(141−LRcD−144→EYcY)および(243−TS−244→NR)はそれらが調製された条件下で不溶性のタンパク質をもたらした。変異体243−TS−244→NKは、試験した条件下で数量化できる活性を有していなかった、また、おそらく、S244K変異体のように、野生型と比較して活性の弱い酵素である。
Hisタグ付きタンパク質は以下のように精製した。HIS−結合カラム(Novagen、Madison、WI)は、200mM NaClおよび50μM PLPを含有する10mLの100mMリン酸カリウム、pH7.8を用いて平衡化した。無細胞抽出物をカラムに装填した。カラムは、10mLの平衡化緩衝液、25mMイミダゾールを含有する10mL平衡化緩衝液、および50mMイミダゾールを含有する10mL平衡化緩衝液を用いて洗浄した。タンパク質は、500mMイミダゾールを含有する5mlの平衡化緩衝液を用いて溶出した。タンパク質は、50μM PLPを含有する100mMリン酸カリウムpH7.8中で平衡化したPD10カラムを用いて脱塩した。精製タンパク質は、濃縮し、Bradford Assay(Bio−Rad)を用いて定量した。
D−アミノトランスフェラーゼ変異体は、アッセイ条件として、500μg/mLのD−アミノトランスフェラーゼ、配列番号104の50μg/mLのアルドラーゼ、4mM MgCl、50mMリン酸カリウムpH8、200mMピルビン酸ナトリウム、0.05mM PLP、および20.4mg/mL D−トリプトファンを用いてアッセイした。最終容量は1.25mLとした。試料(200μL)は、0.5、1、2、および14時間後に取り、実験が完了するまで凍結した。試料は、濾過し、1対10に希釈し、実施例1に記載されるようにLC/MS/MSによって分析した。
実施例16からの野生型4978 D−アミノトランスフェラーゼは相対的活性パーセントのための基準として用いた。表44は、各時点での各変異体の相対的活性を示す。
Figure 2015211679
T243Nは、R,Rモナチンの生成における活性について試験したすべてのうちで最も優れた変異体であった。
6C:株ATCC4978からのD−アミノトランスフェラーゼのT243N変異体の安定化
実施例6Bに示されるように、T243N変異体DATの初期活性はB.スファエリクスDATよりも有意に高いが、活性はより急速に減少する。下記に記載される嫌気性プロトコールを用いるさらなる実験は、T243N変異体DATの初期活性はB.スファエリクスDATよりも8倍まで高かった、しかしながら活性は、嫌気条件下でさえ急速に減少したことを示した。以下の研究は、長期間のより高い活性の維持を試みるために行った。
株4978に由来するD−アミノトランスフェラーゼのT243N変異体(実施例6Bに記載される)は、実施例26に記載されるようにHISタグ付きとして精製した。配列番号104のアルドラーゼ(実施例3Bに記載される)およびS.メリロティHMGアルドラーゼは、実施例22および27に記載されるようにHISタグ付きタンパク質として精製した。
143mgのD−トリプトファンを含有するコニカルポリプロピレンチューブ(14mL)は、一晩、嫌気性グローブボックス中で脱酸素した。1M EPPS緩衝液(pH8.2)、2M MgCl、2Mピルビン酸ナトリウム、および10mM PLPのストック溶液は、脱気水中で調製し、一晩、嫌気性グローブボックス中で平衡化した。10%(容量/容量)Tween(登録商標)80、1%(容量/容量)Tween(登録商標)20、1%(容量/容量)Triton X−100、100%アセトン、100%エタノール、および50%(重量/容量)グリセロールのストック溶液は、2mL微量遠心チューブ中のトレハロース、イノシトール、ソルビトール、およびエリトリトールの各0.7gと共に、嫌気性グローブボックス中で平衡化した。精製酵素の調製物は氷上で解凍し、嫌気性グローブボックス中で直ちに用いた。最終濃度が100mM EPPS、200mMピルビン酸、100mMトリプトファン、1mM MgCl、0.05mM PLP、0.5mg/mL D−アミノトランスフェラーゼ、および0.01mg/mLの配列番号104のアルドラーゼまたは0.05mg/mLのS.メリロティHMGアルドラーゼとなるように、ストック溶液を14mLコニカルチューブに追加した。チューブ当たり最終反応容量が7mLとなるように、提唱された酵素安定化成分を種々の最終濃度で追加した(表45および46)。反応は、24時間まで、緩やかに撹拌しながら嫌気性グローブボックス中で室温でインキュベートした。試料は定期的に取り出し、LC/MS/MS多重反応モニタリング法を用いて、実施例1に記載されるようにモナチンについて分析した。初速度は、酵素の追加の後の0〜3時間の間に回収した試料から算出した。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
Triton X−100、Tween(登録商標)20、もしくはTween(登録商標)80のごとき0.01%〜0.1%(容量/容量)界面活性剤またはグリセロール、トレハロース、イノシトール、もしくはソルビトールのごとき1%〜10%(重量/容量)ポリオールの追加は、実験の継続時間にわたってT243N D−アミノトランスフェラーゼの安定性を改善した。
モナチンの生成における分岐鎖アミノトランスフェラーゼ(「BCAT」)の使用
AT−102およびAT−104は、BioCatalytics社(パサデナ、CA)から購入した分岐鎖L−トランスアミナーゼ(EC2.6.1.42)である。酵素は、化学的に生成したS,SおよびR,Rモナチンの基質を用いて、アミノ基転移活性について試験した。反応は、0.5mLの全容量で行い、二通り実行した。アッセイは、50mM Tris pH7.8、0.08mM PLP、10mM α−ケトグルタル酸(「α−KG」)、5mMモナチン、および1mg/mLアミノトランスフェラーゼ酵素を含有した。ネガティブコントロールは外来性アミノトランスフェラーゼ酵素を含有しなかった。試料は、100rpmの振盪で30℃で2時間インキュベートした。試料は濾過し、LC/MS/MS分析は、実施例1に記載のように、グルタミン酸レベルを確認するために実行した。グルタミン酸レベルは、MPの生成と理論量的に関連するはずである。R,Rを反応基質として用いた場合、非常に低いレベルのグルタミン酸がネガティブコントロール中に存在した。AT−104は、ネガティブコントロールよりもわずかに多くのグルタミン酸を生成し、R,Rモナチン基質(D−アミノ酸)との低いレベルの活性を示した。双方の分岐鎖L−アミノトランスフェラーゼはS,Sモナチンに対して活性を示した。AT−102は102μg/mLグルタミン酸を生成し、AT−104は64μg/mLグルタミン酸を生成した。比較については、広域特異性アミノトランスフェラーゼ(AT−101、同様にBioCatalytics社からのもの)は、これらの条件下で75μg/mLを生成した。モナチンは、広域特異性アミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼに対する基質として通常役立つジカルボキシルアミノ酸および芳香族アミノ酸に対してより構造類似性を有するので、分岐鎖アミノトランスフェラーゼでの高活性はやや予想外である。しかしながら、モナチンのグルタミン酸主鎖により、アミノ供与体としてグルタミン酸を利用できる多くのアミノトランスフェラーゼもまたモナチンに対して活性を有する可能性がある。
BCATを用いる、インドール−3−ピルビン酸からのモナチン生成
AT−102およびAT−104は、C.テストステローニ(国際公開第03091396A2号に記載のように生成)からのProAアルドラーゼを用いる、共役反応におけるモナチンの生成について試験した。酵素および付加的な成分/基質を、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、100mM L−グルタミン酸、および0.1mM PLPを含有したキット中に提供された反応緩衝液に直接的に追加した。1mLの反応緩衝液に、以下のものを追加した:4mgインドール−3−ピルビン酸、20mgピルビン酸、細胞抽出物中に提供される約50μg ProA、1μL 2M MgCl、および試験されることになる2mgのアミノトランスフェラーゼ酵素。反応はすべて二通り行い、ネガティブコントロール反応は、付加的なアミノトランスフェラーゼを追加せずに行った。ポジティブコントロール(AT−101)は比較のために利用した。この酵素は広域特異性L−アミノトランスフェラーゼである。モナチンのバックグラウンド生成は、組換えProA酵素の細胞性抽出物中に存在する天然のイー・コリアミノトランスフェラーゼによるものである。反応は、緩やかに振盪させながら(100rpm)、30℃で一晩インキュベートした。試料は、実施例1に記載のように濾過し、逆相LC/MS/MS分析にかけた。結果を下記の表47に示す。
Figure 2015211679
AT−102およびAT−104アミノトランスフェラーゼは、ネガティブコントロールよりも多くのモナチンを明らかに生成し、ポジティブコントロールの約50〜60%の活性であった。
イー・コリから分岐鎖アミノトランスフェラーゼ酵素は十分に研究され、結晶構造は詳細に分析された。Okada,K.ら,(1997)J.Biochem(Tokyo)121:637−641,(1997)。酵素は、同様の全体の折りたたみおよび実施例2、3A、および6Aに言及されるもののごときバチルスD−アミノトランスフェラーゼ酵素に対する著しい配列相同性を有する。さらに、BCAT酵素およびバチルスからのD−アミノトランスフェラーゼは、PLPに対する水素のre面追加についての立体特異性を示すたった2種類のPLP依存性のアミノトランスフェラーゼである。Yoshimura,T.ら,J.Am.Chem.Soc.115:3897−3900,(1993)。BCATは、アルファ−アミノ酸基質が、リン酸基と同一の側のそのカルボキシル基と結合し、酵素が、なおL−アミノ酸に対する特異性を保持しながら、D−アミノトランスフェラーゼに同様の折りたたみおよびメカニズムを有することを可能にする唯一の酵素であると考えられる。Peisach,D.ら,Biochemistry 37:4958−4967,(1998)。BCATのL−特異性は、基質のアルファ−カルボキシル基を位置づける、D−アミノトランスフェラーゼの極性アミノ酸側鎖がBCATにおいて無極性残基と交換されているといった事実から生じると考えられる。これらの残基のすべてまたはいくつかがバチルスD−アミノトランスフェラーゼの対応するアミノ酸に突然変異される場合、BCATをD特異的アミノトランスフェラーゼに変換できることが予想される。以下の突然変異は、イー・コリBCATに対してなすことができる(受入番号gi:14719463に基づいて番号付け):Phe37からTyr、Val110からHis、Met108からArg。他の極性アミノ酸置換は、実施例6Aに記載のように、大きなジカルボン酸基質を受容するよう酵素活性部位を調整するためにこれらの部位で同様になすことができる。Tyr165は、D−アミノトランスフェラーゼのPLP相互作用を模倣するために、同様にLeuに変換される必要がある可能性があり、Tyr96(Pheに)、Arg41、およびArg98もまたBCAT酵素中での不正確な配向でのアルファカルボキシル基の結合を予防するために突然変異させる必要がある可能性がある。Trp127もまた、プロS立体配置中の疎水性側鎖結合の可能性を減少させるためにTyrに突然変異させることができ、Tyr32およびTyr130は、BCATの活性部位中のL−グルタミン酸と相互作用する可能性があり、この相互作用を最小化するために負に荷電したアミノ酸に突然変異させることができる。Goto,M.ら,Biochemistry 42:3725−3733,(2003);Okada,K.,Biochemistry 40:7453−7463,(2001)。
D−アミノトランスフェラーゼ酵素および分岐鎖アミノトランスフェラーゼの双方がモナチンの生成において活性を有するので、BCATは、多くの実施例に記載される反応スキームにおいて利用するための他の潜在的なD−アミノトランスフェラーゼ酵素を提供しながら、R,Rモナチン生成において活性を有するD−アミノトランスフェラーゼに変換できることが予想される。上記の結果に基づいて、AT−104酵素は、モナチンのD−アミノ立体配置に対していくらかの活性を既に示している可能性がある。
バチルス分岐鎖アミノトランスフェラーゼのクローニングおよび突然変異誘発
バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)は、イー・コリ分岐鎖アミノトランスフェラーゼよりも、D−アミノトランスフェラーゼとより密接に関連する推定上の分岐鎖アミノトランスフェラーゼを含有する。それを、D−アミノ基転移活性についてアッセイし、イー・コリBCATについて上記に言及した、予測された活性部位残基に基づいて突然変異誘発した。

B.リケニホルミス(ATCC番号14580)は、一晩30℃で栄養寒天上で成長させた。コロニーのグループを100μLの滅菌水中に置き、細胞を破壊するために95℃で10分間加熱した。3μLを、続くポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅において用いた。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
プライマーは、NcoI部位ならびにSalI部位を用いて、pET28bベクターおよびpET30aベクター(Novagen社、マディソン、WI)ならびにpTRC99a(GE Healthcare Life Sciences社)にクローニングするためにB.リケニホルミス遺伝子(915bp)について設計した。pET30構築物はN末端HisタグおよびSタグを含有するが、pET28構築物はタグ付きではない。
B.リケニホルミスbcatプライマーは:
N末端5'-GGTTAAGGCCATGGGGGACCAGAAAGACCA-3'(配列番号44);およびC末端:5'-GGCCTTCCGTCGACTCAGCTGACACTTAAGCT-3'(配列番号45)。
コード領域は、以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μLの反応中、3μL鋳型、1μMの各プライマー、0.4mM 各dNTP、3.5U Expand High Fidelity Polymerase、およびMg入りの1×Expand(商標)緩衝液(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いた。用いたサーモサイクラープログラムは5分間96℃でのホットスタートを含み、その後、以下の工程を30回繰り返した:30秒間94℃、1分45秒間50℃、および2分15秒間72℃。30サイクルの後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。正確なサイズのきれいなPCR産物を得た(約900bp)。
クローニング
PCR生成物は、精製し、SalI緩衝液(New England Biolabs社、イプスウィッチ、MA)中でSalIおよびNcoIを用いて消化した。消化したベクター(pET28、pET30、およびpTRC99a)ならびに挿入断片は、Qiagen QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製した。ライゲーションは、Roche社製Rapid DNA Ligation Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて行い、精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Rad社エレクトロポレーションマニュアルに記載のように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad社製Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10Bに形質転換した。細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で30分間、900μL SOC培地中で回復させた。細胞は、カナマイシン(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、SalIおよびNcoIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するようであるプラスミドの配列は、Agencourt BioScience社(ビバリー、MA)でジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。配列決定により、NCBI受入番号AAU24468 GI:52004526に挙げられるアミノ酸配列を有するタンパク質を生成する受入番号CP000002 GI56160984 2851268..2850354に見られるコード配列を検証した。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNA(pETベクター)は、pETベクター中の構築物のために、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)細胞(Novagen社、マディソン、WI)中に形質転換した。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。誘発は、通常、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB培地中で行った。細胞は、37℃で0.4〜0.8のOD600まで成長させ、0.1mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発の3〜4時間後にサンプリングした。細胞抽出物は、Novagen社製BugBuster(商標)試薬付属のプロトコールに従って調製した(ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびRoche社製完全プロテアーゼインヒビターカクテルを追加)。高いレベルの可溶性タンパク質が、SDS−PAGEで判断されるように、予測した分子量で得られた。細胞性抽出物中の可溶性タンパク質はSDS−PAGEによって分離した。
細胞抽出物は、以下のプロトコールを用いる、ピルビン酸(またはアルファ−ケトグルタル酸からのグルタミン酸)およびD−トリプトファンからの、次に続くアラニンの生成によるD−アミノトランスフェラーゼ活性について分析した。二通りの1mL反応は、通常、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、50μMピリドキサールリン酸、25mMピルビン酸ナトリウム、および50mM D−トリプトファン中で行った。反応は、無細胞抽出物または精製酵素の追加によって開始し、軽く振盪させながら30℃で15分間から一晩、インキュベートした。約同一のレベルのD−アミノトランスフェラーゼを比較の目的のために各アッセイ中に追加し(通常約0.5mg)、AT−103(BioCatalytics社)は、ベンチマーク酵素として用いることが多かった。反応を停止するために、ギ酸を2パーセントの最終濃度まで追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。タンパク質を追加しないコントロール反応もまた行った。0の時点もまたネガティブコントロールとして用いた。アラニンおよびグルタミン酸は、実施例1に記載のように、OPAポストカラム誘導体化を用いて検出した。分岐鎖アミノトランスフェラーゼは、AT−103およびB.スファエリクス酵素と比較して低レベルのD−アミノトランスフェラーゼ活性を有した。
分岐鎖アミノトランスフェラーゼは、さらに、D−トリプトファンからモナチンを生成する能力について試験した(実施例3Aでのように)が、試験した条件下で活性を有するようではなかった。
pTRC99a構築物は、トリプトファン生成に対して栄養素要求性であるエレクトロコンピテント イー・コリCAG18455細胞中に形質転換した。細胞は、100mg/L L−トリプトファン、0.4%グルコース、および塩化カルシウムと共にBalchのビタミンを有するM9最少培地中で成長させた。細胞は、L−トリプトファンなしで成長できなかった。誘発は、4.5時間の0.4のOD600で、10、100、および1000μM IPTGで試験した。適正なMWのバンドがSDS−PAGE上で認識可能であった。プラスミドは、QuikChange(登録商標)Multi Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を用いて突然変異誘発した。メーカーによって記載のように、下記の表48のプライマーを設計した。
Figure 2015211679
アミノ酸突然変異はイー・コリBCAT結晶構造に基づくものとした、また上記の表の番号付けはイー・コリ タンパク質についてのものとする。DNA突然変異についての番号付けはB.リケニホルミスbcat遺伝子に基づく。
プライマーは、0.1mg/mLに希釈し、約100ngの各オリゴヌクレオチドプライマーを50μL突然変異誘発反応において通常用い、より大きなプライマーについては比例してより高い濃度のものを用いた。同一の鋳型領域に対するアニーリングで本質的に競合するオリゴヌクレオチドプライマーについては、時に、合計100ngをその領域におけるプライマーの全プールに用いた。200ナノグラムの鋳型(pTRC99a中のB.リケ bcat)を、5μLの10×QuikChange(登録商標)緩衝液、2μL dNTP、および2μLの酵素ブレンドと共に反応に用いた。増幅産物は、37℃で2時間、DpnI制限エンドヌクレアーゼ(Stratagene社)(2μL)を用いて処理し、エタノール沈殿のために厚壁1.5mLチューブに移した。再懸濁した(濃縮した)反応ミックスを、QuikChange(登録商標)キットに含まれるXL10−Gold Ultracomp細胞中に形質転換した(2.5μL)。数種のコロニーは、ミニプレップし、突然変異がランダムであることを確実にするためにおよび達成された突然変異誘発のレベルを評価するために配列決定した。コロニーは、平板から再懸濁し、大量にミニプレップを行った。次いで、ミニプレップDNAは、トリプトファン栄養素要求株中に形質転換し、上記に記載される最少培地(IPTG有り)上でまたは唯一の窒素源としてD−トリプトファンを含有する最少培地を用いて平板培養した。第2および第3ラウンドの突然変異誘発は、先のラウンドで十分に組み込まれるようではないプライマーを用いて大量のミニプレップについて行った。各段階で、最少培地上で素早く成長したコロニー(より大きなコロニー)はさらなる分析のために保持した。下記の表49に示す変異体は、選択平板から単離した。いくつかの場合では、これらの同一の変異体は、1回を超えて選択培地上に現われた。
Figure 2015211679
変異体構築物は、LB培地中で組換えタンパク質を作製するために誘発し、細胞抽出物は上記のように調製した。細胞抽出物中の可溶性タンパク質は、BioRad Laboratories社製Experion(登録商標)Automated Electrophoresis Stationで分離し、Experion(登録商標)Softwareバージョン1.1.98.0を用いて濃度および発現パーセントについて分析した。非常に低レベルの可溶性組換えタンパク質が観察され、従って、注目するバンドの定量化は可能ではなかった。アッセイは、50〜250μLの細胞性抽出物を用いて上記のようにD−トリプトファンアミノ基転移を試験するために行った。クローン4、6、28、および32は、アミノ受容体としてアルファ−ケトグルタル酸およびピルビン酸の双方を用いてアッセイし、30℃で2時間および一晩インキュベートした。細胞性抽出物に存在するアラニン/グルタミン酸のバックグラウンドレベルは差し引いた。5−1および5−2を用いたアッセイについては、BCATについてExperion(登録商標)ソフトウェアによって評価したタンパク質濃度は、野生型酵素については275.1ng/μl、BCAT 5−1については409.3ng/μl、およびBCAT 5−2については148.2ng/μlであった。アッセイの結果を下記の表50〜52に示す。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
Figure 2015211679
大部分のL−アミノトランスフェラーゼと同様に、酵素が、アミノ受容体について、ピルビン酸と比較してアルファ−ケトグルタル酸に対して選好性を有することは明らかである。野生型の親のように、すべての変異体はD−アミノトランスフェラーゼ活性を有した。細胞性抽出物からのBCATタンパク質の正確な定量化が可能ではなかったので、野生型酵素が多かれ少なかれD−アミノトランスフェラーゼ活性を有したかどうかは明らかではない。しかしながら、変異体酵素は、野生型よりもL−アミノトランスフェラーゼ活性が少ないことが予想され、従って、L−アミノ基転移速度に対するD−の比は改善されている。突然変異誘発の継続により、モナチンへの経路における代替酵素を提供できる。
グルタミン酸ラセマーゼおよびアスパラギン酸ラセマーゼのクローニング、発現、および試験
本実施例は、L−グルタミン酸およびD−グルタミン酸(またはL−およびD−アスパラギン酸またはL−およびD−アラニン)の間で相互変換するために用いることができるアミノ酸ラセマーゼ酵素をクローニングし、試験するために用いる方法を記載する。グルタミン酸ラセマーゼ、アスパラギン酸ラセマーゼ、またはアラニンラセマーゼは、経路における工程がL−アミノ酸(例えば、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、またはL−アラニン)を生成し、経路の他の工程がD−アミノ酸(例えば、D−グルタミン酸、D−アスパラギン酸、またはD−アラニン)を消費する場合、R,Rモナチンを生成するための生合成経路に有用である。図4は、L−トリプトファン特異的アミノトランスフェラーゼ、R特異的アルドラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ、およびグルタミン酸(またはアスパラギン酸またはアラニン)ラセマーゼを用いる、L−トリプトファンからR,Rモナチンを生成するための生合成経路を示す。
タグなしタンパク質および切断可能なN末端HIS−タグ/T7−タグを有する融合タンパク質の双方を生成するために、遺伝子は、pET28ベクターおよびpET30ベクター中にクローニングした。結果として生じたタンパク質は、固定金属アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。
実験概要
ラクトバチルス・ブレビス(Genbank受入番号D29627、核酸配列)およびペディオコッカス・ペントサセウス(murI遺伝子)(Genbank受入番号L22789)からのグルタミン酸ラセマーゼ(EC5.1.1.3)をコードする遺伝子は、イー・コリ中でクローニングし、発現させた:その抽出物は、D−グルタミン酸へのL−グルタミン酸の変換およびL−グルタミン酸へのD−グルタミン酸の変換における活性について試験した。BioCatalytics社製アスパラギン酸ラセマーゼ酵素(EC5.1.1.13)もまたL−およびD−アスパラギン酸の間の相互転換について試験した。
クローニングためのゲノムDNAの単離
L.ブレビスゲノムDNA(ATCC8287D)は、American Type Culture Collectionから得た。P.ペントサセウス(ATCC25745)は、ラクトバチルスMRSブロス中で37℃で成長させ、2mlは、Mekalanos,J.J.,「Duplication and amplification of toxin genes in Vibrio cholerae」,Cell 35:253−263,(1983)の方法を用いるゲノムDNA単離に用いた。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
プライマーは、pET28ベクターおよびpET30ベクター(Novagen社、マディソン、WI)中にクローニングするために5’制限部位およびオーバーハングを用いて設計した。
L.ブレビスグルタミン酸ラセマーゼプライマー:
N末端:5'-GCGGCGCCATGGAAAATGATCCGATTGGTCTAATG-3'(配列番号15)、および
C末端:5'-GCGGCGGTCGACGCAATTACAATTGTGTTTGTC-3'(配列番号16)。
P.ペントサセウスグルタミン酸ラセマーゼプライマー:
N末端:5'-GCGGCGCCATGGATGTATGTATAATTTTATTTAG-3'(配列番号17)、および
C末端:5'-GCGGCGGTCGACAAATTTCATTATTCATTCTAATTT-3'(配列番号18)。
L.ブレビスに由来する遺伝子は、以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μL反応中、0.150μg鋳型、1.6μMの各プライマー、0.4mM各dNTP、2.8U Expand High Fidelity(商標)ポリメラーゼ(Roche社、インディアナポリス、IN)、0.5U Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)、およびMg入りの1×Expand(商標)緩衝液を用いた。用いたサーモサイクラープログラムは3分間96℃でのホットスタートを含み、以下の工程を8回繰り返し:30秒間94℃、45秒間52℃、および2分間72℃、その後、以下の工程を22回繰り返した:30秒間94℃、45秒間60℃、および2分間72℃。22サイクルの後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールは、DNAサイズマーカーに対する比較により判断されるように、約830bpの産物を生成した。
P.ペントサセウスに由来する遺伝子は、以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μL反応中、0.15μg鋳型、1.6μMの各プライマー、0.4mM各dNTP、2.8U Expand High Fidelity(商標)ポリメラーゼ、0.5U Pfuポリメラーゼ、およびMg入りの1×Expand(商標)緩衝液を用いた。用いたサーモサイクラープログラムは3分間96℃でのホットスタートを含み、その後、以下の工程を8回繰り返し:30秒間94℃、45秒間37℃、および2分間72℃、その後、以下の工程を8回繰り返し:30秒間94℃、45秒間45℃、および2分間72℃、その後、以下の工程を14回繰り返した:30秒間94℃、45秒間55℃、および2分間72℃。14回繰り返した後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールは、DNAサイズマーカーに対する比較により判断されるように、約840bpの産物を生成した。
クローニング
PCR産物は、Qiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。PCR産物は、SmartSpec 3000(商標)分光光度計を用いて定量した。産物は、メーカー推奨のプロトコール(New England Biolabs社、ビバリー、MA)に従って制限酵素NcoIおよびSalIを用いて消化し、Qiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。ベクターpET28およびpET30は、制限酵素NcoIおよびSalIを用いた消化によって調製し、その後、エビアルカリフォスファターゼを用いる処理およびQiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いる0.8%TAE−アガロースゲルからの精製が続いた。
消化したベクターおよび挿入断片は、Rapid(商標)DNA Ligation Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いてライゲーションした。約50ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ(Rapid(商標)DNA Ligation Kitに含まれる)、および1×ライゲーション緩衝液を、室温で5分間インキュベートした。ライゲーション反応物は、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて精製し、イー・コリDH10Bエレクトロコンピテント細胞(Invitrogen社、カールスバード、CA)を形質転換するために用いた。10μlの各ライゲーション反応に、40μlのDH10B細胞を追加し、以下の条件下でBioRad社製Gene Pulser(登録商標)IIを用いてエレクトロポレーションによって形質転換した:0.2cmキュベット中2.5kV、25μF、200オーム。細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で1時間、1mLの室温SOC中で回復させた。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB平板上で平板培養した。
プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて結果として生じた形質転換体から精製し、NcoIおよびSalIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するようであるプラスミドの配列は、ジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。
遺伝子発現およびアッセイ
配列分析によって検証したプラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen社、マディソン、WI)中にサブクローニングした。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。
BL21(DE3)中での誘発は、pET28(タグなし)ベクターおよびpET30(ヒスチジンタグ付き)ベクターの双方におけるL.ブレビスおよびP.ペントサセウスのグルタミン酸ラセマーゼで最初に行った。時間的経過研究は、カナマイシン(50mg/L)を含有する250mL LB中で0.5〜0.6のOD600まで成長させた培養物を用いて行い、100mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発後、0および3時間にサンプリングした。600μL(0時間)および275μL(3時間)からの細胞は、2−メルカプトエタノールを含有する40μLドデシル硫酸ナトリウム緩衝液中に再懸濁し、10分間95℃で加熱し、冷却した。これらの全細胞タンパク質試料のアリコートを、4〜15%勾配ゲルを用いてSDS−PAGEによって分析した。
細胞抽出物は、さらに、0.625μLベンゾナーゼヌクレアーゼおよび3μLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem社、サンディエゴ、CA)を含有する0.625mL Novagen社製BugBuster(商標)試薬中の5mLの培養物からの細胞ペレットを緩やかに振盪させながら20分間室温で懸濁させることによってならびに細胞片を除去するために16,000×gで遠心分離することによって3時間培養物から調製した。上清(細胞抽出物)は、細胞可溶性タンパク質の分析のために4〜15%勾配ゲル上に装填した。
クローニングしたL.ブレビスグルタミン酸ラセマーゼおよびP.ペントサセウスグルタミン酸ラセマーゼからの3時間試料は、正確なサイズ(約31kDa)に相当する全可溶性タンパク質を示した。L.ブレビスpET30(ヒスチジンタグ付き)遺伝子産物は、両ベクター中のP.ペントサセウス遺伝子産物と同様に、L.ブレビスpET28(タグなし)遺伝子産物よりも高レベルで過剰発現し、さらにより可溶性であった(>20%の可溶性タンパク質)。P.ペントサセウス遺伝子産物は、pET28ベクターおよびpET30ベクターにおいて同等の過剰発現および可溶性を示し、L.ブレビスpET30遺伝子産物で観察されたものよりも著しく低かった。
誘発した培養物(250mL)からの細胞は、遠心分離し、0.85%NaClを用いて1回洗浄した。細胞ペレットは、5μL/mLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem社、サンディエゴ、CA)および1μL/mLベンゾナーゼヌクレアーゼを含有する5mL/湿細胞重量gのBugBuster(商標)(Novagen社、マディソン、WI)試薬中に再懸濁させた。試料は、オービタルシェーカー上で20分間室温でインキュベートした。不溶性細胞片は、4℃20分間16,000×gでの遠心分離によって除去した。
細胞抽出物は以下のプロトコールを用いて、グルタミン酸ラセマーゼ活性についてアッセイした。400μL反応は、10mMリン酸カリウム(pH8.0)、0.2mMジチオトレイトール(「DTT」)、および10mM L−グルタミン酸またはD−グルタミン酸中で行った。反応は、20〜100μLの無細胞抽出物の追加によって開始し、室温でインキュベートした。試料のアリコートは、1分間、5分間、10分間、20分間、および1時間の時間的経過の間に取った(0分間の試料はコントロール反応として取り扱った)。2Mギ酸(25μL)は、反応を停止させるために各40μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。実施例1に記載のように、上清は、取り出し、LC/MS/MSによって分析するまで−80℃で凍結させた。
100mM IPTG(3時間)を用いたpET30誘発からの細胞抽出物からのアッセイ結果は、L.ブレビス(Genbank受入番号BAA06106.1 GI:468450)およびP.ペントサセウス(Genbank受入番号AAA16761.1 GI:349029)の酵素が両グルタミン酸異性体に対して著しいレベルのラセマーゼ活性を有することを実証する。P.ペントサセウスラセマーゼ(20μLの細胞抽出物)は、いずれかの基質から始めて、10〜20分間でL−およびD−グルタミン酸の間で平衡に達した。L.ブレビス酵素(20μLの細胞抽出物)もまた約20分間で平衡に達した。
BioCatalytics社(パサデナ、CA)から購入した部分的に精製したアスパラギン酸ラセマーゼ酵素(カタログ#ASPR−101)は、上記のプロトコールに類似するプロトコールを用いて、L−アスパラギン酸およびD−アスパラギン酸に対する活性についてアッセイした。市販の酵素は、両異性体に対してラセマーゼ活性を示した。0.5〜1mgの酵素を用いて、平衡は20〜60分間で達成された。
すべての3つのラセマーゼ(L.ブレビスグルタミン酸ラセマーゼ、P.ペントサセウスグルタミン酸ラセマーゼ、およびBioCatalytics社製アスパラギン酸ラセマーゼ)はまた、以下のプロトコールを用いたS,Sモナチンに対する活性についてもアッセイした。400μL反応は、10mMリン酸カリウム(pH8.0)、0.2mM DTT、および10mM S,Sモナチン中で行った。反応は、無細胞抽出物(L.ブレビスおよびP.ペントサセウス)または精製酵素(BioCatalytics社製アスパラギン酸ラセマーゼ)の追加によって開始し、室温でインキュベートした。アリコートの試料は、1分間、5分間、10分間、20分間、および1時間の時間的経過の間に取った(0分間の試料は、酵素なしの試料と同様にコントロール反応として取り扱った)。2Mギ酸(25μL)は、反応を停止させるために各40〜μL試料のアリコートに追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。上清は、取り出し、LC/MS/MSによって分析するまで−80℃で凍結させた(実施例1)。S,Sモナチン濃度の減少は、長い間にわたって示されず、S,Rモナチンのいかなる増加もなかった(酵素なしのコントロールでさえ、<5%混入副生成物として最初に存在)。従って、アッセイしたラセマーゼのどれも、モナチンに対する活性を示さなかった。
アラニンラセマーゼ、グルタミン酸ラセマーゼ、またはアスパラギン酸ラセマーゼを用いる、L−トリプトファンからのR,Rモナチンの生成
本実施例は、L−トリプトファン(L−チロシンまたは芳香族)アミノトランスフェラーゼ、ProAアルドラーゼ、アラニンラセマーゼ、グルタミン酸ラセマーゼ、またはアスパラギン酸ラセマーゼ、および広域特異性D−アミノ酸アミノトランスフェラーゼを用いて、L−トリプトファンから立体異性的に豊富なR,Rモナチンを生成する方法を記載する。図5は経路を示す図である。立体異性的に豊富なR,Rモナチンの生成へのこのアプローチは、モナチン前駆体(MP)からのモナチンの生成において低い活性を有する、工程1の酵素を必要とする。前の結果に基づき、発明者らは、国際公開第03/091396A2号の実施例1に記載されるシノリゾビウム・メリロティおよびロドバクター・スフェロイデスのtatA遺伝子産物を用いた。
材料および方法
L.ブレビスおよびP.ペントサセウスからのグルタミン酸ラセマーゼは、実施例8に記載のようにイー・コリ中で生成した。いくつかの場合では、これらの酵素のHis−タグ付きバージョンは、メーカーのプロトコール(Novagen社、マディソン、WI)に従ってHis−Bind900カートリッジを用いて精製し、PD−10カラム(G25 Sephadex、Amersham−Pharmacia社)を用いて、脱塩し、イミダゾールを除去した。酵素は、25mMリン酸カリウムpH8.0中に溶出した。アスパラギン酸ラセマーゼ(ASPR−101)およびD−アミノトランスフェラーゼ(AT−103)はBioCatalytics社から購入し、アラニンラセマーゼはシグマ社(セントルイス、MO)(カタログ番号A8936)から購入した。S.メリロティおよびR.スフェロイデスのチロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼは、国際公開第03/091396A2号の実施例1に記載のように調製した。コマモナス・テストステローニProAアルドラーゼは国際公開第03/091396A2号の実施例4に記載のように調製した。全タンパク質アッセイは、メーカーのプロトコールに従ってBio−Rad社製タンパク質アッセイ(ヘラクレス、CA)を利用して行った。
ラセマーゼを用いて生成されたS,Sモナチンの量の低下
反応混合物(1mL容量、二通り実行)は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)、2mM MgCl、0.05mMピリドキサール−5’−リン酸(PLP)、200mMピルビン酸ナトリウム、5mM α−ケトグルタル酸ナトリウム、またはオキサロ酢酸塩、細胞抽出物において供給された約280μg/mL S.メリロティTatA、1mg/mL BioCatalytics社製D−アミノトランスフェラーゼ(AT−103)、100μL/mLのグルタミン酸ラセマーゼ細胞抽出物または1mg/mLアスパラギン酸ラセマーゼ、および細胞抽出物として提供された約100μg/mLのProAアルドラーゼを含有した。固体トリプトファンは10.2mg/mlの濃度で追加した。ネガティブコントロールはラセマーゼを含有しなかった。試料は、1時間、2時間、または一晩30℃(250rpmで振盪しながら)でインキュベートした。試料は、沈澱物を除去するために遠心分離し、シリンジで濾過し、実施例1に記載されるLC/MS/MS法を用いる、モナチンについての分析前に−80℃で保存した。
大部分の試料は、細胞抽出物中に存在する天然のL−アミノトランスフェラーゼの量のために、>95%のS,Sモナチンを含有した。しかしながら、ラセマーゼを含有した試料は、L−グルタミン酸をMPのアミノ基転移にそれほど利用可能でなくしてしまったラセマーゼ酵素の結果として、全モナチンの量が低下した。ラセマーゼなしでは、1545〜2355ppmのモナチン(圧倒的にS,S)が時間的経過の間に生成された。ラセマーゼが存在しても、340〜879ppm(L.ブレビス酵素)、444〜531ppm(P.ペントサセウス酵素)、および506〜1460ppmモナチン(アスパラギン酸ラセマーゼ)が生成されたにすぎなかった。これらのデータは、ラセマーゼがモナチンを生成するのに必要な反応条件において活性であることを示す。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼのごとき細胞抽出物酵素からのS,Sモナチンの形成を最小化するために、さらなる実験を、精製酵素およびL−アミノトランスフェラーゼ酵素に対するより高い比のD−アミノトランスフェラーゼを用いて行った。
モナチンの4−R含有異性体へのL−トリプトファンの変換
上記実験は、約54μgの精製L−アミノトランスフェラーゼ(S.メリロティまたはR.スフェロイデスのTatAのいずれか)、1mgアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics社)、1mgD−アミノトランスフェラーゼ、アミノ受容体としての5mMオキサロ酢酸塩、および75μg精製アルドラーゼを用いて繰り返した。反応は、2時間のサンプリング時間および一晩のインキュベーション期間で二通り実行した。ネガティブコントロールは、ラセマーゼを用いず、S.メリロティ L−アミノトランスフェラーゼを用いて行った。逆相クロマトグラフィーに基づくR,R/S,SおよびS,R/R,Sモナチンピーク定量化の定量化に加えて、各立体異性体の百分率は、実施例1に記載されるFDAA誘導体化技術を用いて決定した。結果を下記の表53に示す。
Figure 2015211679
明らかに、ラセマーゼの存在は、S.メリロティTatAをL−トリプトファンアミノ基転移のための酵素として用いた場合、生成されたモナチンの全量を増加させた。モナチンレベルは、2時間のアッセイで平均6.4から16.5ppmに、一晩のアッセイで平均41から73ppmに増加した。さらに、形成されたR,Rのパーセントは、ラセマーゼ酵素を利用することにより約1%から58%までも増加した。他の強力な甘味料である、モナチンのS,R立体異性体は、他方の主成分であり、ネガティブコントロールでほぼ0から31%に増加した。R.スフェロイデスTatAは、明らかに、S.メリロティL−トランスアミナーゼよりもS−MPに対するより大きな活性を有し、モナチンの4−R異性体が所望の生成物である場合、MPと比較して、L−トリプトファンに対する高基質特異性を有する酵素を有することの重要性が実証された。2時間の時点で全モナチンの約10%が4Sであるので、S.メリロティTatAはMPに対する制限された活性を有すると考えることができる。
実験は、精製S.メリロティTatA(54μg)およびL.ブレビスグルタミン酸ラセマーゼを用いて繰り返した。精製グルタミン酸ラセマーゼを用いた場合、1mL反応当たり約64μgを用いた。グルタミン酸ラセマーゼを含有する細胞抽出物もまた試験し、1.4mgの可溶性タンパク質を用いた。ラセマーゼなしのネガティブコントロールをもう一度利用し、試料はすべて二通り実行した。結果を下記の表54に示す。
Figure 2015211679
さらに、ラセマーゼの追加が、S,Sモナチンと比較してモナチンの4R含有異性体の相対量を増加させるのみならず、L−トリプトファンから生成される全モナチンを増加させることは明らかである。精製アルドラーゼ、ラセマーゼ、およびL−アミノトランスフェラーゼの使用は、所望の立体異性体形成をコントロールするための能力を非常に改善する。Dアミノトランスフェラーゼに対するLアミノトランスフェラーゼの比もまた、最終生成物の立体化学的性質操作するための方法である。
実施例2における表1および2に示される結果を上記条件に類似する反応条件を用いた結果と比較すると、約7〜29ppmのモナチンがインドール−3−ピルビン酸から形成され、また、形成されたR,Rモナチンの百分率は約51〜90%であったことが理解できる。アスパラギン酸ラセマーゼの使用は、16〜78ppmモナチンまで、生成されたモナチンの全量を増加させ、R,R%は約40〜58%であった。さらに、より安定性でかつそれほど高価ではない原料(L−トリプトファン)を利用した。実施例3Aでは、約73ppmモナチンは、R,R:S,Rの比が約1.7:1でD−トリプトファンから生成された。4R異性体の全量は、全モナチンの>80%であった。R,R−モナチンおよびR,S−モナチンの双方は強力な甘味料(スクロースよりも>1000倍甘い)であるので、高価なD−アミノ酸基質を必要とすることなくこれらの異性体を豊富にする能力は重大である。
非特異的またはR特異的アルドラーゼの有用性は、形成されるR,Rモナチンの百分率を増加させるのみならず、反応速度を増加すると考えられることが予想される。実施例5を参照されたい。これらのアッセイに用いられるC.テストステローニからのProAアルドラーゼは、圧倒的に、開裂分裂反応についてS−立体配置の基質に好都合であることが報告されているが、このProAアルドラーゼは明らかにR−MPを生成する。従って、R−立体配置のMPをより優先的に生成するアルドラーゼは、さらに大きな百分率のR,Rモナチン生成するのを助け得る。さらに、モナチン生成に対する活性がさらに低いL−トリプトファンアミノトランスフェラーゼを発見することによっても、形成されるS,SおよびR,Sモナチンの量を減少させると考えられることが予想される。結論として、改善は、D−アミノトランスフェラーゼ酵素に対してなすことができるまたはR−MPに対してS−MPに対する基質特異性の増加を有すると考えられる代替D−アミノトランスフェラーゼ酵素を用いることができる。これはまた、非常に所望される場合、R,R生成物の形成を増加させると考えられる。
アスパラギン酸ラセマーゼ実験は、配列番号22のR−選択的アルドラーゼの活性をC.テストステローニからのProAアルドラーゼの活性と比較するために繰り返した。約50μgの精製L−アミノトランスフェラーゼ(S.メリロティ TatA)、1mgアスパラギン酸ラセマーゼ(BioCatalytics社)、1mg D−アミノトランスフェラーゼ(AT−103、BioCatalytics社)、アミノ受容体としての5mMオキサロ酢酸、および50μgの適切な精製アルドラーゼ。反応は二通り実行し、30℃で一晩インキュベートした。各立体異性体の百分率は、実施例1に記載されるFDAA誘導体化技術を用いて決定した。結果を表55において下記に示す。
Figure 2015211679
異性体のC.テストステローニProA分布は、前の上記の実験と一致しているが、配列番号22のR−選択的アルドラーゼを用いる場合、R,Rパーセントははるかに高く、検出不可能な量のS,Sが形成され、S,Rモナチンの量はより低い。
実施例2および3Aに記載のように、D−アラニンは、モナチンへのMPのアミノ基転移のためのアミノ供与体として役立ち得る。多くのL−アミノトランスフェラーゼは、アミノ受容体としてある程度までピルビン酸を利用し、かつL−アラニンを生成する能力を有する。上述の反応は高濃度のピルビン酸を用いるので、ピルビン酸のうちのいくらかはおそらくL−アラニンに変換される。例えば、L−トリプトファンのアミノ基転移の間に、実施例6Aに記載されるHexAspC酵素は、アルファ−ケトグルタル酸が不在の場合に、2時間で、10〜18%のピルビン酸(50〜200mM初期濃度)をL−アラニンに変換することがわかった。両アミノ受容体が高濃度(>50mM)で存在する場合、酵素は、アルファ−ケトグルタル酸に対する10倍の選好性を示した。AspC(国際公開第03/091396A2号に記載される)もまた、ピルビン酸からいくらかのL−アラニンを生成した。従って、上記の反応において、アルファ−ケトグルタル酸またはオキサロ酢酸塩の追加を省略し、グルタミン酸ラセマーゼまたはアスパラギン酸ラセマーゼの代わりにアラニンラセマーゼ(EC5.1.1.1)を利用できることが予想された。
アラニンラセマーゼ酵素は、ブルセラ・アボルタスおよびストレプトコッカス・フェカリスにおいて最初に同定された。Marr,AG.およびWilson,P.W.,Arch.Biochem.Biophys.,49:424−433,(1954);Wood,W.A.およびGunsalus,I.C.,J.Biol.Chem.190:403−416,(1951)。サルモネラ・チフィリウムにおけるdadB遺伝子は、アラニンラセマーゼ活性の源として同定され、数百種の相同体はゲノミクスデータベース中に見出すことができる。アラニンラセマーゼ活性の他の知られている源は、エシェリキア・コリ、バチルス・スブチリス、シュードモナス・エルジノーサ、ビブリオ・コレレ、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびバチルス・セレウスである。担子菌類のキノコ、シイタケもまた活性の広いアラニンラセマーゼを含有する。バチルス・ステアロサーモフィルスからの耐熱性相同体は、Sigma−Aldrich社(カタログ#A8936)からの購入で入手可能であり、商業的応用のために固定化された。Inagaki,K.,Biochemistry 25:3268(1986)。
アラニンラセマーゼを用いたモナチン生成
モナチン生成は、C.テストステローニからのProAアルドラーゼを用いて試験した。約50μgの精製L−アミノトランスフェラーゼ(S.メリロティ TatA)、1mg D−アミノトランスフェラーゼ(AT−103、BioCatalytics社)、アミノ受容体としてのピルビン酸、50μg精製アルドラーゼ、およびシグマ社(セントルイス、MO)から購入した70μgアラニンラセマーゼ(カタログ番号A8936)。反応は二通り実行し、一晩インキュベートした。各立体異性体の百分率は、実施例1に記載されるFDAA誘導体化技術を用いて決定した。ラセマーゼのないコントロールを含んだ。結果を下記の表56に示す。
Figure 2015211679
アラニンラセマーゼなしの試料と比較して、アラニンラセマーゼが存在した場合、1時間の時点で3倍多いR,Rモナチンがあった。この結果は、アラニンラセマーゼを用いてR,Rモナチンを生成する可能性のあることを示す。生成されるR,Rモナチンの百分率は、R−モナチン前駆体を選択的に生成するアルドラーゼ、R−モナチン前駆体に対して働かないまたは制限された活性を有するL−アミノトランスフェラーゼ、およびインドール−3−ピルビン酸に対して働かないまたは制限された活性を有するD−アミノトランスフェラーゼを用いて改善できる。
D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(D−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ)
図3に示されるように、立体反転アミノトランスフェラーゼは、モナチンの生成のための生合成経路で有用である。例えば、D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼまたはその変異体は、アミノ供与体としてL−グルタミン酸を用いてR−MPからR,Rモナチンを生成できる。
(1)オリゴヌクレオチドプライマーからのP.スタッツェリ4D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼのPCR合成
本実施例は、アミノ供与体としてL−グルタミン酸を用いて、Rモナチン前駆体をR,Rモナチンに変換するために用いることができる立体反転酵素である4D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼを合成するために用いられる方法を記載する。
プライマー設計
シュードモナス・スタッツェリ4D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(4D−HPG AT)についての公開配列(Genbank受入番号AY319935、核酸配列;Genbank受入番号AAQ8290、タンパク質配列)をPCRプライマー設計のための鋳型として用いた。あるいは、シュードモナス・プチダ(CAD42450(タンパク質)、AX467211(ヌクレオチド))からの4−D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼを配列鋳型として用いる。合計34個の順方向プライマーおよび35個の逆方向プライマーを設計した。順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、40塩基長であり、20個のオーバーラップ塩基対を共有した。さらに、2つの外部プライマーは、pET28ベクターおよびpET30ベクター(Novagen社、マディソン、WI)中にクローニングするために5’制限部位およびオーバーハングを用いて設計した。
P.スタッツェリ4D−HPG ATの外部プライマー:N末(NdeI部位を有する):
5'-GGCCGGCATATGTCGATCCTTAACGACTACAAACGT-3'(配列番号19)、およびC末端(XhoI部位を有する):
5'-GGAAGGCTCGAGTCATGATTGGTTTCCAGACAAATT-3'(配列番号20)。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
P.スタッツェリからの遺伝子配列は、以下のプロトコールを用いて増幅した。一次100μL PCR反応は、0.05μMのそれぞれの69個の内部プライマー、0.4mM各dNTP、10U rTth PolymeraseXL(Roche社、インディアナポリス、IN)、0.625U Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)、1×XL緩衝液、および1mM Mg(OAc)を含んだ。用いられるサーモサイクラープログラムは、3分間94℃でのホットスタートを含み、以下の工程を15回繰り返し:30秒間94℃、30秒間42℃、および15秒間68℃、その後、以下の工程を10回繰り返し:30秒間94℃、30秒間52℃、および30秒間68℃、その後、以下の工程を10回繰り返した:30秒間94℃、30秒間60℃、および1分15秒間68℃。最終の10サイクルの後、試料は、7分間68℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールは、0.8%TAE−アガロースゲル上で約0.5kbに産物のスメアを生成した。
二次PCR反応物は、鋳型として一次PCR反応物を用いて設定した。二次100μL PCR反応は、2.5μLの一次PCR反応物、0.5μMのそれぞれの2個の外部プライマー(NdeI制限部位およびXhoI制限部位を有する)、0.4mMの各dNTP、10U rTth PolymeraseXL、0.625U Pfuポリメラーゼ、1×XL緩衝液、および1mM Mg(OAc)を含んだ。用いたサーモサイクラープログラムは3分間94℃でのホットスタートを含み、以下の工程を10回繰り返し:30秒間94℃、30秒間52℃、および1分30秒間68℃、その後、以下の工程を15回繰り返した:30秒間94℃、30秒間60℃、および1分30秒間68℃。15回繰り返した後、試料は、7分間68℃で維持し、次いで、4℃で保存した。このPCRプロトコールにより、0.8%TAE−アガロースゲル上で約1.4kbに特有の産物バンドが生成された。
PCR産物は、Qiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。産物は、TOPOクローニングし、メーカーのプロトコール(Invitrogen社、カールスバード、CA)に従ってTOP10細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびXhoIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するようであるプラスミドの配列は、汎発性のM13順方向プライマーおよびM13逆方向プライマーを用いてジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。配列決定した10個のクローンのうち、すべてが所望の配列からの少なくとも1つの突然変異を有した。最も優れたクローンは、アミノ酸変化をもたらした単一の塩基対突然変異を有した。このクローンの配列は、メーカーの推奨(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)に従って、QuickChange Mutagenesisプロトコールを用いて補正した。
補正したTOPOクローンは、メーカー推奨のプロトコール(New England Biolabs社、ビバリー、MA)に従って、制限酵素NdeIおよびXhoIを用いて消化し、Qiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、0.8%TAE−アガロースゲルからゲル精製した。ベクターpET28およびpET30は、制限酵素NdeIおよびXhoIを用いた消化により調製し、その後、エビアルカリフォスファターゼを用いる処理およびQiagen社製ゲル抽出キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いる0.8%TAE−アガロースゲルからの精製が続いた。
消化したベクターおよび挿入断片は、NEB社製Quick Ligation Kit(ビバリー、MA)を用いてライゲーションした。約50ngの処理した挿入断片、100ngの処理したベクター(ベクターに対する挿入断片の3対1のモル比)、5UのT4 DNAリガーゼ、および1×ライゲーション緩衝液を室温で5分間インキュベートした。ライゲーション混合物は、TOP10F’化学的コンピテント細胞(Invitrogen社)中に形質転換した。細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で1時間、0.25mLの室温SOC中で回復させた。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて、結果として生じた形質転換体から精製し、NdeIおよびXhoIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen社、マディソン、WI)中に形質転換した。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。
BL21(DE3)中での誘発は、pET28ベクター(ヒスチジンタグ付き)およびpET30(タグなし)ベクターの双方においてP.スタッツェリD−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼを用いて行った。時間的経過研究は、カナマイシン(50mg/L)を含有する250mL LB中で0.5〜0.6のOD600まで成長させた培養物を用いて行い、100mMイソプロピルチオガラクトシド(「IPTG」)を用いて誘発し、誘発後、0および3時間にサンプリングした。0時間および3時間からの適切な容量の細胞は、2−メルカプトエタノールを含有する40μLドデシル硫酸ナトリウム緩衝液中に再懸濁し、10分間95℃で加熱し、冷却した。これらの全細胞タンパク質試料のアリコートを、4〜15%勾配ゲルを用いてSDS−PAGEによって分析した。
細胞抽出物は、さらに、0.625μLベンゾナーゼヌクレアーゼおよび3μLプロテアーゼインヒビターカクテルセット#3(Calbiochem−Novabiochem社、サンディエゴ、CA)を含有する0.625mL Novagen社製BugBuster(商標)試薬中の5mLの培養物からの細胞ペレットを緩やかに振盪させながら20分間室温で懸濁させることによってならびに細胞片を除去するために16,000×gで遠心分離することによって3時間培養物から調製した。上清(細胞抽出物)は、細胞可溶性タンパク質の分析のために4〜15%勾配ゲル上に装填した。タンパク質は、認められる場合、メーカーのプロトコール(Novagen社、マディソン、WI)に従ってHis−Bind900カートリッジを用いて精製し、PD−10カラム(G25 Sephadex、Amersham−Pharmacia社)を用いて、脱塩し、イミダゾールを除去した。
(2)D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(DPGAT)を有する生物の単離
立体反転D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ(D−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼとも呼ばれる)を有するシュードモナス属および同様な属の生物は、以下の様式で単離する。土壌試料は、以下の培地を有するペトリ皿上でインキュベートする:(1リットル当たり)15g寒天、3.4g KHPO、3.55g NaHPO、0.2g MgSO・7HO、8mg CaCl・2HO、10mg酵母抽出物、1ml 1000×微量元素溶液(Balch,W.E.ら,「Methanogens:reevaluation of a unique biological group」,Microbiol.Rev.43:260−296,(1979))、および1g D−フェニルグリシン(D−4−ヒドロキシフェニルグリシン)。
単離物は、立体反転アミノトランスフェラーゼ(プライマーは、知られているD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼから設計)の存在についてPCRにより試験するまたは立体反転アミノトランスフェラーゼの存在について以下のようにさらに豊富にする:平板培養物からの単離物は、約1.0のOD600まで、振盪させながら、30℃で、寒天なしの上記の液体培地中で成長できた。細胞は遠心分離により採取し、0.85%NaClを用いて2回洗浄する。10mg(湿量)試料は、1mlリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)および5mM D−フェニルグリシンまたはD−4−ヒドロキシフェニルグリシン中に懸濁させる。中和した15mM(アミノオキシ)酢酸は、上記に記載のように調製した試料を2倍にするために追加する。D−フェニルグリシン(またはD−4−ヒドロキシグリシン)の消費量をHPLCにより測定する。
D−フェニルグリシン(またはD−4−ヒドロキシフェニルグリシン)を分解できるが、(アミノオキシ)酢酸の存在下では分解する速度がより遅い単離物を、さらなる分析のために選択する。単離物は、立体反転アミノトランスフェラーゼ(プライマーは、知られているD−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼから設計)の存在についてPCRにより試験する。
立体反転アミノトランスフェラーゼの存在は、上記に記載のように液体培地中で培養物を成長させ、細胞を採取し、無細胞粗抽出物(CFE)を作製し、D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼまたはD−4−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ酵素活性について試験することにより確認する。CFEは、以下の最終濃度を有する反応混合物に追加する:0.1M 3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(「CAPS」)(pH9.5)、60mM L−グルタミン酸(ナトリウム塩)、5mMベンゾイルフォルメート(benzoyl formate)または4−ヒドロキシベンゾエート、および50μM PLP。
逆反応は、以下の濃度を有する反応混合物にCFEを追加することにより測定する:50mMリン酸カリウム(pH7.0)、60mM D−フェニルグリシン(またはD−4−ヒドロキシフェニルグリシン)、5mM α−ケトグルタル酸、および50μM PLP。アッセイは、35℃でインキュベートし、アリコートを複数の時点で取り、2分間煮沸することにより停止させる。生成物は、Gil−Av,E.ら,「Resolution of underivatized amino acids by reversed phase chromatography」,J.Am.Chem.Soc.,102:5115−5117 (1980)のHLPC法によってまたはグルタミン酸形成の測定に向けられた実施例1に記載される方法によって定量されることとなる。
PCRベースの方法の代わりとして、立体反転D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼは、硫安分画を含めた従来のタンパク質精製技術および従来のカラムクロマトグラフイーによって単離細菌から精製する。タンパク質が合理的な程度まで精製されると、ペプチドマイクロシークエンシング技術または従来のEdoman型アミノ酸配列が利用される(この種の作業に用いられるプロトコールおよび設備の記載についてはhttp://golgi.harvard.edu/microchem/を参照されたい)。縮重プライマーを、最も近い知られている類縁のタンパク質源から入手可能な配列に基づき設計する。次いで、縮重PCRおよびゲノムウォーキングを、立体反転D−フェニルグリシンアミノトランスフェラーゼコード配列を単離するために確立されたプロトコールに従って行う。
(3)DPGATモナチン生成
上記の(1)および(2)に記載されるD−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼは粗無細胞タンパク質抽出物において用いるまたは上記の(1)に記載のように精製する。S.メリロティおよびR.スフェロイデスのチロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼは、国際公開第03/091396A2号の実施例1に記載のように調製する。コマモナス・テストステローニProAアルドラーゼは国際公開第03/091396A2号の実施例4に記載のように調製する。全タンパク質アッセイは、メーカーのプロトコールに従ってBio−Rad社製Protein Assayを利用して行う(ヘラクレス、CA)。
反応混合物(1mL容量、二通り実行)は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)、2mM MgCl、0.05mMピリドキサール−5’−リン酸(PLP)、200mMピルビン酸ナトリウム、5mM α−ケトグルタル酸ナトリウム、細胞抽出物において供給された約280μg/mL S.メリロティTatA、100μL/mLのD−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ細胞抽出物または1mg/mL精製D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼ、および細胞抽出物として提供された約100μg/mLのProAアルドラーゼを含有した。固体トリプトファンは10.2mg/mlの濃度で追加する。ネガティブコントロールはD−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼなしで設定する。試料は、約1時間または一晩、緩やかに振盪させながら30℃でインキュベートする。試料は、沈澱物を除去するために遠心分離し、シリンジで濾過し、実施例1に記載されるLC/MS/MS法を用いる、モナチンについての分析前に−80℃で保存する。
モナチン生成に対する改善された活性を有するD−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼは、突然変異誘発性PCR、突然変異誘発性株による継代、部位特異的突然変異誘発、エラープローンPCRを含めた、当業者に知られている突然変異誘発技術を用いてまたはDNAシャフリングもしくは他の進化分子工学技術のごとき方法によって作製する。改善されたD−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼは、窒素の源としてR,R−モナチンを有する最少培地上での成長によって選択する。最初、選択は成長に基づくが、改善されたアミノトランスフェラーゼが選択されると、スクリーニングは成長速度に基づく。すなわち、遺伝子の突然変異バージョンを有する細胞は成長し、遺伝子は、窒素源としてR,R−モナチンを有する最少培地中で発現する。遺伝子の突然変異バージョンを有する細胞の成長速度は、未突然変異バージョンと比較する。より速い成長速度を有するそれらの細胞を選択し、アミノトランスフェラーゼをさらに分析する。所望の活性が得られるまで、D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼをさらに突然変異誘発させてもよい。
(4)DPGATアッセイ
DPGATのHisタグなしバージョンは、上記の(1)に記載のように発現させ、抽出物はアッセイに用いた。アッセイを設定した、またアッセイは、100mMリン酸カリウムpH7.0、60mM D−フェニルグリシン、5mM α−ケトグルタル酸、および50μMピリドキサール−5’−リン酸を含んだ。アッセイは、アッセイ容量の1ml当たりに、本実施例において上記に記載のように調製した100μLの抽出物を追加することにより開始した。試料は、数回の時点(0、1、2、5、10、30、60、および120分)で取り、等容量の2Mギ酸を用いて停止した。試料はまた、一晩のインキュベーション(約1200分)の後にも取った。試料は、実施例1に記載されるLC/ポストカラム蛍光検出(OPA)法によってグルタミン酸生成について分析した。結果を下記の表57に要約する。
Figure 2015211679
酵素は、D−フェニルグリシンに対するいくらかの活性を明らかに有する。酵素活性はまた、R,Rモナチンについても試験した。アッセイは上記に記載のように設定し、R,Rモナチンは60mMの濃度で含まれた。結果を表58において下記に示す。
Figure 2015211679
R,Rモナチンに対する検出可能ないかなる活性もあるようではなかった。しかしながら、本実施例の第(3)部に記載されるランダムまたはSDM法は、R,RモナチンまたはR−MPに対するアミノ基転移活性を改善するために利用できることが予想される。例えば、P.スタッツェリ酵素の結晶化および予備分析が行われた。Kongsaeree,P.ら,Acta Cryst.D59:953−954,(2003)。構造が公開されると、立体障害またはイオン反発性により、R,RモナチンがD−ヒドロキシフェニルグリシン基質結合部位に結合することを妨げる可能性がある場所を決定するためにドッキング実験をAccelrysのごときソフトウェアを用いて行うことができる。D−ヒドロキシフェニルグリシンは、R,Rモナチンのようにやや大きなアミノ酸である。両化合物は疎水性領域およびヒドロキシル基を有する。ジカルボン酸基質に対して酵素をより適用できるようにするために実施例6Aに記載のように改変を結合ポケットに対して行うことができる。例えば、第2のカルボキシル基の近くの残基はアルギニンのごとき塩基に改変してもよい。さらに、第(1)部に記載されるP.プチダ遺伝子および第(2)部に記載のように単離されてもよい付加的な遺伝子は鋳型として遺伝子シャフリングに用いることができる。さらに、本実施例で構築されたP.スタッツェリ遺伝子は、オリゴヌクレオチドシャフリングまたは他のランダム突然変異誘発法を用いて突然変異誘発し、上記(3)に記載のようにスクリーニングできる。
D−メチオニンアミノトランスフェラーゼ遺伝子の発見
背景
D−メチオニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.41)は、まれであるが、立体反転トランスアミナーゼの他の例であると考えられる。この酵素は、L−アラニンおよび4−メチルチオ−2−オキソブタノエートへのD−メチオニンおよびピルビン酸の可逆的な変換を触媒する。オキサロ酢酸、フェニルピルビン酸、2−オキソ酪酸、2−オキソ吉草酸、2−オキソヘプタン酸、グリオキシレート、およびオキソグルタル酸もまたアミノ受容体として役立ち得る。
DまたはLメチオニンのアミノ基転移は、土壌微生物(エシェリキア・コリ、シュードモナス・ピシ(Pseudomonas pisi)、シュードモナス・エルジノーサ、バチルス・ミコイデス、アシネトバクター・カルコアセティカス、エロモナス・ハイドロフィラB12E、リゾビウム・トリフォーリ(Rhizobium trifolii)N2P7、ペニシリウム・ディジタータム、サッカロマイセス・セレビシエ、コリネバクテリウムD7F)と同様に、高等植物(カリフラワー、トマト、リンゴ、エンドウ茎、バナナ、ピーナッツ)におけるエチレン生成への経路の一部であると考えられる。Billington,D.C.ら,Biochem J.182:827−836,(1978)。細菌では、L−メチオニンは、エチレン生成研究における基質として通常用い、イー・コリからのTyrBまたはAspCのごとき広域特異性酵素は、アミノ基転移を担うと考えられる。しかしながら、Primrose,S.B.,J.Gen.Microbiol.95:159−65,(1976)およびPrimrose,S.B.,J.Gen.Microbiol.98:519−528,(1977)は、イー・コリ株SPA O(University of Warwick culture collection)が、バッチ培養法において、L−メチオニンからのエチレンとほとんど同じ量のエチレンをD−メチオニンから生成したことを示した。広域特異性D−アミノトランスフェラーゼはイー・コリにおいて同定されていないので、可能性のある1つの説明として、イー・コリD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(dadA遺伝子によってコードされる)は、D−メチオニンを4−メチルチオ−2−オキソブタノエートに変換する、とすることができる。メチオニンラセマーゼがイー・コリにある可能性もある、しかしながら上記の酵素は文献に記載されていない。
イー・コリとは対照的に、カリフラワー小花(ミトコンドリア抽出調製物)および発芽ピーナッツ種子では、エチレンの生成は、L−メチオニンおよびピルビン酸と比較して、D−メチオニンおよびピルビン酸を酵素抽出物に供給した場合に、より高かった。Mapson,L.W.ら,Biochem J.115:653−661,(1969);Durham,J.I.ら,Phytochemistry 12:2123−2126,(1973)。従って、メチオニンラセマーゼおよびL−アミノトランスフェラーゼの組合せの可能性は、そのデータによって支持されない。デヒドロゲナーゼ活性は、カリフラワーの細胞抽出物の透析により除外し、NADはアッセイ混合物中に存在しなかった。酸素の消費量が示されなかったようにオキシダーゼ活性は除外し、FADの必要性はなかった。ピーナッツ組織からのD−メチオニンアミノトランスフェラーゼは、精製し、PLPに依存性であることを示し、L−メチオニンアミノトランスフェラーゼ活性に非依存性であることを示した。これらのD−メチオニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼが副生成物としてD−アラニンを実際に生成する可能性があり(実施例2および3Aに記載されるバチルス酵素に類似する)、また細胞が、D−アラニンを再利用して、L−アラニン(または類似のアミノ供与体)に戻すアラニンラセマーゼを含有する可能性がある。いずれの場合も、高等植物からの広域特異性D−アミノトランスフェラーゼの発見は、R,RモナチンまたはS,Rモナチンを生成するプロセスの開発に有利である。
実験概要
D−メチオニンアミノトランスフェラーゼは、標準的なクロマトグラフィープロトコールおよびPharmacia社製AKTA Explorerシステムを用いて、カリフラワー小花および発芽ピーナッツ胚から部分的に精製する。相同タンパク質のタンパク質配列は、LC/MS/MSフィンガープリント技術およびHarvard Microchemistry機関によって行われるデータベース検索により決定する。植物遺伝子のコード領域は、実施例10(1)に記載のように、標準的なPCRプロトコールを用いることによってまたは遺伝子の合成によってcDNAライブラリーからクローニングする。
あるいは、cDNA発現ライブラリーは、D−メチオニン存在下で成長させた(かつエチレンを生成する)カリフラワー組織またはピーナッツ種子から構築する(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)。ライブラリーは、株RC519またはAB1931のごとき、E.coli Genetic Stock Center(エール)からのイー・コリメチオニン栄養素要求株中に形質転換する。D−メチオニンを含有する最少培地上で成長が可能な株のプラスミドは、注目するコード領域を含有する(実施例4A(1)、類似のスクリーニング技術を参照されたい)。
注目するコード領域を得、標準的なイー・コリ実験株中で発現させると、結果として生じた遺伝子産物は、pHが7.5(アミノトランスフェラーゼに対する至適pH)であることを除いて、D−ヒドロキシフェニルグリシンアミノトランスフェラーゼの代わりに実施例10(3)に記載のようにR,Rモナチンを生成するためにアッセイにおいて用いることができる。D−メチオニンアミノトランスフェラーゼがD−アミノ酸供与体基質に対して絶対的な必要性を有する場合、酵素は、実施例2および3に記載のようにR,Rモナチンを作製するために用いることができる。遺伝子は、実施例10(3)に記載のように突然変異誘発させ、増加した活性についてスクリーニングできる。
方法
カリフラワーからの単離
400グラムの新たに摘んだカリフラワー小花は、浸漬およびブレンダーを用いる混合を交互にすることによって、400mLの4℃スクロース/緩衝液(0.4Mスクロースおよび0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4)を用いて抽出する。細胞片は、チーズクロスを用いて濾過により取り出し、結果として生じた溶液は4℃で30分間40,000×gで遠心分離する。固体材料(ミトコンドリア細胞器官を含有する)は、20mL 10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4中に再懸濁させ、酵素は、200mL冷(−30℃)アセトンを用いて抽出する。懸濁液は再遠心分離し、沈澱物は、Savant社製Speed Vacを用いて乾燥させる。固体材料は、10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4中に溶かし、残りのアセトンは、PD−10カラムを用いて除去する。
アミノトランスフェラーゼ活性は、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4中の5mM D−メチオニン、1mMピルビン酸、0.05mM PLP、および2mM EDTAを用いた酵素調製物のインキュベーションによりアッセイする。アッセイは16時間25℃で行う。4−メチルチオ−2−オキソブタノエートは、実施例1に記載されるLC/MS(m/zは328)および同様の方法を用いて、2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン誘導体の形成によって測定する。2M硫酸中の2,4−ジニトロフェニルヒドラジンの0.4%(重量/容量)溶液を調製し、容量の半分をインキュベーション後にアッセイ混合物に追加する。混合物は、30分間30℃で緩やかに振盪させながら混合し、沈澱物を遠心分離により収集し、LC/MSによって分析する。標準的なクロマトグラフィー技術によって分離したタンパク質画分は同様の様式で活性についてアッセイするが、副産物アラニンは、実施例1に記載されるOPAポストカラム誘導体化技術によって測定する。
ピーナッツ(アラキス・ヒポゲアL.品種Starr)からの単離
発芽ピーナッツ胚ホモジネート(子葉なし)からのD−メチオニンアミノトランスフェラーゼ酵素は、Durham,J.I.ら,Phytochemistry 12:2123−2126,(1973)の方法に従って精製する。還元剤は、酵素を安定化するために粗抽出物の調製の間に用い、細胞片は、33,000×gでの遠心分離によって取り出す。35〜50%硫安画分は、低温でのインキュベーションおよび沈澱物中のタンパク質の除去によってさらに精製する。上清は、アセトンを用いてさらに分画する。次いで、活性プールは、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephadex200、G.E. Healthcare社、ピスカタウェイ、NJ)によってさらに精製する。
タンパク質画分がトランスアミナーゼタンパク質で豊富になるので、マイクロシークエンシングのために注目する酵素を分離するために2次元ゲル電気泳動を利用する。NCBIに委託された植物配列の相同コード領域の解明の後に、標準的な分子生物学技術を用いてエシェリキア・コリ中でD−アミノトランスフェラーゼタンパク質を組換えで生成する。カリフラワー小花もしくはピーナッツ種子からの細胞抽出物または組換えで生成した相同酵素は、実施例10(3)(立体反転トランスアミナーゼの場合)または実施例2および3A(広域特異性D−アミノトランスフェラーゼの場合)に記載のように、R,Rモナチンの生成において用いることができることが予想される。
L−アラニンアミノトランスフェラーゼ/アラニンラセマーゼ/D−アラニンアミノトランスフェラーゼ
図8は、L−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アラニン−アミノトランスフェラーゼおよび/またはL−トリプトファン−アミノトランスフェラーゼのごとき)、R特異的アルドラーゼ、アラニンラセマーゼ、ならびにD−アラニンアミノトランスフェラーゼを用いて、L−トリプトファンから立体異性的に豊富なR,Rモナチンを生成するための生合成経路を示す。
トリプトファン特異的アミノトランスフェラーゼは実施例6Aに記載される。あるいは、S.メリロティおよびR.スフェロイデスのチロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼは、国際公開第03/091396A2号の実施例1に記載のように調製する。コマモナス・テストステローニProAアルドラーゼは国際公開第03/091396A2号の実施例4に記載のように調製する。全タンパク質アッセイは、メーカーのプロトコールに従ってBio−Rad社製Protein Assayを利用して行う(ヘラクレス、CA)。アラニンラセマーゼは、Sigma社(セントルイス、MO)(カタログ番号A8936)から購入する。D−アラニンアミノトランスフェラーゼは、BioCatalytics社(カタログ番号AT−103)(パサデナ、CA)から購入する。
L−アラニンアミノトランスフェラーゼは、真核生物、細菌、および古細菌に広く分布する。以下の生物は、L−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.2)を含有するとして同定された(配列相同性に基づく):アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)、アシュビア・ゴシピイ(Ashbya gossypii)、アゾトバクター・ビネランジー(Azotobacter vinelandii)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、デバリオマイセス・ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、ピヌス・タエダ(Pinus taeda)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、ラッタス・ノルベギカス(Rattus norvegicus)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、タチフグ・ルブリペス(Takifugu rubripes)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、ビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ヤロウイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、およびゼア・メイズ(Zea mays)。さらに、多くのアミノトランスフェラーゼが低レベルのアラニンアミノトランスフェラーゼ活性を有し、高いレベルのL−グルタミン酸およびピルビン酸を与えると、それをL−アラニンおよびα−ケトグルタル酸に変換できる。活性が低い酵素は、エラープローンPCRおよび突然変異誘発性株による継代のごとき標準的な突然変異誘発技術を用いてまたは進化分子工学技術によって改善される。L−アラニンアミノトランスフェラーゼの遺伝子は、プライマーを設計するための公的に入手可能な配列を用いてかつ標準的技術を用いてクローニングし、遺伝子/酵素を増幅し、クローニングし、発現させ、かつ精製する。
反応混合物(1mL容量、二通り実行)は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)、2mM MgCl、0.05mMピリドキサール−5’−リン酸(PLP)、200mMピルビン酸ナトリウム、5mM α−ケトグルタル酸ナトリウム、細胞抽出物において供給された約280μg/mL S.メリロティTatA(または他のL−トリプトファン特異的アミノトランスフェラーゼ)(実施例4A(5)、100μgのL−アラニンアミノトランスフェラーゼ、100μL/mlのアラニンラセマーゼ細胞抽出物または1mg/mL精製アラニンラセマーゼ(Sigma社)、細胞抽出物において供給された約280μg/mL 広域特異性D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(実施例15および18はこの反応で働くことができるD−アミノトランスフェラーゼの例を有する)、および細胞抽出物として提供された約100μg/mLのProAアルドラーゼを含有する。固体トリプトファンは10.2mg/mLの濃度で追加する。ネガティブコントロールはアラニンラセマーゼなしで設定する。試料は、約1時間または一晩、緩やかに振盪させながら30℃でインキュベートする。試料は、沈澱物を除去するために遠心分離し、シリンジで濾過し、実施例1に記載されるLC/MS/MS法を用いる、モナチンについての分析前に−80℃で保存する。
酵素反応混合物からのR,R−モナチンの精製
生成物、R,R−モナチンは以下の反応混合物から精製した。0.33リットル中、50mM炭酸水素アンモニウム、pH8.2、4mM MgCl、0.05mMピリドキサールリン酸(「PLP」)、200mMピルビン酸ナトリウム、および50mM D−トリプトファンを、トリプトファンが溶けるまで500mLガラスボトル中で室温で混合した。液体に数分間窒素を流し、次いで3.0mg/mL Biocatalytics社製(パサデナ、CA)広範囲D−トランスアミナーゼ(カタログ#AT−103)および配列番号22の0.1mg/mL精製アルドラーゼを追加した。反応混合物は室温で緩やかに撹拌した。アルドラーゼは、実施例3Aに記載のように精製した。50mM D−トリプトファンの付加的なアリコートを、混合物を最初に調製した15時間および22時間後に固体として追加した。ヘッドスペースに各追加の後に窒素を流した。追加したトリプトファンのすべてが溶けたわけではなかったが、濃度は約50mMに維持した。40時間後、残りの固体トリプトファンを濾過した。ポストカラム蛍光検出液体クロマトグラフィーによる反応混合物の分析(実施例1を参照されたい)は、溶液中のトリプトファンの濃度が49mMであり、モナチンの濃度が3.9mMであったことを示した。
生成物モナチンは、2つのイオン交換クロマトグラフィー工程を利用して精製した。濾過した反応溶液は、BioRad社製AG50W−X8樹脂(140mL;1.7meq/mLの結合能力)のカラムに最初にかけた。カラムは2×150mL HOを用いて洗浄し、次いで、1M NHOH(1×450mL、その後3×150mL)を用いて溶出した。NHOH画分を組み合わせ、HClを用いて中和し、Whatman社製(メードストン、英国)ガラスマイクロファイバーフィルターおよびGelman Sciences社製(アナーバー、MI)0.45μmをフィルターを通して続けて濾過した。次いで、浄化溶液は、YM100(MWCO 100kDa)を用いて、Amicon社製限外濾過撹拌セル(モデル8200)(ミリポア社;ビレリカ、MA)を用いて限外濾過した。限外濾過からの濾液は、微温湯槽を用いてロトエバポレーター(roto−evaporator)を用いて、約160mLまで蒸発させた。液体は、ガラスマイクロファイバーフィルターを通して濾過することによりさらに浄化した。
結果として生じた溶液は、0.5L 1M NaOH、HO、および1.0M炭酸水素アンモニウム、pH8.3を用いて洗浄することにより、その後HOを用いてさらに洗浄することにより、先に炭酸水素塩形態に変換した1L Fast Flow DEAE Sepharose(Amersham Biosciences社)カラムにかけた。溶液は<2mL/分で装填し、カラムは280nmの吸光度が<1となるまで3〜4mL/分で水を用いて洗浄した。R,R−モナチンは、50mM炭酸水素アンモニウム、pH8.3(2.5L)を用いて溶出した。この画分は、微温湯槽を用いてロトエバポレーターを用いて蒸発させた。結果として生じたシロップは、結晶が形成されるまで、数日間4℃でインキュベートした。結晶を収集し、低温の100%エタノールを用いて洗浄し、真空乾燥器中で乾燥させた(0.38g)。
FDAA誘導体化、その後にLC/MS/MS多重反応モニタリングを用いる異性体純度についての固体生成物の分析(実施例1を参照されたい)は、試料が96.3%R,Rモナチンおよび3.7%S,R−モナチンであったことを示した。
試料は、さらに、全モナチン法を用いて、他の有機化合物に関する純度について分析した(実施例1を参照されたい)。UV吸光度は、フォトダイオードアレイ検出器を用いて200〜500nmでスキャンした。積分ピーク面積に基づくと、モナチンは面積の96.1%を占めた(R,RおよびS,Rピークの双方を含む)。
ポストカラム蛍光検出液体クロマトグラフィーによる試料の分析は、試料のアミノ酸組成が98.8%モナチンであり、極微量がトリプトファン(1.2%)およびアラニン(0.02%)であったことを示した。
元素分析はMidwest Microlab,LLC社(インディアナポリス、IN)で行った。この分析は、試料が、重量で1%不燃性(無機)物質およびアンモニウムおよび炭酸水素残渣を含有することを示した。
精製中のD−アミノトランスフェラーゼ活性保持の改善
B.スファエリクスHIS−D−アラニンアミノトランスフェラーゼの精製のための標準的手順
BL21(DE3)::B.スファエリクス dat pET30aの新鮮な培養平板(50μg/mLカナマイシンを有するLB寒天)から開始して、細胞は、3〜5時間、225rpmで振盪させながら37℃で、50μg/mlカナマイシンを有する5mLのLuria−Bertaniブロス(「LB」)中で成長した。続いて、培養物は、Novagen社製Overnight Express System II溶液1〜6(EMD Bioscience社、マディソン、WI)に加えて50μg/mLカナマイシンを含有するフラスコ中に0.25%(容量/容量)で移した。細胞は、一晩(16〜18時間)、37℃および225rpmで成長させた。OD600が約8.0となると、細胞は、10分間10,000rpmでJS−16.25回転子を有するBeckman社製(フラートン、CA)J25II遠心分離機中で遠心分離によって採取した。細胞ペレットは、低温の50mM EPPS緩衝液(pH8.2)を用いて洗浄し、細胞をさらに遠心分離した。洗浄した細胞ペレットは、採取し、直ちに用いたまたは精製に必要とされるまで−80℃で凍結させた。
B.スファエリクスHIS−D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(HIS−BsphDAT)タンパク質を含有する無細胞抽出物を調製するために、細胞は、3〜4倍容量の50mM EPPS、pH8.2中で懸濁させ、次いで、15℃未満に懸濁液の温度を維持して、Microfluidics社製ホモジナイザー(ニュートン、MA)(20,000psiで3パス)を用いて破壊した。続く精製工程はすべて4℃で行った。細胞抽出物は、細胞片を除去するために15,000×gで15分間遠心分離した。上清はデカントし、直ちに用いたまたは−80℃で凍結させた。アリコートの無細胞抽出物は、Novagen社製HIS−Bindカラム(カタログ#70971−4)または200mM塩化ナトリウムを含有する50mM EPPS、pH8.2を用いて先に平衡化したGE Healthcare社製Chelating Sepharose(商標)Fast Flow樹脂(ニッケル(II)形態)(ピスカタウェイ、NJ)(1.2〜1.5容量/容量の比)のカラムのいずれかにかけた。試料を装填した後に、カラムは、3〜5倍容量の平衡化緩衝液、25mMイミダゾールを含有する3〜5倍容量の平衡化緩衝液、50または100mMイミダゾールを含有する3〜5倍容量の平衡化緩衝液、および500mMイミダゾールを含有する3〜5倍容量の平衡化緩衝液を用いて続けて洗浄し/溶出した。HIS−BsphDATタンパク質は最後の洗浄で溶出した。500mMイミダゾール洗浄物は、Amicon社製Centricon−70またはUltra−15遠心濾過デバイス(MWCO 5〜10kDa)(ビレリカ、MA)を用いて2〜10×に濃縮した。イミダゾールおよび塩化ナトリウムは、50μM PLPを含有する50mM EPPS、pH8.2を用いて先に平衡化した、使い捨てのGE Healthcare社製PD10脱塩カラムを通過させることによって除去した。
脱塩溶液のタンパク質濃度はPierce社製BCAアッセイキット(ロックフォード、IL)を用いて決定した。各画分の純度および無細胞抽出物画分中の発現のレベルは、Bio−Rad社製Experion Pro260マイクロキャピラリーチップシステム(ヘラクレス、CA)を用いてまたは4〜15%の勾配ゲルを用いたSDS−PAGEによって決定した。通常、この手順は、Experionソフトウェアで判断されるように約90%純粋である300mgを超える酵素を生成する(600mLのOvernight Express II培養物から)。アリコート(1〜5mL)の精製酵素は使用まで−80℃で保存した。
手順の改善
無細胞抽出物は、上記に記載のように調製した。His−BsphDATタンパク質は、以下の変化を加えて同様に精製した:細胞破壊およびタンパク質精製に用いた緩衝液はすべて、50μM PLPを有する100mMリン酸カリウム、pH7.8を含有した。タンパク質は、GE Healthcare社製Chelating Sepharose(商標)Fast Flow樹脂(ニッケル(II)形態)のみを用いて精製した。
活性アッセイ
トリプトファンおよびピルビン酸からのインドール−3−ピルビン酸およびアラニンの形成は、双方の精製手順によって調製した酵素を用いてアッセイした。反応混合物は、100mMリン酸カリウム、pH7.8、0.05mMピリドキサールリン酸(PLP)、100mMピルビン酸ナトリウム、40mM D−トリプトファン、および0.03〜0.1mg/mL精製酵素を含有した。トリプトファンは固体として追加した。酵素以外の成分はすべて一緒に混合し、トリプトファンが溶けるまで30℃でインキュベートした。次いで、酵素を追加し、反応溶液は室温でインキュベートした。所定の時点で、反応物をサンプリングし、試料は、直ちに氷上に保存し、実施例1に記載されるポストカラム蛍光検出液体クロマトグラフィー法によるアラニン分析のために希釈した。毎分1mgの酵素当たりに形成されたアラニンの濃度として、下記の表59に酵素調製物の特異的活性を挙げる。
Figure 2015211679
表59に示される結果は、精製プロセスの間のピリドキサールリン酸(PLP)の使用が活性の増強をもたらしたことを示す。
2つの新規なバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼのクローニング
数種のバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21、D−アラニンアミノトランスフェラーゼまたはD−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとしても知られている)は、実施例18に記載のように、R,Rモナチンの生成のための共役アッセイにおいて用いるために組換えで生成した。これらの酵素は、モナチンの生成について先に記載されるD−アミノトランスフェラーゼ(米国特許出願公開第20040063175号および米国特許出願公開第2005282260号)に相同である。新規なD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(「DAAT」)を含有する候補とすることができる株の選択に用いられるアプローチは、ATCCに委託されたB.スファエリクス株のリストを評価し、異なる種名で先に委託されたいくつかについて分析するためのものであった。以下の生物をATCCにオーダーした:ATCC4978−−バチルス・ロタンス(Bacillus rotans)として初め委託されたバチルス・スファエリクスおよびATCC7063−−バチルス・セロシティディス(Bacillus serositidis)として初め委託されたバチルス・スファエリクスおよびATCC21538−バチルス・サーキュランスとして初め委託されたバチルス・スファエリクス。バチルス・スファエリクス、バチルス・ハロデュランス、ゲオバチルス・ステアロテルモフィルス、バチルス・セレウス、バチルス・スブチリス、およびバチルス・リケニホルミスからの知られているDAATタンパク質配列は、種々のDAATタンパク質中の保存された配列領域を得るために整列させた。プライマーは、タンパク質配列保存の領域において設計し、上記に言及したATCC株からのDAAT遺伝子配列のポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)増幅に用いた。
5つのPCRプライマーは、公開されたバチルスDAAT配列のアラインメントにおける保存領域に基づいて設計した(図9のアラインメントを参照されたい)。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
プライマーは、DAATのアラインメントにおける保存領域に基づいて上記に言及されるように設計した。オリゴヌクレオチドプライマー配列を下記に示す。5'-GAAGACCGTGGTTATCAATTT-3'(配列番号65)(順行プライマー)、5'-GATGGTATTTACGAAGTAATC-3'(配列番号66)(順行プライマー)、5'-AGATTTAATATCACAACGTAAC-3'(配列番号67)(逆行プライマー)、5'-GCCAAGTAAAATTTAAGATTTA-3'(配列番号68)(逆行プライマー)、5'-ATTTGCTGGGTGCGTATAAAG-3'(配列番号69)(逆行プライマー)。知られているDAATとのプライマー組合せのアラインメントに基づいたPCR断片の期待サイズ:配列番号65および配列番号67−およそ380bp;配列番号65および配列番号68−およそ395bp;配列番号65および配列番号69−およそ534bp;配列番号66および配列番号67−およそ336bp;配列番号66および配列番号68−およそ346bp;配列番号66および配列番号69−およそ510bp。
上記のプライマーの組合せを以下のATCC株からのコロニーPCRに用いた:ATCC4978−−バチルス・ロタンスとして初め委託されたバチルス・スファエリクス;ATCC7063−−バチルス・セロシティディスとして初め委託されたバチルス・スファエリクス;およびATCC21538−バチルス・サーキュランスとして初め委託されたバチルス・スファエリクス。
3つの上記に言及した株を30℃で栄養寒天上で成長させた。単一のコロニーを平板からこすり取り、25μL滅菌蒸留水中に再懸濁させた。細胞は10分間96℃で溶解させた。PCRを以下のように実行した:50μL反応当たり、5μL 溶解細胞、0.8μLの各プライマー、2μL dNTP、0.8μL Expand High Fidelity Polymerase(Roche社、インディアナポリス、IN)、および1×Expand(商標)緩衝液を追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、30秒間94℃、45秒間40℃、および2分間72℃を15サイクル続けた。さらに15回のサイクルは45℃でアニール温度を増加して行った。終わりに、鎖伸長工程を72℃で7分間行った。数種のプライマーの組合せにより上記の株について期待されたPCR生成物サイズが生じた。PCR生成物は、メーカーのプロトコール(Invitrogen社)に従って、Zero Blunt TOPO(登録商標)クローニングキットを用いてクローニングし、Agencourt BioScience社(ビバリー、MA)でジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって配列決定した。DNAおよびアミノ酸のレベルの双方の配列はB.スファエリクスDAAT配列と整列させた。妥当なDAAT/DAT配列は、3つの株、ATCC4978、ATCC7063、およびATCC21538のすべてから得た。2つの特定の株、ATCC4978およびATCC7063は、翻訳された場合、B.スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ配列と比較すると別個のアミノ酸残基変化を有するタンパク質配列を産生したPCR生成物を生じた。
ゲノムウォーキングはATCC4978株およびATCC7063株についての完全な遺伝子配列を得るために実行した。株ATCC4978は30℃で栄養ブロス中で成長させた。株ATCC7063は栄養寒天上で成長させた。ゲノムDNAは、メーカーのプロトコールに従ってGentra Kit(Gentra Systems社、ミネアポリス、MN)を用いて各株から調製した。4つのライブラリーをメーカーのプロトコールに従って各株について構築した(BD GenomeWalker(商標)Universal Kit、Clontech社、www.Clontech.com)。遺伝子特異的プライマーは、GenomeWalker(商標)のメーカーのプロトコールに従って、保存プライマーの組合せ(上記を参照されたい)を用いて得られた配列に基づいて設計し、本来の生成物と数百の相同塩基対オーバーラップを可能にした。これらの遺伝子特異的プライマーは、DAT ORFSを完成させるために、上流および下流の配列のPCRのためのGenomeWalker(商標)アダプタープライマーと共に続いて用いた。
遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー配列を下記に示す。
4978 DAT GSP1 Upstrm 5'-GACATGCTCCTCCGCTGTAAATAATTCACC-3'(配列番号70);
4978 DAT GSP1 Dwnstr 5'-CCCTGGTGATGAAGTGAAGCCAGTATTAAC-3'(配列番号71);
4978 DAT GSP2 Upstrm 5'-ATCGCCAAATTGATAACCACGGTCTTC-3'(配列番号72);
4978 DAT GSP2 Dwnstr 5'-ACGTCCCGTAGCAAACTTTGAAAAAGGTGT-3'(配列番号73);
7063 DAT GSP1 Upstrm 5'-TGCATAGAATCGGTCGATATGTTCAGTAGC-3'(配列番号74);
7063 DAT GSP1 Dwnstr 5'-GCGGAGAAACGATTACAGAAGGTTCTTCAA-3'(配列番号75);
7063 DAT GSP2 Upstrm 5'-GTCACCAAATTGATAACCACGGTCTTC-3'(配列番号76);および
7063 DAT GSP2 Dwnstr 5'-GGTGTACTTTATACGCACCCAGCAAAT-3'(配列番号77)。
アダプターオリゴヌクレオチドプライマー配列は以下の通りである。
AP1 5'-GTAATACGACTCACTATAGGGC-3'(配列番号78)および
AP2 5'-ACTATAGGGCACGCGTGGT-3'(配列番号79)。
一次GenomeWalker(商標)PCRは以下のように実行した:50μLの反応当たり、2.5μLのDNAライブラリー、2μLの各プライマー(AP1(配列番号78)および適切なGSP1)、1.5μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、および1μL RTTHポリメラーゼ(Roche社、インディアナポリス、IN)を追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、30秒間55℃、および1分間68℃を10サイクル続けた。さらに20回のサイクルは48℃でアニール温度を減少させて行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。二次Genome Walker(商標)PCRは以下のように実行した:50μLの反応当たり、1.0μL(1:50の希釈)の一次PCR反応物、2μLの各プライマー(AP2(配列番号79)および適切なGSP2)、1.5μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、および1μL RTTHポリメラーゼを追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、30秒間55℃、および1分間68℃を10サイクル続けた。さらに15回のサイクルは48℃でアニール温度を減少させて行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。
数種のライブラリーは、約200bp〜約1.5kbのサイズの範囲のPCR生成物を生じた。PCR生成物はTOPOクローニングし(上記のように)、Agencourt BioScience社(ビバリー、MA)でジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって配列決定した。これらの新しい配列は、保存プライマーの組合せを用いて得られた最初の配列と整列させ、開始コドンおよび終止コドンを同定した。このように、DAATの完全なORFを得た。新しいプライマー対は、ATCC株4978および7063から全DAAT遺伝子を別々にPCRするために、特定の完全なDAAT配列に基づいて設計した(クローニングのための制限部位を有する)。
オリゴヌクレオチドプライマー配列を下記に示す。
ATCC4978DAATNde1F 5'-GGCCTTGGCATATGAGTTATAGCTTATGGAATGACC-3'(配列番号80);
ATCC4978DAATBamH1R 5'-GGCCTTAAGGATCCTTATGCGCGAATACCTTTTGGG-3'(配列番号81);
ATCC7063DAATNde1F 5'-GGCCTTGGCATATGAGCTACACTTTATGGAATGA-3'(配列番号82);および
ATCC7063DAATBamH1R2a 5'-GGCCAAGGATCCGCTACCCACTAATCATTAGA-3'(配列番号83)。
ATCC4978およびATCC7063 DAAT遺伝子のコード領域は以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μL反応中、3μLゲノムDNA、0.8μLの各プライマー、2μL dNTP、0.8μL Expand High Fidelity Polymerase(Roche社、インディアナポリス、IN)、Mg入りの1×Expand(商標)緩衝液、および0.2μL Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)を追加した。用いたサーモサイクラープログラムは3分間94℃でのホットスタートを含み、その後、以下の工程を8回繰り返した:30秒間94℃、30秒間50℃、および90秒間72℃。続いて22サイクルを58℃のアニール温度で行った。終わりに、鎖伸長工程を72℃で7分間行った。正確なサイズのきれいなPCR産物を両株について得た(約850bp)。
ATCC4978およびATCC7063のDAAT遺伝子についてのPCR産物は、Qiagen社製QIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、BamHI緩衝液(New England Biolabs社、イプスウィッチ、MA)中でNdeIおよびBamHIで消化した。NdeIおよびBamHIで消化したベクター(pET28およびpET30)ならびに挿入断片は、Qiagen QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製した。ライゲーションは、Roche社製Rapid DNA Ligation Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて行い、QIAquick(登録商標)PCR精製キットを用いて精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Rad社エレクトロポレーションマニュアルに記載のように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad社製Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10Bに形質転換した。細胞は、225rpmで振盪させながら、37℃で30分間、900μL SOC培地中で回復させた。細胞は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、PCRならびにNdeIおよびBamHを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するようであるプラスミドの配列は、Agencourt BioScience社(ビバリー、MA)でジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。配列分析により、ATCC4978およびATCC7063からのDAAT遺伝子についてのコード配列を確認し、配列番号84(ATCC4978 DAAT DNA配列)および配列番号85(ATCC7063 DAAT DNA配列)のDNA配列ならびに配列番号86(ATCC4978 DAATアミノ酸配列)および配列番号87(ATCC7063 DAATアミノ酸配列)のアミノ酸配列が生成された。
B.スファエリクスDAAT(実施例18においてクローニング)との、ATCC4978およびATCC7063からの2つの新規なDAATのアラインメントを図10に示す。
発明者らは、B.スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼと比較した場合に別個のアミノ酸残基変化を有するタンパク質配列を有する株ATCC4978およびATCC7063から新規なD−アミノトランスフェラーゼを得た。ATCC4978およびATCC7063からのDAATは、B.スファエリクス(ATCC10208)からのDAATとわずか72%および67%の同一性を有する。これらの株の双方がATCCにおいてB.スファエリクスとして現在挙げられているが、それらはB.ロタンスおよびB.セロシティディスとして委託されたものである。これらの2つの新規なDAATおよびB.スファエリクスからのDAATの間の配列アラインメントおよび目立った差異に基づき、R,Rモナチン生合成に対するDAAT活性を増加させるそれらの役割(別々にまたは組み合わせて)について評価できる多くの候補残基を、これらのおよび他のDAAT配列において同定する。
遺伝子発現およびATCC4978およびATCC7063のDAATタンパク質についてのアッセイ
ATCC4987およびATCC7063からの新規なDAATは、実施例15に記載のように、(pETベクター中)、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen社、マディソン、WI)中に形質転換した。培養物は、上記に記載されるプロトコールを用いて成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、プラスミドの同一性を確認するために上記に記載のように制限消化によって分析した。
DAAT遺伝子の誘発は、通常、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB培地中で行った。細胞は、37℃で0.4〜0.8のOD600まで成長させ、0.1mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発の3〜4時間後にサンプリングした。細胞抽出物は、Novagen社製BugBuster(商標)試薬付属のプロトコールに従って調製した。(ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびRoche社製完全プロテアーゼインヒビターカクテルを追加)。可溶性タンパク質は、pETベクター中のATCC4978およびATCC7063の遺伝子産物の双方について、SDS−PAGEで判断されるように、予測された分子量で得られた。より高いレベルの可溶性タンパク質はHisタグなし構築物(pET30)を用いて観察された。細胞抽出物中の可溶性タンパク質は、BioRad Laboratories社製Experion Automated Electrophoresis Station(ヘラクレス、CA)で分離し、Experion Softwareバージョン1.1.98.0を用いて濃度および発現パーセントについて分析した。
タグなし(pET30)構築物を有する細胞からのタンパク質抽出物は、以下のプロトコールを用いる、ピルビン酸およびD−トリプトファン(またはR,Rモナチン)からの、次に続くアラニンの生成によるD−アミノトランスフェラーゼ活性について分析した。下記に特に特定されない限り、二通りの500μL反応を、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、80μMピリドキサールリン酸、25mMピルビン酸ナトリウム、および50mM D−トリプトファンまたはR,Rモナチン中で実行した。反応は、無細胞抽出物(4978もしくは7063)または精製酵素(B.スファエリクス)の追加によって開始し、軽く振盪させながら30℃で15分間〜2時間インキュベートした。約同じレベルの全タンパク質を、以下で明記しない限り比較の目的のために各アッセイ中に追加した(1.0mg)。精製B.スファエリクス(ATCC番号10208)アミノトランスフェラーゼはベンチマーク酵素として用いた。反応を停止するために、ギ酸を2パーセントの最終濃度まで追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。タンパク質を追加しないコントロール反応もまた行った。アラニンは、実施例1に記載のように、LC/OPAポストカラム誘導体化を用いて検出した。二通りの反応の平均した結果を下記の表60および61に示す。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
従って、発明者らは、ATCC4978およびATCC7063からのD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼがD−アミノトランスフェラーゼ活性を実際に持ち、R,Rモナチンを作製するための能力を有することを実証した。ATCC4978 DAATの活性はATCC7063 DAATについて観察されたものよりも高かった。4978が未精製であったので、4978およびB.スファエリクスの間の量的比較はできなかった。
ATCC4978からのDAATを用いるR,Rモナチンの生成
ATCC4978からのアミノトランスフェラーゼもまた、D−トリプトファンからモナチンを生成するための能力について試験した(実施例3Aでのように)。以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:約50μgアルドラーゼ(C.テストステローニProAアルドラーゼまたは配列番号22のアルドラーゼ、精製済み)、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン(固体として供給)、1.0mg D−アミノトランスフェラーゼ、100mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。実験は、アミノトランスフェラーゼを追加しないネガティブコントロールと共に二通り実行した。試料は、緩やかに振盪させながら30℃で種々の長さの期間インキュベートした。これらの方法を用いて、モナチンが生成された場合に検出された唯一の立体異性体はR,RおよびS,Rである。全モナチンおよびR,Rモナチンパーセントは、実施例1に記載のように検出された、またそれを下記の表62〜64に挙げる。表62〜64のそれぞれに示される結果は、二通りの反応からの平均値である。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
Figure 2015211679
従って、発明者らは、ATCC4978からのD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼがR,Rモナチンを作製する能力を有することを実証した。ATCC4978 DAATの活性は、タンパク質1グラム当たりのモナチンmgの点から全モナチン生成量を比較する場合、B.スファエリクスDAATについて観察されたものよりも高かった。配列番号22のR特異的アルドラーゼの使用は、作製した、生成された全モナチンの量と比較して形成されたR,Rモナチンの百分率を明らかに改善した。
公開されたバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼのクローニング
数種のバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21、D−アラニンアミノトランスフェラーゼまたはD−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとしても知られている)は、R,Rモナチンの生成のための共役アッセイにおいて用いるために組換えで生成した。この酵素は、モナチンの生成について先に記載されるD−アミノトランスフェラーゼ(米国特許出願公開第20040063175号および米国特許出願公開第2005282260号)に相同である。

B.スファエリクス(ATCC番号10208)およびB.リケニホルミス(ATCC番号10716)は、一晩30℃で栄養寒天上で成長させた。コロニーのグループを100μLの滅菌水中に置き、細胞を破壊するために95℃で5分間加熱した。3μLを、続くポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅において用いた。ゲノムDNAをB.ハロデュランス(ATCC番号BAA−125D)についてオーダーし、100ng/μLの濃度まで水中で再懸濁させた。バチルス・セレウスのゲノムDNA(ATCC番号1−987Dおよび14579D)は、同様にクローニングするためにオーダーした。
ポリメラーゼ連鎖反応プロトコール
プライマーは、NcoI部位およびBamHI部位を用いて、pET28bベクターおよびpET30aベクター(Novagen社、マディソン、WI)にクローニングするためにB.スファエリクスdat遺伝子について設計した。pET30構築物はN末端HisタグおよびSタグを含有するが、pET28構築物はタグ付きではない。
バチルス・スファエリクスdatプライマー:
N末端:5'-GATATACCATGGCATACTCATTATGGAATG-3'(配列番号88)およびC末端:5'-GTTATCGGATCCTTAGGCATTAATTGAAATTG-3'(配列番号89)。
B.リケニホルミスプライマーおよびB.ハロデュランスのプライマーは、NcoI部位およびBamHI部位を用いて、pET28bベクターおよびpET30aベクターにクローニングするために設計した。pET30構築物はこの場合タグなしであったが、pET28構築物は小さなN末端his−タグを含有した。
B.リケニホルミス datプライマー:
N末端5'-GGCCGGTTCATATGAAAGTTCTTTTTAACGGC-3'(配列番号90)およびC末端5'-CCTTCCGGATCCTTAAACCGTTTTGGCTGTCT-3'(配列番号91)。
B.ハロデュランスプライマー:
N末端5'-GATATACATATGGATTATTGCCTTTACCAA-3'(配列番号92)およびC末端5'-GAATCCGGATCCTCACTGCTTCATCGCTGTTTG-3'(配列番号93)。
プライマーはB.セレウスコード配列について設計した。プライマーの一方のセットは、受入AE016877 gi:29899096 5138634...5139506(873bp)としてNCBIに挙げられる配列を生成した。プライマーの一方のセットは、B.チューリンゲンシスの予測されたdat NCBI受入番号AE017355 gi:49328240 4965653...4966537(885bp)に類似した、付加的な12bpを上流に有する生成物を生成した。プライマーの双方のセットは、N末端領域についてはNdeIおよびC末端領域についてはBamHI制限部位を用いて設計した。プライマーはpBAD−TOPO TAクローニングにクローニングするために設計した。
B.セレウスプライマー:
N末端5'-TAAGAGGAATAACATATGGCATACGAAAGATTT-3'(配列番号94)およびC−末端5'-GAATTCGGATCCTTAAGAAGATGACATATTGG-3'(短鎖PCR産物)(配列番号95)。
N末端5-TAAGAGGAATAACATATGGGATCGAAATTGGCA-3'(長鎖PCR産物)(配列番号96)。
B.スファエリクス、B.ハロデュランス、およびB.リケニホルミスのdat遺伝子のコード領域は以下のPCRプロトコールを用いて増幅した。50μLの反応中、3μL鋳型(ゲノムDNAについては2μL)、1.6μMの各プライマー、0.25mMの各dNTP、3.5U Expand High Fidelity Polymerase(Roche社、インディアナポリス、IN)、およびMg入りの1×Expand(商標)緩衝液を用いた。用いたサーモサイクラープログラムは3分間94℃でのホットスタートを含み、その後、以下の工程を8回繰り返した:30秒間94℃、30秒間52℃、および2分間72℃。続いて22サイクルを58℃のアニール温度で行った。30サイクルの後、試料は、7分間72℃で維持し、次いで、4℃で保存した。正確なサイズのきれいなPCR産物を得た(dat遺伝子は約850bp)。
タンパク質受入番号AAA22252(gi:142542)をコードするゲオバチルス・ステアロテルモフィルス dat(受入番号J04460 gi:142541)はアセンブリーPCR技術を用いて構築した。この遺伝子/タンパク質の源は、バチルス種、熱安定性バチルス種、またはバチルスYM−1として記載されることが多い。アセンブリープロセスは以下の通りである:43個のオリゴヌクレオチド(40塩基長)を、上記の遺伝子配列ならびにその相補DNA配列に基づいてIDTにオーダーした、またそれらはセンス鎖およびアンチセンス鎖の間に20個の塩基対オーバーラップを有した。プライマーは、水中で250μMまで希釈し、5μLの各プライマーはマイクロチューブ中で一緒に混合した。PCRを以下のように実行した:100μLの反応当たり、1.5μLのプライマープール、4μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、2μL rTthポリメラーゼ(Roche社、インディアナポリス、IN)、および0.25μL Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)を追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、30秒間40℃、および15秒間68℃を15サイクル続けた。さらに10回のサイクルは44℃でアニール温度を増加しておよび30秒間(68℃で)の伸長期間で行った。さらに10回のサイクルは48℃のアニール温度および75秒間の伸長期間で行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。二次PCRは、NdeI(N末)およびBamHI(C末)を用いてクローニングするために設計した以下のプライマーを用いて行った。
N−末端5'-GGCCTTGGCATATGGGATACACTTTATGGAATGACC-3'(配列番号97)およびC−末端5'-TTGGAACCGGATCCTTATATATGAAGCGGTTTTGG-3'(配列番号98)。
二次PCR反応物は、100μL当たり、2.5μLの一次反応物、0.4μLの各プライマー、3μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、2μL rTthポリメラーゼ、および0.25μL Pfuポリメラーゼを含有した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、30秒間42℃、および90秒間68℃を10サイクル続けた。さらに15回のサイクルは48℃でアニール温度を増加して行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。三次PCR反応は、二次PCR反応と同一の条件を用いた二次PCRからの鋳型を用いて行った。約900bpの生成物がアガロースゲル上で認識可能であった。
クローニング
B.スファエリクスDATについてのPCR産物は、Qiagen社製QIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、BamHI緩衝液(New England Biolabs社、イプスウィッチ、MA)中でBamHIおよびNcoIで消化した。消化したベクター(pET28およびpET30)ならびに挿入断片は、Qiagen QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製した。ライゲーションは、Roche社製Rapid DNA Ligation Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて行い、QIAquick(登録商標)PCR精製キットを用いて精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Rad社エレクトロポレーションマニュアルに記載のように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad社製Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10Bに形質転換した。細胞は、225rpmで振盪させながら、37℃で30分間、900μL SOC培地中で回復させた。細胞は、カナマイシン(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、BamHIおよびNcoIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。正確な挿入断片を有するようであるプラスミドの配列は、Agencourt BioScience社(ビバリー、MA)でジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した。配列決定により、NCBI受入番号AAC33964(gi:3513755)に挙げられるアミノ酸配列を有するタンパク質を生成する、受入番号AF081278領域:134..985(gi:3513754)に見られるコード配列を検証した。
B.リケニホルミスDAT(約850bp)およびG.ステアロテルモフィルスについてのPCR生成物は、ゲル精製し、メーカーのプロトコール(Invitrogen社)に従って、Zero Blunt TOPO(登録商標)クローニングキットを用いてクローニングした。プラスミドは、最初のスクリーニングのためにTOP10化学的コンピテント細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは、制限消化によってスクリーニングし、配列は、NCBIにおいて見つかったコード配列とマッチすることを検証した。B.リケニホルミスについては、配列は、受入番号U26947領域247..1098(gi:857560)とマッチし、AからGへの429位での1つのサイレント突然変異を除いて受入番号P54692(gi:1706292)に挙げられるアミノ酸配列を有するタンパク質を生成する。G.ステアロテルモフィルスについては、配列は、上記に挙げられる受入番号とマッチした。コード領域は制限消化(NdeI/BamHI)によってサブクローニングし、pETベクター中にライゲーションし、増幅のためにエレクトロコンピテントDH10B細胞中に形質転換した。
B.ハロデュランスDATについてのPCR生成物は、ゲル精製し、NdeIおよびBamHIを用いて消化し、上記のようにpET28およびpET30のベクター中にライゲーションした。ベクターの増幅はDH10B細胞中で行った。ミニプレップDNAはPCRによってスクリーニングし、配列を検証した。遺伝子配列は、受入番号NP_243677(gi:15615374)に挙げられるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする受入番号NC_002570(gi:57596592)2934903..2935754に見出すことができる。
B.セレウスコード配列は標準的なPCRプロトコールを用いて増幅し、メーカーのプロトコール(Invitrogen社)に従ってクローニングした。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、pETベクター中の構築物のために、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen社、マディソン、WI)中にサブクローニングした。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、同一性を確認するために制限消化によって分析した。誘発は、通常、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB培地中で行った。細胞は、37℃で0.4〜0.8のOD600まで成長させ、0.1mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発し、誘発の3〜4時間後にサンプリングした。細胞抽出物は、Novagen社製BugBuster(商標)試薬付属のプロトコールに従って調製した。(ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびRoche社製完全プロテアーゼインヒビターカクテルを追加)。高いレベルの可溶性タンパク質が、双方のB.ハロデュランス遺伝子産物、双方のB.スファエリクス遺伝子産物、双方のG.ステアロテルモフィルス遺伝子産物、およびタグなしB.リケニホルミス遺伝子産物について、SDS−PAGEで判断されるように、予測した分子量で得られた。精製タンパク質を用いた反応については、Hisタグ遺伝子産物は、メーカーのプロトコール(Novagen社、マディソン、WI)に従ってHis−Bindカートリッジを用いて精製した。溶出液画分は、PD−10(Amersham Biosciences社、ピスカタウェイ、NJ)カラム上で脱塩し、25〜100mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5中に溶出させた。全タンパク質アッセイは、Pierce社製BCAキット(ロックフォード、IL)を用いて行い、発現パーセントはSDS−PAGEから評価した。あるいは、細胞抽出物中の可溶性タンパク質は、BioRad Laboratories社製Experion Automated Electrophoresis Stationで分離し、Experion Softwareバージョン1.1.98.0を用いて濃度および発現パーセントについて分析した。B.セレウス遺伝子を含有するpBAD−TOPO構築物はInvitrogen社によって推奨されるように発現させたが、DAATの発現のレベルは、SDS−PAGE分析の間に他のタンパク質と組換えタンパク質を識別できないものであった。
細胞抽出物は、以下のプロトコールを用いる、ピルビン酸およびD−トリプトファン(またはR,Rモナチン)からの、次に続くアラニンの生成によるD−アミノトランスフェラーゼ活性について分析した。二通りの1mL反応は、通常、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、50μMピリドキサールリン酸、25mMピルビン酸ナトリウム、および50mM D−トリプトファンまたはR,Rモナチン中で行った。反応は、無細胞抽出物または精製酵素の追加によって開始し、軽く振盪させながら30℃で15分間から一晩、インキュベートした。約同じレベルのD−アミノトランスフェラーゼを比較の目的のために各アッセイ中に追加した(通常約0.5mg)。AT−103(BioCatalytics社)はポジティブコントロール(またはベンチマーク)として用いた。反応を停止するために、ギ酸を2パーセントの最終濃度まで追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。タンパク質を追加しないコントロール反応もまた行った。0時点もまたネガティブコントロールとして用いた。アラニンは、実施例1に記載のように、LC/ポストカラムOPA誘導体化を用いて検出した。
アミノトランスフェラーゼもまた、D−トリプトファンからモナチンを生成するためのそれらの能力について試験した(実施例3Aでのように)。以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:約50〜100μgアルドラーゼ(通常C.テストステローニProAアルドラーゼ、精製済み)、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン(固体として供給)、0.5〜2mg D−アミノトランスフェラーゼ、200mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。実験は、アミノトランスフェラーゼを追加しないネガティブコントロールと共に二通り実行した。試料は、緩やかに振盪させながら、30℃で、1時間、2時間、および一晩(17〜20時間)インキュベートした。これらの方法を用いて、モナチンが生成された場合に検出された唯一の立体異性体はR,RおよびS,Rである。R,Rパーセントを下記に挙げる、またR,Rパーセントは逆相LCピーク面積によって決定した。1時間後のB.スファエリクス、B.リケニホルミス、およびB.ハロデュランスのD−アミノトランスフェラーゼのアミノ基転移活性の結果を下記の表65に示す。データは、1mL当たり0.5mgのD−アミノトランスフェラーゼに標準化した。
Figure 2015211679
B.スファエリクス、B.リケニホルミス、およびB.ハロデュランスのD−アミノトランスフェラーゼを用いるモナチンの生成を下記の表66に示す。各反応は、約90μg C.テストステローニProAを含有した。生成された全モナチンについてのデータは0.5mgのD−アミノトランスフェラーゼの使用に標準化した。
Figure 2015211679
B.スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ(タグなし)は、D−トリプトファンからのモナチンの生成について最も高い活性を有したが、B.ハロデュランス酵素は、他の酵素よりも、S−MPに対してR−MPについてはるかに高い選択性を有し、R,Rモナチンのより高い立体純度をもたらした。遺伝子が選ばれた宿主中で発現されなかった可能性があるが、B.セレウス細胞抽出物は試験された条件下で検出可能な量の活性を有しなかった。
G.ステアロテルモフィルスDAT(タグなし、より発現した)を上記のようにアッセイし、精製B.スファエリクスDATおよびAT−103(BioCatalytics社)と比較した。結果を下記の表67および68に示す。G.ステアロテルモフィルス、AT−103、およびB.スファエリクスのD−アミノトランスフェラーゼのアミノ基転移活性は、1mL当たりに0.5mgのD−アミノトランスフェラーゼを用いて試験した(表67)。
Figure 2015211679
Figure 2015211679
天然のG.ステアロテルモフィルス酵素は、AT−103およびB.スファエリクスの酵素よりもモナチンアミノ基転移について明らかにそれほど活性ではない。
ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼの生成
数種のバチルスD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼは実施例18および15に記載された。G.ステアロテルモフィルス酵素は、モナチンに対する低いアミノ基転移活性を有し、D−トリプトファンからより少ない全モナチンが生成されたが、この酵素はなお注目する構造要素を有し、またこの酵素は熱安定酵素である。従って、ハイブリッドタンパク質をより高い活性の酵素(B.スファエリクス)およびゲオバチルス酵素の間で作り出した。
ハイブリッドDATコード配列のアセンブリー
設計した標的タンパク質配列は配列番号99とする。配列番号100、配列番号99に対応するコード配列はイー・コリコドン使用頻度に基づいて設計した。
ハイブリッドDATはアセンブリーPCR技術を用いて構築した。アセンブリープロセスは以下の通りである:43個のオリゴヌクレオチド(40塩基長)を、上記の遺伝子配列ならびにその相補DNA配列に基づいてIDTにオーダーした、またそれらはセンス鎖およびアンチセンス鎖の間に20個の塩基対オーバーラップを有した。プライマーは、水中で250μMまで希釈し、5μLの各プライマーはマイクロチューブ中で一緒に混合した。PCRを以下のように実行した:100μLの反応当たり、1.5μLのプライマープール、4μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、2μL rTthポリメラーゼ(Roche社、インディアナポリス、IN)、および0.25μL Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラ ホーヤ、CA)を追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、15秒間40℃、および30秒間68℃を15サイクル続けた。さらに10回のサイクルは44℃でアニール温度を増加しておよび30秒間の伸長期間で行った。さらに10回のサイクルは48℃のアニール温度および75秒間の伸長期間で行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。二次PCRは、NdeI(N末)およびBamHI(C末)を用いてクローニングするために設計した以下のプライマーを用いて行った。
N−末端5'-GGCCTTGGCATATGGGATACACTTTATGGAATGACCA-3'(配列番号101)およびC−末端5'-TTGGAACCGGATCCTTAGCTGTTAAGGCTCAGTGGAA-3'(配列番号102)
PCRは、100μL当たり、2.5μLの一次反応物、3μL dNTP、1×XL PCR緩衝液、1mM酢酸マグネシウム、2μL rTth、および0.25μL Pfuポリメラーゼを含有した。3分間のホットスタートを94℃で行い、その後30秒間94℃、30秒間42℃、および75秒間68℃を10サイクル続けた。さらに15回のサイクルは48℃でアニール温度を増加して行った。終わりに、鎖伸長工程を68℃で7分間行った。約850bpの生成物がアガロースゲル上で認識可能であった。
クローニング
PCR生成物は、Qiagen社製QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いてゲル精製し、メーカーのプロトコール(Invitrogen社)に従って、Zero Blunt TOPO(登録商標)クローニングキットを用いてクローニングした。プラスミドは、PCRによって最初のスクリーニングのためにTOP10化学的コンピテント細胞中に形質転換した。プラスミドDNAは制限消化によってスクリーニングし、DNA配列を検証した。
プラスミドミニプレップは、BamHIおよびNdeI(New England Biolabs社、イプスウィッチ、MA)を用いて消化した。消化したベクター(pET28およびpET30)ならびに挿入断片はRoche社製Rapid DNA Ligation Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いてライゲーションし、Roche社製High Pure PCR Product Purification Kit(Roche社、インディアナポリス、IN)を用いて精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Rad社エレクトロポレーションマニュアルに記載のように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad社製Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10B細胞に形質転換した。細胞は、225rpmで振盪させながら、37℃で30分間、900μL SOC培地中で回復させた。細胞は、カナマイシン(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagen社製スピンミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製し、BamHIおよびNdeIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。
遺伝子発現およびアッセイ
プラスミドDNAは、メーカーのプロトコールに従って、イー・コリ発現宿主BL21(DE3)(Novagen社、マディソン、WI)中に形質転換した。培養物を成長させ、プラスミドは、Qiagen社製ミニプレップキット(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて単離し、同一性を確認するためにPCRによって分析した。誘発は、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB培地中で行った。細胞は、0.1mM IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を用いて誘発して、37℃で0.5のOD600まで成長させ、誘発の3時間後にサンプリングした。細胞抽出物は、Novagen社製BugBuster(商標)試薬付属のプロトコールに従って調製した。(ベンゾナーゼヌクレアーゼおよびRoche社製完全プロテアーゼインヒビターカクテルを追加)。高いレベルの全タンパク質が、両遺伝子産物について、SDS−PAGEで判断されるように、予測した分子量で得られた。しかしながら、タンパク質の可溶性レベルはより低かった。遺伝子産物のタグなしバージョンはより発現し、細胞性抽出物としてアッセイした。細胞抽出物中の可溶性タンパク質は、BioRad Laboratories社製Experion Automated Electrophoresis Stationで分離し、Experion Softwareバージョン1.1.98.0を用いて濃度および発現パーセントについて分析し、比較アッセイに用いられるD−アミノトランスフェラーゼの量を標準化した。
細胞抽出物は、以下のプロトコールを用いる、ピルビン酸およびD−トリプトファン(またはR,Rモナチン)からの、次に続くアラニンの生成によるD−アミノトランスフェラーゼ活性について分析した。二通りの1mL反応は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、50μMピリドキサールリン酸、25mMピルビン酸ナトリウム、および50mM D−トリプトファンまたはR,Rモナチン中で行った(他に断らない限り)。反応は、無細胞抽出物または精製酵素の追加によって開始し、軽く振盪させながら30℃で15分間から一晩、インキュベートした。約同じレベルのD−アミノトランスフェラーゼを比較の目的のために各アッセイ中に追加した(0.5mg)(他に断らない限り)。AT−103(BioCatalytics社)またはB.スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ(実施例18)はベンチマーク酵素として用いた。反応を停止するために、ギ酸を2パーセントの最終濃度まで追加し、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって除去した。タンパク質を追加しないコントロール反応もまた行った。0の時点もまたネガティブコントロールとして用いた。アラニンは、実施例1に記載のように、LC/OPAポストカラム誘導体化を用いて検出した。1mL反応容量当たり0.5mg D−アミノトランスフェラーゼを用いる反応の結果を下記の表69に示す。
Figure 2015211679
アミノトランスフェラーゼもまた、D−トリプトファンからモナチンを生成するためのそれらの能力について試験した(実施例3Aでのように)。以下のものを反応混合物1mL当たりに追加した:約50〜100μg精製C.テストステローニProAアルドラーゼ、4mM MgCl、50mM D−トリプトファン(固体として供給)、0.5〜2mg D−アミノトランスフェラーゼ、200mMピルビン酸ナトリウム、100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、および0.05mM PLP。実験は、アミノトランスフェラーゼを追加しないネガティブコントロールと共に二通り実行した。試料は、緩やかに振盪させながら、30℃で、1時間、2時間、および一晩(17〜20時間)インキュベートした。これらの方法を用いて、モナチンが生成された場合に検出された唯一の立体異性体はR,RおよびS,Rであった。R,Rパーセントを下記の表70に挙げる、またR,Rパーセントは逆相LCピーク面積によって決定した。低いモナチン濃度では、R,RパーセントはRPLCピーク面積で判断されたほど正確ではない。従って、試料のうちのいくつかは、実施例1に記載されるFDAA誘導体化法によってさらに分析した。それらの結果からの数は括弧中に表70中に示す。
Figure 2015211679
ハイブリッドDATのモナチンアミノ基転移速度はG.ステアロテルモフィルス酵素よりも低いが、ハイブリッドDATは、G.ステアロテルモフィルス酵素よりも多くのモナチンを作製する。モナチン生成のための条件下(低MP濃度)では、ハイブリッドDATはおそらくより低いKmによりより機能する可能性がある。さらに、ハイブリッドDATは、親酵素のいずれかよりも高い百分率のR,Rを作製する。この酵素は、親酵素よりも高いR−MPに対するエナンチオ選択性を有するようである。同一のアッセイを、ハイブリッドDATと共に、実施例3Aに記載されるシノリゾビウムアルドラーゼを用いて行った(4時間のインキュベーション期間)。ハイブリッドDATは、上記と類似する量のモナチンを生成したが、代替のアルドラーゼを用いると、C.テストステローニProAアルドラーゼを用いた80%とは対照的に、95%R,R(FDAA誘導体化による)を生成した。
ハイブリッドDATは、さらに、S−MPに対するR−MP(実施例1に記載のように生成)のアミノ基転移活性について試験した。2時間および一晩のアッセイは、10mM R−MPまたはS−MP、50mM D−アラニン、100mMリン酸カリウムpH7.5、0.5mg/mL D−アミノトランスフェラーゼ、および50μM PLPを用いて30℃で進めた。実験は二通り実行し、MP試料からのモナチンのバックグラウンドレベルは差し引いた。各基質から生成されたモナチンの比は、下記の表71において両D−アミノトランスフェラーゼについて報告する。ピルビン酸(生成された)比をプロットすると、同様の傾向が観察された。ハイブリッドDATがAT−103 D−アミノトランスフェラーゼよりもR−MPに対してより選択的であり、AT−103 D−アミノトランスフェラーゼは選択的であるようではないことは明らかである。
Figure 2015211679
ハイブリッドDAT活性をさらに改善するために、部位特異的突然変異誘発を行った。プライマーは、QuikChange Multi Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)に示唆されるように設計した。2つの異なる変異体を作り出した:ハイブリッドDAT2およびハイブリッドDAT3。ハイブリッドDAT2は、アラニンからアルギニンへのアミノ酸153位での突然変異およびセリン181の欠失を含む。アラニンのアルギニンへの突然変異は、AspC L−アミノトランスフェラーゼ中に存在することが示されたように、モナチン前駆体基質中の第2のカルボキシル基を調和させるのを助けるために設計した。セリン欠失は、より大きなモナチン前駆体分子が活性部位により容易に到達できるよう、いくつかの立体障害を除去するための試みであった。ハイブリッドDAT3は、1つのアルギニンによって置換された、セリン180〜182の欠失を含有した。153alaのargへの突然変異またはセリン欠失のみをそれぞれ有する付加的な2つの変異体を作り出した。欠失を含有したすべての3つの変異体は、それらは非常に高濃度で過剰発現したが、可溶性タンパク質を作製しなかった。明らかに、この領域におけるアミノ酸を除去しないことは構造上重要である。ala153arg変異体は、試験した条件(上記)下でモナチンを生成しなかった。180〜182領域における欠失なしでは、モナチン前駆体基質をはめることをより困難にすると考えられる、かなりの量の立体障害が153位の近くにある。グリシンまたはアラニンのごときより小さなアミノ酸へのセリンの突然変異は、詳細にはala153arg突然変異と組み合わせた場合、モナチン前駆体に対する活性を改善すると考えられることが予想される。
市販で入手可能なD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ酵素の使用
D−アミノ酸デヒドロゲナーゼは、BioCatalytics社(パサデナ、CA)から購入したライブラリーの一部であった。
MPおよびモナチンの間の相互変換
モナチンを形成するためのMPのアミノ化は、アミノトランスフェラーゼまたはNADHもしくはNADPHのごとき還元補因子を必要とするデヒドロゲナーゼによって触媒できる。これらの反応は可逆的であり、どちらかの方向で測定できる。デヒドロゲナーゼ酵素を用いる場合の方向性は、アンモニウム塩の濃度によって大部分はコントロールできる。
市販で入手可能なデヒドロゲナーゼを用いるMP(モナチン前駆体)へのモナチンの変換
モナチンの酸化的脱アミノは、NADがより多くの発色団のNADHに変換されるにつれての、340nmでの吸光度の増加に従ってモニターした。
アッセイ混合物は、0.2mL中、100mM炭酸水素ナトリウム、pH9、10mM NAD、20mg/mLのD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(D−AADH−101〜108、BioCatalytics社)、および50mM R,Rモナチン(モノカリウム塩)を含有した。アッセイは、30℃でインキュベーションしながら、UV透過性マイクロタイタープレート中で二通り行った。終点吸光度は、Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーを用いて測定した。ネガティブコントロールは酵素を追加せずに実行した。一晩の反応についての吸光度の変化は以下の通りであった:酵素なしのコントロール、0.05;D-AADH-101、0.865;D-AADH-102、1.075;D-AADH-103、0.94;D-AADH-104、0.335;D-AADH-105、0.78;D-AADH-106、0.745;D-AADH-107、0.925;およびD-AADH-108、1.06。
デヒドロゲナーゼを用いるMPからのモナチンの生成
基質としてこのアッセイに用いられるR−MPは、アミノ受容体としてピルビン酸を用いて、リン酸カリウム緩衝液中のAT−103広範囲D−アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics社)を用い、R,Rモナチンのアミノ基転移によって生成した。S−MPは、アミノ受容体として2−オキソグルタル酸を用いて、リン酸カリウム緩衝液中のAT−102L−アミノトランスフェラーゼ(BioCatalytics社)を用い、S,Sモナチンのアミノ基転移によって生成した。両化合物は、調整用スケールのHPLCを用いて精製した。
アッセイ混合物は、0.25mL中、200mMギ酸アンモニウム、50mMリン酸カリウムpH7.5、5mM NADH、20mg/mL D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(D−AADH−101〜108、BioCatalytics社)、および10mM MP(カリウム塩)を含有した。アッセイの半分に対して、2mg/mLギ酸デヒドロゲナーゼ(「FDH」)を追加した(FDH−101、BioCatalytics社、4.8U/mg)。試料は30℃で16時間インキュベートした。試料はLC/MS/MSを用いてモナチンについて分析し、異性体分布は実施例1に記載されるFDAA法を用いて決定した。D−アミノ酸デヒドロゲナーゼなしのコントロールのバックグラウンドレベルは、MP中に存在するモナチン混入を考慮するために差し引いた。
R−MPからのR,Rモナチンの生成については、酵素活性は以下の通りであった:D−AADH−103>D−AADH−101>D−AADH−107>D−AADH 106>D−AADH−108>D−AADH−105。D−AADH102から生成されたモナチンの量は、かなり低く、D−AADH−104はR−MPからモナチンを生成するようにではなかった。約43ppmのR,Rモナチンは、ギ酸デヒドロゲナーゼがない状態で反応の間にD−AADH−103により生成された。FDHの追加は、活性を有したすべての酵素についてモナチンの生成を改善した。2.4倍高いモナチン〜10.1倍高いモナチンの範囲で改善された(D−AADH−103)。D−AADH−103は約434ppmのR,Rモナチンを生成した。
S−MPを反応基質として用い、S,Rモナチンの生成を伴った場合、酵素活性は以下の通りであった:D−AADH−106>D−AADH−107>D−AADH−105>D−AADH−101>D−AADH−102>D−AADH−103>D−AADH−108。D−AADH−104は、アッセイにおいてS,Rモナチンを生成するようではなかった。約15ppmS,RモナチンがD−AADH−106によって生成され、FDH酵素もまた用いた場合26ppmであった。
インドール−3−ピルビン酸からのモナチンの生成
配列番号22のアルドラーゼと共役する、BioCatalytics社製アミノ酸デヒドロゲナーゼ酵素を用いる、インドール−3−ピルビン酸およびピルビン酸からのモナチンの生成は、以下の条件下でアッセイした:1mg/mLデヒドロゲナーゼ酵素、10mM NADH、500μg/mLアルドラーゼ(精製済み)、50mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5、4mM MgCl、20mg/mL インドール−3−ピルビン酸、200mMギ酸アンモニウム、および200mMピルビン酸を20時間100rpmで30℃でインキュベートした。ネガティブコントロールはアミノ酸デヒドロゲナーゼ酵素を含有しなかった。実験は二通り行った。デヒドロゲナーゼのどれも、ネガティブコントロールと比較して、インドールピルビン酸およびピルビン酸から数量化できる量のモナチンを生成するようではなかった(実施例1で記載されるLC/MS/MSによって測定)。しかしながら、大量のアラニンおよびトリプトファンが生成された。デヒドロゲナーゼに対するアルドラーゼの比の増加はモナチン生成を改善すると考えられることが予想される。進化分子工学アプローチは、ピルビン酸およびインドール−3−ピルビン酸に対するMPに対しての還元的アミノ化活性の比を改善するために用いることができることもまた予想される。
B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼの固定化
バチルス・スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼは、実施例14で記載のようにHIS−タグ付きタンパク質として精製した。
酵素は、Mateo,Cら,Biotechnology Progress 18:629−634,(2002)の手順によってEupergit(登録商標)C樹脂ビーズ上に固定化した。精製酵素(6.0mg/mLで4mL)は、雰囲気温度で、1時間、Pierce社製Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette(7K MWCO;カタログ#66370;ロックフォード、IL)を用いて0.4Lの0.5Mリン酸カリウム、pH7.8中で透析した。緩衝液を換え、透析を1時間継続した。ピリドキサールリン酸(「PLP」)を0.05mMの最終濃度まで追加し、結果として生じた溶液を、Sigma−Aldrich社(Fluka社カタログ#46115;セントルイス、MO)から購入した0.2gのEupergit(登録商標)C樹脂と混合した。酵素樹脂懸濁液は、一晩、緩やかに混合しながら雰囲気温度でインキュベートした。樹脂ビーズは、5分間の4000×gでの遠心分離によって酵素溶液から分離した。上清は除去し、樹脂は、0.05mM PLPを含有する100mMリン酸カリウム、pH7.8の3×3mLを用いて洗浄した。混合物は洗浄の間に5分間3000×gで遠心分離した。樹脂に結合したタンパク質の量は、各上清中のタンパク質の量を測定し、固定化されることになる本来の量のタンパク質からその合計を差し引くことにより決定した。タンパク質濃度は、標準物質としてウシ血清アルブミンを用いるPierce社製BCA(商標)Protein Assay Kit(カタログ#23225;ロックフォード、IL)を用いて測定した。洗浄した固定化−酵素ビーズは、0.05mM PLPを含有する4mLの100mMリン酸カリウム、pH7.8中に最終的に懸濁させた。固定化酵素ビーズの未反応エポキシ基は、緩やかに混合しながら雰囲気温度で1.9Mアラニンとインキュベーションすることによってブロックした。24時間後に、ビーズは、過剰アラニンを除去するために上記に記載のように洗浄し、0.05mM PLPを含有する100mMリン酸カリウム、pH7.8中に最終的に再懸濁させた。固定化酵素の最終濃度は樹脂ビーズ1g当たり118mgタンパク質であった。
S.メリロティProAアルドラーゼの固定化
シノリゾビウム・メリロティHMGアルドラーゼ(「proA」)は、HIS−タグ付きB.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼについて実施例14で記載される手順に類似する手順を用いてHIS−タグ付きタンパク質として精製した。
BL21(DE3)::S.メリロティ proA pET30(Xa/LIC)の新鮮な培養平板(50μg/mLカナマイシンを有するLB寒天)から開始して、細胞は、225rpmで振盪させながら37℃で一晩、50μg/mlカナマイシンを有する5mLのLuria−Bertaniブロス(「LB」)中で成長した。続いて、培養物は、50μg/mlカナマイシンを有する800mLのLBブロスを含有するフラスコ中に0.5〜0.6%(容量/容量)で移した。細胞は、OD600が0.6〜0.7に達するまで225rpmで振盪させながら37℃で成長させた。遺伝子発現は0.2mM IPTGの追加によって誘発した。培養物は、225rpmで振盪させながら4時間30℃でさらにインキュベートし、次いで、10分間10,000rpmでJS−16.25回転子を有するBeckman社製J25II遠心分離機(フラートン、CA)中で遠心分離によって採取した。細胞ペレットは、低温の50mM EPPS緩衝液、pH8.2を用いて洗浄し、細胞をさらに遠心分離した。洗浄した細胞ペレットは採取し、直ちに用いた。S.メリロティHIS−proAアルドラーゼ(HIS−SmelproA)タンパク質を含有する無細胞抽出物を調製するために、細胞は、100mM NaClを含有する3〜4倍容量の50mM EPPS、pH8.2中で懸濁させ、次いで、15℃未満に懸濁液の温度を維持しながら、Microfluidics社製ホモジナイザー(ニュートン、MA)(20,000psiで3パス)を用いて破壊した。続く精製工程はすべて4℃で行った。細胞抽出物は、細胞片を除去するために15,000×gで15分間遠心分離した。それぞれが15および20mgの間の可溶性タンパク質を含有する無細胞抽出物のアリコートは、Novagen社製Bind緩衝液を用いて先に平衡化したNovagen社製HIS−Bindカラム(Novagen社カタログ#70971−4、マディソン、WI)にかけた。カラムは、2×10mLのNovagen社製Bind緩衝液およびBind緩衝液を用いて1:1に希釈した1×10mLのNovagen社製Wash緩衝液を用いて洗浄した。HIS−SmelproAは、各カラムから5mLのNovagen社製Elute緩衝液を用いて溶出させた。各カラムからの溶出画分は、組み合わせ、Amicon社製Ultra−15遠心濾過デバイス(ビレリカ、MA)(MWCO 10kDa)を用いて2×に濃縮した。緩衝液は、100mM NaClを含有する50mM EPPS、pH8.2を用いて先に平衡化した使い捨てのGE Healthcare社製PD10脱塩カラム(カタログ#17−0851−01)を通過させることによって交換した。
脱塩溶液のタンパク質濃度は、Pierce社製BCA(商標)Protein Assay Kit(カタログ#23225;ロックフォード、IL)を用いて決定した。各画分の純度および無細胞抽出物画分中の発現のレベルは、Bio−Rad社製Protean IIミニゲルシステム(ヘラクレス、CA)および4〜15%の勾配ゲルを用いたSDS−PAGEによって決定した。通常、この手順は、約90%の純度を有する、3200mLのLB培養物からの約60〜70mgの酵素を生成した。アリコート(1〜5mL)の精製酵素は使用まで−80℃で保存した。
酵素は、Mateo,C.ら,(2002)Biotechnology Progress 18:629−634,(2002)の手順によっておよび4mM塩化マグネシウムが0.05mM PLPの代わりに固定化の間に緩衝液中に存在した以外はB.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼについて実施例21に記載のようにEupergit(登録商標)C樹脂ビーズ上に固定化した。グリシンを用いてブロックした後に、洗浄した固定化酵素は、4mM塩化マグネシウムを含有する100mMリン酸カリウム、pH7.8中に懸濁させた。S.メリロティproAアルドラーゼの最終濃度は樹脂ビーズ1グラム当たり52mgタンパク質であった。
固定化酵素を用いる、R,R−モナチンの生成
B.スファエリクスHIS−タグ付きD−アラニンアミノトランスフェラーゼおよびR.メリロティHIS−タグ付きproAアルドラーゼは、実施例21および22に記載のように、精製し、固定化した。
100mMリン酸カリウム、pH7.8中の50mMピルビン酸ナトリウム、40mM D−トリプトファン、4mM MgCl、および50μM PLPの溶液は、ねじ込みキャップを有する15mLポリプロピレンチューブ中で調製した。これらの溶液のそれぞれに対して、4mLの最終容量まで固定化酵素の双方を追加した。結果として生じた懸濁液は、24時間まで緩やかに混合しながら室温でインキュベートした。各反応の進行の後に、HPLCおよび/またはLC−MS分析が続き、D−トリプトファン、D−アラニン、R,R−モナチン、およびピルビン酸を測定した。生成物モナチンの異性体純度は、キラルLC/MS/MSを用いて決定した。分析法はすべて実施例1に記載される。固定化酵素を用いる実験の標準的な結果は、下記の表72に示す。反応の間に形成されたモナチンの異性体純度の分析は、酵素反応の生成物が74および80%R,Rの間であったことを示した。
Figure 2015211679
イー・コリによるin vivo R,Rモナチンの生成および輸送
オペロンは、D−アミノトランスフェラーゼ(「DAT」)およびR特異的アルドラーゼを用いるイー・コリでのR,Rモナチンのin vivo生成を実証するために構築した。R,Rモナチンは、米国特許出願公開第2005/0282260A1号(図1および2ならびに実施例11)に記載される経路を用いてD−トリプトファンから作製した。簡潔に言えば、D−トリプトファンは、アルファ−ケト酸もまたD−アミノ酸に変換されるアミノ基転移反応によって in vivoでインドール−3−ピルビン酸に変換される。ピルビン酸は、R特異的アルドラーゼを用いて、アルドール縮合でin vivoでインドール−3−ピルビン酸と反応して、圧倒的にR−MPを生成する。終わりに、第1の反応からのR−MPおよびD−アミノ酸(または細胞中の任意のD−アミノ酸)はR,Rモナチンおよび対応するアルファ−ケト酸にin vivoで変換される。
プラスミドpCEC−Ndeの構築
プラスミドpCEC−Ndeは、pPRONdeプラスミド(ClontechからのpProLAR、米国特許出願公開第20040235123号に記載されるように修正)のp15A複製開始点をpPROTet.E133(Clontech Laboratories,Inc.、Mountain View、CA)からのCol E1複製開始点と交換することによって構築した。両プラスミドは、制限酵素Avr IIおよびAat II(New England Biolabs、Beverly、MA)を用いて処理し、適切な断片(Col E1開始点およびクロラムフェニコール抵抗性遺伝子を運ぶpPROTet.E133に由来する1731bp断片ならびにPlacaraプロモーター領域およびマルチクローニング部位を運ぶpPRONdeに由来する760bp)はアガロースゲル電気泳動によって精製し、その後、QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いる抽出および回収を続けた。精製DNA断片は、Quick Ligation Kit(New England Biolabs、Beverly、MA)を用いて共にライゲーションし、ライゲーション混合物は、化学的コンピテントイー・コリTOP10細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)に形質転換した。クローンは50μg/mLクロラムフェニコールを含有するLB寒天上で単離し、プラスミドの制限消化によって確認した。
ベクターpCEC−Ndeは、BamHI緩衝液(New England Biolabs、Ipswich、MA)中でNdeIおよびBamHIを用いて消化し、メーカーのプロトコールに従って、エビアルカリフォスファターゼを用いて処理した(Roche、Indianapolis、IN)。ATCC4978 DAT(配列番号84)は、BamHI緩衝液中でNdeIおよびBamHIを用いてベクターpET28(Novagen、Madison、WI)(実施例15でクローニングした)から消化した。NdeIおよびBamHIで消化したベクターおよび挿入断片は、Qiagen QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製した。ライゲーションは、Roche Rapid DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いて行い、Roche High−Pure PCR精製キット(Roche、Indianapolis、IN)を用いて精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Rad エレクトロポレーションマニュアルに記載されるように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10B細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に形質転換した。細胞を、225rpmで37℃で1時間、1.0mL SOC培地中で回復させた(Sambrook,J.らMolecular Cloning:A Laboratory Manual第2版、Plainview、NY、(1989年)、1.76〜1.81&A.2))。細胞は、クロラムフェニコール(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。プラスミドDNAは、Qiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製し、PCRならびにNdeIおよびBamHIを用いた制限消化によって正確な挿入断片についてスクリーニングした。ATCC4978 DATからのアミノ酸配列は配列番号86として示される。
Diversaからの配列番号172のアルドラーゼ遺伝子のPCR
プライマーは、R選択的アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする配列番号172のDNA配列に基づいて設計した。配列番号173のアルドラーゼおよびそのアルドラーゼをコードする核酸配列を含有するプラスミド(特定のアルドラーゼの遺伝子配列は配列番号172として示される、はDiversa Corporation、San Diego、Californiaから得た。配列番号172は、アルドラーゼ遺伝子についてDiversa Corp.によってスクリーニングされたライブラリーの一部であった。しかしながら、配列番号172のアルドラーゼ遺伝子は、当業者に知られている任意の方法によって再構築されてもよい。例えば、配列番号172のアルドラーゼ遺伝子は、当業者に知られているアセンブリーPCR法を利用して再構築されてもよい。プライマーは、クローニングおよび発現のために、制限部位およびアルドラーゼ遺伝子の前にリボソーム結合部位を含有するように設計した。用いたオリゴヌクレオチドプライマー配列は次の通りであった。
アルドラーゼFpstIrbs:
5'-GGCCGGAACTGCAGAAGAAGGAGATATATAATGAAGCCGGTGGTGGTG-3'(配列番号174)および
アルドラーゼRxbaI
5'-GGCCAAGGTCTAGATTAGACATAGGTGAGCCC-3'(配列番号175)。
PCRは、鋳型pET28/配列番号172を用いて上記のプライマーを用いて行った。PCRを以下のように実行した:50μL当たり、0.5μL鋳型、0.8μLの各プライマー、2μL dNTP、0.8μL Expand High Fidelity Polymerase(Roche、Indianapolis、IN)、1×Expand(商標)緩衝液、および0.2μL Pfuポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)を追加した。3分間のホットスタートを94℃で行い、30秒間94℃、30秒間50℃、および90秒間72℃を8サイクル続けた。さらに22サイクルを55℃にアニール温度を増加させて行った。終わりに、鎖伸長工程を72℃で7分間行った。PCR産物は、Qiagen QIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製し、緩衝液3(New England Biolabs、Ipswich、MA)中でPstIおよびXbaIで消化した。PstIおよびXbaIで消化したベクターpCECNde/4978 DATおよび挿入断片はRoche Rapid DNA Ligation Kit(Roche、Indianapolis、IN)を用いてライゲーションし、QIAquick(登録商標)PCR精製キットを用いて精製した。ライゲーションしたものは、Bio−Radエレクトロポレーションマニュアルに記載されるように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いてエシェリキア・コリDH10B細胞中に形質転換した。細胞は、250rpmで振盪させながら37℃で1時間、1.0mL SOC培地中で回復させた。細胞は、クロラムフェニコール(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。
形質転換体は、250rpmで振盪させながら37℃でクロラムフェニコール(25μg/mL)を含有するLBブロス中で成長させた。プラスミドDNAはQiagenスピンミニプレップキット(Qiagen、Valencia、CA)を用いて精製し、挿入断片はPstIおよびXbaIを用いる制限消化によって検証した。正確な挿入断片を有するように考えられるプラスミドの配列は、ジデオキシ連鎖停止DNA配列決定によって検証した(Agencourt、Beverly、MA)。RR2(ベクターRR2)と称される結果として生じたプラスミド、pCECNde/4978DAT/配列番号172は、下記に記載されるように株エシェリキア・コリMG1655を形質転換するために用いた。
イー・コリMG1655株は、250rpmで振盪させながら37℃でLBブロス中で成長させた。エレクトロコンピテント イー・コリMG1655は、約0.6のOD 600まで細胞の1%接種物を継代培養することによって調製した。細菌は、遠心分離によってペレットにし(10,000xgで10分間)、同容量の10%グリセロール中で洗浄した。洗浄は、半分の容量の10%グリセロール中で2度繰り返した。最後に、細胞は、4分の1の容量の10%グリセロール中で洗浄した。遠心分離の後で、細胞を、500μLの10%グリセロール中で再懸濁させた。30μLのアリコートを凍結し、使用まで−80℃に保った。
ベクターRR2(つまりプラスミドpCECNde/4978DAT/配列番号172、上記のように調製)は、Bio−Radエレクトロポレーションマニュアルに記載されるように、0.2cmキュベットおよびBio−Rad Gene Pulser(登録商標)IIシステムを用いて、エレクトロコンピテントイー・コリMG1655細胞中に形質転換した。細胞は、250rpmで振盪させながら37℃で1時間、1mL SOC培地中で回復させた。細胞は、クロラムフェニコール(25μg/mL)を含有するLB寒天平板上で平板培養した。
接種物調製については、イー・コリMG1655::pCECNde/4978 DAT/配列番号172は、25μg/mLクロラムフェニコールを有するLuria−Bertani(「LB」)培地中で250rpmで振盪させながら37℃で一晩成長させた。実験的処理については、イー・コリ細胞中でのトリプトファンの生成の増加のために用いた最少培地であるTrp−1+グルコース培地(ZemanらFolia Microbiol.35:200〜4頁、1990年)を以下のように調製した。800mL nanopure水に以下の試薬を追加した:2g (NHSO、13.6g KHPO。pHは7.0に調整し、容量は948mLに増加させ、培地は加圧滅菌した。滅菌の後で、0.2g MgSO・7HO、0.01g CaCl・2HO、および0.5mg FeSO・7HOを1.8mL容量の培地に追加し、その後、0.2mLのNeidhardtの微量栄養素溶液を追加した(Neidhardt F.C.、Bloch P.L.、およびSmith D.F.、1974年.Culture medium for Enterobacteria.J.Bacteriol.119:736〜746頁)。Neidhardtの培地は次のものを含む(1リットル当たり):0.18g (NH(MO24・4HO、1.24g HBO、0.36g CoCl・6HO、0.12g CuSO(無水)、0.8g MnCl・4HO、および0.14g ZnSO・7HO。50%グルコース溶液を別々に調製し、滅菌濾過した。40mLのグルコース溶液および10mLの1M 3−モルホリノプロパンスルホン酸(「MOPS」)緩衝液を基本培地(950mL)に追加し、1Lの最終容量にした。
処理については、3.1容量/容量%の接種物を、25μg/mLクロラムフェニコールを有する500mLバッフル振盪フラスコ中の100mL培地容量に追加した。処理のための条件は、250rpmの撹拌を最後までおよび誘発まで37℃、次いで誘発の後の30℃を含んだ。0.50〜0.526のOD600で、プラスミド遺伝子の誘発を開始した。誘発時に、1.0mM IPTG、0.5%L−アラビノース、0.5mM塩酸ピリドキシン、および0.2mLのBalchのビタミン(Balch,W.E.ら、1979年、Microbiol.Rev.43:260〜296頁)を追加した。10g/L D−トリプトファン、10g/Lピルビン酸ナトリウム、および0.04mMピリドキサール−5’−リン酸(「PLP」)の追加は、誘発の3時間後に行ったが、0.2%Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウリン酸エステル)および10μg/mLアンピシリンは誘発の6時間後に追加した。5mM D−グルタミン酸またはD−アラニンは誘発の3時間後に追加した。10g/Lピルビン酸ナトリウムの第2の追加は接種の24時間後に行った。モナチンおよび乾燥細胞の重量決定のための試料は48時間目に採取した。
48時間の試料からのモナチンを、記載される方法論を用いて固相抽出(「SPE」)カラムを介して濃縮した。R,RおよびS,Sの立体異性体を実施例1のFDAA誘導体化法によって分析した。結果を下記の表73に示す。
固相抽出を利用するモナチンの濃縮のための方法
Oasis(登録商標)HLB 3cc(60mg)Extraction Cartridge(Waters Corp.、Milford、Massachusetts)を試料を濃縮するために用いた。発酵試料は、細胞物質を除去するために最初に遠心分離した。ギ酸を発酵試料に追加し、最終濃度を約1%とした。抽出カートリッジは、発酵試料の追加前に、少なくとも2mLメタノール、その後2mLの1%ギ酸を用いて調節した。各溶液は、抽出カートリッジを通して別々に流した。次いで、1%ギ酸を含有する無希釈の遠心分離した発酵試料の5mLまでを抽出カートリッジに追加した。発酵溶液は、カートリッジを通してゆっくり流した。カートリッジは、少なくとも2mLの1%ギ酸を用いてすすいだ。1mLのアセトニトリルまたはメタノールをカートリッジに追加し、カートリッジを通してゆっくり流した。この溶出液は、乾燥するまで、窒素の緩やかな流れの下に置いた。乾燥試料は、150〜200μLの水または移動相に再構成した。150μLを300μL HPLCプラスチックバイアル中に入れ、液体クロマトグラフに注入した。表73は、乾燥細胞重量当たりの全モナチンおよびR,R立体異性体またはS,S立体異性体である、合計のうちの割合を示す。
Figure 2015211679
R,Rモナチンの生成および輸送は、株イー・コリMG165::pCECNde/4978 DAT/配列番号172およびD−グルタミン酸を用いて決定的に実証した。いくらかのS,Sモナチンは、おそらく、S−MPからS,Sモナチンを作製することができる内因的なL−アミノトランスフェラーゼを通常発現するイー・コリMG1655株の使用の結果として生成された。D−アラニンを用いて生成された全モナチンは、生成されたモナチンの立体異性体比を決定するための分析を進めるのに十分ではなかった。しかしながら、たとえ生成された量が分析の閾値未満であったとしても、同じ比のR,Rモナチンが形成されたであろうということが期待される。S,Sモナチンを輸送することができる同じ輸送体がR,Rモナチンを同様に輸送することができるはずであることもまた期待される。
配列番号172のDNA配列を下記に示す。
gaagccgg tggtggtgca gactatcgag cgggccgacc gagcgatcat cgagggtctg gccgcgtgtg gcgttgccac cgtccatgag gcgcaggggc gccgggggct gcttgcgtcc tacatgcgcc cgatctattc gggcgctgcg gttgcggcct cggccgtcac catcctctct ccaccctgcg acaactggat gctgcacgtc gccatcgagc agatccagcc gggcgacatt ctcgttctcg gcacgacctc tccgtccgat gccggctatt tcggtgatct gctggcgact tcggccaagg cgcgcggttg cgtcgggttg gtcatcgatg ccggcgtacg cgatatccgc gacctgacag cgatgcagtt tccggtctgg tccaaggccg tttcggccca gggcacgatc aaggagacgc tgggttcggt caacgtcccc gtcgtctgcg ccggtgctct ggtcaatccc ggcgacgtcg tcgtggccga tgacgacggt gtctgcgtgg tgcgccgcga ggaagccgcg gaaacgctgg aaaaggcccg ggcgcggatc gccaatgagg aggaaaagcg ccagcgcttt gccgctggcg aactcgggct cgacatctac aagatgcgcg aacgcctcgc tgccctgggg ctcacctatg tctga(配列番号172)。
配列番号173のアルドラーゼのアミノ酸配列を下記に示す。
Met Lys Pro Val Val Val Gln Thr Ile Glu Arg Ala Asp Arg Ala Ile Ile Glu Gly Leu Ala Ala Cys Gly Val Ala Thr Val His Glu Ala Gln Gly Arg Arg Gly Leu Leu Ala Ser Tyr Met Arg Pro Ile Tyr Ser Gly Ala Ala Val Ala Ala Ser Ala Val Thr Ile Leu Ser Pro Pro Cys Asp Asn Trp Met Leu His Val Ala Ile Glu Gln Ile Gln Pro Gly Asp Ile Leu Val Leu Gly Thr Thr Ser Pro Ser Asp Ala Gly Tyr Phe Gly Asp Leu Leu Ala Thr Ser Ala Lys Ala Arg Gly Cys Val Gly Leu Val Ile Asp Ala Gly Val Arg Asp Ile Arg Asp Leu Thr Ala Met Gln Phe Pro Val Trp Ser Lys Ala Val Ser Ala Gln Gly Thr Ile Lys Glu Thr Leu Gly Ser Val Asn Val Pro Val Val Cys Ala Gly Ala Leu Val Asn Pro Gly Asp Val Val Val Ala Asp Asp Asp Gly Val Cys Val Val Arg Arg Glu Glu Ala Ala Glu Thr Leu Glu Lys Ala Arg Ala Arg Ile Ala Asn Glu Glu Glu Lys Arg Gln Arg Phe Ala Ala Gly Glu Leu Gly Leu Asp Ile Tyr Lys Met Arg Glu Arg Leu Ala Ala Leu Gly Leu Thr Tyr Val(配列番号173)。
配列番号104のアルドラーゼを用いるR,R−モナチンの生成:反応条件の最適化
実施例18でクローニングしたバチルス・スファエリクス(ATCC株10208)D−アラニンアミノトランスフェラーゼをPLPを含有するリン酸カリウム緩衝液を用いて、改善された方法を用いて、実施例14に記載されるようにHISタグ付きタンパク質として精製した)。配列番号104のアルドラーゼ(実施例3Bでクローニング)は、実施例27に記載されるようにHISタグ付きタンパク質として精製した。
配列番号104のアルドラーゼに対する好ましい金属補因子は、様々な二価金属をスクリーニングすることにより決定した。反応は、7mL最終容量を有する10mL血清ボトル中で嫌気的に設定した。100mMリン酸カリウム(pH7.8)、200mMピルビン酸ナトリウム、0.05mM PLP、および0.01%(容量/容量)Tween80からなるバルク溶液は、48.8mLの最終容量に調製し、30分間窒素を噴霧した。D−トリプトファン(143mg;100mMの最終濃度)は7本の10mL血清バイアルに分注した。バイアルのそれぞれに、塩化物から調製した二価金属カチオンの0.014mLの2Mストック溶液を追加した(最終濃度は4mM)。ネガティブコントロールについては、0.014mLのdHOを追加した。血清バイアルはゴム隔膜を用いてキャップし、16〜18ゲージ針を介して窒素を噴霧した。嫌気条件下で、5.625mLの嫌気性バルク溶液を各嫌気性血清ボトルに追加した。続いて、B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼおよび配列番号104のアルドラーゼは、それぞれ2mg/mLおよび0.05mg/mLの最終濃度まで各血清ボトルに嫌気的に追加した。溶液は、18時間緩やかに混合させながら室温でインキュベートした。最終モナチンは、アミノ酸の液体クロマトグラフィー−ポストカラム蛍光検出法を用いて、実施例1に記載される方法に従って分析した(表74)。
Figure 2015211679
配列番号104のアルドラーゼに対する反応条件は、統計ソフトウェアDesign Expert7.0.0(Stat−Ease,Inc.;Minneapolis、MN)を用いて計画した2水準一部実施要因実験を用いてさらに調査した。スクリーニング計画は4回の中心点での実行を有する2水準の5つの因子の単一ブロックからなる(全20回実行)。最適化される5つの因子は、金属補因子濃度、反応pH、Tween(登録商標)80濃度、トリプトファンに対するピルビン酸の比、およびアルドラーゼ濃度とした(表75)。
143mgのD−トリプトファンを含有するコニカルポリプロピレンチューブ(14mL)は、一晩、嫌気性グローブボックス(Coy Laboratory Products,Inc、Grass Lake、MI)中で脱酸素した。2M MgClのストック溶液;pH7.0、7.75、および8.5の1Mリン酸カリウム;10%(容量/容量)Tween80;2Mピルビン酸ナトリウム、および10mM PLPを脱気水中で調製し、嫌気性グローブボックス中で一晩平衡化した。精製B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼおよび配列番号104のアルドラーゼのストック溶液は、氷上で解凍し、嫌気性グローブボックス中で直ちに用いた。ストック溶液は、統計計画によって決定した濃度を得るためにD−トリプトファンを含有する14mLコニカルチューブに追加した(表75)。脱気水は、最終容量を酵素追加分と共に7.0mLにするために各チューブに追加した。チューブは、24時間まで緩やかに混合させながら嫌気性グローブボックス中で室温でインキュベートした。モナチン濃度および異性体純度は、アミノ酸の液体クロマトグラフィー−ポストカラム蛍光検出法ならびにin vitroおよびin vivo反応における、モナチンの立体異性体分布の決定のためのLC/MS/MS多重反応モニタリング法(FDAA誘導体化法)を用いて、実施例1に記載される方法に従って分析した。
Figure 2015211679
データの統計分析は、反応pH、ピルビン酸:トリプトファン比、およびアルドラーゼ濃度が、モナチンタイター、異性体純度、および炭素収量に影響する有意な因子であることを示した。ディザイラビリティグラフは、過剰ピルビン酸の条件下での最も高いモナチンタイターおよび最も高い異性体純度といった目標を最大にするために因子を変えたDesign Expertソフトウェアを用いて生成した。最適として示された反応条件は、1mM MgCl、pH>8.0、0.01%(容量/容量)Tween(登録商標)80、および0.01mg/mL配列番号104のアルドラーゼであった。これは、利用される標準的な量のアルドラーゼの5分の1の低下および通常用いられる二価金属の量の4分の1の低下となる。
反応プロセスに対する至適pH範囲を決定するためにさらなる実験を行った。1M EPPS緩衝液のストック溶液は、pH7.0および9.0の間で0.2pH単位の間隔で調製した。これらの溶液は、脱気し、一晩、嫌気性グローブボックス中で平衡化した。143mgのD−トリプトファンを含有するポリプロピレンチューブ(14mL)は、一晩、嫌気性グローブボックス中で脱酸素した。2M MgCl、10%(容量/容量)Tween(登録商標)80、2Mピルビン酸ナトリウム、および10mM PLPのストック溶液は、脱気水中で調製し、嫌気性グローブボックス中で平衡化した。精製B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼおよび配列番号104のアルドラーゼの調整物は、氷上で解凍し、嫌気性グローブボックス中で直ちに用いた。最終濃度が、チューブ当たりの7mLの全容量中、100mM EPPS、200mMピルビン酸、100mMトリプトファン、1mM MgCl、0.01%(容量/容量)Tween(登録商標)80、0.05mM PLP、2mg/mL B.スファエリクスD−アラニンアミノトランスフェラーゼ、および0.01mg/mLの配列番号104のアルドラーゼとなるように、ストック溶液を14mLコニカルチューブに追加した。反応は、22時間、緩やかに撹拌しながら嫌気性グローブボックス中で室温でインキュベートした。試料は、取り出し、LC/MS/MS多重反応モニタリング法を用いて、実施例1に記載されるようにモナチンについて分析した(表76)。
Figure 2015211679
結果は、7.0〜8.0の間でpHを増加させると共にモナチン形成が増加することを示した。モナチン形成は、pH8.0〜8.2の範囲で最大に達し、pH8.4以上で減少した。さらに、モナチンの異性体純度はpH8.4以上で減少した。
ATCC株4978に由来するD−アミノトランスフェラーゼのT243N変異体の精製
アミノ末端HIS−精製タグを有するATCC株4978に由来するD−アミノトランスフェラーゼのT243N変異体(実施例6Bに記載される)は、振盪フラスコ中に50μg/mLカナマイシンを含有するEMD Biosciences Overnight Express System II(溶液1〜6)(La Jolla、CA)を用いて生成した。この発現系は、細胞成長をモニターする必要のないIPTG誘発性系の発現を誘発する。プラスミドpET28b上のATCC株4978に由来するT243N変異体D−アミノトランスフェラーゼについての遺伝子を運ぶイー・コリBL21(DE3)宿主細胞の液体培養物または平板培養物のいずれかからの培地の200mLアリコートの接種の後(1Lフラスコ中)、培養物は、225rpmで振盪させながら一晩30℃でインキュベートした。OD600が最小の6まで達すると、細胞は、遠心分離によって採取し、緩衝液を用いて1回洗浄した。
無細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従って、1μL/mL Benzonase(登録商標)Nuclease、5μL/mL Protease Inhibitor Cocktail Set II、および0.033μL/mL rLysozyme(商標)を含有するEMD Biosciences BugBuster(登録商標)(第一級アミンなし)Extraction Reagent(La Jolla、CA)を用いて調製した。続く精製工程はすべて4℃で行った。細胞抽出物は、細胞片を除去するために15,000xgで20〜30分間遠心分離した。20〜25mLアリコートの無細胞抽出物は、200mM塩化ナトリウムおよび50μM PLPを含有する100mMリン酸カリウムを用いて先に平衡化した、GE Healthcare Chelating Sepharose(商標)Fast Flow樹脂(ニッケル(II)型)(Piscataway、NJ)の45mLカラムにかけた。ニッケル型の樹脂を生成するために、樹脂は、150mLの200mM硫酸ニッケル(II)六水和物を用いて、次いで150mLの蒸留水を用いて洗浄した。試料を装填した後に、カラムは、25mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液、50mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液、および500mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液を用いて洗浄し/溶出した。HISタグ付きタンパク質は最後の洗浄で溶出した。500mMイミダゾール洗浄物は、メーカーの指示に従って、Millipore/Amicon Centricon Plus−70遠心濾過デバイス(MWCO 10kDa)(Billerica、MA)を用いて15〜20mLに濃縮した。イミダゾールおよび塩化ナトリウムは、先に50μM PLPを含有する100mMリン酸カリウム、pH7.8を用いて平衡化した、使い捨てのGE Healthcare PD10カラム(カラム当たり2.5mL試料)を通過させることによって除去した。精製アミノトランスフェラーゼは、カラム当たり3.5mLの同じ緩衝液を用いて溶出した。各画分のタンパク質濃度は、タンパク質標準物質としてBSAを用いて、Pierce BCAアッセイキット(Rockford、IL)を用いて決定した。各画分の純度および無細胞抽出物画分中の発現のレベルは、Bio−Rad Experionマイクロキャピラリーチップシステム(Hercules、CA)を用いてまたはMini PROTEAN(登録商標)3セル装置でのBio−Rad 4〜15%SDS−ポリアクリルアミド勾配ゲルの実行を用いて決定した。タンパク質は、BioRad Bio−Safe G−250 Coomassie染色を用いてポリアクリルアミドゲル中で可視化し、水を用いて脱染した。通常、この手順により、ExperionソフトウェアによってまたはSDS−PAGEゲルの分析から判断されるように85〜90%純粋な200mLの一晩培養物から約20mgの酵素が生成される。アリコート(1〜5mL)の精製酵素は使用まで−80℃で保存した。
配列番号104のアルドラーゼの発現および精製
pET28bプラスミド上に配列番号104のアルドラーゼについての遺伝子(遺伝子は配列番号103として示される)を運ぶイー・コリBL21(DE3)pLysS宿主細胞のクローニングは実施例3Bに記載される。
アミノ末端HIS−精製タグを有する、配列番号104のアルドラーゼは、振盪フラスコ中に50μg/mLカナマイシンを含有するEMD Biosciences Overnight Express System II(溶液1〜6)(La Jolla、CA)を用いて生成した。この発現系は、細胞成長をモニターする必要のないIPTG誘発性系の発現を誘発する。アルドラーゼ構築物の液体培養物または平板培養物のいずれかからの培地(1Lフラスコ中)の200mLアリコートの接種の後、培養物は、225rpmで振盪させながら一晩30℃でインキュベートした。OD600が最小の6まで達すると、細胞は、遠心分離によって採取し、緩衝液を用いて1回洗浄した。
アルドラーゼを含有する無細胞抽出物を調製するために、細胞は、3〜4倍容量の100mMリン酸カリウム、pH7.8中で懸濁させ、次いで、15℃未満に懸濁液の温度を維持して、Microfluidics ホモジナイザー(Newton、MA)(18,000psiで3パス)を用いて破壊した。あるいは、無細胞抽出物は、メーカーのプロトコールに従って、1μL/mL Benzonase(登録商標)Nuclease、5μL/mL Protease Inhibitor Cocktail Set II、および0.033μL/mL rLysozyme(商標)を含有するEMD Biosciences BugBuster(登録商標)(第一級アミンなし)Extraction Reagent(La Jolla、CA)を用いて調製した。続く精製工程はすべて4℃で行った。細胞懸濁液は、細胞片を除去するために15,000〜20,000xgで20〜30分間遠心分離した。20〜25mLアリコートの無細胞抽出物は、200mM塩化ナトリウムを含有する100mMリン酸カリウムを用いて先に平衡化した、GE Healthcare Chelating Sepharose(商標)Fast Flow樹脂(ニッケル(II)型)(Piscataway、NJ)の45mLカラムにかけた。ニッケル型の樹脂を生成するために、樹脂は、150mLの200mM硫酸ニッケル(II)六水和物を用いて、次いで150mLの蒸留水を用いて洗浄した。試料を装填した後に、カラムは、25mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液、50mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液、および500mMイミダゾールを含有する150mLの平衡化緩衝液を用いて洗浄し/溶出した。HISタグ付きタンパク質は最後の洗浄で溶出した。500mMイミダゾール洗浄物は、メーカーの指示に従って、Millipore/Amicon Centricon Plus−70遠心濾過デバイス(MWCO 10kDa)(Billerica、MA)を用いて15〜20mLに濃縮した。イミダゾールおよび塩化ナトリウムは、先に100mMリン酸カリウム、pH7.8を用いて平衡化した、使い捨てのGE Healthcare PD10カラム(カラム当たり2.5mL試料)を通過させることによって除去した。精製アルドラーゼは、カラム当たり3.5mLの同じ緩衝液を用いて溶出した。各画分のタンパク質濃度は、タンパク質標準物質としてBSAを用いて、Pierce BCAアッセイキット(Rockford、IL)を用いて決定した。各画分の純度および無細胞抽出物画分中の発現のレベルは、Bio−Rad Experionマイクロキャピラリーチップシステム(Hercules、CA)を用いてまたはMini PROTEAN(登録商標)3セル装置でのBio−Rad 4〜15%SDS−ポリアクリルアミド勾配ゲルの実行を用いて決定した。タンパク質は、BioRad Bio−Safe G−250 Coomassie染色を用いてポリアクリルアミドゲル中で可視化し、水を用いて脱染した。通常、この手順により、Experionソフトウェアによって判断されるように85〜95%純粋な400mLの一晩培養物から約50mgの酵素が生成される。アリコート(1〜5mL)の精製酵素は使用まで−80℃で保存した。この様式における酵素の調製は、先に示した、酵素の沈殿のレベルを低下させた。保存緩衝液中のマグネシウムの存在は沈殿のレベルに影響を及ぼさなかった。

Claims (69)

  1. L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸(「I3P」)を生成し、
    I3Pから少なくともRモナチン前駆体(「R−MP」)を含むモナチン前駆体(「MP」)を生成し、
    次いでMPからモナチンを生成すること
    を含む経路を介してモナチンまたはその塩を生成することを含むことを特徴とする方法であって、
    モナチンは、少なくともR,Rモナチンを含み、
    L−トリプトファンからのI3Pの生成は、モナチン前駆体、モナチン、またはその双方よりもL−トリプトファンに対するより高い活性、より高い特異性、またはその双方を有する1つまたは複数の第1の酵素によって促進され、該1つまたは複数の第1の酵素は、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびL−アミノ酸オキシダーゼならびにその組合せから選ばれ、
    該R−MPからの該R,Rモナチンの生成は、D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アミノ酸デヒドロゲナーゼまたはその組合せから選ばれる1つまたは複数の第3の酵素によって促進される該方法。
  2. 該1つまたは複数の第1の酵素が、シノリゾビウム・メリロティTatA、HEXAspCP9T/R122G、およびその組合せから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 該1つまたは複数の第1の酵素が、モナチン前駆体、モナチン、またはその双方に対して制限された活性、制限された特異性、またはその双方を有し、該1つまたは複数の第2の酵素が、S−アルファ−ケト酸モナチンに対して制限された活性、制限された特異性、またはその双方を有していてもよいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 該D−アミノ酸デヒドロゲナーゼが、D−AADH−101、D−AADH−102、D−AADH−103、D−AADH−105、D−AADH−106、D−AADH−107、D−AADH−108、およびその組合せから選ばれ、
    該D−アミノトランスフェラーゼが、
    a)T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異、F200M突然変異、F200Y突然変異、ならびにF200MおよびT243Nの突然変異を有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼのうちの1つまたは複数から選ばれるD−アミノトランスフェラーゼの活性を有する酵素、
    b)a)の酵素のいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む酵素、
    c)バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼとバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼのハイブリッドであるハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・リケニホルミスD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC7063からのD−アミノトランスフェラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、または
    d)a〜cの組合せ
    であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 該バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼが、受入番号NP−243677に挙げられるアミノ酸配列を含み;
    該バチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼが、イー・コリF37Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリY96Fに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリY165Lに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL127Kに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリR98Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL108Rに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL110Hに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL127Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、およびイー・コリR41Kに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼから選ばれ;
    該ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼが、配列番号99であり;
    ATCC7063からの該D−アミノトランスフェラーゼが、配列番号87であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 生成された該R,Rモナチンが、生成された全モナチンの少なくとも約60重量%であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. R−MPが、化学的アルドール縮合反応においてI3Pから生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. I3PからのR−MPの生成が、R−MPをS−モナチン前駆体(「S−MP」)に対して約1:1よりも大きな比で生成する1つまたは複数の第2の酵素によって促進されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 該1つまたは複数の第2の酵素が、a)シノリゾビウム・メリロティHMGアルドラーゼからのアルドラーゼ、b)a)の相同体、c)a)に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む酵素、d)配列番号22または配列番号104に示される配列を有するアルドラーゼ、およびe)その組合せから選ばれる、R特異的アルドラーゼ活性を有する酵素であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 該1つまたは複数の第3の酵素が、S−アルファ−ケト酸モナチンまたはインドール−3−ピルビン酸についてよりもR−モナチン前駆体に対するより高い活性、より高い特異性、またはその双方を有し、該1つまたは複数の第2の酵素が、S−アルファ−ケト酸モナチンまたはインドール−3−ピルビン酸に対する制限された活性、制限された特異性、またはその双方を有していてもよいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アミノ酸デヒドロゲナーゼから選ばれる1つまたは複数の第1の酵素を用いてMP組成物からR,Rモナチンを生成することを含み、少なくともR−MPを含む該MP組成物および該1つまたは複数の酵素が、S−MPよりもR−MPからモナチンへの変換を選択的に促進することを特徴とする方法。
  12. 1つまたは複数の酵素が、バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼおよびバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼのハイブリッド、ならびにその組合せから選ばれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. L−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸(「I3P」)を生成し、
    I3PからMP組成物を生成すること
    をさらに含み、
    LトリプトファンからのI3Pの生成が、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、およびその組合せから選ばれる1つまたは複数の第2の酵素によって促進され、
    I3PからのMP組成物の生成が、1つまたは複数の非立体特異性アルドラーゼによって促進されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. モナチンを生成するための経路におけるある反応の生成物を、モナチンを生成するための経路における他の反応の反応物として再生するための方法であって、
    L−トリプトファンが反応してI3Pを生成する場合に、アルファ−ケト基質からL−アミノ酸を生成し、
    アミノ酸ラセマーゼを用いてL−アミノ酸をD−アミノ酸に変換し、
    I3PからMPを生成し、
    MPを反応させてモナチンを形成し、次いで
    MPが反応してモナチンを形成する場合に、D−アミノ酸からアルファ−ケト基質を再生成することを含み、
    アルファ−ケト基質は、アルファ−ケトグルタル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸、およびその組合せから選ばれ、
    アミノ酸ラセマーゼは、アルファ−ケト基質がピルビン酸である場合、アラニンラセマーゼであり、アルファ−ケト基質がアルファ−ケトグルタル酸である場合、グルタミン酸ラセマーゼであり、アルファ−ケト基質がオキサロ酢酸である場合、アスパラギン酸ラセマーゼであることを特徴とする該方法。
  15. 該アラニンラセマーゼが、バチルス・ステアロサーモフィルスからのアラニンラセマーゼおよびゲオバチルス・ステアロテルモフィルスからのアラニンラセマーゼの熱安定性相同体から選ばれ、該グルタミン酸ラセマーゼが、L.ブレビスグルタミン酸ラセマーゼおよびP.ペントサセウスグルタミン酸ラセマーゼから選ばれ、該アスパラギン酸ラセマーゼはBioCatalytics社のASPR−101であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. I3PからのMPの生成が、R−MPをS−MPに対して約1:1よりも大きな比で優先的に生成する1つまたは複数のアルドラーゼ酵素によって促進されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  17. 1つまたは複数のアルドラーゼ酵素が、R特異的アルドラーゼ酵素であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. L−アミノ酸および立体反転アミノトランスフェラーゼの存在下でR−MPを反応させてR,Rモナチンを生成することを含み、L−アミノ酸は、L−アスパラギン酸、L−アラニン、およびL−グルタミン酸から選ばれることを特徴とする方法。
  19. トリプトファンからI3Pを生成し、I3PからR−MPを含むMPを生成することをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. アミノトランスフェラーゼ酵素がトリプトファンからI3Pを生成することを促進し、アルドラーゼ酵素がI3PからR−MPを生成することを促進することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. アルドラーゼ酵素が、R−MPをS−MPに対して1:1よりも大きな比で優先的に生成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  22. アルドラーゼ酵素がR特異的アルドラーゼ酵素であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  23. 平衡反応に対してモナチンの収量を増加させるための方法であって、
    アルファ−ケト基質およびL−アミノトランスフェラーゼ酵素の存在下でトリプトファンを反応させてI3Pを生成し、アルファ−ケト基質が反応してL−アミノ酸を形成し、
    I3Pを反応させてMPを生成し、
    MPを反応させてモナチンを生成し、次いで
    不可逆的反応でL−アミノ酸を反応させることによって、平衡経路からL−アミノ酸生成物を除去すること
    を含むことを特徴とする該方法。
  24. アルファ−ケト基質がオキサロ酢酸であり、L−アミノ酸生成物がL−アスパラギン酸であり、不可逆的反応が、アスパラギン酸4−デカルボキシラーゼの存在下でL−アスパラギン酸を反応させてL−アラニンおよび二酸化炭素を生成するものであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. L−アミノ酸生成物を、R−MP反応のためのD−アミノ酸基質に変換することをさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. L−アミノ酸生成物がL−アラニンであり、L−アラニンが、アラニンラセマーゼ活性を有する酵素を用いてD−アラニンに変換されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. アルファ−ケト基質が、オキサロ酢酸およびアルファ−ケトグルタル酸ならびにその組合せから選ばれ、
    アルファ−ケト基質がオキサロ酢酸である場合、L−アミノ酸生成物はL−アスパラギン酸であり、不可逆的反応が、アスパラギン酸デカルボキシラーゼの存在下でL−アスパラギン酸を反応させてベータアラニンおよび二酸化炭素を生成するものであり、
    アルファ−ケト基質がアルファ−ケトグルタル酸である場合、L−アミノ酸生成物はL−グルタミン酸であり、不可逆的反応が、グルタミン酸デカルボキシラーゼの存在下でL−グルタミン酸を反応させて4−アミノブタン酸および二酸化炭素を生成するものであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  28. 経路におけるある工程で生成されたL−アミノ酸生成物を経路における他の工程で有用なD−アミノ酸基質に変換することを含む経路でモナチンを生成することを含み、経路は、
    L−アミノトランスフェラーゼを用いてL−トリプトファンからI3Pを生成し、
    アルファ−ケトグルタル酸の反応によってL−アミノ酸生成物としてL−グルタミン酸を生成し、該アルファ−ケトグルタル酸反応はL−トリプトファン反応と共役し、
    L−アラニンアミノトランスフェラーゼを用いて、L−グルタミン酸とピルビン酸を反応させることによってL−アラニンを生成し、
    I3PからR−MPを生成し、
    アラニンラセマーゼを用いてL−アラニンからD−アミノ酸基質としてD−アラニンを生成し、
    MPと共に基質としてD−アラニンを用いて、モナチンおよびピルビン酸を形成することを含むことを特徴とする方法。
  29. アルドラーゼ酵素がI3PからR−MPを生成することを促進することを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. アルドラーゼ酵素がR特異的アルドラーゼ酵素であり、R,Rモナチンが生成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. アルドラーゼ酵素がR−MPをS−MPに対して約1:1よりも大きな比で生成し、R,Rモナチンが生成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  32. L−トリプトファンからD−トリプトファンを生成し、
    D−トリプトファンからI3Pを生成し、
    I3PからR−MPを生成し、次いで
    R−MPからモナチンを生成することを含む経路を介してR,Rモナチンまたはその塩を生成することを含むことを特徴とする方法であって、
    L−トリプトファンからのD−トリプトファンの生成は、トリプトファンラセマーゼ、トリプトファンラセマーゼの活性を有するラセマーゼ、広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有するラセマーゼ、およびその組合せから選ばれる1つまたは複数の酵素によって促進され、
    トリプトファンラセマーゼの活性を有するラセマーゼは、配列番号41に対応し、Y354C突然変異、Y354T突然変異、Y354G突然変異、Y354L突然変異、Y354N突然変異、Y354S突然変異、Y354I突然変異、Y354M突然変異、Y354P突然変異、ならびにY354A、M35V、およびR195Hの突然変異の組合せから選ばれる突然変異を有するアラニンラセマーゼ、配列番号43のアラニンラセマーゼ、配列番号41に対応し、M35C突然変異、F66E突然変異、Y354A突然変異、およびP197L突然変異ならびにその組合せから選ばれる突然変異を有するアラニンラセマーゼから選ばれ、
    広域特異性アミノ酸ラセマーゼは、
    a)配列番号120の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Y396C突然変異を有する、配列番号120に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号128の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号128に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号YP_204118のアラニンラセマーゼ、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス・プチダ(シュードモナス・ストリアタとしても知られている)から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号116の配列を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Genbank受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC4683からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダKT2440から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダNBRC12996から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC7966からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス株2150から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オレオボランスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オーレオファシエンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダ12633から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.フルオレッセンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.プチダSCRC744から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.グラベオレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.ストリアタAKU083から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリアから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC14486からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号146を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号155の部分配列を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、およびその活性断片、
    b)a)の広域特異性アミノ酸ラセマーゼのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列およびその活性断片を含む酵素、
    c)Genbank受入番号AB096176によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、Genbank受入番号AB096176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号119によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号127によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、CP 000020.1 GI:59478708の領域800842..802053によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NC_006840によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、KT2440 Bar DNAによってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがY396C突然変異を含むような置換を有する、配列番号119に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号127に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号154を含む配列によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、NZ_AALM01000002ヌクレオチド53173..54402によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがI384M突然変異を含むような置換を有する、配列番号140に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ラセマーゼがL383M突然変異を含むような置換を有する、配列番号178に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号193に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、配列番号176に対応する核酸配列によってコードされた広域特異性ラセマーゼ、ならびに
    d)c)の広域特異性アミノ酸ラセマーゼをコードする遺伝子のいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む酵素
    から選ばれ、
    R−MPからのR,Rモナチンの生成は、広域特異性を有するD−アミノトランスフェラーゼによって促進される該方法。
  33. D−トリプトファンからのインドール−3−ピルビン酸の生成が1つまたは複数の酵素によって促進され、R−モナチン前駆体からのR,Rモナチンの生成がD−トリプトファンからのインドール−3−ピルビン酸の生成を促進する酵素と同じ1つまたは複数の酵素によって促進されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. R−MPからのR,Rモナチンの生成が、
    a)T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異、F200M突然変異、F200Y突然変異、ならびにF200MおよびT243Nの突然変異を有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼのうちの1つまたは複数から選ばれるD−アミノトランスフェラーゼの活性を有する酵素、
    b)a)の酵素のいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む酵素、
    c)バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼとバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼのハイブリッドであるハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・リケニホルミスD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC7063からのD−アミノトランスフェラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、または
    d)a〜cの組合せ
    から選ばれる広域特異性D−アミノトランスフェラーゼによって促進されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  35. I3PからのR−MPの生成が、R−MPをS−MPに対して1:1よりも大きな比で優先的に生成するアルドラーゼ酵素によって促進されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  36. アルドラーゼ酵素がR特異的アルドラーゼ酵素であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
  37. a)T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異の組合せ、F200M突然変異、F200Y突然変異、ならびにF200MおよびT243Nの突然変異の組合せから選ばれる突然変異を有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼ、
    b)a)のいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有し、突然変異を有する配列を含む酵素、
    c)バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・リケニホルミスD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC7063からのD−アミノトランスフェラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、およびバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼから選ばれるD−アミノトランスフェラーゼ、ならびに
    d)a)〜c)の組合せ
    から選ばれるD−アミノトランスフェラーゼを用いてD−トリプトファンをアミノ基転移することを含むことを特徴とする方法。
  38. モナチンを生成することをさらに含み、少なくとも1つの精製工程をさらに含み、該R,Rモナチンが、全有機化合物の少なくとも約60重量%の純度の程度まで精製されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 生成されたモナチンの少なくとも約75重量%が、R,Rモナチンであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  40. 生成されたモナチンの少なくとも約80重量%が、R,Rモナチンであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  41. a)配列番号86のD−アミノトランスフェラーゼ、
    b)配列番号86に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む酵素、
    c)T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの二重突然変異、F200M突然変異、F200Y突然変異、ならびにF200MおよびT243Nの二重突然変異、またはその組合せから選ばれる1つまたは複数の突然変異を含む配列番号86のD−アミノトランスフェラーゼ
    d)c)のD−アミノトランスフェラーゼに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含み、1つまたは複数の突然変異を有するD−アミノトランスフェラーゼ、
    e)配列番号87のD−アミノトランスフェラーゼ、ならびに
    f)配列番号87に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含むD−アミノトランスフェラーゼ
    から選ばれる単離D−アミノトランスフェラーゼ。
  42. a)配列番号151、配列番号155、配列番号192、ならびにその活性断片および相同体、配列番号179ならびにその活性断片および相同体、配列番号177ならびにその活性断片および相同体、ならびに配列番号194ならびにその活性断片および相同体を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ならびに
    b)配列番号151、配列番号155、配列番号192およびその活性断片、配列番号179およびその活性断片、配列番号177およびその活性断片、ならびに配列番号194およびその活性断片に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ酵素
    から選ばれる単離広域特異性アミノ酸ラセマーゼ。
  43. 配列番号99を含むハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼおよびその相同体ならびに配列番号99に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含むハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ酵素から選ばれる単離ハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ。
  44. イー・コリF37Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリY96Fに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリY165Lに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL127Kに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリR98Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL108Rに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL110Hに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリL127Yに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、イー・コリR41Kに対応する突然変異を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼから選ばれた、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有する単離されたバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ。
  45. 配列番号43を含むラセマーゼならびに配列番号43に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含み、M35C、F66E、およびY354Aの突然変異を有するラセマーゼ酵素から選ばれる単離ラセマーゼ。
  46. 配列番号154を含む核酸、配列番号154に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号150を含む核酸、配列番号150に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号191を含む核酸、配列番号191に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号195を含む核酸、配列番号195に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号196を含む核酸、配列番号196に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号178を含む核酸、配列番号178に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号176を含む核酸、配列番号176に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸、配列番号193を含む核酸、および配列番号193に対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを含む核酸から選ばれる単離核酸。
  47. LトリプトファンおよびDトリプトファン、D−アミノトランスフェラーゼの活性を有する1つまたは複数の酵素、トリプトファンラセマーゼ、トリプトファンラセマーゼの活性を有するラセマーゼ、広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有するラセマーゼから選ばれる1つまたは複数の酵素、ならびにR特異的アルドラーゼの活性を有する1つまたは複数の酵素のうちの1つまたは複数を含む無細胞組成物。
  48. R−モナチン前駆体、L−トリプトファン、D−アミノ酸、およびモナチン前駆体またはモナチンのいずれかよりもL−トリプトファンに対するより高い活性、より高い特異性、またはその双方を有する1つまたは複数の酵素を含み、該1つまたは複数の第1の酵素は、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−芳香族アミノトランスフェラーゼ、L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、および立体反転アミノトランスフェラーゼから選ばれ、組成物は、D−アミノトランスフェラーゼおよびD−アミノ酸デヒドロゲナーゼから選ばれる1つまたは複数の酵素、R特異的アルドラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素、アラニンラセマーゼ、グルタミン酸ラセマーゼ、およびアスパラギン酸ラセマーゼから選ばれる1つまたは複数の酵素を含んでいていてもよい組成物。
  49. R,Rモナチンが、0.01%〜0.1%(容量/容量)界面活性剤および1%〜10%(容量/容量)ポリオールから選ばれる1つまたは複数の界面活性剤の存在下で生成されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  50. D−アミノトランスフェラーゼが、ピリドキサール−5’−リン酸の存在下で精製されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  51. 酵素が、固体担体上に固定化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  52. 1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼの存在下でモナチン前駆体を反応させて、モナチンを生成することを含み、1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼは、
    a)T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異の組合せ、F200M突然変異、F200Y突然変異、ならびにF200MおよびT243Nの突然変異の組合せまたはその組合せから選ばれる突然変異を有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼ、
    b)a)の酵素のいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有し、突然変異を含むD−アミノトランスフェラーゼ酵素、ならびに
    c)バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼとバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼのハイブリッドであるハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・リケニホルミスD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC4978からのD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC7063からのD−アミノトランスフェラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、またはその組合せから選ばれる1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼ
    から選ばれることを特徴とする方法。
  53. (a)tnaT遺伝子、(b)改変フェニルアラニンパーミアーゼタンパク質、(c)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼ、(d)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分を有するキメラタンパク質、(e)D−アミノ酸デアシラーゼ、ならびに(f)tRNAtrpおよび適切なD−アミノ酸デアシラーゼのうちの1つまたは複数を発現または過剰発現するように、モナチンを生成する微生物を遺伝子操作し、該微生物を用いて該モナチンを生成することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  54. 最小量のLアミノ酸のみを含有する培地中で、モナチンを生成する微生物を成長させ、該モナチンを生成することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  55. モナチンを生成している微生物からのインドール3ピルビン酸の分泌を阻止または低減することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  56. モナチンを生成している微生物によるインドール3ピルビン酸の取り込みを増加させることを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  57. インドール3ピルビン酸がモナチンを生成している微生物内で分解されるのを阻止または低減することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  58. モナチンを生成するように遺伝子操作された微生物のバイオマスを生成し、次いで該微生物でモナチンオペロンを誘導することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  59. モナチンを生成している微生物のための成長培地中でDトリプトファン以外のD−アミノ酸の使用を最小化することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  60. Dトリプトファンの取り込みの阻害が起こる閾値未満のレベルで、モナチンを生成する微生物のための成長培地中にDトリプトファンを提供し、該モナチンを生成することを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  61. (a)tnaT遺伝子、(b)改変フェニルアラニンパーミアーゼタンパク質、(c)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼ、(d)一般的な芳香族アミノ酸パーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分およびフェニルアラニンパーミアーゼタンパク質の活性を付与する、配列の少なくともその部分を有するキメラタンパク質、(e)D−アミノ酸デアシラーゼ、ならびに(f)tRNAtrpおよび適切なD−アミノ酸デアシラーゼのうちの1つまたは複数を発現または過剰発現するように遺伝子操作された、モナチンを生成する微生物。
  62. モナチン前駆体と、T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異、F200M突然変異、F200Y突然変異、F200MおよびT243Nの突然変異、またはその組合せを有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼから選ばれる1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼとを反応させることを含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  63. モナチン前駆体と、T243S突然変異、T243N突然変異、N100A突然変異、T243Q突然変異、T243NおよびN100Aの突然変異、F200M突然変異、F200Y突然変異、F200MおよびT243Nの突然変異、またはその組合せを有する、配列番号86に対応するD−アミノトランスフェラーゼのうちの1つまたは複数から選ばれるD−アミノトランスフェラーゼに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼとを反応させること
    を含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  64. 該配列同一性パーセントが少なくとも95%であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
  65. モナチン前駆体と、バチルス・ハロデュランスD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼとバチルス・スファエリクスD−アミノトランスフェラーゼのハイブリッドであるハイブリッドD−アミノトランスフェラーゼ、ジオバチルス・ステアロサーモフィルスD−アミノトランスフェラーゼ、バチルス・リケニホルミスD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC4978からのD−アミノトランスフェラーゼ、ATCC7063からのD−アミノトランスフェラーゼ、D−アミノトランスフェラーゼ活性を有するバチルス・リケニホルミス分岐鎖アミノトランスフェラーゼ、またはその組合せから選ばれる1つまたは複数のD−アミノトランスフェラーゼとを反応させること
    を含むことを特徴とする、モナチンまたはその塩を生成するための方法。
  66. ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号YP_204118のアラニンラセマーゼ、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号116を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Genbank受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC4683からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC7966からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス株2150から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オレオボランスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オーレオファシエンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.フルオレッセンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.グラベオレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.ストリアタAKU083から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、アミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリアから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC14486からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号146を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号155を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、その活性断片、およびその組合せから選ばれる1つまたは複数の酵素を利用することを含む、
    (a)LトリプトファンからDトリプトファンまたは(b)DトリプトファンからLトリプトファンを生成することを含むことを特徴とする方法。
  67. ビブリオ・フィシェリからのアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号AAW85230.1のアラニンラセマーゼ、Genbank受入番号YP_204118のアラニンラセマーゼ、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号116を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、Genbank受入番号ZP_00898332.1 GI:82735470の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC4683からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号204の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、I384M突然変異を有する、配列番号204に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、ATCC7966からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、シュードモナス株2150から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オレオボランスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.オーレオファシエンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.フルオレッセンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.グラベオレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、P.ストリアタAKU083から単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、アミノ酸24〜409を含有する、シュードモナス・タエトロレンスから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号204のアミノ酸24〜409を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ジャンデイから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC49572からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号194の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ソブリアから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、ATCC35994からの広域特異性ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号192の広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、L383M突然変異を有する、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、L383M突然変異を有する、ATCC14486からの広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号195を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号196を含む遺伝子によってコードされた広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号201を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、配列番号202を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、D76N突然変異を有する、エロモナス・キャビエからのアミノ酸ラセマーゼに対応する酵素、D76N突然変異を有する、配列番号179に対応する広域特異性アミノ酸ラセマーゼの活性を有する酵素、エロモナス・ハイドロフィラから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号177のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号146を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、エロモナス・キャビエから単離された広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号179のアミノ酸22〜408を含有する広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号155を含む広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、配列番号151の広域特異性アミノ酸ラセマーゼ、その活性断片から選ばれる1つまたは複数の広域特異性アミノ酸ラセマーゼに対して少なくとも90%の配列同一性パーセントを有する配列を含む1つまたは複数の酵素を利用することを含む、
    (a)LトリプトファンからDトリプトファンまたは(b)DトリプトファンからLトリプトファンを生成することを含むことを特徴とする方法。
  68. 該配列同一性パーセントが少なくとも95%であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
  69. ピリドキサール−5’−リン酸の存在下でD−アミノトランスフェラーゼを精製することを含むことを特徴とする方法。
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