JP4604537B2 - L−システイン生産菌及びl−システインの製造法 - Google Patents
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Description
(1)L−システイン生産能を有し、かつ、emrAB遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(2) emrAB遺伝子が以下の(A)又は(B)の遺伝子である(1)の微生物、(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号4に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(B)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質、及び配列番号4に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(3) emrAB遺伝子が以下の(a)又は(b)の遺伝子である(1)の微生物、(a)配列番号1に示す塩基配列及び配列番号3に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(b)配列番号1に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号3に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。
(4) L−システイン生産能を有し、かつ、emrKY遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(5) emrKY遺伝子が以下の(C)又は(D)の遺伝子である(4)の微生物、(C)配列番号6に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号8に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(D)配列番号6に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質及び
配列番号8に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(6) emrKY遺伝子が以下の(c)又は(d)の遺伝子である(4)の微生物、(c)配列番号5に示す塩基配列及び配列番号7に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(d)配列番号5に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号7に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。
(7) L−システイン生産能を有し、かつ、yojIH遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(8) yojIH遺伝子が以下の(E)又は(F)の遺伝子である(7)に記載の微
生物、
(E)配列番号10に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号12に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(F)配列番号10に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質及び配列番号12に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(9) yojIH遺伝子が以下の(e)又は(f)の遺伝子である(7)の微生物、(e)配列番号9に示す塩基配列及び配列番号11に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(f)配列番号9に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号11に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。
(10) L−システイン生産能を有し、かつ、acrEF遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(11) acrEF遺伝子が以下の(G)又は(H)の遺伝子である(10)の微生物、
(G)配列番号14に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号16に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(H)配列番号14に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質及び配列番号16に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(12) acrEF遺伝子が以下の(g)又は(h)の遺伝子である(10)の微生物、
(g)配列番号13に示す塩基配列及び配列番号15に示す塩基配列を含む遺伝子、又は(h)配列番号13に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号15に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。
(13) L−システイン生産能を有し、かつ、bcr遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(14) bcr遺伝子が以下の(I)又は(J)の遺伝子である(13)の微生物、(
I)配列番号18に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(J)配列番号18に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(15) bcr遺伝子が以下の(i)又は(j)の遺伝子である(13)の微生物、(i)配列番号17に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(j)配列番号17に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(16) L−システイン生産能を有し、かつ、cusA遺伝子の発現が上昇するように改変された微生物。
(17) cusA遺伝子が以下の(K)又は(L)の遺伝子である(16)の微生物、
(K)配列番号20に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(L)配列番号20に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(18) cusA遺伝子が以下の(k)又は(l)の遺伝子である(16)の微生物、
(k)配列番号19に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(l)配列番号19に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(19) エシェリヒア属細菌である(1)〜(18)のいずれかの微生物。
(20) エシェリヒア・コリである(19)の微生物。
(21) さらにセリンアセチルトランスフェラーゼ活性が増強するように改変された(1)〜(20)のいずれかの微生物。
(22) (1)〜(21)のいずれかの微生物を培地で培養し、L−システインを培地中に生成蓄積させ、該培地よりL−システインを採取する、L−システインの製造法。
イプ・カルチャー・コレクション(ATCC)より分譲を受けることができる(住所 12301 Parklawn Drive,Rockville Maryland 20852,United States of America )。
に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。これらの遺伝子は、L−システイン排出能を有するタンパク質をコードする限りにおいて、上記配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。また、L−システイン排出能を有するタンパク質をコードする限りにおいて、上記配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上相同なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。なお、上記数個とは、2〜20個が好ましく、2〜10個がより好ましく、2〜5個が特に好ましい。
出能を有するタンパク質をコードする限りにおいて、上記配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。また、L−システイン排出能を有するタンパク質をコードする限りにおいて、上記配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上相同なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。なお、上記数個とは、2〜20個が好ましく、2〜10個がより好ましく、2〜5個が特に好ましい。
Higa,A.,J. Mol. Biol., 53, 159 (1970))がある。
させて染色体DNA上に多コピー導入することも可能である。
便番号305 日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に、FERM P-16527の受託番号のもとで寄託されている。
親株としてはJM39株(F+ cysE51 tfr-8)(Denk,D. and Bock,A., J. Gen. Microbiol., 133, 515-525 (1987))を用いた。JM39株を、pUC118に各種システイン排出遺伝子を組み込んだプラスミド(pUCemrAB、pUCemrKY、pUCyojIH、pUCacrEF、pUCbcr、pUCcusA)で各々形質転換した。各プラスミドの構築は、J.Bacteriol., Vol.183, 2001, 5803-5812のMaterials and Methods及びTable 1に記載の方法で行った。なお、pUCemrABはエシェリヒア・コリのemrR , emrA , 及びemrB遺伝子を含む3.9-kbのSalI-BamHI fragmentを含むプラスミドである。pUCemrKYはエシェリヒア・コリのevgS/A, emrK 及びemrY遺伝子を含む7.5-kbのSphI-BamHI fragmentである。pUCyojIHはエシェリヒア・コリのyojI 及びyojH遺伝子を含む4.0-kbのSalI-SphI fragmentである。pUCacrEFはエシェリヒア・コリのenvR, acrE 及びacrF遺伝子を含む5.9-kbのSalI-SphI fragmentである。pUCbcrはエシェリヒア・コリのyeiD 及びbcr遺伝子を含む2.3-kbのAccI-KpnI fragmentである。pUCcusAはエシェリヒア・コリのcusS, cusR/C/F/B 及びcusA遺伝子を含む9.0-kbのSphI-EcoRI fragmentである。形質転換株は、アンピシリン耐性を指標として選択した。得られた形質転換体について、256番目のMetがIleに置換された変異型SAT遺伝子を含有するプラスミド(pACYC256I)にて形質転換した。形質転換株は、アンピシリン耐性+クロラムフェニコール耐性を指標として選択した。なお、pACYC256IはpCEM256I(特開平11−155571)に基き、以下のようにして構築した。すなわち、pCEM256I をBamHIとSalIで切断し、得られたMet256Ile変異型SATの遺伝子(プロモーター領域含む)を同制限酵素で切断したpACYC184(NIPPON GENE社)のラージフラグメントに連結してpACYC256Iを作製した。
得られた形質転換体を、50mg/Lのアンピシリン、100mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB培地(トリプトン 10g/L、Yeast Extract 5g/L、NaCl 5g/L、pH7.0)プレートに塗布、37℃、12-24時間培養後、Cys生産培地(グルコース 30g/L、NH4Cl 10g/L、KH2PO4 2g/L、MgSO4・7H2O 1g/L、FeSO4・7H2O 10mg/L、MnCl2・4H2O 10mg/L、チオ硫酸 15g/L、アンピシリン 50mg/L (24時間毎に添加)、クロラムフェニコール 100mg/L、CaCO3 20g/L)20mlを入れたフラスコに接種し、30℃、24時間、48時間、72時間振とう培養した。L-システインの蓄積量は、沈殿したL-シスチンを溶解するため培養液を0.5N HClで希釈したものをLeuconostoc mesenteroidesを用いるバイオアッセイ(Tsunoda T. et al., Amino
acids, 3, 7-13 (1961))によって定量した。結果を表1に示す。
Claims (14)
- L−システイン生産能を有し、かつ、yojIH遺伝子の発現が上昇するように改変されたエシェリヒア属細菌を培地で培養し、L−システインを培地中に生成蓄積させ、該培地よりL−システインを採取する、L−システインの製造法。
- yojIH遺伝子が以下の(E)又は(F)の遺伝子である請求項1に記載のL−システインの製造法、
(E)配列番号10に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号12に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(F)配列番号10に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質及び配列番号12に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。 - yojIH遺伝子が以下の(e)又は(f)の遺伝子である請求項1に記載のL−システインの製造法、
(e)配列番号9に示す塩基配列及び配列番号11に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(f)配列番号9に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号11に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。 - L−システイン生産能を有し、かつ、acrEF遺伝子の発現が上昇するように改変されたエシェリヒア属細菌を培地で培養し、L−システインを培地中に生成蓄積させ、該培地よりL−システインを採取する、L−システインの製造法。
- acrEF遺伝子が以下の(G)又は(H)の遺伝子である請求項4に記載のL−システインの製造法、
(G)配列番号14に示すアミノ酸配列を有するタンパク質及び配列番号16に示すアミ
ノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(H)配列番号14に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質及び配列番号16に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。 - acrEF遺伝子が以下の(g)又は(h)の遺伝子である請求項4に記載のL−システインの製造法、
(g)配列番号13に示す塩基配列及び配列番号15に示す塩基配列を含む遺伝子、又は(h)配列番号13に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子及び配列番号15に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子を含む遺伝子。 - L−システイン生産能を有し、かつ、bcr遺伝子の発現が上昇するように改変されたエシェリヒア属細菌を培地で培養し、L−システインを培地中に生成蓄積させ、該培地よりL−システインを採取する、L−システインの製造法。
- bcr遺伝子が以下の(I)又は(J)の遺伝子である請求項7に記載のL−システインの製造法、
(I)配列番号18に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(J)配列番号18に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。 - bcr遺伝子が以下の(i)又は(j)の遺伝子である請求項7に記載のL−システインの製造法、
(i)配列番号17に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(j)配列番号17に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。 - L−システイン生産能を有し、かつ、cusA遺伝子の発現が上昇するように改変されたエシェリヒア属細菌を培地で培養し、L−システインを培地中に生成蓄積させ、該培地よりL−システインを採取する、L−システインの製造法。
- cusA遺伝子が以下の(K)又は(L)の遺伝子である請求項10に記載のL−システインの製造法、
(K)配列番号20に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、又は
(L)配列番号20に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝子。 - cusA遺伝子が以下の(k)又は(l)の遺伝子である請求項10に記載のL−システインの製造法、
(k)配列番号19に示す塩基配列を含む遺伝子、又は
(l)配列番号19に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつL−システイン排出能を有するタンパク質をコードする遺伝
子。 - 前記エシェリヒア属細菌がエシェリヒア・コリである請求項1〜12のいずれか1項に記載のL−システインの製造法。
- 前記エシェリヒア属細菌が、さらに、セリンアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子のコピー数を高めることまたはL−システインによるフィードバック阻害が低減又は解除された、セリンアセチルトランスフェラーゼを保持させることによってセリンアセチルトランスフェラーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア属細菌である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のL−システインの製造法。
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