JP4760375B2 - Ihogの回収方法およびモナティンの製造方法 - Google Patents

Ihogの回収方法およびモナティンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不純物を含有するモナティンの水性溶液からモナティンを分離して製造する方法に関し、詳しくは、酵素反応によって、モナティン前駆体である4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸(4-(Indol-3-ylmethyl)-4-hydroxy-2-oxoglutarate;以下、IHOG)からモナティンを生成させる場合に好適に利用できるモナティンの製造方法に関する。
下記の構造を有するモナティンは、南アフリカの潅木の根から単離・抽出された天然の甘味アミノ酸であり、ショ糖の数十倍〜数千倍に相当する強い甘味を有し、甘味剤として利用が期待されている。モナティンは、(2S,4S)体の他に、(2S,4R)体、(2R,4S)体、(2R,4R)体の3種の光学異性体が存在しており、何れもショ糖の数百倍から数千倍の甘味強度を有することが確かめられている。
Figure 0004760375
上記モナティンの製造方法については、過去に下記の5例の報告が為されている。
米国特許第5994559号明細書 テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、2001年、42巻、 39号、6793〜6796頁 オーガニック レターズ(Organic Letters)、2000年、2巻、19号、2967〜2970頁 シンセティック コミュニケーション(Synthetic Communication)、1994年、24巻、22号、3197〜3211頁 シンセティック コミュニケーション(Synthetic Communication)、1993年、23巻、18号、2511〜2526頁
モナティンの製造方法および分離方法については何例か報告されているものの、モナティンの有用性に関しては発見されたばかりであり、工業的生産レベルでモナティンを製造し、得られたモナティンを効率よく分離する方法に関してはまだ確立されていない。
かかる状況下、本発明者らは、工業的規模で容易に入手可能であるインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸とを用いて、下記の反応(1)および(2)の工程からなる新たなモナティンの合成方法を開発した。
(1) インドール−3−ピルビン酸とピルビン酸(ないしオキサロ酢酸)のアルドール縮合により前駆体ケト酸(IHOG)を合成する反応工程
(2) IHOGの2位をアミノ化する反応工程
Figure 0004760375
上記モナティンの合成方法において、(2)のアミノ化反応を触媒する酵素としては、例えばIHOGに対してアミノ基転移反応を触媒するアミノトランスフェラーゼ、また、IHOGの還元的アミノ化反応を触媒するデヒドロゲナーゼ等を用いることができる。
このような酵素反応液は、モナティンだけでなく未反応のIHOGや、IHOGから生成する数種の副生物を含んでいる。また、その他にも反応に用いた酵素、補酵素、アミノ基供与体等の有機成分などの不純物を含んでいる。従って、酵素法で製造されるモナティンを酵素反応液から純粋な形で得る為には、これらの多くの未反応物、副生物等の不純物を効率良く除去することが大きな課題となる。このようなモナティンを含有する酵素反応液は、後述のように、本発明で処理されるべき被処理液の典型的な一例である。
モナティンの分離方法として、ZA−874288は、植物の根に含まれる天然モナティンを強酸性樹脂にて吸着後、アンモニア等のアルカリ液にて溶出させ精製する方法を開示している。
また、特開2002−60382号公報は、化学合成された立体異性体モナティン混合物をオクタデシル基等の脂肪族アルキル鎖で修飾されたシリカゲルにて分離し、さらに強酸性樹脂にて吸着後、アンモニア等のアルカリ液にて溶出させ精製する方法を開示している。
また、モナティンを直接分離する方法ではないが、ZA−874288では、モナティン前駆体混合物をオクタデシル基等の脂肪族アルキル鎖で修飾されたシリカゲルにて分離し、アルカリ加水分解しモナティンを製造している。
しかしながら、今までに報告されたモナティンの分離方法では、モナティンを分離する際、酵素反応液中に含まれるモナティン前駆体(IHOG)を回収することが困難であった。製造コスト面からは、酵素反応液からモナティンを分離する際、未反応のIHOGをも回収し、回収したIHOGをモナティンの生成反応に再利用することが好ましい。
従来の方法でIHOGを回収できなかった理由として、IHOGが極端なpHに対して不安定な化合物であることが考えられる。従来のモナティンの分離法では、モナティンを強酸性樹脂にて吸着後、アンモニア等のアルカリ液にて溶出させていたため、分離処理の段階でIHOGの分解反応などが生じ、IHOGを効率よく回収することが困難であった(参考例3参照)。
従って、モナティンを分離する際、IHOGを分解することなく同時に回収できるよう、温和なpH条件下で効率よくモナティンを分離する方法の開発が求められる。
本発明が解決しようとする課題は、モナティンを工業的規模で効率よく分離することができ、かつ、その前駆体のIHOGをも回収することが可能なモナティンの製造方法を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、モナティンを含有する酵素反応液を、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理することにより、温和なpH条件下で効率よくモナティンを分離することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
また、酵素反応液を、芳香族環を含有する非極性樹脂でクロマトグラフ処理する際、酵素反応液に残存する未反応のIHOGを同時に回収できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 モナティンと不純物とを含有する被処理液を、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理することにより、前記被処理液からモナティンを分離する工程を含むことを特徴とするモナティンの製造方法。
〔2〕 前記芳香族環を含有する非極性樹脂は、芳香族環にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有していてもよいスチレンおよびジビニルベンゼンの共重合体であることを特徴とする〔1〕に記載のモナティンの製造方法。
〔3〕 前記被処理液の処理を、pH7〜11の範囲内で行うことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のモナティンの製造方法。
〔4〕 前記被処理液を、前記芳香族環を含有する非極性樹脂で処理する際、水とアルコールとの混合溶剤を溶出液として用いることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のモナティンの製造方法。
〔5〕 前記被処理液が、pH7未満およびpH11超のいずれかのpH領域で不安定な化合物を不純物として含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のモナティンの製造方法。
〔6〕 前記被処理液は、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸からモナティンを生成する反応を触媒する酵素の存在下で、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸を反応させることによって得られる酵素反応液であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のモナティンの製造方法。
〔7〕 前記酵素反応液は、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸をアミノ化してモナティンを生成する反応を触媒するアミノトランスフェラーゼ、および、アミノ基供与体の存在下で、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸をアミノ化反応させることによって得られる酵素反応液であることを特徴とする〔6〕に記載のモナティンの製造方法。
〔8〕 前記アミノ基供与体は、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれる少なくとも一種のアミノ酸であることを特徴とする〔7〕に記載のモナティンの製造方法。
〔9〕前記被処理液を、前記芳香族環を含有する非極性樹脂で処理する際、前記被処理液に含まれる4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸を回収することを特徴とする〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のモナティンの製造方法。
本発明に係るモナティンの製造方法は、モナティンおよび不純物を含有する被処理液を、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理することにより、前記被処理液中に含まれるモナティンを分離することを特徴とする。
芳香族環を含有する非極性樹脂で被処理液を処理すると、被処理液に含まれるモナティンおよび不純物はそれぞれ芳香族環を含有する非極性樹脂と相互作用する。相互作用の大きさは各成分によって異なるので、相互作用の弱い成分から順に非極性樹脂から遊離する。例えば、被処理液中にモナティンおよびIHOGが含まれている場合、まずIHOGが溶出し、ついでモナティンが溶出する。この相互作用の差を利用して不純物が混在する被処理液からモナティンを分離することができる。
モナティンの分離方法としては、強酸性樹脂で処理する方法が知られていたが、本発明は、芳香族環を含有する非極性樹脂を用いてモナティンを分離するという従来にはない新規な方法である。
芳香族環を含有する非極性樹脂で被処理液を処理することによって、温和なpH条件下でモナティンを分離することが可能となる。従って、例えばモナティンを分離する際に、酸性およびアルカリ性に対して不安定な化合物(例えば、IHOG)を同時に回収することが可能となる。
従来法では、強酸性樹脂にモナティンを吸着した後、アンモニア等のアルカリ液にて溶出させていたため、アルカリ性に対して不安定なIHOGの分解反応が起こり、酵素反応液中に含まれるIHOGを効率よく回収して再利用することが困難であった。本発明によれば、芳香族環を含有する非極性樹脂にモナティンを吸着した後、IHOGを安定に保持できるpH領域の溶出液を用いてモナティンを溶出できる。したがって、本発明は、モナティンを分離すると同時にIHOGをも回収しようとする場合に特にその効果を発揮する。
以下、本発明のモナティンの製造方法について下記の順に詳細に説明する。
〔A〕被処理液の調製
(A−1)IHOGの調製
(A−2)モナティンを含有する酵素反応液
〔B〕モナティンの分離方法
(B−1)芳香族環を含有する非極性樹脂
(B−2)被処理液の処理
〔A〕被処理液の調製
被処理液は、本発明においてモナティンの分離源であり、モナティン(塩の形態を含む)とモナティン以外の少なくとも1種の不純物とが溶解した水性溶液である。被処理液は水性溶液であるが、後のモナティンの分離工程で支障とならない範囲内であれば水以外の他の溶媒を含有していても良い。
被処理液中でのモナティンの存在形態は、遊離体のほか、塩の形態でもよい。本発明において、モナティンと記載する場合は、特にことわらない限り、遊離体および塩のいずれの形態をも含む。塩の形態としては、塩基との塩を挙げることができる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基、アンモニア、各種アミン等の有機塩基を挙げることができる。
このような被処理液としては、酵素反応法または化学合成法によってモナティンの生成反応を行うことにより得られた反応液を用いることができる。当該反応液中には、反応によって生成したモナティンのほか、未反応のモナティン原料、反応副生物、反応触媒、酵素等の不純物が含まれている。
本発明においては、IHOGからモナティンを生成する反応を触媒する酵素の存在下で、IHOGを反応させることによって得られる酵素反応液を用いることが好ましい。酵素反応液中には、モナティンのほか、未反応の状態で残存するIHOGが含まれる。IHOGは、pHに対して不安定な化合物であるが、本発明のモナティンの製造方法によればIHOGを分解することなく回収することが可能となる。回収したIHOGはモナティンの生成反応に再利用可能である。以下、当該酵素反応液の調製法について説明する。
(A−1)IHOGの調製
モナティン前駆体であるIHOGは、インドール−3−ピルビン酸とピルビン酸(ないしオキサロ酢酸)とをアルドール縮合することによって得られる。
IHOGを取得する方法は特に限定されず、化学合成法および酵素法のどちらを用いてもよい。IHOGの調製方法について、化学合成法および酵素法に分けて説明する。
(i) 化学合成法によるIHOGの調製
化学合成法を用いたIHOGの調製は、以下に示す方法や後述の参考例2を利用して容易に実施することができるが、当然この方法に限定されるものではない。
例えば、インドール−3−ピルビン酸とオキサロ酢酸とを、交差アルドール反応及び脱炭酸反応に付して、IHOGを製造することができる。前記アルドール反応に付して得られる化合物が、反応系内で形成され重要な中間体となるが、敢えてこの化合物を単離することなく次の工程である脱炭酸反応に進むことができる。
当該アルドール反応の条件には特に困難は無く、無機塩基又は有機塩基存在下において適当な溶媒中にて置換ピルビン酸及びオキサロ酢酸を作用させるだけで容易に進行する。
用いる溶媒の種類としては、反応に不活性なものであれば特に制限は無い。
当業者であれば、本発明の実施を妨げない範囲で反応温度、塩基の使用量、反応時間、出発物質の添加方法を適宜選択することができる。
溶媒として好ましくは、水、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等を挙げることができる。
使用する場合の塩基として好ましくは、無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に対応する水酸化物、若しくは炭酸化物や、有機塩基、例えばトリエチルアミン等を挙げることができる。
反応温度としては、好ましくは−20〜100℃程度、より好ましくは0〜60℃程度を採用することができる。
アルドール反応縮合物を脱炭酸させる反応においては、自発的な脱炭酸反応によっても達成されるが、反応液に酸又は金属イオン又はその両方を添加することで脱炭酸反応をより効果的に行うことができる。その場合に使用する酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、イオン交換樹脂等の固体酸等を、金属イオンとしては、ニッケルイオン、銅イオン、鉄イオン等の遷移金属イオン等を、それぞれ挙げることができる。反応温度として好ましくは−10〜100℃程度、より好ましくは0〜60℃程度を選択することができる。
(ii) 酵素法によるIHOGの調製
酵素法を用いたIHOGの調製は、インドール−3−ピルビン酸とピルビン酸(ないしオキサロ酢酸)とからIHOGを生成するアルドール反応を触媒する酵素(以下、アルドラーゼ)を用いて行う。
このようなアルドラーゼとしては、Pseudomonas属、Erwinia属、Flavobacterium属、Xanthomonas属にその存在が確認されている。このうち、Pseudomonas taetrolens ATCC4683、Pseudomonas coronafaciens AJ2791、 Pseudomonas desmolytica AJ1582、 Erwinia sp. AJ2917、Xanthomonascitri AJ2797、Flavobacterium rhenanum AJ2468が好ましい。なかでも、特にPseudomonas taetrolens ATCC4683、Pseudomonas coronafaciens AJ2791が好ましい。これらの微生物の寄託先を下記に示す。
(1)Pseudomonas coronafaciens AJ2791株
(i)受託番号 FERM BP−8246(FERM P−18881より移管)
(ii)受託日 2002年6月10日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
(2)Pseudomonas desmolytica AJ1582株
(i)受託番号 FERM BP−8247(FERM P−18882より移管)
(ii)受託日 2002年6月10日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
(3)Erwinia sp. AJ2917株
(i)受託番号 FERM BP−8245(FERM P−18880より移管)
(ii)受託日 2002年6月10日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
(4)Flavobacterium rhenanum AJ2468株
(i)受託番号 FERM BP−1862
(ii)受託日 1985年9月30日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
(5)Xanthomonas citri AJ2797株
(i)受託番号 FERM BP−8250(FERM P−8462より移管)
(ii)受託日 1985年9月30日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
上記菌株には、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき上記受託番号が付与されている。この株の公衆利用可能性についての制限は、特許の付与により確定的に解除される。
IHOGの生成反応に用いるアルドラーゼとしては、微生物由来の酵素や、遺伝子組換え技術により得られた酵素を用いることができる。
上記微生物のうち、Pseudomonas taetrolens ATCC4683由来のアルドラーゼ(以下、PtALDと略す場合がある)、および、Pseudomonas coronafaciens AJ2791由来のアルドラーゼ(以下、PcALDを略す場合がある)については、そのアミノ酸配列およびDNA配列が特定されているので、これらのDNA配列を利用して、遺伝子組換え技術によりアルドラーゼを大量生産することも好ましい。
PtALDをコードするDNAを配列表の配列番号1に示す。また、配列表の配列番号2および3に、配列番号1の塩基配列がコードするPtALDのアミノ酸配列を示す。配列番号2は、配列番号1記載の塩基配列のうち、456〜1118位の塩基配列がコードするPtALDのアミノ酸配列である。また、配列番号3は、配列番号1記載の塩基配列のうち、444〜1118位の塩基配列がコードするPtALDのアミノ酸配列である。
PcALDをコードするDNAを配列表の配列番号4に示す。また、配列表の配列番号5に、配列番号4の塩基配列がコードするPcALDのアミノ酸配列を示す。配列番号5は、配列番号4記載の塩基配列のうち、398〜1141位の塩基配列がコードするPcALDのアミノ酸配列である。
アルドラーゼを取得するには、上記アルドラーゼ産生菌を微生物培養することによりアルドラーゼを生成蓄積させてもよいし、組み換えDNA技術によりアルドラーゼを生成する形質転換体を作成し、当該形質転換体を培養することによりアルドラーゼを生成蓄積させてもよい。
アルドラーゼの存在下、反応を進行させるには、アルドラーゼ、インドール−3−ピルビン酸、および、オキサロ酢酸またはピルビン酸のうち少なくとも一種を含む反応液を20〜50℃の適当な温度に調整し、pH6〜12に保ちつつ、30分〜5日静置、振とう、または攪拌すればよい。
当該反応液にMg2+、Mn2+、Ni2+、Co2+などの2価のカチオンを添加することによって反応速度を向上させることもできる。コスト等の面から、好ましくはMg2+を用いる。
これら2価カチオンを反応液に添加する際は、反応を阻害しない限りにおいてはいずれの塩を用いてもよいが、好ましくはMgCl2、MgSO4、MnSO4等を用いることがある。これら2価カチオンの添加濃度は当該業者であれば簡単な予備検討によって決定することができるが、0.01mM〜10mM、好ましくは0.1mM〜5mM、さらに好ましくは0.5mM〜2mMの範囲で添加することができる。
反応を実施する際の好ましい反応条件の一例を挙げれば、100mM バッファー、50mM インドール−3−ピルビン酸、250mM ピルビン酸、1mM MgCl2、1%(v/v)トルエンからなる反応液に、酵素源としてアルドラーゼ発現E. coliの洗浄菌体を10% (w/v)となるように添加し、33℃で4時間振とう反応させることにより、IHOGが得られる。
(A−2)モナティンを含有する酵素反応液
(A−1)の方法によって得られたIHOGを、上記反応式に示すようにアミノ化することによってモナティンを生成する。当該反応を触媒する酵素としては、例えばIHOGに対してアミノ基転移反応を触媒するアミノトランスフェラーゼ、また、IHOGの還元的アミノ化反応を触媒するデヒドロゲナーゼ等を用いることができる。
本発明においては、このような酵素又はこのような目的とする酵素活性を有する微生物をIHOGに作用させることにより、モナティンを生成することができる。
以下、酵素としてアミノトランスフェラーゼを使用する場合を中心に説明する。
アミノトランスフェラーゼとしては、モナティンの前駆体であるIHOGとアミノ基供与体からモナティンを生成する反応を触媒する酵素を用いる。
この際、アミノ基供与体には、アミノ基を含む化合物が用いられる。例えば、天然及び非天然のL−アミノ酸やD−アミノ酸等のアミノ化合物が挙げられる。即ち、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、バリン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、メチオニン、オルニチン、セリン、システイン、ヒスチジン、リジン等がアミノ酸の例として挙げられる。反応に添加するアミノ基供与体は1種類でもよいし、複数の供与体の混合物でもよい。
アミノ基供与体としては、反応性の観点からは、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸が好ましく、またD-アラニン、D-グルタミン酸、D-アスパラギン酸がさらに好ましい。また、反応性ならびにコストの観点から特に好ましくはDL-アラニンを用いることがある。
アミノトランスフェラーゼとしてはL−アミノトランスフェラーゼおよびD−アミノトランスフェラーゼのいずれも使用することが可能である。L−アミノトランスフェラーゼを用いた場合は、IHOGの2位にL−アミノ酸のアミノ基を転移することによって2S−モナティンを選択的に生成する。また、D−アミノトランスフェラーゼを用いた場合は、IHOGの2位にD−アミノ酸のアミノ基を転移することによって2R−モナティンを選択的に生成させることができる。
本発明の課題とするモナティンは、(2S,4S)体の他に、(2S,4R)体、(2R,4S)体、(2R,4R)体の3種の光学異性体が存在しており、何れもショ糖の数百倍から数千倍の甘味強度を有することが確かめられている。本発明における一つの好ましい態様として、D−アミノトランスフェラーゼを用いることにより、高甘味度異性体である2R−モナティン、特に、(2R,4R)−モナティンを生成させることが好ましい。
ここで、D−アミノ酸をアミノ基供与体とするとき、対応するL−アミノ酸を反応液中に添加し、該アミノ酸をラセミ化する反応を触媒する酵素を共存させることにより、D−アミノ酸供与体として供与体を供給することもできる。
アミノトランスフェラーゼは、当該アミノトランスフェラーゼを生産する微生物を培養することによっても調製することができる。
L−アミノトランスフェラーゼを生産する微生物としては、例えばアエロモーナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、、ベイジェリンキア(Beijerinckia)属、エシェリヒア(Escherichia)属、プロテウス(Proteus)属、モルガネラ(Morganella)属に属する微生物を挙げることができる。これらの微生物として、具体的には、次のものが例として挙げられる。
(1)アエロモーナス ヒドロフィラ Aeromonas hydrophila IFO3820
(2)アグロバクテリウム ツメファシエンス Agrobacterium tumefaciens IFO3058
(3)アルカリゲネス フェカリスAlcaligenes faecalis ATCC8750
(4)ベイジェリンキア インディカBeijerinckia indica ATCC9037
(5)エシェリヒア コリ Escherichia coli ATCC 12814
(6)プロテウス レットゲリ Proteus rettgeri IFO13501
(7)モルガネラ モルガニイ Morganella morganii IFO3848
また、D−アミノトランスフェラーゼを生産する微生物としては、例えばバチルス(Bacillus)属及びパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物を挙げることができる。これらの微生物として、具体的には、次のものが例として挙げられる。
(1)バチルス スフェリカス Bacillus sphaericus ATCC10208
(2)バチルス プルビファシエンス Bacillus pulvifaciens AJ1327
(3)パエニバチルス ラバエ サブスピシーズ プルビファシエンス Paenibacillus larvae subsp. pulvifaciens ATCC 13537
(4)バチルス マセランス Bacillus macerans AJ1617
(5)パエニバチルス マセランス Paenibacillus macerans ATCC 8244
(6)バチルス レンタス Bacillus lentus AJ12699
(7)バチルス レンタス Bacillus lentus ATCC 10840
尚、バチルス マセランス Bacillus macerans AJ1617については下記の通り寄託されている。
(i)受託番号 FERM BP−8243(FERM P−18653より、2002年11月22日に国際寄託へ移管)
(ii)受託日 2001年12月13日
(iii)寄託先 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)
上記菌株には、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき上記受託番号が付与されている。この株の公衆利用可能性についての制限は、特許の付与により確定的に解除される。
上記微生物のうち、バチルス マセランス Bacillus macerans AJ1617(以下、BMDATと略す場合がある)、および、バチルス スフェリカス Bacillus sphaericus ATCC10208(以下、BSDATと略す場合がある)については、そのアミノ酸配列およびDNA配列が特定されているので、これらのDNA配列を利用して、遺伝子組換え技術によりD−アミノトランスフェラーゼを大量生産することも好ましい。
BMDATをコードするDNAを配列表の配列番号6に示す。また、配列表の配列番号7に、配列番号6の塩基配列がコードするBMDATのアミノ酸配列を示す。
また、BSDATをコードするDNAを配列表の配列番号8に示す。また、配列表の配列番号9に、配列番号8の塩基配列がコードするBSDATのアミノ酸配列を示す。
本発明においては、モナティンの4種の光学異性体のうち最も甘味度の高い異性体である(2R,4R)−モナティンの含有率が高いモナティンを効率よく生成させることが好ましい。D−アミノトランスフェラーゼの一部のアミノ酸残基を置換することにより、IHOGから(2R,4R)−モナティンを効率的に生成するように人為的に変異を起こさせることも好ましい。
本発明者らの研究により、配列番号7のBMDATにおいて、100位、180〜183位、243位、244位の少なくとも一箇所のアミノ酸残基に置換を導入すると、(2R,4R)−モナティンを効率的に生成するよう改変しうることが分かっている。また、配列番号9のBSDATにおいて、243位、244位の少なくとも一箇所のアミノ酸残基に置換を導入すると(2R,4R)−モナティンを効率的に生成することが確認されている。
IHOGの2位をアミノ化してモナティンを生成する反応を触媒する酵素又は当該酵素活性を有する微生物の存在下で、IHOGおよびアミノ基供与体を反応させることによりモナティンを生成できる。反応系に反応促進物質、例えば補酵素、界面活性剤、有機溶剤等を添加、含有せしめることにより反応の効率をより高めることができる。
反応温度については、通常、利用する酵素が活性を有する範囲内、即ち好ましくは10〜50℃で行われるが、より好ましくは20〜40℃、更に好ましくは25〜37℃の範囲で行われる。酵素反応液のpH値については、通常、2〜12、好ましくは7〜11、より好ましくは8〜9の範囲で調節される。pHが高いと、モナティンの原料となるIHOGが自発的にインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸に分解され易く、また、pHが低いと、IHOGが環化し易くアミノ化できなくなるので好ましくない。モナティンの原料となるIHOGの分解反応および環化反応を効果的に抑制するためには、酵素反応液をpH7〜11、より好ましくはpH8〜9の範囲に保つことが好ましい。反応時間については、通常1〜120時間程度、好ましくは1〜72時間程度、更に好ましくは1〜24時間程度が選択される。
尚、酵素反応液中のモナティン又はIHOGを定量する場合、周知の方法を用いて速やかに測定することができる。即ち、簡便にはMerck社製「Silicagel 60F254」等を利用した薄層クロマトグラフィーを利用することができ、より分析精度を高めるには、ジーエルサイエンス社製「Inertsil ODS-80A」、資生堂製「カプセルパック MG」等の逆相カラムやダイセル化学工業(株)製「CROWNPAK CR(+)」等の光学分割カラムを利用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いればよい。
酵素反応終了後、酵素反応液中には、モナティン、IHOG、アミノ基供与体等の可溶成分以外に、酵素源として用いた菌体、菌体破砕物等の不溶成分が含まれる場合がある。本発明においては、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理する前に、予め酵素反応液中に含まれる不溶成分を除去しておくことが好ましい。不溶成分の除去は、遠心分離法、濾過法等の通常の手法によって行うことができる。
〔B〕モナティンの分離方法
本発明においては、モナティンおよび不純物を含有する被処理液を、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理することにより、モナティンを分離する。
ここで、「芳香族環を含有する非極性樹脂で被処理液を処理する」とは、芳香族環を含有する非極性樹脂の表面に被処理液を接触させながら通過させることを意味する。
芳香族環を含有する非極性樹脂は、イオン交換基のような官能基を有しないが、van der Waals力により有機成分を吸着する。芳香族環を含有する非極性樹脂で被処理液を処理すると、被処理液中に含まれるモナティンおよび不純物はそれぞれ芳香族環を含有する非極性樹脂と相互作用し非極性樹脂の表面に吸着する。相互作用の強さは各成分によって異なるので、非極性樹脂の表面に溶出液を流すと、相互作用の弱い成分から順に非極性樹脂から遊離する。この相互作用の差を利用して不純物が含まれる被処理液からモナティンのみを分離することができる。
(B−1)芳香族環を含有する非極性樹脂
本発明においては、分子内に芳香族環を含有する非極性樹脂を用いて被処理液を処理する。このような非極性樹脂は、側鎖に芳香族環を有することが好ましい。また、非極性樹脂は、分子内に高密度に芳香族環を有することが好ましく、具体的には非極性樹脂の分子内に含まれる炭素のうち20%以上、好ましくは50%以上が芳香族環に由来する炭素であることが好ましい。
非極性樹脂の分子内に含まれる芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などを例示することができる。このうち、ベンゼン環が最も好ましい。非極性樹脂の分子内に含まれる芳香族環は、モナティンの分離効率に影響を与えない範囲で置換基を有していてもよく、具体的には、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基等の置換基を有していても良い。このうち、好ましい置換基としてはハロゲン原子を挙げることができ、中でも臭素が特に好ましい。
非極性樹脂の分子内に含まれる芳香族環にハロゲン原子を導入すると、疎水吸着力が高まり、非極性樹脂から有機成分を溶出する際、溶出液を多く必要とする。このため、各成分の溶出時間の差が大きくなり、得られるモナティン画分は他成分の混入の少ない精製度の高いものとなる。
本発明において特に好ましく用いることのできる芳香族環を含有する非極性樹脂としては、スチレンとジビニルベンゼンを重合して得られる三次元架橋構造ポリマーを挙げることができる。ここで、スチレン、ジビニルベンゼンはベンゼン環にハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。芳香族環を含有する非極性樹脂は、スチレン、ジビニルベンゼンから導出される構成単位を主体とする重合体であれば、芳香族環を含有しないモノマー(例えばエチレン等)から導出される構成単位を一部に含んでいても良い。
本発明の好ましい実施の形態としては、芳香族環を含有する非極性樹脂を粒子状にしてカラム中に充填し、このカラム中に被処理液を通液する、いわゆるクロマトグラフィーの手法を用いて処理する方法が挙げられる。
芳香族環を含有する非極性樹脂からなる粒子の平均粒径は、膨潤状態で0.1mm〜1mmが好ましく、0.2mm〜0.4mmがより好ましい。ここでいう平均粒径は有効径算出法によるものである。有効径算出法とは、篩にかけた場合、90vt%の粒子が通過する篩目の径の大きさ(有効径)を算出する方法である。具体的には、粒子を篩目の径の異なる複数の篩にかけ、各篩ごとに残留した粒子の容積を求め、片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、対数確率紙上にプロットする。粒子の残留分の多い順に3点をとり、この3点をできるだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が90%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを有効径とするものである。
粒子の粒度分布は特に限定されないが、均一係数算出法により算出した値で2.0以下であることが好ましい。均一係数は、有効径算出法と同一要領により、残留分累計40%に対応する篩の目の径(mm)を求め、次式によって均一係数を算出する方法である。
均一係数=残留分累計40%に対応する篩の目の径(mm)/有効径(mm)
芳香族環を含有する非極性樹脂からなる粒子の比表面積は200〜2000cm2/g、より好ましくは500〜1500cm2/gであることが好ましい。
芳香族環を含有する非極性樹脂からなる粒子は、多数の細孔を有する多孔粒子であることが好ましい。多孔粒子の細孔半径は、10Å〜500Å、好ましくは30Å〜300Å、より好ましくは50Å〜150Åである。多孔粒子の細孔容積は、樹脂1g当たり1ml以上であることが好ましい。
(B−2)被処理液の処理
被処理液の処理温度は0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜50℃である。温度が低すぎると被処理液から結晶が析出し収率が低下する。また、温度が高すぎると分解や着色等が起こりモナティンの品質が低下する。
芳香族環を含有する非極性樹脂の表面に被処理液を接触させると、被処理液中に含まれるモナティンおよび不純物はそれぞれ非極性樹脂と相互作用し非極性樹脂の表面に吸着する。相互作用の強さは各成分によって異なるので、相互作用の弱い成分から順に非極性樹脂から遊離する。この相互作用の差を利用して不純物が含まれる被処理液からモナティンを分離することができる。
本発明においては、芳香族環を含有する非極性樹脂の表面に被処理液を接触させた後、溶出液を用いて各成分を溶離展開することが好ましい。
溶出液として使用する溶剤は水と混和する有機溶剤であればよい。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶剤が望ましい。水との混合比率は好ましくは0.1%〜100%、より好ましくは1%〜50%、更に好ましくは5%〜25%がよい。水のみではモナティンの溶出に長時間を要するため、水のみで一旦水溶性不純物を溶出し、後に有機溶剤と水との混和物を用いてモナティンを溶出することもできる。また、アルコール含量が高すぎると他の成分との分離性が低下する。
被処理液のpHは2〜12、より好ましくは7〜11、特に好ましくは8〜9である。強酸性領域ではモナティンが一部ラクタム体やラクトン体に分解する。
また、被処理液がIHOGを含む場合、強酸性及び強アルカリ性ではIHOGが分解し回収できない。具体的には強酸性では、IHOGが環化し易い。この環化反応は不可逆反応であるため、一度環化したIHOGを再生してモナティンの生成反応に再利用することは困難である。また強アルカリ性では、モナティンの原料となるIHOGが自発的にインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸に分解され易くなるので好ましくない。IHOGの分解反応および環化反応を効果的に抑制するためには、被処理液をpH7〜11、より好ましくはpH8〜9の範囲に保つことが好ましい。
芳香族環を含有する非極性樹脂の使用量は、被処理液に含まれるモナティンに対して、20〜200L/mol、より好ましくは50〜100L/molがよい。使用量が少なすぎるとモナティンと他の成分との分離性が低下する。また多すぎると使用する溶出液が増加し経済的ではない。
溶出液を所定時間ごとにサンプリングし、各成分の溶出挙動をHPLCにて測定することにより、モナティンが溶出される溶出容量(溶出液量/樹脂容量(L/L−R))の経験値を確認できる。溶出容量は、処理条件によって異なるが、モナティンおよびIHOGを含有する被処理液を処理する場合、まずIHOGが溶出し、ついでモナティンが溶出する。予めIHOGが溶出される溶出容量、および、モナティンが溶出される溶出容量をそれぞれ把握しておき、各溶出容量において溶出液を回収することにより、IHOG画分、モナティン画分をそれぞれ採取することができる。
以下に実施例を示し本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において、モナティンの定量は、ジーエルサイエンス社製「Inertsil ODS-80A 」(5μm, 6X150mm)又は資生堂製「カプセルパック MG」(5μm, 4.6X250mm)を利用した高速液体クロマトグラフィーにより行った。分析条件は、以下に示す通りである。
ジーエルサイエンス社製「Inertsil ODS-80A 」(5μm, 6X150mm)の場合
移動相:12%(v/v) アセトニトリル/0.05%(v/v) トリフルオロ酢酸水溶液
流速:1.5 ml/min
カラム温度:30℃
検出:UV210nm
本分析条件により、(2S,4S)−モナティン及び(2R,4R)−モナティンは12.1分に、(2S,4R)−モナティン及び(2R,4S)−モナティンは9.7分のリテンションタイムにて分別定量ができる。
資生堂製「カプセルパック MG」(5μm, 4.6X250mm)の場合
移動相A液:(20mM燐酸1カリウム+20mM燐酸2カリウム)水溶液
移動相B液:(20mM燐酸1カリウム+20mM燐酸2カリウム)水溶液/ アセトニトリル=50/50(v/v) 水溶液
タイムプログラム:0→15min A液100% 15min→45min B液75%まで直線グラジエント 45→60min A液100%
分析サイクル:60min
流速:1 ml/min
カラム温度:40℃
検出:UV210nm
本分析条件により、(2S,4S)−モナティン及び(2R,4R)−モナティンは16.3分に、(2S,4R)−モナティン及び(2R,4S)−モナティンは12分に、IHOGは11分のリテンションタイムにて分別定量ができる。
また、必要に応じて、ダイセル化学工業製光学分割カラム「CROWNPAK CR(+)」(4.6X150mm)を利用した高速液体クロマトグラフィーによる分析も行った。分析条件は以下に示す通りである。
移動相:過塩素酸水溶液(pH1.5)/10%(v/v)メタノール
流速:0.5 ml/min
カラム温度:30℃
検出:UV210nm
本条件によりモナティン光学異性体は(2R,4S)、(2R,4R)、(2S,4R)、及び(2S,4S)の順に42分、57分、64分、及び125分のリテンションタイムにて分別定量ができる。
実施例1
参考例1の方法にてIHOGからモナティン生成させることにより取得した酵素反応液121.84g((2R、4R)−モナティン(以下(RR)monatinと表記する場合がある) 2.72wt%)を合成吸着剤(三菱化学製DIAION−SP207)が600ml充填された樹脂塔(直径4cm)に通し、流速7.5ml/分で純水を3時間通液し、更に流速7.5ml/分で15%2−プロパノール水溶液を3時間通液し、2.6〜3.5(溶出液量/樹脂容量(L/L−R))を収集することにより、(2R、4R)−モナティンをほぼ定量的に分取した。
図1に酵素反応液の分離パターンを示す。図1において、PAはIHOGの分解反応及びD−アラニンのアミノ基転移反応によって生じたピルビン酸を表している。IHOG−aはIHOGの環化反応によって生じた1,3-Dihydroxy-2,3,4,9-tetrahydro-1H-carbazole-1,3-dicarboxylic acid(下記化学式参照)を表している。また、IHOG−bは、インドール−3−ピルビン酸とピルビン酸のアルドール縮合反応によりIHOGを合成する際に副生物として生じた2-Hydroxy-3-(1H-indol-3-yl)-2-methyl-4-oxo-pentanedioic acid(下記化学式参照)をそれぞれ表している。
Figure 0004760375
得られたモナティン画分を13.3gまで濃縮し、2−プロパノール64mlを添加して10℃で16hr撹拌した。結晶をろ過した後、得られた湿結晶3.0gを水10mlに溶解し、2−プロパノール30mlを35℃で添加し、更に35℃で2−プロパノール30mlを2時間かけて滴下した。溶液を室温に冷却し、結晶をろ過した後、減圧乾燥にて(2R、4R)−モナティンのK塩2.59gを得た。(area純度97.4%)
実施例2〜9、比較例1
表1に示す合成吸着剤(三菱化学製)が40ml充填された樹脂塔(直径4cm)に酵素反応モデル液2mlを注入した。使用した酵素反応モデル液中の各組成含量は、モナティン0.24mmol、アラニン1mmol、IHOG 0.24mmol、IPA(インドールピルビン酸) 0.17mmolである。表1記載の移動層にて通液し、所定時間ごとに溶出液をサンプリングし各成分の溶出挙動をHPLCにて測定した。
表1に各成分の平均溶出容量(L/L−R)を示す。ここでの平均溶出容量(L/L−R)は加重平均法にて算出した値である。
また、表1に記載の合成吸着剤の化学構造および性質について、表2に示す。なお、表2に記載の見掛密度、水分、有効径および均一係数は下記の方法により算出した値である。
見掛密度=樹脂重量(wet−g)/樹脂容量(L−R)
樹脂容量は、基準形(膨潤状態)で計測した値であり、樹脂重量は、基準形にした樹脂を遠心分離して付着水分を除いた後に計測した値である。
水分(%)=乾燥減量(g)×100/樹脂重量(wet−g)
樹脂重量は、基準形にした樹脂を遠心分離して付着水分を除いた後に計測した値であり、乾燥減量は樹脂重量を計測後105℃±2℃の恒温乾燥機中で4時間乾燥し、デシケータ中に30分放冷した後に計測した値である。
有効径
有効径算出法により算出した樹脂の粒度
均一係数
均一係数算出法により算出した樹脂の粒度分布
Figure 0004760375
Figure 0004760375
比較例2
強酸性樹脂(三菱化学製DIAION−PK208 Na型)50mlに、モナティン300mgとアラニン484mgを含む水溶液10mlを注入し、流速1ml/分で純水を通液したがモナティンはアラニンと分離されずに溶出した。
比較例3
塩基性樹脂(三菱化学製DIAION−WA30)25mlにモナティン250mgとアラニン534mgを含む水溶液10mlを注入し流速1ml/分で純水を通液した。アラニンは溶出分離されたが、モナティンは溶出されず樹脂に吸着されたままであった。
<参考例1> 酵素反応液の調製
[I] Bacillus macerans AJ1617株由来dat遺伝子(以下、bmdat)のクローニングと発現プラスミドの採取
(1)染色体DNAの調製
Bacillus macerans AJ1617株を50 mlのブイヨン培地を用いて30℃で一晩培養した(前培養)。この培養液5mlを種菌として、50 mlのブイヨン培地を用いて本培養を行った。対数増殖後期まで培養した後、培養液50 mlを遠心分離操作(12000x g、4℃、15分間)に供し、集菌した。この菌体を用いて定法に従って染色体DNAを調製した。
(2)遺伝子ライブラリからのbmdat遺伝子の単離
まず、Bacillus macerans AJ1617株の染色体DNA30μgに制限酵素EcoRIを1U添加し、37℃にて3時間反応させて部分消化した。次にこのDNAからアガロースゲル電気泳動にて3〜6kbpの断片を回収した。これをプラスミドpUC118のEcoRI切断物(BAP処理済み・宝酒造製)1μgにライゲーションし、E. coli JM109を形質転換して遺伝子ライブラリを作製した。これをアンピシリン 0.1 mg/mlを含むLB培地(トリプトン1%、酵母エキス0.5 %、塩化ナトリウム1%、寒天2%、pH7.0)にプレーティングして、コロニーを形成させた。出現したコロニーをアンピシリン 0.1 mg/mlとイソブチル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)を0.1 mM含むLB液体培地1mlに接種し、37℃で一晩培養した。培養液200〜400μlを遠心分離により集菌・洗浄し菌体を得た。得られた菌体を、100 mM Tris−HCl (pH8.0)、50mM ピルビン酸ナトリウム、100mM D−グルタミン酸、1 mM ピリドキサール−5'−リン酸、1% (v/v)トルエンからなる反応液200μlに接種し、30℃で30分間反応させた。反応終了後、反応液を遠心分離した上清5μlを200μlのピルビン酸定量反応液(100 mM Tris−HCl (pH 7.6)、1.5 mM NADH、5 mM MgCl2、16 U/ml Lactate dehydrogenase(オリエンタル酵母製))を含む96ウェルプレートに加え、30℃で10分間反応させた後に340nmの吸光度をプレートリーダー(SPECTRA MAX190、Molecular Device社製)を用いて測定した。同様の反応を終濃度0.2 mM 〜1 mMのピルビン酸ナトリウムを添加して実施し、これをスタンダードとしてピルビン酸の減少量を定量し、D−アミノトランスフェラーゼ(以下、DAT)活性を検出した。
上記のDAT活性クローンのスクリーニングにより、DAT活性を示すクローンを採取した。この形質転換体よりD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドを調製し、pUCBMDATと命名した。プラスミドpUCBMDATをEcoRI処理してアガロースゲル電気泳動に供したところ、挿入断片の長さは約3.3kbpと見積もられた。
(3)挿入断片の塩基配列
プラスミドpUCBMDATの挿入断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定したところ、配列表6に示す配列のうち、630番から1481番に対応する約850bpからなるORFを見出した。本ORFについて既知配列との相同性検索を行ったところ、Bacillus sphaericus ATCC10208株由来のD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子とアミノ酸配列において91%の相同性を、Bacillus sp. YM-1株由来のD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子とアミノ酸配列において66%の相同性を、Bacillus licheniformis ATCC10716株由来のD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子とアミノ酸配列において42%の相同性を示した。なお、ここでの相同性は、遺伝子解析ソフト「genetyx 6」(GENETYX社)を用い、各種パラメータは初期設定の通りとして算出した値である。この結果より、本ORFはD−アミノトランスフェラーゼ遺伝子をコードしていることが明らかとなった。
[II] 変異型BMDAT発現プラスミドの作製
部位特異的変異(Site-Directed mutagenesis)による変異型BMDAT発現プラスミドの作製には、STRATAGENE社製QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kitを使用した。まず、目的とする塩基置換を導入し、かつ2本鎖DNAのそれぞれ鎖に相補的になるように設計した合成オリゴDNAプライマーをそれぞれ(2本1組)合成した。作製した変異型酵素と変異導入に使用した合成オリゴDNAプライマーの配列を表3に示す。変異型酵素の名称についてであるが、「野生型酵素でのアミノ酸残基→残基番号→置換したアミノ酸残基」の順に表記する。例えばS243N変異型酵素は野生型酵素の243番目のSer(S)残基をAsn(N)残基に置換した変異型酵素であることを意味する。
Figure 0004760375
該キットの方法に従い、[I]にて採取した野生型BMDAT発現プラスミドpUCBMADTを鋳型として変異型プラスミドpS243N/A182Sを作製した。pS243N/A182Sの作製方法を説明する。まず、pS243Nの作製にあたっては、pUCBMDATを鋳型としてプライマーS243N-S, S243N-ASを用いて、以下の条件で変異型BMDAT発現プラスミドを増幅することによって、pS243Nを作成した。
95℃ 30秒
55℃ 1分
68℃ 8分 ×18サイクル
メチル化DNAを認識して切断する制限酵素DpnI処理によって鋳型pUCBMDATを切断した後に、得られた反応液でE.coli JM109を形質転換した。形質転換体よりプラスミドを回収して塩基配列を決定し、目的とする塩基置換が導入されていることを確認した。
次いで、pS243Nを鋳型としてプライマーA182S-S、A182S-ASを用いて同様の操作を行うことによりpS243N/A182Sを作製した。
[III] S243N/A182S変異型BMDATを用いた(±)−IHOGの2R-モナティンへの変換
(1)菌体の調製
pS243N/A182Sを持つE. coli形質転換体を0.1mg/ml アンピシリンを含む3mlのLB培地(バクトペプトン 1g/dl、酵母エキス 0.5g/dl、NaCl 1g/dl)に接種し、37℃、16時間シード培養した。この培養液2.5mlを、0.1mg/ml アンピシリン、0.1mM IPTGを含むカザミノ酸培地(0.5g/dl 硫酸アンモニウム、0.14g/dl KH2PO4、0.23g/dl クエン酸・2Na・3H2O、0.1g/dl MgSO4・7H2O、2mg/dl FeSO4、2mg/dl MnSO4、2mg/dl 塩酸ピリドキシン、0.1mg/dl thiamine、1g/dl カザミノ酸、0.3g/dl グリセロール、pH7.5)50mlを張り込んだ500ml容坂口フラスコに添加し、37℃、18時間振とう培養した。得られた培養液より集菌、洗浄し、S243N/A182S変異型BMDAT発現E. coliを調製した。
(2)IHOGアミノ化反応
上記(1)にて、240ml培養液より集菌・洗浄して調製した菌体を、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.3)、244mM (±)−IHOG、600mM DL−Ala、1mM ピリドキサール−5’−リン酸からなる反応液120mlに懸濁し、37℃で24時間攪拌し、反応を実施した。なお、ここで使用した(±)−IHOGは後述する参考例2の方法により取得されたものである。
反応中のpHの低下を防ぐため、1N KOHにてpHをpH8.4±0.1に制御した。その結果、24時間で79.2 mMの(2R,4R)−モナティンが反応液中に蓄積した(対4R−IHOGモル収率65%)。得られた反応液を5000rpmで10分間遠心分離して上清を取得した。この上清を実施例1の酵素反応液として用いた。
<参考例2> IHOGの合成
水酸化カリウム18.91g(286.5mmol、含量85重量%)を溶解した水64.45mlに、インドール−3−ピルビン酸7.50g(35.8mmol、 含量97.0重量%)とオキサロ酢酸14.18g(107.4mmol)を加えて溶解させた。この混合溶液を35℃にて24時間攪拌した。
更に、3N−塩酸40.0mlを加えて中和(pH=7.0)し、153.5gの反応中和液を得た。この反応中和液には、IHOGが5.55g含まれており、収率53.3%(対インドール−3−ピルビン酸)であった。
この反応中和液に水を加え、168mlとし、合成吸着剤(三菱化学製 DIAION−SP207)840mlにて充填された樹脂塔(直径4.8cm)に通液した。更に、流速23.5ml毎分にて純水を通液し、1.73〜2.55 (L / L−R)を収集することにより、高純度のIHOGを3.04g含む水溶液を、収率54.7%(樹脂への投入量に対して)にて得た。
(NMR測定)
1H-NMR(400MHz, D2O): 3.03 (d, 1H, J = 14.6 Hz), 3.11(d, 1H, J = 14.6 Hz), 3.21(d, 1H, J= 18.1 Hz), 3.40 (d, 1H, J = 18.1 Hz), 7.06-7.15 (m, 3H), 7.39 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.66 (d, 1H, J = 7.8 Hz).
13C-NMR(100MHz, D2O): 35.43, 47.91, 77.28, 109.49, 112.05, 119.44, 119.67, 121.91, 125.42, 128.41, 136.21, 169.78, 181.43, 203.58
<参考例3> IHOGのpH安定性の評価
[I] IHOGアミノ化反応液中におけるpH安定性
IHOGアミノ化反応液中でのIHOGの安定性を試験するために、IHOGアミノ化反応溶液の菌体無添加区でのIHOGの経時変化を測定した。100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.3)、300mM (±)IHOG、600mM DL−Ala、1mM ピリドキサール−5´−リン酸からなる反応液1mlを含む試験管を、37℃で40時間振とうし、反応を実施した。その結果、(±)IHOGの残存率は16時間後に81%、24時間後に70%、40時間後には57%にそれぞれ減少しており、IHOGが経時的に分解していることが明らかとなった。これは反応液中でIHOGがインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸に分解する分解反応や、IHOGの環化反応が生じることが原因であると推察される。
[II] 緩衝液中におけるpH安定性
pHの異なる40mMリン酸カリウム緩衝液中でのIHOG(0.54mM)の残存率を測定した。保存温度35℃とした。
Figure 0004760375
本発明により、甘味料等として期待できるモナティンのなかでも最も甘味度の高い(2R,4R)−モナティンを酵素反応を利用して効率良く製造することができるので、本発明は工業上、特に食品の分野において極めて有用である。
第1図は、酵素反応液の分離パターンを示す図である。

Claims (8)

  1. 4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸およびモナティンを含有する被処理液を、芳香族環を含有する非極性樹脂で処理することにより、前記被処理液から4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸とモナティンとを分離する工程を含むことを特徴とする4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  2. 前記芳香族環を含有する非極性樹脂は、芳香族環にハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有していてもよいスチレンおよびジビニルベンゼンの共重合体であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  3. 前記被処理液の処理を、pH7〜11の範囲内で行うことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  4. 前記被処理液を、前記芳香族環を含有する非極性樹脂で処理する際、水とアルコールとの混合溶剤を溶出液として用いることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  5. 前記被処理液が、無機塩基及び有機塩基から選ばれる少なくとも1種の塩基を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  6. 前記被処理液は、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸をアミノ化してモナティンを生成する反応を触媒するアミノトランスフェラーゼ、および、アミノ基供与体の存在下で、4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸をアミノ化反応させることによって得られる酵素反応液であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  7. 前記アミノ基供与体は、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれる少なくとも1種類のアミノ酸であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法。
  8. 請求の範囲第6項または第7項に記載の4−(インドール−3−イルメチル)−4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸の回収方法を含む、モナティンの製造方法。
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