JP2004331644A - モナチン類の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 甘味成分モナチンの効率的且つ簡便な不斉合成方法を提供する。
【解決手段】 化学式(8)で示される新規ラクトン及び下記化学式(7)で示される新規化合物を製造中間体として用いた(2S,4S)型モナチンの製造方法。
また、化学式(14)の中間体を用いるとモナチンの立体異性体が効率よく得られる。
【化1】
Figure 2004331644

【化2】
Figure 2004331644

【化3】
Figure 2004331644

【選択図】 なし

Description

本発明は天然甘味物質モナチン類の不斉合成法及びその合成前駆物質に関し、さらに詳細には、(2S,4S)型モナチン及びエピモナチン、エントモナチンの効率的な合成に有用な新規化合物、それらの製造法、それらの合成前駆物質としての使用に関する。
下記式(10)で示されるモナチン[(2S,4S)-4-hydroxy-4-(indol-3-ylmethyl) glutamic acid、以下文中において(2S,4S)型モナチン又はモナチンと表記]は1992年に南アフリカの灌木の根から単離構造決定された高度に甘味を有する4-置換-4-ヒドロキシグルタミン酸であり、その甘味は重量換算でショ糖の1000〜1400倍と検定されている(非特許文献1)。
Figure 2004331644
モナチン及びその誘導体の製造の従来技術として、非特許文献2、非特許文献3、及び特許文献1が挙げられる。
後述する非特許文献及び特許文献において公開されているモナチンの製造方法は、何れもモナチンが有する4-ヒドロキシグルタミン酸の2位炭素に結合するアミノ基の立体化学、及び4位炭素に結合するカルボキシル基とインドール-3-イルメチル基の立体化学を制御した合成に成功していない。
特許文献1においては、モナチンの合成の出発物質としてD-セリンを用いて(R)-体のγ-ラクトンを合成し、同ラクトンに対してアルキル化によるインドール-3-イルメチル基の導入を行い下記一般式(20)で示される化合物を得た後、ラクトン環の開環反応を行い、モナチン及びそのジアステレオマーである13-epi-モナチン[(2R,4S)-4-hydroxy-4-(indol-3-ylmethyl) glutamic acid](本明細書中において2−エピモナチンと記述する)との混合物を得るという手法が公開されている。さらに、上記特許文献1には、L-セリンを出発物質として用い、モナチンの異性体である11-epi-モナチン[(2S,4R)-4-hydroxy-4-(indol-3-ylmethyl) glutamic acid](本明細書中において4−エピモナチンと記述する)及びent-モナチン[(2R,4R)-4-hydroxy-4-(indol-3- ylmethyl) glutamic acid]
(本明細書中においてエントモナチンと記述する)を合成する手法が公開されている。
Figure 2004331644
ただし、上記式(20)において、R、R及びR10はそれぞれ独立して水素又は保護基を示す。
なお、非特許文献4には本発明に係る原材料(出発物質)の1つである化学式(3)のニトロンの相互エナンチオマーの合成方法が記載されている。
Structure elucidation of monatin, a high-intensity sweetener isolated from the plant scherocjiton ilicifolius. R. Vleggaar, L. G. J. Ackerman, and P. S. Steyn, J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 1992, 3095.
A simple cycloaddition approach to a racemate of the natural sweetner Monatin. C. W. Holzapfel,K. Bischofberger, and J. Olivier, Synth. Commun. 1994, 24, 3197.
Total synthesis of monatin. K. Nakamura, T. J. Baker, and M.Goodman, Org. Lett. 2000, 2, 2967.
Design, synthesis, and 1,3-dipolar cycloaddition of (5R)- [and (5S)]-5,6-dihydro-5-phenyl-2H-1,4-oxazin-2-one N-oxides as chiral (E)-geometry-fixed alpha-alkoxycarbonylnitrones. O. Tamura, K.Gotanda, J. Yoshino, Y. Morita, R. Terashima, M. Kikuchi, T. Miyawaki, N. Mita, M. Yamashita, H. Ishibashi, and M. Sakamoto, J. Org. Chem. 2000, 65, 8544
特開2002−60382号公報
しかし、特許文献1において公開されている手法は、式(20)で示される化合物の立体異性体の混合物からカラムクロマトグラフィーによる分離により、式(20)で示される化合物を単体として得た後、同化合物(20)の修飾基の脱離反応及びラクトン環の開環反応を行い、13-epi-モナチン(2−エピモナチン)及びそのジアステレオマーであるモナチンの混合物を得て、これを高速液体クロマトグラフィーによりジアステレオマーとの分離を行い、更に陽イオン交換樹脂のカラムに通す事によりモナチンの光学活性体を得るという非効率的且つ収率の低い(全10工程で総収率は1.42%)方法である。
これらの不斉合成を選択的に行うという課題を克服するために、まず、本発明においては後述するアルコール(102)と六員環状ニトロン(3)とのLewis酸存在下での立体選択的付加反応を行い、引き続き水酸基及びインドール環窒素の保護を行った後に水酸基の保護基の脱保護を行うことにより、式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を得た後、
同化合物(7)に対して加水素分解を行う事により得られる新規ラクトン(8)を用いた(2S,4S)型モナチンの収率の高い製造法を提供する事を目的とする。
また、効率的なモナチンの合成という課題を解決するために、本発明においてはアルコール(12)と六員環状ニトロン(3)とのLewis酸存在下での立体選択的付加反応により、式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を合成する手法を更に示し、工程数が少なく簡便な(2S,4S)型モナチンの製造法を提供する事を目的とする。
さらには、化学式(14)からなる新規中間体(カルボキシラート)の提供によるモナチンの立体異性体(ジアステレオマー、鏡像異性体)の効率的な製造方法の提供を目的とする。
本発明の請求項1記載のラクトンは、下記一般式(8)で示されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載の化合物は、下記一般式(7)で示されることを特徴とする。
Figure 2004331644
Figure 2004331644
ただし、上記式(8)及び(7)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素又は保護基を示す。
これらの発明によれば、4-置換-4-ヒドロキシグルタミン酸誘導体である(2S,4S)型モナチンの効率的な合成に極めて有用な前駆物質を提供することが可能である。
本発明の請求項3記載の下記式(10)で示される(2S,4S)型モナチンの製造方法は、下記一般式(1)で示されるエステルから請求項2記載の化合物(7)を合成する第一のステップと、
上記化合物(7)の加水素分解を行い、イソキサゾリジン環のN−O結合およびベンジル位の切断を行ってラクトン環への巻き直しを行い、次いでラクトン環に結合するアミノ基を保護して請求項1記載のラクトン(8)を合成する第二のステップと、
上記ラクトン(8)のヒドロキシメチル基をカルボキシル基に酸化し、次いでインドール環窒素及びアミノ基の保護基を脱保護した後、ラクトン環の加水分解による開環反応を行う第三のステップを有する事を特徴とする。
Figure 2004331644
Figure 2004331644
ただし、上記式(1)中、R7はアルキル基又は置換フェニル基を示す。
この発明によれば、4-置換-4-ヒドロキシグルタミン誘導体である(2S,4S)型モナチン(10)の製造工程における第一のステップの製造中間体である化合物(7)を効率的に且つ簡便に製造する事が可能であり、また引き続き行われる第二のステップの製造中間体であるラクトン(8)を効率よく製造する事が出来る。
さらに、第三のステップにおいて上記ラクトン(8)のラクトン環の加水分解を行うことにより、光学活性な(2S,4S)型モナチン(10)を高収率で製造することが可能である。
本発明の請求項4記載の、前記式(10)で示される(2S,4S)型モナチンの製造方法は、請求項3記載の発明を前提として、前記第一のステップにおいて、請求項2記載の化合物(7)の合成は、
前記式(1)で示されるエステルを還元して下記式(102)で示されるアルコールを合成し、同アルコール(102)と下記一般式(3)で示される六員環状ニトロンとをLewis酸の存在下において立体選択的に反応させ、前記式(7)においてR4及びR5が水素を示す化合物を合成した後、
同化合物の水酸基を保護し、次いでインドール環窒素を保護し、その後水酸基の保護基を脱保護することにより、前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を得る事を特徴とする。
Figure 2004331644
Figure 2004331644
ただし、上記式(3)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
この発明によれば、Lewis酸の存在下においてアルコール(102)と六員環状ニトロン(3)との付加反応が立体選択的に行われ、前記式(7)においてR4及びR5が水素を示す化合物を高収率且つ効率的に合成する事が可能である。
また、同化合物が高収率で得られる事により、水酸基及びインドール環窒素の保護、更には水酸基の脱保護を効率的に行い、前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を高い収率で合成する事が出来る。
本発明の請求項5記載の、(2S,4S)型モナチンの製造方法は、請求項3記載の発明を前提として、前記第一のステップにおいて、請求項2記載の化合物(7)の合成は、
前記エステル(1)のインドール環窒素を保護した後に還元を行って下記一般式(12)で示されるアルコール(12)を合成し、
同アルコール(12)と前記六員環状ニトロンとをLewis酸の存在下において立体選択的に反応させることにより前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を得る事を特徴とする。
Figure 2004331644
ただし、上記式(12)において、R4は保護基を示す。
この発明によれば、Lewis酸の存在下においてアルコール(12)と六員環状ニトロン(3)を反応させる事により、他の中間体を経由することなく前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を合成する事が可能となり、簡便で工程数の少ないモナチンの合成を行うことが可能となる。
本発明の請求項6記載の(2S,4S)型モナチンの製造方法は、請求項4及び請求項5記載の発明を前提として、前記Lewis酸は、マグネシウムブロミドであることを特徴とする。
この発明によれば、マグネシウムブロミドのキレーションコントロールにより立体選択的な付加反応が行われ、前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を効率的に得ることが可能である。
以上に示したように、本発明によれば、モナチンの中間体を立体選択的に且つ極めて高収率に製造することが可能となり、その結果、(2S,4S)型モナチンを従来に比べ遥かに高い収率で合成することが出来る。
また、アルコール(12)と六員環状ニトロン(3)との付加反応を行って化合物(7)を合成することにより、工程数の少ない簡便な(2S,4S)型モナチンの製造を行うことが可能となる。
請求項7記載の下記に示す一般式(14)のカルボキシラートを用いて加水素分解を行い、イソキサゾリジン環のN−O結合およびベンジル位の切断を行ってラクトン環への巻き直しを行い、下記に示すラクトン(15)を合成し、ラクトン環の加水分解による開環反応を行ない、化学式(10a)に示す4−エピモナチン及び化学式(10b)に示すエントモナチンの混合物を効率よく得ることが出来る。
Figure 2004331644
ただし、上記式(14)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
R4は水素又は保護基を示す。
R7はC1〜C6の低級アルキル基を示す。
Figure 2004331644
ただし、上記式(15)中、R4及びR6はそれぞれ独立して水素又は保護基を示す。
R7はC1〜C6の低級アルキル基を示す。
Figure 2004331644
ここで、請求項7記載の一般式(14)に示すカルボキシラートは請求項8に記載のように、六員環状ニトロン(3)とエステル(1)を反応させると効率よく得られる。
Figure 2004331644
ただし、上記式(3)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
Figure 2004331644
ただし、R7はアルキル基又は置換フェニル基を示す。
本発明によれば、新規化合物(7)を効率的に合成することができる。
また、本発明によれば、上記化合物(7)を用いてラクトン環2位のヒドロキシメチル基と4位のアミノ基がシスの立体配置である新規ラクトン(8)を極めて高い収率で合成する事が可能である。
さらに、3ステップで行われる本発明の(2S,4S)型モナチンの製造過程において、上記化合物(7)及びラクトン(8)を中間体として経由することにより、各工程における副生成物の生成を極めて少なく抑える事が可能である。
従って、何れの工程においても目的とする化合物(主生成物)を高い収率で得ることが出来る。
しかも、副生成物の生成率が極めて少ないことから、各工程において最小限の精製過程で主生成物と副生成物の分別を行うことが可能である。
従って、何れの工程においても簡便に合成を行うことができる。
さらに、本発明の第一の実施例におけるモナチンの通算収率は40%であり、特許文献1において紹介されていた工程の通算収率(1.42%)を大きく上回るものである。
このことから、本発明は、収率が高く効率的で、大量生産の可能なモナチンの製造方法を提供する事が出来る。
また、本発明の第二の実施例におけるモナチンの製造過程は6工程と極めて少ない工程数であり、その通算収率は6.8%と従来に比べ高いものである。
従って本発明により、極めて簡便なモナチンの合成方法を提供することが可能である。
また、特に、本発明のモナチンの製造方法において、ラクトン環2位のヒドロキシメチル基と4位のアミノ基がシスの立体配置であるラクトン(8)を中間体として用いることにより、最終の目的生成物である(2S,4S)型のモナチンを極めて高い収率で得ることが出来る。
すなわち、本発明のモナチンの製造方法によれば、従来の技術では困難であった(2S,4S)型モナチンの不斉合成を効率的且つ簡便に行うことが出来る。
さらに、本発明のモナチンの製造方法は、その大部分の工程を常温で行うことが可能であることから、製造工程において精密な温度管理が不要であり、温度設定を含めた製造工程の管理を容易に行うことが可能である。
したがって、製造価格の低減を図ることが出来る。
このように、本発明によれば、モナチンの不斉合成を高い収率で効率的に、且つ簡便に行うことが可能である。
加えて、本発明の新規化合物(7)、及び新規ラクトン(8)は、モナチンの製造中間体としての使用に限らず、4-置換-4-ヒドロキシグルタミン酸誘導体の不斉合成法に広く用いることが可能である。
本発明においては、ニトロン(3)とエステル(1)を常温で反応させるだけで、収率良く、カルボキシラート(14)が得られ、これを加水素分解及び加水分解することにより開環させるだけで、化学式(10a)に示す(2S,4R)体の4−エピモナチン及び化学式(10b)に示す(2R,4R)体のエントモナチンの混合物を効率よく得ることが出来る。
これは、特許文献1(特開2002−60382号公報)に記載の方法が9工程からなるのに対して3工程で済み、効率が良く、収率も高い。
なお、本発明に係るモナチンの製造方法において、非特許文献4に記載されているニトロンの鏡像異性体を出発物質として用いると、モナチンの鏡像異性体である(2R,4R)体のエントモナチン、及び(2R,4S)体の2−エピモナチンが容易に得られる。
本発明のモナチンの合成過程は、新規化合物(7)及び新規ラクトン(8)の合成を中心として、以下に示すステップに分けることが出来る。
すなわち、[イ]インドール環を有するエステルをアルコールへと還元し、同アルコールと六員環状ニトロンの付加反応を行いイソキサゾリジン環を有する化合物を合成する第一のステップ、
[ロ]上記化合物のN−O結合及びベンジル位を加水素分解により開裂し、ラクトン環への巻き直しを行い、引き続きラクトン環のアミノ基の保護を行う第二のステップ、
[ハ]上記ラクトンのヒドロキシメチル基を酸化する事によりカルボキシル基へと酸化させた後、ラクトン環を加水分解し、最終生成物としてモナチンを得る第三のステップ、の計3ステップである。
前記[イ]の第一のステップは、更に、同じ化合物を合成する過程を二通りのパターンで行うことが可能である。すなわち、
[イ−A]インドール環を有するエステルをアルコールへと還元し、同アルコールと六員環状ニトロンの付加反応を行いイソキサゾリジン環を有する環化付加体を合成し、同環化付加体の水酸基及びインドール環窒素の保護を行った後に水酸基の保護基の脱保護を行って、イソキサゾリジン環を有し、水酸基を有し、且つインドール環窒素が保護された化合物を合成するAのパターン、
[イ−B]インドール環を有するエステルのインドール環窒素を保護した後にエステルをアルコールへと還元し、同アルコールと六員環状ニトロンの付加反応を行い、イソキサゾリジン環を有し、水酸基を有し、且つインドール環窒素が保護された化合物を作製するBのパターン、の二通りである。
第一の実施の形態
以下、前記Aのパターンを踏まえた本発明の第一の実施の形態を、下記式(104)で示される環化付加体(2S,5S,8aS)-2-(ヒドロキシメチル)-2-(インドール-3-イルメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン[(2S,5S,8aS)-2-(Hydroxymethyl)-2-(indol-3-ylmethyl) -5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizin-8-one、以下の文中において環化付加体(104)又は(104)と略称]、下記式(107)で示される新規化合物(2S,5S,8aS)-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-2-(ヒドロキシメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン、[(2S,5S,8aS)-2-(1-tert -Butyloxycarbonylindol-3-ylmethyl)-2-(hydroxymethyl)-5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizin-8-one、以下の文中において化合物(107)又は(107)と略称]、及び下記式(108)で示される新規ラクトン(2S,4S)-4-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン-5-オン[(2S,4S)-4-tert-Butyloxycarbonylamino-2-(1-tert-butyloxycarbonylindol-3-ylmethyl)-2-(hydroxymethyl)oxolan-5-one、以下の文中においてラクトン(108)又は(108)と略称]を製造中間体として用いる(2S,4S)モナチン(10)の製造法について、全8工程を3ステップに分けて説明する。
Figure 2004331644
Figure 2004331644
ただし、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
Figure 2004331644
ただし、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
第一のステップのAのパターン
下記式(101)に示す2-(インドール-3-イルメチル)プロプ-2-エン酸エチルエステル[Ethyl 2-(indol-3-ylmethyl)prop-2-enoate、以下の文中においてエステル(101)又は(101)と略称]を、
Figure 2004331644
ただし、Etはエチル基を示す。
下記式(102)に示す2-(インドール-3-イルメチル)プロプ-2-エン-1-オール[2-(Indol-3-ylmethyl)prop-2-en-1-ol、以下の文中においてアルコール(102)又は(102)と略称]に還元する。
Figure 2004331644
エステル(101)を還元してアルコール(102)を効率よく製造することが出来る。還元剤としては通常のヒドリド系還元剤が用いられるが、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)が望ましい。
下記式(103)に示す(S)-3-フェニル-2H,3H-1,4-オキサジン-6-オン4-オキシド[(S)-3-Phenyl-2H, 3H-1,4-oxazin-6-one 4-oxide、以下の文中において六員環状ニトロン(103)又は(103)と略称]と、
Figure 2004331644
ただし、Phはフェニル基を示す。
前記アルコール(102)とをLewis酸存在下において反応させると、Lewis酸のキレーションコントロールにより前記環化付加体(104)を極めて立体選択的に且つ効率よく製造することが出来る。
Lewis酸としては多座配位型のものが用いられるが、マグネシウムブロミドが望ましい。
本発明においては、六員環状ニトロンの3位の置換基はフェニル基が望ましいが、その他に考えうる置換基としては置換フェニル基もしくは置換ナフチル基が挙げられる。また、同ニトロンの2位炭素には水素が結合している事が望ましいが、その他の置換基としては立体障害性から考えて炭素数1から6のアルキル基もしくは置換フェニル基が望ましい。
環化付加体(104)の4位のヒドロキシメチル基の水酸基を、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)を用いて保護することによりO−保護体、即ち、式(105)に示す(2S,5S,8aS)-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-(インドール-3-イルメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン[(2S,5S,8aS)-2-(tert-Butyldimethyl silyloxymethyl)-2-(indol-3-ylmethyl)-5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizin-8-one、以下の文中においてO−保護体(105)又は(105)と略称]を製造することが出来る。なお、保護基としてはシリルエーテル系保護基、テトラヒドロピラン-2-イル基などエーテル系保護基が用いられるがtert-ブチルジメチルシリル基が望ましい。
Figure 2004331644
ただし、Phはフェニル基を、TBSは保護基であるtert-ブチルジメチルシリル基を示す。
O−保護体(105)のインドール環窒素を、例えば4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)存在下での二炭酸ジ-tert-ブチル(BocO)で保護し、式(106)で示す化合物(2S,5S,8aS)-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン[(2S,5S,8aS)-2-(tert-Butyldimethylsilyloxymethyl)-2-(1-tert-butyl oxycarbonylindol-3-ylmethyl)-5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizin-8-one、以下の文中において化合物(106)又は(106)と略称]を製造することが出来る。
Figure 2004331644
ただし、Phはフェニル基、TBSは保護基であるtert-ブチルジメチルシリル基、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
前記O−保護体のインドール環窒素のtert-ブチルオキシカルボニル基による保護を行う際には通常のアミンを用いることができるが、4-ジメチルアミノピリジンが望ましい。
化合物(106)の水酸基の保護基を脱保護することにより、式(107)に示す化合物(2S,5S,8aS)-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-2-(ヒドロキシメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン、[(2S,5S,8aS)-2-(1-tert- Butyloxycarbonylindol-3-ylmethyl)-2-(hydroxymethyl)-5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizin-8-one、以下の文中において化合物(107)又は(107)と略称]を製造することが出来る。脱保護剤としては緩和な酸、およびフッ素系脱保護剤を用いることができるが、テトラヒドロフラン溶液中で、ピリジニウムポリヒドロゲンフルオリドを用いることが望ましい。
Figure 2004331644
ただし、Phはフェニル基、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
第二のステップ
化合物(107)の加水素分解を行うと同時にラクトン環の巻き直しを行い、同ラクトン環のアミノ基を保護することにより、ラクトン環に結合する2位のヒドロキシメチル基及び4位の保護されたアミノ基の立体配置がシスである前記ラクトン(108)を製造することが出来る。加水素分解の触媒としては、ラネイニッケル、パラジウム炭素等を用いることができるが、水酸化パラジウムを用いることが好ましい。アミノ基の保護基としては、通常のアミノ基の保護基であるベンジルオキシカルボニル基又はホルミル基等を用いることができるが、tert-ブチルオキシカルボニル基が望ましい。
Figure 2004331644
ただし、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
第三のステップ
ラクトン(108)のヒドロキシメチル基の酸化反応を行うことにより、下記式(109)で示されるカルボン酸、(2S,4S)-4-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-5-オキソオキソラン-2-カルボン酸[(2S,4S)-4-tert-Butyloxycarbonylamino-2-(1-tert-butyloxycarbonylindol-3-ylmethyl)-5-oxooxolane-2-carboxylic acid、以下文中においてカルボン酸(109)又は(109)と略称]を製造することが出来る。
酸化剤としては、各種重クロム酸系酸化剤または金属触媒存在下における酸素等を用いることができるが、重クロム酸ピリジニウムが望ましい。
Figure 2004331644
ただし、Bocは保護基であるtert-ブチルオキシカルボニル基を示す。
ラクトン環に結合する2位ヒドロキシメチル基と4位アミノ基(保護されたもの)の立体配置がシスであるカルボン酸(109)の、インドール環窒素及びラクトン環のアミノ基からの脱Boc化反応と加水分解反応を行うことにより下記式(10)で示される(2S,4S)型モナチンを製造することが出来る。
Figure 2004331644
(モナチンの全合成)
以上を整理して前記Aパターンを経由した(2S,4S)型モナチンの合成経路を下記に示す。
(Aパターンを経由した全合成経路)
Figure 2004331644
第一のステップにおいてAパターンを経由した場合、以上に示した3ステップ8工程の合成反応でモナチン(10)を製造する事が可能であり、この製造方法は従来に比べて極めて収率が高く効率的な方法である。
第二の実施の形態
以下、本発明の第二の実施の形態として、前記第一のステップのBパターンに基づく化合物(107)の合成経路について説明する。
第一のステップのBのパターン
前記エステル(101)のインドール環窒素を、例えばDMAP存在下、Boc2Oで保護することにより、下記式(111)で示されるエステル、2-[(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール)-3-イルメチル]プロプ-2-エン酸エチル [ethyl 2-{(1-tert-butyloxycarbonylindol)-3-ylmethyl}prop-2-enoate 、以下の文中においてエステル(111)もしくは(111)と略称]を製造できる。
Figure 2004331644
化合物(111)を例えばDIBAL-Hで還元することにより下記式(112)で示す2-{(1−tert-ブチルオキシカルボニルインドール)−3−イルメチル}プロプ-2-エン-オール[2-{(1-tert-butyloxycarbonylindol)-3-ylmethyl}prop-2-en-1-ol、以下の文中においてアルコール(112)又は(112)と略称]を製造できる。
Figure 2004331644
化合物(112)と六員環状ニトロン(103)をマグネシウムブロミド存在下で反応させることにより化合物(107)を製造できる。
以上を整理して、前記Bパターンでの化合物(107)の合成経路を示す。
(Bパターンの合成経路)
Figure 2004331644
前述したように、第一のステップにおいてBパターンを辿った場合、3工程で化合物(107)を合成することが可能である。この(107)を引き続き前記第一の実施の形態と同様に (2S,4S)型モナチンの製造に用いた場合、全製造過程が6工程となり、極めて簡便に(2S,4S)型モナチンを合成することが可能である。
以上に記述した製造方法は本発明の代表的な好ましい例として示すもので、本発明はこれ等に限定されるものではない。
(第一の実施例)
以下、本発明の新規化合物(7)及び新規ラクトン(8)の用途の一例として、化合物(2S,5S,8aS)-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-2-(ヒドロキシメチル)-5-フェニル-1,5,6,8a-テトラヒドロ-3,7-ジオキサインドリジン8-オン(107)及びラクトン(2S,4S)-4-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(1-tert-ブチルオキシカルボニルインドール-3-イルメチル)-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン-5-オン(108)を中間体として用いたモナチンの製造方法を、前記Aパターンを経由した実施例について詳細に説明する。
融点(mp)は全て未補正であり,柳本社製MP-S2型融点測定装置を用いて測定した。
赤外吸収(IR)スペクトルは、Shimadzu社製FTIR-8100を使用し測定した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL社製JNM-EX270又はJEOL社製JNM-GSX500を使用し、TMS (tetramethylsilane) 又は、重水素置換溶媒の残存水素のシグナルを内部標準として測定した。質量(MS)スペクトルは、Hitachi社製M-80及びJEOL社製JMS-SX102Aを使用し測定した。
旋光度は、HORIBA社製SEPA-300を使用し測定した。
薄層クロマトグラフィー (TLC)は、Merck社製Silica gel PF254 (Type 60, No 1.05715) を使用した。
カラムクロマトグラフイーは、Nacalai Tesque社製Silica gel 60 PF254又はKanto Chemical Co., Inc.製 Silica gel 60 N(spherical, neutral) を担体として使用し,加圧下で行った。
アルコール (102)の製造
エステル(101)はインドールグリニャール(indole Grignard)とブロモメタクリル酸エチルエステル(ethyl bromomethacrylate)を用い非特許文献1に従い製造した。
次に、窒素雰囲気下、−78℃で、エステル(101) (879 mg, 3.83 mmol) の無水ジクロロメタン(CH2Cl2、20 ml)溶液に1 M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)のn-ヘキサン溶液 (10.1 ml、 9.58 mmol) を滴下し30分間撹拌した後、室温まで昇温させ、さらに30分間撹拌した。
次に、−78℃で、反応混合物にメタノール5ml及び水1mlを加えて水酸化アルミニウムゲルとした後、室温まで昇温させ、ジエチルエーテルで希釈して30分間撹拌した。
次に、セライトを加えて30分間撹拌した後にろ過した。
ろ液を減圧濃縮し、粗生成物を得た後、同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン = 1:1)と、再結晶化 (酢酸エチル-ヘキサン) により精製し、アルコール(102)を無色結晶 (612 mg) として得た。
この工程におけるアルコール(102)の収率は85 %であった。
融点は70-71 ℃であった。
(赤外線吸収スペクトル)
IR (CHCl3) 1680, 3480, 3600 cm-1
1H NMRスペクトル)
H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.56(1H, br), 3.55 (2H, s, 4.09 (2H, s), 5.00 (1H, s), 5.10 (1H, s), 6.98 - 7.35 (4H, m), 7.58 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.00 (1H, s)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 29.9, 66.0, 111.3, 111.5, 114.6, 119.6, 119.7, 122.4, 122.8, 128.0, 131.9, 136.9。
(元素分析)
C12H13NO1 Calcd. C 76.98 H 7.00 N 7.48. Found C 76.93 H 7.10 N 7.45。
環化付加体(104)の製造
(S)-フェニルグリシノール[(S)-phenylgrycinol]を用いて非特許文献4の方法により製造した六員環状ニトロン(103) (231 mg, 1.2 mmol) の無水ジクロロメタン(CH2Cl2, 5 ml) 溶液に、窒素雰囲気下、臭化マグネシウム-ジエチルエーテル錯体(MgBr2・OEt2 、465 mg, 1.8 mmol) を加えてしばらく撹拌した後、前記アルコール(102) (337 mg, 1.8 mmol) の無水 ジクロロメタン(CH2Cl2 、10 ml) 溶液を加えた。
72 時間後, 薄層クロマトグラフィー(TLC)分析により六員環状ニトロン(103)の消失を確認後, 飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてしばらく撹拌した後, これをクロロホルムで抽出した。
その有機層を飽和食塩水で洗浄後, 硫酸マグネシウムで乾燥した。
これをろ過して, ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン= 1 : 5) により精製し、 環化付加体(104) (438 mg) を得た。
この工程における環化付加体(104)の収率は98%であった。
(比旋光度)
[α]D 25 +49.10 (c 0.48, CHCl3)。
(赤外線吸収スペクトル)
IR (CHCl3) 1748, 3480, 3605 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.42(1H, br), 2.61 (1H, dd, J = 12.7, 8.8 Hz), 2.80 (1H, dd, J = 12.7, 6.3 Hz), 3.08 (2H, s), 3.59 (2H, br s), 4.17 - 4.32 (4H, m), 6.87 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.01 - 7.45 (8H, m), 7.53 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.12 (1H, s)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 30.8, 38.5, 61.8, 63.3, 67.3, 68.9, 85.9, 110.0, 111.1, 119.0, 119.6, 122.0, 123.8, 127.5, 128.0, 128.5, 128.9, 135.6, 135.9, 169.8。
(元素分析)
C22H22N2O4・1/2H2O、 Calcd C 68.42 H 6.00 N 7.25. Found C 68.60 H 6.10 N 7.02。
O−保護体 (105) の製造
窒素雰囲気下、 0 ℃で環化付加体(104)(900 mg, 2.4 mmol) の無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF 、6 ml) 溶液にイミダゾール (654 mg, 9.6 mmol)とtert-ブチルジメチルシリルクロリド (TBSCl, 434 mg, 2.88 mmol) を加えて 15 分間撹拌し、室温まで昇温した後、更に3時間撹拌した。
この反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出し,有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄した。
これを硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。
同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン= 1 : 4) により精製し、O−保護体(105) (1.14 g) を得た。
この工程におけるO−保護体の収率は97%であった。
当該O−保護体はこれ以上精製せずに次の工程に用いた。
(赤外線吸収スペクトル)
IR (CHCl3) 1745, 3480 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.02 (3H, s), 0.05 (3H, s), 0.93 (9H, s), 2.57 (1H, br dd, J = 12.7, 8.8 Hz), 2.71 (1H, dd, J = 12.7, 8.0 Hz), 3.04 (2H, s), 3.50 (2H, s), 4.07 (1H, dd, J = 9.8, 3.4 Hz), 4.19 (1H, br t, J =10.8 Hz), 4.29 (1H, dd, J = 11.7, 3.4 Hz), 4.36 (1H, br t, J = 8.1 Hz), 7.03 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.23 - 7.44 (9 H, m), 8.11 (1H, br s)。
化合物(106)の製造
窒素雰囲気下、室温で、O−保護体(105)(110 mg, 0.22 mmol) の無水アセトニトリル(CH3CN、4ml) 溶液に、 4-ジメチルアミノピリジン (3 mg, 0.02 mmol)と二炭酸ジ-t-ブチル (210 mg, 0.88 mmol) を加えて1時間撹拌した。
次に、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥した後にろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン= 1 : 6) により精製し、化合物(106) (126.4 mg) を得た。
この工程における化合物(106)の収率は97%であった。
当該化合物(106)はこれ以上精製せずに次の工程に用いた。
(赤外線吸収スペクトル)
IR (CHCl3) 1732 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 0.02 (3H, s), 0.05 (3H, s), 0.92 (9H, s), 1.66 (9H, s), 2.56 (1H, dd, J = 12.9, 8.9 Hz), 2.72 (1H, dd, J = 12.9, 7.9 Hz), 3.04 (2H, s), 3.50 (2H, s), 4.06 (1H, dd, J = 9.2, 3.6 Hz), 4.19 (1H, dd, J = 11.5, 9.2 Hz), 4.30 (1H, dd, J = 11.5, 3.6 Hz), 4.38 (1H, br t, J = 8.2 Hz), 7.03 (1H, br t, J = 7.6 Hz), 7.20 - 7.45 (8H, m), 8.11 (1H, d, J = 8.3 Hz)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 18.3, 19.7, 25.9, 28.2, 30.6, 38.7, 61.6, 63.4, 65.5, 69.5, 83.5, 85.5, 115.0, 115.3, 119.7, 122.5, 124.2, 125.2, 125.8, 127.6, 128.4, 128.8, 131.1, 135.8, 149.6, 169.7。
化合物(107)の製造
0℃で、化合物(106) (120 mg, 0.2 mmol) のテトラヒドロフラン(THF、 2.4 ml)溶液に、70 %ピリジニウムポリヒドロゲンフルオリド (1ml) を加えて30分間撹拌した後、室温まで昇温させ、再度30分間撹拌した。
次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてしばらく撹拌し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
次に乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。
同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン = 1 : 2) により精製し、化合物(107)(102.5 mg) を得た。この工程における化合物(107)の収率は100%であった。
(比旋光度)
[α]D 25 +44.83 (c 0.40, CHCl3)。
(赤外線吸収スペクトル)
. IR (CHCl3) 1732, 3566 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.67 (9H, s), 2.63 (1H, dd, J = 12.7, 8.8 Hz), 2.80 (1H, dd, J = 12.7, 7.3 Hz), 3.01 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.06 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.59 (1H, d, J = 11.7 Hz), 3.63 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.19 (1H, dd, J = 9.3, 3.4Hz), 4.24 (1H, dd, J = 11.2, 9.3 Hz), 4.34 (1H, dd, J = 11.2, 3.4 Hz), 4.36 (1H, br t, J = 7.8 Hz), 7.28 (1H, br t, J = 7.3 Hz), 7.29 (1H, br t, J = 7.3 Hz), 7.32 - 7.41 (6H, m), 7.46 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.11 (1H, br d, J = 7.3 Hz)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 20.0, 28.2, 30.4, 38.4, 61.8, 63.7, 67.1, 69.0, 85.2, 114.8, 115.1, 119.4, 122.6, 124.4, 124.9, 126.0, 128.5, 129.0, 129.5, 130.9, 135.6, 150.0, 170.0。
(元素分析)
C27H30N2O6 、Calcd C 67.40 H 6.47 N 5.65. Found C 67.70 H 6.32 N 5.85。
ラクトン (108)の製造
化合物(107)(20 mg, 0.042 mmol) 及び20%水酸化パラジウム/炭素粉末 (20 mg)のメタノール(0.5 ml) 懸濁液を水素雰囲気下で5時間撹拌した後、 触媒をセライトでろ別し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。同粗生成物をアセトニトリル(CH3CN、 0.5 ml)に溶かし、二炭酸ジ-t-ブチル (46 mg, 0.21 mmol)を加えて24 時間撹拌した。その後反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
次に乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン = 1 : 2) により精製し、ラクトン(108)(15.6 mg)を得た。この工程におけるラクトンの収率は81%であった。
(比旋光度)
[α]D 25 -3.26 (c 0.854, CHCl3)。
(赤外線吸収スペクトル)
IR (CHCl3) 1720, 1780, 3435 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.39 (9H, s), 1.67 (9H, s), 2.23 (1H, br t, J = 10.9 Hz), 2.40 (1H, dd, J = 13.2, 10.6 Hz), 2.72 (1H, br t, J = 5.9 Hz), 2.99 (1H, d, J = 14.8 Hz), 3.11 (1H, d, J = 14.8 Hz), 3.66 (1H, dd, J = 12.2, 6.3 Hz), 3.87 (1H, dd, J = 12.2, 5.3 Hz), 3.93 (1H, m), 5.15 (1H, br s), 7.23 - 7.35 (2H, m), 7.50 (1H, s), 7.57 (1H, br t, J = 6.9 Hz), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 14.1, 22.7, 28.2, 31.3, 31.6, 50.9, 67.4, 84.1, 86.4, 113.6, 115.3, 119.2, 123.0, 124.8, 125.5, 130.5, 135.3, 149.5, 174.8。
(質量スペクトル分析)
HRMS Calcd for C24H32O7N2 460.2210. Found 460.2214。
カルボン酸 (109)の製造
窒素雰囲気下、室温で重クロム酸ピリジニウム (1.62 g, 4.3 mmol) の無水ジメチルホルムアルデヒド(DMF、1 ml)懸濁液に、ラクトン(108)(200 mg, 0.43 mmol) のジメチルホルムアルデヒド(DMF, 2 ml) 溶液を加え、同条件で24 時間撹拌した。
その後10 %クエン酸溶液を加えて撹拌し、混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。
更に 同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:酢酸エチル:酢酸 = 50 : 10 : 1) により精製し、カルボン酸(109)(124 mg)を得た。
この工程におけるカルボン酸の収率は69 %であった。
(比旋光度)
[α]D 25 -22.89 (c 0.328, MeOH)。
(赤外線吸収スペクトル)
. IR (CHCl3) 1709, 1782, 3030 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 1.43 (9H, s), 1.70 (9H, s), 2.51 (1H, br d, J = 11.5 Hz), 2.80 (1H, br d, J = 10.8 Hz), 3.46 (2H, br), 4.04 (1H, t, J = 9.3 Hz), 7.28 (1H, br d, J = 7.3 Hz), 7.33 (1H, br t, J = 7.5 Hz), 7.61 (1H, s), 7.67 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.14 (1H, d, J = 8.3 Hz)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, CD3OD) δ 14.2, 19.3, 28.3, 28.6, 38.6, 30.7, 33.3, 51.5, 80.9, 84.8, 116.6, 117.6, 120.7, 123.9, 125.3, 126.4, 132.4, 136.6, 175.1, 176.8。
(質量スペクトル分析)
HRMS (FAB) Calcd for C24H30N2O8+Na 497.1900. Found 497.1905。
(2S,4S)型モナチン(10)の製造
室温で、カルボン酸(109) (96 mg, 0.2 mmol) のギ酸 (3 ml) 溶液に1N塩酸 (6 ml)を加えて4 時間撹拌し、溶媒を留去し、メタノール (3 ml) に溶解し、1N水酸化ナトリウム (6 ml) を加えて 6時間撹拌した。
次に溶媒を留去した後、pH 3とし、蒸留水 (6 ml) に溶かして陰イオン交換樹脂Amberlite社製IR-120R H+-型(2 g) を加えて6時間撹拌した。
その後ろ過を行い樹脂を蒸留水で徹底的に洗浄した後、樹脂を6Nアンモニア水溶液 (5 ml) 中で1時間撹拌し、ろ過を行い、樹脂を6Nアンモニア水溶液で洗浄し、ろ液の溶媒を留去してモナチン(10)を得た。
この工程におけるモナチンの収率は92%であった。
(比旋光度)
[α]D 25 -10.95 (c 1.0, 1N HCl)。文献値(非特許文献1): [α]D 20 -7.6 (c 1.0, 1N HCl)。
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 2.04 (1H, dd, J = 15.1, 11.7 Hz), 2.66 (1H, br d, J = 15.1 Hz), 3.12 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.32 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.62 (1H, br d, J = 11.2 Hz), 7.19 (1H, br t, J = 7.3 Hz), 7.26 (1H, br d, J = 7.3 Hz), 7.28 (1H, s), 7.53 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.77 (1H, d, J = 8.3 Hz)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, D2O) δ 38.1, 41.7, 56.6, 83.1, 111.9, 114.4, 121.8, 122.0, 124.3, 127.6, 130.7, 138.6, 179.0, 181.8。
本品のスペクトルデータは非特許文献1に記載されているものと一致した。
以上に示した第一の実施例によれば、出発物質のエステル(101)から8工程、通算収率40%でモナチン(10)の合成を行うことが可能であった。
また、前記実施例に示した如く、全反応工程の殆どを室温状態で行うことが可能であった。
さらに、本発明の実施例において得られた最終生成物(10)は天然産のモナチンと同様の強い甘味を呈した。
(第二の実施例)
次に、第二の実施例として、前記第一のステップのBパターンに基づき、エステル(101)から3工程で化合物(107)の製造を行う過程を詳細に説明する。
化合物(111)の製造
エステル(101)(46 mg, 0.2 mmol)に、トリエチルアミン(triethylamine, 85 ml, 0.3 mmol)、 4−ジメチルアミノピリジン(4-dimethylaminopyridine, 3 mg, 0.02 mmol)の無水ジクロロメタン(CH2Cl2, 5 ml) 溶液及び二炭酸ジ-t-ブチル (65.5 mg, 0.3 mmol) を加えて16時間撹拌した。
次に、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥した後にろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン= 1 : 15) により精製し、化合物(111) (64 mg) を得た。
この工程における化合物(111)の収率は97%であった。当該化合物(111)は、これ以上精製せずアルコール (112)の製造に用いた。
1H NMRスペクトル)
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.30 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.66 (9H, s), 3.71 (2H, s), 4.23 (2H, q, J = 6.9 Hz), 5.50 (1H, br s), 6.24 (1H, br s), 7.15-7.50 (4H, m), 8.13 (1H, d, J = 7.9 Hz)
アルコール (112)の製造
窒素雰囲気下、−78℃で、化合物(111) (978 mg, 2.9 mmol) の無水ジクロロメタン(CH2Cl2、10 ml)溶液に1 M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)のn-ヘキサン溶液 (6.09 ml、 6.09 mmol) を滴下し1時間撹拌した後、反応混合物にメタノール5ml及び水0.4mlを加えて室温まで昇温させ、水酸化アルミニウムゲルとした後、ジエチルエーテルで希釈して30分間撹拌した。
次に、セライトを加えて30分間撹拌した後にろ過した。
ろ液を減圧濃縮し、粗生成物を得た後、同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン = 1:3から1:1)で精製し、アルコール(112) (599 mg) として得た。
この工程におけるアルコール(102)の収率は72 %であった。
当該アルコール(102)はこれ以上精製せず化合物(107)の製造に用いた。
1H NMRスペクトル)
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.27 (1H, br s), 1.66 (9H, s), 3.50 (2H, s), 4.12 (2H, br s), 5.00 (1H, br s), 5.15 (1H, br s), 7.15-7.50 (4H, m), 8.12 (1H, d, J = 7.9 Hz)。
化合物(107)の製造
六員環状ニトロン(103) (58 mg, 0.3 mmol) の無水ジクロロメタン(CH2Cl2, 5 ml) 溶液に、窒素雰囲気下、臭化マグネシウム-ジエチルエーテル錯体(MgBr2・OEt2 、116 mg, 0.45 mmol) を加えてしばらく撹拌した後、前記アルコール(112) (129 mg, 0.45 mmol) の無水ジクロロメタン(CH2Cl2 、5 ml)溶液を加えた。
72 時間後, 飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてしばらく撹拌した後, これをクロロホルムで抽出した。
その有機層を飽和食塩水で洗浄後, 硫酸マグネシウムで乾燥した。これをろ過して, ろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、同粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:クロロホルム= 1 : 10) により精製し、 化合物(107) (27 mg) を得た。
この工程における化合物(107)の収率は19%であった。
(比旋光度)
[α]D 25 +44.83 (c 0.50, CHCl3)。
(赤外線吸収スペクトル)
. IR (CHCl3) 1732, 3566 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.67 (9H, s), 2.63 (1H, dd, J = 12.7, 8.8 Hz), 2.80 (1H, dd, J = 12.7, 7.3 Hz), 3.01 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.06 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.59 (1H, d, J = 11.7 Hz), 3.63 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.19 (1H, dd, J = 9.3, 3.4Hz), 4.24 (1H, dd, J = 11.2, 9.3 Hz), 4.34 (1H, dd, J = 11.2, 3.4 Hz), 4.36 (1H, br t, J = 7.8 Hz), 7.28 (1H, br t, J = 7.3 Hz), 7.29 (1H, br t, J = 7.3 Hz), 7.32 - 7.41 (6H, m), 7.46 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.11 (1H, br d, J = 7.3 Hz)。以上の物性値は化合物(106)から得られた化合物(107)のものと一致した。
以上に示したように、第一のステップにおいてBパターンを経由した場合、出発物質のエステル(101)から3工程で化合物(107)の合成を行うことが可能である。さらに、Bパターンを経由して合成された化合物(107)は、前記第一の実施例と同様にラクトン(108)の合成に用いることが出来る。
また、Bパターンを経由して(2S,4S)型モナチンの製造を行った場合の製造過程は6工程であり、通算収率は6.8%である。
次に、4−エピモナチンの合成例を説明する。
ニトロン(103) (140 mg, 0.73 mmol) のジクロロメタン溶液(5 mL)にエステル(101) (250 mg, 1.09 mmol) のジクロロメタン溶液(5 mL)を室温で加え、同温度で2日間撹拌した。
反応液を濃縮後、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル,5:1)で生成し、カルボキシラート(114)[Ethyl (2R,5S,8aS)-2-(Indol-3-ylmethyl)-8-oxo-5-phenyl-1,5,6,8a-tetrahydro-3,7-dioxaindolizine-2-carboxylate ][エチル 2−(インドール−3−イルメチル)−8−オキソ−5−フェニル−1,5,6,8a−テトラヒドロ−3,7−ジオキサインドリジン−2−カルボキシラート] (257 mg, 84%) を得た。
Figure 2004331644
(比旋光度)
[α]29 +40.5 (c 0.4, CHCl3); IR (CHCl3) 1747 cm-1
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHZ, CDCl3) d 1.11 (3H, t, J = 7.3 HZ), 2.85 (1H, dd, J = 13.2, 8.3 HZ), 3.23 (1H, dd, J = 13.2, 9.3 HZ), 3.26 (1H, d, J = 14.7 HZ), 3.30 (1H, d, J = 14.7 HZ), 3.99 (1H, t, J = 8.8 HZ), 4.06 (2H, m), 4.14 (1H, dd, J = 11.7, 10.3 HZ), 4.26 (1H, dd, J = 11.7, 3.4 HZ), 4.30 (1H, dd, J = 10.3, 3.4 HZ), 7.07 (1H, d, J = 2.0 HZ), 7.11 (1H, m), 7.18 (1H, m), 7.33-7.45 (6H, m), 7.64, (1H, d, J = 11.8 HZ), 8.09 (1H, s)。
13C NMRスペクトル)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) d 13.8, 31.5, 40.1, 61.9, 62.1, 63.2, 70.1, 86.1, 108.8, 111.1, 119.1, 119.6, 122.0, 124.0, 127.3, 127.7, 127.9, 128.6, 128.7, 135.3, 135.8, 168.5, 173.1。
(質量スペクトル分析)
HRMS calcd for C24H24N2O5 420.1685, found 420.1689.
(元素分析)
Anal. Calcd for C24H24N2O5: C, 68.56; H, 5.75; N, 6.66. Found: C, 68.29; H, 5.92; N, 6.22。
付加体114(20 mg, 0.0476 mmol) と20%水酸化パラジウム−活性炭 (40 mg) のメタノール (2 mL) 懸濁液を水素雰囲気下室温にて3.5時間撹拌した。
混合物をメタノールで希釈した後セライトで濾過し、濾液を減圧濃縮して下記の化合物を得た。
Figure 2004331644
残さをエタノール (1.5 mL)に溶解し、2N 水酸化ナトリウム水溶液 (0.12 mL) を加えて3時間加熱還流した。放冷後、エタノールを留去し、1N塩酸を加えて弱酸性 (pH 2〜3) とした後Amberlite IR-120(登録商標) (500 mg)を加えて1時間撹拌した。
樹脂を充分に蒸留水で洗浄した後、樹脂を3Nアンモニア水 (5 mL) に加え1時間撹拌した後、濾過した。充分に樹脂を3Nアンモニア水で洗浄し、濾液と洗液を合わせて減圧濃縮して、4−エピモナチン(10a)とエントモナチン(10b)の混合物 (11.1 mg, 79%) を得た。化合物(10a)と化合物(10b)の生成比は1H NMR より算出した。
1H NMRスペクトル)
1H NMR (500 MHZ, D2O) d 2.20 (5/6H, dd, J = 15.1, 9.8 HZ), 2.42 (5/6H, dd, J = 15.1, 3.0 HZ), 2.66 (1/6H, d, J = 15.1 HZ), 3.09 (1/6H, J = 14.7 HZ), 3.14 (1/6H, J = 14.7 HZ), 3.20 (5/6H, d, J = 14.7 HZ), 3.26 (5/6H, d, J = 14.7 HZ), 3.61 (1/6H, br d, J = 11.2 HZ), 3.82 (5/6H, br d, J = 7.8 HZ), 7.20 (1H, t, J = 7.3 HZ), 7.28 (2H, m), 7.54 (1H, d, J = 7.8 HZ), 7.79 (1H, d, J = 7.8 HZ)。
13C NMR スペクトル)
13C NMR (125 MHZ, D2O) d 35.6 (major), 36.5 (minor), 40.4 (minor), 42.3 (major), 53.6 (major), 55.1 (minor), 79.5 (major), 81.4 (minor), 110.4 (minor), 110.8 (major), 112.80 (major), 112.82 (minor), 120.2 (major), 120.3 (minor), 120.5 (major), 120.6 (minor), 122.6 (minor), 122.7 (major), 125.9 (major), 126.1 (minor), 129.2 (major), 137.0 (major)。
これらのスペクトルデータにおける主生成物および副生生物のシグナルはそれぞれ特許文献1における化合物(10a)および化合物(10b)の値と一致した。
以下に、上記で示した4−エピモナチン(10a)とエントモナチン(10b)の混合物の全反応経路を示す。
Figure 2004331644

Claims (9)

  1. 下記一般式(8)で示されるラクトン。
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(8)中、R4及びR6はそれぞれ独立して水素又は保護基を示す。
  2. 下記一般式(7)で示される化合物。
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(7)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
    R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
    R4及びR5はそれぞれ独立して水素又は保護基を示す。
  3. 下記一般式(1)で示されるエステルから請求項2記載の化合物(7)を合成する第一のステップと、上記化合物(7)の加水素分解を行い、イソキサゾリジン環のN−O結合およびベンジル位の切断を行ってラクトン環への巻き直しを行い、次いでラクトン環に結合するアミノ基を保護して請求項1記載のラクトン(8)を合成する第二のステップと、上記ラクトン(8)のヒドロキシメチル基をカルボキシル基に酸化し、次いでインドール環窒素及びアミノ基の保護基を脱保護した後、ラクトン環の加水分解による開環反応を行う第三のステップを有する事を特徴とする下記式(10)で示される(2S,4S)型モナチンの製造方法。
    Figure 2004331644
    ただし、R7はアルキル基又は置換フェニル基を示す。
    Figure 2004331644
  4. 請求項3記載の第一のステップにおいて、請求項2記載の化合物(7)の合成は、請求項3記載のエステル(1)を還元して下記式(102)で示されるアルコールを合成し、同アルコール(102)と下記一般式(3)で示される六員環状ニトロンとをLewis酸の存在下において立体選択的に反応させ、前記式(7)においてR4及びR5が水素である化合物を合成した後、同化合物の水酸基を保護し、次いでインドール環窒素を保護し、その後水酸基の保護基を脱保護することにより、前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を得る事を特徴とする請求項3記載の(2S,4S)型モナチンの製造方法。
    Figure 2004331644
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(3)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
    R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
  5. 請求項3記載の第一のステップにおいて、請求項2記載の化合物(7)の合成は、請求項3記載のエステル(1)のインドール環窒素を保護した後に還元を行って下記式(12)で示されるアルコールを合成し、同アルコール(12)と前記六員環状ニトロン(3)とをLewis酸の存在下において立体選択的に反応させることにより前記式(7)においてR4が保護基を示し、R5が水素を示す化合物を得る事を特徴とする請求項3記載の(2S,4S)型モナチンの製造方法。
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(12)中、R4は保護基を示す。
  6. 前記Lewis酸が、マグネシウムブロミドであることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の(2S,4S)型モナチンの製造方法。
  7. 下記一般式(14)で示されるカルボシキラート。
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(14)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
    R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
    R4は水素又は保護基を示す。
    R7はC1〜C6の低級アルキル基を示す。
  8. 下記一般式(3)と(1)とを反応させて得られることを特徴とする請求項7記載の一般式(14)のカルボシキラート。
    Figure 2004331644
    ただし、上記式(3)中、R1は置換フェニル基又は置換ナフチル基を示す。
    R2及びR3はそれぞれ独立して置換フェニル基、置換ナフチル基、C1〜C6の低級アルキル基、又は水素を示す。
    Figure 2004331644
    ただし、R7はアルキル基又は置換フェニル基を示す。
  9. 請求項7記載の一般式(14)で示されるカルボシキラートの加水素分解に続く加水分解を経て得られることを特徴とする下記式で示される4−エピモナチン(10a)とエントモナチン(10b)の混合物の製造方法。
    Figure 2004331644
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