JP2015189020A - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents

熱転写受像シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】昨今の高速印画プリンタにて印画を行っても、高温高湿環境下で印画した際に、黒画像を形成した時の黒色の高濃度部に関して印画物表面が部分的にマット化する画質不良が発生せず、密着性も良好である熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】基材2の一方の面に、断熱層3、下引き層4、染料受容層5を順次積層形成した熱転写受像シート1である。断熱層3は、空隙を含むポリオレフィンフィルムである。下引き層4は、層形成後にポリオレフィンエマルジョンとTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計を50質量%以上含む。染料受容層5は、Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含み、Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を造膜助剤により10℃以下とした塗布液を、塗布および乾燥して形成されたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写方式のプリンタに使用される熱転写受像シートに関するもので、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層形成した熱転写受像シート、および当該熱転写受像シートの製造方法に関する。
一般に、熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けた構成となっている。ここで熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、熱転写受像シート側に転写するものである。
現在、熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と合わせて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、また得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では基材シートの同じ側に、印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の熱転写層を持つ熱転写記録媒体がかなり普及してきている。
また、環境負荷を軽減するため、染料受容層や下引き層が水系である熱転写受像シートが求められている。そのような状況の中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、黒画像を形成した時に印画物表面が部分的にマット化する画質不良(コゲ)が、水系の熱転写受像シートでは特に発生しやすくなっている。
このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、染料受容層には、架橋ゲル分率が20%以上、K値が40以上、および平均重合度が750以上である架橋ポリ塩化ビニル系樹脂、およびエポキシ変性シリコーンを含む離型剤をさらに含むことが提案されている。
特開2012−200942号公報
しかしながら、特許文献1に提案されている熱転写受像シートを用いて、高温高湿環境下にて昨今の高速印画プリンタにて同じく印画を行ったところ、熱転写記録媒体の種類によっては、コゲ対策が不十分であることが確認された。また、密着性も不十分であり、熱転写受像シートの一部がインクリボンにとられてしまう現象トラレが発生した。さらに中空粒子起因と考えられる画質不良(不均一性)も発生している。
これまで染料受容層、下引き層、断熱層に関して、様々なバインダや添加剤、樹脂フィルム等を用いる報告がされているが、昨今の高速印画プリンタにおいて印画を行うと、高温・高湿下にてコゲ、基材密着性、画質が良好である熱転写受像シートは見出されていない状況である。
本発明者らは、断熱層、下引き層、受容層に用いる材料を規定することで、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の発明は、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層形成した熱転写受像シートにおいて、断熱層が、空隙を含むポリオレフィンフィルムであり、下引き層が、層形成後にポリオレフィンエマルジョンとガラス転移温度がTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計を50質量%以上含み、染料受容層が、ガラス転移温度がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含みかつTg60℃以上塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を成膜助剤により10℃以下とした塗布液を、塗布および乾燥して形成されたことを特徴とする、熱転写受像シートである。
請求項2記載の発明は、下引き層のポリオレフィンエマルジョンに対するTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンの比率が、固形分比で1/3以上3以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート請求項1に記載の熱転写受像シートである。
請求項3記載の発明は、下引き層がTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンが乳化剤を含まないことを特徴とする、熱転写受像シートである。
請求項4記載の発明は、染料受容層がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンが乳化剤を含まないことを特徴とする、熱転写受像シートである。
請求項5記載の発明は、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層が形成された熱転写受像シートの製造方法であって、基材の一方の面に、空隙を含むポリオレフィンフィルムの断熱層を形成し、断熱層の上面に、層形成後にポリオレフィンエマルジョンとガラス転移温度がTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計を50質量%以上含むための塗布液を、塗布および乾燥して下引き層を形成し、下引き層の上面に、ガラス転移温度がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含んだ塗布液を、当該Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を造膜助剤により10℃以下として、塗布および乾燥して染料受容層を形成した、熱転写受像シートの製造方法である。
本発明によれば、熱転写受像シートにおいて、昨今の高速印画プリンタにて印画を行っても、高温高湿環境下で印画した際に、黒画像を形成した時の黒色の高濃度部に関して印画物表面が部分的にマット化する画質不良が発生せず、密着性も良好であるという効果を発現する。
本発明に基づく実施形態に係る熱転写受像シートの側断面図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。図1は、熱転写受像シート1の模式図である。本発明の熱転写受像シート1は、少なくとも基材2、断熱層3、下引き層4、および染料受容層5より成る。
基材2は、従来公知のもので対応でき、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム、および上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙などの紙類等を、単独でまたは組み合わされた複合体として使用可能である。
基材2の厚さは、印画物としてのコシ、強度や耐熱性等を考慮し、25μm以上250μm以下の範囲のものが使用可能であるが、より好ましくは50μm以上200μm以下程度のものが好ましい。
次に、基材2の一方の面に設けられた断熱層3は、空隙を含むポリオレフィンフィルムであれば従来公知のもので対応できる。断熱層3としては、例えば画質に影響を与える平滑性や光沢性等を考慮し、発泡フィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。また、断熱層3としてポリオレフィンフィルムを用いることで、中空粒子特有の画質不良(不均一性)を防ぐことができる。
断熱層3の厚さは、10μm以上80μm以下の範囲のものが使用可能であるが、より好ましくは20μm以上60μm以下程度のものが好ましい。
熱転写受像シート1は、断熱層3と染料受容層5の間に、少なくとも下引き層4を有する。本発明の下引き層4は、ポリオレフィンエマルジョンとガラス転移温度(以下、Tgと記す)が40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとを主成分として含むことにより、昨今の高速印画プリンタにて印画を行っても、高温高湿環境下で黒画像を形成した時の印画物表面が部分的にマット化するという画質不良が発生せず、断熱層3と下引き層4との間および下引き層4と染料受容層5との間の密着性を良好とすることができる。
ここで、上述の主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、上記ポリオレフィンエマルジョンとTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンの他に、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表す。具体的には、形成後の下引き層4全体からみて、ポリオレフィンエマルジョンとTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計が50質量%超で含まれるという意味であるが、80質量%以上含まれるのが好ましい。
また、下引き層4のポリオレフィンエマルジョンは、ポリオレフィンフィルムとの分子レベルの親和性が良好であり、断熱層3と下引き層4との間の密着性に寄与している。ポリオレフィンエマルジョンは、密着性向上のため塩素化されていないことが好ましい。一方、Tg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンは、下引き層4と染料受容層5との間の密着性に寄与している。染料受容層5にも塩ビ共重合体エマルジョンが含有されているため、下引き層4と、染料受容層5との界面に亀裂や空隙等が生じることなく、十分に密着することが可能となる。
ポリオレフィンエマルジョンおよびTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンは、公知のものが使用でき、特に限定されるものではない。塩ビ共重合体エマルジョンとしては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル−アクリル−エチレン共重合体等を挙げることができる。
Tg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンは、乳化剤を含まなくても良く、乳化剤がないことにより、耐水性が向上する。
下引き層4は、形成後に主成分として含まれることとなるポリオレフィンエマルジョンとTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとを含有した塗布液を、塗布および乾燥して形成する。この下引き層4のポリオレフィンエマルジョン:塩ビ共重合体エマルジョンの比率は、25:75〜75:25が好ましい。換言すると、ポリオレフィンエマルジョンに対するTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンの比率を、固形分比で1/3以上3以下の範囲で設定することが好ましい。
下引き層4の厚さは、0.1μm以上3μm以下の範囲のものが使用可能であるが、0.2μm以上1.0μm以下程度のものがより好ましい。0.1μm未満であると、下引き層4の膜厚調整が困難であり、膜厚が0.1μm未満でバラツキが生じると、印画濃度にバラツキが発生してしまう。また、断熱層3または/および染料受容層5との密着性に問題を抱える不安がある。一方、1.0μm超では、高速印画時における印画濃度が低くなってしまう。よって、コスト面の観点から1.0μm以下であることが好ましい。
次に、基材2の断熱層3側の最表面に設けられた染料受容層5は、少なくともTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含有し、最低造膜温度を成膜助剤により10℃以下にする必要がある。
Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンは、公知のものが使用でき、特に限定されるものではない。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル−アクリル−エチレン共重合体等を挙げることができる。Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを用いることで、高い反射濃度を得ることができる。上記エマルジョンは乳化剤を含まなくても良く、乳化剤がないことにより耐水性が向上する。
コゲ発生のメカニズムは定かではないが、下引き層4および染料受容層5が吸湿し、その水分がランダムに気化することで、水分が気化した部分の印画物表面が部分的にマット化すると考えられる。そのため、吸湿性が比較的高い水系受像紙で発生しやすい。また、下引き層4と染料受容層5の濡れが悪い場合や、エマルジョンの造膜温度が高い場合、乾燥後に染料受容層5が均一に広がらず表面にクラックが発生する。その結果、下引き層4の吸湿性が大きくなり、水分の気化、コゲが発生しやすくなる。
さらに、熱転写記録媒体に染料バリア性を持たせるために、水系樹脂の層が含有されている場合、コゲはさらに発生しやすくなる。
理由は定かではないが、下引き層4の水分は染料受容層5を通過して蒸発するため、コゲは下引き層4の影響を強く受ける。コゲ発生を防ぐためには、染料受容層5表面のクラックを減らし、下引き層4からの水分の気化を防ぐことが必要である。
上記下引き層4と染料受容層5には、塩ビ共重合体エマルジョンが共に用いられ、かつ造膜温度を10℃以下にすることで、染料受容層5表面にクラックが発生しづらい。さらに、下引き層4の塩ビ共重合体エマルジョンはTgが低く、最低造膜温度も水の沸点よりも大幅に低いため、突発的な水分の気化を防いでいる。これは、下引き層4内で水分が気化することなく染料受容層5へと移動しているためと推測している。
染料受容層5に用いられる造膜補助剤としては、例えばトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の各種高沸点溶剤等が使用できる。その他、アセチレングリコール、アセチレングリコール等の揮発性が高いものを利用することも可能であり、これらを利用した場合は残留溶剤もほとんど発生することはない。これらは単独、あるいは2種以上を混合しても良い。
染料受容層5は、離型剤を含んでいても良い。離型剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系といった各種オイルやエマルジョン、界面活性剤や、金属酸化物、シリカ等の各種フィラー、ワックス類等が公知のものが使用できる。これらは単独、あるいは2種以上を混合しても良い。中でも、シリコーンエマルジョンを使用することが好ましい。
染料受容層5の厚さは、0.1μm以上10μm以下の範囲のものが使用可能であるが、0.2μm以上8μm以下程度のものがより好ましい。また、必要に応じて架橋剤や酸化防止剤、蛍光染料や、公知の添加剤を含有しても良い。
また、本発明の熱転写受像シート1には、基材2と断熱層3とを貼り合わせるための接着層を設けても良い。接着層に用いられる材料としては、従来公知のもので対応でき、例えばポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が使用できる。その中でもポリエチレンやウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
また、本発明の熱転写受像シート1には、基材2の断熱層3が設けられている側とは反対側に、裏面層を設けても良い。裏面層は、プリンタ搬送性向上や、染料受容層5とのブロッキング防止、印画前後の熱転写受像シート1のカール防止のために設けられる。裏面層に用いられる材料としては、従来公知のもので対応でき、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダ樹脂を用いることができる。また、必要に応じてフィラーや帯電防止剤等の、公知の添加剤を含有しても良い。
以下に、本発明の各実施例および各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として厚さ140μmの上質紙を使用し、一方の面に溶融押し出し法により厚さ30μmのポリエチレン樹脂層を形成した。また、発泡ポリプロピレンフィルムの片面にスキン層を設けた、厚さ40μmの断熱層を用意した。
次に、基材のポリエチレン樹脂層側とは反対側の面と、断熱層のスキン層を設けていない面との間に、ポリエチレン樹脂を溶融押し出ししてポリエチレン樹脂層を形成し、サンドラミ方式にて貼り合わせた。また、この溶融押し出ししたポリエチレン樹脂層の厚さは、15μmとなるように形成した。
発泡ポリプロピレンフィルムのスキン層側に、下引き層塗布液−1を、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布、乾燥することで、下引き層を形成した。さらにその下引き層の上に、染料受容層塗布液−1を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥することで、染料受容層を形成し、実施例1の熱転写受像シートを得た。なお、最低造膜温度はJISK6828−2に基づき測定を行った。
<下引き層塗布液−1>
ポリオレフィンエマルジョン 25.3部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
塩ビ共重合体エマルジョン 14.7部
(ビニブラン278、日信化学工業(株)製、Tg33℃、固形分43%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
<染料受容層塗布液−1>
塩ビ共重合体エマルジョン 40.0部
(ビニブラン603、日信化学工業(株)製、Tg63℃、固形分50%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 55.0部
シリコーンエマルジョン 1.0部
(BY 22−736 EX、東レ・ダウコーニング(株)製)
造膜温度 7℃
(実施例2)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−2>
ポリオレフィンエマルジョン 14.6部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
塩ビ共重合体エマルジョン 25.4部
(ビニブラン278、日信化学工業(株)製、Tg33℃、固形分43%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(実施例3)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−3>
ポリオレフィンエマルジョン 33.5部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
塩ビ共重合体エマルジョン 6.5部
(ビニブラン278、日信化学工業(株)製、Tg33℃、固形分43%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(実施例4)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、染料受容層を下記組成の染料受容層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写受像シートを得た。
<染料受容層塗布液−2>
塩ビ共重合体エマルジョン 40.0部
(ビニブラン701、日信化学工業(株)製、Tg73℃、固形分30%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 55.4部
シリコーンエマルジョン 0.6部
(BY 22−736 EX、東レ・ダウコーニング(株)製)
造膜温度 0℃
(実施例5)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−4>
ポリオレフィンエマルジョン 21.8部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
塩ビ共重合体エマルジョン 18.2部
(ビニブラン711、日信化学工業(株)製、Tg30℃、固形分30%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(比較例1)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−5>
ポリオレフィンエマルジョン 40.0部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(比較例2)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−6>
塩ビ共重合体エマルジョン 40.0部
(ビニブラン278、日信化学工業(株)製、Tg33℃、固形分43%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(比較例3)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−7>
ポリオレフィンエマルジョン 26.7部
(アローベースSB−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%)
塩ビ共重合体エマルジョン 13.3部
(ビニブラン603、日信化学工業(株)製、Tg63℃、固形分50%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 56.0部
(比較例4)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、染料受容層を下記組成の染料受容層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の熱転写受像シートを得た。
<染料受容層塗布液−3>
塩ビ共重合体エマルジョン 40.0部
(ビニブラン278、日信化学工業(株)製、Tg33℃、固形分43%)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4.0部
純水 55.1部
シリコーンエマルジョン 0.9部
(BY 22−736 EX、東レ・ダウコーニング(株)製)
造膜温度 0℃
(比較例5)
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、染料受容層を下記組成の染料受容層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の熱転写受像シートを得た。
<染料受容層塗布液−4>
塩ビ共重合体エマルジョン 40.0部
(ビニブラン603、日信化学工業(株)製、Tg63℃、固形分50%)
純水 59.0部
シリコーンエマルジョン 1.0部
(BY 22−736 EX、東レ・ダウコーニング(株)製)
造膜温度 58℃
<熱転写記録媒体の作製>
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成のプライマー層および熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
<耐熱滑性層塗布液>
シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.0部
(東亜合成(株)US−350)
メチルエチルケトン 50.0部
<プライマー層塗布液>
ポリビニルアルコール 2.5部
イソプロピルアルコール 30.0部
純水 67.5部
<熱転写層塗布液>
C.I.ソルベントブルー36 2.5部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
<印画評価>
実施例1〜5、比較例1〜5の熱転写受像シートおよび熱転写記録媒体を使用し、印画速度が2.0msec/line、解像度が300×300DPIの評価用サーマルプリンタにてベタ画像を印画し、最高反射濃度を測定した。なお、最高反射濃度は、X−rite528にて測定した値である。
また、熱転写受像紙シート、熱転写記録媒体、および評価用サーマルプリンタを45℃80%RH環境下に2時間保存した後、ベタ画像を印画し、コゲおよび密着性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<コゲ評価>
コゲの評価は、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
◎:熱転写媒体の抜け殻にもマット化の傾向が認められない。
○:マット化が認められない
△:マット化がごく僅かに認められる
×:マット化が認められる
<密着性評価>
密着性の評価は、印画物をセロハンテープ剥離し、以下の基準にて行った。△以上が実用上問題ないレベルである。
○:界面剥離が発生していない
△:断熱層と下引き層との間あるいは下引き層と染料受像層との間でごく僅かに剥離が認められる
×:断熱層と下引き層との間あるいは下引き層と染料受像層との間で剥離が認められる
Figure 2015189020
表1に示す結果から分かるように、下引き層がポリオレフィンエマルジョンとTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとを主成分として含み、染料受容層がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含み、塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を造膜助剤により10℃以下とした実施例1〜5の熱転写受像シートは、高温高湿環境下で印画した際に、黒画像を形成した時の黒色の高濃度部に関して印画物表面が部分的にマット化する画質不良(コゲ)が発生せず、密着性も良好であり、本発明による効果が確認された。
下引き層のポリオレフィンエマルジョン:塩ビ共重合体エマルジョンの比率を25:75とした実施例2では、実用上の問題ない範囲で断熱層と下引き層との間の密着力の低下が確認された。下引き層のポリオレフィンエマルジョン:塩ビ共重合体エマルジョンの比率を75:25とした実施例3では、実用上の問題ない範囲で下引き層と染料受容層との間の密着力の低下が確認された。
実施例4、5にて下地層あるいは受像層に乳化剤を含有しない塩ビ共重合体エマルジョンを使用した場合、リボン抜け殻にもマット化の傾向が認められなかった。
これに対して、比較例1の熱転写受像シートは、下引き層にポリオレフィンエマルジョンを含有しないことで、密着性が悪化し、断熱層と下引き層との間で剥離が認められた。比較例2の熱転写受像シートは、下引き層に塩ビ共重合体エマルジョンを含有しないことで、密着性が悪化し、下引き層と染料受容層との間で剥離が認められた。
また、下引き層にTg40℃より大きい塩ビ共重合体エマルジョンを使用した場合、コゲの悪化が、染料受容層がTg60℃より小さい塩ビ共重合体エマルジョンを含んだ場合、最高反射濃度の低下が、それぞれ確認された。
本発明により得られる熱転写受像シートは、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
1:熱転写受像シート
2:基材
3:断熱層
4:下引き層
5:染料受容層

Claims (5)

  1. 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層形成した熱転写受像シートにおいて、
    前記断熱層が、空隙を含むポリオレフィンフィルムであり、
    前記下引き層が、層形成後にポリオレフィンエマルジョンとガラス転移温度(Tg)が40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計を50質量%以上含み、
    前記染料受容層が、ガラス転移温度がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含みかつ前記Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を造膜助剤により10℃以下とした塗布液を、塗布および乾燥して形成されたことを特徴とする、熱転写受像シート。
  2. 前記下引き層の前記ポリオレフィンエマルジョンに対する前記Tg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンの比率が、固形分比で1/3以上3以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記下引き層の前記Tg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンが乳化剤を含まないことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
  4. 前記染料受容層の前記Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンが乳化剤を含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受像シート。
  5. 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層が形成された熱転写受像シートの製造方法であって、
    前記基材の一方の面に、空隙を含むポリオレフィンフィルムの前記断熱層を形成し、
    前記断熱層の上面に、層形成後にポリオレフィンエマルジョンとガラス転移温度がTg40℃以下である塩ビ共重合体エマルジョンとの合計を50質量%以上含むための塗布液を、塗布および乾燥して前記下引き層を形成し、
    前記下引き層の上面に、ガラス転移温度がTg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンを含んだ塗布液を、当該Tg60℃以上である塩ビ共重合体エマルジョンの最低造膜温度を造膜助剤により10℃以下として、塗布および乾燥して前記染料受容層を形成した、熱転写受像シートの製造方法。
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