JP6183116B2 - 熱転写受像シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また特許文献2では、ポリオレフィン支持体と染料像受容層との間に、チタン酸有機塩またはチタニウムアルコキシドから形成されるチタンの酸化物である無機主鎖を有するポリマーからなる下塗り層を設けることで、染料受容層の支持体への粘着を改善した染料受容素子が提案されている。
また特許文献2及び3に提案されている染料受容素子を用いて、昨今の高速印画プリンタにて印画を行ったところ、十分な印画濃度を得ることができないばかりか、染料受容層が熱転写層表面に融着してしまう、異常転写が発生してしまった。
本発明は、そのような点に着目してなされたもので、高速印刷においても、印画濃度が高く、基材密着性も良好な熱転写受像シートを提供することを目的としている。
すなわち、本発明の一態様である熱転写受像シートは、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成した熱転写受像シートにおいて、 前記下引き層は、アルコキシド、その加水分解物、及び塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子とからなる重縮合物を主成分としていることを特徴とする。
前記水溶性高分子は、ポリビニルピロリドンであってもよい。
前記アルコキシドは、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、またはそれらの混合物であってもよい。
また本発明の一態様である熱転写受像シートの製造方法は、基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成される熱転写受像シートの製造方法であって、前記下引き層を、アルコキシド、その加水分解物、及び塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成することを特徴とする。
基材2は、従来公知のもので対応でき、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム、および上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙などの紙類等を単独で、または組み合わされた複合体として使用可能である。
次に、基材2の一方の面に設けられた断熱層3は、従来公知のもので対応でき、中空粒子とバインダ樹脂によって構成されるものや、発泡ポリプロピレンフィルムや発泡ポリエチレンテレフタレート等の発泡フィルムなどを用いたもの、さらに発泡フィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた断熱層を挙げることができる。ただし、画質に影響を与える平滑性や光沢性等を考慮し、発泡フィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。
次に、基材2の断熱層3側の最表面に設けられた染料受容層5は、従来公知のもので対応でき、少なくともバインダ樹脂と離型剤を含有する。
染料受容層5に用いられるバインダ樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等を挙げることができるが、特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
染料受容層5の厚さは、0.1μm以上10μm以下の範囲のものが使用可能であるが、より好ましくは0.2μm以上8μm以下程度のものが好ましい。また必要に応じて架橋剤や酸化防止剤、蛍光染料や、公知の添加剤を含有しても良い。
この下引き層4の形成は、アルコキシドまたは/およびその加水分解物または塩化錫の少なくともいずれか一つと、水溶性高分子とを主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成される。この下引き層4を使用することによって、後述の実施例から分かるように、昨今の高速印画プリンタにて印画を行っても、印画濃度が十分に高く、隣接して積層する断熱層または/および染料受容層との密着性が良好な印画物を得ることができる。
ここで、
M:Si、Ti、Al、Zr等の金属
R:CH3、C2H5等のアルキル基
n:Mの種類によって異なる1〜4の整数
である。
下引き層4に用いられる水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。その中でもポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましく、より好ましくはポリビニルアルコールである。なおここでいうポリビニルアルコールは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存しているいわゆる部分けん化ポリビニルアルコールから、酢酸基が数%しか残存していないいわゆる完全けん化ポリビニルアルコールまでを含み、特に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として厚さ140μmの上質紙を使用し、一方の面に溶融押し出し法により厚さ30μmのポリエチレン樹脂層を形成した。
<下引き層塗布液−1>
塩化第一錫 1.8部
メチルセルロース 1.2部
(メトローズSM4000、信越化学工業(株)製)
純水 64.0部
エチルアルコール 29.1部
イソプロピルアルコール 3.9部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 19.5部
(ソルバインC、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 0.5部
(KF−393、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−2>
塩化第一錫 1.8部
ポリビニルアルコール 1.2部
(PVA424H、(株)クラレ製)
純水 64.0部
エチルアルコール 29.1部
イソプロピルアルコール 3.9部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−3>
塩化第一錫 1.8部
ポリビニルピロリドン 1.2部
(ISPジャパン(株)製)
純水 64.0部
エチルアルコール 29.1部
イソプロピルアルコール 3.9部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−4>
テトラエトキシシラン 6.2部
ポリビニルアルコール 2.2部
(PVA424H、(株)クラレ製)
0.1N塩酸 53.8部
純水 33.9部
イソプロピルアルコール 3.9部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−5>
トリイソプロポキシアルミニウム 6.2部
ポリビニルピロリドン 2.2部
(ISPジャパン(株)製)
0.1N塩酸 53.8部
純水 33.9部
イソプロピルアルコール 3.9部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−6>
ポリビニルアルコール 3.0部
(PVA424H、(株)クラレ製)
純水 87.3部
イソプロピルアルコール 9.7部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−7にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−7>
ポリビニルピロリドン 3.0部
(ISPジャパン(株)製)
純水 87.3部
イソプロピルアルコール 9.7部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−8にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱転写受像シートを得た。
<下引き層塗布液−8>
テトラエトキシシラン 10.4部
0.1N塩酸 89.6部
実施例1の発泡ポリプロピレンフィルムのスキン層側に、下引き層を設けることなく、実施例1と同様の染料受容層塗布液を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥することで、染料受容層を形成し、比較例4の熱転写受像シートを得た。
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.0部
(東亜合成(株)US−350)
メチルエチルケトン 50.0部
C.I.ソルベントブルー36 2.5部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
実施例1〜5、比較例1〜4の各熱転写受像シートおよび熱転写記録媒体を使用し、印画速度が1.5msec/line、解像度が300×300DPIの評価用サーマルプリンタにてベタ画像の印画を行い、最高反射濃度、異常転写に関して評価を行った。
評価結果を表1に示す。なお最高反射濃度は、X−rite528にて測定した値である。また異常転写の評価は、以下の基準にて行った。なお、ここで言う異常転写とは、熱転写時に熱転写受像シート側のいずれかの層間にて剥離し、熱転写層へ転写してしまうことを指す。
○ :異常転写の発生無し。
× :異常転写が部分的に発生。
××:異常転写が全面に発生。
また実施例2では、水溶性高分子をポリビニルアルコールとすることで、また実施例3では、水溶性高分子をポリビニルピロリドンとすることで、密着性能を保ちつつ、最高反射濃度が更に大きくなり、本発明による効果が確認できた。また実施例4では、テトラエトキシシランを用いることで、密着性能を保ちつつ、最高反射濃度が更に大きくなり、本発明による効果が確認できた。また実施例5では、トリイソプロポキシアルミニウムを用いることで、密着性能を保ちつつ、最高反射濃度が更に大きくなり、本発明による効果が確認できた。
2:基材
3:断熱層
4:下引き層
5:染料受容層
Claims (4)
- 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成した熱転写受像シートにおいて、
前記下引き層は、アルコキシド、その加水分解物、及び塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子とからなる重縮合物を主成分としており、
前記アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、またはそれらの混合物であることを特徴とする熱転写受像シート。 - 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 基材の一方の面に、断熱層、下引き層、染料受容層を順次積層して形成される熱転写受像シートの製造方法であって、
前記下引き層を、アルコキシド、その加水分解物、及び塩化錫の少なくとも一つと、水溶性高分子とを主成分として含み、前記アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、またはそれらの混合物である塗布液を、塗布、乾燥して形成することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
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