JP2014224926A - ポリマー組成物を用いた光学フィルム - Google Patents

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【課題】 本発明は、ポリマー組成物を用いた位相差特性に優れる光学フィルムおよび光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 延伸工程を経て製造される光学フィルムであって、下記式(i)で表されるリターデーション値Reが、105nm≰Re≰350nmを満たし、下記式(ii)で表されるNzが0.2<Nz<0.7を満たし、且つ、該延伸方向をx、フィルム面内でxに直交する方向をy、フィルムの厚さ方向zとしたとき、nx>nz>nyの関係を満たす光学フィルムにおいて、前記光学フィルムは延伸方向に対して正の複屈折性を示す少なくとも1種のポリマーAと少なくとも1種の材料Bを含有し、前記材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示すことを特徴とする光学フィルム。式(i) Re=(nx−ny)?d式(ii) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)但し、x方向の屈折率をnx、y方向の屈折率をny、z方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリマー組成物を用いた光学フィルムに関するものであり、より詳しくは、ポリマー組成物を用いた位相差特性に優れる液晶ディスプレイ用の光学フィルムに関する。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。特に光学フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。
液晶ディスプレイには、垂直配向型(VA−LCD)、面内配向型液晶(IPS−LCD)、スーパーツイストネマチック型液晶(STN−LCD)、反射型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイなどの多くの方式が有り、ディスプレイにあわせた光学フィルムが必要となっている。
IPSモード(IPS−LCDで用いられる方式)の液晶ディスプレイの場合、液晶分子は主に基板に対して平行な面内で回転するので、斜めから見た場合の電界印加時と非印加時における複屈折率の度合の相違が小さく、従って、視野角が広がることが知られている。
IPSモード型液晶表示装置の視野角や色調を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学材料を配置することが行われている。そして、IPSモードにおいて基板と偏光子の間に複屈折光補償基が設置された電気光学的液晶切り替えエレメントが開示されている(例えば、引用文献1参照)。また、IPSモードにおいて基板と偏光板の間に複屈折媒体を配置し、偏光板の偏光軸と複屈折媒体の遅相軸方向のなす角が20度以上60度以下、望ましくは30度以上50度以下とすることで、白表示または中間調表示を斜め方向から直視した場合に黄色や青色に色づくという問題点が解決されるという点が開示されている(例えば、引用文献2参照)。
しかしながら、IPSモードは、原理的に視覚特性上の一つの欠点を有している。IPSモードの特徴の一つとして、水平方向にホモジニアスな配向をした液晶分子と、透過軸が画面正面に対して上下と左右の方向を指して直交するように配置した2枚の偏光板を用いており、上下左右の方向から画面を斜めに見るときには、2枚の透過軸は直交して見える位置関係にあり、またホモジニアス配向液晶層はツイステッドモード液晶層で生じるような複屈折も少ないことから、十分なコントラストが得られることが挙げられる。これに対して、方位角45度の方向から画面を斜めに見るときには、2枚の偏光板の透過軸のなす角が90度からずれるように見える位置関係にあることから、透過光が複屈折を生じ光が漏れるために十分な黒が得られず、コントラストが低下してしまう。また、コントラストの低下が生じる結果、黒から中間調の領域で輝度の反転も生じている。このようにIPSモードは視覚特性が非常に良いものの、45度方向でのコントラストの低下という欠点があった。この問題を解決するために様々な補償フィルムを用いた表示装置が提案されている。特に、0<Nz<1を満たす2軸性フィルム(即ち、nx>nz>nyまたはny>nz>nxとなる)は固有屈折率が正または負の材料を単一材料として延伸しても作製できない領域のフィルムであるが、Nz=0.5を満たす2軸性フィルムは位相差値が視野角によらずほぼ一定であり、このような位相差フィルムを用いることによって液晶表示装置の視野角特性が大幅に改善することが知られており、工業的に安価に製造できれば、非常に有益である。しかし、そのようなフィルムは構造が複雑であったり、生産性に問題がありその改善が求められている。
位相差フィルムの製造方法としては、例えば、熱収縮フィルムを用いた熱収縮処理方式にて製造する方法の開示があり、nz>nx≧nyが具現化できることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、(nx>nz>ny)の領域を含む位相差フィルムの製造方法についての開示があり、該製造方法についても、熱収縮する方向が工程に含まれている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、このような方法で位相差フィルムを作成する場合、生産性が非常に悪くコストの増加が問題となっていた。また、この方法で作られたフィルムは、平面性に劣るためリターデーションの均一性を確保することが難しく、それを用いて偏光板を作製するとき、当該偏光板を用いた表示装置では均一な表示品質を得ることが難しいといった問題があった。
また、セルロースエステルとスチレン系ポリマーまたは炭酸ストロンチウム等の針状微粒子を混合することでNzが0.2<Nz<0.7を満たす位相差フィルムについての開示がある(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、これまでに開示されている位相差フィルムは(ny>nz>nx)の領域を含む位相差フィルムであり、(nx>nz>ny)の領域を含む位相差フィルムが得られていないため、IPS液晶ディスプレイ開発における位相差フィルム及び周辺材料の選択の自由度が制限されるという問題があった。また、ディスプレイの表示装置に用いられる光学フィルムには優れた透明性が求められているが、特許文献5にはヘーズや光線透過率などの透明性に関しての開示はない。さらに、近年IPS液晶ディスプレイの軽量化・薄膜化が求められているが、特許文献5に開示されているフィルムでは、軽量化・薄膜化の要求に十分に応えることができない。
一方、位相差フィルムは反射型液晶表示装置、タッチパネルや有機ELの反射防止層としても用いられるものであり、該用途では、長波長域ほどリターデーションが大きい位相差フィルム(以下、「逆波長分散フィルム」という)が求められるものである。反射防止層として逆波長分散フィルムが用いられる場合、位相差は測定波長λの1/4程度が好ましく、450nmにおけるリターデーションと550nmにおけるリターデーションの比Re(450)/Re(550)は0.81に近いことが好ましい。そして、表示装置の薄型化を鑑みた場合、使用される逆波長分散フィルムも薄いことが求められる。上記のような要求特性に対し、種々の位相差フィルムが開発されている。
このような位相差フィルムとして、正の固有複屈折を有するポリマーと、負の固有複屈折を有するポリマーとをブレンドして得た、逆波長分散性を有する位相差板が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、当該文献には、正の固有複屈折を有するポリマーとしてノルボルネン系ポリマー、負の固有複屈折を有するポリマーとしてスチレンと無水マレイン酸との共重合体、及びそれらポリマーをブレンドして得られる組成物が開示されているが、該組成物を用いた位相差板は、位相差フィルムの位相差特性として望ましいReが105nm≦Re≦350nm、且つ、Nzが0.2<Nz<0.7を満たすものではない。
特開平9−80424号公報 特開平5−505247号公報 特開2002−207123号公報 特開2001−174632号公報 WO2006/117981 特開2001−337222号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、位相差フィルムとして望ましい位相差特性を有するポリマー組成物を用いたフィルムであって、特許文献5に開示されている(ny>nz>nx)の領域を含む位相差フィルムとは異なる3次元屈折率の関係を有する光学フィルムおよび光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
本発明は、延伸工程を経て製造される光学フィルムであって、下記式(i)で表されるリターデーション値Reが、105nm≦Re≦350nmを満たし、下記式(ii)で表されるNzが0.2<Nz<0.7を満たし、且つ、該延伸方向をx、フィルム面内でxに直交する方向をy、フィルムの厚さ方向zとしたとき、nx>nz>nyの関係を満たす光学フィルムにおいて、前記光学フィルムは延伸方向に対して正の複屈折性を示す少なくとも1種のポリマーAと少なくとも1種の材料Bを含有し、前記材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示すことを特徴とする光学フィルムである。
式(i) Re=(nx−ny)×d
式(ii) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
但し、x方向の屈折率をnx、y方向の屈折率をny、z方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
本発明においては、下記式(iii)で表されるリターデーション値Rthが−50nm≦Rth≦+50nmの範囲にあることが好ましい形態である。
式(iii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで延伸方向の屈折率をnx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
本発明においては、ヘーズが3%以下であることが好ましい形態である。
本発明においては、光線透過率が85%以上であることが好ましい形態である。
本発明においては、波長分散特性が0.60<Re(450)/Re(550)<1.05であることが好ましい形態である。
本発明においては、ポリマーAがセルロース系ポリマーであることが好ましい形態である。
本発明においては、前記材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示すポリマーBであり、前記光学フィルムは、前記ポリマーAと前記ポリマーBが相溶されていることが好ましい形態である。
本発明においては、前記材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示すポリマーBであり、前記ポリマーBが、前記ポリマーA中に局在することも好ましい形態のひとつである。
本発明においては、前記材料Bは、無機粒子であり、前記無機粒子が前記ポリマーA中に分散されていることも好ましい形態のひとつである。前記無機粒子は、長径の平均値が10〜500nmであり、かつ下記で定義される針状比が1.5以上である針状微または紡錘状粒子であることが更に好ましい。
針状比=絶対最大長/対角幅
ここにおいて、対角幅とは絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像を挟んだときの2直線間の最短距離である。
本発明においては、前記材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示す液晶性化合物Bであり、前記光学フィルムは、前記ポリマーAと前記ポリマーBが相溶されていることが好ましい形態である。
本発明においては、前記材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示す液晶性化合物Bであり、前記ポリマーBが、前記ポリマーA中に局在することも好ましい形態のひとつである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、延伸工程を経て製造される光学フィルムであって、下記式(i)で表されるリターデーション値Reが、105nm≦Re≦350nmを満たし、下記式(ii)で表されるNzが0.2<Nz<0.7を満たし、且つ、該延伸方向をx、フィルム面内でxに直交する方向をy、フィルムの厚さ方向zとしたとき、nx>nz>nyの関係を満たす光学フィルムであって、前記光学フィルムは延伸方向に対して正の複屈折性を示す少なくとも1種のポリマーAと少なくとも1種の材料Bを含有し、前記材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示すことを特徴とする。
式(i) Re=(nx−ny)×d
式(ii) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
但し、x方向の屈折率をnx、y方向の屈折率をny、z方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
視野角拡大の観点で、光学フィルムのReは、120nm≦Re≦300nmが好ましく、また、Rthは、−50nm≦Rth(a)≦+50nmの光学値であることが好ましい。
ここで延伸方向とは、光学フィルムが製造される過程でなされる延伸の方向であり、1軸延伸の場合は、その延伸方向、異なる2つの方向に延伸される場合は、延伸倍率が大きい方向が延伸方向である。
即ち、本発明者らは、フィルムに含有させて延伸することによって延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAと、延伸方向に対して負の複屈折性を示す材料Bとを含有する光学フィルムであって、該ポリマーAの選択と材料Bの選択及びその組み合せを調整することにより、延伸方向の屈折率をnx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率ny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnzとした時に、nx>nz>nyの関係を満たし、かつ上記式(i)で表されるリターデーション値Reが105nm≦Ro≦350nm、及び上記式(ii)で表されるNzが0.2<Nz<0.7の範囲にある光学フィルムを作製出来ることを見出したものである。
本発明の光学フィルムは、延伸方向に対して正の複屈折性を示す少なくとも1種のポリマー(ポリマーA)を含有する必要がある。
ポリマーAが延伸方向に対して正の複屈折性を示すか否かについては下記の試験法により判断することが出来る。
(ポリマーAの複屈折性試験法)
ポリマーAのみを溶媒に溶解しキャスト製膜した後、加熱乾燥し、透過率80%以上のフィルムについて複屈折性の評価を行う。
アッベ屈折率計−1Tに多波長光源を用いて屈折率測定を行い、延伸方向のnyおよび直交する面内方向の屈折率をnxとする。550nmの各々の屈折率について(ny−nx)>0であるフィルムについて、ポリマーAは延伸方向に対して正の複屈折性であると判断する。
本発明に用いることの出来るポリマーAは、上記複屈折性試験で正の値を示すポリマーである以外に、製造が容易であること、光学的に均一性であること、光学的に透明性であること、面内屈折率が大きいことが好ましい。これらの性質を有していれば何れでもよく、例えば、セルロースエーテル等のセルロース系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー等を挙げることが出来るが、これらに限定されるわけではない。これらのうち、本発明に係る光学フィルム用のポリマーとしては、製造上、位相差特性、透明性、均一性、接着性等の面から、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマーが好ましく、セルロース系ポリマーがさらに好ましく、セルロース系ポリマーの中でもセルロースエーテルが特に好ましい。
本発明の光学フィルムは偏光板保護フィルムとしても用いられることができるものであり、当該用途で用いられるときのポリマーAは、従来のTACフィルムと同等の表面ぬれ性を発現できる観点でセルロース系ポリマーであることが好ましい。
これは、セルロース系ポリマーを用いた本発明の光学フィルムが表面ぬれ性を発現できることにより、偏光板保護フィルムとして、ポリビニルアルコール系偏光子と、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて貼合することが出来るためである。
そして、本発明でセルロース系ポリマーが用いられるとき、セルロース系ポリマーは、機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10〜1×10であることが好ましく、5×10〜2×10であることがさらに好ましい。
以下、本発明の光学フィルムに用いられるポリマーAとして好ましいセルロース系ポリマーであって、特に好ましいセルロースエーテルについて説明する。
本発明のポリマー組成物が含有するセルロース系ポリマーであるセルロースエーテルは、β−グルコース単位が直鎖状に重合した高分子であり、グルコース単位の2位、3位および6位の水酸基の一部または全部をエーテル化したポリマーである。本発明のセルロースエーテルとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;、ベンジルセルロース、トリチルセルロース等のアラルキルセルロース;シアンエチルセルロース等のシアノアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルアルキルセルロース;アミノエチルセルロース等のアミノアルキルセルロース等が挙げられる。
該セルロースエーテルにおけるセルロースの水酸基の酸素原子を介して置換している置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースの水酸基がエーテル化している割合(100%のエーテル化は置換度1)を意味し、溶解性、相溶性、延伸加工性の点から、エーテル基の全置換度DSは、好ましくは1.5〜3.0(1.5≦DS≦3.0)であり、さらに好ましくは1.8〜2.8である。セルロースエーテルは、溶解性、相溶性の点から、炭素数1〜12の置換基を有することが好ましい。炭素数1〜12の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デカニル基、ドデカニル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェノニル基、ベンジル基、ナフチル基等を挙げることができる。これらの中でも、溶解性、相溶性の点から炭素数1〜5のアルキル基であるメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。本発明で用いるセルロース系ポリマーのエーテル基は1種類だけでもよいし、2種類以上のエーテル基を有していてもよい。また、エーテル基の他にエステル基を有していてもよい。
セルロースエーテルは一般に、木材又はコットンより得たセルロースパルプをアルカリ分解し、アルカリ分解したセルロースパルプをエーテル化することで合成される。アルカリとしては、リチウム,カリウム,ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物やアンモニアなどが利用できる。前記アルカリ類は一般に、水溶液として使用される。そして、アルカリ性にされたセルロースパルプは、セルロースエーテルの種類に応じて用いられるエーテル化剤と接触されることによりエーテル化されるものである。エーテル化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル;ベンジルクロライド、トリチルクロライド等のハロゲン化アラルキル;モノクロロ酢酸、モノクロロプロピオン酸等のハロカルボン酸;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が挙げられ、これらのエーテル化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、必要であれば、反応終了後、粘度調整のため塩化水素、臭化水素、塩酸、及び硫酸等で解重合処理してもよい。
(材料B)
次に、本発明の光学フィルムは、延伸方向に対して負の複屈折性を示す少なくとも1種の材料Bを含有することが特徴である。
延伸方向に対して負の複屈折性を示す材料Bとは、媒質または他のポリマーの中で、延伸の方向に対して負の複屈折性を発現させる材料を意味する。
本発明において、延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAと少なくとも1種の材料Bとを含有する材料を延伸して光学フィルムを作成することで本発明の目的が達成される。延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAと材料Bは、目的のリターデーションを発現させるために、含有する比率、含有する形態を適宜選択して行うことが出来る。
本発明に用いる光学フィルムを構成するポリマーAと材料Bの質量分率は、目的とする位相差発現のために都合が良いから、0<[(材料B)/(ポリマーA)]<2.0の関係であることが好ましく、0.01<[(材料B)/(ポリマーA)]<1.95の関係であることがさらに好ましく、0.1<[(材料B)/(ポリマーA)]<1.9の関係であることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムの複屈折性を制御する為に、前記材料Bを少なくとも1種添加する必要があるが、前記負の複屈折性が発現出来る材料Bは2種以上用いてもよい。このとき、前記種とは、材料の種のことであって、形状、分子量または組成が異なるものも含まれる。材料Bは有機化合物を用いることが出来、また無機化合物を用いてもよい。また有機−無機のハイブリッド化合物を用いてもよい。
材料Bとしては延伸方向に対して負の複屈折性を示す限り特に制限はないが、材料Bは延伸された方向に対して負の複屈折性を示す有機材料(ポリマー)である方が、ポリマー中に含有させた状態で延伸することでポリマーAと材料Bの両方の複屈折性を発現させることができる為、生産上効率的であり好ましい。
本発明において、ポリマーAと材料Bを含有した光学フィルムは、少なくともポリマーAと材料Bとして、ポリマーBの1種以上が、均一に相溶しているフィルムであることが好ましい形態のひとつである。延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAに対して、延伸方向に対して負の複屈折性を示すポリマーBを相溶させた場合、面内方向でのリターデーション均一性が非常に優れた光学フィルムを得ることができる。更に、材料B(ポリマーB)が光学フィルム中で均一に相溶している場合は、光学フィルムが偏光板やそれを備えた液晶表示装置に用いられる場合に、設計した以外の散乱光または位相の異なる光が偏光板を透過することを効果的に防止できる。
本発明においては、材料Bが延伸方向に負の複屈折性を示すポリマーBであり、ポリマーBが、延伸方向に負の複屈折性を示すポリマーA中に局在することも材料Bの負の特性が出やすい観点で、好ましい形態の1つである。特に、材料B(ポリマーB)を局在させる場合、可視光以下の粒径の材料Bの微粒子を分散させた状態のフィルムである方が、不要な散乱光の発生を抑える観点で好ましい。
また、材料BをポリマーAに添加させて、本発明の光学フィルムを得る場合、本発明の目的の屈折率の関係を得るために、相溶させることよりも局在化させた方が添加量が少なくてすむ。このことは体積的にはポリマーAの特性(物理的な特性)がフィルムに発現しやすくなり、光学的には材料Bの特性を効率的に利用できる観点で好ましい。
本発明は、延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAに対して、延伸された場合に負の複屈折性を示す材料Bを添加して、延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが条件の一つである。材料Bは、延伸によって配向することで、配向方向に対して負の複屈折性を示す材料であれば、特に制限される物ではない。延伸により配向して負の複屈折性を示す材料としては、例えば、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
該材料B(ポリマーB)が、延伸することにより負の複屈折を示すか否かについては下記試験法により判定することが出来る。
<材料Bの複屈折性試験>
延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーに材料Bを添加し、溶媒に溶解しキャスト製膜した後、加熱乾燥し、透過率80%以上のフィルムについて複屈折性の評価を行う。また、アッベ屈折率計1Tに多波長光源を用いて屈折率測定を行う。延伸方向のnxおよび直交する面内方向の屈折率をnyとし、550nmの各々の屈折率について(nx−ny)の差が、材料Bを含まない同じ延伸倍率のフィルムの同屈折率差よりも低い値または負の値を示すとき、材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性をもつと判断するものである。
<ポリマーB>
本発明の光学フィルムは、Nzを0.2<Nz<0.7に制御するため、延伸方向に対して負の複屈折を示すポリマーBを含有させることが好ましい形態であるが、該ポリマーは延伸方向に対して負の複屈折性を示す限り特に限定されるものではない。例えば、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が1000以上100000以下であるポリマーを含有することなどが好ましい。
更に、前記ポリマーBとしては、ポリマーAとの相溶性および負の複屈折の発現特性のため、重量平均分子量が1000以上100000以下であるアクリル系ポリマーを含有することも好ましく、該アクリル系ポリマーは芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーであることがさらに好ましい。
特にポリマーAがセルロース系ポリマーである場合、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が1000〜100000のもので該ポリマーの組成を制御することで、セルロース系ポリマーとアクリル系ポリマーとの相溶性を良好にすることができ、製膜中において蒸発も揮発も起こらない。特に、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーについて、好ましくは重量平均分子量が1000〜70000のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロース系ポリマーフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、本発明の光学フィルムが偏光板用保護フィルムとして用いられる場合には、優れた性能を示す。
該ポリマーBが重量平均分子量が700以上50000以下である場合、オリゴマーから低分子量ポリマーの間にあると考えられるものである。このようなポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で出来るだけ分子量を揃えることの出来る方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、チオグリセロール(1−Thioglyserol)、1−メルカプト−2,3−プロパンジオール、2−メルカプト−3−ブタノール、2−メルカプト−3,4−ブタンジオール、1−メルカプト−2,3−ブタンジオール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3,4,4’−ブタントリオール、1−メルカプト−3,4−ブタンジオール、1−メルカプト−3,4,4’−ブタントリオール等の一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、またはチオール類と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来る。チオール類としては、一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物や、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、ノルマルドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有さないアルキルチオール類、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有さない芳香族系チオール類等のチオール化合物や、β-メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピルートリメトキシシラン、チオフェノールなどのような、チオール基以外にも官能基を有するチオール類、更には、トリチオグリセリンやペンタエリスリトールをβ−メルカプトプロピオン酸にてエステル化した多官能チオール化合物、また、ポリサルファイド系ポリマーのような活性のチオール基を有すポリマー型チオール等を挙げることができる。有機金属化合物の例としては、ジシクロペンタジエン−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Ti−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3− (ピル−1−イル)-フェニ−1−イルのようなチタノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−Zr−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Zr−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロ−3− (ピル−1−イル)-フェニ−1−イルのようなジルコノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライドなどを挙げることができる。
本発明に有用なポリマーBを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては:ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等;アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることが出来る。上記モノマーで構成されるポリマーはコポリマーでもホモポリマーでもよく、ポリマーAとの相溶性の点で、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。
本発明において、アクリル系ポリマーという(単にアクリル系ポリマーという)のは、芳香環もしくはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す。芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーというのは、必ず芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系ポリマーである。また、シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーというのは、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系ポリマーである。
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来る。
アクリル系ポリマーは上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーである。これらはセルロース系ポリマーとの相溶性を向上させるため、該ポリマー中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を5〜40質量%有することが好ましい。
芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)等を挙げることが出来る。
負の複屈折発現と相溶性の点で、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマー中、芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位が20〜40質量%を有し、且つアクリル酸またはメタクリル酸メチルエステルモノマー単位を40〜80質量%有することが好ましい。また、セルロース系ポリマーとの相溶性を向上させるため、該ポリマー中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を5〜40質量%有することが好ましい。
シクロヘキシル基を有するアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等を挙げることが出来る。
負の複屈折発現と相溶性の点で、シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマー中、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を20〜40質量%を有し且つ40〜80質量%有することが好ましい。また、セルロース系ポリマーとの相溶性を向上させるため、該ポリマー中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を5〜40質量%有することが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマー及びシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーは、何れもセルロース系ポリマーとの相溶性に優れるものである。
これらの水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーの場合はホモポリマーではなく、コポリマーの構成単位である。この場合、セルロース系ポリマーとの相溶性を向上させるため、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位がアクリル系ポリマー中5〜40質量%含有することが好ましい。
水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位としては、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることが出来る。
前記のようなポリマーが上記の水酸基を有するモノマー単位を5〜40質量%含有したものは、セルロース系ポリマーとの相溶性、保留性、寸法安定性が優れ、透湿度が小さいばかりでなく、本発明の光学フィルムが偏光板用保護フィルムとして用いられる場合、偏光子との接着性に特に優れ、偏光板の耐久性が向上する効果を有している。
また、本発明においては、セルロース系ポリマーへ材料Bをブレンドする場合、相溶性をもたせるためにアクリルポリマーの主鎖の末端に水酸基を有しても良い。主鎖末端に水酸基を有するようにする方法は、特に主鎖の末端に水酸基を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のような水酸基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用する方法、水酸基を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合により水酸基を末端に有するようにする方法、チオグリセロール(1−Thioglyserol)、1−メルカプト−2,3−プロパンジオール、2−メルカプト−3−ブタノール、2−メルカプト−3,4−ブタンジオール、1−メルカプト−2,3−ブタンジオール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3,4,4’−ブタントリオール、1−メルカプト−3,4−ブタンジオール、1−メルカプト−3,4,4’−ブタントリオール等の一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、またはチオール類と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来る。チオール類としては、一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物や、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、ノルマルドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有さないアルキルチオール類、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール基以外の官能基を有さない芳香族系チオール類等のチオール化合物や、β-メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピルートリメトキシシラン、チオフェノールなどのような、チオール基以外にも官能基を有するチオール類、更には、トリチオグリセリンやペンタエリスリトールをβ−メルカプトプロピオン酸にてエステル化した多官能チオール化合物、また、ポリサルファイド系ポリマーのような活性のチオール基を有すポリマー型チオール等を挙げることができる。有機金属化合物の例としては、ジシクロペンタジエン−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Ti−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3− (ピル−1−イル)-フェニ−1−イルのようなチタノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−Zr−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Zr−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロ−3− (ピル−1−イル)-フェニ−1−イルのようなジルコノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライドなどを挙げることができる。上記の末端に水酸基を有するポリマー及び/または側鎖に水酸基を有するポリマーは、本発明において、ポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する効果を有する。
更に、セルロース系ポリマーへ材料Bをブレンドする場合、延伸方向に対して負の複屈折性を示すエチレン性不飽和モノマーとして、スチレン類を用いたポリマーであることが負の屈折性を発現させるために好ましい。スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられるが、これらに限定される物ではない。延伸方向に対して負の複屈折性を示すエチレン性不飽和モノマーとしは、二つ以上の芳香族環を含む縮合環等を側鎖に有するポリマーを用いてもよい。二つ以上の芳香族環を含む縮合環などを側鎖に有するポリマーとしては、例えば、ビニルナフタレン、ビニルピレン、ビニルアズレンなどが挙げられるが、これらに限定される物ではない。前記不飽和エチレン性モノマーとして挙げた例示モノマーと共重合してもよく、また複屈折を制御する目的で、2種以上の上記ポリマーを用いてセルロース系ポリマーに相溶させて用いても良い。
更に、本発明の光学フィルムは、延伸方向に対して負の複屈折を示すポリマーBを局在させることも好ましい形態の1つである。以下においては、局在されたポリマーをポリマー粒子とする。
本発明でいうポリマー粒子は、透明性向上のため、粒径が数nmから数百nmであるナノレベルのポリマー超微粒子であることが好ましく、比表面積が高いため、様々な表面効果を発揮する。
本発明のポリマー粒子の粒径としては、具体的には粒径1nm以上500nm以下の粒子であることが好ましく、更に好ましくは10nm以上350nm以下、特に好ましくは10nm以上150nm以下、最も好ましくは10nm以上100nm以下である。1nm未満では、複屈折性を制御する効果が不十分である場合があり、500nmを超えるとヘーズの著しい上昇がみられる場合がある。本発明におけるポリマー粒子の粒径とは、球換算の体積粒子径として平均で求めた値と定義される。その測定法は、限定するものではないが、例えば標準的な動的光散乱、小角中性子散乱NMR拡散、X線散乱、TEM画像解析およびゲル相クロマトグラフィーなどの技術を使用して決定することができる。具体的には、ポリマー粒子に関して得られるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)の溶出時間によって、平均粒径の指標が得られる。また、ポリマー粒子の粒径は、ポリマー粒子を、分子量と流体力学的半径とが既知であるポリスチレン標準物質と比較することによって求めることができる。使用されるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー技術では、10μmPLゲルを含有するカラムを使用して、架橋されたポリマー粒子の溶出時間を、分子量と流体力学的半径とが既知であるポリスチレン標準物質の溶出時間と比較することによって行うことができる。
ポリマー粒子の材質としては特に限定されるものではないが、一例として(メタ)アクリル系、スチレン系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系から選ばれる少なくとも1種の(共)重合体であるポリマー粒子を挙げることができる。
(メタ)アクリル系(共)重合体としてのポリマー粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系の単量体の(共)重合体又は他の単量体との共重合体として用いられることができる。その(メタ)アクリル酸エステル系の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等のアクリル酸アルキルエステル;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類並びにグリシジル(メタ)アクリレート;エチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジエチルグリコールのジアクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジアクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジアクリル酸エステル類;エチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジメタクリル酸エステル類等を挙げることが出来る。
また、上述する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーを挙げることが出来る。
更に、スチレン系モノマー以外の他のモノマーとして、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル等が挙げられる。
更にまた、必要に応じて、その他のモノマーとして官能基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等が挙げられ、さらに、水酸基(OH;ヒドロキシル基)を有する重合反応性モノマーとして、例えば、アクリル酸2−ヒドリキシエチル、メタクリル酸2−ヒドリキシエチル、アクリル酸2−ヒドリキシプロピル、1,1,1−トリヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート;ヒドロキシビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの単独又は2種以上のモノマー複合物を適宜好適に使用することが出来る。
上述するポリマーから形成されるポリマー粒子の調製は、通常、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、乳化重合等で適宜調製することが出来る。ソープフリー乳化重合で、ポリマーナノ粒子懸濁液を調製する場合には、通常、重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が重合時に水性媒体に可溶であればよい。また、通常、重合単量体100質量部に対して、重合開始剤を0.1〜10質量%、重合速度及び樹脂の分子量を適したものとするため、好ましくは0.2〜2質量%の範囲で添加すればよい。また、乳化重合法の場合、その懸濁液を調製、重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を、上記単量体を乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等の乳化剤を重合単量体100質量%に対して、通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%で水性媒体に混合させて乳化状態にする。同じく通常、重合開始剤を、重合単量体100質量%に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%で添加すればよい。
これらの中で本発明の延伸に対して負の複屈折性を示すために、ポリマー粒子の組成を適宜選択することができる。また、ポリマー粒子を構成するポリマーは、相溶性に影響する該ポリマーの分子量の制約が無く、可視光領域で光が散乱しないための粒径が前記範囲にあればよい。また、ポリマーナノ粒子としての屈折率は、セルロース系ポリマーAとの屈折率差が小さいことも散乱を低減する観点で好ましい。そのため、セルロース系ポリマーAに用いるポリマー粒子として、ポリマー粒子を構成する材料の平均屈折率が1.33以上1.8以下が好ましく、1.4以上1.55以下であることがさらに好ましい。ポリマー粒子を構成するポリマーは、若干の架橋構造を含んでもよく、上述の用に延伸方向に負の複屈折性が発現すれば、特に限定されるものではない。
ポリマーナノ粒子の添加方法は特に制限されるものではないが、後述するマット剤等と共にインライン添加してもよい。
また、材料Bとして、負の複屈折性を示す無機粒子を用いることも本発明の好ましい形態のひとつである。本発明の材料Bとして、無機粒子を用いる場合、延伸方向に対して負の複屈折性を示す限り特に制限はないが、可視光の不要な散乱を避けるとともに、効果的に複屈折性を発現させる観点では、長径の平均値が10〜500nmであり、かつ下記で定義される針状比が1.5以上である針状または紡錘状微粒子であることが好ましい。更に、不要な散乱を避ける為には、前記針状微粒子は、特定の方向に配向していることが好ましく、前記針状微粒子の平均方位角が前記光学フィルムのフィルム面に対して、直交または平行方向であることが好ましい形態である。
針状比=絶対最大長/対角幅
ここにおいて、対角幅とは絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像を挟んだときの2直線間の最短距離である。
添加した微粒子を分散、配向させる方法としては、フィルム作製(流延)時にフィルムをTDまたはMDに延伸する方法、または流延時にドープの流れを作り、この流れに沿う形で粒子を配向させる方法などを取ることが可能である。さらに電場や磁場などで粒子の配向を促進することも可能でこれらの方法によれば針状粒子が添加された場合でもカッティング性(スリッティング性)を改良することができる。
これら針状微粒子を含有する光学フィルムの製造方法としては、少なくとも針状または紡錘状で複屈折を有する該微粒子とポリマーAとを混合することにより調製したドープを用いて、溶液流延する光学フィルムの製造方法により、得ることができる。
〔微粒子分散液を形成する材料〕
(針状で複屈折を有する微粒子)
本発明で用いる針状または紡錘状で複屈折を有する微粒子(以下、複屈折性微粒子ともいう)は、針状または紡錘状で複屈折を有していれば特に限定されない。
複屈折性微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸バリウム等の種々の炭酸塩、酸化チタンに代表される種々の酸化物、MgSO・5Mg(OH)・3HO、6CaO・6SiO・HO、9Al・2B等の複屈折性ウィスカー等が挙げられる。
例えば、正方晶系、六方晶系及び菱面体晶系は一軸性複屈折性結晶、斜方晶系、単斜晶系及び三斜晶系の結晶が好ましく用いられる。また、これらは単結晶であってもよいし、多結晶であってもよい。
また、負の複屈折を大きくすることから、ポリスチレンまたはアクリル系ポリマーの棒状もしくは短繊維状粒子等も好ましく用いられる。例えば、ポリスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーを有し、極細繊維を細かく切断して製造した短繊維状の粒子であってもよい。これらの繊維は製造過程で延伸されていることが複屈折性を発現しやすくなるため好ましい。また、これらの粒子に含まれているポリマーは架橋されていてもよい。
しかし、これらに限られるわけではなく、前述の大きさ、形状、針状比等の要件を満たせば、種々のものが利用可能である。
これらの複屈折性微粒子は透明性の低下が少なく負の複屈折を大きく発現することから、10〜500nmの長径(絶対最大長)で針状比が1.5以上であることが好ましく、特に針状比が2〜100であることがさらに好ましく、3〜30であることが特に好ましい。針状比は、微粒子の絶対最大長と対角幅から下式によって求められる。これは微粒子もしくはフィルム中に含まれる微粒子の電子顕微鏡観察によって得られる画像データから求めることができる。
針状比=絶対最大長/対角幅
ここにおいて、対角幅とは、絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像を挟んだときの2直線間の最短距離である。
複屈折性微粒子は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等により表面処理されていてもよい。
複屈折性微粒子の複屈折性については、次のように定義する。複屈折性微粒子の長径方向に偏光した光に対する屈折率をnpr、長径方向に直交する方向に偏光した光に対する平均屈折率をnvtとする。複屈折性微粒子の複屈折Δnは、下記の式で定義される。
Δn=npr−nvt
すなわち、複屈折性微粒子の長径方向の屈折率が、それに直交する方向の平均屈折率よりも大きければ正の複屈折、その逆であれば負の複屈折となる。
本発明で使用される複屈折性微粒子の持つ複屈折の絶対値には特に制限はないが、ポリマーAとブレンドした際に、目的とするNz発現のため、0.01〜0.3であることが好ましく、0.05〜0.3であることがさらに好ましい。
正の複屈折性を有する複屈折性結晶としては、MgSO・5Mg(OH)・3HO、6CaO・6SiO・HO、9Al・2B、TiO(ルチル型結晶)が挙げられる。負の複屈折性を示す複屈折性結晶としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等が挙げられる。
針状結晶の場合は結晶の長い方向の屈折率がそれとは直交する方向の屈折率よりも小さい材料を意味する。
<炭酸塩微粒子>
炭酸塩微粒子は、均一沈殿法または炭酸ガス化合法等によって製造することができる。
そして、炭酸ストロンチウム結晶は、水に溶解したストロンチウムイオンと炭酸イオンとを接触させて得ることができる。炭酸イオンは、ストロンチウム化合物を含有する溶液中に炭酸ガスをバブリングする方法等によって添加したり、または炭酸イオンを発生する物質を添加し、反応もしくは分解させて得ることができる。
炭酸ガスを発生させる物質としては尿素が挙げられ、尿素の加水分解酵素を併用して発生した炭酸ガスイオンとストロンチウムイオンとを反応させて炭酸ストロンチウム微粒子を得る方法(均一沈殿法)と、水酸化ストロンチウム懸濁液に炭酸ガスを吹き込んで、ストロンチウムイオンと炭酸イオンとを反応させる方法(炭酸ガス化合法)がある。微細な結晶を得るためには、できるだけ温度を下げて反応させることが好ましい。氷点下以下に冷却することが微細な結晶粒子を得ることができるため好ましい。例えば、凝固点降下物質としてエチレングリコール類等の有機溶媒を添加することも好ましく、凝固点が氷点下5℃を下回るように添加することが好ましい。これによって、長径方向の平均粒径が500nm以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を得ることができる。
炭酸ストロンチウムは二軸性の複屈折結晶であり、それぞれの光学軸方向の屈折率は、n(na,nb,nc)=(1.520,1.666,1.669)であり、針状結晶の長軸方向は、屈折率1.520の光学軸方向とほぼ一致する。そのため、針状結晶の配向方向に対して負の複屈折効果を持つ。この炭酸ストロンチウム結晶微粒子は、針状(棒状)の形態であるため、粘性のある媒体内に分散させた状態で応力を作用させることにより、統計的に所定の方向に配向させることができる。
針状または紡錘状で複屈折を有する微粒子は3,000〜200,000の重量平均分子量の分散用ポリマーを用いてもよい。
針状または紡錘状で複屈折を有する微粒子の分散用ポリマーは、分散性とセルロース系ポリマーとの相溶性の点から、エチレン性不飽和単量体単位を有する単独重合体または共重合体、アクリル酸またはメタクリル酸エステル単独重合体または共重合体、メタクリル酸メチルエステル単独重合体または共重合体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリウレタン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー及びケトン系ポリマーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、分散用ポリマーとしてセルロースエステルが用いられる場合、分散性とセルロース系ポリマーとの相溶性の点から、該セルロースエステルは総アシル基置換度2.0〜2.8であることが好ましい。
これらの分散用ポリマーは、溶液流延に使用される高濃度のセルロースエーテル溶液であるドープ(セルロース濃度15〜30質量%)に含有させても、ヘーズの上昇が少なく、均一なフィルムを形成することができるポリマーである。
針状または紡錘状で複屈折を有する微粒子を含有する微粒子分散液において、ハンドリング性の向上のため、その分散用のポリマーの濃度は0.1〜10質量%であることが好ましい。また、この分散液において微粒子の濃度は、ハンドリング性の向上のため、0.2〜10質量%であることが好ましい。
本発明においては、ハンドリング性の向上のため、微粒子分散液の粘度を10〜500mPa・sの範囲にコントロールすることが好ましい。
(分散剤)
本発明で用いられる微粒子分散液またはドープには、分散性の向上のため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤の添加量は、分散性をより効果的に発現させるため、本発明においてセルロースエーテルが用いられる場合、セルロースエーテルに対して0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。分散剤としては、例えば、ノニオン系高分子分散剤、アニオン系高分子分散剤、カチオン系高分子分散剤等の高分子分散剤が適宜選択される。
固体微粒子を溶媒中または高分子組成物溶液中に均一に分散するために、固体微粒子に吸着する高分子分散剤が用いられることは知られている。高分子分散剤は、固体微粒子の表面に吸着層を形成し、かかる吸着層が固体微粒子間に斥力を生じせしめることにより固体微粒子の凝集を妨げる。微粒子を分散させる高分子分散剤として用いられる高分子には、単独のモノマーからなるホモポリマー、複数のモノマーからなるランダムコポリマー等が挙げられるが、良好な分散性能を得るために、従来より、固体微粒子と相互作用して吸着する部分と、溶媒和して固体微粒子表面から液体中に溶け拡がる部分の双方を1分子内に複数含み、かかる2つの作用を1分子内で機能分担させた複雑な構造を有する高分子分散剤が考案されており、具体的にはかかる2つの作用が機能分担されている櫛型高分子等が良好な高分子分散剤として知られている。
分散剤の含有量は、ドープまたは微粒子分散液中に0.0001〜1質量%であることが好ましい。
本発明において、ポリマーAと材料Bを含有した光学フィルムは、少なくともポリマーAと材料Bとして、ポリマーBの1種以上が、均一に相溶しているフィルムであることが好ましい形態のひとつである。延伸方向に対して正の複屈折性を示すポリマーAに対して、延伸方向に対して負の複屈折性を示す液晶性化合物Bを相溶させた場合、面内方向でのリターデーション均一性が非常に優れた光学フィルムを得ることができる。更に、材料B(液晶性化合物B)が光学フィルム中で均一に相溶している場合は、光学フィルムを偏光板やそれを備えた液晶表示装置に用いた場合に、設計した以外の散乱光または位相の異なる光が偏光板を透過することを効果的に防止できる。
本発明においては、材料Bが延伸方向に負の複屈折性を示す液晶性化合物Bであり、局在することが液晶の発現性を高め、材料Bの負の特性が出やすい観点で、好ましい形態の1つである。特に、材料B(ポリマーB)を局在させる場合、可視光以下の粒径の材料Bの微粒子を分散させた状態のフィルムである方が、不要な散乱光の発生を抑える観点で好ましい。
本発明の液晶性化合物Bのドメインサイズは、複屈折性を制御する効果をより十分に発揮させ、かつ、ヘーズをより小さいものとするため、ドメイン径1nm以上500nm以下のドメインサイズであることが好ましく、更に好ましくは10nm以上350nm以下、特に好ましくは10nm以上150nm以下、最も好ましくは10nm以上100nm以下である。1nm未満では、複屈折性を制御する効果が不十分である場合があり、500nmを超えるとヘーズの著しい上昇がみられる場合がある。本発明における液晶性化合物Bのドメインサイズとは、球換算の体積粒子径として平均で求めた値と定義される。その測定法は、限定するものではないが、例えば、標準的な動的光散乱、小角中性子散乱NMR拡散、X線散乱、TEM画像解析などの技術を使用して決定することができる。
<液晶性化合物B>
本発明の光学フィルムは、延伸方向に対して負の複屈折を示す液晶性化合物Bを含有させることが好ましい形態であるが、該液晶性化合物は延伸方向に対して負の複屈折性を示す限り特に限定されるものではない。例えば、棒状液晶をホメオトロピック配向させた液晶性化合物などが好ましい。
液晶性組成物に使用することのできる液晶物質は、本発明の位相差フィルムが目的とする用途やそれに要求される性能等により、低分子液晶物質、高分子液晶物質を問わず広い範囲から選定することができるが、セルロース系ポリマーの延伸温度での延伸配向による負の複屈折発現により適していることから、高分子液晶物質が好ましい。
低分子液晶物質としては、飽和ベンゼンカルボン酸類、不飽和ベンゼンカルボン酸類、ビフェニルカルボン酸類、芳香族オキシカルボン酸類、シッフ塩基型類、ビスアゾメチン化合物類、アゾ化合物類、アゾキシ化合物類、シクロヘキサンエステル化合物類、ステロール化合物類などのメソゲン基となりうる基の末端に、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、酸無水物基等の反応性官能基を導入した液晶性を示す化合物や前記化合物類のなかで液晶性を示す化合物に架橋性化合物を添加した組成物などが挙げられる。
低分子液晶物質をより具体的に説明すると、負の複屈折発現のためには、MGで表されるメソゲン基を有する下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
P−(Sp−X)n−MG−R (1)
式(1)中、Pは、前記の反応性官能基であり、Pが複数個結合されている場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Spは、炭素原子1〜20個を有するスペーサー基であり、Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−または単結合であり、nは、0、1、2のいずれかの整数であり、MGは、メソゲン基またはメソゲン支持基であり、負の複屈折発現のためには、この基は好ましくは、下記式(2)で示される基から選択され、Rは、25個までの炭素原子を有するアルキル基であり、この基は未置換であるか、または1個もしくは2個以上のハロゲンもしくはシアノ基により置換されており、この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個以上のCH基はまたそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない様相で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−により置き換えられていてもよく、Rはまた、ハロゲンもしくはシアノ基であるか、または独立して、P−(Sp−X)n−について示されている意味の一つを有する。なお、式(1)で表される化合物が複数のPを有する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
−(A−Z)m−A−Z−A− (2)
(式(2)中、A、AおよびAは相互に独立して、1,4−フェニレン基であり、この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた、Nにより置き換えられていてもよく、または1,4−シクロヘキシレン基であり、この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個のCH基はまた、Oおよび(または)Sにより置き換えられていてもよく、または1,4−シクロヘキセニレン基もしくはナフタレン−2,6−ジイル基であり、これらの基は全部が未置換であるか、または1個もしくは2個以上のハロゲン、シアノ基もしくはニトロ基により、または炭素原子1〜7個を有するアルキル基、アルコキシ基もしくはアルカノイル基により置換されていてもよく、これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく、ZおよびZはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、mは、0、1または2である。)
高分子液晶物質としては、各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、またはこれらの混合物( 組成物) を用いることができる。
主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系等の高分子液晶物質、またはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの面から前記の反応性官能基を結合した液晶性ポリエステルが好ましい。
前記の側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状または環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶物質、またはこれらの混合物が挙げられる。
より具体的には、負の複屈折発現の大きい、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル部位を単独重合または、他の(メタ)アクリル化合物と共重合して得られる側鎖型液晶性高分子物質を好ましく用いる。
Figure 2014224926
(3)
式(3)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rはシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(4)、式(5)または式(6)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (4)
−P−L−P− (5)
−P− (6)
式(4)〜(6)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(7)から選ばれる基を表し、Pは式(8)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2014224926
(7)
Figure 2014224926
(8)
式(7)において、R、R、R、R はそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロライド基またはブロマイド基のいずれかを表す。
式(8)において、R、R、R、Rはそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロライド基またはブロマイド基のいずれかを表す。
前記例示の側鎖型液晶ポリマーは、前記(メタ)アクリル化合物は公知の方法により合成できる。共重合体の調製は、例えば、ラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマー等の重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどが好ましく用いられる。
また、このとき共重合する(メタ)アクリル化合物は特に限定されるものではなく、合成される高分子物質が液晶性を示せば限定されるものではないが、合成される高分子物質の液晶性を高めるため、メソゲン基を有する(メタ)アクリル化合物が好ましい。
フィルム製膜時に液晶配向を固定化するために、重合性液晶化合物を含有させたり、下記一般式(9)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を共重合しても良い。
Figure 2014224926
(9)
上記式(9)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(10)、式(11)または式(12)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (10)
−P−L−P− (11)
−P− (12)
式(10)〜(12)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(13)から選ばれる基を表し、Pは式(14)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2014224926
(13)
Figure 2014224926
(14)
式(13)において、R、R、R、Rはそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロライド基またはブロマイド基のいずれかを表す。
式(14)において、R、R、R、Rはそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロライド基またはブロマイド基のいずれかを表す。
これらオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の合成法は特に制限されるものではなく、通常の有機化学合成法で用いられる方法を適用することによって合成することができる。例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタニル基を持つ部位と(メタ)アクリル基を持つ部位を結合することで、オキセタニル基と(メタ)アクリル基の2つの反応性官能基を持つオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を合成することができる。ただし反応にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。
式(9)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基を単独重合または、他の(メタ)アクリル化合物と共重合することにより下記式(15)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子物質が得られる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合やアニオン重合の条件を採用することができる。
Figure 2014224926
(15)
さらに、液晶性組成物中に熱または光架橋反応等によって反応しうる官能基または部位を有している各種化合物を液晶性の発現を妨げない範囲で配合しても良い。架橋反応しうる官能基としては、前述の各種の反応性官能基などが挙げられる。
具体的には、例えば、下記一般式(16)で表されるジオキセタン化合物を含有させることが挙げられる。
Figure 2014224926
(16)
式(16)において、R、Rはそれぞれ個別に水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(17)または式(18)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (17)
−P−L−P− (18)
式(17)〜(18)中、Pはそれぞれ個別に式(19)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2014224926
(19)
式(19)において、R、R、R、Rはそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロライド基またはブロマイド基のいずれかを表す。
本発明において用いられる液晶性組成物は前記の液晶性化合物単独であっても、種々の液晶性化合物の混合物や各種の活性化剤や添加剤を含む組成物であっても液晶性を示せば特に制限はない。これらの液晶性組成物は、液晶性を示す組成物であり、前記の低分子液晶物質または高分子液晶物質を、組成物の液晶性により都合が良いため、少なくとも10質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがさらに好ましく、50質量%以上含むことが特に好ましいものである。低分子液晶物質または高分子液晶物質の含有量が10質量%未満では組成物中に占める前記の液晶性を示す化合物の濃度が低くなり、組成物が液晶性を示さなくなる場合があり好ましくない。
反応性基を有する液晶性組成物は、所望の配向を実現させた後、当該反応性基を反応させるに適した条件下で反応を行わせる。
前記の反応開始剤としては、一般のラジカル重合に使用される有機過酸化物類、アゾ化合物や各種の光重合開始剤などが例示される。
光重合開始剤には、適当な光により開裂してラジカルを発生する光ラジカル開始剤、適当な光により開裂してカチオンを発生する光カチオン発生剤を挙げることができる。また必要によっては適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる熱カチオン発生剤なども使用することができる。
光ラジカル開始剤としては、一般に公知の紫外線(UV)硬化型塗料、UV硬化型接着剤、ネガ型レジスト等に使用される市販のベンゾインエーテル類、アシルホスフィンオキシド類、トリアジン誘導体類、ビイミダゾール誘導体類等が挙げられる。
光カチオン発生剤としては、有機スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどを挙げることができる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF 6−(ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
また、熱カチオン発生剤としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン− 塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩− ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素− 三級アミン付加物などを挙げることができる。
次に、本発明に使用される配向層について説明する。
本発明においては、材料Bとして液晶性組成物が用いられる場合、液晶性組成物の配向はホメオトロピック配向であることが好ましく、熱可塑性高分子フィルム上や配向基板上に形成される液晶性組成物層が液晶状態でホメオトロピック配向を形成できる配向層が必要である。かかる配向層の形成は、液晶性組成物がホメオトロピック配向できるものであれば特に制限はない。熱可塑性高分子フィルムや配向基板の中には、改めて配向能を発現させるための処理を行わなくとも本発明に使用される液晶性組成物に対して十分なホメオトロピック配向能を示すものもあるが、該配向能が不十分、または配向能を示さない等の場合には、様々な物理的処理や化学的処理あるいはこれらを組み合わせた処理を用いることができる。
物理的処理としては、適度な加熱下に延伸する、フィルム面をレーヨン布等で一方向に擦るいわゆるラビング処理を行う、ラングミュア− ブロジェット膜の形成などを挙げることができる。化学的処理としては、フィルム上に好ましくは長鎖アルキル基(通常炭素数4以上、好ましくは8以上)を結合したポリイミド、ポリビニルアルコールやシランカップリング剤などの界面活性剤等の公知の配向剤からなる配向膜を設ける、酸化珪素等の蒸着処理などを挙げることができる。あるいはこれらを適宜組み合わせるなどしてホメオトロピック配向能を発現させてもよい。
液晶性組成物を前記熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明に使用される液晶性組成物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はない。また、熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
(添加剤)
本発明の光学フィルムには、添加剤として下記のような種々の素材を用いることが出来る。
本発明の光学フィルムを作製する為のドープ中には、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、マット剤、リターデーション調整剤等が添加されることができる。
これらの化合物は、ポリマーA溶液の調製の際に、ポリマーAや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。特に、光学特性を改善するリターデーション調整剤以外では、液晶表示装置用には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などを添加してもよい。
<可塑剤>
本発明の光学フィルムは、いわゆる可塑剤として知られる化合物を、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水蒸気透過率低減、リターデーション調整等の目的で添加してもよく、可塑剤としては、例えば、リン酸エステルやカルボン酸エステルが挙げられる。また、アクリル系ポリマーなども用いられる。リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチル等を挙げることが出来る。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート、アルキルフタリルアルキルグリコレート等も挙げられる。この目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、エチルフタリルエチルグリコレートがさらに好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
これらの化合物の添加量は目的の効果の発現及びフィルムからのブリードアウト抑制などの観点から、ポリマーAに対して1質量%〜30質量%が好ましい。また、ブリードアウトを抑制させるためには、200℃における蒸気圧が1333Pa以下の可塑剤であることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、ヒドロキシフェニルトリアジンも用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、市販品であるチヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、シーソーブ(SEESORB)707(シプロ化成社製)等を挙げることもできる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、ベンゾフェノン系化合物の具体例として、市販品であるシーソーブ(SEESORB)106(シプロ化成社製)等を挙げることもできる。
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がさらに好ましく用いられる。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ドープ中で紫外線吸収剤が溶解するようなものであれば制限なく使用出来、例えば、紫外線吸収剤をメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソランなどのセルロースエステルに対する良溶媒、または良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との混合有機溶媒に溶解し紫外線吸収剤溶液としてセルロースエステル溶液に混合してドープとする方法等を挙げることができる。この場合、混合性を良くするため、出来るだけドープ溶媒組成と紫外線吸収剤溶液の溶媒組成とを同じとするか近づけるのが好ましい。紫外線吸収剤が用いられる場合の含有量は、ブリード・ブルームの発生しない範囲での効果的な紫外線吸収のため、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がさらに好ましい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系の化合物が挙げられ、具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。ここで、本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合には、これらの化合物の添加量は、ブルーム・ブリード抑制と酸化防止効果発現のため、セルロースエーテルに対して1ppm〜1.0質量%が好ましく、10ppm〜1000ppmが更に好ましい。
<リターデーション調整剤>
本発明の光学フィルムに適するポリマー組成物は位相差を調整する目的で、芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤を含有していてもよい。位相差を調整する目的で使用される添加剤の複屈折率Δn(下記式(20)で示される)については特に制限はないが、光学特性に優れた光学フィルムとなることから、好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.05〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.5である。なお、添加剤のΔnの算出に必要なnx及びnyは分子軌道計算によって求めることができる。
Δn=ny−nx (20)
(式中、nxは添加剤分子の進相軸方向の屈折率を示し、nyは添加剤分子の遅相軸方向の屈折率を示す。)
本発明のポリマー組成物における芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤は、芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環の分子内の個数については特に制限はないが、光学特性に優れた光学フィルムとなることから、好ましくは1〜12個であり、さらに好ましくは1〜8個である。芳香族炭化水素環としては、例えば、5員環、6員環、7員環または二つ以上の芳香族環を含む縮合環等が挙げられ、芳香族性ヘテロ環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられる。
本発明で用いる芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等のリン酸エステル系化合物;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル系化合物;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系化合物;トリ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラブチルピロメリテート、テトラ−ノルマルヘキシルピロメリテート、テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−ノルマルオクチルピロメリテート、テトラ−イソクチルピロメリテート、テトラ−イソデシルピロメリテート等のピロメリット酸エステル系化合物;安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸エステル系化合物;フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸エステル系化合物;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系化合物;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、N−ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド系化合物、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系化合物等が挙げられ、好ましくはトリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリマー組成物における芳香族炭化水素環または芳香族性ヘテロ環を有する添加剤の割合は、ブリード・ブルームの発生しない範囲での効果的なリターデーション調整のため、0〜30質量%であることが好ましく(上記のポリマー成分:70〜99.99質量%)、0〜20質量%であることがさらに好ましく、0〜15質量%であることが特に好ましい。
<マット剤>
本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合には、マット剤をセルロースエーテルフィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りをし易くすることが出来る。マット剤は、透明性に優れるため、出来るだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘーズを小さく出来るので好ましい。
二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘーズを低下出来るため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが用いられることができる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05μm〜1.0μmの範囲であることが好ましく、5nm〜50nmがさらに好ましく、7nm〜14nmが特に好ましい。これらの微粒子は、セルロースエーテルフィルム中では、セルロースエーテルフィルム表面に0.01μm〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエーテル中の含有量は、滑り性と透明性の点から、セルロースエーテルに対して0.005質量%〜0.3質量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来る。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
配向層や液晶層を塗設する場合、マット剤の凸凹により配向が阻害される場合は、一方の面の表層のみにマット剤を含有させることが出来る。またはは、これらのマット剤とセルロースエーテルを含む塗布液を塗設して摩擦係数を低減し、滑り性を改善することも出来る。
<その他の添加剤>
この他カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加える場合がある。
(有機溶媒)
本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合には、セルロースエーテルを溶解するドープ形成に有用な有機溶媒として、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどの塩素系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を用いることができる。これらの有機溶媒をセルロースエーテルに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることが出来るので好ましい。
フィルム面質の向上の観点からは、ドープ中のポリマーAと材料Bを合わせた濃度は10質量%〜40質量%に調整し、ドープ粘度は10Pa・s〜50Pa・sの範囲に調整することが好ましい。
(光学フィルムの製造方法)
光学フィルムは、公知の溶液流延法または溶融押出法によって、フィルムを製造することが出来る。
光学フィルムは、延伸によって複屈折性を示すことが出来る。
溶液流延法の製造時に溶媒を含む状態で延伸するか、または溶媒が乾燥した状態のフィルムを延伸することが出来る。
本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合には、セルロースエーテルと材料Bが均一に相溶しているとき、フィルムのガラス転移温度−40℃以下の流動する温度以下で、フィルムとして延伸することが出来る。ここでフィルムのガラス転移温度は公知の方法で測定することが出来る。
フィルム構成材料は、フィルムを形成するために溶融した状態またはフィルムを形成するために溶媒に希釈された状態で延伸することが出来、フィルム構成材料がフィルムの形態を維持出来ない流動状態の温度よりも低く、かつガラス温度−40℃以上の温度領域で延伸することで複屈折性を制御することが出来る。
本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合であって、セルロースエーテルと材料Bが不均一である場合(材料Bが局在している場合)は、セルロースエーテルに添加剤が存在する連続相または材料Bの領域の少なくとも何れかが前記延伸条件を満たすことにより延伸され複屈折性を制御することが出来る。上記延伸条件は、透明フィルムを得ることと複屈折性を制御する観点で好ましい方法である。
本発明の光学フィルムは、斜め45度の光漏れを抑制しコントラストを増加させるために、リターデーション値Reが105nm≦Re≦350nm、及びNzが0.2<Nz<0.7であり、好ましくはRthが−50nm≦Rth≦+50nmである。これらの範囲では、IPSモードの視野角を特に改善することが知られている。
<3次元屈折率の制御>
本発明の光学フィルムを製造するときに、延伸方向をxと定義して延伸することで、nx>nz>nyの関係を満たすことが特徴である。
これは、光学フィルムを製造するときに、フィルム面内の方向をx及び同面内に直交した方向をyと定義し、また厚さ方向をzとし、これらの方向に対応したフィルムの屈折率は、xに対応した屈折率をnx、yに対応した屈折率をny、z方向に対応した屈折率をnzとした時に、これらの3つの方向を3次元的に屈折率を制御することが、本発明において重要である。
本発明において、光学フィルムの3次元屈折率(上述のnx、ny、nz)を制御するとき、光学フィルムは、延伸方向に対して正の複屈折性を有するポリマーと、延伸方向に対して負の複屈折性を示す材料Bを用いる。この場合、フィルムの面が高い平滑性を有する固定幅延伸として連続的に延伸出来るため、テンターを用いることが好ましい。
このとき、本発明の構成から材料Bを含まないフィルムを本発明の方法で製造すると、延伸方向をxとしたときに、nx(a)>ny(a)>nz(a)の関係となる。
ここで、上記nx(a)、ny(a)、nz(a)は、材料Bを含まないポリマーフィルムにおいて延伸方向をxとしたとき、延伸方向の屈折率nx(a)、延伸方向にフィルム面内に直交した方向の屈折率ny(a)、厚さ方向の屈折率nz(a)を示す。これは従来の延伸セルロース系ポリマーフィルム、例えば、コニカミノルタオプト(製)KC8UCR−3に代表されるフィルムであり、本発明とは3次元屈折率の関係が異なるものである。
光学フィルムを製造するときに、材料Bがフィルムに存在するために延伸方向に対して負の複屈折性を示す。このとき、材料Bに由来する複屈折性に着目すると、フィルムの延伸方向に対して、材料Bが配向した場合に負の一軸性であるnx(b)≒ny(b)<nz(b)の関係を満たす材料を用いる。
ここで、上記nx(b)、ny(b)、nz(b)は、フィルムを延伸したときに配向によって発現した材料Bの屈折率について、延伸方向をyとしたとき、延伸方向の屈折率nx(b)、延伸方向にフィルム面内に直交した方向の屈折率ny(b)、厚さ方向の屈折率nz(b)を示す。
このとき、光学フィルムの3次元屈折率において、延伸方向をxと定義して延伸し、nx>nz>nyの関係を満たすためには、材料Bによる複屈折性への光学的な寄与度を考慮して、配合比および延伸条件を決定しなければならないものである。そして、本発明の光学フィルムは、材料Bが特定の配合比および延伸条件であることにより、該材料による光学的な寄与度が適切で、優れた光学特性を有することを特徴とするものである。
<光学フィルムの逆波長分散性>
ポリマーAとしてエチルセルロースを使用した場合、単独では、低波長分散のみの光学フィルムを提供することができるものである。このフィルムに、延伸方向に対して負の複屈折性を示す材料Bをブレンドすると、一般的に逆波長分散性を示す光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムの波長分散特性としては、色ずれ抑制のため、0.60<Re(450)/Re(550)<1.05であることが好ましく、さらに好ましくは0.61<Re(450)/Re(550)<1.02である。
本発明の光学フィルムの延伸倍率は、より良好な位相差発現性と延伸加工性を得るため、好ましくは一方向の延伸倍率が1.01〜5.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.00〜2.50倍に延伸製膜されたものであり、より好ましくは一方向の延伸倍率が1.1〜4.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.00〜2.00倍に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.3〜4.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.50倍未満に延伸されたものであり、特に好ましくは一方向の延伸倍率が1.3〜4.00倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.25倍未満に延伸されたものであり、最も好ましくは一方向の延伸倍率が1.3〜3.50倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.25倍未満に延伸されたものである。これにより、本発明のリターデーション値を有する光学フィルムを好ましく得ることと共に、平面性の良好な光学フィルムを得ることが出来る。製膜工程のこれらの幅保持または横方向の延伸は、フィルムの面が高い平滑性を有する固定幅延伸として連続的に延伸出来るため、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明の光学フィルムにおけるポリマーAとしてセルロースエーテルが用いられる場合、セルロースエーテルフィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、液晶表示装置の薄型化の観点から、仕上がりフィルムとして10〜120μmの範囲が好ましく、更に20〜100μmの範囲がより好ましく、特に20〜80μmの範囲が好ましい。薄過ぎると例えば、本発明の光学フィルムが偏光板保護フィルムとして用いられるとき、偏光板用保護フィルムとしての必要な強度が得られない場合がある。厚過ぎると従来のフィルムに対して薄膜化の優位性がなくなる場合がある。
以下、本発明に係る光学フィルムの物性に関し下記に纏める。
(光学フィルムの透過率)
LCD表示装置の部材としては高い透過率と紫外線吸収性能が求められ、上述の添加剤を組み合せて添加し、製造された光学フィルムの500nm透過率(可視光透過率)は、85%から100%が好ましく、90%から100%が更に好ましく、92%から100%が特に好ましい。また、400nm透過率は40%から100%が好ましく、50%から100%が更に好ましく、60%から100%が特に好ましい。また、380nm透過率(紫外光透過率)は、0%から10%が好ましく、0%から5%が更に好ましく、0%から3%が特に好ましい。
光学フィルムを幅手方向に延伸する際に、延伸終了後のフィルムヘーズ値をある範囲に制御する条件で延伸する事が好ましい。フィルムヘーズ値は、光学フィルムに求められる透明性としてより適したものとなるため、3%以内が好ましく、1.5%がさらに好ましく、1%以内が特に好ましい。
(光学フィルムの算術平均粗さ(Ra))
光学フィルムをLCD用部材として使用する際、フィルムの光漏れを低減するため高い平面性が要求される。算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2001に規定された数値であり、測定方法としては、例えば、触針法または光学的方法等が挙げられる。
本発明の光学フィルムの算術平均粗さ(Ra)としては、光の散乱防止のため(透明性のため)、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、10nm以下であり、特に好ましくは、4nm以下である。
以下に、本発明の光学フィルムに係る測定値の測定方法及び後述する実施例において用いられる測定方法の概要を説明する。
(ポリマーおよび液晶化合物の構造解析)
ポリマーおよび液晶化合物の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
(重量平均分子量の測定)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
(遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率、厚さ方向の屈折率及び遅相軸の方向の測定)
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器製)を用いて、波長分散測定を行い550nmのリターデーション測定についてアッベ屈折率計1Tより試料の平均屈折率を入力して、リターデーション値および3次元屈折率nx、ny、nzを求めた。
(光学フィルムのヘーズおよび全光線透過率の測定)
作成したフィルムのヘーズおよび全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名:NDH2000)を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘーズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
本発明により、光学フィルムに適するポリマー組成物、それを用いた位相差特性に優れた光学フィルムを提供することが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(本発明の光学フィルムの作製)
<ポリマーA>
ポリマーAとして、セルロースエーテルであるエチルセルロース(ダウ・ケミカル製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、分子量Mn=55,000、分子量Mw=176,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.5)を用いた。
上記ポリマーA(セルロースエーテル)について、延伸方向に対する複屈折性を前述の試験法により試験した結果、延伸方向に対して正の複屈折性を示した。
(ドープ組成)
以下、セルロースエーテルフィルムのドープ組成について示す。
エチルセルロース 100質量部
溶媒:メチレンクロライド 400質量部
エタノール 100質量部
下記材料B 表2記載量
<材料B(ポリマー)>
表1に記載のポリマー1〜ポリマー7(材料B)について公知の溶液重合法によって合成した。ポリマー1〜ポリマー7について、延伸方向に対する複屈折性を前述の試験法により試験した結果、延伸方向に対して負の複屈折性を示した。
Figure 2014224926
ドープ液を、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、幅150mmのポリマー組成物(光学フィルム)を得た。得られた光学フィルムを50mm角に切り出し、自由端一軸延伸した(延伸後の厚み40μm)。得られた光学フィルムのヘーズ、全光線透過率、位相差特性を測定した。その結果を表2に示す。
(ドープ組成)
以下、セルロースエーテルフィルムのドープ組成について示す。
エチルセルロース 100質量部
溶媒:メチレンクロライド 400質量部
エタノール 100質量部
下記分散液中の材料B 表3記載量
<分散液中の材料B(針状または紡錘状微粒子)>
ジクロロメタン89質量部、負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウム粒子(長軸径の平均寸法250nm、アスペクト比3.5、平均固有複屈折=na−((nb+nc)/2)=−0.147510質量部、分散剤(BYK−Chemie社製、商品名Disperbyk−140)1質量部からなる混合物をプライミクス社製薄膜旋回型ミキサー(商品名:フィルミクス56−50)で攪拌させることで炭酸ストロンチウム分散液を得た。
ドープ液を、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、幅150mmのポリマー組成物(光学フィルム)を得た。得られた光学フィルムを50mm角に切り出し、自由端一軸延伸した(延伸後の厚み40μm)。得られた光学フィルムのヘーズ、全光線透過率、位相差特性を測定した。その結果を表3に示す。
(ドープ組成)
以下、セルロースエーテルフィルムのドープ組成について示す。
エチルセルロース 100質量部
溶媒:メチレンクロライド 400質量部
エタノール 100質量部
下記材料B 表4記載量
<材料B(液晶性化合物)>
下記式(21)の材料B(液晶性ポリマー)を公知の方法で合成した。重量平均分子量は21,000であった。なお、式(21)はブロック共重合体の構造で表記しているが、モノマーの構成比を表すものである。
Figure 2014224926
(21)
ドープ液を、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、幅150mmのポリマー組成物(光学フィルム)を得た。得られた光学フィルムを50mm角に切り出し、自由端一軸延伸した(延伸後の厚み40μm)。得られた光学フィルムのヘーズ、全光線透過率、位相差特性を測定した。その結果を表4に示す。
得られた光学フィルムの、延伸方向の屈折率nx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率ny、フィルムの厚さ方向の屈折率nzを下記手順で測定したところ、本発明の光学フィルムに係る実施例1〜実施例37は、全てnx>nz>nyの関係を満たしていた。得られた屈折率及びフィルムの厚みd(nm)から、Re、Rth、Nzを下記方法により求めた。その結果を表2〜表4に合わせて示す。
Figure 2014224926
Figure 2014224926
Figure 2014224926
得られた光学フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さく、面内位相差(Re)およびNz係数が目的とする光学特性を有するものであった。
(Re、Rth、Nzの測定)
延伸方向の屈折率nx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率ny、フィルムの厚さ方向の屈折率nzとするとき、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器製)を用いて3次元複屈折率測定および波長分散測定を行った。波長が550nmにおけるアッベ屈折率計1Tで求めたフィルムを構成する材料の平均屈折率およびフィルムの厚さを入力して、550nmにおける式(i)、(ii)、(iii)の値を測定値より求めた。
式(i) Re=(nx−ny)×d
式(ii) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(iii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
<比較の光学フィルムの作製(ポリマーA:エチルセルロース)>
(ドープ組成)
以下、セルロースエーテルフィルムのドープ組成について示す。
エチルセルロース 100質量部
溶媒:メチレンクロライド 400質量部
エタノール 100質量部
材料B 未添加
ドープ液を、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、幅150mmのポリマー組成物(光学フィルム)を得た。得られた光学フィルムを50mm角に切り出し、自由端一軸延伸した(延伸後の厚み40μm)。得られた光学フィルムのヘーズ、全光線透過率、位相差特性を測定した。その結果を表5に示す。
得られた光学フィルムの、延伸方向の屈折率nx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率ny、フィルムの厚さ方向の屈折率nzを測定したところ、比較例1〜比較例2の光学フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さいものの、nx>ny>nzの関係であり、Nz係数が目的とする光学特性を有していなかった。
Figure 2014224926
<比較の光学フィルムの作製(ポリマーA:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基=5モル%、プロピオニル基=80モル%、全置換度DS=2.55、数平均分子量=75,000))>
(ドープ組成)
以下、セルロースエステルフィルムのドープ組成について示す。
セルロースアセテートプロピオネート 100質量部
溶媒:メチレンクロライド 400質量部
エタノール 100質量部
下記材料B 表7記載量
<材料B(比較ポリマー)>
比較例3〜比較例4:表6に記載のポリマー8〜ポリマー9について公知の溶液重合法によって合成した。
比較例5:実施例22〜実施例31にて用いた針状微粒子を用いた。
比較例6:材料B未添加にて製膜評価した。
ドープ液を、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、幅150mmのポリマー組成物(光学フィルム)を得た。得られた光学フィルムを50mm角に切り出し、自由端一軸延伸した(延伸後の厚み40μm)。得られた光学フィルムのヘーズ、位相差特性を測定した。その結果を表7に示す。
得られた光学フィルムの、延伸方向の屈折率nx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率ny、フィルムの厚さ方向の屈折率nzを測定した。
比較例3〜比較例5の光学フィルムはnx>nz>nyの関係を満たしていたが、Reが不十分であり、光線透過率が低く透明性に劣り、ヘーズが大きかった。
比較例6の光学フィルムは、光線透過率が高く透明性に優れ、ヘーズが小さいものの、Nz係数が目的とする光学特性を有していなかった。
Figure 2014224926
Figure 2014224926

Claims (12)

  1. 延伸工程を経て製造される光学フィルムであって、下記式(i)で表されるリターデーション値Reが、105nm≦Re≦350nmを満たし、下記式(ii)で表されるNzが0.2<Nz<0.7を満たし、且つ、該延伸方向をx、フィルム面内でxに直交する方向をy、フィルムの厚さ方向zとしたとき、nx>nz>nyの関係を満たす光学フィルムにおいて、前記光学フィルムは延伸方向に対して正の複屈折性を示す少なくとも1種のポリマーAと少なくとも1種の材料Bを含有し、前記材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示すことを特徴とする光学フィルム。
    式(i) Re=(nx−ny)×d
    式(ii) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
    但し、x方向の屈折率をnx、y方向の屈折率をny、z方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
  2. 下記式(iii)で表されるリターデーション値Rthが−50nm≦Rth≦+50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
    式(iii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    (ここで延伸方向の屈折率をnx、フィルム面内でxに直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
  3. ヘーズが3%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 450nmにおけるリターデーションと550nmにおけるリターデーションの比Re(450)/Re(550)が0.60<Re(450)/Re(550)<1.05であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. ポリマーAがセルロース系ポリマーであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示すポリマー(ポリマーBという)であり、光学フィルムは、ポリマーAとポリマーBが相溶されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示すポリマー(ポリマーBという)であり、ポリマーBがポリマーA中に局在することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 材料Bが無機粒子であり、前記無機粒子がポリマーA中に分散されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. 材料Bが無機粒子であり、前記無機粒子の長径の平均値が10〜500nmであり、かつ下記で定義される針状比が1.5以上の針状または紡錘状微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
    針状比=絶対最大長/対角幅
    ここにおいて、対角幅とは絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像を挟んだときの2直線間の最短距離である。
  11. 材料Bが延伸方向に対して負の複屈折性を示す液晶性化合物(液晶化合物Bという)であり、光学フィルムは、ポリマーAと液晶性化合物Bが相溶されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
  12. 材料Bが、延伸方向に対して負の複屈折性を示す液晶性化合物(液晶化合物Bという)であり、光学フィルムは、ポリマーAに液晶性化合物Bが局在していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学フィルム。
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