JP2002014234A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法

Info

Publication number
JP2002014234A
JP2002014234A JP2001125612A JP2001125612A JP2002014234A JP 2002014234 A JP2002014234 A JP 2002014234A JP 2001125612 A JP2001125612 A JP 2001125612A JP 2001125612 A JP2001125612 A JP 2001125612A JP 2002014234 A JP2002014234 A JP 2002014234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
retardation
film
polymer
retardation film
polymers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001125612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4624591B2 (ja
Inventor
Akihiko Uchiyama
昭彦 内山
Takashi Kushida
尚 串田
Shoichi Tsujikura
正一 辻倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2001125612A priority Critical patent/JP4624591B2/ja
Publication of JP2002014234A publication Critical patent/JP2002014234A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4624591B2 publication Critical patent/JP4624591B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の主たる目的は、位相差の波長分散特
性を容易に、かつ高度に制御する位相差フィルムの製造
方法を提供することにある。 【解決手段】 互いに相溶するものであって、かつ位相
差フィルムとしたときの位相差波長分散が異なる少なく
とも2種類のポリマーA及びポリマーBの混合比を調整
し該混合物をフィルムに形成する位相差フィルムの製造
方法であって、ポリマーAを位相差フィルムとしたとき
のR(450)/R(550)と、ポリマーBを位相差
フィルムとしたときのR(450)/R(550)との
差が0.05以上であるポリマーAとポリマーBを用い
る。(ただし、R(450)及びR(550)はそれぞ
れ測定光波長450nm、550nmで測定した位相差
フィルムの該フィルム面内における位相差である)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差フィルムの
製造方法に関する。さらに詳しくは、位相差が所望の波
長分散特性(波長依存性)をもつような位相差フィルム
を生産性よく製造する方法に関する。かかる位相差フィ
ルムは、例えば液晶表示装置、記録装置に用いられる光
ピックアップ、光記録媒体等の光学装置、発光素子、光
演算素子、光通信素子、タッチパネルに好適に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、位相差フィルムは、液晶表示装
置等の表示装置に用いられ、色補償、視野角拡大、反射
防止等の機能を有している。この位相差フィルムの材料
としては、一般にビスフェノールAを重縮合したポリカ
ーボネートや、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォ
ン、ポリビニールアルコール、ノルボルネン樹脂の熱可
塑性ポリマーが用いられている。
【0003】位相差フィルムは、例えば、スーパーツイ
ストネマチック(STN)モードの液晶表示装置において
は、通常、色補償や視野角拡大を目的として用いられて
いる。この位相差フィルムの製造方法に関しては、2つ
のポリマーを混合して製造する方法として、次のような
ものが知られている。
【0004】特開平4−194902号公報には、正の
複屈折を生ずるポリマーと負の複屈折を生ずるポリマー
とを混合して位相差フィルムを製造する方法が記載され
ている。具体的には、ポリ(2,6ジメチル、1,4フ
ェニレンオキサイド)とポリスチレンとを混合したり、
ポリ塩化ビニルとポリメチルメタクリレートとを混合し
て形成したフィルムを一軸延伸し、それぞれ視野角依存
性が小さい位相差フィルムが得られたことがそれぞれ記
載されている。
【0005】特許第2780190号公報には、少なく
とも二種類の高分子の混合体あるいは共重合フィルムを
一軸延伸してなる位相差フィルムが記載されている。こ
こでは、光弾性定数の正負が異なる高分子を組み合わせ
るという方法が開示されている。具体的にはポリスチレ
ンとポリプロピレンとを1:2.6の割合で混合したこ
とが記載されている。
【0006】特開平6−174922号公報には、光弾
性定数が特定の関係を満たす2つのポリカーボネート樹
脂を混合してできた組成物で形成された位相差フィルム
が記載されている。具体的には、ビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂と、ビスフェノールAの中央炭素の
2つのメチル基をフェニル基で置換したビスフェノール
A誘導体を主成分とし、少量のビスフェノールAを含む
原料より得られたポリカーボネート樹脂とを混合したこ
とが記載されている。
【0007】反射型液晶表示装置、特に偏光板を一枚の
み用いた反射型液晶表示装置においては、位相差フィル
ムは偏光板と組み合わせて円偏光を発生させる機能を発
現させるように光学設計されている場合がある。
【0008】このような液晶表示装置においては、通
常、該装置全体としての光学的な特性を最適化するため
に位相差フィルムの光学設計を行う。しかしながら、光
学的な特性の一つである位相差の波長分散特性は位相差
フィルムを構成する材料によりほぼ決定されてしまう。
また、実用可能な材料が限られている。一般にポリマー
同士は相溶性が悪いので、それらを混合した場合には相
分離する。したがって得られた混合物を光学的に観察す
るとヘーズが高く位相差フィルムには不適当である。互
いに相溶するポリマーの組み合わせは、前記した特開平
4−194902号公報に記載のものなど非常に少な
い。
【0009】このため、位相差フィルムの位相差の波長
分散を液晶セルの位相差の波長分散と合わせるという光
学的設計を行なうのは、実用可能なポリマー材料の種類
が限られるので難しいのが現状である。また、多くの液
晶表示装置メーカーの要求する位相差の波長分散特性を
有する種々の位相差フィルムを提供するには、位相差フ
ィルムの製造業者としては、非常に多数の材料を保有
し、フィルム化することを考えなくてはならないといっ
た問題があった。さらに、上記したような相溶しうるポ
リマーの組み合わせは異種のポリマーの組み合わせであ
るが、種類に限りがあり、また、熱的耐久性や生産性の
点で問題があった。
【0010】また特開平6−230368号公報には、
可視光のある波長で複屈折率がゼロである位相差フィル
ムが記載されている。かかる位相差フィルムは、リター
デーションの波長依存性が異なったり、光弾性定数の正
負が異なる2枚の位相差フィルムをある方向で積層した
り、複数の高分子の混合体や共重合体を延伸する方法に
よって得られることが記載されている。
【0011】しかしながら、複数の高分子の混合体や共
重合体を延伸する方法に関しては、具体的にはどのよう
な高分子や共重合体を用いることができるのかについ
て、全く記載されていない。
【0012】位相差の波長分散が制御された位相差フィ
ルムを製造する方法として、2枚のフィルムを積層する
という下記の技術が知られている。
【0013】特開平5−27119号公報には、特定の
リターデーションを有する2枚の複屈折性フィルムを積
層して製造することが記載されている。
【0014】特許第2609139号公報には、位相差
の波長依存性が異なる特定の2枚以上の複屈折性フィル
ムを特定の角度で積層して製造することが記載されてい
る。
【0015】これらの場合、位相差フィルムを複数枚用
いるので、それらを貼り合わせたり、貼り合わせる角度
を調整する工程が必要であり、生産性に問題がある。ま
た、位相差フィルム全体の厚さが大きくなるために、光
線透過率が低下して、表示装置に組み込んだときに厚く
なったり暗くなるという問題もある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、位相差の波長分散特性を容易に、かつ高度に制御す
る位相差フィルムの製造方法を提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、顧客からの多様な波
長分散特性の要求にすみやかに対応することができる位
相差フィルムの製造方法を提供することにある。
【0018】本発明のさらなる目的は、同種のポリマー
から形成された一枚の位相差フィルムを、容易にかつ生
産性よく製造する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意検討したところ、少なくとも2種類の位相差波長
分散の大きく異なる相溶性の高分子を混合し、その混合
比率を制御することにより、位相差波長分散を制御し、
生産性良く、所望の位相差波長分散特性を有する位相差
フィルムを製造する方法を見出した。
【0020】すなわち本発明は、次の通りのものであ
る。 1.互いに相溶しうる少なくとも2種類のポリマーA及
びポリマーBの混合比を調整し該混合物をフィルムに成
形する位相差フィルムの製造方法であって、ポリマーA
を位相差フィルムとしたときのR(450)/R(55
0)と、ポリマーBを位相差フィルムとしたときのR
(450)/R(550)との差が0.05以上である
ポリマーAとポリマーBを用いることを特徴とする位相
差フィルムの製造方法。(ただし、R(450)及びR
(550)はそれぞれ測定光波長450nm、550n
mで測定した位相差フィルムの該フィルム面内における
位相差である)。
【0021】2.ポリマーAは、該ポリマーA単独で位
相差フィルムを成形したとき、下記式(1)を満足する
ものである、上記1の位相差フィルムの製造方法。 R(450)/R(550)<1 (1) (ただし、R(450)及びR(550)の定義は上記
に同じである。)
【0022】3.ポリマーBは、該ポリマーB単独で位
相差フィルムを成形したとき、下記式(2)を満足する
ことを特徴とする上記1、2の位相差フィルムの製造方
法。 R(450)/R(550)≧1 (2) (ただし、R(450)及びR(550)の定義は上記
に同じである。)
【0023】4.ポリマーA及びBが芳香族ポリエステ
ルポリマーであることを特徴とする上記1〜3の位相差
フィルムの製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明においては、互いに相溶す
るものであって、かつ位相差フィルムとしたときの位相
差波長分散が異なる少なくとも2種類のポリマーA及び
ポリマーBを混合することを特徴とする位相差フィルム
の製造方法に関し、ポリマーA及びBをそれぞれ位相差
フィルムとしたときのR(450)/R(550)の差
が0.05以上であるとする。つまり、ポリマーA単独
で形成された位相差フィルム(位相差フィルムA)にお
ける位相差の波長分散と、ポリマーB単独で形成された
位相差フィルム(位相差フィルムB)における位相差の
波長分散特性は異なり、位相差フィルムAのR(45
0)/R(550)の値と位相差フィルムBのR(45
0)/R(550)の値との差が少なくとも0.05で
ある。例えば、2種類のポリマーを混合する場合、一方
のポリマーからなる位相差フィルムと他方のポリマーか
らなる位相差フィルムの位相差波長分散が異なってお
り、実施例でも詳細述べるが、例えば、両者の光学異方
性が同じで前者のR(450)/R(550)が1.0
5で後者がR(450)/R(550)が0.25であ
った場合、それらを混ぜることによりその混合比に応じ
て0.25〜1.05まで任意の位相差波長分散を有す
る位相差フィルムを得ることが出来る。通常の位相差フ
ィルムを製造する方法ではこのような方法は取られてお
らず、任意の位相差波長分散を得ようとした場合には、
先述したように異なる位相差波長分散を有するポリマー
を多数保有するという極めて生産性の悪い方法を取らざ
るを得ない。しかし、本発明の方法によれば、例えばわ
ずか2種類のポリマーを保有し製造工程でそれらの量を
制御して混合する工程を有するだけで多数の位相差波長
分散を有する位相差フィルムを得ることが出来るのであ
る。上記具体例は2種類のポリマーを混合させる例であ
ったが、2種類以上であっても良い。
【0025】ポリマーAとBの位相差波長分散R(45
0)/R(550)の差は好ましくは0.1以上、より
好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.2以上
である。この差が大きいほど多様な位相差波長分散を持
つ位相差フィルムを作り出すことが可能となる。この差
が小さくなるほど、ポリマーを2種類用意したところ
で、本発明の目的の1つである顧客からの多様な波長分
散を持つ位相差フィルムを作ることが困難である。また
そのような2つのポリマーを有する意味もあまりない。
【0026】ただし、位相差フィルムは透明であること
が必要であるので、それら混合されるポリマーは互いに
相溶しうる(相溶性である)ことが重要である。ここで
相溶性であるとは、混合されたポリマーからなる位相差
フィルムのヘーズ値が2%以下であることを言う。ヘー
ズ値として好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.
5%以下である。
【0027】位相差フィルムの位相差(レターデーショ
ン)とは、光が厚さdの位相差フィルムを透過したとき
に該フィルムの配向方向とそれに垂直な方向の光の進行
速度(屈折率)の差にもとづく位相の差をいい、該配向
方向とそれに垂直な方向の屈折率の差Δnとフィルムの
厚さdとの積Δn・dで表わされる。配向方向について
は後述する。
【0028】位相差(Δn・d)は位相差フィルムが同
一であれば複屈折Δnに比例するので、位相差の波長分
散(波長依存性)は複屈折Δnの波長分散(波長依存
性)で表わすことができる。
【0029】本発明においては、位相差フィルムの面内
における配向方向の屈折率が、該配向方向と垂直な方向
の屈折率より大きい場合を、光学異方性が正といい、小
さい場合を光学異方性が負と定義する。ここで位相差フ
ィルムの配向方向は、未延伸のフィルムを延伸すること
で決定される。該フィルムを形成するポリマーのガラス
転移点温度をTgとするとき、Tgの近傍(Tg-5〜Tg+
20℃の範囲)の温度条件で一方向に延伸した場合には、
その延伸方向になる。
【0030】なお、本発明において、位相差というとき
は位相差の絶対値をいう。光学異方性が負の場合には位
相差は負であるが、本発明では特にことわらない限り正
負の符号は無視する。また、光学異方性の正負を判断す
る場合の波長は550nmとする。
【0031】本発明によれば、少なくとも2種類のポリ
マーAとBの混合量を制御することにより位相差フィル
ムの位相差波長分散を容易に制御でき所望の位相差波長
分散特性を有する位相差フィルムを提供できるものであ
る。
【0032】ポリマーAとBは光学異方性が異なってい
ても(つまり正と負の組み合わせ)よく、同じであって
もよい。この場合は、例えば、両者が正、または両者負
である場合を指す。
【0033】なお、本発明において、『ポリマーが正ま
たは負である』とか、または『ポリマーの位相差波長分
散』という表現は省略した表現であって、実際はそれぞ
れ『ポリマーからなる位相差フィルムの光学異方性が正
または負』、『ポリマーからなる位相差フィルムの位相
差波長分散』と同じ意味である。
【0034】ここで、この光学異方性は、ポリマーAの
場合、溶液キャスト法によりポリマーAからの未延伸フ
ィルムを作成し、ついでこれをTgの近傍(Tg-5〜Tg+
20℃の範囲)の温度条件で一方向に1.1〜3倍程度に
延伸して得た位相差フィルムを用いて評価する。
【0035】上述したように、本発明においては、ポリ
マーA及びBは、それぞれ単独で位相差フィルムを形成
したとき、位相差の波長分散がすべて同じではない。す
なわち、ポリマーA単独で形成された位相差フィルム
(位相差フィルムA)における位相差の波長分散と、ポ
リマーB単独で形成された位相差フィルム(位相差フィ
ルムB)における位相差の波長分散特性は異なる。好ま
しくは、位相差フィルムAと位相差フィルムBのいずれ
か一方は下記式(1)を満足する位相差の波長分散特性
を持つ。 R(450)/R(550)<1 (1)
【0036】ここで、R(450)及びR(550)は
それぞれ測定光波長450nm、550nmで測定した
位相差フィルムの該フィルム面内における位相差であ
る。この特性を有するポリマーを用いることにより、よ
り広い範囲で位相差波長分散を制御することが容易とな
る。なお、かかる特性を評価するときの、ポリマーA,
Bそれぞれ単独で位相差フィルムを形成する条件は、前
記した光学異方性を評価する場合と同じである。
【0037】さらに、ポリマーA単独からなる位相差フ
ィルムは上記式(1)を満足し、かつポリマーB単独か
らなる位相差フィルムが下記式(2)を満足するよう
な、ポリマーAまたはBを選択するのがより好ましい。 R(450)/R(550)≧1 (2)
【0038】このように上記特性を有するポリマーA,
Bを用いることにより、位相差の波長分散を、具体的に
はR(450)/R(550)が1未満のある値から1
以上のある値の範囲において、ポリマーA,Bの混合割
合を適宜変えるだけで容易に得ることが可能となる。
【0039】特に、ポリマーA,Bの光学異方性が同じ
場合には、両者の位相差波長分散R(450)/R(5
50)のそれぞれの差は0.1以上が好ましく0.15
以上であることがより好ましく、0.2以上であること
がさらにより好ましい。先に述べたように、これはこの
差が大きいほど位相差フィルムの位相差波長分散を制御
する範囲が広がることを意味しているからである。ポリ
マーAとBの光学異方性が正と負の場合には符号が異な
るのでこの限りではない。正と負の場合には、両者の位
相差波長分散の差を広く取らなくても、両者の混合比に
より広い範囲の波長分散を有する位相差フィルムを製造
することが可能である。
【0040】つぎに、本発明に用いられる好ましいポリ
マーAとBについて説明する。
【0041】用いるポリマーはA,Bの他、A,Bと相
溶するものであれば、さらに一種以上の第3のポリマー
を用いてもよい。この場合、第3のポリマーは位相差フ
ィルムの成形性の点で熱可塑性ポリマーであることが好
ましい。第三のポリマーがポリマーAとBの相溶化剤の
役割を果たしても良い。
【0042】本発明に用いられる具体的なポリマーとし
ては、お互いに相溶するものであって、上記条件を満足
していれば特に限定はないが、耐熱性に優れ、光学性能
が良好で、フィルム形成能を有し、溶融押し出し法や溶
液キャスト法により製膜ができる熱可塑性ポリマーから
選択するのが好ましい。かかる熱可塑性ポリマーとして
は、例えば芳香族ポリエステルポリマー、ポリオレフィ
ン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ンを挙げることができる。この中で、ポリアリレート、
ポリエステル、ポリカーボネート等の芳香族ポリエステ
ルポリマーが耐熱性、フィルム形成性、光学特性が良好
である。中でもポリカーボネートは透明性、耐熱性、製
膜性、生産性の点でより優れており好ましい。ポリマー
A,Bは、上記熱可塑性ポリマーの中で同種のポリマー
の組み合わせが、特に相溶性に優れるので好都合であ
る。
【0043】つぎに、本発明に用いられるポリマーAと
Bの好ましい例について説明する。
【0044】ポリマーAは、少なくとも2種類の繰り返
し単位aとbとを含んでなる共重合ポリマーであって、
ポリマーBは、該繰り返し単位a及びbの少なくともい
ずれか一方を含んでなる(共)重合体であることが相溶
性の点で好ましい。より好ましくは、ポリマーBは、該
繰り返し単位a及びbとを含んでなる共重合体であっ
て、ポリマーAとBは繰り返し単位aとbの含有量が異
なる。つまりポリマーAとBは共重合組成が同一ではな
いものである。共重合組成としては、ポリマーAとBが
相溶するのであれば、特に制限はない。また、ポリマー
中のシーケンスについてもポリマーAとBが相溶するの
であれば、特に制限はなく、ランダム共重合体でも、ブ
ロック共重合体でもよい。また、ポリマーA,Bはその
少なくともいずれか一方に、共重合成分として繰り返し
単位a,b以外の他の繰り返し単位cを有していてもよ
い。
【0045】ポリマーAとBを用いるに際し、A,Bと
相溶するものであれば、さらに一種以上の第3のポリマ
ーを併用してもよい。この場合、第3のポリマーは位相
差フィルムの成形性の点で熱可塑性ポリマーであること
が好ましい。
【0046】本発明におけるポリマーA,Bとしては、
フルオレン骨格を有する構造を含む共重合体が、耐熱
性、フィルム形成性をもち、そして低い光弾性定数を有
しており位相差フィルムとしてのバランスがよい。した
がって、ポリマーA,Bは同一の繰り返し単位a,bを
有し、かつその少なくとも一方がフルオレン骨格を有す
る構造を持つことが好適である。より好ましくは、繰り
返し単位a及びbの少なくとも一方はフルオレン環を有
するビスフェノールから誘導される成分である。さらに
好ましくは、繰り返し単位a及びbはともにかかる成分
であることが相溶性の点から有利である。
【0047】このようなフルオレン環を有するビスフェ
ノール成分は、下記式で表されるものである。
【0048】
【化1】
【0049】上記式におけるベンゼン環の水素原子は、
アルキル基、アリール基等の炭素数1〜6の炭化水素
基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0050】前記したように、共重合ポリマーの場合、
ポリマーA及びB中の繰り返し単位a,bの割合は、ポ
リマーA,Bが相溶すれば特に制限はない。この場合、
位相差フィルムの光学特性等の特性は、ポリマーAとB
との混合物中に含まれる該繰り返し単位aとbの構造と
含有量によって主として決まる。したがって、所望の特
性を有する位相差フィルムとなるように、用いる2つの
ポリマーAとBそれぞれの繰り返し単位a,bの割合と
ポリマーAとBの混合量とを、適宜決定すればよい。例
えば、ポリマーA中の繰り返し単位aとbの割合は、a
が1〜99モル%、より好ましくは10〜90モル%、
特に好ましくは50〜90モル%の範囲で、bが99〜
1モル%の範囲、より好ましくは90〜10モル%、特
に好ましくは90〜50モル%の範囲で、それぞれ決定
することができる。
【0051】具体的に一例を挙げると、後述の実施例で
は、フルオレン環を有するビスフェノールモノマー
[A]と[B]をそれぞれ30モル%及び70モル%用
いたポリカーボネート共重合体Xと、同じくそれぞれ7
0モル%及び30モル%共重合させたポリカーボネート
共重合体Yが示されている。これらのコポリマーXとY
はいかなる混合比率でも相溶性である。したがって、か
かるコポリマーXとYの混合率を任意に変えるだけで様
々な位相差の波長分散を有する位相差フィルムを作成で
きる。
【0052】ポリマーA,Bとして好ましく用いること
ができるポリカーボネート共重合体としては、具体的
に、下記式(I)
【0053】
【化2】
【0054】(上記式(I)において、R1〜R8はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の
炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは下
記式
【0055】
【化3】
【0056】である。)で示される繰り返し単位を5〜
95モル%と、下記式(II)
【0057】
【化4】
【0058】(上記式(II)において、R9〜R16
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜
22の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、
Yは下記式群
【0059】
【化5】
【0060】(ここで、Y中のR17〜R19、R21及びR
22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数
1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基
であり、R20及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20
の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基であり、
Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、炭素数6〜10のアリ
ール基である。)から選ばれる少なくとも一種の基であ
る)で示される繰り返し単位が全体の95〜5モル%を
占めるポリカーボネート共重合体が挙げられる。
【0061】上記式(I)において、R1〜R8はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭
化水素基から選ばれる。かかる炭素数1〜6の炭化水素
基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シ
クロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリー
ル基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が好
ましい。
【0062】上記式(II)において、R9〜R16はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22
の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基である。
かかる炭素数1〜22の炭化水素基としては、メチル基、
エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等の炭素
数1〜9のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、タ
ーフェニル基等のアリール基が挙げられる。この中で、
水素原子、メチル基が好ましい。
【0063】上記式(II)のYにおいて、R17
19、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少な
くとも一種の基である。かかる炭化水素基については、
上記したものと同じものを挙げることができる。R20
びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から
選ばれる少なくとも一種の基であり、かかる炭化水素基
については、上記したものと同じものを挙げることがで
きる。Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、フェニル基、ナ
フチル基等の炭素数6〜10のアリール基である。
【0064】上記したフルオレン骨格を有するポリカー
ボネート共重合体からなる位相差フィルムはフルオレン
成分の組成比によって位相差の波長分散特性がR(45
0)/R(550)<1をもつものと、R(450)/
R(550)≧1をもつものがある。この位相差波長分
散の異なる2つの共重合体を適量混合することにより広
い範囲で様々な位相差波長分散を有する位相差フィルム
を簡便な方法で提供することが可能となる。
【0065】ポリカーボネート共重合体中のフルオレン
成分の共重合組成(モル比)、及びポリマーAとBの混
合体中の繰り返し単位a,bは、例えば核磁気共鳴(NM
R)装置により求めることができる。
【0066】上記ポリカーボネートとしては、下記式
(III)
【0067】
【化6】
【0068】(上記式(III)において、R24、R25
それぞれ独立に水素原子及びメチル基からなる群から選
ばれる少なくとも一種の基である。)で示される繰り返
し単位を10〜90モル%と、下記式(IV)
【0069】
【化7】
【0070】(上記式(IV)においてR26及びR27はそ
れぞれ独立に水素原子及びメチル基から選ばれる少なく
とも一種の基であり、Zは下記式群
【0071】
【化8】
【0072】で示される繰り返し単位が全体の90〜1
0モル%を占めるポリカーボネート共重合体が耐熱性、
透明性等の点で特に好ましい。
【0073】上記したポリカーボネート共重合体の製造
方法としては、ビスフェノール類のようなジヒドロキシ
化合物とホスゲンあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エ
ステル形成性化合物との重縮合による方法、溶融重縮合
法等が好適に用いられる。
【0074】上記ポリカーボネート共重合体の極限粘度
は0.3〜2.0dl/gであることが好ましい。0.
3未満では脆くなり機械的強度が保てないといった問題
がある。またこれを超えると溶液粘度が上がりすぎるた
め溶液製膜においてダイラインの発生等の問題や、重合
終了時の精製が困難になるといった問題が起こりうる。
【0075】本発明においては、上記ポリマーA及びB
の混合比を調整し該混合物をフィルムに成形することに
より位相差が所望の波長分散特性を持つ位相差フィルム
が提供される。
【0076】ポリマーA及びBの混合比を調整してAと
Bとを混合する方法としては、溶融混合でもよいし、A
とBとを溶解する溶媒中で行なってもよい。しかしなが
ら、下記に示す理由により溶液キャスト法が好適であ
る。したがってAとBとを溶解する溶媒中で混合を行な
い、つづいて溶液キャスト法によりフィルムを形成する
のが好ましい。
【0077】ポリマーAとBの混合比は特に制限はない
が、位相差フィルムの光学特性は、ポリマーAとBとの
混合物中に含まれる繰り返し単位の構造と含有量の寄与
が大きい。したがって、ポリマーAとBの混合量は、該
ポリマーAとBを構成する繰り返し単位a,bの割合を
勘案して適宜決定するのがよい。例えば、通常ポリマー
Aが1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、より
好ましくは10〜90重量%の範囲であり、ポリマーB
が99〜1重量%、好ましくは95〜5重量%、より好
ましくは90〜10重量%の範囲で、ポリマーAとBと
の混合物に含まれる繰り返し単位aとbの合計量に基づ
く該繰り返し単位aの割合が50〜99モル%、好まし
くは50〜95モル%となるように決定する。もちろ
ん、ポリマーA及びBの少なくともいずれか一方が他の
繰り返し単位cをさらに含む場合は、cの量も考慮して
決定されるべきである。
【0078】得られた混合物は、ついで、例えば溶融押
し出し法、溶液キャスト法によってフィルムに成形され
る。溶液キャスト法では、該混合物が溶液に溶解した溶
液組成物をステンレスベルトやフィルムベルト上にダイ
から押し出すキャスティング法、ドクターナイフ法など
により流延することによってフィルム化し、ついて所望
のリターデーションなどの光学特性となるように、必要
に応じて延伸して位相差フィルムを得る。位相差フィル
ムは膜厚むらは位相差むらに反映すること、また、異物
等の混入は許されないことから溶液キャスト法が好まし
い。
【0079】該溶液キャスト法は、ポリマーA及びBを
有機溶媒に溶解し溶液組成物を生成する工程(溶解工
程)、該溶液組成物を支持体上に流延する工程(流延工
程)、及び該有機溶媒を含む流延された溶液組成物を乾
燥する工程(乾燥工程)、をこの順に含むものである。
【0080】以下、ポリマーA,Bとして、いずれもポ
リカーボネートを用いた場合について詳述する。
【0081】溶解工程においては、通常、ポリカーボネ
ートを溶解する溶媒を用いて溶液組成物を調製する。か
かる溶媒としては、特に限定はないが、例えばメチレン
クロライド、クロロホルム、1,2―ジクロロエタンな
どのハロアルカン類;テトラヒドロフラン、1,3―ジ
オキソラン、1,4―ジオキサンなどの環状エーテル
類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン類、クロロベンゼンなどの
芳香族炭化水素類が用いられる。この中でメチレンクロ
ライド、ジオキソランが溶解性と溶液組成物の安定性の
上から好適である。これらは一種でもよいし二種以上の
混合溶媒でもよい。
【0082】溶液組成物中のポリマー濃度としては、1
〜50重量%のものが通常用いられる。メチレンクロラ
イドを用いた場合、ポリマー濃度としては、用いるポリ
マーの分子量(粘度)にもよるが、5〜40重量%、好
ましくは10〜30重量%である。
【0083】また該溶解工程において、溶液組成物中に
は、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、トリフェニルフォスフェート等の各種紫外線吸収剤
や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等
を添加してもよい。また、可塑剤等の添加剤を入れても
よく、この場合にはポリマー固形分対比10重量%以下
が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0084】流延工程においては、代表例として、ポリ
カーボネート及び溶媒としてはメチレンクロライドを含
む溶液組成物を用いて、溶液キャスト法により未延伸フ
ィルムを製造する場合の好ましい製造プロセスについて
説明する。
【0085】上記溶液組成物は、ステンレスベルトやフ
ィルムベルト等の支持体上に流延される。ベルト上の流
延物から溶媒が徐々に除去され、該流延物中の含有溶媒
量が15〜20重量%程度になる時点で、支持体上から
引き剥がす。そして該支持体より剥離した溶媒含有フィ
ルムを、次の乾燥工程によって連続的に処理する。乾燥
工程においては、例えば次の第1〜第3の工程に分けて
実施できる。
【0086】第1工程においては、雰囲気温度を15〜
40℃にして溶媒を含む上記フィルムを通常数分から1
時間程度搬送しながら乾燥をすすめることにより、フィ
ルム中での残留溶媒濃度を10〜15重量%にすること
ができる。
【0087】次いで第2工程において、該フィルムを、
ピンテンターに送り込み両端をピンシートで把持固定し
加熱しつつ搬送する。この際に加熱温度並びにピンテン
ターレールの縮小率を所定の値とする。こうした第2工
程において該フィルムを通常数分から数10分間搬送し
つつ乾燥することにより、該フィルム中に残留する溶媒
の濃度を3〜5重量%にすることができる。
【0088】さらに第3工程においては、ロール懸垂型
等の乾燥機に該フィルムを通して、所望の温度及び張力
を与えて処理する。溶媒としてメチレンクロライドを用
いた場合、乾燥して得られたフィルム中には、少量メチ
レンクロライドが残留する場合がある。そのときの残留
量としては0.5重量%以下が好ましく、より好ましく
は0.3重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以
下である。しかしながら、該フィルムをさらに延伸する
場合には、かかる残留量は目的の光学特性に応じて異な
るが、0.3〜2重量%が好ましい。
【0089】得られた位相差フィルムは未延伸フィルム
であるが、必要に応じて所望の位相差を持つように、延
伸される。用途によって選択すればよい。延伸条件とし
ては、フィルム温度がTg±10℃の範囲で、通常1.
05〜3倍に延伸する。
【0090】得られた位相差フィルムの膜厚としては、
5μmから200μmであることが好ましく、より好ま
しくは10〜120μmである。
【0091】ところで、光学異方性を持ったフィルムに
は一般に斜めからの入射光に対しては、正面入射光と比
較して異なる位相差値を与えることが知られている。こ
こでポリマー材料の三次元屈折率とは、nx,ny,n
zで表され、それぞれの定義は、 nx:フィルム面内における主配向方向の屈折率 ny:フィルム面内における主配向方向に直交する方位
の屈折率 nz:フィルム表面の法線方向の屈折率 とする。ここで、主配向方向とは例えばフィルムの流れ
方向を意味しており、化学構造的にはポリマー主鎖が配
向した方向を指す。上述のように、本発明においては、
nx>nzのときを光学異方性が正、nx<nzのときを光学異方
性が負であるとする。この三次元屈折率は、フィルムに
偏光を入射して得られる出射光の偏光状態を解析する手
法である偏光解析法により測定されるが、本発明ではフ
ィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈
折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折
率を求めている。この三次元屈折率は使用する光源の波
長依存性があるので、使用する光源波長で定義すること
が好ましい。この三次元屈折率を用いて光学異方性を表
記する方法として下記式(3) Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (3) が知られているが、これを用いて三次元屈折率を定義す
るならば、Nzが0.3〜1.5の範囲にあるとき、非常
に位相差値の入射角依存性が小さくなる。特にNz=0.5の
ときは位相差値の入射角依存性が実質的に無くなり、ど
の角度から光が入っても同じ位相差値を与える。
【0092】なお、上記定義によれば、正の光学異方性
を有するフィルムの遅相軸はnx,進相軸はnyとな
る。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、相溶する位相差波長分
散が大きく異なるポリマーを2種類以上混合する少なく
とも2つのポリマーを混合するという簡便な方法を用い
ることにより、様々な位相差波長分散特性を有する位相
差フィルムを生産性良く提供できる。
【0094】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (評価法)本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評
価法によって得られたものである。 (1)位相差値(R=Δn・d(nm))の測定 位相差フィルムの複屈折Δnと膜厚dの積である位相差
R値及びK値は、分光エリプソメータである日本分光
(株)製の『M150』により測定した。R値は入射光
線と位相差フィルムの表面が直交する状態で測定した。 (2)全光線透過率およびヘーズ値の測定 位相差フィルムの全光線透過率およびヘーズ値について
は、日本工業規格JISK 7105『プラスチックの光学的特
性試験方法』に準じ積分球式光線透過率測定装置により
測定した。評価装置としては、日本電色工業(株)製の
色差・濁度測定器『COH-300A』を用いた。 (3)厚さの測定 位相差フィルムの厚さについては、アンリツ社製の電子
マイクロで測定した。 (4)ポリマー共重合比の測定 日本電子社製の『JNM−alpha600』のプロト
ンNMRにより測定した。下記のモノマー[A]とモノ
マー[B]の共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼ
ンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算
出した。
【0095】以下の実施例、比較例におけるポリカーボ
ネートのモノマーの構造を以下に記す。
【0096】
【化9】
【0097】[合成例1、2(ポリマーボネート共重合
体の製造)]攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反
応槽に、水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕
込んだ。これに上記構造を有するモノマー[A]と
[B]を表1に示す所定のモル比で溶解させ、少量のハ
イドロサルファイトを加え反応液とした。次にこれにメ
チレンクロライドを加えた。反応液の温度は20℃であ
った。この中にホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。
さらに、p-tert-ブチルフェノールを加えて乳化させた
後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌し
て反応を終了させた。得られた反応液から有機相を分取
した。分取液より塩化メチレンを蒸発させることにより
ポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の
組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0098】得られた2つの共重合体(共重合体1、
2)をそれぞれメチレンクロライドに溶解させ、固形分
濃度20重量%の溶液組成物を調整した。この溶液組成
物をステンレス上に流延し、ついで15℃から除々に昇
温させながら加熱し、ステンレスから剥がしさらに乾燥
させてキャストフィルムを作製した。このとき得られた
フィルムは、R値が10nm以下であった。また該フィ
ルムはメチレンクロライドを0.9重量%含んでいた。
【0099】つづいて、このフィルムを、コポリマーの
ガラス転移点温度付近で1.3倍に一軸延伸して位相差
フィルムを得た。これらの位相差フィルムの特性を表1
にまとめた。
【0100】
【表1】
【0101】[実施例1〜5(位相差フィルムの製
造)]上記合成例で製造したコポリマー1,2を、表2
に記載の所定の混合比率(重量部)でメチレンクロライ
ドに溶解させ、固形分濃度20重量%の溶液組成物を調
製した。この溶液組成物をステンレス上に流延し、15
℃から除々に昇温させながら加熱し、ステンレスから剥
がしさらに乾燥させてキャストフィルムを作製した。こ
のとき得られたフィルムは、R値が10nm以下であっ
た。また該フィルムはメチレンクロライドを1重量%含
んでいた。
【0102】つづいて、このフィルムをコポリマーのガ
ラス転移点温度付近で1.8倍に一軸延伸することによ
り位相差フィルム1〜5を得た。これらの位相差フィル
ムの特性を表2にまとめた。表2中のB含有比率は、コ
ポリマー1と2の混合物全体に占めるモノマー単位Bの
割合(モル%)である。
【0103】
【表2】
【0104】このように、コポリマー1と2を種々の割
合で混合し、得られた混合物から位相差フィルムを作成
することにより様々な位相差波長分散特性を有する位相
差フィルムを得ることができた。
【0105】[合成例3,4(ポリマーボネート共重合
体の製造)]攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反
応槽に、水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕
込んだ。これに上記構造を有するモノマー[C]と
[B]を表3に示す所定のモル比で溶解させ、少量のハ
イドロサルファイトを加え反応液とした。次にこれに塩
化メチレンを加えた。反応液は20℃であった。この中
にホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p-te
rt-ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチ
ルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了
させた。得られた反応液から有機相を分取した。分取液
より塩化メチレンを蒸発させることによりポリカーボネ
ート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノ
マー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0106】得られた2つの共重合体(共重合体3,
4)をそれぞれメチレンクロライドに溶解させ、固形分
濃度20重量%の溶液組成物を調整した。この溶液組成
物をステンレス上に流延し、ついで15℃から除々に昇
温させながら加熱し、ステンレスから剥がしさらに乾燥
させてキャストフィルムを作製した。このとき得られた
フィルムは、R値が10nm以下であった。また該フィ
ルムはメチレンクロライドを1重量%含んでいた。
【0107】つづいて、このフィルムを、コポリマーの
ガラス転移点温度付近で1.2倍に一軸延伸して位相差
フィルムを得た。これらの位相差フィルムの特性を表3
にまとめた。
【0108】
【表3】
【0109】[実施例6〜7(位相差フィルムの製
造)]上記合成例3,4で製造したコポリマー3,4
を、表3に記載の所定の混合比率(重量部)でメチレン
クロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%の溶液組
成物を調製した。この溶液組成物を、ステンレス上に流
延し、15℃から除々に昇温させながら加熱し、ステン
レスから剥がしさらに乾燥させてキャストフィルムを作
製した。このとき得られたフィルムは、R値が10nm以
下であった。また該フィルムはメチレンクロライドを1
重量%含んでいた。
【0110】つづいて、このフィルムをコポリマーのガ
ラス転移点温度付近で1.8倍に一軸延伸することによ
り位相差フィルム6〜7を得た。これらの位相差フィル
ムの特性を表4にまとめた。表4中のB含有比率は、コ
ポリマー3と4の混合物全体に占めるモノマー単位Bの
割合(モル%)である。
【0111】
【表4】
【0112】このように、コポリマー3と4を種々の割
合で混合し、該混合物から位相差フィルムを作成するこ
とにより様々な位相差波長分散特性を有する位相差フィ
ルムを得ることができた。
【0113】以上より、本発明は、互いに相溶しうる位
相差波長分散が大きく異なる少なくとも2種類のポリマ
ーA及びBの混合比を調整して該混合物をフィルム化し
て位相差フィルムを製造するものである。本発明によれ
ば、かかるポリマーAの位相差フィルムの位相差波長分
散と、ポリマーBの位相差フィルムの位相差波長分散と
の広い範囲内で、所望の波長分散をもつ位相差フィルム
を効率的に、かつ工業的に簡便な方法で製造することが
できる。また、本発明によれば位相差の波長分散を高度
に制御することができ、品質の高い位相差フィルムを提
供することができる。液晶を用いた表示装置、タッチパ
ネル等の表示入力装置に適用する位相差フィルムを提供
する方法として非常に価値があるものである。
フロントページの続き (72)発明者 辻倉 正一 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 2H049 BA06 BA25 BB44 BB48 BC01 BC03 BC09 BC22 2H091 FB02 KA01 KA02 KA10 LA12 4F071 AA45 AA48 AA50 AA88 AF31 AF35 AH16 BC01 4J002 CF04W CF04X CF16W CF16X CG04W CG04X CH06W CH06X CN03W CN03X FD059 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに相溶しうる少なくとも2種類のポ
    リマーA及びポリマーBの混合比を調整し該混合物をフ
    ィルムに成形する位相差フィルムの製造方法であって、
    ポリマーAを位相差フィルムとしたときのR(450)
    /R(550)と、ポリマーBを位相差フィルムとした
    ときのR(450)/R(550)との差が0.05以
    上であるポリマーAとポリマーBを用いることを特徴と
    する位相差フィルムの製造方法。(ただし、R(45
    0)及びR(550)はそれぞれ測定光波長450n
    m、550nmで測定した位相差フィルムの該フィルム
    面内における位相差である)。
  2. 【請求項2】 ポリマーAは、該ポリマーA単独で位相
    差フィルムを成形したとき、下記式(1)を満足するも
    のである、請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。 R(450)/R(550)<1 (1) (ただし、R(450)及びR(550)の定義は上記
    に同じである。)
  3. 【請求項3】 ポリマーBは、該ポリマーB単独で位相
    差フィルムを成形したとき、下記式(2)を満足するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の位相差フィルム
    の製造方法。 R(450)/R(550)≧1 (2) (ただし、R(450)及びR(550)の定義は上記
    に同じである。)
  4. 【請求項4】 ポリマーA及びBが芳香族ポリエステル
    ポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の位相差フィルムの製造方法。
JP2001125612A 2000-04-24 2001-04-24 位相差フィルムの製造方法 Expired - Lifetime JP4624591B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001125612A JP4624591B2 (ja) 2000-04-24 2001-04-24 位相差フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000122489 2000-04-24
JP2000-122489 2000-04-24
JP2001125612A JP4624591B2 (ja) 2000-04-24 2001-04-24 位相差フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002014234A true JP2002014234A (ja) 2002-01-18
JP4624591B2 JP4624591B2 (ja) 2011-02-02

Family

ID=26590654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001125612A Expired - Lifetime JP4624591B2 (ja) 2000-04-24 2001-04-24 位相差フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4624591B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004323489A (ja) * 2003-03-06 2004-11-18 Jsr Corp ノルボルネン誘導体
JPWO2004057381A1 (ja) * 2002-12-20 2006-04-27 帝人株式会社 透明導電性積層体、タッチパネル及びタッチパネル付液晶表示装置
JP2007052079A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 Kaneka Corp 位相差フィルムの波長分散調整方法およびそれを用いたフィルムの製造方法
JP2010107556A (ja) * 2008-10-28 2010-05-13 Kaneka Corp 光学補償フィルムの製造方法および光学補償フィルム
US7811467B2 (en) 2004-11-11 2010-10-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Optical film
WO2014168107A1 (ja) * 2013-04-10 2014-10-16 大阪ガスケミカル株式会社 波長分散調整剤、樹脂組成物及び樹脂の波長分散調整方法
JP2014224926A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 東ソー株式会社 ポリマー組成物を用いた光学フィルム
US10303317B2 (en) 2015-06-19 2019-05-28 Nissha Co., Ltd. Touch sensor provided with a circularly polarizing plate, and image display device

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04194902A (ja) * 1990-11-27 1992-07-14 Toray Ind Inc 位相差フィルム
WO2000026705A1 (fr) * 1998-10-30 2000-05-11 Teijin Limited Film a differences de phase et dispositif optique dans lequel il est utilise

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04194902A (ja) * 1990-11-27 1992-07-14 Toray Ind Inc 位相差フィルム
WO2000026705A1 (fr) * 1998-10-30 2000-05-11 Teijin Limited Film a differences de phase et dispositif optique dans lequel il est utilise

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004057381A1 (ja) * 2002-12-20 2006-04-27 帝人株式会社 透明導電性積層体、タッチパネル及びタッチパネル付液晶表示装置
JP2004323489A (ja) * 2003-03-06 2004-11-18 Jsr Corp ノルボルネン誘導体
US7811467B2 (en) 2004-11-11 2010-10-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Optical film
JP2007052079A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 Kaneka Corp 位相差フィルムの波長分散調整方法およびそれを用いたフィルムの製造方法
JP2010107556A (ja) * 2008-10-28 2010-05-13 Kaneka Corp 光学補償フィルムの製造方法および光学補償フィルム
WO2014168107A1 (ja) * 2013-04-10 2014-10-16 大阪ガスケミカル株式会社 波長分散調整剤、樹脂組成物及び樹脂の波長分散調整方法
JP2014224926A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 東ソー株式会社 ポリマー組成物を用いた光学フィルム
US10303317B2 (en) 2015-06-19 2019-05-28 Nissha Co., Ltd. Touch sensor provided with a circularly polarizing plate, and image display device

Also Published As

Publication number Publication date
JP4624591B2 (ja) 2011-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4739636B2 (ja) 位相差フィルムの製造方法
JP3648240B2 (ja) 液晶表示素子およびそれに用いる位相差フィルムの使用
JP3325560B2 (ja) 位相差フィルム及びそれを用いた光学装置
JP4697098B2 (ja) 位相差フィルム
JP5830949B2 (ja) 位相差フィルム用フマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなる位相差フィルム
JP2002156528A (ja) 熱可塑性高分子フィルム
JP3995387B2 (ja) 偏光板保護用透明フィルム及びそれを用いてなる偏光板
JP2001194527A (ja) ノルボルネン系樹脂組成物及び位相差板
JP2001318233A (ja) 位相差フィルム
JP2002048919A (ja) 位相差フィルム
JP2002221622A (ja) 広視野角偏光フィルムおよびその製造方法
JP2004037837A (ja) 液晶表示素子および位相差フィルム
JP4624591B2 (ja) 位相差フィルムの製造方法
JP5158322B2 (ja) 光学補償フィルム及びその製造方法
JP3836283B2 (ja) ポリカーボネート積層位相差フィルム
JP4681334B2 (ja) 積層位相差フィルム
KR20130140804A (ko) 수지 조성물, 위상차 필름, 위상차 필름의 제조 방법 및 장척의 원 편광판
JP4313542B2 (ja) 位相差フィルム及びその製造方法
JP4381650B2 (ja) 位相差フィルム及びその製造方法
JP2002071956A (ja) 積層位相差フィルム及びそれを用いた積層偏光フィルム
JP2001194530A (ja) 負の屈折率異方性を有する位相差フィルム
JP2003329840A (ja) 熱安定性に優れた位相差フィルム、及び偏光変換素子
JP2003090914A (ja) 位相差フィルム及びその製造方法
JP2004062023A (ja) 液晶表示素子および位相差フィルム
JP4080200B2 (ja) 位相差フィルムおよび液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101012

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4624591

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term