JP2014194484A - 位相差フィルムの製造方法および円偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の位相差フィルムの製造方法は、フィルムの左右端部を、それぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;該フィルムを予熱すること;該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させ、かつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、該フィルムを斜め延伸すること;該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチを増大させて、該フィルムを斜め延伸すること;および;該フィルムを把持するクリップを解放すること;を含む。
【選択図】図4
Description
好ましい実施形態においては、第1の斜め延伸工程において、上記一方のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に、上記他方のクリップのクリップピッチを減少させ始める。
好ましい実施形態においては、第1の斜め延伸工程および第2の斜め延伸工程において、下記式(1)から求められる斜め延伸倍率Sが2.0以上であり、かつ、第1の斜め延伸工程において、上記他方のクリップのクリップピッチの変化率が0.5以上1未満である。
好ましい実施形態においては、第1の斜め延伸工程において、上記一方のクリップのクリップピッチの変化率と上記他方のクリップのクリップピッチの変化率との積が0.7〜1.5である。
好ましい実施形態においては、上記フィルムの形成材料が、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂を含む。
本発明の別の局面によれば、位相差フィルムが提供される。本発明の位相差フィルムは、上記製造方法により得られる位相差フィルムであって、長尺状であり、かつ、長尺方向に対して所定の角度をなす方向に遅相軸を有する。
本発明の別の局面によれば、円偏光板の製造方法が提供される。本発明の円偏光板の製造方法は、上記位相差フィルムと長尺状の偏光板とを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む。
最初に、図1〜図3を参照して、本工程を含む本発明の製造方法に用いられ得る延伸装置について説明する。図1は、本発明の製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。図2および図3は、それぞれ、図1の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図であり、図2はクリップピッチが最小の状態を示し、図3はクリップピッチが最大の状態を示す。延伸装置100は、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール70に案内されてループ状に巡回移動する。左側の無端ループ10Rは反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、第1の斜め延伸ゾーンC、第2の斜め延伸ゾーンD、および解放ゾーンEが順に設けられている。なお、これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、第1の斜め延伸、第2の斜め延伸および解放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
予熱ゾーン(予熱工程)Bにおいては、左右の無端ループ10R、10Lは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
第1の斜め延伸ゾーン(第1の斜め延伸工程)Cにおいては、左右のクリップ間の距離(より具体的には、左右の無端ループ10R、10Lの離間距離)を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させ、かつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、フィルムを斜め延伸する。このようにクリップピッチを変化させることによって左右のクリップを異なる速度で移動させ、これにより、フィルムの一方の側縁部を長手方向に伸長させ、かつ、他方の側縁部を長手方向に収縮させながら斜め延伸を行うことができる。その結果、所望の方向(例えば、長手方向に対して45°の方向)に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。
第2の斜め延伸ゾーン(第2の斜め延伸工程)Dにおいては、左右のクリップ間の距離(より具体的には、左右の無端ループ10R、10Lの離間距離)を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように一方の側のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、他方の側のクリップのクリップピッチを増大させて、フィルムを斜め延伸する。このように左右のクリップピッチの差を縮小しながら、斜め延伸することにより、余分な応力を緩和しつつ、斜め方向に十分に延伸することができる。また、左右のクリップの移動速度が等しくなった状態でフィルムを解放工程に供することができるので、左右のクリップの解放時にフィルムの搬送速度等のバラつきが生じ難く、その後のフィルムの巻き取りが好適に行われ得る。
W1は、第1の斜め延伸前のフィルム幅、
W3は、第2の斜め延伸後のフィルム幅、
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチに変化した際のクリップ移動速度、
t3は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから、第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間、
t3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから、第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間
を表す。)
v2’=v3’の場合は、上記t3は下記式(2)、上記t’3は下記式(3)で表され、
v2’>v3’の場合は、上記t3は下記式(4)、上記t’3は下記式(5)で表される。
a1=(v2−v3)/(L2−L3)、
b1=v3−a1*L3、
a=(v1−v2)/(L1−L2)、
b=v2−a*L2であり、
v1は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP3に対応する)に減少した際のクリップ移動速度、
v3は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP2またはP4に対応する)に増大した際のクリップ移動速度であり、
L1は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを減少し始めるまでの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを増大し始める箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離)
である。)
a’=(v1’−v2’)/(L1’−L2’)、
b’=v3’−a’*L2’であり、
v1’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP2に対応する)に増大した際のクリップ移動速度
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップが第2の斜め延伸ゾーンを通過する際のクリップ移動速度であり、
L1’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し始めるまでの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3’は、予熱ゾーン入口から、第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離
である。)
a’=(v1’−v2’)/(L1’−L2’)、
b’=v2’−a’*L2’、
a’’=(v2’−v3’)/(L2’−L3’)、
b’’=v3’−a’’*L3’であり、
v1’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP2に対応する)に増大した際のクリップ移動速度
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP4に対応する)に減少した際のクリップ移動速度であり、
L1’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し始める箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが第2の斜め延伸工程でクリップピッチを所定のクリップピッチ(上記C項の説明におけるP4に対応する)に減少し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離)である。)
最後に、フィルムを把持するクリップを解放して、位相差フィルムが得られる。必要に応じて、フィルムを熱処理して延伸状態を固定し、冷却した後にクリップを解放する。
本発明の製造方法(実質的には、上記A項〜E項に記載の延伸方法)に好適に用いられるフィルムとしては、位相差フィルムとして用いられ得る任意の適切なフィルムが挙げられる。フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
上記の本発明の製造方法により得られた位相差フィルムは、代表的には円偏光板に好適に用いられ得る。図12は、そのような円偏光板の一例の概略断面図である。図示例の円偏光板300は、偏光子310と、偏光子310の片側に配置された第1の保護フィルム320と、偏光子310のもう片側に配置された第2の保護フィルム330と、第2の保護フィルム330の外側に配置された位相差フィルム340と、を有する。位相差フィルム340は、上記の本発明の製造方法により得られた位相差フィルムである。第2の保護フィルム330は省略されてもよい。その場合、位相差フィルム340が偏光子の保護フィルムとして機能し得る。偏光子310の吸収軸と位相差フィルム340の遅相軸とのなす角度は、好ましくは30°〜60°、より好ましくは38°〜52°、さらに好ましくは43°〜47°、特に好ましくは45°程度である。なお、偏光子および保護フィルムの構成は業界で周知であるので、詳細な説明は省略する。
実施例および比較例で得られた位相差フィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作成した。この試料を、ミュラーマトリクス・ポラリメーター(Axometrics社製 製品名「Axoscan」)を用いて測定し、波長550nm、23℃における配向角θを測定した。なお、配向角θは測定台に試料を平行に置いた状態で測定した。
(2)面内位相差Re
上記(1)と同様にして、Axometrics社製 製品名「Axoscan」を用いて、波長550nm、23℃で測定した。
(3)厚み方向位相差Rth
上記(1)と同様にして、Axometrics社製 製品名「Axoscan」を用いて、波長550nm、23℃で測定した。
(4)Nz係数
式:Nz=Rth/Reから算出した。
(5)視野角特性
有機ELディスプレイ(LG社製、製品名:15EL9500)より有機ELパネルを取り出し、この有機ELパネルに貼り付けられている偏光板を剥がした。実施例および比較例で得られた位相差フィルムの配向角と偏光板の吸収軸が45°となるように粘着剤で貼り合せた円偏光板を作製した。この円偏光板を偏光板を剥がした有機ELパネルに、粘着剤で貼り付けた。円偏光板が貼られた有機ELパネルを様々な方向から目視観察し、その反射率・反射色相を確認した。評価基準は以下のとおりである:
○・・・ディスプレイを様々な方向から見ても、反射色相や反射率が概ね一定である
△・・・ディスプレイを見る角度が深くなると、反射色相や反射率が変化しているのがわかる
×・・・ディスプレイを見る角度によって、反射色相や反射率が変化するのがわかる
(6)シワ
実施例および比較例で得られた位相差フィルムの状態を目視にて確認した。判断基準は以下のとおりである:
○・・・フィルム全体にわたってシワも波打ちも認められない
△・・・フィルムの幅方向端部は、トタン状にシワが有り波打っているが、中央部は波打ちはない
×・・・トタン状にシワが入り、フィルムが波打っている。
(7)厚み
マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
(8)複屈折(Δn)
上記Axometrics社製 製品名「Axoscan」で得られたRe値を、上記マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)を得られた膜厚で割ることで求めた。
(ポリカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)、イソソルビド(ISB)、ジエチレングリコール(DEG)、ジフェニルカーボネート(DPC)、および酢酸マグネシウム4水和物を、モル比率でBHEPF/ISB/DEG/DPC/酢酸マグネシウム=0.348/0.490/0.162/1.005/1.00×10−5になるように仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、図1〜図3に示すような装置を用い、図5に示すようなクリップピッチのプロファイルで、予熱処理、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸処理に供し、位相差フィルムを得た。具体的には、以下のとおりである:ポリカーボネート樹脂フィルム(厚み150μm、幅(W1)765mm)を延伸装置の予熱ゾーンで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P1)は125mmであった。次に、フィルムが第1の斜め延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始した。第1の斜め延伸ゾーンCの終端部における右側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P1)は1.42であり、左側クリップのクリップピッチの変化率(P3/P1)は0.72であった。なお、第1の斜め延伸は138℃で行った。第1の斜め延伸後のフィルム幅(W2)は1092mmであった(TD延伸倍率(W2/W1)=1.45倍)。次に、フィルムが第2の斜め延伸ゾーンDに入ると同時に、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、P3からP2まで増大させた。第2の斜め延伸ゾーンDにおける左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)は1.97であった。一方、右側クリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸ゾーンDにおいてP2のまま維持した。なお、第2の斜め延伸は138℃で行った。第2の斜め延伸後のフィルム幅(W3)は1419mmであった。また、上記第1の斜め延伸工程および第2の斜め延伸工程における幅方向への延伸倍率(W3/W1)は、1.9倍であった。
次いで、解放ゾーンにおいて、125℃で60秒間フィルムを保持して熱固定を行った。熱固定されたフィルムを、100℃まで冷却後、左右のクリップを解放した。
実施例1と同様にして得られたポリカーボネート樹脂フィルム(厚み140μm、幅765mm)を用いたこと、第1の斜め延伸工程開始時の(予熱ゾーンにおける)左右のクリップのクリップピッチ(P1)を150mmとしたこと、および、左側クリップのクリップピッチの変化率(P3/P1)を0.6としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1の斜め延伸工程において、右側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P1)を1.6としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして得られたポリカーボネート樹脂フィルム(厚み175μm、幅765mm)を用いたこと、第1の斜め延伸工程において、右側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P1)を1.6としたこと、および、左側クリップのクリップピッチの変化率(P3/P1)を0.9としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして得られたポリカーボネート樹脂フィルム(厚み155μm、幅765mm)を用いたこと、および、第1の斜め延伸工程および第2の斜め延伸工程における幅方向の延伸倍率(W3/W1)を1.7倍としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
ポリカーボネート系樹脂フィルムの代わりにシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノア ZF−14フィルム」、厚み100μm、幅765mm)を用いたこと、予熱ゾーンで150℃に予熱したこと、および、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸を150℃で行ったこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
(ポリビニルアセタール系樹脂フィルムの作製)
880gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、16.72kgのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、298gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、318gのベンズアルデヒドを加え、40℃で1時間攪拌した後、457gのジメチルアセタールをさらに加えて、40℃で3時間攪拌した。その後、213gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物をメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、1.19kgの白色の重合体を得た。
得られた重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は10:25:52:11であった。また、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
第1の斜め延伸工程において、右側クリップのクリップピッチを拡大し始めた位置よりも遅い位置から(右側クリップのクリップピッチがP1に対して1.21倍および幅方向の延伸倍率が1.225倍となった位置から)、左側クリップのクリップピッチの減少を開始したこと以外は実施例2と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
第1の斜め延伸工程において、左側クリップのクリップピッチを変化させなかったことおよび右側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P1)を1.6としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムを実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
上記表に示されるとおり、本発明の製造方法によって得られた長尺状の位相差フィルムは、長手方向に対しておよそ45度の方向に遅相軸を有し、およそ140nmの面内位相差を有することから、長手方向または幅方向に吸収軸を有する長尺状の偏光子とのロールトゥロールプロセスで積層することにより、高い生産効率で円偏光板を形成できる。また、本発明の製造方法によって得られた位相差フィルムは、1.3以下のNz係数を有し、一軸性が高いことがわかる。さらに、複屈折(Δn)が高く、面内配向性にも優れている。
10R 無端ループ
20 クリップ
30 クリップ担持部材
70 基準レール
90 ピッチ設定レール
100 延伸装置
300 円偏光板
310 偏光子
320 第1の保護フィルム
330 第2の保護フィルム
340 位相差フィルム
Claims (7)
- フィルムの左右端部を、それぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること(把持工程)、
該フィルムを予熱すること(予熱工程)、
該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させ、かつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、該フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸工程)、
該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチを増大させて、該フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸工程)、および
該フィルムを把持するクリップを解放すること(解放工程)
を含む、位相差フィルムの製造方法。 - 第1の斜め延伸工程において、前記一方のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に、前記他方のクリップのクリップピッチを減少させ始める、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 第1の斜め延伸工程および第2の斜め延伸工程において、下記式(1)から求められる斜め延伸倍率が2.0以上であり、かつ、第1の斜め延伸工程において、前記他方のクリップのクリップピッチの変化率が0.5以上1未満である、請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法。
W1は、第1の斜め延伸前のフィルム幅(単位:m)、
W3は、第2の斜め延伸後のフィルム幅(単位:m)、
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチに変化した際のクリップ移動速度(単位:m/sec)、
t3は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間(単位:sec)、
t3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間(単位:sec)
を表す。) - 第1の斜め延伸工程において、前記一方のクリップのクリップピッチの変化率と前記他方のクリップのクリップピッチの変化率との積が0.7〜1.5である、請求項1から3のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
- 前記フィルムの形成材料が、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂を含む、請求項1から4のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法により得られる位相差フィルムであって、長尺状であり、かつ、長尺方向に対して所定の角度をなす方向に遅相軸を有する、位相差フィルム。
- 請求項6に記載の位相差フィルムと長尺状の偏光板とを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、円偏光板の製造方法。
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