JP5552361B2 - 延伸フィルム及び延伸フィルムの製造方法、並びに位相差板 - Google Patents
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Description
この様な長方形の各辺に対して斜め方向に分子配向されたフィルムは、従来次の様な工程によって製造されていた。
即ち従来技術においては、まず高分子フィルムを長手方向又は長手方向に直交する方向(以下、幅方向と称する)に一軸延伸させて分子配向を起こした延伸フィルムを生成する。この工程によって製造された延伸フィルムにおいては、分子配向軸は、フィルムの一方の辺に対して平行であり、他方の辺に対しては垂直である。
より具体的には、一軸延伸させて分子配向を起こした延伸フィルムを斜めに打ち抜き、小さめの長方形フィルムを作る。この長方形フィルムは、見かけ上、各辺に対して傾斜した配向軸を持つこととなる。
そこで、高分子フィルムを延伸する段階で、斜め方向に分子配向させ、幅方向の端部近傍まで使用可能で歩留りの高い延伸フィルムを作成する方法が望まれていた。そのような方法として特許文献1〜4に開示されている発明等がある。まず、特許文献1について説明する。
特許文献1に開示されている発明は、フィルム(ポリマーフィルム)の両端を保持し長手方向へ進行させる際に、一方の端の保持開始点108から保持解除点109までの距離L2を他方端の保持開始点から保持解除点までの距離L1に比べて長くするものである。そのことにより、開始時において長手方向(進行方向)の位置が同じである両端の保持位置が、フィルムが長手方向へ進行すると、一方端の保持位置が他方端の保持位置に対して進行方向の後方側にずれることとなる。そのため他方端の保持位置が進行方向後方側へ引っ張られたような状態となり、フィルムを斜め方向に延伸することができる。
より具体的に説明すると、図6に示すテンターは、一対のレール100,101を有し、両者にそれぞれクリップ(図示せず)が固定されている。そして当該クリップでフィルムの端部を保持し、レールの走行に伴ってクリップを走行方向に移動させる。
より具体的に説明すると、テンターの導入部は、図6の様にレール100,101の走行路は共に直線であり、レール100,101は平行である。
そして導入部を過ぎると、一方のレール100は直線的に走行し続けるが、他方のレール101は、カーブを描いて大きく迂回する。当該エリアが延伸エリアとして機能する。
そしてレール101は迂回路103を過ぎると、直線方向に走行し、一方のレール100と平行に走行する。
図6に示すテンターでフィルムを延伸させると、迂回部103が設けられた延伸エリアで、フィルムが斜め方向に延伸される。
そして迂回部103を過ぎると延伸はそれ以上進まず、配向方向が安定する。即ち特許文献1によると、フィルムの配向軸を傾斜させる部分は迂回部103のみであり、迂回部103を過ぎると配向軸の傾斜角度は変化しない。この様に特許文献1に開示された発明では、フィルムを斜め方向に延伸させる作用によってのみフィルムの配向軸を傾斜させる。
しかしながら、実質的に45度方向に斜め延伸される程度に迂回部103を大きくし、距離L1とL2を大きくすると、フィルムに皺が生じてしまうという問題があった。
そこで特許文献1に開示された発明では、フィルムに予め溶剤を含浸させておき、この状態で、迂回路103を有する延伸エリアでフィルムを斜め方向に延伸し、その後に溶剤を揮発させてフィルムの皺を取ることとしている。
即ち前記した様に、テンターは、レール100,101が平行に走行する導入部と、一方のレール101が迂回する延伸エリアと、再度レール100,101が平行に走行する揮発分蒸発エリアを有している。そして特許文献1に開示された発明では、迂回路103を有する延伸エリアでフィルムを斜め方向に延伸して配向軸の傾斜角度を設け、揮発分蒸発エリアを走行する際にフィルムを加熱して溶剤を揮発させ、フィルムの皺を伸ばす。
即ち迂回路103を有する延伸エリアでフィルムの配向軸を所望の角度まで傾斜させ、その後の揮発分蒸発エリアは、単に皺を取るだけであってフィルムの配向軸の傾斜角度は変化しない。
この様に、特許文献1に開示された発明では、フィルムを斜め方向に延伸するだけで配向軸を傾斜させている。
即ち特許文献1に開示された発明では、専ら迂回路103を有する延伸エリアでフィルムを斜め方向に延伸し、斜め方向に延伸する作用だけで配向軸を所望の角度まで傾斜させる。そのため延伸時にフィルムに強い力が作用し、延伸方向と垂直方向に縮み方向の応力が作用する等により、フィルムの品質がばらついたり、部分的に所望の方向以外の方向にフィルムが延伸されてしまう場合がある。
また特許文献1に開示された方法は、揮発分を多量に含有させるため、水や溶剤を浸漬させる浸漬槽が必要になるなど設備が大がかりとなる。
さらに特許文献1に開示された方法は、溶剤を蒸発させる工程が必須であるから、溶剤を排気する排気設備や、溶剤中毒を防ぐための防護策が必要となる。
0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 ・・・(1)
の関係を満たすことができないという問題がある。
そのことにより、配向軸を変更する際に高分子フィルムにかかる負担を分担することができる。したがって、高分子フィルム配向軸を一度に急激に傾けた場合に比べて、配向軸をより大きな角度まで傾斜させることができる。加えて、高分子フィルムの性質を段階的に変化させることができるので、製造された延伸フィルムの品質の均一化が容易である。
さらに本発明では、高分子フィルムを熱収縮させて配向軸の傾斜角度を急なものとする。
以下、この原理を説明する。
例えば、図4の様に幅方向に延伸されたフィルム105であって、且つ配向軸(矢印)に傾斜角度が無いフィルム105を使用し、この幅Wを図4(a)から図4(b)の様に縮めた場合を想定すると、図4に示すように、分子の配向軸の傾斜角度は何ら変化しない。
しかしながら、図5に示す様な幅方向に延伸されたフィルム106であって、且つ配向軸(矢印)が僅かに傾斜したフィルム106を使用し、このフィルム106の幅Wを図5(a)から図5(b)の様に縮めた場合を想定すると、図5の様に配向軸の傾斜角度Aが急角度になる。
即ち当初のフィルム106の傾斜方向は、図5(a)の矢印a−b,c−d,e−f・・・で図示される方向である。
そして例えば、図5(a)のa点、b点、c点、d点・・・を保持し、フィルム106の幅Wを縮めると、図5(a)のa点、b点、c点、d点・・・の長手方向の位置が変化しないので、図5(b)の様に、配向軸の方向が寝る方向となり、傾斜角度Aが急角度になる。
従って、小さい傾斜角度でプレ延伸されたプレ延伸フィルムの幅方向両端を保持し、当該プレ延伸フィルムを加熱して熱収縮させつつ前記両端の保持間隔をしだいに狭めて行くと、配向軸の傾斜角度が急傾斜に変化する。そしてフィルム両端の保持間隔を調整することにより、所望の傾斜角度に配向軸が傾斜した延伸フィルムを得ることができる。
0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 ・・・(1)
を満たすことを特徴とする延伸フィルムである。
(1)目的とする配向軸の傾斜角度(20度以上70度未満であり、例えば45度)より緩やかに傾斜(5度以上20度未満)させる工程(以下プレ延伸工程と称す)。
(2)プレ延伸工程を経て配向軸が緩やかに傾斜した延伸フィルム(プレ延伸フィルム)を一旦巻き取る工程(以下一時巻取工程と称す)。
(3)巻き取った延伸フィルムに対して角度調整のための加熱収縮処理を行う工程(以下角度調整工程と称す)。
以下に本発明の第1の実施形態について、図1の延伸フィルム製造装置1を用いて延伸フィルムを製造する例について説明する。ただし、本発明において図1の延伸フィルム製造装置1を使用することが必須でないことは当然である。
具体的に説明するとプレ延伸用延伸機2は、把持部材6、引き出しロール8、巻き取り用ロール9、レール10を少なくとも備えている。そして、引き出しロール8に取り付けた高分子フィルムfを引き出し、フィルムfの両端を把持部材6で把持して巻き取り用ロール9側へ向かって走行させ、巻き取り用ロール9の手前で高分子フィルムfを開放し、巻き取り用ロール9で巻き取るものである。
そして、片側端部を把持した把持部材6が走行する経路は、他端部を把持した把持部材6が走行する経路より長くなっている。即ち、片側のレール10aに対し、レール10bは迂回する経路をとっている。なお、把持部材6がレール上を走行する速度は両端で略同じとする。
エリアAにおいてはレール10a,レール10bの幅が等間隔であり、エリアBでは片側のレール(レール10b)が迂回しており、エリアCにおいては再び等間隔で進行している。そして、エリアAとエリアCは共にレールの幅が等間隔であるが、エリアAに比べてエリアCのレール10の幅は広くなっている。
また、このプレ延伸用延伸機2は加熱炉を設ける構成としてもよく、その場合加熱炉はAエリアからBエリアに跨って設置されていることが好ましい。
ここで、把持部材11はレール14上を走行するものであり、引き出しロール12から引き出された高分子フィルムfの両端を把持して走行するものである。ここで、レール14は対になるレール14aとレール14bより構成されるものであり、レール14a及びレール14b上をそれぞれ把持部材11が走行する。
そして、高分子フィルムfの両端の把持部材11は巻き取り用ロール13に近づくにつれて、互いに近づく方向へ移動することにより幅方向の距離が近づくものである。つまり、引き出しロール12側から巻き取り用ロール13へ向かってレール14aとレール14bの距離は狭まっている。
ここで、エリアDとエリアFのレール14の幅は共に等間隔であるが、エリアDに比べてエリアFのレール14の幅が狭くなっている。加えて、エリアEにおいて両端のレール14はそれぞれ幅方向中央に向かって傾斜しているが、走行方向における傾斜の開始地点及び傾斜の終了地点、さらに走行方向に対する傾斜の角度は同じとなっている。したがって、レール14は走行方向に沿って幅方向で左右対称に配置されている。
まず、引き出しロール8に長尺状の高分子フィルムfをロール状にして取り付ける。そして、Aエリアにおいて、図示しないロール等の搬送装置を使用して高分子フィルムfを巻き取り用ロール9側に向かって走行させる。
高分子フィルムfを巻き取り用ロール9側に一定距離走行させると、高分子フィルムfはその幅方向両端を把持部材6によって把持される。そして、高分子フィルムfを引き続き巻き取り用ロール9側に向かって走行させる。
このことにより、走行方向垂直に延伸されていた高分子フィルムfの延伸方向が走行方向垂直から傾斜して、高分子フィルムfに緩やかな配向角がつく。即ち、目的とする配向軸の傾斜角度(20度以上70度未満であり、例えば45度)より緩やか(5度以上20度未満)に高分子フィルムfの配向軸が幅方向に対して傾斜する。
また、エリアA(高分子フィルムfの幅方向が等間隔)の部分で対向する位置にあった両端の把持部材6間の距離が進行と共に広がっていくことにより、高分子フィルムfを延伸する力も大きくなっていく。そして、高分子フィルムfを延伸する力が大きくなると共に位相差値が上昇する。そして、「プレ延伸工程」が終了する。
そしてDエリアにおいて、図示しないロール等の搬送装置を使用して高分子フィルムfを巻き取り用ロール13側に向かって走行させる。
高分子フィルムfが巻き取り用ロール13側に一定距離走行させられると、高分子フィルムfはその幅方向両端を把持部材11によって把持される。そして、高分子フィルムfは引き続き巻き取り用ロール13側に向かって走行させられる。
このことにより、「角度調整工程」が完了する。
なお加熱収縮前フィルムの配向軸の傾斜角度が5度未満である場合、配向軸の傾斜角度を20〜70度の範囲に調整する際に幅方向に大幅な収縮を要するため、収縮後のフィルムに弛み、シワが発生しやすく、本発明においては好ましくない。
以下に本発明の第2の実施形態について、図2の延伸機21を用いて延伸フィルムを製造する例について説明する。ただし、本発明において図2の延伸機21を使用することが必須でないことは当然である。
まずプレ延伸実施部22においては、把持部材26が走行するレール29a,29bはまず等間隔で引き出しロール27側から巻き取り用ロール28側へ進む。そしてその後、片側端部のレール29aはそのまま直進し、他端部のレール29bは直進するレール29aから離れる方向であり、引き出しロール27側から巻き取り用ロール28側へ向かう方向へ進む。つまり、片側のレール29bのみ走行方向に対して斜行する。
なお、このとき熱収縮実施部23の開始点(レール29a,29bが互いに近づく方向へ傾斜を開始する地点)から、各レールの幅方向への傾斜が終了する点までの間、即ち、両端のレール29a,29bが傾斜している部分は走行方向に十分長い距離が確保されている。
なお、この熱収縮実施部23には加熱炉30が設けられており、加熱炉30は高分子フィルムfを熱風によって加熱するものである。
まず、引き出しロール27に長尺状の高分子フィルムfをロール状にして取り付ける。そして、プレ延伸実施部22において図示しないロール等の搬送装置を使用して高分子フィルムfを巻き取り用ロール28側に向かって走行させる。
高分子フィルムfは巻き取り用ロール28側に一定距離走行させられると、その幅方向両端を把持部材26によって把持される。そして、高分子フィルムfは引き続き巻き取り用ロール28側に向かって走行させられる。
このことにより、走行方向垂直に延伸されていた高分子フィルムfの延伸方向が走行方向垂直から傾斜する。そして、高分子フィルムfの配向軸が幅方向に対して緩やか(5度以上20度未満)に傾斜する。
また、初めに高分子フィルムfの幅方向において等間隔を維持して進んでいた両端の把持部材26のうち、片側端部の把持部材26が斜行する(もう一方の端部を把持している把持部材26から離れる方向に移動する)ことによって、高分子フィルムfを延伸する力が大きくなり位相差値が上昇する。そして、「プレ延伸工程」が終了する。
なお「プレ延伸工程」において所定の配向角になっていることが確認されると、熱収縮実施部23の前側部分においてレール29a,29bを両端側から幅方向の中央側へ向かって徐々に傾斜させる。即ち、図2の延伸機21と同じ状態にする。そして、上記した第2の実施形態の延伸フィルムの製造を行う。この方法によると「プレ延伸工程」の角度を確認した後に延伸フィルムの製造を行うことができる。
しかしながら、幅方向に加熱収縮させる際に高分子フィルムの長手方向に延伸を行う(縦延伸を行う)と、製造する延伸フィルムに高い二軸性を発現してしまうため、縦延伸を行わないほうが好ましい。
また、本発明により製造される延伸フィルムの長手方向の長さ及び幅の長さは特に限定されるものではなく、適宜の長さであってよい。
例えば、製造効率の向上や長尺の偏光板等と効率よく接着することを目的に、上記した適宜の延伸機で長尺のプラスチックフィルムを連続して延伸処理してもよい。
0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2・・・(1)
[nxは位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率を示し、ここで、遅相軸方向とは位相差フィルム面内の屈折率が最大となる方向を指し、nyは位相差フィルムの進相軸方向の屈折率を示し、nzは位相差フィルムの厚さ方向の屈折率を示す。]
の関係を満たす延伸フィルムを製造し、位相差板として用いることが好ましい。
また、位相差板としては波長590nmで測定したレターデーション値が10乃至1000nmを満たすことが好ましく、さらには100乃至170nm又は220乃至290nmを満たすことがより好ましい。
この場合、重ね合わせる延伸フィルムの枚数は任意であるが、光の透過率などの観点から2〜5枚が好適である。
また、重ね合わせる各延伸フィルムの組み合わせは適宜変更可能であり、重ね合わせた延伸フィルムの配向軸の傾斜角度、原料、位相差等は同じでもよいし、異なっていてもよい。これらは適宜変更してよい。
なお、固着処理に使用される接着材等は特に限定されるものではなく、例えば透明な接着材等を好適に用いることができる。また、光学特性の変化防止等の観点から粘着剤を好適に使用することができる。
なお、本実施例で採用した各種物理物性や光学特性の測定方法は、以下の通りである。
大塚電子製位相差フィルム検査装置RETSを用いて、測定波長590nmの値で幅手方向を5cm間隔で測定した。また、Nz測定時の傾斜角度は45°で測定した。Re、Nz及び配向軸の傾斜角度は平均値とした。
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
[nxは位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率を示し、ここで、遅相軸方向とは位相差フィルム面内の屈折率が最大となる方向を指し、nyは位相差フィルムの進相軸方向の屈折率を示し、nzは位相差フィルムの厚さ方向の屈折率を示す。]
アンリツ(株)製触針式厚み計KG601Aを使用し、幅手方向の厚さを1mm間隔で測定した。得られた値の平均値を厚みとした。
ポリカーボネートフィルム(株式会社カネカ製 エルメックR−フィルム無延伸品)を図1のプレ延伸用延伸機2に準じた延伸機に導入し、波長590nmで測定したレターデーションが570nmで配向軸が幅方向に対して6度傾斜した厚さ40μmで幅1000mmのポリカーボネートフィルムを得た。そして、そのポリカーボネートフィルムを図1の角度調整用熱収縮機3に準じたテンター延伸機に導入し160℃に加熱して、両端把持具間の幅方向距離を均等に狭くすることにより、幅方向に40%の収縮処理を施して延伸フィルムを得た。次に大塚電子製位相差フィルム検査装置RETSを用いて、この延伸フィルムの特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが69〜71nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は44〜46度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は1.0〜1.1であった。
配向軸が幅方向に対して6度傾斜したポリカーボネートフィルムを160℃に加熱して、両端把持具間の幅方向距離を均等に狭くすることにより、幅方向に35%の収縮処理を施して延伸フィルムを得た。即ち、収縮率を35%としたほかは実施例1に準じて延伸フィルムを得た。この延伸フィルム特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが119〜122nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は26〜29度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は1.4〜1.5であった。
配向軸が幅方向に対して6度傾斜したポリカーボネートフィルムを160℃に加熱して、両端把持具間の幅方向距離を片側だけ狭くすることにより、幅方向に40%の収縮処理を施して延伸フィルムを得た。即ち、両端把持具間の幅方向距離を片側だけ狭くしたほかは実施例1に準じて延伸フィルムを得た。この延伸フィルム特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが67〜74nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は42〜47度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は0.9〜1.1であった。
収縮率を0%としたほかは実施例1に準じて延伸フィルムを得た。この延伸フィルム特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが540〜550nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は6度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は1.5であった。
配向軸が幅方向に対して傾斜をもたない、すなわち配向軸が0度のポリカーボネートフィルムを使用した以外は実施例1に準じて延伸フィルムを得た。この延伸フィルム特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが88〜92nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は0〜1度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は1.1であった。
図7に示される延伸機40により、波長590nmで測定したレターデーションが570nmで配向軸が幅方向に対して6度傾斜した厚さ40μmで幅1000mmのポリカーボネートフィルムを得た。そして、そのポリカーボネートフィルムを150℃に加熱してロール周速差による縦延伸機41に導入し、長手方向に5%の延伸処理を施して延伸フィルムを得た。この延伸フィルムの特性を測定した結果、波長590nmで測定したレターデーションが57〜71nm、幅方向に対する配向軸の傾斜角度は44〜46度、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzとしたときの(nx−nz)/(nx−ny)は7.0〜7.3であった。
2 プレ延伸用延伸機
3 角度調整用熱収縮機
4 角度調整延熱収縮機
6 把持部材
8 引き出しロール
9 巻き取り用ロール
f 高分子フィルム
Claims (8)
- 長尺状のフィルムであって、配向軸の傾斜角度が幅方向に対して5度以上20度未満にプレ延伸されたプレ延伸フィルムの幅方向両端を保持し、当該プレ延伸フィルムを加熱して熱収縮させつつ前記両端の保持間隔をしだいに狭めていく延伸フィルムの製造方法であって、熱収縮させつつ前記両端の保持間隔をしだいに狭めていく際に、プレ延伸フィルムの両端を互いに近づく方向に移動させることを特徴とする延伸フィルムの製造方法。
- 長尺状のフィルムに対して配向軸の傾斜角度を幅方向に対して5度以上20度未満に延伸することによりプレ延伸フィルムを形成する工程と、形成したプレ延伸フィルムを加熱して熱収縮させつつ前記両端の保持間隔をしだいに狭めていく工程とを連続して行うことを特徴とすることをする請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 熱収縮させつつ前記両端の保持間隔をしだいに狭めていく際に、プレ延伸フィルムの両端を幅方向中心線に対して均等に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の延伸フィルムの製造方法。
- プレ延伸フィルムを加熱して熱収縮することにより、プレ延伸フィルムの分子配向軸の幅方向に対する傾きを20度以上70度未満にすることを特徴する請求項1乃至3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 幅方向の拡縮調整が可能なテンター式延伸機によりプレ延伸フィルムを加熱し、熱収縮させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法によって製造された延伸フィルムであって、延伸フィルムの幅方向に対する配向軸の傾斜角度が20度より大きく70度より小さいことを特徴とする延伸フィルム。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法によって製造された延伸フィルムであって、延伸フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが下記式(1):
0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 ・・・(1)
を満たすことを特徴とする延伸フィルム。 - 請求項6又は7に記載の延伸フィルムが少なくとも1枚以上含まれて形成されることを特徴とする位相差板。
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