JP2012031332A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】楕円偏光板として製造効率のよい長尺の光学フィルムを提供すること。
【解決手段】主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、横方向に一軸延伸しつつ、その延伸方向の左右を異なる速度で縦方向に引張延伸することにより、幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸された光学フィルムとする。
【選択図】なし
【解決手段】主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、横方向に一軸延伸しつつ、その延伸方向の左右を異なる速度で縦方向に引張延伸することにより、幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸された光学フィルムとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示装置や有機電界発光表示装置などに用いられる光学フィルムの製造方法に関する。
近年、液晶表示装置(LCD)の大画面化および使用環境が広がるにつれ、視認性に対する要求が厳しくなっている。しかし、液晶セル本体の改良のみでは視認性向上への要求を十分満足することができないため、位相差フィルム等の光学フィルムの性能向上に依存するところが大きい。
現在、光学フィルムにはその優れた光学特性から非晶性の熱可塑性樹脂が主に用いられており、延伸することで複屈折性の制御が可能であるため、液晶表示装置の位相差フィルムなどの用途に適用されている。特に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系樹脂は、高い光線透過率を有する一方で光弾性率が低いなど、その光学特性に優れるとともに、機械的強度、成形加工性および表面硬度のバランスに優れることから、位相差フィルム等の偏光を取り扱う装置に用いる光学フィルムに用いる熱可塑性樹脂として好適である。そこで、アクリル系樹脂フィルムに二軸延伸を施すことにより、耐熱性と可撓性を両立させた位相差フィルムが開示されている(特許文献1)。
一方、液晶表示装置などに用いられる楕円偏光板は一般に、偏光板(直線偏光板)と1/4波長板とを積層することにより構成されている。すなわち、偏光板の吸収軸と1/4波長板の遅相軸とが所定の角度をなすように、偏光板および1/4波長板が接着剤などを用いて貼合されている。
しかしながら、特許文献1では、長尺フィルムに対し、長手方向および幅方向に延伸しているため、楕円偏光板として用いるためには、斜め方向に枚葉に切り出して、偏光板と貼り付けなくてはならず、製造工程が煩雑になり、高コストになってしまうという問題があり、偏光板とロールtoロールで貼合して、楕円偏光板とすることができなかった。
また、アクリル系樹脂フィルムは光学特性には優れるものの、フィルムとしては硬く、脆いという短所があるため、所望の大きさに切り出す際に、割れや欠け、ヒビが生じやすいという問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、偏光板とロールtoロールで貼り合わせることで楕円偏光板とすることが可能な光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の光学フィルムの製造方法は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、その幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸する、光学フィルムの製造方法である。
本発明の光学フィルムの製造方法により、偏光板とロールtoロールで貼合することで楕円偏光板とすることができる長尺の光学フィルムを得ることができる。枚葉に切り出して、偏光板と貼合する必要が無いため、光軸をそろえるなどの手間が省くことができ、かつ面積効率よく楕円偏光板とすることができる。また、偏光板と貼合した後に、枚葉に切り出すことができるため、アクリル系樹脂フィルムの短所である脆さの影響を受けずに、枚葉化することができる。
これ以降の説明において特に記載がない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を、それぞれ意味する。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、その幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸する、光学フィルムの製造方法である。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、その幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸する、光学フィルムの製造方法である。
長尺フィルムを幅方向に対して、20〜50度の方向に連続して延伸する方法しては、長尺フィルムを横方向に一軸延伸しつつ、その延伸方向の左右を異なる速度で縦方向に引張延伸する方法が挙げられる。
本発明において長尺フィルムを横方向に一軸延伸する方式については、特に限定はなく従来に準じた適宜な方式を採ることができる。また横一軸延伸を施しつつ、延伸方向の左右を異なる速度で縦方向に引張延伸する方式についても特に限定はなく、例えば周速度の異なるピンチロール等を介して引き取る方式等の、併用する横一軸延伸の方式などに応じて適宜な組合せの引張延伸方式とすることができる。
ちなみに従来のテンター延伸機等の横一軸延伸機を利用して、その左右の延伸部品を独立に駆動できるようにすることにより本発明による延伸処理を施すことが可能である。すなわち、かかる横一軸延伸機に長尺フィルムを従来に準じ導入して横一軸延伸を施しつつ、独立駆動の左右の延伸部品を介しその左右で長尺フィルムに対する送り速度を相違させ、その速度差による送り力(引張力)の相違を介して縦方向に引張延伸することにより、延伸方向が前記の横一軸延伸方向に対して20〜50度傾斜した延伸フィルムを得ることができる。
また従来のパンタグラフ式やリニアモータ式等の同時二軸延伸機にても、前記に準じ長尺フィルムの左右に対する送り速度に相違をもたせることにより、長尺フィルムを従来に準じ導入して横方向に一軸延伸を施しつつ、長尺フィルムに対する当該左右の送り速度の相違を介して縦方向の延伸倍率を当該左右で相違させることにより、その引張延伸を介して延伸方向が前記の横一軸延伸方向に対して20〜50度傾斜した延伸フィルムを得ることができる。
上記のように、従来の延伸機にても、横方向の一軸延伸に加えて、縦方向に左右異なる速度の送り力又は引張力ないし引取り力を付加できるようにすることにより、本発明の幅方向に対して、20〜50度の方向に連続して延伸する光学フィルムを製造することができる。
別の延伸方法としては、屈曲したテンターレールを有するテンター延伸機を用いて、延伸する方法が挙げられる。屈曲したレールの内周と外周のテンタークリップを同じ速度で走行させると、外周のクリップは、内周のクリップよりも遅れが生じることにより、長尺フィルムを斜め方向に延伸することができる。延伸する角度は、内周と外周の屈曲の度合いによって決めることができる。
本発明に用いることができる延伸方法は、上記のものに限られない。例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報、特開2003−262721号公報、特開2005−319660号公報などに記載された方法も用いることができる。
本発明の製造方法に用いる長尺フィルムは、特に限定はされず、未延伸のフィルムであっても良いし、縦又は横1軸延伸フィルムであってもよいし、2軸延伸されたフィルムであってもよい。2軸延伸フィルムの場合は、逐次2軸延伸フィルムであってもよいし、同時2軸延伸フィルムであってもよい。また、斜め方向に延伸された長尺フィルムを用いてもよく、この場合、延伸軸を交差するように延伸することが好ましい。
本発明の製造方法に用いる長尺フィルムは、単層フィルムであってもよいし、複数のフィルムを積層したフィルムであってもよい。
本発明の製造方法における延伸温度は、長尺フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg−20)℃〜(Tg+60)℃の範囲が好ましく、(Tg−10)℃〜(Tg+30)℃の範囲がより好ましい。(Tg−20)℃未満では、フィルムの破断が起こりやすくなるために好ましくない。また、(Tg+60)℃を越えると、フィルムのたるみが大きくなるために、装置とのこすれや破断のおそれが生じるために好ましくない。
本発明の製造方法における延伸速度は、例えば10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、フィルムの破断等が起こるおそれがある。
本発明の製造方法における延伸倍率は、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍〜10倍がより好ましく、1.3倍〜5倍がさらに好ましい。1.1倍未満であると十分な強度が発現されなくなるおそれがある。
光学フィルムの光学特性および機械的特性を安定させるために、延伸後、必要に応じて熱処理(アニーリング)を実施してもよい。
本発明の製造方法によって得られる光学フィルムは、少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性(以下、逆波長分散性という)を示すことが好ましい。光学フィルムが逆波長分散性を示すことにより、各種表示装置において、楕円偏光板として用いた場合に、黒色表示における青味が生じにくくなり、視認性、コントラストが向上する。
本発明の製造方法によって得られる光学フィルムの厚さは特に限定されないが、例えば10μm〜500μmであり、20μm〜300μmが好ましく、30μm〜150μmが特に好ましい。
本発明の製造方法によって得られる光学フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%以上である。全光線透過率は、透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、光学フィルムとして適さない。
本発明の製造方法によって得られる光学フィルムのガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)の下限は、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、上限は200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
本発明の製造方法に用いる長尺フィルムは、特に限定はされず、未延伸のフィルムであっても良いし、縦又は横1軸延伸フィルムであってもよいし、2軸延伸されたフィルムであってもよい。2軸延伸フィルムの場合は、逐次2軸延伸フィルムであってもよいし、同時2軸延伸フィルムであってもよい。
本発明の製造方法に用いる長尺フィルムは、単層フィルムであってもよいし、複数のフィルムを積層したフィルムであってもよい。
本発明における長尺フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、溶液製膜法(溶液流延法、キャスト成形法)、溶融製膜法(溶融押出法、押出成形法)、プレス成形法などの公知の手法を用いることができるが、環境負荷が小さく生産性に優れることから溶融製膜法が好ましい。
溶液製膜法を用いてフィルムを得ようとする場合は、熱可塑性樹脂と必要によりその他の重合体やその他の添加剤などとの樹脂組成物を良溶媒中に撹拌混合して均一混合液とし、支持フィルムやドラムにキャストして自己支持性を有するまで予備乾燥した後、支持フィルムやドラムから剥がして乾燥すると得ることができる。溶液製膜法に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。溶液製膜法を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、ベルト式キャスティングマシンなどが挙げられる。
溶融製膜法の具体的な例としては、樹脂組成物を構成する各成分をオムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練機から押出混練してもよい。押出混練に用いる混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、あるいは加圧ニーダーなどの公知の混練機を用いることができる。
また、別途形成した熱可塑性樹脂を溶融押出成形してもよい。溶融製膜法には、例えば、Tダイ法、インフレーション法などがあり、その際の成形温度は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは255℃〜300℃、特に好ましくは260℃〜300℃である。
Tダイ法を用いる場合、押出機の先端部にTダイを取り付け、このTダイから押し出したフィルムを巻き取ることで、ロール状に巻回させた長尺フィルムを得ることができる。このとき、巻き取りの温度および速度を制御して、フィルムの押し出し方向に延伸(一軸延伸)を加えることも可能である。
押出成形に押出機を用いる場合、その種類は特に限定されず、単軸であっても二軸であっても多軸であってもよいが、そのL/D値は(Lは押出機のシリンダの長さ、Dはシリンダ内径)、熱可塑性樹脂を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは15以上80以下であり、さらに好ましくは20以上60以下である。L/D値が10未満の場合、熱可塑性樹脂を十分に可塑化できず、良好な混練状態が得られないことがある。一方、L/D値が100を超えると、熱可塑性樹脂に対して過度に剪断発熱が加わることで、組成物中の樹脂が熱分解する可能性がある。
またこの場合、シリンダの設定温度は、好ましくは200℃以上300℃以下であり、より好ましくは250℃以上300℃以下である。設定温度が200℃未満では、熱可塑性樹脂の溶融粘度が過度に高くなって、長尺フィルムの生産性が低下する。一方、設定温度が300℃を超えると、熱可塑性樹脂が熱分解する可能性がある。
押出成形に押出機を用いる場合、その形状は特に限定されないが、押出機が1個以上の開放ベント部を有することが好ましい。このような押出機を用いることによって、開放ベント部から分解ガスを吸引することができ、得られた長尺フィルムに残存する揮発成分の量を低減できる。開放ベント部から分解ガスを吸引するためには、例えば、開放ベント部を減圧状態にすればよく、その減圧度は、開放ベント部の圧力にして、931〜1.3hPaの範囲が好ましく、798〜13.3hPaの範囲がより好ましい。開放ベント部の圧力が931hPaより高い場合、揮発成分、あるいは樹脂の分解により発生する単量体成分などが、樹脂中に残存しやすい。一方、開放ベント部の圧力を1.3hPaより低く保つことは工業的に困難である。
本発明における光学フィルムは、ポリマーフィルターで濾過した熱可塑性樹脂を成形してフィルムとすることが好ましい。ポリマーフィルターにより、熱可塑性樹脂中に存在する異物を除去できるため、得られたフィルムの外観上の欠点を低減できる。なお、ポリマーフィルターによる濾過時には、熱可塑性樹脂は高温の溶融状態となる。このため、ポリマーフィルターを通過する際に熱可塑性樹脂が劣化し、劣化により形成されたガス成分や着色劣化物が組成物中に流れだして、得られたフィルムに、穴あき、流れ模様、流れスジなどの欠点が観察されることがある。この欠点は、特に長尺フィルムの連続成形時に観察されやすい。このため、ポリマーフィルターで濾過した熱可塑性樹脂を成形する際には、その成形温度は、樹脂の溶融粘度を低下させ、ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間を短くするために、例えば255〜300℃であり、260〜320℃が好ましい。
ポリマーフィルターの構成は特に限定されないが、ハウジング内に多数枚のリーフディスク型フィルターを配したポリマーフィルターを好適に用いることができる。リーフディスク型フィルターの濾材は、金属繊維不織布を焼結したタイプ、金属粉末を焼結したタイプ、金網を数枚積層したタイプ、あるいはそれらを組み合わせたハイブリッドタイプのいずれでもよいが、金属繊維不織布を焼結したタイプが最も好ましい。
ポリマーフィルターによる濾過精度は特に限定されないが、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。濾過精度が1μm以下になると、樹脂の滞留時間が長くなることで当該組成物の熱劣化が大きくなる他、長尺フィルムの生産性が低下する。一方、濾過精度が15μmを超えると、熱可塑性樹脂中の異物を除去することが難しくなる。
ポリマーフィルターの形状は特に限定されず、例えば、複数の樹脂流通口を有し、センターポール内に樹脂の流路を有する内流型;断面が複数の頂点もしくは面においてリーフディスクフィルタの内周面に接し、センターポールの外面に樹脂の流路がある外流型;などがある。特に、樹脂の滞留箇所の少ない外流型を用いることが好ましい。
ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間に特に制限はないが、好ましくは20分以下であり、より好ましくは10分以下であり、さらに好ましくは5分以下である。また、濾過時におけるフィルター入口圧およびフィルター出口圧は、例えば、それぞれ、3〜15MPaおよび0.3〜10MPaであり、圧力損失(フィルターの入口圧と出口圧の圧力差)は、1MPa〜15MPaの範囲が好ましい。圧力損失が1MPa以下になると、樹脂がフィルターを通過する流路に偏りが生じやすく、得られた樹脂フィルムの品質が低下する傾向がある。一方、圧力損失が15MPaを超えると、ポリマーフィルターの破損が起こり易くなる。
ポリマーフィルターに導入される樹脂の温度は、その溶融粘度に応じて適宜設定すればよく、例えば250〜300℃であり、好ましくは255〜300℃であり、さらに好ましくは260〜300℃である。
ポリマーフィルターを用いた濾過処理により、異物、着色物の少ない光学フィルムを得る具体的な工程は、特に限定されない。例えば、(1)クリーン環境下で熱可塑性樹脂の形成および濾過処理を行い、引き続いてクリーン環境下で熱可塑性樹脂の成形を行うプロセス、(2)異物または着色物を有する熱可塑性樹脂を、クリーン環境下で濾過処理した後、引き続いてクリーン環境下で熱可塑性樹脂の成形を行うプロセス、(3)異物または着色物を有する熱可塑性樹脂を、クリーン環境下で濾過処理すると同時に成形を行うプロセス、などが挙げられる。それぞれの工程毎に、複数回、ポリマーフィルターによる熱可塑性樹脂の濾過処理を行ってもよい。
ポリマーフィルターによって熱可塑性樹脂を濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂の圧力を安定化することが好ましい。
本発明における光学フィルムの表面には、必要に応じて、各種の機能性コーティング層が形成されていてもよい。機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などである。これら、機能性コーティング層は、長尺フィルムの延伸前に形成しても良いし、延伸後に形成しても良い。
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されないが、楕円偏光板とする際に、偏光板とロールtoロールで貼合することができることから、楕円偏光板の1/4波長板として好ましく用いることができる。本発明の光学フィルムから得られる楕円偏光板は、液晶表示装置や有機電界発光表示装置の反射防止膜として好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムを楕円偏光板とする場合、両面に偏光子保護フィルムを有する偏光板と貼合してもよいし、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムの片面に用いてもよい。本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムの片面に用いる場合、本発明の光学フィルムの表面に易接着層を形成することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムはその高い透明性、耐熱性により、各種光学部材としても好適に用いることができる。光学部材は、例えば、光学用保護フィルム、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムである。位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルムなどの光学フィルムとして、本発明の光学フィルムを用いてもよい。
[熱可塑性樹脂]
本発明の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む限り特に限定はされない。
[熱可塑性樹脂]
本発明の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む限り特に限定はされない。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系重合体は、主鎖に(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造と環構造を含む。(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位の含有割合と環構造単位の含有割合の合計を主鎖中に好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは99重量%以上含む。特に環構造の含有率は、好ましくは5%以上、更に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどの単量体に由来する構成単位である。これらの構成単位を2種類以上有していてもよい。メタクリル酸メチル単位を有することが好ましく、この場合、アクリル系重合体ならびにアクリル系重合体を含む組成物および当該組成物を成形して得られたフィルムなどの成形品の熱安定性が向上する。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位を有していてもよい。環化反応により主鎖に環構造を導入するため、アクリル系重合体は重合時に水酸基やカルボン酸基を有する単量体を共重合することが好ましい。具体的には、水酸基を有する単量体として、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、また、カルボン酸基を有する単量体として(メタ)アクリル酸単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの単量体に由来する構成単位が挙げられる。これらの単量体を2種類以上共重合有していてもよい。水酸基やカルボン酸基を有する単量体は環化反応により環構造へと変化するが、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体に未反応の水酸基やカルボン酸基を有する単量体由来の構成単位が含まれていてもよい。
また、アクリル系重合体はその他の構成単位を有していてもよく、このような構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの単量体に由来する構成単位である。アクリル系重合体は、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
本発明のアクリル系重合体は主鎖に環構造を有する。そのため、アクリル系重合体および熱可塑性樹脂のTgが高くなり、当該組成物から得た樹脂成形品の耐熱性が向上する。このように主鎖に環構造を有するアクリル系重合体から得た樹脂成形品、例えばフィルムは画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易になるなど光学部材としての用途に好適である。
アクリル系重合体が環構造を有することにより、得られるフィルムのTgが高くなると成形温度を高くする必要がある。成形温度が高くなると、成形時にポリマー主鎖間の架橋が生じやすく、成形体の異物が増加し、さらに、脆さが増加するため、特にフィルム成形時や成形後においてフィルム強度が不足しやすい。しかし、本発明のアクリル系重合体では、このような場合においても、ポリマー主鎖間の架橋が抑制でき、フィルム成形時や成形後において十分な機械的強度を有する成形体を得ることができる。
環構造の種類は特に限定されないが、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。この中でも、成形時における耐熱性の点でラクトン環構造、グルタルイミド構造、マレイミド構造が好ましい。
アクリル系重合体が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化反応により、高いラクトン環含有率を有するアクリル系重合体が得られること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する重合体を前駆体にできること、などの理由から以下の一般式(1)に示される構造が好ましい。
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の範囲の有機残基である。当該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
一般式(1)における有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の範囲のアルキル基、エテニル基、プロペニル基などの炭素数1から20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、ナフチル基などの炭素数1から20の範囲の芳香族炭化水素基であり、上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、上記芳香族炭化水素基は、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
アクリル系重合体が主鎖にラクトン環構造を有する場合、当該樹脂におけるラクトン環構造の含有率は特に限定はされないが、例えば5〜90%であり、好ましくは10〜80%であり、より好ましくは10〜70%であり、さらに好ましくは20〜60%である。アクリル系重合体における環構造の含有率が過度に小さくなると、アクリル系重合体ならびに当該組成物から得られるフィルムなどの成形品における耐熱性の低下や、耐溶剤性および表面硬度が不十分となることがある。一方、上記含有率が過度に大きくなると、アクリル系重合体の成形性、ハンドリング性が低下する。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は8万以上、分散度は3.5以下が好ましく、好ましくはMw10万以上、分散度は3以下である。尚、重量平均分子量と分散度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。分散度とは、重量平均分子量/数平均分子量であり、GPCで重量平均分子量、数平均分子量の測定結果から算出するものである。本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系重合体の重量平均分子量を8万以上、分散度を3.5以下とすることにより、樹脂の分岐構造が抑制され、加工時の熱安定性が改善され、成形品とした時の強度や外観が改善される。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、110℃以上が好ましい。アクリル系重合体としてのTgを向上できることから、アクリル系重合体のTgは115℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。なお、一般的なアクリル系重合体のTgは100℃程度である。
主鎖に環構造を有するアクリル系重合体は、公知の方法により製造できる。環構造が無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、WO2007/26659号公報あるいはWO2005/108438号公報に記載の方法により製造できる。環構造が無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の方法により製造できる。環構造がラクトン環構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報あるいは特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
本発明における熱可塑性樹脂は、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として含むことが好ましい。複素芳香族基としては、カルバゾール基、ピリジン基、チオフェン基およびイミダゾール基などが挙げられ、α,β−不飽和単量体単位は、例えばビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルチオフェン単位およびビニルイミダゾール単位である。特に、ビニルカルバゾール単位を含む場合、本発明の製造方法により得られた光学フィルムの位相差が優れた逆波長分散性を示し、楕円偏光板としたときに反射防止膜としての効果が高いことから好ましい。
複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位は、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体中に含まれていてもよいし、その他の樹脂成分中に含んでいてもよい。
本発明における熱可塑性樹脂は、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。相溶性の観点からは、スチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。また、ゴム質重合体は、表面にアクリル系重合体と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルムとした際の透明性向上の観点から、例えば、400nm以下であり、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは70nm以下である。
本発明における熱可塑性樹脂は、公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤;酸化防止剤;位相差上昇剤、位相差低減剤などの位相差調整剤;位相差安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリアリルホスフェ−ト、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラ−、無機フィラ−;樹脂改質剤;アンチブロッキング剤;マット剤;酸補足剤;金属不活性化剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAやABSなどのゴム質重合体などである。添加剤の添加量は、例えば0〜10%であり、好ましくは0〜5%であり、より好ましくは0〜2%であり、さらに好ましくは0〜0.5%である。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。フィルム物性の測定用サンプルは、幅方向の中央部からサンプルを取得した。尚、実施例において便宜上、下記略称を用いて説明する。
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
AM:アクリル酸メチル
MHMA:2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル
なお、各特性値は以下のようにして測定、算出した。
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
AM:アクリル酸メチル
MHMA:2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル
なお、各特性値は以下のようにして測定、算出した。
<ガラス転移温度>
各サンプルのガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
各サンプルのガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
<メルトフローレート>
メルトフローレートはJIS K7210:1999の規定に準拠して、メルトインデクサー(テクノセブン製)を用い、試験温度240℃、荷重98N(10kgf)で測定した。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
<メルトフローレート>
メルトフローレートはJIS K7210:1999の規定に準拠して、メルトインデクサー(テクノセブン製)を用い、試験温度240℃、荷重98N(10kgf)で測定した。
<屈折率異方性>
波長589nmにおける位相差フィルムの面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、及び光軸は大塚電子社製RETS−100を用いて測定した。
厚み方向位相差値Rthについては、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚d、40°傾斜させて測定した位相差値(Re(40°))、三次元屈折率nx、ny、nzの値を得た後、下記式から求めた。なお、長尺フィルムにおける長手方向の屈折率をnx、フィルムの幅方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとした。
厚み方向位相差Rth(nm)=d×{(nx+ny)/2−nz}
フィルムの膜厚dは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)を用いて測定した。
なお、傾斜させる方向は、遅相軸を傾斜軸としたRe(S40°)と進相軸を傾斜軸としたRe(F40°)を測定し、Re(S40°)>Re(F40°)となる場合は遅相軸を傾斜軸とし、逆にRe(S40°)<Re(F40°)となる場合は進相軸を傾斜軸とした。
さらに、波長分散性は447nm、590nm、及び750nmにおける面内位相差をそれぞれRe(447)、Re(590)、Re(750)としたとき、Re(447)/Re(590)、及びRe(750)/Re(590)より算出した。
波長589nmにおける位相差フィルムの面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rth、及び光軸は大塚電子社製RETS−100を用いて測定した。
厚み方向位相差値Rthについては、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚d、40°傾斜させて測定した位相差値(Re(40°))、三次元屈折率nx、ny、nzの値を得た後、下記式から求めた。なお、長尺フィルムにおける長手方向の屈折率をnx、フィルムの幅方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとした。
厚み方向位相差Rth(nm)=d×{(nx+ny)/2−nz}
フィルムの膜厚dは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)を用いて測定した。
なお、傾斜させる方向は、遅相軸を傾斜軸としたRe(S40°)と進相軸を傾斜軸としたRe(F40°)を測定し、Re(S40°)>Re(F40°)となる場合は遅相軸を傾斜軸とし、逆にRe(S40°)<Re(F40°)となる場合は進相軸を傾斜軸とした。
さらに、波長分散性は447nm、590nm、及び750nmにおける面内位相差をそれぞれRe(447)、Re(590)、Re(750)としたとき、Re(447)/Re(590)、及びRe(750)/Re(590)より算出した。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA15質量部、MMA27質量部、AM5質量部、ビニルカルバゾール3質量部、トルエン50質量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.02質量部を添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート0.04質量部を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA15質量部、MMA27質量部、AM5質量部、ビニルカルバゾール3質量部、トルエン50質量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.02質量部を添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート0.04質量部を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)0.1質量部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、バレル温度240℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で100部/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.5部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.5部/時の投入速度で第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、5部の酸化防止剤(チバジャパン製、イルガノックス1010)と、失活剤として80部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン65部に溶解させた溶液を用いた。
上記脱揮操作により、熱可塑性樹脂(1A)のペレットを得た。得られた樹脂組成物の重量平均分子量は1050000、ガラス転移温度は129℃、メルトフローレートは30.7g/10分であった。
得られた樹脂ペレット(1A)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み175μmの未延伸フィルム(1A−F1)を成膜した。
得られた樹脂ペレット(1A)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み175μmの未延伸フィルム(1A−F1)を成膜した。
(製造例2)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、MHMA15質量部、MMA30質量部、BMA5質量部、トルエン50質量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.03質量部を添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.06質量部とトルエン0.7質量部からなる開始剤溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105℃〜111℃)で溶液重合を行い、開始剤溶液の滴下後さらに2時間かけて熟成を行った。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、MHMA15質量部、MMA30質量部、BMA5質量部、トルエン50質量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.03質量部を添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.06質量部とトルエン0.7質量部からなる開始剤溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105℃〜111℃)で溶液重合を行い、開始剤溶液の滴下後さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、環化触媒としてリン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学社製、Phoslex A−8)0.05質量部を加え、還流下、約85〜105℃で2時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、熱交換器に通して220℃まで昇温し、バレル温度250℃、減圧度13.3hPa〜400hPa、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で、15質量部/時の処理速度で導入し、脱揮処理を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を0.46部/時の投入速度で第1ベントの後ろから、イオン交換水を0.225部/時の投入速度で第2、3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、オクチル酸亜鉛(日本化学産業社製、ニッカオクチックス亜鉛18%)9.8質量部、チバジャパン社製Irganox1010、0.8質量部、旭電化工業社製アデカスタブAO−412S0.8質量部、トルエン88.6質量部からなる溶液を用いた。上記脱揮操作により、熱可塑性樹脂(2A)のペレットを得た。得られた樹脂組成物の重量平均分子量は128000であり、ガラス転移温度は133℃、メルトフローレートは12.4g/10分であった。
得られた樹脂ペレット(2A)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み100μmの未延伸フィルム(2A−F1)を成膜した。
得られた樹脂ペレット(2A)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み100μmの未延伸フィルム(2A−F1)を成膜した。
(製造例3)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、パンライトL1225)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み60μmの未延伸フィルム(3A−F1)を成膜した。
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、パンライトL1225)を、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃にて溶融押出して、厚み60μmの未延伸フィルム(3A−F1)を成膜した。
(実施例1)
製造例1で得られた未延伸フィルム(1A−F1)を、左右移動速度に10%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて136℃で幅方向に2.4倍延伸し、厚み67μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(1A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 148nm
遅相軸の方向 ・・・ 45度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 0.90
Re(750)/Re(590)・・・ 1.05
得られた位相差フィルム(1A−F2)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(1A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(1A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されず、色ムラや青味は観察されなかった。なお、円偏光板のロール(1A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
製造例1で得られた未延伸フィルム(1A−F1)を、左右移動速度に10%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて136℃で幅方向に2.4倍延伸し、厚み67μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(1A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 148nm
遅相軸の方向 ・・・ 45度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 0.90
Re(750)/Re(590)・・・ 1.05
得られた位相差フィルム(1A−F2)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(1A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(1A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されず、色ムラや青味は観察されなかった。なお、円偏光板のロール(1A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
(実施例2)
製造例2で得られた未延伸フィルム(2A−F1)を、左右移動速度に7%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて136℃で幅方向に1.7倍延伸し、厚み54μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(2A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 46度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.06
Re(750)/Re(590)・・・ 0.97
得られた位相差フィルム(2A−F2)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(2A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(2A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されず、色ムラは見られなかったが、わずかに青味が観察された。なお、円偏光板のロール(2A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
製造例2で得られた未延伸フィルム(2A−F1)を、左右移動速度に7%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて136℃で幅方向に1.7倍延伸し、厚み54μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(2A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 46度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.06
Re(750)/Re(590)・・・ 0.97
得られた位相差フィルム(2A−F2)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(2A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(2A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されず、色ムラは見られなかったが、わずかに青味が観察された。なお、円偏光板のロール(2A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
(比較例1)
製造例2で得られた未延伸フィルム(2A−F1)を、温度140℃まで加熱して縦方向に1.8倍に延伸を行った。得られた位相差フィルム(2A−F4)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 0度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.03
Re(750)/Re(590)・・・ 0.98
得られた位相差フィルム(2A−F4)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(2A−F5)を得た。得られた円偏光板のロール(2A−F5)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みが観察された。なお、円偏光板のロール(2A−F5)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れが見られた。
製造例2で得られた未延伸フィルム(2A−F1)を、温度140℃まで加熱して縦方向に1.8倍に延伸を行った。得られた位相差フィルム(2A−F4)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 0度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.03
Re(750)/Re(590)・・・ 0.98
得られた位相差フィルム(2A−F4)の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(2A−F5)を得た。得られた円偏光板のロール(2A−F5)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みが観察された。なお、円偏光板のロール(2A−F5)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れが見られた。
(比較例2)
製造例2で得られた未延伸フィルム(3A−F1)を、左右移動速度に5.6%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて140℃で幅方向に1.3倍延伸し、厚み48μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(3A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 46度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.08
Re(750)/Re(590)・・・ 0.96
得られた位相差フィルム(3A−F2)から、の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(3A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(3A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されなかったが、四隅の色ムラと青味が観察された。なお、円偏光板のロール(3A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
製造例2で得られた未延伸フィルム(3A−F1)を、左右移動速度に5.6%の速度差を持たせたテンター横延伸機にて140℃で幅方向に1.3倍延伸し、厚み48μmの斜め延伸フィルムロールを得た。得られた位相差フィルム(3A−F2)の特性は以下の通りであった。
面内位相差 ・・・ 145nm
遅相軸の方向 ・・・ 46度(フィルムの長手方向が0度)
Re(447)/Re(590)・・・ 1.08
Re(750)/Re(590)・・・ 0.96
得られた位相差フィルム(3A−F2)から、の長手方向と偏光板の長手方向が重なるようにアクリル系粘着剤層を介して連続的に張り合わせ、円偏光板のロール(3A−F3)を得た。得られた円偏光板のロール(3A−F3)から100mm角の円偏光板を切り出し、鏡の上に置いて外光の反射具合を目視したところ、鏡面への映り込みは観察されなかったが、四隅の色ムラと青味が観察された。なお、円偏光板のロール(3A−F3)から切り出す際にフィルム端部に欠けや割れは生じなかった。
本発明の光学フィルムの製造方法で得られる長尺の光学フィルムは、偏光板とロールtoロールで貼合することで、各種表示装置の楕円偏光板として好適に用いることができる。
Claims (5)
- 主鎖に環構造を有するアクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムを、その幅方向に対して20〜50度の方向に連続して延伸する、光学フィルムの製造方法。
- 少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示す、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 上記熱可塑性樹脂が、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として含む、請求項1および2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 上記環構造が、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、マレイミド構造のいずれかから選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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