JP2010113054A - 偏光板 - Google Patents

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Takashi Miyai
孝 宮井
Yoshiyuki Shioya
佳之 塩谷
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Abstract

【課題】2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら少なくとも可視光領域において波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性(逆波長分散性)を示すことができる、新規な組成を有する光学フィルムを含む偏光板の提供を目的とする。
【解決手段】複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる光学フィルムを含む偏光板とする。前記光学フィルムは、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる。前記熱可塑性樹脂は主鎖に環構造を含む熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、入射した光に対して複屈折性を示す光学フィルムを含んでなる偏光板に関する。
高分子の配向により生じる複屈折を利用した複屈折性を有する光学フィルムが、画像表示分野において幅広く使用されている。例えば、複屈折により生じる位相差を利用した位相差フィルムが、画像表示装置の色調の補償、視野角の補償などに広く用いられている。具体的な例として、反射型の液晶表示装置(LCD)では、複屈折により生じた位相差に基づく光路長差(リターデーション)が波長の1/4である位相差板(λ/4板)が用いられる。これら複屈折性を有する光学フィルム(以下、単に「複屈折フィルム」ともいう)は、今後のさらなる用途拡大が期待される。
一方、画像表示装置に用いられる偏光板は、特に液晶表示装置の液晶セルの両側に配置されるが、通常、ヨウ素などの二色性物質を吸着させたポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した偏光子の両面に、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどの偏光子保護フィルムを積層する構成が代表的である。位相差フィルムは液晶セルと偏光板の間に位置するが、部材の削減や製造工程の短縮によるコスト削減を目的に、位相差フィルムの機能を偏光子保護フィルムに付与し、位相差フィルムと偏光子保護フィルムを一層化した複屈折性を有する光学フィルムの開発が行なわれている。
複屈折性を有する光学フィルムには、これまで、ポリカーボネート、環状オレフィンが主に用いられてきたが、これら一般的な高分子は、光の波長が短くなるほど複屈折が大きくなる(即ち、位相差が増大する)特性を有する。表示特性に優れる画像表示装置とするためには、これとは逆に、少なくとも可視光の領域において、光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる(即ち、位相差が減少する)波長分散性を有する複屈折フィルムが望まれる。なお、本明細書では、少なくとも可視光領域において光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を、一般的な高分子(ならびに当前記高分子により形成された複屈折フィルム)が有する波長分散性とは逆であることに基づいて、「逆波長分散性」と呼ぶ。
これまで、逆波長分散性を有する複屈折フィルムを得るために、位相差あるいは波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムを積層したり、特定の光学特性を有する微粒子を部材に添加したりすることがなされている(例えば、微粒子の添加について、特許文献1を参照)。しかし、2種の複屈折フィルムを積層して逆波長分散性を実現するためには、双方の部材を所定の角度で精密に裁断し、さらに両者を所定の角度で精密に積層することが求められるため、製造工程が複雑となって、複屈折フィルムのコスト性、生産性に大きな課題が生じる。また、モバイル機器に用いる画像表示装置では、その小型化、軽量化に対する要求が高いが、2種の部材を積層して逆波長分散性を実現する方法では、得られる複屈折フィルムが厚くなるため、この要求への対応が難しい。一方、微粒子を添加する方法では、製造工程が複雑となり、複屈折フィルムのコスト性、生産性に大きな課題が残る。
これらの技術とは別に、特許文献2には、正の固有複屈折を有するポリマーと、負の固有複屈折を有するポリマーとをブレンドして得た、逆波長分散性を有する位相差板が開示されている。当前記文献には、正の固有複屈折を有するポリマーとしてノルボルネン系樹脂が、負の固有複屈折を有するポリマーとしてスチレン系ポリマーが例示されている。
また、特許文献3には、正の固有複屈折を有する分子鎖と、負の固有複屈折を有する分子鎖とを有する共重合体を含む組成物を用いて形成された、逆波長分散性を有する位相差板が開示されている。当前記文献には、正の固有複屈折を有する分子鎖としてノルボルネン鎖が、負の固有複屈折を有する分子鎖としてスチレン鎖などのスチレン系の分子鎖が例示されている。
特開2005−156864号公報 特開2001−337222号公報 特開2001−235622号公報
本発明は、複屈折性を有する光学フィルムを含む偏光板であって、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら逆波長分散性を示すことができる新規な組成を有する光学フィルムを含む偏光板の提供を目的とする。
本発明の偏光板は、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる光学フィルムを少なくとも1枚含んでなる偏光板であって、前記光学フィルムが複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる偏光板である。
本発明の偏光板は、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる光学フィルムを少なくとも1枚含んでおり、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら光学フィルムが逆波長分散性を示すため、LCDなどの画像表示装置に用いた場合、可視光の幅広い領域において位相差の補償が可能であり、カラーシフトを低減することにより高い表示品質を維持しながら、さらなる小型化、軽量化などの要求に対する対応性に優れる。
[熱可塑性樹脂]
本発明の偏光板に含まれる複屈折性を有する光学フィルムは、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位(以下、単に「不飽和単量体単位」ともいう)を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる。
ここで熱可塑性樹脂とは、光学フィルムに適した透明性を有し、加熱により軟化して塑性を示し、冷却すると固化する樹脂であれば、特には限定されない。例えば、前記熱可塑性樹脂として、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの熱可塑性樹脂を、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂とするには、特に限定されないが、例えば、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体を付加重合などで重合する手法や、グラフト重合などで側鎖に複素環構造を有するα,β−不飽和単量体を導入することが可能である。複素環構造を有するα,β−不飽和単量体との共重合性を考慮すると、これらの中では付加重合で合成される重合体が好ましい。
複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位は、負の固有複屈折を与える作用を有することが好ましい。この場合、前記光学フィルムに逆波長分散性を付与するためには、正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位と組み合わせることが必要となる。そこで、例えば、波長依存性が大きく負の固有複屈折を与える作用を有する複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位の構成単位と、波長依存性が少ない正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位を組み合わせて、正の固有複屈折を有する樹脂が得られる場合に、光学フィルムに逆波長分散性を付与することが出来る。正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位は、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂に含まれることが好ましい。このような樹脂に配向が加えられている場合、各々の構成単位に由来して生じた複屈折が互いに打ち消しあうが、ここで、複屈折が打ち消し合う程度が波長によって異なるために、複屈折の逆波長分散性が生じる。また、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する負の固有複屈折を有する熱可塑性樹脂と、正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位を含む正の固有複屈折を有する熱可塑性樹脂とのポリマーブレンドも、均一に相溶する場合には、好ましい形態のひとつである。
なお、固有複屈折とは、樹脂の分子鎖が一軸配向した層(例えば、シートあるいはフィルム)における、分子鎖が配向する方向(配光軸)に平行な方向の光の屈折率n1から、配光軸に垂直な方向の光の屈折率n2を引いた値(即ち、“n1−n2”)をいう。
また、樹脂に正(あるいは負)の固有複屈折を与える作用を有する構成単位とは、当前記単位のホモポリマーを形成したときに、形成したホモポリマーの固有複屈折が正(あるいは負)となる構成単位をいう。樹脂自体の固有複屈折の正負は、当前記単位に由来して生じる複屈折と、重合体が有するその他の構成単位に由来して生じる複屈折との兼ね合いにより決定される。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度は110℃〜200℃であることが好ましい。より好ましくは115℃〜200℃、さらに好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。110℃未満であると、厳しくなる使用環境に対して耐熱性が不足し、フィルムが変形して位相差のムラが発生しやすくなることがあるため好ましくない。また、200℃を超えると、超高耐熱性の光学フィルムとなるが、前記フィルムを得るための成形加工性が悪かったり、フィルムの可撓性が大きく低下する場合があるため好ましくない。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、例えば1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜250000の範囲であり、より好ましくは10000〜200000の範囲であり、さらに好ましくは50000〜200000の範囲である。
前記熱可塑性樹脂は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、280℃以上であることが好ましく、より好ましくは290℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。熱重量分析(TG)における5%重量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが280℃未満であると、十分な熱安定性を発揮できないおそれがある。
前記熱可塑性樹脂は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下である。残存揮発分の総量が5000ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
前記熱可塑性樹脂は、主鎖に環構造を有することが好ましい。主鎖に環構造を有する熱可塑性樹脂とすることにより、高い耐熱性を有する複屈折フィルムとすることができ、当前記部材は、例えば画像表示装置において、光源などの発熱部に近接した配置が可能である。また、主鎖の環構造は正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位であり、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位と組み合わせることで、光学フィルムに逆波長分散性を付与することが出来る。主鎖の環構造は特に限定されないが、芳香族を主鎖に含む場合は光弾性係数などの光学特性が低下することがあるため、主鎖に芳香族以外の環構造を有する熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、前記熱可塑性樹脂として、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂およびトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂がより好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂とすることにより、(メタ)アクリル系単量体が複素環構造を有するα,β−不飽和単量体と共重合性がよいため、不純物の少ない高純度の熱可塑性樹脂を合成することが可能となる。さらには、波長依存性や光弾性係数が低いという(メタ)アクリル系樹脂が従来有する高い光学特性を前記熱可塑性樹脂に付与することが出来る。
ここで、(メタ)アクリル系樹脂とは(メタ)アクリル酸エステル単位を、全構成単位の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、有する重合体((メタ)アクリル系重合体)を含む樹脂をいう。(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造をさらに含む重合体の場合は、(メタ)アクリル酸エステル単位および環構造の合計が、全構成単位の50%以上であれば、(メタ)アクリル系重合体とする。また、当前記樹脂における全(メタ)アクリル系重合体の含有率の合計は、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂の場合、(メタ)アクリル系重合体に環構造を導入することにより、一般的には負の固有複屈折を有する(メタ)アクリル系樹脂に正の固有複屈折を付与することが出来る。また、主鎖に環構造を含む(メタ)アクリル系樹脂は固有複屈折の波長依存性が少ないため、波長依存性が大きく負の固有複屈折を与える作用を有するα,β−不飽和単量体単位と組み合わせることで、光学フィルムの逆波長分散性に関する制御の自由度をより向上出来、用途に応じた良好な逆波長分散性を有する光学フィルムをすることが出来る。
(メタ)アクリル系重合体の環構造として、例えば、エステル基、イミド基、または酸無水物基を有する環構造が挙げられる。環構造のより具体的な例として、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、または無水グルタル酸構造が挙げられる。これらの環構造を含む構成単位は、当前記単位を有する熱可塑性樹脂に対して、その配向時に、大きな正の固有複屈折を与える作用を有する。このため、不飽和単量体単位との組み合わせにより、逆波長分散性の制御の自由度が向上した複屈折フィルムとすることができる。
環構造は、ラクトン環構造および/またはグルタルイミド構造が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。
熱可塑性樹脂が有していてもよい具体的なラクトン環構造は特に限定されないが、例えば、以下の式(1)に示される構造であってもよい。
Figure 2010113054

前記式(1)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の範囲の有機残基である。当前記有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;前記アルキル基、前記不飽和脂肪族炭化水素基、および前記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。
式(1)に示すラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを脱アルコール環化縮合させて形成できる。このとき、RはH、RはCH、RはCHである。
熱可塑性樹脂が有していてもよいグルタルイミド構造は、以下の式(2)により示される環構造である。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体群を重合した後、得られた重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
Figure 2010113054
前記式(2)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または式(
1)における有機残基として例示した基である。
熱可塑性樹脂が有していてもよい無水グルタル酸構造は、以下の式(3)により示される環構造である。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
Figure 2010113054
前記式(3)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または式(1)における有機残基として例示した基である。
なお、式(1)〜(3)の説明において例示した、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、および無水グルタル酸構造を形成する各方法では、各々の環構造の形成に用いる重合体は、全て(メタ)アクリル系重合体である。
前記熱可塑性樹脂は、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する。不飽和単量体単位に由来して生じる複屈折の波長分散性は非常に大きく、熱可塑性樹脂における不飽和単量体単位の含有率が小さい場合にも、波長分散性の制御の自由度が向上した複屈折フィルムとすることができる。
詳細は後述するが、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位の具体的な例は、例えば以下の式(4)に示されるビニルカルバゾール単位である。なお、式(4)に示す環上の水素原子の一部が、式(1)における有機残基として例示した基により置換されていてもよい。
Figure 2010113054
主鎖に根幹構造を有する熱可塑性樹脂は公知の方法により製造できる。
例えば、環構造としてラクトン環構造を有する熱可塑性樹脂は、分子鎖内に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を任意の触媒存在下で加熱し、脱アルコールを伴うラクトン環化縮合反応を進行させて、得ることができる。
重合体(a)は、例えば、以下の式(5)に示される単量体を含む単量体群の重合により形成できる。
Figure 2010113054

前記式(5)において、RおよびR10は、互いに独立して、水素原子または式(1)における有機残基と同様の基である。
式(5)により示される単量体の具体的な例としては、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。なかでも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、高い透明性および耐熱性を有する複屈折フィルムが得られることから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)が特に好ましい。
なお、前記例示した(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位は、環化により、当前記単位を有する重合体に対して正の固有複屈折を与える作用を有する。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、前記式(5)により示される単量体を2種以上含んでいてもよい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、前記式(5)により示される単量体以外の単量体を含んでいてもよい。このような単量体は、式(5)により示される単量体と共重合できる単量体である限り特に限定されず、例えば、式(5)により示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。なかでも、高い透明性および耐熱性を有する複屈折フィルムが得られることから、メタクリル酸メチル(MMA)が特に好ましい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、これら(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含んでいてもよい。
不飽和単量体単位(例えばビニルカルバゾール単位)を構成単位として有する熱可塑性樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体と、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体(例えば以下の式(6)に示されるビニルカルバゾール単量体)とを含む単量体群を重合して形成できる。単量体群が含む(メタ)アクリル酸エステルの種類を選択し、形成した重合体を環化縮合させることによって、不飽和単量体単位を構成単位として有するとともに、主鎖に環構造を有する熱可塑性樹脂としてもよい。
Figure 2010113054
なお、式(6)に示す環上の水素原子の一部が、式(1)における有機残基として例示した基により置換されていてもよい。
前記不飽和単量体単位の種類は特に限定されない。複素環構造におけるヘテロ原子は、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であるが、逆波長分散性の発現させる作用に優れることから、窒素原子が好ましい。
前記不飽和単量体単位の具体的な種類としては、例えば、ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位およびビニルチオフェン単位などの複素芳香環を有する単量体単位、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−ω−へプロラクタム単位などの窒素原子を含む複素環を有する単量体単位から選ばれる少なくとも1種である。
前記不飽和単量体単位は複素環構造が複素芳香環であることが好ましい。複素芳香環を有する場合は不飽和単量体単位に由来して生じる複屈折が特に大きいことにより、光学フィルムの光弾性係数の上昇を抑制できる。これは、以下の理由による。一般に、芳香環は、当前記環を含む重合体の光弾性係数を増大させる作用を有する。このため、光学フィルムを構成する重合体における芳香環の含有量を抑えることが望まれる。光学フィルムでは、負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位として複素芳香環を有する不飽和単量体単位を用いることにより、熱可塑性樹脂における不飽和単量体単位の含有量を低減、即ち、複屈折フィルムを構成する重合体における芳香環の含有量を低減することが可能となり、複屈折フィルムとしての光弾性係数の上昇を抑制できる。
逆波長分散性の発現させる作用に特に優れることから、前記不飽和単量体単位は、ビニルカルバゾール単位およびビニルピリジン単位から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ビニルカルバゾール単位がより好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂以外の成分を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;弾性有機微粒子;位相差向上剤;波長分散性制御剤などが挙げられる。本発明に使用される光学フィルム中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
前記熱可塑性樹脂は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は特に限定されないが、例えば、フェノール系、リン系あるいはイオウ系などの公知の酸化防止剤を、1種で、または2種以上を併用して用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカンである。
フェノール系酸化防止剤は、チオエーテル系酸化防止剤またはリン酸系酸化防止剤と組み合わせて使用することが好ましい。組み合わせる際の酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対してフェノール系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤の各々が0.01%以上、あるいはフェノール系酸化防止剤およびリン酸系酸化防止剤の各々が0.025%以上である。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートである。
リン酸系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイトである。
[光学フィルム]
本発明の偏光板は、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる光学フィルムを少なくとも1枚含んでなり、前記光学フィルムは複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる。前記熱可塑性樹脂からなるため、透明性、機械的強度、成型加工性などの諸特性に優れる。
本発明に使用される光学フィルムは、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる。光学フィルムの波長分散性は、異なる波長で光学フィルムの位相差を測定することで評価が可能であり、例えば測定波長が589nmにおける位相差値を基準(R0)として、その他の波長における位相差Rとの比(R/R0)が589nm以下では1未満の場合で、かつ、589nmを超える波長では1を超える場合に、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなっており、すなわち、逆波長分散となる。R/R0は589nm以下の波長では0.6以上1未満が好ましく、より好ましくは0.7以上0.95未満、589nmを超える波長では1.0を超えて1.4以下が好ましく、より好ましくは1.02を超えて1.2以下である。
なお、「位相差」はレターデーション値ともいう。ここでいう面内位相差Reは、
Re=(nx−ny)×d
で、厚さ方向位相差(Rth)は、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
で、定義される。なお、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とする。また、延伸方向の屈折率が大きくなるものを正の複屈折性があると言い、フィルム面内で延伸方向と垂直方向の屈折率が大きくなるものを負の複屈折性があると言う。
「厚さ100μmあたりの波長589nmにおける面内位相差」とは、面内位相差Reを求める前記式において、d=100×1000nmでの値のことである。また、前記「厚さ100μmあたりの波長589nmにおける厚さ方向位相差」とは、厚さ方向位相差(Rth)を求める前記式において、d=100×1000nmでの値のことである。
本発明に使用される光学フィルムが一軸延伸フィルムの場合、波長589nmにおける面内位相差Reが50〜300nm、厚さ方向位相差Rthが10〜300nmであることが好ましい。厚さ100μmあたりでは波長589nmにおける面内位相差Reが50〜500nm、厚さ方向位相差Rthが10〜500nmであることが好ましい。
本発明に使用される光学フィルムをλ/2板として用いる場合、589nmにおけるReが200〜350nmであることが好ましく、さらに好ましくは240〜300nmであり、特に好ましくは260〜280nmであり、最も好ましくは265〜275nmである。
本発明に使用される光学フィルムをλ/4板として用いる場合、589nmにおけるReが100〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは120〜160nmであり、特に好ましくは130〜150nmであり、最も好ましくは135〜145nmである。
本発明に使用される光学フィルムが二軸延伸フィルムの場合、589nmにおける面内位相差Reが20〜70nm、位相差値Rthが70〜400nmの二軸延伸フィルムも好ましい形態のひとつである。厚さ100μmあたりでは波長589nmにおける面内位相差Reが20〜110nm、厚さ方向位相差Rthが70〜800nmであることが好ましい。
本発明に使用される光学フィルムは、ガラス転移温度が110℃〜200℃であることが好ましい。より好ましくは115℃〜200℃、さらに好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。110℃未満であると、厳しくなる使用環境に対して耐熱性が不足し、フィルムが変形して位相差のムラが発生しやすくなることがあるため好ましくない。また、200℃を超えると、超高耐熱性の光学フィルムとなるが、前記フィルムを得るための成形加工性が悪かったり、フィルムの可撓性が大きく低下する場合があるため好ましくない。
本発明に使用される光学フィルムの厚さは、5〜350μmが好ましく、より好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜150μmである。膜厚が5μmより薄いと強度に乏しく、また、所望の位相差(レターデーション値)を得ることが困難となる。膜厚が350μmより厚いと液晶表示装置の薄型化に不利となる。フィルムの厚さは、例えばデジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)などの市販の測定機器を用いて測定することができる。
本発明に使用される光学フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%である。全光線透過率は、透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、光学フィルムとして適さない。
本発明に使用される光学フィルムは、ヘイズが5%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。ヘイズが5%を超えると透明性が低下し、光学フィルムとして適さない。
本発明に使用される光学フィルムは、外観欠点が少ないことが好ましい。外観欠点は、樹脂などの原料由来や製造工程で混入する異物、成形時の気泡や成形時のダイやロール部分でのダイラインやキズなどに起因し、ポリマーフィルタなどによる原料のろ過、製造工程のクリーン化、成形条件の最適化などによる対策が考えられる。前記光学フィルム中の欠点の数は、具体的には、粒子径が20μm以上の欠点が1000個/m2以下であることが好ましく、500個/m2以下であることがより好ましく、200個/m2以下であることがさらに好ましく、理想的には0個/m2である。
本発明に使用される光学フィルムは、例えば、単層でありながら逆波長分散性を示す。このため当前記複屈折フィルムは、その生産性、コスト性に優れる他、当前記複屈折フィルムが組み込まれた画像表示装置の小型化、軽量化、低コスト化などを図ることができる。
本発明に使用される光学フィルムの具体的な形状は特に限定されない。複屈折フィルムとしての用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、シートあるいはフィルムとしてもよい。
本発明に使用される光学フィルムは、その用途に応じて、他の光学フィルム(光学フィルムには複屈折フィルムが含まれる)と組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用される光学フィルムの具体的な種類も特に限定されず、例えば、位相差板としてもよいし、得られる位相差に基づくリターデーションを光の波長の1/4として、位相差板の一種であるλ/4板としてもよい。また、偏光板などの他の光学フィルムと組み合わせて、反射防止板とすることもできる。
本発明に使用される光学フィルムは、特にその用途が制限されることなく、従来の複屈折フィルムと同様の用途(例えば、LCD、OLEDなどの画像表示装置)に使用が可能である。
本発明に使用される光学フィルムを成形する方法は特に限定されず、公知の手法に従えばよい。フィルム成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
本発明に使用される光学フィルムを得るための延伸方法としては、従来公知の延伸方法が適用できる。例えば、自由幅一軸延伸、定幅一軸延伸等の一軸延伸;逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の二軸延伸;フィルムの延伸時にその片面又は両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理してフィルムに延伸方向と直交する方向の収縮力を付与することにより、延伸方向と厚さ方向とにそれぞれ配向した分子群が混在する複屈折性フィルムを得る延伸等が挙げられる。耐折り曲げ性が向上する点で、二軸延伸が好ましい。さらに、フィルム面内の任意の直交する二方向に対する耐折れ曲げ性が向上するという点で、同時二軸延伸が好ましい。また、面内の任意方向の耐折れ曲げ性と、大きな面内位相差とを両立させやすい点で、逐次二軸延伸が好ましい。面内の任意の直交する二方向としては、例えば、フィルム面内の遅相軸と平行方向およびフィルム面内の遅相軸と垂直な方向が挙げられる。なお、所望の位相差、所望の耐折れ曲げ性に応じて、延伸倍率、延伸温度、延伸速度等の延伸条件を適宜設定すればよく、特に限定はされない。
また、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率をny、フィルム厚さ方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny=nzもしくはnx=nz>nyを満たす光学フィルムが得られる点で、自由幅一軸延伸が好ましい。また、nx=ny>nzもしくはnx=ny<nzを満たす光学フィルムが得られる点で二軸延伸が好ましい。さらには、nx>nyで0<(nx−nz)/(nx−ny)<1を満足する光学フィルムが得られるという点で、フィルムに延伸方向と直交する方向の収縮力を付与する延伸方法が好ましい。
延伸等を行う装置としては、例えば、ロール延伸機、テンター型延伸機、オーブン延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、一軸延伸機、逐次二軸延伸機、同時二軸延伸機等が挙げられ、これら何れの装置を用いても、本発明に使用される光学フィルムを得ることができる。
延伸温度としては、フィルム原料の重合体、若しくは延伸前のアクリル系重合体を主成分とするフィルムのガラス転移温度近辺で行うことが好ましい。具体的には、(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+50)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+20)℃、さらに好ましくは(ガラス転移温度−10)℃〜(ガラス転移温度+10)℃である。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移温度+50)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.2〜10倍の範囲、さらに好ましくは1.3〜5倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う位相差性能の発現や靭性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
ある方向に延伸する場合、その一方向に対する延伸倍率は、好ましくは1.05〜10倍の範囲、より好ましくは1.1〜5倍の範囲、さらに好ましくは1.2〜3倍の範囲で行われる。1.05倍よりも小さいと、所望の位相差が得られない場合があり好ましくない。10倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
本発明に使用される光学フィルムは、熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルム(以下、「未延伸フィルム」と記する場合がある)を延伸して得られるものであり、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で延伸する一段目の工程と、一段目の工程後に行う、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃の温度範囲で延伸する二段目の工程とを含み、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度より5℃以上高い方法で延伸を行うことにより製造することがより好ましい。
前記一段目の工程の延伸温度としては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度であれば特には限定されないが、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+40℃の温度範囲であることがより好ましく、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+2℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+30℃の温度範囲であることが更に好ましく、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+5℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+25℃の温度範囲であることが特に好ましい。
前記一段目の工程の延伸温度が、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低いと、一段目の工程で位相差が発現し、二段目の工程の延伸で面内方向における位相差が打ち消されてしまうため、最終的に得られるフィルムの位相差が低くなる傾向がある。また、前記一段目の工程の延伸温度が、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+40℃よりも高い場合では、樹脂の流動(フロー)が起こり易くなり、安定して延伸を行うことが困難になるおそれがある。
尚、前記記載において、延伸温度は、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度に対する温度差で表記している場合がある。この場合、例えば、「ガラス転移温度+40℃」は、ガラス転移温度よりも40℃高い温度、「ガラス転移温度−10℃」は、ガラス転移温度よりも10℃低い温度を意味する。
前記一段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
前記一段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
前記二段目の工程の延伸温度としては、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃の温度範囲であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+15℃の温度範囲であることがより好ましく、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度−5℃〜前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+15℃の温度範囲であることが更に好ましい。
前記二段目の工程の延伸温度が、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃よりも低いと、十分な延伸倍率で延伸を行うことができなくなるおそれがある。また、前記二段目の工程の延伸温度が、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃よりも高い場合では、フィルムにおけるポリマーの配向が十分に起こらず、必要な位相差を付与することができないおそれがある。
前記二段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
前記二段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
前記延伸方法では、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度より5℃以上高い。一段目の工程を二段目の工程より高温で行うことにより、一段目の工程で大きな位相差を付与することなく、延伸方向と直交する軸での折り曲げに対する可撓性を付与することができる。その後、二段目の工程を一段目の工程より低温で行うことにより、任意の軸に対して可撓性を更に付与することができ、かつ面内位相差の大きい光学フィルムを得ることができる。
ここで、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度+5℃未満である場合には、任意の軸に対する可撓性の付与と、必要な位相差とを両立することが困難になるおそれがある。また、フィルムに付与する面内位相差を大きくするために、二段目の工程の延伸をより低温で行うことが好ましい。更には、一段目の工程の延伸温度を二段目の工程の延伸温度より5℃以上高くすることにより、二段目の工程の延伸時にフィルムの破断が起こり難くなる。
また、前記延伸方法では、二段目の延伸倍率が一段目の工程の延伸倍率よりも大きいことが好ましい。一段目の工程の延伸倍率が二段目の工程の延伸倍率以上であれば、任意の軸に対する可撓性の付与と、必要な位相差とを両立することが困難になるおそれがある。
前記延伸方法では、二段目の工程で、一段目の工程の延伸方向と直交する方向に延伸を行うことが好ましい。この場合には、任意の軸の折り曲げに対する可撓性を十分に付与することができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる光学フィルムを含む。本発明の偏光板は、本発明に使用される前記光学フィルムを少なくとも1枚含んでいれば良く、偏光子の片面あるいは両面に本発明に使用される光学フィルムを積層することが出来る。本発明に使用される光学フィルム以外は、公知の構成が可能で有り、公知の製法を用いて製造が可能である。本発明の偏光板の好ましい実施形態としては、例えば、ポリビニルアルコール系脂フィルムを二色性物質(ヨウ素や二色性染料など)で染色して一軸延伸した偏光子の片面あるいは両面に、接着剤層あるいは易接着層を介して光学フィルムを接着してなる形態である。
本発明の偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばポリビニルアルコール系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール系偏光子;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;多層積層体あるいはコレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子;等が挙げられ、これらのなかでもポリビニルアルコール系脂フィルムを二色性物質で染色して一軸延伸した偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、5〜100μm程度である。
本発明の偏光板においては、本発明に使用される光学フィルムが前記偏光子に接着剤層を介して接着されてなることが好ましい。好ましい接着剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリル系樹脂等の接着剤やアクリル系、シリコン系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。尚、偏光子の偏光機能が低下しない条件で加熱圧着してもよいことはいうまでもなく、その場合は、ゆるやかな加熱圧着条件で接着することができる。
接着剤がポリビニルアルコール系樹脂の場合、ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコール;などが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、接着性の点からは、平均重合度が好ましくは100〜3000、より好ましくは500〜3000であり、平均ケン化度が好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコール系接着剤であり、偏光板の耐久性が向上する点で好ましい。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。また、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不十分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
前記架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(なかでもヘキサメチレンジアミンが好ましい);トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチレンプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。架橋剤としては、メラミン系架橋剤が好ましく、特にメチロールメラミンが好適である。
前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部である。一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が向上する。
なお、前記ポリビニルアルコール系接着剤には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
接着する方法は、通常一般に知られているものでよく、例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光フィルム及び/又は接合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、又は両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに接合されるフィルムをニップロールなどにより挟んで、貼り合わせる。貼り合せる場合は、前記光学フィルムの光軸と偏光子の吸収軸を直交または平行に配置することが好ましい。
本発明に使用される光学フィルムは、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。アンカー層としては、特に限定されず、公知のアンカー層が使用され、ポリウレタン系、ポリエステル系、セルロース系、シリコーン系、ポリエチレンイミン系や分子中にアミノ基を含んだポリマー等が使用される。
また、本発明の偏光板において、偏光子の本発明に使用される光学フィルムの反対側の面に、本発明に使用される光学フィルム以外のフィルムを積層することもできる。他樹脂からなるフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、等が挙げられる。光学特性や偏光板のカールが抑制できる点から、(メタ)アクリル系樹脂フィルムが好ましい。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハードコート層を積層することが出来る。前記ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤等よりなるハードコート層が挙げられる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。また、反射防止や低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
本発明の偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い。他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。
前記粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを光学フィルム面に移着する方式などがあげられる
本発明の偏光板は種々の画像表示装置への使用が可能である。本発明の偏光板を用いた画像形成素子を、表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の画像表示装置を作製することが出来る。本発明の偏光板が適用可能な画像表示装置の具体例としては、反射型、透過型、半透過型LCDあるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置(LCD)で好ましく用いられ、また、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)の各種画像表示装置にも好ましく用いられる。
液晶表示装置の場合、偏光板は液晶セルの両側に配置されるが、本発明の偏光子保護フィルムが画像表示面の偏光子と液晶セルの間に配置する構成が好ましい。また、液晶表示装置の形成に際しては、例えば位相差板、光学補償シート、バックライト部(光源、反射シート、導光板、拡散板、拡散シート、プリズムシート、輝度向上フィルム、等)などの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次に、液晶表示装置について説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の画像表示面の概略断面図である。液晶表示装置は、液晶セル4(液晶層、ガラス基板、透明電極、配向膜、等を含む)と、液晶セル4を挟んで配置された偏光板9、10と、バックライト部8(光源、反射シート、導光板、拡散板、拡散シート、プリズムシート、輝度向上フィルム、等を含む)を備える。偏光板9、10は、偏光子2、6と、偏光子を挟んで配置された偏光子保護フィルム1、3,5,7を備える。本発明の液晶表示装置においては、偏光板9および/または10に本発明の偏光板が採用される。また、液晶セル4と偏光子2、6の光学補償を偏光子2と偏光子6の間のフィルムで行うことになるため、偏光子保護フィルム3および/または5が本発明に用いられる光学フィルムであることが好ましい。偏光子2と偏光子保護フィルム3の間、および/または、偏光子6と偏光子保護フィルム5の間に別の位相差フィルムや光学補償層を設置し、本発明に用いられる光学フィルムと組み合わせて光学補償を行うことが可能である。さらに、必要に応じて、液晶セル4と偏光板9、10の間に、別の位相差フィルムや光学補償層を設置し組み合わせることが出来る。その他、偏光子保護フィルム1と7には紫外線吸収剤を含有させて紫外線吸収能を付与したり、最表面となる偏光子保護フィルム1にハードコート処理および/または反射防止、低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
具体的な保護フィルムの組み合わせとしては、特に限定はされないが、以下の組み合わせが考えられる。偏光子保護フィルム1、3、5、7の全てに本発明に用いられる光学フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム3、5に本発明に用いられる光学フィルムを採用し、偏光子保護フィルム1,7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1,7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に本発明に用いられる光学フィルムを採用、残りの偏光子保護フィルム(3または5)に低位相差の偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5に本発明に用いられる光学フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5、7に紫外線吸収能を有する本発明に用いられる光学フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する本発明に用いられる光学フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5、7に紫外線吸収能を有する本発明に用いられる光学フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5に一軸延伸した本発明に用いられる光学フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5に二軸延伸した本発明に用いられる光学フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に一軸延伸した本発明に用いられる光学フィルムを採用し、残りの偏光子保護フィルム(3または5)に低位相差の偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に二軸延伸した本発明に用いられる光学フィルムを採用し、残りの偏光子保護フィルム(3または5)に低位相差の偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハードコート処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に一軸延伸した本発明に用いられる光学フィルムを採用し、残りの偏光子保護フィルム(3または5)にネガティブCプレートを採用する組み合わせ。
VA型の液晶表示装置に適用する場合、本発明の偏光板に用いられる光学フィルムは589nmにおける面内位相差Reが50〜300nm、位相差Rthが10〜300nmの一軸延伸フィルムであることが好ましい。この時、前記光学フィルムはポジティブAプレートとして機能することが可能であり、ネガティブCプレートやポジティブCプレートと組み合わせて用いることが考えられる。また、Reが20〜70nm、位相差値Rthが70〜400nmの二軸延伸フィルムも好ましい形態のひとつである。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
最初に、本実施例において作製した重合体および光学フィルムの評価方法を示す。
[重量平均分子量]
共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー社製
カラム:TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム:TSK−GEL superH−RC 6.0×150 2本直列
溶離液:クロロホルム 流量 0.6mL/分
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度]
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差操作熱量計(リガク社製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、中点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[5%重量減少温度]
樹脂の5%重量減少温度(樹脂を一定の速度で昇温したときに、その重量が5%減少した時点の温度)は、示差熱量天秤(リガク社製、TG−8120)を用いて、サンプル質量が10mg、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下の条件で評価した。
[面内位相差Re]
光学フィルムの面内位相差(厚さ100μmあたり)は、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて評価した。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)25重量部、メタクリル酸メチル(MMA)68重量部、ビニルカルバゾール7重量部、トルエン90重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.04重量部を添加すると同時に、トルエン10重量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.08重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/ジオクチル混合物0.9重量部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間環化縮合反応を行った。さらに、オートクレーブ中で240℃、90分間加熱した後、得られた重合体溶液を減圧下240℃で1時間乾燥し、主鎖にラクトン環構造を有する透明な重合体の固体(A−1)を得た。重合体(A−1)の重量平均分子量は14万であり、ガラス転移温度は143℃、5%重量減少温度は375℃であった。
(製造例2)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10重量部、メタクリル酸メチル(MMA)40重量部、トルエン50重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルパゾール570、アルケマ吉富社製)0.03重量部を添加すると同時に、トルエン3.34重量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.06重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/ジオクチル混合物0.045重量部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間環化縮合反応を行った。さらに、オートクレーブ中で240℃、90分間加熱した後、アクリロニトリル−スチレン共重合体5重量部を混合した。得られた重合体溶液を減圧下240℃で1時間乾燥し、主鎖にラクトン環構造を有する透明な重合体の固体(B−1)を得た。
(製造例3)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、メタクリル酸メチル(MMA)90重量部、ビニルカルバゾール10重量部、トルエン90重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.1重量部を添加すると同時に、トルエン10重量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.2重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。二軸押出機の各温調ゾーンの設定温度を250℃、スクリュー回転数70rpmの条件下、樹脂溶液を500g/hrで供給しながら、同時にモノメチルアミンを樹脂に対して9重量%/hrの速度で供給し、主鎖にグルタルイミド環構造を有する透明な重合体の固体(C−1)を得た。
(製造例4)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)25重量部、メタクリル酸メチル(MMA)69重量部、ビニルカルバゾール6重量部、トルエン90重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.04重量部を添加すると同時に、トルエン10重量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.08重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/ジオクチル混合物0.9重量部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間環化縮合反応を行った。さらに、オートクレーブ中で240℃、90分間加熱した後、得られた重合体溶液を減圧下240℃で1時間乾燥し、主鎖にラクトン環構造を有する透明な重合体の固体(D−1)を得た。重合体(D−1)の重量平均分子量は14万であり、ガラス転移温度は141℃、5%重量減少温度は382℃であった。
(製造例5)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、15重量部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、35重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、および重合溶媒として50重量部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.03重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、3.3重量部のトルエンに前記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.06重量部を溶解した溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の加温、熟成を行った。次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、0.1重量部のリン酸オクチル/ジオクチル混合物を加え、約80〜105℃の還流下において2時間、環化縮合反応を進行させた。次に、オートクレーブにより、240℃で90分間さらに加熱した後、得られた重合溶液を減圧下240℃で1時間乾燥させて、主鎖にラクトン環構造を有する透明な重合体(E−1)を得た。重合体(E−1)の重量平均分子量は10万であり、ガラス転移温度は140℃、5%重量減少温度は365℃であった。
(製造例6:偏光子の製造)
ケン化度99%、厚み75μmのポリビニルアルコール未延伸フィルムを室温の水で洗浄した後、縦一軸に5倍延伸を行った。このフィルムをヨウ素0.5重量%、ヨウ化カリウム5重量%からなる水溶液に浸漬し二色性色素を吸着させた。更に、ホウ酸10重量%とヨウ化カリウム10重量%からなる50℃の水溶液で5分間架橋処理し偏光子を得た。
(実施例1)
製造例1で作製した重合体(A−1)を、プレス成形機により250℃でプレス成形して厚さ約190μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、延伸倍率が2倍となるように延伸温度148℃で自由端一軸延伸して、厚さ130μmの延伸フィルム(FA−1)を得た。得られた延伸フィルム(FA−1)における位相差(面内位相差Re)の波長分散性を、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて評価した。波長分散性の評価結果を以下の表1に示す。なお、表1では、測定波長を589nmとしたときの位相差を基準(R0)として、その他の波長における位相差RとR0との比(R/R0)を併せて示す。各表に示す位相差は、フィルム厚100μmあたりに換算した値である。
Figure 2010113054

表1に示すように、延伸フィルム(FA−1)は、光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示し、その変化は大きかった。
これとは別に、製造例2で作製した重合体(B−1)を、プレス成形機により250℃でプレス成形して厚さ約160μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、延伸倍率が2倍となるように延伸温度150℃で同時二軸延伸して、厚さ40μmの延伸フィルム(FB−1)を得た。得られた延伸フィルム(FB−1)の面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthはいずれも10nm以下であった。
次に、1枚の延伸フィルム(FA−1)を、製造例6で作製した偏光子の片面に接着剤としてポリビニルアルコールの7.5重量%水溶液を用いてウェットラミネーションにより貼り合わせた。さらに、偏光子のもう一方の面に1枚の延伸フィルム(FB−1)を同様にして貼り合わせた。貼合した積層体を熱風乾燥機で60℃、10分間乾燥させて、偏光板(PA―1)を得た。作製した偏光板(PA−1)を、鏡の上に置いたところ黒色となり、広帯域円偏光板として機能していることが確認できた。
(実施例2)
製造例3で作製した重合体(C−1)を、プレス成形機により250℃でプレスし成形して厚さ約155μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、延伸倍率が2倍となるように延伸温度148℃で自由端一軸延伸して、厚さ110μmの延伸フィルム(FC−1)を得た。得られた延伸フィルム(FC−1)に対して、その位相差(面内位相差Re)の波長分散性を実施例1と同様に評価した結果を以下の表2に示す。
Figure 2010113054
表2に示すように、延伸フィルム(FC−1)は、光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示し、その変化は大きかった。
次に、延伸フィルム(FA−1)の代わりに延伸フィルム(FC−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板(PC−1)を得た。作製した偏光板(PC−1)を、鏡の上に置いたところ黒色となり、広帯域円偏光板として機能していることが確認できた。
(実施例3)
製造例4で作製した重合体(D−1)を、プレス成形機により250℃でプレスし成形して厚さ約170μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、延伸倍率が2倍となるように延伸温度171℃で固定端一軸延伸して、厚さ85μmの延伸フィルムを得た。さらに延伸方向が一段目の延伸方向と直行する方向に延伸倍率が2倍となるように延伸温度146℃で自由端一軸延伸して、厚さ60μmの延伸フィルム(FD−1)を得た。得られた延伸フィルム(FD−1)に対して、その位相差(面内位相差Re)の波長分散性を実施例1と同様に評価した結果を以下の表3に示す。
Figure 2010113054

表3に示すように、延伸フィルム(FD−1)は、光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示し、その変化は大きかった。
次に、延伸フィルム(FA−1)の代わりに延伸フィルム(FD−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板(PD−1)を得た。作製した偏光板(PD−1)を、鏡の上に置いたところ黒色となり、広帯域円偏光板として機能していることが確認できた。
(比較例1)
製造例5で作製した重合体(E−1)を、プレス成形機により250℃でプレスし成形して厚さ約90μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、延伸倍率が2倍となるように延伸温度145℃で自由端一軸延伸して、厚さ60μmの延伸フィルム(FE−1)を得た。得られた延伸フィルム(FE−1)に対して、その位相差(面内位相差Re)の波長分散性を実施例1と同様に評価した結果を以下の表4に示す。
Figure 2010113054
表4に示すように、複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有していない熱可塑樹脂からなる延伸フィルム(FE−1)は、波長が短くなるほど位相差が大きくなり、逆波長分散性を示さなかった。
次に、延伸フィルム(FA−1)の代わりに延伸フィルム(FE−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板(PE−1)を得た。作製した偏光板(PE−1)を、鏡の上に置いたところ濃い青色となり、広帯域円偏光板には適していないことを確認した。
本発明の偏光板は、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら逆波長分散性を示す光学フィルムを含むため、画像表示装置に用いた場合、可視光の幅広い領域において位相差の補償が可能であり、直行偏光子の視野角特性改善や、カラーシフトを低減することにより高い表示品質を維持しながら、さらなる小型化、軽量化などの要求に対する対応性に優れる。
本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の画像表示面の概略断面図である。
符号の説明
液晶セル4(液晶層、ガラス基板、透明電極、配向膜、等を含む)
液晶セル4を挟んで配置された偏光板9、10
バックライト部8(光源、反射シート、導光板、拡散板、拡散シート、プリズムシート、輝度向上フィルム、等を含む)
偏光子2、6
偏光子を挟んで配置された偏光子保護フィルム1、3,5,7

Claims (6)

  1. 可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる光学フィルムを少なくとも1枚含んでなる偏光板であって、
    前記光学フィルムが複素環構造を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する熱可塑性樹脂からなる偏光板。
  2. 前記熱可塑性樹脂が主鎖に環構造を含む熱可塑性樹脂である請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂である請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記光学フィルムが延伸フィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記延伸フィルムが一軸延伸フィルムである請求項4に記載の偏光板。
  6. 前記延伸フィルムが二軸延伸フィルムである請求項4に記載の偏光板。
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