JP2003315550A - 位相差フィルム及びその製造方法 - Google Patents

位相差フィルム及びその製造方法

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JP2003315550A JP2002123882A JP2002123882A JP2003315550A JP 2003315550 A JP2003315550 A JP 2003315550A JP 2002123882 A JP2002123882 A JP 2002123882A JP 2002123882 A JP2002123882 A JP 2002123882A JP 2003315550 A JP2003315550 A JP 2003315550A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、フィルム1枚で測定波長が
短いほど位相差が小さくなり且つ、広い波長領域で、λ
/4またはλ/2等のλ/nを達成する位相差フィルム
を提供することにある。 【解決手段】 光学異方性を有する化合物成分を少なく
とも1種含有し、且つ、3成分以上からなる合成高分子
配向フィルムであり、単層の位相差フィルムであって、
該位相差フィルムは、波長450nm、550nm、6
50nmにおける位相差が下記式(7)、(8)を満た
すことを特徴とする位相差フィルム及びその製造方法。 R(450)<R(550)<R(650) (7) L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) 〔式中、R(450)、R(550)、R(650)は、それぞれの波長4
50nm、550nm、650nmにおける高分子配向
フィルムの面内位相差である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差フィルムお
よびその製造方法に関する。特に本発明は、液晶表示装
置、発光素子、防眩フィルム、光記録装置、偏光ビーム
スプリッター等の光学素子において用いられる、位相差
値が測定波長400〜700nmにおいて、短波長ほど
小さい位相差フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】位相差フィルムは液晶表示装置のSTN
(スーパーツイステッドネマチック方式)等に用いら
れ、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用い
られている。一般に、色補償用の位相差フィルムの材料
としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリ
オレフィン等が用いられ、視野角拡大用の位相差フィル
ム材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、配向
硬化されたディスコチック液晶等が用いられる。
【0003】位相差フィルムの1つである4分の1波長
板は、円偏光を直線偏光に、直線偏光を円偏光に変換す
ることが出来る。これは、液晶表示装置特に観測者側か
ら見て裏面側の電極を反射電極とした偏光板1枚板の反
射型液晶表示装置や、偏光板と4分の1波長板とを組み
合わせたことからなる反射防止フィルム、また、コレス
テリック液晶等からなる右回り左回りのどちらか一方の
円偏光のみを反射する反射型偏光板と組み合わされて用
いられる。
【0004】上記した偏光板1枚型の反射型液晶表示装
置や反射型偏光板において用いられる位相差フィルム
は、可視光領域である測定波長400〜700nm好ま
しくは400〜780nmにおいて直線偏光を円偏光
に、円偏光を直線偏光に変換する作用を有する必要があ
る。これを位相差フィルム1枚で実現しようとすると、
測定波長λ=400〜700nm好ましくは400〜7
80nmにおいて位相差がλ/4(nm)となることが
その位相差フィルムの理想である。
【0005】一般に4分の1波長板としては、上記した
色補償用の位相差フィルム材料等が用いられるが、これ
らの材料は複屈折に波長分散を持っている。一般に高分
子配向フィルムの複屈折は測定波長が短波長ほど大き
く、長波長ほど小さくなる。そのため、高分子配向フィ
ルム1枚だけで測定波長λ=400〜700nmにおい
て、前記した理想的な4分の1波長板のように測定波長
が短いほど複屈折が小さくなるものを得ることは困難で
あった。
【0006】理想的な4分の1波長板のように測定波長
が短いほど複屈折が小さくなるフィルムを得るために、
特開平10-68816号公報には4分の1波長板と2分の1波
長板を適当な角度で貼り合わせて用いるといった技術等
がある。この方法によれば、理想に近い広帯域性を有す
る4分の1波長板、2分の1波長板を得ることが出来る
が、2枚以上のフィルムの角度、位相差を厳密に調整し
ながら積層する必要があることと、粘着加工工程を有さ
なければならない。また、1枚のポリマーフィルムを用
いて4分の1波長板を達成するものとして特開2001-917
43号公報、特開2001-253971号公報において、セルロー
スエステルフィルムにおいて広い波長領域にて、λ/
4、λ/2を達成する技術が記載されている。しかし、
セルロースエステルフィルムでは、その吸水性のために
加水分解、寸法変形、配向緩和等が生じ、位相差及びそ
の位相差波長分散を実用レベルで長期間保持することが
出来ず、光学的な位相差フィルムとして耐久性に問題が
挙げられる部材である。
【0007】合成高分子配向フィルムに関する技術とし
ては、ノルボルネン鎖とスチレン鎖からなる合成高分子
による配向フィルムが特開2001-194527号公報、特開200
1-235622号公報に示されている。しかし、これでは2成
分系から構成されるポリマーによる技術であり、確かに
通常の単独ポリマーにおける波長分散よりも広帯域にλ
/4、λ/2を達成することは出来るが、波長450n
mの位相差をλ/4とした時、波長650nmの位相差
はλ/4よりずれた低い位相差値を示し、逆に、波長6
50nmの位相差をλ/4とした時、波長450nmの
位相差はλ/4よりずれた高い位相差の値を示すことと
なる。これは、広帯域のλ/2の位相差を得ようとした
ときも同様であり、短波長と長波長の両方において同時
にλ/4、λ/2を満たすことは困難である。さらに、
これではノルボルネン鎖とスチレン鎖を有する2成分か
らなるモノマーで構成される合成高分子であり、3成分
系以上(光学異方性を有する化合物成分1種以上とモノ
マー成分2種類以上)により構成されるポリマーによる
広帯域性を有する位相差フィルムの設計は一切行われて
いない。他のものとしては、国際公開番号WO00/26705号
公報では、ポリカーボネートを主体とする高分子配向フ
ィルムに関する技術が記載されているが、3成分系以上
(光学異方性を有する化合物成分1種以上とモノマー成
分2種類以上)から構成される合成高分子による設計
は、本願発明のように、より理想に近い広帯域性を有す
る位相差フィルムについては詳細に記載されていない。
また、特開2001-42121号公報では、ポリフェニレンオキ
サイドとポリスチレンとからなる1枚の高分子ブレンド
フィルムからなる位相差フィルムが記されている。しか
し、これでも本願の目的とする、より理想に近い広帯域
な位相差波長分散特性を有する位相差フィルムについて
の具体的な記載がない。
【0008】光学異方性を有する化合物成分を合成高分
子に添加する技術としては、ポリマーに対して液晶を添
加するものがあり、液晶セルの複屈折率の温度変化に追
随して、位相差が温度変化する温度補償効果を有する光
学異方体フィルムが特開平8-190094号公報、特開平8-27
8410号公報に示されている。しかし、この系でも、位相
差の温度補償効果が要点である。さらに、光学異方性材
料を含有する耐傷性に優れた光学補償フィルムに関する
技術が特開2001-89764号公報に示されている。しかし、
これでは、光学異方性材料は膜厚方向にハイブリッド配
向をするように制御させることで、広視野角を得ること
ができる光学補償フィルムに関するものである。光学異
方性を有する化合物成分をポリマーフィルムに添加し
て、位相差波長分散特性をコントロールしたものに、特
開2000-111914号公報、特開2001-208913号公報がある
が、この技術は、上記記載のセルロースエステルフィル
ムに関する技術であるために耐久性に問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、特開
平10−68816号公報には、2枚以上のポリマーフィルム
を積層することで、位相差が広い領域でλ/4またはλ
/2を達成することが出来る記載がされている。しか
し、例えば2枚以上のポリマーフィルムで、位相差が広
い領域でλ/4またはλ/2を得るためには、2枚以上
のフィルムの角度、位相差を厳密に調整しながら積層す
る必要がある。
【0010】これに対して、1枚のポリマーフィルムか
らなるλ/4板または、λ/2板も提案されている。し
かし、位相差が広い波長領域でλ/4またはλ/2が達
成されているフィルムで、位相差変化が生じ難い実用さ
れているフィルムはほとんど無い。また、そのポリマー
フィルムにおいて、位相差における波長分散をより広い
領域でλ/4またはλ/2等のλ/n(n>0)が得ら
れる技術は知られていない。
【0011】本発明の主な目的は、1枚のポリマーフィ
ルムを用いて、位相差がλ/4またはλ/2等の理想的
な広帯域性を有するような理想に近い位相差フィルムを
提供することである。
【0012】本発明の他の目的は、生産効率、及び実用
性が高く、理想的な広帯域性を有する位相差フィルムを
製造する新規な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために位相差フィルム用の高分子材料等を鋭意
検討し、合成高分子からなるフィルム中に、光学異方
性、特に屈折率異方性を有する化合物を少なくとも1成
分として含有することによって、単層(1枚)の位相差
フィルムが波長450nm、550nm、650nmに
おいて位相差が下記式(7)及び(8)
【0014】
【数4】
【0015】(ここで、R(450)、R(550)、
R(650)は、それぞれ波長450nm、550n
m、650nmにおける位相差フィルムの面内位相差で
ある)を満たすことを特徴とする位相差フィルムを提供
することに成功したものである。
【0016】すなわち本発明は、下記の[1]〜[1
7]のより達成することが出来た。 [1] 光学異方性を有する化合物成分を少なくとも1
種含有する合成高分子の配向フィルムからなり、単層に
てλ/n(n>0)を広い波長領域で満たす位相差フィ
ルムを製造する方法であって、下記条件(i)〜(iv)
を満足するように合成高分子のモノマー成分及び該化合
物成分を選択する位相差フィルムの製造方法。 (i) 合成高分子を構成するモノマー成分の個数を
x、合成高分子の配向フィルムに含まれる光学異方性を
有する化合物成分の個数をyとしたとき、下記式(1)
を満たす。
【0017】 x+y≧3 (1) (ただし、x、yは自然数とする。) (ii) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
合成高分子を配向フィルムとした場合、該配向フィルム
内において光学異方性を有する化合物成分が寄与する光
学異方性が正、又は負を示す。 (iii) 上記3成分以上の合成高分子の配向フィルム
において、その内2成分Pab及びQcdは、正の光学異方
性を示し、残りの成分Xefが、負の光学異方性を示す。 (ここで、Pab、Qcd、及びXefは、それぞれ独立に、
1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポリマ
ー、2種類以上のモノマー成分から構成されるポリマ
ー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を含有
する1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポリ
マー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を含
有する2種類以上のモノマー成分から構成されるポリマ
ー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分のいず
れかを示す。) (iv) 上記Pab及びQcdの位相差波長分散値をそれぞ
れ(a、b)、(c、d)としたとき、Xefの位相差波
長分散値(e、f)が下記式(2)または(3)を満た
す。
【0018】
【数5】
【0019】(ここで、位相差波長分散値(a、b)
(c、d)及び(e、f)は、波長450nm、550
nm、650nmにおける位相差フィルムの面内位相差
をR(450)、R(550)、R(650)としたと
きの(R(450)/R(550)、R(650)/R
(550))を示す。) [2] 光学異方性を有する化合物成分を少なくとも1
種含有する合成高分子の配向フィルムからなり、単層に
てλ/n(n>0)を広い波長領域で満たす位相差フィ
ルムを製造する方法であって、下記条件(v)〜(vii
i)を満足するように合成高分子のモノマー成分及び該
化合物成分選択することにより得られる位相差フィルム
の製造方法。 (v) 合成高分子を構成するモノマー成分の個数を
x'、合成高分子の配向フィルムに含まれる光学異方性
を有する化合物成分の個数y'としたとき、下記式
(4)を満たす。
【0020】 x'+y'≧3 (4) 〔ただし、x'、y'は自然数とする。〕 (vi) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
合成高分子を配向フィルムとした場合、フィルム内にお
いて光学異方性を有する化合物成分が寄与する光学異方
性が正、又は負を示す。 (vii) 上記3成分系以上の合成高分子配向フィルム
において、その内2成分P’ab及びQ’cdは、負の光学
異方性を示し、残りの成分X’efが、正の光学異方性を
示す。 (ここで、P’ab、Q’cd、及びX’efは、それぞれ独
立に、1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポ
リマー、2種類以上のモノマー成分から構成されるポリ
マー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を含
有する1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポ
リマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を
含有する2種類以上のモノマー成分から構成されるポリ
マー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分のい
ずれかを示す。) (viii) 上記P’ab及びQ’cdの位相差波長分散値を
それぞれ(a’、b’)、(c’、d’)としたとき、
X’efの位相差波長分散値(e’、f’)が下記式
(5)または(6)を満たす。
【0021】
【数6】
【0022】(ここで、位相差波長分散値(a’、
b’)(c’、d’)及び(e’、f’)は、波長45
0nm、550nm、650nmにおける位相差フィル
ムの面内位相差をR(450)、R(550)、R(6
50)としたときの(R(450)/R(550)、R
(650)/R(550))を示す。) [3] 合成高分子を構成するモノマー成分の個数が2
つであり、かつ合成高分子の配向フィルムに含まれる光
学異方性を有する化合物成分の個数が1つである上記
1、2の位相差フィルムの製造方法。 [4] 2つのモノマー成分の光学異方性が正と負の組
み合わせである上記3の位相差フィルムの製造方法。 [5] 2つのモノマー成分が、正の光学異方性を有す
るビスフェノールと負の光学異方性を有するフルオレン
環を持つビスフェノールの組み合わせである上記4の位
相差フィルムの製造方法。 [6] 合成高分子がポリカーボネートである上記1〜
5の位相差フィルムの製造方法。 [7] 光学異方性を有する化合物成分が有機化合物で
ある上記1〜6の位相差フィルムの製造方法。 [8] 光学異方性を有する化合物成分が芳香族環を少
なくとも2つ有する有機化合物である上記7の位相差フ
ィルムの製造方法。 [9] 光学異方性を有する化合物成分が液晶である上
記7の位相差フィルムの製造方法。 [10] 配向フィルム内において光学異方性を有する
化合物成分の寄与が、負の光学異方性として機能する上
記6の位相差フィルムの製造方法。 [11] 光学異方性を有する化合物成分を少なくとも
1種含有する合成高分子の配向フィルムからなる単層の
位相差フィルムであって、波長450nm、550n
m、650nmにおける位相差が下記式(7)及び
(8)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
【0023】
【数7】
【0024】(ここで、R(450)、R(550)、
R(650)は、それぞれ波長450nm、550n
m、650nmにおける位相差フィルムの面内位相差で
ある。) [12] 合成高分子がポリカーボネートである上記1
1の位相差フィルム。[13] ポリカーボネートを構
成するビスフェノールが、正の光学異方性を有するビス
フェノールと負の光学異方性を有するフルオレン環を持
つビスフェノールの組み合わせである上記11、12の
位相差フィルム。 [14] 光学異方性を有する化合物成分が芳香族環を
少なくとも2つ有する有機化合物である上記11〜13
の位相差フィルム。 [15] 光学異方性を有する化合物成分が液晶である
上記11〜14の位相差フィルム。 [16] 偏光フィルムと上記11〜15の位相差フィ
ルムからなる積層偏光フィルム。 [17] 偏光フィルムと上記11〜15の位相差フィ
ルムからなる円偏光フィルム。
【0025】上述の如く、本発明者は、鋭意研究の結
果、ポリマーフィルムの材料を探索することにより、広
い波長領域においてλ/4またはλ/2等のλ/n(n
>0)の広帯域性を有する位相差フィルムを製造するこ
とに成功した。1枚のポリマーフィルムで構成される位
相差フィルムの波長分散は、ポリマーを構成するモノマ
ーの光学異方性に起因するため、短波長もしくは長波長
領域において理想とするλ/4を取りうることが出来ず
色抜けを生じていた。しかし、光学異方性を有する化合
物成分を少なくとも1種含有する合成高分子配向フィル
ムにおいて、その成分となる光学異方性を有する化合物
成分とモノマー成分から構成されるホモポリマーの位相
差波長分散値を選択することで、位相差における波長分
散のコントロールが可能となり、より広帯域性を有する
1枚の位相差フィルムにすることが出来た。
【0026】この結果、液晶表示装置において、従来
は、広帯域性をもたせるために少なくとも2枚以上の位
相差フィルムを積層して使用していたものに対して、1
枚の位相差フィルムを用いることが可能となり、1枚の
位相差フィルムで2枚以上の位相差フィルムと同等の色
彩表示を行うことが出来るようになった。さらに、2枚
以上のポリマーフィルムを用いる際の角度の厳密な調
整、貼り合せ工程が不要となった。本発明の位相差フィ
ルムは、1枚で広い波長領域でλ/4またはλ/2等の
広帯域性を達成できる。
【0027】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明は単層の
合成高分子の配向フィルムにおいて、可視領域において
波長に依存しない極めて理想的に近いλ/4板およびλ
/2板を得ることを探求する過程で、位相差が短波長ほ
ど小さい1枚の合成高分子配向フィルムを提供すること
に成功し、上記目的を達成するとともに、従来に無い特
性を持つ位相差フィルムを提供するに至ったものであ
る。
【0028】また、本発明者は、2種類のモノマー成分
からなる1枚の高分子配向フィルムで、上記式(7)式
を満足することは可能であることを見出しているが、本
発明によれば、光学異方性を有する化合物成分1種以上
を有し、3成分(光学異方性を有する化合物成分と合成
高分子を構成するモノマー成分の種類:以下、本明細書
での3成分系においてはこの組み合わせから構成される
成分を示すものとする。)系以上の1枚の高分子配向フ
ィルムとすることで、位相差波長分散を目的値に応じて
容易に制御することが可能であり、またさらに広い波長
領域でλ/4またはλ/2等の広帯域性を達成できる理
想の位相差波長分散を見出すことができる。
【0029】本発明における位相差(リタデーション)
とは、位相差測定における位相差値のことを指し、光が
厚さdのフィルムを透過したときにフィルムの配向方向
とそれに垂直な方向の光の進行速度(屈折率)の差に基
づく位相の差をいい、配向方向とそれに垂直な方向の屈
折率の差Δnとフィルムの厚さdとの積Δn・dで表さ
れることは知られている。また、位相差Δn・dは高分
子配向フィルムが同一であれば複屈折Δnに比例するの
で、位相差の波長分散(波長依存性)は複屈折Δnの波
長分散(波長依存性)で表すことが出来る。
【0030】本発明における合成高分子配向フィルムの
配向とは、高分子鎖が主として特定の方向に並んだ状態
を示す。この配向は、通常合成高分子から形成されたフ
ィルムの延伸等によって生じる。
【0031】本発明の位相差フィルムは、少なくとも光
学異方性を有する化合物成分とモノマー成分を合わせて
3成分からなる合成高分子から形成されたフィルムを延
伸等により配向処理したものである。本発明では、合成
高分子配向フィルムを構成する成分において、正の光学
異方性を有する成分と負の光学異方性を有する成分を有
し、それらの成分がそれぞれ異なる位相差波長分散特性
であり、且つ、3成分以上を組み合わせることで、得ら
れる合成高分子配向フィルムの位相差における波長分散
特性(位相差波長分散特性)を制御することができる。
【0032】なお、ここで用いるモノマー成分とは、ポ
リマーを形成するために必要な最小単位の構造(繰り返
し単位)を表すものである。例えば、ポリスチレンであ
れば、スチレン骨格(−CH2 (C65)CH2−)がモノ
マー成分となり、ポリエチレンテレフタレートであれ
ば、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチレ
ングリコールの重縮合で形成される単位ユニット(−O
CH2CH2OCOC64CO−)となる。2価フェノー
ル(例えばビスフェノールA)とホスゲンまたは炭酸エ
ステルとを反応して得られるポリカーボネートの場合に
は、炭酸エステル結合を含む繰り返し単位(−OC64
C(CH3)264OCO−)をモノマー成分とする。
【0033】さらに、正の光学異方性を有するモノマー
成分とは、そのモノマー成分から実質的になるポリマー
から形成されたフィルムを配向させた位相差フィルム
が、正の光学異方性、つまりフィルムの平面内において
正の光学異方性を有するようなフィルムを与えるモノマ
ーの成分をいう。フィルムを一軸方向に延伸により配向
させた場合、その延伸方向の屈折率が、フィルム面内の
延伸方向と直交する方向の屈折率に対し大きければ正、
小さければ負とした。
【0034】また、位相差波長分散特性とは、位相差フ
ィルムにおいて広い波長領域、例えば400〜700n
mに対する位相差の分散(変化)の性質(挙動)をい
う。後述で詳細するが、本発明では、かかる特性を位相
差波長分散値として、特定波長における位相差フィルム
面内の位相差値と、別の波長におけるそれとの比で表
す。
【0035】なお、モノマー成分から実質的に構成され
るポリマーが正または負の光学異方性を示すとは、かか
るポリマーから形成された配向フィルムの光学異方性
が、正または負であることをいう。正、負の定義は上記
と同じである。
【0036】合成高分子配向フィルムにおいて、光学異
方性を有する化合物成分とモノマー成分を合わせて3成
分以上組み合わせることの目的は、光学異方性、特に位
相差フィルムの位相差波長分散特性の制御である。この
目的のためには、正の光学異方性を有する成分と負の光
学異方性を有する成分を有する材料が少なくとも各1種
類以上必要であり、かつ、位相差波長分散特性がすべて
ことなる光学異方性を有する化合物成分とモノマー成分
を合わせて3成分以上からなる合成高分子は、位相差フ
ィルムの位相差波長分散を制御するのに適する材料であ
る。
【0037】本発明では、合成高分子の配向フィルムに
含まれるものの成分として光学異方性が正、又は負であ
るものがそれぞれ存在し、且つ、光学異方性を有する化
合物成分とモノマー成分を合わせて3成分以上を有する
ことが重要となる。これは、国際公開番号WO00/26705号
公報では、(高分子配向フィルムの面内における配向方
向の屈折率がそれと直交な方向の屈折率より大きい場合
を、光学異方性が正、逆方向の場合を光学異方性が負と
いうが)、高分子配向フィルムにおいて、光学異方性が
正と負の高分子の組み合わせにおいて、R(450)<
R(550)<R(650)(ここで、R(450)、R(55
0)、R(650)は、それぞれの波長450nm、550n
m、650nmにおける高分子配向フィルムの面内位相
差)となるための条件が示されている。この場合には、
正の光学異方性を有する高分子に対して、負の光学異方
性を有する高分子が同時に存在することが必須条件とな
る(負の高分子に対しては、正の高分子が必須条件)。
【0038】ここで、本発明における光学異方性を有す
る化合物成分とモノマー成分を合わせて3成分以上を特
定の条件で組み合わせる場合を説明する前に、まず、2
成分のモノマーからなる場合(つまり実質的にホモポリ
マー同士のブレンド)を代表例として説明する。
【0039】光学異方性が正のモノマー成分からなる高
分子(ホモポリマー)Pと負のモノマー成分からなる高
分子(ホモポリマー)Qを用いた位相差フィルム(高分
子配向フィルムということがある)の位相差波長分散値
の取り得る値に関して示す。
【0040】まず、一般に、高分子Pと高分子Qの2成
分からなる高分子ブレンドの複屈折Δnは、以下のよう
に表されることが知られている。(H.Saito and T.Inou
e, J.Pol. Sci. Part B, 25, 1629(1987)) Δn=Δn0 p・fp・Φp+Δn0 q・fq・Φq+ΔnF (a) ここで、Δn0 p:高分子Pの固有複屈折、Δn0 q:高分子
Qの固有複屈折、fp:高分子Pの配向関数、fq:高分子
Qの配向関数、Φp:高分子Pの体積分率、Φq:高分子
Qの体積分率(=1-Φp)、ΔnF:構造性複屈折である。
一般に、複屈折ΔnはΔn=f・Δn0で表される。また、Δ
nは二色性赤外分光法と位相差測定を組み合わせて求め
ることが出来る。
【0041】(a)式はポリマーP、Q間の電子的な相互
作用による分極率の変化は完全に無視しているが、以下
でもこの仮定を採用する。また、本発明のような位相差
フィルム用とでは、光学的に透明であることが要求され
ることから、ブレンドは相溶ブレンドであることが好ま
しく、この場合には、ΔnFは非常に小さく無視すること
が出来る。
【0042】これより、測定波長を450nm、550
nm、650nmとすると(a)式は次の通りとなる。
【0043】 Δn(450)=Δn0 p(450)・fp・Φp+Δn0 q(450)・fq・Φq Δn(550)=Δn0 p(550)・fp・Φp+Δn0 q(550)・fq・Φq Δn(650)=Δn0 p(650)・fp・Φp+Δn0 q(650)・fq・Φq ここで、測定波長550nmにおいて規格化を行い、Δ
n(450)/Δn(550)、Δn(650)/Δn(550)を取ると以下のよ
うになる。
【0044】Δn(450)/Δn(550)=Δn0 p(450)・fp・Φp+
Δn0 q(450)・fq・Φq)/(Δn0 p(550)・fp・Φp+Δn
0 q(550)・fq・Φq) Δn(650)/Δn(550)=Δn0 p(650)・fp・Φp+Δn0 q(650)・
fq・Φq)/(Δn0 p(550)・fp・Φp+Δn0 q(550)・fq・Φ
q) 相溶ブレンドであるので、fp=fqと仮定して、α=Φq
pとすると、上記2式は以下のとなる。
【0045】 Δn(450)/Δn(550)=Δn0 p(450)+Δn0 q(450)・α)/ (Δn0 p(550)+Δn0 q(550)・α) (b) Δn(650)/Δn(550)=Δn0 p(650)+Δn0 q(650)・α)/ (Δn0 p(550)+Δn0 q(550)・α) (c) ここで、(b)、(c)式よりαを消去すると、下記式とな
る。
【0046】Δn(650)/Δn(550)=Δn0 p(550)・Δn0 q(65
0)-Δn0 p(650)・Δn0 q(550))/(Δn0 p(550)・Δn0 q(450)
-Δn0 p(450)・Δn0 q(550))×Δn(450)/Δn(550)
(Δn0 p(650)・Δn0 q(450) - Δn0 p(450)・Δn0 q(65
0))/(Δn0 p(550)・Δn0 q(450)-Δn0 p(450)・Δn0 q(55
0)) この式において、Δn0 p(450)、Δn0 p(550)、Δn0 p(65
0)、Δn0 q(450)、Δn0 q(550)、Δn0 q(650)は、各波長に
おける高分子の固有複屈折であり、定数項として取り扱
うことが出来る。
【0047】 Δn(650)/Δn(550)=M×Δn(450)/Δn(550)+N (d) M=(Δn0 p(550)・Δn0 q(650)-Δn0 p(650)・Δn0 q(550))
/(Δn0 p(550)・Δn0 q(450)-Δn0 p(450)・Δn0 q(550) N=(Δn0 p(650)・Δn0 q(450)-Δn0 p(450)・Δn0 q(65
0))/(Δn0 p(550)・Δn0 q(450)-Δn0 p(450)・Δn0 q(55
0)) M、Nに関して、分子分母をΔn0 p(550)・Δn0 q(550)で
割ると、M'、N’となり、それぞれの高分子における
固有複屈折の550nmの波長で規格化した値、Δn
0 p(450)/Δn0 p(550)、Δn0 p(650)/Δn0 p(550)、Δn0 q(4
50)/Δn0 q(550)、Δn 0 q(650)/Δn0 q(550)で表記するこ
とが可能となる。 M'=(Δn0 q(650)/Δn0 q(550)-Δn0 p(650)/Δn0 p(55
0))/(Δn0 q(450)/Δn0 q(550)-Δn0 p(450)・Δn0 q(55
0)) N'=(Δn0 p(650)/Δn0 p(550)・Δn0 q(450)/Δn0 q(550)
-Δn0 p(450)/Δn0 p(550)・Δn0 q(650)/Δn0 q(550))/
(Δn0 q(450)/Δn0 q(550)-Δn0 p(450)/Δn0 p(550)) 高分子配向フィルムの位相差は、配向方向とそれに垂直
な方向の屈折率の差Δnとフィルムの厚さdとの積Δn
・dで表されることより、2成分系における合成高分子
による配向フィルムの位相差における波長分散値R(45
0)、R(550)、R(650)の関係は、(e)式として表記するこ
とが出来る。
【0048】 R(650)/R(550)=M'×R(450)/R(550)+N' (e) M'=(Rq(650)/Rq(550)-Rp(650)/Rp(550))/(R
q(450)/Rq(550)-Rp(450)・Rq(550))N'=((Rp(650)
/Rp(550))・(Rq(450)/Rq(550))-(Rp(450)/Rp(550)
・Rq(650)/Rq(550)))/(Rq(450)/Rq(550)-Rp(45
0)/Rp(550)) (但し、Rp(450)、Rp(550)、Rp(650)、Rq(450)、R
q(550)、Rq(650)は、高分子配向フィルム内における高
分子P、高分子Qの面内位相差を示す。) この(e)式における境界条件は、α=Φqp=(1-Φp)/
Φp(:0≦Φp≦1)の範囲が0≦α≦∞であるので、(b)
式によりΔn(450)/Δn(550)が与えられており、これは
分子分母に膜厚dを乗じると、R(450)/R(550)に変形
することが出来るので、αの範囲により、R(450)/R(5
50)の範囲を求めることが可能である。R(450)/R(550) =Δn(450)/Δn(550)=Δn0 p(450)+Δn0 q(450)・α)/ (Δn0 p(550)+Δn0 q(550)・α) (b) この式(b)において、Δn0 p(450)、Δn0 p(550)、Δn0 q(4
50)、Δn0 q(550)の値の取り得る条件に分類して、位相
差における波長分散値に関して検討した。表1に2成分
系における固有複屈折の正と負の分類、pRとqRの大小関
係(但し、pR=Δn0 p(450)/Δn0 p(550) = Rp(450)/R
p(550)、qR=Δn0 q(450)/Δn0 q(550) = R q(450)/Rq(55
0)とする。)、また、そのときの体積分率αに対するR
(450)/R(550)の値の変化を図1〜8に示し、取りうる
R(450)/R(550)の範囲を示す。さらに、R(450)/R(55
0)の範囲に対して、描かれる上記式(e)の軌跡を、縦
R(650)/R(550)、横軸R(450)/R(550)にて示した図
を、図9〜11に示す。
【0049】
【表1】
【0050】(但し、pR=Δn0 p(450)/Δn0 p(550) = Rp
(450)/Rp(550)、qR=Δn0 q(450)/Δn0 q(550) = Rq(45
0)/Rq(550)とする。) 具体例として、表1でのcase1:高分子の光学異方性が
正と正の2つ組み合わせと、case5:高分子の光学異方
性が正と負の2つの組み合わせについて説明する。
【0051】まず、表1のcase1においては、高分子P
とQの光学異方性が正と正である。高分子PとQのR(4
50)/R(550)の大小関係は、pR >qRのとき、高分子Pと
Qからなる合成高分子における体積分率α=Φqpに対
するR(450)/R(550)の変化は、上記式(b)より図1
となる。このとき、α=0のとき正(高分子P)、α=
∞のときも正(高分子Q)であり、合成高分子の光学異
方性は光学異方性が正の高分子PとQの組み合わせで得
られることより、光学異方性が正を示した領域内のみ
で、位相差波長分散値R(450)/R(550)は変化する。こ
のとき、高分子PとQによる合成高分子のR(450)/R(5
50)の変化の領域は図1より、qR<R(450)/R(550)< pR
なる。このとき、描かれる上記式(e)の軌跡は、縦軸
R(650)/R(550)、横軸R(450)/R(550)にて示した図9
として示され、元となる高分子Pと高分子Qの位相差波
長分散値を直線で結んだ直線上の点なることが分かる
(但し、qR<R(450)/R(550)<pR)。
【0052】次に、表1のcase5においてでは、高分子
PとQの光学異方性が正と負である。高分子PとQのR
(450)/R(550)の大小関係は、pR>qRのとき、高分子Pと
Qからなる合成高分子における体積分率α=Φqpに対
するR(450)/R(550)の変化は、上記式(b)より図5
のようになる。このとき、α=0のとき正(高分子
P)、α=∞のとき負(高分子Q)であり、合成高分子
の光学異方性は、体積分率のある比率で正から負、負か
ら正に反転することが分かる。図5を見てみると、ある
比率αにてR(450)/R(550)が発散していることが明ら
かであり、その比率の前後で光学異方性が反転すること
が分かる。これより、高分子PとQによる合成高分子の
R(450)/R(550)の変化の領域は、合成高分子の光学異
方性が正の時は、R(450)/R(550) < pRとなり、光学異方
性が負の時は、負R(450)/R(550) < qRとなる。このと
き、描かれる上記式(e)の軌跡は、縦軸R(650)/R(55
0)、横軸R(450)/R(550)にて示した図11として示さ
れ、元となる高分子Pと高分子Qの位相差波長分散値を
直線で結んだ直線上の点となることが分かる(但し、光
学異方性:正 R(450)/R(550) < pR 、光学異方性:負 R
(450)/R(550) < qR)。
【0053】その他のcase1から8においても、上記同
様により2成分系において説明することができる。
【0054】これより、2成分からなる合成高分子の配
向フィルムでは、その取り得る位相差波長分散は、元と
なる該2成分から構成される高分子の位相差波長分散特
性により決定されることがわかる。特に、縦軸R(650)/
R(550)、横軸R(450)/R(550)にて示した図9〜図11
においては、元となる2種類の高分子の位相差波長分散
値を結んだ直線上の点が、合成高分子配向フィルムの取
り得ることが可能となる位相差波長分散特性であること
が明らかとなった。
【0055】なお、上記2種類のポリマーのブレンドの
場合を説明したが、2つのモノマー成分のからなる共重
合体の場合も、上記と基本的に同様の考え方を適用すれ
ばよい。
【0056】本発明では、この2成分系の考え方を、3
成分系以上に拡張して考える。特に、簡易的に考えるた
めに、視覚的に捉えた縦軸R(650)/R(550)、横軸R(45
0)/R(550)にて示した図9〜11(以降、この軸の設定
にて位相差波長分散値をプロットすることを分散プロッ
と呼ぶ)で、位相差波長分散値の変化をプロットした
軌跡における説明を主体として述べた。
【0057】前記から、2成分からなる合成高分子配向
フィルムでは、分散プロットにおいて、元となる2成分
におけるそれぞれ単体の位相差波長分散値を結んだ直線
上の点しか取り得ることができないことがわかる。ここ
で、3成分からなる合成高分子配向フィルムであるとす
ると、3成分の内2成分からなる合成高分子の位相差波
長分散値は、前述の如く図9で示したような分散プロッ
トにて直線上の点となる。これに対して、残り成分が1
成分あるので、3成分からなる合成高分子配向フィルム
の位相差波長分散値の取り得る範囲は、分散プロットに
おいて、2成分から得られている位相差波長分散値の直
線上の点と、残り1成分からなる高分子の位相差波長分
散値の点を結ぶ直線上の点となる。したがって、3成分
系の合成高分子で得られる位相差波長分散値の取り得る
領域は、分散プロット上で直線と点を結ぶ領域すなわち
面で表される領域上の点で与えられる。つまり、3成分
以上からなる合成高分子配向フィルムにおいては、分散
プロットにて、その内の2成分からなる高分子が取り得
る位相差波長分散値の直線上の1点と、残り1成分の位
相差波長分散値を結ぶ直線上にて位相差波長分散値を取
り得ることが可能となり、光学異方性が異符号を必ず含
む3成分からなる高分子であれば、その取り得る位相差
波長分散特性の領域は直線上に限定されず、分散プロッ
トにおける面内の領域を取ることが可能となることを示
す。これは、合成高分子配向フィルムにおいて、3成分
からなる合成高分子配向フィルムにおいては、2成分系
よりもさらに広い領域にて位相差波長分散特性をコント
ロールすることを可能とする技術であることを示してい
る。
【0058】本発明では、特に円偏光板または楕円偏光
板に好適に用いることができるλ/4、λ/2等の位相
差フィルム1枚で達成するために、必要となる光学異方
性を有する化合物成分1種以上とモノマー成分の組み合
わせ方法を明確に明示し提供するものである。
【0059】λ/4、λ/2等の理想の位相差フィルム
が取りR(650)/R(550)、R(450)/R(550)の値は、その
波長領域をそのまま550nmで割った値となる。 R(450)/R(550)=450/550=0.8181・・・ (λ/4、λ/
2 etc、λ/n:nは自然数) R(450)/R(550)=650/550=1.18181・・・ ここで、単層で光学異方性を有する化合物成分を少なく
とも1種含有する合成高分子配向フィルム1枚(単層)
で、λ/4フィルム、λ/2フィルム等の理想の位相差
フィルムに近づくためには、この位相差波長分散値を取
り得る合成高分子において、光学異方性を有する化合物
成分とモノマー成分を合わせて3成分系以上からなる組
み合わせを見出すことが必要不可欠となる。例えば、3
成分系以上の組み合わせを、光学異方性で分けた場合、
正+正+負、もしくは正+負+負である場合が考えられ
る。
【0060】ここで、λ/4、λ/2等の理想の位相差
フィルムを得るために必要となる光学異方性を有する成
分の位相差波長分散値が満たさなければならない条件
を、モデル化した分散プロット図12に示す。まず、正
+正、もしくは、負+負による2成分系による合成高分
子配向フィルムの取り得る領域は、上述の説明により図
12に示す通り、2成分のそれぞれ単体からなる高分子
の位相差波長分散値P点とQ点を結ぶ直線上の点とな
る。ここで、λ/4、λ/2等の理想の位相差フィルム
となり得るためには、分散プロットにおいて理想点Iと
2成分からなる高分子の位相差波長分散値P点、Q点を
結ぶ直線上の1点を結ぶ直線上に、2成分の単体成分と
光学異方性が異符号となる3成分目の位相差波長分散値
(X点)が存在しなければならないこととなる。ここ
で、この3成分目となる成分の位相差波長分散値X点が
満たさなければならない条件は、理想点Iが固定点であ
ることより、理想点IとP点を結ぶ直線I−Pの傾きよ
り、理想点IとX点を結ぶ直線の傾きI−Xの傾きが大
きく、且つ、理想点IとQ点を結ぶ直線I−Qの傾きよ
り小さければよいことになる。
【0061】 直線I−Pの傾き>直線I−Xの傾き>直線I−Qの傾き (f) 単成分P、Q、Xの位相差波長分散値における(R(450)
/R(550)、R(650)/R(550))の値を、それれP(a、
b)、Q(c、d)、X(e、f)とすると、理想点I
は、I(450/550、650/550)で与えられるので、(f)
式を書き換えると、下記式(g)となる。これは上記式
(2)に相当する。
【0062】
【数8】
【0063】モデル図12では、直線I−Pの傾き>直
線I−Qの傾きと図示されているが、P点、Q点の取り
うる位置によっては、直線I−Pの傾き>直線I−Qの
傾きとなる場合もある。これでは、次の下記式(h)、
(i)を満たせば良い。下記式(i)は上記式(3)に
相当する。
【0064】 直線I−Pの傾き<直線I−Xの傾き<直線I−Qの傾き (h)
【0065】
【数9】
【0066】つまり、3成分系以上に関してλ/4、λ
/2等の理想の位相差フィルムとなり得るためには、3
成分以上の組み合わせを、光学異方性で分けた場合、正
+正+負、もしくは正+負+負であり、且つ、上記式
(g)、または(i)を同時に満たすことが必要となる。
【0067】本発明において、この条件を詳細に記述す
ると、次の2つとなる。 (I) 光学異方性を有する化合物を1成分として少な
くとも1種含有する合成高分子の配向フィルムからな
り、単層にてλ/4またはλ/2、或いはλ/n(n>
0)を広い波長領域で満たす位相差フィルムを製造する
方法であって、下記条件(i)〜(iv)を満足するよう
に合成高分子の成分を選択する。 (i) 合成高分子を構成するモノマー成分の個数を
x、合成高分子の配向フィルムに含まれる光学異方性を
有する化合物成分の個数yとしたとき、下記式(1)を
満たす。
【0068】 x+y≧3 (1) ただし、x、yは自然数であり上限は特に制限はない
が、通常10程度である。 (ii) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
合成高分子を配向フィルムとした場合、フィルム内にお
いて光学異方性を有する化合物成分が寄与する光学異方
性が正、又は負を示す。 (iii) 上記3成分系以上の合成高分子配向フィルム
において、その内2成分Pab及びQcdは、正の光学異方
性を示し、残りの成分Xefが、負の光学異方性を示す。
【0069】ここで、Pab、Qcd、及びXefは、それぞ
れ独立に、1種類のモノマー成分から実質的に構成され
るポリマー、2種類以上のモノマー成分から構成される
ポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分
を含有する1種類のモノマー成分から実質的に構成され
るポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成
分を含有する2種類以上のモノマー成分から構成される
ポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分
のいずれかを示す。 (iv) 上記Pab及びQcdの位相差波長分散値をそれぞ
れ(a、b)、(c、d)としたとき、Xefの位相差波
長分散値(e、f)が下記式(2)または(3)を満た
す。
【0070】
【数10】
【0071】ここで、位相差波長分散値(a、b)
(c、d)及び(e、f)は、波長450nm、550
nm、650nmにおける位相差フィルムの面内位相差
をR(450)、R(550)、R(650)としたと
きの(R(450)/R(550)、R(650)/R
(550))を示す。 (II) 光学異方性を有する化合物を1成分として少
なくとも1種含有する合成高分子配向フィルムであり、
単層にてλ/4またはλ/2、或いはλ/n(n>0)
を広い波長領域で満たす位相差フィルムを製造する方法
であって、下記条件(v)〜(viii)を満足するように
合成高分子の成分を選択する。 (v) 合成高分子を構成するモノマー成分の種類の個
数をx'、合成高分子配向フィルムに含まれる光学異方
性を有する化合物成分の種類の個数y'としたとき、下
記式(4)を満たす。
【0072】 x'+y'≧3 (4) ただし、x、yは自然数であり上限は特に制限はない
が、通常10程度である。 (vi) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
合成高分子を配向フィルムとした場合、フィルム内にお
いて光学異方性を有する化合物成分が寄与する光学異方
性が正、又は負を示す。 (vii) 上記3成分系以上の合成高分子配向フィルム
において、その内2成分P’ab及びQ’cdは、負の光学
異方性を示し、残りの成分X’efが、正の光学異方性を
示す。
【0073】ここで、P’ab、Q’cd、及びX’efは、
それぞれ独立に、1種類のモノマー成分から実質的に構
成されるポリマー、2種類以上のモノマー成分から構成
されるポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合
物成分を含有する1種類のモノマー成分から実質的に構
成されるポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化
合物成分を含有する2種類以上のモノマー成分から構成
されるポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合
物成分のいずれかを示す。 (viii)上記P’ab及びQ’cdの位相差波長分散値をそれ
ぞれ(a’、b’)、(c’、d’)としたとき、X’
efの位相差波長分散値(e’、f’)が下記式(5)ま
たは(6)を満たす。
【0074】
【数11】
【0075】ここで、位相差波長分散値(a’、b’)
(c’、d’)及び(e’、f’)は、波長450n
m、550nm、650nmにおける位相差フィルムの
面内位相差をR(450)、R(550)、R(65
0)としたときの(R(450)/R(550)、R
(650)/R(550))を示す。
【0076】これらの組み合わせをそれぞれ分散プロッ
トによる図によりこの領域を示すと、光学異方性の組み
合わせが、(I)正+正+負の場合は図13、(II)
負+負+正の場合は、図14として表すことが出来る。
【0077】これは、R(450)/R(550)=450/550、R(45
0)/R(550)=650/550を固定点として捉えた場合におい
て、λ/4、λ/2等理想の位相差フィルムを、単層の
合成高分子で満たすために、上記式(e)の傾きとなるM'
において規定したことであり、つまり、分散プロットに
おいて位相差フィルムとしての理想点を通る直線として
上記式(e)を見た場合、λ/4、λ/2等理想の位相差
フィルムの位相差波長分散値を取り得る領域は、R(45
0)/R(550) = 450 / 550、R(450)/R(550) = 650/ 550
を支点とした直線となり、その傾きM'の範囲を指定す
ることで、λ/4、λ/2等理想の位相差フィルムの位
相差波長分散値を取り得る領域が決められる。つまり、
3成分系の場合には、この条件を満たす領域のモノマー
成分を選べばλ/4、λ/2等理想の位相差フィルム
を、単層の合成高分子で満たすものは得られないことを
表している。
【0078】このように、3成分系以上からなる合成高
分子の配向フィルムは、光学異方性を有する化合物成分
と合成高分子のモノマー成分を選択することにより、単
層のポリマーフィルムにおいて、広い波長領域で、λ/
4またはλ/2を達成する位相差フィルムを提供するこ
とが可能となる。
【0079】さらに、3成分以上の取り扱いとして、4
成分系以上の合成高分子配向フィルムの考え方に関して
次に示す。4成分以上からなる光学異方性の組み合わせ
としては、(正、正、負)、或いは、(負、負、正)を
含む4成分以上からなる複数成分の組み合わせが考えら
れる。このとき、4成分系以上からなる光学異方性に関
しても、上記の考え方を適用して、得られる合成高分子
配向フィルムがλ/4、λ/2等理想の位相差フィルム
の位相差波長分散値を取り得るための条件を見出すこと
も十分可能であり、n(nは自然数)成分の時、(n−
1)成分が分かった場合の残りの1成分が満たすべき特
定条件を導きだすこともできる。しかしながら、n成分
において、その特定条件を示すことは、(n−1)成分
が取り得る場合を数多く分けて示すことが必要となり、
非常に煩雑な条件となってしまうと共に、(n−1)成
分のそれぞれの成分から実質的に構成される位相差波長
分散値を特定することも、単一成分で透明なポリマーフ
ィルムとすることが出来ないような場合も存在するの
で、困難な場合も存在する。
【0080】ところで、合成高分子においてコポリマ
ー、もしくは混合物にて組成比率が一定であるものは、
位相差波長分散値も一定となる。このことを利用して、
4成分系以上の光学異方性において、合成高分子におけ
る組成比率が一定とした成分を1成分として見なし、4
成分系以上からなる成分も擬似的に3成分として取り扱
うことで、簡略的に3成分系に適用する。例えば、合成
高分子がA、B、C、Dの4成分からなる場合は、次の
12通りの場合わけとして考えることができる。この考
え方を用いた具体例として以下に示す。
【0081】
【表2】
【0082】合成高分子を構成する成分の光学異方性の
組み合わせとして、正、負、負の組み合わせを用いる。
この場合、光学異方性を有する成分が[A]、[B]、[C]
及び[D]の4成分ある場合では、上記に従い、この4成
分を擬似的に3成分として取り扱って考える。4成分か
らなる3成分の組み合わせは、表3のいずれでも結果は
同等となる。ここでは、擬似的な3成分を、[A]、
[B]、及び[C]+[D]の組み合わせとして考えた。(こ
のとき、[C]+[D]の共重合比は、合成高分子フィルム
内で存在する[C]と[D]の存在比率と一致させる。)こ
れにより、[A]の光学異方性は正、[B]の光学異方性は
負、[C]+[D]の光学異方性が負と分類されるので、3
成分の光学異方性の組み合わせとしては、(負、負、
正)の組み合わせとなる。
【0083】尚、上記式(b)、(c)より考察する
と、正と負の高分子の位相差波長分散値が等しい場合に
は、本発明の位相差フィルムは得られない。
【0084】上記考察は、上記式(a)を基にした考察
であるが、後述する実施例のように実際の系でもこの考
え方は非常によく成り立つので、この考え方が正しいこ
とは実施例でも証明される。
【0085】また、下記に本願明細書記載の合成高分子
配向フィルムにおける構成成分の光学異方性の組み合わ
せとしては表3に示すが、そのいずれであっても構わな
い。しかし、光学異方性を有する化合物成分の過剰の添
加は、合成高分子のガラス温度低下を著しく引き起こす
場合が懸念されるので、高分子配向フィルムとした場合
の耐久性を考慮した場合では、モノマー成分が2種類以
上からなる合成高分子と光学異方性を有する化合物成分
の組み合わせが好ましい。特に、実施例1、2は組み合
わせ9の場合分けに従っており、正の光学異方性のモノ
マー成分1種+負の光学異方性のモノマー成分1種+負
の光学異方性を有する化合物成分1種からなっている。
【0086】
【表3】
【0087】〔光学異方性を有する化合物成分〕光学異
方性の定義では、朝倉書店 高分子辞典初版p219によれ
ば、屈折率および光学吸収などの光学量が方向依存性を
有することであるが、本発明では屈折率の方向依存性が
大きい化合物成分が特に好ましい。光学異方性を有する
化合物成分に関しては、大きくは無機化合物、有機化合
物に分類されるが、そのいずれであっても構わない。し
かし、化合物成分の高分子中での配向の観点から、光学
異方性を有する化合物成分は有機化合物であることが好
ましい。
【0088】光学異方性を有する無機化合物として、結
晶性かつ透明性を有する化合物であり、ポリマーと混合
した時に、光学散乱が起こらない粒子径を有するものが
好ましい。かかる無機化合物の例としては結晶SiO2、Zn
O、TiO2、MnO2、Al2O3、Sb2O 3等の酸化物が主として挙
げられるが、無色透明であり、光学異方性を有する無機
化合物であれば化合物の形態は酸化物、窒化物のいずれ
であっても構わない。光学異方性を有する無機化合物と
しては、ポリマーと相溶性であり、ヘイズが3%以下で
あるものが好ましく、SiO2、ZnO、TiO2が好ましい。こ
れらの含有量としては、通常0.01〜40重量%であ
る。
【0089】光学異方性を有する有機化合物は、高分子
と低分子に分類できる。ここで、高分子の定義である
が、岩波書店 理化学辞典第4版p439によれば、高分子
化合物としては、分子量が1万以上から数百万程度まで
を対象とし、無機化合物・有機化合物を問わないとされ
ており、これにより高分子としては、分子量が1万以上
からなる化合物とする。ここで、高分子に関しては、光
学異方性を有する有機化合物としては取り扱わない。光
学異方性を有する有機化合物としては、分子量1万以下
の有機化合物とする。
【0090】ここで、光学異方性を有する有機化合物と
して、大きな光学異方性を有する材料として、液晶材料
が挙げられる。本発明において、液晶材料を光学異方性
を有する化合物成分として用いることは、相溶性の観点
からヘイズが生じにくい材料として非常に好ましい。本
発明に用いる液晶材料としては、例えばディスコチック
液晶、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチ
ック液晶、重合性液晶、ライオトロピック液晶等を挙げ
ることが出来る。具体的な構造としては例えば、シッフ
系液晶、アゾキシ系液晶、アルキルシアノビフェニル系
液晶、アルキルシアノターフェニル系液晶、シアノフェ
ニルシクロヘキサン系液晶、シアノフェニルエステル系
液晶、安息香酸フェニルエステル液晶、シクロヘキサン
シアノカルボン酸フェニルエステル系液晶、フェニルピ
リミジン系液晶、フェニルジオキサン系液晶等が挙げら
れるがこれに限定されない。また、液晶の誘電率異方
性、光学異方性は負でも正でも良い。また、上記液晶は
2種類以上の混合物からなってもよく、混合物の場合
は、混合物がある温度領域で液晶相を発現するか、また
は、混合物を形成する化合物のうち少なくとも1つの化
合物がそれ単独である温度領域で液晶相を発現すればよ
い。かかる液晶が、1種類の化合物からなる場合には、
その化合物がある温度範囲で液晶相を発現すればよい。
このような液晶性は、高分子に添加しない状態で定義さ
れるものである。上記液晶は、高分子配向フィルム中の
含有量として高分子配向フィルムを位相差フィルムとし
たときの位相差波長分散特性が変化する程度の量であれ
ばよく、また、用いる液晶の種類にもよるが、合成高分
子100重量%に対して、通常0.01〜40重量%で
あり、好ましくは0.01〜25重量%、より好ましく
は、0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜1
0重量%である。液晶が多すぎると、位相差フィルムと
しての機械的強度、熱的耐久性の低下が懸念され、ま
た、少なすぎる場合には、位相差の波長分散を液晶によ
って制御することが困難となる。
【0091】非液晶材料に関しては、光学異方性を有す
るためには分子内において分極率がおおきい構造が必要
とされる。本発明にて、光学異方性を有する非液晶性の
有機化合物としては、芳香族環を少なくとも2つ以上有
し、さらに3つ以上有する場合が好ましく、5つ以上有
する場合がさらに好ましい。これは、有機化合物の分子
骨格として、分極率の大きいものとしては、芳香族環を
分子構造内に有するものが挙げられ、特に、有機化合物
が大きな光学異方性を有するためには、芳香族環を多環
有することが好ましいためである。ここで、本願明細書
における芳香族環であるが、芳香族炭化水素環に加え
て、芳香族複素環を含む。ここで、芳香族環が有する芳
香族性に関しては、環状共役部に4n+2個(n=0〜
7)のπ電子を有するものにより発現されるものであ
る。芳香族炭化水素環は、6員環(ベンゼン環)が例と
してあげられるが、本願明細書中ではベンゼン環を含む
すべての芳香族炭化水素環を対象とする。芳香族複素環
は一般に、不飽和複素環である。芳香族複素環は、5員
環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員
環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族複
素環は、一般に最多の2重結合を有する。ヘテロ原子と
しては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が好まし
く、窒素原子が特に好ましい。芳香族複素環の例には、
フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール
環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾー
ル環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ト
リアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、
ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジ
ン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラ
ン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チ
アゾ-ル環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリジン
環、ピリミジン環、ピラジン環および、1,3,5−ト
リアジン環が好ましい。
【0092】2つ以上の芳香族環の結合関係としては、
単結合、または縮合環のいずれでもよい。縮合環の例に
は、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレ
ン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチ
レン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、イ
ンドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベン
ゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール
環、ベンゾチアゾール環、プリン環、イミダゾール環、
クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン
環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フ
タラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジ
ン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン
環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキ
サジン環、およびチアントレン環が含まれる。ナフタレ
ン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール
環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベン
ゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、およびキノ
リン環が好ましい。また、単結合は、2つの芳香族環が
炭素原子間の結合であることが好ましい。2以上の単結
合で2つの芳香族環を結合して、2つの芳香族環の間に
脂肪族環または、非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0093】光学異方性を有する有機化合物における芳
香族環の配置に関しては、配列方向の芳香族環の数が異
なること好ましく、さらには配列した芳香族環の数の差
が2以上であることがさらに好ましい。また、該化合物
の炭素原子数は、10〜150であることが好ましく、
10〜70であることがさらに好ましく、10〜50で
あることが最も好ましい。配列に関しては、芳香族環の
間に連結基が存在しても良く、芳香族環が炭素原子と結
合することが好ましく、連結基の原子数に関しても5以
下が好ましく、3以下がさらに好ましく、1以下である
ことがもっとも好ましい。連結基では、アルキレン基、
アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、
−NH−、−S−またはそれらの組み合わせにより構成
されても良い。芳香族環、及び連結基は、置換基を有し
てもよい。光学異方性を有する有機化合物において、直
鎖状化合物であることが好ましいが、多鎖状化合物でも
構わない。しかし、多鎖状化合物において、面内回転対
称系が回転軸に対して180度、360度以外に対称構
造を有する化合物に関しては、面内における光学異方性
を有さないために本発明の光学異方性を有する化合物に
含まれない。光学異方性を有する非液晶性の有機化合物
の添加量に関しては、合成高分子100重量%に対し
て、通常0.01〜40重量%であり、好ましくは0.
01〜25重量%、より好ましくは、0.1〜15重量
%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。2種
類以上の光学異方性を有する非液晶系の化合物を併用し
てもよい。ここで、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、透明核剤、永久帯電防止剤、蛍光増白
剤等のポリマー改質剤等には、上記のような光学異方性
を有する非液晶性の化合物成分が含まれているが、これ
らの化合物においてその機能を満足する量では、フィル
ムの位相差波長分散を顕著に変化させるものではなく、
同時に使用しても良い。光学異方性を有する非液晶性の
化合物成分のポリマーへの添加は、ヘイズの発生やブリ
ードアウトのような多量添加による問題を生じない範囲
の量で使用することが好ましい。
【0094】また、相分離により、ヘイズが生じる点を
考慮した場合があるが、例えば、岩波書店 理化学辞典
第4版p185によれば、オリゴマーとは構造単位の繰り
返し数(重合度)が2〜20程度の低重合体との記載が
ある。本発明において、低分子である有機化合物として
は、繰り返し単位が1〜20のオリゴマー以下の分子が
好ましい。かかるオリゴマーよりも重合度が高いと、高
分子配向フィルムを構成する高分子材料との間で相分離
等が発生し、高い透明性を得ることが難しい。同様な観
点からオリゴマーの重合度も低いほうが好ましく、10
以下が好ましく、より好ましくは5以下、さらに好まし
くは3以下である。これは、高分子と高分子は相溶し難
いが、高分子と低分子化合物は比較的相溶しやすいこと
に対応する。従って、光学異方性を有する有機化合物の
低分子としては、分子量が1万より小さい化合物が好ま
しく、繰り返し単位が1〜20のオリゴマー以下の有機
化合物がさらに好ましい。〔光学異方性を有する化合物
成分の高分子配向フィルム内での配向に関して〕本発明
における高分子配向フィルムの配向とは、高分子鎖が主
として特定の方向に並んだ状態を示し、通常フィルムの
延伸等によって生じる。ここで、光学異方性を有する化
合物成分を添加した高分子フィルムを延伸すると、高分
子鎖が特定の方向に並んだ状態に沿って、光学異方性を
有する化合物成分も配向が起こる。これは、配向する高
分子との物理的作用に起因するものであり、高分子主鎖
が有する官能基、芳香族環により、化合物成分の配向方
向が変化する場合もある。ここでは、合成高分子への化
合物成分の相溶性の観点から、光学異方性を有する化合
物成分を液晶、又は有機化合物として考える。
【0095】まず、光学異方性を有する化合物成分の光
学異方性に関しては、光学異方性の効果は芳香族環によ
る分極率による影響が大きいために、化合物成分での光
学異方性はその芳香族環の配置とほぼ同等と考えられ
る。化合物の分子構造を示したとき、末端間距離が長い
方向を化合物の主鎖方向とした場合、本明細書において
は、光学異方性の長軸が主鎖方向と同一の化合物を、正
の光学異方性を有する化合物成分とする。一方、光学異
方性の長軸が化合物の主鎖方向と垂直の化合物を、負の
光学異方性を有する化合物成分とする。
【0096】例えば、光学異方性を有する化合物成分を
添加した高分子フィルムにおいて、主鎖がアルキル鎖の
ような直鎖状のものであれば、化合物成分に与える物理
的作用は、高分子の主鎖のみから受けることとなり、化
合物成分は主鎖方向に配向して、化合物成分が配向方向
に対して正の光学異方性を有するものであれば、高分子
配向フィルム内においては光学異方性としては正として
働くと考えられる(化合物成分が負の光学異方性の場合
は、高分子配向フィルム内において負の光学異方性を有
する)。一方、高分子の主鎖に、フルオレン環のような
嵩高い骨格や芳香族環のような側鎖を有する場合では、
主鎖に対して垂直な嵩高い骨格の成分が、化合物成分に
対して物理的作用を与える効果が大きくなり、化合物成
分は主鎖に対して垂直に配向が引き起こされると推測さ
れる。この場合は、化合物成分が正の光学異方性を有す
る場合は、高分子配向フィルム内では負の光学異方性と
して働くと考えられる(化合物成分の光学異方性が負の
場合は、正の光学異方性の寄与)。このように、高分子
配向フィルム内において、化合物成分の配向方向は、高
分子主鎖の骨格に依存しており、合成高分子の種類が変
わることで、化合物成分の配向方向は変化して、寄与す
る化合物成分の光学異方性は一様に決定されないと推定
される。(ただし、合成高分子が決定している場合に
は、化合物成分は特定の方向にしか配向しないと考えら
れる。)次に、光学異方性を有する化合物成分での位相
差波長分散値の決定の方法を示す。
【0097】まず、液晶に関して示す。液晶では、平行
方向にラビング処理したセルギャップが明らかである空
セルに液晶を注入して、エリプソメータにおいて、液晶
を注入した液晶セルの位相差の波長分散特性測定を行
う。得られた位相差波長分散において、R(450)、R(55
0)、R(650)を読み取り、R(450)/R(550)、R(650)/R(550)
の算出を行うことで、液晶の波長分散値を求めることが
出来る。(これでは、あらかじめ液晶の複屈折Δnを測
定しておき、特定波長における位相差Δn・dを算出し
て、複屈折Δnを測定した特定波長における位相差が同
じであることを確認し、ラビング方向に配向した液晶に
より位相差が得られていることを確認する。)上記液晶
以外の光学異方性を有する化合物成分においては、上記
液晶の測定に用いた方法を適用することはまず出来な
い。この系に関しては、本明細書記載の上記式(e)を
利用して、位相差の波長分散値を算出する。この場合で
は、位相差波長分散値が既知であり、且つ異なる位相差
波長分散値を有するポリマーを2種(A,B)を用意す
る。このポリマーに対して、それぞれに光学異方性を有
する化合物成分(C)を添加して、フィルム(A+C、
B+C)を得る。これを、延伸し、高分子配向フィルム
を作成し、エリプソメータにより、位相差の波長分散特
性を測定して、位相差波長分散値を算出する。2種のポ
リマー(A+C、B+C)により得られた位相差波長分
散値と元となったポリマー(A,B)の位相差波長分散
値を分散プロットにて考える。前述のように、本願明細
書により2成分からなる合成高分子配向フィルムでは、
その取り得る位相差波長分散は、分散プロットにおいて
2成分の位相差波長分散値を結んだ直線上となることが
示されている。ここで、使用した2種類のポリマー
(A,B)と、これに光学異方性を有する化合物成分
(C)を添加した2種類のポリマー(A+C、B+C)
の位相差波長分散値は上記測定より明らかとなっている
ので、それぞれにおいて、元のポリマーと光学異方性を
有する化合物成分を添加したポリマーの位相差波長分散
値を直線で結んだ場合(AとA+C、BとB+C)にお
いては、2本の直線が得られる。これを用いて、不明と
なっているのは、光学異方性を有する化合物成分(C)
の位相差波長分散値のみであるので、2成分の位相差波
長分散値を、元のポリマーと光学異方性を有する化合物
成分であるとすると、得られた2本の直線の交点が光学
異方性を有する化合物成分の位相差波長分散値となる。
この方法により、常温で液体でない液晶や配向を行うこ
との出来ない有機化合物において、その位相差波長分散
が通常では困難なものに関して、位相差波長分散値を知
ることが出来る。
【0098】さらに、上記光学異方性を有する化合物成
分が、高分子配向フィルム中においてどのように寄与し
ているか(請求項1(iii)、及び請求項2(vi))
について、本願明細書記載の表1に示す上記式(e)の
軌跡により判別することが出来る。すなわち、光学異方
性を有する化合物成分の配向フィルム内で光学異方性が
正か負かの判別を行うことができる。このとき、光学異
方性を有する化合物成分を添加しない場合にて、合成高
分子配向フィルムを作成し、位相差波長分散値を測定す
る。これに対して、光学異方性を有する化合物成分の添
加量を変化させた場合にて、合成高分子配向フィルムを
作成し、この位相差波長分散値を測定する。このとき得
られた位相差波長分散値を分散プロットで考えた場合、
合成高分子配向フィルム内での化合物成分の光学異方性
が、化合物成分の添加なしの合成高分子配向フィルムに
おいて同符号である場合、図9に分類される。また、化
合物成分の添加なしの合成高分子配向フィルムに対し
て、化合物成分の光学異方性が異符号である場合は、図
10、又は図11に分類される。このようにして、合成
高分子配向フィルム内での化合物成分の光学異方性の寄
与を知ることが可能である。〔合成高分子配向フィルム
に関して〕本発明における位相差フィルムは、合成高分
子のフィルムを延伸等により配向した配向フィルムから
なる。ところで、本発明者らの検討では天然高分子であ
るTAC(トリアセチルセルロース系高分子)は位相差
フィルムとして有用であると考えられるが、実用上の耐
候性において難点があり、この耐候性を保持したままで
位相差が変化しないことが困難である。しかしながら本
発明では上記関係を満たすものであって、光学異方性を
有する化合物成分を少なくとも1種含有する3成分系以
上からなる合成高分子配向フィルムを用いることができ
る。かかる合成高分子は、例えば光学異方性を有する化
合物成分を少なくとも1種含有する2種類以上の高分子
の混合物(ブレンド)でも1種類以上の共重合体でも、
それらの混合物でもよい。
【0099】高分子ブレンドであれば、光学的に透明で
ある必要があることから2種類以上のポリマーの混合物
(相溶ブレンド系)または、用いる各々のポリマーの屈
折率が略等しいことが好ましい。高分子ブレンドの具体
的な組み合わせとしては、負の光学異方性を有する高分
子としてポリ(メチルメタクリレート)と、正の光学異
方性を有する高分子としてポリ(ビニリデンフロライ
ド)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニリデン
フロライド―コ―トリフルオロエチレン)の組み合わ
せ、正の光学異方性を有する高分子としてポリ(フェニ
レンオキサイド)と、負の光学異方性を有するポリスチ
レン、ポリ(スチレン―コ―ラウロイルマレイミド)、
ポリ(スチレン―コ―シクロヘキシルマレイミド)、ポ
リ(スチレン―コ―フェニルマレイミド)の組み合わ
せ、負の光学異方性を有するポリ(スチレン―コ―マレ
イン酸無水物)と正の光学異方性を有するポリカーボネ
ート、また、正の光学異方性を有するポリ(アクリロニ
トリル―コ―ブタジエン)と負の光学異方性を有するポ
リ(アクリロニトリル―コ―スチレン)等が好適に用い
られるが、これらに限定されるものではない。
【0100】また、共重合体としては、負の光学異方性
を示すポリマーとして、例えばポリスチレン系ポリマ
ー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリメチルメタ
クリレート系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー
(固有複屈折が正であるものを除く)等が挙げられる
が、例としてポリ(ブタジエン―コ―ポリスチレン)、
ポリ(エチレン―コ―ポリスチレン)、ポリ(アクリロ
ニトリル―コ―ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル
―コ―ブタジエン―コ―スチレン)などが挙げられる。
また、フルオレン環をポリマー骨格として有するセグメ
ントは負の光学異方性を示すポリマーとなり得るため好
ましい。例えば、フルオレン環を有するポリカーボネー
ト共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカー
ボネート共重合体、ポリアリレート共重合体等であり固
有複屈折が負であるものはより好ましく用いられる。ま
た正の光学異方性を示すポリマーとしては、固有複屈折
が正であるポリカーボネート共重合体、ポリエステル共
重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリ
レート共重合体等を用いることが出来る。
【0101】ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸
ジフェニルなどの炭酸エステル形成性化合物と反応させ
て製造されるポリカーボネート共重合体は透明性、耐熱
性、生産性に優れており特に好ましく用いることが出来
る。ポリカーボネート共重合体としては、下記式(9)
【0102】
【化1】
【0103】で表される繰り返し単位をもつフルオレン
骨格を有する構造及び下記式(10)
【0104】
【化2】
【0105】で表される繰り返し単位を含む共重合体で
あることが好ましい。
【0106】ここで、上記式(9)において、R1〜R8
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1
〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であ
る。かかる炭化水素基としては、例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリ
ール基が挙げられる。好適にはR1またはR3がメチル基
であり、R6またはR8がメチル基であり、それ以外は水
素原子であるものである。
【0107】また上記式(9)において、Xは下記式
(11)
【0108】
【化3】
【0109】である。ここで、R17およびR18はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭
化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かか
る炭化水素基としては例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙
げられる。
【0110】上記式(10)において、R9〜R16はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜2
2の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種の基であ
る。該炭化水素基としては前記したものをあげることが
できる。Yは下記式群から選ばれる。
【0111】
【化4】
【0112】ここで、Y中のR19〜R21、R23,R24
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜
22の炭化水素基から、R22、R25は炭素数1〜20の
炭化水素基から、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に
フェニル基等の炭素数6〜10のアリール基から選ばれ
る少なくとも一種の基である。かかる炭化水素基として
は、前記したものをあげることができる。
【0113】上記式(9)で表される繰り返し単位は、
ポリカーボネート全体の繰り返し単位の1〜99mol%含
まれていることが好ましく、10〜80モル%がより好
ましく、30〜75モル%がさらにより好ましい。特に
55〜75モル%の場合、要求特性や用途にもよるが、
短波長ほど位相差が小さく、例えばλ/4板やλ/2板
等のλ/n板として好適であって、さらに理想に近いλ
/n板を与え得る可能性がある。また40〜55モル%
の場合、耐熱性、寸法安定性、吸湿性等の特性に優れ、
液晶ディスプレイ、有機EL、ペーパーライクディスプ
レイ、タッチパネル等のプラスチック基板用途として好
適である。
【0114】上記合成高分子は公知の方法によって製造
し得る。ポリカーボネート共重合体はジヒドロキシ化合
物とホスゲンとの重縮合による方法、溶融重縮合法等が
好適に用いられる。
【0115】上記合成高分子の具体例としては、例え
ば、フルオレン環をポリマー骨格として有するビスフェ
ノールをモノマー成分として含むポリカーボネートが好
ましく挙げられる。また該ポリカーボネートとして、ス
チレンあるいはスチレン誘導体をモノマー成分として用
いブロック成分として含むようなポリカーボネートが例
示できる。
【0116】また、本発明の位相差フィルムにおいて
は、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、透明核剤、永久帯電防止剤、蛍光増白剤等のポリマ
ー改質剤が同時にフィルム中に存在しても良い。
【0117】本発明の位相差フィルムは透明であること
が好ましく、へーズ値は5%以下、全光線透過率は85
%以上であることが好ましい。また、ガラス転移点温度
は90℃以上であることが好ましい。〔位相差フィルム
の製造方法〕本発明の位相差フィルムの製造方法につい
て説明する。本発明では、上記合成高分子をフィルムに
製膜するフィルムの作成工程に付し、ついで延伸操作等
により面方向の配向を増す延伸工程に供される。
【0118】フィルムの作成工程において、作成方法は
既存のいずれの製膜方法を用いてもよい。例えば、溶剤
に溶かしキャストする溶剤キャスト法、固体状態で混練
してダイなどから押し出しフィルムにする押し出し成型
法、固体状態で混練した後カレンダーロールでフィルム
にするカレンダー法、プレスなどでフィルムにするプレ
ス成型法などが挙げられる。この中でも、膜厚精度に優
れている溶剤キャスト法が特に好ましい。溶剤キャスト
法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキ
ソラン等が用いられるが、これに限定するものではな
い。成膜後のフィルムの厚みに制限は無いが、フィルム
のハンドリング面、コスト面から20〜300μmが好
ましく、さらに好ましくは50〜150μmである。溶
剤キャストにおける特定の化合物の添加は、均一混合の
観点から、製膜溶液の作成時に行うことが好ましい。
【0119】上記で得られたフィルムはついで延伸工程
において通常一軸延伸される。延伸方法は、公知のいず
れの方法を用いてもよい。例えば、テンター延伸法、ロ
ール間圧縮延伸法などの方法が例示される。厚み方向の
屈折率の制御性及びフィルム面内位相差の均一性等の点
で、ロール間延伸法または、テンター延伸法により1軸
延伸する方法がのぞましい。延伸倍率としては、目的の
位相差を有するように適宜決められる。(例えばポリカ
ーボネートであれば、延伸温度は、通常150〜170
℃であり、延伸倍率は1.01〜1.10倍である。お
およそ延伸温度は、ポリマーのガラス転移温度を中心と
した土50℃であり、延伸倍率は1.01〜4.0倍で
ある。)位相差フィルムの中には、延伸性を向上させる
目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジブ
チルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォ
スフェート等のリン酸エステル、脂肪族2塩基エステ
ル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を含有して
も良く、またこれらに限定するものではない。先述のフ
ィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留さ
せ、延伸しても良い。この有機溶剤としては、ポリマー
固形分対比1〜20重量%であることが好ましい。〔位
相差フィルム、円偏光フィルム、楕円偏光フィルム、及
びそれらを用いた液晶表示素子、または光学装置〕かく
して本発明によれば、理想的な広帯域位相差フィルムが
提供される。かかる位相差フィルムは、特に1枚の合成
高分子を配向したフィルム(配向フィルム)をもって波
長依存性が少ない良好なn分の1波長板(λ/n板)、
特に好ましくは4分の1波長板(λ/4板)あるいは2
分の1波長板(λ/2板)を構成することができるもの
であるが、λ/4板として用いるためには 100nm
≦R(550)≦180nmであること、λ/2板として用
いるためには 220nm≦R(550)≦330nmである
ことが好ましい。
【0120】本発明の位相差フィルムは、1枚で広帯域
λ/4板、広帯域λ/2板として用いることができるた
めには、位相差波長分散が、下記式 0.60<R(450)/R(550)<0.97かつ1.01<R(650)/R
(550)<1.40 より好ましくは 0.65<R(450)/R(550)<0.92かつ1.03<R(650)/R
(550)<1.30 さらに好ましくは 0.70<R(450)/R(550)<0.87かつ1.04<R(650)/R
(550) <1.25 の範囲内であることが好ましい。
【0121】さらに、特に位相差フィルムは、上記の考
え方に従って得ることができるものであり、R(450)/
R(550)、R(650)/R(550)の2点の満たす領域が、下
記式(8) L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) である理想に近いことが特徴である。より好ましくは下記式(12) L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.07 (12) さらに好ましくは下記式(13) L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.05 (13) の範囲内である。
【0122】本発明の位相差フィルムをλ/4板として
用いる場合、例えば、偏光板1枚だけを使用し裏面電極
を反射電極と兼ねた構成である反射型液晶表示装置に用
いることにより、画質に優れた反射型表示装置を得るこ
とが可能である。また、ゲストホスト型の液晶層の観測
者に対して裏面側にこの位相差フィルムを用いることも
可能である。これらの場合、位相差フィルムの役割は、
直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に可視光領域に
おいて変換することであるが、本発明の位相差フィルム
はこのような目的を満足させることが可能である。
【0123】こうして、本発明の好適な態様の1つとし
て、偏光板、λ/4板、及び透明電極を有する2枚の基
板間に液晶層を含む液晶セルをこの順で具備する反射型
液晶表示装置であって、かかるλ/4板として、1枚の
高分子配向フィルムからなる位相差フィルムであって、
波長 450nm、550nm、650nmにおける位
相差が下記式(7)、(8) R(450)<R(550)<R(650) (7) L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) 〔式中、R(450) 、R(550)、R(650) はそれぞれ波長 4
50nm、550nm、650nmにおける高分子配向
フィルムの面内位相差である。〕を満たし、かつR(550)
が 100〜180nmである位相差フィルムを用いた
反射型液晶表示装置を提供する。
【0124】また、左右どちらか一方の円偏光のみを反
射するコレステリック液晶等から構成される反射型偏光
板の円偏光を直線偏光に変換する素子としても、同様に
使用することが出来る。
【0125】また、本発明の位相差フィルムは、粘着
層、接着層を介して偏光フィルムと貼り合わせて円偏光
フィルムまたは楕円偏光フィルムとしたり、さらには、
本発明の効果を損なわない範囲で、本発明における位相
差フィルム上に何らかの材料をコーティングして湿熱耐
久性を向上させたり、耐溶剤性を改良したりしても良
い。
【0126】本発明の位相差フィルムは、波長が短いほ
ど複屈折が小さい理想的なλ/4板やλ/2板を1枚の
高分子配向フィルムで得るために特に開発されたもので
あるが、波長が短いほど複屈折が小さい高分子配向フィ
ルムが新規に提供されるので、本発明の位相差フィルム
どうしを積層して、あるいは本発明の位相差フィルムと
他の光学フィルム(透明フィルム、透明導電性フィル
ム、位相差フィルム、偏光板、光学補償板等)とを積層
することにより、例えばより広範囲の波長域で理想的な
λ/4板やλ/2板を製作するなどより幅広く各種の用
途に適合した位相差フィルムあるいは光学フィルムを得
ることができるものである。
【0127】K値は位相差フィルムの3次元的な光学異
方性の指標であるが、R値、膜厚によっても変化し、さ
らに用途によっても最適な値は異なる。ここでは、K値
の代わりに別の3次元光学異方性の指標であるNz
(nx−nz)/(nx−ny)で好ましい範囲を記述する
と、λ/4板やλ/2板のような位相差フィルムであれ
ば、 0.3〜1.5 の間であることが好ましい。特にNz
0.5のとき、位相差フィルムに入射する角度が正面入射
から変化してもほとんど位相差が変化しない。2軸延伸
品であれば、−100 〜 100 であることが好まし
い。このNz の3次元屈折率nx,ny,nzは前記K値
の計算で使用したものを使うものとする。
【0128】また、このような位相差フィルムを液晶表
示装置特に偏光板1枚型反射型液晶表示装置に用いるこ
とにより、画質に優れた表示装置を得ることが出来る。
この反射型液晶表示装置とは、偏光板、位相差フィル
ム、透明電極付基板、液晶層、散乱反射電極付基板の順
に構成されているもの、偏光板、散乱板、位相差フィル
ム、透明電極付基板、液晶層、鏡面反射電極付基板の順
に構成されているもの、偏光板、位相差フィルム、透明
電極付基板、液晶層、透明電極付基板、反射層の順に構
成されているもの等である。さらに、該λ/4板は透過
型と反射型の両方を兼ね備えた液晶表示装置においても
使用し得る。該液晶表示装置の構成としては例えば、偏
光板、位相差フィルム、透明電極付基板、液晶層、反射
透過兼用電極付基板、位相差フィルム、偏光板、バック
ライトシステム等である。さらに、例えばコレステリッ
ク液晶よりなる左右どちらかの円偏光のみ反射する反射
型偏光板において、円偏光を直線偏光に変換する素子と
して使用すれば、広帯域で良好な直線偏光が得られる。
【0129】さらにまた、本発明の位相差フィルムは、
光記録装置の光ヘッドにおいて用いられるλ/4板とし
ても用いることができる。特に、かかる位相差フィルム
は、多波長に対して4分の1波長との位相差を与えるこ
とができるので、複数のレーザー光源を使う光ヘッドに
おいて、位相差フィルムの数を減らすことに寄与するこ
とができる。
【0130】また、液晶プロジェクター等に於ける光学
部材として、例えば、λ/4板、λ/2板等として偏光
変換素子や偏光ビームスプリッター等に本発明の位相差
フィルムを用いても良い。
【0131】また、発光素子である有機または無機エレ
クトロルミネッセンス素子は、発光層の裏側に金属電極
を用いているが、この金属電極は光を反射するので、外
光存在下ではコントラストが低下する等、著しく視認性
が低下する。これを防ぐために、本発明の位相差フィル
ムと偏光フィルムを組み合わせて円偏光フィルムとし、
反射防止フィルムとして用いてもよい。この円偏光フィ
ルムは、可視光の広い波長範囲で位相差を4分の1波長
とすることが可能な本発明の位相差フィルムを用いてい
るので、広帯域の波長において反射を防止できるため、
反射光に着色が少なく視認性に優れた素子を提供するこ
とが出来る。また、タッチパネルとして用いても良く、
CRT、PDPに用いても良い。
【0132】さらに、本発明の位相差フィルムを、透過
型液晶表示装置の色調改善や視野角拡大等の画質向上フ
ィルムとして用いることが出来る。液晶表示装置として
は例えば、ツイストネマチックモード、垂直配向モー
ド、OCB(Optically compensated bend)配向モー
ド、インプレインスイッチングモード等を挙げることが
出来る。
【0133】本発明の位相差フィルムは、用途により、
例えば液晶表示装置において目的に応じて2枚以上使用
しても良い。また、他の位相差フィルムや視野角拡大フ
ィルムのような光学補償フィルムと同時に使用しても良
い(例えば、ディスコチック液晶や高分子液晶層をフィ
ルムの膜厚方向に配向させた視野角拡大フィルムな
ど、)。さらに、液晶表示装置として、強誘電性液晶、
反強誘電性液晶を用いたものに、本発明の位相差フィル
ムを使用しても良い。
【0134】
【実施例】本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評
価法によって得られたものである。 (1)R値の測定 複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値は、分光エリ
プソメータである日本分光(株)製の商品名『JASCO M-
150 Polarization Modulated Spectroscopic Ellipsome
ter』により測定されたものである。R値は入射光線と
フィルムの表面が垂直する状態で測定しており、R=Δ
n・d=(nx−ny)・dである。R値の単位は、nm
である。nx、ny、nzは、ここでは以下のように定義
される。 nx:フィルム面内における主延伸方向の屈折率 ny:フィルム面内における主延伸方向に直交する方位
の屈折率 nz:フィルム表面の法線方向の屈折率 (主延伸方向とは1軸延伸の場合には延伸方向、2軸延
伸の場合には配向度が上がるように延伸した方向を意味
しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指
す。) (2)全光線透過率及びヘイズの測定 日本工業規格JIS K 7105『プラスチックに光学
的特性試験方法』に準じて、積分球式光線透過率測定装
置により測定した。評価装置としては、日本電色工業
(株)製の色差・濁度測定器:商品名『COH-300A』を用
いた。 (3)高分子共重合比の測定 日本電子社製の商品名『JNM-alpha600』のプロトンNMR
により測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾー
ルフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベン
ゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から
算出した。 (4)ポリマー、及び共重合体ポリマーの重合方法 以下に実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノ
マー構造を示す。
【0135】
【化5】
【0136】攪拌機、温度計及び還流冷却機を備えた反
応装置に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕
込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[B]を
X:Y(モル%、X+Y=100)の比率で溶解させ、
少量のハイドロサルファイドを加えた。次に、これに塩
化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて
吹き込んだ。さらに、p-tert-ブチルフェノールを加え
て乳化させ、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時
間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取し
て、塩化メチレンを蒸発させポリカーボネート共重合体
を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量
とほぼ同等であった。
【0137】[実施例1]モノマー[A]と[B]を65:3
5(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共
重合体を用いた。この共重合体と混合系液晶1(メルク
社製の製品名MLC6608)を、それぞれ85:15
(重量部)の比率で塩化メチレンに溶解させて18wt
%のドープを作成した。このドープ溶液からキャストフ
ィルムを作製し、温度140度で、2.6倍で幅自由1
軸延伸し、位相差フィルムを得た。但し、ここで、混合
系液晶1は、数種類の液晶の混合物からなるものである
が、本実施例においては、擬似的に負の光学異方性を示
す1つの化合物成分として取り扱うものとする。
【0138】このフィルムは、測定波長において短波長
ほど位相差が小さくなり、且つ延伸方向が面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。尚、R(450)/R(550)及びR(65
0)/R(550)の値はそれぞれ0.82、1.14
であった。
【0139】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-0.82)2+((650/550)-1.14)21/2=0.0
4 これにより、実施例1の位相差フィルムは、L=0.04<0.1
0より、不等式(8)を満たすことが分かる。
【0140】また、このポリマーの組み合わせは、下記
の通り負+負+正となる。 X’ef:モノマー[A] 光学異方性:正 P’ab:モノマー[B] 光学異方性:負 Q'cd:混合系液晶1 光学異方性:負 (但し、上記光学異方性とは、合成高分子配向フィルム
内でのそれぞれの成分が寄与する光学異方性を示す。) ここで、上記式(5)を示す。 (650/550-b')/(450/550-a')>(650/550-f')/(450/550-e')>(650/550-d')/(450/55 0-c') (5) これにおいて、上記不等式(5)の各項をX’ef、P’
ab、Q’cdよりそれぞれ求めると、以下のようになる。 X’ef:モノマー[A] (650/550-f')/(450/550-e')=-0.
85 P’ab:モノマー[B] (650/550-b')/(450/550-a')=-0.
73 Q'cd:混合系液晶1 (650/550-d')/(450/550-c')=-0.9
1 (ここで、位相差波長分散値P’ab(a’、b’)、
Q'cd(c’、d’)及びX’ef(e’、f’)は、
P’ab(モノマー[B]):a’=R(450)/R550)=1.15、
b’=R(650)/R(550)=0.94、Q'cd(混合系液晶1):
c’=R(450)/R550)=1.03、d’=R(650)/R(550)=0.99、
X’ef(モノマー[A]):e'=R(450)/R550)=1.08、f'=
R(650)/R(550)=0.96で与えられる。) これにより、実施例1の位相差フィルムは、下記の通り
上記不等式(5)を満たすことが分かる。 P’ab:モノマー[B] -0.73 > X’ef:モノマー[A]
0.85 > Q'cd:混合系液晶1-0.91 この結果、光学異方性を有する化合物成分を少なくとも
1種含有し、且つ、3成分以上からなる合成高分子配向
フィルムでは、光学異方性が正+負の2種類のモノマー
成分からなる合成高分子配向フィルムで達成することの
出来ない広帯域性を有するλ/4またはλ/2等を達成
する位相差フィルムが得られることが確認できた。
【0141】[実施例2]モノマー[A]と[B]を65:3
5(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共
重合体を用いた。この共重合体と混合系液晶1(メルク
社製の製品名MLC6608)を、それぞれ85:15
(重量部)の比率で塩化メチレンに溶解させて18wt
%のドープを作成した。このドープ溶液からキャストフ
ィルムを作製し、温度140度で、1.4倍で幅自由1
軸延伸し、位相差フィルムを得た。但し、ここで、混合
系液晶1は、数種類の液晶の混合物からなるものである
が、本実施例においては、擬似的に負の光学異方性を示
す1つの化合物成分として取り扱うものとする。このフ
ィルムは、測定波長において短波長ほど位相差が小さく
なり、且つ延伸方向が面内の屈折率がもっとも大きくな
り、光学異方性は正であることを確認した。尚、R(5
50)=18.7nm、R(450)/R(550)及
びR(650)/R(550)の値はそれぞれ0.8
2、1.14であった。
【0142】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-0.82)2+((650/550)-1.14)21/2=0.0
4 これにより、実施例2の位相差フィルムは、L=0.04<0.1
0より、不等式(8)を満たすことが分かる。
【0143】また、このポリマーの組み合わせは、下記
の通り負+負+正となる。 X’ef:モノマー[A] 光学異方性:正 P’ab:モノマー[B] 光学異方性:負 Q'cd:混合系液晶1 光学異方性:負 (但し、上記光学異方性とは、合成高分子配向フィルム
内でのそれぞれの成分が寄与する光学異方性を示す。) ここで、上記式(5)を示す。 (650/550-b')/(450/550-a')>(650/550-f')/(450/550-e')>(650/550-d')/(450/55 0-c') (5) これにおいて、不等式(5)の各項をX’ef、P’ab、
Q’cdよりそれぞれ求めると、以下のようになる。 X’ef:モノマー[A] (650/550-f')/(450/550-e')=-0.
85 P’ab:モノマー[B] (650/550-b')/(450/550-a')=-0.
73 Q'cd:混合系液晶1 (650/550-d')/(450/550-c')=-0.9
1 (ここで、位相差波長分散値P’ab(a’、b’)、
Q'cd(c’、d’)及びX’ef(e’、f’)は、
P’ab(モノマー[B]):a’=R(450)/R550)=1.15、
b’=R(650)/R(550)=0.94、Q'cd(混合系液晶1):
c’=R(450)/R550)=1.03、d’=R(650)/R(550)=0.99、
X’ef(モノマー[A]):e'=R(450)/R550)=1.08、f'=
R(650)/R(550)=0.96で与えられる。) これにより、実施例2の位相差フィルムは、下記の通り
不等式(5)を満たすことが分かる。 P’ab:モノマー[B] -0.73 > X’ef:モノマー[A]
0.85 > Q'cd:混合系液晶1-0.91 この結果、位相差値がR(550)=18.7nmの低
い値においても、位相差波長分散値に変化は見られず、
理想に近い広帯域性を有するλ/nを達成する位相差フ
ィルムが得られることが確認できた。
【0144】これにより、光学異方性を有する化合物成
分を少なくとも1種含有し、且つ、3成分以上からなる
合成高分子配向フィルムは、広帯域性を有するλ/4ま
たはλ/2等を達成する位相差フィルムが得られること
が確認できた。
【0145】[比較例1]モノマー[A]と[B]を65:3
5(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共
重合体を用いた。この共重合体と混合系液晶2(メルク
社製の製品名ZLI4792)を、それぞれ85:15
(重量部)の比率で塩化メチレンに溶解させて18wt
%のドープを作成した。このドープ溶液からキャストフ
ィルムを作製し、温度120度で、2.6倍で幅自由1
軸延伸し、位相差フィルムを得た。但し、ここで、混合
系液晶2は、数種類の液晶の混合物からなるものである
が、本実施例においては、擬似的に負の光学異方性を示
す1成分として取り扱うものとする。
【0146】このフィルムは、測定波長において短波長
ほど位相差が小さくなり、且つ延伸方向が面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。尚、R(450)/R(550)及びR(65
0)/R(550)の値はそれぞれ0.82、1.06
であった。
【0147】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-0.82)2+((650/550)-1.06)21/2=0.1
2 これにより、比較例1の位相差フィルムは、L=0.12>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0148】また、このポリマーの組み合わせは、下記
の通り負+負+正となる。 X’ef:モノマー[A] 光学異方性:正 P’ab:モノマー[B] 光学異方性:負 Q'cd:混合系液晶2 光学異方性:負 (但し、上記光学異方性とは、合成高分子配向フィルム
内でのそれぞれの成分が寄与する光学異方性を示す。) ここで、上記式(5)を示す。 (650/550-b')/(450/550-a')>(650/550-f')/(450/550-e')>(650/550-d')/(450/55 0-c') (5) これにおいて、不等式(5)の各項をX’ef、P’ab、
Q’cdよりそれぞれ求めると、以下のようになる。 X’ef:モノマー[A] (650/550-f')/(450/550-e')=-0.
85 P’ab:モノマー[B] (650/550-b')/(450/550-a')=-0.
73 Q'cd:混合系液晶1 (650/550-d')/(450/550-c')=-0.8
1 (ここで、位相差波長分散値P’ab(a’、b’)、
Q'cd(c’、d’)及びX’ef(e’、f’)は、
P’ab(モノマー[B]):a’=R(450)/R550)=1.15、
b’=R(650)/R(550)=0.94、Q'cd(混合系液晶2):
c’=R(450)/R550)=1.07、d’=R(650)/R(550)=0.98、
X’ef(モノマー[A]):e'=R(450)/R550)=1.08、f'=
R(650)/R(550)=0.96で与えられる。) これでは、比較例1の位相差フィルムは、下記の通り不
等式(5)を満たさないことが分かる。 P’ab:モノマー[B] -0.73 > X’ef:モノマー[A]
0.85 < Q'cd:混合系液晶1-0.81この結果、光学異方
性を有する化合物成分を少なくとも1種含有し、且つ、
3成分以上からなる合成高分子配向フィルムであって
も、上記式(2)、(3)、(5)、(6)の位相差波
長分散特性のいずれかの条件式を満たさないものでは広
帯域性を有するλ/4またはλ/2等を達成することが
できないことが分かった。
【0149】[参考例1]モノマー[A]100(モル%)
で重合させたポリカーボネートを用いた。この合成高分
子と混合系液晶1(メルク社製の製品名MLC660
8)を、それぞれ85:15(重量部)の比率で塩化メ
チレンに溶解させて18wt%のドープを作成した。こ
のドープ溶液からキャストフィルムを作製し、温度10
0度で、2.0倍で幅自由1軸延伸し、位相差フィルム
を得た。但し、ここで、混合系液晶1は、数種類の液晶
の混合物からなるものであるが、本実施例においては、
擬似的に負の光学異方性を示す1成分として取り扱うも
のとする。
【0150】このフィルムは、R(450)/R(55
0)及びR(650)/R(550)の値はそれぞれ
1.08、0.96であった。
【0151】このフィルムは、延伸方向で面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。測定波長において長波長ほど位相差が小さくな
る。
【0152】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-1.08)2+((650/550)-0.96)21/2=0.3
4 これにより、参考例1の位相差フィルムは、L=0.34>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0153】この結果、光学異方性を有する化合物成分
と単独モノマーでは、位相差波長分散特性において、広
帯域性を有するλ/4、λ/2位相差フィルムを満たす
ことが出来ない。
【0154】[参考例2]モノマー[B]100(モル%)
で重合させた合成高分子を用いた。この合成高分子と混
合系液晶1(メルク社製の製品名MLC6608)を、
それぞれ85:15(重量部)の比率でクロロホルムに
溶解させて10wt%のドープを作成した。このドープ
溶液からキャストフィルムを作製し、温度245度で、
1.8倍で幅自由1軸延伸し、位相差フィルムを得た。
但し、ここで、混合系液晶1は、数種類の液晶の混合物
からなるものであるが、本実施例においては、擬似的に
負の光学異方性を示す1成分として取り扱うものとす
る。
【0155】このフィルムは、R(450)/R(55
0)及びR(650)/R(550)の値はそれぞれ
1.17、0.93であった。
【0156】このフィルムは、延伸方向に対して垂直方
向が面内の屈折率がもっとも大きくなり、光学異方性は
負であることを確認した。測定波長において短波長ほど
位相差が大きくなる。
【0157】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-1.17)2+((650/550)-0.93)21/2=0.4
3 これにより、参考例2の位相差フィルムは、L=0.43>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0158】この結果、光学異方性を有する化合物成分
と単独モノマーでは、位相差波長分散特性において、広
帯域性を有するλ/4、λ/2位相差フィルムを満たす
ことが出来ない。
【0159】[参考例3]モノマー[A]と[B]を33:6
7(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共
重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化
メチレンに溶解させて18wt%のドープを作成した。
このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、温度2
30度で、1.8倍で幅自由1軸延伸し、位相差フィル
ムを得た。
【0160】このフィルムは、測定波長において短波長
ほど位相差が小さくなり、且つ延伸方向が面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。尚、R(450)/R(550)及びR(65
0)/R(550)の値はそれぞれ0.81、1.06
であった。
【0161】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-0.81)2+((650/550)-1.06)21/2=0.1
2 これにより、参考例3の位相差フィルムは、L=0.12>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0162】この結果、2種類の正と負のモノマー成分
からなる合成高分子配向フィルムでは、λ/4、λ/2
位相差フィルムとして広帯域性が極めて高いとはいえな
いことが分かった。
【0163】[参考例4]モノマー[A]100(モル%)
で重合させたポリカーボネートを用いた。このポリカー
ボネートを塩化メチレンに溶解させて18wt%のドー
プを作成した。このドープ溶液からキャストフィルムを
作製し、温度165度で、1.8倍で幅自由1軸延伸
し、位相差フィルムを得た。
【0164】このフィルムは、R(450)/R(55
0)及びR(650)/R(550)の値はそれぞれ
1.08、0.96であった。
【0165】このフィルムは、延伸方向で面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。測定波長において短波長ほど位相差が大きくな
る。
【0166】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-1.08)2+((650/550)-0.96)21/2=0.3
4 これにより、参考例4の位相差フィルムは、L=0.34>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0167】この結果、単独モノマーでは、位相差波長
分散が、理想に近い広帯域性を有するλ/4、λ/2位
相差フィルムを満たすことが出来ない。
【0168】[参考例5]モノマー[B]100(モル%)
で重合させた合成高分子を用いた。この合成高分子をク
ロロホルムに溶解させて10wt%のドープを作成し
た。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、温
度245度で、1.8倍で幅自由1軸延伸し、位相差フ
ィルムを得た。
【0169】このフィルムは、R(450)/R(55
0)及びR(650)/R(550)の値はそれぞれ
1.15、0.94であった。
【0170】このフィルムは、延伸方向に対して垂直方
向が面内の屈折率がもっとも大きくなり、光学異方性は
負であることを確認した。測定波長において短波長ほど
位相差が大きくなる。
【0171】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-1.15)2+((650/550)-0.94)21/2=0.4
1 これにより、参考例5の位相差フィルムは、L=0.41>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0172】この結果、単独モノマーでは、位相差波長
分散が、理想に近い広帯域性を有するλ/4、λ/2位
相差フィルムを満たすことが出来ない。
【0173】[参考例6]モノマー[A]と[B]を65:
35(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート
共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩
化メチレンに溶解させて18wt%のドープを作成し
た。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、温
度200度で、1.8倍で幅自由1軸延伸し、位相差フ
ィルムを得た。
【0174】このフィルムは、測定波長において短波長
ほど位相差が小さくなり、且つ延伸方向が面内の屈折率
がもっとも大きくなり、光学異方性は正であることを確
認した。尚、R(450)/R(550)及びR(65
0)/R(550)の値はそれぞれ1.05、0.97
であった。
【0175】ここで、上記式(8)を示す。 L=〔((450/550)-R(450)/R(550))2+((650/550)-R(650)/R(550))21/2<0.10 (8) これにおいて、上述により示されている値を式(8)の
左辺に代入して、Lの値を求めると、以下のようにな
る。 L=〔((450/550)-1.05)2+((650/550)-0.97)21/2=0.3
2 これにより、参考例6の位相差フィルムは、L=0.32>0.1
0より、不等式(8)を満たさない。
【0176】この結果、2種類の正と負のモノマー成分
からなる合成高分子配向フィルムでは、位相差波長分散
が、理想に近い広帯域性を有するλ/4、λ/2位相差
フィルムを満たすことが出来ない。
【0177】
【表4】
【0178】
【発明の効果】本発明により、短波長ほど位相差が小さ
い位相差フィルムを容易に得ることが可能となり、λ/
4、λ/2位相差フィルムとしてより理想に近い広帯域
性を1枚の合成高分子配向フィルムで得ることが可能と
なった。また、光学異方性を有する3成分以上のそれぞ
れ単体における位相差波長分散値を選択することによ
り、得られる合成高分子配向フィルムの位相差の波長分
散特性を容易に制御しうるものである。さらに、合成高
分子であり、耐温度性、耐湿度性等の耐候性も期待でき
る。そのような位相差波長分散性を有し且つ位相差を4
分の1波長にした位相差フィルムは、偏光フィルムと組
み合わされて優れた反射防止特性を有する円偏光フィル
ムを提供可能であり、また、反射型液晶表示装置、反透
過反射型液晶表示装置、透過型液晶表示装置等と組み合
わせて画質の向上に寄与することが出来るという効果を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子P、高分子Qが共に
正の光学異方性を示し、且つRp(450)/Rp(550) > Rq(45
0)/Rq(550)の大小関係にある場合。ここで、Rp(450)、R
p(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分子P、高分子Q単独
でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nmにおける高分
子配向フィルムの面内位相差である。)
【図2】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子P、高分子Qが共に
正の光学異方性を示し、且つRp(450)/Rp(550) < Rq(45
0)/Rq(550)の大小関係にある場合。ここで、Rp(450)、R
p(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分子P、高分子Q単独
でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nmにおける高分
子配向フィルムの面内位相差である。)
【図3】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子P、高分子Qが共に
負の光学異方性を示示し、且つRp(450)/Rp(550) > Rq(4
50)/Rq(550)の大小関係にある場合。ここで、Rp(450)、
Rp(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分子P、高分子Q単
独でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nmにおける高
分子配向フィルムの面内位相差である。)
【図4】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子P、高分子Qが共に
負の光学異方性を示し、且つRp(450)/Rp(550) < Rq(45
0)/Rq(550)の大小関係にある場合。ここで、Rp(450)、R
p(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分子P、高分子Q単独
でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nmにおける高分
子配向フィルムの面内位相差である。)
【図5】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子Pが正の光学異方性
を示し、高分子Qが負の光学異方性を示し、且つRp(45
0)/Rp(550) > Rq(450)/Rq(550)の大小関係にある場合。
ここで、Rp(450)、Rp(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分
子PとQ単独でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nm
における高分子配向フィルムの面内位相差である。)
【図6】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子Pが正の光学異方性
を示し、高分子Qが負の光学異方性を示し、且つRp(45
0)/Rp(550) < Rq(450)/Rq(550)の大小関係にある場合。
ここで、Rp(450)、Rp(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分
子PとQ単独でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nm
における高分子配向フィルムの面内位相差である。)
【図7】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子Pが負の光学異方性
を示し、高分子Qが正の光学異方性を示し、且つRp(45
0)/Rp(550) > Rq(450)/Rq(550)の大小関係にある場合。
ここで、Rp(450)、Rp(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分
子PとQ単独でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nm
における高分子配向フィルムの面内位相差である。)
【図8】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、体積分率αに対するR(450)/R(550)
の値の変化を表す相関図。(高分子Pが負の光学異方性
を示し、高分子Qが正の光学異方性を示し、且つRp(45
0)/Rp(550) < Rq(450)/Rq(550)の大小関係にある場合。
ここで、Rp(450)、Rp(550)、Rq(450)、Rq(550)は、高分
子PとQ単独でのそれぞれの波長450nm、550nm、650nm
における高分子配向フィルムの面内位相差である。)
【図9】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子ブ
レンドにおいて、R(450)/R(550)の値とR(650)/R(55
0)の値の変化を表す相関図。(高分子P、高分子Qが共
に正、または負の光学異方性を示す場合。)
【図10】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子
ブレンドにおいて、R(450)/R(550)の値とR(650)/R
(550)の値の変化を表す相関図。(高分子Pが正の光学
異方性を示し、高分子Qが負の光学異方性を示す場
合。)
【図11】高分子Pと高分子Qの2成分からなる高分子
ブレンドにおいて、R(450)/R(550)の値とR(650)/R
(550)の値の変化を表す相関図。(高分子Pが負の光学
異方性を示し、高分子Qが正の光学異方性を示す場
合。)
【図12】高分子Pと高分子Q、高分子Xの3成分から
なる高分子ブレンドにおいて、理想点Iを取りえるため
の高分子Xに必要とされるR(450)/R(550)の値とR(65
0)/R(550)の値の領域を表すモデル図。(高分子P、高
分子Qが共に正、または負の光学異方性を示す場合。)
【図13】高分子Pと高分子Q、高分子Xの3成分から
なる高分子ブレンドにおいて、理想点Iを取りえるため
の高分子Xに必要とされるR(450)/R(550)の値とR(65
0)/R(550)の値の領域を表す図。(高分子P、高分子Q
が共に正の光学異方性を示し、高分子Xが負の光学異方
性示す場合。)
【図14】高分子Pと高分子Q、高分子Xの3成分から
なる高分子ブレンドにおいて、理想点Iを取りえるため
の高分子Xに必要とされるR(450)/R(550)の値とR(65
0)/R(550)の値の領域を表す図。(高分子P、高分子Q
が共に負の光学異方性を示し、高分子Xが正の光学異方
性示す場合。)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13 505 G02F 1/13 505 1/13363 1/13363 Fターム(参考) 2H049 BA06 BA42 BB03 BB42 BC22 2H088 EA47 GA06 KA04 KA07 2H091 FA11 JA01 LA02 LA12 LA13 4F071 AA01 AA22 AA33 AA43 AA50 AC01 AC10 AE22 AF29 AF31 AF35 AH12 AH16 BB02 BB03 BB06 BB07 BC01 4J002 AA001 BC031 CF001 CG001 EH00 GP00

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学異方性を有する化合物成分を少なく
    とも1種含有する合成高分子の配向フィルムからなり、
    単層にてλ/n(n>0)を広い波長領域で満たす位相
    差フィルムを製造する方法であって、下記条件(i)〜
    (iv)を満足するように合成高分子のモノマー成分及び
    該化合物成分を選択する位相差フィルムの製造方法。 (i) 合成高分子を構成するモノマー成分の個数を
    x、合成高分子の配向フィルムに含まれる光学異方性を
    有する化合物成分の個数をyとしたとき、下記式(1)
    を満たす。 x+y≧3 (1) (ただし、x、yは自然数とする。) (ii) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
    合成高分子を配向フィルムとした場合、該配向フィルム
    内において光学異方性を有する化合物成分が寄与する光
    学異方性が正、又は負を示す。 (iii) 上記3成分以上の合成高分子の配向フィルム
    において、その内2成分Pab及びQcdは、正の光学異方
    性を示し、残りの成分Xefが、負の光学異方性を示す。 (ここで、Pab、Qcd、及びXefは、それぞれ独立に、
    1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポリマ
    ー、2種類以上のモノマー成分から構成されるポリマ
    ー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を含有
    する1種類のモノマー成分から実質的に構成されるポリ
    マー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分を含
    有する2種類以上のモノマー成分から構成されるポリマ
    ー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成分のいず
    れかを示す。) (iv) 上記Pab及びQcdの位相差波長分散値をそれぞ
    れ(a、b)、(c、d)としたとき、Xefの位相差波
    長分散値(e、f)が下記式(2)または(3)を満た
    す。 【数1】 (ここで、位相差波長分散値(a、b)(c、d)及び
    (e、f)は、波長450nm、550nm、650n
    mにおける位相差フィルムの面内位相差をR(45
    0)、R(550)、R(650)としたときの(R
    (450)/R(550)、R(650)/R(55
    0))を示す。)
  2. 【請求項2】 光学異方性を有する化合物成分を少なく
    とも1種含有する合成高分子の配向フィルムからなり、
    単層にてλ/n(n>0)を広い波長領域で満たす位相
    差フィルムを製造する方法であって、下記条件(v)〜
    (viii)を満足するように合成高分子のモノマー成分及
    び該化合物成分選択することにより得られる位相差フィ
    ルムの製造方法。 (v) 合成高分子を構成するモノマー成分の個数を
    x'、合成高分子の配向フィルムに含まれる光学異方性
    を有する化合物成分の個数y'としたとき、下記式
    (4)を満たす。 x'+y'≧3 (4) 〔ただし、x'、y'は自然数とする。〕 (vi) 上記光学異方性を有する化合物成分を含有する
    合成高分子を配向フィルムとした場合、フィルム内にお
    いて光学異方性を有する化合物成分が寄与する光学異方
    性が正、又は負を示す。 (vii) 上記3成分系以上の合成高分子配向フィルム
    において、その内2成分P’ab及びQ’cdは、負の光学
    異方性を示し、残りの成分X’efが、正の光学異方性を
    示す。(ここで、P’ab、Q’cd、及びX’efは、それ
    ぞれ独立に、1種類のモノマー成分から実質的に構成さ
    れるポリマー、2種類以上のモノマー成分から構成され
    るポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成
    分を含有する1種類のモノマー成分から実質的に構成さ
    れるポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物
    成分を含有する2種類以上のモノマー成分から構成され
    るポリマー、1種類以上の光学異方性を有する化合物成
    分のいずれかを示す。) (viii) 上記P’ab及びQ’cdの位相差波長分散値を
    それぞれ(a’、b’)、(c’、d’)としたとき、
    X’efの位相差波長分散値(e’、f’)が下記式
    (5)または(6)を満たす。 【数2】 (ここで、位相差波長分散値(a’、b’)(c’、
    d’)及び(e’、f’)は、波長450nm、550
    nm、650nmにおける位相差フィルムの面内位相差
    をR(450)、R(550)、R(650)としたと
    きの(R(450)/R(550)、R(650)/R
    (550))を示す。)
  3. 【請求項3】 合成高分子を構成するモノマー成分の個
    数が2つであり、かつ合成高分子の配向フィルムに含ま
    れる光学異方性を有する化合物成分の個数が1つである
    請求項1または2に記載する位相差フィルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 2つのモノマー成分の光学異方性が正と
    負の組み合わせである請求項3記載の位相差フィルムの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 2つのモノマー成分が、正の光学異方性
    を有するビスフェノールと負の光学異方性を有するフル
    オレン環を持つビスフェノールの組み合わせである請求
    項4記載の位相差フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 合成高分子がポリカーボネートである請
    求項1〜5のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 光学異方性を有する化合物成分が有機化
    合物である請求項1〜6のいずれかに記載の位相差フィ
    ルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 光学異方性を有する化合物成分が芳香族
    環を少なくとも2つ有する有機化合物である請求項7記
    載の位相差フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 光学異方性を有する化合物成分が液晶で
    ある請求項7に記載の位相差フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 配向フィルム内において光学異方性を
    有する化合物成分の寄与が、負の光学異方性として機能
    する請求項6記載の位相差フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 光学異方性を有する化合物成分を少な
    くとも1種含有する合成高分子の配向フィルムからなる
    単層の位相差フィルムであって、波長450nm、55
    0nm、650nmにおける位相差が下記式(7)及び
    (8)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。 【数3】 (ここで、R(450)、R(550)、R(650)
    は、それぞれ波長450nm、550nm、650nm
    における位相差フィルムの面内位相差である。)
  12. 【請求項12】 合成高分子がポリカーボネートである
    請求項11記載の位相差フィルム。
  13. 【請求項13】 ポリカーボネートを構成するビスフェ
    ノールが、正の光学異方性を有するビスフェノールと負
    の光学異方性を有するフルオレン環を持つビスフェノー
    ルの組み合わせである請求項11または12に記載の位
    相差フィルム。
  14. 【請求項14】 光学異方性を有する化合物成分が芳香
    族環を少なくとも2つ有する有機化合物である請求項1
    1〜13のいずれかに記載の位相差フィルム。
  15. 【請求項15】 光学異方性を有する化合物成分が液晶
    である請求項11〜14のいずれかに記載の位相差フィ
    ルム。
  16. 【請求項16】 偏光フィルムと請求項11〜15のい
    ずれかに記載の位相差フィルムからなる積層偏光フィル
    ム。
  17. 【請求項17】 偏光フィルムと請求項11〜15のい
    ずれかに記載の位相差フィルムからなる円偏光フィル
    ム。
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