JP2010060618A - 積層光学フィルム付き偏光板およびそれを具備する液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固有複屈折値が正の層および固有複屈折値が負の層を有する積層光学フィルムと、偏光板とが積層され、偏光板が積層されていない該積層光学フィルムの面に粘着剤層を有し、該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含み、かつ張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする積層光学フィルム付き偏光板。
【選択図】なし
Description
層を挟む必要があり、層構成および製造装置が複雑になるという問題がある。
固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、固有複屈折値が負の層の面内遅相軸とが互いに直交し、かつ該固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、偏光板の吸収軸とが互いに直交す
ることが好ましい。
R450<R550<R650 …………(i)
1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
70nm≦R550≦150nm ………(iii)
1.0≦NZ≦3.0 ……………………(iv)
(式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。)
固有複屈折値が正の層は、環状オレフィン系樹脂からなることが好ましく、該環状オレフィン系樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体からなることが好ましい。
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R1とR2および/またはR3とR4が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R1またはR2と、R3またはR4とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R5とR6および/またはR7とR8が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R5またはR6と、R7またはR8とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
固有複屈折値が負の層は、ビニル芳香族系樹脂からなることが好ましく、該ビニル芳香族系樹脂は、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル酸由来の構造単位とを有する共重合体、またはスチレン由来の構造単位と、無水マレイン酸由来の構造単位とを有する共重合体であることが好ましい。
固有複屈折値が正の層のガラス転移温度と、固有複屈折値が負の層のガラス転移温度との差は、20℃以下であることが好ましい。
以下、本発明について具体的に説明する。
(固有複屈折値が正の材料)
本発明において、「固有複屈折値が正の材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に正の一軸性を示す特性を有する材料をいう。このような正の材料が、例えば、樹脂である場合、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、配向方向の光の屈折率が配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる樹脂をいう。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位と
、上記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体であることが好ましい。さらに必要に応じて他の繰り返し単位を含むこともできる。
上記式(1)〜(4)中、R1〜R8は、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。
「炭素原子数1〜30の炭化水素基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
「連結基」としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、式:
−(CH2)m−で表されるアルキレン基(式中、mは、1〜10の整数を表す。)など);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−
O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rは、メチル基、エ
チル基などのアルキル基を表す。))などが挙げられ、これらを複数個含む連結基であってもよい。
<2> 単量体(1)と単量体(2)とその他の共重合性単量体との開環共重合体。
<3> <1>または<2>に示す開環共重合体の水素添加物。
上記式(1)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰り返し単位(1)」ともいう。)は、単量体(1)に由来する。以下に単量体(1)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(1)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイ
コセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘン
エイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[12,5.17,10]
−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
(式(5)中、pは、0〜5の整数を表し、R9は、一価の有機基を表す。)
上記式(5)中、R9で表される「一価の有機基」としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環、フラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基などが挙げられる。
単量体(1)としては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、得られる共重合体のガラス転移温度〔Tg〕を
高め、吸水による変形等の悪影響をほとんど受けず、かつ他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できるので好ましい。
上記式(2)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(2)」ともいう。)は、上記式(4)で表される単量体(2)に由来する。以下に単量体(2)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されない。また、単量体(2)は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(αおよびβの両タイプを含む。)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン
などを挙げることができる。
単量体(1)と単量体(2)と共重合することができる「他の共重合性単量体」としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィ
ン類を挙げることができる。シクロオレフィン類の炭素原子数としては、4〜20が好ましく、5〜12がより好ましい。これらの「共重合性環状単量体」は、位相差発現性改良・Tg調整・成形性改良等、樹脂の改質に有用である。
和炭化水素系ポリマーなどの不飽和二重結合含有化合物も好適である。特に、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に、単量体(1)および単量体(2)の存在下、「不飽和二重結合含有化合物」を共重合させて得られる共重合体は、耐衝撃性が向上するため好ましい。
単量体(1)と単量体(2)と(「他の共重合性単量体」と)の開環共重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われることが好ましい。
−240517号公報に記載の金属化合物を挙げることができる。
「(b)成分」の具体例としては、n−C4H9Li、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルミノキサン、L
iHなどの特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(環状オレフィン系樹脂の物性)
環状オレフィン系樹脂(開環共重合体の水素添加物<3>)の水素添加率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
10の範囲のものが好適である。
ベローデ型粘度計を用いて測定した対数粘度は、0.2〜5.0dL/gが好ましい。
(添加剤)
正の材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
本発明において、「固有複屈折値が負の材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に負の一軸性を示す特性を有する材料をいう。負の材料が、例えば、樹脂である場合、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、配向方向の光の屈折率が、配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さい樹脂をいう。
本発明で用いられるビニル芳香族系樹脂は、下記式(6)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(6)」ともいう。)を有する。
繰り返し単位(6)を誘導する単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−tertブトキシスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどが挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールが好ましい。これら単量体は1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
「炭素原子数1〜30の炭化水素基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
繰り返し単位(7)を誘導する単量体の具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類、マレイン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体などが挙げられる。これらのうち、無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミドが耐熱性および環状オレフィン系樹脂層との密着性の観点から好ましく用いられる。これら単量体は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、ビニル芳香族系樹脂中の繰り返し単位(6)と、繰り返し単位(7)および/または繰り返し単位(8)との使用する重量比は、繰り返し単位(6)と[繰り返し単位(7)+繰り返し単位(8)]との合計重量を100とする場合、通常、繰り返し単位(6):[繰り返し単位(7)+繰り返し単位(8)]=100:0〜50:50、好ましくは98:2〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30である。使用する重量比が上記範囲内であると、ガラス転移温度〔Tg〕の調整・位相差発現性の調整・共押出し製膜する場合の成形性の確保・延伸加工性の確保・環状オレフィン系樹脂層との密着性の確保が可能となる。
ロロアクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、無水イタコン酸などのその他の単量体に由来する繰返し単位も共重合体に含まれていてもよい。
Mei社製「PN−177」などの市販樹脂も、ビニル芳香族系樹脂として好ましく用いることができる。
ビニル芳香族系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕(以下、単に「TgB」ともいう。)は、110〜200が好ましく、120〜170がより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であると、熱安定性・共押出し製膜する場合の成形性・延伸加工性・ラミネーションする場合の層間密着性を確保できるため好適である。
ビニル芳香族系樹脂の、30℃のクロロベンゼン中(試料濃度0.5g/dL)、ウベ
ローデ型粘度計を用いて測定した対数粘度は、0.1〜3.0dL/gであることが好ましい。
ビニル芳香族系樹脂は、繰り返し単位(6)、必要に応じて、繰り返し単位(7)および/または繰り返し単位(8)を誘導する各単量体を、適当な重合開始剤の存在下で重合反応させる方法により製造することができる。
キサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
レロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス[2
−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}
プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)
−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロ
ピオンアミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2
,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロク
ロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサル
フェート・ジハイドレート、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロ
ピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−{
1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,
2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2'−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2'−アゾビスブチレー
ト、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
負の材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解
剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
積層光学フィルムの製造方法は、固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程、および該原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸し、すなわち位相差を付与し、積層光学フィルムを得る工程からなることが好ましい。
原反フィルムを得る工程とは、固有複屈折値が正の層、好ましくは環状オレフィン系樹脂からなる層(以下「A層」ともいう。)と、固有複屈折値が負の層、好ましくはビニル芳香族系樹脂からなる層(以下「B層」ともいう。)とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程である。
「共押出法」とは、溶融押出機からそれぞれ押出された溶融樹脂をフィードブロックまたはマニホールドに供給し、次いで合流部で各樹脂を合流させ、複層状に重ね合わせリップ部から外部へ押出しフィルム化する方法である。特に、共押出Tダイ法は、得られるフィルム厚さのバラツキを抑制しやすい点で好ましい。
「コーティング法」とは、A層またはB層からなる基材フィルムの少なくとも片面に、他方の樹脂(基材フィルムを構成しない樹脂)の溶液をコーティングし、乾燥する方法である。なお、「基材フィルム」は、溶融押出成形、溶液キャスト成形などの公知の方法により製膜して製造することができる。
それがある。
「ラミネーション法」とは、A層とB層とをそれぞれ別々に、公知の溶融押出法、溶液流延法などの方法により製膜した後、両層を圧着することによって積層する方法である。延伸に供する前にA層とB層との位置を相対的に固定し得るものであれば、ラミネーション法としては特に限定されず、複数枚のフィルムを搬送し、ピンチロールの間を通過させることにより、複数枚のフィルム同士を圧着する方法などが挙げられる。この方法において、圧着する際に加熱すること、および/またはA層として好適な環状オレフィン系樹脂と、B層として好適なビニル芳香族系樹脂とを溶解させる溶剤(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのうち、少なくとも1種の溶剤)をフィルム表面に噴霧し、フィルム表面が溶解した状態で圧着し、その後溶剤を乾燥させることが好ましい。なお、生産性の観点からは、ロール形状に巻き取られた状態にあるA層とB層とのフィルムを用いてフィルム同士を連続的にラミネートし、ラミネート後のフィルムを原反フィルムロールとして巻き取ることが好ましい。また、各層の製膜とラミネートとを連続的に行うことや、ラミネートと延伸とを連続的に行うのも生産性を向上させる上で好ましい。
原反フィルムは、少なくともA層、B層を有していればよいが、A層/B層の二層からなる原反フィルム、A層/B層/A層の三層からなる原反フィルム、および、B層/A層/B層の三層からなる原反フィルムが、製造効率、強度の確保、光学特性、位相差制御の観点から好適である。A層/B層の二層からなる積層光学フィルムは光学特性(透明性)
、位相差制御および生産性の良さで好ましく、三層からなる積層光学フィルムも断面が対称となるためフィルムの反りを防ぐことができ、また力学強度を得る上で好ましい。
積層光学フィルムを得る工程とは、上記原反フィルムを得る工程により得られた原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸(横一軸延伸)し、すなわち位相差を付与し、「積層光学フィルム」という位相差フィルムを得る工程である。
℃)の範囲である。延伸温度が上記範囲内であると、A層およびB層それぞれの位相差を延伸によって同時に制御することができ、積層光学フィルムの目的とする位相差特性(上記式(i)〜(iv)で表される特性等)を容易に得ることができる。それにより、コントラスト比が高く、画面を斜め方向から見たときのカラーシフトが小さい液晶表示装置を実現できる。
積層光学フィルムは、A層とB層とが直接接して積層していることが好ましい。積層光学フィルムの長手方向の長さは、好ましくは50m以上であり、100m以上であることがより好ましい。このような長尺フィルムは、通常フィルムロールとして取り扱われる。また、積層光学フィルムの幅は、好ましくは1,000mm以上、より好ましくは1,500mm以上、特に好ましくは2,000mm以上である。
積層光学フィルムは、フィルムとしての位相差の測定値が、下記式(i)〜(iv)のいずれも満たしていることが好ましい。
1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
70nm≦R550≦150nm …(iii)
1.0≦NZ≦3.0 …(iv)
(式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。)
上記式(i)および(ii)は、位相差の波長分散性を示しており、上記式(i)は、長波長になるほど面内位相差が大きい、いわゆる逆波長分散性を有することを示している。これは、積層光学フィルムを通過した光の偏光状態が波長によって異なることを防ぎ、
画面を斜め方向から見たときのカラーシフトを小さくする上で必要な特性である。
R40=(nx−ny’)×(d/cos40°) …(vi)
Nave=(nx+ny+nz)/3 …(vii)
(ny’×sin40°/ny)2+(ny’×cos40°/nz)2=1 …(viii)
(式(v)〜(viii)中、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。ny’は、遅相軸傾斜で極角40度方向から測定したときの「見かけのny」であり、見かけの最大屈折率(遅相軸傾斜であるため、値はnxに等しい)と直交する方向の屈折率を表す。)
上記式(v)および(vii)は、一般的な定義の通りであり、上記式(vi)は、見かけの屈折率を用いてR40を表したものである。上記式(viii)は、屈折率楕円体のyz断面を表す楕円の式を用いてny’を表したものである。R0、R40、Nave
およびdは、測定値として既知であり、未知なのはnx、ny、nzおよびny’の4つであるから、4つの方程式から4つの変数について解くことができ、NZ係数を求めることができる。
は、光弾性係数を10×10-12Pa-1以下に抑えることができ、種々の用途に好適に用
いることができる。また、本発明では、粘着剤層による応力緩和により、光弾性係数が大きいことに起因する表示ムラを抑えることができる。
本発明の積層光学フィルムを構成するA層とB層とは、それぞれ望ましい位相差値および位相差波長分散性を有する。ただし、積層した状態ではA層とB層とそれぞれ単独の位相差を測定することはできないため、積層光学フィルムからA層とB層とを剥がし別々に位相差を測定するか、A層とB層とを構成する共重合体それぞれに固有の位相差波長分散性と積層光学フィルムの位相差波長分散性とからA層とB層との位相差値を算出するか、A層のみのフィルムとB層のみのフィルムとを積層光学フィルムと同じ条件で延伸し、別々に位相差を測定することにより、各層の特性を確認することができる。波長450nm、550nmにおけるA層の面内位相差をそれぞれR450A、R550Aとし、波長4
50nm、550nmにおけるB層の面内位相差をそれぞれR450B、R550Bとすると、各層は下記式(ix)〜(xiii)を満たすよう調整される。
200nm≦R550A≦400nm …(x)
1.04<R450B/R550B …(xi)
100nm≦R550B≦300nm …(xii)
R550A>R550B …(xiii)
A層とB層とが上記式(ix)〜(xiii)を満たすことで、積層光学フィルムとして上記式(i)〜(iii)を満たし、液晶表示装置を斜め方向から見たときのカラーシフトを減少させ、同時にコントラスト比を向上させることが可能となる。なお、A層とB層とは固有複屈折の正負が異なるため、積層光学フィルムとしてA層とB層とを同時に延伸した場合、A層とB層との最大屈折率方向は互いに直交する。そのため互いに面内位相差を打ち消しあうことになり、積層光学フィルムの面内位相差R550は、R550A−R550Bで表される。
.5度以内である。
−1.0≦NZB≦0 …(xv)
(式(xiv)中、NZAは、NZA=(nxA−nzA)/(nxA−nyA)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxAは、A層の面内での最大屈折率を、nyAは、A層の面内でnxAに直交する方向の屈折率を、nzAは、nxAおよびnyAに対して直交するA層の厚さ方向の屈折率を表し、NaveA=(nxA+nyA+nzA)/3である。式(xv)中、NZBは、NZB=(nxB−nzB)/(nxB−nyB)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxBは、B層の面内での最大屈折率を、nyBは、B層の面内でnyBに直交する方向の屈折率を、nzBは、nxBおよびnyBに対して直交するB層の厚さ方向の屈折率を表し、NaveB=(nxB+nyB+nzB)/3である。)
上記式(xiv)は、正の層として好適な環状オレフィン系樹脂層を横延伸したときに発現する位相差に相当し、nxAは、延伸方向すなわちフィルム幅方向、nyAは、延伸方向と直交、すなわちフィルム長手方向である。屈折率楕円体においては、一般にポジティブAプレートと呼ばれる。上記式(xv)は、負の層として好適なビニル芳香族系樹脂層を横延伸したときに発現する位相差に相当し、nxBは延伸方向と直交、すなわちフィルム長手方向、nyBは延伸方向、すなわちフィルム幅方向である。屈折率楕円体においては、一般にネガティブAプレートと呼ばれる。積層光学フィルムのNZは、NZAおよびNZBから単純計算で求めることはできず、ポアンカレ球表示によるA層での偏光状態の変化とB層での偏光状態の変化との結果として関連付けられる。
好ましくは(NZA+NZB)/2=0.3〜0.7である。NZAとNZBとがこの範囲を満たすことで、積層光学フィルムはどの方向から見ても逆波長分散性が発現しており、どの方向から見ても各層の見かけの光軸方向の変化によって所定位相差が得られなくなるという問題は発生せず、カラーシフト減少によるパネル特性の向上につながる。また、NZAは小さい方がパネル特性向上につながり、好ましくは1.0〜1.6、さらに好ましくは1.0〜1.5である。同時にNZBは大きい方がパネル特性向上につながり、好ましくは−0.6〜0、さらに好ましくは−0.5〜0である。各層のNZ係数を上記範囲とすることで斜め方向から観測した時も所定の位相差を有することができ、液晶表示装置の斜め視野角でのカラーシフトを減少させ、同時にコントラスト比を向上させることが可能となる。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板において、積層光学フィルムの片面または両面に設けられる粘着剤層を形成する粘着剤組成物の引張り弾性率は、0.2MPa以下、好ましくは0.15MPa以下である。
離型処理したPETフィルム上に粘着剤組成物を厚さ0.5〜1mmになるよう塗布して製膜し、15mm×50mmサイズに切り出してPETフィルムから剥がし測定サンプルを作製する。23℃において、引張り試験機(インストロンコーポレーション製)を用いて、引張り速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で測定サンプルを引張り、応力−歪み曲線を作成し、引張り弾性率(MPa)を求めることができる。
粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、粘着剤を主成分とし、必要に応じて硬化剤、光重
合開始剤、添加剤などを配合することができ、上述のような引張り弾性率を有するものである。
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」としては、下記式(9)で表されるアルキル(メタ)アクリレートのうち少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する(共)重合体が好ましい。
(式中、R14は、水素原子またはメチル基を表し、R15は、炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)
上記式(9)中、R15で表される「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、i−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数3〜8のアルキル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」の製造方法としては、各種公知の方法を適宜選択でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法などのラジカル重合法が挙げられる。
粘着剤層を形成する粘着剤組成物に配合することができる「硬化剤」としては、例えば、有機系架橋剤、多官能性金属キレートなどの多官能性化合物が挙げられる。
「イソシアネート系化合物」としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート水素化物、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
ル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
「多官能性金属キレート」とは、多価金属原子が有機化合物と共有結合または配位結合している有機系架橋剤である。
クリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」(固形分)100重量部に対して、硬化剤(固形分)0.01〜8重量部程度が好ましく、0.05〜5重量部程度がより好ましい。
上記「粘着剤組成物」には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、充填剤(金属粉や他の無機粉末など)、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤などを、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種の添加剤を適宜含有してもよい。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤組成物を熱架橋する方法、放射線照射処理によって架橋する方法などが挙げられる。
粘着剤組成物を熱架橋して粘着剤層を形成する場合、上記「硬化剤」を粘着剤組成物に配合することが好ましく、硬化剤が配合された粘着剤組成物を適宜加熱することにより架橋することができる。
紫外線照射処理する際、光重合開始剤を粘着剤組成物に添加していることが好ましい。
しくは−50℃〜−25℃である。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常5〜50μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜35μmである。粘着剤層の厚さが5μm未満であると、偏光板や積層光学フィルムが基板の寸法変化に追従できずに、浮きや剥がれが発生するおそれがある。また、粘着剤層の厚さが50μmを超えると、光学特性が悪化するおそれがある。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、上記積層光学フィルムと偏光板とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に上記粘着剤層を有するもの、すなわち該粘着剤層を偏光子の最外面に有する態様であって、該積層光学フィルムと偏光子とが、該粘着剤層を介して積層されている態様であってもよい。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板を構成する「偏光子」(偏光膜ともいう。)とは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やPVAの一部をホルマル化したポリマーなどからなるフィルムの表面を、ヨウ素や二色性染料などからなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理などを適当な順序や方法により施して得られるフィルムであって、自然光を入射させると直線偏光となって透過するものである。特に、光の透過率が高く、偏光度の優れたものが好ましく用いられる。
偏光子に用いられる「フィルム」としては、PVA系フィルムの他に、同様の特性を発現するものであれば他のものを使用してもよい。例えば、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムであってもよい。
本発明では、偏光子の少なくとも一面に、粘着剤層または公知の接着剤や粘着剤を介して積層光学フィルムを貼合して用いることが好ましく、このとき、積層光学フィルムの位相差が上記式(i)〜(iv)を同時に満たす際には、A層側が偏光子に面していてもよいし、B層側が偏光子に面していてもよく、いずれの場合も所定の位相差特性が得られる。また、いずれの場合であっても、粘着剤層による応力緩和により表示ムラが抑えられる
。本発明では、積層光学フィルムが耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの性状に優れ、保護フィルムとしても充分な機能を有するため、偏光子上に本発明の積層光学フィルムが貼合された面には、別途トリアセチルセルロース(TAC)などの公知の透明保護フィルムが積層されていなくてもよい。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板において、積層光学フィルムが偏光子の片面のみに積層された構成である場合には、偏光子のもう一方の面は、TACなどの公知の透明保護フィルムが積層されているのが望ましい。偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等が用いられる。本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤を用いてもよい。
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
積層光学フィルム付き偏光板の、日本分光(株)製分光光度計V−7300を用いて測定された単体透過率は、38〜44%が好ましく、39〜43%がより好ましい。また、同様にして測定された積層光学フィルム付き偏光板の偏光度は、99.50〜99.99%が好ましく、99.70〜99.99%がより好ましい。積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度が上記範囲内であると、液晶表示装置のコントラスト比が高くなることから好適である。
好ましく、0.00〜0.05がより好ましい。積層光学フィルム付き偏光板を用いた液晶パネルのコントラスト比およびカラーシフトが上記範囲内であると、液晶パネルを画面表示したときの正面、斜め方向の視覚特性が良好であることから好適である。
(このとき背面、前面ともに偏光板に付属した積層光学フィルムが、液晶セル側に位置することになる。)。
本発明の液晶表示装置は、本発明の積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、画面を斜め方向から見たときのカラーシフトが小さく、応力によって所定外の位相差が発生することに起因する表示ムラが少ない。また、場所による厚さムラおよび光学ムラ(位相差バラツキなど)が小さい積層光学フィルム付き偏光板を有するため、均一な表示が可能である。
(1)重合反応率
アルミニウム製容器中に秤量した重合反応溶液を入れ、300℃に熱したホットプレートで恒温となるまで加熱し、残留モノマーおよび溶媒を除去した後、残留した重合体重量を計測し、理論上の重合体生成量との比から重合反応率(%)を求めた。
核磁気共鳴分光計(NMR)としてBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒としてd−クロロホルムにより1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビ
ニレン基、3.7ppmのメトキシ基および0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率(%)を算出した。
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、JIS K7121に従って昇温速度:20℃/minの条件でガラス転移温度〔Tg〕(℃)測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量〔Mw〕および分子量分布〔Mw/Mn〕を測定し、併せて数平均分子量〔Mn〕を求めた。
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロベンゼン中、試料濃度0.5g/dL、温度30
℃とし、対数粘度(dL/g)を測定した。
離型処理したPETフィルム上に粘着剤組成物を厚さ0.5〜1mmになるよう塗布して製膜し、15mm×50mmサイズに切り出してPETフィルムから剥がし測定サンプ
ルを作製した。23℃において、引張り試験機(インストロン製)を用いて、引張り速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件でサンプルを引張り、応力−歪み曲線を求め、引張り弾性率(MPa)を求めた。
自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて、フィルムの複屈折率を測定した。波長478.8nm、546.0nm、629.3nmおよび747.3nmでの実測値をコーシーの式で回帰計算することにより、波長450nm、550nmおよび650nmでの面内位相差R450、R550およびR650をそれぞれ求めた。フィルムの面内位相差と、遅相軸傾斜で極角40度からの斜め方向位相差と、フィルム厚みと、フィルム平均屈折率とからNZ係数を求めた。
日本分光(株)製分光光度計V−7300を用い、偏光板の単体透過率(%)および偏光度(%)を測定した。
積層光学フィルムの断面を削り出し、光学顕微鏡で観察して測定した。断面が顕微鏡観察に適さない場合、断面部分をエポキシ樹脂に包埋し、大和光機(株)製ミクロトームRV−240を用いてスライスし、断面を明確にした上で光学顕微鏡により観察して測定した。
積層光学フィルムを両面テープでガラス板に貼り付け、層間にカッター刃を入れて剥離させるという方法で密着性を確認した。カッター刃が層間に入らず、剥離もしないものを「◎」、カッター刃が層間に入り、剥離箇所を作製することはできるが、そこから連続的に剥離させることはできないものを「○」、カッター刃が層間に入り、その剥離箇所から連続的に剥離するものを「×」とした。
ELDIM(株)製の「EZContrast−XL88」を用い、液晶パネルの正面コントラスト比、斜めコントラスト比およびカラーシフト(Δu’v’)を照度1l
x以下の暗室にて測定した。
A4サイズの積層光学フィルム付き偏光板を、積層光学フィルム表面に積層された粘着剤層を介してガラス基板に貼合し、乾熱試験(80℃×500時間)および湿熱試験(60℃×90%RH×500時間)をそれぞれ実施した。室温に戻した後、粘着層の剥離や気泡の発生を目視または光学顕微鏡で確認するとともに、他の市販偏光板と本発明の積層光学フィルム付き偏光板とでクロスニコル配置とし、積層光学フィルムが2枚の偏光子の間に位置するようにし、光漏れの状態を目視観察した。それぞれの場合において、粘着層
の剥離や気泡の発生、および光漏れが観察されないものを「○」、粘着層の剥離や気泡の発生、または光漏れが観察されたものを「△」、粘着層の剥離や気泡の発生、および光漏れがいずれも観察されたものを「×」とした。
A4サイズの積層光学フィルム付き偏光板を、積層光学フィルム表面に積層された粘着剤層を介して液晶パネルに貼合し、40℃×55%RHの条件下で1週間養生した後、バックライトを点灯し2時間経過した後の表示ムラの状態を目視観察した。表示ムラが観察されなかったものを「○」、表示ムラが観察されたものを「×」とした。
下記式(10)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン215部と、下記式(11)で表されるビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン35部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。
ウム;1.5モル/L)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性したWCl6(六塩化タングステン;t−ブタノール:メタノール:タングステン
=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/L)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合反応率は97%であり、得られた開環共重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dL/gであった。
応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「環状オレフィン系樹脂(A1)」ともいう。)を得た。
は0.69dL/gであった。これら物性値を表1に示す。
合成例1において、上記式(10)で表される化合物および上記式(11)で表される化合物の代わりに、下記式(12)で表されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン53部と、下記式(13)で表される8−エチリデンテトラシクロ[
4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン46部と、下記式(14)で表されるトリ
シクロ[4.3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエン66部とを用い、1−ヘキセン(
分子量調節剤)の添加量を18部から22部に変更し、開環重合反応用溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを用いたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体である環状オレフィン系樹脂(A2)を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計を備え窒素置換したガラス製フラスコにスチレン126.88g(1.22モル)、メタクリル酸15.65g(0.182モル)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7ミリモル)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、重合反応率を測定したところ90%であった。
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン127.87g(1.23モル)、無水マレイン酸13.33g(0.136モル)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7ミリモル)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、重合反応率を測定したところ87%であった。
アセトン206部と、ブチルアクリレート210部と、アクリル酸1.2部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を55℃に加熱した後、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.021部をアセトン5部に
溶かした溶液を添加した。このとき、単量体の濃度は50%であった。1時間攪拌後、55℃の温度条件下で8時間かけてアセトンを滴下し、単量体の濃度を35%とした。滴下終了後、反応温度55℃の条件下で3時間攪拌した後、酢酸エチルを加えて単量体の濃度を20%に調製した。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕は約1,570,000であった。
調製例1において、ラジカル重合開始剤の添加量を0.148部に変更したこと以外は調製例2と同様にして、重合体溶液を得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は約780,000であった。
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にブチルアクリレート90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン(登録商標)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。
,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は1.96であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dL/gであった。これら物性値を表1に示す。
膜厚120μmの、ロール状のポリビニルアルコール(PVA)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、連続的に延伸倍率3倍で長手方向に一軸延伸(前延伸)した後、ホウ酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で長手方向に一軸延伸(後延伸)して、乾燥処理をして偏光子を得た。続いて得られた偏光子の一方の面に厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)製フィルムを濃度5%のPVA水溶液からなる接着剤を用いて貼付し、もう一方の面に調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ厚さ20μmの粘着剤層を形成し、偏光板(P−C1)を得た。同様に粘着剤組成物(C1)の代わりに調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用い偏光板(P−C2)を得た。
合成例1で得られた環状オレフィン系樹脂(A1)をトルエンに濃度30%になるように溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を樹脂100重量部に対して0.3重量部添加した。
調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ25μm厚みの粘着剤層を形成し、ネガティブCプレート偏光板(P0)を得た。得られた偏光板の単体透過率は42.1%、偏光度は99.9%であった。これら物性値を表1に示す。
(積層光学フィルム(F1)の製造)
環状オレフィン系樹脂(A1)ペレットと、ビニル芳香族系樹脂(B1)ペレットとを、それぞれ乾燥空気を流した熱風乾燥機を用いて100℃で5時間乾燥した。これらのペレットを、65mmφスクリューおよび50mmφスクリューを有する2系列の溶融押出成形機を用いて、溶融樹脂温度260℃、Tダイリップ開口幅600mmの条件で共押出し成形することにより、A1層(150μm)/B1層(65μm)の構成の原反フィルムロールを得た。
(積層光学フィルム付き偏光板(P1)の製造および液晶表示装置の評価)
得られた積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得られた粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ25μm厚さの粘着剤層を形成した。製造例1で得られた偏光板(P−C4)にロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層が偏光板(P−C4)側に面するようにして両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム付き偏光板(P1)が得られた。該偏光板(P1)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。
偏光板(P−C4)と積層光学フィルム(F1)を貼合する際、環状オレフィン系樹脂層が偏光板側に面するようにした他は、上記積層光学フィルム付き偏光板(P1)と同様にして積層光学フィルム付き偏光板(P1’)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。
積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得られた粘着剤組成物(C1)を塗布し、製造例1で得られた偏光板(P−C1)とを、ロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層が偏光板(P−C1)側に面するようにして両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム付き偏光板(P2)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板(P2)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.1%および99.9%であった。
積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、製造例1で得られた偏光板(P−C3)とを、ロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層と偏光板(P−C3)の偏光子側が面するようにして、調製例3で得られた水系接着剤を用いて両者を連続的に貼合し、積層光学フィルム付き偏光板(P3)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板(P3)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.1%および99.9%であった。
子と積層光学フィルムとを貼合する際、粘着剤組成物(C1)からなる粘着剤層を介して貼合したか、水系接着剤を介して貼合したかが異なる。液晶表示装置の評価の結果、いずれの場合も表示品位は良好であった。
(積層光学フィルム(F2)の製造)
環状オレフィン系樹脂として(A2)を用いた他は実施例1と同様にして、A2層(150μm)/B1層(65μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールを、延伸温度132℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ72μmの積層光学フィルム(F2)を得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R450=86nm、R550=95nm、R650=100nmであり、NZ=1.52であった。この積層光学フィルムの密着性を確認したところ、剥離箇所を作製することはできたが、剥離途中で破断し、連続的には剥離しなかった。
積層光学フィルム(F1)の代わりに積層光学フィルム(F2)を用いた他は実施例1と同様にして偏光板(P4)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.9%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P4)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5050、斜めコントラスト比は100と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
(積層光学フィルム(F3)の製造)
ビニル芳香族系樹脂として(B2)を用いた他は実施例1と同様にして、A1層(150μm)/B2層(68μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールを、延伸温度132℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ72μmの積層光学フィルム(F3)を得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R450=84nm、R550=95nm、R650=101nmであり、NZ=1.47であった。この積層光学フィルムの密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
積層光学フィルム(F1)の代わりに積層光学フィルム(F3)を用いた他は実施例1と同様にして積層光学フィルム付き偏光板(P5)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P5)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5130、斜めコントラスト比は105と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
ところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
(光学フィルム(F4)の製造)
製造例2で得た厚さ150μmの環状オレフィン系樹脂フィルムロール(FA1)を、延伸温度140℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ52μmの光学フィルム(F4)を得た。この光学フィルムの面内位相差R450=111nm、R550=110nm、R650=109nmであり、NZ=1.33であった。
積層光学フィルム(F1)の代わりに光学フィルム(F4)を用いた他は実施例1と同様にして光学フィルム付き偏光板(P6)を得た。得られた光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.2%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに光学フィルム付き偏光板(P6)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5160、斜めコントラスト比は85と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.11であった。
積層光学フィルム(F1)の両面に塗布する粘着剤として、調整例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例1と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P7)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P7)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5150、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
偏光板(P−C2)を用いたことと、積層光学フィルム(F1)の環状オレフィン系樹脂層側に塗布する粘着剤として、調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例2と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P8)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および9
9.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P8)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5170、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
[比較例4]
積層光学フィルム(F2)の両面に塗布する粘着剤として、調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例4と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P9)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P9)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5090、斜めコントラスト比は100と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
2・・・環状オレフィン系樹脂層
3・・・ビニル芳香族系樹脂層
4・・・透明保護フィルム(TAC)
5・・・液晶セル
6・・・粘着剤層
7・・・積層光学フィルム
8・・・積層光学フィルム付き偏光板
9・・・ネガティブCプレート偏光板
Claims (13)
- 固有複屈折値が正の層および固有複屈折値が負の層を有する積層光学フィルムと、偏光子とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に粘着剤層を有し、
該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含有し、かつ引張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする積層光学フィルム付き偏光板。 - 上記積層光学フィルムと偏光子とが、上記粘着剤層を介して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- 固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、固有複屈折値が負の層の面内遅相軸とが互いに直交し、
かつ該固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、偏光板の吸収軸とが互いに直交することを特徴とする請求項1または2に記載の積層光学フィルム付き偏光板。 - 固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程、および
該原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸し、積層光学フィルムを得る工程
を含む製造方法を用いて、上記積層光学フィルムを作製することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。 - 上記積層光学フィルムが、下記式(i)〜(iv)のいずれも満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
R450<R550<R650 …………(i)
1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
70nm≦R550≦150nm ………(iii)
1.0≦NZ≦3.0 ……………………(iv)
(式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;
式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。) - 固有複屈折値が正の層が、環状オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- 環状オレフィン系樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体からなることを特徴とする請求項6に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基を示し、
R1〜R4は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R1とR2および/またはR3とR4が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R1またはR2と、R3またはR4とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
R5〜R8は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R5とR6および/またはR7とR8が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R5またはR6と、R7またはR8とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。) - 固有複屈折値が負の層が、ビニル芳香族系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- ビニル芳香族系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル酸由来の構造単位とを有する共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- ビニル芳香族系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、無水マレイン酸由来の構造単位とを有する共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- 固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とが、直接接していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- 固有複屈折値が正の層のガラス転移温度と、固有複屈折値が負の層のガラス転移温度との差が、20℃以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
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