JP2010060618A - 積層光学フィルム付き偏光板およびそれを具備する液晶表示装置 - Google Patents

積層光学フィルム付き偏光板およびそれを具備する液晶表示装置 Download PDF

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JP2010060618A JP2008223473A JP2008223473A JP2010060618A JP 2010060618 A JP2010060618 A JP 2010060618A JP 2008223473 A JP2008223473 A JP 2008223473A JP 2008223473 A JP2008223473 A JP 2008223473A JP 2010060618 A JP2010060618 A JP 2010060618A
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圭 田中
Masayuki Sekiguchi
関口  正之
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Abstract

【課題】液晶表示装置に用いた場合、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、かつカラーシフト量が小さく、さらに表示ムラを抑制する積層光学フィルム付き偏光板および該液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】固有複屈折値が正の層および固有複屈折値が負の層を有する積層光学フィルムと、偏光板とが積層され、偏光板が積層されていない該積層光学フィルムの面に粘着剤層を有し、該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含み、かつ張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする積層光学フィルム付き偏光板。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層光学フィルム付き偏光板および該積層光学フィルム付き偏光板を具備する液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、固有複屈折値が正の層と負の層とを積層してなる積層光学フィルムと、偏光子と、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含有する粘着剤層とを有する積層光学フィルム付き偏光板および該積層光学フィルム付き偏光板を具備する液晶表示装置に関する。
位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角補償を目的として一般的に用いられており、斜め視野角での光漏れを防ぎ、コントラスト比の低下を防ぐ働きをする。位相差フィルムとして用いられる光学フィルムには、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、セルロースアセテートフィルム、環状オレフィンフィルムなどが挙げられる。なかでも環状オレフィンフィルムは、透明性、耐熱性、寸法安定性、低光弾性などに優れることから、位相差フィルムを始め各種光学部品の材料として注目されている。
近年、従来のTN(Twisted Nematic)モードに加え、VA(Vertical Alignment)モードやIPS(In−Plain Switching)モードの高視野角液晶モードが実用化され、高画質が要求されるテレビ用途においても、液晶表示装置(例えば、液晶テレビなど)が広く普及してきている。
VAモードの液晶表示装置用位相差フィルムの補償方式としては、例えば、AプレートとCプレートとを組み合わせた補償方式や、二軸性フィルムを1枚または2枚組み合わせた補償方式などが挙げられ、これらは視野角改善に特に効果が高いものであると知られている。
しかしながら、これらの補償方式であっても、画面を斜め方向から見たときの色見の変化(以下「カラーシフト」と略す。)、例えば、黒表示状態で本来黒色になるべきところが紫に着色して見えることなどについては視野角補償が不充分であった。
カラーシフトを改善するためには、可視光領域で短波長ほど位相差が小さく、長波長になるにつれて位相差が大きくなるような特性、いわゆる逆波長分散性を有する位相差フィルムが必要であることが知られている。例えば、特許文献1では、位相差フィルムに用いる樹脂の改質によって逆波長分散性を実現する手法が提案されている。しかしながら、樹脂の改質により樹脂製造条件の確立が困難になったり、フィルムの強度、透明性、安定性などが損なわれたりするなど、広く実用化されるには至っていない。
樹脂の改質以外の方法として、特定位相差の層を積層し、合計の位相差が逆波長分散性となるよう制御するものもある。例えば、特許文献2では、重合性液晶からなる位相差層と樹脂フィルムとの積層により、逆波長分散性を実現する手法が提案されている。しかしながら、重合性液晶による位相差層は、数μm程度の厚さの層を数%の厚さバラツキでコントロールする必要があるなど、作製難度が高い。加えて、このような積層による手法では、正面方向から観測した時は所定の位相差値および逆波長分散性が得られるものの、斜め方向から観測した時は光軸ずれの影響により所定の位相差が得られず、斜め方向の視野角補償ができないという問題がある。
位相差層を積層するための他の方法として、特許文献3では共押出法によるフィルム製膜、位相差フィルム作製が提案されている。しかしながら、各層の密着が悪く層間に接着
層を挟む必要があり、層構成および製造装置が複雑になるという問題がある。
また、偏光子と位相差フィルムとの積層、さらには位相差フィルム付き偏光板の液晶表示装置への貼合は、通常、粘着剤層を介して行われる。偏光板や位相差フィルムは、その材料特性から、高温または高温高湿環境下において、収縮または膨張による寸法変化を生じる。寸法変化は、一般的に偏光子の方が大きいため、位相差フィルム付き偏光板を液晶表示装置に適用した場合には、バックライトなどから発生する熱によって、偏光板と位相差フィルムとの寸法変化の差による応力が位相差フィルム側に加わる。その結果、位相差フィルム付き偏光板を用いた液晶表示装置には、特にパネル外周部で表示ムラ(黒表示時の光漏れに起因するコントラスト比低下)が発生する問題があった。
特許文献3に係る問題に対して、例えば、特許文献4では位相差フィルム付き偏光板において、偏光板と位相差フィルムとを貼合している粘着剤層の弾性率を規定し、前記位相差フィルム付き偏光板の表示ムラを抑えることが提案されている。しかしながら、積層位相差層を用いた場合の表示ムラ抑制については言及がなく、積層位相差層を用いた場合は寸法変化によって生じる応力が大きくなると考えられるため、液晶表示装置の表示ムラを充分に抑制できない場合がある。一方、特許文献5には、偏光子と光学補償層とが、100℃における動的貯蔵剪断弾性率を規定した粘着材層を介して積層された光学補償層付偏光板が提案されている。しかしながら、液晶セルとの貼合わせについてはなんら規定されていない。
以上のように、斜め方向からのコントラスト比を高くし、カラーシフトを減少させ、かつ表示ムラを抑制する手法は、充分に確立されておらず、改良が要望されていた。
特開2006−225626号公報 特開2006−268033号公報 特開2004−133313号公報 特開2001−272542号公報 特開2007−140480号公報
本発明は、液晶表示装置に用いた場合、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、かつカラーシフトが小さく、さらに表示ムラを抑制する積層光学フィルム付き偏光板および該液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の積層光学フィルム付き偏光板を液晶表示装置に用いた場合に、画面を斜め方向から見たときであっても所定位相差値および逆波長分散性が得られ、積層光学フィルムを構成する各層間の密着性に優れることを見出し、本発明を完結するに至った。
すなわち、本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、固有複屈折値が正の層および固有複屈折値が負の層を有する積層光学フィルムと、偏光子とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に粘着剤層を有し、該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含有し、かつ引張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする。
上記積層光学フィルムと偏光子とは、上記粘着剤層を介して積層されていてもよい。
固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、固有複屈折値が負の層の面内遅相軸とが互いに直交し、かつ該固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、偏光板の吸収軸とが互いに直交す
ることが好ましい。
上記積層光学フィルムは、固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程、および該原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸し、積層光学フィルムを得る工程からなる製造方法を用いて作製することができる。
上記積層光学フィルムは、下記式(i)〜(iv)のいずれも満たすことが好ましい。
R450<R550<R650 …………(i)
1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
70nm≦R550≦150nm ………(iii)
1.0≦NZ≦3.0 ……………………(iv)
(式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。)
固有複屈折値が正の層は、環状オレフィン系樹脂からなることが好ましく、該環状オレフィン系樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体からなることが好ましい。
Figure 2010060618
(式(1)中、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基を示し、R1〜R4は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R1とR2および/またはR3とR4が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R1またはR2と、R3またはR4とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
Figure 2010060618
(式(2)中、Yは、独立に、式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基を示し、R5〜R8は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)極性基、
(vi)R5とR6および/またはR7とR8が一体化して形成された2価の炭化水素基、
(vii)R5またはR6と、R7またはR8とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
固有複屈折値が負の層は、ビニル芳香族系樹脂からなることが好ましく、該ビニル芳香族系樹脂は、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル酸由来の構造単位とを有する共重合体、またはスチレン由来の構造単位と、無水マレイン酸由来の構造単位とを有する共重合体であることが好ましい。
固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とは、直接接していてもよい。
固有複屈折値が正の層のガラス転移温度と、固有複屈折値が負の層のガラス転移温度との差は、20℃以下であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置は、上記積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする。
本発明は、液晶表示装置に用いた場合、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、かつ画面を斜め方向から見たときのカラーシフト量が小さく、さらに表示ムラを抑制する積層光学フィルム付き偏光板および該液晶表示装置を提供することができる。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、固有複屈折値が正の層(以下、単に「正の層」ともいう。)および固有複屈折値が負の層(以下、単に「負の層」ともいう。)を有する積層光学フィルムと、偏光子とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に粘着剤層を有し、該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含有し、かつ引張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする。
上記の固有複屈折値が正の層は、固有複屈折値が正の材料(以下、単に「正の材料」ともいう。)からなり、上記の固有複屈折値が負の層は、固有複屈折値が負の材料(以下、単に「負の材料」ともいう。)からなる。
また、本発明の液晶表示装置は、上記積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする。
以下、本発明について具体的に説明する。
<積層光学フィルム>
(固有複屈折値が正の材料)
本発明において、「固有複屈折値が正の材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に正の一軸性を示す特性を有する材料をいう。このような正の材料が、例えば、樹脂である場合、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、配向方向の光の屈折率が配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる樹脂をいう。
「正の材料」としては、例えば、樹脂、棒状液晶、棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。これらのうち、樹脂が好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
「樹脂」としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、セルロースエステル系樹脂(固有複屈折値が負であるものも含む。)、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリルサルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらうち、オレフィン系樹脂が好ましく、オレフィン系樹脂の中でも、光透過率特性、耐熱性、寸法安定性、位相差の制御性、光弾性特性等の観点から、環状オレフィン系樹脂が特に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(環状オレフィン系樹脂)
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位と
、上記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体であることが好ましい。さらに必要に応じて他の繰り返し単位を含むこともできる。
「上記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体」は、下記式(3)で表される単量体(以下「単量体(1)」ともいう。)を少なくとも1種と、下記式(4)で表される単量体(以下「単量体(2)」ともいう。)を少なくとも1種とを共重合して得られる。
Figure 2010060618
(式(3)中、m、nおよびR1〜R4は、それぞれ式(1)中のm、nおよびR1〜R4と同義である。)
Figure 2010060618
(式中、R5〜R8は、それぞれ式(2)中のR5〜R8と同義である。)
上記式(1)〜(4)中、R1〜R8は、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
「炭素原子数1〜30の炭化水素基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
「置換または非置換の炭化水素基」は、環に直接結合していてもよいし、連結基(linkage)を介して結合していてもよい。
「連結基」としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、式:
−(CH2m−で表されるアルキレン基(式中、mは、1〜10の整数を表す。)など);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−
O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rは、メチル基、エ
チル基などのアルキル基を表す。))などが挙げられ、これらを複数個含む連結基であってもよい。
「極性基」としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル含有基、カルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;「アリーロキシカルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;「トリオルガノシロキシ基」としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;「トリオルガノシリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;「アミノ基」としては、例えば、第1級アミノ基などが挙げられ;「アルコキシシリル基」としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂のより具体的な例としては、下記<1>〜<3>に示す共重合体を挙げることができる。これらのうち、優れた熱安定性を有し、光学特性に優れることから、<3>に示す共重合体が好ましい。
<1> 単量体(1)と単量体(2)との開環共重合体。
<2> 単量体(1)と単量体(2)とその他の共重合性単量体との開環共重合体。
<3> <1>または<2>に示す開環共重合体の水素添加物。
(単量体(1))
上記式(1)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰り返し単位(1)」ともいう。)は、単量体(1)に由来する。以下に単量体(1)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(1)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイ
コセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘン
エイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[12,5.17,10
−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらのうち、分子内に少なくとも1つの極性基を有する単量体(1)を使用することが好ましい。すなわち、上記式(3)において、R1およびR3が、水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、R2およびR4が、水素原子または一価の有機基を表し、R2およびR4の少なくとも1つが、水素原子および炭化水素基以外の極性基を表す単量体(1)が、他素材との密着性・接着性を高めるので好ましい。
全繰り返し単位(1)中の、分子内に少なくとも1つの極性基を有する単量体(1)に由来する繰り返し単位の含有量は、所望の機能等により決定されるものであり、特に限定はされないが、他素材との密着性・接着性を高めるために、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含まれることが望ましい。繰り返し単位(1)すべてが極性基を有してもよい。正の層と負の層とを共押出法により積層製膜し原反フィルムを得る工程の際、正の層に含まれる、繰返し単位(1)中の極性基の存在により、負の層(好ましくはビニル芳香族系樹脂からなる層)との密着性を向上することができる。
上記式(3)中、R2および/またはR4が、下記式(5)で表される極性基を示す場合、該極性基を有する単量体(1)は、得られる共重合体のガラス転移温度〔Tg〕と吸水性とを制御し易い点で好ましい。
−(CH2pCOOR9 …(5)
(式(5)中、pは、0〜5の整数を表し、R9は、一価の有機基を表す。)
上記式(5)中、R9で表される「一価の有機基」としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環、フラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基などが挙げられる。
上記式(5)中、pは、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0を表す。pが小さい整数を表すほど得られる共重合体のガラス転移温度〔Tg〕が高くなるので好ましく、特にpが0である単量体(1)は、その合成が容易である点で好ましい。
上記式(3)において、上記式(5)で表される極性基が結合している炭素原子に、さらにアルキル基が結合していることが、得られる共重合体の耐熱性と吸水性とのバランスを図る上で好ましい。「アルキル基」の炭素原子数は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
上記式(3)中、mが1であり、nが0である単量体(1)は、ガラス転移温度〔Tg〕が高い共重合体が得られる点で好ましい。
単量体(1)としては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、得られる共重合体のガラス転移温度〔Tg〕を
高め、吸水による変形等の悪影響をほとんど受けず、かつ他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できるので好ましい。
(単量体(2))
上記式(2)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(2)」ともいう。)は、上記式(4)で表される単量体(2)に由来する。以下に単量体(2)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されない。また、単量体(2)は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(αおよびβの両タイプを含む。)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン
などを挙げることができる。
これらのうち、上記式(4)において、R5〜R8がすべて水素原子;またはR5〜R8のうちいずれか1つが炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、残り3つが水素原子を表す単量体(2)は、得られる積層光学フィルムの靭性を向上させる効果が大きい点で好ましく、特に、R5〜R8がすべて水素原子;もしくはR5〜R8のうちいずれか1つがメチル基、エチル基またはフェニル基を表し、残り3つがすべて水素原子を表す単量体は、耐熱性の観点からも好ましい。さらに、単量体(2)が、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンまたは5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンであるとき、その合成が容易である点と、樹脂の靭性向上・ガラス転移温度〔Tg〕の調整・共押出し成形性に優れる点で好ましい。
本発明において、単量体(1)と単量体(2)との使用する重量比は、単量体(1)と単量体(2)との合計重量を100とする場合、通常、単量体(1):単量体(2)=95:5〜5:95、好ましくは95:5〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30、さらに好ましくは95:5〜75:25であることが望ましい。単量体(1)の重量比が上記範囲より大きいと靱性改良の効果が期待できない場合があり、単量体(1)の重量比が上記範囲より小さいとガラス転移温度〔Tg〕が低くなり、耐熱性に問題が生じる場合がある。
また、他素材との密着性・接着性を高めるためには、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)との合計重量を100とする場合、極性基を有する繰り返し単位は、通常50〜95モル%、好ましくは70〜95モル%、より好ましくは80〜95モル%以上含まれる。正の層に含まれる極性基の存在により、共押出法による積層製膜する際、負の層(好ましくはビニル芳香族系樹脂からなる層)との密着性を向上させることができる。
(他の共重合性単量体)
単量体(1)と単量体(2)と共重合することができる「他の共重合性単量体」としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィ
ン類を挙げることができる。シクロオレフィン類の炭素原子数としては、4〜20が好ましく、5〜12がより好ましい。これらの「共重合性環状単量体」は、位相差発現性改良・Tg調整・成形性改良等、樹脂の改質に有用である。
また、「他の共重合性単量体」として、例えば、オレフィン性不飽和結合を有する不飽
和炭化水素系ポリマーなどの不飽和二重結合含有化合物も好適である。特に、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に、単量体(1)および単量体(2)の存在下、「不飽和二重結合含有化合物」を共重合させて得られる共重合体は、耐衝撃性が向上するため好ましい。
単量体(1)および単量体(2)と、「他の共重合性単量体」(共重合性環状単量体および/または不飽和二重結合含有化合物)との使用する重量比は、[単量体(1)+単量体(2)]と「他の共重合性単量体」との合計重量を100とする場合、[単量体(1)+単量体(2)]:「他の共重合性単量体」=100:0〜50:50が好ましく、100:0〜60:40がより好ましく、100:0〜70:30がさらに好ましい。
(開環共重合触媒)
単量体(1)と単量体(2)と(「他の共重合性単量体」と)の開環共重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われることが好ましい。
「メタセシス触媒」とは、タングステン化合物、モリブデン化合物およびレニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物(以下「(a)成分」という。)と、周期表第1族元素(例えば、Li、Na、Kなど)、第2族元素(例えば、Mg、Caなど)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、第13族元素(例えば、B、Alなど)、第4族元素(例えば、Ti、Zrなど)または第14族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)含む化合物であって、かつ少なくとも1つの該元素−炭素結合または該元素−水素結合を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「(b)成分」という。)との組み合わせからなる触媒であり、触媒活性を高めるために添加剤(以下「(c)成分」という。)が含有されていてもよい。
「(a)成分」の具体例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3などの特開平1
−240517号公報に記載の金属化合物を挙げることができる。
「(b)成分」の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルミノキサン、L
iHなどの特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
「(c)成分」としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などを好適に用いることができるが、その他に特開平1−240517号公報に示される化合物も用いることができる。
また、開環共重合反応は、メタセシス触媒以外に、グラブス触媒として公知のルテニウム化合物の存在下に行うこともできる。
(環状オレフィン系樹脂の物性)
環状オレフィン系樹脂(開環共重合体の水素添加物<3>)の水素添加率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕は、熱安定性および共押出し成形性を確保するため、100〜250℃が好ましく、110〜180℃がより好ましく、120〜170℃がさらに好ましい。
環状オレフィン系樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量〔Mn〕は8,000〜100,000、重量平均分子量〔Mw〕は20,000〜300,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は2.5〜
10の範囲のものが好適である。
環状オレフィン系樹脂の、30℃のクロロベンゼン中(試料濃度0.5g/dL)、ウ
ベローデ型粘度計を用いて測定した対数粘度は、0.2〜5.0dL/gが好ましい。
(添加剤)
正の材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
(固有複屈折値が負の材料)
本発明において、「固有複屈折値が負の材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に負の一軸性を示す特性を有する材料をいう。負の材料が、例えば、樹脂である場合、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、配向方向の光の屈折率が、配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さい樹脂をいう。
「負の材料」としては、例えば、樹脂、ディスコティック液晶、ディスコティック液晶ポリマーなどが挙げられる。これらのうち、樹脂が好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
「樹脂」としては、例えば、ポリスチレン、ポリスチレン系樹脂(スチレンおよび/またはスチレン誘導体と他のモノマーとの共重合体)、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロースエステル系樹脂(固有複屈折値が正であるものもある。)、またはこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
「ポリスチレン系樹脂」としては、スチレンおよび/またはスチレン誘導体と、アクリルニトリル、無水マレイン酸、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびブタジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。
本発明においては、複屈折発現性が高いという観点から、負の材料として、ポリスチレンおよびポリスチレン系樹脂が好ましく、さらに耐熱性が高い点で、スチレンと他のモノマーとの共重合体がより好ましい。以下、このような共重合体を「ビニル芳香族系樹脂」と称し、固有複屈折値が負の材料としてビニル芳香族系樹脂が、固有複屈折が負の層としてビニル芳香族系樹脂からなる層が好ましい。
(ビニル芳香族系樹脂)
本発明で用いられるビニル芳香族系樹脂は、下記式(6)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(6)」ともいう。)を有する。
Figure 2010060618
(式(6)中、R10は、水素原子またはメチル基を表し、R11は、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、複数種類であってもよい。)
繰り返し単位(6)を誘導する単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−tertブトキシスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどが挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールが好ましい。これら単量体は1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニル芳香族系樹脂は、環状オレフィン系樹脂との密着性が特に優れ、ガラス転移温度〔Tg〕が高く、目的とする光学特性を発現し易いという観点から、繰り返し単位(6)とともに、下記式(7)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(7)」ともいう。)および/または下記式(8)で表される繰り返し単位(以下、単に「繰返し単位(8)」ともいう。)を有することが好ましい。繰り返し単位(7)を有すると、得られる積層光学フィルムの表面平滑性が優れたものとなり、繰り返し単位(8)を有すると、加工時の熱による樹脂の劣化が非常に少ないという利点もある。
Figure 2010060618
(式(7)中、Xは、酸素原子または置換基を有する窒素原子を表す。式(8)中、R12は、水素原子またはメチル基を表し、R13は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)
「炭素原子数1〜30の炭化水素基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
ビニル芳香族系樹脂は、繰り返し単位(6)〜(8)を含む構造を有する共重合体であってもよく、繰り返し単位(6)と、繰り返し単位(7)または繰り返し単位(8)とを含む構造を有する共重合体であってもよい。
また、繰り返し単位(7)の酸無水物構造またはイミド構造は、加水分解してジカルボン酸構造やアミド酸構造になっていてもよい。
繰り返し単位(7)を誘導する単量体の具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類、マレイン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体などが挙げられる。これらのうち、無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミドが耐熱性および環状オレフィン系樹脂層との密着性の観点から好ましく用いられる。これら単量体は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
繰り返し単位(8)を誘導する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミドなどが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸メチルが耐熱性および環状オレフィン系樹脂層との密着性の観点から好ましく用いられる。これら単量体は1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニル芳香族系樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびスチレン−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
本発明において、ビニル芳香族系樹脂中の繰り返し単位(6)と、繰り返し単位(7)および/または繰り返し単位(8)との使用する重量比は、繰り返し単位(6)と[繰り返し単位(7)+繰り返し単位(8)]との合計重量を100とする場合、通常、繰り返し単位(6):[繰り返し単位(7)+繰り返し単位(8)]=100:0〜50:50、好ましくは98:2〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30である。使用する重量比が上記範囲内であると、ガラス転移温度〔Tg〕の調整・位相差発現性の調整・共押出し製膜する場合の成形性の確保・延伸加工性の確保・環状オレフィン系樹脂層との密着性の確保が可能となる。
ビニル芳香族系樹脂には、繰り返し単位(7)、(8)の他にも、必要に応じて、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、α-ク
ロロアクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、無水イタコン酸などのその他の単量体に由来する繰返し単位も共重合体に含まれていてもよい。
また、ノバケミカルズ社製「ダイラークD332」、「ダイラークD232」;大日本インキ化学工業(株)製「リューレックスA14」、「リューレックスA15」;Chi
Mei社製「PN−177」などの市販樹脂も、ビニル芳香族系樹脂として好ましく用いることができる。
(ビニル芳香族系樹脂の物性)
ビニル芳香族系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕(以下、単に「TgB」ともいう。)は、110〜200が好ましく、120〜170がより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であると、熱安定性・共押出し製膜する場合の成形性・延伸加工性・ラミネーションする場合の層間密着性を確保できるため好適である。
本発明では、正の層(好ましくは、環状オレフィン系樹脂からなる層)のガラス転移温度〔TgA〕と負の層(好ましくは、ビニル芳香族系樹脂からなる層)のガラス転移温度〔TgB〕との差は、20℃以下であることが好ましく、15℃以下がより好ましく、12℃以下がさらに好ましく、10℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度の差、すなわち|TgA−TgB|が上記範囲内であると、環状オレフィン系樹脂層およびビニル芳香族系樹脂層それぞれの位相差を延伸によって同時に制御することができ、積層光学フィルムの目的とする特性(上記式(i)〜(iv)で表される特性等)を容易に得ることができるため好適である。
ビニル芳香族系樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量〔Mw〕は、通常30,000〜1,000,000、好ましくは40,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000である。重量平均分子量〔Mw〕が30,000未満であると、得られるフィルム等の成形品の強度が低くなることがある。また、重量平均分子量〔Mw〕が1,000,000を超えると、溶液粘度および溶融粘度が高くなりすぎて生産性や加工性が悪化することがある。
ビニル芳香族系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0である。
ビニル芳香族系樹脂の、30℃のクロロベンゼン中(試料濃度0.5g/dL)、ウベ
ローデ型粘度計を用いて測定した対数粘度は、0.1〜3.0dL/gであることが好ましい。
(ビニル芳香族系樹脂の製造方法)
ビニル芳香族系樹脂は、繰り返し単位(6)、必要に応じて、繰り返し単位(7)および/または繰り返し単位(8)を誘導する各単量体を、適当な重合開始剤の存在下で重合反応させる方法により製造することができる。
「重合開始剤」としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合触媒、配位重合触媒、カチオン重合触媒等を用いるのが好ましく、ラジカル重合開始剤を用いるのが特に好ましい。
「ラジカル重合開始剤」としては、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。なお、多官能開始剤または水素引き抜き反応を起こし易い開始剤は、得られるビニル芳香族系共重合体の線状性が低下するおそれがある。
「有機過酸化物」としては、例えば、ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオ
キサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
「アゾビス系ラジカル重合開始剤」としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス[2
−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}
プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)
−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロ
ピオンアミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2
,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロク
ロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサル
フェート・ジハイドレート、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロ
ピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−{
1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,
2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2'−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2'−アゾビスブチレー
ト、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
これらラジカル開始剤の使用量は、ビニル芳香族系樹脂を誘導する単量体全量100モル%中、通常0.01〜5モル%、好ましくは0.03〜3モル%、より好ましくは0.05〜2モル%である。
ビニル芳香族系樹脂を誘導する単量体の重合反応には、触媒が用いられてもよい。「触媒」としては、特に限定されず、例えば、公知のアニオン重合触媒、配位重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
ビニル芳香族系樹脂を誘導する単量体の重合反応は、重合開始剤や触媒の存在下で、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることにより行うことができる。
溶液重合を実施する際に使用する溶剤としては、上記単量体および得られる共重合体を溶解するものであれば特に限定されないが、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤が好ましい。溶剤の使用量は、上記単量体100重量部に対し、1〜300重量部の量であるのが望ましい。
溶液重合の重合反応時間は、通常1〜30時間、好ましくは3〜20時間であり、重合反応温度は、使用するラジカル開始剤の種類に依存するため、特に限定されないが、通常40〜180℃、好ましくは50〜120℃である。
(添加剤)
負の材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解
剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
(積層光学フィルムの製造方法)
積層光学フィルムの製造方法は、固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程、および該原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸し、すなわち位相差を付与し、積層光学フィルムを得る工程からなることが好ましい。
(原反フィルムを得る工程)
原反フィルムを得る工程とは、固有複屈折値が正の層、好ましくは環状オレフィン系樹脂からなる層(以下「A層」ともいう。)と、固有複屈折値が負の層、好ましくはビニル芳香族系樹脂からなる層(以下「B層」ともいう。)とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程である。
「共押出法」としては、具体的に、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法などが挙げられ、正の材料と負の材料との溶融樹脂を同時に製膜し積層することができ、製造効率や溶剤を残留させないことなどの観点から望ましい。
また、共押出法以外に、正の材料の溶液を負の材料のフィルム上に、または負の材料の溶液を正の材料のフィルム上に塗工し積層するコーティング法;公知の溶融押出法、溶液流延法などの方法によりA層とB層とをそれぞれ別々に製膜した後に、A層とB層と積層するラミネーション法なども用いることができる。以下、これらの方法を詳細に説明する。
(共押出法)
「共押出法」とは、溶融押出機からそれぞれ押出された溶融樹脂をフィードブロックまたはマニホールドに供給し、次いで合流部で各樹脂を合流させ、複層状に重ね合わせリップ部から外部へ押出しフィルム化する方法である。特に、共押出Tダイ法は、得られるフィルム厚さのバラツキを抑制しやすい点で好ましい。
「共押出Tダイ法」の中でも、フィードブロックによって各溶融樹脂を合流させる方法と、マルチマニホールドTダイによってTダイ先端部(リップ直前)で各溶融樹脂を合流させる方法とがあるが、厚さバラツキを抑制しやすい点でマルチマニホールドTダイを用いることが好ましい。
共押出法における押出し温度は、樹脂が押出製膜に適した溶融粘度になるよう適宜選択されるが、A層、B層ともに好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜300℃、さらに好ましくは240〜280℃である。また、A層の押出温度とB層の押出温度との温度差は、両樹脂がTダイ内またはフィードブロック内で接触した際に、温度変化によって溶融粘度が過度に変化し、成形性が悪化することが無いよう、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。A層とB層とを構成する樹脂の溶融粘度の差は、成形性、特に各層の厚さの均一性を確保するため、好ましくは5倍以下、より好ましくは3倍以下、さらに好ましくは2倍以下である。
(コーティング法)
「コーティング法」とは、A層またはB層からなる基材フィルムの少なくとも片面に、他方の樹脂(基材フィルムを構成しない樹脂)の溶液をコーティングし、乾燥する方法である。なお、「基材フィルム」は、溶融押出成形、溶液キャスト成形などの公知の方法により製膜して製造することができる。
コーティング法としては、公知の方法を制限なく採用することができ、例えば、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、グラビアコート法、プリント法などが挙げられる。
コーディング法では、A層を基材としてその表面に負の材料の溶液をコーティングしてもよく、B層を基材としてその表面に正の材料の溶液をコーティングしてもよいが、負の材料として好適なビニル芳香族系樹脂の方が、正の材料として好適な環状オレフィン系樹脂よりも多種の溶剤に溶解しやすいため好適である。
また、塗工する樹脂を溶解させ、さらに基材を適度に膨潤させるような溶剤種を選択することが、良好な塗工性や基材と塗工層との密着性を得る上で好ましい。基材フィルムを容易に溶解させる溶剤では外観不良や光学特性の不良を招き、基材を全く膨潤させない溶剤では、はじき等の塗工不良や密着不良を招く可能性がある。そのため本発明では、ビニル芳香族系樹脂の溶液を基材フィルムであるA層に塗工することがより好ましい。また、基材の両面に樹脂溶液をコーティングしてもよく、コーティングして形成された樹脂層の上にさらにコーティングを行ってもよい。本発明においては、光学基材上に塗工層を設けているので、支持体が不要であり、また支持体から剥離する工程や、支持体から剥離した塗工層を別の光学基材に貼合する工程なども不要であるため製造効率に優れる。
環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルム(A層)上に、ビニル芳香族系樹脂を塗工する場合、使用する溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン含有溶剤;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶剤;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが挙げられる。これらのうち、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤が好ましい。これらの溶剤は、塗工する樹脂を溶解させ、さらに基材を適度に膨潤させることができる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
塗工溶液の濃度は特に限定されず、例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶剤100重量部に対して、ビニル芳香族系樹脂などの塗工樹脂が、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは20〜60重量部である。樹脂の割合をこの範囲とすることで、塗工が容易な粘度にすることができ、同時に所望の塗工厚さを得ることができる。
原反フィルム中の残存溶剤量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。残存溶剤量を減らすことで延伸によって所望の位相差を発現させることが可能になり、また長期の保存安定性を得ることができる。残存溶剤量が10重量%を超えると、保存安定性が損なわれシワ等が生じ外観が悪化するほか、ガラス転移温度〔Tg〕の低下により、延伸によって所望の位相差を発現できないお
それがある。
積層製膜して得られた原反フィルム中の残存溶剤量を調整する方法としては、特に限定されず、例えば、原反フィルムに熱風を送風する方法;所定の温度にした乾燥室に原反フィルムを一定時間通過させる方法などが挙げられる。乾燥温度は、通常原反フィルム各層のガラス転移温度〔Tg〕以下にするのが望ましく、また発泡やシワ等外観の悪化を防ぐため温度を徐々に上昇させて乾燥させることが望ましい。通常は塗工ライン中、塗工後に設けられた乾燥ゾーンにおいて、搬送される原反フィルムを熱風乾燥し、さらに所望の残存溶剤量となるよう必要に応じて乾燥を繰り返すのが好ましい。
本発明において、A層とB層との密着を簡便に得るという観点では、コーティング法を用いるのが好ましく、またA層として好適な環状オレフィン系樹脂とB層として好適なビニル芳香族系樹脂は熱密着性が良好であるため、直接接して積層することもできる。
この際、加熱温度は、TgA以上かつTgB以上が好ましく、TgA+10℃以上かつTgB+10℃以上がより好ましい。加熱温度があまりに高すぎる場合は、フィルムが溶融状態となり搬送できなくなるおそれがあるため、加熱温度の上限値は樹脂の溶融粘度に応じて適宜選択される。加熱方法は特に限定されるものではなく、ロール内部を温度調節した熱ロール上を搬送させることによって原反フィルムを加熱してもよいし、ヒーター等を設けた加熱炉内を通過させて原反フィルムを加熱してもよい。
積層時にピンチロールへの溶融フィルムの付着を防ぐため、A層およびB層を転写用基材フィルムで挟んで積層してもよい。転写用基材フィルムは、耐熱性があり、積層して作製された原反フィルムの剥離性が良いものが好ましく、例えば、PET、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンなどが用いられる。これらの転写用基材フィルムは離形処理が施されていることが好ましい。
(ラミネーション法)
「ラミネーション法」とは、A層とB層とをそれぞれ別々に、公知の溶融押出法、溶液流延法などの方法により製膜した後、両層を圧着することによって積層する方法である。延伸に供する前にA層とB層との位置を相対的に固定し得るものであれば、ラミネーション法としては特に限定されず、複数枚のフィルムを搬送し、ピンチロールの間を通過させることにより、複数枚のフィルム同士を圧着する方法などが挙げられる。この方法において、圧着する際に加熱すること、および/またはA層として好適な環状オレフィン系樹脂と、B層として好適なビニル芳香族系樹脂とを溶解させる溶剤(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのうち、少なくとも1種の溶剤)をフィルム表面に噴霧し、フィルム表面が溶解した状態で圧着し、その後溶剤を乾燥させることが好ましい。なお、生産性の観点からは、ロール形状に巻き取られた状態にあるA層とB層とのフィルムを用いてフィルム同士を連続的にラミネートし、ラミネート後のフィルムを原反フィルムロールとして巻き取ることが好ましい。また、各層の製膜とラミネートとを連続的に行うことや、ラミネートと延伸とを連続的に行うのも生産性を向上させる上で好ましい。
(原反フィルム)
原反フィルムは、少なくともA層、B層を有していればよいが、A層/B層の二層からなる原反フィルム、A層/B層/A層の三層からなる原反フィルム、および、B層/A層/B層の三層からなる原反フィルムが、製造効率、強度の確保、光学特性、位相差制御の観点から好適である。A層/B層の二層からなる積層光学フィルムは光学特性(透明性)
、位相差制御および生産性の良さで好ましく、三層からなる積層光学フィルムも断面が対称となるためフィルムの反りを防ぐことができ、また力学強度を得る上で好ましい。
正の材料として好適な環状オレフィン系樹脂と負の材料として好適なビニル芳香族系樹脂とは、互いの密着性に優れているため、フィルム層間に接着層、粘着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の易接着処理を施したりする必要がない。各樹脂の繰り返し単位中に含まれる極性基の相互作用、樹脂溶融時の熱融着、塗工時の基材膨潤による界面の接着等により、A層とB層とが直接接した状態において充分な密着強度を得ることができる。また延伸処理をした後であっても、A層とB層との密着性は良好に保持される。
得られる原反フィルムの厚さバラツキは、延伸後の積層光学フィルムの位相差バラツキの原因となり、液晶表示装置に組み込んだ際の表示の均一性を損なうことになるため、幅方向、長さ方向ともに厚さが均一であることが望ましい。そのため厚さバラツキの原因となる、ダイライン(Tダイリップの傷等に起因する長さ方向のスジ)、クロスマーク(ロールの偏心やモーターの脈動等による長さ方向での周期的な厚さ変動)、風紋(塗工不良や乾燥ムラに起因する主に長さ方向のスジ)等は少ないことが望ましい。また、点状の欠点として輝点や光漏れ等の表示不良を招くゲル、異物等も少ないことが望ましい。これらは、例えば、ポリマーフィルタを有する押出機の使用、溶融樹脂の滞留時間最適化、ギヤポンプの脈動の低減、ダイリップの研磨や表面処理、転写ロール、転写ベルト、剥離ロール、搬送ロールの平滑化、表面処理、コーティングの場合は塗工溶液のろ過や乾燥条件の最適化等により抑制することができる。
原反フィルム中のA層は、厚さが20〜200μm、好ましくは50〜180μmであり、フィルムの厚さバラツキ(最大厚さと最小厚さとの差)が5μm以内、好ましくは3μm以内、より好ましくは2μm以内である。厚さバラツキが5μmを超えると、光学特性が場所により不均一となり、このフィルムを組み込んだ液晶表示装置のコントラスト比、カラーシフト等の表示品位も場所により不均一となるおそれがある。
原反フィルム中のB層は、厚さが20〜180μm、好ましくは30〜150μmであり、フィルムの厚さムラ(最大厚さと最小厚さとの差)が5μm以内、好ましくは3μm以内、より好ましくは2μm以内である。厚さバラツキが5μmを超えると、光学特性が場所により不均一となり、このフィルムを組み込んだ液晶表示装置のコントラスト比、カラーシフト等の表示品位も場所により不均一となるおそれがある。原反フィルムの合計厚さのバラツキ(最大厚さと最小厚さとの差)は好ましくは7μm以内、より好ましくは5μm以内、さらに好ましくは3μm以内である。
(積層光学フィルムを得る工程)
積層光学フィルムを得る工程とは、上記原反フィルムを得る工程により得られた原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸(横一軸延伸)し、すなわち位相差を付与し、「積層光学フィルム」という位相差フィルムを得る工程である。
延伸処理は、従来公知の方法が適用され得るが、具体的には、テンターを用いて幅方向に一軸延伸する処理が好ましい。そうすることで、本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、優れた位相差特性を発現することができる。
延伸温度は、各材料のガラス転移温度〔TgA〕および〔TgB〕に基づいて決定するのが位相差を調整するうえで好ましい。具体的には、(TgAとTgBとで低い方の値)−10(℃)〜(TgAとTgBとで高い方の値)+30(℃)の範囲、好ましくは(TgAとTgBとで低い方の値)−5(℃)〜(TgAとTgBとで高い方の値)+20(
℃)の範囲である。延伸温度が上記範囲内であると、A層およびB層それぞれの位相差を延伸によって同時に制御することができ、積層光学フィルムの目的とする位相差特性(上記式(i)〜(iv)で表される特性等)を容易に得ることができる。それにより、コントラスト比が高く、画面を斜め方向から見たときのカラーシフトが小さい液晶表示装置を実現できる。
横延伸倍率は、通常1.1〜10倍、好ましくは1.2〜7倍、さらに好ましくは1.3倍〜5倍である。横一軸延伸することにより、積層光学フィルムは光軸(面内の最大屈折率方向)がフィルム長手方向に対して垂直方向になるため、積層光学フィルムと偏光子とをロールtoロールで接着することで、偏光板吸収軸の方向に対する各層の遅相軸方向の関係を満足することが可能になり、生産性が向上する。横延伸倍率が上記範囲内であると、位相差フィルムの光軸、位相差値、NZ係数、またはそれらのフィルム面内での分布を好適にコントロールすることができ、コントラスト比が高く、画面を斜め方向から見たときのカラーシフトが小さい液晶表示装置を実現できる。
(積層光学フィルム)
積層光学フィルムは、A層とB層とが直接接して積層していることが好ましい。積層光学フィルムの長手方向の長さは、好ましくは50m以上であり、100m以上であることがより好ましい。このような長尺フィルムは、通常フィルムロールとして取り扱われる。また、積層光学フィルムの幅は、好ましくは1,000mm以上、より好ましくは1,500mm以上、特に好ましくは2,000mm以上である。
積層光学フィルムのフィルム厚さは、特に限定されるものではないが、通常10〜200μm、好ましくは20〜170μm、特に好ましくは30〜150μmであるのがハンドリング性や光軸と位相差値の調整上望ましい。厚さのバラツキが少ない方が位相差値のバラツキが少なくなり、表示品位の均一性が得られるため望ましい。積層光学フィルムの厚さバラツキの範囲は平均値±5%以内、好ましくは平均値±3%以内、より好ましくは平均値±2%以内である。
また、本発明の積層光学フィルムは、未延伸のフィルムであっても延伸したフィルムであってもよいが、下記式(i)〜(iv)に記載の特性を満たすため、延伸したフィルムであることが好ましい。
(光学特性)
積層光学フィルムは、フィルムとしての位相差の測定値が、下記式(i)〜(iv)のいずれも満たしていることが好ましい。
R450<R550<R650 …(i)
1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
70nm≦R550≦150nm …(iii)
1.0≦NZ≦3.0 …(iv)
(式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。)
上記式(i)および(ii)は、位相差の波長分散性を示しており、上記式(i)は、長波長になるほど面内位相差が大きい、いわゆる逆波長分散性を有することを示している。これは、積層光学フィルムを通過した光の偏光状態が波長によって異なることを防ぎ、
画面を斜め方向から見たときのカラーシフトを小さくする上で必要な特性である。
上記式(ii)の値は、逆波長分散性の程度を表す。カラーシフトを減らし良好な視野角補償を行うためにはこの値が大きい方が望ましく、好ましくは1.01〜1.18、より好ましくは1.02〜1.18である。
上記式(iii)は、フィルム面内位相差の量を示す。VAモードの液晶表示装置用の位相差フィルムとしては、AプレートとCプレートとを組み合わせた補償方式が有効であると知られており、このときAプレートとして有効に機能する面内位相差は上記式(iii)に示した範囲で、好ましくは75nm〜145nm、より好ましくは75nm〜140nmである。上記式(iii)を満たすことによって良好なコントラスト比が得られ、加えて上記式(i)および(ii)を満たすことでカラーシフトを減らすことができ、斜め方向から観察した時のコントラスト比のさらなる向上にも寄与する。
また、表示品位の均一性を得るためには、フィルムの幅方向、長手方向ともに、場所による位相差のバラツキが少ない方が望ましい。上記式(ii)のR650/R550のバラツキの範囲は、好ましくは±0.03以下、より好ましくは±0.02以下、特に好ましくは±0.01以下である。上記式(iii)のR550のバラツキの範囲は、好ましくは±6nm以下、より好ましくは±4nm以下、特に好ましくは±3nm以下である。
同様に表示品位の均一性を得るためには、場所による光軸のバラツキも少ない方が望ましく、フィルム長手方向に直交するフィルム幅方向を基準とすると、好ましくは±1°以下、より好ましくは±0.8°以下、さらに好ましくは±0.6°以下、特に好ましくは±0.5°以下である。
上記式(iv)は、NZ係数と呼ばれる数値であり、積層光学フィルムの面内位相差と厚さ方向位相差とのバランスを表した数値である。NZ係数を算出するには、積層光学フィルムの面内位相差と斜め方向位相差(通常、遅相軸傾斜で極角40°から入射した時の値)とを測定し、フィルム合計厚さおよびフィルム平均屈折率を用いて数値計算することにより、nx、nyおよびnzが求められ、そこからNZ=(nx−nz)/(nx−ny)として計算される。
NZ係数は、具体的には次のように求められる。例えば、ある単層のフィルムについて、波長550nmでの面内位相差をR0(nm)、遅相軸傾斜で極角40度方向から測定した波長550nmでの斜め方向位相差をR40、波長550nmでの平均屈折率Nave、厚さをd(nm)とすると、下記式(v)〜(viii)が成り立つ。
R0=(nx−ny)×d …(v)
R40=(nx−ny’)×(d/cos40°) …(vi)
Nave=(nx+ny+nz)/3 …(vii)
(ny’×sin40°/ny)2+(ny’×cos40°/nz)2=1 …(viii)
(式(v)〜(viii)中、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。ny’は、遅相軸傾斜で極角40度方向から測定したときの「見かけのny」であり、見かけの最大屈折率(遅相軸傾斜であるため、値はnxに等しい)と直交する方向の屈折率を表す。)
上記式(v)および(vii)は、一般的な定義の通りであり、上記式(vi)は、見かけの屈折率を用いてR40を表したものである。上記式(viii)は、屈折率楕円体のyz断面を表す楕円の式を用いてny’を表したものである。R0、R40、Nave
およびdは、測定値として既知であり、未知なのはnx、ny、nzおよびny’の4つであるから、4つの方程式から4つの変数について解くことができ、NZ係数を求めることができる。
しかしながら、本発明の積層光学フィルムの場合、A層とB層とは材料の種類が異なるため平均屈折率も異なり、Naveを直接測定して求めることはできない。そこで本発明においては、積層光学フィルムの平均屈折率Naveを便宜的に、A層およびB層のそれぞれの平均屈折率を厚さ比によって加重平均した値としている。すなわち、A層の平均屈折率をNaveA、厚さをdA(μm)、B層の平均屈折率をNaveB、厚さをdB(μm)としたとき、Nave=(dA×NaveA+dB×NaveB)/(dA+dB)とする。また、d(nm)=dA(nm)+dB(nm)であるから、上記のようにnx、nyおよびnzを数値計算しNZを決定する。
各層の厚さdA、dBは、各層を剥がしてそれぞれの層の厚さを接触式マイクロメーターで測定するか、積層光学フィルムの断面を顕微鏡観察するか、公知の非接触式測定法、例えば、光干渉式膜厚測定装置を用いて計測される。中でも測定精度が良いこと、非破壊であること、オンライン、オフラインいずれにおいても測定できることから光干渉式膜厚測定が好ましい。なお、A層および/またはB層がそれぞれ二層以上ある場合、例えば、A層/B層/A層という三層構成のような場合、dAは二層以上のA層の厚さを合計した値、dBは二層以上のB層の厚さを合計した値である。
NZ係数は、1に近い方がポジティブAプレートに近くなり、VA液晶の補償方式であるAプレートとCプレートとを組み合わせた補償方式に合致し、コントラスト比が良くなるため望ましい。NZ係数は、好ましくは1.0〜2.5であり、さらに好ましくは1.0〜2.0である。なお、NZ係数が1未満のフィルムは、本発明の方法では逆波長分散性を有さない。
表示品位の均一性を得るためには、場所によるNZ係数のバラツキは少ない方が望ましい。NZ係数のバラツキ範囲は、平均値±0.3以内、好ましくは平均値±0.2以内、さらに好ましくは平均値±0.1以内である。
積層光学フィルムの光弾性係数は、液晶表示装置に組み込んだ際の応力により、周辺部光漏れによるコントラスト比の低下(額縁故障)が生じる等の表示ムラや、使用者が表示面を触れた際の表示不良、表示変化を防ぐため、小さい方が望ましい。加えて、液晶表示装置の大型化、高精細化に伴い、光弾性係数がさらに小さい光学フィルムが求められている。そのため、好ましくは20×10-12Pa-1以下、より好ましくは15×10-12Pa-1以下、さらに好ましくは10×10-12Pa-1以下である。本発明の積層光学フィルム
は、光弾性係数を10×10-12Pa-1以下に抑えることができ、種々の用途に好適に用
いることができる。また、本発明では、粘着剤層による応力緩和により、光弾性係数が大きいことに起因する表示ムラを抑えることができる。
(各層の光学特性(面内位相差))
本発明の積層光学フィルムを構成するA層とB層とは、それぞれ望ましい位相差値および位相差波長分散性を有する。ただし、積層した状態ではA層とB層とそれぞれ単独の位相差を測定することはできないため、積層光学フィルムからA層とB層とを剥がし別々に位相差を測定するか、A層とB層とを構成する共重合体それぞれに固有の位相差波長分散性と積層光学フィルムの位相差波長分散性とからA層とB層との位相差値を算出するか、A層のみのフィルムとB層のみのフィルムとを積層光学フィルムと同じ条件で延伸し、別々に位相差を測定することにより、各層の特性を確認することができる。波長450nm、550nmにおけるA層の面内位相差をそれぞれR450A、R550Aとし、波長4
50nm、550nmにおけるB層の面内位相差をそれぞれR450B、R550Bとすると、各層は下記式(ix)〜(xiii)を満たすよう調整される。
R450A/R550A≦1.04 …(ix)
200nm≦R550A≦400nm …(x)
1.04<R450B/R550B …(xi)
100nm≦R550B≦300nm …(xii)
R550A>R550B …(xiii)
A層とB層とが上記式(ix)〜(xiii)を満たすことで、積層光学フィルムとして上記式(i)〜(iii)を満たし、液晶表示装置を斜め方向から見たときのカラーシフトを減少させ、同時にコントラスト比を向上させることが可能となる。なお、A層とB層とは固有複屈折の正負が異なるため、積層光学フィルムとしてA層とB層とを同時に延伸した場合、A層とB層との最大屈折率方向は互いに直交する。そのため互いに面内位相差を打ち消しあうことになり、積層光学フィルムの面内位相差R550は、R550A−R550Bで表される。
上記式(xiii)より、積層光学フィルムの光軸は、フィルム長手方向と直交する方向となり、偏光子とのロールtoロール接着が可能となり、積層光学フィルム付き偏光板の生産性が向上する。
積層光学フィルムを、上記の積層光学フィルムの製造方法を用い、上述の延伸温度および延伸倍率の条件によりフィルム幅方向に延伸することにより、各層は1回の延伸処理で上記式(ix)〜(xiii)を満たすことができ、同時に積層光学フィルム全体として上記式(i)〜(iii)を満たすことができる。このため、本発明の積層光学フィルムは、非常に生産性に優れる。
上記式(ix)および(xi)は、各層の位相差の波長分散性を表す。A層のR450A/R550Aは、B層のR450B/R550Bよりも小さく、A層の波長分散性は波長毎にあまり変わらないフラットな波長分散か、波長が大きくなるにつれ位相差が大きくなる逆波長分散である。これに対して、B層の波長分散性は、A層に比べ波長が大きくなるにつれ位相差が小さくなる、いわゆる正波長分散である。A層とB層とがこの特性を満たすことにより、A層とB層とで位相差を打ち消しあった時に積層光学フィルムが上記式(i)および(ii)の特性を満たす。
なお、A層および/またはB層がそれぞれ二層以上ある場合、例えば、A層/B層/A層という三層構成のような場合、R450A、R550Aは二層以上のA層の位相差を合計した値、R450B、R550Bは二層以上のB層の位相差を合計した値である。
また、A層、B層ともに場所による位相差のバラツキが少ない方が表示品位の均一性を得るうえで望ましい。上記式(ix)および(xi)のバラツキの範囲は、好ましくは±0.03以下、さらに好ましくは±0.02以下、特に好ましくは±0.01以下である。上記式(x)および(xii)で表されるそれぞれR550AおよびR550Bのバラツキの範囲は、好ましくは±5nm以内、より好ましくは±4nm以内、特に好ましくは±3nm以内である。
また、場所による各層の光軸バラツキも少ない方が表示品位の均一性を得るためには望ましい。A層の光軸は、フィルム幅方向を基準とすると、好ましくは±1度以内、より好ましくは±0.8度以内、さらに好ましくは±0.6度以内、特に好ましくは±0.5度以内である。B層の光軸は、フィルム長手方向を基準とすると、好ましくは±1度以下、より好ましくは±0.8度以内、さらに好ましくは±0.6度以内、特に好ましくは±0
.5度以内である。
また、表示品位の均一性を得る上では、A層、B層ともに場所による厚さバラツキが少ない方が位相差のバラツキが少なくなり望ましい。dA、dBのバラツキ範囲は、積層光学フィルム全体の厚さバラツキの範囲と同様に、それぞれ平均値±5%以内、好ましくは平均値±3%以内、より好ましくは平均値±2%以内である。
A層とB層との厚さ比率は、各層および積層光学フィルム全体の光学特性が望ましい範囲にあれば特に制限されず、位相差を制御する上で、具体的には1回の横延伸処理で所定位相差を発現させるため、A層の厚さ比率は、積層光学フィルム全体の20〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましく、40〜80%がさらに好ましい。なお、A層および/またはB層がそれぞれ二層以上存在する場合は、各層の厚さを合計し、全A層の積層光学フィルム全体に対する厚さ比率で表す。厚さ比率は均一であることが望ましく、A層の厚さ比率のバラツキは平均値±4%以内、好ましくは平均値±2%以内、より好ましくは平均値±1%以内である。
さらに、本発明の積層光学フィルムのNZ係数が上記式(iv)を満たすためには、積層光学フィルムを構成するA層とB層とにはそれぞれ望ましいNZ係数の範囲がある。ただし、積層した状態ではA層、B層それぞれ単独のNZ係数を求めることはできないため、積層光学フィルムからA層とB層とを剥がし別々に位相差を測定しNZ係数を求めるか、A層とB層とを構成する重合体それぞれに固有の位相差波長分散性と積層光学フィルムの位相差波長分散性からA層とB層との位相差値を算出するか、A層のみのフィルムとB層のみのフィルムを積層光学フィルムと同じ条件で延伸し、別々に位相差を測定して各層のおおよそのNZ係数を求めるという方法を適用する。A層のNZ係数をNZA、B層のNZ係数をNZBとすると、下記式(xiv)および(xv)を満たすように調整される。
1.0≦NZA≦1.7 …(xiv)
−1.0≦NZB≦0 …(xv)
(式(xiv)中、NZAは、NZA=(nxA−nzA)/(nxA−nyA)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxAは、A層の面内での最大屈折率を、nyAは、A層の面内でnxAに直交する方向の屈折率を、nzAは、nxAおよびnyAに対して直交するA層の厚さ方向の屈折率を表し、NaveA=(nxA+nyA+nzA)/3である。式(xv)中、NZBは、NZB=(nxB−nzB)/(nxB−nyB)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxBは、B層の面内での最大屈折率を、nyBは、B層の面内でnyBに直交する方向の屈折率を、nzBは、nxBおよびnyBに対して直交するB層の厚さ方向の屈折率を表し、NaveB=(nxB+nyB+nzB)/3である。)
上記式(xiv)は、正の層として好適な環状オレフィン系樹脂層を横延伸したときに発現する位相差に相当し、nxAは、延伸方向すなわちフィルム幅方向、nyAは、延伸方向と直交、すなわちフィルム長手方向である。屈折率楕円体においては、一般にポジティブAプレートと呼ばれる。上記式(xv)は、負の層として好適なビニル芳香族系樹脂層を横延伸したときに発現する位相差に相当し、nxBは延伸方向と直交、すなわちフィルム長手方向、nyBは延伸方向、すなわちフィルム幅方向である。屈折率楕円体においては、一般にネガティブAプレートと呼ばれる。積層光学フィルムのNZは、NZAおよびNZBから単純計算で求めることはできず、ポアンカレ球表示によるA層での偏光状態の変化とB層での偏光状態の変化との結果として関連付けられる。
NZAとNZBとには望ましい範囲があり、(NZA+NZB)/2=0.1〜0.8であるのが好ましく、より好ましくは(NZA+NZB)/2=0.2〜0.8、さらに
好ましくは(NZA+NZB)/2=0.3〜0.7である。NZAとNZBとがこの範囲を満たすことで、積層光学フィルムはどの方向から見ても逆波長分散性が発現しており、どの方向から見ても各層の見かけの光軸方向の変化によって所定位相差が得られなくなるという問題は発生せず、カラーシフト減少によるパネル特性の向上につながる。また、NZAは小さい方がパネル特性向上につながり、好ましくは1.0〜1.6、さらに好ましくは1.0〜1.5である。同時にNZBは大きい方がパネル特性向上につながり、好ましくは−0.6〜0、さらに好ましくは−0.5〜0である。各層のNZ係数を上記範囲とすることで斜め方向から観測した時も所定の位相差を有することができ、液晶表示装置の斜め視野角でのカラーシフトを減少させ、同時にコントラスト比を向上させることが可能となる。
また、表示品位の均一性を得るうえでは、NZA、NZBともに場所によるバラツキが少ない方が望ましい。NZA、NZBのバラツキ範囲は、好ましくはそれぞれ平均値±0.2以内、さらに好ましくは平均値±0.1以内である。
<粘着剤層>
本発明の積層光学フィルム付き偏光板において、積層光学フィルムの片面または両面に設けられる粘着剤層を形成する粘着剤組成物の引張り弾性率は、0.2MPa以下、好ましくは0.15MPa以下である。
引張り弾性率は、以下のように測定するものである。
離型処理したPETフィルム上に粘着剤組成物を厚さ0.5〜1mmになるよう塗布して製膜し、15mm×50mmサイズに切り出してPETフィルムから剥がし測定サンプルを作製する。23℃において、引張り試験機(インストロンコーポレーション製)を用いて、引張り速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で測定サンプルを引張り、応力−歪み曲線を作成し、引張り弾性率(MPa)を求めることができる。
このようにして測定された粘着剤組成物の引張り弾性率が0.2MPaを超えると、粘着剤層が、積層光学フィルムと偏光子との寸法変化の差によって発生する応力、または積層光学フィルムと液晶表示装置のガラス基板との寸法変化の差によって発生する応力を緩和することが困難な場合があり、表示ムラの発生につながることがある。一方、粘着剤組成物の引張り弾性率は、高温または高温高湿環境下での粘着剤層の発泡または剥がれを防ぐ点から、0.01MPa以上であるのが好ましく、0.03MPa以上がより好ましい。粘着剤組成物の引張り弾性率が0.01MPa以上であると、粘着剤層が上記応力を緩和することができるため、積層光学フィルムに応力が掛かることによる光弾性の影響により所定外の位相差が発生することを防止することができる。したがって、本発明の積層光学フィルム付き偏光板を液晶表示装置に適用した場合に、主にパネル外周部で発生する表示ムラ(額縁故障とも呼ばれ、黒表示時の光漏れに起因するコントラスト比低下)を抑えることができる。また、上記応力を緩和することにより、積層光学フィルムの層間から発生する応力によって剥離する問題も防ぐことができる。
粘着剤層は、積層光学フィルムの両面に設けてもよいし、片面のみに設けてもよい。片面のみに設ける場合、粘着剤層は積層光学フィルムと液晶表示装置のガラス基板とを接着するのに用い、積層光学フィルムと偏光子との接着は公知の接着剤または粘着剤を用いるのが実用上好ましい。両面に粘着剤層を設けた場合は応力を緩和する効果に優れ、より表示ムラが発生しにくい。片面のみに設ける場合は、実用上問題ない程度に表示ムラを抑えることができるとともに、積層光学フィルム付き偏光板の薄膜化と生産効率に優れる。
(粘着剤組成物)
粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、粘着剤を主成分とし、必要に応じて硬化剤、光重
合開始剤、添加剤などを配合することができ、上述のような引張り弾性率を有するものである。
「粘着剤」としては、透明性、耐候性、耐熱性、低複屈折性などに優れるアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を用いる。
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」としては、下記式(9)で表されるアルキル(メタ)アクリレートのうち少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する(共)重合体が好ましい。
CH2=CR14COOR15 …(9)
(式中、R14は、水素原子またはメチル基を表し、R15は、炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)
上記式(9)中、R15で表される「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、i−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数3〜8のアルキル基が好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」は、アルキル(メタ)アクリレート以外の単量体に由来する構造単位を有していることが好ましく、このような「アルキル(メタ)アクリレート以外の単量体」としては、硬化剤と反応する官能基を有していればよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体:2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン等の他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物などを挙げることができる。これらの単量体は1種単独でも、2種以上併用してもよい。また、粘着剤としての性能を損なわない範囲で、他の単量体を導入することもできる。
「アルキル(メタ)アクリレート以外の単量体」の配合割合は、特に制限されないが、アルキル(メタ)アクリレート100重量部に対して、「アルキル(メタ)アクリレート以外の単量体」を0.1〜12重量部程度が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」のGPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量としては、1,000,000以上が好ましく、1,500,000〜5,000,000がより好ましく、1,500,000〜3,000,000がさらに好ましい。このように、重量平均分子量が1,000,000以上であると、粘着剤層と他材料との接着性が高まり、高温高湿下で長時間保存しても、発泡や剥離が起こらず、長期信頼性に優れる。
(粘着剤の製造方法)
「アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」の製造方法としては、各種公知の方法を適宜選択でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法などのラジカル重合法が挙げられる。
ラジカル重合法に用いられる「ラジカル重合開始剤」としては、アゾ系、過酸化物系などの各種公知の重合開始剤を使用でき、反応温度は通常50〜85℃程度、反応時間は1〜8時間程度である。
また、上記ラジカル重合法のうち「溶液重合法」が好ましく、その溶液重合法に用いられる「溶媒」としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、トルエンなどの溶液重合法として一般に用いられる溶剤が用いられる。「溶液濃度」は、通常20〜80重量%程度である。
(硬化剤)
粘着剤層を形成する粘着剤組成物に配合することができる「硬化剤」としては、例えば、有機系架橋剤、多官能性金属キレートなどの多官能性化合物が挙げられる。
「有機系架橋剤」としては、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アルデヒド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。
「イソシアネート系化合物」としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート水素化物、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
「エポキシ系化合物」としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチ
ル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
「アルデヒド系化合物」としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
「アミン系化合物」としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
これら有機系架橋剤のうち、イソシアネート系化合物が好ましい。
「多官能性金属キレート」とは、多価金属原子が有機化合物と共有結合または配位結合している有機系架橋剤である。
「多価金属原子」としては、例えば、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。
共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては、例えば、酸素原子などが挙げられ、「有機化合物」としては、例えば、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
接着剤に対する硬化剤の配合割合は、特に制限されないが、通常「アルキル(メタ)ア
クリレート由来の構造単位を有する(共)重合体」(固形分)100重量部に対して、硬化剤(固形分)0.01〜8重量部程度が好ましく、0.05〜5重量部程度がより好ましい。
(添加剤)
上記「粘着剤組成物」には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、充填剤(金属粉や他の無機粉末など)、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤などを、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種の添加剤を適宜含有してもよい。
添加剤は、微粒子の形状であってもよく、このような微粒子を含有する粘着剤層は、光拡散性を示すため好適である。また、添加剤として、低粘度成分のアクリル系ポリマーであってもよい。このようなアクリル系ポリマーとしては、上記粘着剤組成物と相溶性が良く、重量平均分子量が10万以下のものが好ましい。
(粘着剤層の形成方法)
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤組成物を熱架橋する方法、放射線照射処理によって架橋する方法などが挙げられる。
粘着剤組成物を溶剤などに溶解させている場合には、加熱による乾燥の後に架橋することが好ましい。
粘着剤組成物を熱架橋して粘着剤層を形成する場合、上記「硬化剤」を粘着剤組成物に配合することが好ましく、硬化剤が配合された粘着剤組成物を適宜加熱することにより架橋することができる。
放射線照射処理する際に用いる「放射線」としては、特に限定されないが、生産性の観点から電子線および紫外線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
紫外線照射処理する際、光重合開始剤を粘着剤組成物に添加していることが好ましい。
「光重合開始剤」は、硬化させるために供せられる紫外線の波長において効率的に光重合を開始せしめるものであれば特に限定されず、公知のものを使用できる。添加量としては、本発明の粘着剤組成物の重量に対し、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。
粘着剤層の形成手法としては、特に制限されず、例えば、積層光学フィルムまたは下記PVA偏光子の上に、粘着剤組成物を溶剤などに溶解させた溶液を塗布し、溶剤を加熱して揮発させることにより形成する手法や、一旦離型シート上に粘着剤組成物を溶剤などに溶解させた溶液を塗布し、溶剤を加熱して揮発させた後に積層光学フィルムまたは下記PVA偏光子の上に転写する手法などが挙げられる。
なお、粘着剤組成物を塗布する方法としては、流延方式、塗工方式などの展開方式を適宜採用できる他、単量体成分等の混合物などを塗工して放射線照射処理する方式なども採用できる。
また、粘着剤層が表面に露出する場合、その粘着剤層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的としてセパレートフィルムにより仮着カバーすることが好ましい。粘着剤層を介して積層光学フィルム付き偏光板を液晶表示装置の基板に接着させる際、粘着剤層面を基板に押し当て、必要に応じて加熱しながら圧着することにより接着することができる。
粘着剤層のガラス転移温度〔Tg〕は、−50℃以上であることが好ましく、特に好ま
しくは−50℃〜−25℃である。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常5〜50μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜35μmである。粘着剤層の厚さが5μm未満であると、偏光板や積層光学フィルムが基板の寸法変化に追従できずに、浮きや剥がれが発生するおそれがある。また、粘着剤層の厚さが50μmを超えると、光学特性が悪化するおそれがある。
<積層光学フィルム付き偏光板>
本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、上記積層光学フィルムと偏光板とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に上記粘着剤層を有するもの、すなわち該粘着剤層を偏光子の最外面に有する態様であって、該積層光学フィルムと偏光子とが、該粘着剤層を介して積層されている態様であってもよい。
前者の態様である場合、該粘着剤層は液晶表示装置のガラス基板と貼合する際に用いられることから、ガラス基板との貼合に用いるまでの間、セパレートフィルム等により粘着剤層を保護することが好ましい。
本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、固有複屈折値が負の層の面内遅相軸とが互いに直交し、かつ該固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、偏光板の吸収軸とが互いに直交することが好ましい。積層光学フィルム付き偏光板がこのような態様であると、該偏光板を液晶表示装置に用いた場合に、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、かつ画面を斜め方向から見たときのカラーシフト量が小さく、さらに表示ムラが抑制されるため好適である。
(偏光子)
本発明の積層光学フィルム付き偏光板を構成する「偏光子」(偏光膜ともいう。)とは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やPVAの一部をホルマル化したポリマーなどからなるフィルムの表面を、ヨウ素や二色性染料などからなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理などを適当な順序や方法により施して得られるフィルムであって、自然光を入射させると直線偏光となって透過するものである。特に、光の透過率が高く、偏光度の優れたものが好ましく用いられる。
偏光子の厚さとしては、一般に5〜80μmのものが好適に使用されるが、本発明ではこれに限定されない。
偏光子に用いられる「フィルム」としては、PVA系フィルムの他に、同様の特性を発現するものであれば他のものを使用してもよい。例えば、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムであってもよい。
他の好ましい偏光子としては、このようなフィルムの表面を、染色処理、延伸処理、架橋処理などを適当な順序や方法により施して得られる偏光子であってもよく、フィルム上に二色性染料等を塗工し配向させた塗布型の偏光子であってもよいし、ワイヤグリッド型の偏光子であってもよい。
通常、偏光板とは、偏光子とその両面の2枚の透明保護フィルムとから構成され、偏光板が視野角補償の役割も担う場合はさらに位相差フィルムを有する。
本発明では、偏光子の少なくとも一面に、粘着剤層または公知の接着剤や粘着剤を介して積層光学フィルムを貼合して用いることが好ましく、このとき、積層光学フィルムの位相差が上記式(i)〜(iv)を同時に満たす際には、A層側が偏光子に面していてもよいし、B層側が偏光子に面していてもよく、いずれの場合も所定の位相差特性が得られる。また、いずれの場合であっても、粘着剤層による応力緩和により表示ムラが抑えられる
。本発明では、積層光学フィルムが耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの性状に優れ、保護フィルムとしても充分な機能を有するため、偏光子上に本発明の積層光学フィルムが貼合された面には、別途トリアセチルセルロース(TAC)などの公知の透明保護フィルムが積層されていなくてもよい。
積層光学フィルムと偏光子との貼合に公知の接着剤や粘着剤を用いる場合、感圧接着剤、熱硬化接着剤、光硬化性接着剤などを介して各層を接着することにより、好適に製造することができる。
「公知の粘着剤」または「公知の接着剤」としては、透明性に優れたものが好ましく、具体的には、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の粘着剤;水酸基、アミノ基等の官能基を有する前記樹脂等にイソシアナート基含有化合物などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤;ポリウレタン系のドライラミネート用接着剤;合成ゴム系接着剤;エポキシ系接着剤などが挙げられる。
(透明保護フィルム)
本発明の積層光学フィルム付き偏光板において、積層光学フィルムが偏光子の片面のみに積層された構成である場合には、偏光子のもう一方の面は、TACなどの公知の透明保護フィルムが積層されているのが望ましい。偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等が用いられる。本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤を用いてもよい。
公知の透明保護フィルムを形成するポリマーとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー;シクロ系またはノルボルネン構造を有する環状オレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー、およびこれらポリマーのブレンド物なども公知の透明保護フィルムを形成するポリマーとして挙げられる。
公知の透明保護フィルムは、例えば、セルロース系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系ポリマー等の熱硬化型、紫外線硬化型樹脂の硬化層として形成することもできる。これらのうち、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。
透明保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、一般には300μm以下であり、5〜200μmが好ましい。特に10〜150μmとするのが好ましい。
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
また、透明保護フィルムは、光学的に等方であることが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(式中、nxは透明保護フィルム面内の最大屈折率を、nyは透明保護フィルム面内でnxと直交する方向の屈折率を、nzは透明保護フィルム厚さ方向の屈折率を、dはフィルム厚さを表す。)で表されるフィルム厚さ方向の位相差値が、−50nm〜+80nmである透明保護フィルムが好ましく用いられる。特に、偏光子と積層光学フィルムとの間に透明保護フィルム層を設ける場合、積層光学フィルムの視野角補償に影響を与えないようにするため、該透明保護フィルムの厚さ方向位相差(Rth)の絶対値は小さい方が好ましく、より好ましくは−30nm〜+60nm、特に好ましくは−10nm〜+30nmである。
透明保護フィルムは、液晶表示装置に組み込んだ際に最表面に位置する面に、ハードコート層、反射防止層および防眩層を設けたものであってもよい。「ハードコート層」は、積層光学フィルム付き偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による、硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。「反射防止層」は、積層光学フィルム付き偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、適宜な紫外線硬化型樹脂による従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、「防眩層」は、偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。このような「透明微粒子」としては、例えば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の無機系微粒子;架橋または未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などが用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。
(積層光学フィルム付き偏光板の物性)
積層光学フィルム付き偏光板の、日本分光(株)製分光光度計V−7300を用いて測定された単体透過率は、38〜44%が好ましく、39〜43%がより好ましい。また、同様にして測定された積層光学フィルム付き偏光板の偏光度は、99.50〜99.99%が好ましく、99.70〜99.99%がより好ましい。積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度が上記範囲内であると、液晶表示装置のコントラスト比が高くなることから好適である。
積層光学フィルム付き偏光板を用いて、ELDIM(株)製の「EZContrast−XL88」により照度1lx以下の暗室にて測定された液晶パネルの正面コントラスト比は、2,000〜10,000が好ましく、3,000〜7,000がより好ましく、斜めコントラスト比は、50〜200が好ましく、80〜170がより好ましい。また、同様にして測定されたカラーシフト(Δu’v’)は、0.00〜0.10が
好ましく、0.00〜0.05がより好ましい。積層光学フィルム付き偏光板を用いた液晶パネルのコントラスト比およびカラーシフトが上記範囲内であると、液晶パネルを画面表示したときの正面、斜め方向の視覚特性が良好であることから好適である。
なお、「積層光学フィルム付き偏光板を用いた液晶パネル」とは、三星電子(株)製液晶テレビ(型番LN40R81BD)の液晶パネルの観察者側の前面および背面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥がし、この剥がした箇所に、ネガティブCプレート偏光板を背面に、積層光学フィルム付き偏光板を前面に、それぞれ元々貼合されていた偏光板の透過軸と同一にして、偏光板に設けられた粘着剤層を介して貼合したものである
(このとき背面、前面ともに偏光板に付属した積層光学フィルムが、液晶セル側に位置することになる。)。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、本発明の積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、画面を斜め方向から見たときのカラーシフトが小さく、応力によって所定外の位相差が発生することに起因する表示ムラが少ない。また、場所による厚さムラおよび光学ムラ(位相差バラツキなど)が小さい積層光学フィルム付き偏光板を有するため、均一な表示が可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。また、「室温」は25℃である。
調製した共重合体やフィルムの各種物性値測定および評価は以下のようにして行った。
(1)重合反応率
アルミニウム製容器中に秤量した重合反応溶液を入れ、300℃に熱したホットプレートで恒温となるまで加熱し、残留モノマーおよび溶媒を除去した後、残留した重合体重量を計測し、理論上の重合体生成量との比から重合反応率(%)を求めた。
(2)水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)としてBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒としてd−クロロホルムにより1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビ
ニレン基、3.7ppmのメトキシ基および0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率(%)を算出した。
(3)ガラス転移温度〔Tg〕
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、JIS K7121に従って昇温速度:20℃/minの条件でガラス転移温度〔Tg〕(℃)測定した。
(4)数平均分子量〔Mn〕、重量平均分子量〔Mw〕および分子量分布〔Mw/Mn〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量〔Mw〕および分子量分布〔Mw/Mn〕を測定し、併せて数平均分子量〔Mn〕を求めた。
(5)対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロベンゼン中、試料濃度0.5g/dL、温度30
℃とし、対数粘度(dL/g)を測定した。
(6)引張り弾性率
離型処理したPETフィルム上に粘着剤組成物を厚さ0.5〜1mmになるよう塗布して製膜し、15mm×50mmサイズに切り出してPETフィルムから剥がし測定サンプ
ルを作製した。23℃において、引張り試験機(インストロン製)を用いて、引張り速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件でサンプルを引張り、応力−歪み曲線を求め、引張り弾性率(MPa)を求めた。
(7)面内位相差およびNZ係数
自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて、フィルムの複屈折率を測定した。波長478.8nm、546.0nm、629.3nmおよび747.3nmでの実測値をコーシーの式で回帰計算することにより、波長450nm、550nmおよび650nmでの面内位相差R450、R550およびR650をそれぞれ求めた。フィルムの面内位相差と、遅相軸傾斜で極角40度からの斜め方向位相差と、フィルム厚みと、フィルム平均屈折率とからNZ係数を求めた。
(8)単体透過率および偏光度
日本分光(株)製分光光度計V−7300を用い、偏光板の単体透過率(%)および偏光度(%)を測定した。
(9)各層の厚さ
積層光学フィルムの断面を削り出し、光学顕微鏡で観察して測定した。断面が顕微鏡観察に適さない場合、断面部分をエポキシ樹脂に包埋し、大和光機(株)製ミクロトームRV−240を用いてスライスし、断面を明確にした上で光学顕微鏡により観察して測定した。
(10)密着性の評価
積層光学フィルムを両面テープでガラス板に貼り付け、層間にカッター刃を入れて剥離させるという方法で密着性を確認した。カッター刃が層間に入らず、剥離もしないものを「◎」、カッター刃が層間に入り、剥離箇所を作製することはできるが、そこから連続的に剥離させることはできないものを「○」、カッター刃が層間に入り、その剥離箇所から連続的に剥離するものを「×」とした。
(11)コントラスト比およびカラーシフト
ELDIM(株)製の「EZContrast−XL88」を用い、液晶パネルの正面コントラスト比、斜めコントラスト比およびカラーシフト(Δu’v’)を照度1l
x以下の暗室にて測定した。
斜めコントラスト比およびカラーシフトについては、液晶パネルに正対したときに、パネル面内の水平方向の右方向を0度としたときの方位角(反時計回りを正と定義)とパネル面内に対する法線方向を0度とした極角を定義し、極角が60度で方位角が45度、135度、225度、315度の4つの測定値を平均して求めた。
コントラスト比は白表示時の輝度を黒表示時の輝度で除した値として算出し、カラーシフトは、黒表示において正面から測定したu’v’色座標と前述の斜め方向から測定したu’v’色座標の座標距離として算出した。
(12)乾熱試験および湿熱試験
A4サイズの積層光学フィルム付き偏光板を、積層光学フィルム表面に積層された粘着剤層を介してガラス基板に貼合し、乾熱試験(80℃×500時間)および湿熱試験(60℃×90%RH×500時間)をそれぞれ実施した。室温に戻した後、粘着層の剥離や気泡の発生を目視または光学顕微鏡で確認するとともに、他の市販偏光板と本発明の積層光学フィルム付き偏光板とでクロスニコル配置とし、積層光学フィルムが2枚の偏光子の間に位置するようにし、光漏れの状態を目視観察した。それぞれの場合において、粘着層
の剥離や気泡の発生、および光漏れが観察されないものを「○」、粘着層の剥離や気泡の発生、または光漏れが観察されたものを「△」、粘着層の剥離や気泡の発生、および光漏れがいずれも観察されたものを「×」とした。
(13)表示ムラの評価
A4サイズの積層光学フィルム付き偏光板を、積層光学フィルム表面に積層された粘着剤層を介して液晶パネルに貼合し、40℃×55%RHの条件下で1週間養生した後、バックライトを点灯し2時間経過した後の表示ムラの状態を目視観察した。表示ムラが観察されなかったものを「○」、表示ムラが観察されたものを「×」とした。
[合成例1]正の材料:環状オレフィン系樹脂(A1)の合成
下記式(10)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン215部と、下記式(11)で表されるビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン35部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。
Figure 2010060618
次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として(C253Al(トリエチルアルミニ
ウム;1.5モル/L)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性したWCl6(六塩化タングステン;t−ブタノール:メタノール:タングステン
=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/L)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合反応率は97%であり、得られた開環共重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dL/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反
応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「環状オレフィン系樹脂(A1)」ともいう。)を得た。
このようにして得られた環状オレフィン系樹脂(A1)について、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度〔Tg〕は125℃、数平均分子量〔Mn〕は32,000、重量平均分子量〔Mw〕は137,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は4.29、対数粘度
は0.69dL/gであった。これら物性値を表1に示す。
[合成例2]正の材料:環状オレフィン系樹脂(A2)の合成
合成例1において、上記式(10)で表される化合物および上記式(11)で表される化合物の代わりに、下記式(12)で表されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン53部と、下記式(13)で表される8−エチリデンテトラシクロ[
4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン46部と、下記式(14)で表されるトリ
シクロ[4.3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエン66部とを用い、1−ヘキセン(
分子量調節剤)の添加量を18部から22部に変更し、開環重合反応用溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを用いたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体である環状オレフィン系樹脂(A2)を得た。
Figure 2010060618
得られた環状オレフィン系樹脂(A2)について、重合反応率は97%、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度〔Tg〕は125℃、数平均分子量〔Mn〕は30,000、重量平均分子量〔Mw〕は122,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は4.07、対数粘度は0.63dL/gであった。これら物性値を表1に示す。
[合成例3]負の材料:ビニル芳香族系樹脂(B1)の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計を備え窒素置換したガラス製フラスコにスチレン126.88g(1.22モル)、メタクリル酸15.65g(0.182モル)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7ミリモル)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、重合反応率を測定したところ90%であった。
得られた重合反応溶液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより共重合体を回収・精製し、80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させた。得られたビニル芳香族系樹脂(B1)の分子量、対数粘度をそれぞれ測定したところ、数平均分子量〔Mn〕は95,000、重量分子量〔Mw〕は223,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は2.35、対数粘度は0.54dL/g、収率は85%であった。共重合体に含有されているスチレン由来の構造単位とメタクリル酸由来の構造単位の比は、スチレンとメタクリル酸との仕込み比と同様であった。得られた重合体はスチレン−メタクリル酸共重合体でありガラス転移温度〔Tg〕は128℃であった。これら物性値を表1に示す。
[合成例4]負の材料:ビニル芳香族系樹脂(B2)の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン127.87g(1.23モル)、無水マレイン酸13.33g(0.136モル)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7ミリモル)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、重合反応率を測定したところ87%であった。
得られた重合反応溶液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより重合体を回収・精製し、80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させた。得られたビニル芳香族系樹脂(B2)の分子量、対数粘度をそれぞれ測定したところ、数平均分子量〔Mn〕は73,000、重量分子量〔Mw〕は135,000、分子量分布〔Mw/Mn〕1.85、対数粘度は0.46dL/g、収率は80%であった。共重合体に含有されているスチレン由来の構造単位と無水マレイン酸由来の構造単位の比は、スチレンと無水マレイン酸との仕込み比と同様であった。得られた共重合体はスチレン−無水マレイン酸共重合体であり、ガラス転移温度〔Tg〕は128℃であった。これら物性値を表1に示す。
[調製例1]粘着剤組成物(C1)の調製
アセトン206部と、ブチルアクリレート210部と、アクリル酸1.2部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を55℃に加熱した後、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.021部をアセトン5部に
溶かした溶液を添加した。このとき、単量体の濃度は50%であった。1時間攪拌後、55℃の温度条件下で8時間かけてアセトンを滴下し、単量体の濃度を35%とした。滴下終了後、反応温度55℃の条件下で3時間攪拌した後、酢酸エチルを加えて単量体の濃度を20%に調製した。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕は約1,570,000であった。
得られた重合体溶液の固形分100部に対して、ポリブチルアクリレート(〔Mw〕=4,000)21部、イソシアネート系架橋剤4部、シランカップリング剤0.4部を添加し充分攪拌し粘着剤組成物(C1)を調製した。該粘着剤組成物(C1)の引張り弾性率は0.12MPaであった。これら物性値を表1に示す。
[調製例2]粘着剤組成物(C2)の調製
調製例1において、ラジカル重合開始剤の添加量を0.148部に変更したこと以外は調製例2と同様にして、重合体溶液を得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は約780,000であった。
得られた重合体溶液に、調製例1と同様にイソシアネート系架橋剤およびシランカップリング剤を添加し、ポリブチルアクリレートは添加せず、充分攪拌し粘着剤組成物(C2)を調製した。該粘着剤組成物の引張り弾性率は0.3MPaであった。これら物性値を表1に示す。
[調製例3]水系接着剤の調製
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にブチルアクリレート90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン(登録商標)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。
次いで、エバポレータを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系接着剤(極性基を有する接着剤)を得た。
このようにして得られた水系接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法による数平均分子量〔Mn〕は69,000、重量平均分子量〔Mw〕は135
,000、分子量分布〔Mw/Mn〕は1.96であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dL/gであった。これら物性値を表1に示す。
[製造例1]偏光子および偏光板の製造
膜厚120μmの、ロール状のポリビニルアルコール(PVA)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、連続的に延伸倍率3倍で長手方向に一軸延伸(前延伸)した後、ホウ酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で長手方向に一軸延伸(後延伸)して、乾燥処理をして偏光子を得た。続いて得られた偏光子の一方の面に厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)製フィルムを濃度5%のPVA水溶液からなる接着剤を用いて貼付し、もう一方の面に調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ厚さ20μmの粘着剤層を形成し、偏光板(P−C1)を得た。同様に粘着剤組成物(C1)の代わりに調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用い偏光板(P−C2)を得た。
また、上記方法で偏光子の片面にTACフィルムを貼合し、もう一方の面は未処理である偏光板(P−C3)、偏光子の両面にTACフィルムを貼合し粘着剤層は設けていない偏光板(P−C4)も作製した。
[製造例2]位相差フィルム(ネガティブCプレート)付き偏光板(P0)の製造
合成例1で得られた環状オレフィン系樹脂(A1)をトルエンに濃度30%になるように溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を樹脂100重量部に対して0.3重量部添加した。
その後、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて、3段ベントにより、溶剤を脱気しながら、ギヤポンプを用いて下流に押出を行い、ストランドダイより流出させた樹脂を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、ペレットを得た。
このペレットを窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながらギヤポンプで定量押出を実施し、コートハンガー型のダイを用いて260℃で膜状に押出し、125℃に設定した鏡面ロールにキャストした。続いて鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムは、鏡面ロールの下流側に設けた2本の冷却ロールに圧着させ冷却した。冷却ロールの後でフィルムを剥離し、片面にマスキングフィルムを貼合して巻き取り機で巻き取り、厚さ150μmの環状オレフィン系樹脂原反フィルムロール(FA1)を得た。
この原反フィルムロール(FA1)を、延伸温度133℃、延伸倍率1.6倍で縦延伸し、次いで延伸温度135℃、延伸倍率2.4倍でテンター横延伸し、厚さ68μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差R550=0〜2nmであり、平均Rth=190nmであった。なお、「Rth」とは、厚さ方向位相差を表す指標の1つであり、{(nx+ny)/2−nz}×dで表される。ここで、nxは位相差フィルム面内の最大屈折率、nyは面内でnxに直交する方向の屈折率、nzはnxおよびnyに対して直交する位相差フィルム厚さ方向の屈折率を表し、dはフィルム厚み(nm)である。
この延伸フィルムを製造例1で得た偏光板(P−C3)のTACを貼合していない面に、ロール状のフィルムを揃えるようにして、調製例3で得た水系接着剤を用いて両者を連続的に貼合した。次いで偏光板(P−C3)と貼合していない側の位相差フィルム面に、
調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ25μm厚みの粘着剤層を形成し、ネガティブCプレート偏光板(P0)を得た。得られた偏光板の単体透過率は42.1%、偏光度は99.9%であった。これら物性値を表1に示す。
Figure 2010060618
[実施例1]
(積層光学フィルム(F1)の製造)
環状オレフィン系樹脂(A1)ペレットと、ビニル芳香族系樹脂(B1)ペレットとを、それぞれ乾燥空気を流した熱風乾燥機を用いて100℃で5時間乾燥した。これらのペレットを、65mmφスクリューおよび50mmφスクリューを有する2系列の溶融押出成形機を用いて、溶融樹脂温度260℃、Tダイリップ開口幅600mmの条件で共押出し成形することにより、A1層(150μm)/B1層(65μm)の構成の原反フィルムロールを得た。
この原反フィルムロールを、延伸温度132℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ71μmの積層光学フィルム(F1)を得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R450=83nm、R550=95nm、R650=101nmであり、NZ=1.50であった。
この積層光学フィルムの密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
(積層光学フィルム付き偏光板(P1)の製造および液晶表示装置の評価)
得られた積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得られた粘着剤組成物(C1)を塗布し、乾燥させ25μm厚さの粘着剤層を形成した。製造例1で得られた偏光板(P−C4)にロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層が偏光板(P−C4)側に面するようにして両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム付き偏光板(P1)が得られた。該偏光板(P1)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。
この偏光板の特性を評価するため、三星電子(株)製液晶テレビ(型番LN40R81BD)の液晶パネルの観察者側の前面および背面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥がし、この剥がした箇所に、製造例2で得られたネガティブCプレート偏光板(P0)を背面に、積層光学フィルム付き偏光板(P1)を前面に、それぞれ元々貼合されていた偏光板の透過軸と同一にして、偏光板に設けられた粘着剤層を介して貼合した。このとき背面、前面ともに偏光板に付属した位相差フィルム(積層光学フィルム)が、液晶セル側に位置することになる。
この偏光板を有する液晶テレビの正面コントラスト比は5160、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P1)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
(積層光学フィルム付き偏光板(P1’)の製造および液晶表示装置の評価)
偏光板(P−C4)と積層光学フィルム(F1)を貼合する際、環状オレフィン系樹脂層が偏光板側に面するようにした他は、上記積層光学フィルム付き偏光板(P1)と同様にして積層光学フィルム付き偏光板(P1’)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。
積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P1’)を用い、上記と同様にして液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5130、斜めコントラスト比は105と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P1’)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
[実施例2]
積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得られた粘着剤組成物(C1)を塗布し、製造例1で得られた偏光板(P−C1)とを、ロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層が偏光板(P−C1)側に面するようにして両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム付き偏光板(P2)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板(P2)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.1%および99.9%であった。
積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P2)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5180、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P2)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
積層光学フィルム付き偏光板(P1)と積層光学フィルム付き偏光板(P2)は、いずれも偏光板と積層光学フィルムとを、粘着剤組成物(C1)からなる粘着剤層を介して貼合したものであり、偏光子と粘着剤層の間にTACフィルムが存在するかどうかが異なる。液晶表示装置の評価の結果、いずれの場合も表示品位は良好であった。
[実施例3]
積層光学フィルム(F1)の両面に調製例1で得た粘着剤組成物(C1)を塗布し、製造例1で得られた偏光板(P−C3)とを、ロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光子の吸収軸である延伸方向と積層光学フィルムの延伸方向が直交にする)、ビニル芳香族系樹脂層と偏光板(P−C3)の偏光子側が面するようにして、調製例3で得られた水系接着剤を用いて両者を連続的に貼合し、積層光学フィルム付き偏光板(P3)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板(P3)の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.1%および99.9%であった。
積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P3)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5150、斜めコントラスト比は100と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P3)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
積層光学フィルム付き偏光板(P2)と積層光学フィルム付き偏光板(P3)は、偏光
子と積層光学フィルムとを貼合する際、粘着剤組成物(C1)からなる粘着剤層を介して貼合したか、水系接着剤を介して貼合したかが異なる。液晶表示装置の評価の結果、いずれの場合も表示品位は良好であった。
[実施例4]
(積層光学フィルム(F2)の製造)
環状オレフィン系樹脂として(A2)を用いた他は実施例1と同様にして、A2層(150μm)/B1層(65μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールを、延伸温度132℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ72μmの積層光学フィルム(F2)を得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R450=86nm、R550=95nm、R650=100nmであり、NZ=1.52であった。この積層光学フィルムの密着性を確認したところ、剥離箇所を作製することはできたが、剥離途中で破断し、連続的には剥離しなかった。
(偏光板(P4)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(F1)の代わりに積層光学フィルム(F2)を用いた他は実施例1と同様にして偏光板(P4)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.9%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P4)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5050、斜めコントラスト比は100と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P4)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
環状オレフィン系樹脂が好ましい構造単位を有していないため層間の密着性が完全ではないが、偏光板の製造および液晶表示装置の評価において、積層光学フィルムの層間に剥離は発生せず、表示品位も良好であり実用上は問題とならなかった。
[実施例5]
(積層光学フィルム(F3)の製造)
ビニル芳香族系樹脂として(B2)を用いた他は実施例1と同様にして、A1層(150μm)/B2層(68μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールを、延伸温度132℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ72μmの積層光学フィルム(F3)を得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R450=84nm、R550=95nm、R650=101nmであり、NZ=1.47であった。この積層光学フィルムの密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
(積層光学フィルム付き偏光板(P5)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(F1)の代わりに積層光学フィルム(F3)を用いた他は実施例1と同様にして積層光学フィルム付き偏光板(P5)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P5)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5130、斜めコントラスト比は105と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P5)について、乾熱試験および湿熱試験を行った
ところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。これらの結果を表2に示す。
[比較例1]
(光学フィルム(F4)の製造)
製造例2で得た厚さ150μmの環状オレフィン系樹脂フィルムロール(FA1)を、延伸温度140℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ52μmの光学フィルム(F4)を得た。この光学フィルムの面内位相差R450=111nm、R550=110nm、R650=109nmであり、NZ=1.33であった。
(光学フィルム付き偏光板(P6)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(F1)の代わりに光学フィルム(F4)を用いた他は実施例1と同様にして光学フィルム付き偏光板(P6)を得た。得られた光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.2%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに光学フィルム付き偏光板(P6)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5160、斜めコントラスト比は85と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.11であった。
この光学フィルム付き偏光板(P6)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれも粘着層の剥離や気泡の発生、光漏れが観察されなかった。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際も表示ムラは見られなかった。表示ムラは見られず良好であるが、光学フィルム(F4)が逆波長分散性を有しないためΔu’v’値が大きくなり、カラーシフトは改良されなかった。これらの結果を表2に示す。
[比較例2]
積層光学フィルム(F1)の両面に塗布する粘着剤として、調整例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例1と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P7)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P7)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5150、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.03であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P7)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれもA4サイズの4隅で光漏れが観察された。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際にも、偏光板の周辺部で黒表示時に光漏れが見られた。コントラスト比およびカラーシフトを1点だけ測定した値は、逆波長分散性を有する積層光学フィルム(F1)を用いたため、上述のように良好ではあったものの、発生した応力を粘着剤層で緩和しきれず、偏光板の周辺部で光漏れが発生した。これらの結果を表2に示す。
[比較例3]
偏光板(P−C2)を用いたことと、積層光学フィルム(F1)の環状オレフィン系樹脂層側に塗布する粘着剤として、調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例2と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P8)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および9
9.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P8)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5170、斜めコントラスト比は110と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P8)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれもA4サイズの4隅で光漏れが観察された。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際にも、偏光板の周辺部で黒表示時に光漏れが見られた。比較例2と同様に逆波長分散性を有する積層光学フィルム(F1)を用いたため、コントラスト比およびカラーシフトの測定値は、上述のように良好であったものの、発生した応力を粘着剤層で緩和しきれず、偏光板の周辺部で光漏れが発生した。これらの結果を表2に示す。
比較例2と比較例3とは、偏光子と粘着剤(C2)層の間にTACフィルムを有するかどうかが異なるが、いずれも光漏れが発生した。
[比較例4]
積層光学フィルム(F2)の両面に塗布する粘着剤として、調製例2で得た粘着剤組成物(C2)を用いた他は実施例4と同様にして、積層光学フィルム付き偏光板(P9)を得た。得られた積層光学フィルム付き偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。積層光学フィルム付き偏光板(P1)の代わりに積層光学フィルム付き偏光板(P9)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶テレビのコントラスト比を測定したところ、正面コントラスト比は5090、斜めコントラスト比は100と高い数値であり、また黒表示状態でのカラーシフトを測定したところ、Δu’v’=0.04であった。
この積層光学フィルム付き偏光板(P9)について、乾熱試験および湿熱試験を行ったところ、いずれもA4サイズの4隅で光漏れが観察され、偏光板の端部のところどころに剥離が見られた。また、表示ムラを確認したところ、液晶パネルに貼合し養生した後、バックライトを点灯させた際にも、偏光板の周辺部で黒表示時に光漏れが見られた。これらの結果を表2に示す。
発生した応力を粘着剤層で緩和しきれず、偏光板の周辺部で光漏れが発生した。加えて、環状オレフィン系樹脂が好ましい構造単位を有していないため層間の密着性が完全ではなく、発生した応力により積層光学フィルムの層間に一部剥離が発生した。
フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図1〜図5に示す(ただし調製例3の水系接着剤を用いた接着剤層は省略した)。
Figure 2010060618
本発明の積層光学フィルム付き偏光板は、様々な光学部品に好適である。光学部品として、例えば、液晶テレビ、液晶モニタ、携帯電話、カーナビゲーション、携帯ゲーム機、デジタル情報端末などの各種液晶表示装置、液晶プロジェクタ、エレクトロルミネッセンス表示素子;またはITO等の透明導電膜を設けてタッチパネルなどが挙げられる。また、光ディスクの記録・再生装置の光学系に使用される波長板;カメラ等の光学系に使用される近赤外カットフィルム、反射防止用や光学素子用の円偏光板または楕円偏光板としても好適である。
図1は、実施例1で積層光学フィルム付き偏光板(P1)を用いた場合、実施例4、実施例5、比較例2および比較例4の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。 図2は、実施例1で積層光学フィルム付き偏光板(P1’)を用いた場合の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。 図3は、実施例2および比較例3の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。 図4は、実施例3の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。 図5は、比較例1の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。
符号の説明
1・・・偏光子
2・・・環状オレフィン系樹脂層
3・・・ビニル芳香族系樹脂層
4・・・透明保護フィルム(TAC)
5・・・液晶セル
6・・・粘着剤層
7・・・積層光学フィルム
8・・・積層光学フィルム付き偏光板
9・・・ネガティブCプレート偏光板

Claims (13)

  1. 固有複屈折値が正の層および固有複屈折値が負の層を有する積層光学フィルムと、偏光子とが積層され、偏光子が積層されていない該積層光学フィルムの表面に粘着剤層を有し、
    該粘着剤層が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する(共)重合体を含有し、かつ引張り弾性率が、0.2MPa以下である粘着剤組成物から形成されることを特徴とする積層光学フィルム付き偏光板。
  2. 上記積層光学フィルムと偏光子とが、上記粘着剤層を介して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  3. 固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、固有複屈折値が負の層の面内遅相軸とが互いに直交し、
    かつ該固有複屈折値が正の層の面内遅相軸と、偏光板の吸収軸とが互いに直交することを特徴とする請求項1または2に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  4. 固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とを共押出法により積層製膜し、原反フィルムを得る工程、および
    該原反フィルムをフィルム長手方向に対して垂直に一軸延伸し、積層光学フィルムを得る工程
    を含む製造方法を用いて、上記積層光学フィルムを作製することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  5. 上記積層光学フィルムが、下記式(i)〜(iv)のいずれも満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
    R450<R550<R650 …………(i)
    1.0<R650/R550<1.2 …(ii)
    70nm≦R550≦150nm ………(iii)
    1.0≦NZ≦3.0 ……………………(iv)
    (式(i)〜(iii)中、R450、R550およびR650は、それぞれ波長450nm、550nmおよび650nmにおける積層光学フィルムの面内位相差を表し;
    式(iv)中、NZは、波長550nmにおいて、(nx−nz)/(nx−ny)により表される係数を示し、nxは、積層光学フィルム面内での最大屈折率を表し、nyは、積層光学フィルム面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する積層光学フィルム厚さ方向の屈折率を表す。)
  6. 固有複屈折値が正の層が、環状オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  7. 環状オレフィン系樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体からなることを特徴とする請求項6に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
    Figure 2010060618
    (式(1)中、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、
    Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基を示し、
    1〜R4は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
    (i)水素原子、
    (ii)ハロゲン原子、
    (iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
    (iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
    (v)極性基、
    (vi)R1とR2および/またはR3とR4が一体化して形成された2価の炭化水素基、
    (vii)R1またはR2と、R3またはR4とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
    Figure 2010060618
    (式(2)中、Yは、独立に、式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基を示し、
    5〜R8は、それぞれ独立に、下記(i)〜(vii)より選ばれるものを表す。
    (i)水素原子、
    (ii)ハロゲン原子、
    (iii)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
    (iv)酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有さない置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
    (v)極性基、
    (vi)R5とR6および/またはR7とR8が一体化して形成された2価の炭化水素基、
    (vii)R5またはR6と、R7またはR8とが相互に結合して形成された単環または多環の炭素環もしくは複素環。)
  8. 固有複屈折値が負の層が、ビニル芳香族系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  9. ビニル芳香族系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル酸由来の構造単位とを有する共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  10. ビニル芳香族系樹脂が、スチレン由来の構造単位と、無水マレイン酸由来の構造単位とを有する共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  11. 固有複屈折値が正の層と固有複屈折値が負の層とが、直接接していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  12. 固有複屈折値が正の層のガラス転移温度と、固有複屈折値が負の層のガラス転移温度との差が、20℃以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の積層光学フィルム付き偏光板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
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