JP6920921B2 - ナノセルロース含有樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノセルロースを含有する樹脂組成物等に関する。
セルロースナノファイバー(CNF)のようなナノセルロースは、通常、ナノサイズの細いミクロフィブリルで構成されており、用途展開が期待される材料である。
例えば、特許文献1では、セルロースナノファイバー分散液中で、エチレン性不飽和単量体を共重合させ、セルロースナノファイバーとエチレン性不飽和単量体からなる共重合体を含有する複合体を製造する技術が開示されている。
特開2016−155897号公報
本発明の目的は、ナノセルロースを含有する新規な組成物(樹脂組成物)を提供することにある。
前記のように、ナノセルロースの用途展開が期待されるものの、現在のところ、その開発は道半ばである。
このような中、本発明者は、樹脂の中でも、環構造(ラクトン環構造など)を有するアクリル樹脂という特定の樹脂を選択し、ナノセルロースと組み合わせることで、新規な組成物(複合材料)が得られること等を見出し、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の発明等を含む。
[1]
樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が環構造を1質量%以上有するアクリル樹脂(A1)を含む組成物。
[2]
樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が、少なくともラクトン環及び/又はマレイミド構造(特に少なくともラクトン環)を含む環構造を有するアクリル樹脂(A1)を含む組成物。
[3]
樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が、環構造を有するアクリル樹脂(A1)を含み、ナノセルロース(B)の割合が樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下である組成物。
[4]
樹脂(A)全体に対するアクリル樹脂(A1)の割合が50質量%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
ナノセルロース(B)が、セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルから選択された少なくとも1種を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
アクリル樹脂(A1)が、ラクトン環及び/又はマレイミド構造(特に、ラクトン環)を含む環構造を5〜60質量%含み、
ナノセルロース(B)が、セルロースナノファイバーを含み、
ナノセルロース(B)の割合が、樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの50μm平面圧子を用いて測定されたユニバーサル硬度が、4N/mm以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの内部ヘイズが0.5以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物で形成された(又は組成物を含む)成形体。
[10]
フィルム(例えば、光学フィルム)である[9]記載の成形体。
本発明では、ナノセルロースを含有する新規な組成物(樹脂組成物)を提供できる。
このような組成物では、樹脂成分としての環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースとの組み合わせにより、優れた物性(例えば、高強度、高硬度、ハードコート性、低熱線膨張係数、良好な寸法安定性など)を実現しうる。
特に、このような優れた物性は、意外なことに、ナノセルロースの含有割合が小さくても、実現しやすい。
また、このような組成物では、ナノセルロースを含んでいても、透明性や耐熱性を損なうことがない。そのため、透明性や耐熱性を維持しつつ、上記のような物性を実現しうる。
<組成物>
本発明の組成物(樹脂組成物)は、樹脂(A)とナノセルロース(B)とを含む。
・樹脂(A)
樹脂(A)は、少なくとも環構造を有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂(A1)などという)を含む。
[アクリル樹脂(A1)]
アクリル樹脂(A1)を構成するアクリル樹脂は、通常、(メタ)アクリル酸エステル単位[(メタ)アクリル酸エステル由来の単位(構造単位)]を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1−18アルキル)等]、脂環族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル等の(メタ)アクリル酸C3−20シクロアルキル)、架橋環式(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル)等]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸o−トリル等の(メタ)アクリル酸C6−20アリール)、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルには、置換基(例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基等)を有する(メタ)アクリル酸エステルも含まれる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1−12アルキル)等]、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等のメタクリル酸C1−12アルコキシC1−12アルキル等)]、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種又は2種以上組み合わせて(メタ)アクリル酸エステル単位を構成してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、所望の物性にもよるが、特に、メタクリル酸エステル単位を少なくとも含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成するメタクリル酸エステルとしては、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸C1−18アルキル、好ましくはメタクリル酸C1−12アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸C3−20シクロアルキル、好ましくはメタクリル酸C3−12シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル等)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o−トリル、メタクリル酸m−トリル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸2,3−キシリル、メタクリル酸2,4−キシリル、メタクリル酸2,5−キシリル、メタクリル酸2,6−キシリル、メタクリル酸3,4−キシリル、メタクリル酸3,5−キシリル、メタクリル酸1−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル等のメタクリル酸C6−20アリール、好ましくはメタクリル酸C6−10アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、メタクリル酸エステル単位の中でも、メタクリル酸アルキルエステル単位(例えば、メタクリル酸C1−18アルキル単位)を少なくとも含むことが好ましく、特にメタクリル酸メチル単位を少なくとも含むことがさらに好ましい。
なお、アクリル樹脂(A1)は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の他の重合性単量体(モノマー)由来の単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、酸基含有モノマー(メタクリル酸、アクリル酸など)、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のC2−10アルケン)、アミド基含有ビニル系単量体[例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミドなどのN−シクロアルキル(メタ)アクリルアミド;N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのN−アリール(メタ)アクリルアミド;N−ベンジル(メタ)アクリルアミドなどのN−アラルキル(メタ)アクリルアミドなど)など]、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルなどのアルキルエステル)などが挙げられる。
他のモノマーは、1種又は2種以上組み合わせて他のモノマー由来の単位を構成してもよい。
アクリル樹脂(A1)(又はアクリル樹脂(A1)の構成単位)中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)の範囲から選択でき、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上、70質量%以上などであってもよい。
アクリル樹脂(A1)がメタクリル酸エステル単位を含む場合、アクリル樹脂(A1)(又はアクリル樹脂(A1)の構成単位)中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上の範囲から選択でき、20質量%以上、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上、70質量%以上などであってもよい。
アクリル樹脂(A1)がメタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上などであってもよい。
アクリル樹脂(A1)がメタクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上などであってもよい。
なお、アクリル樹脂(A1)がメタクリル酸メチル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸メチル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上などであってもよい。
(環構造)
アクリル樹脂(A1)は、環構造(環状構造)を有する。この環構造は、通常、アクリル樹脂(ポリマー鎖)の主鎖に有する。
なお、アクリル樹脂が環構造を有することにより、アクリル樹脂において種々の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、光学特性、寸法安定性、形状安定性など)を、付与、改善又は向上しうる。
環構造としては、例えば、環状イミド構造(例えば、マレイミド構造、グルタルイミド構造など)、環状無水物構造(例えば、無水マレイン酸構造、無水グルタル酸構造など)、環状アミド構造(例えば、ラクタム構造など)、環状エステル構造(例えば、ラクトン環構造など)などが挙げられる。
アクリル樹脂(A1)は、1種又は2種以上の環構造を有していてもよい。なお、2種以上の環構造を有する場合、2種以上の環構造は、同系統の環構造(例えば、2種以上の環状イミド構造など)であってもよく、異なる系統の環構造(例えば、環状イミド構造とラクトン構造との組み合わせなど)であってもよい。
グルタルイミド構造及び無水グルタル酸構造としては、例えば、以下の式(1)で表される構造が挙げられる。
Figure 0006920921
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基であり、Rは水素原子又は置換基であり、Xは酸素原子又は窒素原子である。Xが酸素原子のときn=0であり、Xが窒素原子のときn=1である。)
式(1)のR1及びR2において、アルキル基としては、例えば、C1−8アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)等が挙げられる。
1およびR2は、特に、水素原子またはC1−4アルキル基であるのが好ましい。
式(1)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基などが挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
式(1)のRにおいて、脂肪族基としては、例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)等が挙げられる。これらのアルキル基のなかでも、C1−4アルキル基、特にメチル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、脂環族基としては、例えば、C3−12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)が挙げられる。これらのシクロアルキル基のなかでも、C3−7シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、芳香族基としては、例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビナフチル基、アントリル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。これらの芳香族基のなかでも、フェニル基およびトリル基が好ましい。
代表的には、式(1)において、R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R3が、C1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基又はC6−20芳香族基であってもよく、好ましくは、R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R3が、C1−4アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C6−20アリール基又はC7−20アラルキル基であってもよく、さらに好ましくは、R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R3が、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基又はトリル基であり、最も好ましくは、R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R3がシクロヘキシル基又はフェニル基であってもよい。
なお、環構造は、式(1)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
特に、環構造が、式(1)で表される構造を有する場合、環状非無水物構造であるグルタルイミド構造(すなわち、式(1)において、Xが窒素原子である構造)を有するのが好ましい。
なお、無水グルタル酸構造(すなわち、式(1)において、Xが酸素原子である構造)は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させたり光学特性を変動させる虞がある。そのため、環構造は、無水グルタル酸構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
無水マレイン酸構造及びマレイミド構造としては、例えば、以下の式(2)で表される構造が挙げられる。
Figure 0006920921
(式中、R、Rは互いに独立して水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子又は置換基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子のときn=0であり、Xが窒素原子のときn=1である。)
式(2)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基{例えば、アルキル基[例えば、C1−6直鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、C1−6分岐アルキル基(例えば、イソプロピル基等)等のC1−6アルキル基等]等}、脂環族基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3−20シクロアルキル基等)、芳香族基{例えば、C6−20芳香族基[例えば、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、C6−20アリール基(例えば、フェニル基等)]}などが挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
が酸素原子のとき、式(2)により示される環構造は無水マレイン酸構造となる。
一方、Xが窒素原子のとき、式(2)により示される環構造はマレイミド構造となる。
式(2)において、Xが窒素原子のとき、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、RがC3−20シクロアルキル基又はC6−20芳香族基であってもよく、より好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子、Rがシクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基であってもよい。
環構造は、式(2)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
特に、環構造が、式(2)で表される構造を有する場合、環状非無水物構造であるマレイミド構造(すなわち、式(2)において、Xが窒素原子である構造)を有するのが好ましい。
なお、無水マレイン酸構造(すなわち、式(2)において、Xが酸素原子である構造)は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させたり光学特性を変動させる虞がある。そのため、環構造は、無水マレイン酸構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
ラクトン環構造としては、特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環又は6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
ラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示される構造であってもよいが、例えば、以下の式(3)で表される構造などが挙げられる。
Figure 0006920921
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子または置換基である。)
式(3)において、置換基としては、例えば、炭化水素基等の有機残基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1−20アルキル基、エテニル基、プロペニル基などのC2−20不飽和脂肪族炭化水素基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基などのC6−20芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。
前記炭化水素基は、酸素原子を含んでいてもよく、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
式(3)において、好ましくは、Rが水素原子またはメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子またはC1−20アルキル基であってもよく、より好ましくは、Rが水素原子またはメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であってもよい。
環構造は、式(3)で表わされる構造を1種又は2種以上含んでいてよい。
ラクタム環構造としては、特に限定されず、例えば、以下の式(4)で表されるピロリジノン環構造などが挙げられる。
ピロリジノン環構造は、基本骨格として5員環のアミド環構造(環状アミド構造)を有する。この環状アミド構造は、5員環のラクタム構造(γ―ラクタム構造)でもある。主鎖にピロリジノン環構造を有するとは、5員環であるピロリジノン環構造の基本骨格を構成する5つの原子のうち少なくとも1つの原子、典型的にはアミド結合(―N(R)CO−)を構成しない3つの炭素原子が当該重合体の主鎖に位置し、主鎖を構成することを意味する。
Figure 0006920921
(式中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子または置換基である。)
式(4)のR10において、置換基としては、例えば、炭化水素基又は−NHCOR13基(R13は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
10又はR13における炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。
脂肪族基としては、例えば、C1−18アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のC1−18直鎖又は分岐アルキル基等)等が挙げられる。
脂環族基としては、例えば、C3−18シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。
10としては、特に、水素原子、C1−18直鎖アルキル基(例えば、メチル基等)等が好ましい。
また、R13としては、特に、水素原子、C1−18直鎖アルキル基(好ましくは、C1−12直鎖アルキル基、より好ましくは、C1−4直鎖アルキル基等)、C6−20アリール基(例えば、フェニル基等)、C3−18シクロアルキル基(好ましくは、C3−12シクロアルキル基、より好ましくは、C3−6シクロアルキル基等)等が好ましい。
式(4)のR11において、置換基としては、例えば、−COOR14基(R14は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
14における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R14の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
式(4)のR12において、置換基としては、例えば、−COR15基(R15は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
15における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R15の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
アクリル樹脂(A1)が有する環構造は、所望の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、光学特性、寸法安定性、形状安定性など)等に応じて適宜選択してもよい。例えば、耐熱性などの観点から、環構造は、ラクトン環構造、環状イミド構造(例えば、N−アルキル置換マレイミド構造、グルタルイミド構造等)、環状無水物構造(例えば、無水マレイン酸構造、無水グルタル酸構造等)を好適に含んでいてもよい。
また、耐水性や耐熱水性などの観点から、環構造は、環状非無水物構造[例えば、ラクトン環構造、環状イミド構造(特に、グルタルイミド構造、マレイミド構造)]を好適に含んでいてもよい。
さらに、表面硬度、耐溶剤性、バリヤ特性、光学特性などの観点から、環構造は、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造などを好適に含んでいてもよい。
特に、環構造は、少なくともラクトン環構造を含有してもよい。ラクトン環を有するアクリル樹脂(A1)とナノセルロースとを組み合わせることで、バランス良い複合材料を効率よく得やすい。例えば、このような組み合わせにより、透明性、低着色度(黄色味、YI)、耐候性を維持しつつ、耐熱性、硬度(強度)、表面硬度、寸法安定性などとのバランス良い組成物が得られうる。また、耐溶剤性(例えば、アルコール系溶媒、トルエンなどの炭化水素系や芳香族系溶媒などに対する耐溶剤性)が良い組成物が得られ易い。
環構造の含有割合は、用途や所望の物性等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂(A1)中、0.1質量%以上(例えば、0.5質量%以上)程度の範囲から選択でき、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であってもよく、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上などであってもよい。
環構造の含有割合(又はその上限値)は、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂(A1)中、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下などであってもよい。
環構造の含有割合が大きくなると、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、寸法安定性などの点で好ましい。
一方、環構造の含有割合が大きくなりすぎると、脆くなったり、透明性低下、光弾性係数の絶対値増加などにつながる可能性がある。
このような観点から、環構造は、少なすぎず大きくなりすぎない、適度な含有割合としてもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、1〜70質量%、3〜60質量%、5〜60質量%、5〜50質量%など)を設定してもよい(以下同じ)。
特に、アクリル樹脂(A1)が、グルタルイミド構造及び/又は無水グルタル酸構造を有する場合、グルタルイミド構造及び/又は無水グルタル酸構造の含有割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であってもよく、90質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であってもよい。
アクリル樹脂(A1)が、無水マレイン酸構造及び/又はマレイミド構造を有する場合、無水マレイン酸構造及び/又はマレイミド構造の含有割合は、例えば5〜90質量%、好ましくは5〜60質量%、よりこの好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%であってもよい。
アクリル樹脂(A1)が、ラクトン環構造を有する場合、ラクトン環構造の含有割合は、例えば、1〜80質量%、好ましくは3〜70質量%、さらに好ましくは5〜60質量%(例えば、10〜50質量%)であってもよい。
アクリル樹脂(A1)が、ラクタム環構造を有する場合、ラクタム環構造の含有割合は、例えば、1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜50質量%程度であってもよい。
なお、環構造の含有割合を格別大きくすることで、所望の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、光学特性、寸法安定性、形状安定性など)を得やすくなる可能性がある一方で、他の物性を低下させる可能性がある。
本発明では、アクリル樹脂(A1)とナノセルロースとを組み合わせることにより、アクリル樹脂(A1)における環構造の含有割合を格別大きくしなくても、このような物性を効率よく維持(物性の低下を抑制)しつつ、所望の物性を付与、向上又は改善しうる。
アクリル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10000以上(例えば、10000〜1000000)、好ましくは20000以上(例えば、25000〜500000)、さらに好ましくは30000以上(例えば、50000〜300000)であってもよい。
また、アクリル樹脂(A1)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、1〜10(例えば、1.1〜7.0)、好ましくは1.2〜5.0(例えば、1.5〜4.0)程度であってもよく、1.5〜3.0程度であってもよい。
なお、分子量(及び分子量分布)は、例えば、GPCを用い、ポリスチレン換算により測定してもよい。
アクリル樹脂(A1)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、70℃以上(例えば、80〜200℃)、好ましくは90℃以上(例えば、100〜180℃)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115〜160℃)程度であってもよく、120℃以上(例えば、120〜150℃)程度であってもよい。
なお、アクリル樹脂(A1)が、共重合体であるとき、共重合の形態は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などであってもよい。
例えば、アクリル樹脂(A1)は、環構造を有しているため、通常、共重合体と言えるが、環構造の導入形態は、特に限定されず、環構造の種類等に応じて選択でき、ランダムに導入されていてもよく、ブロック、交互、グラフトなどのように導入されていてもよい。
なお、環構造を有するアクリル樹脂(A1)は、市販品であってもよく、合成したものを使用してもよい。合成方法としては、公知の方法を利用できる。
例えば、環構造として、グルタルイミド構造を有するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位を含むアクリル樹脂をイミド化する方法などの公知の方法(例えば、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2007−009182号公報などに記載の方法)により得ることができる。
無水グルタル酸構造を有するアクリル樹脂は、例えば、隣接する(メタ)アクリル酸エステル単位及び(メタ)アクリル酸単位間で分子内脱アルコール反応させる方法(例えば、特開2006−283013号公報、特開2006−335902号公報、特開2006−274118号公報に記載の方法等)により得ることができる。
無水マレイン酸構造やマレイミド構造を有するアクリル樹脂は、例えば、無水マレイン酸及び/又はマレイミド系モノマー[例えば、マレイミド;N−アルキルマレイミド(例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのN−C1−10アルキルマレイミド)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、シクロヘキシルマレイミドなどのN−C3−20シクロアルキルマレイミド)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミドなどのN−C6−10アリールマレイミド)、N−アラルキルマレイミド(例えば、N−ベンジルマレイミドなどのN−C7−10アラルキルマレイミド)などのN−置換マレイミドなど]と、アクリル樹脂を構成するモノマー((メタ)アクリル酸エステルなど)とを共重合することにより得ることができる。
ラクタム環構造を有するアクリル樹脂は、例えば、ラクタム系単量体[例えば、N−ビニルピロリドン系単量体(例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−4−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−プロピルピロリドン、N−ビニル−4−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−プロピルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5−プロピルビロリドン、N−ビニル−5−ブチルピロリドンなど)、N−ビニルカプロラクタム系単量体(例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−6−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−プロピルカプロラクタム、N−ビニル−7−ブチルカプロラクタムなど)など]と、アクリル樹脂を構成するモノマー((メタ)アクリル酸エステルなど)とを共重合することにより得ることができる。
[他の樹脂]
樹脂(A)は、少なくともアクリル樹脂(A1)を含んでいればよく、アクリル樹脂(A1)のみで構成してもよく、必要に応じて、他の樹脂(アクリル樹脂(A1)の範疇に属さない樹脂)を含んでいてもよい。
他の樹脂としては、所望の物性等に応じて適宜選択でき、特に限定されず、熱可塑性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよく、これらを組み合わせてもよい。
具体的な他の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)など)、ハロゲン系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル系樹脂)、スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)など)など]、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610などの脂肪族ポリアミド系樹脂)、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ゴム質重合体[例えば、ゴム(ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムなど)を配合したスチレン系樹脂(例えば、ABS樹脂、ASA樹脂などのスチレン系共重合体)など]などが挙げられる。
他の樹脂には、アクリル系樹脂(アクリル樹脂)も含まれる。アクリル系樹脂としては、前記アクリル樹脂(A1)の範疇に属さないアクリル樹脂[又は環構造を有しないアクリル樹脂、例えば、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチルなどの前記例示のメタクリル酸エステル)由来の構造単位を有するメタクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステルを重合成分とする樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体などのメタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物を重合成分とする樹脂)など]などが挙げられる。
また、他の樹脂には、セルロース系樹脂も含まれる。セルロース系樹脂(セルロース誘導体)としては、セルロースエステル[例えば、セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアシレート]、セルロースエーテル[例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなど)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)]、シアノエチルセルロースなどが挙げられる。
他の樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(A)が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有割合は、樹脂(A)中、例えば、90質量%以下(例えば、0.1〜85質量%)程度の範囲から選択でき、80質量%以下(例えば、0.5〜70質量%)、好ましくは60質量%以下(例えば、1〜55質量%)程度であってもよく、50質量%以下(例えば、2〜45質量%)、40質量%以下(例えば、3〜35質量%)、30質量%以下、20質量%以下などであってもよい。
なお、アクリルの特性(透明性などの光学特性、硬度など)を効率よく発現するという観点から、他の樹脂を含む場合でも、他の樹脂(特に、非アクリル系の他の樹脂)の割合は大きすぎないのが好ましい。
樹脂(A)において、アクリル樹脂(A1)の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、15〜100質量%)の範囲から選択でき、20質量%以上(例えば、30質量%以上)、好ましくは40質量%以上(例えば、45質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上(例えば、65質量%以上)、70質量%以上(例えば、75質量%以上)、80質量%以上(例えば、85質量%以上)であってもよい。
なお、アクリル樹脂(A1)が多い方が、環構造を有するアクリルの特性(耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、光学特性、寸法安定性、形状安定性など)が発現しやすい点で好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10000以上(例えば、10000〜1000000)、好ましくは20000以上(例えば、25000〜500000)、さらに好ましくは30000以上(例えば、50000〜300000)であってもよい。
また、樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、1〜10(例えば、1.1〜7.0)、好ましくは1.2〜5.0(例えば、1.5〜4.0)程度であってもよく、1.5〜3.0程度であってもよい。
なお、分子量(及び分子量分布)は、例えば、GPCを用い、ポリスチレン換算により測定してもよい。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、70℃以上(例えば、80〜200℃)、好ましくは90℃以上(例えば、100〜180℃)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115〜160℃)程度であってもよく、120℃以上(例えば、120〜150℃)程度であってもよい。
・ナノセルロース(B)
本発明の組成物は、さらに、ナノセルロース(B)を含む。
ナノセルロース(B)は、ナノサイズ(ナノレベル)のセルロース系材料ということができる。
このようなナノセルロース(B)としては、例えば、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)(又はセルロースナノウィスカー(CNW))などが挙げられる。
ナノセルロース(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、ナノセルロースは、原料や製法などに応じて分類しうる。
例えば、CNFは、植物由来のセルロースのミクロフィブリル(又はその構成繊維)を原料とするものであってもよく、バクテリアセルロース(BC)(バクテリアナノファイバー(バクテリアCNF))、リグノセルロースナノファイバー(LCNF)、電界紡糸法により得られるCNFなども含まれる。
BCは、微生物が作るCNF(バクテリア由来のCNF)であり、通常、植物由来のセルロースとは、純度や構造(径や網目構造)において異なる。
LCNFは、リグニンを含有するCNF(リグニン被覆CNF)である。
また、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)により得られるCNFは、電圧を印加しつつ、セルロース系材料の溶液を紡糸することで得られるCNFである。この方法では、溶液を使用するため、セルロース誘導体(前記例示の誘導体、例えば、セルロースアセテートなど)のナノファイバーを得ることもできる。
ナノセルロース(CNFなど)は、変性(改質、修飾)されていてもよい。変性の態様は、その目的に応じて選択でき、例えば、疎水化、官能基の導入などが挙げられる。具体的な変性としては、酸変性[例えば、カルボキシル化(カルボキシメチル化など)、リン酸化、硫酸又はスルホン化など]、エステル又はアシル変性(アセチル化など)、アミン変性、アミド変性、エポキシ変性、フルオレン変性などが挙げられる。なお、酸基やアミン基は塩を形成していてもよい。
なお、変性方法は、変性の態様などに応じて適宜選択でき、特に限定されない。例えば、セルロース(骨格)が有するヒドロキシル基を利用して変性(例えば、ハロゲン化カルボン酸と反応させるなど)してもよい。
本発明では、ナノセルロースの中でも、特に、CNFを好適に使用してもよい。そのため、ナノセルロース(B)は、少なくともCNFを含んでいてもよい。
ナノセルロースの径(繊維径)は、その種類等に応じて選択でき、特に限定されないが、平均径(平均繊維径)で、例えば、1〜800nm、2〜500nm、3〜300nm、4〜200nmなどであってもよく、4〜100nm、10〜50nmなどであってもよい。
ナノセルロースの長さもまた、その種類等に応じて選択でき、特に限定されない。例えば、CNFの長さ(繊維長)は、平均繊維長で、100nm以上、300nm以上、500nm以上、1000nm以上、3000nm以上、5000nm以上などであってもよい。
また、CNCの長さは、平均長で、例えば、5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上(例えば、100〜500nm)などであってもよい。
なお、径や長さは、慣用の方法、例えば、顕微鏡(電子顕微鏡など)などで測定しうる。
ナノセルロースは、結晶領域を有していてもよい。結晶領域を有するナノセルロースにおいて、結晶領域の割合は、例えば、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上などであってもよい。
また、ナノセルロース(結晶領域を有するナノセルロース)において、非晶領域の割合は、例えば、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下などであってもよく、1%以上、3%以上、5%以上などであってもよい。
なお、結晶・非晶領域は、慣用の方法、例えば、X線回折、構造解析(電子顕微鏡やNMRにより構造解析など)などにより、観察・測定しうる。
ナノセルロース(B)は、市販品を利用してもよく、慣用の方法により合成したものを使用してもよい。
・組成物
本発明の組成物は、上記の通り、樹脂(A)とナノセルロース(B)とを少なくとも含む。
組成物において、ナノセルロース(B)の割合(固形分換算)は、例えば、樹脂(A)(又はアクリル樹脂(A1))100質量部に対して、例えば、1000質量部以下(例えば、0.01〜900質量部)、好ましくは800質量部以下(例えば、0.05〜600質量部)、さらに好ましくは500質量部以下(例えば、0.1〜400質量部)であってもよく、300質量部以下(例えば、0.2〜250質量部)、200質量部以下(例えば、0.3〜150質量部)、100質量部以下(例えば、70質量部以下)などであってもよい。
特に、組成物において、ナノセルロース(B)の割合(固形分換算)は、小割合、例えば、樹脂(A)(又はアクリル樹脂(A1))100質量部に対して、例えば、50質量部以下(例えば、0.01〜40質量部)、好ましくは30質量部以下(例えば、0.05〜25質量部)、さらに好ましくは20質量部以下(例えば、0.07〜15質量部、0.5〜20質量部など)、特に10質量部以下(例えば、0.1〜8質量部)であってもよく、5質量部以下(例えば、0.1〜5質量部)、3質量部以下(例えば、0.2〜2.5質量部)、2質量部以下(例えば、0.3〜1.5質量部)などとすることもできる。
本発明では、ナノセルロース(B)の割合を比較的小割合としても、十分な物性が得られうる。
特に、透明性、低溶融粘度、低溶液粘度、低着色度(黄色味、YI)、熱安定性、脆くなりにくい等の点で、ナノセルロース(B)の割合を、比較的小さく[例えば、樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以下、さらには、5質量部以下、3質量部以下などに]してもよい。
一方、本発明では、ナノセルロース(B)の割合を大きく[例えば、樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以上、さらには、70質量部以上、100質量部以上などに]することもできる。このように大きくすることで、組成物において、ナノセルロースの持つ特性(例えば、高弾性率、高強度、凝集力、チクソ性、バリヤ性など)を効率良く発現ないし発揮しうる。
組成物は、必要に応じて、所望の物性が得られる範囲で、他の成分(樹脂(A)及びナノセルロース(B)以外の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、特に限定されないが、例えば、慣用の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、補強材、界面活性剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、可塑剤、滑剤など)を含んでいてもよい。
組成物は、他の成分を単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
組成物[又は成形体(後述)]は、樹脂成分として、アクリル樹脂の骨格と環構造の骨格を有するアクリル樹脂(A1)を含んでおり、このアクリル樹脂(A1)に由来する所定の物性を有する。
本発明では、このようなアクリル樹脂(A1)とナノセルロース(B)とを組み合わせることにより、当該物性(例えば、強度、硬度など)を向上又は改善しうる。
また、本発明の組成物の他の態様では、新たな物性を付与ないし発現しうる。例えば、アクリル樹脂(A1)に、ナノセルロース(B)を組み合わせる(さらにはその量を調整する)ことにより、複屈折ないし位相差を調整(変動)でき、光学的等方性の組成物を得ることもできる。
さらに、本発明の組成物の他の態様では、ある物性を損なうことなく(維持しつつ)、別の物性を付与、向上又は改善しうる。例えば、アクリル樹脂(A1)とナノセルロース(B)とを組み合わせても、透明性や高耐熱性といった物性を損なうことなく、強度や硬度といった別の物性を向上又は改善しうる。
以下に、本発明の組成物が実現しうる物性の具体例を例示する。
組成物のガラス転移温度は、アクリル樹脂(A1)の構成モノマーや環構造の種類、さらにはその割合などにもよるが、例えば、70℃以上(例えば、80〜200℃)、好ましくは90℃以上(例えば、100〜180℃)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115〜160℃)程度であってよく、120℃以上(例えば、120〜150℃)とすることもできる。
組成物の透明性は、アクリル樹脂(A1)における環構造の割合、添加剤の種類やその使用の有無及び割合などに応じて選択できる。例えば、厚み100μmの未延伸フィルムにおける(組成物を厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの)内部ヘイズが、1以下(例えば、0.8以下)、好ましくは0.7以下(例えば、0.6以下)、さらに好ましくは0.5以下(例えば、0.4以下)程度であってもよく、0.3以下、0.2以下にすることもできる。
また、厚み100μmの未延伸フィルムにおいて(組成物を厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの)全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは91%以上であってもよい。
組成物の硬度は、例えば、厚み100μmの未延伸フィルムにおいて(組成物を厚み100μmの未延伸フィルムとしたとき)、50μm平面圧子を用いて測定されたユニバーサル硬度で、3N/mm以上(例えば、3.5〜20N/mm)、好ましくは4N/mm以上(例えば、4.5〜15N/mm)、さらに好ましくは5N/mm以上(例えば、5.5〜10N/mm)であってもよく、6N/mm以上、7N/mm以上などとすることもできる。
硬度が大きい程、ハードコートの材料の選択肢が増える、用途によってはハードコート不要になる等の点で好ましい。
また、厚み100μmの未延伸フィルムにおいて(組成物を厚み100μmの未延伸フィルムとしたとき)、50μm平面圧子を用いてユニバーサル硬度を測定した際の最大変形量(最大深度)は、0.3μm以下(例えば、0又は検出限界〜0.28μm)、好ましくは0.25μm以下(例えば、0.01〜0.22μm)、さらに好ましくは0.2μm以下(例えば、0.03〜0.18μm)などであってもよく、0.17μm以下(例えば、0.05〜0.16μm)、0.15μm以下(例えば、0.08〜0.15μm)などであってもよい。
深度が小さい程、変形し難いため、ハードコートの材料の選択肢が増える、用途によってはハードコート不要になる等の点で好ましい。
厚み100μmの未延伸フィルムにおいて(組成物を厚み100μmの未延伸フィルムとしたとき)、対面角136°のビッカース圧子を用いて測定されたマルテンス硬度は、例えば、150N/mm以上(例えば、170〜400N/mm)、好ましくは180N/mm以上(例えば、190〜350N/mm)、さらに好ましくは200N/mm以上(例えば、203〜300N/mm)などであってもよく、205N/mm以上(例えば、208〜250N/mm)、210N/mm以上などとすることもできる。
硬度が大きい程、ハードコートの材料の選択肢が増える、用途によってはハードコート不要になる等の点で好ましい。
組成物の引張弾性率は、例えば、1GPa以上(例えば、1.5〜30GPa)、好ましくは2GPa以上(例えば、2.5〜20GPa)、さらに好ましくは3GPa以上(例えば、3.3〜15GPa)であってもよく、3.5GPa以上(例えば、3.8〜10GPa)などとすることもできる。
組成物の60〜100℃における線熱膨張係数は、アクリル樹脂(A1)における環構造の種類や割合などにもよるが、500ppm/K(500×10−6/K)以下程度の範囲から選択してもよく、400ppm/K以下(例えば、0〜300ppm/K)、好ましくは300ppm/K以下(例えば、1〜250ppm/K)、さらに好ましくは200ppm/K以下(例えば、5〜180ppm/K)程度であってもよく、150ppm/K以下(例えば、10〜140ppm/K)、130ppm/K以下(例えば、20〜120ppm以下)、110ppm/K以下(例えば、50〜110ppm/K)などであってもよい。
線膨張係数が小さいほど、ディスプレイやレンズなど使用環境化での変化が小さくなり、そりや光学的歪みが発生しにくいなどの点で好ましい。
組成物の応力光学係数(Cr)は、アクリル樹脂(A1)における環構造の種類や割合などに応じて選択できる。例えば、光学等方性の組成物(光学等方性の発現)を想定する場合、組成物のCrは、その絶対値で15×10−11/Pa以下、好ましくは10×10−11/Pa以下、さらに好ましくは5×10−11/Pa以下、最も好ましくは3×10−11/Pa以下であってもよい。
また、光学異方性の組成物(光学異方性の発現)を想定する場合、組成物のCrは、その絶対値で20×10−11/Pa以上、好ましくは50×10−11/Pa以上、さらに好ましくは150×10−11/Pa以上、最も好ましくは300×10−11/Pa以上であってもよい。
組成物の光弾性係数(Cd)は、アクリル樹脂(A1)における環構造の種類や割合などに応じて選択できる。例えば、光学等方性の組成物(光学等方性の発現)を想定する場合、組成物のCdは、その絶対値で、5×10−12/Pa以下、好ましくは3×10−12/Pa以下、さらに好ましくは2×10−12/Pa以下、最も好ましくは1×10−12/Pa以下であってもよい。
本発明では、組成物の光学特性を調整でき、例えば、光学的等方性の組成物を得ることもできるし、光学的異方性の組成物を得ることも可能である。
本発明の組成物の製造方法は、樹脂(A)及びナノセルロース(B)を少なくとも含有する限り特に限定されない。例えば、樹脂(A)とナノセルロース(B)と(さらに必要に応じて他の成分)を混合することで製造してもよい。
混合方法も特に限定されず、例えば、溶融混合であってもよく、適当な溶媒の存在下で混合してもよい。
溶媒の存在下で混合する方法としては、樹脂(A)及びナノセルロース(B)を溶媒に混合してもよく、予め、樹脂(A)を含む混合液とナノセルロース(B)を含む混合液とを調製し、これらの混合物を混合してもよい。
また、ナノセルロース(B)の存在下で、樹脂(A)の構成モノマーを重合することで、組成物を製造することもできる。
この際、ナノセルロース(B)が、樹脂(A)の構成モノマーと反応して結合可能な官能基や重合性基を有していると、樹脂(A)とナノセルロース(B)とを結合させることもできる。
例えば、エチレン性不飽和結合を有するナノセルロース(B)の存在下で、樹脂(A)の構成モノマー(例えば、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー)を重合することで、これらの共重合体として、樹脂(A)とナノセルロース(B)との組成物を得ることができる。
なお、官能基や重合性基は、ナノセルロース(B)が有するヒドロキシル基を介して導入していてもよい。例えば、エポキシ基を有するモノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)と、ナノセルロースとを反応させることで、重合性基を有するナノセルロース(B)を得ることができる。
<成形体>
本発明には、前記組成物で形成された(前記組成物を含む)成形体(成形品)が含まれる。
このような成形体の形状は、特に限定されず、二次元的形状[例えば、フィルム(又はシート)など]、三次元的形状(例えば、ブロック状など)などのいずれであってもよい。
成形体は、発泡体(発泡成形体)であってもよい。
成形体(成形品)は、前記組成物と同様の物性を有していてもよい。このような物性値は、前記と同様の範囲から選択できる。例えば、成形品(フィルムなど)において、ガラス転移温度は、110℃以上などであってもよく、引張弾性率は、例えば、1GPa以上(例えば、1.5〜30GPa)、3GPa以上(例えば、3.3〜15GPa)などであってもよく、60〜100℃における線熱膨張係数は、300ppm/K以下(例えば、1〜250ppm/K)、150ppm/K以下、100ppm/K以下などであってもよい。
成形体の製造方法(成形方法)としては、成形体の形態などに応じて選択でき、公知の成形方法(例えば、押出成形、射出成形、注型成形、ブロー成形、発泡成形など)を利用できる。
フィルムの製造方法も、従来公知の方法に従うことができる。例えば、前記組成物(又は少なくとも樹脂(A)及びナノセルロース(B))を、公知の成膜方法[例えば、キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法、プレス成形法等]によって成膜することにより、フィルムを得ることができる。
なお、成膜の際に、所望により、溶媒、添加剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、補強材、難燃剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、樹脂改質剤、有機充填剤、無機充填剤、可塑剤、滑剤、位相差低減剤など)を混合してもよい。
フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムであってもよく、特に二軸延伸フィルムであってもよい。二軸延伸フィルムは、同時二軸延伸フィルムおよび逐次二軸延伸フィルムのいずれでもよい。また、延伸フィルムの遅相軸の方向は、フィルムの流れ方向であってもよく、幅方向であってもよく、更には任意の方向であってもよい。
フィルムの厚さは、特に限定されず、用途等によって適宜調整できるが、例えば、1〜500μm、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜200μm程度であってもよい。
成形体は、種々の用途に適用でき、例えば、光学用途に好適に用いてもよい。
具体的な用途の例を挙げると、例えば、フィルム用途[例えば、保護フィルム(光学用保護フィルムなど)、光学フィルム(光学シート)など]、レンズ用途(光学レンズなど)、カバー用途(レンズカバーなど)、発泡体(発泡成形体)用途(例えば、緩衝材、保温・断熱材、制振材、防音材、シール材、パッキング材など)などの各種用途が挙げられる。
保護フィルムとしては、例えば、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルムなどが挙げられる。
光学フィルム(光学シート)としては、例えば、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム(面内、厚み方向位相差が限りなく小さい)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシートなどが挙げられる。
[偏光子保護フィルム]
特に、成形体(フィルム)は、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムであってもよい。フィルムは、通常、そのまま偏光子保護フィルムとして使用してもよい。
[偏光板]
本発明は、前記フィルムを備えた偏光板も含有する。
すなわち、前記フィルムは、偏光子保護フィルムとして用いて、偏光板に使用することができる。
偏光板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。例えば、偏光子の少なくとも片面に、常法を用いて前記フィルムを貼り合わせることにより、偏光板を得ることができる。当該貼り合わせは、前記フィルムの偏光子に接合する側をアルカリ鹸化処理し、偏光子の少なくとも片面に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を塗布した後、本発明のフィルムと偏光子とを貼り合わせることにより、好適に実施することができる。
前記偏光子とは、一定方向の偏光波のみを通す素子である。本発明において使用される偏光子としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。ポリビニルアルコール系フィルムとしては、ヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものを使用することができる。
前記ポリビニルアルコール系フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物を用いて耐久性処理を行ったもの等を好適に使用することができる。
また、偏光子の膜厚は、1〜80μm、1〜40μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
[画像表示装置]
本発明には、前記フィルムを備えた画像表示装置も含有する。このような画像表示装置において、本発明のフィルムの用途(機能)は特に限定されず、例えば、偏光板を備えた画像表示装置において、当該偏光板(偏光子保護フィルム)を構成してもよい。
本発明において、画像表示装置の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)等が好ましい。
本発明のフィルムを備えた偏光板を備えた液晶表示装置は、例えば、液晶セル及びその両面に配置された偏光板からなり、本発明のフィルムを液晶セルに接するように配置することが好ましい。また、液晶表示装置には、常法を用いて、プリズムシート、拡散フィルムをさらに積層することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
なお、各種物性は、次のようにして測定・評価した。
[重合反応率、重合体組成分析]
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所製、装置名:GC−2014)を用いて測定して求めた。
[重量平均分子量および数平均分子量]
重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステムHLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム(東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
・分離カラム(東ソー製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:
・リファレンスカラム(東ソー製、TSKgel SuperH−RC)
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度(Tg)]
ガラス転移温度は、JIS K 7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[メルトフローレート(MFR)]
メルトフローレートは、JIS K 7210 B法に準拠して、温度240℃、荷重10kgf(98N)で測定した。
[環構造(ラクトン環)含有割合計算例]
まず、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。
なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。
これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
後述の製造例1で得られるペレットにおいてラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(重量比)は組成上20重量%であるから、(32/116)×20≒5.52重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.15重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.15/5.52)≒0.973となるので、脱アルコール反応率は97.3%である。
製造例1の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が20.0重量%、算出した脱アルコール反応率が97.3重量%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環化構造単位の式量が170であることから、当該共重合体中におけるラクトン環の含有割合は28.5(20.0×0.973×170/116)重量%となる。
[フィルムの厚さ]
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)により求めた。
[内部ヘイズ]
ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH―1001DP)を用いて、石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定し、100μmあたりの内部ヘイズ値として算出した。なお、フィルムは樹脂又は樹脂組成物のガラス転移温度+120〜130℃の範囲にて熱プレス成形して得られたフィルムを用いた。
[全光線透過率]
内部ヘイズの測定で用いたフィルムの全光線透過率をヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−1001DP)を用いて測定した。
[マルテンス硬度]
マルテンス硬度は、樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して得た未延伸フィルム(厚さ100μm)に対して、超微小硬度計(フィッシャーインストルメンツ社製、フィッシャースコープHM−2000)を用い、ISO−14577−1に準拠した方法により評価した。
評価は、未延伸フィルムをガラス基板に固定した状態で実施した。測定条件は、四角錐型のビッカース圧子(対面角a=136°)を使用;最大試験荷重3mN;荷重付加時のアプリケーション時間60秒;クリープ時間5秒;荷重減少時のアプリケーション時間20秒;測定温度室温;とし、3回測定した値を平均化して求めた。
[ユニバーサル硬度、深度]
ユニバーサル硬度は、樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して得た未延伸フィルム(厚さ100μm)に対して、超微小硬度計(フィッシャーインストルメンツ社製、フィッシャースコープHM−2000)を用い、評価した。評価は、未延伸フィルムをガラス基板に固定した状態で実施した。測定条件は、平面圧子50μmを使用;最大試験荷重3mN;荷重付加時のアプリケーション時間60秒;クリープ時間5秒;荷重減少時のアプリケーション時間20秒;測定温度室温;とし、3回測定した値を平均化して求めた。また、測定時の最大変形量を深度(μm)とし、3回測定した値を平均化して求めた。
[線熱膨張係数]
樹脂又は樹脂組成物の60〜100℃における線膨張係数は、熱機械測定装置(島津製作所社製、TMA−60)を用い、測定荷重5g、昇温速度5℃/minで、60℃から100℃に昇温する際の傾きとして求める。なお、測定用のサンプルは、樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して得られた厚さ100μmのフィルム(未延伸フィルム)を5mm×20mmの大きさに切り出し、60℃で15時間の前処理を行った後、室温まで冷却することにより調製する。
[引張弾性率]
樹脂又は樹脂組成物の引張弾性率は、引っ張り試験機(島津製作所社製オートグラフ「AG−1kNX」)を用い、ビデオ式伸び計により25mm間隔のマーク間の伸び量を引張り速度1mm/分で計測して算出した。測定用の試験片は、樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して得られた厚さ100μmのフィルム(未延伸フィルム)を幅20mm長さ80mmで切り出して用いた。
[応力光学係数(Cr)]
樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して得られた厚さ100μmのフィルム(未延伸フィルム)とし、60mm×20mmの長方形に切り出して試験片とした。試験片の短辺の一方(下端)に、1N/mm以下の応力となるように重りを取り付け、これをアクリル系共重合体のガラス転移温度よりも7℃高い温度で定温乾燥機(アズワン社製、DOV−450A)にチャック間距離40mmでセットし、当該温度で約30分間保持して延伸を行った後、加熱を停止し、アクリル系共重合体のガラス転移温度よりも40℃低い温度となるまで約1℃/分の冷却速度で冷却した。その後、得られた延伸フィルムを定温乾燥機から取り出し、延伸後のフィルムの長さと厚さ、および重りの質量を測定し、延伸後のフィルムの面内位相差Reを測定した。さらに、応力が0.8N/mm以下となるように4種類の質量の重りを用いて前記と同様にして延伸後のフィルムの長さと厚さ、および重りの質量を測定し、延伸後のフィルムの面内位相差Reを測定した。
以上の結果に基づき、高分子学会編「透明プラスチックの最前線(ポリマーフロンティア21シリーズ)」、(株)エヌ・ティー・エス、2006年10月、37−44頁に記載の測定方法に基づいて応力光学係数(Cr)を算出した。具体的には、Δn(nx−ny)をy軸に、σをx軸にプロットし、最小二乗法で得られた直線の傾きを求め、その傾
きの値を応力光学係数(Cr)とした。なお、nxはフィルムの面内における遅相軸方向(フィルム面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率を表し、nyはフィルムの面内における進相軸方向(フィルム面内においてnxと垂直な方向)の屈折率を表し、σは延伸に対する応力(N/m)を表す。
[光弾性係数(Cd)]
樹脂又は樹脂組成物の光弾性係数(Cd)の絶対値は、以下のようにして求めた。最初に、樹脂又は樹脂組成物を熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルム(未延伸フィルム)とした。次に、当該フィルムを幅7mmの長方形に切り出して試験片とした。次に、引張試験機ステージを設置した位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100(大塚電子製)に、切り出した試験片をチャック間距離30mmで装着し、23℃で試験片に伸長応力(σR)を印加しながら(チャック移動速度5mm/分)、波長590nmの光に対するその複屈折を測定した。測定した複屈折の絶対値(|Δn|)と試験片に印加した伸張応力(σR)との関係から、最小二乗法により傾き|Δn|/σRを求め、光弾性係数(Cd)を算出した(Cd=|Δn|/σRである)。
なお、Cdの算出には、伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの範囲のデータを用いた。|Δn|は、|Δn|=|nx−ny|である。
(製造例1)主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂組成物(P1)の製造
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた内容積1000Lの反応釜に、204kgのメタクリル酸メチル(MMA)、51kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)および重合溶媒として249kgのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として281gのt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス570)を添加するとともに、5.4kgのトルエンに561gのt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス570)を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、255gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、Phoslex A−18)を加え、約90〜110℃の還流下において5時間、環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度250℃、回転数150rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(Φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で15kg/時の処理速度で導入し、さらなる環化縮合反応の進行と脱揮とを行った。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を押出機の先端から排出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂のペレットを得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は147000、Tgは130℃であった。
次に、上記作製したアクリル樹脂ペレット90重量部、アクリロニトリル−スチレン樹脂(旭化成ケミカルズ社製、スタイラックAS783)10重量部および酢酸亜鉛0.04重量部をブレンドした後、多条フライト構造のミキシング部を有するフルフライト型スクリューからなる単軸押出機(Φ50mm、L/D=36)を用いて、シリンダ設定温度270℃および50kg/時の処理速度で溶融押出して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂を主成分とし、アクリロニトリル−スチレン樹脂をさらに含む樹脂組成物からなる樹脂ペレット(P1)を得た。
樹脂ペレット(P1)を構成する樹脂組成物の重量平均分子量は132000、Tgは125℃、アクリル樹脂中のラクトン環含有率は28.5重量%であった。
(実施例1)
製造例1で得られた樹脂ペレット(P1)をアセトンに溶解させ、20質量%のアセトン溶液を作成した。
また、CNF(第一工業製薬製、CNF N−04、固形分2.5質量%のメタノール分散体)をアセトンで希釈し、超音波で30分攪拌混合し、固形分1質量%の分散液を調整した。
次に、上記P1のアセトン溶液と、CNF分散液を、固形分としてP1:CNFが100:1(質量比)になるように混合し、その後超音波で30分攪拌し、CNF含有アクリル樹脂組成物のアセトン溶液を作成した。
この溶液から、真空乾燥機を用いて、真空下、200℃、30分間の条件にて溶媒を除去し、CNF含有アクリル樹脂組成物(A−1)を得た。
この組成物のガラス転移温度は125℃であった。
得られた樹脂組成物(A−1)を、250℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。なお、全光線透過率は90%であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
固形分としてP1:CNFを100:3(質量比)にした以外は、実施例1と同様にして、CNF含有アクリル樹脂組成物(A−2)を得た。
この組成物のガラス転移温度は124℃であった。
得られた樹脂組成物(A−2)を、250℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。結果を表1に示す。
(参考例1)
製造例1で得られた樹脂ペレット(P1)を250℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。結果を表1に示す。
(参考例2)
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(住友化学製、スミペックスEX)を230℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。結果を表1に示す。
(参考例3)
製造例1で得られた樹脂ペレット(P1)をPMMA(住友化学製、スミペックスEX)に変更し、熱プレス温度を230℃にした以外は、実施例1と同様にして、CNF含有アクリル樹脂組成物(A−3)を得た。
この組成物のガラス転移温度は106℃であった。
得られた樹脂組成物(A−3)を、250℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。なお、全光線透過率は89%であった。結果を表1に示す。
なお、表1において、「部」とは質量部を意味し、「内部ヘイズ差」は、CNFの添加前後における内部ヘイズの差(増えた内部ヘイズの値、実施例1及び2は参考例1との差、参考例3は参考例2との差)を意味する。
Figure 0006920921
(製造例2)主鎖にマレイミド環構造を有するアクリル樹脂(P2)の製造
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)32.8部、N−フェニルマレイミド(PMI)8.1部、N−シクロマレイミド(CHMI)1.8部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.01部、溶媒としてトルエン55部を仕込み、これに窒素を通じつつ100℃まで昇温させた。重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(化薬アクゾ製、カヤカルボンBIC−75、有効成分75%品)0.032部を加えると同時に、スチレン(St)2.25部、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(化薬アクゾ製、カヤカルボンBIC−75、有効成分75%品)0.032部を4時間かけて滴下しながら、100〜110℃で溶液重合を行い、さらに2.5時間かけて熟成を行った。得られた反応液を二軸押出機に導入し揮発分を除去し、主鎖にマレイミド環構造を有するアクリル樹脂(P2)のペレットを得た。
樹脂ペレット(P2)の重量平均分子量は236,000、ガラス転移温度は137℃、メタクリル酸メチル単位72%、N−フェニルマレイミド単位19%、N−シクロヘキシルマレイミド単位4%、スチレン単位5%であった。
(実施例3)
樹脂ペレット(P1)に代えて樹脂ペレット(P2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、CNF含有アクリル樹脂組成物(A−4)を得た。この組成物のガラス転移温度は136℃であった。
得られた樹脂組成物(A−4)を、260℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。結果を表2に示す。
(参考例4)
製造例2で得られた樹脂ペレット(P2)を260℃で熱プレス成形して、厚さ100μmのフィルムを作成し、物性を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2において、「部」とは質量部を意味し、「内部ヘイズ差」は、CNFの添加前後における内部ヘイズの差(増えた内部ヘイズの値、実施例3は参考例4との差)を意味する。
Figure 0006920921
(実施例5)
実施例1と同様にして、P1のアセトン溶液と、CNF分散液を、固形分としてP1:CNFが100:2(質量比)になるように混合し、その後超音波で30分攪拌し、CNF含有アクリル樹脂組成物のアセトン溶液を作成した。
上記溶液をアルミ基板上に敷いた後、50℃で乾燥後、真空下で80℃、12時間乾燥し、フィルムをアルミ基板から剥がしとり、100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの全光線透過率は91%、内部ヘイズは0.2であった。
上記結果から明らかなように、環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースを組み合わせることにより、優れた物性を有する組成物が得られた。
例えば、環構造を有するアクリル樹脂にナノセルロースとの組み合わせにより、高硬度や高強度の複合材料を得ることができた。
特に、PMMAの結果と対比すると、環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースとを組み合わせることで、特異的に硬度を向上できることがわかった。
成形品の表面に使用する場合等においては、傷付きを防止できることが要求されるし、成形過程において、硬さが要求される場合もある(フィルム製膜中のラインでの傷つき、
硬化性樹脂との組み合わせにおけるハードコート性能の変動防止など)。
これらのことに鑑みれば、上記組成物は、ハードコート性を有するフィルムの基材(ベース)フィルムなどとしての要求にも耐えうるし、自身も高硬度であるため、成形品表面を構成する材(ハードコート性を有する基材)としての要求にも耐えうる、複合材料としての適用も可能である。
また、環構造を有するアクリル樹脂の線熱膨張係数は、ナノセルロースを組み合わせても、比較的低いまま維持できることがわかった。光学ディスプレイ用の光学フィルム等では、薄型化、大型化等が進み、反りや画像の歪み等の発生を抑制するために、ガラス転移点以外にも、環境変化に伴う寸法変化の抑制が望まれており、上記組成物は、このような要求にも耐えうる材料と言える。
さらに、環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースとの組み合わせにより、光学特性を調整しうることもわかった。上記の例では、応力光学係数及び光弾性係数がより小さくなっており、比較的、光学的等方性の複合材料を提供しうることがわかる。
なお、環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースとを複合化したときの光学特性は、従来、全く知られておらず、上記によって、これらの組み合わせにより、光学特性に与える影響が明らかになった。
そして、環構造を有するアクリル樹脂とナノセルロースとを組み合わせても、内部ヘイズや高いガラス転移温度(Tg)も維持できた。そのため、透明性や高耐熱性を担保しつつ、上記のような優れた物性を有する複合材料を提供できることもわかった。
特に、内部ヘイズの上昇は、意外にも、PMMAと比べて環構造を有するアクリル樹脂においてより抑えられており、透明性の観点では、樹脂の中でも、環構造を有するアクリル樹脂が、ナノセルロースの組み合わせにおいて好適であることがわかる。
また、上記のことが、ナノセルロースを組成物中せいぜい約1〜3重量%という少量含有させるだけで、実現できたことも、意外であった。
本発明によれば、新規な組成物を提供できる。このような組成物は、光学フィルムなどを形成しうる。

Claims (10)

  1. 樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が主鎖にマレイミド構造、グルタルイミド構造、ラクタム構造及びラクトン環構造から選択される1種又は2種以上の環構造を1質量%以上有するアクリル樹脂(A1)を含む組成物。
  2. 樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が、少なくとも主鎖にラクトン環を含む環構造を有するアクリル樹脂(A1)を含む組成物。
  3. 樹脂(A)及びナノセルロース(B)を含む組成物であって、樹脂(A)が、主鎖にマレイミド構造、グルタルイミド構造、ラクタム構造及びラクトン環構造から選択される1種又は2種以上の環構造を有するアクリル樹脂(A1)を含み、ナノセルロース(B)の割合が樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下である組成物。
  4. 樹脂(A)全体に対するアクリル樹脂(A1)の割合が50質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. ナノセルロース(B)が、セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルから選択された少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. アクリル樹脂(A1)が、ラクトン環を含む環構造を5〜60質量%含み、
    ナノセルロース(B)が、セルロースナノファイバーを含み、
    ナノセルロース(B)の割合が、樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの50μm平面圧子を用いて測定されたユニバーサル硬度が、4N/mm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 厚み100μmの未延伸フィルムとしたときの内部ヘイズが0.5以下である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物で形成された成形体。
  10. フィルムである請求項9記載の成形体。
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