JP2014162439A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたマッド性能及びノイズ性能を発揮しうる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる一対のショルダー主溝3と、タイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびるクラウン主溝4とが設けられ、ショルダー主溝3とクラウン主溝4との間に区分されたミドル陸部6を具えた空気入りタイヤである。ミドル陸部6には、ショルダー主溝3からタイヤ軸方向内側にのびる複数本の外側ミドルラグ溝11と、クラウン主溝4からタイヤ軸方向外側にのびる複数本の内側ミドルラグ溝12とが形成される。外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12は、それぞれ、終端に向かって溝幅が減少している。外側ミドルラグ溝11は、第1ピッチと、第1ピッチよりも大きい第2ピッチとがタイヤ周方向交互に現れるように配置されている。内側ミドルラグ溝12は、実質的に一定なピッチでタイヤ周方向に隔設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れたマッド性能及びノイズ性能を発揮しうる空気入りタイヤに関する。
4WD車は、舗装された市街地のみならず、泥濘地などの不整地を走行する機会が多い。この種の車両に装着される空気入りタイヤには、泥濘地で大きな駆動力を発揮する所謂マッド性能が要求される。
従来、マッド性能を向上させるために、トレッド部に、大きな容積を持った溝が設けられた空気入りタイヤが提案されている。
しかしながら、上述の空気入りタイヤは、舗装路面を走行した場合、溝で圧縮された空気の振動により静粛性(ノイズ性能)が大きく損なわれるという問題があった。関連する文献としては、次のものがある。
特開2004−58839号公報 特開2012−218652号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、優れたマッド性能及びノイズ性能を発揮しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、最もトレッド接地端側をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる一対のショルダー主溝と、この一対のショルダー主溝間をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる1又は2本のクラウン主溝とが設けられることにより、前記ショルダー主溝と前記クラウン主溝との間に区分されたミドル陸部を一対具えた空気入りタイヤであって、前記各ミドル陸部には、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向内側にのびかつ前記ミドル陸部内で途切れる終端を有する複数本の外側ミドルラグ溝と、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ前記ミドル陸部内で途切れる終端を有する複数本の内側ミドルラグ溝とが形成され、前記外側ミドルラグ溝及び前記内側ミドルラグ溝は、それぞれ、前記各々の終端に向かって溝幅が減少し、前記外側ミドルラグ溝は、第1ピッチと、前記第1ピッチよりも大きい第2ピッチとがタイヤ周方向交互に現れるように配置され、前記内側ミドルラグ溝は、実質的に一定なピッチでタイヤ周方向に隔設されていることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記内側ミドルラグ溝は、前記第1ピッチよりも大きくかつ前記第2ピッチよりも小さいピッチを含んでいる請求項1に記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記外側ミドルラグ溝は、第1外側ミドルラグ溝と、前記第1外側ミドルラグ溝よりもタイヤ軸方向に対する角度が大きい第2外側ミドルラグ溝とを含み、前記第1外側ミドルラグ溝と前記第2外側ミドルラグ溝とがタイヤ周方向に交互に配置されている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記内側ミドルラグ溝は、第1内側ミドルラグ溝と、前記第1内側ミドルラグ溝よりもタイヤ軸方向に対する角度が大きい第2内側ミドルラグ溝とを含み、前記第1内側ミドルラグ溝と前記第2内側ミドルラグ溝とがタイヤ周方向に交互に配置されている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記外側ミドルラグ溝及び前記内側ミドルラグ溝は、それぞれ、タイヤ軸方向に対して20〜35度の角度αで傾く直線状の第1溝縁と、タイヤ軸方向に対して25〜40度の角度βで傾く直線状の第2溝縁とを具えており、前記第2溝縁の前記角度βが、前記第1溝縁の前記角度αよりも大きい請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項6記載の発明は、前記ミドル陸部には、前記外側ミドルラグ溝と、前記内側ミドルラグ溝との間を接続する縦細溝が設けられている請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項7記載の発明は、前記縦細溝は、前記ミドル陸部の最もタイヤ軸方向内側をのびる内側縦細溝と、前記ミドル陸部の最もタイヤ軸方向外側をのびる外側縦細溝とを含む請求項6記載の空気入りタイヤである。
また請求項8記載の発明は、前記トレッド部には、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝が複数本形成され、前記ショルダー横溝と前記外側ミドルラグ溝とは、互いに向き合わない位置に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項9記載の発明は、前記トレッド部は、前記クラウン主溝が2本設けられることにより、前記クラウン主溝間にクラウン陸部が形成され、前記クラウン陸部には、両側の前記クラウン主溝からタイヤ軸方向内側にのびる前記クラウン陸部内で途切れるクラウンラグ溝が複数本形成され、前記クラウンラグ溝と前記内側ミドルラグ溝とは、互いに向き合わない位置に設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項10記載の発明は、前記トレッド部は、28〜35%のシー比を有している請求項1乃至9のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのミドル陸部には、複数本の外側ミドルラグ溝と、複数本の内側ミドルラグ溝とが形成されている。外側ミドルラグ溝及び内側ミドルラグ溝は、それぞれ、各々の終端に向かって溝幅が減少している。従って、泥濘地走行時、ラグ溝内に進入した泥は、終端に比して相対的に溝幅が大きいラグ溝の開放端側から容易に排出され得る。
また、外側ミドルラグ溝は、第1ピッチと、第1ピッチよりも大きい第2ピッチとを用いてタイヤ周方向に隔設され、第1ピッチ及び第2ピッチは、交互に繰り返されている。さらに、内側ミドルラグ溝は、実質的に一定なピッチでタイヤ周方向に隔設されている。このようなミドル陸部は、タイヤ軸方向内側及び外側において、異なる周方向剛性を持つので、接地時、ラグ溝内の泥が外部に押し出されるように、ミドルラグ溝に変形が生じる。
従って、本発明の空気入りタイヤは、溝容積に依存することなく、ラグ溝からの泥の排出性を高めることができる。このため、本発明の空気入りタイヤは、優れたマッド性能及びノイズ性能を発揮することができる。
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示すトレッドパターンの展開図である。 クラウン主溝の拡大図である。 図1のミドル陸部の拡大図である。 図3のミドル陸部のさらなる拡大図である。
以下、本発明の実施形態が、図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部2の展開図が示されている。本実施形態では、乾燥路及び泥濘地の双方で良好な走行性能を発揮することができるいわゆるマッド&スノー(M+S)タイプの空気入りタイヤが示されている。
好ましい態様では、トレッド部2は、28〜35%のシー比を有する。シー比は、トレッド部2の全ての溝を埋めた状態でのトレッド接地面積の合計に対する、溝面積の合計の比である。
トレッド部2には、ショルダー主溝3及びクラウン主溝4が設けられている。
ショルダー主溝3は、最もトレッド接地端Te側をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびている。本実施形態において、ショルダー主溝3は、タイヤ赤道Cの両側に各1本設けられている。
前記「トレッド接地端」とは、正規リムにリム組みされ、正規内圧が充填され、しかも無負荷である正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷し、キャンバー角0度で平面に接地させたときのトレッド部2のタイヤ軸方向の最外側の接地位置である。正規状態において、トレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWである。特に言及されていない場合、タイヤの各部の寸法等は、正規状態での値である。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"である。
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"である。ただし、タイヤが乗用車用タイヤである場合、正規内圧は、一律に180kPaとされる。
前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。ただし、タイヤが乗用車用タイヤである場合、正規荷重は、前記各荷重の88%とされる。
クラウン主溝4は、一対のショルダー主溝3、3間をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる1又は2本からなる。本実施形態では、タイヤ赤道Cの両側に、各1本(合計2本)のクラウン主溝4が設けられている。他の実施形態として、例えば、タイヤ赤道C上に、1本のクラウン主溝4が設けられても良い。
ショルダー主溝3及びクラウン主溝4により、トレッド部2には、ショルダー主溝3よりもタイヤ軸方向外側のショルダー陸部5、ショルダー主溝3とクラウン主溝4との間のミドル陸部6、及び、クラウン主溝4、4間のクラウン陸部7がそれぞれ形成されている。
ショルダー主溝3及びクラウン主溝4は、それぞれ、7.0mm以上の溝幅を有するのが望ましい。マッド性能を向上させるためには、ショルダー主溝3及びクラウン主溝4の溝深さは、例えば、9.0〜12.0mmの範囲が望ましい。
ショルダー主溝3及びクラウン主溝4は、いずれもジグザグ溝として形成されている。ジグザグ溝は、種々の態様が含まれるが、本実施形態では、台形波状のものが示されている。
図2には、ジグザグ溝の代表例として、図1の右側のショルダー主溝3が示されている。ショルダー主溝3は、台形波状の単位模様が繰り返して配置されている。単位模様は、タイヤ周方向に対して一方側に傾いてのびる第1傾斜部aと、一端がこの第1傾斜部aに連なりかつトレッド接地端Te側をタイヤ周方向に沿って直線状にのびる外側直線部bと、外側直線部bの他端に連なりかつタイヤ周方向に対して他方側に傾く第2傾斜部cと、第2傾斜部cに連なりかつタイヤ赤道C側をタイヤ周方向に沿って直線状にのびる内側直線部dとを含んでいる。本実施形態において、クラウン主溝4も、ショルダー主溝3と同じジグザグ形状を具えている。
本実施形態の台形波状の主溝3及び4は、溝内で押固められた泥が、各傾斜部a、cでせん断されることにより、トラクションを発生させる。これは、マッド性能の向上に役立つ。好ましい態様では、傾斜部a、cのタイヤ周方向に対する角度γは、30〜60°の範囲とされる。
図1に示されるように、ショルダー陸部5には、複数本のショルダー横溝8が設けられている。各ショルダー横溝8は、ショルダー主溝3からトレッド接地端Teを越えてタイヤ軸方向外側にのびている。これにより、ショルダー陸部5は、複数個のショルダーブロック9に区分されている。
ショルダー横溝8は、好ましくは、少なくとも2mmの溝幅を有している。特に好ましい態様では、ショルダー横溝8は、泥の排出性を高めるために、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅が大きくなっている。さらに、好ましい態様では、ショルダー横溝8は、トレッド接地端Teでのタイヤ周方向の溝幅は、泥の排出性を高めるために、タイヤ軸方向の内端でのタイヤ周方向の溝幅の2倍以上とされる。
ミドル陸部6には、複数本の外側ミドルラグ溝11と、複数本の内側ミドルラグ溝12とが設けられている。
図3には、図1の右側のミドル陸部6の部分拡大図が示されている。各外側ミドルラグ溝11は、ショルダー主溝3からタイヤ軸方向内側にのびており、ミドル陸部6内で途切れる終端11eを有している。各内側ミドルラグ溝12は、クラウン主溝4からタイヤ軸方向外側にのびており、ミドル陸部6内で途切れる終端12eを有している。
外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12は、それぞれ、各々の終端11e、12eに向かって減少する溝幅を有している。このようなラグ溝11、12は、溝内に進入した泥を相対的に溝幅が大きい主溝3又は4側の開放端から容易に排出することができる。従って、ラグ溝11、12は、泥を溝内で押し固め、これをせん断し、その後、溝内から排出するというサイクルを繰り返す。このような一連の作用により、泥濘地でのトラクションが十分にかつ連続して高められる。
図4には、図3のさらなる拡大図が示されている。外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12は、それぞれ、互いに向き合っている第1溝縁20と第2溝縁22とを有している。第1溝縁20は、直線状にのびており、タイヤ軸方向に対して20〜35度の角度αで傾いている。第2溝縁22は、直線状にのびており、タイヤ軸方向に対して25〜40度の角度βで傾いている。第2溝縁22の角度βが、第1溝縁20の角度αよりも大きく形成されている。これにより、各ラグ溝11、12は、各々の終端11e、12eに向かって減少する溝幅を持つ。
好ましい態様では、外側ミドルラグ溝11の終端11eは、内側ミドルラグ溝12の終端12eをタイヤ軸方向内側に超えた位置に設けられている。これにより、ミドル陸部6のより広い範囲で効果的な泥の排出が行われる。
図3に示されるように、外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12は、それぞれ、タイヤ周方向に距離を持って配置されている。この配置間隔を定めるタイヤ周方向の長さは「ピッチ」と呼ばれる。
外側ミドルラグ溝11は、第1ピッチP1と、第1ピッチP1よりも大きい第2ピッチP2とがタイヤ周方向に交互に繰り返して現れるように配置されている。一方、内側ミドルラグ溝12は、実質的に一定な第3ピッチP3でタイヤ周方向に隔設されている。
上述のピッチP1乃至P3の影響により、本実施形態のミドル陸部6は、タイヤ軸方向の内側及び外側において、異なる周方向剛性の分布を持つ。また、ミドル陸部6のタイヤ軸方向の外側は、タイヤ周方向に不規則な剛性分布を持つ。従って、接地時にせん断力を受けるミドル陸部6は、例えば、面内曲げやねじれ等の複雑な変形をする。ミドル陸部6のこのような変形は、ラグ溝11、12内に進入した泥に圧力を加え、溝外部へと排出させる。特に、外側ミドルラグ溝11に大きなピッチ変化が与えられることにより、より良好な泥のタイヤ外部への排出作用が得られる。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤは、ラグ溝11、12からの泥の排出性を高めるので、優れたマッド性能が発揮される。この作用は、ラグ溝容積に依存するものではないので、ノイズ性能の悪化を招くものではない。
第3ピッチは、実質的に一定とされている。「実質的に」とは、第3ピッチは、ピッチバリエーションによる変化を含むことができることを意味している。ピッチバリエーションとは、一定のピッチで配置された横溝によるノイズの重複を防止するために、少しずつピッチを変えた複数種類のピッチを含む横溝の配置である。ピッチバリエーションは、通常、3乃至5種類のピッチを含んでいる。
本実施形態において、全ての内側ミドルラグ溝12のタイヤ軸方向の内端12iは、クラウン主溝4の繰り返し模様に対して、常に同じ位置に接続されている。例えば、全ての内側ミドルラグ溝12のタイヤ軸方向の内端12iは、クラウン主溝4の外側直線部bの第2傾斜部c側の端部に接続されている。好ましい態様では、内側ミドルラグ溝12は、第2傾斜部cの溝縁と連続するように、第2傾斜部cと同じ向きに傾斜している。このような態様では、クラウン主溝4の傾斜部がラグ溝12の一部として機能することができ、泥濘地での大きなトラクションが得られる。
一方、外側ミドルラグ溝11の第1ピッチP1及び第2ピッチP2は、内側ミドルラグ溝12の第3ピッチP3とは異なる方法で得られている。本実施形態において、全ての外側ミドルラグ溝11のタイヤ軸方向の外端11oは、ショルダー主溝3の繰り返し模様に対して、常に同じ位置に接続されてはいない。
例えば、全ての外側ミドルラグ溝11の外端11oは、ショルダー主溝3の内側直線部dに設けられている。しかし、第1外側ミドルラグ溝11Aは、内側直線部dの第1傾斜部a側の端部に接続されている。また、第2外側ミドルラグ溝11Bは、内側直線部dの第2傾斜部c側の端部に接続されている。好ましくは、第2外側ミドルラグ溝11Bは、内側直線部dの第2傾斜部cの溝縁と連続するように、第2傾斜部cと同じ向きに傾斜している。このような態様では、ショルダー主溝3の傾斜部がラグ溝11の一部として機能することができ、泥濘地での大きなトラクションが得られる。以上のように、外側ミドルラグ溝11の第1ピッチP1及び第2ピッチP2は、ショルダー主溝3に対する接続位置を異ならせることにより提供されている。第1ピッチP1及び第2ピッチP2にも、ピッチバリエーションが適用されても良い。
好ましい態様では、内側ミドルラグ溝11の第3ピッチP3は、第1ピッチP1よりも大きくかつ第2ピッチP2よりも小さいピッチを含んでいることが望ましい。このようなピッチを採用することにより、さらに上記作用が促進され、タイヤのマッド性能がバランス良く向上する。
他の好ましい実施形態では、ミドル陸部6での偏摩耗を防ぎながら、上述の作用をさらに高めるために、互いに隣接している第2ピッチP2と第1ピッチP1との比P2/P1は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは、2.0以下、より好ましくは1.8以下である。
ミドル陸部6のタイヤ軸方向及び周方向の剛性をバランスよく維持しながら泥の排出性を高めるために、第1外側ミドルラグ溝11A及び第2外側ミドルラグ溝11Bのタイヤ軸方向に対する角度θ1、θ2は、それぞれ、20〜40度の範囲が望ましい。好ましい態様では、第2外側ミドルラグ溝11Bの角度θ2は、第1外側ミドルラグ溝11Aの角度θ1よりも大きい。このように、ピッチのみならず、角度が異なる第1外側ミドルラグ溝11A及び第2外側ミドルラグ溝11Bが設けられることにより、ミドル陸部6の泥の排出性はさらに向上する。
同様に、ミドル陸部6のタイヤ軸方向及び周方向の剛性をバランスよく維持しながら泥の排出性を高めるために、内側ミドルラグ溝12は、タイヤ周方向に対する角度θ3を有する第1内側ミドルラグ溝12Aと、第1内側ミドルラグ溝12Aよりも大きいタイヤ周方向に対する角度θ4を有する第2内側ミドルラグ溝12Bとを含んでいる。第1内側ミドルラグ溝12Aと、第2内側ミドルラグ溝12Bとは、タイヤ周方向に交互に設けられている。第1内側ミドルラグ溝12A及び第2内側ミドルラグ溝12Bのタイヤ軸方向に対する角度θ3、θ4は、それぞれ、20〜40度の範囲が望ましい。なお、内側ミドルラグ溝12と、外側ミドルラグ溝11とは、同じ向きに傾斜している。
ミドル陸部6には、タイヤ周方向に直線状にのびる縦細溝24が設けられている。本実施形態の縦細溝24は、中間縦細溝25、外側縦細溝26及び内側縦細溝27の3種類を含んでいる。各縦細溝26、27及び28は、外側ミドルラグ溝11と内側ミドルラグ溝11との間を接続している。
中間縦細溝25は、外側ミドルラグ溝11の終端11eと、内側ミドルラグ溝11の終端12eとの間を接続している。
外側縦細溝26は、中間縦細溝25よりもタイヤ軸方向外側の位置に配されており、例えば、内側ミドルラグ溝12の終端12eと、外側ミドルラグ溝11の終端11eよりも外側の位置とを接続している。
内側縦細溝27は、中間縦細溝25よりもタイヤ軸方向内側の位置に配されており、例えば、外側ミドルラグ溝11の終端11eと、内側ミドルラグ溝12の終端12eよりも内側の位置とを接続している。
さらに、各縦細溝25乃至27は、タイヤ周方向に順番に設けられている。
縦細溝24は、接地時に溝幅を閉じるように変形する。タイヤ軸方向の互いに異なる位置に中間乃至内側縦細溝25乃至27が設けられているため、ミドル陸部6の上記変形も、タイヤ軸方向の異なる位置で順番に発生する。縦細溝24の変形に伴い、縦細溝24に繋がっている外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12の変形もさらに促進される。これらの作用により、ミドルラグ溝11、12内で押し固められた泥は、走行中にさらに容易に排出される。これにより、マッド性能がさらに向上する。
ミドル陸部6のパターン剛性を確保しながら、上述の作用を効果的に発揮させるために、縦細溝24の溝幅は、好ましくは1.0〜3.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mmとされる。縦細溝24の溝深さは、好ましくは、クラウン主溝4の溝深さの30〜90%が望ましい。
図1に示されるように、本実施形態では、ミドル陸部6の外側ミドルラグ溝11は、ショルダー横溝8と、互いに向き合わない位置に設けられている。互いに向き合わないとは、各溝11、8のショルダー主溝3への接続部が、互いにオーバーラップしていないという意味である。このような溝配置は、ミドル陸部6及びショルダー陸部5の泥排出作用が、タイヤ周方向で分散して得られるので、マッド性能がさらに向上する。
クラウン陸部7には、両側のクラウン主溝4、4からタイヤ軸方向内側にのびるクラウンラグ溝30が複数本形成されている。各クラウンラグ溝30は、それぞれ、タイヤ周方向に対して傾いている。各クラウンラグ溝30の傾斜の角度は、好ましくは20〜40度である。各クラウンラグ溝30は、外側ミドルラグ溝11及び内側ミドルラグ溝12と逆向きに傾斜している。
好ましい態様では、クラウン主溝4の両側に配置されているクラウンラグ溝30と内側ミドルラグ溝12とは、互いに向き合わない位置に設けられている。これにより、ミドル陸部6及びクラウン陸部7の領域においても、パターン剛性の過度の低下を損ねずに、マッド路での排土作用が、タイヤ周方向で分散して得られ、より優れたマッド性能が得られる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
図1のトレッドパターンをベースとした実施例タイヤ(サイズ285/60R18、トレッド幅TW=224mm)が表1の仕様に基づいて試作され、ノイズ性能、マッド性能及び操縦安定性がテストさた。また、本発明外のタイヤ(比較例1)についても、同様のテストが行われた。各タイヤとも、ショルダー主溝、クラウン主溝、ショルダー横溝の溝幅、溝深さなど、表1の仕様以外は実質的に同じである。実施例では、ラグ溝のピッチの変化に伴い、主溝のジグザグの振幅も変化させている。テスト方法は、次の通りである。
ノイズ性能:
各供試タイヤが18×8Jのリムに内圧230kPaで組み付けられ、排気量4700ccの4WDのテスト車両の全輪に装着された。テスト車両をエンジンオフ状態で時速50km/hで走行させ、その側方に7.5m離れた位置にマイクセットしてJISO規格C−606に準じて通過騒音ノイズが測定された。評価はノイズの逆数であり、比較例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
マッド性能:
テストタイヤのマッド路でのトラクションを評価するために、上記のテスト車両を泥深さ20cmのマッド路テストコースを停車状態から目的地まで高速走行させ、走行タイムが測定された。評価は、走行タイムの逆数であり、比較例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
操縦安定性:
上記テスト車両で乾燥路面を走行させ、旋回時の安定性等がドライバーの官能により、評価された。テストの結果は、表1に示される。
Figure 2014162439
テストの結果、実施例のタイヤは、優れたマッド性能及びノイズ性能を発揮していることが確認できた。
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
4 クラウン主溝
5 ショルダー陸部
6 ミドル陸部
7 クラウン陸部
8 ショルダー横溝
11 外側ミドルラグ溝
12 内側ミドルラグ溝

Claims (10)

  1. トレッド部に、最もトレッド接地端側をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる一対のショルダー主溝と、この一対のショルダー主溝間をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる1又は2本のクラウン主溝とが設けられることにより、前記ショルダー主溝と前記クラウン主溝との間に区分されたミドル陸部を一対具えた空気入りタイヤであって、
    前記各ミドル陸部には、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向内側にのびかつ前記ミドル陸部内で途切れる終端を有する複数本の外側ミドルラグ溝と、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ前記ミドル陸部内で途切れる終端を有する複数本の内側ミドルラグ溝とが形成され、
    前記外側ミドルラグ溝及び前記内側ミドルラグ溝は、それぞれ、前記各々の終端に向かって溝幅が減少し、
    前記外側ミドルラグ溝は、第1ピッチと、前記第1ピッチよりも大きい第2ピッチとがタイヤ周方向交互に現れるように配置され、
    前記内側ミドルラグ溝は、実質的に一定なピッチでタイヤ周方向に隔設されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記内側ミドルラグ溝は、前記第1ピッチよりも大きくかつ前記第2ピッチよりも小さいピッチを含んでいる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記外側ミドルラグ溝は、第1外側ミドルラグ溝と、前記第1外側ミドルラグ溝よりもタイヤ軸方向に対する角度が大きい第2外側ミドルラグ溝とを含み、
    前記第1外側ミドルラグ溝と前記第2外側ミドルラグ溝とがタイヤ周方向に交互に配置されている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記内側ミドルラグ溝は、第1内側ミドルラグ溝と、前記第1内側ミドルラグ溝よりもタイヤ軸方向に対する角度が大きい第2内側ミドルラグ溝とを含み、
    前記第1内側ミドルラグ溝と前記第2内側ミドルラグ溝とがタイヤ周方向に交互に配置されている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記外側ミドルラグ溝及び前記内側ミドルラグ溝は、それぞれ、タイヤ軸方向に対して20〜35度の角度αで傾く直線状の第1溝縁と、タイヤ軸方向に対して25〜40度の角度βで傾く直線状の第2溝縁とを具えており、
    前記第2溝縁の前記角度βが、前記第1溝縁の前記角度αよりも大きい請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ミドル陸部には、前記外側ミドルラグ溝と、前記内側ミドルラグ溝との間を接続する縦細溝が設けられている請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記縦細溝は、前記ミドル陸部の最もタイヤ軸方向内側をのびる内側縦細溝と、前記ミドル陸部の最もタイヤ軸方向外側をのびる外側縦細溝とを含む請求項6記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記トレッド部には、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝が複数本形成され、
    前記ショルダー横溝と前記外側ミドルラグ溝とは、互いに向き合わない位置に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッド部は、前記クラウン主溝が2本設けられることにより、前記クラウン主溝間にクラウン陸部が形成され、
    前記クラウン陸部には、両側の前記クラウン主溝からタイヤ軸方向内側にのびる前記クラウン陸部内で途切れるクラウンラグ溝が複数本形成され、
    前記クラウンラグ溝と前記内側ミドルラグ溝とは、互いに向き合わない位置に設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記トレッド部は、28〜35%のシー比を有している請求項1乃至9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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