JP2014147400A - メタクリル酸の産生のための微生物 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタクリル酸の産生のための微生物の提供。
【解決手段】本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路を有する、天然に存在しない微生物体を提供する。微生物体は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路中の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含有する。本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する方法をさらに提供する。この方法は、十分な量で2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を発現する、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する微生物体を培養し、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間培養することを含むことができる。
【選択図】なし

Description

発明の背景
本願は、2008年5月1日に出願された米国仮特許出願第61/049,730号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
本発明は、一般に生合成プロセスに、より具体的にはメタクリル酸、2−ヒドロキシイソブチレートおよび3−ヒドロキシイソブチレートの生合成能力を有する生物体に関する。
メチルメタクリレートは、式CH=C(CH)COCHを有する有機化合物である。この無色の液体は、メタクリル酸(MMA)のメチルエステルであり、透明なプラスチックであるポリメチルメタクリレート(PMMA)を生成するためのモノマーである。メチルメタクリレート(MMA)は、世界的な需要が1年当たり45億ポンドを超える重要な中間化学物質であり、その多くはポリアクリレートに変換される。
ほとんどの商業的生産体は、アセトンシアノヒドリン(ACH)経路を適用してメタクリル酸(MAA)を生成し、アセトンおよびシアン化水素を原料とする。この中間体シアノヒドリンは、硫酸を用いてメタクリルアミドの硫酸エステルに変換され、その加水分解により重硫酸アンモニウムおよびMAAが得られる。一部の生産体は、イソブチレン、または同等のtert−ブタノールから開始し、それは酸化されてメタクロレインになり、さらに酸化されてメタクリル酸になる。次いでMAAはメタノールでエステル化されてMMAになる。
アセトンシアノヒドリン経路を使用する従来の生成プロセスでは、シアン化水素(HCN)およびアセトンがアセトンシアノヒドリンに変換され、次いで酸の補助による加水分解を受け、メタノールでのエステル化によりMMAが得られる。潜在的に致死性のあるHCNの取り扱いが難点であるとともに、副産物の廃棄のコストが高い(MMA1トン当たり1.2トンの重硫酸アンモニウムが形成される)ことが、よりクリーンで経済的なプロセスを目的とする非常に多くの研究の契機となった。いくつかの新たなプロセスが過去20年間に商業化されており、さらに多くのプロセスが商業化に近づいている。イソブチレンを酸化してメタクロレインにし、次いでそれをメタノールと混合し、空気で酸化し、エステル化してMMAにする、Asahiの「Direct Metha」経路が、経済的なプロセスとして記載されている。
メチルメタクリレートの主な適用例は、ポリメチルメタクリレートアクリルプラスチックの生産である。また、メチルメタクリレートは、PVCの改質剤として使用されるコポリマーのメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)の生産にも使用される。メチルメタクリレートポリマーおよびコポリマーは、ラテックス塗料などの水性コーティングに使用される。接着剤においても使用が見出される。現代の適用例には、液晶ディスプレイ(LCD)コンピュータおよびTVスクリーンにわたって光の広がりを均一に維持するプレートにおける使用がある。メチルメタクリレートは、心臓の冠状動脈などの解剖学的臓器の腐食鋳型にも使用される。
メタクリル酸、または2−メチル−2−プロペン酸は、ローマカミツレの油中に少量で天然に存在する低分子量のカルボン酸である。それは、刺激性の不快なにおいを有する腐食性の液体である。それは、温水に溶解性であり、ほとんどの有機溶媒と混和性がある。
メタクリル酸は、加熱、または触媒作用のある量のHClなどの強酸での処理後に容易に重合する。得られたポリマーは、セラミックに見えるプラスチックである。メタクリル酸は、上記で論じたメチルメタクリレートなど、まとめてメタクリレートとして公知であるそのエステルの調製において産業上使用される。メタクリレートは、最も顕著にはLucite(商標)およびPlexiglas(商標)などの商品名を有するポリマーの製造において多数の用途を有する。
MMAポリマー以外で、この産業の他の主要な製品は、粗製メタクリル酸(粗製MAA、図1)であり、MMAの総生産の約20パーセントを占める。粗製MAAは処理されてブチルメタクリレートおよび/または高度に精製された粗製MAAである「精」MAAとなる。精MAAは、様々なポリマーにおけるコモノマーとして直接使用することができ、種々の少量のメタクリレートの作製にも使用される。その一方で、MAAは、メタノールでのエステル化を介してMMAに変換することもできる。
したがって、商業的な量のメタクリル酸、2−ヒドロキシイソブチレートまたは3−ヒドロキシイソブチレートなどの化合物を有効に生成する代替方法の必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たし、関連する利点も提供する。
本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を提供する。微生物体は、メタクリル酸経路中の酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する。本発明は、メタクリル酸を生成する方法をさらに提供する。この方法は、メタクリル酸を生成する微生物体を培養することを含むことができ、微生物体は、メタクリル酸を生成する条件下および十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で、メタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を発現する。本発明はまた、メタクリル酸前駆体の3−ヒドロキシイソブチレートおよび2−ヒドロキシイソブチレートのための生物体および生成方法についても記載する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体。
(項目2)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼをさらに含む、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目3)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目4)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目5)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目6)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目5に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目7)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目8)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目7に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目9)
前記5つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目8に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目10)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目11)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目12)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目1に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目13)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目1に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目14)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目18)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目19に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目21)
前記5つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目13に記載の方法。
(項目23)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体。
(項目24)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目25)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目26)
前記3つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目25に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目27)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目28)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目27に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目29)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目27に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目30)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目31)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目32)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目23に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目33)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目23に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目34)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目33に記載の方法。
(項目37)
前記3つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目33に記載の方法。
(項目39)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目38に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目40)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目33に記載の方法。
(項目42)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼを含む微生物体。
(項目43)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目44)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目45)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目46)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼをコードする、項目45に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目47)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目48)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目47に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目49)
前記5つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼをコードする、項目48に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目50)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目51)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目52)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目42に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目53)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目42に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目54)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目53に記載の方法。
(項目57)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目53に記載の方法。
(項目58)
前記4つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼをコードする、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目53に記載の方法。
(項目60)
前記メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAエピメラーゼをさらに含む、項目59に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目61)
前記5つの外因性核酸が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼをコードする、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目53に記載の方法。
(項目63)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体。
(項目64)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目65)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目66)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目67)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目68)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目69)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目70)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目71)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目63に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目72)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目63に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目73)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目72に記載の方法。
(項目75)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目72に記載の方法。
(項目76)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目75に記載の方法。
(項目78)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目75に記載の方法。
(項目79)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目72に記載の方法。
(項目80)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む微生物体。
(項目81)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目80に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目82)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目80に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目83)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目80に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目84)
前記4つの外因性核酸が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼをコードする、項目83に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目85)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目80に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目86)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目80に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目87)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目80に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目88)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目87に記載の方法。
(項目90)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目87に記載の方法。
(項目91)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目87に記載の方法。
(項目92)
前記4つの外因性核酸が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼをコードする、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目87に記載の方法。
(項目94)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む微生物体。
(項目95)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目94に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目96)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目94に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目97)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目94に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目98)
前記4つの外因性核酸が、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼをコードする、項目97に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目99)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目94に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目100)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目94に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目101)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目94に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目102)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目101に記載の方法。
(項目103)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目101に記載の方法。
(項目104)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目101に記載の方法。
(項目105)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目101に記載の方法。
(項目106)
前記4つの外因性核酸が、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼをコードする、項目101に記載の方法。
(項目107)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目101に記載の方法。
(項目108)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼを含む微生物体。
(項目109)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目110)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目111)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目112)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目113)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目112に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目114)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目112に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目115)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼをコードする、項目112に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目116)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目117)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目108に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目118)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目108に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目119)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目118に記載の方法。
(項目120)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目118に記載の方法。
(項目121)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目118に記載の方法。
(項目122)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目118に記載の方法。
(項目123)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目118に記載の方法。
(項目124)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目123に記載の方法。
(項目125)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目123に記載の方法。
(項目126)
前記5つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼをコードする、項目123に記載の方法。
(項目127)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目118に記載の方法。
(項目128)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体。
(項目129)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目130)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目131)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目132)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目133)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする6つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目134)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする7つの外因性核酸を含む、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目135)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目134に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目136)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目134に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目137)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目134に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目138)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目139)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目128に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目140)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目128に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目141)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目140に記載の方法。
(項目142)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目143)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目144)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目145)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目146)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする6つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目147)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする7つの外因性核酸を含む、項目140に記載の方法。
(項目148)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目147に記載の方法。
(項目149)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目147に記載の方法。
(項目150)
前記7つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼをコードする、項目147に記載の方法。
(項目151)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目140に記載の方法。
(項目152)
天然に存在しない微生物体であって、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される3−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、3−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する微生物体を含み、前記3−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体。
(項目153)
それぞれ3−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目152に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目154)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目153に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目155)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目153に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目156)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目153に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目157)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目152に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目158)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目152に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目159)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目152に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目160)
3−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目152に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目161)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目160に記載の方法。
(項目162)
前記微生物体が、それぞれ3−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目160に記載の方法。
(項目163)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目162に記載の方法。
(項目164)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目162に記載の方法。
(項目165)
前記2つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目162に記載の方法。
(項目166)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目160に記載の方法。
(項目167)
天然に存在しない微生物体であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する微生物体を含み、前記2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼを含む微生物体。
(項目168)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目167に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目169)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目167に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目170)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目167に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目171)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目170に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目172)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目170に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目173)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目170に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目174)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目167に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目175)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目167に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目176)
2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目167に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目177)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目176に記載の方法。
(項目178)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目176に記載の方法。
(項目179)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目176に記載の方法。
(項目180)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目176に記載の方法。
(項目181)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目180に記載の方法。
(項目182)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目180に記載の方法。
(項目183)
前記4つの外因性核酸が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目180に記載の方法。
(項目184)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目176に記載の方法。
(項目185)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼのいずれかを含む微生物体。
(項目186)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目187)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目188)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目189)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目190)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目189に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目191)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼをコードする、項目189に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目192)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目189に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目193)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目194)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目195)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目185に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目196)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目185に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目197)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目196に記載の方法。
(項目198)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目196に記載の方法。
(項目199)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目196に記載の方法。
(項目200)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目196に記載の方法。
(項目201)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする5つの外因性核酸を含む、項目196に記載の方法。
(項目202)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目201に記載の方法。
(項目203)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼをコードする、項目201に記載の方法。
(項目204)
前記5つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目201に記載の方法。
(項目205)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目196に記載の方法。
(項目206)
天然に存在しない微生物体であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する微生物体を含み、前記2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼのいずれかを含む微生物体。
(項目207)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目206に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目208)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目206に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目209)
それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目206に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目210)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目209に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目211)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目209に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目212)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目209に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目213)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目206に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目214)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目206に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目215)
2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目206に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目216)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目215に記載の方法。
(項目217)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目215に記載の方法。
(項目218)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目215に記載の方法。
(項目219)
前記微生物体が、それぞれ2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする4つの外因性核酸を含む、項目215に記載の方法。
(項目220)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードする、項目219に記載の方法。
(項目221)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼをコードする、項目219に記載の方法。
(項目222)
前記4つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ、クロトナーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼをコードする、項目219に記載の方法。
(項目223)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目215に記載の方法。
(項目224)
天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、前記メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体。
(項目225)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目226)
それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目227)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目228)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目229)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目230)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目231)
実質的に嫌気性の培地中にある、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目232)
クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、活性の増加が、前記遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である、項目224に記載の天然に存在しない微生物体。
(項目233)
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目224に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目234)
前記天然に存在しない微生物体が実質的に嫌気性の培地中にある、項目233に記載の方法。
(項目235)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする2つの外因性核酸を含む、項目233に記載の方法。
(項目236)
前記微生物体が、それぞれメタクリル酸経路の酵素をコードする3つの外因性核酸を含む、項目233に記載の方法。
(項目237)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAシンテターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目236に記載の方法。
(項目238)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目236に記載の方法。
(項目239)
前記3つの外因性核酸が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、メタクリリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼをコードする、項目236に記載の方法。
(項目240)
前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、項目233に記載の方法。
(項目241)
天然に存在しない微生物体であって、タンパク質または酵素をコードする遺伝子中に生じている1つまたは複数の遺伝子破壊を含み、前記1つまたは複数の遺伝子破壊が前記生物体における3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成の増加を付与する微生物体。
(項目242)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成が増殖連結型である、項目241に記載の天然に存在しない生物体。
(項目243)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成が増殖連結型でない、項目241に記載の天然に存在しない生物体。
(項目244)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が表10または11に列挙したタンパク質または酵素をコードする、項目241に記載の天然に存在しない生物体。
(項目245)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびアセトアルデヒドCoAデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードする、項目241に記載の天然に存在しない生物体。
(項目246)
アスパルターゼ、ピルビン酸ギ酸リアーゼ、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼ、ホスホエノールピルビン酸:ピルビン酸ホスホトランスフェラーゼ系、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホトランスアセチラーゼ、酢酸キナーゼ、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびNADHデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子破壊をさらに含む、項目245に記載の天然に存在しない生物体。
(項目247)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が、前記1つまたは複数の遺伝子の欠失を含む、項目241に記載の生物体。
(項目248)
前記細胞が実質的に嫌気性の培地中にある、項目241に記載の生物体。
(項目249)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する方法であって、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、項目241に記載の天然に存在しない微生物体を培養することを含む方法。
(項目250)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成が増殖連結型である、項目249に記載の方法。
(項目251)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成が増殖連結型でない、項目249に記載の方法。
(項目252)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が表10または11に列挙したタンパク質または酵素をコードする、項目249に記載の方法。
(項目253)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびアセトアルデヒドCoAデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードする、項目249に記載の生物体。
(項目254)
アスパルターゼ、ピルビン酸ギ酸リアーゼ、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼ、ホスホエノールピルビン酸:ピルビン酸ホスホトランスフェラーゼ系、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホトランスアセチラーゼ、酢酸キナーゼ、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびNADHデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子破壊をさらに含む、項目253に記載の生物体。
(項目255)
前記培養が実質的に嫌気性の培地中で行われる、項目249に記載の方法。
(項目256)
前記1つまたは複数の遺伝子破壊が、前記1つまたは複数の遺伝子の欠失を含む、項目249に記載の方法。
図1は、メタクリル酸(MAA)の構造を示す図である。 図2は、3−ヒドロキシイソブチレートを介するスクシニルCoAからMMAへの例示的な代謝経路を示す図である。 図3は、公知の酵素触媒脱水と、3−ヒドロキシイソブチレートの脱水について予測される変換との比較を示す図である。図3Aは、2−(ヒドロキシメチル)グルタル酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.−)による2−ヒドロキシメチルグルタレートの転換を示す。図3Bは、フマル酸ヒドラターゼ(EC4.2.1.2)によるマレートからフマレートへの脱水を示す。図3Cは、3−ヒドロキシイソブチレートからMAAへの予測される脱水を示す。 図4は、3−アミノ−2−メチルプロピオネートを介するスクシニルCoAからMAAへの例示的な経路を示す図である。「集中反応」(段階2〜3)は、1)メチルマロニルCoAエピメラーゼおよび2)メチルマロニルCoAレダクターゼによって触媒される。 図5は、フマレートを形成するアスパルテートの公知の酵素触媒脱アミノ化(図5A、EC4.3.1.1)と、MAAへの3−アミノ−2−メチルプロピオネートの予測される脱アミノ化(図5B)との比較を示す図である。 図6は、3−ヒドロキシイソブチレートまたはメタクリリルCoAを介して進行する4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAへの例示的な経路を示す図である。段階2は、3つの代替酵素:3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼによって触媒され得る。同様に、段階5は、3つの代替酵素:メタクリリルCoAシンテターゼ、メタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼによって触媒され得る。 図7は、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソブチリルCoAへの転換を触媒する酵素の候補の比較を示す図である。候補メチルムターゼによってコードされる経路:図7A、メチルマロニルCoAムターゼ(MCM、EC5.4.99.2);図7B、イソブチリルCoAムターゼ(ICM、EC5.4.99.13);図7C、図6の段階1で提唱された予測される変換。 図8は、トレオ−3−メチルアスパルテートを介するアルファ−ケトグルタレートからMAAへの例示的な経路を示す図である。 図9は、公知の酵素触媒脱カルボキシル化と、メサコネートの予測される脱カルボキシル化との比較を示す図である。図9Aは、アコニット酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.6)によって触媒される、アコニテートからイコニテートへの変換を示す。図9Bは、4−オキサロクロトン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.77)による4−オキサロクロトネートから2−オキソペンテノエートへの脱カルボキシル化を示す。図9Cは、MAAを形成する、メサコネートの予測される脱カルボキシル化を示す。 図10は、2−ヒドロキシグルタレートを介するアルファ−ケトグルタレートからMAAへの例示的な経路を示す図である。 図11は、3−メチルマレートからメサコネートに転換する酵素の候補を示す図である。図11Aは、2−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.34)によって触媒される、2−メチルマレートからメサコネートへの変換を示す。図11Bは、フマル酸ヒドラターゼ(EC4.2.1.2)によるマレートからフマレートへの脱水を示す。図11Cは、3−メチルマレートからメサコネートへの予測される脱水を示す。 図12は、アセチルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAまたは2−ヒドロキシイソブチレートへの転換の例示的な代謝経路を示す図である。 図13は、アセチルCoAからMAAへの例示的な経路を示す図である。 図14は、アクリリルCoAからMAAへの例示的な経路を示す図である。 図15は、2−ケトバレレートからMAAへの例示的な経路を示す図である。2−ケトイソバレレートは、バリンまたはピルベートから生成することができる。ピルベートから2−ケトイソバレレートに転換する酵素の例示的なセットは、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、およびジヒドロキシ酸デヒドラターゼからなる。 図16は、典型的な非増殖連結型生成株と比較した、OptKnock設計株の仮想の生成エンベロープを示す図である。対角線の右側の領域は、典型的な生成株に関連し、対角線の左側は、OptKnock設計株を表す。OptKnock株の潜在的な進化軌跡は、高生産性の表現型につながるという点で根本的に異なる。影付きの領域内にある白丸は、増殖選択前を表す。影付きの領域の頂点にある丸(OptKnockではB、典型的な生成株ではA)は、増殖選択後の表現型を表す。 図17は、野生型E.coli(黒色)と比較した、優先度の最も高いノックアウト株の設計(灰色)の増殖連結型のMAAおよび3−ヒドロキシイソブチレート生成の特徴を示す図である。10mmol/gDW/時間のグルコース取り込み速度が想定される。 図18は、野生型E.coli(黒色)と比較した、4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAへの経路で優先度の最も高いノックアウト株(灰色)の増殖連結型のMAA生成の特徴を示す図である。10mmol/gDW/時間のグルコース取り込み速度が想定される。
本発明は、メタクリル酸の生合成的生成能力を有する細胞および生物体の設計および生成を対象とする。本明細書に記載の結果は、代謝経路を設計し、組換えにより工学的に操作して、Escherichia coliおよび他の細胞または生物体でメタクリル酸の生合成を行うことができることを示す。メタクリル酸の生合成的生成は、設計された代謝遺伝型を有する株の構築によって確認することができる。理論的な最大増殖に達する条件下でを含めて、代謝について工学的に操作されたこれらの細胞または生物体を適応進化に曝してメタクリル酸生合成をさらに増強することもできる。
本明細書で開示されるように、再生可能な糖フィードストックからの発酵を介して2−メタクリル酸を生成する生物体および方法が提供される。スクシニルCoA、アルファ−ケトグルタレート、アセチルCoA、または他の中心的な代謝前駆体からMAAを生成する高収率の代謝経路が本明細書に記載される。発酵的MAA生成を実施する経路、その最大の生成物およびATP収率、ならびに候補遺伝子が本明細書で開示される。
3−ヒドロキシイソブチレート中間体を通過する経路を、下流の酵素、すなわちデヒドラターゼを除外した場合に、メタクリレート生成ではなく3−ヒドロキシイソブチレート生成に適用できることが理解される(図2および6を参照)。この場合、天然に存在しない生物体は、メタクリレートの代わりに3−ヒドロキシイソブチレートを生成する。あるいは、天然に存在しない生物体は、3−ヒドロキシイソブチレートおよびメタクリレートの混合物を生成し得る。メタクリレートまたは3−ヒドロキシイソブチレートが生成するかどうかにかかわらず、ATPおよび生成物の最大モル収率は変化しない。2−ヒドロキシイソブチリルCoA中間体を通過する経路を、下流の酵素、すなわちデヒドラターゼを除外し、2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、シンテターゼ、またはヒドロラーゼを適用した場合に、メタクリレート生成ではなく2−ヒドロキシイソブチレート生成に適用できることも理解される(図12を参照)。この場合、天然に存在しない生物体は、メタクリレートの代わりに2−ヒドロキシイソブチレートを生成する。あるいは、天然に存在しない生物体は、2−ヒドロキシイソブチレートおよびメタクリレートの混合物を生成し得る。メタクリレートまたは2−ヒドロキシイソブチレートが生成するかどうかにかかわらず、ATPおよび生成物の最大モル収率は変化しない。
所望により、本発明の微生物体によって発現された3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸をメタクリル酸に化学的に転換できることがさらに理解される。例えば米国特許第7,186,856号に記載のように、例えば3−ヒドロキシイソ酪酸またはβ−ヒドロキシイソ酪酸を脱水してメタクリル酸を形成することができる。米国特許第3,666,805号および米国特許第5,225,594号に記載のように、2−ヒドロキシイソ酪酸またはα−ヒドロキシイソ酪酸を脱水してメタクリル酸を形成することもできる。
実施例IおよびIIIに記載する、スクシニルCoAから始まる2つの経路、ならびに実施例VおよびXIXに記載する、4−ヒドロキシブチリルCoAから始まる2つの経路は、嫌気的条件下での高収率(1.33mol/molグルコース)、好ましいエネルギー特性、および適切な酵素候補の利用可能性をもたらす。原料としてグルコースから開始するメタクリレートの最大理論収率は、下記に示すように1.33mol/molグルコースである:
12→1.33C+0.67CO+2H
実施例VII、IXおよびXIに記載する3つのさらなる経路は、好気的条件下で高収率でありエネルギー的に好ましい。これらの経路は、開始材料としてアルファ−ケトグルタレート(実施例VIIおよびIX)またはアセチルCoA(実施例XI)から始まる。
実施例XIII〜XVに記載する3つのさらなる経路のもたらす収率は低い。代替のアセチルCoA経路(実施例XIII)は好気的条件下で高収率であるが冗長であり、最低でも7つの酵素段階が関与する。アクリリルCoA経路(実施例XIV)は、嫌気的条件および好気的条件下で高収率であるが、好ましくないエネルギー特性、毒性のある中間体(アクリリルCoA)の形成、および発酵副産物の分泌に対する高い感受性という不利な点を有する。2−ケトイソバレレート経路は好気的条件下で高収率であるが、潜在的に毒性のある中間体(MAA−CoA)を生成する不利な点も有する(実施例XV)。
本明細書で用いるように、本発明の微生物の生物体または微生物に関して用いられる場合、用語「天然に存在しない」は、その微生物の生物体が、その参照種の野生型株を含むその参照種の天然株で通常見られない、少なくとも1つの遺伝的変化を有することを意味するものとする。遺伝的変化には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、他の核酸の付加、核酸欠失および/または微生物遺伝物質の他の機能的破壊が含まれる。そのような改変には、例えば、参照種の異種の、同種の、または異種および同種のポリペプチドのコード領域およびその機能的断片が含まれる。追加の改変には、例えば、その改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。例示的な代謝ポリペプチドには、メタクリル酸生合成経路内の酵素が含まれる。
代謝改変は、その天然の状態から変更された生化学反応を指す。したがって、天然に存在しない微生物は、代謝ポリペプチドまたはその機能的断片をコードする核酸に対する遺伝子改変を有することができる。例示的な代謝改変が、本明細書で開示される。
本明細書で用いるように、微生物の生物体に関して用いられる場合、用語「単離された」は、参照の微生物の生物体が天然で見られるような少なくとも1つの成分を実質的に含まない生物体を意味するものとする。本用語は、その天然環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている微生物の生物体を含む。本用語は、その微生物の生物体が天然に存在しない環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている微生物の生物体も含む。したがって、単離された微生物の生物体は、それが天然で見られるか、またはそれが天然に存在しない環境で増殖され、保存されるか生存するような他の物質から一部または完全に分離される。単離された微生物の生物体の具体例には、部分的に純粋な微生物、実質的に純粋な微生物、および天然に存在しない培地で培養された微生物が含まれる。
本明細書で用いるように、用語「微生物の」、「微生物の生物体」または「微生物」は、古細菌、細菌または真核生物のドメインに含まれる、微視的細胞として存在する任意の生物体を意味するものとする。したがって、本用語は、顕微鏡的大きさを有する原核生物または真核生物の細胞または生物体を包含するものとし、全ての種類の細菌、古細菌および真正細菌、ならびに酵母および真菌類などの真核生物の微生物を含む。本用語は、生化学物質の生成のために培養することができる、任意の種の細胞培養物も含む。
本明細書で用いるように、化学式CH=C(CH)CO(図1を参照)を有する「メタクリル酸」(IUPAC名2−メチル−2−プロペン酸)は、メタクリレートの酸の形態であり、メタクリル酸およびメタクリレートは、その任意の塩の形態を含めて、その中性またはイオン化形態のいずれかの化合物を指すのに全体にわたって交換可能な形で使用できることが理解される。特定の形態がpHに依存することが当業者により理解される。
同様に、2−ヒドロキシイソブチレートおよび2−ヒドロキシイソ酪酸が、その任意の塩の形態を含めて、その中性またはイオン化形態のいずれかの化合物を指すのに全体にわたって交換可能な形で使用できることが理解される。さらに、3−ヒドロキシイソブチレートおよび3−ヒドロキシイソ酪酸は、その任意の塩の形態を含めて、その中性またはイオン化形態のいずれかの化合物を指すのに全体にわたって交換可能な形で使用することができる。
本明細書で用いるように、用語「CoA」または「補酵素A」は、活性酵素系を形成するためにその存在が多くの酵素(アポ酵素)の活性のために必要とされる、有機コファクターまたは補欠分子族(酵素の非タンパク部分)を意味するものとする。補酵素Aは、特定の縮合酵素で機能し、アセチルまたは他のアシル基転移、ならびに脂肪酸合成および酸化、ピルベート酸化ならびに他のアセチル化で作用する。
本明細書で用いるように、培養または増殖条件に関して用いられる場合、用語「実質的に嫌気性」は、酸素の量が、液体培地中の溶存酸素の飽和量の約10%未満であることを意味するものとする。本用語は、約1%未満の酸素の雰囲気で維持される、液体または固体培地の密封チャンバー、も含むものとする。
本明細書で用いる「外因性」は、参照分子または参照活性が宿主の微生物の生物体に導入されることを意味するものとする。分子は、例えば、宿主染色体への組込みなどによる宿主遺伝物質へのコード核酸の導入によって、またはプラスミドなどの非染色体遺伝物質として導入することができる。したがって、コード核酸の発現に関して用いられる本用語は、微生物の生物体への発現可能な形でのコード核酸の導入を指す。生合成活性に関して用いられる場合、本用語は、宿主参照生物体に導入される活性を指す。供給源は、例えば、宿主の微生物の生物体への導入の後に参照活性を発現する、同種または異種のコード核酸であってよい。したがって、用語「内因性」は、宿主に存在する参照分子または活性を指す。同様に、コード核酸の発現に関して用いられる場合、本用語は、微生物の生物体に含まれるコード核酸の発現を指す。用語「異種の」は、参照種以外の供給源に由来する分子または活性を指し、「同種の」は、宿主の微生物の生物体に由来する分子または活性を指す。したがって、本発明のコード核酸の外因性の発現は、異種または同種のコード核酸のいずれかまたは両方を利用することができる。
本発明の天然に存在しない微生物の生物体は安定した遺伝的変化を含むことができ、それは変化を失わずに5世代を超えて培養することができる微生物を指す。一般に、安定した遺伝的変化には、10世代を超えて存続する改変が含まれ、特に安定した改変は約25世代を超えて存続し、より詳しくは、安定した遺伝子改変は無期限を含めて50世代を超える。
当業者は、本明細書で例示される代謝改変を含む遺伝的変化が、E.coliなどの適切な宿主生物体およびそれらの対応する代謝反応、または所望の遺伝物質、例えば所望の代謝経路の遺伝子に適する供給源生物体に関して記載されることを理解するであろう。しかし、多種多様な生物体の完全なゲノム配列決定およびゲノミクスの領域における高レベルの技術を考慮して、当業者は、本明細書で提供される教示および指針を事実上他の全ての生物体に適用することが容易にできる。例えば、本明細書で例示したE.coliの代謝改変は、参照種以外の種からの同じであるか類似したコード核酸を組み込むことによって、他の種に容易に適用することができる。そのような遺伝的変化には、例えば、一般には種のホモログの遺伝的変化、より詳細には、オルソログ、パラログまたは非オルソロガスな遺伝子置換が含まれる。
オルソログは、垂直伝達(vertical descent)が関係し、異なる生物体での実質的に同じか同一の機能の役割を担う1つまたは複数の遺伝子である。例えば、マウスエポキシドヒドロラーゼおよびヒトエポキシドヒドロラーゼは、エポキシドの加水分解の生物学的機能のためのオルソログと考えることができる。遺伝子は、例えば、それらが同種であるか共通祖先からの進化によって関係していることを示すのに十分な量の配列類似性をそれらが共有する場合、垂直伝達が関係している。それらが、一次配列類似性が識別可能でない程度までそれらが共通祖先から進化したことを示すのに十分な量の三次元構造を共有するが必ずしも配列類似性を共有しない場合にも、遺伝子はオルソログと考えることができる。オルソロガスである遺伝子は、約25%〜100%アミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。それらの三次元構造も類似性を示す場合、25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子も、垂直伝達によって生じたと考えることができる。組織プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼを含む、酵素のセリンプロテアーゼファミリーのメンバーは、共通祖先から垂直伝達によって生じたと考えられる。
オルソログには、例えば進化を通して構造または全体的活性が異なった、遺伝子またはそれらのコードされた遺伝子生成物が含まれる。例えば、1つの種が2つの機能を示す遺伝子生成物をコードし、そのような機能が第2の種の異なる遺伝子に分離されている場合、3つの遺伝子およびそれらの対応する生成物はオルソログであるとみなされる。生化学生成物の生成については、当業者は、天然に存在しない微生物の構築のために、導入または破壊される代謝活性を抱えているオルソロガス遺伝子が選択されるべきであることを理解するであろう。分離できる活性を示すオルソログの例は、異なる活性が2つ以上の種の間で、または単一の種の中で異なる遺伝子生成物に分離されている場合である。具体例は、セリンプロテアーゼ活性の2つの型であるエラスターゼタンパク質分解およびプラスミノーゲンタンパク質分解の、プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼのような異なる分子への分離である。第2の例は、マイコプラズマ5’−3’エキソヌクレアーゼおよびDrosophilaDNAポリメラーゼIII活性の分離である。第1の種からのDNAポリメラーゼは、第2の種からのエキソヌクレアーゼまたはポリメラーゼの一方または両方にオルソログであると、またはその逆とみなすことができる。
対照的に、パラログは、例えば複製とそれに続く進化的分岐によって関係があるホモログであり、類似または共通しているが、同一でない機能を有する。パラログは、例えば、同じ種または異なる種を起源とするかそれに由来することができる。例えば、ミクロソームのエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼI)および可溶性のエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼII)は、同じ種で異なる反応を触媒し、異なる機能を有する、共通祖先から共進化した2つの異なる酵素を表すので、パラログと考えることができる。パラログは、かなりの相互配列類似性を有する同じ種からのタンパク質であり、共通祖先からの共進化を通してそれらが相同であるか関係することを示唆している。パラロガスのタンパク質ファミリー群には、HipAホモログ、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチダーゼなどが含まれる。
非オルソロガス遺伝子置換は、異なる種の参照遺伝子機能の代わりになることができる、1つの種からの非オルソロガス遺伝子である。置換には、例えば、異なる種での参照機能と比較して、起源種で実質的に同じかまたは類似した機能を発揮することができるものが含まれる。一般に、非オルソロガス遺伝子置換は、参照機能をコードする公知の遺伝子に構造的に関係することを確認することが可能であるが、より構造的に関係しないが機能的に類似した遺伝子およびそれらの対応する遺伝子生成物も、本明細書で用いられるような用語の意味の範囲内である。例えば、機能的類似性は、置換しようとする機能をコードする遺伝子と比較して、非オルソロガス遺伝子生成物の活性部位または結合性領域において少なくとも多少の構造類似性を要求する。したがって、非オルソロガス遺伝子には、例えばパラログまたは無関係な遺伝子が含まれる。
したがって、メタクリル酸生合成能力を有する本発明の天然に存在しない微生物の生物体を特定し、構築することにおいて、特定の種に本明細書で提供される教示および指針を適用することで、当業者は、代謝改変の特定にはオルソログの特定および組入れまたは不活化を含めることができることを理解する。パラログおよび/または非オルソロガスな遺伝子置換が、類似したか実質的に類似した代謝反応を触媒する酵素をコードする参照微生物に存在する範囲内において、当業者はこれらの進化関係の遺伝子を利用することもできる。
オルソログ、パラログおよび非オルソロガスな遺伝子置換は、当業者に周知である方法によって決定することができる。例えば、2つのポリペプチドのための核酸またはアミノ酸配列の検査は、比較される配列間の配列の同一性および類似性を明らかにする。そのような類似性に基づいて、タンパク質が共通祖先からの進化を通して関係していることを示すのにその類似性が十分に高いかどうか、当業者は決定することができる。当業者に周知であるアルゴリズム、例えばAlign、BLAST、Clustal Wなどは、生の配列の類似性または同一性を比較、決定し、さらに、重みまたはスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在または重要性を決定する。そのようなアルゴリズムは当技術分野でも公知であり、ヌクレオチド配列の類似性または同一性を決定することに同様に適用できる。関連性を決定するのに十分な類似性のパラメータは、統計的類似性、またはランダムなポリペプチド中で類似したマッチを見出す可能性、および決定されるマッチの有意性を計算するための周知の方法に基づいて計算される。所望により、2つ以上の配列のコンピュータによる比較を、当業者が視覚的に最適化することもできる。関係する遺伝子生成物またはタンパク質は、高い類似性、例えば25%〜100%の配列同一性を有すると予想することができる。無関係であるタンパク質は、十分なサイズのデータベースをスキャンする場合に偶然に起こることが予想されるのと事実上同じである同一性を有することができる(約5%)。5%から24%の間の配列は、比較する配列が関係していると結論するのに十分な相同性を表すことができるか、表すことができない。これらの配列の関連性を決定するために、データセットのサイズを前提とするそのようなマッチの有意性を決定する追加の統計分析を実施することができる。
例えば、BLASTアルゴリズムを用いて2つ以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメータは、下に示すようなものでよい。簡単に述べると、アミノ酸配列アラインメントは、BLASTPバージョン2.0.8(1999年1月5日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マトリックス:0 BLOSUM62;ギャップオープン:11;ギャップ伸長:1;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:3;フィルター:オン。核酸配列アラインメントは、BLASTNバージョン2.0.6(1998年9月16日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マッチ:1;ミスマッチ:−2;ギャップオープン:5;ギャップ伸長:2;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:11;フィルター:オフ。当業者は、例えば、比較のストリンジェンシーを増加または低減させ、2つ以上の配列の関連性を決定するために、どのような改変を上記のパラメータに加えることができるかを知るであろう。
本明細書で開示されるように、炭素基質としてグルコース/スクロースを使用して2−メタクリル酸(MAA)を合成する高収率の代謝経路について記載する。これらの経路を分析し順位付ける2つの主な基準は、好気的条件下および嫌気的条件下の両方におけるMAAの最大理論収率および関連するエネルギー特性であった。Reedら(Reedら、Genome Biol.4巻、R54頁(2003年))に記載のものと類似するSimPheny(商標)において問題の経路をE.coliの化学量論ネットワークに加えることによって生成物およびエネルギー収率を計算した。MAAは生理的条件下では荷電分子であるため、生成物の搬出は、プロトン共輸送の機構により媒介されることが想定される。この輸送機構は、酸性の発酵条件下では熱力学的に好ましくない状態となるが、中性近くの発酵条件で熱力学的制限に遭遇することは予想されていない。経路中の反応および必要な酵素活性については実施例中で論じる。
本発明は、メタクリル酸を生成することができる天然に存在しない微生物体を提供する。例えば、スクシニルCoAが前駆体であるメタクリル酸経路が提供される(実施例I〜IV、図2および4を参照)。一実施形態では、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体を提供する(実施例IおよびIIならびに図2を参照)。別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体を提供する(実施例Iを参照)。本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼを含む微生物体をさらに提供する(実施例IIIおよびIVならびに図4を参照)。
前駆体として4−ヒドロキシブチリルCoAを有するメタクリル酸経路を含有する天然に存在しない微生物体がさらに提供される。1つのそのような実施形態は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体である(実施例VおよびVIならびに図6を参照)。あるいは、この経路は、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ;およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含み得る。
さらに、本発明は、前駆体として4−ヒドロキシブチリルCoAを有する3−ヒドロキシイソ酪酸経路を含有する天然に存在しない微生物体を提供する。1つのそのような実施形態は、3−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される3−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、3−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体である(実施例Vおよび図6を参照)。
本発明は、前駆体としてアルファ−ケトグルタレートを有するメタクリル酸経路を含有する天然に存在しない微生物体をさらに提供する。1つのそのような実施形態は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む微生物体である(実施例VIIおよびVIIIならびに図8を参照)。さらに別の実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、メタクリル酸経路を有する微生物体を含み、メタクリル酸経路が、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む微生物体を提供する(実施例IXおよびXならびに図10を参照)。
さらに別の実施形態では、本発明は、前駆体としてアセチルCoAを有するメタクリル酸経路を含有する天然に存在しない微生物体を提供する。例えば、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼを含む微生物体を提供する(実施例XIおよびXIIならびに図12を参照)。別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体を提供する(実施例XIおよびXIIを参照)。
さらに別の実施形態では、本発明は、前駆体としてアセチルCoAを有する2−ヒドロキシイソ酪酸経路を含有する天然に存在しない微生物体を提供する。例えば、本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ;アセトアセチルCoAレダクターゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体を提供する(実施例XIおよび図12を参照)。
さらなる実施形態では、本発明は、前駆体として4−ヒドロキシブチリルCoAを有するメタクリル酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路を含有する天然に存在しない微生物体を提供する。例えば、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ;ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ;クロトナーゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ;およびメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体を提供する(実施例XVIIIおよび図12を参照)。さらに、本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ;ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ;クロトナーゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体を提供する(実施例XVIIIおよび図12を参照)。
さらに別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、クロトナーゼ、ブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、イソブチリルCoAムターゼ、イソブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体を提供する(実施例XIIIおよび図13を参照)。
本発明は、前駆体としてピルベートを有するメタクリル酸経路を含有する天然に存在しない微生物体をさらに提供する。例えば、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクテートCoAトランスフェラーゼ、ラクトイルCoAデヒドラターゼ、アシルCoAデヒドロゲナーゼ、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む微生物体を提供する(実施例XIVおよび図14を参照)。
前駆体として2−ケトイソバレレートを有するメタクリル酸経路を含有する天然に存在しない微生物体も本発明によって提供される。例えば、本発明は、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、バリンアミノトランスフェラーゼ、2−ケトイソ吉草酸デヒドロゲナーゼ、イソブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む微生物体を提供する(実施例XVおよび図15を参照)。そのようなメタクリル酸経路は、バリンを2−ケトイソバレレートに転換(図15)するバリンアミノトランスフェラーゼをさらに含有し得る。さらに、そのようなメタクリル酸経路は、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼなど、ピルベートを2−ケトイソバレレートに転換(図15)する酵素をさらに含有し得る(実施例XVを参照)。
追加の実施形態では、本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体であって、基質を生成物に転換するタンパク質または酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む微生物体を提供する。そのような経路は、例えば、スクシニルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートへの経路では、スクシニルCoAからメチルマロニルCoAへ、メチルマロニルCoAからメチルマロン酸セミアルデヒドへ、メチルマロン酸セミアルデヒドから3−ヒドロキシイソブチレートへの経路、スクシニルCoAからメタクリル酸への経路ではさらに3−ヒドロキシイソブチレートからメタクリル酸への経路であり得る(図2を参照)。さらに、そのような経路は、例えば、スクシニルCoAからメタクリル酸への代替経路では、スクシニルCoAからメチルマロニルCoAへ、メチルマロニルCoAからメチルマロン酸セミアルデヒドへ、メチルマロン酸セミアルデヒドから3−アミノ−2−メチルプロピオネートへ、3−アミノ−2−メチルプロピオネートからメタクリル酸への経路であり得る(図4を参照)。
別の実施形態では、そのような経路は、例えば、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートへの経路では、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソブチリルCoAへ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートへの経路、4−ヒドロキシブチリルCoAからメタクリル酸への経路ではさらに3−ヒドロキシイソブチレートからメタクリル酸への経路であり得る(図6を参照)。さらに、そのような経路は、例えば、アルファ−ケトグルタレートからメタクリル酸への経路では、アルファ−ケトグルタレートからグルタメートへ、グルタメートからトレオ−3−メチルアスパルテートへ、トレオ−3−メチルアスパルテートからメサコネートへ、メサコネートからメタクリル酸への経路であり得る(図8)。また、そのような経路は、例えば、アルファ−ケトグルタレートからメタクリル酸への経路では、アルファ−ケトグルタレートから2−ヒドロキシグルタレートへ、2−ヒドロキシグルタレートから3−メチルマレートへ、3−メチルマレートからメサコネートへ、メサコネートからメタクリル酸への経路であり得る(図10)。
さらに別の実施形態では、そのような経路は、例えば、アセチルCoAからメタクリル酸への経路では、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへ、アセトアセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへ、3−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチリルCoAへ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAからメタクリリルCoAへ、メタクリリルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図12)。また、そのような経路は、例えば、4−ヒドロキシブチリルCoAからメタクリル酸への経路では、4−ヒドロキシブチリルCoAからビニルアセチルCoAへ、ビニルアセチルCoAからクロトニルCoAへ、クロトニルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへ、3−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチリルCoAへ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAからメタクリリルCoAへ、メタクリリルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図12)。
さらに別の実施形態では、そのような経路は、例えば、アセチルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸への経路では、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへ、アセトアセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへ、3−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチリルCoAへ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸への経路であり得る(図12)。また、そのような経路は、例えば、4−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸への経路では、4−ヒドロキシブチリルCoAからビニルアセチルCoAへ、ビニルアセチルCoAからクロトニルCoAへ、クロトニルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへ、3−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチリルCoAへ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸への経路であり得る(図12)。
別の実施形態では、そのような経路は、例えば、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへ、アセトアセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへ、3−ヒドロキシブチリルCoAからクロトニルCoAへ、クロトニルCoAからブチリルCoAへ、ブチリルCoAからイソブチリルCoAへ、イソブチリルCoAからメタクリリルCoAへ、メタクリリルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図13)。さらに、そのような経路は、例えば、ピルベートからラクテートへ、ラクテートからラクトイルCoAへ、ラクトイルCoAからアクリリルCoAへ、アクリリルCoAからプロピオニルCoAへ、プロピオニルCoAからメチルマロニルCoAへ、メチルマロニルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図14)。また、そのような経路は、例えば、ピルベートからメタクリル酸への経路では、ピルベートから2−ケトイソバレレートへ、2−ケトイソバレレートからイソブチリルCoAへ、イソブチリルCoAからメタクリリルCoAへ、メタクリリルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図15)。あるいは、そのような経路は、例えば、バリンからメタクリル酸への経路では、バリンから2−ケトイソバレレートへ、2−ケトイソバレレートからイソブチリルCoAへ、イソブチリルCoAからメタクリリルCoAへ、メタクリリルCoAからメタクリル酸への経路であり得る(図15)。したがって、本発明は、図2、4、6、8、10、および12〜15に示すものなどの、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路の基質および生成物を転換する酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含有する天然に存在しない微生物体を提供する。
一般に代謝反応、その反応体もしくは生成物に言及しつつ、または特に参照代謝反応、反応体もしくは生成物に関連しまたはそれを触媒する酵素をコードする1つまたは複数の核酸または遺伝子に言及しつつ、本明細書において本発明を説明する。本明細書で明示的に述べられていない限り、当業者は、反応への言及が、反応の反応体および生成物への言及も構成することを理解するであろう。同様に、本明細書で明示的に述べられていない限り、反応体または生成物への言及は反応にも言及し、これらの代謝構成要素のいずれかへの言及は、参照反応、反応体または生成物を触媒する酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子にも言及するものである。同様にして、代謝生化学、酵素学およびゲノミクスの周知の分野を考慮すると、本明細書での遺伝子またはコード核酸への言及は、対応するコードされた酵素およびそれが触媒する反応、ならびにその反応の反応体および生成物への言及も構成する。
本発明の天然に存在しない微生物体は、1つまたは複数のメタクリル酸生合成経路に関与する1つまたは複数の酵素をコードする発現可能な核酸を導入することによって生成することができる。同様に、本発明の天然に存在しない微生物体は、1つまたは複数の3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路に関与する1つまたは複数の酵素をコードする発現可能な核酸を導入することによって生成することができる。生合成に選択される宿主微生物体に応じて、特定のメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路の一部または全部の核酸を発現させることができる。例えば、選択された宿主で所望の生合成経路の1つまたは複数の酵素が欠損している場合、欠損している(1つまたは複数の)酵素の発現可能な核酸を宿主に導入し、その後外因性に発現させる。あるいは、選択された宿主で経路の一部の遺伝子の内因性発現を示すが、他は欠損している場合、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸、または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成を達成するには、欠損している(1つまたは複数の)酵素のコード核酸が必要である。したがって、外因性の酵素活性を導入することにより本発明の天然に存在しない微生物体を生成して所望の生合成経路を得ることができ、または1つもしくは複数の内因性酵素と共に、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸もしくは2−ヒドロキシイソ酪酸などの所望の生成物を生成する1つもしくは複数の外因性の酵素活性を導入することにより所望の生合成経路を得ることができる。
選択された宿主微生物体のメタクリル酸生合成経路の構成要素に応じて、本発明の天然に存在しない微生物体は、外因性に発現されるメタクリル酸経路をコードする少なくとも1つの核酸、および1つまたは複数のメタクリル酸生合成経路をコードする最大で全ての核酸を含む。例えば、対応するコード核酸の外因性発現により、経路の酵素が欠損している宿主でメタクリル酸の生合成を確立することができる。メタクリル酸経路の全ての酵素が欠損している宿主では、経路中の全ての酵素の外因性発現を含めることができるが、宿主が経路の少なくとも1つの酵素を含有する場合でも、経路の全ての酵素を発現させることができることが理解される。同様に、選択された宿主微生物体の3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路の構成要素に応じて、本発明の天然に存在しない微生物体は、それぞれ、外因性に発現される3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路をコードする少なくとも1つの核酸、および1つまたは複数の3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路をコードする最大で全ての核酸を含む。
例えば、メタクリル酸を生成する経路中の全ての酵素の外因性発現を含めることができる。例えば、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼなど、メタクリル酸を生成する経路中の全ての酵素を含めることができる。メタクリル酸経路中の酵素の別の例には、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼが含まれる。メタクリル酸経路中の酵素のさらなる例には、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼが含まれる。メタクリル酸経路中の酵素のさらに別の例には、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼが含まれる。また、メタクリル酸経路中の酵素の例には、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼも含まれる。メタクリル酸経路中の酵素のさらに別の例には、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼが含まれる。メタクリル酸経路中の酵素のさらなる例には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼが含まれる。メタクリル酸経路中の酵素のさらに別の例には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼが含まれる。本明細書で開示されるこれらおよび任意のメタクリル酸経路を微生物体中で利用して、メタクリル酸を生成する微生物体を得ることができることが理解される。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、発現可能な形で導入するコード核酸の数が、少なくとも、選択される宿主微生物体のメタクリル酸経路の欠損に対応することを理解するであろう。したがって、本発明の天然に存在しない微生物体は、本明細書で開示されるメタクリル酸生合成経路を構成する上記の酵素をコードする核酸を、1、2、3、4個など、または最大で全て有することができる。一部の実施形態では、天然に存在しない微生物体は、メタクリル酸生合成を促進もしくは最適化するか、または宿主微生物体に他の有用な機能を付与する他の遺伝子改変を含むこともできる。1つのそのような他の機能は、例えば、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の前駆体の1つまたは複数の合成の増強を含むことができる。例示的なメタクリル酸経路の前駆体には、それらに限定されないが、スクシニルCoA、4−ヒドロキシブチリルCoA、アルファ−ケトグルタレート、アセチルCoA、ピルベート、および2−ケトイソバレレートが含まれる。
一般に、宿主微生物体は、天然に生成される分子として、または所望の前駆体のde novo生成をもたらすか、宿主微生物体によって天然に生成される前駆体の生成の増加をもたらす工学的生成物として、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の前駆体を生成するように選択される。例えば、スクシニルCoA、アルファ−ケトグルタレート、アセチルCoA、およびピルベートは、E.coliなどの宿主生物体中で、グルコース、脂肪酸およびアミノ酸代謝の間にTCAサイクルの構成成分として天然に生成される。本明細書で開示されるように、宿主生物体は、前駆体の生成を増加させるように工学的に処理することができる。そのような工学的に処理された微生物は以前に記載されている(例えば、米国特許公開第2007/0111294号を参照)。さらに、本明細書で開示されるように、所望の前駆体を生成するように工学的に処理された微生物体、例えば4−ヒドロキシブチリルCoAを生成するように工学的に処理された微生物は、宿主生物体として用いることができる(例えば、2008年3月14日に出願の米国特許出願第12/049,256号を参照)。そのような宿主生物体は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素を発現するようにさらに工学的に処理することができる。
一部の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物体は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を合成する酵素能力を含有する宿主から生成される。この具体的な実施形態では、例えばメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の反応をメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生成の方へ誘導するために、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の生成物の合成または蓄積を増加させることが有用なことがある。合成または蓄積の増加は、例えば、上記に記載のメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素の1つまたは複数をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の1つまたは複数の酵素の過剰発現は、例えば、内因性の1つまたは複数の遺伝子の外因性発現を通して、または異種の1つまたは複数の遺伝子の外因性発現を通して行うことができる。したがって、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路の酵素をコードする、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路に応じて1、2、3、4、5個などの核酸、すなわち、最大で全てを含む核酸の過剰発現を通して、天然に存在する生物体を容易に、例えばメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する、本発明の天然に存在しない微生物体にすることができる。さらに、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路中の酵素の活性の増加をもたらす内因性遺伝子の突然変異誘発によって、天然に存在しない生物体を生成することができる。
特に有用な実施形態では、コード核酸の外因性発現が使用される。外因性発現は、発現および/または調節エレメントを宿主および用途向けに調整する能力を付与し、使用者によって制御される所望の発現レベルを達成する。しかし、誘導可能なプロモーターまたは他の調節エレメントに連結する場合、負の調節エフェクターの除去または遺伝子のプロモーターの誘導などによって、内因性発現を他の実施形態で利用することもできる。したがって、天然に存在する誘導可能なプロモーターを有する内因性遺伝子は、適当な誘導剤を提供することによって上方制御することができるか、または、内因性遺伝子の調節領域を誘導可能な調節エレメントを組み込むように工学的に処理し、それによって所望の時間における内因性遺伝子の発現の増加の調節を可能にすることができる。同様に、天然に存在しない微生物体に導入される外因性遺伝子のための調節エレメントとして、誘導可能なプロモーターを含めることができる。
本発明の方法では、1つまたは複数の外因性核酸のいずれかを微生物体に導入して、本発明の天然に存在しない微生物体を生成することができることが理解される。核酸は、例えば、微生物体にメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路を付与するように導入することができる。あるいは、コード核酸を導入して、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成能力を付与するために必要とされる反応のいくつかを触媒する生合成能力を有する、中間の微生物体を生成することができる。例えば、メタクリル酸生合成経路を有する天然に存在しない微生物体は、所望の酵素をコードする少なくとも2つの外因性核酸を含むことができる。1つの例示的な組合せには、メチルマロニルCoAムターゼおよびメチルマロニルCoAエピメラーゼ;またはメチルマロニルCoAムターゼおよびメチルマロニルCoAレダクターゼ;3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼなどの組合せが含まれる。別の例示的な経路では、組合せは、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ;3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ;4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼなどを含み得る。したがって、生合成経路の2つ以上の酵素の任意の組合せを、本発明の天然に存在しない微生物体に含めることができることが理解される。
同様に、生合成経路の3つ以上の酵素の任意の組合せ、例えば、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、およびメチルマロニルCoAレダクターゼ;メチルマロニルCoAエピメラーゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼなどを、本発明の天然に存在しない微生物体に含めることができることが理解される。別の例では、組合せは、所望の生合成経路の酵素の組合せが対応する所望の生成物の生成をもたらす限り、所望により、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼ;2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼなどであり得る。同様に、所望の生合成経路の酵素の組合せが対応する所望の生成物の生成をもたらす限り、所望により、本明細書で開示される生合成経路の、所望の経路に応じて4つ、5つ、6つまたはそれ以上の酵素の任意の組合せを、本発明の天然に存在しない微生物体に含めることができる。
本明細書に記載のメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成に加えて、本発明の天然に存在しない微生物体および方法を、様々な相互の組合せならびに当技術分野で周知である他の微生物体および方法との組合せで利用して、他の経路による生成物の生合成を達成することもできる。例えば、メタクリル酸生産体の使用以外でメタクリル酸を生成する1つの代替形態は、メタクリル酸経路の中間体をメタクリル酸に転換することができる別の微生物体を追加することによるものである。そのような方法の1つは、例えば、メタクリル酸経路の中間体を生成する微生物体の発酵を含む。次に、メタクリル酸経路の中間体は、メタクリル酸経路の中間体をメタクリル酸に転換する第2の微生物体のための基質として用いることができる。メタクリル酸経路の中間体を、第2の生物体の別の培養物に直接加えることができ、または、メタクリル酸経路中間体の生産体の元の培養物から、例えば細胞分離によってこれらの微生物体を除去することができ、次に、発酵ブロスへの第2の生物体のその後の添加を利用して、中間体の精製ステップなしで最終生成物を生成することができる。
他の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物体および方法を多種多様な下位経路で組み立てて、例えばメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成を達成することができる。これらの実施形態では、本発明の所望の生成物の生合成経路を異なる微生物体に分離することができ、異なる微生物体を共培養して最終生成物を生成することができる。そのような生合成スキームでは、1つの微生物体の生成物は、最終生成物が合成されるまで第2の微生物体のための基質である。例えば、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成は、1つの経路の中間体を別の経路の中間体または生成物に転換する生合成経路を含有する微生物体を構築することによって達成することができる。あるいは、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸は、同じ容器中で2つの生物体を用いる共培養または共発酵を通して微生物体から生合成的に生成することもでき、その場合、第1の微生物体はメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の中間体を生成し、第2の微生物体は中間体をメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸に変換する。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、本発明の天然に存在しない微生物体および方法について、他の微生物体、下位経路を有する他の天然に存在しない微生物体の共培養、ならびにメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成することが当技術分野で周知である他の化学的方法および/または生化学的方法の組合せとの、多種多様な組合せおよび置換が存在することを理解するであろう。例えば、3−ヒドロキシイソ酪酸を形成する発酵を、メチルメタクリレートをもたらす精製スキームと組み合わせることができる(WO2002/090312を参照)。
メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする核酸の供給源は、例えば、コードされる遺伝子産物が参照反応を触媒することができる任意の種を含み得る。そのような種には、それらに限定されないが、古細菌および真正細菌を含む細菌、ならびに酵母、植物、昆虫、動物およびヒトを含む哺乳動物を含む真核生物を含む、原核生物および真核生物両方の生物体が含まれる。そのような供給源の例示的な種には、例えば、
Figure 2014147400
、ならびに本明細書で開示されるか、対応する遺伝子の供給源生物体として利用可能な他の例示的な種が含まれる。しかし、395種の微生物ゲノムおよび様々な酵母、真菌、植物および哺乳動物のゲノムを含む、今では550を超える種(これらの半分を超えるものがNCBIなどの公開データベースで利用可能)について完全なゲノム配列が利用可能であるので、例えば、公知の遺伝子のホモログ、オルソログ、パラログおよび非オルソロガス遺伝子の置換物を含む、関係のあるまたは遠戚の種における1つまたは複数の遺伝子に必要なメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成活性をコードする遺伝子の同定、ならびに生物体の間の遺伝子変化の交換は、当技術分野で日常的であり周知である。したがって、E.coliなどの特定の生物体に関して本明細書で記載されるメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成を可能にする代謝変化は、原核生物および真核生物の生物体を同様に含む他の微生物に容易に適用することができる。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、1つの生物体で例示される代謝変化を他の生物体に同等に適用することができることを知るであろう。
代替のメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路が無関係な種に存在する場合などの一部の例では、例えば、参照反応の代わりに類似するが同一でない代謝反応を触媒する、無関係な種からの1つまたは複数のパラログの外因性発現によって、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生合成を宿主種に付与することができる。異なる生物体間で代謝ネットワーク間に特定の違いがあるので、当業者は、異なる生物体間で実際の遺伝子の使用が異なる可能性があることを理解するであろう。しかし、本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を合成する対象種で微生物体を構築するために、本明細書で例示される微生物体に対するコグネイト代謝変化を用いて本発明の教示および方法を全ての微生物体に適用することができることも理解するであろう。
宿主微生物体を、例えば、細菌、酵母、真菌、または発酵プロセスに適用できる様々な他の微生物のいずれかから選択し、天然に存在しない微生物体をそれらで生成することができる。例示的な細菌には、
Figure 2014147400
から選択される種が含まれる。例示的な酵母または真菌には、
Figure 2014147400
から選択される種が含まれる。E.coliは、遺伝子工学に適した、十分に特徴付けられている微生物体であるので、特に有用な宿主生物体である。他の特に有用な宿主生物体には、Saccharomyces cerevisiaeなどの酵母が含まれる。
天然に存在しないメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸産生宿主を構築しその発現レベルを検査するための方法は、例えば、当技術分野で周知である組換えおよび検出方法によって実施することができる。そのような方法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年)およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley
and Sons、Baltimore、MD(1999年)の記載に認めることができる。
メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する経路に関与する外因性核酸配列は、それらに限定されないが、コンジュゲーション、エレクトロポレーション、化学的変換、形質導入、トランスフェクションおよび超音波形質転換を含む当技術分野で周知の技術を用いて、宿主細胞に安定してまたは一時的に導入することができる。E.coliまたは他の原核細胞での外因性発現では、遺伝子のいくつかの核酸配列または真核生物の核酸のcDNAは、N末端ミトコンドリアなどのターゲティングシグナルまたは他のターゲティングシグナルをコードすることができ、それは、所望により、原核生物の宿主細胞への形質転換の前に除去することができる。例えば、ミトコンドリアのリーダー配列を除去すると、E.coliでの発現が増加した(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280巻、4329〜4338頁(2005年))。酵母または他の真核細胞での外因性発現では、宿主細胞に適したミトコンドリアのターゲティングまたは分泌シグナルなどの適切なターゲティング配列を加えることによって、遺伝子は、リーダー配列を加えることなしにサイトゾルで発現させることができるか、またはミトコンドリアもしくは他のオルガネラを標的にすることができるか、または分泌を標的にすることができる。したがって、核酸配列にターゲティング配列を除去するか含めるための適当な改変を外因性核酸配列に組み込んで、望ましい特性を付与できることが理解される。さらに、当技術分野で周知の技術を用いて遺伝子にコドン最適化を行って、タンパク質の最適化された発現を達成することができる。
宿主生物体で機能的である発現調節配列に作動可能に連結されている、本明細書で例示される核酸をコードする1つまたは複数のメタクリル酸生合成経路を含むように、1つまたは複数の発現ベクターを構築することができる。本発明の微生物宿主生物体での使用に適用可能な発現ベクターには、例えば、宿主染色体への安定した組込みで作動可能なベクターおよび選択配列またはマーカーを含めて、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソームおよび人工染色体が含まれる。さらに、発現ベクターは、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子および適当な発現調節配列を含むことができる。例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性を提供するか、栄養要求性の欠乏を補充するか、または培地中にない重大な栄養素を供給する、選択可能なマーカー遺伝子を含めることもできる。発現調節配列は、当技術分野で周知である、構成的および誘導可能なプロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含めることができる。2つ以上の外因性コード核酸を共発現させる場合、両方の核酸を、例えば、単一の発現ベクターまたは別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクターの発現では、コード核酸を作動的に1つの共通の発現調節配列に連結することもでき、または異なる発現調節配列に、例えば1つの誘導可能なプロモーターおよび1つの構成的プロモーターに連結することもできる。代謝もしくは合成経路に関与する外因性核酸配列の形質転換は、当技術分野で周知である方法を用いて確認することができる。そのような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、または遺伝子産物の発現についてのイムノブロッティング、または導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子産物の発現を試験する他の適切な分析法が含まれる。外因性核酸は所望の産物の産生に十分な量で発現されることが当業者によって理解され、また、当技術分野で周知であり本明細書で開示される方法を用いて発現レベルを最適化して十分な発現を得ることができることがさらに理解される。
本発明は、メタクリル酸などの所望の生成物を生成する方法をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよび3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む方法を提供する(実施例IおよびIIならびに図2を参照)。別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、アルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む方法を提供する(実施例Iを参照)。
さらに別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、メチルマロニルCoAムターゼ、メチルマロニルCoAエピメラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アンモニアリアーゼを含む方法を提供する(実施例IIIおよびIVならびに図4を参照)。メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む方法がさらに提供される(実施例VおよびVIならびに図6を参照)。
メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸ムターゼ、3−メチルアスパルターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む方法も提供される(実施例VIIおよびVIIIならびに図8を参照)。別の実施形態は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アルファ−ケトグルタル酸レダクターゼ、2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ、およびメサコン酸デカルボキシラーゼを含む方法を提供する(実施例IXおよびXならびに図10を参照)。
なおさらなる実施形態では、本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、およびメタクリリルCoAトランスフェラーゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼを含む方法を提供する(実施例XIおよびXIIならびに図12を参照)。なおさらなる実施形態は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、および3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む方法を提供する(実施例XIおよびXIIを参照)。
本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、クロトナーゼ、ブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、イソブチリルCoAムターゼ、イソブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む方法をさらに提供する(実施例XIIIおよび図13を参照)。メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクテートCoAトランスフェラーゼ、ラクトイルCoAデヒドラターゼ、アシルCoAデヒドロゲナーゼ、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼを含む方法も提供される(実施例XIVおよび図14を参照)。なおさらなる実施形態は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、バリンアミノトランスフェラーゼ、2−ケトイソ吉草酸デヒドロゲナーゼ、イソブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、およびメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む方法を提供する(実施例XVおよび図15を参照)。そのような経路は、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをさらに含み得る。
本発明は、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、3−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される3−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、3−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および3−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む方法をさらに提供する(実施例Vおよび図6を参照)。2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、アセトアセチルCoAチオラーゼ;アセトアセチルCoAレダクターゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼを含む方法も提供される(実施例XIおよび図12を参照)。
別の実施形態では、本発明は、メタクリル酸を生成する方法であって、メタクリル酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、メタクリル酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、メタクリル酸を生成するのに十分な量で発現されるメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、メタクリル酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ;ビニルアセチルCoA Δ−イソメラーゼ;クロトナーゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ;およびメタクリリルCoAヒドロラーゼまたはメタクリリルCoAシンテターゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼを含む方法を提供する(実施例XVIIIおよび図12を参照)。2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する方法であって、2−ヒドロキシイソ酪酸経路を有する天然に存在しない微生物体を培養することを含み、前記経路が、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する条件下およびそれに十分な期間、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量で発現される2−ヒドロキシイソ酪酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、2−ヒドロキシイソ酪酸経路が、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ;ビニルアセチルCoA
Δ−イソメラーゼ;クロトナーゼ;3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ;および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAシンテターゼまたは2−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼを含む方法も提供される(実施例XVIIIおよび図12を参照)。
周知の方法を用いて、メタクリル酸の生成を試験するのに適した精製および/またはアッセイを実施することができる。試験する各工学的処理株について、3連の培養物などの適切な複製物を増殖させることができる。例えば、工学的処理された産生宿主における生成物および副産物の形成を観察することができる。最終生成物および中間体、ならびに他の有機化合物を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)などの方法、または当技術分野で周知である日常的な手順を用いる他の適切な分析法によって分析することができる。発酵ブロス中の生成物の放出を、培養上清で試験することもできる。副産物および残留グルコースは、例えば、グルコースおよびアルコールには示差屈折率検出器を、有機酸には紫外線検出器を用いるHPLCによって(Linら、Biotechnol. Bioeng. 90巻、775〜779頁(2005年))、または当技術分野で周知である他の適切なアッセイおよび検出方法によって定量化することができる。外因性DNA配列からの個々の酵素活性を、当技術分野で周知である方法を用いて分析することもできる。
メタクリル酸、2−ヒドロキシイソ酪酸または3−ヒドロキシイソ酪酸生成物は、当技術分野で周知である様々な方法を用いて培養物中の他の成分から分離することができる。そのような分離法には、例えば、抽出法、ならびに連続液液抽出、浸透気化法、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィーおよび限外濾過を含む方法が含まれる。上記の方法は全て、当技術分野において周知である。
本明細書で記載される天然に存在しない微生物体のいずれかを培養して、本発明の生合成生成物を生成および/または分泌することができる。例えば、メタクリル酸の生合成的生成のために、メタクリル酸生産体を培養することができる。
メタクリル酸、2−ヒドロキシイソ酪酸または3−ヒドロキシイソ酪酸の生成では、炭素源および他の必要不可欠な栄養素を含む培地中で組換え株を培養する。全プロセスのコストを削減するために、発酵槽の嫌気的条件を維持することが非常に望ましい。そのような条件は、例えば、最初に窒素で培地をスパージし、次に隔壁および波形キャップでフラスコを密封することによって得ることができる。嫌気的条件で増殖が観察されない株には、限定的通気のための小さな穴を隔壁に開けることによって、微好気的条件を適用することができる。例示的な嫌気的条件は以前に記載されており、当技術分野において周知である。例示的な好気的条件および嫌気的条件は、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号に記載されている。本明細書で開示されるように、発酵は、回分、流加または連続的な形で実施することができる。
培地を望ましいpHに維持することが必要なとき、所望により、塩基、例えばNaOHもしくは他の塩基、または酸の添加によって培地のpHを所望のpH、特に中性pH、例えば約7のpHに維持することができる。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定することができ、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定できる。
増殖培地は、例えば、天然に存在しない微生物に炭素源を供給することができる任意の炭水化物源であり得る。例えば、そのような供給源には、糖類、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、およびデンプンが含まれる。炭水化物の他の供給源には、例えば再生可能なフィードストックおよびバイオマスが含まれる。本発明の方法でフィードストックとして用いることができる例示的なバイオマスの型には、セルロースのバイオマス、ヘミセルロースのバイオマスおよびリグニンフィードストックまたはフィードストックの部分が含まれる。そのようなバイオマスフィードストックは、例えば炭素源として有用な炭水化物基質、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトースおよびデンプンを含有する。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、上記に例示されるもの以外の再生可能なフィードストックおよびバイオマスを、メタクリル酸の生成のための本発明の微生物体を培養するのに用いることもできることを理解するであろう。
上記に例示されるものなどの再生可能なフィードストックに加えて、本発明のメタクリル酸微生物体を、炭素源として合成ガスで増殖するように改変することもできる。この具体的な実施形態では、1つまたは複数のタンパク質または酵素をメタクリル酸産生生物体中で発現させて、合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用する代謝経路を提供する。
合成ガス(syngas)またはプロデューサーガスとしても公知の合成ガス(synthesis gas)は、石炭、ならびに炭素材、例えば農作物および残渣を含むバイオマス材のガス化の主要な生成物である。合成ガスは主としてHおよびCOの混合物であり、それらに限定されないが、石炭、石油、天然ガス、バイオマスおよび廃棄有機物を含む任意の有機フィードストックのガス化から得ることができる。ガス化は、高い燃料対酸素比の下で一般に実施される。ほとんどHおよびCOであるが、合成ガスはより少ない量のCOおよび他のガスをも含み得る。したがって、合成ガスはCO、さらにCOなどのガス状炭素の費用効果の高い供給源を提供する。
Wood−Ljungdahl経路は、COおよびHからアセチルCoAおよびアセテートなどの他の生成物への転換を触媒する。COおよび合成ガスを利用することができる生物体は一般に、Wood−Ljungdahl経路に包含される酵素および変換の同じ基本セットを通して、COおよびCO/H混合物を利用する能力も有する。同じ生物体がCOを用いることもでき、同じ経路が含まれることが明らかにされるずっと前に、微生物によるCOからアセテートへのH依存性転換が認識された。必要な還元当量を供給する水素が存在する限り、多くの酢酸生成菌がCOの存在下で増殖し、アセテートなどの化合物を生成することが示された(例えば、Drake、Acetogenesis、3〜60頁、Chapman and Hall、New York、(1994年)参照)。これは、以下の式に要約することができる:
2CO+4H+nADP+nPi→CHCOOH+2HO+nATP
したがって、Wood−Ljungdahl経路を有する天然に存在しない微生物は、アセチルCoAおよび他の所望の生成物の生成にCOおよびH混合物も利用することができる。
Wood−Ljungdahl経路は当技術分野で周知であり、12個の反応からなり、それらは2つの分岐:(1)メチル分岐および(2)カルボニル分岐に分けることができる。メチル分岐は合成ガスをメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に転換し、カルボニル分岐はメチルTHFをアセチルCoAに転換する。メチル分岐における反応は、以下の酵素によって順番に触媒される:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ。カルボニル分岐における反応は、以下の酵素によって順番に触媒される:コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼ。十分な数のコード核酸を導入してメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸経路を生成することについて本明細書で提供される教示および指針に従って、当業者は、宿主生物体に存在しないWood−Ljungdahl酵素をコードする核酸を少なくとも導入することに関して、同じ工学的設計を実施することもできることを理解するであろう。したがって、改変された生物体が完全なWood−Ljungdahl経路を含むように、本発明の微生物体へ1つまたは複数のコード核酸を導入すると、合成ガス利用能が付与される。
したがって、本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、炭水化物などの炭素源で増殖させるとき、本発明の生合成された化合物を分泌する、天然に存在しない微生物体を生成することができることを理解するであろう。そのような化合物には、例えば、メタクリル酸およびメタクリル酸経路中の中間代謝産物のいずれかが含まれる。必要なのは、例えば、メタクリル酸生合成経路の一部もしくは全部の組入れを含む、所望の化合物または中間体の生合成を達成するために必要とされる酵素活性の1つまたは複数における工学的導入だけである。したがって、本発明は、炭水化物で増殖させるとメタクリル酸を生成および/または分泌し、炭水化物で増殖させるとメタクリル酸経路で示される中間代謝産物のいずれかを生成および/または分泌する、天然に存在しない微生物体を提供する。生成および/または排出することができる中間代謝産物には、3−ヒドロキシイソ酪酸および2−ヒドロキシイソ酪酸が含まれる。
本発明のメタクリル酸を生成する微生物体は、中間体から合成を開始することができる。例えば、前駆体としてスクシニルCoAから合成を開始することに加えて、(R)−メチルマロニルCoA、(S)−メチルマロニルCoA、メチルマロン酸セミアルデヒドまたは3−ヒドロキシイソブチレートなどの中間体から合成を開始することができる(実施例Iおよび図2を参照)。あるいは、(R)−メチルマロニルCoA、(S)−メチルマロニルCoA、メチルマロン酸セミアルデヒド、または3−アミノ−2−メチルプロピオネートなどの中間体から合成を開始することができる(実施例IIIおよび図4を参照)。前駆体として4−ヒドロキシブチリルCoAを有する経路では、3−ヒドロキシイソブチリルCoA、メタクリリルCoAまたは3−ヒドロキシイソブチレートなどの中間体から合成を開始することができる(実施例Vおよび図6を参照)。
前駆体としてアルファ−ケトグルタレートを利用するメタクリル酸経路では、例えば、グルタメート、トレオ−3−メチルアスパルテートまたはメサコネートから合成を開始することができる(実施例VIIおよび図8を参照)。あるいは、2−ヒドロキシグルタレート、3−メチルマレートまたはメサコネートなどの中間体から合成を開始することができる(実施例IXおよび図10を参照)。前駆体としてアセチルCoAを利用する経路では、例えば、アセトアセチルCoA、3−ヒドロキシブチリルCoA、2−ヒドロキシイソブチリルCoA、またはメタクリリルCoAなどの中間体から合成を開始することができる(実施例XIおよび図12を参照)。あるいは、アセトアセチルCoA、3−ヒドロキシブチリルCoA、クロトニルCoA、ブチリルCoA、イソブチリルCoAおよびメタクリリルCoAなどの中間体から合成を開始することができる(実施例XIIIおよび図13を参照)。
前駆体としてピルベートを利用するメタクリル酸経路では、ラクテート、ラクトイルCoA、アクリリルCoA、プロピオニルCoA、(S)−メチルマロニルCoA、メチルマロン酸セミアルデヒドまたは3−ヒドロキシイソブチレートなどの中間体から合成を開始することができる(実施例XIVおよび図14を参照)。前駆体として2−ケトイソバレレートを利用する経路では、イソブチリルCoAまたはメタクリリルCoAなどの中間体から合成を開始することができる(実施例XVおよび図15を参照)。さらに、ピルベートから2−ケトイソバレレートへの転換における中間体から合成を開始することができる。
前駆体として4−ヒドロキシブチリルCoAを利用する3−ヒドロキシイソ酪酸経路では、3−ヒドロキシイソブチリルCoAなどの中間体から合成を開始することができる(実施例Vおよび図6を参照)。前駆体としてアセチルCoAを利用する2−ヒドロキシイソ酪酸経路では、例えば、アセトアセチルCoA、3−ヒドロキシブチリルCoA、または2−ヒドロキシイソブチリルCoAなどの中間体から合成を開始することができる(実施例XIおよび図12を参照)。
さらに、本発明の微生物体に対して生成物の収率を増加させるようにさらなる改変が可能であることが理解される。例えば、代謝モデリングを用いて、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路を有する微生物体に対して生成物の収率を増加させるように行うことができる任意のさらなる改変を決定することができる(実施例XXVを参照)。一実施形態では、改変を用いて、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路の前駆体または中間体の生成を増加させることができる。本明細書で開示されるように、中心的な代謝反応およびその対応する酵素の改変を含む代謝経路の改変を用いて、所望の前駆体、中間体または生成物の収率を増加させることができる。例えば、様々な機構によるいくつかの酵素の発現の増加を利用して、MAAまたは3−ヒドロキシイソブチレートの収率を増加させることができることが見い出されている。そのような酵素には、それらに限定されないが、1)クエン酸シンターゼおよびアコニターゼ;2)イソクエン酸リアーゼおよびリンゴ酸シンターゼ;3)ピルビン酸デヒドロゲナーゼおよび/またはピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ;ならびに4)ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼがある(実施例XXVを参照)。これらの酵素の発現を使用して、サクシニルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoAからの経路を使用したMAAまたは3−ヒドロキシイソブチレートの収率を増加させることができる。
したがって、本発明は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸経路を含有していることに加えて、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸生成物の前駆体または中間体の生成を増加させる少なくとも1つのタンパク質または酵素の活性を増加させるようにさらに遺伝子改変されている天然に存在しない微生物体をさらに提供し、ここで活性の増加は、少なくとも1つのタンパク質または酵素の活性を増加させる遺伝子改変が存在しない状態と比べた増加である。例えば、クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、イソクエン酸リアーゼ、リンゴ酸シンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼから選択される少なくとも1つの酵素の活性を増加させるように、天然に存在しない微生物体を遺伝子改変することができる(実施例XXVを参照)。活性の増加は、そのような酵素の活性を増加させるように遺伝子改変されていない微生物体と比べた増加であることが理解される。例えば、酵素の活性を増加させる遺伝子改変を、メタクリル酸経路を有する微生物体に導入する場合、酵素の活性の増加は、メタクリル酸経路を有するが遺伝子改変が存在しない宿主生物体と比べた増加である。そのような遺伝子改変には、それらに限定されないが、染色体組込みにより、またはプラスミドに含有されている、活性を増加させるタンパク質または酵素の同種(天然)または異種配列をコードする外因性核酸を導入することが含まれることが理解される。例えば、タンパク質もしくは酵素の活性を増加させる望ましい特性を有する生物体由来の異種配列を導入することもでき、または増加したコピー数の内因性遺伝子を生物体に導入することもできる。さらに、内因性遺伝子のプロモーターをより活性なプロモーターで置換することもでき、タンパク質または酵素の発現、したがって活性を増加させる突然変異で天然のプロモーターを遺伝子改変することもできる。プロモーターのそのような置換または他の遺伝子改変は、構成的および誘導可能なプロモーターをもたらすことができる。さらに、例えば遺伝子破壊でリプレッサーをノックアウトするか、または発現を減少させるようにそのプロモーターを遺伝子改変することにより、内因性遺伝子のリプレッサーを減少させることができる。したがって、本明細書で開示され、当技術分野で公知であるこれらおよび他の遺伝子改変を使用して、所望のタンパク質または酵素の活性を増加させることができる。
本発明の天然に存在しない微生物体は、本明細書で例示される当技術分野で周知の方法を用いて、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な量でメタクリル酸経路の酵素をコードする少なくとも1つの核酸を外因性に発現するように構築される。本発明の微生物体は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するのに十分な条件下で培養されることが理解される。本明細書で提供される教示および指針に従って、本発明の天然に存在しない微生物体は、細胞内濃度が約0.1〜200mM以上となるメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成を達成することができる。一般に、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の細胞内濃度は、約3〜150mM、詳細には約5〜125mM、より詳細には約8〜100mMであり、約10mM、20mM、50mM、80mM、またはそれ以上を含む。これらの例示的な範囲のそれぞれの間の細胞内濃度およびそれを上回る細胞内濃度も、本発明の天然に存在しない微生物体から達成することができる。
一部の実施形態では、培養条件は、嫌気的または実質的に嫌気的な増殖または維持条件を含む。例示的な嫌気的条件は以前に記載されており、当技術分野において周知である。発酵プロセスの例示的な嫌気的条件が本明細書に記載され、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号に記載されている。これらの条件のいずれかを、当技術分野で周知である他の嫌気的条件と同様に、天然に存在しない微生物体で使用することができる。そのような嫌気的条件の下で、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸生産体は、5〜10mM以上の細胞内濃度、ならびに本明細書で例示される他の全ての濃度で、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸をそれぞれ合成することができる。上記の記載が細胞内濃度に言及するものであるとしても、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する微生物体は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を細胞内で生成し、かつ/または培地中にその生成物を分泌することができることが理解される。
培養条件には、例えば、液体培養法だけでなく発酵および他の大規模培養法を含めることができる。本明細書で記載されるように、本発明の生合成生成物の特に有用な収率は、嫌気的または実質的に嫌気的な培養条件下で得ることができる。
本明細書で記載されるように、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成を達成するための1つの例示的な増殖条件には、嫌気的培養または発酵条件が含まれる。特定の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物体は、嫌気的または実質的に嫌気的な条件の下で保持し、培養し、または発酵させることができる。簡単に述べると、嫌気的条件とは酸素不足の環境を指す。実質的に嫌気的な条件には、例えば、培地中の溶解酸素濃度が飽和の0〜10%の間にとどまるような、培養、回分発酵または連続発酵が含まれる。実質的に嫌気的な条件には、1%未満の酸素の雰囲気で維持される密封チャンバー内の液体培地または固体寒天で細胞を増殖または休止させることも含まれる。酸素の割合は、例えば、培養をN/CO混合物または他の適切な1つまたは複数の非酸素ガスでスパージすることによって維持することができる。
本明細書で記載される培養条件の規模を拡大し、連続的に増殖させてメタクリル酸を製造することができる。例示的な増殖法には、例えば、流加回分発酵および回分分離;流加回分発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離が含まれる。これらのプロセスは全て、当技術分野において周知である。発酵法は、商業的な量のメタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の生合成による生成に特に有用である。一般に、また非連続的な培養法と同様に、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸の連続的および/またはほとんど連続的な生成には、指数増殖期の増殖を保持および/またはほとんど保持するのに十分な栄養素および培地で、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する本発明の天然に存在しない生物体を培養することが含まれよう。そのような条件下での連続培養は、例えば、1日、2、3、4、5、6または7日、またはそれ以上を含むことができる。さらに、連続培養は、1週間、2、3、4または5週間、またはそれ以上で最高数カ月を含むことができる。あるいは、本発明の生物体は、特定の用途に適する場合は数時間培養することができる。連続的および/またはほとんど連続的な培養条件は、これらの例示的な期間の間の全ての期間を含むこともできることを理解すべきである。本発明の微生物体を培養する時間は、所望の目的に十分な量の生成物を生成するのに十分な期間であることがさらに理解される。
発酵法は、当技術分野において周知である。簡単に述べると、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸を生合成により生成するための発酵は、例えば、流加回分発酵および回分分離;流加回分発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離で利用することができる。回分および連続発酵法の例は、当技術分野で周知である。
かなり大量のメタクリル酸の連続的生成に本発明のメタクリル酸生産体を用いる上記の発酵法に加えて、メタクリル酸生産体を、例えば、化学合成法に同時にかけて生成物を他の化合物に変換することもでき、または生成物を発酵培養物から分離し、続いて、所望により、化学変換にかけて生成物を他の化合物に変換することもできる。さらには、かなり大量の3−ヒドロキシイソブチレートまたは2−ヒドロキシイソブチレートの連続的生成に本発明の3−ヒドロキシイソブチレートまたは2−ヒドロキシイソブチレート生産体をそれぞれ用いる上記の発酵法に加えて、3−ヒドロキシイソブチレートまたは2−ヒドロキシイソブチレート生産体を、例えば、化学合成法に同時にかけて生成物を他の化合物に転換することもでき、あるいは生成物を発酵培養物から分離し、続いて、所望により、化学変換にかけて生成物を他の化合物に変換することもできる。
バイオプロセシングについて考慮すべきことの1つは、回分または連続発酵スキームのどちらを用いるかである。生成される生成物の量に影響を及ぼす、この2つのスキーム間にある相違の1つは、指数関数的増殖期に加えて、回分スキームには準備期、遅滞期、および静止期が存在することである。その一方で、連続プロセスは、一定の指数関数的増殖の状態で維持され、適切に稼働すれば、一度に数カ月もの間実行することができる。増殖関連および混合増殖関連型の生成物形成では、準備期、遅滞期、および静止期がないことにより、連続プロセスははるかに高い生産性(すなわち細胞集団の希釈倍率)をもたらす。
生産性に利点があるにもかかわらず、いくつかの理由で連続プロセスより多くの回分プロセスが稼働中である。最初に、非増殖関連型の生成物形成では、連続プロセスは非常に低い希釈率で稼働させなければならないため、回分系の生産性は、連続プロセスの生産性を大きく上回り得る。次に、生成株は一般に、生化学的またはタンパク質生成能力が改善するようにその遺伝物質に対して改変を受けている。この特殊化した株は、その親の相補体より迅速には増殖しない可能性が高く、一方恒成分培養槽(連続形式で稼働する発酵槽)を使用するものなどの連続プロセスでは、最も速く増殖している細胞に大きな選択圧が加わる。所望の過剰生成の表現型につながる、組換えDNAを含有するまたは点突然変異を有する細胞は、生産性の低い元の親株となる逆突然変異を起こしやすい。単一の遺伝子欠失を有する株に、野生型の増殖表現型を回復する傾向がある代償的な突然変異が生じる可能性もある。より速く増殖している細胞は通常、栄養素の制限についてより生産性の高い対応物に打ち勝ち、大幅に生産性が低下する。その一方で、回分プロセスは、各周期の終わりにある細胞を再利用するのではなく、このように生成株がその野生型の表現型に復帰する確率を減らすことにより、利用可能な世代の数を制限する。最後に、連続プロセスは、設備故障や外来生物体の混入などの潜在的な工学的障害により、長期に稼働させることがより困難である。そのような故障の重大性は、回分培養より連続プロセスではるかに考慮すべきである。
特殊な化学物質および/またはタンパク質の少量の生成では、連続プロセスの生産性の増加が、株の安定性および信頼性に関連するリスクより勝ることはめったにない。しかし、大量の、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸などの増殖関連型の生成物の生成では、連続プロセスで生産性が増加すると、回分プロセスに比較して著しい経済的利益が生じ得る。連続バイオプロセスの稼働に関連する工学的障害が常に存在するが、株の安定性の懸念は、負の選択圧を低減または回避し、指数関数的増殖期の間標的生成物の生成に有利となるように代謝経路を変更する代謝工学的戦略により克服することができる。
より良好な生産体を得るために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化することができる。モデリングを用いて、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計することができる(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析は、メタクリル酸、3−ヒドロキシイソ酪酸または2−ヒドロキシイソ酪酸のより効率の高い生成の方向に代謝を移動させる細胞増殖に対する影響の信頼性のある予測を可能にする。
所望の生成物の生合成を有利にする代謝改変を特定し、設計するための1つのコンピュータ方法は、OptKnockコンピュータフレームワークである(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。OptKnockは、標的生成物を過剰に生産する遺伝的に安定した微生物をもたらす遺伝子欠失戦略を示唆する、代謝モデル化およびシミュレーションプログラムである。具体的には、フレームワークは、所望の生化学物質を細胞増殖の必須の副産物になるように強制する遺伝子操作を示唆するために、微生物の完全な代謝ネットワークおよび/または生化学ネットワークを調べる。戦略的に置かれた遺伝子欠失または他の機能的遺伝子破壊を通して生化学的生成を細胞増殖と連結することによって、バイオリアクター内での長期間の後に設計製作された株に加えられる増殖淘汰圧は、強制的な増殖連結型の生化学的生成の結果として、性能の改善をもたらす。最後に、遺伝子欠失が構築されると、OptKnockによって選択された遺伝子はゲノムから完全に除去されるので、設計された株がそれらの野生型状態に戻る可能性はごくわずかである。したがって、このコンピュータ方法は、所望の生成物の生合成をもたらす代替経路を特定するために用いること、または所望の生成物の生合成のさらなる最適化のために、天然に存在しない微生物の生物体と共に用いることができる。
簡単に述べると、OptKnockは細胞代謝のモデル化のためのコンピュータによる方法およびシステムを指すために本明細書で用いられる用語である。OptKnockプログラムは、特定の制約をフラックスバランス分析(FBA)モデルに組み込む、モデルおよび方法のフレームワークに関する。これらの制約には、例えば、定性的動態学情報、定性的調節情報および/またはDNAマイクロアレイ実験データが含まれる。OptKnockは、例えばフラックスバランスモデルを通して誘導されるフラックス境界を締め、その後、遺伝子付加または欠失の存在下で代謝ネットワークの性能限界を調査することによって、様々な代謝問題の解法も計算する。OptKnockコンピュータフレームワークは、代謝ネットワークの性能限界の効果的なクエリーを可能にするモデル式の構築を可能にし、生じる混合整数線形計画法の問題を解決する方法を提供する。OptKnockとして本明細書で言及される代謝モデル化およびシミュレーション法は、例えば、2002年1月10日に出願の米国特許公開第2002/0168654号、2002年1月10日に出願の国際特許PCT/US02/00660、および2007年8月10日に出願の米国公開第2009/0047719号に記載されている。
生成物の生合成による生成を有利にする代謝変化を特定および設計するための別のコンピュータ方法は、SimPheny(登録商標)と呼ばれる代謝モデリングおよびシミュレーションシステムである。このコンピュータ方法およびシステムは、例えば、2002年6月14日に出願の米国特許公開2003/0233218および2003年6月13日に出願の国際特許出願PCT/US03/18838に記載されている。SimPheny(登録商標)は、コンピュータでネットワークモデルを生成し、生物系の化学反応を通して質量、エネルギーまたは電荷のフラックスをシミュレートして、その系の化学反応のありとあらゆる可能な機能を含む解空間を定義し、それによってその生物系に許容される活性を判定するのに用いることができるコンピュータシステムである。この手法は、含まれる反応の公知の化学量などの制約、ならびに反応を通して最大フラックスに関連する熱力学反応および容量制約によって解空間が定義されるので、制約に基づくモデル化と称される。これらの制約によって定義される空間を調べて、生物系またはその生化学成分の表現型能力および挙動を判定することができる。例えば、Schillingら、J. Theor. Biol.、203巻、229〜248頁(2000年);Schillingら、Biotech. Bioeng.、71巻、286〜306頁(2000年)およびSchillingら、Biotech. Prog.、15巻、288〜295頁(1999年)に記載されている凸解析、線形計画法および極端経路の計算などの分析法を用いて、そのような表現型能力を判定することができる。
上記に記載のように、本発明に適用可能なコンピュータプログラムで使用される制約に基づく方法の1つはフラックスバランス分析である。フラックスバランス分析は、定常状態の条件におけるフラックスのバランスに基づいており、例えば、VarmaおよびPalsson、Biotech. Bioeng.、12巻、994〜998頁(1994年)に記載のように実施することができる。フラックスバランスの手法を反応ネットワークに適用して、例えば、FellおよびSmall、J. Biochem.、138巻、781〜786頁(1986年)に記載の脂肪細胞の代謝、MajewskiおよびDomach、Biotech. Bioeng.、35巻、732〜738頁(1990年)に記載のATP最大化の条件下でのE.coliのアセテート分泌、またはVanrolleghemら、Biotech. Prog.、12巻、434〜448頁(1996年)に記載の酵母によるエタノール分泌がシミュレートされ、その系の特性が予測されている。さらに、EdwardsおよびPalsson、Proc. Natl. Acad. Sci.、97巻、5528〜5533頁(2000年)、EdwardsおよびPalsson、J. Bio. Chem.、274巻、17410〜17416頁(1999年)ならびにEdwardsら、Nature Biotech.、19巻、125〜130頁(2001年)に記載のように、この手法を使用して、様々な単一炭素源でのS.cerevisiaeの増殖、ならびにH.influenzaeの代謝を予測またはシミュレートすることができる。
生物系は柔軟であり、多くの異なる方法で同じ結果に到達することができるので、これらのコンピュータ手法は生物的な現実と一貫している。生物系は、全ての生物系が直面しなければならない基本的な制約によって制限されている進化機構を通して設計される。したがって、制約に基づくモデリング戦略は、これらの一般的な現実を包含する。さらに、制約の締め付けを通してさらなる制限をネットワークモデルに連続的に加える能力は、解空間の縮小をもたらし、それによって、生理的性能または表現型を予測できる精度を高める。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、代謝モデリングおよびシミュレーションのための様々なコンピュータフレームワークを適用して、宿主微生物体における所望の化合物の生合成を設計および実施することができる。そのような代謝モデル化およびシミュレーション方法には、例えば、SimPheny(登録商標)およびOptKnockのような上で例示したコンピュータシステムが含まれる。本発明の説明のために、モデリングおよびシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークに関して、いくつかの方法を本明細書に記載する。当業者は、OptKnockを用いる代謝変化の特定、設計および実行を、当技術分野で周知であるそのような他の代謝モデリングおよびシミュレーションコンピュータフレームワークおよび方法のいずれかに適用する方法を知るであろう。
細胞または生物体が強制的に増殖と生化学的な生成物の生成を連結する能力は、コンピュータモデルを用いて計算された典型的な代謝ネットワークの生化学的生成の限界との関連で説明することができる。これらの限界は、制限している(1つまたは複数の)基質の(1つまたは複数の)取り込み速度をその実験的に測定された(1つまたは複数の)値に固定し、増殖のそれぞれ達成可能なレベルで生化学的生成の最大速度および最低速度を計算することによって得られる。図16に示すように、所望の生化学的生成は一般に細胞内資源のバイオマス形成と直接競合する。これらの状況下で、生化学的生成の速度が高まると、必ず増殖速度が最大以下となる。本明細書で開示される、OptKnockなどの代謝モデリングおよびシミュレーションプログラムによって示唆されるノックアウトは、図16に表すように野生型株から代謝挙動を変化させる許容可能な解の境界を制限するように設計される。所与の株についての現実の解の境界は基質の(1つまたは複数の)取り込み速度が増大または低下するにつれて拡張または収縮するが、各実験点は、その計算された解の境界内にある。これらのようなプロットは、設計された株が、どれくらいの余地が改善に利用可能であるかをも示すその性能限界にどれほど近いかの正確な予測を可能にする。
図16に示すように、増殖連結型生化学的生成をもたらす遺伝子欠失を特定するOptKnock数学フレームワークを例示する。この手順は、物理化学的制約の支配が連続的に課せられることにより細胞系が提示できる可能な表現型の範囲を狭くする、制約に基づく代謝モデリングを基礎とする(Priceら、Nat Rev Microbiol、2巻、886〜97頁(2004年))。上記に記載のように、制約に基づくモデルおよびシミュレーションは当技術分野で周知であり、一般に、ネットワーク化学量論にさらした特定の細胞目的の最適化を引き起こして、可能性の高いフラックス分布を示唆する。
簡単に述べると、N={1,...,N}の代謝産物のセットおよびM={1,...,M}の代謝反応のセットを含む定常状態の代謝ネットワークについて凝集反応フラックスとして定量化される細胞目的の最大化は、以下のように数学的に表される:
Figure 2014147400
ここで、Sijは、反応jにおける代謝産物iの化学量論係数であり、vは反応jのフラックスであり、v基質_取り込みは、制限している(1つまたは複数の)基質の想定または測定された(1つまたは複数の)取り込み速度を表し、vatp_主は、非増殖関連のATP維持の必要量である。ベクトルvは、内部フラックスも外部フラックスも含む。この研究で、細胞目的は、バイオマス形成に必要な比率での生合成前駆体の排出であることがしばしば想定される、Neidhardt, F.C.ら、第2版、1996年、Washington, D.C.:ASM Press. 2v.(xx,2822,lxxvi)。フラックスは一般に、1gDW・hr(乾燥重量グラム掛ける時間)当たりで報告され、その結果バイオマス形成は、生成されたバイオマスのg/gDW・hrまたは1/hrとして表される。
遺伝子欠失、したがって反応の消失のモデリングは、制約に基づく手法のフレームワークへの2値変数の組込みを最初に使用する、Burgardら、Biotechnol Bioeng、74巻、364〜375頁(2001年)、Burgardら、Biotechnol Prog、17巻、791〜797頁(2001年)。これらの2値変数
Figure 2014147400
は、反応jが活性である場合に1の値を、活性でない場合に0の値を想定する。以下の制約
Figure 2014147400
は、変数yが0に等しい場合のみ反応フラックスvが0に設定されることを確実にする。あるいは、yが1に等しいとき、vは下方のv 最小と上方のv 最大の境界間の任意の値に自由に想定される。ここで、v 最小およびv 最大は、上記に記載のネットワーク制約にさらしたあらゆる反応フラックスをそれぞれ最小化および最大化することによって同定される、Mahadevanら、Metab Eng、5巻、264〜76頁(2003年)。
最適な遺伝子/反応ノックアウトは、生じたネットワークについての最適増殖の解法が対象とする化学物質を過剰に生成するように活性反応のセット(y=1)を選択する、2層の最適化問題を解決することによって同定される。図式的に、この2層の最適化問題を図2に示す。数学的に、この2層の最適化問題は、以下の2層の混合整数最適化問題として表される:
Figure 2014147400

ここで、v化学物質は所望の標的生成物、例えば2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸、メタクリル酸、または他の生化学的生成物の生成であり、Kは許容可能なノックアウトの数である。Kを0とおくと、完全なネットワークの最大のバイオマスの解が返され、一方Kを1とおくと、生じたネットワークが、その最大のバイオマス収率が得られる最大の過剰生成を含むような、単一の遺伝子/反応ノックアウト(y=0)が同定されることに留意されたい。最終的な制約は、生じたネットワークが最小のバイオマス収率を満たすことを確実にする。Burgardら、Biotechnol Bioeng、84巻、647〜57頁(2003年)はモデル式および解法の手順についてより詳細に説明している。IBM RS6000〜270ワークステーションのモデリング環境で、GAMS、Brookeら、GAMS Development Corporation(1998年)を介してアクセスするCPLEX8.0、GAMS: The Solver Manuals、2003年、GAMS Development Corporationを用いて、分から時間のオーダーで数百の2値変数を含有する問題を解決することができる。OptKnockフレームワークは既に生化学的過剰生成に有望な遺伝子欠失戦略を同定できており、Burgardら、Biotechnol Bioeng、84巻、647〜57頁(2003年)、Pharkyaら、Biotechnol
Bioeng、84巻、887〜899頁(2003年)、また代謝および制御モデリングフレームワークにおける将来の改善を自然に包含する体系的なフレームワークを確立する。
上記の方法は、破壊する1セットの代謝反応を提供する。セット内の各反応の除去または代謝改変は、生物体の増殖期の間の必須の生成物として、所望の生成物をもたらすことができる。反応が知られているので、2層の(bilevel)OptKnock問題の解決は、反応セット内の各反応を触媒する1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の関連遺伝子も提供する。反応セットおよび各反応に関与する酵素をコードするそれらの対応遺伝子の同定は、一般に自動化されたプロセスであり、その反応と、酵素およびコード遺伝子の間の関係を有する反応データベースとの相関関係を通して達成される。
同定されると、標的細胞または生物体において、所望の生成物の生成を達成するために破壊される反応セットが、セット内の各代謝反応をコードする少なくとも1つの遺伝子の機能的破壊によって実施される。反応セットの機能的破壊を達成する1つの特に有用な手段は、各コード遺伝子の欠失によるものである。しかし、一部の例では、例えば、突然変異、プロモーターもしくは調節因子のためのシス結合部位などの調節領域の欠失を含む他の遺伝子異常、またはいくつかの場所のいずれかにおけるコード配列の切断によって反応を破壊することが有益となることがある。例えば、生成物の連結の速やかな評価が所望され、または遺伝子復帰突然変異が起こる可能性がより低い場合、遺伝子セットの全体未満の欠失をもたらすこれらの後者の異常が有用なことがある。
所望の生成物の増殖連結型の生合成を含む生合成をもたらすことができる破壊すべきさらなる反応セットまたは代謝改変をもたらす上記の2層のOptKnock問題のさらなる生産的解法を特定するために、整数カットと呼ばれる最適化法を実施することができる。この方法は、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みで、上に例示されるOptKnock問題を反復して解決することによって進行する。整数カット制約は、解決手法が、生成物生合成を増殖に不可避的に連結する任意の前の反復で特定されるものと正確に同じ反応セットを選択することを、効果的に防止する。例えば、前に特定された増殖連結型の代謝改変が破壊のための反応1、2および3を特定する場合、以下の制約は、その後の解法で同じ反応が同時に考慮されることを防止する。整数カット法は当技術分野で周知であり、例えば、Burgardら、Biotechnol. Prog. 17巻、791〜797頁(2001年)に記載されているのを見ることができる。代謝モデル化およびシミュレーションのためのOptKnockコンピュータフレームワークと組み合わせたそれらの使用に関して本明細書で記載される全ての方法と同様に、反復性コンピュータ分析でのリダンダンシーを減らす整数カット法は、例えばSimPheny(登録商標)を含む当技術分野で周知である他のコンピュータフレームワークとともに適用することもできる。
上記の形の制約により、以前に同定されたセットを含む大きな反応セットの同定が除外される。例えば、さらなる反復で上記の整数カット最適化法を使用すると、以前に同定されているため、破壊について反応1、2、および3を特定する四重の反応セットの同定が除外される。生成物の増殖連結型生成をもたらす全ての可能な反応セットの同定を確実にするために、整数カット法の変法が使用された。
簡単に述べると、改変型の整数カット手順は、野生型ネットワークについて最適な増殖で所望の生化学物質の最大の生成を計算する「0」の反復から始まる。この計算は、Kを0とおいたOptKnockの解に対応する。次に、単一のノックアウトを考慮し、2つのパラメータのセットobjstoreiterおよびystoreiter,jを導入して、各反復、iterで目的の機能(v化学物質)および反応のオンオフの情報(y)をそれぞれ蓄える。次いで、各反復でOptKnock式に以下の制約を連続的に加える。
Figure 2014147400
上記の式において、εおよびMはそれぞれ小さな数および大きな数である。一般に、εは約0.01に設定でき、Mは約1000に設定できる。しかし、これらの数より小さな数および/または大きな数を用いることもできる。Mは、制約が、以前に同定されたノックアウト戦略のみに結合できることを確実にし、一方εは、以前に同定された戦略にノックアウトを加えると、最適な増殖で生化学的生成が少なくともεだけ増加しなければならないことを確実にする。この手法は、単一欠失戦略で野生型株が改善されない場合にはいつでも二重欠失に移動する。次いで二重欠失戦略で野生型株が改善されない場合には三重欠失を考慮する、などとなる。最終結果は、少なくとも1つのノックアウトによって互いに異なる別々の欠失戦略の、最適な増殖での所望の生化学的生成として表される順位付けリストとなる。破壊した場合に生化学的生成物の増殖連結型生成をもたらすこの最適化手順ならびに多種多様な反応セットの同定について、下記でさらに詳細に例示する。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、本明細書で例示される方法および代謝の工学的設計が、細胞または微生物の増殖と任意の生化学的生成物との強制的な連結に適用可能であることを理解するであろう。
本明細書で例示される方法は、所望の生成物を生合成的に生成する細胞および生物体の構築を可能にし、それには、特定された遺伝子改変を抱えるように設計製作された細胞または生物体の増殖への、標的生化学生成物の生成の必須の連結が含まれる。したがって、本明細書で記載されるコンピュータ方法は、OptKnockまたはSimPheny(登録商標)から選択されるコンピュータ方法によって特定される代謝改変の同定および実行を可能にする。代謝改変のセットには、例えば、1つまたは複数の生合成経路の酵素の付加および/または、例えば遺伝子欠失による破壊を含む1つまたは複数の代謝反応の機能的破壊を含めることができる。
上記のように、OptKnock方法は、長期の増殖選択に曝した場合、突然変異体微生物ネットワークをコンピュータによって予測されるそれらの最大増殖表現型の方へ進化させることができるという前提で開発された。言い換えると、本手法は、選択圧の下で自己最適化する生物体の能力を導入する。OptKnockフレームワークは、ネットワーク化学量論に基づいて生化学的生成と細胞増殖との間の連結を強制する遺伝子欠失組合せの網羅的な列挙を可能にする。最適遺伝子/反応ノックアウトの同定は、生じたネットワークについての最適増殖の解法が対象とする生化学物質を過剰に生産するように活性反応セットを選択する、2層の最適化問題の解決を必要とする(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。
前に例示され、例えば米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号に記載されるように、代謝経路に必要不可欠な遺伝子を同定するために、E.coli代謝のコンピュータ化学量論モデルを使用することができる。本明細書で開示されるように、OptKnock数学フレームワークを、所望の生成物の増殖連結型生成をもたらす正確な遺伝子欠失に適用することができる。さらに、2層のOptKnock問題の解決は、1セットの欠失だけを提供する。全ての意味がある解決、すなわち増殖連結型生成の形成をもたらすノックアウトの全セットを列挙するために、整数カットと呼ばれる最適化技術を実施することができる。これは、上記のように、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みでOptKnock問題を反復して解決することを必要とする。
本明細書で開示されるように、OptKnock戦略を用いて、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸などの所望の生成物の生成と増殖を連結する遺伝子ノックアウトを同定した(実施例XXI〜XXIIIを参照)。OptKnock戦略を用いて同定する一方、本明細書で開示されるように、SimPheny(商標)などのシステムを含む任意の適切なモデリングシステムを用いて、遺伝子ノックアウトを同定して所望の生成物の生成を増殖と連結できる株を開発することができることが理解される。本明細書で開示される遺伝子欠失戦略のいずれかを、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する経路を有する、本明細書で開示される天然に存在しない微生物体のいずれかと適宜連結して、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成を増加させることができる。
したがって、本発明は、天然に存在しない微生物体であって、タンパク質または酵素をコードする遺伝子中に生じている1つまたは複数の遺伝子破壊を含み、1つまたは複数の遺伝子破壊が前記生物体における3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成の増加を付与する微生物体をさらに提供する。本明細書で開示されるように、遺伝子破壊は、増殖連結型である、または増殖連結型でない3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成を付与することができる。例えば、1つまたは複数の遺伝子破壊は、表10または11に列挙したタンパク質または酵素をコードし得る(実施例XXIIおよびXXIIIを参照)。特定の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子破壊は、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼおよびアセトアルデヒドCoAデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードし得る。さらなる実施形態では、生物体は、アスパルターゼ、ピルビン酸ギ酸リアーゼ、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼ、ホスホエノールピルビン酸:ピルビン酸ホスホトランスフェラーゼ系、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホトランスアセチラーゼ、酢酸キナーゼ、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびNADHデヒドロゲナーゼからなる群から選択されるタンパク質または酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子破壊をさらに含み得る。
したがって、本発明は、アルコールデヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼ(表6および8、設計1)における機能的破壊を含有する、MAAまたは3−HIBの収率が改善された生物体を提供する(実施例XXIIおよびXXIIIを参照)。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパルターゼ、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼまたはNADHデヒドロゲナーゼのいずれか(表6、設計2、7、10、13;表8、設計2、8)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。アスパルターゼ、およびNAD(P)トランスヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼまたはピルビン酸ギ酸リアーゼのいずれか(表6、設計3、5;表8、設計3、5)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。ピルビン酸ギ酸リアーゼ、およびNAD(P)トランスヒドロゲナーゼまたはグルタミン酸デヒドロゲナーゼのいずれか(表6、設計4;表8、設計4)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体も提供される。ATPシンターゼ、およびピルビン酸ギ酸リアーゼ、PEP:Pyr PTSを介したD−グルコース輸送、6−ホスホグルコノラクトナーゼまたはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼのいずれか(表6、設計6;表8、設計6、7)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびピルビン酸ギ酸リアーゼ(表6、設計8)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体も提供される。酢酸キナーゼまたはホスホトランスアセチラーゼのいずれか(表6、設計9)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ、および6−ホスホグルコノラクトナーゼまたはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼのいずれか(表6、設計11;表8、設計9 w/THD2)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、および6−ホスホグルコノラクトナーゼまたはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼのいずれか(表8、設計9 w/GLUDy)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。ピルビン酸ギ酸リアーゼ(表6、設計12)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体も提供される。NADHデヒドロゲナーゼ、および酢酸キナーゼまたはホスホトランスアセチラーゼのいずれか(表6、設計14)におけるさらなる機能的破壊を有する生物体がさらに提供される。
本明細書で開示されるように、1つまたは複数の遺伝子破壊は、1つまたは複数の遺伝子の欠失を含み得る。遺伝子欠失を含む遺伝子破壊のそのような方法は、本明細書で開示されるように、当業者に周知である。所望により、実質的に嫌気性の培地中で細胞を培養することができる。
1つまたは複数の遺伝子破壊を有する、本明細書で開示され上記および実施例XXIIおよびXXIIIで論じられる生物体を用いて、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する方法も提供される。したがって、本発明は、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する方法であって、タンパク質または酵素をコードする遺伝子中に生じている1つまたは複数の遺伝子破壊を含む天然に存在しない微生物体を培養することを含み、遺伝子破壊がタンパク質または酵素の活性を低下させる場合に、1つまたは複数の遺伝子破壊が、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成と生物体の増殖との強制的な連結を付与し、それによって、前記1つまたは複数の遺伝子破壊が、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の安定した増殖連結型の生成を生物体に付与する方法を提供する。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、酵素反応を破壊するには、反応に関与する1つまたは複数の酵素の触媒活性を破壊することが必要であることを理解するであろう。破壊は、例えば、コード遺伝子の欠失、またはコード遺伝子配列の1つもしくは複数における遺伝子変化の組込みを含む様々な手段によって行うことができる。破壊の標的とするコード遺伝子は、触媒活性に関与する酵素をコードする遺伝子の1つでもよく、いくつかでもよく、または全てでもよい。例えば、単一の酵素が標的とする触媒活性に関与する場合、コードされた遺伝子産物の触媒活性を低下させ、または壊す遺伝子変化によって破壊を行うことができる。同様に、単一の酵素がヘテロマーを含む多量体である場合、コードされた遺伝子産物の1つまたは全部のサブユニットの機能を低下させ、または壊す遺伝子変化によって破壊を行うことができる。活性の破壊は、活性な複合体を形成するための1つもしくは複数の結合活性の喪失、多量体の複合体の触媒サブユニットの破壊、または両方によって行うことができる。本発明の代謝反応を破壊するために、多量体タンパク質の結合および活性の他の機能を標的にすることもできる。そのような他の機能は当業者に周知である。さらに、本発明の反応または代謝改変に関与する1つまたは複数の酵素の触媒活性を低下または消失させるために、本発明に従って単一のポリペプチドまたは多量体の複合体の機能の一部または全部を破壊することができる。同様に、標的とする反応が破壊される限り、本発明の反応または代謝改変に関与する酵素の一部または全部を破壊することができる。
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、共通遺伝子および/または同様のもしくは実質的に同じ活性を示すその遺伝子の1つもしくは複数のオルソログによってコードされる反応を低下させまたは除去することによって、酵素反応を破壊することができることも理解するであろう。共通遺伝子と全てのオルソログをどちらも低下させると、標的とする反応の任意の触媒活性の完全な消失をもたらし得る。しかし、共通遺伝子と1つまたは複数のオルソログのどちらかを破壊すると、増殖と生成物の生合成との連結を促進するのに十分な、標的とする反応の触媒活性の低下をもたらし得る。様々な代謝改変の触媒活性をコードする共通遺伝子ならびにそのオルソログがどちらも本明細書で例示される。当業者は、本発明の方法において、標的とする代謝反応の酵素をコードする遺伝子の一部または全部の破壊を実施し、増殖連結型の生成物の生成を達成するために本発明の天然に存在しない微生物体にそれを組み込むことができることを理解するであろう。
一部の実施形態では、遺伝子破壊は、完全な遺伝子欠失を含み得る。一部の実施形態では、遺伝子を破壊する他の手段には、例えば、オリゴヌクレオチドの削除もしくは付加、または遺伝子を作動不能にする突然変異によりフレームシフトさせることが含まれる。しかし、天然に存在しない生物体にその野生型への復帰からの安定性を付与し得るので、当業者は、遺伝子欠失の利点について認識するであろう。特に、遺伝子破壊は、本明細書で詳述する遺伝子を含む遺伝子セットから選択される。
予測された株の設計では生成物の形成とバイオマス形成が十分に連結されないことが決定した場合に、提唱された各株にさらなる欠失を補充することができる。あるいは、適応進化またはランダム突然変異誘発により、増殖条件下で著しい活性を有することが知られていないいくつかの他の酵素を活性にすることができ、それをノックアウトすることもできる。しかし、本明細書で提供される遺伝子欠失セットのリストは、高収率の増殖連結型3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸生成株を構築するための開始点となる。
当業者は、例えば、非生成的増殖期、その後に非増殖的生成期を提供することにより、非増殖連結型の生成によってMAA、2−ヒドロキシイソブチレート、または3−ヒドロキシイソブチレートを生成することもできることを認識するであろう。本明細書に記載の結果は、遺伝子欠失または遺伝子の機能的破壊の組合せが、E.coliおよび他の生物体のMAA、2−ヒドロキシイソブチレート、または3−ヒドロキシイソブチレートの生成能力を著しく改善することを示す。E.coli以外の微生物体を産生宿主として選択する場合、生物体が、破壊に選び出した遺伝子産物のサブセットについて天然に活性を欠き、または低い活性を示す場合でも、株設計経路は同等に適用可能である。後者の場合、破壊を導入して、選択した産生宿主に天然に存在する遺伝子産物の酵素活性を消失または減弱させることができる。一部の実施形態では、コンピュータで決定された代謝経路のMAA、2−ヒドロキシイソブチレート、または3−ヒドロキシイソブチレートの増殖連結型生成は、設計された代謝の遺伝子型を有する株の構築によって確認することができる。代謝について工学的に操作されたこれらの細胞または生物体を適応進化に曝して、増殖連結型の生成物の生成をさらに増大させることもできる。一部の実施形態では、工学的に操作された細胞または生物体は、特定の代謝経路を通してフラックスを増加させる有益な遺伝子のさらなるコピーを組み込むこともできる。あるいは、別の生物体からの外因性遺伝子挿入を用いて、宿主生物体に存在しない機能を導入することができる。
本明細書に記載の設計戦略は、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸の生成をエネルギー発生および/または酸化還元バランスと連結するので、増殖連結型の生成を増強するのに有用であるだけでなく、非増殖連結型の生成を増強するのにもよく適している。例示的な非増殖連結型の生成方法は、好気的増殖期、その後に嫌気的生成期を実施することを含む。例えば、Vemuriら(J. Ind. Microbiol. Biotechnol.、28巻(6号)、325〜332頁(2002年))は、E.coliでスクシネートを生成する二重期のプロセスについて記載している。Okinoら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、81巻(3号)、459〜464頁(2008年))は、Corynebacterium
glutamicum株のある株における同様の非増殖連結型の生成プロセスについて記載している。
Durnerら、Appl. Environ. Microbiol.、66巻(8号)、3408〜3414頁(2000年)に記載のように、別のそのような方法では、増殖した細胞培養物に必須栄養素を与えないでおき、それによって増殖を制限するが、生成は妨げられない。Altamiranoら、Biotechnol. Bioeng.、76巻、351〜360頁(2001年)に記載のように、生成から増殖を分離することを目標とするさらに別の戦略では、増殖基質を、よりゆっくりと代謝可能である別の化合物と交換する。Blombachら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、79巻、471〜479頁(2008年)に記載のように、特定の遺伝子改変によって増殖分離型の生成物形成をもたらすこともできる。
本発明の様々な実施形態の働きに実質的に影響を及ぼさない改変も、本明細書で提供される本発明の定義の範囲内で提供されるものと理解される。したがって、以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、限定するものではない。
(実施例I)
3−ヒドロキシイソブチレートを介したMAAへのスクシニルCoAの転換の経路
この実施例は、3−ヒドロキシイソブチレートを介したスクシニルCoAからメタクリル酸への例示的なMAAの合成経路を記載する。
MAA合成の1つの例示的な経路はスクシニルCoAから進行する(図2参照)。この経路は、スクシニルCoAからMAAを形成するために、少なくとも3つおよび最大5つの酵素ステップを使用する。この経路は酸化還元バランスがとれており、嫌気的条件下において副産物を形成せずに、それが潜在的にグルコース1mol当たり1.33molの最大MAA収率をもたらすことができることを示す。さらに、この経路はエネルギー効率が良く、ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼ(PEPCK)活性が不可逆的であると考える(すなわち、オキサロアセテートへのPEPのATP生成カルボキシル化を触媒することができない)場合、MAAに代謝されるグルコース1モル当たり0.5のATP、またはPEPCKが可逆的であると考える場合1.72のATPを生成することができる。後者のATP収率は、グルコースからのラクテートまたはエタノールの形成からのATP収率、すなわち代謝されるグルコース当たり2ATPに匹敵し、メタクリレート発酵は細胞増殖および維持に十分なエネルギーを生成することができることを示す。
この経路中(図2参照)、スクシニルCoAは最初に(R)−メチルマロニルCoAに転換され、これはエピメラーゼによって(S)−メチルマロニルCoAに転換される可能性がある。メチルマロニルCoAの(R)−または(S)−のいずれかの立体異性体は、(図2中に示すような)一対の酵素、またはアシルCoAレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を示す一種の酵素のいずれかによって、次いでそれぞれ(R)−または(S)−3−ヒドロキシイソブチレートに還元される。スクシニルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートへの経路はWO2007/141208中にも記載されている。最終ステップ中、3−ヒドロキシイソブチレートが脱水してMAAが形成される。
この経路の首尾良い工学的操作は、十分な活性および特異性を有する適切な酵素のセットの同定を含む。これは、適切な酵素のセットの同定、生成宿主へのそれらの対応する遺伝子のクローニング、発酵条件の最適化、および発酵後の生成物形成に関するアッセイを伴う。メタクリル酸の生成用の生成宿主を工学的に操作するために、1つまたは複数の外因性DNA配列を微生物中で発現させる。さらに、微生物は機能的に欠失した(1つまたは複数の)内因性遺伝子を有することができる。これらの改変は、再生可能なフィードストックを使用したメタクリル酸の生成を可能にする。
所望経路のそれぞれのステップを触媒する酵素をコードすることができる、いくつかの生化学的に特徴付けた候補遺伝子を以下に記載する。経路を工学的に操作するための宿主生物体としてのE.coliの使用を記載するが、本質的に任意の適切な宿主生物体を使用することができる。具体的に挙げるのは、E.coliに固有である遺伝子、および適切にクローニングおよび発現したときに適切な形質転換を触媒するために適用することができる他の生物体中の遺伝子である。
図2を参照すると、ステップ1はメチルマロニルCoAムターゼが関与する(EC5.4.99.2)。最初のステップでは、メチルマロニルCoAムターゼ(MCM)によってスクシニルCoAがメチルマロニルCoAに転換される。E.coli中では、可逆性アデノシルコバラミン依存性ムターゼが3ステップ経路に関与し、プロピオネートへのスクシネートの転換をもたらす(Hallerら、Biochemistry39巻、4622〜4629頁(2000年))。YgfGの欠失と共にMCM遺伝子候補の過剰発現を使用して、プロピオニルCoAへのメチルマロニルCoAの脱カルボキシル化を妨げること、およびMAA合成に利用可能なメチルマロニルCoAを最大にすることができる。MCMはEscherichia coli中では遺伝子scpAによってコードされており(BobikおよびRasche、Anal.Bioanal.Chem.、375巻、344〜349頁(2003年);Hallerら、Biochemistry39巻、4622〜4629頁(2000年))、Homo sapiens中ではmutAによってコードされている(PadovaniおよびBanerjee、Biochemistry、45巻、9300〜9306頁(2006年))。いくつかの他の生物体中では、MCMはαおよびβサブユニットを含有し、2つの遺伝子によってコードされている。2つのサブユニットタンパク質をコードする例示的な遺伝子候補は、Propionibacterium fredenreichii shermani種のmutAおよびmutB(KorotkovaおよびLidstrom、J.Biol.Chem.、279巻、13652〜13658頁(2004年))、ならびにMethylobacterium extorquensのmcmAおよびmcmB(KorotkovaおよびLidstrom、上記、2004年)である。これらの遺伝子のタンパク質配列は、それらの対応するGenBankアクセッション番号によって同定することができる。
Figure 2014147400
これらの配列を使用して、配列類似性検索(例えば、BLASTp)によりGenBankまたは他のデータベース中のホモログタンパク質を同定することができる。得られたホモログタンパク質およびそれらの対応する遺伝子配列は、生成宿主を作製するためのE.coliまたは他の適切な宿主微生物への形質転換用の追加的な外因性DNA配列をもたらす。追加的な遺伝子候補には、E.coliのspcA遺伝子産物との高い相同性に基づいて同定した以下のものがある。
Figure 2014147400
メチルマロニルCoAムターゼ触媒遺伝子と隣接する遺伝子は、最大活性に寄与する証拠が存在する。例えば、M.extorquens由来のmeaB遺伝子はメチルマロニルCoAムターゼと複合体を形成し、in vitroでムターゼ活性を刺激し、かつ不可逆的失活からおそらくそれを保護することが実証されている(KorotkovaおよびLidstrom、J.Biol.Chem.279巻、13652〜13658頁(2004年))。M.extorquensのmeaB遺伝子産物は、染色体上でscpAと隣接するE.coliのargK遺伝子(BLASTp:45%同一、e値:4e−67)の生成物と非常に類似している。P.freudenreichii中のmeaBホモログに関する配列はGenBankに載っていない。しかしながら、Propionibacterium acnesのKPA171202遺伝子産物、YP_055310.1はM.extorquensのmeaBタンパク質と51%同一であり、かつその遺伝子も染色体上でメチルマロニルCoAムターゼ遺伝子と隣接する。
Figure 2014147400
E.coliはアデノシルコバラミン、中間体コビナミドまたはコバラミンと供給される時だけこの反応に必要な補因子を合成することができる(LawrenceおよびRoth.J.Bacteriol.177巻、6371〜6380頁(1995年);LawrenceおよびRoth、Genetics142巻、11〜24頁(1996年))。あるいは、de novoでコバラミンを合成する能力が、異種遺伝子の発現後にE.coliにおいて付与されている(Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年))。
図2を参照すると、ステップ2はメチルマロニルCoAエピメラーゼが関与する(EC5.1.99.1)。経路中の第2の酵素、メチルマロニルCoAエピメラーゼ(MMCE)は、(R)−メチルマロニルCoAを(S)−メチルマロニルCoAに転換する。MMCEは、奇数炭素の脂肪酸、およびアミノ酸バリン、イソロイシン、およびメチオニンの分解において必要な酵素である。メチルマロニルCoAエピメラーゼ活性はE.coliのゲノム中にコードされるとは考えられないが(Boyntonら、J.Bacteriol.、178巻、3015〜3024頁(1996年))、Homo sapiens(YqjC)(FullerおよびLeadlay、Biochem.J.、213巻、643〜650頁(1983年))、Rattus norvegicus(Mcee)(BobikおよびRasche、J.Biol.Chem.、276巻、37194〜37198頁(2001年))、Propionibacterium shermanii(AF454511)(Fuller.およびLeadlay、Biochem.J.、213巻、643〜650頁(1983年);Hallerら、Biochemistry、39巻、4622〜4629頁(2000年);McCarthyら、Structure、9巻、637〜646頁、2001年))およびCaenorhabditis elegans(mmce)(Kuhnlら、FEBS J.、272巻、1465〜1477頁(2005年))などの他の生物体中には存在する。この酵素ステップは、3−ヒドロキシイソ酪酸へのメチルマロニルCoAの転換に使用される1つまたは複数の酵素の立体特異性に応じて必要とされる、または必要とされない可能性がある(ステップ3〜4、図2中)。Bacillus cereus中のAE016877などの微生物中の追加的な遺伝子候補は高い配列相同性を有するが、実験によって確認されていない。
Figure 2014147400
図2を参照すると、ステップ3はメチルマロニルCoAレダクターゼが関与する(EC1.2.1.−)。図2中に示すように、その対応するアルコール、3−ヒドロキシイソブチレートへのメチルマロニルCoAの還元は、2つの酵素ステップによって進行し得る。最初のステップ、メチルマロン酸セミアルデヒドへのメチルマロニルCoAの転換は、CoA依存性アルデヒドデヒドロゲナーゼによって実施される。Sulfolobus tokodaii由来のマロニルCoAレダクターゼ遺伝子によってコードされる酵素(Alberら、J.Bacteriol.、188巻、24号、8551〜8559頁(2006年))は、その対応するアルデヒドへのメチルマロニルCoAの転換を触媒することが示されている(WO2007141208)。同様の酵素がMetallosphaera sedula中に存在する(Alberら、J.Bacteriol.、188巻、24号、8551〜8559頁(2006年))。いくつかの追加的なCoAデヒドロゲナーゼは、その対応するアルデヒドにアシルCoAを還元することもできる。このような酵素をコードする例示的な遺伝子には、脂肪酸アシルCoAレダクターゼをコードするAcinetobacter calcoaceticusのacr1(ReiserおよびSomerville.J.Bacteriol.、179巻、2969〜2975頁(1997年))、Acinetobacter種M−1脂肪酸アシルCoAレダクターゼ(Ishigeら、Appl.Environ. Microbiol.、68巻、1192〜1195頁(2002年))、およびClostridium kluyveri中のsucD遺伝子によってコードされるCoA−およびNADP−依存性コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SohlingおよびGottschalk、J.Bacteriol.、178巻、871〜880頁(1996年);SohlingおよびGottschalk、J.Bacteriol.、178巻、871〜880頁(1996年))がある。Pseudomonas種中でbphGによってコードされるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをアシル化する酵素も良い候補である。分岐鎖状化合物イソブチルアルデヒドを酸化およびアシル化することが実証されているからである(Powlowskiら、J.Bacteriol.、175巻、377〜385頁(1993年))。
Figure 2014147400
図2を参照すると、ステップ4は3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼが関与する(EC1.1.1.31)。3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼは、メチルマロン酸セミアルデヒドへの3−ヒドロキシイソブチレートの可逆的酸化を触媒する。この酵素はバリン、ロイシンおよびイソロイシンの分解と関係があり、細菌、真核生物、および哺乳動物中で同定されている。Thermus thermophilus HB8由来のP84067によってコードされる酵素は、構造的に特徴付けられている(Lokanathら、J.Mol.Biol.、352巻、905〜917頁(2005年))。ヒト3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼの可逆性は、同位体標識した基質を使用して実証された(ManningおよびPollitt、Biochem.J.、231巻、481〜484頁(1985年))。この酵素をコードする追加的な遺伝子には、Homo
sapiens(Hawesら、Methods Enzymol.、324巻、218〜228頁(2000年))およびOryctolagus cuniculus(Chowdhuryら、Biosci.Biotechnol.Biochem.、60巻、2043〜2047頁(1996年);Hawesら、Methods Enzymol.、324巻、218〜228頁(2000年))における3hidh、Pseudomonas aeruginosaにおけるmmsb、およびPseudomonas putidaにおけるdhat(AberhartおよびHsu..J Chem.Soc.[Perkin1]6巻、1404〜1406頁(1979年);Chowdhuryら、Biosci. Biotechnol.Biochem.、67巻、438〜441頁(2003年);Chowdhuryら、Biosci.Biotechnol.Biochem.、60巻、2043〜2047頁(1996年))がある。
Figure 2014147400
図2を参照すると、代替として、ステップ3および4は、組合せアルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼを含むことができる(EC1.2.1.−)。デュアルアシルCoAレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する多機能酵素による1ステップ中で、メチルマロニルCoAを3−ヒドロキシイソブチレートに還元することができる。3−ヒドロキシイソブチレートへのメチルマロニルCoAの直接転換に関する証拠は報告されていない。しかしながら、この反応は、アルコールとアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の両方を有するCoA依存性酵素によって触媒される、アセチルCoAからエタノールおよびブチリルCoAからブタノールなどの一般的な転換と類似する。遺伝子候補には、E.coliのadhE(Kesslerら、FEBS Lett.、281巻、59〜63頁(1991年))、およびそれぞれアセチルCoAおよびブチリルCoAをエタノールおよびブタノールに還元することができる、C.acetobutylicumのbdhIおよびbdhII(Walterら、J.Bacteriol.、174巻、7149〜7158頁(1992年))がある。アセチルCoAをエタノールに還元する以外に、Leuconostoc mesenteroides中でadhEによってコードされる酵素は、分岐鎖状化合物イソブチルアルデヒドをイソブチリルCoAに酸化することが示されている(Kazahayaら、J.Gen.Appl.Microbiol.、18巻、43〜55頁(1972年);Kooら、Biotechnol.Lett.、27巻、505〜510頁(2005年))。メチルマロニルCoAを直接3−ヒドロキシイソブチレートに転換するための追加的候補酵素は、Chloroflexus aurantiacus由来のマロニルCoAレダクターゼによってコードされる(Huglerら、J.Bacteriol.184巻、9号、2404〜2410頁(2002年)。
Figure 2014147400

図2を参照すると、ステップ5は3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼが関与する(EC4.2.1.−)。最終ステップはメタクリル酸への3−ヒドロキシイソブチレートの脱水が関与する。この特異的な酵素的変換に関する直接の証拠は確認されていない。しかしながら、大部分のデヒドラターゼは水のα,β除去を触媒し、これは電子求引性カルボニル、カルボキシレート、またはCoA−チオールエステル基によるα−水素の活性化、およびβ−位置からのヒドロキシル基の除去を含む(BuckelおよびBarker、J Bacteriol.117巻、1248〜1260頁(1974年);Martinsら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA101巻、15645〜15649頁(2004年))。これはメタクリレート経路中の最終ステップに関して提唱されたまさにその型の変換である。さらに、この提唱された変換は、Eubacterium barkeriの2−(ヒドロキシメチル)グルタル酸デヒドラターゼと非常に類似している(図3A)。この酵素はニコチネート異化との関連で研究されており、hmdによってコードされる(Alhapelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA103巻、12341〜12346頁(2006年))。高い配列相同性を有する類似の酵素は、Bacteroides capillosus、Anaerotruncus colihominis、およびNatranaerobius thermophilius中で見られる。これらの酵素は、[4Fe−4S]を含有する細菌のセリンデヒドラターゼ、例えばtdcG、sdhB、およびsdaA)によってコードされるE.coliの酵素のα−およびβ−サブユニットとも相同である。
Figure 2014147400
フマレートへのマレートの脱水を天然に触媒するフマル酸ヒドラターゼ酵素は、追加的な候補セットとなる(図3B)。分岐鎖状基質に反応するフマル酸ヒドラターゼの能力は記載されていないが、この酵素に関する大量の構造情報が入手可能であり、他の研究者達はこの酵素を首尾良く工学的に操作して、活性、阻害および局在を変えている(Weaver、Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.、61巻、1395〜1401頁(2005年))。例示的な酵素候補には、Escherichia coli(Estevezら、Protein Sci.、11巻、1552〜1557頁(2002年);HongおよびLee、Biotechnol.Bioprocess Eng.、9巻、252〜255頁(2004年);RoseおよびWeaver、Proc. Natl.Acad.Sci.USA、101巻、3393〜3397頁(2004年))、Campylobacter jejuni(Smithら、Int.J.Biochem.Cell Biol.、31巻、961〜975頁(1999年))およびThermus thermophilus(Mizobataら、Arch.Biochem.Biophys.、355巻、49〜55頁(1998年))由来のfumC、およびRattus norvegicus由来のfumH(Kobayashiら、J.Biochem.、89巻、1923〜1931頁(1981年))によってコードされる酵素候補がある。高い配列相同性を有する類似の酵素には、Arabidopsis thaliana由来のfum1およびCorynebacterium glutamicum由来のfumCがある。
Figure 2014147400
この実施例は、スクシニルCoAからMMAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例II)
3−ヒドロキシイソブチレートを介したMAAへのスクシニルCoAの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、3−ヒドロキシイソブチレートを介してスクシニルCoAからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図2中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように工学的に操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれメチルマロニルCoAムターゼ、その安定剤タンパク質、およびメチルマロニルCoAエピメラーゼ活性をコードするscpA(NP_417392.1)、argK(AAC75955.1)、およびAF454511(AAL57846.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、それぞれメチルマロニルCoAレダクターゼ、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ活性をコードするmcr(NP_378167)、dhat(Q59477.1)、およびhmd(ABC88407.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、スクシニルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより良好な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のスクシニルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.775〜779頁(2005年))。
この実施例は、3−ヒドロキシイソブチレートを介してスクシニルCoAからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例III)
3−アミノ−2−メチルプロパノエートを介したMAAへのスクシニルCoAの転換のための経路
この実施例は、3−アミノ−メチルプロパノエートを介したスクシニルCoAからMAAへの例示的なMAA合成経路を記載する。
MAA生合成の別の例示的な経路は、3−アミノ−2−メチルプロパノエートを介してスクシニルCoAから進行する(図4参照)。この経路は嫌気的条件下において高収率であり、最大理論収率はグルコース1mol当たりMAA1.33molである。この経路はエネルギー効率も良く、PEPカルボキシキナーゼが可逆的に作用することができるという想定下で、最大生成物収率でグルコース1mol当たり1.55molのATPを生成することができる。
メチルマロン酸セミアルデヒドへのスクシニルCoAの転換を含む、この経路の最初の3ステップは、実施例I中に記載したスクシニルCoAからMAAへの経路と同一である(図2参照)。この経路はステップ4で分岐し、そこでメチルマロン酸セミアルデヒドはトランスアミナーゼによって3−アミノ−2−メチルプロピオネートに変換される。最終経路のステップは、メタクリル酸への3−アミノ−2−メチルプロピオネートの脱アミノ化を伴う。
最初の3経路ステップを触媒するための酵素および遺伝子候補は、実施例I中に記載する。ステップ4および5の遺伝子候補は以下で論じる。
図4を参照すると、ステップ4は3−アミノ−2−プロピオン酸メチルトランスアミナーゼに関与する(EC2.6.1.22)。3−アミノ−2−プロピオン酸メチルトランスアミナーゼは、メチルマロン酸セミアルデヒドから3−アミノ−2−メチルプロピオネートへの変換を触媒する。Rattus norvegicusおよびSus scrofaにおいて特徴付けられAbatによってコードされる酵素は、経路中の対象とする方向にこの変換を触媒することが示されている(Kakimotoら、Biochim.Biophys.Acta、156巻、374〜380頁(1968年);Tamakiら、Methods Enzymol.、324巻、376〜389頁(2000年))。3−アミノ−2−プロピオン酸メチルトランスアミナーゼと高い配列相同性を有する、他の生物における酵素候補には、C.elegans中のGta−1およびBacillus subtilus中のgabTがある。さらに、遺伝子gabTによってコードされるE.coli中の天然GABAアミノトランスフェラーゼの1つは、広範囲の基質特異性を有することが示されており、基質として3−アミノ−2−メチルプロピオネートを利用することができる(Liuら、Biochemistry、43巻、10896〜10905頁(2004年);Schulzら、Appl.Environ.Microbiol.、56巻、1〜6頁(1990年))。
Figure 2014147400
図4を参照すると、ステップ5は3−アミノ−2−プロピオン酸メチルアンモニアリアーゼが関与する(EC4.3.1.−)。この経路の最終ステップ中、3−アミノ−2−メチルプロピオネートはメタクリル酸に脱アミノ化される。この正確な変換を触媒する酵素は実験によって実証されていないが、しかしながら、天然E.coli酵素、アスパラギン酸アンモニアリアーゼ(EC4.3.1.1)は、この反応を触媒することができる可能性がある(図5A参照)。E.coli中でaspAによってコードされるアスパラギン酸アンモニアリアーゼは、アスパルテートを脱アミノ化してフマレートを形成するが、別の基質アスパラギン酸フェニルメチルエステル、アスパラギン、ベンジル−アスパルテートおよびマレートと反応することもできる(Maら、Ann.N.Y.Acad.Sci.672巻、60〜65頁(1992年))。別の研究では、定方向進化をこの酵素に利用して基質特異性を変えていた(Asanoら、Biomol.Eng.22巻、95〜101頁(2005年))。他の生物体中のアスパルターゼをコードする遺伝子には、Bacillus subtilus中のansB(Sjostromら、Biochim.Biophys.Acta、1324巻、182〜190頁(1997年))、ならびにPseudomonas fluorescens(Takagiら、J.Biochem.、96巻、545〜552頁(1984年);Takagiら、J.Biochem.、100巻、697〜705頁(1986年))およびSerratia marcescens(Takagiら、J.Bacteriol.、161巻、1〜6頁(1985年))中のaspAがある。
Figure 2014147400
この実施例は、スクシニルCoAからのMAA生合成経路を記載する。
(実施例IV)
3−アミノ−2−メチルプロパノエートを介したMAAへのスクシニルCoAの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、3−アミノ−2−メチルプロパノエートを介してスクシニルCoAからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図4中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれメチルマロニルCoAムターゼ、その安定剤タンパク質、およびメチルマロニルCoAエピメラーゼ活性をコードするscpA(NP_417392.1)、argK(AAC75955.1)、およびAF454511(AAL57846.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、それぞれメチルマロニルCoAレダクターゼ、3−アミノ−2−プロピオン酸メチルトランスアミナーゼ、および3−アミノ−2−プロピオン酸メチルアンモニアリアーゼ活性をコードするbphG(BAA03892.1)、gabT(P22256.1)、およびaspA(P0AC38.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、スクシニルCoAから3−アミノ−2−メチルプロパノエートの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のスクシニルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.775〜779頁(2005年))。
この実施例は、3−アミノ−2−メチルプロパノエートを介してスクシニルCoAからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例V)
3−ヒドロキシイソ酪酸またはMAAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAからの例示的な3−ヒドロキシイソ酪酸またはMAA合成経路を記載する。
別の例示的な経路はMAAへの4HB−CoAの転換を伴う(図6参照)。最初のステップ中、4HB−CoAはメチルムターゼによって3−ヒドロキシイソブチリルCoA(3−Hib−CoA)に転換される。次いで3−Hib−CoAは、CoAヒドロラーゼ、シンターゼまたはトランスフェラーゼによって3−ヒドロキシイソブチレートに転換され得る。3−ヒドロキシイソブチレートが分泌され、生成物として、またはメタクリル酸の生成における最終ステップとして回収される可能性がある。3−ヒドロキシブチレートを脱水させてメタクリル酸を形成することが可能である。あるいは、3−Hib−CoAをメタクリリルCoAに脱水させて、次いでヒドロラーゼ、シンターゼ、またはトランスフェラーゼによってMAAに転換することが可能である。トリカルボン酸回路中間体、アルファ−ケトグルタレート、スクシネート、またはスクシニルCoAを4HB−CoAに転換するのに必要な酵素は十分文書化されている(2008年3月14日出願のBurkら、米国出願第12/049,256号;Lutke−EverslohおよびSteinbuchel.FEMS Microbiol.Lett.、181巻、63〜71頁(1999年);SohlingおよびGottschalk、Eur.J.Biochem.、212巻、121〜127頁(1993年);SohlingおよびGottschalk、J.Bacteriol.、178巻、871〜880頁(1996年);Valentinら、Eur.J.Biochem.、227巻、43〜60頁(1995年);WolffおよびKenealy、Protein Expr.Purif.、6巻、206〜212頁(1995年))。
嫌気的条件下では、経路のステップ2中(表1)でCoA−トランスフェラーゼまたはシンテターゼを利用して3−ヒドロキシイソブチリルCoAを3−ヒドロキシブチレートに転換する場合、最大理論生成物収率はグルコース1mol当たりMAA1.33モルである。ヒドロラーゼを利用する場合、PEPカルボキシキナーゼがオキサロアセテートへのATP生成方向に可逆的に作用すると想定しない限り、最大理論収率は1.13mol/molに低下する。同様に、エネルギー収率は経路のステップ2中で利用する酵素の型に依存する。CoA−シンテターゼをステップ2中で利用しPEPカルボキシキナーゼが可逆的であると想定するとき、最高ATP収率を得る。好気的条件下での生成物およびエネルギー収率は、3−ヒドロキシブチレートへの3−ヒドロキシイソブチリルCoAの転換中で利用する酵素の型にも依存する。ATPおよび生成物の最大モル収率は、メタクリレートまたは3−ヒドロキシイソブチレートが生成されるかどうかと無関係に不変であろうことが理解される。さらに、ATPおよびMAAの最大モル収率は、経路が図6中に示すようにメタクリルCoAを介して進行する場合、不変であろうことが理解される。
Figure 2014147400
図6を参照すると、ステップ1は4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼが関与する(EC5.4.99.−)。3−ヒドロキシイソブチリルCoAへの4HB−CoAの転換は未だ実験によって実証されていない。しかしながら、2つのメチルムターゼ、すなわち類似の反応を触媒するイソブチリルCoAムターゼ(ICM)およびメチルマロニルCoAムターゼ(MCM)は、それらの対応する基質の構造類似性を考慮すると優れた候補である(図7)。メチルマロニルCoAムターゼは、スクシニルCoAをメチルマロニルCoAに転換するコバラミン依存性酵素である(図7A)。この酵素および適切な遺伝子候補はスクシニルCoAからMAAの経路中で論じた(実施例I参照)。
あるいは、ICMは提唱された変換を触媒することができた。ICMは、ブチリルCoAの炭素骨格をイソブチリルCoAに可逆的に再編成する、MCMファミリーにおけるコバラミン依存性メチルムターゼである(図7B)(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.、274巻、31679〜31685頁(1999年))。Methylibium petroleiphilumにおける新規なICMの近年の研究は、以前の実験と共に、活性部位近辺の1つのアミノ酸の変化は酵素の基質特異性を変える証拠を与える(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.、274巻、31679〜31685頁(1999年);Rohwerderら、Appl.Environ.Microbiol.、72巻、4128〜4135頁(2006年))。これは、天然酵素が3HIB−CoAへの4HB−CoAの転換を触媒することができない場合、その酵素は合理的な工学的操作を受けた可能性があることを示す。ホモ二量体酵素をコードする例示的なICM遺伝子には、Streptomyces coelicolor A3中のicmA(Alhapelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103巻、12341〜12346頁(2006年))およびMethylibium
petroleiphilum PM1中のMpe_B0541がある(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.、274巻、31679〜31685頁(1999年);Rohwerderら、Appl.Environ.Microbiol.、72巻、4128〜4135頁(2006年))。ヘテロ二量体酵素をコードする遺伝子には、Streptomyces cinnamonensis中のicmおよびicmB(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.、274巻、31679〜31685頁(1999年);Vrijbloedら、J.Bacteriol.、181巻、5600〜5605頁(1999年);Zerbe−Burkhardtら、J.Biol.Chem.、273巻、6508〜6517頁(1998年))がある。Streptomyces avermitilis MA−4680中の遺伝子icmAおよびicmBは、公知のICMと高い配列類似性を示す。
Figure 2014147400
図6を参照すると、ステップ2は3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ(EC3.1.2.4)、シンテターゼ(EC6.2.1.−)または3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.−)が関与する。ステップ5は、メタクリリルCoAヒドロラーゼ、シンテターゼ、またはトランスフェラーゼが関与する。これらの変換は、CoAヒドロラーゼ(EC3.1.2.−)、CoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.−)、およびCoAシンテターゼ(EC6.1.2.−)を含めた異なるクラスの酵素によって実施することができる。初期に論じたように、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼを利用してこの変換を実施する場合(表1)、経路のエネルギー特性は最も好ましい。
CoA−トランスフェラーゼファミリー中、アセテート−CoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.8)としても公知である、E.coliの酵素アシルCoA:アセテート−CoAトランスフェラーゼは、イソブチレート(MatthiesおよびSchink、Appl.Environ.Microbiol.58巻、1435〜1439頁(1992年))、バレレート(Vanderwinkelら、Biochem.Biophys.Res.Commun.33巻、902〜908頁(1968年))およびブタノエート(Vanderwinkelら、上記、1968年)を含めた、様々な分岐状および直鎖状アシルCoA基質由来のアセテートにCoA成分を移動させることが示されている。この酵素は、E.coli種K12中のatoA(αサブユニット)およびatoD(βサブユニット)(Korolevら、Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.58巻、2116〜2121頁(2002年);Vanderwinkelら、上記、1968年)、ならびにCorynebacterium glutamicum ATCC 13032中のactAおよびcg0592(Duncanら、Appl.Environ.Microbiol.68巻、5186〜5190頁(2002年))によってコードされ、図6、ステップ2および5中に示す、望ましい3−ヒドロキシイソブチリルCoAトランスフェラーゼまたはメタクリリルCoAトランスフェラーゼ生体内変化を触媒するための理想的な候補となる。配列相同性による候補遺伝子にはEscherichia coli UT189中のatoDおよびatoAがある。類似した酵素はClostridium acetobutylicumおよびClostridium saccharoperbutylacetonicum中にも存在する。
Figure 2014147400
別の例示的なトランスフェラーゼの変換は、スクシニルCoA、4−ヒドロキシブチリルCoA、およびブチリルCoAアセチルトランスフェラーゼ活性をそれぞれ示すことが示されているClostridium kluyveriのcat1、cat2、およびcat3の遺伝子産物によって触媒される(SohlingおよびGottschalk、J.Bacteriol.、178巻、3号、871〜880頁(1996年);Seedorfら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、105巻、6号、2128〜2133頁(2008年))。
Figure 2014147400
嫌気性細菌Acidaminococcus fermentans由来のグルタコネートCoA−トランスフェラーゼ(EC2.8.3.12)酵素は、二酸グルタコニルCoAおよび3−ブテノイルCoAと反応する(MackおよびBuckel、FEBS Lett.405巻、209〜212頁(1997年))。この酵素をコードする遺伝子はgctAおよびgctBである。この酵素は、グルタリルCoA、2−ヒドロキシグルタリルCoA、アジピルCoAおよびアクリリルCoAを含めた他のCoA誘導体と共に、低減しているが検出可能な活性を有する(Buckelら、Eur.J.Biochem.、118巻、315〜321頁(1981年))。この酵素はクローニングされE.coliにおいて発現された(Mackら、Eur.J.Biochem.、226巻、41〜51頁(1994年))。
Figure 2014147400
別の酵素候補は、CoAアクセプターとしてスクネシートを利用するスクシニルCoA:3−ケト酸CoAトランスフェラーゼを含む。例示的なスクシニルCoA:3−ケト酸CoAトランスフェラーゼは、Helicobacter pylori(Corthesy−Theulazら、J.Biol.Chem.、272巻、25659〜25667頁(1997年))およびBacillus subtilis(Stolsら、Protein Expr.Purif.、53巻、396〜403頁(2007年))中に存在する。
Figure 2014147400
候補ATPシンテターゼは、ADP形成アセチルCoAシンテターゼ(ACD、EC6.2.1.13)、それらの対応する酸へのアシルCoAエステルの転換とATPの同時合成を連結する酵素である。この酵素が基質としての3−ヒドロキシイソブチリルCoAまたはメタクリリルCoAと反応することは示されていないが、広範囲の基質特異性を有するいくつかの酵素は文献中に記載されている。AF1211によってコードされるArchaeoglobus fulgidus由来のACDIは、イソブチレート、イソペンタノエート、およびフマレートを含めた、様々な直鎖状および分岐鎖状基質に作用することが示された(MusfeldtおよびSchonheit、J.Bacteriol.184巻、636〜644頁(2002年))。Haloarcula marismortui由来の酵素(スクシニルCoAシンテターゼとして注釈をつける)は基質としてのプリオピオネート、ブチレート、分岐鎖状の酸(イソバレレートおよびイソブチレート)を受け入れ、正方向および逆方向に作用することが示された(BrasenおよびSchonheit、Arch.Microbiol.182巻、277〜287頁(2004年))。超好熱性クレン古細菌Pyrobaculum aerophilum由来のPAE3250によってコードされるACDは全ての特徴付けられたACDの最も広い基質範囲を示し、アセチルCoA、イソブチリルCoA(好ましい基質)およびフェニルアセチルCoAと反応した(BrasenおよびSchonheit、上記、2004年)。しかしながら、定方向進化または工学的操作を使用してこの酵素を改変し、生理的温度において宿主生物体を働かせることができる。A.fulgidus、H.marismortuiおよびP.aerophilum由来の酵素はいずれもクローニングされ、機能的に発現され、E.coliにおいて特徴付けされた(BrasenおよびSchonheit、上記、2004年;MusfeldtおよびSchonheit、J.Bacteriol.184巻、636〜644頁(2002年))。
Figure 2014147400
CoAヒドロラーゼファミリー中、酵素3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼは3−HIBCoAに特異的であり、バリン分解中の所望の変換を効率よく触媒することが記載されている(Shimomuraら、J.Biol.Chem.、269巻、14248〜14253頁(1994年))。この酵素をコードする遺伝子には、Rattus norvegicus(Shimomuraら、J.Biol.Chem.、269巻、14248〜14253頁(1994年);Shimomuraら、Methods Enzymol.、324巻、229〜240頁(2000年))およびHomo sapiens(Shimomuraら、上記、2000年)のhibchがある。配列相同性による候補遺伝子にはSaccharomyces cerevisiaeのhibchおよびBacillus cereusのBC_2292がある。
Figure 2014147400
図6を参照すると、ステップ3は3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.−)が関与する。これは、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼによるMAAへの3−ヒドロキシイソブチレートの脱水を伴う。この酵素の遺伝子候補はスクシニルCoAからMAAの経路中に記載する(実施例I参照)。さらに図6を参照すると、ステップ4は3−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼ(EC4.2.1.−)が関与する。メタクリリルCoAへの3−ヒドロキシイソブチリルCoAの脱水は、クロトナーゼなどの可逆的3−ヒドロキシアシルCoAデヒドラターゼ(3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、EC4.2.1.55とも呼ばれる)またはエノイルCoAヒドラターゼ(3−ヒドロキシアシルCoAデヒドラターゼ、EC4.2.1.17とも呼ばれる)によって実施することができる。これらの酵素は一般に可逆的である(MoskowitzおよびMerrick、Biochemistry、8巻、2748〜2755頁(1969年);Durreら、FEMS Microbiol.Rev.、17巻、251〜262頁(1995年))。クロトナーゼ酵素をコードする例示的な遺伝子は、C.acetobutylicum(Boyntonら、J.Bacteriol.178巻、11号、3015〜3024頁(1996年))、C.kluyveri(HillmerおよびGottschalk、FEBS Lett.、21巻、3号、351〜354頁(1972年))、およびMetallosphaera sedula(Bergら、Science、318巻、5857号、1782〜1786頁(2007年))中で見ることはできるが、後者の遺伝子の配列は公知ではない。脂肪酸βの酸化および/または様々なアミノ酸の代謝と関係があるエノイルCoAヒドラターゼも、3−ヒドロキシブチリルCoAを形成するためのクロトニルCoAの水和を触媒することができる(AgnihotriおよびLiu、Bioorg.Med.Chem.、11巻、1号、9〜20頁(2003年);Robertsら、Arch.Microbiol.、117巻、1号、99〜108頁(1978年);Conradら、J.Bacteriol.、118巻、1号、103〜111頁(1974年))。P.putidaのエノイルCoAヒドラターゼ、phaAおよびphaBは、フェニル酢酸の異化中に二重結合のヒドロキシル化を実施すると考えられる(Oliveraら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95巻、6419〜6424頁(1998年))。P.fluorescens由来のpaaAおよびpaaBは類似した変換を触媒する(Oliveraら、上記、1998年)。最後に、maoC(ParkおよびLee、J.Bacteriol.、185巻、5391〜5397頁(2003年))、paaF(Ismailら、Eur.J.Biochem.、270巻、3047〜3054頁(2003年);ParkおよびLee、Appl.Biochem.Biotechnol.、113〜116頁:335〜346頁(2004年);ParkおよびYup、Biotechnol.Bioeng.、86巻、681〜686頁(2004年))、およびpaaG(Ismailら、Eur.J.Biochem.、270巻、3047〜3054頁(2003年);ParkおよびLee、Appl.Biochem.Biotechnol.、113〜116頁:335〜346頁(2004年);ParkおよびYup、Biotechnol.Bioeng.、86巻、681〜686頁(2004年))を含めた、いくつかのEscherichia coliの遺伝子は、エノイルCoAヒドラターゼの官能性を示すことが示されている。
Figure 2014147400
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソ酪酸またはメタクリル酸を生成する生合成経路を記載する。
(実施例VI)
MAAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図6中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(CoA依存性)、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ、およびホスホトランスブチリラーゼ活性をコードするsucD(YP_001396394)、4hbd(YP_001396393)、buk1(Q45829)、およびptb(NP_349676)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。Burkら(2008年3月14日に出願の米国出願第12/049,256号)中に記載されたように、この構築体はスクシニルCoAからの4HB−CoAの生成を可能にする。さらに、それぞれ4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ、3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ、および3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ活性をコードするicmA(CAB40912.1)、hibch(Q5XIE6.2)およびhmd(ABC88407.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、4−ヒドロキシブチリルCoAの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより良好な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のスクシニルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例VII)
トレオ−3−メチルアスパルテートを介したMAAへのアルファ−ケトグルタレートの転換のための経路
この実施例は、アルファ−ケトグルタレートからトレオ−3−メチルアスパルテートへの例示的なMAAの合成経路を記載する。
MAAの生合成に関する別の例示的な経路は、アルファ−ケトグルタレート、TCA回路中で生成されるE.coliにおける代謝産物を介して進行する(図8参照)。この経路は好気的条件下において高収率であり、最大理論収率はグルコース1mol当たりMAA1.2molである(表2)。この経路は酸化還元バランスがとれておらず、MAA合成はギ酸およびエタノールなどの発酵副産物の形成を必要とするので、嫌気的条件下での収率は低い。
Figure 2014147400
酵素アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼによって触媒されるこの経路の最初のステップは、アミノ基をアスパラギン酸からアルファ−ケトグルタレートに移動させ、グルタミン酸およびオキサロ酢酸を形成する。その後の2ステップは、炭素骨格の再編成およびメサコン酸形成のためのその後の脱アミノ化を含む。これらの転換を触媒する酵素は、アミノ酸の発酵が可能である土壌中のClostridiaおよび他の生物体中でのグルタミン酸のエネルギー生成発酵において見られる(BuckelおよびBarker、J.Bacteriol.、117巻、1248〜1260頁(1974年))。これらの生物体中の経路の方向性は、生合成経路中のMAA合成に必要な方向と一致する。最終経路のステップは、メタクリル酸を生成するためのメサコン酸の脱カルボキシル化を伴う。
図8を参照すると、ステップ1はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)が関与する。経路の最初のステップは、アミノ基をアスパラギン酸からアルファ−ケトグルタレートに移動させ、グルタミン酸およびオキサロ酢酸を形成する。Escherichia coli由来の遺伝子aspC(Yagiら、FEBS Lett.、100巻、81〜84頁(1979年);Yagiら、Methods Enzymol.、113巻、83〜89頁(1985年))、Saccharomyces cerevisiae由来のAAT2(Yagiら、J.Biochem.、92巻、35〜43頁(1982年))、およびArabidopsis thaliana由来のASP5(de la Torreら、Plant J.、46巻、414〜425頁(2006年);KwokおよびHanson、J.Exp.Bot.、55巻、595〜604頁(2004年);WilkieおよびWarren、Protein Expr.Purif.、12巻、381〜389巻(1998年))は、この転換を触媒する酵素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼをコードする。
Figure 2014147400
図8を参照すると、ステップ2はグルタミン酸ムターゼ(EC5.4.99.1)が関与する。ステップ2中、グルタミン酸の炭素直鎖をトレオ−3−メチルアスパルテートの分岐状構造に再編成する。この変換は、グルタミン酸ムターゼ、2つのサブユニットで構成されるコバラミン依存性酵素によって触媒される。Clostridium cochleariumおよびClostridium tetanomorphum由来の2つのグルタミン酸ムターゼは、E.coliにおいてクローニングされ機能的に発現されている(HollowayおよびMarsh、J.Biol.Chem.、269巻、20425〜20430頁(1994年);Reitzerら、Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.、54巻、1039〜1042頁(1998年))。この2つのサブユニットタンパク質をコードする遺伝子は、Clostridium cochlearium由来のglmEおよびglmS、Clostridium tetanomorphum由来のmamAおよびglmE、ならびにClostridium tetani由来のmutEおよびmutSである(Switzer、Glutamate mutase、289〜305頁、Wiley、New York(1982年))。
Figure 2014147400
図8を参照すると、ステップ3は3−メチルアスパルターゼ(EC4.3.1.2)が関与する。β−メチルアスパルターゼまたは3−メチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼとも呼ばれる3−メチルアスパルターゼは、メサコン酸へのトレオ−3−メチルアスパルテートの脱アミノ化を触媒する。Clostridium tetanomorphum由来の3−メチルアスパルターゼが、E.coliにおいてクローニングされ機能的に発現され、結晶化されている(Asuncionら、Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.、57巻、731〜733頁(2001年);Asuncionら、J.Biol.Chem.、277巻、8306〜8311頁(2002年);Bottingら、Biochemistry、27巻、2953〜2955頁(1988年);Godaら、Biochemistry、31巻、10747〜10756頁(1992年))。Citrobacter amalonaticusでは、この酵素はBAA28709によってコードされる(KatoおよびAsano、Arch.Microbiol.、168巻、457〜463頁(1997年))。E.coliYG1002由来の3−メチルアスパルターゼも結晶化されているが(AsanoおよびKato、FEMS Microbiol.Lett.、118巻、255〜258頁(1994年))、そのタンパク質配列はGenBankなどの公のデータベース中には挙げられていない。配列相同性を使用して、C.tetani中のCTC_02563およびEscherichia coliO157:H7中のECs0761を含めた追加的候補遺伝子を同定することができる。
Figure 2014147400
図8を参照すると、ステップ4はメサコン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.−)が関与する。経路の最終ステップはメタクリル酸へのメサコネートの脱カルボキシル化を伴う。この正確な反応を触媒する酵素は実験によって実証されていない。しかしながら、非常に類似した反応を触媒するいくつかの酵素が存在する(図9)。密接に関連した機能を有する1つの酵素はアコニット酸デカルボキシラーゼである(図9A)。この酵素は、Candidaおよび糸状真菌Aspergillus terreusの株における、イタコネートの生合成中の最終ステップを触媒する(Bonnarmeら、J.Bacteriol.、177巻、3573〜3578頁(1995年);WillkeおよびVorlop、Appl.Microbiol.Biotechnol.、56巻、289〜295頁(2001年))。イタコネートはバイオテクノロジーの対象とする化合物であるが、アコニット酸デカルボキシラーゼ遺伝子を同定またはクローニングするための努力はこれまでなされていない。
類似した機能を有する第2の酵素は4−オキサロクロトンデカルボキシラーゼである。(図9B)。この酵素は様々な生物体において一般的であり、Pseudomonas種(株600)由来の酵素をコードする遺伝子はE.coliにおいてクローニングされ発現されている(Shinglerら、J.Bacteriol.、174巻、711〜724頁(1992年))。メサコネート中のメチル基は立体障害を引き起こす可能性があるが、この問題は定方向進化またはタンパク質工学によって克服される可能性がある。4−オキサロクロトン酸デカルボキシラーゼは2つのサブユニットから構成される。この酵素をコードする遺伝子には、Pseudomonas種(株600)中のdmpHおよびdmpE(Shinglerら、J.Bacteriol.j、174巻、711〜724頁(1992年))、Pseudomonas putida由来のxylIIおよびxylIII(KatoおよびAsano、Arch.Microbiol.、168巻、457〜463頁(1997年);Stanleyら、Biochemistry、39巻、718〜726頁(2000年))、ならびにRalstonia eutropha JMP134由来のReut_B5691およびReut_B5692がある(Hughesら、J.Bacteriol.、158巻、79〜83頁(1984年))。
Figure 2014147400
この実施例は、アルファ−ケトグルタレートからMMAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例VIII)
トレオ−3−メチルアスパルテートを介したMAAへのアルファ−ケトグルタレートの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、トレオ−3−メチルアスパルテートを介してアルファ−ケトグルタレートからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図8中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのによい宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびグルタミン酸ムターゼ活性をコードするaspC(NP_415448.1)、glmE(P80077.2)、およびglmS(P80078.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、3−メチルアスパラギン酸およびメサコン酸デカルボキシラーゼ活性をコードするMAL(AAB24070.1)、dmpH(CAA43228.1)、およびdmpE(CAA43225.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、アルファ−ケトグルタレートからトレオ−3−メチルアスパルテートの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより良好な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより有効な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のアルファ−ケトグルタレート中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、トレオ−3−メチルアスパルテートを介してアルファ−ケトグルタレートからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例IX)
2−ヒドロキシグルタレートを介したMAAへのアルファ−ケトグルタレートの転換のための経路
この実施例は、2−ヒドロキシグルタレートを介したMAAへのアルファ−ケトグルタレートからの例示的なMAAの合成経路を記載する。
MAAの生合成に関する別の例示的な経路は実施例VII中に記載した経路と類似したスキームを有するが、ただしそれは、アミン置換中間体(図8参照)ではなく、ヒドロキシル化中間体2−ヒドロキシグルタレートおよび3−メチルマレート(図10参照)を通過する。実施例VII中に記載した経路と同様に、この経路は好気的条件下において高収率であり、最大理論収率がグルコース1mol当たりMAA1.2molである(表3)。嫌気的条件下では、この経路は酸化還元バランスがとれておらず、MAA合成はエタノール、ホルメートおよびスクシネートなどの発酵副産物の形成を必要とする。
Figure 2014147400
図10を参照すると、ステップ1はα−ケトグルタル酸レダクターゼ(EC1.1.99.2)が関与する。この経路の最初のステップは、天然酵素α−ケトグルタル酸レダクターゼによる、2−ヒドロキシグルタレートへのアルファ−ケトグルタレートの還元を伴う。この酵素は、serA、中心代謝中の3−ホスホグリセリン酸の還元も触媒する多機能酵素によってコードされる(ZhaoおよびWinkler、J.Bacteriol.、178巻、232〜239頁(1996年))。Homo sapiens中の遺伝子L2HGDH(JansenおよびWanders、Biochim.Biophys.Acta、1225巻、53〜56頁(1993年))、Fusobacterium
nucleatum中のFN0487 in L2hgdh(Hayashiら、J.Nihon Univ.Sch.Dent.、28巻、12〜21頁(1986年))、Rattus norvegicus中の予想L2hgdh(JansenおよびWanders、Biochim.Biophys.Acta、1225巻、53〜56頁(1993年))はこの酵素をコードする。高い配列相同性を有する遺伝子候補には、Mus
musculus中のL2hgdhおよびBos taurus中のL2HGDHがある。高濃度で、2−ヒドロキシグルタレートは、競合阻害によりα−ケトグルタル酸レダクターゼ活性をフィードバックすることが示されている(ZhaoおよびWinkler、J.Bacteriol.、178巻、232〜239頁(1996))。
Figure 2014147400
図10を参照すると、ステップ2は2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ(EC5.4.99.−)が関与する。経路の第2ステップ中、炭素骨格はグルタミン酸ムターゼ酵素による再編成を経る。このような酵素により触媒される最も一般的な反応は、図8のステップ2中に示す、トレオ−3−メチルアスパルテートへのグルタミン酸の転換である。Clostridium cochlearium由来のアデノシルコバラミン依存性グルタミン酸ムターゼも、別の基質として2−ヒドロキシグルタレートと反応することが示されているが(Roymoulikら、Biochemistry、39巻、10340〜10346頁(2000年))、天然基質グルタミン酸を用いた速度と比較して、この反応の速度は2−ヒドロキシグルタレートを用いると2桁低い。酵素の定方向進化を使用して、2−ヒドロキシグルタレートに対するグルタミン酸ムターゼの親和性を増大することができる。グルタミン酸ムターゼをコードするタンパク質配列のGenBankアクセッション番号は、実施例VII、経路のステップ2中で見られる。
図10を参照すると、ステップ3は3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.−)が関与する。第3ステップ中、3−メチルマレートを脱水してメサコネートを形成する。この正確な変換を触媒する酵素は文献中に記載されていないが、いくつかの酵素は類似の反応を触媒することができる(図11)。1つのこのような酵素は、2−メチルマレートをメサコネートに転換する、シトラリンゴ酸ヒドロリアーゼとも呼ばれる2−メチルリンゴ酸デヒドラターゼである(図11A)。2−メチルマレートと3−メチルマレートは密接に関連があり、構造の唯一の違いはヒドロキシル基の位置である。2−メチルリンゴ酸デヒドラターゼの活性は、グルタミン酸分解VI経路の状況でClostridium tetanomorphum、Morganella morganii、Citrobacter amalonaticusにおいて検出されたが(KatoおよびAsano、Arch.Microbiol.168巻、457〜463頁(1997年))、しかしながら、この酵素をコードする遺伝子は今日まで配列決定されていない。
第2の候補酵素は、フマレートへのマレートの脱水を触媒するフマル酸ヒドラターゼである(図11B)。実施例I(ステップ5)中に記載したように、この酵素に関する大量の構造情報が入手可能であり、他の研究ではこの酵素を首尾良く工学的に操作して、活性、阻害および局在を変えている(Weaver、Acta Crystallogr.D
Biol.Crystallogr.、61巻、1395〜1401頁(2005年))。遺伝子候補は実施例I、経路のステップ5中に論じる。
図10を参照すると、ステップ4はメサコン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.−)が関与する。最終経路のステップは、メタクリル酸へのメサコネートの脱カルボキシル化が関与する。この反応は、実施例VII中に記載した経路の最終ステップと同一である。
この実施例は、アルファ−ケトグルタレートからMMAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例X)
2−ヒドロキシグルタレートを介してアルファ−ケトグルタレートをMAAに転換するための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、2−ヒドロキシグルタレートを介してアルファ−ケトグルタレートからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図10中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、α−ケトグルタル酸レダクターゼおよび2−ヒドロキシグルタミン酸ムターゼ活性をコードするserA(CAA01762.1)、glmE(P80077.2)、およびglmS(P80078.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、3−メチルリンゴ酸デヒドラターゼおよびメサコン酸デカルボキシラーゼ活性をコードするfumC(P05042.1)、dmpH(CAA43228.1)、およびdmpE(CAA43225.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、アルファ−ケトグルタレートから2−ヒドロキシグルタレートの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより良好な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のアルファ−ケトグルタレート中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.775〜779頁(2005年))。
この実施例は、2−ヒドロキシグルタレートを介してアルファ−ケトグルタレートからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XI)
2−ヒドロキシイソ酪酸またはMAAへのアセチルCoAの転換のための経路
この実施例は、アセチルCoAからの例示的な2−ヒドロキシイソ酪酸またはMAAの合成経路を記載する。
MAAの生合成は、少なくとも5つの酵素ステップでアセチルCoAから進行し得る(図12参照)。この経路では、2分子のアセチルCoAが組み合わさってアセトアセチル−coAを形成し、次いでこれが3−ヒドロキシブチリルCoAに還元される。あるいは、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼおよびクロトナーゼによって、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAに転換することができる(Martinsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、101巻、44号、15645〜15649頁(2004年);JonesおよびWoods、Microbiol.Rev.、50巻、484〜524頁(1986年);Bergら、Science、318巻、5857号、1782〜1786頁(2007年))。次いでメチルムターゼが3−ヒドロキシブチリルCoAの炭素骨格を2−ヒドロキシイソブチリルCoAに再編成して、次いでそれを脱水してメタクリリルCoAを形成する。あるいは、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを2−ヒドロキシイソブチレートに転換し、分泌させ、生成物として回収することが可能である。メタクリリルCoAをMAAに転換する最終ステップは、1つの酵素(図12中に示す)または一連の酵素によって実施することができる。
図12中に示す経路は、好気的条件下において1.25mol/グルコース1molの最大理論生成収率を有し、0.4モルの酸素の利用をさらに必要とする(表4)。酸素取り込みの不在下で、最大理論収率は1.01mol/グルコース1molに低下し、酸化還元バランスを維持するために、エタノールおよびホルメートなどの発酵副産物が必ず形成される。PEPカルボキシキナーゼ(PEPCK)はATP生成方向に作用することができると考えることによって、嫌気的条件下でMAA収率は1.09mol/molに増大するが、副産物の形成を妨げるわけではない。経路のステップ5中でCoAトランスフェラーゼまたはシンテターゼを利用する場合、MAA形成のエネルギー特性は好ましい。本明細書に記載する経路を介してメタクリル酸ではなく2−ヒドロキシイソ酪酸が生成する場合、生成物およびATPの同等の最大収率を得る。
Figure 2014147400
図12を参照すると、ステップ1はアセトアセチルCoAチオラーゼ(EC2.3.1.9)が関与する。2つのアセチルCoA単位からのアセトアセチルCoAの形成は、アセチルCoAチオラーゼによって触媒される。この酵素はE.coliに固有であり、遺伝子atoBによってコードされ、典型的には脂肪酸酸化中にアセトアセテート分解方向に作用する(DuncombeおよびFrerman、Arch.Biochem.Biophys.176巻、159〜170頁(1976年);FrermanおよびDuncombe、Biochim.Biophys.Acta 580巻、289〜297(1979年))。Clostridium acetobutylicum由来の遺伝子thlAをE.coliのイソプロパノール生成株に工学的に導入し、それがアセトアセテート合成の方向に機能することが示された(Hanaiら、Appl.Environ.Microbiol.、73巻、7814〜7818頁(2007年);Stim−Herndonら、Gene、154巻、81〜85頁(1995年))。別の遺伝子候補はClostridium pasteurianum由来のthlである(MengおよびLi.、Cloning、Biotechnol.Lett.、28巻、1227〜1232頁(2006年))。
Figure 2014147400
図12を参照すると、ステップ2はアセトアセチルCoAレダクターゼ(EC#:1.1.1.35)が関与する。第2ステップは、アセトアセチルCoAレダクターゼによる3−ヒドロキシブチリルCoAへのアセトアセチルCoAの還元を伴う。この酵素は数種のClostridiaにおいて酪酸へのアセチルCoAの発酵経路に関与し、詳細に研究されている(JonesおよびWoods、Microbiol.Rev.、50巻、484〜524頁(1986年))。hbdによってコードされるClostridium acetobutylicum由来の酵素が、E.coliにおいてクローニングされ機能的に発現されている(Younglesonら、J.Bacteriol.、171巻、6800〜6807頁(1989年))。さらに、fadBおよびfadJによってコードされるE.coli中の2つの脂肪酸酸化複合体のサブユニットは、3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼとして機能する(BinstockおよびSchulz、Methods Enzymol.、71PtC巻、403〜411頁(1981年))。追加的遺伝子候補には、Clostridium kluyveri中のHbd1(C末端ドメイン)およびHbd2(N末端ドメイン)(HillmerおよびGottschalk、Biochim.Biophys.Acta、3334巻、12〜23頁(1974年))およびBos taurus中のHSD17B10(Wakilら、J.Biol.Chem.、207巻、631〜638頁(1954年))がある。
Figure 2014147400
図12を参照すると、ステップ3は3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ(EC5.4.99.−)が関与する。次のステップは、3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼにより、3−ヒドロキシブチリルCoAを再編成して2−HIBCoAを形成する。この酵素は近年発見された新規のICM様メチルムターゼであり、Methylibium petroleiphilumにおいて特徴付けられている(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.274巻、31679〜31685頁(1999年);Rohwerderら、Appl.Environ.Microbiol.72巻、4128〜4135頁(2006年))。Methylibium petroleiphilum PM1中でMpe_B0541によってコードされるこの酵素は、Rhodobacter sphaeroides中のRsph17029_3657およびXanthobacter autotrophicus中のXaut_5021を含めた他の生物体中のメチルマロニルCoAムターゼの大サブユニットと高い配列相同性を有する。実施例V(ステップ1)中で論じたように、活性部位近辺の1アミノ酸に対する変更は酵素の基質特異性を変えるので(Ratnatillekeら、上記、1999年;Rohwerderら、上記、2006年)、したがって、この酵素の別の遺伝子候補をこの部位で工学的に操作して、適切な反応性を得ることができる。
Figure 2014147400
図12を参照すると、ステップ4は2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼが関与する。2−ヒドロキシアシルCoAの脱水は、ラジカル機構によって働く特定クラスの酸素感受性酵素によって触媒することができる(BuckelおよびGolding、Annu.Rev.Microbiol.、60巻、27〜49頁(2006年);Buckelら、Curr.Opin.Chem.Biol.、8巻、462〜467頁(2004年);Buckelら、Biol.Chem.、386巻、951〜959頁(2005年);Kimら、FEBS J.、272巻、550〜561頁(2005年);Kimら、FEMS Microbiol.Rev.、28巻、455〜468頁(2004年);Zhangら、Microbiology、145巻、Pt9号、2323〜2334頁(1999年))。このような酵素の一例は、ラクトイルCoAの脱水を触媒してアクリルCoAを形成する、Clostridium propionicum由来のラクチルCoAデヒドラターゼである(KuchtaおよびAbeles、J.Biol.Chem.、260巻、13181〜13189頁(1985年);HofmeisterおよびBuckel、Eur.J.Biochem.206巻、547〜552頁(1992年))。他の例は、Acidaminococcus fermentans由来のhgdABCによってコードされる2−ヒドロキシグルタリルCoAデヒドラターゼである(MuellerおよびBuckel、Eur.J.Biochem.、230巻、698〜704頁(1995年);Schweigerら、Eur.J.Biochem.、169巻、441〜448頁(1987年))。さらに別の例は、hadBCによって触媒されhadIによって活性化されるClostridium difficile由来の2−ヒドロキシイソカプロイルCoAデヒドラターゼである(Darleyら、FEBS J.、272巻、550〜61頁(2005年))。A.fermentansおよびC.difficileの対応する配列は以下のGenBankIDを使用して発見することができるが、一方C.propioniciumの配列は公に利用可能なデータベース中に依然挙げられていない。
Figure 2014147400
図12を参照すると、ステップ5または6は、それぞれメタクリル酸または2−ヒドロキシイソ酪酸に対する活性を有する、トランスフェラーゼ(EC2.8.3.−)、ヒドロラーゼ(EC3.1.2.−)、またはシンテターゼ(EC6.2.1.−)が関与する。メタクリリルCoAからMAAへの直接転換、または2−ヒドロキシイソブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチレートへの直接転換は、CoAトランスフェラーゼ、シンテターゼまたはヒドロラーゼによって実施することができる。実施例V中で論じたように、CoAトランスフェラーゼまたはCoAシンテターゼを利用してこの変換を実施する場合、経路のエネルギー特性は最も好ましい。トランスフェラーゼファミリー中、アセテート−CoAトランスフェラーゼとしても公知である酵素アシルCoA:アセテート−CoAトランスフェラーゼは、分岐状アシルCoA基質を含めたその広範囲の基質特異性のため、望ましい2−ヒドロキシイソブチリルCoAまたはメタクリルCoAトランスフェラーゼ活性を触媒するのに適した候補である(MatthiesおよびSchink、Appl.Environ.Microbiol.、58巻、1435〜1439頁(1992年);Vanderwinkelら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、33巻、902〜908頁(1968年))。ADP形成アセチルCoAシンテターゼ(ACD)は、構造上類似した分岐鎖状化合物に作用するCoAシンテターゼファミリー中の有望な酵素である(BrasenおよびSchonheit、Arch..Microbiol.、182巻、277〜287頁(2004年);MusfeldtおよびSchonheit、J.Bacteriol.、184巻、636〜644頁(2002年))。CoA−ヒドロラーゼファミリー中、酵素3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼは、3−ヒドロキシイソブチリルCoA、メチルマロニルCoA、および3−ヒドロキシ−2−メチルブタノイルCoAを含めた、様々な分岐鎖状アシルCoA基質に作用することが示されている(Hawesら、Methods Enzymol.、324巻、218〜228頁(2000年);Hawesら、J.Biol.Chem.、271巻、26430〜26434頁(1996年);Shimomuraら、J.Biol.Chem.、269巻、14248〜14253頁(1994年))。CoAトランスフェラーゼ、シンテターゼおよびヒドロラーゼが関与する他の例示的な遺伝子候補は、実施例V(ステップ2および5)中に論じる。
図12を参照すると、別のステップ5はMAAへの間接的転換が関与する。MAAへのMAA−CoAの直接転換の代替として、メタクリリルCoAをMAAに転換するための別の戦略は、3−ヒドロキシイソブチレートを介してMAA−CoAをMAAに転換する多段階プロセスを伴う。このプロセスによって、MAA−CoAは最初に3−ヒドロキシイソブチリルCoAに転換され、それは後に実施例V中に記載したようにMAAに転換され得る。
この間接的経路の最初のステップは、エノイルCoAヒドラターゼ(EC4.2.1.17および4.2.1.74)による、3−ヒドロキシイソブチリルCoA(3HIB−CoA)へのMAA−CoAの転換を伴う。E.coliでは、fadAおよびfadBの遺伝子産物は、エノイルCoAヒドラターゼ活性を示す脂肪酸酸化に関与する多酵素複合体をコードする(NakahigashiおよびInokuchi、Nucleic Acids Research、18巻、4937頁(1990年);Yang、J.Bacteriol.、173巻、7405〜7406頁(1991年);Yangら、J.Biol.Chem.、265巻、10424〜10429頁(1990年);Yangら、Biochemistry、30巻、6788〜6795頁(1991年))。fadRによってコードされる負のレギュレーターのノックアウトを利用して、fadB遺伝子産物を活性化することができる(Satoら、J.Biosci.Bioengineer.、103巻、38〜44頁(2007年))。fadI遺伝子とfadJ遺伝子は類似した機能をコードし、嫌気的条件下で天然に発現される(Campbellら、Mol.Microbiol.、47巻、793〜805頁(2003年))。
Figure 2014147400
エノイルCoAヒドラターゼをコードする追加的な天然遺伝子候補には、maoC(ParkおよびLee、J.Bacteriol.、185巻、5391〜5397頁(2003年))、paaF(Ismailら、Eur.J.Biochem.、270巻、3047〜3054頁(2003年);ParkおよびLee、Appl.Biochem.Biotechnol.、113〜116巻、335〜346頁(2004年);ParkおよびYup、Biotechnol.Bioeng.、86巻、681〜686頁(2004年))、およびpaaG(Ismailら、Eur.J.Biochem.、270巻、3047〜3054頁(2003年);ParkおよびLee、Appl.Biochem.Biotechnol.、113〜116頁:335〜346頁(2004年);ParkおよびYup、Biotechnol.Bioeng.、86巻、681〜686頁(2004年))がある。非天然の候補には、P.putida(Oliveraら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95巻、6419〜6424頁(1998年))およびP.fluorescens(Di Gennaroら、Arch.Microbiol.、188巻、117〜125頁(2007年))由来のpaaA、paaB、およびpaaNがある。C.acetobutylicum由来のcrtの遺伝子産物は別の候補である(Atsumiら、Metab.Eng.、2007年9月14日電子出版;Boyntonら、J.Bacteriol.、178巻、3015〜3024頁(1996年))。
Figure 2014147400
この実施例は、アセチルCoAから2−ヒドロキシイソブチレートまたはMAAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例XII)
MAAへのアセチルCoAの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、アセチルCoAからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図12中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれアセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、および3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ活性をコードするatoB(P76461.1)、hbd(P52041.2)、およびMpe_B0541(YP_001023546.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼおよびメタクリリルCoAヒドロラーゼ活性をコードするhgdA(P11569)、hgdB(P11570)、hgdC(P11568)、およびhibch(Q5XIE6.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、アセチルCoAの経路を介したMAA合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物のアセチルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、アセチルCoAからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XIII)
クロトノイルCoAを介したMAAへのアセチルCoAの転換のための経路
この実施例は、クロトノイルCoAを介したアセチルCoAからの例示的なMAAの合成経路を記載する。
少なくとも7つの酵素ステップでMAAにアセチルCoAを転換するための別の経路を記載する(図13参照)。好気的および嫌気的条件下でのこの経路の収率は、実施例XI中に記載した経路と類似している。
経路の最初の2ステップは、実施例XI中に記載した経路中のステップ1および2と同一である。第3ステップでは、クロトナーゼ(EC#:4.2.1.55)によって3−HBCoAを脱水してクロトニルCoAを形成する。クロトニルCoA中の二重結合はブチリルCoAデヒドロゲナーゼ(EC#:1.3.99.2)によって還元される。これらの酵素の両方が、アセトアセチルCoAレダクターゼと全く同様に、Clostridia種における酪酸へのアセチルCoAの発酵経路の一部である(JonesおよびWoods、Microbiol.Rev.、50巻、484〜524頁(1986年))。後のステップ中、イソブチリルCoAムターゼ(5.4.99.12)、イソブチリルCoAにブチリルCoAを可逆的に転換することができる酵素によって、ブチリルCoAをイソブチリルCoAに転換する。この酵素はStreptomyces cinnamonensisからクローニングおよび配列決定されており、組換え酵素がE.coliにおいて特徴付けられている(Ratnatillekeら、J.Biol.Chem.、274巻、31679〜31685頁(1999年))。経路中の次のステップは、2−メチル−アシルCoAデヒドロゲナーゼ(EC#:1.3.99.12)によるメタクリリルCoAへのイソブチリルCoAの転換を伴う。メタクリリルCoAへのこの変換はStreptomyces種において観察されており、関連酵素はE.coliにおいて単離および発現されている(Younglesonら、J.Bacteriol.、171巻、6800〜6807頁(1989年))。最終ステップでは、実施例XI(ステップ5)中に記載したように、1つの酵素または一連の酵素のいずれかによって、メタクリリルCoAをMAAに転換する。
この実施例は、アセチルCoAからMAAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例XIV)
MAAへのアクリリルCoAの転換のための経路
この実施例は、アクリリルCoAからの例示的なMAAの合成経路を記載する。
高収率のMAAはアクリリルCoA経路によって得ることができる(図14参照)。この経路は、ラクトイルCoAへのラクテートの活性化、次にこの活性化CoA分子をMAAに転換するための5、または場合によっては6、それより多くのステップを必要とする。この経路を使用したグルコースからのMAA収率はグルコース1mol当たり1.28molであり、酸素の取り込みがこれらの収率を得るのに必要とされる。酸素の不在下では、予想収率は消費するグルコース1mol当たり1.28molから1.09molに低下する。好気的経路と嫌気的経路は両方共に最大MAA収率でエネルギーが制限され、いかなるATPも生成しない。
アクリリルCoA経路を介したMAAの生合成は、乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.28)、E.coliおよび多くの他の生物体に固有の酵素によるラクテートへのピルベートの転換を最初に必要とする。ラクテートをプロピオニルCoAに転換する3つの後のステップは、Clostridium propionicumおよびMegasphaera elsdeniiなどのいくつかの無関係な細菌中のピルビン酸発酵経路における酵素によって触媒される(MetaCyc)。プロピネートCoAトランスフェラーゼとしても公知されているラクテートCoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.1)はラクテートをラクトイルCoAに転換し、基質としてプロピオネートとラクテートの両方を使用することができる。この酵素は精製および特徴付けられている(Schweigerら、Eur.J.Biochem.、169巻、441〜448頁(1987年))。ラクトイルCoAデヒドラターゼ(EC4.2.1.54)、多数の研究の対象となっている酵素を使用して、ラクトイルCoAをアクリリルCoAに脱水する(HofmeisterおよびBuckel、Eur.J.Biochem.、206巻、547〜552頁(1992年);KuchtaおよびAbeles、J.Biol.Chem.、260巻、13181〜13189頁(1985年))。その後アクリリルCoAは、アクリロイルCoAレダクターゼ(EC1.3.2.2、以前は1.3.99.3)を使用してプロピオニルCoAに還元する(Hetzelら、Eur.J Biochem.、270巻、902〜910頁(2003年);KuchtaおよびAbeles、上記、1985年)。
図14を参照すると、ステップ5中、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(6.4.1.3)によってプロピオニルCoAがS−メチルマロニルCoAに転換される。プロピオニルCoAカルボキシラーゼはラット肝臓から精製されており(Brownerら、J. Biol.Chem.、264巻、12680〜12685頁(1989年);Krausら、J.Biol.Chem.、258巻、7245〜7248頁(1983年))、ヒト肝臓からも単離され特徴付けられている(Kalousekら、J.Biol.Chem.、255巻、60〜65頁(1980年))。この酵素によるスクシニルCoAへのプロピオニルCoAのカルボキシル化は、E.coliにおけるプロピネート代謝の機構の1つとして確認されているが(Evansら、Biochem.J.、291巻、Pt3号、927〜932頁(1993年))、この経路の遺伝的性質に関してはほとんど公知でない。
この経路の最終ステップは、MAAへのメチルマロニルCoAの転換を伴う(図14中の集中反応)。これらの反応を触媒する酵素は実施例I中に記載する。
この実施例は、ピルベートからMAAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例XV)
MAAへの2−ケトイソバレレートの転換のための経路
この実施例は、2−ケトイソバレレートからの例示的なMAAの合成経路を記載する。
この経路では、2−ケトイソバレレート、バリン生合成の前駆体を介してMMAの生合成が起こる(図15参照)。具体的には、3つの酵素、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、およびジヒドロキシ酸デヒドラターゼの作用後、ピルベートから2−ケトイソバレレートを形成することができる。MAAへの2−ケトイソバレレートの転換は4つの酵素ステップを必要とし、好気的条件下においてグルコース1mol当たり1molのMAA収率、および嫌気的条件下ではグルコース1mol当たり0.4molの収率をもたらす(表5)。この経路は酸化還元バランスがとれておらず、エタノールおよびギ酸などの発酵生成物の分泌が嫌気的条件下で起こり得る。酸素不在下でのこの経路中のMAAの比較的低い収率にもかかわらず、エネルギー特性は非常に好ましく、消費するグルコース1モル当たり最大2.2モルのATPが生成する。
Figure 2014147400
この経路は、Bacillus subtilis、Arabidopsis thaliana、および数種のPseuodomonasを含めたいくつかの生物体において記載されるが、E.coli中またはS.cerevisiae中に存在することは公知でない、バリン分解経路の多数のステップを利用する。バリン分解経路の最初のステップ中、分岐鎖状アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.24)、E.coliにも固有である酵素によって、バリンは2−ケトイソバレレートに転換される(MatthiesおよびSchink、Appl.Environ.Microbiol.、58巻、1435〜1439頁(1992年);RudmanおよびMeister、J.Biol.Chem.、200巻、591〜604頁(1953年))。分岐鎖状ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体(EC1.2.1.25)によって触媒される、イソブチリルCoAへの2−ケトイソバレレートのその後の転換は、この経路によるMAA生合成の実行ステップである。次に、イソブチリルCoAデヒドロゲナーゼ(EC1.3.99.12)によって、イソブチリルCoAをメタクリリルCoAに転換する。このステップに関する詳細は実施例XIII中に記載する。最終ステップ、MAAへのMAA−CoAの転換は実施例I中に記載する。
この実施例は、2−ケトイソバレレートからMMAを生成する生合成経路を記載する。
(実施例XVI)
3−ヒドロキシイソ酪酸への4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路を有する3−ヒドロキシイソ酪酸生成微生物体の調製
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図6中に示す3−ヒドロキシイソ酪酸経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、3−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる天然に存在する微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
3−ヒドロキシイソ酪酸を生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(CoA依存性)、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ、およびホスホトランスブチリラーゼ活性をコードするsucD(YP_001396394)、4hbd(YP_001396393)、buk1(Q45829)、およびptb(NP_349676)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。Burkら(米国公開2009/0075351)中に記載されたように、この構築体はスクシニルCoAからの4HB−CoAの生成を可能にする。さらに、それぞれ4−ヒドロキシブチリルCoAムターゼおよび3−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼをコードするicmA(CAB40912.1)およびhibch(Q5XIE6.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、4−ヒドロキシブチリルCoAの経路を介した3−ヒドロキシイソ酪酸の合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。3−ヒドロキシイソ酪酸合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。3−ヒドロキシイソ酪酸を生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的3−ヒドロキシイソ酪酸合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、3−ヒドロキシイソ酪酸のより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、3−ヒドロキシイソ酪酸のより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えば3−ヒドロキシイソ酪酸生成物のスクシニルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化を3−ヒドロキシイソ酪酸生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
3−ヒドロキシイソ酪酸の大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XVII)
2−ヒドロキシイソ酪酸へのアセチルCoAの転換のための経路を有する2−ヒドロキシイソ酪酸生成微生物体の調製
この実施例は、アセチルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、図12中に示す2−ヒドロキシイソ酪酸経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、2−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
2−ヒドロキシイソ酪酸を生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。特に、それぞれアセトアセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、および3−ヒドロキシブチリルCoAムターゼ活性をコードするatoB(P76461.1)、hbd(P52041.2)、およびMpe_B0541(YP_001023546.1)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ活性をコードするhibch(Q5XIE6.2)を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、アセチルCoAの経路を介した2−ヒドロキシイソ酪酸の合成に必要なタンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.、178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。2−ヒドロキシイソ酪酸合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。2−ヒドロキシイソ酪酸を生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的2−ヒドロキシイソ酪酸合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、2−ヒドロキシイソ酪酸のより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、2−ヒドロキシイソ酪酸のより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えば2−ヒドロキシイソ酪酸生成物のアセチルCoA中間体の、より良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化を2−ヒドロキシイソ酪酸生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
2−ヒドロキシイソ酪酸の大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、アセチルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XVIII)
2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介した2−ヒドロキシイソブチレートまたはMAAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路
この実施例は、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介して進行する4−ヒドロキシブチリルCoAから始まる、例示的な2−ヒドロキシイソ酪酸またはMAAの合成経路を記載する。図12中に示す経路は嫌気的条件下でも高収率であり、2−ヒドロキシイソ酪酸またはMAAの最大理論収率はグルコース1モル当たり1.33モルである。これは、グルコース1mol当たり1モルの生成物の最大理論収率に制限される、実施例XI中に記載したアセチルCoAから始まる経路とは対照的である。
この経路は最初にビニルアセチルCoAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの脱水を伴い、それは後にクロトノイルCoAに異性体化される。クロトニルCoAを水和して3−ヒドロキシブチリルCoAを形成し、それは2−ヒドロキシイソブチリルCoAに再編成される。2−ヒドロキシイソブチレート経路の最終ステップは、2−ヒドロキシイソブチリルCoAからのCoA官能基の除去が関与する。MAA合成中の最終ステップは、2−ヒドロキシイソブチリルCoAの脱水、次にメタクリリルCoAからのCoA官能基の除去が関与する。図12の最初の3経路のステップ、ステップ7、8、および9の遺伝子候補は以下に記載する。図12のステップ3、4、5、および6の遺伝子候補は実施例XI中に論じる。
図12を参照すると、ステップ8および9は4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ酵素によって実施する。Clostridium aminobutyriumとC.kluyveriの両方由来の酵素は、クロトニルCoAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの可逆的転換を触媒し、さらに固有のビニルアセチルCoAΔ−イソメラーゼ活性を有する(ScherfおよびBuckel、Eur.J.Biochem.、215巻、421〜429頁(1993年);Scherfら、Arch.Microbiol.、161巻、239〜245頁(1994年))。N末端アミノ酸配列を含めて両方の天然酵素が精製および特徴付けられている(ScherfおよびBuckel、上記、1993年;Scherfら、上記、1994年)。C.aminobutyriumおよびC.kluyveri由来のabfD遺伝子はこれらのN末端アミノ酸配列が正確に一致し、したがって4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ/ビニルアセチルCoAΔ−イソメラーゼをコードする。さらに、Porphyromonas gingivalis由来のabfD ATCC33277は、相同性によって同定することができる別の例示的な4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼである。
Figure 2014147400
図12のステップ10はクロトナーゼ酵素によって実施する。このような酵素はいくつかの生物体、特にClostridial種中のn−ブタノール形成に必要とされ、Sulfolobus、Acidianus、およびMetallosphaera属の好熱好酸性古細菌中の3−ヒドロキシプロピオン酸/4−ヒドロキシ酪酸回路の1ステップをさらに含む。クロトナーゼ酵素をコードする例示的な遺伝子は、C.acetobutylicum(Boyntonら、J.Bacteriol.、178巻、11号、3015〜3024頁(1996年))、C.kluyveri(HillmerおよびGottschalk、FEBS Lett.、21巻、3号、351〜354頁(1972年))、およびMetallosphaera sedula(Bergら、Science、318巻、5857号、1782〜1786頁(2007年))中で見ることができるが、後者の遺伝子の配列は公知ではない。脂肪酸β酸化および/または様々なアミノ酸の代謝に関与するエノイルCoAヒドラターゼは、3−ヒドロキシブチリルCoAを形成するためのクロトニルCoAの水和も触媒することができる(AgnihotriおよびLiu、Bioorg.Med. Chem.11巻、1号、9〜20頁(2003年);Robertsら、Arch. Microbiol.、117巻、1号、99〜108頁(1978年);Conradら、J.Bacteriol.、118巻、1号、103〜11頁(1974年))。P.putidaのエノイルCoAヒドラターゼ、phaAおよびphaBは、フェニル酢酸異化中に二重結合のヒドロキシル化を実施すると考えられる(Oliveraら、Proc Natl Acad Sci USA、95巻、11号、6419〜6424頁(1998年))。P.fluorescens由来のpaaAおよびpaaBは同様の変換を触媒する(Oliveraら、上記、1998年)。最後に、maoC(ParkおよびLee、J.Bacteriol.、185巻、18号、5391〜5397頁(2003年))、paaF(ParkおよびLee、Biotechnol.Bioeng.、86巻、6号、681〜686頁(2004年a));ParkおよびLee、Appl.Biochem.Biotechnol.、113〜116頁:335〜346頁(2004年b));Ismailら、Eur.J.Biochem.、270巻、14号、3047〜3054頁(2003年)、およびpaaG(ParkおよびLee、上記、2004年;ParkおよびLee、上記、2004年b;Ismailら、上記、2003年)を含めた、いくつかのEscherichia coliの遺伝子はエノイルCoAヒドラターゼの官能性を示すことが示されている。
Figure 2014147400
この実施例は、4−ヒドロキシブチリルCoAからの2−ヒドロキシイソブチレートまたはメタクリル酸の生合成経路を記載する。
(実施例XIX)
2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介したMAAへの4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路を有するMAA生成微生物体の調製
この実施例は、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介して4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAを生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、4−ヒドロキシブチリルCoAから始まる、図12中に示すMAA経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、MAAを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
MAAを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。最初に、それぞれコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(CoA依存性)、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ、およびホスホトランスブチリラーゼ活性をコードするsucD(YP_001396394)、4hbd(YP_001396393)、buk1(Q45829)、およびptb(NP_349676)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。Burkら(米国公開2009/0075351)中に記載されたように、この構築体はスクシニルCoAからの4HB−CoAの生成を可能にする。それぞれ4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoAΔ−イソメラーゼ、およびエノイルCoAヒドラターゼ活性をコードするabfD(YP_001396399.1)およびcrt1(YP_001393856)を、PA1/lacOプロモーターの下でpZS23ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。さらに、2−ヒドロキシイソブチリルCoAデヒドラターゼおよびメタクリリルCoAヒドロラーゼ活性をコードするhgdA(P11569)、hgdB(P11570)、hgdC(P11568)、およびhibch(Q5XIE6.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZS13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。pZS23は、周知の分子生物学の技術によって、pZS13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)のアンピシリン耐性モジュールとカナマイシン耐性モジュールを交換することによって得る。3組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介した4−ヒドロキシブチリルCoAからのMAA合成に必要な、タンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。MAA合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。MAAを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的MAA合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、MAAのより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、MAAのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えばMAA生成物の4−ヒドロキシブチリルCoA中間体のより良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化をMAA生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
MAAの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.、775〜779頁(2005年))。
この実施例は、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介して4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XX)
2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介した2−ヒドロキシイソ酪酸への4−ヒドロキシブチリルCoAの転換のための経路を有する2−ヒドロキシイソ酪酸生成微生物体の調製
この実施例は、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介して4−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソ酪酸を生成することができる微生物体の作製を記載する。
Escherichia coliは、4−ヒドロキシブチリルCoAから始まる、図12中に示す2−ヒドロキシイソブチレート経路を工学的に操作するための標的生物体として使用する。E.coliは、2−ヒドロキシイソブチレートを生成することができる天然に存在しない微生物を作製するのに良い宿主を提供する。E.coliは遺伝子操作の影響を受けやすく、嫌気的または微好気的条件下で効率良く、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、およびコハク酸のような、様々な生成物を生成することができることは公知である。
2−ヒドロキシイソブチレートを生成するように操作されたE.coli株を作製するために、経路中で利用する酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学の技術を使用してE.coliにおいて発現させる(例えば、Sambrook、上記、2001年;Ausubel、上記、1999年を参照)。最初に、それぞれコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(CoA依存性)、4−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、4−ヒドロキシ酪酸キナーゼ、およびホスホトランスブチリラーゼ活性をコードするsucD(YP_001396394)、4hbd(YP_001396393)、buk1(Q45829)、およびptb(NP_349676)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZE13ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。Burkら(米国公開2009/0075351)中に記載されたように、この構築体はスクシニルCoAからの4HB−CoAの生成を可能にする。それぞれ4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼ、ビニルアセチルCoAΔ−イソメラーゼ、エノイルCoAヒドラターゼ、および2−ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ活性をコードするabfD(YP_001396399.1)、crt1(YP_001393856)、およびhibch(Q5XIE6.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下でpZS23ベクター(Expressys、Ruelzheim、ドイツ)にクローニングする。2組のプラスミドをE.coli株MG1655に形質転換して、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介した4−ヒドロキシブチリルCoAからの2−ヒドロキシイソブチレートの合成に必要な、タンパク質および酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体は、当技術分野で周知の手順後、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001年を参照)。E.coliの宿主株をde novoでコバラミンを合成するように操作しない限り、コバラミンをさらに培地に供給してムターゼ酵素の活性を確実にする(例えば、Rauxら、J.Bacteriol.178巻、753〜767頁(1996年)を参照)。2−ヒドロキシイソ酪酸合成遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅、イムノブロッティングなどを含めた、ポリペプチド発現または酵素活性を決定するための当技術分野で周知の方法を使用して裏付ける。発現される酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。2−ヒドロキシイソブチレートを生成する工学的に操作されたE.coli株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GCMS)および/または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)を使用して確認する。
機能的2−ヒドロキシイソブチレート合成経路を有するように操作した微生物株は、経路の有効利用のための最適化によってさらに増強する。簡単に述べると、工学的に操作された株を評価して、いずれの外因性遺伝子が律速レベルで発現されるかどうか決定する。例えば追加的遺伝子コピー数の導入によって、経路中の流れを制限し得る低レベルで発現する任意の酵素に関して発現は増大する。
より良い生産体を作製するために、代謝モデリングを利用して増殖条件を最適化する。モデリングをさらに使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、および米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析によって、2−ヒドロキシイソブチレートのより有効な生成への代謝の移行の、細胞増殖に対する影響の信頼できる予測を与える。1つのモデリング法は、2−ヒドロキシイソブチレートのより良好な生成を一括してもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される2層最適化法OptKnock(Burgardら、Biotechnol.Bioengineer.、84巻、647〜657頁(2003年))である。適応進化を使用して、例えば2−ヒドロキシイソ酪酸生成物の4−ヒドロキシブチリルCoA中間体のより良い生産体を作製することもできる。適応進化を実施して増殖特性と生産特性の両方を改善する(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、1056〜1058頁(2004年);Alperら、Science、314巻、1565〜1568頁(2006年))。結果に基づいて、後の数ラウンドのモデリング、遺伝子操作および適応進化を2−ヒドロキシイソブチレート生産体に施して、生産をさらに増大することができる。
2−ヒドロキシイソブチレートの大規模な生産用に、前述の生物体を当技術分野で公知の培地を使用して発酵槽中で培養して、嫌気的条件下での生物体の増殖を促進する。発酵は回分、流加または連続的な形で実施する。嫌気的条件は最初に窒素で培地をスパージし、次いで培養容器を密閉することによって維持し、例えば、フラスコは隔膜および圧着キャップで密閉することができる。限られた通気で隔膜中に小さな穴を与えることによって、微好気的条件を利用することもできる。培地のpHは、HSOなどの酸を加えることによって約7のpHに保つ。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸、および残留グルコースなどの副産物は、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX−87シリーズ)(BioRad、Hercules CA)を使用して、グルコースおよびアルコールに屈折率検出器、有機酸にUV検出器を使用して、HPLC(Shimadzu、Columbia MD)によって定量化することができる(Linら、Biotechnol.Bioeng.775〜779頁(2005年))。
この実施例は、2−ヒドロキシイソブチリルCoAを介して4−ヒドロキシブチリルCoAから2−ヒドロキシイソブチレートを生成することができる微生物体の調製を記載する。
(実施例XXI)
メタクリル酸または3−ヒドロキシイソ酪酸の生産増大用の遺伝子ノックアウト株の設計
この実施例は、メタクリル酸または3−ヒドロキシイソ酪酸の生産増大用の遺伝子ノックアウトした株の設計を記載する。
OptKnockは、遺伝的に安定した過剰生成微生物を開発する全体的な目的で考案された、2層の計算フレームワークである。具体的には、このフレームワークは微生物の完全なネットワークを調べて、望ましい生化学的物質を細胞増殖の絶対副産物の状態にする遺伝的操作を提唱する。戦略的に配置した遺伝子欠失によって生化学的生成と細胞増殖を連結することによって、バイオリアクター中での長期間後に工学的操作株に課した増殖選択圧は、強制的な増殖連結型の生化学的物質の生成の結果として性能の改善をもたらす。最後に、設計した株がそれらの野生型状態に復帰する、ごくわずかな可能性がある。OptKnockによって選択した遺伝子は、挿入ではなく完全な欠失を使用した適切な遺伝的操作によって、ゲノムから完全に除去しなければならないからである。
増殖連結型の生化学的物質の生成の概念は、コンピュータモデルを用いて計算された典型的な代謝ネットワークの生化学的生成エンベロープとの関連で視覚化することができる。これらの限界は、制限している(1つまたは複数の)基質の(1つまたは複数の)取り込み速度をその実験的に測定された(1つまたは複数の)値に固定し、それぞれの増殖到達可能なレベルで生化学的生成の最大および最低速度を計算することによって得られる。例外は存在するが、典型的には望ましい生化学的物質の生成は、細胞内資源のバイオマス形成と直接競合する(図16参照)。したがって、生化学的生成の速度が高まると、必ず増殖速度が最大以下となる。野生型株から代謝挙動を変化させる許容可能な解の境界を制限するように、OptKnockによって示唆されるノックアウトが設計される。所与の株についての現実の解の境界は、(1つまたは複数の)基質の取り込み速度が増大または低下するにつれて増大または収縮し得るが、それぞれの実験点はその計算した解の境界内に存在するはずである。これらのようなプロットによって、株が性能限界にどの程度近いか、または言い換えると、改善にどれくらいの余地が利用可能であるかの視覚化が可能である。OptKnockのフレームワークは、生化学的過剰生成に有望な遺伝子欠失戦略の確認を既に可能にしており(Burgardら、Biotechnol.Bioeng.、84巻、6号、647〜657頁(2003年);Pharkyaら、Biotechnol.Bioeng.、84巻、7号、887〜899頁(2003年);Pharkyaら、Genome Res.、14巻、11号、2367〜2376頁(2004年))、代謝および制御モデルフレームワークの将来的改善を当然ながら含むシステムフレームワークを確立する。
実施例XXIIおよびXXIII中でより詳細に記載するのは、MAAまたは3−ヒドロキシイソ酪酸生合成経路の添加によって増殖連結型MAAまたは3−ヒドロキシイソ酪酸生成を実施する宿主生物体を作製するために存在しないか、減弱しているか、または消失しているべきである酵素活性のセットである。全ての考えられる戦略を列挙するために、各反復時に整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みによるOptKnock問題の反復的解決を伴う、整数カットと呼ばれる最適化技術が実施されている。
OptKnockアルゴリズムは、Escherichia coliの代謝の化学量論モデルに基づいて、MAA、または望む場合は前駆体3−ヒドロキシイソブチレート(3−HIB)の過剰生成用の増殖連結型株設計を確認した。想定は(i)10mmol/gdw/時間のグルコース取り込み速度、(ii)嫌気的または微好気的条件、および(iii)4mmol/gDCW/時間の最小非増殖連結型維持要件を含む。増殖基質はグルコースであったと想定したが、これらの戦略はグルコース、スクロース、キシロース、アラビノース、またはグリセロールを含めた任意の基質に適用可能であることが理解されよう。スクシニルCoA:MAA経路(図2)および4−HB−CoA:MAA経路(図6)に関する増殖連結型生成設計の完全なセットは、それぞれ表10および11中に列挙する。表10および11は、スクシニルCoA(表10)または4−ヒドロキシブチリルCoA(表11)中間体を介したMAAまたは3−ヒドロキシイソ酪酸の生成を高めるために、OptKnockによる除去の標的となる反応の組合せを示す。最大または全ての反応を含めた、反応の少なくとも1つ、または任意の組合せの減弱を利用して、望ましい効果を得ることができる。酵素名、それらの略称、および対応する反応化学量論は表12中に列挙する。最後に、反応式中の略称に対応する代謝産物の名称は表13中に列挙する。
これらの設計はE.coli代謝の代謝モデルを使用して確認し、表12中に列挙する遺伝子名はE.coliに特異的であるが、代謝工学的戦略およびさらに設計自体の選択法は、任意のMAAまたは3−ヒドロキシイソブチレート生成生物体に適用可能である。したがって、これらの設計は本質的に、増殖連結型生成を可能にするために、その活性が消失しているか、減弱しているか、または最初から微生物に存在しないかのいずれかでなければならない酵素的変換のリストである。
設計の最終選択を優先するための重要な基準は、3−ヒドロキシイソブチレートおよび/またはメタクリル酸の増殖連結型収率であった。これを調べるために、前に記載したように異なる速度のバイオマス形成での生成物収率を最初に最大化し後に最小化することによって、それぞれの戦略用に生成コーンを構築した。一地点での突然変異体ネットワークの考えられる全ての表現型の右端境界への収束は、最大バイオマス形成速度で独自の最適生成物収率が存在することを示す。他の場合、考えられる表現型の右端境界は垂直線であり、最大バイオマスの地点において、ネットワークは計算範囲で、垂直線の最低地点における最小量を含めた任意の量のMAAを生成することができることを示す。このような設計は優先順位が低かった。それぞれの経路に関する最優先のOptKnock設計の簡単なリストは、それぞれ実施例XXIIおよびXXIII中の表6および8中に示す。
以下の実施例中の株設計は、バイオマス形成と連結してMAAを生成するそれらの能力によって特徴付けるが、これらの株をさらに利用して、MAA経路中間体3−ヒドロキシイソブチレートを過剰生成することができることが理解される。両方の経路中、MAAを形成するための最終酵素ステップは、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼによる3−ヒドロキシイソブチレートの脱水を伴う(図2中のステップ5、図6中のステップ3)。この反応は還元当量、プロトン、またはエネルギーを消費または生成しないので、それが株設計のエネルギー特性を変えることはない。したがって、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ活性を欠く株では、本明細書に記載する全ての設計は3−HIBの増殖連結型生成を可能にする。
この実施例は、MAAおよび/または3−HIBの増殖連結型生成用の株を作製するための遺伝子ノックアウトの設計を記載する。
(実施例XXII)
スクシニルCoAのノックアウト設計:MAA経路
この実施例は、MAA経路のためのスクシニルCoAのノックアウト設計を記載する。前に論じたように、同様のノックアウト設計を、スクシニルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートの経路にも使用することができることが理解される。
表6は、実施例XXI中に記載したのと同様に設計した、スクシニルCoAからMAAの経路に関する増殖連結型設計を示す。表7は、表6中に示す増殖連結型設計のMAAの最大理論収率およびバイオマス形成率を示す。
Figure 2014147400
Figure 2014147400
Figure 2014147400
MAA経路のためのスクシニルCoAに関する全ての最優先の増殖連結型設計(表6および図17)は設計1を構築し、これは発酵副産物の形成を妨げるために、アセチルアルデヒド−CoAデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH_D)活性の不在を必要とする。設計2は、L−アスパルターゼ(ASPT)の官能性をさらに除去した、このベース設計を構築する。この設計は、最大バイオマス収率で54%の理論最大MAA収率(0.35g/g)に到達することができる(表7)。
Figure 2014147400
設計3および4はベース設計としての設計2を構築する。設計3は、副産物としてのギ酸の分泌を妨げるために、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)活性の除去を伴う。この設計は、94%の理論最大MAA収率をもたらす。設計4中のNAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)および/またはグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)のさらなる欠失は、95%の理論最大収率を得ながら細胞増殖とMAA生成を強く連結するのに役立つ。この設計は、バイオマス形成に関して少なくとも0.24g/MAA1gの形成をさらに必要とする。
設計5および6もベース設計としての設計2を構築する。設計5中、ATPシンターゼ(ATPS4r)の除去は、0.123l/時間の最大バイオマス形成率で0.42g/MAA1gの収率をもたらす。この設計は増殖と生成物形成を強く連結するが、発酵副産物としての酢酸およびギ酸の分泌を必要とする。ホスホエノールピルビン酸:ピルビン酸PTS系を介したグルコース輸送の除去は副産物の形成を減らし、0.54g/g(84%の最大理論収率)までMAA生成を増大する。
設計7〜14は設計1を構築し、その中ではADHEr、MDHおよびLDH_D官能性を除去する。設計7中、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)官能性の除去は、0.162l/時間で0.21g/MAA1gを生成する突然変異体をもたらす。設計8中のピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)のさらなる欠失は0.35g/MAA1gをもたらす。設計9中のホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)および/または酢酸キナーゼ(ACKr)のさらなる欠失は酢酸の形成を妨げ、0.60g/g、95%の理論最大値まで生成物収率を増大する。トランスヒドロゲナーゼ(THD2)官能性のさらなる除去はこの設計の増殖−カップリングを改善する。
設計10は、MDH、LDH、およびADHErに加えてNAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)をノックアウトする。この株は0.20l/時間の最大増殖速度で0.29g/gのMAA収率を得ると予想する。6−ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)および/またはグルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)のさらなる欠失は解糖を介した流れを増大するのに役立ち、したがってバイオマス形成と強く連結しながら0.37g/gまで予想MAA収率を改善する。ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)のさらなる欠失はPDHを介した流れを促進し、副産物の形成を減らし、0.52g/g、82%の理論最大値まで予想MAA収率を増大する。ACKrおよびASPTのさらなる欠失も、副産物の形成を減らすことによって、この設計の生成物収率を改善する。
設計13は、NADHデヒドロゲナーゼ(NADH6)をさらにノックアウトして設計1を構築する。これは、最大バイオマス形成率で0.27g/gのMAA収率を有する株をもたらす。設計14中のホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)および/または酢酸キナーゼ(ACKr)のさらなる欠失は、0.56g/g、88%の理論最大値まで収率を改善する。この設計は、唯一の発酵副産物としてMAAを生成する利点を有する。
全ての高収率株設計は、以下の反応:アルコールデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH_D)、ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)、ATPシンテターゼ(ATPS4r)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)、アスパルターゼ(ASPT)、酢酸キナーゼ(ACKr)、ホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)およびNADHデヒドロゲナーゼ(NADH6)の少なくとも1つの欠失を含む。表6中の株設計にこれらのノックアウトのいずれかを加えることによって、MAAまたは3−ヒドロキシイソブチレートの収率をさらに改善し得る。
これらの結果は、MAAまたは3−HIBの増殖連結型生成を有する株を作製するためのノックアウト設計戦略を記載する。
(実施例XXIII)
4−ヒドロキシブチリルCoAのノックアウト設計:MAA経路
この実施例は、MAA経路のための4−ヒドロキシブチリルCoAのノックアウト設計を記載する。前に論じたように、同様のノックアウト設計を、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシイソブチレートの経路にも使用することができることが理解される。
4−ヒドロキシブチリルCoAの経路に関して、3−ヒドロキシイソブチレートまたはMAAを生成するためにヒドロラーゼまたはトランスフェラーゼのいずれかを利用する株用のOptKnock設計を作製した(図6、ステップ2)。2つの条件に関して作製した設計は類似していたが、生成物収率および増殖−カップリングはトランスフェラーゼを利用したとき有意に高かった。全ての設計は表11中に挙げる。表8は、実施例XXI中に記載したのと同様に設計した、4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAの経路に関する増殖連結型設計を示す。表9は、表8中に示す増殖連結型設計のMAAの最大理論収率およびバイオマス形成率を示す。
Figure 2014147400
Figure 2014147400
最優先の増殖連結型株設計(表8、図18)は、設計1、除去、低下または減弱アルコールデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH_D)官能性を有するベース株を構築する。コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ官能性のさらなる除去は、スクシニルCoAを介した流れの有効なチャネリングに利点がある可能性がある。
Figure 2014147400
設計2〜7は、L−アスパルターゼ(ASPT)活性がさらに除去、低下または減弱した設計1を構築する。設計2は、0.13l/時間の最大増殖速度で0.33g/gのMAA収率をもたらす。この株の主な発酵副産物はアセテートおよびホルメートである。ホルメート生成およびエネルギー発生と関係がある遺伝子のさらなる欠失は、これらの副産物の形成を減らすことができる。設計3はNAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)および/またはグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)のさらなる欠失で設計2を構築し、0.12l/時間の最大増殖速度で0.34g/gのMAA収率をもたらす。この株は副産物の形成を消失しないが、強く増殖に連結し、エネルギー発生に利用されるグルコース1グラム当たり少なくとも0.07gのMAAを生成することが必要とされる。設計4中のピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)のさらなる欠失はギ酸の分泌をなくし、0.62g/g(97%の理論最大値)までMAA収率を増大させ、さらにエネルギー発生のために少なくとも0.24g/gのMAAの生成を必要とする。
設計5はATPシンテターゼ(ATPS4r)がさらに欠失した設計4を構築する。この株は0.073l/時間の最大増殖速度で0.31g/gのMAAを得る。設計6中の6−ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)および/またはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)官能性のさらなる欠失によって、最大バイオマスで生成物収率が増大する(0.056l/時間の最大増殖速度で0.57g/g)。あるいは、ピルビン酸ギ酸リアーゼの欠失も強い増殖連結型の高収率設計をもたらす(設計7)。
設計8はNAD(P)トランスヒドロゲナーゼの官能性が除去された設計1ベース株(ADHEr、LDH_D、MDH)を構築する。この株設計はバイオマス0.19l/時間で0.29g/gのMAAを得る。設計9中のホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)および/またはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)のさらなる欠失によって、最大バイオマス0.112l/時間で0.52g/gまでMAA生成が増大する。
全ての高収率株設計は、以下の反応:アルコールデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH_D)、ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)、ATPシンテターゼ(ATPS4r)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)、およびアスパルターゼ(ASPT)の少なくとも1つの欠失を含む。表8中の株設計にこれらのノックアウトのいずれかを加えることによって、MAAまたは3−ヒドロキシイソブチレートの収率をさらに改善し得る。
これらの結果は、MAAまたは3−HIBの増殖連結型生成を有する株を作製するためのノックアウト設計戦略を記載する。
(実施例XXIV)
工学的操作株の特徴付け
この実施例は、工学的操作株の特徴付けを記載する。
株の構築:3−ヒドロキシイソブチレートおよび/またはMAA経路を有するEscherichia coli K−12 MG1655を、欠失を導入する株として使用する。Datsenko and Wanner(Proc.Natl.Acad.Sci.USA97巻、12号、6640〜6645頁、2000年))のλRedリコンビナーゼシステムによって相同組換えを使用して、インフレーム欠失を取り込ませることによって株を構築する。この手法は、染色体配列、すなわち除去標的の遺伝子と、それ自体は後に除去される選択可能な抗生物体質耐性遺伝子の交換を含む。ノックアウトはレシピエント株に1つずつ組み込む。抗生物体質耐性マーカーはそれぞれの欠失後に存在せず、それぞれの標的株中に多数の突然変異の蓄積を可能にする。欠失技術は除去標的の遺伝子を完全に除去し、したがって構築した突然変異体が野生型に戻る可能性を実質的に低減する。
振とうフラスコの特徴付け:中間体株を構築し、振とうフラスコ発酵を実施することによって株の性能を定量化する。嫌気的条件は、フラスコをゴム隔膜で密閉し、次いで窒素で培地をスパージすることによって得る。厳密な嫌気的条件下で増殖が観察されない株用に、フラスコをホイルで覆い限られた通気で小さな穴を与えることによって、微好気的条件を適用する。個々の適用例に関して他に望まない限り、グルコースを補充したM9最小培地を使用して実験を実施した。前培養物を一晩増殖し、指数関数的増殖中の測定値を得るための新たなバッチ培養用の接種材料として使用する。増殖速度は分光光度計を使用して光学濃度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取り込み速度は経時的な炭素源の枯渇をモニターすることによって決定する。エタノール、MAA、3−ヒドロキシイソ酪酸および有機酸を、通常の手順を使用してGC−MSまたはHPLCによって分析する。それぞれの株に関して三連の培養物を増殖する。
回分発酵槽試験:選択した株の性能は、嫌気的な、pH調節した回分発酵において試験する。これによって、増殖、グルコースの取り込み、および全生成物の形成速度の信頼できる定量化が可能であり、かつ酸性発酵生成物の蓄積が細胞増殖を制限しないことを確実にする。さらに、それは、3−ヒドロキシイソ酪酸および/またはMAAの容積測定生産性および収率、株の性能を標準化する際の最も重要なパラメーターの2つの正確な決定を可能にする。温度およびpH制御を備えた、600mLの作業体積を有する1Lのバイオリアクター中で発酵を実施する。リアクターは約0.5L/分でNを用いて連続的にスパージし、溶存酸素(DO)レベルが検出レベル未満に留まることを確実にする。発酵容器中で達成可能な高い細胞密度に従いグルコース濃度が増大したこと以外、培養培地は前に記載したものと同じである。
ケモスタット試験:ケモスタット実験を実施して、バッチ形式から連続形式への発酵形式の変更が、3−ヒドロキシイソ酪酸および/またはMAAの収率および容積測定生産性にどのように影響を与えるかの直接的指標を得る。回分形式を使用する前に記載したバイオリアクターは、培地の連続供給によってケモスタット形式で作用させ、使用済み培養物は除去する。流入速度を設定して、バッチ中の各株に関して観察した最大増殖速度の80%の一定希釈率を維持し、流出は維持レベルに調節する。グルコースは培地中の限られた栄養素であり、容器中で望ましい光学濃度を得るように設定する。
適応進化:ノックアウト株は、それらの代謝ネットワークがそれらの失われた機能に適応するまで、準最適増殖速度を最初に示すと予想される。この適応を容易にするため、これらの株を適応進化させる。これらの株に適応進化を施すことによって、細胞増殖速度は一次選択圧状態になり、突然変異細胞はそれらの代謝の流れに強制的に再分配されてそれらの増殖速度は高まる。この代謝の再プログラミングは、様々な基質で適応進化させてコンピュータモデルによって推測的に予想した増殖率に到達させた、いくつかのE.coli突然変異体に関して近年実証されている(FongおよびPalsson、Nat.Genet.、36巻、10号、1056〜1058頁(2004年))。OptKnock作製株は、他者より優れた品質を有する一株をおそらくもたらし得るE.coliにおいて以前に確認された進化パターンの違いによって(FongおよびPalsson、Nat Genet.、36巻、10号、1056〜1058頁(2004年);Fongら、J.Bacteriol. 185巻、21号、6400〜6408頁(2003年);Ibarraら、Nature、420巻、6912号、186〜189頁(2002年))、三連で適応進化させる(平行して実施する)。得られる増殖改善の速度に応じて、進化は2〜6週間の間実施する。一般に、安定した表現型を得た後に進化を停止させる。OptKnock手法の根底にある増殖連結型の生化学的生産概念は、遺伝的に安定した過剰生産体の生成をもたらす。
上記および前の実施例中に記載したように、メタクリル酸(MAA)および3−ヒドロキシイソブチレート(3−HIB)生成と細胞増殖を連結するための株の工学的操作戦略は、OptKnock法を使用して計算した。2つの経路を調べた。第1の経路は中間体としてメチルマロニルCoAを介して進行する。第2の経路は4−ヒドロキシブチリルCoAを介して進行し、CoAトランスフェラーゼ、ヒドロラーゼまたはシンテターゼのいずれかを利用して、3−ヒドロキシイソブチリルCoAを3−HIBに転換することができる。あるいは、3−ヒドロキシイソブチリルCoAを最初にメタクリリルCoAに転換する場合、この経路によってMAAを直接生成することができる。経路の選択、宿主のバックグラウンド、およびそれぞれ個々のステップ用の酵素の選択は、最終生成株の生成物収率および増殖特性に影響を与える。
3−ヒドロキシイソ酪酸が前駆体として生成されると想定して、両経路の最終ステップは、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼによるMAAへの3−HIBの脱水を伴う。この転換はエネルギーまたは酸化還元当量を必要としないので、MAAに関して記載する株設計戦略は、3−ヒドロキシイソ酪酸デヒドラターゼ活性が生成生物体中に存在しない場合、3−HIB生成の増殖連結型生成に適用することもできることが理解される。この場合、天然に存在しない生物体はMAAの代わりに3−HIBを生成し得る。最大理論生成物およびエネルギー収率は、MAAまたは3−HIBが生成するかどうかとは無関係に不変である。
全ての最優先の株設計は3つの主要な欠失:MDH、LDH_DおよびADHErに基づいて構築する。この分析は、宿主株設計戦略は顕著に類似しており、宿主生物体中の少数の酵素活性の欠失を含むことを明らかにした。MAA(または3−HIB)の生成に影響を与える主な酵素活性は、アセトアルデヒドCoAデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH_D)、ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHy)、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)、ATPシンテターゼ(ATPS4r)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)、アスパルターゼ(ASPT)、酢酸キナーゼ(ACKr)、ホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)およびNADHデヒドロゲナーゼ(NADH6)である。表6および8中の株設計にこれらのノックアウトのいずれか、または本明細書で開示する天然に存在しない微生物体のいずれかを加えることによって、MAAまたは3−ヒドロキシイソブチレートの収率をさらに改善し得る。
(実施例XXV)
スクシニルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoA前駆体経路を介してMAAおよび/または3−ヒドロキシイソブチレートの増大した理論収率をもたらす主要代謝酵素
この実施例は、前駆体としてスクシニルCoAまたは4−ヒドロキシブチリルCoAを利用してMAAおよび/または3−ヒドロキシイソブチレート経路で工学的に操作された生物体の理論収率を増大するために調節することができる主要代謝反応の酵素を記載する。
この実施例中、本発明者らは、スクシニルCoAからMAAの経路または4−ヒドロキシブチリルCoAからMAAの経路により工学的に操作された微生物において高収率のMAAを与える、いくつかの主要代謝反応の重要性を実証する。MAAによってまたはMAA以外で工学的に操作された微生物によって3−ヒドロキシイソ酪酸が生成する場合、この実施例中に記載する分析は同様に当てはまる。具体的には、主要代謝中のそれぞれの反応が個別に除去されると想定して、MAA生成経路の片方または両方を補ったE.coliの代謝ネットワークに関するグルコースからのMAA、または3−ヒドロキシイソ酪酸の収率を最大にした一連の線形計画法(LP)の問題を解決した。前に論じたように、いずれかの経路を介したグルコースからの最大MAA収率は1.33mol/molである。主要代謝は、解糖、ペントースリン酸経路、トリカルボン酸回路、グリオキシレートシャント、および様々な補充反応中の全ての反応を含む。他に記さない限り、PEPカルボキシキナーゼは、糖新生、ホスホエノールピルビン酸へのATP消費方向においてのみ作用することができたと想定した。例示的な微生物としてE.coliを選択したが、本明細書に示す分析はほぼ任意の原核または真核生物体に適用可能である。さらに、本明細書に記載する結論は例示的な炭水化物フィードストックとは無関係に有効であり、この実施例中で任意に選択するのはグルコースである。
外部電子アクセプター(例えば、酸素、硝酸塩)の存在下でその欠失が最大MAA収率に悪影響を与える反応を、3つのネットワーク想定:1)非欠失型野生型ネットワーク(すなわち、全ての反応が存在する);2)リンゴ酸デヒドロゲナーゼを差し引いた野生型ネットワーク(すなわち、いくつかのOptKnock設計において減弱を標的とする1つの反応);および3)リンゴ酸デヒドロゲナーゼとピルビン酸ギ酸リアーゼの両方を差し引いたネットワーク(すなわち、いくつかのOptKnock設計において減弱を標的とする2つの反応)で表14中に示す。外部電子アクセプターが存在しないと想定した同様の結果は表15中に示す。この分析は、以下でより詳細に論じる3つの重要な観察結果をもたらした。
Figure 2014147400
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観察1.クエン酸シンターゼおよびアコニターゼを介した十分な流れが、全ての場合80%を超えるMAAの理論収率を得るために必要とされる。好気的条件下では非常に活性があるが、トリカルボン酸回路の酸化部分は、酸素または硝酸塩などの外部電子アクセプターの不在下では非常に活性があるわけではない。例えばE.coliでは、クエン酸シンターゼはNADHによって阻害され、その濃度は外部電子アクセプターの不在下で高い。さらに、酸素制限条件下では、トリカルボン酸回路の酵素の発現はarcA遺伝子の生成物によって抑制される(Alexeevaら、J.Bacteriol.、185巻、1号、204〜209頁(2003年))。酸素制限条件下でE.coliにおいてクエン酸シンターゼおよびアコニターゼ活性を増大するための1つの例示的な方法は、レギュレーターarcAの欠失および/または天然クエン酸シンターゼとNADH無反応酵素の交換を含む(Stokellら、J.Biol.Chem.、278巻、35435〜35443頁(2003年);JinおよびSonenshein、J.Bacteriol.、178巻、12号、3658〜3660頁(1996年)。
観察2.グリオキシレートシャント酵素、イソクエン酸リアーゼ、およびリンゴ酸シンターゼは、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ活性が減弱するとき、MAAの最大理論収率を得るために必要とされる。イソクエン酸リアーゼまたはリンゴ酸シンターゼ活性なしでMAAの最大収率が約20%低下すると、グリオキシレートシャントに関する要件は酸素制限条件下で悪影響を受ける。E.coliにおいてグリオキシレートシャント活性を増大するための1つの例示的な方法は、Sanchezら、(Metab.Eng.、7巻、3号、229〜239頁(2005年)中に記載されたような転写リプレッサー、iclRの欠失を含む。
観察3.リンゴ酸デヒドロゲナーゼおよびピルビン酸ギ酸リアーゼ欠損バックグラウンドでは、ピルビン酸デヒドロゲナーゼは、外部電子アクセプターの存在下で93%の最大理論MAA収率、または外部電子アクセプターの不在下で58%の最大理論収率に達することが必要とされる。ピルビン酸デヒドロゲナーゼは、高いNADH/NAD、ATP/ADP、およびアセチルCoA/CoA比によって阻害される。したがってこの酵素は、大部分はlpdAによってコードされるサブユニットE3のNADH感度が原因で、E.coliなどの生物体において酸素制限または嫌気的条件下で非常に低い活性を本来示す。酸素制限条件下でE.coliにおいてピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性を得るための例示的な方法は、天然プロモーターと嫌気的誘導型プロモーターの交換(Zhouら、Biotechnol.Lett.、30巻、2号、335〜342頁(2008年))、NADH感度を軽減するためのlpdAへの点突然変異の導入(Kimら、J.Bacteriol.、190巻、11号、3851〜3858頁(2008年)、またはリプレッサー、pdhRの不活性化(QuailおよびGuest、Mol. Microbiol.、15巻、3号、519〜529頁(1995年))を含む。正味のピルビン酸デヒドロゲナーゼ様活性は、あるいはピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼから得ることができる。そうするために、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ(PFOR)酵素を使用して、フェレドキシンタンパク質を同時に還元しながらピルビン酸をアセチルCoAに転換する。還元フェレドキシンは、次いでNAD(P)H/フェレドキシンオキシドレダクターゼによってその電子をNAD+またはNADP+に移す。異種および天然PFOR遺伝子は、E.coliにおいて水素生成を改善することが近年実証されている(AkhtarおよびJones、Metab.Eng.11巻、139〜147頁(2009年);Doら、Appl.Biochem.Biotechnol.153巻、21〜33頁(2009年))。
最後に、PEPカルボキシキナーゼがATP形成、オキサロ酢酸へのCO固定方向において作用することができると想定して、この分析を繰り返した。E.coliなどの生物体中では、ホスホエノールピルビン酸からオキサロ酢酸への代謝の流れは、PEPカルボキシラーゼ、ATP当量を生成しない酵素によって実施される。しかしながら、CO固定PEPカルボキシキナーゼ活性は、適切な条件下で天然PEPカルボキシキナーゼを過剰発現させること(Deokら、J.Microbiol.Biotechnol.16巻、9号、1448〜1452頁(2006年))、またはより好ましい力学的特性を有するPEPカルボキシキナーゼ酵素をコードする外来遺伝子を発現させることによって、E.coliにおいて高めることができる。観察されるPEPカルボキシキナーゼ活性は、減弱したPEPカルボキシラーゼ活性を有する宿主生物体中でさらに優勢である可能性がある(Kimら、Appl.Env.Microbiol.70巻、2号、1238〜1241頁(2004年))。PEPカルボキシキナーゼがオキサロ酢酸への有意で実質的な流れを有し得るという想定によって、イソクエン酸リアーゼおよびリンゴ酸シンターゼ活性に関する絶対条件を除外して、全ての場合においてMAAの最大収率を得る。さらに、ピルビン酸デヒドロゲナーゼに関する要件も、野生型およびリンゴ酸デヒドロゲナーゼ陰性バックグラウンドで除外する。それにもかかわらず、MAA生成用に選択した宿主生物体へのPEPカルボキシキナーゼ活性の工学的操作は、0.47mol/molから1.71mol/molにMAA経路の最大ATP収率を改善するその役割のため有用であり得る。
この実施例は、3−ヒドロキシイソブチレートまたはMAA生成微生物体に導入して生成物収率を増大することができる、追加的改変を記載する。
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本出願を通じて、様々な刊行物に言及してきた。これらの刊行物の開示は、本出願において本発明が属する現況技術をより完全に記載するために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。前に示した実施例を参照しながら本発明を記載してきたが、本発明の精神から逸脱せずに、様々な改変を加えることができることは理解されたい。

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載された発明。
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