JP2013075966A - 水性分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の水性分散体は、酸成分とアルコール成分とを含むポリエステルポリマーを主鎖とするポリエステル共重合体であり、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が末端に導入されたポリエステル共重合体が水性媒体中に分散した水性分散体であって、該ポリエステル共重合体の酸価が15mgKOH/g以上、かつ数平均分子量が7000〜90000であり、ポリエステル共重合体におけるスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合が1モル%未満であり、界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)酸成分とアルコール成分とを含むポリエステルポリマーを主鎖とするポリエステル共重合体であり、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が末端に導入されたポリエステル共重合体が水性媒体中に分散した水性分散体であって、該ポリエステル共重合体の酸価が15mgKOH/g以上、かつ数平均分子量が7000〜90000であり、ポリエステル共重合体におけるスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合が1モル%未満であり、界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする水性分散体。
(2)ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物の共重合割合が、ポリエステル共重合体に含まれる酸成分の全量に対して1〜18mol%であることを特徴とする(1)の水性分散体。
(3)ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が、2個の酸無水物基を有する化合物において1個の酸無水物基が開環したものであることを特徴とする(1)または(2)の水性分散体。
(4)ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が、ピロメリット酸二無水物の1個の酸無水物基が開環したものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの水性分散体。
(5)25℃における表面張力が10〜50mN/mであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの水性分散体。
(6)(1)〜(5)のいずれかの水性分散体を製造する方法であって、酸成分およびアルコール成分を重合してポリエステル樹脂を得た後、該ポリエステル樹脂の末端水酸基量を基準として1.0〜3.0当量の2個の酸無水物基を有する化合物を添加し、該化合物の2個の酸無水物基のうちの1個の酸無水物基を、ポリエステル樹脂のヒドロキシル末端に付加反応させることによって、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が導入されたポリエステル共重合体を得た後、該ポリエステル共重合体を、塩基性化合物を用いた自己乳化法によって、水性媒体中に分散させることを特徴とする水性分散体の製造方法。
(7)2個の酸無水物基を有する化合物としてピロメリット酸二無水物を用いることを特徴とする(6)の水性分散体の製造方法。
(8)(1)〜(5)のいずれかの水性分散体を含有する被膜。
本発明の水性分散体は、ポリエステル共重合体が水性分散体中に分散してなるものである。
本発明において用いられるポリエステル共重合体は、酸成分とアルコール成分とを含むポリエステルポリマーを主鎖とし、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が末端に導入されたものである。
本発明に用いられるポリエステル共重合体は、上述のように、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が末端に導入されているため、数平均分子量を90000以下とすることが可能となる。このカルボキシル基は反応性が低いため、他のポリエステルポリマーへの付加が発現しない。その結果、数平均分子量が過度に増大することを抑制することができ、つまり、90000以下とすることができる。
まず、多価カルボン酸およびグリコールなどのモノマーの組み合わせを適宜選択し、これらを公知の重合法で重合して、ポリエステル樹脂を得る。そして、該ポリエステル樹脂に、その末端水酸基量を基準として、1.0〜3.0当量の2個の酸無水物基を有する化合物を付加反応させ、本発明のポリエステル共重合体を製造することができる。
本発明の水性分散体は、ポリエステル共重合体を、自己乳化法によって、塩基性化合物を用いて水性媒体中に分散させて製造される。
(1)ポリエステル共重合体の組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、「ECA500 NMR」)を用いて、1H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から共重合体の組成を求めた。測定条件は、分解能が500MHz、溶媒として重水素化トリフルオロ酢酸を用い、温度25℃であった。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められないモノマーを含む共重合体については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
末端の酸無水物基が開環している状態における酸価を測定した。ポリエステル共重合体を0.5g精秤し、50mlのジオキサン水溶液[(ジオキサン)/(水)=9/1](体積比)に対して、150℃で40分間溶解をおこなった。このとき、末端の酸無水物基が開環すると推測される。そして、室温まで冷却した後、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価として求めた。
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、「ダイヤモンドDSC」)を用い、20℃から120℃まで10℃/分で昇温させて測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析により、以下の条件でポリスチレン換算にて測定した。
送液ユニット:島津製作所社製、「LC−10ADvp型」
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製、「SPD−6AV型」
検出波長:254nm
カラム:Shodex社製「KF−803」1本、Shodex社製「KF−804」2本を直列に接続して使用した。
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
上記(4)で求められた重量平均分子量を、上記(4)で求められた数平均分子量で除することにより求めた。
上記(4)で求められた数平均分子量を、繰り返し単位式量で除することにより求めた。なお、繰り返し単位式量とは、得られるポリエステル共重合体の1mol当たりの式量を示す。
水性分散体を約1g秤量し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物の質量を秤量(X1gとする)し、以下の式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(X1/1)×100
pHメーター(堀場製作所社製、「F−21」)を用い、pH7およびpH9の標準緩衝液(ナカライテスク社製)により校正した後、測定温度25℃で水性分散体のpHを測定した。
接触角計(協和界面科学社製 「Drop Master 500」)を用い、測定温度25℃で懸滴法にて水性分散体の表面張力を測定した。
水性分散体中のポリエステル樹脂の濃度が0.1質量%になるように水で希釈し、レーザー回折式粒径測定装置(日機装社製、「MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)」)を用い、体積平均粒径、および数平均粒径を測定した。なお、ポリエステル樹脂の屈折率は1.57、ポリエステル樹脂の密度は1.21g/cm3と設定した。
水性分散体30gを50mLのガラス製サンプル瓶に密封し、25℃で180日保存した。保存後、サンプル瓶から上澄み液を採取し、固形分濃度を測定した。そして、下記式により、沈殿したポリエステル樹脂の割合を計算し、以下の基準で評価した。評価の結果が×であるものは、長期の保存安定性を有さないと判断した。
(沈殿したポリエステル樹脂の割合)(質量%)={保存前の固形分濃度(質量%)−保存後の固形分濃度(質量%)}/{保存前の固形分濃度(質量%)}
◎:沈殿したポリエステル樹脂の割合が0.1質量%未満である。
○:沈殿したポリエステル樹脂の割合が0.1質量%以上0.5質量%未満である。
△:沈殿したポリエステル樹脂の割合が0.5質量%以上1.0質量%未満である。
×:沈殿したポリエステル樹脂の割合が1.0質量%以上である。
水性分散体を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)の非処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータ「No.542−AB型」、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、100℃に設定された熱風乾燥機中で2分間乾燥させることにより、膜厚が3μmの被膜を形成した。この被膜を目視にて観察し、外観を評価した。
また、上記記載の通り形成した樹脂被膜を、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅:18mm)を、一方の端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって、粘着テープと樹脂被膜とを十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製、「SYSTEM2000」、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否か、すなわち樹脂被膜が粘着テープにより剥離されているかにより分類し、密着性を評価した。
上記の2種類の評価より、総合的な樹脂被膜の造膜性を以下の基準で評価した。
なお、被膜の厚みは、厚み計(ユニオンツール社製、「MICROFINE」)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上に被膜を形成した後、この被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差により求めた。
○:クラック、微細な凹凸、白化などの外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれもが認められない。
△:クラック、微細な凹凸、白化などの外観不良、あるいは粘着テープによる樹脂被膜の剥離のうち、いずれか一方が認められる。
×:クラック、微細な凹凸、白化などの外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれもが認められる。
前記(12)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が3μmの被膜を形成した後、25℃の蒸留水に浸漬させた。これを30分後に静かに引き上げ、25℃で1日かけて風乾させた後、被膜の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:外観変化がなかった。
△:表面が白く曇るなどの表面状態の変化が発現したが、被膜は溶解または膨潤しなかった。
×:被膜が溶解または膨潤した。
前記(12)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が3μmの被膜を形成した後、25℃のイソプロピルアルコールに浸漬させた。これを30分後に静かに引き上げ、25℃で1日かけて風乾させた後、被膜の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:外観変化がなかった。
△:表面が白く曇るなどの表面状態の変化が発現したが、被膜は溶解または膨潤しなかった。
×:被膜が溶解または膨潤した。
前記(12)と同様にして、膜厚が3μmの被膜を形成したPETフィルムを2枚準備した。被膜面同士が接触するように重ね、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで10秒間)を用いて100℃でプレスし、積層体を作製した。その後、積層体を20℃、60%RHの雰囲気下で1日放置した後、25mm巾に切断し、引張試験機(インテスコ社製、「インテスコ精密万能試験機2020型」)を用いて、20℃で引張速度50mm/分で180度剥離試験をおこない、剥離強度を測定した。
本発明においては、プレスした積層体の剥離強度が、8N/25mm以上であることを必要とし、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。
[ポリエステル共重合体Aの調製]
テレフタル酸(TPA)1661g、イソフタル酸(IPA)1661g、エチレングリコール(EG)906g、ネオペンチルグリコール(NPG)1291gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で5時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込樹脂組成を、モル比で、TPA/IPA/EG/NPG=50/50/73/62とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン1.2g(酸成分1モルあたり2.0×10−4モル)とリン酸トリエチル0.7g(酸成分1モルあたり2.0×10−4モル)を添加し、系の温度を260℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下で、さらに表1に記載の時間で重縮合反応を続け、その後系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、240℃になったところで無水ピロメリット酸122g(酸成分1モルに対して0.028モル)を添加し、240℃で1時間撹拌して、付加反応をおこないポリエステル共重合体とした。その後、系を窒素ガスで加圧状態にして該協重合体をストランド状に払出し、水冷後、カッティングしてペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル共重合体Aを得た。
テレフタル酸1030g、イソフタル酸1163g、セバシン酸(SEA)1375g、エチレングリコール832g、ネオペンチルグリコール1416gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で6時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込組成を、モル比で、TPA/IPA/SEA/EG/NPG=31/35/34/67/68とした。次いで、触媒としてテトラブチルチタネート1.4gを添加した後(酸成分1モルあたり2.0×10−4モル)、系の温度を230℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下で、さらに表1に記載の時間で重縮合反応を続け、その後系を窒素ガスで常圧にし、無水ピロメリット酸96g(酸成分1モルに対して0.022モル)を添加し、230℃で1時間攪拌して付加反応をおこない、ポリエステル共重合体を得た。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておきシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状のポリエステル共重合体Bを得た。
仕込組成、および重縮合時間を、表1のように変更した以外は、ポリエステル共重合体Aと同様にして、ポリエステル共重合体D,F,G,H,J,L,Mをそれぞれ得た。
仕込組成、および重縮合時間を、表1のように変更した以外は、ポリエステル共重合体Bと同様にして、ポリエステル共重合体C,E,I,Kをそれぞれ得た。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SIPA−Na:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
SUA:コハク酸
ADA:アジピン酸
SEA:セバシン酸
PMDA:ピロメリット酸二無水物
CBTDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
CPTDA:1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物
CHTDA:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
PMA:ピロメリット酸
CBTA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸
CPTA:1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸
CHTA:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
PG:1,2−プロパンジオール
BAEO:2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールA)のエチレンオキサイド付加体
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000)
ジャケット付きの、密閉が可能なガラス容器(内容量:2L)と、超高速攪拌機(特殊機化工業社製、「T.K.ロボミックス」)を用い、ポリエステル共重合体A200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン10.4g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水610gをガラス容器内に仕込み、攪拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7000rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して加熱した。次いで、系内温度を71〜75℃に保ち、さらに1時間攪拌してポリエステル共重合体Aの分散をおこなった。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を4000rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却した後、600メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体B200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.2g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水612gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体C250g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン10.8g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水559gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体D300g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン33.8g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水486gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体E300g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン20.8g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水499gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体F300g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン22.7g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水497gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体G200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.2g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水612gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体H200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン7.4g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水613gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体I200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン12.6g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水607gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料を、ポリエステル共重合体N200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン20.8g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水599gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
2Lのポリエチレン製容器に、400gのポリエステル共重合体Aと600gのメチルエチルケトンを投入し、系内温度が70℃になるように加熱攪拌し、ポリエステル共重合体をメチルエチルケトンに完全に溶解させ、ポリエステル共重合体の有機溶剤溶液(固形分濃度:40質量%)を得た。次いで、ガラス容器(内容量2L)に、500gの前記溶液を仕込み、系内温度を17℃に保ちながら攪拌し、塩基性化合物としてトリエチルアミン10.4g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2当量)を添加した。次いで、40g/分の速度で17℃の蒸留水910gを添加し、その後、攪拌を30分間続けた。蒸留水を全量添加する間の系内温度は、17±1℃であった。そして、得られた液状物800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を237g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、28質量%のアンモニア水1.6gを添加した。そして、フラスコ内の液状物を600メッシュのステンレスフィルターでろ過し、水性分散体を得た。
イソプロピルアルコールの代わりに、180gの1−ヘキサノール(溶解性:5.8g/L、沸点:157.1℃、共沸点:97.8℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
トリエチルアミンの代わりに9.4gのジブチルアミン(沸点:159.6℃)(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)を用い、および蒸留水の量を541gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体O200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.7g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水611gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体P200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.3g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水612gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体Q200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.2g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水612gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体R200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン6.5g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1,2倍当量)、蒸留水614gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体S200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン9.5g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水611gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体T200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン9.7g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水610gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体K200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン11.3g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水609gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体L200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン8.2g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水612gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体J200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン6.1g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水614gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなった。しかしながら、分散終了後すぐにポリエステル共重合体が沈降してしまい、長期の保存安定性を有さなかった。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体M200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン15.1g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水605gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料として、25gの界面活性剤(Aldrich社製、「IgepalCO720」)の10質量%水溶液を加えること以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
仕込み原料および組成を、ポリエステル共重合体U200g、イソプロピルアルコール180g、トリエチルアミン9.7g(ポリエステル共重合体の酸価に対して1.2倍当量)、蒸留水610gに変更した以外は、実施例1と同様の方法をおこなって水性分散体を得た。
Claims (8)
- 酸成分とアルコール成分とを含むポリエステルポリマーを主鎖とするポリエステル共重合体であり、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が末端に導入されたポリエステル共重合体が水性媒体中に分散した水性分散体であって、該ポリエステル共重合体の酸価が15mgKOH/g以上、かつ数平均分子量が7000〜90000であり、ポリエステル共重合体におけるスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合が1モル%未満であり、界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする水性分散体。
- ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物の共重合割合が、ポリエステル共重合体に含まれる酸成分の全量に対して1〜18mol%であることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体。
- ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が、2個の酸無水物基を有する化合物において1個の酸無水物基が開環したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の水性分散体。
- ポリエステル共重合体におけるカルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が、ピロメリット酸二無水物の1個の酸無水物基が開環したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散体。
- 25℃における表面張力が10〜50mN/mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性分散体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水性分散体を製造する方法であって、酸成分およびアルコール成分を重合してポリエステル樹脂を得た後、該ポリエステル樹脂の末端水酸基量を基準として1.0〜3.0当量の2個の酸無水物基を有する化合物を添加し、該化合物の2個の酸無水物基のうちの1個の酸無水物基を、ポリエステル樹脂のヒドロキシル末端に付加反応させることによって、カルボキシル基を1個と酸無水物基を1個有する化合物が導入されたポリエステル共重合体を得た後、該ポリエステル共重合体を、塩基性化合物を用いた自己乳化法によって、水性媒体中に分散させることを特徴とする水性分散体の製造方法。
- 2個の酸無水物基を有する化合物としてピロメリット酸二無水物を用いることを特徴とする請求項6に記載の水性分散体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水性分散体を含有する被膜。
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