JP2005068527A - 金属表面処理剤用ポリエステル樹脂、その水分散体およびそれを用いた金属表面処理剤 - Google Patents

金属表面処理剤用ポリエステル樹脂、その水分散体およびそれを用いた金属表面処理剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐溶剤性、加工性、耐食性に優れ、金属表面処理剤として適したポリエステル樹脂、およびその水分散体、その金属表面処理剤を提供することである。
【解決手段】 比重が1.30〜1.40であり、好ましくはポリエステルの全ポリグリコール量を100モル%とした時、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、その合計量が70モル%以上である金属表面処理剤用ポリエステル樹脂、その水分散体およびそれを用いた金属表面処理剤に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、家電用、建材用、自動車用などに用いられる、6価クロムを含有しない、耐食性、加工性に優れたポリエステル樹脂、その水分散体及びその用途に関する。
鋼板の表面処理分野では、鋼板の耐食性向上のために6価クロムを含有するクロメート処理が多様されている。しかし、この6価クロムは有害元素で有ることが知られており、この6価クロムを含有しない金属表面処理剤、表面処理鋼板への要求が高まっている。
例えば不飽和カルボン酸を特定量含有する重合性不飽和単量体を重合して得られる乳化重合体を被覆するもの(特許文献1参照)、アセトアセチル基含有樹脂水性分散液を主剤として被覆するもの(特許文献2参照)、特殊ケト酸と陽イオン、アミン、グアニジン、アミジンから選択される塩基との実質的に非水溶性のモノ−又はポリ−塩基性塩の混合物を被覆するもの(特許文献3参照)などを挙げることができる。いずれも特殊樹脂、あるいは特殊樹脂と無機化合物を混合した物を被覆するものであるが、耐食性は悪くかなり厚く皮膜を形成しても十分な耐食性を確保することができない。また、形成された皮膜は加工時破壊され易く、かつ剥離し易い。
また、水性分散樹脂、シリカ微粒子、チオカルボニル基含有化合物、およびリン酸イオンを配合した水性組成物で、水性分散樹脂が、不飽和カルボン酸を含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンを用いて中和し、水分散化したアイオノマー樹脂とエポキシ化合物とを反応させて得られる水分散体(特許文献4参照)が挙げられるが、耐溶剤性と耐食性を両立することができず、耐食性と耐溶剤性を両立するポリエステル樹脂水分散体の開発が強く要望されている。
特開平5−222324公報 特開平5−148432公報 特開平5−70715公報 特開2002−241957公報
本発明の目的は、耐溶剤性、加工性、耐食性に優れ、金属表面処理剤として適したポリエステル樹脂、およびその水分散体、その金属表面処理剤を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂、その水分散体およびそれを用いた金属表面処理剤である。
(1)比重が1.30〜1.40である金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
(2)酸価が5〜30mgKOH/gである(1)記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
(3)ガラス転移点が20〜100℃である(1)または(2)に記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
(4)ポリエステルの全ポリグリコール量を100モル%とした時、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、その合計量が70モル%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂に無水カルボン酸基を有する化合物を添加して得られるポリエステル樹脂であって、添加する無水カルボン酸基を有する化合物の全添加量を100モル%としたとき、その10モル%以上が式Iで示される構造を分子内に持つ化合物であることを特徴とする金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
式I;
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いた金属表面処理剤用水分散体。
(7)(6)記載のポリエステル樹脂水分散体、硬化剤およびコロイダルシリカを含有する金属表面処理剤。
(8)コロイダルシリカがアルミニウム含有コロイダルシリカであることを特徴とする(7)記載の金属表面処理剤。
(9)(7)または(8)に記載の金属表面処理剤をコーティングした部材。
本発明の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂を使用すると、表面処理金属部材は耐溶剤性と耐食性を両立することができ、上塗り塗料との密着性も良好である。
本発明の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸成分およびポリオール成分からなるポリエステル原料を縮重合して得られる。
芳香族ポリカルボン酸は、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ポリカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸等が挙げられる。脂環族ポリカルボン酸は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種または2種以上任意に使用できる。
上記ポリカルボン酸成分の合計量を100モル%とした時、そのうち芳香族ジカルボン酸の量は80モル%以上であることが好ましい。好ましくは、85モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%である。上記芳香族ジカルボン酸の合計が80モル%未満では得られるポリエステル樹脂の耐加水分解性や、得られる塗膜の硬度が不充分になる場合がある。
また、得られる塗膜の耐衝撃性と硬度との両立の観点から、テレフタル酸とイソフタル酸を併用して使用することが特に好ましく、水分散体作製時の分散性および安定性に優れる。
上記ポリカルボン酸のうち芳香族ジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸は、得られるポリエステル樹脂の耐加水分解性および得られる塗膜の耐候性の観点から、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸類が好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価カルボン酸を併用しても良い。
また、上記ポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、トリエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどである。また、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノール−A、ダイマージオールなどが挙げられる。耐食性、耐溶剤性の観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。特に、ポリエステルの全ポリグリコール量を100モル%とした時、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種が、その合計量が70モル%以上であることが好ましい。
また、発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価ポリオールを併用しても良い。
上記縮重合を行う場合、重合触媒を用いても良い。上記重合触媒としては、例えば、チタン化合物(テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンオキシアセチルアセトネートなど)、アンチモン化合物(トリブトキシアンチモン、三酸化アンチモンなど)、ゲルマニウム化合物(テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、酸化ゲルマニウムなど)、亜鉛化合物(酢酸亜鉛など)などを挙げることができる。上記重合触媒は1種又は2種以上使用してもよい。重合の反応性の面からチタン化合物が好ましい。
上記ポリエステル樹脂の酸価の付与方法は、樹脂を重合した後に常圧、窒素雰囲気下、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸=3,4−無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物などから1種または2種以上を選択し、重縮合終了後に前記した酸無水物を添加する方法や樹脂を高分子量化する前のオリゴマー状態のものにこれらの酸無水物を投入し、次いで減圧下の重縮合により高分子量化することで、樹脂にカルボキシル基を導入する方法などがある。これらのうち、前者の方法が目標とする酸価が得られやすく好ましい。ポリエステル樹脂に無水カルボン酸基を有する化合物を添加する際、水分散体の分散性、ポリエステル重合時の分子量低下防止のために、添加する無水カルボン酸基を有する化合物の全添加量を100モル%としたとき、その10モル%以上が式Iで示される構造を分子内に持つ化合物であることが好ましい。式Iで示される構造を分子内に持つ化合物としては例えば無水ピロメリット酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ナフタレン1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂は、比重が下限1.30、上限1.40であることが好ましい。比重が1.30未満では、耐溶剤性、耐食性、耐アルカリ性が不良な場合がある。また、
1.40を超えると塗膜の耐衝撃性、加工性が低下する、水分散体作製が困難となるなどの可能性がある。好ましくは下限が1.31、上限が1.39であることが好ましい。比重は約20%塩化カルシウム水溶液を入れ、30±0.05℃に調製した500mlメスシリンダー中に気泡のないように試料を入れ、試料がメスシリンダーの中間に留まるように塩化カルシウムの濃度を変化させて比重を調節した時の塩化カルシウム水溶液の比重を比重計により測定した値とする。
ポリエステル樹脂の比重を1.30〜1.40にするためには、例えば直鎖のグリコールを導入する方法、単一芳香族ジカルボン酸方法、金属元素をもつモノマーを導入する方法などが挙げられる。具体的には、直鎖のグリコールを導入する方法(テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=30〜70/70〜30//95〜0/5〜100等)、単一芳香族ジカルボン酸を導入する方法(イソフタル酸//エチレングリコール/1,3−プロピレングリコール=100//95〜30/5〜70等)、金属元素をもつモノマーを導入する方法である。
上記ポリエステル樹脂は、水分散体の安定性、耐溶剤性の観点から、酸価が5〜30KOHmg/gであることが好ましく、8〜20KOHmg/gであることが更に好ましい。上記酸価が5KOHmg/g未満では水分散体の保存安定性が低下する場合がある。また、酸価が30mg/gを超えると、得られる塗膜の耐水性が劣る恐れがある。
上記ポリエステル樹脂は、カルボキシル基以外の極性基を含有してもよい。例えば、スルホン酸金属塩基、リン酸基等が挙げられるが、これらは1種又は2種以上有することができる。スルホン酸金属塩基を導入する方法としては、5−スルホイソフタル酸,4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸,5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩又は2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等の金属塩等のスルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコ−ルをポリカルボン酸成分またはポリオール成分それぞれの10モル%以下、好ましくは7モル%以下、更に好ましくは5モル%以下の範囲で使用する方法が挙げられる。10モル%を超えると樹脂自体の耐加水分解性、塗膜の耐水性が低下する傾向にある。
上記ポリエステル樹脂は数平均分子量3000以上であり、さらには4000以上であることが好ましく、5000以上であることがさらに好ましい。上記数平均分子量の上限は特に限定されないが、樹脂の分散性、水分散体作製時の作業性の観点から、実質的には30000以下であることが好ましい。上記数平均分子量が5000未満では、得られる塗膜の加工性、耐衝撃性および耐食性、分散安定性が低下することがある。上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算値によって決定することができる。
また、上記ポリエステル樹脂は水酸基を有していることが好ましい。特に、本発明の金属表面処理剤が硬化剤を含む場合、この水酸基が硬化官能基として作用する。この場合、上記ポリエステル樹脂水分散体の水酸基価は1〜30mgKOH/gであることが好ましく、2〜15mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基が1mgKOH/g未満では反応性が低下し、得られる塗膜の硬度が低下する恐れがある。上記水酸基価が30mgKOH/gより高くなると、得られる塗膜の耐衝撃性が低下する場合がある。上記水酸基価は、ポリエステル樹脂を溶剤に溶かして無水酢酸と反応させ、次いで過剰の無水酢酸を水酸化カリウムで逆滴定する方法によって決定することができる。
上記ポリエステル樹脂は、ガラス転移点温度が下限20℃、上限100℃であることが好ましい。ガラス転移点温度が20℃未満であると得られる塗膜の硬度が不充分になり、良好な耐食性が得られない場合があり、100℃を超えると樹脂そのものの加工性、耐衝撃性が低下する場合がある。好ましくは、下限は30℃であることが好ましく、40℃であることがさらに好ましい。上限は90℃であることが好ましく、80℃であることがさらに好ましい。上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計の測定によって決定することができる。
本発明の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂の水分散体は、上述のポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解した後、水系に置換して水分散させて得る溶剤置換法や、両親媒性溶媒を用いて直接水分散させて得る直接乳化法などの当業者によってよく知られた方法によって得られる。
上記ポリエステル樹脂の水分散体には、必要により両親媒性溶剤を含有しても良い。両親媒性溶剤としては、例えばn−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、などを用いることができる。このうち、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
カルボキシル基を導入したポリエステル樹脂を作製する場合、分散体の安定化のために、分散体表面のカルボキシル基などの極性基の一部、あるいは全部を塩基性物質で中和しても良い。
上記中和に使用できる塩基性物質としては、例えば、アンモニアやトリエチルアミンに代表されるアミン化合物、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの代表される無機塩基類を挙げることが出来るが、乾燥後の塗膜への残存を無くすため、揮発性の高いアミン化合物であることが好ましい。
上記揮発性の高いアミン化合物としては、具体的には、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンをはじめ、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアモン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、またはN,N−ジメチルプロパノールアミンなどを挙げることができる。特に好ましいのは、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、またはN,N−ジメチルプロパノールアミンなどである。また、これらの揮発性の高いアミン化合物を2種以上併用しても良い。
こうして得られるポリエステル樹脂の水分散体の平均粒子径は、下限5nm、上限が500nmであることが好ましい。平均粒子径が5nm未満では塗装作業性が低下する恐れがあり、500nmを超えると耐食性、加工性が悪化する恐れがあり、さらに分散性が低下する可能性がある。上記平均粒子径の上限は400nmであることがより好ましく、300nmであることがさらに好ましい。また、上記平均粒子径の下限は10nmであることがより好ましく、20nmであることが更に好ましい。分散体の平均粒子径はイオン交換水だけを用いてサンプル濃度0.8(V)に調整してレーザー動的光散乱粒度分布測定装置LB−500(堀場製作所製)によって20℃で測定して決定するものである。
本発明の金属表面処理剤には、必要によりその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。このようなものとしては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂が利用できる。
本発明の金属表面処理剤には、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、一般に用いられているものを使用することができ、このようなものとしては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオン等が挙げられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネートが一般的に用いられる。
上記硬化剤としてのアミノ樹脂は、特に限定されるものではなく、水溶性あるいは非水溶性のいずれであってもよく、例えば、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましい。このようなメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、スミマールM−30W、スミマールM−40W、スミマールM−50W、スミマールMC−1(いずれも住友化学社製)、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との両方を有するものとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(いずれも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(いずれも商品名、三井化学社製)、スーパーベッカミン(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、スミマールM−40W、スミマールMC−1がより好ましい。
また、上記ブロックイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであって、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能基と反応し硬化するものが挙げられる。
これらの硬化剤が含まれる場合、その含有量は金属表面処理剤中の樹脂固形分100質量部に対し、5〜50質量部であることが好ましい。下限が5質量部を下回ると硬化性が不足し、上限が50質量部を超えると塗膜が硬くなりすぎて、加工された部分の割れや剥離が生じ易くなり耐食性が低下する恐れがある。
本発明の金属表面処理剤には、造膜性を向上させ、均一で平滑な塗膜を形成するために公知の溶剤や造膜助剤などを加えても良い。たとえば、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系のものを挙げる事ができる。溶剤を加えることは、焼付け時に水が100℃で一気に揮発することを防止して、ワキの発生防止となることにも役に立つ。
本発明の金属表面処理剤には、耐食性、塗膜表面の硬度などを向上させるためにコロイダルシリカを添加しても良い。金属表面処理剤中のコロイダルシリカの配合量は、固形分質量換算で5〜35質量%が好ましい。コロイダルシリカの配合量が5質量%未満では耐食性が劣る可能性がある。35質量%を超えると樹脂のバインダー効果が小さく、耐食性を低下させる恐れがある。なお、コロイダルシリカの粒子径および種類については本発明では限定するものではなく。例えば、日産化学工業(株)製スノーテックスO、N、Cや旭電化工業(株)製アデライトAT−20N、A、Qなどの市販品が適用できる。その中でも、アルミニウム含有コロイダルシリカが好ましく、日産化学工業(株)製スノーテックスCXS−9等が具体例として挙げられる。アルミニウム表面処理コロイダルシリカの製造方法としては、例えばゾル・ゲル法で製造されたコロイダルシリカをアルミネートイオン(Al(OH)4-)で処理する方法等がある。
本発明の金属表面処理剤には、他の成分が配合されていても良い。たとえば、顔料、界面活性剤、添加剤、シランカップリング剤などである。顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、カオリングレー、カーボンブラック、酸化鉄などの無機顔料や、シアニンブルーなどの有機顔料が例示される。シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。添加剤の例としては、消泡剤、レベリング剤、表面調整剤などが挙げられる。
上述の金属表面処理剤は、特に鋼板上に塗布され、乾燥、焼付けされることによって表面処理皮膜が形成される。塗布の方法は特に限定されず、通常の方法が使用できるが、例えば、ロールコート、吹きつけ、エアナイフ、スピンコート、カーテンコート、浸漬塗布などの方法が挙げられる。必要に応じて、鋼板の表面に公知の方法で前処理を施した後に、本発明の金属表面処理剤を塗布することができる。例えば、水洗、湯洗、アルカリ脱脂、酸洗、研削、ブラッシング、溶剤脱脂などである。
処理される鋼板としては、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金元素がNi、Cr、Feのうちいずれか1種類以上からなる亜鉛合金めっき鋼板、前述の亜鉛めっきあるいは亜鉛合金めっき鋼板をベースにSiO2、TiO2、ZrO2、BaCrO4、などの金属酸化物を分散析出させる亜鉛系分散めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、すずめっき鋼板、ステンレス鋼板などが挙げられる。
金属表面処理剤の乾燥後の付着量は、特に限定されないが、0.1〜20g/m2、更に好ましくは0.2〜10g/m2が望ましい。0.1g/m2未満では耐食性を確保できないことがあり、20g/m2を超えると乾燥時間が長くなり効率的な生産がしにくい場合がある。また、エリクセン加工部の皮膜密着性や、上塗りと膜を塗装後のエリクセン加工部の塗膜密着性が低下する可能性がある。金属表面処理剤の焼付け条件は、特に限定されないが、40〜250℃であることが好ましい。40℃未満では乾燥時間に時間がかかり工業生産として合理的ではない。また、皮膜の乾燥が完全でなくなる可能性がある。また、250℃を超えると能力の高い乾燥炉が必要となる。また、皮膜が硬くなって加工性や加工部耐食性が低下することもある。乾燥の方法も限定されないが、熱風乾燥機、誘導加熱、近赤外線加熱、遠赤外線加熱、間接加熱などの方法が適用できる。鋼板を予熱しておいて、熱時に塗布し、余熱で乾燥させる方法でも良い。
本発明の金属表面処理剤は、上記成分の他に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「質量部」を意味する。
実施例中ポリエステル、ポリエステル水分散体の特性は以下のように測定した。
(1) 還元粘度:ηsp/c(dl/g)
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
(2) 酸価:
試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレインを用いた。
水酸基価:無水酢酸のピリジン溶液でエステル化し、過剰の無水酢酸を水酸化カリウム溶液で、フェノールフタレインを指示薬として適定した。
(3) ガラス転移温度:
示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。サンプルは試料5mgをアルミニウム押え蓋型容器に入れ、クリンプして用いた。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
(4) 樹脂組成:
1H−NMRを測定し、プロトン積分比から算出した。
(5) 比重:
約20%塩化カルシウム水溶液を入れた500mlメスシリンダーを30±0.05℃に調製し、この中に気泡のない試料(ポリエステル)を入れ、試料がメスシリンダーの中間に留まるように塩化カルシウムの比重を調節する。この時の塩化カルシウム水溶液の比重を比重計により測定し、これを試料の比重とした。
(6) 数平均分子量:
ゲルクロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン標準サンプルを基準に用いて測定した。尚、溶剤はテトラヒドロフランを使用した。
(7) 粒子径:
水分散体をイオン交換水だけを用いて固形分濃度 0.1重量%に調整し、動的光散乱粒度分布測定装置LB−500(堀場製作所製)により20℃で測定した。
<実施例1 ポリエステル樹脂の水分散体1>
攪拌機、コンデンサー、温度計を具備した反応容器にジメチルテレフタル酸369部、ジメチルイソフタル酸376部、無水トリメリット酸7部、エチレングリコール447部、2−メチル−1、3−プロパンジオール70部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、260℃にて40分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を22部投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂1はNMRの組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸=48/48/4であり、グリコール成分がモル比でエチレングリコール/2−メチル−1、3−プロパンジオール=85/15であった。また、還元粘度を測定したところ0.38dl/gであり、ガラス転移温度58℃、酸価18.5(KOHmg/g)、比重1.34、数平均分子量9500であった。
このポリエステル樹脂100部に、ブチルセロソルブ33部、トリエチルアミン4.0部を投入した後、80℃で1時間攪拌を行い、溶解した。ついでイオン交換水224部をゆるやかに添加し、不揮発分30%のポリエステルの水分散体1を得た。
<実施例2 ポリエステル樹脂の水分散体2>
実施例1と同様にの反応容器にジメチルテレフタル酸376部、ジメチルイソフタル酸376部、エチレングリコール462部、ジエチレングリコール58部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで4時間かけてエステル化反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、260℃にて40分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を8部、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート33部を投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂2はNMRの組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコールビスヒドロトリメリテート=48/49/1/2であり、グリコール成分がモル比でエチレングリコール/ジエチレングリコール=89/11であった。また、還元粘度を測定したところ0.42dl/gであり、ガラス転移温度60℃、酸価17.8(KOHmg/g)、比重1.35、数平均分子量12500であった。
このポリエステル樹脂100部に、メチルエチルケトン80部を投入した後、80℃で2時間攪拌溶解を行い、イソプロピルアルコール12部、2−アミノエタノール23部を投入し、257部のイオン交換水で水分散を行う。その後、加熱しながら溶剤を留去、200メッシュのナイロンメッシュでろ過し、不揮発分30%のポリエステル樹脂の水分散体2を得た。
<実施例3 ポリエステル樹脂の水分散体3>
実施例1と同様の反応容器にテレフタル酸191部、イソフタル酸440部、2−メチル−1,3−プロパンジオール86部、ジエチレングリコール305部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで4時間かけてエステル化反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、260℃にて40分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、その後、無水トリメリット酸を31部投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂3はNMRの組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸=29/67/4であり、グリコール成分がモル比で2−メチル−1,3−プロパンジオール/ジエチレングリコール=20/80であった。また、還元粘度を測定したところ0.35dl/gであり、ガラス転移温度48℃、酸価21.4(KOHmg/g)、比重1.33、数平均分子量8000であった。
このポリエステル樹脂100部に、メチルエチルケトン80部を投入した後、80℃で2時間攪拌溶解を行い、イソプロピルアルコール12部、N,N−ジメチルエタノールアミン4.1部を投入し、257部のイオン交換水で水分散を行う。その後、加熱しながら溶剤を留去、200メッシュのナイロンメッシュでろ過し、不揮発分30%のポリエステル樹脂の水分散体3を得た。
<比較例1 ポリエステル樹脂の水分散体4>
実施例1と同様の反応容器にテレフタル酸316部、イソフタル酸376部、無水トリメリット酸7部、エチレングリコール348部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール242部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで4時間かけてエステル化反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、260℃にて40分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、その後、無水トリメリット酸を23部投入し、30分間反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、その後、無水トリメリット酸を23部投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステル樹脂3はNMRの組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸=48/48/4であり、グリコール成分がモル比でエチレングリコール/2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール=50/50であった。また、還元粘度を測定したところ0.45dl/gであり、ガラス転移温度65℃、酸価17.6(KOHmg/g)、比重1.25、数平均分子量15000であった。
このポリエステル樹脂を実施例1と同様の方法で水分散体を作製し、ポリエステル樹脂の水分散体4を得た。
<比較例2 ポリエステル樹脂5の製造>
実施例1と同様の反応容器にジメチルテレフタル酸373部、ジメチルイソフタル酸373部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル47部、エチレングリコール256部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(BPE−20F)820部、テトラブチルチタネート0.41部を仕込み、160℃から230℃まで4時間かけてエステル化反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、260℃にて40分間重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂3はNMRの組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホイソフタル酸=48/48/4であり、グリコール成分がモル比でエチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物=50/50であった。また、還元粘度を測定したところ0.42dl/gであり、ガラス転移温度65℃、酸価0.8(KOHmg/g)、比重1.24、数平均分子量12000であった。
このポリエステル樹脂を実施例2と同様の方法で水分散体を作製し、ポリエステル樹脂の水分散体5を得た。
<実施例4 金属表面処理剤1>
実施例1で得られたポリエステル樹脂の水分散体1を33部、スミマールM−40WT(住友化学社製)を2部、スノーテックスST−Oを10部、ネキュア5076 0.08部、イオン交換水22部を混合攪拌し均一分散した金属表面処理剤1を得た。
<実施例5 金属表面処理剤2>
実施例2で得られたポリエステル樹脂の水分散体2を33部、スミマールM−40WT(住友化学社製)を2部、スノーテックスST−CXS−9を10部、ネキュア5076 0.08部、イオン交換水22部を混合攪拌し均一分散した金属表面処理剤2を得た。
<実施例6 金属表面処理剤3>
実施例3で得られたポリエステル樹脂の水分散体3を33部、スミマールMC−1(住友化学社製)を3部、スノーテックスST−OXを8部、ネキュア5076 0.08部、イオン交換水22部を混合攪拌し均一分散した金属表面処理剤3を得た。
<比較例3 金属表面処理剤4>
比較例3で得られたポリエステル樹脂の水分散体4を33部、スミマールM−40ST(住友化学社製)を1部、スノーテックスST−OXを3部、ネキュア5076 0.08部、イオン交換水22部を混合攪拌し均一分散した金属表面処理剤4を得た。
<比較例4 金属表面処理剤5>
比較例4で得られたポリエステル樹脂の水分散体5を33部、スミマールMC−1(住友化学社製)を5部、スノーテックスST−Oを8部、ネキュア5076 0.08部、イオン交換水22部を混合攪拌し均一分散した金属表面処理剤5を得た。
評価試験
めっき付着量が片面20g/m2の板厚0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板をサーフクリーナー155(日本ペイント製)の2%重量濃度溶液で60℃10秒間脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、実施例1〜3、比較例1〜2の金属表面処理剤をバーコーターで塗布し、190℃、30秒間、熱風乾燥機で乾燥した。乾燥膜厚を1μmとなるようにした。
また、めっき付着量が片面60g/m2の板厚0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板を原板とした表面処理鋼板も同じ方法で作成し、評価した。
得られた各々塗膜に対して以下の評価を行った。評価結果は表2に示した。
(1)耐溶剤性試験
20℃の室内において、メチルエチルケトンをしみ込ませたガーゼにて塗面に約1kg/cm2の荷重をかけ、約5cmの長さの間を往復させた。下地が見えるまでに往復回数を記録した。回数の大きいほど耐溶剤性が良好であり、塗膜の硬化が良好であることを示している。
5:50回以上、4:40回〜50回未満、3:25回〜40回未満、2:10回〜25回未満、1:10回未満
(2)塩水噴霧試験
平板(切断ままの鋼板の端面部と裏面部をシール)と、エリクセン7mm加工部(エリクセン試験機で7mm押出した鋼板の端面部と裏面部をシール)について、塩水噴霧試験(JIS Z 2371に規定されるもの)を48時間行い、発生した白錆の発生面積率(%)を目視で評価した。
5:10%未満、4:10%〜20%未満、3:20回〜30回未満、2:30回〜50回未満、1:50%以上
(3)耐酸性試験
25℃、1%酢酸水溶液中に平板(切断ままの鋼板の端面部と裏面部をシール)を24時間浸漬し、変色部の面積率(%)を目視で評価した。
5:10%未満、4:10%〜20%未満、3:20回〜30回未満、2:30回〜50回未満、1:50%以上
(4)耐アルカリ性試験
25℃、5%水酸化ナトリウム水溶液中に平板(切断ままの鋼板の端面部と裏面部をシール)を24時間浸漬し、変色部の面積率(%)を目視で評価した。
5:10%未満、4:10%〜20%未満、3:20回〜30回未満、2:30回〜50回未満、1:50%以上
(5)上塗り塗料密着性
メラミン系低温焼き付け塗料(関西ペイント製、アミラック1000)を焼き付け後の膜厚が30μmとなるように塗布し、135℃、30分焼き付けた。その後、沸水中に1時間浸漬して処理を行ったものを、2mm碁盤目に皮膜をカットし、テープ剥離を行い、塗膜の剥離面積を評価した。
5:剥離面積0%、4:剥離面積5%以内、3:剥離面積10%以内、2:剥離面積50%以内、1:剥離面積50%以上
表2によると、比重の要件を満たさない比較例3、4は、実施例4、5、6に比べて各測定項目とも大きく劣っていることが判る。
本発明は、表面処理剤用ポリエステル樹脂に関するものであり、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用などにおいて優れた耐食性、耐溶剤性を示す金属表面処理剤用ポリエステル樹脂に関するものである。

Claims (9)

  1. 比重が1.30〜1.40である金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
  2. 酸価が5〜30mgKOH/gである請求項1記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
  3. ガラス転移点が20〜100℃である請求項1または2に記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
  4. ポリエステルの全ポリグリコール量を100モル%とした時、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、その合計量が70モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂に無水カルボン酸基を有する化合物を添加して得られるポリエステル樹脂であって、添加する無水カルボン酸基を有する化合物の全添加量を100モル%としたとき、その10モル%以上が式Iで示される構造を分子内に持つ化合物であることを特徴とする金属表面処理剤用ポリエステル樹脂。
    式I;
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いた金属表面処理剤用水分散体。
  7. 請求項6記載のポリエステル樹脂水分散体、硬化剤およびコロイダルシリカを含有する金属表面処理剤。
  8. コロイダルシリカがアルミニウム含有コロイダルシリカであることを特徴とする請求項7記載の金属表面処理剤。
  9. 請求項7または8に記載の金属表面処理剤をコーティングした部材。
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JP2013075966A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Unitika Ltd 水性分散体およびその製造方法
JP2017119729A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 ユニチカ株式会社 金属蒸着層保護コート剤

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