耐汚染塗料組成物
本発明の耐汚染塗料組成物は、下記のポリエステル樹脂成分(A)、架橋剤成分(B)、オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)及びノニオン性界面活性剤成分(D)を含有する塗料組成物である。
(A)ポリエステル樹脂成分
本発明の塗料組成物においてポリエステル樹脂成分(A)は、下記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を、ポリエステル樹脂成分(A)の固形分総量に対して、固形分として50〜100質量%含有する。
(A1)水酸基含有ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂成分(A)の必須成分である水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、通常、下記多塩基酸成分(a1)及びアルコール成分(a2)とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記多塩基酸成分(a1)としては、ポリエステル樹脂の製造に際して多塩基酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。多塩基酸成分(a1)としては、例えば、脂環族多塩基酸(a1−1)、脂肪族多塩基酸(a1−2)、芳香族多塩基酸(a1−3)等を使用することができる。
脂環族多塩基酸(a1−1)は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(例えば4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物、該化合物のエステル化物である。該脂環族多塩基酸(a1−1)としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;これら脂環族多価カルボン酸の無水物;これら脂環族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物(ここで、本明細書において低級アルキルとは例えば、炭素数1〜5程度のアルキルを指す。)等が挙げられる。脂環族多塩基酸(a1−1)は単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
脂環族多塩基酸(a1−1)としては、特に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を好適に使用することができる。
上記のうち、耐加水分解性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を特に好適に使用することができる。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を得る反応において、脂環族多塩基酸(a1−1)の合計含有量は、耐加水分解性及び耐汚染性の観点から、多塩基酸成分(a1)の総量を基準にして、50〜100mol%、特に、70〜100mol%、さらに特に、80〜100mol%の範囲内であることが好ましい。
脂肪族多塩基酸(a1−2)は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物である。具体的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;これら脂肪族多価カルボン酸の無水物;これら脂肪族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。脂肪族多塩基酸(a1−2)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
脂肪族多塩基酸(a1−2)としては、炭素数4〜18のアルキル鎖を有するジカルボン酸を使用することが好ましい。上記炭素数4〜18のアルキル鎖を有するジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸等が挙げられ、なかでもアジピン酸を好適に使用することができる。
芳香族多塩基酸(a1−3)は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物である。具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;これら芳香族多価カルボン酸の無水物;これら芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。芳香族多塩基酸(a1−3)は単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
上記多塩基酸(a1)以外に、酸成分として、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、クエン酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げることができる。上記多塩基酸(a1)以外の酸成分は単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
上記多塩基酸(a1)以外の酸成分のうち、脂肪酸(a3)を好適に使用することができる。脂肪酸(a3)は、直鎖炭化水素の1価のカルボン酸であり、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等を挙げることができる。上記脂肪酸は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのうち、耐侯性の観点から、不飽和度が低いもの、具体的には、ヨウ素価が20以下、特に10以下のものを好適に使用することができる。ヨウ素価は化合物の不飽和度を表わす指標となる数値であり、試料100gが吸収するヨウ素のg数で表わされる。測定はJIS K 5421の規格に従い行なうことができる。
上記不飽和度の観点から、脂肪酸(a3)としては、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、特にヤシ油脂肪酸を好適に使用することができる。
アルコール成分(a2)としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。上記多価アルコールとしては、例えば、脂環族ジオール(a2−1)、脂肪族ジオール(a2−2)、芳香族ジオール(a2−3)等を挙げることができる。
脂環族ジオール(a2−1)は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(例えば、4〜6員環)と2個の水酸基を有する化合物である。該脂環族ジオール(a2−1)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン化合物を付加したポリラクトンジオール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
脂肪族ジオール(a2−2)は、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する脂肪族化合物である。該脂肪族ジオール(a2−2)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
芳香族ジオール(a2−3)は、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する芳香族化合物である。該芳香族ジオール(a2−3)としては、例えば、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール化合物;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
前記脂環族ジオール(a2−1)、脂肪族ジオール(a2−2)及び芳香族ジオール(a2−3)以外の多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール化合物;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン化合物を付加させたポリラクトンポリオール化合物等が挙げられる。
上記のうち、高分子量化及び脂肪酸(a3)を用いる場合の脂肪酸(a3)との変性反応の反応性向上の観点から、3価以上のアルコールを好適に使用することができる。
上記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン化合物を付加させたポリラクトンポリオール化合物;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシブチル)イソシアヌレート等のトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート等が挙げることができる。これらのうち、特に、トリメチロールプロパンが好ましい。
3価以上の多価アルコールを用いる場合、アルコール成分(a2)中の3価以上の多価アルコールの合計含有量は、アルコール成分(a2)の総量を基準にして、10〜70mol%、特に20〜65mol%、さらに特に好ましくは30〜60mol%の範囲内であることが好ましい。
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分(a2)として、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル(商品名「カージュラE10」HEXION Specialty Chemicals社製)等のモノエポキシ化合物と酸とを反応させて得られたアルコール化合物等も必要に応じて使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の製造は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記多塩基酸成分(a1)を必須成分とする酸成分とアルコール成分(a2)とを窒素気流中、150〜250℃で、5〜10時間反応させて、エステル化反応又はエステル交換反応を行なうことにより製造することができる。
上記エステル化反応又はエステル交換反応では、上記酸成分及びアルコール成分(a2)を一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。また、はじめにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分(a2)を用いて、該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の一部をエステル化してもよい。さらに、はじめに水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、酸無水物を反応させて、水酸基含有ポリエステル樹脂をハーフエステル化させてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるために、触媒を用いてもよい。触媒としては、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の既知の触媒を使用することができる。
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、該樹脂の調製中、又はエステル化反応後もしくはエステル交換反応後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等を挙げることができる。
上記モノエポキシ化合物としては、例えば、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル(商品名「カージュラE10」HEXION Specialty Chemicals社製)を好適に用いることができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の数平均分子量は、得られる塗膜の加工性、平滑性の観点から、5000〜30000であり、特に7000〜25000、さらに特に10000〜20000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した数平均分子量及び重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー(株)製)を使用し、カラムとして、「TSK−gel G4000HXL」、「TSK−gel G3000HXL」、「TSK−gel G2500HXL」及び「TSK−gel G2000HXL」(商品名、いずれも東ソー(株)製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の水酸基価は、得られる塗膜の硬化性の観点から、5〜100mgKOH/gであり、特に10〜90mgKOH/g、さらに特に40〜80mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の酸価は、加工性及び耐水性等の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下の範囲内であることが好適である。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の数平均分子量、水酸基価及び酸価の調整は、例えば、前記多塩基酸成分(a1)を必須成分とする酸成分(多塩基酸成分(a1)および必要に応じて多塩基酸(a1)以外の酸成分)中のカルボキシル基と前記アルコール成分(a2)中の水酸基との当量比(COOH/OH)を調整する方法、又は前記エステル化反応又はエステル交換反応における反応温度や反応時間を調整する方法等によって行なうことができる。
上記多塩基酸成分(a1)を必須成分とする酸成分中のカルボキシル基とアルコール成分(a2)中の水酸基の当量比(COOH/OH)としては、一般に、0.5〜0.98の範囲内であることが好適である。
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、得られる塗膜の硬度、加工性などの観点から、0〜50℃、好ましくは10〜40℃の範囲内のガラス転移温度を有することが好適である。本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)により測定される値(ガラス転移温度)である。
酸成分として、前記脂肪酸(a3)を使用する場合、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、得られる塗膜の耐候性の観点から、3〜30%、好ましくは5〜20%の範囲内の油長を有することが好適である。ここで、油長とは、構成成分である多塩基酸成分(a1)及び脂肪酸(a3)を必須成分とする酸成分及びアルコール成分(a2)の総量に対する脂肪酸成分(a3)の質量%である。
ポリエステル樹脂成分(A)として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)以外のポリエステル樹脂(A2)も含めるることができる。
ポリエステル樹脂(A2)は、常法により、多塩基酸成分(a1)を必須成分とする酸成分及びアルコール成分(a2)のエステル化反応又はエステル交換反応によって得られるポリエステル樹脂であり、多塩基酸成分(a1)を必須成分とする酸成分及びアルコール成分(a2)としては、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)で例示したものを使用して、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)で例示した方法と同様にして、製造することができる。
本発明において、ポリエステル樹脂成分(A)の固形分総量に対して、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の固形分含有量は、得られる塗膜の耐汚染性等の観点から、50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%の範囲内である。
(B)架橋剤成分
本発明の塗料組成物において架橋剤成分(B)は、メラミン樹脂及び/又はポリイソシアネート化合物である。
メラミン樹脂
メラミン樹脂(メチロール化メラミン樹脂とも言う。)は、メラミンとアルデヒドとの反応により得られる樹脂であり、部分メチロール化メラミン樹脂及び完全メチロール化メラミン樹脂の両者が包含される。また、メラミン樹脂は、得られる塗膜の硬化性及び加工性等の観点から、好ましくは800〜8000、さらに好ましくは、1000〜5000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
上記アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、特にホルムアルデヒドが好適である。また、メチロール化メラミン樹脂を適当なアルコールによってメチロール基をさらに部分的にもしくは完全にエーテル化したものも使用することができ、エーテル化に使用し得るアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、なかでも、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂;部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂;部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールの両者で部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂を好適に使用することができる。なかでも、得られる塗膜の加工性及び耐汚染性等の観点から、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、ブチルエーテル化メラミン樹脂がさらに好ましい。
本発明の塗料組成物において、得られる塗膜の加工性及び耐汚染性の保持性の観点から、メラミン樹脂としては、メラミン樹脂の固形分総量に対して、ブチルエーテル化メラミン樹脂を、固形分として30〜100質量%、特に50〜100質量%、さらに特に70〜100質量%の範囲内で含有するのが好ましい。
ブチルエーテル化メラミン樹脂は、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂などと比べ極性が低く、基体樹脂であるポリエステル樹脂(A)との相溶性が良好である。そのため、ブチルエーテル化メラミン樹脂を含有する耐汚染塗料組成物から得られる塗膜は、架橋の均一性が優れている。
また、ブチルエーテル化メラミン樹脂は、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂と比べ塗膜中の表層への局在化が生じにくい。そのため、ブチルエーテル化メラミン樹脂を含有する耐汚染塗料組成物から得られる塗膜は、耐侯性も優れている。
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリイズ(株)製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学(株)製)等をあげることができる。
以上に述べたメラミン樹脂はそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
ブチルエーテル化メラミン樹脂の市販品としては、例えば、ユーバン20SE、ユーバン225(以上、いずれも三井化学(株)製)、スーパーベッカミンJ820−60、スーパーベッカミンL−117−60、スーパーベッカミンL−109−65、スーパーベッカミン47−508−60、スーパーベッカミンL−118−60、スーパーベッカミンG821−60(以上、いずれもDIC(株)製)等を挙げることができる。
メチルエーテル化メラミン樹脂としては、例えば、スミマールM−100、スミマールM−40S、スミマールM−55(いずれも住友化学(株)製、商品名)、サイメル300、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル730、サイメル736、サイメル738(以上、いずれも日本サイテックインダストリイズ(株)製、商品名)、メラン522、メラン523(以上、いずれも日立化成(株)製)、ニカラックMS17、ニカラックMS15、ニカラックMS001、ニカラックMX430、ニカラックMX650(いずれも(株)三和ケミカル製、商品名)、レジミン740、レジミン741、レジミン747(以上、いずれもモンサント社製、商品名)等を挙げることができる。
メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂としては、例えば、サイメル232、サイメル235、サイメル202、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル272、サイメル1130、サイメルXV−514、サイメルXV805(いずれも日本サイテックインダストリイズ(株)製、商品名)、スミマールM66B(住友化学(株)製、商品名)、レジミン753、レジミン755(以上、いずれもモンサント社製)等を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂成分(A)とメラミン樹脂との硬化反応を促進するため、必要に応じて、硬化触媒を使用することができる。この硬化反応を促進するための硬化触媒としては、例えば、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物の中和物を用いることができる。
スルホン酸化合物としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等を挙げることができる。スルホン酸化合物の中和物における中和剤としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリなどの塩基性化合物を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート化合物;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物の如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ポリイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが環化重合したイソシアヌレートを好適に使用することができる。
また、ポリイソシアネート化合物として、ブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化した化合物である。
上記ブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好適に使用することができる。上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
上記ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物はそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
また、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物の硬化性を向上させるため硬化触媒を使用することもできる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒等を好適に使用することができる。
本発明の耐汚染塗料組成物において、架橋剤成分(B)として、メラミン樹脂及びポリイソシアネート化合物を併用する場合、メラミン樹脂及びポリイソシアネート化合物の比率(メラミン樹脂/ポリイソシアネート化合物)は、両者の固形分質量比率で、70/30〜99/1、特に80/20〜95/5の範囲内であることが耐汚染性等の観点から好ましい。
本発明の耐汚染塗料組成物において、上記ポリエステル樹脂成分(A)及び架橋剤成分(B)の比率は、ポリエステル樹脂成分(A)及び架橋剤成分(B)の固形分総量を基準にして、ポリエステル樹脂成分(A)の固形分含有量が50〜90質量%、特に、60〜80質量%であることが、硬化性及び加工性の観点から好ましい。架橋剤成分(B)の固形分含有量が10〜50質量%、特に、20〜40質量%であることが、硬化性及び加工性の観点から好ましい。
(C)オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分
本発明の(C)成分は、
一般式:(R1 )n −Si−(OR2 )4−n
[式中、R1はエポキシ基又はメルカプト基で置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基又はフェニル基であり、R2は炭素数が1〜6のアルキル基であり、nは0または1である。]
で表わされるオルガノシリケート及び/又はその縮合物である。
本発明の塗料組成物が含有する(C)成分は、塗布後に効率よく基材表面で親水化効果を塗膜が発揮するために配合されるものであり、この効果の観点から、上記オルガノシリケートの縮合物がより好ましい。
上記一般式におけるR1の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、グリシジル、メチルグリシジル(2−メチルグリシジル)、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、2−メルカプトプロピル、3−メルカプトプロピル、4−メルカプトブチル、フェニル、p−メルカプトフェニル基などを挙げることができる。
(C)成分のオルガノシリケートの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシランなどの4官能シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリn−ブトキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ラウリルトリメトキシシラン、ラウリルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の3官能シランが挙げられる。上記オルガノシリケートの縮合物としては、これらの4官能もしくは3官能シランの1種又は2種以上の組合せでの縮合物などが挙げられる。
オルガノシリケートの縮合物は、常法により製造することができる。市販品としては、例えば、MKCシリケートMS51、MS56、MS57、MS56S、MS56SB5、MS58B15、MS58B30、ES40、EMS31、BTS(以上、いずれも三菱化学(株)製、商品名)、メチルシリケート51、エチルシリケート40、エチルシリケート40T、エチルシリケート48(以上、いずれもコルコート(株)製、商品名)、KR500、KR9218、X−41−1805、X−41−1810、X−41−1818、X−41−1053、X−41−1056(以上、いずれも信越化学工業(株)製、商品名)等を挙げることができる。また、これらのオルガノシリケートの縮合物を単体で、又は2種以上を組合せて部分加水分解縮合することによっても得ることができる。オルガノシリケートの縮合物は、分枝状もしくは直鎖状の縮合物であって、縮合度が2〜100、好ましくは2〜20であることが好適である。本発明の塗料組成物においては、(C)成分のオルガノシリケートやオルガノシリケートの縮合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
前記一般式で表わされるオルガノシリケート及び/又はその縮合物において、OR2基としてメトキシ基と炭素原子数2〜6のアルコキシ基とを有し、メトキシ基/炭素原子数2〜6のアルコキシ基との数の比が95/5〜30/70の範囲内であることが、塗料作成後の可使時間(ポットライフ)の観点から好適である。
本発明の塗料組成物において、(C)成分の固形分含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量を基準にして、1〜20質量%である。好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
(C)成分量が上記範囲内にあることによって、(C)成分を含有する効果がより発揮され、得られる塗膜の初期耐汚染性、及び耐汚染性の保持性、並びに、得られる塗膜の機械的強度及び耐久性の面からも好適である。
(D)ノニオン性界面活性剤成分
本発明の塗料組成物のノニオン性界面活性剤において、ノニオン性とは、水中において分子構造中にカチオン部分、アニオン部分のいずれもが生成し得ない性質のことであり、ノニオン性の対義語として表記するイオン性とは、水中において分子構造中にカチオン部分もしくはアニオン部分が存在し得る性質のことを言うものとする。
界面活性剤は通常、帯電防止効果を有し、この帯電防止効果により、得られる塗膜の帯電を抑制させることができ、また、ノニオン性の界面活性剤はイオン性の界面活性剤を使用する場合と比較して、耐水性等の水負荷が関与する耐性に優れた塗膜を得ることができるものである。
本発明の塗料組成物のノニオン性界面活性剤成分(D)のノニオン性界面活性剤としては、例えば、
POEモノラウレート、POEジラウレート、POEモノオレエート、POEジオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート、ジステアリン酸エチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンテトラオレエート、ソルビタンカプリレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタントリベヘート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンジステアレート、POEソルビタンモノミリスチレート、POEソルビタンジミリスチレート、POEソルビタンジオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、
ソルビットモノラウレート、ソルビットモノオレエート、ソルビットペンタオレエート、ソルビットモノステアレート、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のソルビット脂肪酸エステル、
グリセリンモノミリスチレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンジステアレート、グリセリンジイソステアレート、グリセリンモノカプリレート、ジグリセリンステアレート、テトラグリセリンステアレート、ポリグリセリンモノミリスチレート、ポリグリセリンモノステアレート、デカグリセリンラウレート、ポリグリセリンモノイソステアレート、ポリグリセリンモノオレエート、ポリグリセリンジステアレート、ポリグリセリンジイソステアレート、ポリグリセリントリステアレート、ポリグリセリンペンタオキシステアレート、ポリグリセリンヘプタステアレート、ポリグリセリンヘプタオレエート、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリントリイソステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、
ペンタエリスリトールモノラウレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル;等の多価アルコールアルキルエーテル、
プルロニック(登録商標、BASF社)等のプルロニック型界面活性剤、
テトロニック(登録商標、BASF社)等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物、
POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸などのPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、
POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ誘導体、
POEソルビットラノリン等のPOEラノリン誘導体、
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、
POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、ポリオレフィン及びポリエーテルブロックポリマー等をあげることができる。
これらノニオン性界面活性剤はそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記のうち、耐汚染性及び耐水性の観点から、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種、特に、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を好適に使用することができる。
なお、本明細書中、ノニオン性界面活性剤において、「POE」とは「ポリオキシエチレン」の略であり、「POP」とは「ポリオキシプロピレン」の略である。
上記ノニオン性界面活性剤は、耐汚染性及び耐水性の観点から、30〜60℃の融点を有するものを好適に使用することができる。
上記ノニオン性界面活性剤は、耐汚染性及び耐水性の観点から、水酸基を含有するものを好適に使用することができる。
上記ノニオン性界面活性剤の数平均分子量は、得られる塗膜の耐汚染性及び外観の観点から、500〜3000、特に、1000〜2500の範囲内であるものが好ましい。
ノニオン性界面活性剤の数平均分子量が、500未満であると、屋外使用環境において、雨水等の影響により界面活性剤が塗膜中から流失しやすく、帯電防止効果の低下により耐汚染性が低下する場合がある。また、3000を越えると、(A)成分、(B)成分又は(C)成分との相溶性の低下により、得られる塗膜の外観が低下する場合がある。
上記ノニオン性界面活性剤のHLB値は、特に、オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)及び選択するノニオン性界面活性剤の種類により適正な範囲は異なるが、得られる塗膜の耐汚染性と種々の塗膜性能との観点から、3〜12、特に、4〜10の範囲内であることが好ましい。
HLB値が3未満であると、ノニオン性界面活性剤の親水性が低いため、界面活性剤の帯電防止効果が不十分なことにより、得られる塗膜の耐汚染性が低下する場合がある。
また、HLB値が12を超えると、ノニオン性界面活性剤の親水性が高すぎるため、得られる塗膜の耐水性等が低下する場合がある。
HLB値とは、Hydrophile−Lipophile Balancedの頭文字を取ったものであり、下記式により算出される値である。親水親油バランスで0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。
HLB値=20×(1−(S/A))
S:エステルの鹸化価、A:脂肪酸の酸価。
本発明の塗料組成物において、ノニオン性界面活性剤の配合量は、使用するノニオン性界面活性剤の種類等により、その最適量は変動するため、一概に規定することはできないが、塗膜の耐雨筋汚染性等の耐汚染性及び耐水性の観点から、(D)成分の固形分含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量を基準にして1〜10質量%、特に2〜7質量%、さらに特に3〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
(D)成分量が上記範囲内にあることによって、(C)成分及び(D)成分を併用することによる相乗効果が十分に発揮され、塗膜の初期耐汚染性、耐汚染性の保持性や塗膜の耐久性を向上させる観点からも好適である。
(E)フッ素原子含有樹脂成分
本発明の耐汚染塗料組成物には、耐汚染性をさらに向上させる目的で、フッ素原子含有樹脂成分(E)をさらに含有することができる。
フッ素原子含有樹脂としては、公知のフッ素樹脂を使用することができる。フッ素原子含有樹脂として、特に、下記フッ素原子含有非水分散型樹脂を好適に使用することができる。
本発明の(E)成分の好ましい例としてあげられるフッ素原子含有非水分散型樹脂(Non Aqueous Dispersion、NAD)は、フッ素原子含有非水分散液と換言することもできる。該(E)成分としては、具体的には、フッ素原子含有分散安定剤を含む有機溶剤液中で重合体粒子が分散している非水分散型樹脂(E1)及び分散安定剤を含む有機溶剤液中でフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを構成成分とする重合体粒子が分散している非水分散型樹脂(E2)等をあげることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
非水分散型樹脂(E1)の具体例として、フッ素原子含有分散安定剤(E1a)と有機溶剤(E1b)との混合液中で、重合性不飽和モノマーを共重合させて該混合液に不溶の重合体粒子(E1c)を形成させることにより調製することができる非水分散型樹脂が例示される。非水分散型樹脂(E1)は、分散媒、重合体粒子(分散粒子)および分散安定剤を含む非水分散型樹脂において、分散安定剤がフッ素原子を含有している分散安定剤である非水分散型樹脂、と換言することができるが、これに限定されるものではない。あるいは、非水分散型樹脂(E1)は、フッ素原子含有分散安定剤を含む有機溶剤液中で重合体粒子が分散している非水分散液であり、フッ素原子含有分散安定剤(E1a)を含有する有機溶剤(E1b)中で、これらに不溶の重合体粒子(E1c)が分散している非水分散液であってもよい。
分散安定剤(E1a)はフッ素原子を含有しており、重合体粒子(E1c)を有機溶剤(E1b)中で安定に分散させるための分散安定剤である。分散安定剤(E1a)は、有機溶剤(E1b)と相互に溶解し、重合体粒子(E1c)とは相溶しないものが好ましい。
分散安定剤(E1a)としては、例えば、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート(F−アクリレート)及び/又はフルオロオレフィンを含有する重合性不飽和モノマーを共重合することにより得られる重合体を適用することができる。該重合体には必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシリル基等から選ばれた官能基を1分子あたり1個以上含有させることができる。
上記のフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート(F−アクリレート)としては、例えば、
一般式 CH2 =C(R)−COO−(CH2)n −Rf
[Rは水素原子またはメチル基、nは1〜10の整数、Rfは炭素数1〜21個の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である]
で示される化合物をあげることができる。ここで「フルオロアルキル基」は炭素原子数1〜21個の直鎖状または分岐状の炭化水素基の水素の一部もしくは全部がフッ素原子に置換した基である。かかるF−アクリレートとして、例えば、パーフルオロメチルメチルアクリレート、パーフルオロメチルメチルメタクリレート、パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロブチルエチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルエチルアクリレート、パーフルオロイソノニルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート等をあげることができる。
また、フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどをあげることができる。分散安定剤(E1a)を得るための重合性不飽和モノマーとして、上記F−アクリレート及び上記フルオロオレフィンからなる群から選ばれた1種もしくは2種以上を使用することができる。
分散安定剤(E1a)は、F−アクリレート及びフルオロオレフィンからなる群から選ばれた1種もしくは2種以上を重合させるか、またはF−アクリレート及びフルオロオレフィンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上とその他の重合性不飽和モノマーとを重合させることにより調製することができる。その他の重合性不飽和モノマーとしては、ラジカル重合性の不飽和モノマーであれば特に制限されない。例えば以下の重合性不飽和モノマーを挙げることができる。
アクリル酸又はメタクリル酸のエステル化合物(i):アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸又はメタクリル酸のC1〜20アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸のC3〜20シクロアルキルエステル;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のC2〜8アルケニルエステル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のC3〜20アルケニルオキシアルキルエステル;等。
グリシジル基含有不飽和モノマー(ii):グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等。
水酸基含有不飽和モノマー(iii):ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のC2〜8ヒドロキシアルキルエステル;ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;アリルアルコール、メタアリルアルコール;等。
アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(iv):γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等。
不飽和カルボン酸(v):アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等。
イソシアネート基含有不飽和モノマー(vi):イソシアナトエチルアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
重合性不飽和結合を2個以上有する不飽和モノマー(vii):エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等。
ビニル芳香族化合物(viii):スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレンビニルピリジン等。
(i)〜(viii)以外のその他の重合性不飽和モノマー(iv):アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製、商品名)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、プロピオン酸ビニル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルピリジン等。
分散安定剤(E1a)を調製するための重合反応において、F−アクリレート及び/又はフルオロオレフィンとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合してなる系での両者(F−アクリレート及び/又はフルオロオレフィン、並びに、その他の重合性不飽和モノマーの2成分)の比率は任意に選択することができる。耐汚染性の観点から、該両成分の固形分総量を基準にして、F−アクリレート及び/又はフルオロオレフィンが、固形分として、100〜1質量%、特に30〜5質量%の範囲内であることが好ましく、その他の重合性不飽和モノマーが、固形分として、0〜99質量%、特に70〜95質量%の範囲内であることが好ましい。
F−アクリレート及びフルオロオレフィンからなる群から選ばれた1種もしくは2種以上の重合反応、又はこれらとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合反応はラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーオクトエートなどの過酸化物があげられる。これらの開始剤の使用量はF−アクリレート及び/又はフルオロオレフィンと必要に応じて使用されるその他の重合性不飽和モノマーとの固形分総量に対して、固形分として、0.2〜10質量%、特に、0.5〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
分散安定剤(E1a)を調製するための重合反応において、その他の重合性不飽和モノマーとして、(ii)グリシジル基含有不飽和モノマー、(iii)水酸基含有不飽和モノマー、(iv)アルコキシシリル基含有不飽和モノマー、(v)不飽和カルボン酸、(vi)イソシアネート基含有不飽和モノマー等を使用することにより、グリシジル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、イソシアネート基等の官能基を有する分散安定剤を得ることができる。特に、水酸基を有する分散安定剤は、水酸基を有せしめた重合体粒子(E1c)と共に前記メラミン樹脂成分(B)及び、オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)と反応して三次元に架橋した硬化塗膜を形成することができる。
分散安定剤(E1a)としては、1分子中に平均して0.1個以上の重合性不飽和結合を有するものを好適に使用することができる。分散安定剤(E1a)に重合性不飽和結合を有せしめておくと、重合体粒子(E1c)との間に共有結合を形成させることができるので、分散液の貯蔵安定性、機械的安定性、耐汚染性等が向上するので好ましい。
分散安定剤(E1a)に重合性不飽和結合を導入する方法としては、該分散安定剤中に存在せしめた官能基に該官能基と反応する他の官能基を含有する重合性不飽和モノマーを反応させる方法を挙げることができる。例えば、カルボキシル基を含有する分散安定剤(E1a)にグリシジル基含有重合性不飽和モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)を反応させることによって、該分散安定剤に重合性不飽和結合を導入することができる。また、逆に、グリシジル基を含有する分散安定剤(E1a)にカルボキシル基含有重合性モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)を反応させることによっても、該分散安定剤に重合性不飽和結合を導入することができる。このような官能基の組合せとしては、上記の他に、酸無水物基と水酸基、酸無水物基とメルカプタン基、イソシアネート基と水酸基等を挙げることができる。
分散安定剤(E1a)として、フッ素原子含有を含有する樹脂(フッ素樹脂、例えばF−アクリレート及び/又はフルオロオレフィンとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られる樹脂)、または、該フッ素樹脂に重合性不飽和結合を導入した分散安定剤を好適に用いることができる。このようなフッ素樹脂として、ルミフロンLF800(旭硝子(株))等の市販のフッ素樹脂を挙げることができる。
分散安定剤(E1a)の分子量は、特に制限されないが、数平均分子量で1000〜60000、特に2000〜30000の範囲内であるのが好ましい。
有機溶剤(E1b)としては、上記分散安定剤(E1a)及び重合体粒子(E1c)を調製するために使用するフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート及び/又はフルオロオレフィン、並びにその他の重合性不飽和モノマー等の重合性不飽和モノマーを溶解するが、該重合性不飽和モノマーから得られる重合体粒子(E1c)を実質的に溶解しないものを使用することができる。
したがって、使用する分散安定剤(E1a)及び重合体粒子(E1c)の組成や分子量等の特性値等によって任意に選択されるが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アシル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル化合物;セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル化合物;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、オクチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、アセトフェノン、エチルイソアミルケトン、メチルイソアミルケトン、エチルブチルケトン等のケトン化合物等の有機溶剤を挙げることができる。一般には、脂肪族炭化水素有機溶剤を主体にし、これに適宜芳香族炭化水素、アルコール、エーテル化合物、エステル化合物又はケトン化合物等の有機溶剤を組合せたものを使用することが好ましい。このような好ましい有機溶剤として、原油を分留して得られるミネラルスピリット(例えば、JIS K 2201 4号に規定するもの。)が挙げられる。
非水分散型樹脂(E1)は、例えば、フッ素原子含有分散安定剤(E1a)と有機溶剤(E1b)との混合液中で、重合性不飽和モノマーを共重合させて該混合液に不溶の重合体粒子(E1c)を形成させることにより調製することができる。
重合体粒子(E1c)を得るための重合性不飽和モノマーはラジカル重合性の不飽和モノマーであれば特に制限されない。具体的には上記フッ素原子含有分散安定剤(E1a)で「その他の重合性不飽和モノマー」として例示した、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル化合物(i)、グリシジル基含有不飽和モノマー(ii)、水酸基含有不飽和モノマー(iii)、アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(iv)、不飽和カルボン酸(v)、イソシアネート基含有不飽和モノマー(vi)、重合性不飽和結合を2個以上有する不飽和モノマー(vii)、ビニル芳香族化合物(viii)、(i)〜(viii)以外のその他の重合性不飽和モノマー(iv)等をあげることができる。さらに、重合体粒子(E1c)を調製するための重合性不飽和モノマーとして、前記F−アクリレートを使用することもできる。
重合体粒子(E1c)を得るための上記重合性不飽和モノマーの重合反応はラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合性開始剤としては、例えば、2,2−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーオクトエート等の過酸化物があげられる。これらの開始剤の使用量は重合性不飽和モノマーの総量を基準にして、0.2〜10質量%、特に、0.5〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
重合体粒子(E1c)は、重合性不飽和モノマーとして、前記したグリシジル基含有不飽和モノマー(ii)、水酸基含有不飽和モノマー(iii)、アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(iv)、不飽和カルボン酸(v)、イソシアネート基含有不飽和モノマー(vi)等を使用することにより、グリシジル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、イソシアネート基等の官能基を有する重合体粒子(E1c)を得ることができる。
特に、水酸基を有する重合体粒子は、水酸基を有せしめた分散安定剤(E1a)と共に前記架橋剤成分(B)及び、オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)と反応して三次元に架橋した硬化塗膜を形成することができる。
重合体粒子(E1c)の数平均分子量は、耐汚染性の観点から、10000以上、特に、20000以上の範囲内であることが好ましい。
重合体粒子(E1c)として、耐汚染性向上の観点から、粒子内架橋した重合体粒子を好適に使用することができる。
粒子内架橋した重合体粒子とするには、例えば、相互に反応する官能基を有する重合性不飽和モノマーの組合せを重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法、重合性不飽和結合を2個以上有する不飽和モノマー(vii)を重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法等をあげることができる。
上記のうち、重合反応の安定性の観点から、相互に反応する官能基を有する重合性不飽和モノマーの組合せを重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法を好適に使用することができる。
具体的には、例えば、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)とグリシジル基含有重合性不飽和モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)を重合性不飽和モノマーの構成成分として使用し、それぞれの重合性不飽和モノマーが有するカルボキシル基とグリシジル基とを付加反応させることにより、粒子内架橋した重合体粒子を調整することができる。
このような官能基の組合せとしては、カルボキシル基とグリシジル基の他に、酸無水物基と水酸基、酸無水物基とメルカプタン基、イソシアネート基と水酸基等の組合せを挙げることができる。
非水分散型樹脂(E1)において、分散安定剤(E1a)と重合体粒子(E1c)との比率は任意に選択できる。非水分散型樹脂(E1)の貯蔵安定性と耐汚染性の観点から、該両成分の固形分総量に基づいて、分散安定剤(E1a)が、3〜70質量%、特に5〜60質量%、重合体粒子(E1c)が、97〜30質量%、特に95〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
また、分散安定剤(E1a)と重合体粒子(E1c)との合計濃度は、分散安定剤(E1a)、有機溶剤(E1b)及び重合体粒子(E1c)の総量を基準にして、30〜70質量%、特に40〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
分散安定剤(E1a)を含有する有機溶剤(E1b)中における、重合体粒子(E1c)を得るための重合性不飽和モノマーの重合反応は、一般に60〜160℃程度の温度で約1〜15時間で行なうことができる。このようにして得られる非水分散液(E1)は、特に重合体粒子(D1c)の点において、極めて分散安定性に優れている。
非水分散型樹脂(E1)の平均粒子径は、耐汚染性の観点から、20〜500nm、特に50〜400nm、さらに特に、100〜300nmの範囲内であることが好ましい。
本明細書において、平均粒子径とは、サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、試料をキシレンで希釈し20℃の条件下で測定した値である。
非水分散型樹脂(E2)は、分散安定剤を含む有機溶剤液中でフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを構成成分とする重合体粒子が分散している非水分散型樹脂である。非水分散型樹脂(E2)の具体例としては、分散安定剤(E2a)と有機溶剤(E2b)との混合液中で、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させて該混合液に不溶の重合体粒子(E2c)を形成させることにより調整することができる非水分散型樹脂を挙げることができる。非水分散型樹脂(E2)は、分散安定剤(E2a)を含有する有機溶剤(E2b)中で該分散安定剤および有機溶剤に不溶の重合体粒子(E2c)が分散している非水分散型樹脂であって、該重合体粒子(E2c)がフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合体からなる非水分散型樹脂であってもよい。
分散安定剤(E2a)は、重合体粒子(E2c)を有機溶剤(E2b)中で安定に分散させるためのものであり、有機溶剤(E2b)と相互に溶解し、重合体粒子(E2c)とは相溶しないものが好ましい。
具体的には、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素含有樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂には必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノ−ル基、アルコキシシラン基等から選ばれた官能基を1分子あたり1個以上含有させることができる。
さらに、分散安定剤(E2a)としては、1分子あたり平均0.1個以上の重合性不飽和結合を有するものを好適に使用することができる。重合性不飽和結合を導入する方法としては、例えば、カルボキシル基を含有する分散安定剤に、グリシジル基含有重合性不飽和モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)を反応させる方法、また、逆に、グリシジル基を含有する分散安定剤に、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)を反応させる方法等を挙げることができる。このような官能基の組合せとしては、上記の他に、酸無水物基と水酸基、酸無水物基とメルカプタン基、イソシアネート基と水酸基の組合せ等を挙げることができる。
分散安定剤(E2a)に重合性不飽和結合を導入しておくと、重合体粒子(E2c)との間に共有結合が形成させることができるので、非水分散型樹脂の貯蔵安定性、機械的安定性、耐汚染性等を向上させることができるので好ましい。
分散安定剤(E2a)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1000〜60000、特に2000〜30000の範囲内であるのが好ましい。
有機溶剤(E2b)は上記分散安定剤(E2a)及び重合体粒子(E2c)を調製するためのフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートやその他の重合性不飽和モノマー等の重合性不飽和モノマーを溶解するが、該重合性不飽和モノマーから得られる重合体粒子(E2c)を実質的に溶解しないものを使用することができる。
したがって、使用する分散安定剤(E2a)及び重合体粒子(E2c)の組成や分子量等の特性値によって任意に選択され、有機溶剤(E2b)としては、例えば、前記有機溶剤(E1b)として、例示したものを同様に使用することができる。一般には、脂肪族系炭化水素有機溶剤を主体にし、これに適宜芳香族系炭化水素、アルコール、エーテル化合物、エステル化合物又はケトン化合物等の有機溶剤を組合せたものを使用することが好ましい。このような好ましい有機溶剤として、原油を分留して得られるミネラルスピリット(例えば、JIS K 2201 4号に規定するもの。)が挙げられる。
非水分散型樹脂(E2)は、例えば、分散安定剤(E2a)と有機溶剤(E2b)との混合液中で、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させて該混合液に不溶の重合体粒子(E2c)を形成させることにより調整することができる。
重合体粒子(E2c)を得るためのフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート(F−アクリレート)としては、例えば、
一般式 CH2 =C(R)−COO−(CH2)n −Rf
[Rは水素原子またはメチル基、nは1〜10の整数、Rfは炭素数1〜21個の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である)]
で示される化合物をあげることができる。ここで「フルオロアルキル基」は炭素原子数1〜21個の直鎖状または分岐状の炭化水素基の水素の一部もしくは全部がフッ素原子に置換した基である。具体的には、前記分散安定剤(E1a)で例示したものを同様に使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマーとしては、上記F−アクリレート以外のラジカル重合性の不飽和モノマーであれば特に制限なく使用することができる。
具体的には前記分散安定剤(E1a)で「その他の重合性不飽和モノマー」として例示した、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル化合物(i)、グリシジル基含有不飽和モノマー(ii)、水酸基含有不飽和モノマー(iii)、アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(iv)、不飽和カルボン酸(v)、イソシアネート基含有不飽和モノマー(vi)、重合性不飽和結合を2個以上有する不飽和モノマー(vii)、ビニル芳香族化合物(viii)、(i)〜(viii)以外のその他の重合性不飽和モノマー(iv)等を同様に使用することができる。
重合体粒子(E2c)において、F−アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとの比率は任意に選択することができるが、耐汚染性の観点から、該両成分の総量を基準にして、F−アクリレートが90〜1質量%、特に30〜5質量%、その他の重合性不飽和モノマーが、10〜99質量%、特に70〜95質量%の範囲内であることが好ましい。
F−アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合反応はラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーオクトエート等の過酸化物があげられ、これらの開始剤の使用量はF−アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとの総量に対して、0.2〜10重量%、特に、0.5〜5重量%の範囲内であることが好ましい。
重合体粒子(E2c)は、重合性不飽和モノマーとして、前記したグリシジル基含有不飽和モノマー(ii)、水酸基含有不飽和モノマー(iii)、アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(iv)、不飽和カルボン酸(v)、イソシアネート基含有不飽和モノマー(vi)等を使用することにより、グリシジル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、イソシアネート基等の官能基を有する重合体粒子を得ることができる。
特に、水酸基を有する重合体粒子は、水酸基を有せしめた分散安定剤(E2a)と共に前記架橋剤成分(B)及び、オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)と反応して三次元に架橋した硬化塗膜を形成することができる。
重合体粒子(E2c)の数平均分子量は、耐汚染性の観点から、10000以上、特に、20000以上の範囲内であることが好ましい。
重合体粒子(E2c)として、耐汚染性向上の観点から、粒子内架橋した重合体粒子を好適に使用することができる。
粒子内架橋した重合体粒子とするには、例えば、相互に反応する官能基を有する重合性不飽和モノマーの組合せを重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法、前記重合性不飽和結合を2個以上有する不飽和モノマー(vii)を重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法等をあげることができる。
上記のうち、重合反応の安定性の観点から、相互に反応する官能基を有する重合性不飽和モノマーの組合せを重合性不飽和モノマーの構成成分として使用する方法を好適に使用することができる。
具体的には、例えば、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)とグリシジル基含有重合性不飽和モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)を重合性不飽和モノマーの構成成分として使用し、それぞれの重合性不飽和モノマーが有するカルボキシル基とグリシジル基とを付加反応させることにより、粒子内架橋した重合体粒子を調整することができる。
このような官能基の組合せとしては、カルボキシル基とグリシジル基の他に、酸無水物基と水酸基、酸無水物基とメルカプタン基、イソシアネート基と水酸基等の組合せを挙げることができる。
非水分散型樹脂(E2)において、分散安定剤(E2a)と重合体粒子(E2c)との比率は任意に選択できるが、非水分散液(E2)の貯蔵安定性と耐汚染性の観点から、該両成分の総量に基づいて、分散安定剤(E2a)が、3〜70質量%、特に5〜60質量%、重合体粒子(E2c)が、97〜30質量%、特に95〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
また、分散安定剤(E2a)と重合体粒子(E2c)との合計濃度は、分散安定剤(E2a)、有機溶剤(E2b)及び重合体粒子(E2c)の総量を基準にして、30〜70質量%、特に40〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
分散安定剤(E2a)を含有する有機溶剤(E2b)中における、重合体粒子(E2c)を得るためのF−アクリレートとその他の重合性不飽和モノマーとの重合反応は、一般に60〜160℃程度の温度で約1〜20時間で行なうことができる。このようにして得られる非水分散液(E2)は極めて分散安定性に優れている。
非水分散型樹脂(E2)の平均粒子径は、耐汚染性の観点から、20〜500nm、特に50〜400nm、さらに特に、100〜300nmの範囲内であることが好ましい。
フッ素原子含有樹脂成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。例えば、フッ素原子含有分散安定剤を含む有機溶剤液中で重合体粒子が分散している非水分散型樹脂(E1)を単独、またはこれに代えてもしくはとともに、分散安定剤を含む有機溶剤液中でフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを構成成分とする重合体粒子が分散している非水分散型樹脂(E2)を使用することができる。
本発明の塗料組成物において、(E)成分を使用する場合、(E)成分の量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量を基準にして、固形分として、5〜30質量%、特に10〜30質量%、さらに特に15〜25質量%の範囲内であることが好ましい。(E)成分量が上記範囲内にあることによって、(E)成分の効果が発揮され、塗膜の初期耐汚染性、耐汚染性の保持性や塗膜の機械的強度、耐久性の面からも好適である。
本発明の塗料組成物において、前記した(A)、(B)、(C)及び(D)成分、さらに必要に応じて使用される(E)成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲内において、イオン性(カチオン性又はアニオン性)の界面活性剤、ホウ酸含有化合物などの加水分解促進剤、着色顔料、シリカ微粒子等の体質顔料、有機樹脂粉末、無機質骨材、顔料分散剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、消泡剤や表面調整剤等の塗料添加剤、溶剤等従来から塗料に使用されている公知の材料も使用することができる。
上記ホウ酸含有化合物は、上記オルガノシリケート及び/又はその縮合物成分(C)の加水分解を促進させる作用を有するものである。ホウ酸含有化合物等の加水分解促進剤は、併用すると本発明の塗料組成物のポットライフが短くなるが、耐汚染性向上の観点から使用することができる。
イオン性の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンリン酸エステル、アルキルリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩化合物;例えばラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキル又はアルキルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩などスルホン酸塩化合物;例えばアルキル又はアルキルベンゼン硫酸塩、(ポリ)オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などの硫酸エステル塩系;例えばアルキルスルホコハク酸塩などのカルボン酸塩系;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系等の界面活性剤等をあげることができる。
ホウ酸含有化合物としては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチルなどのホウ酸トリアルキル;ホウ酸などが挙げられる。これらの加水分解促進剤の配合量は、前記(A)成分及び(B)成分の総量に対し、30質量%以下、特に、0.5〜20質量%、さらに特に、1〜10質量%であることが好ましい。
上記体質顔料としては、シリカ微粒子、タルク、マイカ粉、バリタ等を挙げることができる。体質顔料の配合量は、前記(A)成分及び(B)成分の総量に対し、0.1〜20質量%、特に0.5〜15質量%、さらに特に1〜10質量%であることが好ましい。
また、本発明の塗料組成物には、得られる塗膜を、艶消し、半艶等の仕上り外観とするための光沢調整の目的で艶消し剤(F)を使用することができる。艶消し剤(F)は得られる塗膜の光沢を低下させるために使用されるものであり、有機系艶消し剤及び無機系艶消し剤のいずれであってもよい。また、これらは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明の耐汚染塗料組成物は、艶消し、半艶等の光沢を低下させた仕上り外観の塗膜において、特に、耐汚染性、耐食性の保持性に優れた塗膜を形成させることができる。
有機系艶消し剤としては、例えば、塗膜形成時の焼付けによって完全には溶融しない有機樹脂微粒子を挙げることができる。この有機樹脂微粒子は、通常、平均粒子径が3〜80μm、好ましくは5〜60μmの範囲内にあることが塗膜外観、塗装作業性等の観点から好適である。有機系艶消し剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、及びナイロン11やナイロン12等のポリアミド等を挙げることができる。
無機系艶消し剤としては、シリカ、マイカ、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
上記艶消し剤(F)は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。艶消し剤(F)の配合量は、前記(A)成分及び(B)成分の総量に対し、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の耐汚染塗料組成物は、上記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて、上記その他の成分を均一に混合することによって製造することができる。好ましくは、顔料分を予め、(A)成分の一部及び/又は顔料分散剤と混合、分散して顔料ペーストを作成し、該顔料ペーストを残りの成分と混合することによって製造することができる。
本発明の塗料組成物は、一液型塗料とすることもできるが、(C)成分であるオルガノシリケート及び/又はその縮合物を他の成分と分離しておき、使用直前に混合する二液型塗料とすることもできる。
また、架橋剤成分(B)として、ブロックポリイソシアネート化合物でないポリイソシアンート化合物を使用する場合もポリイソシアネート化合物を他の成分と分離しておき、使用直前に混合する二液型塗料とすることもできる。
本発明の塗料組成物は、貯蔵性の観点等から、二液型塗料とすることが好適である。
本発明の耐汚染塗料組成物を塗装する方法としては、塗料組成物を必要に応じて有機溶剤等を添加することにより所望の粘度に調整した後、エアスプレー、静電エアスプレー、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機、刷毛、バーコーター、アプリケーターなどを用いて乾燥後の塗膜の膜厚が通常0.5〜300μm、好ましくは5〜50μmになるように塗布し、通常80〜300℃の温度で5秒間〜1時間程度加熱して硬化させる方法等が挙げられる。なお、塗装方法としては、上記の方法のうち、スプレー塗装やロールコーター塗装が好適である。
塗膜形成方法
本発明の塗膜形成方法は、金属板上の片面又は両面上に、クロム含有防錆成分を含有しないことを特徴とするクロムフリープライマー塗料によるプライマー塗膜を形成し、プライマー塗膜の少なくとも一方の片面上に、上記本発明の耐汚染塗料組成物による上塗塗膜を形成してなることを特徴とする塗膜形成方法である。
換言すると、本発明の塗膜形成方法は、金属板上の片面又は両面上に、クロムフリープライマー塗料によるプライマー塗料によりプライマー塗膜を形成する工程、及び
前記形成されたプライマー塗膜の少なくとも一方の上に、上記本発明の耐汚染塗料組成物により上塗塗膜を形成する工程
を含むことを特徴とする塗膜形成方法である。
また、上記塗膜形成方法の各工程を含む塗装金属板の製造方法、及び上記塗膜形成方法もしくは塗装金属板の製造方法により得られる塗装金属板も本発明により提供される。
本発明の塗膜形成方法における被塗物である金属板としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、合金亜鉛メッキ鋼板(鉄−亜鉛、アルミニウ−亜鉛、ニッケル−亜鉛などの合金亜鉛メッキ鋼板)、アルミニウム板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板等が挙げられる。
金属類に塗装する場合に被塗装材である金属表面が油等汚染物質で汚染されていなければそのままプライマーを塗装してもかまわないが、塗膜との間の付着性、耐食性を改善するために公知の金属表面処理を施すのが望ましい。これら公知の表面処理方法としてリン酸塩系表面処理、クロム酸塩系表面処理、ジルコニウム系表面処理などが挙げられる。
本発明において、金属板上にプライマー塗膜を形成するプライマーとして、環境保護の観点から、クロム含有防錆成分を含有しないことを特徴とするクロムフリープライマー塗料を使用する。上記プライマーは、クロムフリープライマー塗料であれば、着色カラー鋼板塗装分野、産業用機械塗装分野、金属部品塗装分野等で用いられる公知のプライマーを適用することができる。
クロムフリープライマー塗料は、被塗装材の種類、金属表面処理の種類によって適宜選択されるが、特にエポキシ系、ポリエステル系プライマー塗料及びそれらの変性プライマー塗料が好適であり、加工性が特に要求される場合はポリエステル系プライマー塗料が好適である。プライマー塗膜を形成する具体的な手段として、プライマー塗料を塗装し、その後必要に応じて加熱して硬化させる手段が例示される。この場合、プライマー塗料は、プライマー塗膜厚が、1〜30μm、好ましくは2〜20μmとなるようにロール塗装、スプレー塗装等公知の塗装方法により塗装され、通常、雰囲気温度80〜300℃の温度で5秒間〜1時間程度加熱して硬化させる。プレコート塗装する場合には、好ましくは、素材到達最高温度が140〜250℃となる条件で15秒間〜120秒間加熱して硬化させることが好ましい。
プライマー塗膜の層構造は特に限定されるものではなく、例えば、一層であってもよいし、第1のプライマー塗膜の上に第2のプライマー塗膜(中塗塗膜)が形成された二層であってもよい。プライマー塗膜を二層とする場合、第1のプライマー塗膜に防食機能を持たせ、第2のプライマー塗膜(中塗塗膜)に、加工性、耐チッピング性能を持たせるなど、二層のプライマー塗膜に異なる機能を持たせることもできる。
次いで、本発明の塗膜形成方法においては、上記金属板上の片面もしくは両面上に形成されたプライマー塗膜の少なくとも一方の上に本発明の耐汚染塗料組成物により上塗塗膜が形成される。すなわち、上塗塗膜は、形成されたプライマー塗膜の少なくとも片面上に重ねて形成される。ここで、「プライマー塗膜の少なくとも一方の上」とは、金属板上の片面上にプライマー塗膜が形成された場合は、該片面上に形成されたプライマー塗膜の上を指し、金属板上の両面上にプライマー塗膜が形成された場合は、該両面上に形成されたプライマー塗膜のうち金属板上の片面上に形成されたプライマー塗膜の上、もしくは、該両面上に形成されたプライマー塗膜の上を指す。
上塗塗膜を形成する具体的な手段として、本発明の耐汚染塗料組成物を塗装し、その後必要に応じて加熱して硬化させる手段が例示される。塗装方法としては、カーテン塗装、ロールコーター塗装、浸漬塗装、スプレー塗装等を挙げることができる。膜厚は、通常、乾燥後の塗膜厚が5〜50μm、好ましくは8〜25μmの範囲内となるように塗装される。
本発明の塗料組成物をプレコート塗装する場合、その塗装方法に制限はないがプレコート鋼板塗装の経済性からカーテン塗装、ロールコーター塗装が好ましい。。ロールコーター塗装を適用する場合には、実用性の観点から、2本ロールによるボトムフィード方式(いわゆるナチュラルリバース塗装、ナチュラル塗装)が好ましい。あるいは、塗面の均一性を最良のものにするため3本ロールによるトップフィードもしくはボトムフィード方式を行うこともできる。
本発明の塗料組成物による上塗塗膜の硬化条件は、通常、素材到達最高温度120〜260℃で15秒間〜30分間程度である。コイルコーティングなどによって塗装するプレコート塗装分野においては、通常、素材到達最高温度160〜260℃で焼付時間15〜90秒間の範囲で行なわれる。
以下、製造例、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」および「%」はいずれも質量基準によるものである。
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の製造
製造例1
温度計、攪拌機、加熱装置及び精留塔を備えたフラスコ内に下記原材料を仕込んだ:
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物 150.9部(0.98モル)
ネオペンチルグリコール 38.9部(0.37モル)
ブチルエチルプロパンジオール 9.6部(0.06モル)
トリメチロールプロパン 77.8部(0.57モル)
ヤシ油脂肪酸 44.1部(0.21モル)
ジブチル錫オキサイド(触媒) 0.03部。
次いで内容物を攪拌しながら160℃まで昇温し、160℃から230℃まで3時間かけて徐々に昇温し、230℃で30分間反応を続けた後、精留塔を水分離器と置換し、副生する縮合水の除去を促進するため、全仕込み量に対して5%のキシレンを加えて230℃でさらに反応を進め、酸価が4mgKOH/gとなったところで加熱を止め、スワゾール1500(炭化水素系溶剤)を加えて希釈し、固形分65%の水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−1)溶液を得た。
得られた樹脂は、数平均分子量15000、水酸基価75mgKOH/g、油長14.7%、ヨウ素価5>を有していた。
製造例2〜3
下記表1に示す配合にて、製造例1と同様にして、固形分65%の各水酸基含有ポリエステル樹脂(A1−2)〜(A1−3)の溶液を得た。表1の各成分の組成比はモル比である。
各樹脂の数平均分子量、水酸基価、油長及びヨウ素価を併せて表1に示す。
フッ素原子含有非水分散型樹脂成分(E)の製造
分散安定剤(E1a)の製造
製造例4
撹拌装置、温度計、冷却管、酸素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、ルミフロンLF800(旭硝子社製フッ素樹脂(フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体)、水酸基価38mgKOH/g、酸価2mgKOH/g、数平均分子量8100、樹脂質量固形分60%)1834部、グリシジルメタクリレート:15.4部、ターシャリブチルピロカテコール(重合禁止剤)0.55部、ジメチルエタノールアミン(反応触媒)1.1部を仕込んだ後、内容物を攪拌し酸素雰囲気下で120℃に昇温し、反応(ルミフロンLF800のカルボキシル基とグリシジルメタクリレートのグリシジル基との反応)を進めた。固形分酸価が0.4mgKOH/g以下となったところで加熱を止め、反応を終了させ、分散安定剤(E1a−1)(水酸基価38mgKOH/g、数平均分子量8100、樹脂質量固形分60%)を得た。
非水分散型樹脂(E1)の製造
製造例5
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、分散安定剤(E1a−1)41.7部、ミネラルスピリット56部、ヘプタン46部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温し、分散安定剤(E1a−1)125部、メチルメタクリレート40部、メチルアクリレート29部、2−ヒドロキシエチルアクリレート25部、グリシジルメタクリレート5部、メタクリル酸1部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部からなる混合物を3時間かけて滴下した。次いで100℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、ミネラルスピリット30部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて滴下した。その後、更に1時間熟成させることにより、非水分散液(E1−1)(質量固形分濃度50%)を得た。得られた非水分散液(E1−1)は、平均粒子径180nm、ガラス転移温度(粒子成分)18℃、水酸基価120mgKOH/gであった。
耐汚染塗料組成物の製造及び性能試験
実施例1〜27及び比較例1〜5
後記表2及び表3に示す組成にて塗料化を行い、各耐汚染塗料組成物No.1〜32を得た。耐汚染塗料組成物No.28〜32は比較例用の塗料組成物である。
化成処理が施された厚さ0.35mmの溶融55%アルミ−亜鉛めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)の表面および裏面のそれぞれの上に、KPカラー8620プライマー(関西ペイント(株)製、プレコート鋼板用ポリエステル系プライマー)を乾燥膜厚が5μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が220℃となるように加熱して40秒間焼付け、プライマー塗装鋼板を得た。このプライマー塗装鋼板の表面上に上記のようにして得た各耐汚染塗料組成物をバーコーターにて乾燥膜厚が約15μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が230℃となるように加熱して50秒間焼付けて各塗装鋼板を得た。得られた各塗装鋼板について下記性能試験を行った。
試験結果を併せて表2及び表3に示す。なお表2及び表3における各成分の量は固形分質量である。なお、耐汚染塗料組成物の塗料化に際しては、白色顔料である二酸化チタンの分散を行った。また、シクロヘキサノン/スワゾール1500(丸善石油(株)製、芳香族石油系高沸点溶剤)=60/40(質量比)の混合溶剤を塗料組成物の粘度調整等のために使用した。塗装に際しては、塗料組成物粘度をフォードカップ#4で約100秒(25℃)に調整した。
なお、表2及び表3の(注1)〜(注27)は以下のとおりである。
(注1)水酸基含有ポリエステル樹脂:アラキード7018、商品名、荒川化学工業(株)社製、数平均分子量18000、水酸基価6〜12mgKOH/g、酸価5mgKOH/g>、ガラス転移温度50℃(DSCによる測定)、酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸及びセバチン酸の3成分である水酸基含有オイルフリーポリエステル樹脂。
(注2)ユーバン20SE−60:三井化学(株)製、ブチルエーテル化メラミン樹脂、重量平均分子量約4000。
(注3)スーパーベッカミンJ820−60:商品名「スーパーベッカミンJ−820−60」、DIC(株)製、n−ブチルエーテル化メラミン樹脂溶液。
(注4)サイメル303:日本サイテックインダストリイズ(株)製、低分子量メチル化メラミン樹脂。ヘキサキス(メトキシメチル)メラミンの含有量が60重量%以上。
(注5)スミジュールBL3175:住化バイエルウレタン(社)製、トリメチロールプロパンアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネートのメチルエチルケトンオキシムブロック化合物。
(注6)MS56S:三菱化学(株)製、商品名「MKCシリケートMS56S」、テトラメトキシシランの縮合物であるメチルエステル化シリケート。
(注7)MS58B30:三菱化学(株)製、商品名「MKCシリケートMS58B30」、テトラアルコキシシランの縮合物であるメチル/ブチル混合エステル化シリケート、メチル/ブチル数の比率は70/30。
(注8)X−41−1805:信越化学工業(株)製、商品名、メルカプトアルキル基含有トリアルコキシシランの縮合物、メルカプトアルキル基の炭素数は18以下、アルコキシ基の炭素数は6以下である。
(注9)リケマールS−100P:理研ビタミン(株)製、商品名、グリセリンモノステアレート、HLB値4.3、融点63〜68℃、数平均分子量360。
(注10)ポエムM−100:理研ビタミン(株)製、商品名、グリセリンモノカプリレート、HLB値7、融点31℃、数平均分子量220。
(注11)リケマールS−71−D:理研ビタミン(株)製、商品名、ジグリセリンステアレート、HLB値5.7、融点55〜61℃、数平均分子量430。
(注12)ポエムJ−4081V:理研ビタミン(株)製、商品名、テトラグリセリンステアレート、HLB値5.7、常温で固体(フレーク状)、数平均分子量510。
(注13)ポエムL−021:理研ビタミン(株)製、商品名、デカグリセリンラウレート、HLB値14.7、常温でペースト状、数平均分子量1300。
(注14)ポエムJ−0081HV:理研ビタミン(株)製、商品名、デカグリセリンステアレート、HLB値12、常温でペースト状、数平均分子量2200。
(注15)リケマールP−300:理研ビタミン(株)製、商品名、ソルビタンパルミテート、HLB値5.6、融点55〜61℃、数平均分子量700。
(注16)ポエムS−65V:理研ビタミン(株)製、商品名、ソルビタントリステアレート、HLB値3、融点54℃、数平均分子量700。
(注17)リケマールB−150:理研ビタミン(株)製、商品名、ソルビタントリベヘート、HLB値2.5、融点66〜72℃、数平均分子量800。
(注18)リケマールC−250:理研ビタミン(株)製、商品名、ソルビタンカプリレート、HLB値10.6、常温で液状、数平均分子量420。
(注19)ペレスタット300:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリオレフィン及びポリエーテルブロックポリマー、HLB値8〜12、融点135℃、数平均分子量約10000〜20000程度。
(注20)エマルミン110:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンセチルエーテルの混合物、HLB値13.2、常温でペースト状、数平均分子量約10000〜20000程度。
(注21)エマルミン50:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンセチルエーテルの混合物、HLB値9、常温で液状、数平均分子量約3000〜7000程度。
(注22)ニューコール291M:日本乳化剤(株)製、商品名、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩、アニオン性界面活性剤。数平均分子量500。
(注23)ルミフロンLF800:旭硝子(株)製、商品名、フッ素樹脂(フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体)、水酸基価38mgKOH/g、酸価2mgKOH/g、数平均分子量8100、樹脂質量固形分60%。
(注24)サイロイド161W:GRACE GMBH社製、商品名、艶消し剤、有機処理されたシリカ微粉末、吸油量170ml/100g。
(注25)Nacure5225:米国キング・インダストリーズ製、ドデシルベンゼンスルホン酸の第2級アミン中和物のイソプロパノール溶液。ドデシルベンゼンスルホン酸/アミンの中和度は約1.1(モル比)。有効成分約33重量%で、うち、ドデシルベンゼンスルホン酸/アミン(質量比)は約8/25。表2及び表3中の数値は、ドデシルベンゼンスルホン酸の固形分質量部である。
(注26)フォーメートTK−1:武田薬品工業(株)製の有機錫溶液である硬化触媒、ブロック化ポリイソシアネート化合物の解離触媒。
表2及び表3中における性能試験は以下の方法及び評価基準に従って行った。
60°光沢:JIS K−5400 7.6(1990)に規定の60度鏡面光沢度に従い、60度鏡面反射率を測定した。
屋外曝露試験:屋外曝露試験試験片(100×300mm)を、軒先をモデル化した設置台に、北側に塗膜を面するように取り付け、尼崎市神崎町の関西ペイント(株)屋上にて曝露試験を行い、耐汚染性及び耐雨筋汚染性(雨筋状の汚れ跡)を下記基準にて評価した。耐汚染性は曝露前後の色差(ΔE)をJIS Z8370に基づいて、スガ試験機(株)製の多光源分光測色計MSC−5Nを用いて測定した。耐雨筋汚染性は目視にて判定した。
耐汚染性:屋外曝露試験前後でのΔEにより以下の基準により評価した:
S:ΔEが2未満、
A:ΔEが2以上かつ3未満、
B:ΔEが3以上かつ5未満、
C:ΔEが5以上。
耐雨筋汚染性:屋外暴露試験後の雨筋跡を以下の基準により評価した:
S:雨筋跡が見られない、
A:雨筋跡がわずかに認められるが、水を染み込ませたガーゼで容易にふき取ることができる、
B:雨筋跡がかなり認められ、水を染み込ませたガーゼで完全にふき取ることができない、
C:雨筋跡が濃く残り、水を染み込ませたガーゼでふき取ることがほとんどできない。
加工性:20℃の室内において、塗面を外側にして試験板を180度折曲げて、折曲げ部分にワレが発生しなくなるT数を表示した。T数とは、折曲げ部分の内側に何もはさまずに180度折曲げを行なった場合を0T、試験板と同じ厚さの板を1枚はさんで折曲げた場合、1T、2枚の場合2T、3枚の場合3T、4枚の場合4T、5枚の場合5T、6枚の場合6Tとした。結果を以下により判定した。
A:4T曲げ加工において、殆どワレが認められない
B:4T曲げ加工では明らかなワレが認められるが、6T曲げ加工において殆どワレが認められない
C:6T曲げ加工において、明らかなワレが認められる。
耐水性(耐沸騰水性):5cm×10cmの大きさに切断した各試験用塗装板を約100℃の沸騰水中に3時間浸漬した後、引き上げて表面側の塗膜外観を評価するとともに、碁盤目テープ付着試験を行い評価した。碁盤目テープ付着試験は、JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて、切り傷の隙間間隔を1mmとし、碁盤目100個を作り、その表面にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした後の塗面に残存する碁盤目の数を調べた:
A:塗膜にフクレの発生、白化などの異常がなく、残存碁盤目数91個〜100個である。
B:塗膜にフクレ又は白化などの異常がわずかに認められ、残存碁盤目数91〜100個であるか、又は塗膜にフクレの発生、白化などの異常がないが、残存碁盤目数71〜90個である。
C:塗膜にフクレの発生がかなりもしくは著しく認められる、又は残存碁盤目数70個以下である。
総合評価:耐汚染塗料組成物においては、被塗物の加工性、ならびに、得られる塗膜の耐汚染性、耐雨筋汚染性及び耐水性の全てが高いことが重要である。従って、以下の基準にて総合評価を行なった。
S:加工性、耐汚染性、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価がすべてS又はAであり、かつ少なくとも1つがSである、
A:加工性、耐汚染性、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価がすべてAである、
B:加工性、耐汚染性、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価がすべてS、A又はBであり、かつ少なくとも1つがBである
C:加工性、耐汚染性、耐雨筋汚染性及び耐水性の評価のうち少なくとも1つがCである。