JPH0517682A - 水系分散体およびこれを用いた水系塗料用樹脂組成物 - Google Patents

水系分散体およびこれを用いた水系塗料用樹脂組成物

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JPH0517682A
JPH0517682A JP3195909A JP19590991A JPH0517682A JP H0517682 A JPH0517682 A JP H0517682A JP 3195909 A JP3195909 A JP 3195909A JP 19590991 A JP19590991 A JP 19590991A JP H0517682 A JPH0517682 A JP H0517682A
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water
acid
ratio
resin
aqueous dispersion
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JP3195909A
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Hiroshi Tachika
弘 田近
Keiichiro Togawa
惠一朗 戸川
Hiroshi Fujimoto
弘 藤本
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度の折り曲げ加工性、耐コインスクラッ
チ性、耐食性に優れた皮膜形成能を有するポリウレタン
系水系分散体および水系塗料を提供する。 【構成】 50当量/106 g以上の酸価と300〜
5,000当量/106 gのウレタン結合濃度のポリウ
レタン樹脂(A)、水溶性有機化合物(B)、水(C)
および中和剤(D)が下記式2)〜4)を満足する水系
分散体及びこれを用いた水系塗料用組成物。 式2) A/B/C=1〜70/0〜69/9〜99 (重量比) 式3) B/(B+C)=0〜0.7 (重量比) 式4) D/(Aの酸価)=0.1〜20 (当量比)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタン樹脂を有効
成分とする水系分散体に関し、さらに詳しくは、高度の
折り曲げ加工性と耐コインスクラッチ性、耐食性を兼ね
備え、特にプレコート鋼板用プライマーに適したポリウ
レタン樹脂の水系分散体およびこれを用いた水系塗料用
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より塗料、インキ、コーティング
剤、接着および繊維製品や紙などの各種処理剤の分野で
有機溶剤が多量に用いられてきているが、近年の石油資
源の節約、環境汚染防止、RACT等の有機溶剤排出規
制の実施、さらには消防法の改正に伴う有機溶剤の制
限、作業環境濃度の規制強化などと有機溶剤の使用は年
々困難な状況となりつつある。
【0003】そこで種々の方法、例えば(1)ハイソリ
ッドタイプ、(2)非水系ディスパージョンタイプ、
(3)水系ディスパージョン、(4)エマルジョンタイ
プ、(5)無溶剤タイプなどが提案され、すでに実施さ
れているものの多い。これらの中でも水系ディスパージ
ョンタイプはその取扱い易さ故に最も汎用性があり有望
視されている。
【0004】一方、近年、いわゆるプレコート鋼板は経
済性、生産性の面からポストコート法に代わって、屋根
材、建材、家電機器の分野で広く使用されるようになっ
ている。プレコート鋼板はその製造工程上、キズがつき
易くまた折り曲げ加工部の耐食性においてもポストコー
トに劣るという欠点がある。加工工程におけるキズの発
生はとりもなおさず鋼板素地の腐食の原因となり、折り
曲げ加工の工程におけるクラックの発生等の鋼板の耐食
性の低下の大きな原因となっている。プレコート鋼板の
利用分野の拡大において上記2点の解決、すなわち耐コ
インスクラッチ性の向上と、折り曲げ加工性の改良は現
在当業界において最大の課題となっている。
【0005】プレコート鋼板用プライマーには、現在溶
剤型のエポキシ樹脂または共重合ポリエステル樹脂が使
用されている。溶剤型のエポキシ樹脂は鋼板に対する密
着性、コインスクラッチ性、耐食性にすぐれているが、
折り曲げ加工時にクラックが入り、高度の折り曲げ加工
性の要求に対しては満足なものが得られていない。ま
た、ポリエステル系の高加工用上塗り塗料との層間の密
着性も良くないという問題もある。
【0006】また、溶剤型の共重合ポリエステル樹脂を
プライマーに用いた場合、折り曲げ加工性は極めて良好
であるが、コインスクラッチ性に劣るため加工工程にお
いてキズが発生し、外観不良や耐食性の低下を起こすと
いう欠点がある。
【0007】溶剤型の樹脂においてはこれらの問題を解
決したものとして、特願平1−305961号に記載さ
れるポリウレタン樹脂が提案されている。
【0008】一方、プレコート鋼板用プライマーの水性
化を考えた場合、前述したとうりプライマーに用いられ
る樹脂は高度の耐食性が要求されるためとりわけその疎
水性が強く、これをいかに水に分散または水溶化させる
かが大きな課題である。さらに、一旦水性化された樹脂
より形成された塗膜に耐水性、耐食性等をいかに付与す
るかも重要な課題である。これらの技術的解決は樹脂の
種類を問わず難易度の高いものであり、実用化には至っ
ていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、高度
の加工性とコインスクラッチ性、耐食性を兼ね備えた水
系樹脂およびこれを用いた水系塗料用樹脂組成物はいま
だ開発されておらず、業界から強く要望されているもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはこ
のような現状を考慮し、折り曲げ加工性に優れかつコイ
ンスクラッチ性および耐食性に優れた水系分散体および
これを用いた水系塗料用樹脂組成物について鋭意検討し
た結果、本発明に達した。
【0011】すなわち、本発明は(A)酸成分のうちの
20〜100モル%が芳香族ジカルボン酸であるポリエ
ステルジオール(a)、有機ジイソシアネート化合物
(b)および必要により分子量500未満の鎖延長剤
(c)を式1)に示す割合で反応させたウレタン基濃度
が300〜5,000当量/106 g、還元粘度が0.
2〜1.5dl/g、かつ酸価が50当量/106g.
上であるポリウレタン樹脂、(B)沸点が250℃以下
の水溶性有機化合物、(C)水、および(D)中和剤を
含み、かつ(A)、(B)、(C)および(D)が式
2)、3)および4)の配合比を満足することを特徴と
する水系分散体および該水分散体100重量(固形部)
に対し、該水系分散体と反応し得る硬化剤1〜60重量
部を配合してなることを特徴とする水系塗料用樹脂組成
物である。 式1) 0.8<(b)/((a)+(c))≦1 (当量比) 式2) A/B/C=1〜70/0〜69/9〜99 (重量比) 式3) B/(B+C)=0〜0.7 (重量比) 式4) D/(Aの酸価)=0.1〜20 (当量比)
【0012】本発明の水系分散体およびこれを用いた水
系塗料用樹脂組成物はプレコート鋼板用プライマーに用
いた場合、水系でありながら従来技術の溶剤型エポキシ
樹脂と比較して、より高度のコインスクラッチ性を有
し、かつ折り曲げ加工性、上塗りとの層間密着性に著し
く優れる。また、溶剤型の共重合ポリエステル樹脂と比
較して、同等以上の折り曲げ加工性を有し、かつコイン
スクラッチ性、耐食性に著しく優れる。
【0013】本発明で用いるポリエステルジオール
(a)は酸成分のうち20〜100モル%が芳香族ジカ
ルボン酸である。芳香族ジカルボン酸としては、例えば
テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−p,p′−ジ
カルボン酸、ジフェニル−m,m′−ジカルボン酸、ジ
フェニルメタン−p,p′−ジカルボン酸、2,2′−
ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、インデンジ
カルボン酸などを挙げられ、これらの一種または2種以
上が組み合わせて使用される。これらの芳香族ジカルボ
ン酸は塗膜物性および経済性から任意に選択できるもの
であるが、塗膜物性特に機械的特性および溶解性の点か
らテレフタル酸とイソフタル酸を併用して使用すること
が好ましく、さらに好ましくはテレフタル酸が酸成分の
40〜60モル%の範囲である。また、無水トリメリッ
ト酸などの3官能以上のカルボン酸を10モル%以下の
範囲で使用しても良い。
【0014】また、本発明で用いるポリエステルジオー
ル(a)は必要に応じて酸成分の80モル%未満、好ま
しくは60モル%以下の範囲でコハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオ
ン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸またはシク
ロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキ
サヒドロイソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸などを
使用することができる。脂肪族ジカルボン酸としては塗
膜物性および経済性を考慮してアジピン酸を酸成分の1
0モル%以下で使用することが好ましい。
【0015】また、必要に応じて5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、5−カリウムスルホフタル酸、ナトリウ
ムスルホフタル酸などのスルホン酸金属塩基含有ジカル
ボン酸を酸成分の一部として10モル%以下の範囲で使
用しても良い。また、2−ヒドロキシエトキシ安息香
酸、p−ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン
酸を使用しても良い。
【0016】また、本発明で用いるポリエステルジオー
ル(a)に用いられるグリコール成分としてはエチレン
グリーコル、プロピレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチロール
ヘプタン、ジメチロールペンタン、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール、TCDグリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、ビスフェノールAエチレンオキサイドまたはプロピ
レンオキサイド誘導体、ビスフェノールSエチレンオキ
サイドまたはプロピレンオキサイド誘導体、ビスフェノ
ールFエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド
誘導体などを挙げることができる。このうちビスフェノ
ールAまたはビスフェノールFのエチレンオキサイド2
〜6モル付加物あるいはシクロヘキサンジメタノールを
グリコール成分の30モル%以上使用することが好まし
く、ポリエステルジオール(a)においてビスフェノー
ルA、ビスフェノールFおよびシクロヘキサン骨格のい
づれかの繰返し単位が10〜70重量%含まれることが
特に好ましい。
【0017】また、2−ナトリウムスルホ−1,4−ブ
タンジオール、2−カリウムスルホ1,4−ブタンジオ
ールなどのスルホン酸金属塩基含有グリコールを全グリ
コール成分に対し10モル%以下の範囲で使用すること
もできる。
【0018】また、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上のグリコー
ルを10モル%以下の範囲で使用してもよい。
【0019】また、上記以外のポリエステルジオール
(a)の成分として公知の酸性リン化合物の金属塩基を
含有するジカルボン酸またはグリコールを挙げることも
できる。
【0020】ポリエステルジオール(a)の分子量は5
00〜15,000、好ましくは1,000〜5,00
0の範囲である。分子量が500未満ではポリエステル
樹脂の特長がでず折り曲げ加工性が悪化する上、後述す
る還元粘度のポリウレタン樹脂を得るためには、ウレタ
ン基濃度が著しく高くなり、溶解性、水分散性や折り曲
げ加工性に悪影響を及ぼす。また、分子量が15,00
0を越えるとウレタン変成後のウレタン基濃度が300
当量/106 g未満となり、良好なコインスクラッチ性
が得られない。
【0021】本発明の(A)ポリウレタン樹脂を製造す
る際に用いられる有機ジイソシアネート化合物(b)と
してはトリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシア
ネート、m−フェニレンジイソシシアネートなどの芳香
族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′
−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、水素化ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイ
ソシアネートなどの脂肪族、脂環族ジイソシアネートが
挙げられる。
【0022】ポリウレタン樹脂を製造する際、必要によ
り用いられる分子量500未満の鎖延長剤(c)はイソ
シアネート基に対して反応性の高い官能基を2個以上有
する化合物である。好ましくはこれらの官能基が2個で
あるが、3個以上の化合物を併用することもできる。
【0023】これらの鎖延長剤はポリウレタン樹脂中の
ウレタン基濃度を高め、コインスクラッチ性を改善し、
またポリウレタン樹脂に特有な強靭性を付与する効果が
ある。
【0024】鎖延長剤のうちカルボキシル基を含有する
ものは本発明のポリウレタン樹脂に必要な50当量/1
6 g以上の酸価を付与するために必要である。酸価は
良好な水分散性とコインスクラッチ性および耐食性を得
るために必要である。好ましい酸価は150〜600当
量/106 gであり、50当量/106 g未満では良好
な水分散性が得られない。
【0025】鎖延長剤の具体的な化合物としてはエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレン
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、3−メチル−1、5−ペンタンジオールな
どのグリコール類、モノエタノールアミン、N−メチル
エタノールアミンなどのアミノアルコール類、ヘキサメ
チレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4−ジアミ
ノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテルなど
のジアミン類、ジメチロールプロピオン酸、酒石酸など
のカルボキシル基含有グリコールなどが挙げられる。
【0026】このうち好ましいものとしてはネオペンチ
ルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、および酸価
を付与するために好適なジメチロールプロピオン酸が挙
げられる。
【0027】本発明の(A)ポリウレタン樹脂は前述し
たポリエステルジオール(a)と必要に応じて分子量5
00未満の鎖延長剤(c)を有機溶媒に溶解した後、有
機イソシアネート化合物(b)を式1)で示した割合で
仕込み60〜90℃で反応させる方法、またはあらかじ
めポリエステルジオール(a)を当量的に過剰のイソシ
アネート化合物(b)と60〜90℃で反応させた後に
鎖延長剤(c)を式1)で示した割合で仕込、さらに反
応させ重合を完結させる方法など、公知の方法で合成さ
れるものである。
【0028】本発明の(A)ポリウレタン樹脂を合成す
る際に使用する有機溶媒は公知の任意の有機溶媒を使用
することができるが、後述するように水と置換する必要
があるため低沸点で溶解性があり、かつ水との親和性の
良好なメチルエチルケトンが最も好ましい。
【0029】さらに、(A)本発明のポリウレタン樹脂
はウレタン基を300〜5,000当量/106 g、好
ましくは1、500〜3,000当量/106 g含み、
かつ酸価が50当量/106 g以上、好ましくは250
〜600当量/106 gであり、かつ還元粘度が0.5
〜1.5dl/g、好ましくは0.5〜1.0dl/g
であることを特徴とするものである。また、塗膜物性か
らそのガラス転移温度は40〜90℃が好ましい。
【0030】ウレタン基濃度が300当量/106 g未
満であると良好なコインスクラッチ性が得られない。酸
価が50当量/106 g未満であると良好な水分散性が
得られない。還元粘度が0.2dl/106 g未満では
良好な折り曲げ加工性が得られず、1.5dl/106
gを越えると、著しく溶液粘度が上昇し好ましくない。
【0031】本発明の(A)ポリウレタン樹脂は単独ま
たは2種類以上混合して使用できる。
【0032】本発明に用いられる(B)水溶性有機化合
物はポリウレタン樹脂の意識的に低められた水に対する
親和性を高め、水に対する分散性を補助する目的で使用
される。すなわち、本発明のポリウレタン樹脂と水溶性
有機化合物および水との三者が共存した状態で良好な水
分散体が得られる。
【0033】本発明に用いられる(B)水溶性有機化合
物は20℃で1リットルの水に対する溶解度が20g以
上の有機化合物であり、具体的には脂肪族および脂環族
のアルコール、エーテル、エステルおよびケトン化合物
などが挙げられる。例えばメタノール、エタノール、n
−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、
i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタ
ノールなどの一価アルコール類、エチレングリコール、
プロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエ
チレングリコールアルキルエーテル類およびそのアセテ
ート類、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど
のジエチレングリコールアルキルエーテル類およびその
アセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテル
類およびそのアセテート類、ジオキサン、テトラヒドロ
フランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、シクロオクタノン、シクロデカノン、イソホロンな
どのケトン類である。特に好ましいのはブチルセロソル
ブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノエ
チルエーテルなどである。
【0034】これらの水溶性有機化合物は単独または2
種以上を併用することができる。これらの水溶性有機化
合物の沸点は250℃以下であることが必要である。沸
点が250℃を越えると得られた水系分散体を塗布した
後、良好な乾燥性が得られない。
【0035】本発明のポリウレタン樹脂を水に分散させ
る場合は上記の方法で付加したカルボキシル基を中和剤
で中和して解離させる必要がある。アルカリ中和をしな
いとカルボキシル基が解離せず良好な水分散性が得られ
ない。
【0036】(D)中和剤としては、アンモニア水、メ
チルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N
−メチル−ジエタノールアミン、ビス−ヒドロキシプロ
ピル−メチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエ
チルアミン、ビス−2−ヒドロキシプロピルアミン、N
−メチル−エタノールアミン、アミノメチルプロパノー
ル、3−アミノ−1−プロパノールアミン、イソプロパ
ノールアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル1−
3−プロパンジオール、アミノメチル−プロパンジオー
ル、シクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどのア
ミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの弱酸と強
塩基の塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのア
ルカリ金属の水酸化物などを挙げることができる。これ
らの中和剤は乾燥、硬化後に塗膜中に残存すると塗膜物
性に悪影響を及ぼすため、乾燥、硬化後に揮発して残存
しないアンモニア水、ジメチルエタノールアミンなどの
低沸点アミンが好ましい。
【0037】本発明の水系分散体は有機溶媒中で合成し
た(A)ポリウレタン樹脂溶液と(B)水溶性有機化合
物、(C)水、(D)中和剤をあらかじめ混合してお
き、減圧または常圧で有機溶媒を留去する方法など公知
の方法により製造される。
【0038】どのような製造方法においても、(A)ポ
リウレタン樹脂、(B)水溶性有機化合物、(C)水、
および(D)中和剤の配合比は水系分散体の性能を保持
するうえで重要な要素であり、式1)、2)、および
3)の配合比を満たすことが必要である。 式2) A/B/C=1〜70/0〜69/9〜99 (重量比) 式3) B/(B+C)=0〜0.7 (重量比) 式4) D/Aの酸価=0.1〜20 (当量比)
【0039】水系分散体に含まれる(A)ポリウレタン
樹脂の配合比が(A)+(B)+(C)の総量に対して
1重量%未満の場合は水分散体の粘度が低くなりすぎ、
コーティング時にハジキを生じやすい。また、70重量
%を越える場合は逆に粘度が高くなり過ぎ好ましくな
い。
【0040】(B)水溶性有機化合物を配合させる場
合、(B)水溶性有機化合物と(C)水との配合割合に
おいて、(B)が5重量%以上の場合優れた水分散性お
よび透明性のものが得られ、また、コーティング性に優
れるため塗膜の外観に優れる。70重量%を越えると系
の引火点が低くなるなどの問題が生じてくる。
【0041】中和剤の配合量は(D)中和剤/(A)ポ
リエステル樹脂の酸価=0.1〜20(当量比)、好ま
しくは1.0〜2.0(当量比)の範囲である。この比
率が0.1(当量比)未満ではカルボキシル基を十分解
離できず、良好な水分散性が得られない。また、20
(当量比)を越えると乾燥後に塗膜に残存して耐水性を
低下させたり、水系分散体を貯蔵中にポリエステル樹脂
が加水分解するなどの悪影響を及ぼす。
【0042】本発明の水系分散体はそのままでも使用さ
れるが、該水系分散体100重量部(固形部)に対しこ
れと反応し得る硬化剤を1〜60重量部配合して塗料用
樹脂組成物としても使用できる。代表的な硬化剤として
はアミノ樹脂、エポキシ化合物およびイソシアネート化
合物の郡より選ばれた1種以上の化合物を配合して使用
することができる。
【0043】アミノ樹脂としては、例えば尿素、メラミ
ン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、
さらにこれらの炭素数が1〜6のアルコールによるアル
キルエーテル化合物を挙げることができる。具体的には
メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN、
N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジア
ミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチ
ロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミ
ン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げ
るられるが、好ましくはメトキシ化メチロールメラミ
ン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール
化ベンゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用し
て使用することができる。
【0044】エポキシ化合物としてはビスフェノールA
のジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオ
リゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソ
フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸
ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエ
ーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ト
リグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジル
オキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセ
ロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタン
トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリ
グリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリ
シジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付
加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができ
る。
【0045】さらにイソシアネート化合物としては芳香
族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシ
アネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれ
でもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネ
ート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化
合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリ
オール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の
高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端
イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0046】イソシアネート化合物としてはブロック化
イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、
メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノー
ル、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシ
ム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンク
ロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールな
どのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−
ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロ
ラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、
β−プロピルラクタムなどのラクタム類が挙げられ、そ
の他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセト
ン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなど
の活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿
素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げら
れる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート
化合物とイソシアネート化合物とイソシアネートブロッ
ク化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得
られる。
【0047】これらの架橋剤には硬化剤あるいは促進剤
を併用することもできる。架橋剤の配合方法としては
(A)ポリウレタン樹脂に混合する方法、さらにあらか
じめ(B)水溶性有機化合物または(C)水との混合物
に溶解または分散させる方法があり、架橋剤の種類によ
り任意に選択することができる。
【0048】本発明の水分散体には、顔料、染料および
各種添加剤を配合して使用することができ、特にプレコ
ート鋼板用コーティング剤または防錆顔料を配合してプ
ライマー塗料に好適である。また、スプレー塗装もでき
る。
【0049】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明
する。実施例において単に部とあるものは重量部を示
す。
【0050】各測定項目は以下の方法に従った。
【0051】(1) 還元粘度ηsp/c(dl/g) 充分乾燥したポリウレタン樹脂0.10gをフェノール
/テトラクロルエタン(容量比6/4)の混合溶媒25
ccに溶かし、30℃で測定した。
【0052】(2) 数平均分子量 ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)法により測定
し、ポリスチレン換算で示した。
【0053】(3) 酸 価 充分乾燥した試料0.2gを精秤し20mlのクロロホ
ルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム
(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬にはフェ
ノールフタレインを用いた。
【0054】(4) ガラス転移点温度 示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分の昇温
速度で測定した。サンプルは試料5mgをアルミニウム
押え蓋型容器に入れ、クリンプして用いた。
【0055】(5) ポリエステルジオールの組成分析 NMR(核磁気共鳴法)などにより分析した。
【0056】(6) ウレタン基濃度 全仕込量中の有機ジイソシアネート化合物の仕込量から
算出し、当量/106 gで示した。
【0057】(7) コインスクラッチ性 塗装鋼板塗膜を10円硬貨を用いて力強く引っかき、塗
膜のはくり状態を目視により判定した。 ◎:プライマーが基材(鋼板)からほとんどはくりせ
ず、かつプライマーと上塗りとの層間密着性も良好で上
塗りのみ凝集破壊する。 ○:プライマーが基材からわずかにはくりするが、プラ
イマーと上塗りとの層間密着性は良好。 △:プライマーは基材からほとんどはくりしないがプラ
イマーと上塗りとの層間密着性が不良で、上塗りが容易
にはくりする。 ×:プライマーごと上塗りが基材からはくりする。プラ
イマーの基材に対する密着性が不十分。××:プライマ
ーごと上塗りが基材から著しくはくりする。
【0058】(8) 加工性(Tベンド法) 塗装鋼板を5℃の恒温室に1時間以上放置後、4Tから
順次0Tまで折り曲げ、屈曲部に発生する割れを15倍
のルーペで観察し判定した。例えば、折り曲げ部に同じ
厚さの鋼板を3枚はさみ折り曲げた時に割れが発生せ
ず、同様に2枚はさみ折り曲げた時の割れが発生した場
合、加工性がTベンドで3Tであるといい、従ってTベ
ンドの数字の小さい方が加工性が良好である。
【0059】(9) 耐沸水性 塗装鋼板をイオン交換水中に浸漬し、8時間煮沸した後
取りだし、塗膜を観察判定した。 ○:ブリスターなし、密着性100/100 △:ブリスター発生 ×:著しくブリスター発生
【0060】(10) 耐食性 塗装鋼板にカッターナイフでクロスカットを施し、JI
S K−5400に準じて塩水噴霧試験を500時間行
った後、クロスカット部をセロテープはくりを行いその
はくり幅で評価した。 ◎:はくり幅2mm未満 ○: 〃 2mm以上3mm未満 △: 〃 3mm以上4mm未満 ×: 〃 4mm以上
【0061】(11)プライマー塗料の調製(水系の場
合) ガラス瓶に水系分散体を100固形部、アルキルエーテ
ル化アミノホルムアルデヒド樹脂としてのスミマールM
40W(住友化学工業社製)10固形部、硬化促進剤と
してのパラトルエンスルホン酸0.25部、防錆顔料と
してのジンククローメート30部、酸化チタン50部、
ガラスビーズ(直径5mm)250部を配合、攪拌後ペ
イントシェカーで4時間振とう、分散しプライマー塗料
を得た。
【0062】(12)プライマー塗料の調製(溶剤系の
場合) ガラス瓶に溶剤系比較樹脂を100固形部、アルキルエ
ーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂としてのスミマー
ルM40S(住友化学工業社製)10固形部、硬化促進
剤としてのパラトルエンスルホン酸0.25部、防錆顔
料としてのジンククローメート30部、酸化チタン50
部、ガラスビーズ(直径5mm)250部を配合、攪拌
後ペイントシェカーで4時間振とう分散させ、プライマ
ー塗料を得た。
【0063】(13)上塗り塗料(I)の調製 ガラス瓶の共重合ポリエステル樹脂であるバイロン20
0(東洋紡績社製)20固形部、バイロン500(東洋
紡績社製)80部、アルキルエーテル化アミノホルムア
ルデヒド樹脂としてのサイメル325(三井サイアナミ
ッド社製)25固形部、硬化促進剤としてのパラトルエ
ンスルホン酸0.25部、酸化チタン125部、レベリ
ング剤MKコンク(共栄社油脂化学工業社製)0.5
部、シクロヘキサノン400部、ガラスビーズ(直径5
mm)250部を配合、攪拌後ペイントシェーカーで4
時間振とう分散させ、上塗り塗料(I)を得た。
【0064】(14)塗装鋼板の作製と塗膜物性評価 あらかじめクロメート処理を施した0.5mm厚の電気
亜鉛めっき鋼板に前述したプライマー塗料を乾燥膜厚が
5μmになるようにバーコーターで塗布し、220℃で
50秒焼き付けた。ついで、冷却後プライマー塗膜上に
前述した上塗り塗料(I)を乾燥膜厚が25μmになる
ようにバーコーターで塗布し、70℃で10分セッティ
ングした後、235℃で60秒焼き付けて塗装鋼板を作
製した。得られた塗装鋼板を前述した方法により評価し
た。
【0065】(15)ポリエステルジオールの合成例 ポリエステルジオール(a)の合成 攪拌機、温度計およびヴィグリュー分留管を具備した4
つ口フラスコにジメチルテレフタレート291部、ジメ
チルイソフタレート291部、エチレングリコール26
6部、ネオペンチルグリコール240部および触媒とし
てテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、180〜
230℃で生成するメタノールを系外に留去しながら、
5時間エステル交換反応を実施した。ついで、ヴィグリ
ュー分留管を取り外し反応系を30分かけて5mmHg
まで減圧し、この間210℃まで昇温した。さらに、
0.3mmHg、210℃で重縮合反応を30分間行い
ポリエステルジオール(a)を得た。得られたポリエス
テルジオール(a)はNMRによる組成分析の結果、テ
レフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネ
オペンチルグリコール=50/50//48/52(モ
ル比)であり、還元粘度0.25dl/106 g、数平
均分子量2,200、酸価7.5当量/106 gの淡黄
色透明の樹脂であった。
【0066】ポリエステルジオール(b)、(c)の合
成 ポリエステルジオール(a)の合成例と同様にして、組
成が表1に示されるポリエステルジオール(b)、
(c)を合成した。ポリエステルジオール(a)と同様
に組成分析、および樹脂特性の測定を行った。結果を表
1に示す。
【0067】ポリエステルジオールの比較合成例
【0068】ポリエステルジオール(d)〜(f)の合
成 ポリエステルジオール(a)の合成例と同様にして、組
成が表1に示されるポリエステルジオール(d)〜
(f)を合成した。ポリエステルジオール(a)と同様
に組成分析、および樹脂特性の測定を行った。結果を表
1に示す。
【0069】ポリウレタン樹脂の合成例
【0070】ポリウレタン樹脂(g)の合成 冷却管を具備した4つ口フラスコにポリエステルジオー
ル(a)100部、鎖延長剤としてのネオペンチルグリ
コール4部、メチルエチルケトン153部を仕込み、8
0℃で加熱溶解した。ついで、60℃に冷却し、4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネート39部を仕込
み10分攪拌した。ついで、80℃に加熱し促進剤とし
てのジブチルチンジラウレート0.04部を添加し1時
間反応させた。さらに、ジメチロールプロピオン酸10
部を仕込み80℃で3時間反応させポリウレタン樹脂
(g)を得た。得られたポリウレタン樹脂(g)は還元
粘度0.55dl/g、酸価495当量/106 g、ウ
レタン基濃度2,039当量/106 gの淡黄色透明の
液体であった。
【0071】ポリウレタン樹脂(h)〜(m)の合成 ポリウレタン樹脂(g)と同様にして組成が表2に示さ
れる淡黄色透明のポリウレタン樹脂(h)〜(m)を合
成した。ポリウレタン樹脂(g)と同様に組成分析およ
び樹脂特性の測定を行った。結果を表2に示す。
【0072】ポリウレタン樹脂の比較合成例
【0073】ポリウレタン樹脂(n)〜(s)の合成 ポリウレタン樹脂(g)と同様にして組成が表2に示さ
れる淡黄色透明のポリウレタン樹脂(n)〜(s)を合
成した。ポリウレタン樹脂(g)と同様に組成分析およ
び樹脂特性の測定を行った。結果を表3に示す。
【0074】実施例1 ポリウレタン樹脂(g)60部(30固形部)、水68
部、28%アンモニア水1.8部をヴィグリュー分留管
を具備した2Lフラスコに仕込み攪拌しながら60℃に
加熱した。ついで、アスピレーターで緩やかに減圧しメ
チルエチルケトンを完全に留去した後、冷却して水系分
散体を得た。得られた水系分散体は安定であり、半透明
の良好なものであった。
【0075】次に所定の塗膜物性および耐食性を評価し
たところ、コインスクラッチ性は従来技術の溶剤系のポ
リエステル樹脂またはエポキシ樹脂と比較して著しく良
好であり、加工性および耐食性は従来技術の溶剤系エポ
キシ樹脂と比較して著しく良好であった。結果を表4に
示す。
【0076】実施例2〜7 ポリウレタン樹脂(h)〜(m)について表4に示す分
散組成物について実施例1と同様に評価した。結果を4
表に示す。
【0077】比較例1〜7 合成例ポリウレタン樹脂(i)、比較ポリウレタン樹脂
(n)〜(s)について実施例1と同様に表5および表
6に示す分散組成で評価を行った。結果を表5および表
6に示す。
【0078】比較例8〜9 従来の溶剤系と比較するために比較ポリエステルジオー
ル(e)およびエポキシ樹脂エピコート1007(油化
シェルエポキシ社製)をシクロヘキサノン/ソルベッソ
150=50/50(重量比)混合溶剤に溶解し、塗膜
物性を評価した。結果を表7に示す。
【0079】表1〜7で明らかなように、本発明の水系
分散体はその分散安定性に優れ、さらには、その塗膜物
性であるコインスクラッチ性、加工性および耐食性にも
優れる。
【0080】
【発明の効果】本発明の水系分散体はスルホン酸金属塩
基などの極性基を含有せず、カルボキシル基のみで非常
に水分散性が良好であり、透明性の良好な水系分散体が
得られる。そのため、従来相反すると言われていた水分
散性と耐水性ともに優れるため、塗料、コーティング
剤、バインダー、接着剤、繊維および紙処理剤として有
用であり、とりわけPCMプライマー用に適する。さら
には、本発明の水系分散体は従来技術の溶剤系ポリエス
テル樹脂と比較して、コインスクラッチ性、耐食性に優
れ、さらに、従来技術の溶剤系エポキシ樹脂と比較して
折り曲げ加工性に優れる。また、本発明の水系分散体は
低粘度であるため、ハイソリッド化が可能であり、また
スプレー塗装も可能である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)酸成分のうちの20〜100モル
    %が芳香族ジカルボン酸であるポリエステルジオール
    (a)、有機ジイソシアネート化合物(b)および必要
    により分子量500未満の鎖延長剤(c)を式1)に示
    す割合で反応させたウレタン基濃度が300〜5,00
    0当量/106 g、還元粘度が0.2〜1.5dl/
    g、かつ酸価が50当量/106 g以上であるポリウレ
    タン樹脂、(B)沸点が250℃以下の水溶性有機化合
    物、(C)水、および(D)中和剤を含み、かつ
    (A)、(B)、(C)および(D)が式2)、3)お
    よび4)の配合比を満足することを特徴とする水系分散
    体。 式1) 0.8<(b)/((a)+(c))≦1 (当量比) 式2) A/B/C=1〜70/0〜69/9〜99 (重量比) 式3) B/(B+C)=0〜0.7 (重量比) 式4) D/(Aの酸価)=0.1〜20 (当量比)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水系分散体100重量
    部(固形部)に対し、該水系分散体と反応し得る硬化剤
    1〜60重量部を配合してなることを特徴とする水系塗
    料用樹脂組成物。
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