JP2012255142A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロースアセテートエーテル化合物と、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤とを含有する樹脂組成物であって、前記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにその水酸基由来のエーテル基を介して1価の高分子化合物残基が結合した特定原子群が導入された化合物であり、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートにその水酸基に由来するエーテル基を介して前記特定原子群が置換度0.01以上で導入されたセルロースアセテート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
化石資源由来の材料を代替するものとして、バイオマス由来のプラスチックが注目されている。地中に埋蔵されていた化石資源と異なり、バイオマス材料の場合、元来が大気中にあった二酸化炭素等から生合成されたものである。したがって、計算上は、燃焼させても大気中の二酸化炭素の排出量としては増加を伴わない。いわゆるカーボンニュートラルな材料といえる。このような理由から、環境中で生分解可能な材料として、その使用が望まれている。しかし、バイオマス材料では耐熱性、耐衝撃性など、電気電子機器の部材に要求される特性をバランスよく達成させることが難しかった。
特許文献2にはセルロースエステルと芳香族ポリカーボネート樹脂と相溶化剤からなる樹脂組成物が記載されている。これにより、衝撃強度に優れ、真珠光沢のない白色性に優れた外観を持つ樹脂成形体とすることができるとされている。
(1)セルロースアセテートエーテル化合物と、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤とを含有する樹脂組成物であって、
前記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにその水酸基由来のエーテル基を介して下記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群が導入された化合物であり、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートにその水酸基に由来するエーテル基を介して前記原子群が置換度0.01以上で導入されたことを特徴とするセルロースアセテート樹脂組成物。
(2)前記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群の置換度が0.05〜0.20である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記式(1−1)および(1−2)におけるXが下記式(2)で表わされる少なくとも1種のビニルモノマーユニットを有するものである(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基、フェニル基、シアノ基、及びピロリドニル基からなる群から選ばれる基である(3)に記載の樹脂組成物。
(5)前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、シアノ基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、及びメトキシカルボニル基からなる群から選ばれる基である(4)に記載の樹脂組成物。
(6)少なくとも1種の熱可塑性樹脂をさらに含有する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(7)前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基が前記熱可塑性樹脂成分を繰り返し単位として含んでいる(6)に記載の樹脂組成物。
(8)前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂であり、かつ、前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基の一部に下記式(3)で表される芳香族ポリカーボネート骨格が含まれている(6)または(7)に記載の樹脂組成物。
(9)熱可塑性樹脂が連続相、セルロースアセテートエーテル化合物が分散相をなす(6)〜(8)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(10)前記安定化剤がホスファイト化合物又はヒンダードフェノール化合物の安定化剤である(1)〜(9)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(11)少なくとも1種のリン化合物難燃剤をさらに含有する(1)〜(10)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(12)フッ素系樹脂をさらに含有する(1)〜(11)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(13)セルロースアセテートエーテル化合物が、残水酸基置換度0.3〜1.0のセルロースアセテートと下記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物との反応生成物であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(14)前記セルロースアセテートエーテル化合物が樹脂組成物の全質量に対する質量比で10質量%以上50質量%未満含有されている(1)〜(13)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(15)(1)〜(14)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートと、下記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(16)(1)〜(14)のいずれか1項に記載のセルロースアセテート樹脂組成物からなる成形体。
(17)残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートと、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤と、下記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物とを組み合わせて含有する樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物が含有するセルロースアセテートにエーテル基を介して有機化合物残基を導入した化合物(以下、「セルロースアセテートエーテル化合物」ということがある。)は、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートの水酸基に、下記式(1−1)または式(1−2)で表わされる特定原子群が水酸基置換度0.01以上で置換している。なお、残水酸基置換度とは、セルロース中のグルコース単位に存在する3つの水酸基のうちエステル化されずに残存している水酸基の数であり、セルロース分子の平均値として評価される値である。すべての水酸基が残存している場合には3となり、すべての水酸基がエステル化された場合には0となる。水酸基置換度も同様にグルコース単位における置換度であり、すべて水酸基が置換された場合には最大3となり、全く置換されない場合は、0となる。
すなわち、セルロースアセテートエーテル化合物は、具体的には、下記式(A)の繰り返し単位を有する高分子化合物として表示することができる。このとき、下記式においてRがアセチル基、式(1−1)または(1−2)で表わされる特定原子群、水素原子のいずれかである。平均置換度がアセチル基については2.0〜2.7であり、式(1−1)または式(1−2)で表わされる特定原子群が0.01以上である(本明細書では、この置換度を「相溶化剤置換度」ということがある。)。アセチル置換度(逆に言えば上記残水酸基置換度)の好ましい範囲は後述する。相溶化剤置換度は、0.01以上であれば特に限定されないが、0.03以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。上限は残水酸基置換度との関係で1と言えるが、0.3以下であることが実際的である。最も好ましくは0.05以上0.20以下である。相溶化剤置換度が前記下限値以上であると樹脂組成物ないしその成形体の可塑性向上という点で好ましい。一方、前記上限値以下であると得られる成形体の剛性の点で好ましい。
式(1a)で表されるモノマーユニットは、X全体に対し1質量%以上含まれることが好ましく、2〜50質量%で含まれることが好ましく、5〜30質量%含まれることがさらに好ましい。共重合成分に由来するモノマーのモル分率(100%)でいうと、0.2〜50%であることが好ましく、0.5〜30%であることがより好ましい。
Zは水素原子、アルキル基(なかでも炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい)、アルコキシカルボニル基(なかでも基炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基がより好ましい)、シアノ基、カルボキシル基、アシルオキシ基(アセチルオキシ基が好ましい)、アシルアミノ基(ピロリドニル基が好ましい)、カルバモイル基(好ましくはN,N-ジメチルアクリルアミド基)、または芳香族基(好ましくはフェニル基)を表す。
なお、上述のアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基およびカルバモイル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでも良く、芳香族基は、単環および縮環(複環)のいずれであっても良い。
・Z1:水素原子、メチル基のうち少なくとも1種(水素原子がより好ましい)
・Z2:メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基のうち少なくとも1種(アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基のうち少なくとも1種を有することがより好ましい)
・Z3:シアノ基、フェニル基のうち少なくとも1種(フェニル基がより好ましい)
・Z4:シアノ基、ピロリドニル基のうち少なくとも1種(シアノ基がより好ましい)
共重合比率は特に限定されないが、Z1を有するユニットが0〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)、Z2を有するユニットが0〜75モル%(より好ましくは5〜60モル%)、Z3を有するユニットが0〜50モル%(より好ましくは5〜40モル%)、Z4を有するユニットが0〜75モル%(より好ましくは5〜60モル%)であることが好ましい。なお、Z1,Z2,Z3,Z4を有するユニットが同じモノマーユニットの組合せになることはない。
具体的にはビニルモノマーユニットの硬さがエネルギー吸収部位の性能に、ビニルモノマーユニットの極性がクレーズ形成に関わる性能(分散サイズ)に関連していると考えられる。硬さに関しては,ガラス転移温度が50℃以下の軟質ビニル成分を相溶化剤中に有すると,耐衝撃性改良効果に優れると考えられる。
この軟質ビニル成分として具体的にはエチレン、アクリル酸メチル、アセト酢酸エチルメタクリレート、ビニルアセテートなどの水素原子、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチロキシカルボニル基、アセチルオキシ基といった基を有するモノマーユニットがあげられる。軟質ビニル成分を有しない相溶化剤は,相溶化剤を有しないものと比べて高い面衝撃性改良効果はあるものの,軟質ビニル成分含有物と比較すると,効果は劣る。また,軟質ビニル成分の比率が低下すると,面衝撃性能は若干低下する。
ビニルモノマーユニットの極性に関しては,極性を有するものを相溶化剤成分として有することにより,分散相と連続相との界面の状態を調整することで、クレーズサイズを細かくすることが出来,面衝撃改良効果が優れると考えられる。これは、極性構造を有することにより、セルロースアセテートとの親和性が増すからと考えている。セルロースアセテートとの親和性が増す構造として,式(2)中のZとして、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基,カルバモイル基,アミノカルボニル基があげられる。
本実施形態によれば、上述のように軟質ビニル成分が特定の高分子化合物残基に導入されることにより、セルロースエーテル化合物の効果が組成物中で一層効果的に引き出され、特定の安定化剤ないし熱可塑性樹脂などとの作用と相まって、この種の成形体に求められる諸性能を良好に維持しつつ面衝撃改良効果に一層優れたものとすることができる。
a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、a、bが2以上のとき複数のR1、R2は互いに同じでも異なっていてもよい。
R5は、炭素数6〜15の環状炭化水素基を形成するのに必要な原子群であり、好ましくは、シクロヘキシル基またはフルオレン基を形成するのに必要な原子群である。
本発明の樹脂組成物中の、上記セルロースアセテートエーテル化合物の含有量は全質量に対する含有率で10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、20質量%以上50質量%未満であることがさらに好ましい。共重合成分に由来するモノマーのモル分率(100%)でいうと、1〜50%であることが好ましく、3〜40%であることがより好ましい。
上記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにグリシジル基含有高分子化合物を反応させて合成することができる。
以下に原料となるセルロースアセテートとグリシジル基含有高分子化合物について説明する。
セルロースアセテートは、セルロースをアシル化剤と反応させる通常のエステル化方法により生成でき、必要に応じてケン化又は熟成工程を経て製造できる。セルロースアセテートは、通常、パルプ(セルロース)を活性化剤により活性化処理(活性化工程)した後、硫酸などの触媒を用いてアシル化剤によりエステル(ジアセテート)を調製し(アシル化工程)、ケン化(加水分解)・熟成によりエステル化度を調整する(ケン化・熟成工程)ことにより製造できる。セルロースアセテートの場合は、例えば、硫酸触媒法、酢酸法、メチレンクロライド法等の通常行われる方法で製造できる。
本発明で用いるセルロースアセテートの水酸基置換度は2.0〜2.7(残水酸基置換度0.3〜1.0)である。
アシル化工程におけるアシル化剤の割合は、所望のアシル化度(酢化度)となる範囲で選択できる。本発明においては残水酸基置換度が0.3〜1.0、好ましくは0.5〜1.0となるように、より好ましくは0.4〜0.7となるようにする。このような割合でアセチル基を有することにより、セルロースアセテートのガラス転移温度と熱分解温度の関係が好適になり、低分子可塑剤を用いなくとも良好な成形性を確保でき、成形したときの面衝撃性を向上させることができる。
更に、残留した硫酸を中和するために、アルカリで処理してもよい。
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度200〜400、好ましくは250〜400、更に好ましくは270〜350程度である。粘度平均重合度は特開平9−77801号公報、〔0018〕〜〔0019〕に記載の方法で測定することができる。
セルロースアシレートの分子量は特に限定されないが、数平均分子量で20,000〜200,000であることが好ましく、30,000〜100,000であることがより好ましい。測定方法は特に限定されないが、実施例で示したものと同様のGPCによることが好ましい。キャリアはセルロース化合物の種類にもよるが、THFもしくはNMPを用いることが好ましい。
本発明で用いるグリシジル基含有高分子化合物は、グリシジル基と前記式(1−1)または(1−2)の高分子化合物残基Xを有しており、前記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物であることが好ましい。その好ましいものは、上述のとおりであるが、さらに言えば、本発明で用いるグリシジル基含有高分子化合物は、上記式(1)の高分子化合物残基Xについての所望の構造にあわせ、例えばグリシジルメタクリレート(GMA)とビニル成分、さらに必要に応じ熱可塑性樹脂骨格を有する化合物を重合させてなる。
ビニル成分としては、例えばエチレン、プロピレン、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)、アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、およびこれらの群から選ばれる共重合体などがある。ボンドファースト BF7M,BF7B,BF2C(いずれも商品名、住友化学社製),モディパー A4400,C L430−G(いずれも商品名、日油社製)などの市販品を用いることもできる。
なお、本発明の樹脂組成物の流動化温度と分解温度の差(ΔT)は20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、35℃以上であることが特に好ましい。このような範囲であることで、分解による劣化を抑制し,成形が可能となる。本発明における「流動化温度」、「分解温度」は、特に断らない限り、実施例で記載した測定方法及び測定装置による求めた値を言う。
さらに、本発明における芳香族ポリカーボネート骨格を有する相溶化剤の製造方法は、公知の方法(例えば、特開2010-90212に記載のグラフト化法など)を用いることができる。具体的には、ポリカーボネート系樹脂としては、反応性の不飽和末端基を有するポリカーボネート系樹脂が挙げられる。この不飽和末端基を有するポリカーボネート系樹脂は、分子量調整剤又は末端停止剤として、二重結合を有する一官能性化合物を、又はこれと従来の末端停止剤を併用する他は、従来のポリカーボネート系樹脂と同様の製法、すなわち界面重合法、ピリジン法、さらにはクロロホルメート法等の溶液法で製造される。
不飽和末端基を導入するための二重結合を有する一官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、9−デセン酸、9−ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、ソルビン酸クロライド、アリルアルコールクロロホルメート、イソプロペニルフェノールクロロホルメート又はヒドロキシスチレンクロロホルメート等の酸クロライド又はクロロホルメート;イソプロペニルフェノール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニルマレイミド、ヒドロキシ安息香酸アリルエステル又はヒドロキシ安息香酸メチルアリルエステル等の不飽和酸を有するフェノール類等が挙げられる。
これらの化合物は従来の末端停止剤と併用しても良いものであり、上記した二価フェノール系化合物1モルに対して、末端停止剤が通常1〜25モル%、好ましくは1.5〜10モル%の範囲で使用される
上述した重合性末端を有するポリカーボネート誘導体を、他の重合性化合物と混合し、公知の手法で重合せることでポリカーボネート構造を持つ部位を有する相溶化剤を合成することができる。
本発明の樹脂組成物は、ホスファイト化合物(またはホスホナイト化合物)、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、イオウ化合物から選ばれる安定化剤を含有する。安定化剤はセルロースアセテートエーテル化合物の分解温度を上げ、流動化温度との差を大きくする働きをする。ホスファイト化合物(ホスファイト系酸化防止剤ということもある。)、ヒンダードフェノール化合物(ヒンダードフェノール酸化防止剤ということもある。)が好ましい。ホスファイト系酸化防止剤及び/またはホスホナイト系酸化防止剤がとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ステアリルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤やテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトやテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等のホスホナイト系酸化防止剤が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの酸化防止剤の中でも特に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトまたはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
本発明の樹脂組成物は熱可塑性樹脂をさらに含有させることが好ましい。このとき、前述のとおり、上記式(1)中のXにこの熱可塑性樹脂の骨格を含むことが好ましい。
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PSt)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができ、なかでもポリカーボネート樹脂が、セルロースアセテートエーテル化合物と共に使用した場合に、剛性・耐衝撃性・耐熱性・成形性のバランスに優れているという理由から好ましい。
また熱可塑性樹脂の数平均分子量は、15,000〜30,000であることが好ましい。数平均分子量が15,000以上では、より機械的強度が向上し、数平均分子量が30,000以下であれば、より成形性が向上するからである。数平均分子量の値は、例えば、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求められる。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用できる。
本実施形態では、ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が挙げられる。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用することができる。好ましくはビスフェノールAが挙げられる。更に、難燃性を更に高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂の共重合に用いることができる脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基からなるものであることが好ましい。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ−[5.2.1.0]デカン、エリスリタン、イソソルバイド等の5員環ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール、4,9:5,8−ジメタノ−1(2),6(7)−ヒドロキシメチル−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ペンゾインデン、2,3−ノルボルナンジオール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジメタノール等の6員環ジオール、スピログリコール等のスピロ環ジオール等などが挙げられる。特に、得られる成形材料の剛性や耐熱性の点より脂環式脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、リン含有難燃剤を含有することが好ましい。これにより、燃焼速度の低下又は抑制といった難燃効果を向上させることができる。
またリン含有難燃剤は、一般的に使用される臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等、他の難燃剤と比較して、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、焼却廃棄時にハロゲンが揮散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないという利点がある。更に一般的に使用されるケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等の難燃剤と比較すると難燃化効果が大きく、曲げ弾性率や耐衝撃性の低下が抑制されるという利点がある。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、更にフッ素系樹脂を含有することが好ましい。成形体が燃焼した場合のドリップを防止し、更に高度な難燃性を得るためである。
本発明におけるフッ素系樹脂とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/エチレン共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましく、更にはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体も好ましく用いられる。ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂の分子量は10万〜1000万の範囲のものが好ましく、とくに10万〜100万の範囲のものがより好ましく、本発明の押出成形性と難燃性に特に効果がある。ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製の“テフロン(登録商標)”6−J、“テフロン(登録商標)”6C−J、“テフロン(登録商標)”62−J、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製の“フルオン”CD1やCD076などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の市販品としては、三菱レイヨン(株)から、“メタブレン(登録商標)”Aシリーズとして市販され、“メタブレン(登録商標)”A−3000、“メタブレン(登録商標)”A−3800などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレンの“テフロン(登録商標)”6−Jなどは凝集し易いため、他の樹脂組成物と共にヘンシェルミキサーなどで機械的に強く混合すると凝集により塊が生じる場合があり、混合条件によってはハンドリング性や分散性に課題がある。一方、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は前記のハンドリング性や分散性に優れ、とくに好ましく用いられる。前記のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体とは、限定されるものではないが、特開2000−226523号公報で開示されているポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体などが挙げられ、前記の有機系重合体としては芳香族ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、及びシアン化ビニル系単量体を10重量%以上含有する有機系重合体などであり、それらの混合物でもよく、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体中のポリテトラフルオロエチレンの含有量は0.1質量%〜90質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、フィラー(強化材)を含有してもよい。フィラーを含有することにより、樹脂組成物によって形成される成形体の機械的特性を強化することができる。
フィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
他の成分としては、例えば、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形することにより得られる。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の樹脂組成物を加熱し、成形する工程を含む。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は射出成形用樹脂組成物であることが好ましい。
加熱温度は、通常160〜300℃であり、好ましくは180〜260℃である。
本発明においては、前記グリシジル基含有高分子化合物とセルロースアセテートとの反応を、混練・押出と同時に進行させることが好ましい。その際に、混練するバッチには上記の成分以外にも、必要な安定化剤、熱可塑性樹脂、難燃剤等を仕込んでおき、所望の性能の成形体を得ることが好ましい。本発明によれば、上述のように熱安定化剤の添加によって分解温度が高められた一方で、軟化温度は反応によって相対的に低くなる方向とされており、より大きなΔTが付与されているため、混練・押出時の加熱温度に幅ができ、より自由度の高い製造条件の設定が可能となる。
(相溶化剤)
表1に示す質量比でモノマーユニットが重合した相溶化剤を準備した。相溶化剤c1以外はグリシジル基含有高分子化合物である。また、相溶化剤c2は酸無水物、相溶化剤c3はタルクである。詳細は表1の欄外に記載した。
相溶化剤3の合成例
ラジカル重合開始剤として和光純薬工業株式会社性 V−601を1.56g、ビニルモノマーとしてAAEMAを72g、MANを22g,GMAを6g,溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)を50g、冷却管を取り付けた容積500mlの3つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、80℃で6時間重合をおこなった後、2Lのヘキサンに再沈をおこない固体を得た。得られた固体は,温風乾燥後,100℃ 6時間真空乾燥を行ってから使用した。
GMA:グリシジルメタクリレート
PE:ポリエチレン
PMA:ポリアクリル酸メチル
PAAEMA:ポリアセト酢酸エチルメタクリレート
AS:アクリロニトリル・スチレン共重合体
PAN:ポリアクリロニトリル
PMAN:ポリメタクリロニトリル
PSt:ポリスチレン
PVA:ポリビニルアセテート
PVP:ポリビニルピロリドン
PC:ポリカーボネート樹脂「パンライト L1225Y」(商品名、帝人化成社製、ビスフェノール−A骨格を有する、Mn=25000)
セルロースエステル、相溶化剤、熱可塑性樹脂、難燃剤及びその他の成分を下表に示す配合割合(質量部)で混合し、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給し,混練温度180〜260℃,スクリュー回転数(50〜300rpm),材料供給量(1Kg/h)で混練した。混練物をペレット化し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、商品名、自動射出成形機)に供給して、樹脂温度190〜260℃、シリンダー内の樹脂滞留時間1分、金型温度40〜60℃、冷却時間20〜40秒で4×10×80mmの多目的試験片を成形した。
安定化剤1(ヒンダードフェノール系):ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、「Irganox 1010」(商品名、チバ・ジャパン社製)
安定化剤2(ホスファイト系):3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、「アデカスタブ PEP−36」(商品名、ADEKA社製)
PC1:ポリカーボネート「パンライト L1225Y」(Mw:45000、帝人化成社製)
PC2:ポリカーボネート「パンライト L1225L」(Mw:38000、帝人化成社製)
PET:ポリエチレンテレフタレート
PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート、「エコフレックス」(商品名、BASF社製)
エリーテル:熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂、「エリーテル UE−3203」(商品名、ユニチカ社製)
バイロン:「バイロン GH230B」(商品名、東洋紡社製)
難燃剤1:「PX−200」(商品名、大八化学社製)
難燃剤2:トリフェニルホスフェート
数平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
得られた樹脂組成物及び多目的試験片を用いて、以下の項目について評価した。評価結果は表2〜5に示した。
流動化温度と分解温度の差を以下のように測定した。
流動化温度の指標として,フローテスタを用いた。フローテスタ((株)島津製作所製CFT−100D、L=10mm、D=1.0mmのダイを使用)を用い、粉体またはペレットをガラス転移温度以下の温度で装置に投入し、剪断速度100s−1、昇温速度2℃/minで昇温測定を行った。一般的に射出成形が容易に可能である、この測定での見かけの粘度が100Pa・sとなる温度を流動特性温度とした。分解温度の指標として、空気下での2質量% 質量減少温度を用いた。空気下での2質量%重量減少温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用い、試料量5mg、昇温速度10℃/分で30℃〜500℃まで乾燥空気下で測定し、質量が2質量%減少した温度とした。上記二つの方法で求めた温度の差をΔTとして定義した。
AA: ΔTが,40℃以上
A : ΔTが,30℃以上 40℃未満
B : ΔTが,20℃以上 30℃未満
C : ΔTが,20℃未満
(曲げ弾性率)
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/分で曲げ弾性率を測定した。測定は3回測定の平均値である。
難燃性の指標として、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行った。試験本数は5本である。自己消火性の無いものをV−not、燃焼試験時に樹脂組成物のドリップがあり所定時間内に自己消火するものをV−2、燃焼時に樹脂組成物ドリップがなく所定時間内に自己消火するものをV−1(燃焼時間30秒以内)、V−0(燃焼時間10秒以内)とした。
樹脂組成物を混練・成形加工する際に、白煙などにより揮発成分を目視にて確認した。揮発成分が見られなかった場合をA、わずかに白煙が見られた場合をB、はっきりと白煙が見られた場合をCとした。
ISO75に準拠して、試験片の中央に一定の曲げ荷重(1.8MPa)を加え(フラットワイズ方向)、等速度で昇温させ、中央部のひずみが0.34mmに達したときの温度(℃)を測定し,熱変形温度とした。
(衝撃強度)
ISO179に準拠して、射出成形にて成形した試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上静置した後、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)によってエッジワイズにて衝撃強度を測定した。
(面衝撃レベル)
耐面衝撃性の指標として,鋼球落下試験を用いた。500グラムの鋼球を200mm以上の所定の高さから,内枠が60mm×60mmである治具で固定した厚み1.5mmの成形片の上に落下させ,破壊に至らなかった高さを耐面衝撃の高さとした。
(総合評価)
上記各項目の評価結果を考慮し精密機器の筐体への利用を前提に要求満足度を基に下記のように区分した。
AA: 要求レベルを満足し高い評価を得られるレベルである
A : 要求レベルを満足するレベルである
B : 使用条件等を限定すれば要求を十分に満足するレベルである
C : 要求レベルを満足できないレベルである
Claims (17)
- セルロースアセテートエーテル化合物と、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤とを含有する樹脂組成物であって、
前記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにその水酸基由来のエーテル基を介して下記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群が導入された化合物であり、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートにその水酸基に由来するエーテル基を介して前記特定原子群が置換度0.01以上で導入されたことを特徴とするセルロースアセテート樹脂組成物。
- 前記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群の置換度が0.05〜0.20である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基、フェニル基、シアノ基、及びピロリドニル基からなる群から選ばれる基である請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、シアノ基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、及びメトキシカルボニル基からなる群から選ばれる基である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 少なくとも1種の熱可塑性樹脂をさらに含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基が前記熱可塑性樹脂成分を繰り返し単位として含んでいる請求項6に記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂であり、かつ、前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基の一部に下記式(3)で表される芳香族ポリカーボネート骨格が含まれている請求項6または7に記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が連続相、セルロースアセテートエーテル化合物が分散相をなす請求項6〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記安定化剤がホスファイト化合物又はヒンダードフェノール化合物の安定化剤である請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 少なくとも1種のリン化合物難燃剤をさらに含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- フッ素系樹脂をさらに含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースアセテートエーテル化合物が樹脂組成物の全質量に対する質量比で10質量%以上50質量%未満含有されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載のセルロースアセテート樹脂組成物からなる成形体。
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