JP5689848B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及びその成形体に関する。
コピー機やプリンター等の電気電子機器の筺体などの部材には、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂をはじめとする、石油を原料とした合成樹脂が広く用いられている。近年、石油等の化石資源の枯渇の懸念や、地球温暖化の原因となる燃焼時の二酸化炭素放出の問題から、このような合成樹脂の使用量の低減が望まれている。
化石資源由来の材料を代替するものとして、バイオマス由来のプラスチックが注目されている。地中に埋蔵されていた化石資源と異なり、バイオマス材料の場合、元来が大気中にあった二酸化炭素等から生合成されたものである。したがって、計算上は、燃焼させても大気中の二酸化炭素の排出量としては増加を伴わない。いわゆるカーボンニュートラルな材料といえる。このような理由から、環境中で生分解可能な材料として、その使用が望まれている。しかし、バイオマス材料では耐熱性、耐衝撃性など、電気電子機器の部材に要求される特性をバランスよく達成させることが難しかった。
セルロースは植物から得られるバイオマス材料として、昨今あらためて注目されている。セルロースエステルを用いた樹脂組成物として、セルロースエステルと、非セルロース系熱可塑性樹脂と、可塑剤と、可塑剤のブリードアウトを抑制するブリードアウト抑制剤からなるものが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献2にはセルロースエステルと芳香族ポリカーボネート樹脂と相溶化剤からなる樹脂組成物が記載されている。これにより、衝撃強度に優れ、真珠光沢のない白色性に優れた外観を持つ樹脂成形体とすることができるとされている。
特開2007−161943号公報 特開2006−111858号公報
本発明者らは、セルロース樹脂について本格的なバイオマス材料成形体としての展開に鑑みるとき、上記特許文献に開示されたものではいまだ満足できるものではなく、製品品質と成形加工性との両面からの改良が必要と考え研究開発を継続した。具体的に、例えばセルロースアセテートを用いた樹脂組成物の場合、熱分解温度と熱流動温度が近接しており、熱分解をさせずに流動性を得ようとすると、低分子可塑剤を使用しなければならない。このことから、製造時の揮散性等の解決が課題となっていた。また、セルロースアセテート含有樹脂成形体は、耐衝撃性の点で電気電子機器の筺体などに用いるには性能が不足しているものがほとんどである。かかる観点から、特にバイオマス材料を利用した成形体の欠点となりがちな耐衝撃性を高く維持し、その上で製造上の品質及び加工性の改良に取り組んだ。
そこで本発明は、製造時において、低分子可塑剤等に起因する揮散を防ぎ、また射出成形性に優れ、しかも製品における面衝撃性に優れるセルロースアセテート含有樹脂組成物およびその成形体の提供を課題とする。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)セルロースアセテートエーテル化合物と、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤とを含有する樹脂組成物であって、
前記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにその水酸基由来のエーテル基を介して下記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群が導入された化合物であり、該セルロースアセテートエーテル化合物が残水酸基置換度0.3〜1.0のセルロースアセテートと下記式(1a)で表される繰り返し単位を有するグリシジル基含有高分子化合物との反応生成物であり、グリシジル基含有高分子化合物の質量平均分子量は5,000〜200,000であり、このグリシジル基含有高分子化合物の使用量は、セルロースアセテート100質量部に対し20〜100質量部であり、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートにその水酸基に由来するエーテル基を介して前記特定原子群が置換度0.01〜0.20で導入されたことを特徴とするセルロースアセテート樹脂組成物。
Figure 0005689848
(式(1−1)、(1−2)中、*はセルロースアセテートの水酸基に由来するエーテル基に結合する位置を表す。Xは1価の高分子化合物残基を表す。nは1または2である。)
Figure 0005689848
(式中Aは水素原子もしくはメチル基を表す。)
(2)前記式(1−1)および(1−2)におけるXが下記式(2)で表わされる少なくとも1種のビニルモノマーユニットを有するものである(1)に記載の樹脂組成物。
Figure 0005689848
(式(2)中、Yは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Zは水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アミノカルボニル基、または芳香族基を表す。)
)前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基、フェニル基、シアノ基、及びピロリドニル基からなる群から選ばれる基である()に記載の樹脂組成物。
)前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、シアノ基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、及びメトキシカルボニル基からなる群から選ばれる基である()に記載の樹脂組成物。
)少なくとも1種の熱可塑性樹脂をさらに含有する(1)〜()のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
)前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基が前記熱可塑性樹脂成分を繰り返し単位として含んでいる()に記載の樹脂組成物。
)前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂であり、かつ、前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基の一部に下記式(3)で表される芳香族ポリカーボネート骨格が含まれている()または()に記載の樹脂組成物。
Figure 0005689848
(式(3)においてR、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子、または炭素数1〜12の炭化水素基である。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、a、bが2以上のとき複数のR、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。Lは−O−、−S−、
Figure 0005689848
から選ばれる2価の連結基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。Rは炭素数6〜15の環状炭化水素基を形成するのに必要な原子群を表す。)
)熱可塑性樹脂が連続相、セルロースアセテートエーテル化合物が分散相をなす()〜()のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
)前記安定化剤がホスファイト化合物又はヒンダードフェノール化合物の安定化剤である(1)〜()のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
10)少なくとも1種のリン化合物難燃剤をさらに含有する(1)〜()のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
11)フッ素系樹脂をさらに含有する(1)〜(10)のいずれか1項に記載の樹脂組成物
(12)前記セルロースアセテートエーテル化合物が樹脂組成物の全質量に対する質量比で10質量%以上50質量%未満含有されている(1)〜(11)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
13)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートと、下記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
Figure 0005689848
(式中Aは水素原子もしくはメチル基を表す。)
14)(1)〜(12)のいずれか1項に記載のセルロースアセテート樹脂組成物からなる成形体
本発明の樹脂組成物は、製造上の改善として、低分子化合物に起因する揮散が防止・抑制され、しかも分解温度と流動化温度の差が十分に大きいため成形性に優れる。また、製品上の改良として成形体としたときの面衝撃性に優れ、電気電子機器の筺体等などに好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、グリシジル基を有する高分子化合物に由来する高分子化合物残基を有するセルロースアセテート樹脂と、特定の安定化剤とを含有してなる。これにより、上述のとおり、製造上の改善と製品上の改良とを同時に達成することができる。このような優れた作用効果を奏する理由は未解明の点を含むが、推定を含めて以下のように説明することができる。すなわち、アセチルセルロースの水酸基を介して高分子化合物残基が導入されたため、両者の単なる混合物ではなしえない、樹脂の分解温度を維持して流動開始温度を効果的に低減することができ、良好な成形性の実現につながったと考えられる。一方、成形後においても、上記セルロースアセテートエーテル化合物が特有のマトリックスを形成して、樹脂の耐衝撃性を高める作用をしたものと考えられる。さらに、上記セルロースアセテートエーテル化合物の高分子化合物残基は、相溶化剤的に機能し、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂などとの均一な混合を実現する。これにより、特有のモルフォロジーを通じてその樹脂の特性を効果的に引き出し、樹脂配合に係る特性の制御性を高めうる。以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、本発明において組成物とは、2以上の成分が特定の組成で実質的に均一に存在していることを言う。ここで実質的に均一とは発明の作用効果を奏する範囲で各成分が偏在していていもよいことを意味する。また、組成物とは上記の定義を満たす限り形態は特に限定されず、流動性の液体やペーストに限定されず、複数の成分からなる固体や粉末等も含む意味である。
<セルロースアセテートエーテル化合物>
本発明の樹脂組成物が含有するセルロースアセテートにエーテル基を介して有機化合物残基を導入した化合物(以下、「セルロースアセテートエーテル化合物」ということがある。)は、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートの水酸基に、下記式(1−1)または式(1−2)で表わされる特定原子群が水酸基置換度0.01以上で置換している。なお、残水酸基置換度とは、セルロース中のグルコース単位に存在する3つの水酸基のうちエステル化されずに残存している水酸基の数であり、セルロース分子の平均値として評価される値である。すべての水酸基が残存している場合には3となり、すべての水酸基がエステル化された場合には0となる。水酸基置換度も同様にグルコース単位における置換度であり、すべて水酸基が置換された場合には最大3となり、全く置換されない場合は、0となる。
Figure 0005689848
(式(1−1)または式(1−2)中、*はセルロースアセテートにエーテル結合する位置を表す。Xは1価の高分子化合物残基を表す。nは1または2である。)
〜相溶化剤置換度〜
すなわち、セルロースアセテートエーテル化合物は、具体的には、下記式(A)の繰り返し単位を有する高分子化合物として表示することができる。このとき、下記式においてRがアセチル基、式(1−1)または(1−2)で表わされる特定原子群、水素原子のいずれかである。平均置換度がアセチル基については2.0〜2.7であり、式(1−1)または式(1−2)で表わされる特定原子群が0.01以上0.20以下である(本明細書では、この置換度を「相溶化剤置換度」ということがある。)。相溶化剤置換度が前記下限値以上であると樹脂組成物ないしその成形体の可塑性向上という点で好ましい。一方、前記上限値以下であると得られる成形体の剛性の点で好ましい。
Figure 0005689848
上記セルロースアセテートエーテル化合物は、残水酸基置換度が0.3〜1.0のセルロースアセテートに、グリシジル基と式(1−1)または式(1−2)におけるXを含有する高分子化合物を反応させて得ることができる。グリシジル基と式(1−1)または式(1−2)におけるXを含有する高分子化合物は、下記式(1a)の構造を有する。
Figure 0005689848
Aは水素原子もしくはメチル基である。
式(1a)で表されるモノマーユニットは、X全体に対し1質量%以上含まれることが好ましく、2〜50質量%で含まれることが好ましく、5〜30質量%含まれることがさらに好ましい。共重合成分に由来するモノマーのモル分率(100%)でいうと、0.2〜50%であることが好ましく、0.5〜30%であることがより好ましい。
さらに好ましくは、前記Xは下記式(2)で表されるビニル系モノマーユニットを含む。換言すると、前記式(1a)の繰り返し単位と後記式(2)、(3)等で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0005689848
式(2)中、Yは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子もしくはメチル基が好ましい。
Zは水素原子、アルキル基(なかでも炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい)、アルコキシカルボニル基(なかでも基炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基がより好ましい)、シアノ基、カルボキシル基、アシルオキシ基(アセチルオキシ基が好ましい)、アシルアミノ基(ピロリドニル基が好ましい)、カルバモイル基(好ましくはN,N-ジメチルアクリルアミド基)、または芳香族基(好ましくはフェニル基)を表す。
なお、上述のアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基およびカルバモイル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでも良く、芳香族基は、単環および縮環(複環)のいずれであっても良い。
式(2)で構成されたポリマー鎖が複数のモノマーの共重合構造を有するとき、下記Zを有するユニット、Zを有するユニット、Zを有するユニット及びZを有するユニットの少なくとも2種の組合せが好ましい。下記では、式(2)のZの選択肢Z,Z,Z,Zとして示している。
・Z:水素原子、メチル基のうち少なくとも1種(水素原子がより好ましい)
・Z:メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基のうち少なくとも1種(アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基のうち少なくとも1種を有することがより好ましい)
・Z:シアノ基、フェニル基のうち少なくとも1種(フェニル基がより好ましい)
・Z:シアノ基、ピロリドニル基のうち少なくとも1種(シアノ基がより好ましい)
共重合比率は特に限定されないが、Zを有するユニットが0〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)、Zを有するユニットが0〜75モル%(より好ましくは5〜60モル%)、Zを有するユニットが0〜50モル%(より好ましくは5〜40モル%)、Zを有するユニットが0〜75モル%(より好ましくは5〜60モル%)であることが好ましい。なお、Z,Z,Z,Zを有するユニットが同じモノマーユニットの組合せになることはない。
式(2)で表されるビニル系モノマーユニットは、X全体に対し20質量%以上含まれることが好ましく、25〜95質量%含まれることがさらに好ましく、30〜95質量%含まれることが特に好ましい。このような割合で式(2)のビニル系モノマーユニットを含むことで材料内部に微分散した局所的なエネルギー吸収部位が形成され、その部位が面衝撃などの衝撃を受けたときにクレーズを形成するので、耐衝撃性を高める効果がある。共重合成分に由来するモノマーのモル分率(100%)でいうと、3〜98%であることが好ましく、5〜98%であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は材料内部にセルロースアセテートエーテル化合物および未反応の相溶化剤(グリシジル基含有高分子化合物)が微分散し、分散相を形成している。耐衝撃性は破壊試験時にこの分散相そのもの,分散相に生じる空孔(キャビテーション)および分散相によって連続相に生じる亀裂(クレーズ)にエネルギーが吸収されることによって高められている。分散相を形成するセルロースエーテル化合物に導入されたビニル系モノマーユニットの構造は分散相そのものの性質や分散相によって生じるクレーズに寄与している。
具体的にはビニルモノマーユニットの硬さがエネルギー吸収部位の性能に、ビニルモノマーユニットの極性がクレーズ形成に関わる性能(分散サイズ)に関連していると考えられる。硬さに関しては,ガラス転移温度が50℃以下の軟質ビニル成分を相溶化剤中に有すると,耐衝撃性改良効果に優れると考えられる。
この軟質ビニル成分として具体的にはエチレン、アクリル酸メチル、アセト酢酸エチルメタクリレート、ビニルアセテートなどの水素原子、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチロキシカルボニル基、アセチルオキシ基といった基を有するモノマーユニットがあげられる。軟質ビニル成分を有しない相溶化剤は,相溶化剤を有しないものと比べて高い面衝撃性改良効果はあるものの,軟質ビニル成分含有物と比較すると,効果は劣る。また,軟質ビニル成分の比率が低下すると,面衝撃性能は若干低下する。
ビニルモノマーユニットの極性に関しては,極性を有するものを相溶化剤成分として有することにより,分散相と連続相との界面の状態を調整することで、クレーズサイズを細かくすることが出来,面衝撃改良効果が優れると考えられる。これは、極性構造を有することにより、セルロースアセテートとの親和性が増すからと考えている。セルロースアセテートとの親和性が増す構造として,式(2)中のZとして、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基,カルバモイル基,アミノカルボニル基があげられる。
本実施形態によれば、上述のように軟質ビニル成分が特定の高分子化合物残基に導入されることにより、セルロースエーテル化合物の効果が組成物中で一層効果的に引き出され、特定の安定化剤ないし熱可塑性樹脂などとの作用と相まって、この種の成形体に求められる諸性能を良好に維持しつつ面衝撃改良効果に一層優れたものとすることができる。
本発明の樹脂組成物は後述する熱可塑性樹脂成分を少なくとも1種含有することが好ましい。また、上記の高分子化合物残基Xは、この熱可塑性樹脂と同じ骨格を一部に有することが好ましい。この高分子化合物残基Xの一部は、具体的には下記式(3)の構造を有するものであることが好ましい。
Figure 0005689848
式(3)においてR、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、または炭素数1〜12の炭化水素基である。炭化水素基としてはアルキル基、アリール基があげられる。R、Rとしては好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、水素原子、特に好ましくは水素原子である。
a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、a、bが2以上のとき複数のR、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。
Lは−O−、−S−、
Figure 0005689848
、及びこれらの組合せから選ばれる2価の連結基を表す。
、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。炭化水素基としてはアルキル基、アリール基があげられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、水素原子、特に好ましくはメチル基である。
は、炭素数6〜15の環状炭化水素基を形成するのに必要な原子群であり、好ましくは、シクロヘキシル基またはフルオレン基を形成するのに必要な原子群である。
本発明において、グリシジル基含有高分子化合物に由来する高分子化合物残基は、それと結合するセルロースアセテート化合物と後述する熱可塑性樹脂との相溶化効果を発揮することが期待される。その作用を効果的に引き出すよう、前記高分子化合物残基Xに、熱可塑性樹脂と同種の骨格の繰り返し単位が導入されていることが好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂と組合せる場合には、高分子化合物残基Xにポリカーボネート骨格を有することが好ましい。
式(3)で表される芳香族ポリカーボネートユニットは、X全体に対し20質量%以上含まれることが好ましく、25〜75質量%含まれることがさらに好ましく、35〜75質量%含まれることがさらに好ましい。このような割合で式(3)の芳香族ポリカーボネートユニットを含むことでセルロースアセテートとポリカーボネートとの相溶性と界面強度が顕著に増し,耐衝撃性に優れた材料となる。
本発明の樹脂組成物中の、上記セルロースアセテートエーテル化合物の含有量は全質量に対する含有率で10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、20質量%以上50質量%未満であることがさらに好ましい。共重合成分に由来するモノマーのモル分率(100%)でいうと、1〜50%であることが好ましく、3〜40%であることがより好ましい。
上記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにグリシジル基含有高分子化合物を反応させて合成することができる。
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の置換基を伴ったり一部を化学修飾したりした誘導体を含む意味である。有機酸等にあっては、その酸エステル等も含む意味である。また、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。
以下に原料となるセルロースアセテートとグリシジル基含有高分子化合物について説明する。
(セルロースアセテート)
セルロースアセテートは、セルロースをアシル化剤と反応させる通常のエステル化方法により生成でき、必要に応じてケン化又は熟成工程を経て製造できる。セルロースアセテートは、通常、パルプ(セルロース)を活性化剤により活性化処理(活性化工程)した後、硫酸などの触媒を用いてアシル化剤によりエステル(ジアセテート)を調製し(アシル化工程)、ケン化(加水分解)・熟成によりエステル化度を調整する(ケン化・熟成工程)ことにより製造できる。セルロースアセテートの場合は、例えば、硫酸触媒法、酢酸法、メチレンクロライド法等の通常行われる方法で製造できる。
本発明で用いるセルロースアセテートの水酸基置換度は2.0〜2.7(残水酸基置換度0.3〜1.0)である。
〜残水酸基置換度(アセチル置換度)
アシル化工程におけるアシル化剤の割合は、所望のアシル化度(酢化度)となる範囲で選択できる。本発明においては残水酸基置換度が0.3〜1.0、好ましくは0.5〜1.0となるように、より好ましくは0.4〜0.7となるようにする。このような割合でアセチル基を有することにより、セルロースアセテートのガラス転移温度と熱分解温度の関係が好適になり、低分子可塑剤を用いなくとも良好な成形性を確保でき、成形したときの面衝撃性を向上させることができる。
アシル化又は熟成触媒としては、通常、硫酸が使用される。硫酸の使用量は、通常、セルロース100質量部に対して、0.5〜15質量部、好ましくは5〜15質量部、更に好ましくは5〜10質量部程度である。また、ケン化・熟成の温度は、40〜160℃の範囲から選択でき、例えば、50〜70℃程度である。
更に、残留した硫酸を中和するために、アルカリで処理してもよい。
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度200〜400、好ましくは250〜400、更に好ましくは270〜350程度である。粘度平均重合度は特開平9−77801号公報、〔0018〕〜〔0019〕に記載の方法で測定することができる。
セルロースアシレートの分子量は特に限定されないが、数平均分子量で20,000〜200,000であることが好ましく、30,000〜100,000であることがより好ましい。測定方法は特に限定されないが、実施例で示したものと同様のGPCによることが好ましい。キャリアはセルロース化合物の種類にもよるが、THFもしくはNMPを用いることが好ましい。
(グリシジル基含有高分子化合物[相溶化剤])
本発明で用いるグリシジル基含有高分子化合物は、グリシジル基と前記式(1−1)または(1−2)の高分子化合物残基Xを有しており、前記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物であることが好ましい。その好ましいものは、上述のとおりであるが、さらに言えば、本発明で用いるグリシジル基含有高分子化合物は、上記式(1)の高分子化合物残基Xについての所望の構造にあわせ、例えばグリシジルメタクリレート(GMA)とビニル成分、さらに必要に応じ熱可塑性樹脂骨格を有する化合物を重合させてなる。
ビニル成分としては、例えばエチレン、プロピレン、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)、アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、およびこれらの群から選ばれる共重合体などがある。ボンドファースト BF7M,BF7B,BF2C(いずれも商品名、住友化学社製),モディパー A4400,C L430−G(いずれも商品名、日油社製)などの市販品を用いることもできる。
念のため、グリシジル基含有高分子化合物とセルロースアセテートの残存水酸基との反応スキームを示すと下記のとおりである。なお、Aは式(1a)と同様である。Cellはセルロースアセテート残基を意味しCell−OHで残存水酸基を有するセルロースアセテートを表す。
Figure 0005689848
上記の反応は定法により進行させればよく、例えば、180〜300℃に樹脂混合物を加熱し混練することで行うことができる。本発明における樹脂成形体の製造工程で言えば、例えば、原料樹脂としてセルロースアセテート化合物と上記グリシジル基含有高分子化合物とを、前記安定化剤とともに含有する樹脂原料を混練機で加熱混練し、原料の混合・流動化とともに、上記の反応を進行させることが効率的である。
このグリシジル基含有高分子化合物の使用量は、セルロースアセテート100質量部に対し20〜100質量部である。このグリシジル基含有化合物との反応でセルロースアセテート化合物の流動化温度を下げることができる。また、熱可塑性樹脂を含有させる場合には熱可塑性樹脂に対するセルロースアセテートエーテル化合物の分散性が向上する。これらの結果として樹脂組成物の流動性(成形加工性)、及び成形体の面衝撃に対する耐性が向上する。
なお、本発明の樹脂組成物の流動化温度と分解温度の差(ΔT)は20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、35℃以上であることが特に好ましい。このような範囲であることで、分解による劣化を抑制し,成形が可能となる。本発明における「流動化温度」、「分解温度」は、特に断らない限り、実施例で記載した測定方法及び測定装置による求めた値を言う。
グリシジル基含有高分子化合物の質量平均分子量は5,000〜200,000である。この分子量の測定方法は特に限定されないが、実施例で示したものと同様のGPCによることが好ましい。キャリアは種類にもよるが、THFを用いることが好ましい。
相溶化剤(グリシジル基含有高分子化合物)の製造方法は、一般に知られている重合反応(ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合など)を用いることができ、製造適性、コストの観点からラジカル重合が特に好ましい。また、ラジカル重合は、塊状重合、乳化重合、溶液重合のいずれの方法で行ってもよい。
さらに、本発明における芳香族ポリカーボネート骨格を有する相溶化剤の製造方法は、公知の方法(例えば、特開2010-90212に記載のグラフト化法など)を用いることができる。具体的には、ポリカーボネート系樹脂としては、反応性の不飽和末端基を有するポリカーボネート系樹脂が挙げられる。この不飽和末端基を有するポリカーボネート系樹脂は、分子量調整剤又は末端停止剤として、二重結合を有する一官能性化合物を、又はこれと従来の末端停止剤を併用する他は、従来のポリカーボネート系樹脂と同様の製法、すなわち界面重合法、ピリジン法、さらにはクロロホルメート法等の溶液法で製造される。
不飽和末端基を導入するための二重結合を有する一官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、9−デセン酸、9−ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、ソルビン酸クロライド、アリルアルコールクロロホルメート、イソプロペニルフェノールクロロホルメート又はヒドロキシスチレンクロロホルメート等の酸クロライド又はクロロホルメート;イソプロペニルフェノール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニルマレイミド、ヒドロキシ安息香酸アリルエステル又はヒドロキシ安息香酸メチルアリルエステル等の不飽和酸を有するフェノール類等が挙げられる。
これらの化合物は従来の末端停止剤と併用しても良いものであり、上記した二価フェノール系化合物1モルに対して、末端停止剤が通常1〜25モル%、好ましくは1.5〜10モル%の範囲で使用される
上述した重合性末端を有するポリカーボネート誘導体を、他の重合性化合物と混合し、公知の手法で重合せることでポリカーボネート構造を持つ部位を有する相溶化剤を合成することができる。
<安定化剤>
本発明の樹脂組成物は、ホスファイト化合物(またはホスホナイト化合物)、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、イオウ化合物から選ばれる安定化剤を含有する。安定化剤はセルロースアセテートエーテル化合物の分解温度を上げ、流動化温度との差を大きくする働きをする。ホスファイト化合物(ホスファイト系酸化防止剤ということもある。)、ヒンダードフェノール化合物(ヒンダードフェノール酸化防止剤ということもある。)が好ましい。ホスファイト系酸化防止剤及び/またはホスホナイト系酸化防止剤がとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ステアリルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤やテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトやテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等のホスホナイト系酸化防止剤が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの酸化防止剤の中でも特に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトまたはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−Z(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ-ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が上げられる。特に、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]や2,2−チオ−ジエチレンビス[3−Z(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好適に用いられる。
これらの安定化剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して0.01〜2.0質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。前記下限値以上とすることで、樹脂組成物の流動化温度と分解温度の差(ΔT)を拡げることができ、前記上限値以下とすることで、安定化剤添加による熱変形温度の低下を抑えることができる。また,酸化防止剤機構が異なるホスファイト系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤を併用することにより、極めて大きい流動化温度と分解温度の差(ΔT)を得ることが出来るため、さらに好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は発生したラジカルを無効化する防止剤であり、ホスファイト系酸化防止剤は発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする防止剤である。ヒンダードアミン系酸化防止剤はヒンダードフェノール系酸化防止剤と同様の役割で、イオウ系酸化防止剤はホスファイト系酸化防止剤と同様の役割で使用できる。その中でも、好適なものどうしの組み合わせであるビス(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトまたはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイトから選ばれる1種以上のホスファイト系酸化防止剤とペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]や2,2−チオ−ジエチレンビス[3−Z(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]から選ばれる1種以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤の組み合わせが好ましく、なかでも(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトとペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の併用が特に好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は熱可塑性樹脂をさらに含有させることが好ましい。このとき、前述のとおり、上記式(1)中のXにこの熱可塑性樹脂の骨格を含むことが好ましい。
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PSt)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができ、なかでもポリカーボネート樹脂が、セルロースアセテートエーテル化合物と共に使用した場合に、剛性・耐衝撃性・耐熱性・成形性のバランスに優れているという理由から好ましい。
また熱可塑性樹脂の数平均分子量は、15,000〜30,000であることが好ましい。数平均分子量が15,000以上では、より機械的強度が向上し、数平均分子量が30,000以下であれば、より成形性が向上するからである。数平均分子量の値は、例えば、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求められる。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用できる。
・ポリカーボネート樹脂
本実施形態では、ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が挙げられる。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用することができる。好ましくはビスフェノールAが挙げられる。更に、難燃性を更に高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
本発明で用いることができる芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。更に2種以上のポリカーボネート樹脂を併用してもよい。
本発明において使用することができる芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、上に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂と以下に記載する脂肪族ポリカーボネート樹脂との共重合体が挙げられる。セルロース誘導体との相溶性を高めるという理由から、芳香族成分と脂肪族成分の共重合比は95/5〜30/70が好ましく90/10〜50/50がより好ましい。
芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂の共重合に用いることができる脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基からなるものであることが好ましい。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ−[5.2.1.0]デカン、エリスリタン、イソソルバイド等の5員環ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール、4,9:5,8−ジメタノ−1(2),6(7)−ヒドロキシメチル−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ペンゾインデン、2,3−ノルボルナンジオール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジメタノール等の6員環ジオール、スピログリコール等のスピロ環ジオール等などが挙げられる。特に、得られる成形材料の剛性や耐熱性の点より脂環式脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリカーボネート樹脂の製造方法については、限定されるものでは無く、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)、あるいは原料として二酸化炭素を使用するノンホスゲン法等で製造することができる。更に、溶融法で製造された、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
更に、芳香族ポリカーボネート樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などが好ましく挙げられる。また、再生芳香族ポリカーボネート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、又はランナーなどから得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレットなども使用可能である。
本発明ではポリカーボネート樹脂として市販品を用いることもでき、例えばパンライトL1225Y:ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネート樹脂(Mn=25000)(帝人化成(株)社製)、パンライトL1225L:ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネート樹脂(Mn=21000)(帝人化成(株)社製)などが挙げられる。また、ポリカーボネートを含むアロイ樹脂、例えばポリカーボネート/ABSアロイ樹脂も好ましく用いることができる。市販品の例としては「マルチロンTN−7500」:ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂、帝人化成(株)製などがある。
本発明において芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた場合、樹脂組成物において芳香族ポリカーボネート樹脂が連続相、セルロースアセテートエーテル化合物が分散相となるモルフォロジーを有することが好ましい。このようなモルフォロジーとすることにより難燃剤を併用したときに、高い難燃性を有する樹脂組成物となる。分散サイズは0.1〜10μmであることが好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されないが、組成物中に35質量%以上含有されることが好ましい。35〜95質量%含有されることがより好ましく、35〜80質量%含有されることが好ましい。前記数値以上とすることで、樹脂組成物において芳香族ポリカーボネート樹脂が連続相することができ、難燃剤を併用したときに,高い難燃性を有する樹脂組成物とすることができる。
<難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、リン含有難燃剤を含有することが好ましい。これにより、燃焼速度の低下又は抑制といった難燃効果を向上させることができる。
またリン含有難燃剤は、一般的に使用される臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等、他の難燃剤と比較して、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、焼却廃棄時にハロゲンが揮散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないという利点がある。更に一般的に使用されるケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等の難燃剤と比較すると難燃化効果が大きく、曲げ弾性率や耐衝撃性の低下が抑制されるという利点がある。
本発明におけるリン含有難燃剤としては、特に限定されることはなく、常用のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が挙げられるが、樹脂材料の熱安定性向上の観点からリン酸エステルが好ましく、成形加工時の揮散防止やブリードアウト抑制の観点から縮合リン酸エステル(分子内にリン酸エステルユニットを2つ以上有する化合物)がより好ましい。
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート並びにこれらの縮合物などの芳香族縮合リン酸エステル等を挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤の分子量は400〜1500であり、500〜1000であることが好ましい。分子量をこの範囲とすることで、成形時の揮散と、成形体のブリードアウトを抑制することが容易となる。リン含有難燃剤の分子量が400未満であると揮散性、及びブリードアウトの観点で好ましくない。リン含有難燃剤の分子量が1500より大きいと樹脂に対する相溶性の観点で好ましくない。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表1族〜14族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン塩等が挙げられる。
また、前記以外にも、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのリン含有難燃剤は公知の方法で製造することができる。また、市販品を使用することもでき、例えば、「CR−733S、CR−741、PX−200(以上大八化学(株)製)」や「FP−600、FP−700(以上(株)アデカ製)」を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる可塑剤とリン含有難燃剤の含有量は特に限定されないが、可塑剤の添加量は樹脂組成物の全固形分に対して3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。またリン含有難燃剤の添加量は樹脂組成物の全固形分に対して3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。なお、好ましくは可塑剤とリン含有難燃剤の含有量の合計が、樹脂組成物の全固形分に対して、10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%含有する。この範囲とすることで、成形性と成形体の強度、耐衝撃性、難燃性のバランスを取ることが容易になる。
<フッ素系樹脂>
本発明の樹脂組成物は、更にフッ素系樹脂を含有することが好ましい。成形体が燃焼した場合のドリップを防止し、更に高度な難燃性を得るためである。
本発明におけるフッ素系樹脂とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/エチレン共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましく、更にはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体も好ましく用いられる。ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂の分子量は10万〜1000万の範囲のものが好ましく、とくに10万〜100万の範囲のものがより好ましく、本発明の押出成形性と難燃性に特に効果がある。ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製の“テフロン(登録商標)”6−J、“テフロン(登録商標)”6C−J、“テフロン(登録商標)”62−J、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製の“フルオン”CD1やCD076などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の市販品としては、三菱レイヨン(株)から、“メタブレン(登録商標)”Aシリーズとして市販され、“メタブレン(登録商標)”A−3000、“メタブレン(登録商標)”A−3800などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレンの“テフロン(登録商標)”6−Jなどは凝集し易いため、他の樹脂組成物と共にヘンシェルミキサーなどで機械的に強く混合すると凝集により塊が生じる場合があり、混合条件によってはハンドリング性や分散性に課題がある。一方、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は前記のハンドリング性や分散性に優れ、とくに好ましく用いられる。前記のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体とは、限定されるものではないが、特開2000−226523号公報で開示されているポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体などが挙げられ、前記の有機系重合体としては芳香族ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、及びシアン化ビニル系単量体を10重量%以上含有する有機系重合体などであり、それらの混合物でもよく、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体中のポリテトラフルオロエチレンの含有量は0.1質量%〜90質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるフッ素系樹脂の配合量は、好ましくは1〜0.01質量%であり、より好ましくは0.8〜0.02質量%、更に好ましくは0.5〜0.03質量%である。この範囲とすることで、成形性への影響を抑えながら難燃性をより向上させることができる。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、フィラー(強化材)を含有してもよい。フィラーを含有することにより、樹脂組成物によって形成される成形体の機械的特性を強化することができる。
フィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維等の合成繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、マニラ麻、亜麻、リネン、絹、ウール等の天然繊維、微結晶セルロース、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙等から得られる繊維状の有機フィラーや、有機顔料等の粒状の有機フィラーが挙げられる。
樹脂組成物がフィラーを含有する場合、その含有量は限定的でないが、樹脂組成物の全固形分に対して、30質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記したもの以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲で、成形性・難燃性等の各種特性をより一層改善する目的で他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形することにより得られる。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の樹脂組成物を加熱し、成形する工程を含む。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は射出成形用樹脂組成物であることが好ましい。
加熱温度は、通常160〜300℃であり、好ましくは180〜260℃である。
本発明においては、前記グリシジル基含有高分子化合物とセルロースアセテートとの反応を、混練・押出と同時に進行させることが好ましい。その際に、混練するバッチには上記の成分以外にも、必要な安定化剤、熱可塑性樹脂、難燃剤等を仕込んでおき、所望の性能の成形体を得ることが好ましい。本発明によれば、上述のように熱安定化剤の添加によって分解温度が高められた一方で、軟化温度は反応によって相対的に低くなる方向とされており、より大きなΔTが付与されているため、混練・押出時の加熱温度に幅ができ、より自由度の高い製造条件の設定が可能となる。
本発明の成形体の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)の内装又は外装部品、自動車、機械部品、住宅・建築用材料等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性及び耐衝撃性を有しており、面衝撃への耐性に優れ、環境への負荷が小さい観点から、例えば、コピー機、プリンター、パソコン、テレビ等といった電気電子機器用の外装部品(特に筐体)として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1、比較例1
(相溶化剤)
表1に示す質量比でモノマーユニットが重合した相溶化剤を準備した。相溶化剤c1以外はグリシジル基含有高分子化合物である。また、相溶化剤c2は酸無水物、相溶化剤c3はタルクである。詳細は表1の欄外に記載した。
相溶化剤3の合成例
ラジカル重合開始剤として和光純薬工業株式会社性 V−601を1.56g、ビニルモノマーとしてAAEMAを72g、MANを22g,GMAを6g,溶剤としてMEK(メチルエチルケトン)を50g、冷却管を取り付けた容積500mlの3つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、80℃で6時間重合をおこなった後、2Lのヘキサンに再沈をおこない固体を得た。得られた固体は,温風乾燥後,100℃ 6時間真空乾燥を行ってから使用した。
Figure 0005689848
PE:エチレン成分、EA:エチルアクリレート成分、MAH:無水マレイン酸成分
なお、表1において、各成分の略号は以下のものを示す。以下のものは、ポリマー(高分子化合物:P〜)として表記しているが、その残基として、高分子鎖に組み込まれていることを意味する。下記略号の先頭にあるPを除いたものがそのモノマーを表す。
GMA:グリシジルメタクリレート
PE:ポリエチレン
PMA:ポリアクリル酸メチル
PAAEMA:ポリアセト酢酸エチルメタクリレート
AS:アクリロニトリル・スチレン共重合体
PAN:ポリアクリロニトリル
PMAN:ポリメタクリロニトリル
PSt:ポリスチレン
PVA:ポリビニルアセテート
PVP:ポリビニルピロリドン
PC:ポリカーボネート樹脂「パンライト L1225Y」(商品名、帝人化成社製、ビスフェノール−A骨格を有する、Mn=25000)
(成形体の作製)
セルロースエステル、相溶化剤、熱可塑性樹脂、難燃剤及びその他の成分を下表に示す配合割合(質量部)で混合し、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給し,混練温度180〜260℃,スクリュー回転数(50〜300rpm),材料供給量(1Kg/h)で混練した。混練物をペレット化し、ついで得られたペレットを、射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、商品名、自動射出成形機)に供給して、樹脂温度190〜260℃、シリンダー内の樹脂滞留時間1分、金型温度40〜60℃、冷却時間20〜40秒で4×10×80mmの多目的試験片を成形した。
なお、表2−1〜表5−2において、各成分の略号は以下のものを示す。
(CA:セルロースアセテート)
Figure 0005689848
(可塑剤)
可塑剤1:ジエチルフタレート
可塑剤2:トリプロピオニン
(安定化剤)
安定化剤1(ヒンダードフェノール系):ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、「Irganox 1010」(商品名、チバ・ジャパン社製)
安定化剤2(ホスファイト系):3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、「アデカスタブ PEP−36」(商品名、ADEKA社製)
(熱可塑性樹脂)
PC1:ポリカーボネート「パンライト L1225Y」(Mw:45000、帝人化成社製)
PC2:ポリカーボネート「パンライト L1225L」(Mw:38000、帝人化成社製)
PET:ポリエチレンテレフタレート
PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート、「エコフレックス」(商品名、BASF社製)
エリーテル:熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂、「エリーテル UE−3203」(商品名、ユニチカ社製)
バイロン:「バイロン GH230B」(商品名、東洋紡社製)
難燃剤1:「PX−200」(商品名、大八化学社製)
難燃剤2:トリフェニルホスフェート
[数平均分子量の測定方法]
数平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
[評価]
得られた樹脂組成物及び多目的試験片を用いて、以下の項目について評価した。評価結果は表2〜5に示した。
(ΔT)
流動化温度と分解温度の差を以下のように測定した。
流動化温度の指標として,フローテスタを用いた。フローテスタ((株)島津製作所製CFT−100D、L=10mm、D=1.0mmのダイを使用)を用い、粉体またはペレットをガラス転移温度以下の温度で装置に投入し、剪断速度100s−1、昇温速度2℃/minで昇温測定を行った。一般的に射出成形が容易に可能である、この測定での見かけの粘度が100Pa・sとなる温度を流動特性温度とした。分解温度の指標として、空気下での2質量% 質量減少温度を用いた。空気下での2質量%重量減少温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用い、試料量5mg、昇温速度10℃/分で30℃〜500℃まで乾燥空気下で測定し、質量が2質量%減少した温度とした。上記二つの方法で求めた温度の差をΔTとして定義した。
AA: ΔTが,40℃以上
A : ΔTが,30℃以上 40℃未満
B : ΔTが,20℃以上 30℃未満
C : ΔTが,20℃未満
(曲げ弾性率)
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/分で曲げ弾性率を測定した。測定は3回測定の平均値である。
(難燃性)
難燃性の指標として、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行った。試験本数は5本である。自己消火性の無いものをV−not、燃焼試験時に樹脂組成物のドリップがあり所定時間内に自己消火するものをV−2、燃焼時に樹脂組成物ドリップがなく所定時間内に自己消火するものをV−1(燃焼時間30秒以内)、V−0(燃焼時間10秒以内)とした。
(揮散性)
樹脂組成物を混練・成形加工する際に、白煙などにより揮発成分を目視にて確認した。揮発成分が見られなかった場合をA、わずかに白煙が見られた場合をB、はっきりと白煙が見られた場合をCとした。
(熱変形温度:流動開始温度)
ISO75に準拠して、試験片の中央に一定の曲げ荷重(1.8MPa)を加え(フラットワイズ方向)、等速度で昇温させ、中央部のひずみが0.34mmに達したときの温度(℃)を測定し,熱変形温度とした。
(衝撃強度)
ISO179に準拠して、射出成形にて成形した試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上静置した後、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)によってエッジワイズにて衝撃強度を測定した。
(面衝撃レベル)
耐面衝撃性の指標として,鋼球落下試験を用いた。500グラムの鋼球を200mm以上の所定の高さから,内枠が60mm×60mmである治具で固定した厚み1.5mmの成形片の上に落下させ,破壊に至らなかった高さを耐面衝撃の高さとした。
(総合評価)
上記各項目の評価結果を考慮し精密機器の筐体への利用を前提に要求満足度を基に下記のように区分した。
AA: 要求レベルを満足し高い評価を得られるレベルである
A : 要求レベルを満足するレベルである
B : 使用条件等を限定すれば要求を十分に満足するレベルである
C : 要求レベルを満足できないレベルである
Figure 0005689848
Figure 0005689848
Figure 0005689848
Figure 0005689848
Figure 0005689848
Figure 0005689848
Figure 0005689848
マトリクス(海)は、樹脂が試験片内で連続相を有する状態を意味する。
以上の結果から明らかなように、本発明では、バイオマス材料であるセルロースアセテートを用いて、製造時における低分子可塑剤等に起因する揮散性を防ぎ、また成形性に優れる樹脂組成体を提供することができた。さらに,製品使用時の耐面衝撃性に優れるセルロースアセテートエーテル化合物含有樹脂組成物およびその成形体の提供をすることができた。

Claims (14)

  1. セルロースアセテートエーテル化合物と、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及びイオウ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる安定化剤とを含有する樹脂組成物であって、
    前記セルロースアセテートエーテル化合物は、セルロースアセテートにその水酸基由来のエーテル基を介して下記式(1−1)または(1−2)で表される特定原子群が導入された化合物であり、該セルロースアセテートエーテル化合物が残水酸基置換度0.3〜1.0のセルロースアセテートと下記式(1a)で表される繰り返し単位を有するグリシジル基含有高分子化合物との反応生成物であり、グリシジル基含有高分子化合物の質量平均分子量は5,000〜200,000であり、このグリシジル基含有高分子化合物の使用量は、セルロースアセテート100質量部に対し20〜100質量部であり、残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートにその水酸基に由来するエーテル基を介して前記特定原子群が置換度0.01〜0.20で導入されたことを特徴とするセルロースアセテート樹脂組成物。
    Figure 0005689848
    (式(1−1)、(1−2)中、*はセルロースアセテートの水酸基に由来するエーテル基に結合する位置を表す。Xは1価の高分子化合物残基を表す。nは1または2である。)

    Figure 0005689848
    (式中Aは水素原子もしくはメチル基を表す。)
  2. 前記式(1−1)および(1−2)におけるXが下記式(2)で表わされる少なくとも1種のビニルモノマーユニットを有するものである請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 0005689848
    (式(2)中、Yは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Zは水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アミノカルボニル基、または芳香族基を表す。)
  3. 前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基、フェニル基、シアノ基、及びピロリドニル基からなる群から選ばれる基である請求項に記載の樹脂組成物。
  4. 前記式(2)中のYが水素原子及びメチル基から選ばれる基であり、Zが水素原子、シアノ基、アセト酢酸エチルオキシカルボニル基、及びメトキシカルボニル基からなる群から選ばれる基である請求項に記載の樹脂組成物。
  5. 少なくとも1種の熱可塑性樹脂をさらに含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基が前記熱可塑性樹脂成分を繰り返し単位として含んでいる請求項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂であり、かつ、前記式(1−1)および(1−2)における高分子化合物残基の一部に下記式(3)で表される芳香族ポリカーボネート骨格が含まれている請求項またはに記載の樹脂組成物。
    Figure 0005689848
    (式(3)においてR、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子、または炭素数1〜12の炭化水素基である。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、a、bが2以上のとき複数のR、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。Lは−O−、−S−、
    Figure 0005689848
    から選ばれる2価の連結基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。Rは炭素数6〜15の環状炭化水素基を形成するのに必要な原子群を表す。)
  8. 熱可塑性樹脂が連続相、セルロースアセテートエーテル化合物が分散相をなす請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記安定化剤がホスファイト化合物又はヒンダードフェノール化合物の安定化剤である請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 少なくとも1種のリン化合物難燃剤をさらに含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. フッ素系樹脂をさらに含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記セルロースアセテートエーテル化合物が樹脂組成物の全質量に対する質量比で10質量%以上50質量%未満含有されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    残水酸基置換度が0.3〜1.0であるセルロースアセテートと、下記式(1a)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物とを反応させる工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0005689848
    (式中Aは水素原子もしくはメチル基を表す。)
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロースアセテート樹脂組成物からなる成形体。
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