JP6897196B2 - 樹脂組成物、及び、樹脂成形体 - Google Patents

樹脂組成物、及び、樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、及び、樹脂成形体に関する。
従来、熱可塑性樹脂としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。例えば、家電製品、自動車等の各種部品、事務機器、電子電気機器等の筐体などに、熱可塑性樹脂が使用されている。
近年では、熱可塑性樹脂として植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロースアシレートがある。
例えば、特許文献1には、「セルロースエステル樹脂と、前記セルロースエステル樹脂と反応し得る官能基を有しない非反応性可塑剤と、炭素数2以上4以下のオレフィンが重合したポリオレフィンを主成分とし且つ前記セルロースエステル樹脂と反応し得る官能基を複数有するポリオレフィン含有多官能エラストマーと、を少なくとも有する樹脂組成物。」が開示されている。
また、特許文献2には、「(A)セルロースエステル100質量部に対して、(B)可塑剤2〜100質量部、(C)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むコアシェル構造の熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有するセルロースエステル組成物。」が開示されている。
特開2016−069397号公報 特開2014−084343号公報
本発明が解決しようとする課題は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含有する樹脂組成物において、前記共重合体に含まれる下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える場合に比べ、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
は、
重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含む樹脂組成物である。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
は、
前記オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体である請求項1に記載の樹脂組成物である。
は、
前記セルロースアシレートの置換度が、2.0以上2.5以下である又はに記載の樹脂組成物である。
は、
前記セルロースアシレートが、アセチル基を少なくとも有する乃至のいずれか1に記載の樹脂組成物である。
は、
前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下である乃至のいずれか1に記載の樹脂組成物である。
は、
アジピン酸エステル含有化合物を更に含む乃至のいずれか1に記載の樹脂組成物である。
は、
乃至のいずれか1に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体である。
は、
重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が反応してなる樹脂を含む樹脂成形体である。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
によれば、
前記オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体であるに記載の樹脂成形体である。
によれば、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含有する樹脂組成物において、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える場合に比べ、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
によれば、前記共重合体が、エチレン以外のオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体である場合に比べ、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
によれば、セルロースアシレートの置換度が2.0未満であるか、又は、2.5を超える場合に比べ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
によれば、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える場合に比べ、前記セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを含み、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
によれば、前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部未満であるか、又は、10質量部を超える場合に比べ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂成形体が提供される。
によれば、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える場合に比べ、アジピン酸エステル含有化合物を含み、樹脂成形時における成形性に優れ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
によれば、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含有する樹脂組成物において、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える樹脂組成物を用いる場合に比べ、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が提供される。
によれば、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を反応してなる樹脂を含む樹脂成形体において、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であるか、又は、35質量%を超える場合に比べ、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が提供される。
によれば、前記共重合体が、エチレン以外のオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体である場合に比べ、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含む。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記構成により、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が得られる。その理由は、次の通り推測される。
セルロースは剛直な化学構造であり、かつ分子内及び分子間水素結合力が強いことから極めて高い弾性率と耐熱性を有する一方、熱流動性がほとんどないため、プラスチックとしてはあまり用いられていない。
そこで、セルロースに置換基(特にアシル基)をつけることにより、可塑性を付与し、溶融温度を低下させることで熱流動性を向上し、プラスチックとして利用可能になった。
セルロースアシレートは、CO排出量が本質的に少なく、優れた環境性能を示す。しかしながら、例えば複写機及び家電部品などの筐体用途に用いる場合には、セルロースアシレートにおける分子内及び分子間水素結合が強く、剛性が高い半面、耐衝撃強度が低いという課題がある。
また、特許文献1では、セルロースアシレート等のセルロースエステル100質量部に対して、可塑剤2〜100質量部、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むコアシェル構造の熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有させることによって、耐衝撃強度を向上させているが、本来の強みであった剛性、具体的には曲げ弾性率が大きく低下する。
本実施形態では、セルロースアシレートを使用した場合であっても、耐衝撃強度を向上させ、かつ本来の特性である曲げ弾性率の高さも確保することに成功した。具体的には、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含む樹脂組成物により、耐衝撃性に優れ、曲げ弾性率の高い樹脂成形体が得られる。
前記セルロースアシレートのエステル基と前記式(a)で表される構成単位におけるアルキルエステル基との親和性が高いことから、あたかもセルロースアシレートの側鎖が延長されたかのような樹脂内部の可塑化が生じ、耐衝撃強度が向上する。
しかしながら、樹脂内部において可塑化が進行すると、通常はセルロースアシレートの特性である曲げ弾性率が低下する。
そこで、重量平均分子量3万以上9万以下の従来より分子量が低いセルロースアシレート、及び、前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を用いることによって、前記セルロースアシレートと前記共重合体とが相互作用し、前記共重合体が、あたかも前記セルロースアシレートと前記共重合体とより形成される樹脂の主鎖のように振る舞うことにより、樹脂内部の可塑化が適切なバランスとなることで、高い曲げ弾性率を確保したまま耐衝撃性にも優れた樹脂成形体が得られる。
なお、セルロースアシレートの重量平均分子量が3万未満であると、セルロースアシレートの剛直性が発揮されなくなり、曲げ弾性率が低下する。一方、セルロースアシレートの重量平均分子量が9万を超えると、セルロースアシレートの分子内及び分子間水素結合が強固になり、前記共重合体におけるアルキルエステル基との親和性が失われ、曲げ弾性率の低下が起こる。
更に、前記共重合体における前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%未満であると、前記セルロースアシレートのエステル基と前記式(a)で表される構成単位におけるアルキルエステル基との親和性が低下し、樹脂内部の可塑化が十分進行せず、耐衝撃強度が不足する。また、前記共重合体における前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、35質量%を超えると、樹脂内部の可塑化が進行し過ぎて、曲げ弾性率が低下する。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の詳細について説明する。
<セルロースアシレート>
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレートを含む。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートは、重量平均分子量3万以上9万以下、置換度2.0以上2.5以下のセルロースアシレートであることが好ましい。この特性を持つセルロースアシレートは、溶融温度が低く、透明性の高い。そして、前記特性を持つセルロースアシレートを樹脂成形体に使用すると、成形性が高く(例えば射出成形性が高く)、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる。
ただし、本実施形態に用いられるセルロースアシレートの特性は、重量平均分子量3万以上9万以下であること以外は、上記特性に限られず、セルロースアシレートの使用目的に応じて選択される。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートは、重量平均分子量3万以上9万以下であり、得られる樹脂成形体の耐衝撃性の観点から、4万以上9万以下が好ましく、6万以上9万以下がより好ましい。
本実施形態におけるセルロースアシレートの重量平均分子量は、以下の方法により測定する。
ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10溶液を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー(株)製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
本実施形態に係るセルロースアシレートの重合度は、溶融温度の低減(成形性の向上)、得られる樹脂成形体の耐衝撃性の観点から、100以上350以下が好ましく、150以上350以下がより好ましく、200以上350以下が特に好ましい。
ここで、重合度は、以下の手順で重量平均分子量から求める。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量を前記方法により測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることで、セルロースアシレートの重合度を求める。なお、例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき284となる
本実施形態に係るセルロースアシレートの置換度は、溶融温度の低減(成形性の向上)、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、2.0以上2.5以下が好ましく、2.1以上2.5以下がより好ましく、2.2以上2.5以下が特に好ましい。
ここで、置換度とは、セルロースが有する水酸基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアシレートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
そして、置換度は、H−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から測定する。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートが有するアシル基としては、特に制限はないが、得られる成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1以上6以下のアシル基であることが好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、2−メチルプロピオニル基、及び、ペンタノイル基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアシル基であることがより好ましく、アセチル基、及び、プロピオニル基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアシル基であることが更に好ましく、アセチル基であることが特に好ましい。
また、実施形態に用いられるセルロースアシレートは、アシル基を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートとして具体的には、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、及び、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるセルロースアシレートの含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、樹脂組成物の全質量に対し、50質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、65質量%以上99.8質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上99.5質量%以下であることが特に好ましい。
なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記セルロースアシレートと前記共重合体とが全量ではないものの、一部反応していると推定される。
前記セルロースアシレートの含有量は、未反応のセルロースアシレートの量だけでなく、反応した樹脂におけるセルロースアシレート成分の量も含めるものとする。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記セルロースアシレートと前記共重合体とが反応してなる樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態に用いられるセルロースアシレートの製造方法は、特に制限はなく、例えば、セルロースに対し、アシル化、及び、低分子量化(解重合)、並びに、必要に応じて、脱アシル化を行う方法により好適に製造される。また、市販品のセルロースアシレートを、前記重量平均分子量となるように、低分子量化(解重合)等を行って製造してもよい。
<オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体>
本実施形態に係る樹脂組成物は、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含み、前記共重合体は、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下である。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
式(a)で表される構成単位は、(メタ)アクリレート由来の構成単位であることが好ましい。
式(a)におけるRは、水素原子であることが好ましい。
式(a)におけるRは、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、成形性及び得られる樹脂成形体の曲げ弾性率の観点からは、前記Rは、炭素数1以上6以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基であることが更に好ましい。
また、Rにおける前記アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよい。
前記共重合体において、式(a)で表される構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
前記共重合体における式(a)で表される構成単位の含有量は、前記共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であり、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、18質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上32質量%以下であることが特に好ましい。
前記共重合体は、オレフィン由来の構成単位を有する。
前記共重合体に共重合するオレフィンとしては、エチレン性不飽和基を有する脂肪族炭化水素化合物であることが好ましく、エチレン及びα−オレフィンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、エチレン及びプロピレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましく、エチレンであることが特に好ましい。
また、前記共重合体は、前記オレフィン由来の構成単位として、下記式(b)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又は炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。
式(b)におけるRは、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、Rにおける前記アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記共重合体において、式(b)で表される構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
前記共重合体における式(b)で表される構成単位の含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、前記共重合体の全質量に対し、55質量%以上85質量%以下であることが好ましく、65質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、68質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。
前記共重合体は、式(a)又は式(b)で表される構成単位以外の他の構成単位を有していてもよいが、有しないことが好ましい。
他の構成単位を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、前述した以外の公知のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
他の構成単位を形成するモノマーとして具体的には、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、及び、前述した以外の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記共重合体において、他の構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
前記共重合体における他の構成単位の含有量は、前記共重合体の全質量に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、他の構成単位を有しないことが特に好ましい。
前記共重合体は、オレフィン−アルキル(メタ)アクリレートの2元共重合体であることが好ましい。
また、前記共重合体は、式(a)で表される構成単位、及び、式(b)で表される構成単位からなる共重合体であることが好ましい。
前記共重合体の末端の構造は、特に制限はなく、反応条件や反応停止剤の種類により、種々の基を形成する場合があるが、水素原子、ヒドロキシ基、エチレン性不飽和基、アルコキシ基、及び、アルキルチオ基等が挙げられる。
前記共重合体の重量平均分子量Mwは、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、5,000以上20万以下であることが好ましく、1万以上10万以下であることがより好ましい。
本実施形態に用いられる前記共重合体は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物における前記共重合体の含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上8質量部以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等を含んでもよい。
<可塑剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、成形性及び得られる樹脂成形体の耐衝撃性の観点から、可塑剤を含むことが好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、得られる樹脂成形体の曲げ弾性率の観点からは、可塑剤を含まないことが好ましい。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
−アジピン酸エステル含有化合物−
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステルが挙げられる。具体的には、下記一般式(AE−1)で示されるアジピン酸ジエステル、及び下記一般式(AE−2)で示されるアジピン酸ポリエステル等が挙げられる。
Figure 0006897196
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2は、それぞれ独立に、アルキル基、又はポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1](但し、RA1はアルキル基を、xは1以上10以下の整数を、yは1以上10以下の整数を、表す。)を表す。
AE3は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
一般式(AE−2)中、RAE3が表すアルキレン基は、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
アジピン酸エステルの分子量(又は重量平均分子量)は、200以上5000以下が好ましく、300以上2000以下がより好ましい。なお、重量平均分子量は、前述のセルロースアシレートの重量平均分子量の測定方法に準拠して測定された値である。
以下、アジピン酸エステル含有化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
Figure 0006897196
−ポリエーテルエステル化合物−
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(EE)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
Figure 0006897196

一般式(EE)中、REE1及びREE2はそれぞれ独立に、炭素数2以上10以下のアルキレン基を表す。AEE1及びAEE2はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、又は、炭素数7以上18以下のアラルキル基を表す。mは、1以上の整数を表す。
一般式(EE)中、REE1が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE1が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
EE1が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE1が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE1が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE1が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE1が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE1としてn−ヘキシレン基(−(CH−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、REE2が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE2が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
EE2が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE2が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE2が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE2が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE2が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE2としてn−ブチレン基(−(CH−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基であり、炭素数2以上4以下のアルキル基がより好ましい。AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、分岐状が好ましい。
EE1、及びAEE2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
EE1、及びAEE2が表すアラルキル基としては、−R−Phで示される基である。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
EE1、及びAEE2の少なくとも一方は、アリール基又はアラルキル基を表すことが好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、AEE1、及びAEE2の少なくとも一方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましく、AEE1、及びAEE2の双方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましい。
次に、ポリエーテルエステル化合物の特性について説明する。
ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、450以上650以下が好ましく、500以上600以下がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HPLC1100を用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエーテルエステル化合物の25℃における粘度は、35mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、40mPa・s以上45mPa・s以下がより好ましい。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
ポリエーテルエステル化合物の溶解度パラメータ(SP値)が、9.5以上9.9以下が好ましく、9.6以上9.8以下がより好ましい。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
以下、ポリエーテルエステル化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
Figure 0006897196
本実施形態に係る樹脂組成物における可塑剤の含有量は、樹脂組成物の全質量に対し、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。可塑剤の比率が上記範囲であることにより、弾性率がより高くなり、耐熱性もより高くなる。また、可塑剤のブリードも抑制される。
<その他の成分>
その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
(他の樹脂)
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記セルロースアシレート及び前記共重合体以外の他の樹脂を含有していてもよい。但し、他の樹脂は、樹脂組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%であることがより好ましく、他の樹脂を含有しないことが特に好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物よりなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、前記セルロースアシレート及び前記共重合体を含む樹脂組成物を調製する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、セルロースアシレートと、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等と、を少なくとも含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するセルロースアシレートの溶融温度に応じて決定すればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上210℃以下がより好ましい。
[樹脂成形体及びその製造方法]
本実施形態に係る樹脂成形体は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が反応してなる樹脂を含む。
Figure 0006897196
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
本実施形態に係る樹脂成形体における前記セルロースアシレート及び前記共重合体における好ましい態様は、前述した本実施形態に係る樹脂組成物における前記セルロースアシレート及び前記共重合体における好ましい態様とそれぞれ同じである。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形してなることが好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる前記セルロースアシレート及び前記共重合体の少なくとも一部が成形時に反応し、前記セルロースアシレート及び前記共重合体が反応してなる樹脂が形成される。
また、本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形する工程を有することが好ましい。
成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は、形状の自由度が高い点で、射出成形を行うが好ましい。射出成形については、樹脂組成物を加熱溶融し、金型に流し込み、固化させることで成形体が得られる。射出圧縮成形によって成形してもよい。
射出成形のシリンダ温度は、140℃以上240℃以下であることが好ましく、150℃以上220℃以下であることがより好ましく、160℃以上220℃以下であることが更に好ましい。射出成形の金型温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業(株)製NEX500、日精樹脂工業(株)製NEX150、日精樹脂工業(株)製NEX70000、東芝機械(株)製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、エンジンカバー、車体、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子・電気機器や家電製品の筐体;電子・電気機器や家電製品の各種部品;自動車の内装部品;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「質量部」を表す。
<セルロースアシレートの合成>
(セルロースアセテートCA1の合成)
アセチル化:セルロース粉末(日本製紙ケミカル(株)製、KCフロックW50)3部、硫酸0.15部、酢酸30部、及び、無水酢酸6部を反応容器に入れ、20℃で4時間撹拌し、セルロースのアセチル化を行った。
脱アセチル及び低分子量化:アセチル化を行った溶液に撹拌終了後ただちに3部の酢酸と1.2部の純水とを加え、20℃で30分間撹拌後、0.2M塩酸水溶液4.5部を加え、75℃に加熱して、5時間撹拌した。この溶液を、200部の純水に2時間かけて滴下し、20時間静置した後、孔径6μmのフィルターを通してろ過し、4部の白色粉末を得た。
洗浄:得られた白色粉末を、フィルタープレス((株)栗田機械製作所製、SF(PP))を用い、純水にて電導度が50μS以下になるまで洗浄後、乾燥した。
後処理:乾燥後の白色粉末3部に0.2部の酢酸カルシウムと30部の純水とを加え、25℃で2時間撹拌した後、ろ過し、得られた粉末を60℃で72時間乾燥し、セルロースアセテートCA1を約2.5部得た。
(セルロースアセテートCA2の合成)
アセチル化に用いる硫酸量0.15部を0.30部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテートCA2を得た。
(セルロースアセテートCA3の合成)
アセチル化に用いる硫酸量0.15部を0.03部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテートCA3を得た。
(セルロースアセテートCA4の合成)
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを7時間に変えた以外は、CA1と同様の方法でセルロースアセテートCA4を得た。
(セルロースアセテートCA5の合成)
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、65℃で7時間撹拌した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA5を得た。
(セルロースアセテートCA6の合成)
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、80℃で4時間撹拌した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA6を得た。
(セルロースプロピオネートCP1の合成)
アセチル化において、無水酢酸2部を用いたところを、無水プロピオン酸2.5部用い、脱アシル及び低分子量化反応時間5時間を7時間に変えた以外は、CA1と同様にしてセルロースプロピオネートCP1を得た。
(セルロースアセテートCA7−1乃至3の準備)
市販のセルロースアセテート((株)ダイセル製、L50)、((株)ダイセル製、L20)をそれぞれセルロースアセテートCA7−1、CA7−2、(イーストマンケミカル社製、CA−398−3)をCA7−3として準備した。
(セルロースアセテートCA8の合成)
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを4時間30分に変えた以外は、CA1と同様の方法でセルロースアセテートCA8を得た。
(セルロースアセテートCA9の合成)
アセチル化で得られた溶液を室温(20℃、以下同様)で10時間放置した後、脱アセチル化及び低分子量化を行った以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA9を得た。
<重量平均分子量、重合度、置換度の測定>
セルロースアシレートの重合度は、以下の手順で重量平均分子量から求められる。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量を、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10溶液を用い、GPC装置(東ソー(株)製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることでセルロースアシレートの重合度は求められる。構成単位分子量は、例えばアセチル基で置換度2.4の場合は263、置換度2.9の場合は287となる。この方法で合成したセルロースアシレートの重合度と置換度とを評価した結果を表1にまとめる。
Figure 0006897196
<エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体の合成>
(EA1乃至3の準備)
市販のエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体である、LOTRYL29MA03(アルケマ社製)をEA1、LOTLYL18MA02(アルケマ社製)をEA2、LOTLYL35BA320(アルケマ社製)をEA3として準備した。
(EA4の合成)
エチレンモノマー86質量部、メチルアクリレートモノマー14質量部をテトラヒドロフランに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.05質量部を加え、40℃で24時間撹拌したものを、純水中に滴下し、生じた沈殿をろ過、乾燥しエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体共重合体(EA4)を得た。
(EA5の合成)
エチレンモノマー63質量部、エチルアクリレートモノマー37質量部をテトラヒドロフランに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.05質量部を加え、40℃で24時間撹拌したものを、純水中に滴下し、生じた沈殿をろ過、乾燥しエチレン―アルキル(メタ)アクリレート共重合体(EA5)を得た。
(EA6乃至8、及び、PA1の合成)
表2の組成でEG5と同様にして、EA6乃至8、及び、PA1をそれぞれ得た。
Figure 0006897196
なお、表2に記載のMAはメチルアクリレートを表し、EAはエチルアクリレート、BAはn−ブチルアクリレート、n−HAはn−ヘキシル(メタ)アクリレートを表す。
<アジピン酸エステル含有化合物、及び、他の可塑剤の準備>
市販のアジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業(株)製、Daifatty101)を化合物AE1、市販のアジピン酸エステル含有化合物((株)アデカ社製、アデカサイザーRS107)をAE2として準備した。また、アジピン酸エステル含有化合物以外の可塑剤(他の可塑剤)として、ポリエーテルエステル((株)アデカ製、アデカサイザーRS−1000)をEE−1として準備した。
<耐衝撃強度、及び、曲げ弾性率の評価>
表3に示す仕込み組成比で、シリンダ温度Aにより2軸混練装置(東芝機械(株)製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、比較例7及び8については、特開2014−084343号公報に記載の実施例1又は3の組成で混練し、ペレットを得た。
具体的には、比較例7では、セルロースアセテートCA7−1((株)ダイセル製、L50)100質量部に対し、アジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業(株)製、Daifatty101)を25質量部、及び、ローム・アンド・ハース社製パラロイド(登録商標)EXL−2602(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)を14質量部使用した。
比較例8では、セルロースアセテートCA7−1((株)ダイセル製、L50)100質量部に対し、トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製)を25質量部、及び、ローム・アンド・ハース社製パラロイド(登録商標)EXL−2602(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)を14質量部使用した。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、NEX140III)を用い、射出ピーク圧力が180MPaを越えないシリンダ温度Bで、ISO多目的ダンベル(測定部寸法:幅100mm×厚さ40mm)を成形した。
なお、シリンダ温度A及びBについては表3に示した。
得られたISO多目的ダンベル試験片を用いて、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付き衝撃試験片に加工し、衝撃強度測定装置((株)東洋精機製作所製、シャルピーオートインパクテスタCHN3型)にて、23℃におけるノッチ付き衝撃強度の測定を行った。結果を表3に示す。
また、万能試験装置((株)島津製作所製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO−178に準拠する方法で曲げ弾性率で測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006897196
上記結果から、本実施例の樹脂組成物は、比較例の樹脂組成物に比べ、耐衝撃性に優れ、かつ高い曲げ弾性率を有する樹脂成形体が得られることがわかる。

Claims (9)

  1. 重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、
    下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体を含む
    樹脂組成物。
    Figure 0006897196

    式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
  2. 前記オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体が、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロースアシレートの置換度が、2.0以上2.5以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記セルロースアシレートが、アセチル基を少なくとも有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. アジピン酸エステル含有化合物を更に含む請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
  8. 重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、15質量%以上35質量%以下であるオレフィン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体が反応してなる樹脂を含む
    樹脂成形体。
    Figure 0006897196

    式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
  9. 前記オレフィン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体が、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート2元共重合体である請求項8に記載の樹脂成形体。
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