JP6848267B2 - 樹脂組成物、及び、樹脂成形体 - Google Patents
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Description
近年では、熱可塑性樹脂として植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロースアシレートがある。
重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であるオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体を含む樹脂組成物である。
前記オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体である<1>に記載の樹脂組成物である。
前記セルロースアシレートの置換度が、2.0以上2.5以下である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物である。
前記セルロースアシレートが、アセチル基を少なくとも有する<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下である<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
アジピン酸エステル含有化合物を更に含む<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<1>乃至<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体である。
重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であるオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が反応してなる樹脂を含む樹脂成形体である。
前記オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体である<8>に記載の樹脂成形体である。
<2>によれば、前記共重合体が、エチレン以外のオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体である場合に比べ、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<3>によれば、セルロースアシレートの置換度が2.0未満であるか、又は、2.5を超える場合に比べ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<4>によれば、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%未満であるか、又は、20質量%を超える場合に比べ、前記セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを含み、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<5>によれば、前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部未満であるか、又は、10質量部を超える場合に比べ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂成形体が提供される。
<6>によれば、前記共重合体に含まれる前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%未満であるか、又は、20質量%を超える場合に比べ、アジピン酸エステル含有化合物を含み、樹脂成形時における成形性に優れ、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<9>によれば、前記共重合体が、エチレン以外のオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体である場合に比べ、前記セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを含み、耐衝撃性により優れ、曲げ弾性率のより高い樹脂成形体が提供される。
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であるオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体を含む。
そこで、セルロースに置換基(特にアシル基)をつけることにより、可塑性を付与し、溶融温度を低下させることで熱流動性を向上し、プラスチックとして利用可能になった。
また、特許文献1では、セルロースアシレート等のセルロースエステル100質量部に対して、可塑剤2〜100質量部、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むコアシェル構造の熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有させることによって、耐衝撃強度を向上させているが、本来の強みであった剛性、具体的には曲げ弾性率が大きく低下する。
前記セルロースアシレートの水酸基やエステル基と、前記共重合体におけるグリシジル構造とが反応し、結合することにより、側鎖にある程度の長さを有する構造が加わり、樹脂内部において可塑化することによって耐衝撃強度が向上する。
しかしながら、樹脂内部において可塑化が進行すると、通常はセルロースアシレートの特性である曲げ弾性率が低下する。
そこで、重量平均分子量3万以上9万以下の従来より分子量が低いセルロースアシレート、及び、前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であるオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体を用いることによって、分子末端の水酸基もグリシジル構造と反応し、分子鎖延長、及び、樹脂内部の可塑化が適切なバランスとなることで、高い曲げ弾性率を確保したまま耐衝撃性にも優れた樹脂成形体が得られる。
なお、セルロースアシレートの重量平均分子量が3万未満であると、分子鎖延長が不十分となり、曲げ弾性率が低下する。一方、セルロースアシレートの重量平均分子量が9万を超えると、分子末端とグリシジル構造との反応確率が低くなり、曲げ弾性率の低下が起こる。
更に、前記共重合体における前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%未満であると、反応する共重合体が減少し、樹脂内部の可塑化が十分進行せず、耐衝撃強度が不足する。また、前記共重合体における前記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、20質量%を超えると、セルロースアシレートと前記共重合体との反応が進み過ぎ、樹脂内部の可塑化が進行し過ぎて、曲げ弾性率が低下する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレートを含む。
ただし、本実施形態に用いられるセルロースアシレートの特性は、重量平均分子量3万以上9万以下であること以外は、上記特性に限られず、セルロースアシレートの使用目的に応じて選択される。
ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10溶液を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー(株)製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量を前記方法により測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることで、セルロースアシレートの重合度を求める。なお、例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき284となる
そして、置換度は、1H−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から測定する。
また、実施形態に用いられるセルロースアシレートは、アシル基を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるセルロースアシレートの含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、樹脂組成物の全質量に対し、50質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、65質量%以上99.8質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上99.5質量%以下であることが特に好ましい。
前記セルロースアシレートの含有量は、未反応のセルロースアシレートの量だけでなく、反応した樹脂におけるセルロースアシレート成分の量も含めるものとする。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記セルロースアシレートと前記共重合体とが反応してなる樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体を含み、前記共重合体は、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下である。
前記共重合体における式(a)で表される構成単位の含有量は、前記共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であり、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、7質量%以上20質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であることが特に好ましい。
前記共重合体に共重合するオレフィンとしては、エチレン性不飽和基を有する脂肪族炭化水素化合物であることが好ましく、エチレン及びα−オレフィンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、エチレン及びプロピレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましく、エチレンであることが特に好ましい。
また、前記共重合体は、前記オレフィン由来の構成単位として、下記式(b)で表される構成単位を有することが好ましい。
また、R1における前記アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記共重合体における式(b)で表される構成単位の含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性の観点から、前記共重合体の全質量に対し、70質量%以上95質量%以下であることが好ましく、80質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、82質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
他の構成単位を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、前述した以外の公知のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
他の構成単位を形成するモノマーとして具体的には、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、及び、グリシジルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記共重合体における他の構成単位の含有量は、前記共重合体の全質量に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、他の構成単位を有しないことが特に好ましい。
また、前記共重合体は、式(a)で表される構成単位、及び、式(b)で表される構成単位からなる共重合体であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における前記共重合体の含有量は、得られる樹脂成形体の耐衝撃性及び曲げ弾性率の観点から、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上8質量部以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、成形性及び得られる樹脂成形体の耐衝撃性の観点から、可塑剤を含むことが好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、得られる樹脂成形体の曲げ弾性率の観点からは、可塑剤を含まないことが好ましい。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
RAE3は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(EE)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
REE1が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE1が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE1が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE1が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE1が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE1としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
REE2が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE2が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE2が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE2が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE2が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE2としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
AEE1、及びAEE2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
AEE1、及びAEE2が表すアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HPLC1100を用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記セルロースアシレート及び前記共重合体以外の他の樹脂を含有していてもよい。但し、他の樹脂は、樹脂組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%であることがより好ましく、他の樹脂を含有しないことが特に好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物よりなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、前記セルロースアシレート及び前記共重合体を含む樹脂組成物を調製する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、セルロースアシレートと、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等と、を少なくとも含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するセルロースアシレートの溶融温度に応じて決定すればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上210℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、重量平均分子量3万以上9万以下のセルロースアシレート、及び、下記式(a)で表される構成単位の含有量が、共重合体の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下であるオレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が反応してなる樹脂を含む。
また、本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形する工程を有することが好ましい。
成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
射出成形のシリンダ温度は、140℃以上240℃以下であることが好ましく、150℃以上220℃以下であることがより好ましく、160℃以上220℃以下であることが更に好ましい。射出成形の金型温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業(株)製NEX500、日精樹脂工業(株)製NEX150、日精樹脂工業(株)製NEX70000、東芝機械(株)製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
(セルロースアセテートCA1の合成)
アセチル化:セルロース粉末(日本製紙ケミカル(株)製、KCフロックW50)3部、硫酸0.15部、酢酸30部、及び、無水酢酸6部を反応容器に入れ、20℃で4時間撹拌し、セルロースのアセチル化を行った。
脱アセチル及び低分子量化:アセチル化を行った溶液に撹拌終了後ただちに3部の酢酸と1.2部の純水とを加え、20℃で30分間撹拌後、0.2M塩酸水溶液4.5部を加え、75℃に加熱して、5時間撹拌した。この溶液を、200部の純水に2時間かけて滴下し、20時間静置した後、孔径6μmのフィルターを通してろ過し、4部の白色粉末を得た。
洗浄:得られた白色粉末を、フィルタープレス((株)栗田機械製作所製、SF(PP))を用い、純水にて電導度が50μS以下になるまで洗浄後、乾燥した。
後処理:乾燥後の白色粉末3部に0.2部の酢酸カルシウムと30部の純水とを加え、25℃で2時間撹拌した後、ろ過し、得られた粉末を60℃で72時間乾燥し、セルロースアセテートCA1を約2.5部得た。
アセチル化に用いる硫酸量0.15部を0.30部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテートCA2を得た。
アセチル化に用いる硫酸量0.15部を0.03部とした以外はCA1と同様にしてセルロースアセテートCA3を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを7時間に変えた以外は、CA1と同様の方法でセルロースアセテートCA4を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、65℃で7時間撹拌した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA5を得た。
脱アセチル化及び低分子量化において、75℃で5時間撹拌するところを、80℃で4時間撹拌した以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA6を得た。
アセチル化において、無水酢酸2部を用いたところを、無水プロピオン酸2.5部用い、脱アシル及び低分子量化の反応時間5時間のところを7時間とした以外は、CA1と同様にしてセルロースプロピオネートCP1を得た。
市販のセルロースアセテート((株)ダイセル製、L50)、((株)ダイセル製、L20)をそれぞれセルロースアセテートCA7−1、CA7−2、(イーストマンケミカル(株)、CA398−3)をセルロースアセテートCA7−3として準備した。
脱アセチル化及び低分子量化において、5時間撹拌したところを4時間30分に変えた以外は、CA1と同様の方法でセルロースアセテートCA8を得た。
アセチル化で得られた溶液を室温(20℃、以下同様)で10時間放置した後、脱アセチル化及び低分子量化を行った以外は、CA1と同様にしてセルロースアセテートCA9を得た。
セルロースアシレートの重合度は、以下の手順で重量平均分子量から求められる。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量を、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10溶液を用い、GPC装置(東ソー(株)製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることでセルロースアシレートの重合度は求められる。構成単位分子量は、例えばアセチル基で置換度2.4の場合は263、置換度2.9の場合は287となる。この方法で合成したセルロースアシレートの重合度と置換度とを評価した結果を表1にまとめる。
(EG1乃至4の準備)
市販のエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体である、LOTADER 8820(アルケマ社製)をEG1、LOTADER 8840(アルケマ社製)をEG2、ボンドファーストCG5001(住友化学(株)製)をEG3、ボンドファーストBF−E(住友化学(株)製)をEG4とした。
エチレンモノマー97質量部、グリシジルメタクリレートモノマー3質量部をテトラヒドロフランに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.05質量部を加え、40℃で24時間撹拌したものを、純水中に滴下し、生じた沈殿をろ過、乾燥しエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EG5)を得た。
エチレンモノマー78質量部、グリシジルメタクリレートモノマー22質量部をテトラヒドロフランに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.05質量部を加え、40℃で24時間撹拌したものを、純水中に滴下し、生じた沈殿をろ過、乾燥しエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EG6)を得た。
エチレンモノマー86質量部、グリシジルメタクリレートモノマー14質量部をテトラヒドロフランに溶解し、アゾイソブチロニトリル0.05質量部を加え、40℃で24時間撹拌したものを、純水中に滴下し、生じた沈殿をろ過、乾燥しエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EG7)を得た。
エチレンモノマーをプロピレンモノマーに変えた以外はEG−7と同様にして、プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EG8)を得た。
市販のアジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業(株)製、Daifatty101)を化合物AE1、市販のアジピン酸エステル含有化合物((株)アデカ製、アデカサイザーRS−170)をAE2として準備した。また、アジピン酸エステル含有化合物以外の可塑剤(他の可塑剤)として、ポリエーテルエステル((株)アデカ製、アデカサイザーRS−1000)をEE−1として準備した。
表3に示す仕込み組成比で、シリンダ温度Aにより2軸混練装置(東芝機械(株)製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
なお、比較例7及び8については、特開2014−084343号公報に記載の実施例1又は3の組成で混練し、ペレットを得た。
具体的には、比較例7では、セルロースアセテートCA7−1((株)ダイセル製、L50)100質量部に対し、アジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業(株)製、Daifatty101)を25質量部、及び、ローム・アンド・ハース社製パラロイド(登録商標)EXL−2602(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)を14質量部使用した。
比較例8では、セルロースアセテートCA7−1((株)ダイセル製、L50)100質量部に対し、トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製)を25質量部、及び、ローム・アンド・ハース社製パラロイド(登録商標)EXL−2602(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)を14質量部使用した。
なお、シリンダ温度A及びBについては表3に示した。
得られたISO多目的ダンベル試験片を用いて、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付き衝撃試験片に加工し、衝撃強度測定装置((株)東洋精機製作所製、シャルピーオートインパクテスタCHN3型)にて、23℃におけるノッチ付き衝撃強度の測定を行った。結果を表3に示す。
また、万能試験装置((株)島津製作所製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO−178に準拠する方法で曲げ弾性率で測定を行った。結果を表3に示す。
Claims (10)
- 前記オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースアシレートが、アセチル基を少なくとも有する請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記共重合体の含有量が、前記セルロースアシレート100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- アジピン酸エステル含有化合物を更に含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体が、前記樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体である請求項6に記載の樹脂成形体。
- 前記オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合体が、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体である請求項8に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体が、射出成形体である請求項8又は請求項9に記載の樹脂成形体。
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