JP6159082B2 - 位相差フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
液晶表示装置等の画像表示装置に用いられる位相差フィルムには、可視光領域において、長波長ほど高いリタデーションを有することが要求されている。このような位相差フィルムは、ポリカーボネート等の通常の樹脂を用いた光学フィルムの波長分散と逆の傾向を示すことから、逆波長分散フィルムと呼ばれている。この逆波長分散フィルムは、例えば、反射型液晶表示装置等において、直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に変換するために使用することができる。
近年、液晶表示装置等の画像表示装置がさまざまな環境下で使用されるようになってきたことから、位相差フィルムには、環境変化、特に湿度変化に対する光学的性能の安定性が求められている。
このような逆波長分散性を有する位相差フィルムとして、各種セルロースアシレートを用いたものが検討されている。
特許文献1には、セルロースアセテートからなる、溶液キャスト法で製造された逆波長分散フィルムが開示され、特許文献2には、セルロースアセテートプロピオネートの逆波長分散フィルムが提案されている。
また、特許文献3には、温度変化に対する耐久性に優れた位相差フィルムとして、アセチル置換度と炭素数3又は4のアシル基による置換度を限定したセルロースアシレート(A)と、該セルロースアシレート(A)と粘度平均重合度の異なるセルロースアシレート(B)とを含む位相差フィルムが開示されている。
特開2000−137116号公報 特開2003−315538号公報 特開2007−298889号公報
しかしながら、引用文献1〜3に記載の位相差フィルムでは、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が大きく、光学的性能の安定性が充分なものではなかった。
また、セルロースアシレートフィルムは、フィルム断面に無数の微細な空隙が存在し、これを延伸すると更に多くの空隙が生じるという現象が見られることがある。この延伸フィルムを高湿度環境下に置いた場合、上記空隙に水が取り込まれること等により、湿度変化に対するフィルムのリタデーション値の変化がより増大するというおそれがある。
本発明は、上記に鑑みて、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れる位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、位相差フィルムの材料として、セルロースアシレートと特定の処理剤とを配合した樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、セルロースアシレートと、疎水性基及び反応性基を有する処理剤とを配合した樹脂組成物を含有するフィルムであって、波長450nmにおけるリタデーション値Re(450)と、波長550nmにおけるリタデーション値Re(550)とが下記式(1)を満たす位相差フィルムである。
Re(450)/Re(550)=0.78〜0.98 ・・・(1)
本発明の位相差フィルムは、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れる。そのため、さまざまな環境下で使用される、液晶表示装置等の画像表示装置に好適に用いられる。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、セルロースアシレートと、疎水性基及び反応性基を有する処理剤とを配合した樹脂組成物を含有する。なお、「セルロースアシレートと、疎水性基及び反応性基を有する処理剤とを配合した樹脂組成物を含有するフィルム」とは、セルロースアシレートと前記処理剤とを配合した樹脂組成物を用いてなるフィルムをいう。
また本発明の位相差フィルムは、波長450nmにおけるリタデーション値Re(450)と、波長550nmにおけるリタデーション値Re(550)とが下記式(1)を満たすものである。
Re(450)/Re(550)=0.78〜0.98 ・・・(1)
前記式(1)は、波長550nmにおけるリタデーション値が、波長450nmにおけるリタデーション値よりも大きいことを表しており、このような関係を有することで、本発明の位相差フィルムは逆波長分散フィルムとなる。また上記式(1)を満たすことで、本発明の位相差フィルムを備えた画像表示装置は、より高品位なものとなる。
上記式(1)を満たさない場合、例えば、本発明の位相差フィルムをλ/4位相差板として反射防止用の円偏光板に使用する場合において、直線偏光が本発明の位相差フィルムに入射した際、得られる偏光状態は、ある特定の波長では、完全な円偏光が得られるものの、それ以外の波長では、大きく円偏光からずれてしまう。結果として、反射光が生じ、その反射光は色味がついてしまう。
また、本発明の位相差フィルムは、波長650nmにおけるリタデーション値をRe(650)としたとき、Re(650)/Re(550)=1.02〜1.28を同時に満たすことがより好ましい。上記Re(450)/Re(550)及びRe(650)/Re(550)は、本発明の位相差フィルムの波長分散性を表しており、上述のような分散性とすることで、可視光(380〜780nm)域において、λ/4位相差板として機能し、円偏光板として使用した際の反射光と色味とを低減することができる。
ここで、リタデーション値(nm)は、プラスチックフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、プラスチックフィルムの厚み(d)(nm)とにより、以下の式(2)によって表されるものである。
リタデーション値(Re)=(nx−ny)×d ・・・(2)
上記リタデーション値は、例えば、王子計測機器株式会社製KOBRA−WRによって測定することができる。
あるいは、上記リタデーション値は、2枚の偏光板を用いて、基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する2つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率差計(アタゴ社製、NAR−AT)によって求め、大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。このようにして求めた屈折率差(nx−ny)に、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定した厚みを掛けて、リタデーション値が得られる。また、屈折率差(nx−ny)はΔnと表記する。
ここで、上記式(2)に示すように、位相差フィルムのリタデーションの設計値が決まっている場合には、Δnの値が高いほど位相差フィルムの膜厚を薄く設定することができる。そのため、本発明の位相差フィルムに用いられる材料は、Δnの値が高い方が好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の位相差フィルムに用いられる樹脂組成物は、セルロースアシレートと、疎水性基及び反応性基を有する処理剤とを配合したものである。以下、各成分について詳細を記述する。
(セルロースアシレート)
本発明に用いられる樹脂組成物に配合されるセルロースアシレートは、前記の逆波長分散性を発現できるものであれば特に制限なく用いることができるが、リタデーションの発現の観点から、アシル基の炭素数が2〜6のセルロースアシレートを用いることが好ましい。
このようなセルロースアシレートとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。これらのうち、リタデーションの発現及び逆波長分散性の発現の観点から、アセチル基と、炭素数3又は4のアシル基とを有するセルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選ばれる1種以上がより好ましく、セルロースアセテートプロピオネートが更に好ましい。
ここで、本明細書において、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートのセルロース骨格における2、3、6位の炭素に結合した水酸基をアセチル基で置換した数を、アセチル置換度DSacといい、該セルロース骨格における2、3、6位の炭素に結合した水酸基を炭素数3又は4のアシル基で置換した数を、炭素数3又は4のアシル基による置換度DSayというものとする。本発明に用いられるセルロースアシレートは、上記セルロース骨格における2、3、6位の炭素のいずれかにアセチル基又は炭素数3又は4のアシル基が偏っていてもよく、また、平均的に存在していてもよい。更に、アセチル置換度又は炭素数3又は4のアシル基による置換度の異なるセルロースアシレートをブレンドさせたものでもよく、そのときはバルク平均として上記アセチル置換度又は炭素数3又は4のアシル基による置換度の合計を満足していればよい。
また、上記セルロースアシレートは、逆波長分散性を発現する観点から、アセチル置換度DSacと、炭素数3又は4のアシル基による置換度DSayとが、下記式(3)を満たすことが好ましい。
2.00≦DSac+DSay≦3.00 ・・・(3)
ここで、上記DSac+DSayは、セルロース分子中の2、3、6位の炭素に結合した3個の水酸基が平均してどれだけアシル化されているかを表す。それぞれの位置の置換度は均等でもよいし、いずれかの位置に偏っていてもよい。また、アシル基の置換度はASTM−D817−96に記載の方法にて定量することができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートの数平均分子量(Mn)は、位相差フィルムの製造における溶融押し出しや延伸処理の容易さの観点、及び得られる位相差フィルムの機械的強度の観点から、好ましくは5,000〜150,000の範囲であり、より好ましくは8,000〜100,000の範囲である。
なお、本発明において、上記数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)によりポリスチレン換算分子量として測定される値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
前記樹脂組成物中のセルロースアシレートの配合量は、得られる位相差フィルムの光学的特性及び機械的特性の観点から、好ましくは79〜99.5質量%、より好ましくは85〜99質量%である。
本発明に用いられる上記セルロースアシレートは、公知の方法で製造することができる。例えば、セルロースアセテートプロピオネートの場合は、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを無水酢酸とプロピオン酸無水物との混合物によりアシル化する。得られたセルロースアシレートは、アシル置換度がほぼ3であり、アシル基を部分的に加水分解することにより、所望の置換度を有するセルロースアセテートプロピオネートを製造することができる。また、アシル化の際に無水酢酸とプロピオン酸無水物の比率を変えることにより、所望のプロピオニル置換度を得ることができる。
(処理剤)
本発明に用いられる樹脂組成物に配合される処理剤は、疎水性基及び反応性基を有するものである。
疎水性基及び反応性基を有する処理剤(以下、単に「処理剤」ともいう)を前記セルロースアシレートに配合すると、該処理剤がセルロースアシレートの水酸基又はアシル基と反応して疎水性基が導入されることにより、セルロースアシレートを疎水化することができると考えられる。また、上記処理剤は、セルロースアシレートを含むフィルム中の微細な空隙の発生を抑制する効果、及び、未反応の処理剤がセルロースアシレートを含むフィルム断面に存在する空隙を埋める効果をも有していると推測される。これらの効果により、本発明の位相差フィルムは、環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れたフィルムになるものになると考えられる。
また、上記処理剤が有する反応性基部位は通常極性が高いため、セルロースアシレートとの良好な相溶性を示し、該処理剤をセルロースアシレートに配合しても白化等の不具合を生じることもない。
処理剤が有する疎水性基としては、炭素数8以上、好ましくは炭素数8〜70の炭化水素基が挙げられ、中でも、セルロースアシレートとの相溶性の観点から、炭素数8〜70の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数8〜70のアルキル基又はアルケニル基がより好ましく、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。該アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐していてもよい。
本発明に用いられる処理剤は、上記疎水性基を1つ以上有していればよい。また、上記疎水性基を2つ以上有する場合には、該疎水性基の種類は1種のみでもよく、2種以上でもよい。
本発明に用いられる上記処理剤の具体例としては、セルロースアシレートとの相溶性及び反応性、着色の少なさの観点から、炭素数8以上の炭化水素基を有するジカルボン酸無水物及びケテンダイマー類から選ばれる1種以上が好ましい。
〔ジカルボン酸無水物〕
炭素数8以上の炭化水素基を有するジカルボン酸無水物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006159082
(式(1)中、R1は炭素数8以上の炭化水素基を示し、nは2〜3の整数を示す。)
1で示される炭化水素基は、炭素数8〜70であることが好ましく、炭素数8〜70の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数8〜70のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数12〜18のアルケニル基が更に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ヘキサデシルコハク酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物等のアルキルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物等のアルケニルコハク酸無水物、及びヘキサデシルグルタル酸無水物、オクタデシルグルタル酸無水物、ヘキサデセニルグルタル酸無水物、オクタデセニルグルタル酸無水物等のアルキルグルタル酸無水物などが挙げられる。
〔ケテンダイマー類〕
炭素数8以上の炭化水素基を有するケテンダイマー類としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006159082
(式(2)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数8以上の炭化水素基を示す。)
2及びR3で示される炭化水素基は、炭素数8〜70であることが好ましく、炭素数8〜70のアルキル基又はアルケニル基がより好ましく、炭素数8〜70のアルキル基が更に好ましく、炭素数8〜24のアルキル基が更に好ましく、炭素数10〜18のアルキル基が更に好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、R2及びR3がそれぞれ炭素数8〜70のアルキル基である、アルキルケテンダイマーが挙げられる。
上記処理剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記処理剤のうち、得られる位相差フィルムの環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化を小さくする観点、セルロースアシレートとの相溶性及び反応性の観点、並びに得られるフィルムの透明性、着色の少なさの観点から、アルキルケテンダイマー及びアルケニルコハク酸無水物から選ばれる1種以上が好ましく、さらに、得られる位相差フィルムの逆波長分散性向上効果をも有する点から、アルケニルコハク酸無水物がより好ましい。
ここで、アルケニルコハク酸無水物が環境変化によるリタデーション値の変化を小さくする効果のほか、位相差フィルムの逆波長分散性向上効果をも有する理由については定かではないが、アルケニルコハク酸無水物は正の複屈折を有する正のAプレートであり、同じく正の複屈折を有するセルロースアシレートの主鎖及び側鎖の配向に対して、平行ではない一定の角度で配位することによると考えられる。
ここで、正のAプレートとは、屈折率異方性材料の光軸が異方性材料含有層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きい異常光線屈折率を異方性材料含有層の面内方向に有する性質をいう。
上記処理剤の配合量は、本発明に用いられる樹脂組成物中、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは2〜7質量%である。処理剤の配合量が0.5〜15質量%の範囲であれば、位相差フィルムの環境変化によるリタデーション値の変化を小さくする効果が得られ、かつ、該フィルムの機械的特性やΔnの値を過剰に低下させることなく、位相差フィルムとして充分な性能が得られる。
(改質剤)
本発明の位相差フィルムに用いられる樹脂組成物には、更に改質剤を配合することができる。
前記処理剤は、位相差フィルムの環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化を小さくし、処理剤の種類によっては逆波長分散性向上効果を有するが、Δnの値を低下させる傾向がある。これに対し、改質剤は一般に逆波長分散性を低下させる傾向があるが、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化を小さくし、Δnの値を高くする効果を有する。したがって、樹脂組成物に更に改質剤を配合することで、環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化を更に小さくすることができ、かつ逆波長分散性を大幅には低下させずに位相差フィルムのΔnの値を高くするという補完効果を得ることができる。
本発明に用いられる上記改質剤としては、環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化を小さくする観点、Δnの値を高くする観点、及びセルロースアシレートとの相溶性の観点から、グリシジル基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
グリシジル基を有するポリマーの具体例としては、少なくとも該ポリマーを構成する単量体化合物としてグリシジル(メタ)アクリレートを用いた重合体が好ましく挙げられる。上記重合体は、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマーでもよく、他の単量体化合物との共重合体でもよい。他の単量体化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和化合物が挙げられ、該エチレン性不飽和化合物としては、オレフィン化合物、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及び酢酸ビニル等が好ましく挙げられる。
上記オレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ドデカデセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、中でも、セルロースアシレートとの相溶性の観点から、炭素数2〜4のオレフィン化合物が好ましい。これらのオレフィン化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;等が好ましく挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
これらの単量体化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
グリシジル基を有するポリマーが、単量体化合物として少なくともグリシジル(メタ)アクリレートを用いた重合体である場合、上記重合体を構成する単量体化合物中のグリシジル(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは1〜100質量%であり、より好ましくは2〜85質量%、更に好ましくは5〜50質量%である。単量体化合物中のグリシジル(メタ)アクリレートの割合が上記範囲であれば、環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化を更に小さくし、かつ位相差フィルムのΔnの値を高くすることができる。
上記改質剤の具体例としては、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体;エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート−酢酸ビニル共重合体;グリシジル−エチレン−メチルアクリレート−ターポリマー等のエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体;等が挙げられる。上記改質剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記改質剤の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜150,000の範囲、より好ましくは1,000〜100,000の範囲、更に好ましくは2,000〜80,000の範囲である。改質剤の数平均分子量が500以上であれば、環境変化、特に湿度変化によるリタデーション値の変化を小さくし、かつΔnの値を高くすることができる。また、数平均分子量が150,000以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好である。
なお、改質剤の数平均分子量(Mn)は、GPC法により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
上記改質剤の配合量は、本発明に用いられる樹脂組成物中、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜4質量%であることが更に好ましく、0.5〜3質量%であることが更に好ましい。0.01質量%以上であれば改質剤の添加効果を充分に得ることができ、10質量%以下であればフィルムの透明性を阻害することがなく、また、耐熱性の低下やブリードアウトを回避できる。
なお、本発明の位相差フィルムにおいて、前記処理剤としてアルケニルコハク酸無水物を用い、改質剤としてグリシジル基を有するポリマーを用いることが特に好ましい。
アルケニルコハク酸無水物は、前述のように位相差フィルムの環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化を小さくし、かつ逆波長分散性向上効果を有するが、Δnの値を低下させる傾向がある。これに対し、グリシジル基を有するポリマーは逆波長分散性を低下させる傾向があるが、Δnの値を高くする効果を有する。したがって、アルケニルコハク酸無水物とグリシジル基を有するポリマーとを併用することにより、位相差フィルムの逆波長分散性向上効果及びΔnの値を高くする効果が補完され、逆波長分散性を大幅には低下させずにΔnの値を高くすることができ、かつ、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化を小さくすることができると考えられる。
また、グリシジル基を有するポリマーとアルケニルコハク酸無水物とを併用した場合には、その機構は定かではないが、ポリマー中のグリシジル基とアルケニルコハク酸無水物のコハク酸無水物部位とが反応することによりエステル化合物が生成し、そのエステル化合物がセルロースアシレートフィルムの内部に分散するか、あるいはセルロースアシレートの水酸基と反応すること等により、セルロースアシレートフィルムの内部状態が変化しているものと考えられる。これによって、フィルムの環境変化に対するリタデーション変化の抑制効果が更に向上し、また、長時間の浸水に対しても効果がより持続するようになるものと推測する。
前記処理剤と前記改質剤を併用する場合には、その配合比(処理剤/改質剤)は、前述した処理剤及び改質剤の補完効果を発現させる観点から、好ましくは質量比で99/1〜10/90、より好ましくは質量比で95/5〜40/60である。
(可塑剤)
本発明に用いられる樹脂組成物は、更に可塑剤を含有したものでもよい。上記可塑剤を含有することで、本発明の位相差フィルムは、柔軟性に優れたフィルムとなる上に、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化がより小さくなり、光学的性能の安定性が更に優れたものとなる。これは、上記可塑剤を含有することで本発明の位相差フィルムが水分を吸収しにくくなるからであると考えられる。
上記可塑剤としては、位相差フィルムに添加される従来公知のものが挙げられ、特に限定されないが、例えば、芳香族多塩基酸エステル、トリメリット酸系エステル、脂肪族多塩基酸エステル、脂環族多塩基酸エステル、芳香族一塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂環族一塩基酸エステル、リン酸エステル、多価アルコールのエステル、エポキシ系、アルコール類、安息香酸系、スルホン酸誘導体、炭化水素系、酢酸エステル系、エーテルエステル系、ベンジリデンソルビトール系化合物(例えば、新日本理化社製Gelall MD)、フタル酸等の芳香族二塩基酸のポリエステル、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸のポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテル系等が挙げられ、中でも、耐加水分解性、ブリードアウト性の点で、フタル酸系ポリエステル可塑剤が好適に用いられる。
このような可塑剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製のポリサイザーW90、ポリサイザーW91、ポリサイザーW92等が挙げられる。
上記可塑剤の配合量は、本発明に用いられる樹脂組成物中、1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。1質量%以上であれば、可塑剤を含有させる効果を充分に得ることができ、20質量%以下であれば、フィルムの透明性を阻害することがなく、また、耐熱性の低下やブリードアウトを回避できる。
なお、樹脂組成物中の前記処理剤、改質剤及び可塑剤の合計配合量は、フィルムの逆波長分散性、リタデーション特性、機械的特性、及び環境変化に対する光学的性能の安定性の観点から、好ましくは0.5〜21質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
<その他の成分>
本発明に用いられる樹脂組成物は、上記成分の他、必要に応じて、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤や光安定剤や耐候剤;ヒドラジン系、オキザミド系、酸アミド系、亜リン酸エステル系等の金属不活性化剤;ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ハイドロタルサイト類、水酸化アルミニウム/炭酸リチウム包摂物、ゼオライト等の中和剤やイオントラップ剤;炭化水素類、アルコール類、高級脂肪酸、エステル系、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と芳香族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのエステル(部分エステルを含む)、脂肪酸とポリグリコールとのエステル(部分エステルを含む)、エポキシエステル等のエステル類、高級脂肪酸金属塩、天然ワックス類、脂肪酸アミド等の滑剤やスリップ剤や離型剤;カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の帯電防止剤や防曇剤や防滴剤;カルボン酸塩類や有機リン酸塩等の造核剤;金属石鹸系、有機スズ系、亜リン酸エステル系等の熱安定剤;ハロゲン系、リン系、アンチモン系、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の無機系の難燃剤や難燃助剤;シリカ等のアンチブロッキング剤;炭酸カルシウムやタルク、マイカ等の無機充填材;防錆剤;防黴剤等を更に含んでいてもよい。
上記その他の成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記その他の成分の含有量は特に制限はなく、本発明の位相差フィルムの性能を損なわない範囲であればよい。
本発明の位相差フィルム中の上記樹脂組成物の含有量は、フィルムの逆波長分散性、リタデーション特性、機械的特性、及び環境変化に対する光学的性能の安定性の観点から、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%、更に好ましくは100質量%である。
本発明の位相差フィルムの厚みは、リタデーションの設計値やΔnの値に応じて適宜選択することができる。なお、位相差フィルムの機械的特性や製造容易性の観点からは、厚みが10〜500μmであることが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。このような厚みの本発明の位相差フィルムは、上述した原料である樹脂組成物を溶融押し出しすることで好適に製造することができる。
また、本発明の位相差フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。上記全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361に準拠した方法により測定することができる。
また、本発明の位相差フィルムのヘイズは5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。上記ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に準拠した方法により測定することができる。
本発明の位相差フィルムは、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の位相差フィルムを下記環境Aと環境Bとに放置した後、位相差フィルムを下記環境Aと環境Bとに放置した後、下記の測定条件にて測定した波長590nmにおけるリタデーション値Reが下記式を満たすことが好ましい。
1.00≦Re(環境A)/Re(環境B)≦1.30
環境A:100℃のオーブンに5分間放置
環境B:25℃の水中に10分放置
測定条件:環境A、環境Bにそれぞれ放置した位相差フィルムを取り出した後、60秒後に測定が終了するように、25℃50%RH環境下にて、波長590nmに対するリタデーション値Reを測定
Re(環境A)/Re(環境B)は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、本発明の位相差フィルムは、充分なリタデーション特性を得る観点から、前記樹脂組成物を含有するフィルムを延伸してなるものであることが好ましい。
<位相差フィルムの製造>
本発明の位相差フィルムの製造方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができるが、例えば、セルロースアシレート、処理剤、及び、必要に応じて改質剤、可塑剤、前記その他の成分を配合した樹脂組成物を、フラットダイを用いて溶融押し出してフィルムを形成する工程と、上記フィルムを延伸する工程とを有する方法により製造することができる。
上記樹脂組成物は、例えば、バンバリーミキサーや加圧ニーダー等のインターナルミキサー、ロール混練機、単軸又は二軸押出機等の公知の装置を使用して調製することができる。この際の温度は、通常、150〜300℃であることが好ましく、より好ましい下限は170℃、より好ましい上限は260℃である。
上記樹脂組成物を調製する際には、セルロースアシレートを予め乾燥しておくことが好ましい。上記乾燥条件は特に限定されないが、例えば、30〜90℃の温度にて30分〜3日間程度乾燥することが好ましい。また、上記樹脂組成物を溶融押し出しする際にも、該樹脂組成物を予め乾燥しておくことが好ましく、その乾燥条件としては特に限定されないが、30〜90℃の温度にて30分〜3日間程度乾燥することが好ましい。
上記樹脂組成物をフラットダイを用いて溶融押し出してフィルムを形成する方法は特に限定されず、単軸押出機、多軸押出機等の従来公知の押出機を用いた方法が挙げられる。
溶融押し出しフィルムの厚みは、位相差フィルムとした時のフィルム厚みや所望するリタデーションの値によって適宜選択され、通常、50〜700μmである。
上記樹脂組成物を溶融押し出しする際、上記押出機の中に原料が滞留する時間は、押出機内での原料の昇温による劣化を避ける観点から、5分以下とすることが好ましい。
また、上記溶融押し出し時の温度は、180〜260℃であることが好ましい。なお、原料タンク、原料の投入部、押出機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、あるいは減圧することが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、樹脂組成物のガラス転移温度をTgとした際に、Tg〜Tg+30℃の環境下で1.01〜4.0倍に延伸することが好ましい。
フィルムの延伸温度がTg以上であれば、フィルム中のセルロースアシレートの結晶化が促進され、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション変化が小さくなる。また、上記フィルムの延伸温度がTg+30℃以下であれば、Δnが低下しない。上記フィルムの延伸温度のより好ましい下限は上記Tg+5℃、より好ましい上限はTg+25℃である。
なお、上記延伸温度は、通常、延伸装置の設定温度を調整することにより適宜制御できる。
また、フィルムの延伸倍率が1.01倍以上であれば、得られる位相差フィルムのリタデーション値が充分なものとなり、4.0倍以下であれば、溶融押し出しにより形成したフィルムの機械的特性が良好なものとなり、加工がしやすくなる。上記フィルムの延伸倍率の好ましい下限は1.1倍、好ましい上限は3.0倍である。
上記フィルムを延伸する方法としては特に限定されず、縦一軸延伸でもよく、テンター延伸でもよく、また、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、又は、45度等の光軸を0度及び90度以外に有するような延伸方法でもよい。
[画像表示装置]
本発明はまた、本発明の位相差フィルムを備えた画像表示装置を提供する。該画像表示装置としては、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー等が挙げられる。本発明の位相差フィルムは、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れているため、さまざまな環境下、特に屋外のような環境変化の大きい場所で用いられる画像表示装置に対し好適である。
本発明の内容を下記の実施例により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。また、特別に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
実施例及び比較例で用いた材料の物性測定、実施例及び比較例で得られた樹脂組成物、及び位相差フィルムの物性測定及び評価は下記の方法で行った。
<数平均分子量(Mn)>
セルロースアシレート及び改質剤の数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)によりそれぞれ下記の条件で測定した。セルロースアシレートは標準ポリスチレン換算値として、また極性基含有ポリマーは標準ポリエチレン換算値として求めた。
(セルロースアシレートのMn)
測定装置:HLC−8020型(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL GMHXLカラム(東ソー株式会社製)
溶媒:クロロホルム
測定温度:40℃
(改質剤のMn)
測定装置:HLC−8020型(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL GMH−6カラム(東ソー株式会社製)
溶媒:オルトジクロルベンゼン
測定温度:140℃
<ガラス転移温度>
TAインスツルメント社製DSCにて、実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のフィルムのガラス転移温度を測定した。
<Δnの測定>
位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)を用い、実施例及び比較例で得られた各位相差フィルムの波長590nmにおけるリタデーション値Re(単位;nm)を測定した。また測定箇所の厚みd(単位;nm)を測定した。Δnを下記の式により算出した。
Δn=Re/d
<波長分散性>
実施例及び比較例で得られた各位相差フィルムを25℃50%RH環境下に24時間放置した後、25℃50%RH環境下にて、RETS(大塚電子株式会社製)を用い、波長450nm及び550nmにおけるリタデーション値Re(450)及びRe(550)を測定し、波長分散性[Re(450)/Re(550)]を算出した。
<リタデーション値の環境変化>
実施例及び比較例で得られた各位相差フィルムを以下の環境A及び環境Bに放置した後、25℃50%RH環境下にて、波長590nmに対するリタデーション値Reを測定した。
環境A:100℃のオーブンに5分間放置
環境B:25℃の水に10分間放置
環境A、環境Bに放置した位相差フィルムを取り出した後、60秒後に測定が終了するように、25℃50%RH環境下にて、自動複屈折率測定装置KOBRA(王子計測機器株式会社製)を用いて、波長590nmにおけるリタデーション値Reを測定し、Re(環境A)/Re(環境B)を算出した。
(実施例1)
表1の組成1に示す配合の樹脂混合物100質量部に、酸化防止剤としてアデカスタブAO60(株式会社ADEKA製)0.1質量部及びアデカスタブ2112(株式会社ADEKA製)0.1質量部、中和剤としてステアリン酸亜鉛(日東化成工業株式会社製)0.05質量部を加え、ヘンシェルミキサーで撹拌後、シリンダー温度とダイ温度とを230℃に設定した90mmφの同方向二軸押出機でペレット化して樹脂組成物を得た。
上記の方法によって得られた樹脂組成物のフィルムのTgを測定し、Tg温度を延伸温度として、延伸倍率1.5倍で一軸延伸し、位相差フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて前記評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2〜14、比較例1〜2)
樹脂混合物、延伸温度及び延伸倍率を表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂組成物及び位相差フィルムを得、前記評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006159082
なお、表1に示した各組成の成分は下記の材料である。また、表1に記載した各成分の質量部はいずれも有効成分量である。
A:セルロースアシレート、CAP482−20(イーストマン社製セルロースアセテートプロピオネート樹脂、アセチル置換度=0.18、プロピオニル置換度=2.49、水酸基置換度=0.33、数平均分子量75,000)
B:セルロースアシレート、CAP504−0.2(イーストマン社製セルロースアセテートプロピオネート樹脂、アセチル置換度=0.04、プロピオニル置換度=2.12、水酸基置換度=0.84、数平均分子量15,000)
C:可塑剤、ポリサイザーW92(DIC株式会社製)
D−1:処理剤、AS1532(星光PMC株式会社製、アルケニルコハク酸無水物、アルケニルの主成分;オクタデセニル)
D−2:処理剤、DSA(三洋化成株式会社製、ドデセニルコハク酸無水物)
D−3:処理剤、AS1540(星光PMC株式会社製、アルケニルコハク酸無水物、アルケニルの主成分;ヘキサデセニル)
D−4:処理剤、AD1614(星光PMC株式会社製、アルキルケテンダイマー、アルキル基;炭素数16と18の混合物、有効成分30%)
E−1:改質剤、ボンドファーストCG5001(住友化学株式会社製、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、数平均分子量;2,000、単量体化合物中のグリシジルメタクリレートの含有量:19質量%)
Figure 0006159082
表2から明らかなように、実施例1〜14の位相差フィルムは、処理剤を配合していない比較例1,2のフィルムと比較して環境変化に対するリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れるものであった。
また、処理剤及び改質剤を併用した実施例11,12の位相差フィルムは、環境変化に対するリタデーション値の変化が特に小さく、かつ逆波長分散性を大幅には低下させることなくΔnの値を高くすることができた。
本発明の位相差フィルムは、環境変化、特に湿度変化に対するリタデーション値の変化が小さく、光学的性能の安定性に優れたものとなる。
そのため、本発明の位相差フィルムは、さまざまな環境下で使用しうる、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー等の画像表示装置に好適に用いられる。

Claims (10)

  1. セルロースアシレートと、疎水性基及び反応性基を有する処理剤とを配合した樹脂組成物を含有するフィルムであって、前記処理剤が炭素数8〜70のアルキル基を有するアルキルケテンダイマー及び炭素数8〜70のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸無水物から選ばれる1種以上であり、波長450nmにおけるリタデーション値Re(450)と、波長550nmにおけるリタデーション値Re(550)とが下記式(1)を満たす、位相差フィルム。
    Re(450)/Re(550)=0.78〜0.98 ・・・(1)
  2. 前記樹脂組成物中の前記処理剤の配合量が0.5〜15質量%である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記樹脂組成物を含有するフィルムを延伸してなる、請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記樹脂組成物が更に改質剤を配合したものである、請求項1〜のいずれかに記載の位相差フィルム。
  5. 前記改質剤がエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である、請求項に記載の位相差フィルム。
  6. 前記樹脂組成物中の前記改質剤の配合量が0.01〜5質量%である、請求項又はに記載の位相差フィルム。
  7. 前記樹脂組成物が更に可塑剤を含有するものである、請求項1〜のいずれかに記載の位相差フィルム。
  8. セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)が5,000〜150,000の範囲である、請求項1〜のいずれかに記載の位相差フィルム。
  9. 位相差フィルムを下記環境Aと環境Bとに放置した後、下記の測定条件にて測定した波長590nmにおけるリタデーション値Reが下記式を満たす、請求項1〜のいずれかに記載の位相差フィルム。
    1.00≦Re(環境A)/Re(環境B)≦1.30
    環境A:100℃のオーブンに5分間放置
    環境B:25℃の水中に10分放置
    測定条件:環境A、環境Bにそれぞれ放置した位相差フィルムを取り出した後、60秒後に測定が終了するように、25℃50%RH環境下にて、波長590nmに対するリタデーション値Reを測定
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の位相差フィルムを備えた画像表示装置。
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