JP2011116928A - 低複屈折性透明樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】固有複屈折が低く、かつ耐熱性に優れた透明樹脂組成物および光学成形品、光学フィルムを提供するものである。
【解決手段】負の固有複屈折率(Δn0A)を有しガラス転移温度が95〜180℃の熱可塑性樹脂(A)と、正の固有複屈折率(Δn0B)を有しガラス転移温度が35〜150℃の熱可塑性樹脂(B)を必須成分として配合することで、その固有複屈折率(Δn0)の絶対値が1×10−2以下で、かつガラス転移温度が95〜165℃である耐熱性に優れた
透明樹脂組成物及び光学成形品、光学フィルムが提供される。
【選択図】 なし
【解決手段】負の固有複屈折率(Δn0A)を有しガラス転移温度が95〜180℃の熱可塑性樹脂(A)と、正の固有複屈折率(Δn0B)を有しガラス転移温度が35〜150℃の熱可塑性樹脂(B)を必須成分として配合することで、その固有複屈折率(Δn0)の絶対値が1×10−2以下で、かつガラス転移温度が95〜165℃である耐熱性に優れた
透明樹脂組成物及び光学成形品、光学フィルムが提供される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、複屈折率が低く、かつ耐熱性に優れた透明樹脂組成物に関するものである
近年、液晶ディスプレイなどによる情報の画面表示、光ディスクによる情報記録、レーザー光学系による光ディスクへの書き込み・消去、レーザープリンターなどによる情報印刷、光ファイバーによる情報伝送など多くの分野で光学部品が使用されている。従来から光学部品に使用されているガラス系材料に比べ、軽量性や耐衝撃性、成形性に優れることから、光学部品の材料として光学樹脂材料が用いられてきている。しかし、成型時に起きる分子配向により複屈折が生じ、光学部品としての機能を損なう場合がある。さらに、電子機器の小型化、軽量化に伴い光学部品と熱を発生する駆動部が密になるため、光学部品には耐熱性も要求される。そのため、低複屈折かつ高温条件に耐える透明樹脂材料が望まれている。
複屈折の低い樹脂として、例えばポリカーボネート系樹脂とアクリロニトリル―スチレン共重合体との混合物(例えば特許文献1);スチレン―ブタジエン系ブロック共重合体とスチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物(例えば特許文献2)などが挙げられる。
しかし、特許文献1では複屈折の低減はまだ不十分であり、かつ特許文献1においては透明性が不十分である。また、特許文献2においては、光学成形品や光学フィルム用途に必要な耐熱性を満たすことができないという課題を有している。
本発明の目的は、複屈折が低く、かつ耐熱性に優れた透明樹脂組成物および光学成形品、光学フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、負の固有複屈折率(Δn0A)を有しガラス転移温度が95〜180℃の熱可塑性樹脂(A)と、正の固有複屈折率(Δn0B)を有しガラス転移温度が40〜150℃の熱可塑性樹脂(B)を必須成分として含有する樹脂組成物であって、その固有複屈折率(Δn0)の絶対値が1×10−2以下であり、かつガラス転移温度が95〜165℃であることを特徴とする透明樹脂組成物(C);並びにこの透明樹脂組成物を加熱成形して得られることを特徴とする光学成形品である。
本発明の透明樹脂組成物は熱可塑性であるので、これを成形して得られる光学成形品や光学フィルムは複屈折が低く、且つ耐熱性に優れているため、駆動部付近など高温となる場所に適用可能であるため有用である。さらに、本発明の樹脂は一般に耐熱性と相反する性能である耐衝撃性も良好である。
本発明の透明樹脂組成物は、負の固有複屈折率(Δn0A)を有する熱可塑性樹脂(A)と、正の固有複屈折率(Δn0B)を有する熱可塑性樹脂(B)を必須成分として含有する固有複屈折率(Δn0)の絶対値が1×10−2以下の樹脂組成物である。そして、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は100〜175℃、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度は35〜150℃、本発明の透明樹脂組成物のガラス転移温度は95〜165℃である。
なお、本発明における樹脂組成物の「透明性」とは、樹脂組成物を厚さ2±0.2mmの試験片に成型し、JIS K 7361−1に記載のシングルビーム法による測定で全光線透過率が85%以上であり、かつ、JIS−K7105に記載の測定により樹脂板(厚み2±0.2mm)内におけるヘイズ (単位:%)の最大値が3%以下であることをいう。
負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)としては、スチレン系モノマー(a1)、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(a2)および不飽和多塩基酸無水物(a3)からなる群より選ばれる1種以上のモノマー(a)から構成される重合体もしくは共重合体が挙げられる。
スチレン系モノマー(a1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等があげられ、そのうち、特に好ましいのはスチレンである。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(a2)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
これらのうち、好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルであり、特に好ましいのは、メタクリル酸メチルである。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
これらのうち、好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルであり、特に好ましいのは、メタクリル酸メチルである。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
不飽和多塩基酸無水物(a3)としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水アコニット酸等挙げられる。
これらのうち、特に好ましいのは無水マレイン酸である。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
これらのうち、特に好ましいのは無水マレイン酸である。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
この負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)の固有複屈折は以下の方法で測定する。
<固有複屈折率Δn0の測定方法>
固有複屈折率Δn0の測定方法については、例えば特開平6−242301号公報の3頁2列目21〜28行および4頁1列目25〜31行に記載されているのと同様の方法で測定できる。
<固有複屈折率Δn0の測定方法>
固有複屈折率Δn0の測定方法については、例えば特開平6−242301号公報の3頁2列目21〜28行および4頁1列目25〜31行に記載されているのと同様の方法で測定できる。
具体的な測定方法の例としては、以下の方法による。
一般にポリマーの配向複屈折率と固有複屈折率とは次の関係式によって表される。
Δn=f・Δn0
ここでΔnは配向複屈折率、fは配向関数を表す。固有複屈折率はこの配向複屈折率と配向関数を測定することにより実験的に求めることができる。
配向複屈折および配向関数は以下の方法で求めることができる。
樹脂を熱プレス機で成形した板よりダンベル状に切り出し、延伸温度Tg+10℃、延伸倍率2倍で一軸延伸し試験片を作成する。複屈折の測定は、偏光顕微鏡にてセナルモン型コンペンセーターを用い室温で測定する。また、配向関数の測定は、偏光赤外二色法により測定する。
一般にポリマーの配向複屈折率と固有複屈折率とは次の関係式によって表される。
Δn=f・Δn0
ここでΔnは配向複屈折率、fは配向関数を表す。固有複屈折率はこの配向複屈折率と配向関数を測定することにより実験的に求めることができる。
配向複屈折および配向関数は以下の方法で求めることができる。
樹脂を熱プレス機で成形した板よりダンベル状に切り出し、延伸温度Tg+10℃、延伸倍率2倍で一軸延伸し試験片を作成する。複屈折の測定は、偏光顕微鏡にてセナルモン型コンペンセーターを用い室温で測定する。また、配向関数の測定は、偏光赤外二色法により測定する。
負の固有複屈折率を与える可能性が高いモノマー(a1)の選択に当たって、固有複屈折率(Δn0)は次の式(1)、(2)で予想し用いることができる。
Δn0=2π/9・(n2+2)2/n・p/M・NA・Δα (1)
Δα=αx−(αy+αz)/2 (2)
Δα=αx−(αy+αz)/2 (2)
ここで、pは密度、NAはアボガドロ数、nは平均屈折率、Mは繰り返し単位あたりの分子量で、αx、αy、αzはそれぞれのX軸、Y軸、Z軸方向の分極率を示す。
上記において、αx、αy、αzは分子軌道計算プログラムMOPAC[CAChe Worksystem ver.3.2,富士通(株)]により計算することができる。これにより負の固有複屈折率を与えるモノマーを予想することができる。
樹脂(A)を構成するモノマーの重量比をWa、Wb、Wc、・・・とし、構成モノマーの単独重合体の固有複屈折率をΔn0a、Δn0b、Δn0C・・・としたとき、樹脂(A)の固有複屈折率(Δn0A)は次の式(3)で求められる。
Δn0A=[Wa×Δn0a+Wb×Δn0b+Wc×Δn0C+・・・]/(Wa+Wb+
Wc+・・・) (3)
固有複屈折率を上記の範囲にするためには、構成するモノマー及び重量比を式より選定する。
Wc+・・・) (3)
固有複屈折率を上記の範囲にするためには、構成するモノマー及び重量比を式より選定する。
樹脂(A)中のスチレン系モノマー含有量は、固有複屈折率の観点から、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上、特に好ましくは10%重量以上である。10%重量以上で樹脂(A)の固有複屈折率を−0.150〜−0.001の範囲に設計しやすい。
樹脂(A)の固有複屈折率は、好ましくは−0.150〜−0.001、さらに好ましくは−0.13〜−0.002である。−0.001以下であれば負の複屈折を十分に発現することができ、−0.150以上であれば透明樹脂組成物の複屈折の調整が容易である。
樹脂(A)中のスチレン系モノマー含有量は、固有複屈折率の観点から、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上、特に好ましくは10%重量以上である。10%重量以上で樹脂(A)の固有複屈折率を−0.150〜−0.001の範囲に設計しやすい。
樹脂(A)は、上記のモノマー(a)を必要により溶剤で希釈した後、ラジカル重合開始剤によって重合を行うことで得ることができる。
溶剤としては、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテルおよびプロピレングリコールモノアルキルエーテルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなど)、およびエステル類(ブチルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)が挙げられる。溶剤のうち好ましいのはケトン類およびエステル類である。
溶剤を使用する場合、その使用量は特に限定されない。
溶剤を使用する場合、その使用量は特に限定されない。
重合開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
過酸化物としては、無機過酸化物(例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど)、および有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウリルパーオキシドなど)などが挙げられる。
過酸化物としては、無機過酸化物(例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど)、および有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウリルパーオキシドなど)などが挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩(例えば塩酸塩など)、およびアゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライドなどが挙げられる。好ましいものとしては、アゾ化合物である。重合開始剤の使用量としては、モノマーの合計重量に基づいて、通常、0.0001〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜15%、特に好ましくは0.005〜10%である。反応温度および反応時間は、ラジカル重合開始剤の種類により適宜決定される。
溶剤を使用して重合して得られた樹脂(A)の溶液は、加熱して溶剤を除去するか、もしくは大量の沈殿溶剤を加えて樹脂成分を沈殿させ取り出して乾燥させるなどの通常の精製方法で(A)を得ることができる。
樹脂(A)のガラス転移温度(以下、Tgと略記する。)は、通常95〜180℃であるが、好ましくは100〜180℃である。95℃以上であれば成形品の耐熱性がさらに良好であり、180℃以下であれば成形性がさらに良好に発揮できる。
なお、Tgの測定はJIS K 7121に基づき、示差走査熱量測定(DSC)法による。
なお、Tgの測定はJIS K 7121に基づき、示差走査熱量測定(DSC)法による。
本発明の透明性樹脂組成物で、もう1つの必須成分である正の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(B)としては、その主鎖中に芳香環を有するポリエステル樹脂(B1)、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(b21)と不飽和多塩基酸無水物(b22)から構成される共重合体(B2)などがあげられる。
なお、主鎖中に芳香環を含まないポリエステル樹脂は、正の複屈折の値が小さいか、あるいは負の複屈折を持つ場合が多い。また、側鎖にのみ芳香環を有するポリエステル樹脂では、負の複屈折を持つ場合が多い。
なお、主鎖中に芳香環を含まないポリエステル樹脂は、正の複屈折の値が小さいか、あるいは負の複屈折を持つ場合が多い。また、側鎖にのみ芳香環を有するポリエステル樹脂では、負の複屈折を持つ場合が多い。
その主鎖中に芳香環を有するポリエステル樹脂(B1)としては、ジカルボン酸(b11)とジオールもしくはそのアルキレンオキシド(以下AOと略記する)付加物(b12)から形成される重縮合体(B11)、ジカルボン酸(b11)とビスフェノール類もしくはそのAO付加物(b13)から形成される重縮合体(B12)、およびジカルボン酸(b11)とビフェニル類のジヒドロキシ体もしくはそのAO付加物(b14)から形成される重縮合体(B13)などが挙げられる。
ポリエステル樹脂(B1)を構成する成分の(b11)〜(b14)のうち少なくとも1つは主鎖中に芳香環を有していることが必要であるが、それ以外の構成成分はさらに芳香環を有しても有しなくてもよい。
ジカルボン酸(b11)としては、脂肪族ジカルボン酸(炭素数4〜24、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スバリン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸およびシクロヘプテンジカルボン酸)、;芳香族ジカルボン酸(炭素数8〜24、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸)があげられる。
ジオール、またはそのAO付加物(b12)としては、脂肪族ジオール(炭素数2〜24、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール)、;芳香族ジオール(炭素数8〜24、例えば、1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオール、1,1,2,2,−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、ベンゼン−1,2−、−1,3−および−1,4−ジメタノール、);およびこれらのAO付加物があげられる。
ビスフェノール類、またはそのAO付加物(b13)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、テトラメチルビスフェノールAおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタンなど、;およびこれらのAO付加物があげられる。
ビフェニル類のジヒドロキシ体またはそのAO付加物(b14)としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなど、;およびそれらのAO付加物があげられる。
ポリエステル樹脂(B1)としては、熱可塑性樹脂(A)との相溶性および固有複屈折の観点から、ジオールのAO付加物(b12)とジカルボン酸(b11)から形成される重縮合体、ジカルボン酸(b11)およびビスフェノールのAO付加物(b13)から形成される重縮合体、ジカルボン酸(b11)およびビフェニルのAO付加物(b14)から形成される重縮合体が好ましい。
さらに好ましいのは、ジカルボン酸(b11)およびビスフェノールのAO付加物(b13)から形成される重縮合体、ジカルボン酸(b11)およびビフェニルのAO付加物(b14)から形成される重縮合体、特に好ましいのはジカルボン酸(b11)およびビスフェノールのAO付加物(b13)から形成される重縮合体である。
さらに好ましいのは、ジカルボン酸(b11)およびビスフェノールのAO付加物(b13)から形成される重縮合体、ジカルボン酸(b11)およびビフェニルのAO付加物(b14)から形成される重縮合体、特に好ましいのはジカルボン酸(b11)およびビスフェノールのAO付加物(b13)から形成される重縮合体である。
ポリエステル樹脂(B1)のゲルパーミエーションクロマト(GPC)による重量平均分子量(Mw)は、樹脂(A)との相溶性の観点から、10,000以下で、好ましくは8,000、さらに好ましくは6,000以下である。
共重合体(B2)は、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(b21)と不飽和多塩基酸無水物(b22)から構成される。
(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(b21)としては、負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)の説明で例示した(a2)と同様のものが挙げられる。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(b21)としては、負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)の説明で例示した(a2)と同様のものが挙げられる。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
不飽和多塩基酸無水物(b2)としては、樹脂(A)の説明で例示した(a3)と同様のものが挙げられる。これらは単独または2つ以上を同時に使用することができる。
共重合体(B2)を構成するモノマーとしては、樹脂(A)の固有複屈折と重合性の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水アコニット酸が好ましく、特に、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸が好ましい。
樹脂(B)の固有複屈折率は、好ましくは0.001〜0.25、さらに好ましくは0.002〜0.20である。0.001以上であれば延伸フィルムの正の複屈折を十分に発現することができる。また、0.25以下であれば透明樹脂組成物の複屈折の調整が容易である。
樹脂(B)のTgは、通常35〜150℃であるが、好ましくは40〜150℃である。35℃以上であれば成形品の耐熱性がさらに良好であり、150℃以下であれば成形性がさらに良好に発揮できる。
熱可塑性樹脂(B)中の芳香環の含有量は、好ましくは38〜50重量%、さらに好ましくは38〜49重量%、特に好ましくは38〜48重量%である。38重量%以上で樹脂(B)の固有複屈折率を0.001〜0.25の範囲に設計しやすい。
熱可塑性樹脂(B)のTgと固有複屈折は熱可塑性樹脂(A)の説明ですでに述べた方法で測定する。
本発明の樹脂組成物(C)を作成するための熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の重量割合(A)/(B)は、耐熱性および固有複屈折率の観点から、好ましくは99/1〜40/60、さらに好ましくは98/2〜41/59、特に好ましくは97/3〜42/58である。
本発明の樹脂組成物の製造方法には、
(1)(A)、(B)をそれぞれ全量溶融混合する方法、
(2)(A)に対して、少量の(B)を溶融混合してマスターバッチを製造した後、(A)または(B)と溶融混合する方法
(3)(B)に対して少量の(A)を溶融混合してマスターバッチを製造した後、(A)または(B)と溶融混合する方法
(4)(A)、(B)をアセトン等の有機溶剤に溶解し混合した後、溶剤を留去する方法
が含まれる などが挙げられる。
(1)(A)、(B)をそれぞれ全量溶融混合する方法、
(2)(A)に対して、少量の(B)を溶融混合してマスターバッチを製造した後、(A)または(B)と溶融混合する方法
(3)(B)に対して少量の(A)を溶融混合してマスターバッチを製造した後、(A)または(B)と溶融混合する方法
(4)(A)、(B)をアセトン等の有機溶剤に溶解し混合した後、溶剤を留去する方法
が含まれる などが挙げられる。
(A)、(B)の溶融温度および分解温度の観点から、溶融温度は通常110〜330℃、好ましくは150〜300℃である。
上記有機溶剤としては、例えば炭化水素、セロソルブ、ケトン、アルコール、エステルおよびアミドが挙げられる。
溶解性および溶剤留去のし易さの観点から好ましいのは炭化水素、エーテル、アミドおよびケトン、さらに好ましいのは炭化水素およびケトンである。
溶解性および溶剤留去のし易さの観点から好ましいのは炭化水素、エーテル、アミドおよびケトン、さらに好ましいのは炭化水素およびケトンである。
溶融混合装置としては、例えばバッチ混練機〔例えばバンバリー[商品名:Farrel(株)製]およびニーダー〕、連続混練機〔例えばFCM[商品名:Farrel(株)製]、LCM[商品名:(株)神戸製鋼所製]およびCIM[商品名:(株)日本製鋼所製]〕、単軸押出機および二軸押出機が挙げられる。
本発明の光学成形品は、上記の樹脂組成物を成形することにより得られる。
成形方法としては、例えば押出成形、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、スタンパブル成形、ブロー成形、延伸フィルム成形、積層成形およびカレンダー成形が挙げられる。
成形方法としては、例えば押出成形、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、スタンパブル成形、ブロー成形、延伸フィルム成形、積層成形およびカレンダー成形が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、上記の樹脂組成物を成形することにより得られる。
成形方法としては、例えば押出成形、キャスト成形、インフレーション成形が挙げられる。押出成形ではTダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを成形する。
また、キャスト成形では、前述の有機溶媒に上記の樹脂組成物を溶解した後、溶解液をシャーレ等に展開、溶媒を蒸発させ固化させることにより未延伸フィルムを得ることできる。
成形方法としては、例えば押出成形、キャスト成形、インフレーション成形が挙げられる。押出成形ではTダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを成形する。
また、キャスト成形では、前述の有機溶媒に上記の樹脂組成物を溶解した後、溶解液をシャーレ等に展開、溶媒を蒸発させ固化させることにより未延伸フィルムを得ることできる。
この未延伸フィルムは、機械的流れ方向に縦一軸延伸する方法、機械的流れ方向に直交する方向に横一軸延伸する方法等によって一軸延伸フィルムを製造することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法等によって二軸延伸フィルムを製造することができる。
本発明の光学フィルムの延伸温度は、該未延伸フィルムのガラス転移温度をTgとすると、Tg+5℃〜Tg+40℃である。延伸光学フィルムの透明性およびフィルムの厚み精度の観点から、Tg+5℃〜Tg+35℃であることがさらに好ましく、Tg+10℃〜Tg+30℃であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムの延伸温度は、該未延伸フィルムのガラス転移温度をTgとすると、Tg+5℃〜Tg+40℃である。延伸光学フィルムの透明性およびフィルムの厚み精度の観点から、Tg+5℃〜Tg+35℃であることがさらに好ましく、Tg+10℃〜Tg+30℃であることが最も好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部。%は重量%を表す。
製造例1
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン78部、無水マレイン酸22部、メチルエチルケトン200部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら75℃で6時間重合させた。
冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過し、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0496、Tg145℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−1)を得た。
なお、固有複屈折率およびTgは既に記載した方法で測定した。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン78部、無水マレイン酸22部、メチルエチルケトン200部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら75℃で6時間重合させた。
冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過し、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0496、Tg145℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−1)を得た。
なお、固有複屈折率およびTgは既に記載した方法で測定した。
製造例2
スチレンと無水マレイン酸の部数をそれぞれスチレン74部、無水マレイン酸26部に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、固有複屈折率−0.0405、Tg150℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−2)を得た。
スチレンと無水マレイン酸の部数をそれぞれスチレン74部、無水マレイン酸26部に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、固有複屈折率−0.0405、Tg150℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−2)を得た。
製造例3
スチレンと無水マレイン酸の部数をそれぞれスチレン67部、無水マレイン酸33部に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、固有複屈折率−0.0244、Tg170℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−3)を得た。
スチレンと無水マレイン酸の部数をそれぞれスチレン67部、無水マレイン酸33部に変えたこと以外は製造例1と同様に行い、固有複屈折率−0.0244、Tg170℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−3)を得た。
製造例4
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル100部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。
冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0043、Tg110℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−4)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル100部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。
冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0043、Tg110℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−4)を得た。
製造例5
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル54部、無水マレイン酸33部、スチレン13部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0060、Tg126℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−5)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル54部、無水マレイン酸33部、スチレン13部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0060、Tg126℃の本発明の熱可塑性樹脂(A−5)を得た。
製造例6
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物56部、ビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物21.6部、テレフタル酸ジメチルエステル27部、コハク酸1部、合成触媒としてジブチル錫オキシド0.3部を入れ、210℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で、生成するメタノール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が90℃になった時点で常圧に戻し、180℃に冷却、冷却後、窒素気流下で無水トリメリット酸3.4部を加え、1.5時間反応させ、固有複屈折率−0.1680、Tg43℃、Mw3300の本発明の熱可塑性樹脂(B−1)を取り出し室温まで冷却した。回収されたメタノール、水は合計9.3部であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物56部、ビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物21.6部、テレフタル酸ジメチルエステル27部、コハク酸1部、合成触媒としてジブチル錫オキシド0.3部を入れ、210℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で、生成するメタノール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が90℃になった時点で常圧に戻し、180℃に冷却、冷却後、窒素気流下で無水トリメリット酸3.4部を加え、1.5時間反応させ、固有複屈折率−0.1680、Tg43℃、Mw3300の本発明の熱可塑性樹脂(B−1)を取り出し室温まで冷却した。回収されたメタノール、水は合計9.3部であった。
製造例7
製造例6において、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物とビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物を、ビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物77.6部に変えたこと以外は製造例6と同様に行い、固有複屈折率−0.1490、Tg45℃、Mw5200の本発明の熱可塑性樹脂(B−2)を得た。
製造例6において、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物とビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物を、ビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物77.6部に変えたこと以外は製造例6と同様に行い、固有複屈折率−0.1490、Tg45℃、Mw5200の本発明の熱可塑性樹脂(B−2)を得た。
製造例8
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル75部、無水マレイン酸25部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0150、Tg128℃の本発明の熱可塑性樹脂(B−3)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにメタクリル酸メチル75部、無水マレイン酸25部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0150、Tg128℃の本発明の熱可塑性樹脂(B−3)を得た。
比較製造例1
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン100部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.1000、Tg90℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−1)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン100部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.1000、Tg90℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−1)を得た。
比較製造例2
1リッターオートクレーブ中、トルエン400部および重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート0.5部を加え、N−(2−メチルフェニル)マレイミドを10部とイソブテンを90部を60℃、5時間重合反応させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、210℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0300、Tg200℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−2)を得た。
1リッターオートクレーブ中、トルエン400部および重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート0.5部を加え、N−(2−メチルフェニル)マレイミドを10部とイソブテンを90部を60℃、5時間重合反応させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、210℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0300、Tg200℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−2)を得た。
比較製造例3
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン90部、アクリロニトリル10部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.1100、Tg30℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−3)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン90部、アクリロニトリル10部、n−ブチルメルカプタン0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.1100、Tg30℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−3)を得た。
比較製造例 4
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン52部、メタクリル酸メチル48部、0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0052、Tg95℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−4)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにスチレン52部、メタクリル酸メチル48部、0.3部、メチルエチルケトン200部およびベンゾイルパーオキサイド0.5部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら70℃で6時間重合させた。冷却後、重合物を大量のヘキサン中に加え、沈澱したポリマーをろ過、100℃で乾燥し、固有複屈折率−0.0052、Tg95℃の比較のための熱可塑性樹脂(A’−4)を得た。
比較製造例5
製造例6において、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物とビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物を、ビスフェノールA・プロピレンオキシド5モル付加物77.6部に変えたこと以外は製造例6と同様に行い、固有複屈折率−0.1381、Tg32℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−1)を得た。
製造例6において、ビスフェノールA・プロピレンオキシド2モル付加物とビスフェノールA・プロピレンオキシド3モル付加物を、ビスフェノールA・プロピレンオキシド5モル付加物77.6部に変えたこと以外は製造例6と同様に行い、固有複屈折率−0.1381、Tg32℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−1)を得た。
比較製造例6
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに、ビスフェノールA 52.5部およびキシレン 100部を加え、窒素ガスで十分置換した後、少量の窒素ガスを通気しながら130℃で攪拌して溶解させた。この混合物の温度を130℃に保ち、テレフタル酸クロリド 47.5部を3時間かけて滴下した後、副生する塩化水素を反応系外へ除去しながら、135℃で8時間反応させた。
反応液を100℃まで冷却後、末端停止剤としてフェノール0.045部を添加し、100℃で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、大量のヘキサン中に加え、沈殿したポリマーをろ過、200℃で乾燥し、固有複屈折率0.1680、Tg193℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−2)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに、ビスフェノールA 52.5部およびキシレン 100部を加え、窒素ガスで十分置換した後、少量の窒素ガスを通気しながら130℃で攪拌して溶解させた。この混合物の温度を130℃に保ち、テレフタル酸クロリド 47.5部を3時間かけて滴下した後、副生する塩化水素を反応系外へ除去しながら、135℃で8時間反応させた。
反応液を100℃まで冷却後、末端停止剤としてフェノール0.045部を添加し、100℃で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、大量のヘキサン中に加え、沈殿したポリマーをろ過、200℃で乾燥し、固有複屈折率0.1680、Tg193℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−2)を得た。
比較製造例7
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えたガラス製500mlフラスコ反応容器に、ジフェニルカーボネートとビスフェノールA及び触媒量の水酸化ナトリウムを仕込み、窒素雰囲気下、180℃で0.5時間保持した後、減圧度を100mmHgにすると同時に、25℃/hrの速度で220℃まで昇温を行った。更に、その後に減圧度を調節しながら反応を行い、固有複屈折率0.1060、Tg150℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−3)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えたガラス製500mlフラスコ反応容器に、ジフェニルカーボネートとビスフェノールA及び触媒量の水酸化ナトリウムを仕込み、窒素雰囲気下、180℃で0.5時間保持した後、減圧度を100mmHgにすると同時に、25℃/hrの速度で220℃まで昇温を行った。更に、その後に減圧度を調節しながら反応を行い、固有複屈折率0.1060、Tg150℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−3)を得た。
比較製造例8
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに、スチレン16部、シクロヘキサン300部、0.0003部のテトラヒドロフランを仕込み撹拌を行いながら30℃にて312μLのn−ブチルリチウム(10%シクロヘキサン溶液)を添加後、昇温を行い80℃で40分間重合させた。次にスチレン24部とブタジエン60部を添加し、80℃で40分間重合させた。その後、重合液に過剰のメタノールを添加し重合を停止させ、溶媒除去、乾燥させて、固有複屈折率−0.0042、Tg−10℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−4)を得た。
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに、スチレン16部、シクロヘキサン300部、0.0003部のテトラヒドロフランを仕込み撹拌を行いながら30℃にて312μLのn−ブチルリチウム(10%シクロヘキサン溶液)を添加後、昇温を行い80℃で40分間重合させた。次にスチレン24部とブタジエン60部を添加し、80℃で40分間重合させた。その後、重合液に過剰のメタノールを添加し重合を停止させ、溶媒除去、乾燥させて、固有複屈折率−0.0042、Tg−10℃の比較のための熱可塑性樹脂(B’−4)を得た。
実施例1〜8、比較例1〜7
(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−3)、(A’−1)〜(A’−4)、(B’−1)〜(B’−4)を表1に示す配合量(重量部)に従ってヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、50rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してストランド状に押出し、ペレタイザーで切断して透明樹脂組成物ペレットを得た。
これらを用い、以下の条件で射出成形を行い樹脂成型体を作製して性能評価を行った。
その結果を表1に示す。
(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−3)、(A’−1)〜(A’−4)、(B’−1)〜(B’−4)を表1に示す配合量(重量部)に従ってヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、50rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してストランド状に押出し、ペレタイザーで切断して透明樹脂組成物ペレットを得た。
これらを用い、以下の条件で射出成形を行い樹脂成型体を作製して性能評価を行った。
その結果を表1に示す。
射出成形には、射出成形機として日精樹脂工業製PS40ESASEを用いた。
成形条件は240℃に樹脂を加熱し、80℃の金型へ射出し530秒間冷却後、成形品を取り出した。射出時の射出圧および射出速度は、充填不足や板の歪みが無い条件に適宜調整した。
成形条件は240℃に樹脂を加熱し、80℃の金型へ射出し530秒間冷却後、成形品を取り出した。射出時の射出圧および射出速度は、充填不足や板の歪みが無い条件に適宜調整した。
<物性測定方法及び性能評価方法>
(1)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に従って、示差走査熱量測定(DSC)法により測定した。測定にはセイコーインスツルメンツ社製、RDC−220を使用した。
本発明における透明樹脂組成物(C)のガラス転移温度は単一のピークとして観測された。しかし、比較例6ではピークが単一ではなく2つのピークが観測された。
(1)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に従って、示差走査熱量測定(DSC)法により測定した。測定にはセイコーインスツルメンツ社製、RDC−220を使用した。
本発明における透明樹脂組成物(C)のガラス転移温度は単一のピークとして観測された。しかし、比較例6ではピークが単一ではなく2つのピークが観測された。
(2)固有複屈折率
偏光顕微鏡にてセナルモン型コンペンセーターを用い室温で測定した。また、配向関数の測定は、偏光赤外二色法により測定した。
偏光顕微鏡にてセナルモン型コンペンセーターを用い室温で測定した。また、配向関数の測定は、偏光赤外二色法により測定した。
(3)全光線透過率
樹脂組成物を厚さ2±0.2mmの試験片に射出成型した試験片をJIS K 7361−1に記載のシングルビーム法による測定で全光線透過率が85%以上であることを合格と判定した。
なお、透過率の測定には日本電色工業製、NDH−300Aを使用した。
樹脂組成物を厚さ2±0.2mmの試験片に射出成型した試験片をJIS K 7361−1に記載のシングルビーム法による測定で全光線透過率が85%以上であることを合格と判定した。
なお、透過率の測定には日本電色工業製、NDH−300Aを使用した。
(4)ヘイズ
樹脂組成物を厚さ2±0.2mmの試験片に射出成型した試験片をJIS−K7105に基づく樹脂板(厚み2±0.2mm)内におけるヘイズ(単位:%)を以下の数式より算出した。
樹脂組成物を厚さ2±0.2mmの試験片に射出成型した試験片をJIS−K7105に基づく樹脂板(厚み2±0.2mm)内におけるヘイズ(単位:%)を以下の数式より算出した。
H=Td/Tt×100
但し、H: ヘイズ(%)、Td: 拡散透過率(%)、Tt: 全光線透過率(%)
最大値が2%以下であることを合格と判定した。
ヘイズの測定には日本電色工業製、NDH−300Aを使用した。
但し、H: ヘイズ(%)、Td: 拡散透過率(%)、Tt: 全光線透過率(%)
最大値が2%以下であることを合格と判定した。
ヘイズの測定には日本電色工業製、NDH−300Aを使用した。
(5)耐熱性
JIS−K7207に基づき、樹脂片(Lは127mm、hは3.2mm、bは12.7mm)に成型した樹脂組成物を、曲げ応力18.5N/cm2にて荷重たわみ温度を測定した。樹脂片の荷重たわみ温度が70℃以上あることを合格と判定した。
なお、測定機として東洋精機製作所製、荷重たわみ温度試験装置S−3Mを用いた。
JIS−K7207に基づき、樹脂片(Lは127mm、hは3.2mm、bは12.7mm)に成型した樹脂組成物を、曲げ応力18.5N/cm2にて荷重たわみ温度を測定した。樹脂片の荷重たわみ温度が70℃以上あることを合格と判定した。
なお、測定機として東洋精機製作所製、荷重たわみ温度試験装置S−3Mを用いた。
(6)耐衝撃性
JIS−K7110(ノッチ付)に準拠し、試験片(厚み3.2±0.3mm)に成型した樹脂組成物を用いて、衝撃強度を測定し、衝撃強度が2.5KJ/m2であることを合格と判定した。
なお、衝撃強度の測定には保田精機製作所製、衝撃試験機258−Dを使用した。
JIS−K7110(ノッチ付)に準拠し、試験片(厚み3.2±0.3mm)に成型した樹脂組成物を用いて、衝撃強度を測定し、衝撃強度が2.5KJ/m2であることを合格と判定した。
なお、衝撃強度の測定には保田精機製作所製、衝撃試験機258−Dを使用した。
表1から明らかなように、負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)と正の複屈折率を有する熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂組成物を用いた実施例1〜8では、固有複屈折が低く、かつ透明性、耐熱性、耐衝撃性のいずれにおいても良好な性能を達成している。
一方、負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)のみを使用した比較例1では固有複屈折を低減することは困難であることを示している。
Tgが下限を下回るポリエステルを正の複屈折率を有する熱可塑性樹脂(B)として使用した比較例2では、他の樹脂との相溶が悪いため樹脂が不均一となり、樹脂が濁り、透明性の点で問題がある。
Tgが下限を下回る樹脂を正または負の複屈折を持つ樹脂として用いた比較例3、6、7においても、耐熱性が不十分である。
Tgが上限を上回る樹脂を正または負の複屈折を持つ樹脂として使用した比較例4、5では、樹脂が濁り、透明性の点で問題がある。
一方、負の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂(A)のみを使用した比較例1では固有複屈折を低減することは困難であることを示している。
Tgが下限を下回るポリエステルを正の複屈折率を有する熱可塑性樹脂(B)として使用した比較例2では、他の樹脂との相溶が悪いため樹脂が不均一となり、樹脂が濁り、透明性の点で問題がある。
Tgが下限を下回る樹脂を正または負の複屈折を持つ樹脂として用いた比較例3、6、7においても、耐熱性が不十分である。
Tgが上限を上回る樹脂を正または負の複屈折を持つ樹脂として使用した比較例4、5では、樹脂が濁り、透明性の点で問題がある。
本発明の透明樹脂組成物を成型して得られる光学フィルムおよび光学成形品は、固有複屈折が低く、かつ耐熱性に優れるため、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルムなどのフィルム、光ピックアップレンズ、カメラ用レンズ、レンチキュラーレンズなどの光学レンズ、タッチパネル用基板、導光板などの光学基板などに有用である。
Claims (9)
- 負の固有複屈折率(Δn0A)を有しガラス転移温度が95〜180℃の熱可塑性樹脂(A)と、正の固有複屈折率(Δn0B)を有しガラス転移温度が35〜150℃の熱可塑性樹脂(B)を必須成分として含有する樹脂組成物であって、その固有複屈折率(Δn0)の絶対値が1×10−2以下であり、かつガラス転移温度が95〜165℃であることを特徴とする透明樹脂組成物(C)。
- 該熱可塑性樹脂(A)が、スチレン系モノマー(a1)、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(a2)および不飽和多塩基酸無水物(a3)からなる群より選ばれる1種以上のモノマー(a)から構成される(共)重合体である請求項1記載の透明樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂(B)が、その主鎖中に芳香環を有するポリエステル樹脂(B1)である請求項1または2記載の透明樹脂組成物。
- 該芳香環含有ポリエステル樹脂(B1)が、オキシアルキレン基を含む請求項3記載の透明樹脂組成物。
- 該芳香環含有ポリエステル樹脂(B1)中の芳香環の含有量が38〜50重量%である請求項3記載の透明樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂(B)が、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー(b1)と不飽和多塩基酸無水物(b2)から構成される共重合体(B2)である請求項1または2記載の透明樹脂組成物。
- 該芳香環含有ポリエステル樹脂(B1)の重量平均分子量が10,000以下である請求項3〜5いずれかに記載の透明樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の透明樹脂組成物を加熱成形して得られることを特徴とする光学成形品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の透明樹脂組成物を加熱成形して得られることを特徴とする光学フィルム。
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- 2010-02-24 JP JP2010039253A patent/JP2011116928A/ja active Pending
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