JP2000007829A - アセチルセルロース樹脂組成物 - Google Patents

アセチルセルロース樹脂組成物

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JP2000007829A
JP2000007829A JP18961298A JP18961298A JP2000007829A JP 2000007829 A JP2000007829 A JP 2000007829A JP 18961298 A JP18961298 A JP 18961298A JP 18961298 A JP18961298 A JP 18961298A JP 2000007829 A JP2000007829 A JP 2000007829A
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acetylcellulose
acetylcellulose resin
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Mikiko Ishizaki
美紀子 石崎
Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Naohiko Tsujimoto
直彦 辻本
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】 アセチルセルロース樹脂に3,9−ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−
2,4,8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォス
ファピロ[5,5]ウンデカンと、トリエチレングリコ
ール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及び/又はオ
クタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネートからなるヒンダードフ
ェノール類とを安定化剤として含有せしめた熱安定性ア
セチルセルロース樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセチルセルロー
ス樹脂の熱劣化を防止する方法と熱安定性アセチルセル
ロース樹脂組成物に関する。更に詳しくいえば、本発明
はアセチルセルロース樹脂を主成分とする樹脂組成物の
熱加工によって生ずる品質劣化(ポリマーの変色と重合
度の低下による物理的性質の劣化)を最小限にする安定
化方法と、熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】アセチルセルロース樹脂は、加熱による
アセチルセルロースの酸化分解、可塑剤の熱分解等によ
り、強度低下、変色などが起こる。これを防ぐために酸
化防止剤、酸化抑制剤あるいは酸捕捉剤等のいわゆる安
定剤を添加するのが一般的とされている。安定剤のうち
酸化防止剤は、プラスチックが主として空気中の酸素に
より酸化劣化を受け、製造時及び使用時に品質劣化を起
こすことを制御・防止する目的でプラスチックに添加使
用される。プラスチックの酸化による劣化反応は、ラジ
カル反応で連鎖開始、連鎖成長、過酸化物分解の三つの
各々異なる化学反応により成り立っている。従って、こ
のような酸化による劣化反応を制御・防止するには次の
三つの方向がある。
【0003】 連鎖反応の禁止: 連鎖開始反応は
光、熱、放射線、重金属の接触作用などにより起こるか
ら、これを防ぐために紫外線吸収剤、金属不活性化剤等
が有効である。 連鎖成長反応の禁止: 発生したラジカルを捕捉
し、ラジカル連鎖反応の進行を禁止する物質が有効であ
る。この作用を有する酸化防止剤をラジカル連鎖禁止剤
という。 過酸化物の分解: 生成したヒドロペルオキシドを
ラジカル発生しない形で分解する物質が有効である。こ
の作用を有する酸化防止剤を過酸化物分解剤という。
【0004】酸化防止剤には、の紫外線吸収剤、金属
不活性化剤なども含まれるべきであるが、通常酸化防止
剤という時には狭義にないしの範囲を指すことが多
い。従って、ここでは酸化防止剤を次のように分類す
る。まず、ラジカル酸化防止剤には、フェノール系酸化
防止剤、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子
型フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤があ
る。又、過酸化物分解剤には硫黄系酸化防止剤とリン系
酸化防止剤がある。
【0005】ラジカル酸化防止剤としては、一般にフェ
ノール系よりもアミン系化合物の方が酸化防止効果が優
れていることが知られている。しかし、多くのアミン系
酸化防止剤は加工中或いは使用時に着色する為に、主に
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル)に代表されるFDA(Food and Drug
Administration;米国食品医薬品管理
局)認可のフェノール系酸化防止剤が汎用されている。
必要に応じてビスフェノール系や高分子型フェノール系
等が利用されている。又、リン酸系酸化防止剤は、酸化
防止効果はもちろん、着色防止、加工安定性の向上、樹
脂中の触媒残渣の不活性化、耐光性の改善等、特徴ある
性能を発揮する。
【0006】酸化防止剤として使用されるための条件と
しては、酸化防止効果に優れることは勿論であり、他に
揮発性、樹脂との相溶性、着色等の条件を満足する必要
があるが、要求される条件全てを満足する単独の安定剤
は無く、用途に応じて安定剤を組み合わせて利用するこ
とが一般的である。このように組み合わせ使用するの
は、各々を単独で用いた場合よりも効果が大きくなり、
相乗効果を発揮することが知られているためである。
【0007】以上のような相乗効果を示す組み合わせ例
としては、ビスフェノールとドデシルメルカプタン、有
機リン酸エステル、硫黄含有リン系化合物等との組み合
わせがあり、特にフェノール系酸化防止剤とリン系酸化
防止剤の組み合わせは、併用することにより卓越した加
工安定性を発揮することが知られている。
【0008】天然油脂のうち、不飽和構造を持つもので
大量かつ安価に入手できる大豆油、米糠油、アマニ油、
鯨油等、及びパルプ製造の際副生される樹脂分中に含ま
れるトール油等は、過酸化水素又は過酢酸の作用によっ
てエポキシ化することが出来る。これらのエポキシ化合
物は耐熱、耐侯性の向上に非常に有効であるが、通常単
独では利用されず金属石鹸等の主安定化剤と併用され、
安定化助剤とも呼ばれている。エポキシ化合物のよく知
られた安定化作用としては塩化ビニルの熱分解によって
生じる塩酸の捕捉作用、不安定塩素との置換反応が挙げ
られる。
【0009】アセチルセルロース樹脂の場合において
も、配合するリン酸系酸化防止剤の種類により熱加工中
の酸の遊離が著しい場合には、エポキシ化大豆油のよう
なエポキシ化合物を併用することで安定化が図れること
が知られている。3種類の安定剤を併用した場合、用い
る安定化剤の組合せによっては樹脂との相溶性を低下さ
せることなく、2種類の安定化剤を併用した場合以上の
相乗効果が現れる場合もある。このような安定化剤の組
み合わせや配合割合についての研究はアセチルセルロー
ス樹脂のみならずその他のプラスチックの場合でも多種
多様に行なわれている。
【0010】例えば、特開平5−269,264号公報
では5,5−ジメチル−ノニルフェノキシ−1,3,2
−ジオキサホスホリナンを用いて安定化されたセルロー
スエステル組成物とその安定化方法について開示してお
り、その中でジオキサホスホリナンとの最適組み合わせ
としてエポキシ脂肪酸エステル化合物を挙げ、更にその
配合割合について開示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】アセチルセルロース樹
脂による成型品は、シート、フィルム、繊維など多岐に
わたるが、溶融紡糸のようにアセチルセルロース樹脂の
流動性を高めるため、高温領域での加工を余儀なくされ
ている分野においては、加工時の劣化に関してアセチル
セルロース樹脂の安定化を図るのに適切な安定化剤化合
物の選択と、優れた相乗効果を示す併用化合物の選択及
び有効配合量を見極めることが依然として必要である。
従って、本発明は、アセチルセルロース樹脂組成物の高
温領域の加工においても樹脂の品質劣化が生起しない、
安定化されたアセチルセルロース樹脂組成物を提供する
ことが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる現状
に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、アセチルセルロース樹
脂の熱加工時における品質劣化を最も効果的に防止する
安定化剤化合物、及び該安定化剤と併用することにより
アセチルセルロース樹脂の安定化に大幅な相乗効果を発
揮する他の安定化剤化合物を見出し、更には最も効果的
に作用する配合量を見出し本発明を完成した。
【0013】(1)本発明は、加工中、又はそれ以外の
場合において熱に曝された場合に劣化を受けやすいアセ
チルセルロース樹脂に3,9−ビス(2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−
テトラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ[5,5]
ウンデカンと、トリエチレングリコール−ビス−[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]及び/又はオクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネートからなるヒンダードフェノール類とを安
定化剤として含有せしめたことを特徴とする熱安定性ア
セチルセルロース樹脂組成物に関する。
【0014】(2)本発明は、前記アセチルセルロース
樹脂が酢化度30〜60%、平均重合度50〜250の
アセチルセルロース樹脂であることを特徴とする(1)
項記載の熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物に関す
る。
【0015】(3)本発明は、前記安定化剤は3,9−
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキ
シ)−2,4,8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−
フォスファピロ〔5,5〕ウンデカンと前記ヒンダード
フェノール類との重量比が3.0〜5.0:1であり、
そして前記3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキ
ソ−3,9−ジ−フォスファピロ〔5,5〕ウンデカン
が前記アセチルセルロース樹脂100重量部に対して
0.1〜0.5重量部添加されていることを特徴とする
(1)又は(2)に記載の熱安定性アセチルセルロース
樹脂組成物に関する。
【0016】(4)本発明は、前記安定化剤に加えて、
エポキシ化された植物油及びその他の天然油のエポキシ
脂肪酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を前
記アセチルセルロース樹脂100重量部に対して1〜8
重量部含有することを特徴とする(1)〜(3)のいず
れか1項に記載の熱安定性アセチルセルロース樹脂組成
物に関する。 (5)本発明は、前記アセチルセルロース樹脂100重
量部に対して、可塑剤を15〜45重量部配合したこと
を特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱
安定性アセチルセルロース樹脂組成物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明によれば、熱劣化に対して
安定化されたアセチルセルロース樹脂組成物が提供され
る。本発明でいうアセチルセルロース樹脂組成物とは、
アセチルセルロース樹脂に可塑剤、着色剤、安定化剤な
どが添加されているものである。本発明の熱安定性アセ
チルセルロース樹脂組成物は、安定化剤としてアセチル
セルロース樹脂と、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テ
トラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ[5,5]ウ
ンデカンと、トリエチレングリコール−ビス−[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]及び/又はオクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネートからなるヒンダードフェノール類とを含
有することを特徴とするものである。
【0018】本発明で使用されるアセチルセルロース樹
脂は、針葉樹晒クラフトパルプや溶解パルプのようなセ
ルロースパルプあるいはリンターを酢酸によって予備処
理した後、硫酸のような酸性触媒の存在下無水酢酸を用
いて酢化し、次いで中和と熟成を行うという公知の方法
で得られる。しかしながら、酢化度が30%未満のアセ
チルセルロース樹脂は、耐水性が低下し実用性に適さな
いので、本発明では酢化度30〜60%の範囲のアセチ
ルセルロースが好ましい。又、酢化度の異なる2種類以
上のアセチルセルロースを混合して用いてもよい。平均
酢化度の測定は、公知の中和滴定法に従いNaOH量か
ら求められる。
【0019】アセチルセルロース樹脂の平均重合度は、
アセチルセルロース樹脂の成形加工性の点から50〜2
50の範囲が好ましい。前記平均重合度の測定は、公知
の方法に従い行うことが出来、アセチルセルロース樹脂
をアセトン溶媒に溶かし、オストワルド粘度計より求め
た相対粘度から極限粘度〔η〕を用いて、(1)式によ
り求められる。 〔η〕=0.009×平均重合度 (1)
【0020】本発明のアセチルセルロース樹脂組成物に
は、溶融紡糸や溶融押出成型のように流動性が要求され
る場合には可塑剤が配合される。使用できる可塑剤の代
表的なものとしては、ジメチルフタレート、ジエチルフ
タレート、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタ
レート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジエト
キシエチルフタレート、トリブチルフォスフェート、ト
リクレシルフォスフェート、トリフェニルフォスフェー
ト、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−2−
エチルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブ
チルセバケート、トリアセチン、トリプロピオニン、メ
チルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチ
ルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、
トリエチルサイレート、n−ブチルステアレート、ジエ
チルサクシネート、カプロラクトントリオール、カプロ
カクトンテトラオール、ポリエチレンアジペートが挙げ
られる。可塑剤は、アセチルセルロース樹脂100重量
部に対して15〜45重量部の範囲が好ましい。
【0021】本発明で、アセチルセルロース樹脂に配合
される安定化剤化合物は、3,9−ビス(2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,1
0−テトラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ[5,
5]ウンデカンとヒンダードフェノール類とを含むこと
が必須である。
【0022】本発明者らは、従来、安定化剤として使用
されることの多い各種物質について、アセチルセルロー
ス樹脂を効果的に安定化できるものを得るべく種々の検
討を行なった。しかし、たとえば、トリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスファイトを添加したアセ
チルセルロース樹脂の熱加工による着色は非常に顕著で
あり、安定剤無配合の場合とほとんど差が見られなかっ
たし、他の種々の安定剤化合物についても、アセチルセ
ルロース樹脂の着色は僅かに抑えられるものの、これら
の安定剤化合物の効果は充分と言えるものではなかっ
た。
【0023】しかし驚くべきことに、3,9−ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−
2,4,8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォス
ファピロ[5,5]ウンデカンと、トリエチレングリコ
ール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]やオクタデシ
ル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネートのようなヒンダードフェノール
類とを併用した場合には、アセチルセルロース樹脂の熱
着色が顕著に抑制されるという、大幅な相乗効果が有る
ことが確認された。
【0024】本発明において、3,9−ビス(2,6−
ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,
8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ
[5,5]ウンデカンと、トリエチレングリコール−ビ
ス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]及び/又はオクタデシ
ル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネートとの好ましい重量比は約3.0
〜5.0:1である。また、これらの安定化剤のうち、
3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキソ−3,9
−ジ−フォスファピロ[5,5]ウンデカンは、アセチ
ルセルロース樹脂100重量部に対して0.1〜0.5
重量部の範囲で配合される。安定化剤の配合部数が該範
囲を越えて増加するほど、安定化剤とアセチルセルロー
スの相溶性が低下するので、該範囲が好ましい。
【0025】又、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テト
ラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ[5,5]ウン
デカンと、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及び/又
はオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネートとを組合せた安定
化剤に、第3の安定化剤成分としてエポキシ化大豆油、
エポキシ化アマニ油等のエポキシ脂肪酸エステル化合物
をさらに加えることにより、さらに熱着色を抑えられる
ことが確認された。これらの第3の安定化剤成分は、ア
セチルセルロース樹脂100重量部に対して1〜8重量
部の範囲で配合される。
【0026】本発明によれば、慣用のブレンド技術によ
ってアセチルセルロース樹脂組成物に安定化剤成分を混
合して含有せしめることができる。例えば、ニーダー、
ロールミル、バンバリーミキサー等の通常利用されてい
る公知の混合機が特に制限なく用いられる。又、安定化
剤組成物をアセチルセルロース樹脂粉体及び可塑剤等と
ブレンドし、次にその混合物を押出機の中で混練し、押
出機から押し出すこともできる。又、成形加工時の加水
分解や気泡の発生を防止するために含水率を0.1重量
%以下に乾燥することが好ましい。
【0027】本発明のアセチルセルロース樹脂組成物に
は、さらにに他の相溶性のある添加剤も配合することが
できるる。例えば、安定化されたアセチルセルロース樹
脂組成物は慣用の滑剤、帯電防止剤、染料、顔料、潤滑
剤あるいは酸補足剤等の安定化剤をさらに添加配合する
ことは何らさしつかえない。
【0028】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定
されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用し
ている各安定化剤の詳細は表1に示されているとおりで
ある。
【0029】実施例1及び実施例2 絶乾重量当たり、針葉樹材からの溶解パルプ13重量
%、硫酸2重量%、無水酢酸35重量%及び氷酢酸50
重量%からなる混合物を36℃で3時間アセチル化反応
を行い、反応後反応物を酢酸カリウムで中和し、その後
60℃で3時間加水分解し、精製、乾燥して酢化度54
%、平均重合度110のアセチルセルロースフレークを
得、さらにこのアセチルセルロースを粉砕機で微粉末に
した。このアセチルセルロース70重量%と可塑剤とし
てポリエチレンアジペート〔日本ポリウレタン工業
(株)製;N−4002、Mw=1,000〕30重量
%を含有する樹脂組成物100重量部当たり、表2に示
した所定量の安定化剤をそれぞれビーカーに秤取り、混
ぜ合わせた後、240℃に調温されているラボプラスト
ミルニーダー〔(株)東洋精機製作所;50−C−15
0〕中に回転翼を60rpmで回転させた状態で素早く
投入し、そのまま5分間混練した。熱安定性はサンプル
の着色(黄変)度合いにより下記の基準で目視判定し
た。結果を表2に示す。なお、表2及び表3における
「phr」は、アセチルセルロース100重量部に対す
る配合重量部を示す。
【0030】1:着色なし 2:僅かに黄色がかって見える 3:僅かに茶色がかって見える 4:茶色になる 5:焦げ茶色になる
【0031】実施例3 実施例1及び実施例2に供したのと同じアセチルセルロ
ースを70重量%と、可塑剤としてポリエチレンアジペ
ート〔日本ポリウレタン工業(株)製;N−4002、
Mw=1,000〕30重量%とを含有する樹脂組成物
100重量部当たり、表2に示した実施例2と同様の安
定化剤を同量加え、さらにアセチルセルロース樹脂組成
物100重量部当たり、エポキシ化大豆油〔ローム&ハ
ース(株)製;パラプレックスG−62、Mw=1,0
00〕5重量部をビーカーに秤取り、混ぜ合わせた後、
240℃に調温されているラボプラストミルニーダー
〔(株)東洋精機製作所;50−C−150〕中に回転
翼を60rpmで回転させた状態で素早く投入し、その
まま5分間混練した。熱安定性はサンプルの着色度合い
により実施例1及び実施例2の場合と同様に目視観察し
判定した。結果を表2に示す。
【0032】実施例4 実施例2と同様の安定化剤を使用して、表2に示したア
セチルセルロース樹脂組成物を調製し、熱安定性をサン
プルの着色度合いにより実施例1及び実施例2の場合と
同様に目視観察し判定した。結果を表2に示す。
【0033】実施例5、実施例6 実施例3と同様の安定化剤及びエポキシ化大豆油を使用
して表2に示したアセチルセルロース樹脂組成物を調製
し、熱安定性をサンプルの着色度合いにより実施例3の
場合と同様に目視観察し判定した。結果を表2に示す。
【0034】比較例1〜17 実施例に供したものと同様の、アセチルセルロースを7
0重量%と、可塑剤としてポリエチレンアジペート〔日
本ポリウレタン工業(株)製;N−4002、Mw=
1,000〕30重量%を含有する樹脂組成物100重
量部当たり、表3に示した所定量の安定化剤をそれぞれ
ビーカーに秤取り、混ぜ合わせた後、240℃に調温さ
れているラボプラストミルニーダー〔(株)東洋精機製
作所;50−C−150〕中に回転翼を60rpmで回
転させた状態で素早く投入し、そのまま5分間混練し
た。熱安定性はサンプルの着色度合いを目視により観察
し、実施例1〜実施例3の場合と同様に判定した。結果
を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】表2及び表3から明らかなように、本発明
によればリン酸系酸化防止剤として3,9−ビス(2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ−2,4,
8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ
[5,5]ウンデカンと、フェノール系酸化防止剤とし
てトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブ
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]及び/又はオクタデシル−3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
を併用配合することでアセチルセルロース樹脂の熱加工
による品質劣化を効果的に防止し、アセチルセルロース
樹脂の安定化を図ることができたものである。更に第3
成分として、エポキシ化大豆油をアセチルセルロース樹
脂に配合することで熱着色を防止し、より一層の安定化
が図れたものである。これに対して、比較例のどの組合
せの場合も着色が著しく、安定剤配合の効果が希薄であ
った。
【0039】
【発明の効果】以上の実施例及び比較例の結果から明ら
かなように、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノキシ−2,4,8,10−テトラオキ
ソ−3,9−ジ−フォスファピロ[5,5]ウンデカン
は、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]やオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートのよう
なヒンダードフェノールと組み合わせることにより、熱
と加工の劣化的影響に対してアセチルセルロース樹脂を
効果的に安定化することが可能である。更に、熱加工中
のポリマーの溶融粘度を維持し、加熱した時にポリマー
の変色を最小化する効果が達成された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻本 直彦 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 Fターム(参考) 4J002 AB021 CD162 EH008 EH098 EH148 EJ017 EW026 EW048 FD028 FD032 FD036 FD037

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセチルセルロース樹脂に3,9−ビス
    (2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−
    2,4,8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォス
    ファピロ[5,5]ウンデカンと、トリエチレングリコ
    ール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
    −ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及び/又はオ
    クタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
    ロキシフェニル)プロピオネートからなるヒンダードフ
    ェノール類とを安定化剤として含有せしめたことを特徴
    とする熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記アセチルセルロース樹脂が酢化度3
    0〜60%、平均重合度50〜250のアセチルセルロ
    ース樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱安定
    性アセチルセルロース樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記安定化剤は3,9−ビス(2,6−
    ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,
    8,10−テトラオキソ−3,9−ジ−フォスファピロ
    〔5,5〕ウンデカンと前記ヒンダードフェノール類と
    の重量比が3.0〜5.0:1であり、そして前記安定
    化剤中の3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−
    メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキソ
    −3,9−ジ−フォスファピロ〔5,5〕ウンデカンが
    前記アセチルセルロース樹脂100重量部に対して0.
    1〜0.5重量部配合されていることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の熱安定性アセチルセルロース
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記安定化剤に加えて、エポキシ化され
    た植物油及びその他の天然油のエポキシ脂肪酸エステル
    化合物から選ばれた少なくとも1種を前記アセチルセル
    ロース樹脂100重量部に対して1〜8重量部含有する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に
    記載の熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記アセチルセルロース樹脂100重量
    部に対して、可塑剤を15〜45重量部配合したことを
    特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の
    熱安定性アセチルセルロース樹脂組成物。
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