JP3128400B2 - 塩化ビニリデン系共重合体組成物 - Google Patents

塩化ビニリデン系共重合体組成物

Info

Publication number
JP3128400B2
JP3128400B2 JP05262959A JP26295993A JP3128400B2 JP 3128400 B2 JP3128400 B2 JP 3128400B2 JP 05262959 A JP05262959 A JP 05262959A JP 26295993 A JP26295993 A JP 26295993A JP 3128400 B2 JP3128400 B2 JP 3128400B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinylidene chloride
weight
citrate
parts
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP05262959A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06192523A (ja
Inventor
勝彦 菅野
邦男 佐々木
保男 田中
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP05262959A priority Critical patent/JP3128400B2/ja
Publication of JPH06192523A publication Critical patent/JPH06192523A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3128400B2 publication Critical patent/JP3128400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニリデン系共重
合体組成物に関し、さらに詳しくは、熱安定性に優れ、
食品衛生上の問題がない塩化ビニリデン系共重合体組成
物に関する。本発明の塩化ビニリデン系共重合体組成物
は、各種成形物の原料として使用できるが、特に、押出
成形により食品包装フィルムを製造するのに好適であ
る。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニリデン系共重合体フィルムは、
酸素ガスバリヤー性と防湿性に優れた透明なフィルムで
あるため、業務用や家庭用ラップフィルム、その他食品
などの包装材料として、鮮魚、生肉、新鮮野菜、惣菜類
等の包装に、酸素遮断、防湿等の目的で広く利用されて
いる。
【0003】塩化ビニリデンのホモポリマーは、結晶化
し易く軟化点が高いことと、塩素含有量が塩化ビニルよ
りも多いことから、軟化点と分解温度(脱塩酸反応)と
が近接し、フィルム等の押出加工性に劣る欠点がある。
そこで、塩化ビニリデンは、通常、塩化ビニルやその他
のモノマーと共重合させて塩化ビニリデン系共重合体と
すると共に、該共重合体に可塑剤や安定剤を添加するこ
とにより、押出加工性を改善している。したがって、塩
化ビニリデン系共重合体フィルムは、一般に、塩化ビニ
リデン系共重合体に安定剤、可塑剤などの各種添加剤を
配合した組成物を溶融押出し、次いで、インフレーショ
ン法などによりフィルムに形成する方法により製造され
ている。
【0004】塩化ビニリデン系共重合体フィルムが良好
な商品価値を保持したものであるためには、成形加工時
の熱などによる分解や変色等の影響が少なく、しかも、
食品包装用としては、食品衛生上の問題がないものでな
ければならない。
【0005】従来、食品包装材料用として使用される塩
化ビニリデン系共重合体組成物として、塩化ビニリデン
系共重合体に、エポキシ化植物油などのエポキシ系安定
剤とグリセリンエステルやジブチルセバケートなどの可
塑剤を配合したものが知られている(例えば、特公昭5
9−46984号公報)。しかしながら、従来公知の塩
化ビニリデン系共重合体組成物は、熱安定性の点で未だ
十分に満足できるものではなく、加熱時に脱塩酸反応や
変色し易いなどの問題があるため、その解決が急がれて
いる。
【0006】一方、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸エ
ステルなどを塩化ビニル系重合体の安定剤として使用す
ることは、公知である。例えば、特開昭59−8045
6号公報には、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリ
ウムと、有機錫または有機アンチモンとを含む熱安定化
系を塩化ビニルポリマーに添加した組成物が開示されて
いる。特開昭59−108054号公報には、炭酸バリ
ウムまたは炭酸カドミウム粒子と、クエン酸ナトリウ
ム、クエン酸カリウム、または燐酸の金属塩とを併用し
て塩化ビニル重合体に添加した組成物が開示されてい
る。しかしながら、これら公知の安定剤系は、有機錫や
有機アンチモン、炭酸カドミウム等の食品衛生上問題が
ある成分を含有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱安
定性に優れていると共に、食品衛生上の問題のない塩化
ビニリデン系共重合体組成物を提供することにある。本
発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭
意研究した結果、塩化ビニリデン系共重合体に、可塑剤
と共にエポキシ系安定剤とクエン酸ナトリウム及び/ま
たはクエン酸カリウムを特定割合で併用して添加するこ
とにより、熱安定性が顕著に改善され、しかも、食品衛
生上の問題のないことを見出した。
【0008】本発明者らは、各種フェノール系抗酸化
剤、金属石けん、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウ
ム、エチレンジアミン四酢酸金属塩、ピロリン酸ナトリ
ウム等の多くの安定剤について、塩化ビニリデン系共重
合体に対する熱安定化効果を検討したが、それらの中
で、特にクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムが優
れた効果を示すことを見出した。しかも、クエン酸、ク
エン酸塩、クエン酸エステルなどのクエン酸系化合物の
中でも、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムが特
に優れた効果を示し、エポキシ系安定剤及び可塑剤と併
用することにより、塩化ビニリデン系共重合体に顕著な
熱安定化効果を付与することができることを見出した。
このクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムは、食品
添加剤としても使用されているものであって、食品衛生
上の問題がないものである。
【0009】本発明の塩化ビニリデン系共重合体組成物
は、押出加工性に優れているため、押出加工により食品
包装フィルムを製造したり、あるいは各種成形品や繊維
等を製造することができる。本発明は、これらの知見に
基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、(A)塩化ビニリデン系共重合体100重量部、
(B)エポキシ系安定剤0.05〜4重量部、(C)ク
エン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムからなる群より
選ばれる少なくとも1種のクエン酸アルカリ金属塩0.
01〜3重量部、及び(D)可塑剤0.1〜10重量部
を含有することを特徴とする塩化ビニリデン系共重合体
組成物が提供される。
【0011】以下、本発明について詳述する。本発明に
用いる塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデン7
0〜96重量%と共重合可能な単量体4〜30重量%か
らなる共重合体である。塩化ビニリデンと共重合可能な
単量体としては、例えば、塩化ビニル、アクリロニトリ
ル、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(アルキ
ル基の炭素数1〜18)、メタクリル酸、メタクリル酸
アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、無
水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アルキルエステ
ル、イタコン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエンなどが挙げ
られる。塩化ビニリデン含量が70重量%未満では、酸
素、水蒸気等のガスバリヤー性が低下し、逆に、96重
量%を越えると融点が高くなり過ぎて、溶融成形加工時
に熱分解し易くなる。
【0012】還元粘度は、重合体の分子量をあらわす指
標であり、シクロヘキサノンを溶媒として使用し、濃度
4グラム/リットル(g/L)、30℃で測定した還元
粘度が通常0.035〜0.080L/g、好ましくは
0.038〜0.065L/gの範囲のものが望まし
い。還元粘度が0.035L/gより低いものは、分子
量が低過ぎるため成形加工が難しく、逆に、0.080
L/gを越えると、分子量が高くなり過ぎて溶融加工が
困難となる。
【0013】本発明で使用するエポキシ系安定剤は、通
常、塩化ビニリデン系共重合体の熱安定剤として用いら
れている分子内にエポキシ基を有する化合物である。エ
ポキシ系安定剤は、塩化ビニリデン系共重合体の熱分解
により発生する塩化水素の捕捉剤として作用する。
【0014】エポキシ系安定剤としては、例えば、アマ
ニ油、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、サンフラワー
油、綿実油、ヒマワリ油などをエポキシ化したエポキシ
化植物油;エポキシ化ステアリン酸オクチルに代表され
るエポキシ化脂肪酸モノエステル;不飽和脂肪酸のグリ
コールエステルをエポキシ化して得られるエポキシ化脂
肪酸ジエステル;エポキシヘキサヒドロフタル酸エステ
ルに代表される脂環系エポキシド;などを挙げることが
できる。これらの中でも、特に、エポキシ化植物油が食
品衛生上などの観点から好ましい。
【0015】エポキシ系安定剤の配合割合は、塩化ビニ
リデン系共重合体100重量部に対して、0.05〜4
重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは
0.5〜2重量部である。この配合割合が少な過ぎる
と、クエン酸ナトリウム及び/またはクエン酸カリウム
と併用しても、熱安定化効果が小さく、逆に、多過ぎる
と、組成物が着色したり、製膜性が損なわれたり、ある
いはガスバリヤー性が低下するおそれがある。
【0016】本発明で使用するクエン酸アルカリ金属塩
は、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムからなる
群より選ばれる少なくとも1種である。クエン酸ナトリ
ウムとしては、クエン酸3ナトリウム(結晶)とクエン
酸3ナトリウム(無水)があり、特に、クエン酸3ナト
リウム(結晶)が好ましい。また、本発明で使用するク
エン酸カリウムは、クエン酸1カリウムとクエン酸3カ
リウムであり、特にクエン酸3カリウムが好ましい。こ
れらのクエン酸アルカリ金属塩は、無色の結晶または白
色の粉末である。クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリ
ウムは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用して用い
てもよい。
【0017】クエン酸アルカリ金属塩の配合割合は、塩
化ビニリデン系共重合体100重量部に対して、0.0
1〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部、より好ま
しくは0.3〜1重量部である。この配合割合が少な過
ぎると、エポキシ系安定剤と併用しても、熱安定化効果
が小さく、逆に、多過ぎると、組成物が着色したり、製
膜性が損なわれたり、あるいはガスバリヤー性が低下す
るおそれがある。
【0018】また、エポキシ系安定剤とクエン酸アルカ
リ金属塩との合計使用量は、塩化ビニリデン系共重合体
100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より
好ましくは4重量部以下であることが望ましい。これら
の安定剤成分の使用量が多過ぎると、組成物が着色する
おそれがある。さらに、エポキシ系安定剤とクエン酸ア
ルカリ金属塩との使用割合は、重量比で5:5〜9.
5:0.5の範囲であることが、両者の併用効果を達成
する上で好ましい。
【0019】本発明で使用する可塑剤は、通常の塩化ビ
ニリデン系共重合体の成形加工の際に用いられる可塑剤
であれば特に限定されない。可塑剤の具体例としては、
ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチ
ルセバケートなどの脂肪族2塩基酸エステル;クエン酸
トリブチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのヒドロ
キシ多価カルボン酸エステル;ジアセチルモノラウリル
グリセリンを主成分とするグリセライドなどのグリセリ
ン脂肪酸エステル可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが
例示できる。
【0020】可塑剤の配合割合は、塩化ビニリデン系共
重合体100重量部当たり、0.1〜10重量部、好ま
しくは0.5〜9重量部の範囲である。0.1重量部未
満では成形加工が難しく、逆に、10重量部超過では、
ガスバリヤー性などの性能が損なわれるおそれがある。
【0021】本発明の塩化ビニリデン系共重合体組成物
は、各成分を通常の方法、例えば、リボンブレンダー、
ヘンシェルミキサー、混練機などを用いて混合すること
により調製することができる。また、塩化ビニリデン系
共重合体の重合中あるいは重合後の工程で、エポキシ系
安定剤、クエン酸アルカリ金属塩、及び可塑剤を適宜添
加して混合してもよい。好ましい混合方法は、クエン酸
アルカリ金属塩を水やアルコール、アセトンなどに溶解
し、得られた溶液を、塩化ビニリデン系共重合体、エポ
キシ系安定剤、可塑剤と共にミキサーを用いて混合する
方法である。
【0022】本発明の組成物には、本発明の目的を損な
わない範囲において、食品包装材用添加剤として公知の
染料または顔料などの着色剤、酸化防止剤などの安定
剤、耐候性向上剤、シリカなどの無機粉末、滑剤、核
剤、MBS樹脂などを添加することができる。
【0023】本発明の組成物は、通常の溶融成形により
フィルム、シート、容器、繊維などの成形物とすること
ができる。フィルムを製造する場合には、例えば、組成
物を押出機のサーキュラーダイから溶融押出し、得られ
た管状物を室温以下の第1の浴に通した後、第2の5℃
〜約50℃の浴に通し、2組のピンチローラー間に空気
を入れて膨らませたバブルを形成させるインフレーショ
ン法により延伸フィルムを製造できる。組成物を押出機
のT−ダイから溶融押出し、急冷してシートやフィルム
を形成することもできる。溶融物を線状に押出し、これ
を1軸方向に延伸することにより、繊維を得ることがで
きる。
【0024】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。なお、添加量は重量部
である。
【0025】[実施例1、比較例1〜3]塩化ビニリデ
ン80重量%、塩化ビニル20重量%からなる塩化ビニ
リデン系共重合体(還元粘度:0.058L/g)〔P
VDC(1)〕100重量部に対し、表1に示した量の
エポキシ化大豆油、表1のクエン酸ナトリウム(クエン
酸Na;結晶)重量の2倍量の温水に溶解させたクエン
酸ナトリウム温水溶解液、及び表1に示した量のジブチ
ルセバケート(DBS)を添加し、ヘンシェルミキサー
を用いて樹脂の温度が70℃になるまで混合した。冷却
後、得られた配合物を165℃で3分間の条件でプレス
し、厚さ約0.5mmのシートを作成した。
【0026】<還元粘度>塩化ビニリデン系共重合体の
還元粘度は、次の方法により測定した。乾燥した重合体
80mgを共栓付三角フラスコ中に秤量し、30℃のシ
クロヘキサノン20mlを加え、70℃の湯浴中で1時
間撹拌した。ついで得られた溶液をウベローデ粘度計に
とり、30℃に調整した恒温水槽中で、落下時間(秒
数)を測定し、次式により求めた。 還元粘度(ηsp/c)=1/C[(t2/t1)−1] C:濃度(4g/L) t1:シクロヘキサノンの30℃における落下時間(秒
数) t2:重合体を溶解したシクロヘキサノン溶液の30℃
における落下時間(秒数)
【0027】<熱安測色値>前記シートから縦2cm、
横4cmのサンプルを9枚切り取り、これを155℃に
調整した熱風乾燥機に入れ、15分経過するごとにサン
プルを1枚づつ取りだし、変色の度合いを肉眼と色彩色
差計(ミノルタ社製、CR−200)によるL*、a*
*値の測定により、評価した。結果は表1に示した。
なお、L*は明度、またa*、b*は色相と彩度を表す色
度を意味する。L*は、数値が大きくなる程、明るさが
増す(白くなる)方向を示し、数値が小さくなる程、暗
さを増す(黒くなる)方向を示す。a*は、プラス値が
大きくなる程、赤味が強くなる方向を示し、マイナス値
が大きくなる程、緑味が強くなる方向を示す。b*は、
プラス値が大きくなる程、黄色味が強くなる方向を示
し、マイナス値が大きくなる程、青味が強くなる方向を
示す。
【0028】
【表1】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。
【0029】実施例1は、比較例1〜3に比べ、L*
の減少度合いが少なく、しかも、肉眼による色調の変化
からも分かるように、熱劣化などによる変色が少ないこ
とを示しており、熱安定化効果が優れていることが分か
る。
【0030】[実施例2、比較例4]塩化ビニリデン系
共重合体として、塩化ビニリデン95重量%とメチルア
クリレート5重量%からなる共重合体(還元粘度:0.
039L/g)〔PVDC(2)〕を使用したこと以外
は、実施例1及び比較例3と同様にしてサンプルを調製
し、同様に変色の度合いを測定した。結果は表2に示し
た。
【0031】
【表2】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。
【0032】実施例2は、比較例4に比べ、L*値の減
少度合いや、肉眼による色調の変化から明らかなよう
に、変色が少ないことを示している。本発明は、塩化ビ
ニリデン系共重合体として塩化ビニリデン−メチルアク
リレート共重合体を用いた組成物においても、熱安定化
効果が優れていることを示している。
【0033】[実施例3〜4、比較例5〜14]実施例
1で用いた塩化ビニリデン系共重合体〔PVDC
(1)〕に、表3及び4に示した各成分を添加し、実施
例1と同様に混合した。冷却後、得られた配合物を18
0℃で3分間の条件でプレスし、実施例1と同様のシー
トを作成し、次いで、変色の度合いを色彩色差計(ミノ
ルタ社製、CR−200)により測定した。結果は表3
及び4に示した。
【0034】
【表3】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。
【0035】
【表4】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。 (*1):2,6−ジ−ターシャリ−ブチルパラクレゾ
ール (*2):トリエチレングリコールビス[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート] (*3):ピロリン酸ナトリウム (*4):ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネ
ート (*5):トコフエロール
【0036】クエン酸ナトリウムは、従来の安定剤や他
のクエン酸系化合物に比べ、L*値の減少度合いが少な
く、優れた熱安定化効果を有していることが分かる。
【0037】[実施例5〜6、比較例15]塩化ビニリ
デン88重量%と塩化ビニル12重量%からなる塩化ビ
ニリデン系共重合体(還元粘度:0.059L/g)
〔PVDC(3)〕30kgに対し、表5に示した配合
割合となるように、エポキシ化亜麻仁油、表5のクエン
酸ナトリウム重量と同量の温水に溶解させたクエン酸ナ
トリウム温水溶解液、及びDBSを添加し、羽根ブレン
ダーを用いて70℃で混合し、その後、冷却して各々の
フイルム作成用コンパウンドを調製した。なお、これら
のコンパウンドの水分率は、いずれも0.05%以下で
あった。
【0038】ついで、このようにして得られたコンパウ
ンドを、バレル部温度として127℃/147℃/16
8℃/170℃、また、ノズル部温度として167℃に
設定した押出機(口径=40mm、L/D=22、環状
ノズル=24.0×25.5mm)を用いて溶融押出
し、得られたパリソンを、6℃の冷却水中に配置したピ
ンチローラーにより引き取りながら冷却した。その後、
25℃の第2浴を通過させ、室温で2対のピンチローラ
ー間で、パリソン内に圧縮空気を入れ、インフレーショ
ン法により長さ方向に3.2倍、幅方向に3.8倍延伸
し、3インチの紙管に100m巻き取り、フィルム厚み
40μm、折幅80mmの2軸延伸フィルムを製造し
た。
【0039】熱安定化効果を見るために、インフレーシ
ョン前の扁平状のパリソンから、縦2cm、横5cmの
サンプルを5枚用意し、150℃に調整した熱風乾燥機
に入れ、60分、75分、90分、105分経過するご
とに1枚づつサンプルを取り出し、色彩色差計(ミノル
タ社製、CR−200)によりL*値を測定した。ま
た、紙管に巻き取られた延伸フィルムの巻姿の色調を肉
眼により判定した。結果は表5に示した。
【0040】
【表5】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。
【0041】[実施例7〜8、比較例16〜17]実施
例1で用いた塩化ビニリデン系共重合体〔PVDC
(1)〕100重量部に対し、表6に示した量のエポキ
シ化大豆油、クエン酸カリウム(クエン酸K)としてク
エン酸3カリウムを用い、表6のクエン酸K量の2倍量
の温水に溶解させたクエン酸K温水溶解液、及び可塑剤
として表6に示した量のDBSとアセチルクエン酸トリ
ブチル(ATBC)を添加し、実施例1と同様、ヘンシ
ェルミキサーを用いて混合した。
【0042】冷却後、得られた配合物を175℃で3分
間の条件でプレスし、厚さ約0.5mmのシートを作成
した。このうち比較例17のシートは、初期着色が多
く、しかも厚さが不均一であったので、これ以降の評価
は行わなかった。この比較例17を除いた他のものは、
シートからサンプルを作成し、150℃に調整した熱風
乾燥機に入れ、実施例1と同様、変色の度合いを肉眼と
色彩色差計によるL*、a*、b*値の測定により評価し
た。結果は表6に示した。
【0043】
【表6】 (脚注)処方欄の添加量は、重量部である。
【0044】実施例7及び8は、比較例16に比べて、
*値の減少度合いや肉眼での変色の程度が少ない。こ
のことはクエン酸カリウムが優れた熱安定性効果を有し
ていることを示している。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、成形加工時の熱による
影響が少なく、成形加工性に優れた塩化ビニリデン系共
重合体組成物を提供することができる。本発明の塩化ビ
ニリデン系共重合体は、各種成形物の原料として使用で
きるが、食品衛生上の問題がないので、特に、食品包装
材料として好適に使用できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−80456(JP,A) 特開 昭55−58232(JP,A) 特開 昭51−38329(JP,A) 特開 昭61−113814(JP,A) 特開 平4−72334(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/08 C08K 5/098 C08K 5/10 - 5/12 C08K 5/15 - 5/159 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)塩化ビニリデン系共重合体100
    重量部、(B)エポキシ系安定剤0.05〜4重量部、
    (C)クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムからな
    る群より選ばれる少なくとも1種のクエン酸アルカリ金
    属塩0.01〜3重量部、及び(D)可塑剤0.1〜1
    0重量部を含有することを特徴とする塩化ビニリデン系
    共重合体組成物。
JP05262959A 1992-10-14 1993-09-27 塩化ビニリデン系共重合体組成物 Expired - Lifetime JP3128400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05262959A JP3128400B2 (ja) 1992-10-14 1993-09-27 塩化ビニリデン系共重合体組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-301872 1992-10-14
JP30187292 1992-10-14
JP05262959A JP3128400B2 (ja) 1992-10-14 1993-09-27 塩化ビニリデン系共重合体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06192523A JPH06192523A (ja) 1994-07-12
JP3128400B2 true JP3128400B2 (ja) 2001-01-29

Family

ID=26545790

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05262959A Expired - Lifetime JP3128400B2 (ja) 1992-10-14 1993-09-27 塩化ビニリデン系共重合体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3128400B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3523340B2 (ja) * 1994-08-30 2004-04-26 呉羽化学工業株式会社 塩化ビニリデン系重合体成形物
JP3999880B2 (ja) * 1997-06-20 2007-10-31 株式会社クレハ 塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物、そのフィルム、その押出加工方法
CN1154693C (zh) * 1997-08-01 2004-06-23 吴羽化学工业株式会社 偏氯乙烯系树脂组合物、其制造方法及其薄膜
WO2002094927A1 (en) * 2001-05-18 2002-11-28 Crompton Vinyl Additives Gmbh Stabilized citrate-plasticized flexible pvc
US6916874B2 (en) 2001-09-06 2005-07-12 Valspar Sourcing, Inc. Coating compositions having epoxy functional stabilizer
US6924328B2 (en) 2001-09-06 2005-08-02 Valspar Sourcing, Inc. Stabilized coating compositions
JP5127190B2 (ja) * 2006-09-21 2013-01-23 旭化成ケミカルズ株式会社 ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
KR101633230B1 (ko) * 2014-09-23 2016-07-01 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체의 제조방법 및 이를 통하여 제조된 염화비닐계 중합체
KR101784548B1 (ko) * 2014-09-23 2017-10-11 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체 및 이의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06192523A (ja) 1994-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4426477A (en) Thermoplastic resin composition
JP5324518B2 (ja) 組成物
JP3078663B2 (ja) 塩化ビニリデン組成物及び該組成物から製造するフィルム
JP3128400B2 (ja) 塩化ビニリデン系共重合体組成物
US4123399A (en) Plasticized, heat-stabilized PVC compositions
US4751118A (en) Clear polyvinyl chloride articles and compositions
JPS6126813B2 (ja)
EP0604136B1 (en) Extrudable vinylidene chloride polymeric film
JPS5946981B2 (ja) 改良されたビニルハライド安定剤組成物
JP4883622B2 (ja) 塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体樹脂組成物及びその樹脂組成物から成るフィルム
JP4791667B2 (ja) 組成物
US3635856A (en) Polyvinyl chloride compositions
US2560160A (en) Stabilization of polymeric resins with bismuth salts
US3412057A (en) Polyolefin-acetoglyceride compositions having reduced gas permeability
JPS6241533B2 (ja)
JPH09151290A (ja) 塩化ビニリデン系重合体組成物およびその成形物
JP2006282999A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂組成物及びそれからなるフィルム
US5147594A (en) Extruding vinylidene chloride copolymer flexible packaging film
JPS60112847A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂組成物
KR19990067401A (ko) 염화비닐리덴 중합체 조성물 및 이로부터 제조한 조사된 제품
AU605104B2 (en) Clear polyvinyl chloride articles and compositions
JPS62246373A (ja) 医療用塩化ビニル樹脂組成物
JPS5946984B2 (ja) 塩化ビニリデン共重合体組成物
JPH01230658A (ja) 押出成形用塩化ビニリデン系樹脂組成物
WO2020262249A1 (ja) ストレッチ包装用フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071110

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081110

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091110

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091110

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101110

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111110

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121110

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121110

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131110

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term