JP2020037615A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物の提供。【解決手段】セルロースアシレート(A)と、ブタジエン重合体を含むコア層と、前記コア層の表面上に、スチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)と、可塑剤(C)と、を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、条件(1)(ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃以下である)及び(2)(ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃以下である)の少なくとも一方を満たす樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
特許文献1には、「セルロースエステル樹脂を50phr以上99phr以下と、ブタジエン重合体のコアの表面に、アクリロニトリル・スチレン共重合体の表面層を有するアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を1phr以上50phr以下と、を含む樹脂組成物。」が開示されている。
特許文献2には、「少なくとも1種類の非フィブリルセルロースエステル、少なくとも1種類の非ニトリル主エラストマー、場合によってはスターチ、及びラバー100部あたり少なくとも70部(phr)の1種類以上の充填剤を含み、セルロースエステルとスターチとの重量比は少なくとも3:1であり、セルロースエステルは10μm以下の平均直径を有する粒子の形態であるエラストマー組成物」が開示されている。
特許文献3には、「A)セルロースエステル100質量部に対して、(B)可塑剤2〜100質量部、(C)メチルメタクリレート系樹脂(エラストマーは含まない)0.5〜10質量部、(D)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む熱可塑性エラストマー1〜50質量部、を含有するセルロースエステル組成物。」が開示されている。
特許文献4には、「セルロースエステル化合物(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を50質量%以上含むポリ(メタ)アクリレート系化合物(B)と、ポリエステル樹脂(C)と、コア層と前記コア層の表面上に(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体、及び、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの重合体であって、前記α−オレフィンに由来する構成単位を60質量%以上含むオレフィン系重合体から選択される少なくとも1種の重合体(D)と、を含む樹脂組成物。」が開示されている。
特許文献5には、少なくとも1種のセルロースエステル55質量%以上99質量%以下、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤1質量%以上30質量%、および少なくとも1種の可塑剤15質量%以下を含むセルロースエステル組成物が開示されている。
特開2015−218252号公報 特開2015−505877号公報 特開2015−044975号公報 特許第6323605号公報 国際公開2008/089573号
セルロースアシレートを含む樹脂組成物を成形した樹脂成形体は、摩擦係数が高い。そのため、例えば、セルロースアシレートを含む樹脂成形体が擦れたときなど、軋み音が生じる傾向がある。
本発明の課題は、セルロースアシレートを含む樹脂組成物において、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃を超え、かつ、ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃を超える場合、又は、樹脂組成物が、セルロースアシレート(A)、及びスチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)のみ含む場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>
セルロースアシレート(A)と、
ブタジエン重合体を含むコア層と、前記コア層の表面上に、スチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)と、
可塑剤(C)と、
を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が下記条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす樹脂組成物。
(1)ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃以下である
(2)ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃以下である
<2>
前記条件(1)における熱変形温度が90℃以下、及び前記条件(2)の熱変形温度が85℃以下である条件の少なくとも一方を満たす<1>に記載の樹脂組成物。
<3>
前記セルロースアシレートがセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
前記セルロースアシレートがセルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種である<3>に記載の樹脂組成物。
<5>
さらに、脂肪族ポリエステル(D)を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<6>
前記脂肪族ポリエステル(D)が、ポリヒドロキシアルカノエートである<5>に記載の樹脂組成物。
<7>
前記脂肪族ポリエステル(D)が、ポリ乳酸である<6>に記載の樹脂組成物。
<8>
前記可塑剤(C)が、カルダノール化合物、ジカルボン酸ジエステル、クエン酸エステル、分子内に不飽和結合を1つ以上有するポリエーテル化合物、ポリエーテルエステル化合物、安息香酸グリコールエステル、下記の一般式(6)で表される化合物及びエポキシ化脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
一般式(6)中、R61は炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表し、R62は炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基を表す。
<9>
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
<10>
射出成形体である、<9>に記載の樹脂成形体。
<1>、<2>に係る発明によれば、セルロースアシレートを含む樹脂組成物において、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃を超え、かつ、ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃を超える場合、又は、樹脂組成物が、セルロースアシレート(A)、及びスチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)のみ含む場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<3>に係る発明によれば、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃を超え、かつ、ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃を超える場合、又は、樹脂組成物が、セルロースアシレート(A)、及びスチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)のみ含む場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物であって、セルロースアシレート(A)がセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種である樹脂組成物が提供される。
<4>に係る発明によれば、セルロースアシレート(A)がセルロースアセテートである場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<5>〜<7>に係る発明によれば、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃を超え、かつ、ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃を超える場合、又は、樹脂組成物が、セルロースアシレート(A)、及びスチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)のみ含む場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物であって、さらに、脂肪族ポリエステル(D)を含む樹脂組成物が提供される。
<8>に係る発明によれば、可塑剤(C)が、ポリエチレングリコールである場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<9>、<10>に係る発明によれば、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が、ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃を超え、かつ、ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃を超える場合、又は、樹脂組成物が、セルロースアシレート(A)、及びスチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)のみ含む場合に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体、又は射出成形体が提供される。
以下に、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本実施形態中において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本実施形態中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本実施形態中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態において、各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本実施形態におい、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本実施形態において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本実施形態において、セルロースアシレート(A)、重合体(B)、可塑剤(C)、脂肪族ポリエステル(D)をそれぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)ともいう。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースアシレート(A)と、重合体(B)と、可塑剤(C)と、を含む。重合体(B)は、ブタジエン重合体を含むコア層と、前記コア層の表面上に、スチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)である。
そして、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が下記条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす。
(1)ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃以下である
(2)ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃以下である
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、脂肪族ポリエステル(D)と、その他の成分(E)とを含んでいてもよい。
セルロースアシレートを含む樹脂組成物を成形した樹脂成形体は、摩擦係数が高い。そのため、例えば、セルロースアシレートを含む樹脂成形体どうしなど、セルロースアシレートを含む樹脂成形体が他の物体と擦れたときに、軋み音が生じる傾向がある。軋み音の発生は、成形体が擦れたときに生じる振動に起因していると考えられる。
本実施形態に係る樹脂組成物によれば、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。
例えば、セルロースアシレート(A)と、柔軟性を有する重合体とを混合すると、軋み音の原因となる樹脂成形体が擦れたときの振動が抑制されると考えられる。しかしながら、例えば、セルロースアシレート(A)及び柔軟性を有するアクリルゴム系の重合体のみを含む樹脂組成物を成形した樹脂成形体の場合では、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制されにくい。これは、両者の相溶性が良すぎるため、セルロースアシレート(A)とアクリルゴム系の重合体とで界面が形成され難く、樹脂成形体が擦れたときの振動を吸収しきれないと考えられる。そこで、セルロースアシレート(A)との相溶性が、アクリルゴム系の重合体よりも低い重合体(例えば、前述の重合体(B))との混合が考えられる。しかし、セルロースアシレート(A)と重合体(B)との親和性は低く、セルロースアシレート(A)と重合体(B)と単純に混合するのみでは、重合体(B)の分散性が低い。このため、セルロースアシレート(A)及び重合体(B)のみ含む樹脂組成物を成形した樹脂成形体では大きな界面が形成される。一方、樹脂成形体の熱変形温度を低くすることで、樹脂成形体の柔軟性が向上するが、前述のようにセルロースアシレート(A)と重合体(B)とを混合するのみでは、大きな界面を有するため、やはり、振動を吸収しきれないと考えられる。このため、樹脂成形体の熱変形温度を単に低くしても、軋み音が発生しやすい。
これに対し、本実施形態に係る樹脂組成物では、セルロースアシレート(A)及び重合体(B)に加え、可塑剤(C)をさらに混合することで、セルロースアシレート(A)と重合体(B)との親和性が適度な状態となり、重合体(B)の分散性が向上する。その結果、セルロースアシレート(A)との界面が適度な量で存在することにより、この樹脂組成物を成形した樹脂成形体では、セルロースアシレート(A)と重合体(B)とで形成された界面で振動が吸収されやすくなると考えられる。さらに、セルロースアシレート(A)、重合体(B)、及び可塑剤(C)を含む樹脂組成物を成形した樹脂成形体の熱変形温度を特定値以下とすることで、樹脂成形体の柔軟性が向上する。その結果、セルロースアシレートを含む樹脂成形体の軋み音の発生が抑制されると推測される。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の成分を詳細に説明する。
[セルロースアシレート(A):成分(A)]
セルロースアシレート(A)は、セルロースにおけるヒドロキシ基の少なくも一部がアシル基により置換(アシル化)されたセルロース誘導体である。アシル基とは、−CO−RAC(RACは、水素原子又は炭化水素基を表す。)の構造を有する基である。
セルロースアシレート(A)は、例えば、下記の一般式(CA)で表されるセルロース誘導体である。
一般式(CA)中、A、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又はアシル基を表し、nは2以上の整数を表す。ただし、n個のA、n個のA及びn個のAのうちの少なくとも一部はアシル基を表す。分子中にn個あるAは、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、分子中にn個あるA及びn個あるAもそれぞれ、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
、A及びAが表すアシル基は、炭素数1以上6以下のアシル基が好ましい。すなわち、セルロースアシレート(A)としては、アシル基の炭素数が1以上6以下であるセルロースアシレート(A)が好ましい。アシル基の炭素数が1以上6以下であるセルロースアシレート(A)は、炭素数7以上のアシル基を有するセルロースアシレート(A)に比べ、軋み音の発生が抑制される樹脂成形体が得られやすい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換であることが好ましい。
、A及びAが表すアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。これらの中でもアシル基としては、樹脂組成物の成形性及び樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、炭素数2以上4以下のアシル基がより好ましく、炭素数2又は3のアシル基が更に好ましい。
セルロースアシレート(A)としては、セルロースアセテート(セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。
セルロースアシレート(A)としては、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましく、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)がより好ましい。
セルロースアシレート(A)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
セルロースアシレート(A)の重量平均重合度は、樹脂組成物の成形性及び樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、200以上1000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましく、600以上1000以下がさらに好ましい。
セルロースアシレート(A)の重量平均重合度は、以下の手順で重量平均分子量(Mw)から求める。
まず、セルロースアシレート(A)の重量平均分子量(Mw)を、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレート(A)の構成単位分子量で除算することで、セルロースアシレート(A)の重合度を求める。例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき284である。
セルロースアシレート(A)の置換度は、樹脂組成物の成形性及び樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、2.1以上2.9以下が好ましく、置換度2.2以上2.9以下がより好ましく、2.3以上2.9以下が更に好ましく、2.6以上2.9以下が特に好ましい。
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)において、アセチル基とプロピオニル基との置換度の比(アセチル基/プロピオニル基)は、樹脂組成物の成形性及び樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、0.01以上1以下が好ましく、0.05以上0.1以下がより好ましい。
CAPとしては、下記の(1)、(2)、(3)及び(4)を満足するCAPが好ましく、下記の(1)、(3)及び(4)を満足するCAPがより好ましく、下記の(2)、(3)及び(4)を満足するCAPが更に好ましい。
(1)テトラヒドロフランを溶媒としたGPC法で測定したとき、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が16万以上25万以下であり、且つポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)とポリスチレン換算のZ平均分子量(Mz)との比Mn/Mzが0.14以上0.21以下である。
(2)テトラヒドロフランを溶媒としたGPC法で測定したとき、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が16万以上25万以下であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)とポリスチレン換算のZ平均分子量(Mz)との比Mn/Mzが0.14以上0.21以下であり、且つポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算のZ平均分子量(Mz)との比Mw/Mzが0.3以上0.7以下である。
(3)ISO11443:1995に準じて230℃の条件にてキャピログラフで測定したとき、せん断速度1216(/sec)における粘度η1(Pa・s)とせん断速度121.6(/sec)における粘度η2(Pa・s)との比η1/η2が0.1以上0.3以下である。
(4)CAPを射出成形して得た小形角板試験片(JIS K7139:2009が規格するD11試験片、60mm×60mm、厚さ1mm)を温度65℃且つ相対湿度85%の雰囲気に48時間放置したとき、MD方向の膨張率とTD方向の膨張率がいずれも0.4%以上0.6%以下である。ここに、MD方向は、射出成形に用いる金型のキャビティの長さ方向を意味し、TD方向は、MD方向に直交する方向を意味する。
セルロースアセテートブチレート(CAB)において、アセチル基とブチリル基との置換度の比(アセチル基/ブチリル基)は、樹脂組成物の成形性及び樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、0.05以上3.5以下が好ましく、0.5以上3.0以下がより好ましい。
セルロースアシレート(A)の置換度とは、セルロースが有するヒドロキシ基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアシレート(A)のアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD−グルコピラノース単位に3個あるヒドロキシ基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。置換度は、H−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から求める。
[重合体(B):成分(B)]
成分(B)は、ブタジエン重合体を含むコア層と、前記コア層の表面上に、スチレン重合体及びアクリロニトリル−スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層と、を有するコアシェル構造の重合体(b1)、
スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(b2)、
ポリウレタン(b3)、並びに、
芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である。
成分(B)は、例えば、常温(25℃)において弾性を有し、高温において熱可塑性樹脂と同じく軟化する性質を有する熱可塑性エラストマーである。
(コアシェル構造の重合体(b1):成分(b1))
コアシェル構造の重合体(b1)は、コア層と前記コア層の表面上にシェル層とを有するコアシェル構造の重合体である。
コアシェル構造の重合体(b1)は、コア層を最内層とし、シェル層を最外層とする重合体(具体的には、ブタジエン重合体を含むコア層に、スチレン重合体又はアクリロニトリル−スチレン重合体をグラフト重合してシェル層とした重合体)である。
なお、コア層とシェル層との間には、1層以上の他の層(例えば1層以上6層以下の他の層)を有してもよい。なお、他の層を有する場合、コアシェル構造の重合体(b1)は、コア層となる重合体に、複数種の重合体をグラフト重合して多層化した重合体である。
ブタジエン重合体を含むコア層は、ブタジエンを含む成分を重合した重合体であれば特に限定されず、ブタジエンの単独重合体のコア層であってもよく、ブタジエンと他の単量体との共重合体のコア層であってもよい。コア層がブタジエンと他の単量体との共重合体である場合は、他の単量体としては、例えば、ビニル芳香族が挙げられる。ビニル芳香族の中でも、スチレン成分(例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等))であることがよい。スチレン成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。スチレン成分の中でも、スチレンを用いることが好ましい。また、他の単量体としては、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の多官能単量体を用いてもよい。
ブタジエン重合体を含むコア層は、具体的には、例えば、ブタジエンの単独重合体であってもよく、ブタジエンとスチレンとの共重合体であってもよく、ブタジエンとスチレンとジビニルベンゼンとの3元共重合体であってもよい。
コア層に含まれるブタジエン重合体は、ブタジエンに由来する構成単位の割合として、60質量%以上100質量%以下(好ましくは70質量%以上100質量%以下)、他の単量体(好ましくはスチレン成分)に由来する構成単位の割合として、0質量%以上40質量%以下(好ましくは0質量%以上30質量%以下)であることが好ましい。例えば、ブタジエン重合体を構成する各単量体に由来する構成単位の割合としては、各単量体として、ブタジエン60質量%以上100質量%以下、スチレン0質量%以上40質量%以下であり、スチレン及びジビニルベンゼンの合計量に対して、ジビニルベンゼン0質量%以上5質量%以下とすることがよい。
スチレン重合体を含むシェル層は、スチレン成分を重合した重合体を含むシェル層であれば、特に限定されず、スチレンの単独重合体のシェル層であってもよく、スチレンと他の単量体との共重合体であってもよい。スチレン成分としては、コア層で例示したスチレン成分と同様の成分が挙げられる。他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル鎖の水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。その置換基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、他の単量体としては、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の多官能単量体を用いてもよい。シェル層に含まれるスチレン重合体は、スチレン成分85質量%以上100質量%以下と、他の単量体成分(好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル)0質量%以上15質量%以下との共重合体であることがよい。
これらの中でも、シェル層に含まれるスチレン重合体は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、スチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であることが好ましい。同様の点で、スチレンと、アルキル鎖の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体が好ましく、アルキル鎖の炭素数が1以上4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体がより好ましい。
アクリロニトリル−スチレン重合体を含むシェル層は、アクリロニトリル成分とスチレン成分との共重合体を含むシェル層である。アクリロニトリル−スチレン重合体は、特に限定されず、公知のアクリロニトリル−スチレン重合体が挙げられる。アクリロニトリル−スチレン重合体は、例えば、アクリロニトリル成分10質量%以上80質量%以下とスチレン成分20質量%以上90質量%以下との共重合体が挙げられる。アクリロニトリル成分と共重合するスチレン成分は、前述のコア層で例示したスチレン成分と同様の成分が挙げられる。なお、シェル層に含まれるアクリロニトリル−スチレン重合体には、また、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の多官能単量体を用いてもよい。
なお、コア層とシェル層との間に有する1層以上の他の層は、シェル層で説明した重合体の層が例示される。
シェル層の重合体の含有量は、コアシェル構造の重合体全体に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
成分(b1)のうち、ブタジエン重合体を含むコア層と、コア層の表面上に、スチレン重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)の市販品としては、例えば、三菱ケミカル社製“メタブレン”(登録商標)、カネカ社製“カネエース”(登録商標)、Arkema社製“Clearstrength”(登録商標)、ダウ・ケミカル日本社製“パラロイド”(登録商標)が挙げられる。
また、成分(b1)のうち、ブタジエン重合体を含むコア層と、コア層の表面上に、アクリロニトリル−スチレン重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)の市販品としては、例えば、Galata Chemicals社製“blendex”(登録商標)、ELIX POLYMERS社製“ELIX”等が挙げられる。
コアシェル構造の重合体(b1)の平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点で、50nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上400nm以下であることがより好ましく、100nm以上300nm以下であることがさらに好ましく、150nm以上250nm以下であることが特に好ましい。
なお、平均一次粒径とは、次の方法により測定された値をいう。走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、一次粒子の最大径を一次粒子径とし、粒子100個について、一次粒子径を測定し、平均した数平均一次粒子径である。具体的には、樹脂組成物中のコアシェル構造の重合体の分散形態を走査型電子顕微鏡により観察することにより求める。
(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(b2):成分(b2))
共重合体(b2)としては、熱可塑性エラストマーであれば、特に制限は無く、公知のスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体が挙げられる。共重合体(b2)は、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、及びその水添物であってもよい。
共重合体(b2)は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物であることが好ましい。また、共重合体(b2)は、同様の点で、ブロック共重合体であることがよく、例えば、ブタジエン部分の二重結合の少なくとも一部が水素化されることにより、両端のスチレン部分のブロックと、中央のエチレン/ブチレンを含む部分のブロックとを有する共重合体(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体)であることが好ましい。スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体のエチレン/ブチレンのブロック部分は、ランダム共重合体であってもよい。
共重合体(b2)は、公知の方法で得られる。共重合体(b2)がスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物である場合、例えば、共役ジエン部が1,4結合で構成された、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のブタジエン部分を水素添加することによって得られる。
共重合体(b2)の市販品としては、例えば、クレイトン社製“Kraton”(登録商標)、クラレ社製“Septon”(登録商標)等が挙げられる。
(ポリウレタン(b3):成分(b3))
ポリウレタン(b3)は、熱可塑性エラストマーであれば、特に制限は無く、公知のポリウレタンが挙げられる。ポリウレタン(b3)は、直鎖状のポリウレタンが好ましい。ポリウレタン(b3)は、例えば、ポリオール成分(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等)と、有機イソシアネート成分(芳香族ジイソシアネート、脂肪族(脂環族を含む)ジイソシアネート等)と、必要に応じて鎖延長剤(脂肪族(脂環族を含む)ジオール等)とを反応させて得られる。ポリオール成分及び有機イソシアネート成分は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン(b3)は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、脂肪族ポリウレタンが好ましい。脂肪族ポリウレタンとしては、例えば、ポリカーボネートポリオールを含むポリオール成分と、脂肪族ジイソシアネートを含むイソシアネート成分とを反応させて得られた脂肪族ポリウレタンが好ましい。
ポリウレタン(b3)は、例えば、ポリウレタンの合成における原料中のNCO/OH比の値として、0.90以上1.5以下の範囲となるように、ポリオール成分と、有機イソシアネート成分とを反応させればよい。ポリウレタン(b3)は、ワンショット法、プレポリマー化法等の公知の方法によって得られる。
ポリウレタン(b3)の市販品としては、例えば、Lubrizol社製“Estane”(登録商標)、BASF社製“Elastollan”(登録商標)等が挙げられる。Bayer社製“Desmopan”(登録商標)等が挙げられる。
(芳香族ポリエステル(b4):成分(b4))
芳香族ポリエステル(b4)は、熱可塑性エラストマーであれば、特に制限は無く、公知のポリエステルが挙げられる。なお、本実施形態において、芳香族ポリエステルとは、構造中に芳香環を持つポリエステルを表す。
芳香族ポリエステル(b4)は、例えば、ポリエステル共重合体(ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル等)が挙げられる。具体的には、ポリエステル単位からなるハードセグメントと、ポリエステル単位からなるソフトセグメントとを有するポリエステル共重合体;ポリエステル単位からなるハードセグメントと、ポリエーテル単位からなるソフトセグメントとを有するポリエステル共重合体;ポリエステル単位からなるハードセグメントと、ポリエーテル単位及びポリエステル単位からなるソフトセグメントとを有するポリエステル共重合体が挙げられる。ポリエステル共重合体のハードセグメントとソフトセグメントの質量比(ハードセグメント/ソフトセグメント)は、例えば、20/80以上80/20以下であることがよい。ハードセグメントを構成するポリエステル単位、並びにソフトセグメントを構成するポリエステル単位及びポリエーテル単位は、芳香族および脂肪族(脂環族を含む)のいずれであってもよい。
芳香族ポリエステル(b4)としてのポリエステル共重合体は、公知の方法で得られる。ポリエステル共重合体は、直鎖状ポリエステル共重合体が好ましい。ポリエステル共重合体は、例えば、炭素数4以上20以下のジカルボン酸成分と、炭素数2以上20以下のジオール成分と、数平均分子量が300以上20000以下のポリアルキレングリコール成分(ポリアルキレングリコールのアルキレンオキシド付加物を含む)とを用い、エステル化またはエステル交換させる方法、これら成分をエステル化またはエステル交換させてオリゴマーを製造した後、このオリゴマーを重縮合させる方法などによって得られる。また、例えば、炭素数4以上20以下のジカルボン酸成分と、炭素数2以上20以下のジオール成分と、数平均分子量が300以上20000以下の脂肪族ポリエステル成分を用い、エステル化またはエステル交換させる方法が挙げられる。なお、ジカルボン酸成分は、芳香族又は脂肪族のジカルボン酸、又はそれらのエステル誘導体であり、ジオール成分は、芳香族または脂肪族のジオールであり、ポリアルキレングリコール成分は、芳香族または脂肪族のポリアルキレングリコールである。
これらの中でも、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、ポリエステル共重合体のジカルボン酸成分は、芳香環を持つジカルボン酸成分を用いることが好ましい。また、ジオール成分及びポリアルキレングリコール成分は、それぞれ、脂肪族ジオール成分及び脂肪族ポリアルキレングリコール成分を用いることが好ましい。
芳香族ポリエステル(b4)の市販品としては、例えば、東洋紡社製“ペルプレン”(登録商標)、東レ・デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)が挙げられる。
[可塑剤(C):成分(C)]
可塑剤(C)としては、例えば、カルダノール化合物、エステル化合物、樟脳、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。なお、本実施形態において、可塑剤(C)としてのエステル化合物は、後述の「その他の成分(E)」として例示する特定の一般式で表されるエステル化合物(e1)は除かれる。
可塑剤(C)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
可塑剤(C)としては、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、カルダノール化合物及びその他の成分(E)以外のエステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。以下に、可塑剤(C)として好適なカルダノール化合物及びエステル化合物を具体的に説明する。
−カルダノール化合物−
カルダノール化合物とは、カシューを原料とする天然由来の化合物に含まれる成分(例えば、下記の構造式(c−1)〜(c−4)で表される化合物)又は前記成分からの誘導体を指す。
カルダノール化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、カルダノール化合物として、カシューを原料とする天然由来の化合物の混合物(以下「カシュー由来混合物」ともいう。)を含んでもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、カルダノール化合物として、カシュー由来混合物からの誘導体を含んでもよい。カシュー由来混合物からの誘導体としては、例えば以下の混合物や単体等が挙げられる。
・カシュー由来混合物中の各成分の組成比を調整した混合物
・カシュー由来混合物中から特定の成分のみを単離した単体
・カシュー由来混合物中の成分を変性した変性体を含む混合物
・カシュー由来混合物中の成分を重合した重合体を含む混合物
・カシュー由来混合物中の成分を変性し且つ重合した変性重合体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに変性した変性体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに重合した重合体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに変性し且つ重合した変性重合体を含む混合物
・前記単離した単体をさらに変性した変性体
・前記単離した単体をさらに重合した重合体
・前記単離した単体をさらに変性し且つ重合した変性重合体
ここで単体には、2量体及び3量体等の多量体も含まれるものとする。
カルダノール化合物は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、一般式(CDN1)で表される化合物、及び、一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体からなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
一般式(CDN1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。Rは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P2は0以上4以下の整数を表す。P2が2以上である場合において複数存在するRは、同じ基であっても異なる基であってもよい。
一般式(CDN1)において、Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素数3以上30以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数5以上25以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上20以下のアルキル基であることが更に好ましい。
置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;エポキシ基、メトキシ基等のエーテル結合を含む置換基;アセチル基、プロピオニル基等のエステル結合を含む置換基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基の例としては、ペンタデカン−1−イル基、ヘプタン−1−イル基、オクタン−1−イル基、ノナン−1−イル基、デカン−1−イル基、ウンデカン−1−イル基、ドデカン−1−イル基、テトラデカン−1−イル基等が挙げられる。
一般式(CDN1)において、Rが表す二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基は、炭素数3以上30以下の不飽和脂肪族基であることが好ましく、炭素数5以上25以下の不飽和脂肪族基であることがより好ましく、炭素数8以上20以下の不飽和脂肪族基であることが更に好ましい。
不飽和脂肪族基が有する二重結合の数は、1以上3以下であることが好ましい。
置換基としては、前記アルキル基の置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基の例としては、ペンタデカ−8−エン−1−イル基、ペンタデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、ペンタデカ−7−エン−1−イル基、ペンタデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−7,10,14−トリエン−1−イル基等が挙げられる。
一般式(CDN1)において、Rとしては、ペンタデカ−8−エン−1−イル基、ペンタデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、ペンタデカ−7−エン−1−イル基、ペンタデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−7,10,14−トリエン−1−イル基が好ましい。
一般式(CDN1)において、Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基としては、前記Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基として列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN1)で表される化合物はさらに変性されていてもよい。例えば、エポキシ化されていてもよく、具体的には一般式(CDN1)で表される化合物が有するヒドロキシ基が下記の基(EP)に置き換えられた構造の化合物、つまり、下記の一般式(CDN1−e)で表される化合物であってもよい。
基(EP)及び一般式(CDN1−e)中、LEPは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(CDN1−e)中、R、R及びP2はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。
基(EP)及び一般式(CDN1−e)において、LEPが表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1以上4以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数1のアルキレン基)、−CHCHOCHCH−基等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
EPとしては、メチレン基が好ましい。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体とは、少なくとも2つ以上の一般式(CDN1)で表される化合物が、連結基を介して又は介さずに重合された重合体をいう。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体としては、例えば、下記の一般式(CDN2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(CDN2)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P21及びP23はそれぞれ独立に、0以上3以下の整数を表し、P22は0以上2以下の整数を表す。L及びLはそれぞれ独立に、2価の連結基を表す。nは、0以上10以下の整数を表す。P21が2以上である場合において複数存在するR21、P22が2以上である場合において複数存在するR22、及びP23が2以上である場合において複数存在するR23はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。nが2以上である場合において複数存在するR12、R22及びLはそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよく、nが2以上である場合において複数存在するP22は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
一般式(CDN2)において、R11、R12、R13、R21、R22及びR23が表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基としては、一般式(CDN1)のRとして列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN2)において、L及びLが表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
一般式(CDN2)において、nとしては、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
一般式(CDN2)で表される化合物はさらに変性されていてもよい。例えば、エポキシ化されていてもよく、具体的には一般式(CDN2)で表される化合物が有するヒドロキシ基が基(EP)に置き換えられた構造の化合物、つまり、下記の一般式(CDN2−e)で表される化合物であってもよい。
一般式(CDN2−e)中、R11、R12、R13、R21、R22、R23、P21、P22、P23、L、L及びnはそれぞれ、一般式(CDN2)におけるR11、R12、R13、R21、R22、R23、P21、P22、P23、L、L及びnと同義である。
一般式(CDN2−e)中、LEP1、LEP2及びLEP3はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。nが2以上である場合において複数存在するLEP2は、同じ基であっても異なる基であってもよい。
一般式(CDN2−e)において、LEP1、LEP2及びLEP3が表す2価の連結基としては、一般式(CDN1−e)におけるLEPが表す2価の連結基として列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体としては、例えば、少なくとも3つ以上の一般式(CDN1)で表される化合物が、連結基を介して又は介さずに三次元的に架橋重合された重合体であってもよい。一般式(CDN1)で表される化合物が三次元的に架橋重合された重合体としては、例えば以下の構造式で表される化合物が挙げられる。
上記構造式において、R10、R20及びP20はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。L10は、単結合又は2価の連結基を表す。複数存在するR10、R20及びL10はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。複数存在するP20は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
上記構造式において、L10が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
上記構造式で表される化合物はさらに変性されていてもよく、例えば、エポキシ化されていてもよい。具体的には、上記構造式で表される化合物が有するヒドロキシ基が基(EP)に置き換えられた構造の化合物であってもよく、例えば以下の構造式で表される化合物、つまり、一般式(CDN1−e)で表される化合物が三次元的に架橋重合された重合体が挙げられる。
上記構造式において、R10、R20及びP20はそれぞれ、一般式(CDN1−e)におけるR、R及びP2と同義である。L10は、単結合又は2価の連結基を表す。複数存在するR10、R20及びL10はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。複数存在するP20は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
上記構造式において、L10が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
カルダノール化合物は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、エポキシ基を有するカルダノール化合物を含むことが好ましく、エポキシ基を有するカルダノール化合物であることがより好ましい。
カルダノール化合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、Cardolite社製のNX−2024、Ultra LITE 2023、NX−2026、GX−2503、NC−510、LITE 2020、NX−9001、NX−9004、NX−9007、NX−9008、NX−9201、NX−9203、東北化工社製のLB−7000、LB−7250、CD−5L等が挙げられる。
エポキシ基を有するカルダノール化合物の市販品としては、例えば、Cardolite社製のNC−513、NC−514S、NC−547、LITE513E、Ultra LTE 513等が挙げられる。
カルダノール化合物の水酸基価は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、100mgKOH/g以上が好ましく、120mgKOH/g以上がより好ましく、150mgKOH/g以上が更に好ましい。カルダノール化合物の水酸基価の測定は、ISO14900のA法に従って行われる。
カルダノール化合物として、エポキシ基を有するカルダノール化合物を用いる場合、そのエポキシ当量は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、300以上500以下が好ましく、350以上480以下がより好ましく、400以上470以下が更に好ましい。エポキシ基を有するカルダノール化合物のエポキシ当量の測定は、ISO3001に従って行われる。
カルダノール化合物の分子量は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、250以上1000以下が好ましく、280以上900以下がより好ましく、300以上800以下が更に好ましい。
−エステル化合物−
本実施形態に係る樹脂組成物に可塑剤(C)として含まれるエステル化合物としては、後述の一般式(1)〜(5)で表される化合物以外のエステル化合物であれば特に制限されない。
可塑剤(C)として含まれるエステル化合物としては、例えば、ジカルボン酸ジエステル、クエン酸エステル、ポリエーテルエステル化合物、安息香酸グリコールエステル、下記の一般式(6)で表される化合物、エポキシ化脂肪酸エステル等が挙げられる。これらエステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエステル等が挙げられる。
一般式(6)中、R61は炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表し、R62は炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基を表す。
61が表す基の具体的な形態及び好ましい形態としては、一般式(1)におけるR11が表す基と同様の形態が例示される。
62が表す基は、飽和の脂肪族炭化水素基でもよく、不飽和の脂肪族炭化水素基でもよく、飽和の脂肪族炭化水素基が好ましい。R62が表す基は、直鎖状の脂肪族炭化水素基でもよく、分岐状の脂肪族炭化水素基でもよく、脂環を含む脂肪族炭化水素基でもよく、分岐状の脂肪族炭化水素基が好ましい。R62が表す基は、脂肪族炭化水素基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換であることが好ましい。R62が表す基は、炭素数2以上であることが好ましく、炭素数3以上であることがより好ましく、炭素数4以上であることが更に好ましい。
可塑剤(C)として含まれるエステル化合物は、具体的には、アジピン酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、フタル酸エステル、酢酸エステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、グリコールエステル(例えば、安息香酸グリコールエステル)、脂肪酸エステルの変性体(例えば、エポキシ化脂肪酸エステル)等が挙げられる。上記エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエステル等が挙げられる。中でも、ジカルボン酸ジエステル(アジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、フタル酸ジエステル等)が好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物に可塑剤(C)として含まれるエステル化合物は、分子量(又は重量平均分子量)が、200以上2000以下であることが好ましく、250以上1500以下であることがより好ましく、280以上1000以下であることが更に好ましい。エステル化合物の重量平均分子量は、特に断りのない限り、セルロースアシレート(A)の重量平均分子量の測定方法に準拠して測定される値である。
可塑剤(C)としては、アジピン酸エステルが好ましい。アジピン酸エステルは、セルロースアシレート(A)との親和性が高く、セルロースアシレート(A)に対して均一に近い状態で分散することで、他の可塑剤(C)に比べて熱流動性をより向上させる。
アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステルが挙げられる。具体的には、下記の一般式(AE)で表されるアジピン酸ジエステル、及び下記の一般式(APE)で表されるアジピン酸ポリエステルが挙げられる。
一般式(AE)中、RAE1及びRAE2はそれぞれ独立に、アルキル基又はポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1](ただし、RA1はアルキル基を表し、xは1以上10以下の整数を表し、yは1以上10以下の整数を表す。)を表す。
一般式(APE)中、RAE1及びRAE2はそれぞれ独立に、アルキル基又はポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1](ただし、RA1はアルキル基を表し、xは1以上10以下の整数を表し、yは1以上10以下の整数を表す。)を表し、RAE3は、アルキレン基を表す。m1は、1以上10以下の整数を表し、m2は、1以上20以下の整数を表す。
一般式(AE)及び(APE)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以上10以下のアルキル基がより好ましく、炭素数8のアルキル基が更に好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(AE)及び(APE)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1]において、RA1が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(APE)中、RAE3が表すアルキレン基としては、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(APE)中、m1は、1以上5以下の整数が好ましく、m2は、1以上10以下の整数が好ましい。
一般式(AE)及び(APE)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
アジピン酸エステルの分子量(又は重量平均分子量)は、250以上2000以下であることが好ましく、280以上1500以下であることがより好ましく、300以上1000以下であることが更に好ましい。アジピン酸エステルの重量平均分子量は、セルロースアシレート(A)の重量平均分子量の測定方法に準拠して測定される値である。
アジピン酸エステルとしては、アジピン酸エステルとそれ以外の成分との混合物を用いてもよい。当該混合物の市販品として、大八化学工業製のDaifatty101等が挙げられる。
クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、フタル酸エステル、酢酸エステル等の脂肪酸エステルにおける末端の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以上10以下のアルキル基がより好ましく、炭素数8のアルキル基が更に好ましい。当該アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、フタル酸エステル、酢酸エステル等の脂肪酸エステルとしては、脂肪酸とアルコールとのエステルが挙げられる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール等の一価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン等)、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、糖アルコール等の多価アルコール;などが挙げられる。
安息香酸グリコールエステルにおけるグリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
エポキシ化脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸エステルの炭素−炭素不飽和結合がエポキシ化された構造(つまり、オキサシクロプロパン)を有するエステル化合物である。エポキシ化脂肪酸エステルとしては、例えば、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等)における炭素−炭素不飽和結合の一部又は全部がエポキシ化された脂肪酸とアルコールとのエステルが挙げられる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール等の一価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン等)、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、糖アルコール等の多価アルコール;などが挙げられる。
エポキシ化脂肪酸エステルの市販品として、アデカサイザーD−32、D−55、O−130P、O−180A(ADEKA製)、サンソサイザーE−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H(新日本理化製)が挙げられる。
ポリエーテルエステル化合物は、ポリエステル単位及びポリエーテル単位のそれぞれが芳香族及び脂肪族(脂環族を含む)のいずれであってもよい。ポリエステル単位とポリエーテル単位の質量比は、例えば、20:80乃至80:20以下である。ポリエーテルエステル化合物の分子量(又は重量平均分子量)は、250以上2000以下であることが好ましく、280以上1500以下であることがより好ましく、300以上1000以下であることが更に好ましい。ポリエーテルエステル化合物の市販品として、アデカサイザーRS−1000(ADEKA)が挙げられる。
分子内に不飽和結合を1つ以上有するポリエーテル化合物は、末端にアリル基を有するポリエーテル化合物が例示され、ポリアルキレングリコールアリルエーテルが好ましい。分子内に不飽和結合を1つ以上有するポリエーテル化合物の分子量(又は重量平均分子量)は、250以上2000以下であることが好ましく、280以上1500以下であることがより好ましく、300以上1000以下であることが更に好ましい。分子内に不飽和結合を1つ以上有するポリエーテル化合物の市販品として、ユニオックスPKA−5006、ユニオックスPKA−5008、ユニオールPKA−5014、ユニオールPKA−5017(日油)等のポリアルキレングリコールアリルエーテルが挙げられる。
[脂肪族ポリエステル(D):成分(D)]
脂肪族ポリエステル(D)は、例えば、ヒドロキシアルカノエート(ヒドロキシアルカン酸)の重合体、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体、環状ラクタムの開環重縮合体等である。
脂肪族ポリエステル樹脂(D)としては、ポリヒドロキシアルカノエート(ヒドロキシアルカノエートの重合体)、脂肪族ジオールと脂肪族カルボン酸との重縮合体等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、脂肪族ポリエステル樹脂(D)としては、ポリヒドロキシアルカノエートが好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂(D)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
ポリヒドロキシアルカノエートとしては、例えば、一般式(PHA)で表される構造単位を有する化合物が挙げられる。
なお、一般式(PHA)で表される構造単位を有する化合物おいて、高分子鎖の末端(主鎖の末端)は、両端ともがカルボキシル基であってもよいし、片末端のみがカルボキシル基でもう一方の末端が他の基(例えば水酸基)であってもよい。
一般式(PHA)中、RPHA1は、炭素数1以上10以下のアルキレン基を表す。nは、2以上の整数を表す。
一般式(PHA)中、RPHA1が表すアルキレン基としては、炭素数3以上6以下のアルキレン基が好ましい。RPHA1が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよいが、分岐状が好ましい。
ここで、一般式(PHA)中、RPHA1がアルキレン基を表すとは、1)RPHA1が同じアルキレン基を表す[O−RPHA1−C(=O)−]構造を有すること、2)RPHA1が異なるアルキレン基(RPHA1が炭素数又は分岐が異なるアルキレン基)を表す複数の[O−RPHA1−C(=O)−]構造(即ち、[O−RPHA1A−C(=O)−][O−RPHA1B−C(=O)−]構造)を有することを示している。
つまり、ポリヒドロキシアルカノエートは、1種のヒドロキシアルカノエート(ヒドロキシアルカン酸)の単独重合体であってもよいし、2種以上のヒドロキシアルカノエート(ヒドロキシアルカン酸)の共重合体であってもよい。
一般式(PHA)中、nの上限は特に限定されないが、例えば、20000以下が挙げられる。nの範囲は、500以上10000以下が好ましく、1000以上8000以下がより好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートとしては、ヒドロキシアルカン酸(乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシイソヘキサン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシ−n−オクタン酸等)の単独重合体、又はこれら2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体が挙げられる。
これらの中でも、ポリヒドロキシアルカノエートは、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、炭素数2以上4以下の分岐状のヒドロキシアルカン酸の単独重合体、炭素数2以上4以下の分岐状のヒドロキシアルカン酸と炭素数5以上7以上の分岐状のヒドロキシアルカン酸との単独共重合体が好ましく、炭素数3の分岐状のヒドロキシアルカン酸の単独重合体(つまりポリ乳酸)、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸との単独共重合体(つまりポリヒドロキシブチレートヘキサノエート)がより好ましく、炭素数3の分岐状のヒドロキシアルカン酸の単独重合体(つまりポリ乳酸)がさらに好ましい。
なお、ヒドロキシアルカン酸の炭素数はカルボキシル基の炭素も含む数である。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合した高分子化合物である。
ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
前記「L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;等が挙げられる。
ポリ乳酸は、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法;などによって製造できることが知られている。
ポリヒドロキシブチレートヘキサノエートにおいて、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、3−ヒドロキシ酪酸(3−ヒドロキシブチレート)と3−ヒドロキシヘキサン酸(3−ヒドロキシヘキサノエート)との共重合体に対する3−ヒドロキシヘキサン酸(3−ヒドロキシヘキサノエート)の共重合比は、3モル%以上20モル%以下が好ましく、4モル%以上15モル%以下がより好ましく、5モル%以上12モル%以下がさらに好ましい。
なお、3−ヒドロキシヘキサン酸(3−ヒドロキシヘキサノエート)の共重合比の測定方法は、H−NMRを用い、ヘキサノエート末端とブチレート末端由来のピークの積分値からヘキサノエート比率を算出する。
脂肪族ポリエステル樹脂(D)の重量平均分子量(Mw)は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、10,000以上1,000,000以下(好ましくは50,000以上800,000以下、より好ましくは100,000以上600,000以下)であることがよい。
脂肪族ポリエステル樹脂(D)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HLC−8320GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量(Mw)は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
[樹脂組成物の熱変形温度]
本実施形態に係る樹脂組成物を成形した樹脂成形体は、条件(1)ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃以下、及び条件(2)ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃以下の少なくとも一方を満足する。樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、条件(1)における熱変形温度が90℃以下、及び条件(2)の熱変形温度が85℃以下である条件の少なくとも一方を満たすことが好ましい。さらに、条件(1)における熱変形温度が85℃以下、及び条件(2)の熱変形温度が75℃以下である条件の少なくとも一方を満たすことが好ましい。
[成分(A)〜成分(D)の含有量又は含有量比]
本実施形態に係る樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含み、必要に応じて、成分(D)を含む。本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、各成分の含有量又は含有量比(すべて質量基準である。)が下記の範囲であることが好ましい。
各成分の略称は次の通りである。
成分(A)=セルロースアシレート(A)
成分(B)=重合体(B)
成分(C)=可塑剤(C)
成分(D)=脂肪族ポリエステル(D)
本実施形態に係る樹脂組成物における成分(A)の含有量は、樹脂組成物の全質量に対し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における成分(B)の含有量は、樹脂組成物の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における成分(C)の含有量は、樹脂組成物の全質量に対し、1質量%以上25質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における成分(D)の含有量は、樹脂組成物の全質量に対し、0質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
成分(A)と成分(B)との含有量比は、0.025≦(B)/(A)≦0.3であることが好ましく、0.05≦(B)/(A)≦0.2であることがより好ましく、0.07≦(B)/(A)≦0.15であることが更に好ましい。
成分(A)と成分(C)との含有量比は、0.02≦(C)/(A)≦0.3であることが好ましく、0.03≦(C)/(A)≦0.2あることがより好ましく、0.05≦(C)/(A)≦0.1であることが更に好ましい。
成分(A)と成分(D)との含有量比は、0.025≦(D)/(A)≦0.3であることが好ましく、0.05≦(D)/(A)≦0.2であることがより好ましく、0.05≦(D)/(A)≦0.15であることが更に好ましい。
[その他の成分(E)]
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他の成分(E)(成分(E))を含んでもよい。その他の成分(E)を含む場合、その他の成分(E)全体の合計含有量としては、樹脂組成物全量に対して15質量%以下であることがよい。10質量%以下であることが好ましい。
その他の成分(E)としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化抑制剤、安定化剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)、酢酸放出を防ぐための受酸剤(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;など)、反応性トラップ剤(例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミド等)などが挙げられる。 その他の成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)以外に、その他の成分(E)として、他の樹脂を含有していてもよい。ただし、他の樹脂を含む場合、樹脂組成物の全量に対する他の樹脂の含有量は、5質量%以下がよく、1質量%未満であることが好ましい。他の樹脂は、含有しないこと(つまり0質量%)がより好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;アクリル系重合体を含む熱可塑性エラストマー;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、その他の成分としては、前述の可塑剤としてのエステル化合物を除くエステル化合物(e1)も挙げられる。
可塑剤(C)としてのエステル化合物以外のエステル化合物(e1)は、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
一般式(1)中、R11は、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。一般式(1)中、R12は炭素数9以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(2)中、R21及びR22はそれぞれ独立に、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(3)中、R31及びR32はそれぞれ独立に、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(4)中、R41、R42及びR43はそれぞれ独立に、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(5)中、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。
11は、炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。R11が表す基は、当該基が樹脂(特にセルロースアシレート(A)、以下同様)の分子鎖に対して滑剤として作用しやすい観点から、炭素数9以上の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数15以上の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。R11が表す基は、当該基が樹脂(特にセルロースアシレート(A)、以下同様)の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、炭素数24以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数20以下の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数18以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。R11が表す基は、炭素数17の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
11が表す基は、飽和の脂肪族炭化水素基でもよく、不飽和の脂肪族炭化水素基でもよい。R11が表す基は、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
11が表す基は、直鎖状の脂肪族炭化水素基でもよく、分岐状の脂肪族炭化水素基でもよく、脂環を含む脂肪族炭化水素基でもよい。R11が表す基は、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、脂環を含まない脂肪族炭化水素基(つまり、鎖状の脂肪族炭化水素基)であることが好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
11が表す基が不飽和の脂肪族炭化水素基である場合、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、当該基中の不飽和結合の個数は1以上3以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
11が表す基が不飽和の脂肪族炭化水素基である場合、当該基がセルロースアシレート(A)の分子鎖間へ入り込みやすく且つセルロースアシレート(A)の分子鎖に対して滑剤として作用しやすい観点から、当該基中に炭素数5以上24以下の直鎖状の飽和炭化水素鎖があることが好ましく、炭素数7以上22以下の直鎖状の飽和炭化水素鎖があることがより好ましく、炭素数9以上20以下の直鎖状の飽和炭化水素鎖があることが更に好ましく、炭素数15以上18以下の直鎖状の飽和炭化水素鎖があることが特に好ましい。
11が表す基が分岐状の脂肪族炭化水素基である場合、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、当該基中の分岐鎖の個数は1以上3以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
11が表す基が分岐状の脂肪族炭化水素基である場合、当該基がセルロースアシレート(A)の分子鎖間へ入り込みやすく且つセルロースアシレート(A)の分子鎖に対して滑剤として作用しやすい観点から、当該基中の主鎖は炭素数5以上24以下の直鎖状の飽和炭化水素鎖であることが好ましく、炭素数7以上22以下であることがより好ましく、炭素数9以上20以下であることが更に好ましく、炭素数15以上18以下であることが特に好ましい。
11が表す基が脂環を含む脂肪族炭化水素基である場合、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、当該基中の脂環の個数は1又は2が好ましく、1がより好ましい。
11が表す基が脂環を含む脂肪族炭化水素基である場合、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、当該基中の脂環としては、炭素数3又は4の脂環が好ましく、炭素数3の脂環がより好ましい。
11が表す基は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基、直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基、分岐状の飽和脂肪族炭化水素基、又は分岐状の不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基が特に好ましい。これら脂肪族炭化水素基における好ましい炭素数は、先述のとおりである。
11が表す基は、脂肪族炭化水素基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換であることが好ましい。
12は、炭素数9以上28以下の脂肪族炭化水素基を表す。R12が表す基としては、R11について述べた基と同様の形態が挙げられる。ただし、R12が表す基の炭素数は、以下が好ましい。
12が表す基は、当該基がセルロースアシレート(A)の分子鎖に対して滑剤として作用しやすい観点から、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数11以上の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数16以上の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。R12が表す基は、当該基が樹脂の分子鎖間へ入り込みやすい観点から、炭素数24以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数20以下の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数18以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。R12が表す基は、炭素数18の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
12が表す基は、樹脂成形体の軋み音の発生が抑制される観点から、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基、直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基、分岐状の飽和脂肪族炭化水素基、又は分岐状の不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基が特に好ましい。これら脂肪族炭化水素基における好ましい炭素数は、先述のとおりである。
21、R22、R31、R32、R41、R42、R43、R51、R52、R53及びR54が表す基の具体的な形態及び好ましい形態は、R11について述べた形態と同様である。
以下に、R11、R21、R22、R31、R32、R41、R42、R43、R51、R52、R53及びR54が表す炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基の具体例、並びにR12が表す炭素数9以上28以下の脂肪族炭化水素基の具体例を示すが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。
可塑剤(D)としてのエステル化合物以外のエステル化合物(e1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、その他の成分(E)として、酸化抑制剤又は安定化剤を含むことも好ましい。酸化抑制剤又は安定化剤としては、ヒンダードフェノール化合物、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物、ホスファイト化合物及びヒドロキシルアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(e2)を含むことが好ましい。
化合物(e2)の具体例としては、例えば、BASF社製「Irganox 1010」、「Irganox 245」、「Irganox 1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−330」、住友化学社製「Sumilizer GA−80」、住友化学社製「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」等のヒンダードフェノール化合物;BASF社製「Irgafos 38」(ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)−エチル−ホスファイト)BASF社製「Irgafos 168」、BASF社製「Irgafos TNPP」、BASF社製「Irgafos P−EPQ」等のホスファイト化合物;BASF社製「Irgastab FS−042」等のヒドロキシルアミン化合物が挙げられる。
さらに、化合物(e2)におけるトコフェロール化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
化合物(e2)におけるトコトリエノール化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法として、例えば、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)と、必要に応じた成分(D)と、その他の成分(E)とを混合し溶融混練する方法;成分(A)、成分(B)、及び成分(C)と、必要に応じた成分(D)と、その他の成分(E)を溶剤に溶解する方法;などが挙げられる。溶融混練の手段としては、特に制限されず、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い観点から、射出成形が好ましい。したがって、本実施形態に係る樹脂成形体は、形状の自由度が高い観点から、射出成形によって得られた射出成形体であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体を射出成形する際のシリンダ温度は、例えば160℃以上280℃以下であり、好ましくは180℃以上240℃以下である。本実施形態に係る樹脂成形体を射出成形する際の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、40℃以上60℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体の射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX7000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体を得るための成形方法は、前述の射出成形に限定されず、例えば、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、玩具、容器などの用途に好適に用いられる。本実施形態に係る樹脂成形体の具体的な用途として、電子・電気機器又は家電製品の筐体;電子・電気機器又は家電製品の各種部品;自動車の内装部品;ブロック組み立て玩具;プラスチックモデルキット;CD−ROM又はDVDの収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本実施系形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
<各材料の準備>
次の材料を準備した。
[セルロースアシレート(A)]
・CA1:イーストマンケミカル「CAP482−20」、セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度716、アセチル基置換度0.18、プロピオニル基置換度2.49。
・CA3:イーストマンケミカル「CAP504−0.2」、セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度133、アセチル基置換度0.04、プロピオニル基置換度2.09。
・CA4:イーストマンケミカル「CAB171−15」、セルロースアセテートブチレート、重量平均重合度754、アセチル基置換度2.07、ブチリル基置換度0.73。
・CA7:ダイセル「L50」、ジアセチルセルロース、重量平均重合度570。
・RC1:イーストマンケミカル「Tenite propionate 360A4000012」、セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度716、アセチル基置換度0.18、プロピオニル基置換度2.49。当該製品には、アジピン酸ジオクチル(成分(C)に該当)が含まれており、セルロースアセテートプロピオネートが88質量%、アジピン酸ジオクチルが12質量%であった。
・RC2:イーストマンケミカル「Treva GC6021」、セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度、アセチル基置換度、プロピオニル基置換度。当該製品には、(成分(E)としての熱可塑性エラストマーに該当)が3質量%以上10質量%以下含まれている。
CA1は、下記の(2)、(3)及び(4)を満足していた。CA2は、下記の(4)を満足していた。
(2)テトラヒドロフランを溶媒としたGPC法で測定したとき、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が16万以上25万以下であり、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)とポリスチレン換算のZ平均分子量(Mz)との比Mn/Mzが0.14以上0.21以下であり、且つポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算のZ平均分子量(Mz)との比Mw/Mzが0.3以上0.7以下である。
(3)ISO11443:1995に準じて230℃の条件にてキャピログラフで測定したとき、せん断速度1216(/sec)における粘度η1(Pa・s)とせん断速度121.6(/sec)における粘度η2(Pa・s)との比η1/η2が0.1以上0.3以下である。
(4)CAPを射出成形して得た小形角板試験片(JIS K7139:2009が規格するD11試験片、60mm×60mm、厚さ1mm)を温度65℃且つ相対湿度85%の雰囲気に48時間放置したとき、MD方向の膨張率とTD方向の膨張率がいずれも0.4%以上0.6%以下である。
[重合体(B)]
・EL6:Galata Chemicals(Artek)「Blendex 338」、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)コアシェル構造の重合体(b1)。
・EL7:Kraton Corporation「Kraton FG1924G」、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(b2)、
・EL8:Lubrizol「Estane ALR 72A」、ポリウレタン(b3)。
・EL9:東レ・デュポン「Hytrel 3078」、ポリエステル共重合体芳香族ポリエステル(b4)。
[可塑剤(C)]
・PL1:Cardolite「NX−2026」、カルダノール、分子量298〜305。
・PL4:Cardolite「Ultra LITE 513」、カルダノールのグリシジルエーテル、分子量354〜361。
・PL6:大八化学工業「Daifatty 101」、アジピン酸エステル含有化合物、分子量326〜378。
・PL7:三菱ケミカル「DOA」、アジピン酸ジオクチル、分子量371。
・PL13:日油「PEG#600」、ポリエチレングリコール、分子量約600。
[脂肪族ポリエステル(D)]
・PE1:ネイチャーワークス「Ingeo 3001D」、ポリ乳酸。
[その他の成分(E)]
・EL3:ダウ・ケミカル日本「パラロイド EXL2315」、コアシェル構造の重合体、コア層;アクリル酸ブチルゴム/シェル:メタクリル酸メチル重合体;平均一次粒径=300nm
・LU1:富士フイルム和光純薬「ステアリン酸ステアリル」、ステアリン酸ステアリル。一般式(1)で表される化合物、R11の炭素数17、R12の炭素数18。
・PM1:旭化成「デルペット720V」、ポリメタクリル酸メチル。
・ST1:BASF「Irganox B225」、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトールとトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトとの混合物。
<樹脂組成物の製造、樹脂成形体の射出成形>
[実施例1〜19、比較例1〜7]
表1、2に示す仕込み量及び混練温度で、2軸混練装置(labtech engineering社製、LTE20−44)にて混練を実施し、ペレット(樹脂組成物)を得た。このペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX500I)にて、射出ピーク圧力が180MPaを超えず、かつ表2に示す成形温度及び金型温度で、ISO多目的試験片(ISO3167(2014)タイプAに準拠、ダンベル形、測定部寸法:幅10mm、厚さ4mm)を成形した。
また、ASTM試験片(短冊状試験片;長さ×幅×厚さ=127mm×12.7mm×6.4mm)を成形した。
さらに、以下の試験片を成形した。
中空円筒状試験片: 外径 φ25.6 mm、内径 φ20mm、長さ 15mm
<樹脂成形体の性能評価>
−ISO熱変形温度(荷重たわみ温度)−
得られたISO多目的試験片を用いて、ISO75−2 A法(2013)に準ずる方法で、HDT測定装置(HDT 3A−2、東洋精機製作所社製)により、荷重1.8MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
−ASTM熱変形温度(荷重たわみ温度)−
得られたASTM試験片を用いて、ASTM D648−07 B法に準ずる方法で、HDT測定装置(HDT 3A−2、東洋精機製作所社製)により、荷重0.455MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
−軋み音の評価−
同じ材料で成形した中空円筒試験片同士(接触面積2.0cm)について、プラスチック滑り摩耗試験機(安田精機製作所)を用い温度23℃、湿度50%RH環境下で回転摺動させた。速度を10mm/sec一定とし、面圧を1分毎に0.1MPaずつ昇圧していく間のきしみ音の発生状況を評価した。きしみ音の発生の有無は、官能試験にて判断し、きしみ音が発生したと判断した時の荷重を鳴き音発生荷重とした。
・評価基準
A:軋み音なし(2.5MPa超3.0MPa以下)
B:軋み音が非常に小さい(1.8MPa超2.5MPa以下)
C:軋み音がやや大きい(1.0MPa超1.8MPa以下)
D:軋み音が非常に大きい(1.0以下)

Claims (10)

  1. セルロースアシレート(A)と、
    ブタジエン重合体を含むコア層と、前記コア層の表面上に、スチレン重合体及びアクリロニトリル・スチレン重合体から選ばれる重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体(b1)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(b2)、ポリウレタン(b3)、並びに芳香族ポリエステル(b4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(B)と、
    可塑剤(C)と、
    を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を成形した樹脂成形体が下記条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす樹脂組成物。
    (1)ASTM D648−07 B法に準拠して測定した熱変形温度が95℃以下である
    (2)ISO75−2 A法(2013)に準拠して測定した熱変形温度が80℃以下である
  2. 前記条件(1)における熱変形温度が90℃以下、及び前記条件(2)の熱変形温度が75℃以下である条件の少なくとも一方を満たす請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロースアシレートがセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記セルロースアシレートがセルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. さらに、脂肪族ポリエステル(D)を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記脂肪族ポリエステル(D)が、ポリヒドロキシアルカノエートである請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記脂肪族ポリエステル(D)が、ポリ乳酸である請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記可塑剤(C)が、カルダノール化合物、ジカルボン酸ジエステル、クエン酸エステル、分子内に不飽和結合を1つ以上有するポリエーテル化合物、ポリエーテルエステル化合物、安息香酸グリコールエステル、下記の一般式(6)で表される化合物及びエポキシ化脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

    一般式(6)中、R61は炭素数7以上28以下の脂肪族炭化水素基を表し、R62は炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基を表す。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
  10. 射出成形体である、請求項9に記載の樹脂成形体。
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