JP2014084343A - セルロースエステル組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)セルロースエステル100質量部に対して、(B)可塑剤2〜100質量部、(C)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むコアシェル構造の熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有するセルロースエステル組成物。
【選択図】なし
Description
特許文献1は、脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物に関する発明であり、公知の可塑剤を配合できることが記載されている(段落番号0023)。
特許文献2は、平均置換度2.7以下のセルロースエステル、可塑剤及び充填剤で構成された樹脂組成物に関する発明である。可塑剤としては、リン酸エステル等を使用できることが記載されている(段落番号0020)。実施例(表1)では、充填剤としてタルク、ワラストナイトまたはガラス繊維を配合した例が示されている。
(A)セルロースエステル100質量部に対して、
(B)可塑剤2〜100質量部、
(C)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有するセルロースエステル組成物を提供する。
本発明の組成物で用いる(A)成分のセルロースエステルは公知のものであり(例えば、特許文献1、2に記載されているもの)、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
その他、ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテート、アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロース等も挙げることができる。
(A)成分のセルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度が100〜1000、好ましくは100〜500である。
本発明の組成物で用いる(B)成分の可塑剤は公知のものである。(B)成分の可塑剤としては、例えば、下記の可塑剤から選ばれる1種を使用することができ、2種以上組み合わせて使用することもできる。
芳香族カルボン酸エステル[フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸ジC1-12アルキルエステル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸C1-6アル
コキシC1-12アルキルエステル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸C1-12アルキル・アリール−C1-3アルキルエステル、エチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレートなどのC1-6アルキルフタリルC2-4アルキレングリコレート、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシルなどのトリメリット酸トリC1-12アルキルエステル、ピロメリット酸テトラオクチルなどのピロメリット酸テトラC1-12アルキルエステルなど]、
脂肪酸エステル[アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ブトキシエトキシエチル・ベンジル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルなどのアジピン酸エステル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジオクチルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのセバシン酸エステル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチルなど]、
多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)の低級脂肪酸エステル[ジグリセリンテトラアセテートなど]、
グリコールエステル(ジプロピレングリコールジベンゾエートなど)、
クエン酸エステル[クエン酸アセチルトリブチルなど]、
アミド類[N−ブチルベンゼンスルホンアミドなど]、
エステルオリゴマー(カプロラクトンオリゴマーなど)、
その他、難燃剤としても使用されるトリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、などを挙げることができる。
(C)成分の熱可塑性エラストマーは、コアを構成するゴム状重合体に対して、シェルを構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマーがグラフト重合されたコアシェル構造のグラフト共重合体が好ましい。
ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム;
ポリオルガノシロキサンゴム等のシリコーン系ゴム;
ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−αオレフィン系ゴム(エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム等)、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。これらは1種または2種以上を使用することができる。これらの中では、ブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム(アクリルゴム)が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが好ましい。
(C)成分としては市販品を使用することができ、例えば、ローム・アンド・ハース社製の「パラロイド(登録商標)EXL−2602」(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)、同EXL−2603(ポリブタジエン/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)、同EXL−2633(ポリブタジエン/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)などを挙げることができる。
(B)成分と(C)成分の含有量の割合(質量比)は、(B)/(C)=30/70〜80/20が好ましく、40/60〜70/30がより好ましい。
公知の熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等のポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂等を挙げることができる。
公知の熱可塑性樹脂の含有割合は、(A)成分のセルロースエステルとの合計量中、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
充填剤としては、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(粉粒状又は板状充填剤など)が含まれ、例えば、特許文献2(特開2005−194302号公報)の段落番号0025〜0032に記載のものを挙げることができる。
充填剤の含有割合は、(A)成分のセルロースエステル100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、より好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。
難燃剤は公知のものや市販品を使用することができ、特開2003−261711号公報において一般式(I)で示されるナフチルホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、例えば大八化学工業(株)製の商品名「PX−200」、「CR−741」、「CR−733S」、「TCP」などを使用することができる。
またその他の難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、ジクレジル−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどのモノマータイプの有機リン系難燃剤、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシンビス[(ビス−2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]、ハイドロキノンビス[(ビス−2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]、4,4’−ビフェノールビス[(ビス−2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]などのオリゴマータイプの有機リン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン酸メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、熱硬化性樹脂被覆赤リン、オレフィン被覆赤リン、酸化チタン被覆赤りんおよびチタンアルミニウム縮合物被覆赤リンなどの安定化赤リン粉末などの赤リン粉末、シリコーン樹脂、シリコーングリース、シリコーンゴムおよびシリコーン油などのシリコーン系難燃剤などを使用することができる。
なお、トリフェニルホスフェートは難燃剤としても使用することができるが、上記したとおり、可塑剤としても使用することができるため、可塑剤としてトリフェニルホスフェートを使用したときは、難燃効果も付与することができる。
さらに、前記混合機で予備混合した後、一軸又は二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製する方法、加熱ロールやバンバリーミキサー等の混練機で溶融混練して調製する方法を適用することができる。
(株)東洋精機製作所製のバッチ式混練装置”ラボプラストミル“に表1に示す(A)成分のセルロースアセテートと、表1に示す(B)成分の可塑剤、(C)成分の熱可塑性エラストマー、比較成分(PMMA、ABS)を投入し、設定温度210℃、ブレードの回転数100r/m、混練時間5分の条件で混練して各組成物を得た。
プレス成形機を使用して(設定温度210℃)、各組成物から厚さ3.2mmの板状サンプルを作製した。その板状サンプルからUL−94規定の試験片を切り出して、可塑剤のブリードアウトと耐熱性試験用サンプルとした。
その他の試験項目は、各組成物を使用して、以下に示す方法で各評価試験を実施した。評価結果を表1に示す。
ヘンシェルミキサーを用いて、ミキサー内の摩擦熱で70℃以上となるように各組成物を攪拌混合した後、二軸押出機(シリンダー温度:200℃、ダイス温度:220℃)に供給し、押し出してペレット化した。
得られたペレットを、射出成形機に供給して、シリンダー温度200℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒(射出15秒、冷却時間15秒)の条件で試験片を射出成形して、各評価試験に使用した。
(A)成分
セルロースアセテート:(株)ダイセル製、商品名「L50」、置換度2.5、粘度平均重合度180
(B)成分
Daifatty101:アジピン酸エステル系の可塑剤,大八化学工業(株)製
トリアセチン:ジグリセリンテトラアセテート,商品名「DRA150」,(株)ダイセル製
TPP:トリフェニルホスフェート,大八化学工業(株)製
(C)成分
MB:ローム・アンド・ハース社製の「パラロイド(登録商標)EXL−2602」(ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体からなるコア/シェル型グラフト共重合体)
比較成分
PMMA:住友化学(株)製のスミペックスLG2
ABS:ブタジエン40質量%、AN/St=30質量%/70質量%
(引張強さ・引張呼び歪み)
ISO527に準拠して、試験片の引張強さおよび引張呼び歪みを測定した(引張強さ単位:MPa、引張呼び歪み単位:%)。
ISO178に準拠して測定した(単位:MPa)。
ISO179/1eAに準じてシャルピー衝撃強さ(kJ/m2)を測定した(単位:KJ/m2)。
220℃、荷重10kgで測定した。
試験サンプルを65℃、85%RHの雰囲気中に500時間放置したときの可塑剤のブリードアウトの有無を肉眼で観察した。
ブリードアウトがなかったものを○、ブリードアウトがあったものを×、ブリードアウトがあったが、×よりも少なかったものを△とした。
試験サンプル(厚さ3mm)を65℃、85%RHの雰囲気中に500時間放置したときの変形の有無を肉眼で確認した。
変形しなかったものを○、変形したものを×とした。
曲げ強さ試験後の試験サンプルにおいて、層状に剥離しなかったものを無し、層状に剥離したものを有りとした。
Claims (6)
- (A)セルロースエステル100質量部に対して、
(B)可塑剤2〜100質量部、
(C)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むコアシェル構造の熱可塑性エラストマー1〜50質量部を含有するセルロースエステル組成物。 - (C)成分の熱可塑性エラストマーが、ゴム状重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマーがグラフト重合されたコアシェル構造のグラフト共重合体である、請求項1記載のセルロースエステル組成物。
- (C)成分の熱可塑性エラストマーが、ブタジエンゴム及びポリアルキルアクリレートゴムから選ばれるゴム状重合体にメタクリル酸メチルを含むモノマーがグラフト重合されたコアシェル構造のグラフト共重合体である、請求項1記載のセルロースエステル組成物。
- (A)成分のセルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選ばれるものである請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースエステル組成物。
- (A)成分のセルロースエステルが、置換度2.7以下のセルロースアセテートである、請求項1〜4のいずれか1項記載のセルロースエステル組成物。
- さらに充填剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載のセルロースエステル組成物。
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