JP6185407B2 - セルロースエステル組成物 - Google Patents
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特許文献2は、平均置換度2.7以下のセルロースエステル、可塑剤及び充填剤で構成された樹脂組成物に関する発明である。
しかし、樹脂組成物の生成後あるいは成形後、経時によって樹脂中の可塑剤等がブリードアウトやブルーミングすることが問題となっている。
(A)セルロースエステル100質量部に対して、
(B)リン酸エステルを含む難燃剤5〜30質量部、
(C)可塑剤(リン酸エステルを除く)3〜40質量部、
(D)重量平均分子量が5,000〜30,000であるメチルメタクリレート単位を含む重合体(エラストマーは含まない)1〜10質量部、
(E)ジペンタエリスリトール0.5〜10質量部、
を含有するセルロースエステル組成物を提供する。
本発明の組成物で用いる(A)成分のセルロースエステルは公知のものであり(例えば、特許文献1、2に記載されているもの)、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
その他、ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテート、アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロース等も挙げることができる。
(A)成分のセルロースエステルは、平均置換度が2.7以下のセルロースアセテートが好ましい。
本発明の組成物で用いる(B)成分のリン酸エステルを含む難燃剤は、公知のものを使用することができる。
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(o−又はp−フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェニルジクレジルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラフェニル−m−フェニレンジホスフェート、テトラフェニル−p−フェニレンジホスフェート、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ポリフェニルホスフェート、ジピロカテコールハイポジホスフェートなどを挙げることができる。
その他として、脂肪族−芳香族リン酸エステルとして、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニルネオペンチルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、エチルピロカテコールホスフェート等の正リン酸エステル及びこれらの縮合物などを挙げることができる。
一般式(I)で表される芳香族リン酸エステルとしては、ヒドロキシル基で置換された芳香族基を有するものが好ましく、このような芳香族リン酸エステルとしては、トリクレジルホスフェートやトリフェニルホスフェートに1または2個以上のヒドロキシル基を有するものを挙げることができ、例えば、レゾルシノルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェートなどが好ましい。
芳香族リン酸エステルとしては、商品名PX−110(クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート)、PX−200、PX−202、CR−733S、CR−741(いずれも大八化学工業(株)から難燃剤として販売されている一般式(I)で表される芳香族リン酸エステルに含まれるもの)、DAIGUARD−4000(大八化学工業(株))を使用することができる。
本発明の組成物で用いる(C)成分の可塑剤(リン酸エステルを除く)は、下記に示す公知の可塑剤から選ばれる1種以上を使用することができる。
芳香族カルボン酸エステル[フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸ジC1-12アルキルエステル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸C1-6アルコキシC1-12アルキルエステル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸C1-12アルキル・アリール−C1-3アルキルエステル、エチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレートなどのC1-6アルキルフタリルC2-4アルキレングリコレート、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシルなどのトリメリット酸トリC1-12アルキルエステル、ピロメリット酸テトラオクチルなどのピロメリット酸テトラC1-12アルキルエステルなど]、
脂肪酸エステル[アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ブトキシエトキシエチル・ベンジル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルなどのアジピン酸エステル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジオクチルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのセバシン酸エステル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチルなど]、
等が挙げられ、中でもアジピン酸エステルが好ましい。
多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)の低級脂肪酸エステル[ジグリセリンテトラアセテートなど]、
グリコールエステル(ジプロピレングリコールジベンゾエートなど)、
クエン酸エステル[クエン酸アセチルトリブチルなど]、
アミド類[N−ブチルベンゼンスルホンアミドなど]、
エステルオリゴマー(カプロラクトンオリゴマーなど)、
などを挙げることができる。
(C)成分の可塑剤は、芳香族カルボン酸エステルおよび脂肪酸エステルから選ばれるものが好ましい。
本発明の組成物で用いる(D)成分は、重量平均分子量5,000〜30,000のメチルメタクリレート単位を含む重合体であり、エラストマーは含まれない。
重量平均分子量が前記範囲内であると、(A)成分のセルロースエステルとの相溶性が良くなり、(C)成分の可塑剤のブリードアウト防止効果が得られる。
重量平均分子量は、テトラヒドロフラン溶媒を用いたGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算値とする。
(D)成分は、メチルメタクリレート単位を20質量%以上含有するものが好ましく、40質量%以上含有するものがより好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。本発明では、前記割合は原料基準値と実測値のいずれも同じとする。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル、
エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルが挙げられ、これらから選ばれる1または2以上を使用することができる。
これらの中でもフェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
ガラス転移点(Tg)が前記範囲内であると、(A)成分のセルロースエステルとの相溶性が良くなる。
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、窒素気流下、昇温速度20℃/分の条件で測定した値を示す。
(D)成分は、特開2010−116501号公報の特許請求の範囲および実施例などにおいて表面硬度向上剤として記載されている共重合体を使用することができる。
本発明の組成物で用いる(E)成分のジペンタエリスリトールの含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは1〜8質量部である。
(E)成分であるジペンタエリスリトールを使用することで、(B)成分のリン酸エステルのブルーミングを防止することができる。
公知の熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂等を挙げることができる。
公知の熱可塑性樹脂の含有割合は、(A)成分のセルロースエステルとの合計量中、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
充填剤としては、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(粉粒状又は板状充填剤など)が含まれ、例えば、特許文献2(特開2005−194302号公報)の段落番号0025〜0032に記載のものを挙げることができる。
充填剤の含有割合は、(A)成分のセルロースエステル100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。
さらに、前記混合機で予備混合した後、一軸又は二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製する方法、加熱ロールやバンバリーミキサー等の混練機で溶融混練して調製する方法を適用することができる。
(A)成分
・L−50、置換度2.5、粘度平均重合度180、(株)ダイセル製
(B)成分
・芳香族リン酸エステル系難燃剤:DAIGUARD−4000、大八化学工業(株)製
(C)成分
・アジピン酸エステル系可塑剤:DAIFATTY−101、大八化学工業(株)製
(D)成分
・メタブレン H−880(三菱レーヨン(株)製)、重量平均分子量14,000、Tg102℃、組成比メチルメタクリレート単位79質量%/フェニルメタクリレート単位21質量%
組成比は、測定溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を用いた13C−NMR法により測定した。
(D)成分の比較用成分
・アクリル系共重合体エラストマー(ソフトセグメントとハードセグメントを有するブロック共重合体):「KURARITY(登録商標)LA2250」(ソフトセグメントのTg0℃以下,比重:1.08,MFR:25g/10min(190℃,2.16kg),330g/10min(230℃,2.16kg))、(株)クラレ製
(E)成分
・ジペンタエリスリトール:ジ・ペンタリット、広栄化学工業(株)製
(安定剤)
・亜リン酸エステル化合物:イルガフォス(IRGAFOS)168、BASFジャパン(株) 製
・エポキシ化合物:セロキサイド 2021P、(株)ダイセル製
・クエン酸(一水和物):クエン酸(結晶)32M、昭和化工(株)製
ヘンシェルミキサーを用いて、ミキサー内の摩擦熱で70℃以上となるように各組成物を攪拌混合した後、二軸押出機(シリンダー温度:200℃、ダイス温度:220℃)に供給し、押し出してペレット化した。
得られたペレットを、射出成形機に供給して、シリンダー温度200℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒(射出15秒、冷却時間15秒)の条件で試験片(5cm×9cm×厚さ3mm)を射出成形して、ブリードアウトおよびブルーミングの評価試験に使用した。
その他の試験項目は、各組成物を使用して、以下に示す方法で各評価試験を実施した。評価結果を表1に示す。
UL−94に規定されている垂直燃焼試験を行った。試験片の厚さは1.5mmである。
65℃、85%RHの雰囲気中に50時間または500時間放置したとき、肉眼観察によって、試験片の表面に析出物が全く認められないものをブリードアウト「無し」、析出物が僅かでも認められたものをブリードアウト「有り」とした。
23℃、50%RHの室温下で500時間放置したとき、肉眼観察によって、試験片の表面に析出物が全く認められないものをブルーミング「無し」、析出物が僅かでも認められたものをブルーミング「有り」とした。
Claims (4)
- (A)セルロースエステル100質量部に対して、
(B)リン酸エステルを含む難燃剤5〜30質量部、
(C)可塑剤(リン酸エステルを除く)3〜40質量部、
(D)重量平均分子量が5,000〜30,000であって、メチルメタクリレート単位20〜95質量%および芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80質量%を含有する重合体(エラストマーは含まない)1〜10質量部、
(E)ジペンタエリスリトール0.5〜10質量部、
を含有するセルロースエステル組成物。 - (C)成分が、芳香族カルボン酸エステルおよび脂肪酸エステルから選ばれるものである、請求項1記載のセルロースエステル組成物。
- (A)成分のセルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選ばれるものである、請求項1または2記載のセルロースエステル組成物。
- (A)セルロースエステルが、置換度2.7以下のセルロースアセテートである、請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースエステル組成物。
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