JP2012206521A - 樹脂モールド金型及びその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリーン樹脂のような金型との密着性の高い樹脂を使用した場合でも、離形性の良い樹脂モールド金型及びその加工方法を提供する。
【解決手段】モールド金型12のキャビティ12aの底面を含む金型面にレーザー光をフォーカスしながら照射し、照射位置を移動しながら微細な溝13を多数形成して当該多数の溝13を含む滑面を形成する工程を含む。
【選択図】図8

Description

本発明は、金型との密着性の高い樹脂を使用した場合であっても、成形品を容易に離型することができる、樹脂モールド金型及びその加工方法に関する。
樹脂モールド装置においては、環境に悪影響を及ぼさないいわゆるグリーン樹脂が使用されるようになってきた。グリーン樹脂には、有機リン系難燃剤を使用したもの、水酸化化合物系の難燃剤を使用したもの、難燃剤を使用しないもの等がある。これらのグリーン樹脂は従来の樹脂とくらべて金型面との密着性が強いために、成形品が金型から離型しにくくなり、また、型汚れが生じやすくなるという問題がある。
また、従来は、樹脂に離型剤を加えて成形品が金型から離型しやすくすることが行われているが、自動車部品のように高信頼性が求められる樹脂成形品などでは、離型剤を含まない樹脂を使用するため、成形品の離型が困難になり、型汚れが生じやすくなるという問題が生じている。
また、光学的特性が重要なLED封止用の透明樹脂のように、離型剤が配合されていない樹脂を使用する場合も、成形品の離型についての問題が発生している。
成形品を金型から離型しやすくする方法としては、金型のキャビティ面を鏡面加工して離型しやすくする方法や、樹脂モールド時に金型面に離型剤をスプレーして離型性を向上させる方法がある。
また、樹脂モールド金型の金型面の汚れについては、樹脂モールド操作ごとにブラシにより金型面をクリーニングする方法や、金型面に紫外線やレーザー光のエネルギー線を照射し、金型面の汚れをアッシングして除去するといった操作が行われている。なお、エネルギー線を利用して型汚れを防止する方法として、樹脂モールド操作時に、金型面にエキシマ光を照射して金型面の付着物を除去して樹脂モールドする装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−145548号公報
金型面に生じる型汚れの原因は、使用する樹脂と金型面の面構造の双方に起因して複雑である。たとえば、放電加工によってキャビティ等の金型面を形成し、金型面を研磨加工して仕上げたとしても、金型の表面には微視的には微細な凹凸が複雑に形成されているから、樹脂モールド時にはこれらの金型の表面の凹凸を埋めるように樹脂が入り込んで樹脂モールドされると考えられるし、金型の表面から付着物(汚れ)を除去する場合には、このような金型の表面の凹凸に入り込んだ樹脂も関係すると考えられるからである。
金型面に紫外線やレーザー光等のエネルギー線を照射して型汚れを除去する方法は、金型の表面をクリーニングする方法として有効であるが、従来のように、数百ショットごとに金型にエネルギー線を照射してクリーニングする方法は、生産作業をいったん停止してクリーニングしなければならないし、クリーニング作業も煩雑である。また、樹脂モールド操作時に、エキシマ光を照射して金型面をクリーニングする場合は、生産作業を停止する必要がないという利点はあるが、エキシマ光を照射した際に生じるオゾンガス等によって付着物を分解して除去することは確実性の点で不十分であり、また有害な気体が発生するという問題がある。
本発明は、グリーン樹脂のような金型との密着性の高い樹脂を使用した場合でも、離形性の良い樹脂モールド金型及びその加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド金型の加工方法であって、前記モールド金型のキャビティの底面を含む金型面にレーザー光をフォーカスしながら照射し、照射位置を移動しながら微細な溝を多数形成して当該多数の溝を含む滑面を形成する工程を含むことを特徴とする。
または前記モールド金型のキャビティの底面を含む金型面にレーザー光のフォーカスが広がるように変位させて照射し、照射位置を移動しながら微細な凹凸部を含む滑面を形成する工程を含むことを特徴とする。
このキャビティの底面にレーザー光のフォーカスが広がるように変位させて照射することで形成される凹部が並列配置若しくは千鳥配置になるようにレーザー光の照射位置を移動させるのが好ましい。
或いは前記モールド金型のキャビティの内面にレーザー加工を施して平滑面を形成する工程と、前記平滑面に形成された金型面にめっき加工を施して金型表面にめっき粒を析出させて凹凸部を形成する工程と、含むことを特徴とする。
また、前記レーザー加工若しくはめっき加工により凹凸部が形成された金型面に離型剤を供給して凹部に滞留させる工程、を含むことが好ましい。
なお、レーザー光としては、紫外線半導体レーザー、青色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、赤外線半導体レーザー等の半導体レーザー、あるいは光ファイバーまたはミラーを導光器として用いたYAGレーザーあるいはCO2レーザー照射装置を利用することができる。光ファイバーまたはミラーを導光器として用いたYAGレーザー照射装置の場合も、エネルギー線(レーザー光)が平面内の複数個所から投射されるように光ファイバーを配置するといったことが可能であり、半導体レーザーをアレイ状に配置したと同様の作用を発揮することができる。
前記凹凸部は、前記キャビティの底部の他に内側面、金型ゲート、金型ランナー、エアベント、金型カルの少なくともいずれかに形成されているのが好ましい。
樹脂モールド金型においては、上述したいずれかの樹脂モールド金型の加工方法を用いて加工されたモールド金型の金型面に離型剤が供給されて凹凸部の凹部に離型剤が含浸されていることを特徴とする。
本発明に係る樹脂モールド金型及びその加工方法を用いれば、グリーン樹脂のような金型との密着性の高い樹脂を使用した場合でも、離形性の良い樹脂モールド金型を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(樹脂モールド装置)
図1は、本発明に係る樹脂モールド装置の一実施形態の構成を示す平面図である。本実施形態の樹脂モールド装置は、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の2台のプレス装置を備え、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の中間にクリーニング装置30を備えている。第1のプレス装置10の一方側にはワークローダー40を配置し、第2のプレス装置20の他方側にはワークオフローダー50を配置する。これらワークローダー40、第1のプレス装置10、クリーニング装置30、第2のプレス装置20、ワークオフローダー50は、この順に一列状に配置される。
第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の構成は従来のプレス装置と同様であり、被成形品をクランプして樹脂モールドする樹脂モールド金型(上型、下型)と、上型と下型の一方を昇降駆動する駆動機構を備える。図では下型12、22と下型12、22に形成したキャビティ12a、22aを示す。
また、ワークローダー40には第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に供給する被成形品5が収納され、ワークオフローダー50には樹脂モールド後の成形品5aが収納される。
第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の側方には、プレス装置に並列して、被成形品5と成形品5aを給排する給排機構が配置される。給排機構は、ワークローダー40から被成形品5を搬出して、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に供給するロードハンド70と、成形品5aを第1のプレス装置10と第2のプレス装置20から搬出して、ワークオフローダー50に収納するオフロードハンド80とを備える。ロードハンド70とオフロードハンド80とはガイドレール60により移動方向がガイドされて移動する。
図1に示したロード停止位置1、2は、被成形品5を第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に供給する際におけるロードハンド70の停止位置、オフロード停止位置1、2は、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20から成形品を搬出する際のオフロードハンド80の停止位置を示す。
本実施形態の樹脂モールド装置において特徴とする構成は、クリーニング装置30の構成と、クリーニング装置30を用いて第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に組み込まれている樹脂モールド金型をクリーニングしながら樹脂モールドする方法にある。
図2に、クリーニング装置30の平面配置を拡大して示す。本実施形態のクリーニング装置30は、エネルギー線照射部31と離型剤の供給部として離型剤をミスト状にして供給するマイクロミスト噴霧部32を備えるクリーニングヘッド34と、クリーニングヘッド34を旋回、伸縮移動させるロボットハンド36とを備える。
エネルギー線照射部31は、樹脂モールド後の金型面にエネルギー線を照射して金型面に付着して残留する樹脂かすや樹脂組成成分で金型面に残留した成分を、金型面から剥離させ、あるいは金型面から容易に剥離する状態にする作用をなす。すなわち、金型面にエネルギー線を照射することにより、金型の表面に付着する型汚れ層を歪ませ、あるいは型汚れ(型汚れ層)と金型とが接着している部位を焼く、あるいは分解する、あるいは破壊することによって、型汚れ層あるいは型汚れと金型面との接着力を低下させる作用をなす。
このような作用を行うエネルギー線照射部31に用いる照射源としては、紫外線半導体レーザーダイオード、青色レーザーダイオード、赤色レーザーダイオード、赤外線レーザーダイオードや、光ファイバーや鏡を導光器として用いたYAGレーザーあるいはCO2レーザー照射装置が使用できる。また、半導体レーザーの他に紫外線発光ダイオード、赤外線発光ダイオード等の発光ダイオードを使用することも可能である。紫外線レーザー製品等では近年きわめて高出力の製品が提供されるようになってきた。本実施形態のクリーニング装置30は、エネルギー線を利用して、型汚れ層あるいは型汚れと金型面との接着力を低下させる作用を目的とするから、これらの目的に高出力の半導体レーザー製品や発光ダイオードを使用することができる。
図2は、クリーニングヘッド34にアレイ状に多数個の半導体レーザーを配置した例を示す。このようにアレイ状にエネルギー線の照射源を配置し、樹脂モールド金型を型開きした状態でエネルギー線照射部31によって金型面をスイープするようにクリーニングヘッド34を移動させることにより、金型面の全面を面的にクリーニングすることができる。
ロボットハンド36は、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に対向する位置にクリーニングヘッド34を交互に旋回移動させ、その移動位置でアームを伸縮させることにより、クリーニングヘッド34を第1のプレス装置10と第2のプレス装置20に進入させてクリーニングを行う。
なお、レーザー光の照射部をロボットハンド36に装着してクリーニング作用を行うかわりに、オフロードハンド80にレーザー光の照射部を取り付け、金型から成形品を取り出す際に、金型面にレーザー光を照射してクリーニングする構成とすることも可能である。また、ロボットハンド36にマイクロミスト噴霧部32を設けるかわりに、ロードハンド70にマイクロミスト噴霧部を取り付け、ワークをチャックしない状態で金型内にロードハンド70を進入させて金型に離型剤を供給する構成とすることもできる。
クリーニングヘッド34に設けられたマイクロミスト噴霧部32は、成形品を金型から離型するために従来用いられている離型剤を、金型面から約50mm離間した位置から、平均20μm径程度のミスト状として金型面に噴霧するためのものである。従来の樹脂モールド方法においても離型剤スプレーにより金型面に離型剤を噴霧して樹脂モールドしている。従来は、噴霧される離型剤のミストの大きさは平均で0.3mm程度もあり、噴射時のミストの到達距離が1m程度で、指向性が強いことと噴射量が多すぎるために、ミストが金型面上で重なって液滴となり、樹脂モールド時に離型剤がパッケージに混じり込むために製品の信頼性を低下させるという問題があった。
本実施形態では、このような問題を解消するために、ミストの大きさを20μm径程度ときわめて小さくし、かつ噴射量を微量とすることによって、1回のミスト操作により金型面上で噴射剤が1層程度点在して付着するようにした。離型剤のミストの大きさを小さくすることにより、ミスト粒子の運動量が小さくなり、指向性が弱くなって噴霧時に拡散しながら放射されるから、金型表面の凹凸に左右されずに、金型面を均一に被覆するようになる。
このように、微細なミスト状に離型剤を噴霧するには、従来の離型剤スプレー缶の吐出部に特殊ノズルを装着し、ノズルを電磁ソレノイド、エアシリンダー等のアクチュエータにより押動制御する方法が利用できる。
(樹脂モールド方法)
本実施形態の樹脂モールド装置による樹脂モールド操作は次のようにしてなされる。まず、ロードハンド70によりワークローダー40から被成形品5を搬出し、第1のプレス装置10に被成形品5を供給セットする(ロード停止1)。第1のプレス装置10では、続いて樹脂モールド金型により被成形品5がクランプされ、樹脂モールドされる。
次いで、ロードハンド70によりワークローダー40から被成形品5を搬出し、第2のプレス装置20に被成形品5を供給する(ロード停止2)。続いて、第2のプレス装置20で樹脂モールドが開始される。
第1のプレス装置10で被成形品5の樹脂モールドが完了し、型開きしたところで、オフロードハンド80により成形品5aを第1のプレス装置10から搬出し(オフロード停止1)、ワークオフローダー50に成形品5aを収納する。
続いて、第1のプレス装置10でのクリーニング操作を開始する。このクリーニング操作は、型開きした状態で、クリーニング装置30のロボットハンド36によりクリーニングヘッド34を金型内に進入させながらエネルギー線照射部31によりエネルギー線を金型面に照射することによって行う。
図1では、第1のプレス装置10の下型としてキャビティ12aが設けられた金型12を装着した例を示す。クリーニングヘッド34を第1のプレス装置10の側方から型開きした状態にある上型と下型の中間に進入させながら、金型(下型)12の金型面にエネルギー線を照射する。本実施形態のように、照射源を半導体レーザーアレイによって形成した場合には、クリーニングヘッド34を移動させることによって金型面が面的にスキャンされるから、1回のクリーニング操作によって、少なくとも金型の樹脂成形部(キャビティ12a)の全域にレーザー光を照射することができる。
クリーニングヘッド34は金型面での型汚れ(樹脂汚れ)の程度に応じて移動速度を調節して金型面にレーザー光を照射する。クリーニングヘッド34を移動させる際に飛散ダストを真空吸引するように構成することもできる。樹脂汚れが金型面に強固に付着している場合には、クリーニングヘッド34を複数回進退動させて金型面にレーザー光を照射する。必要に応じて、クリーニングヘッド34を上下金型間に進入させる際に、マイクロミスト噴霧部32から金型面に離型剤をマイクロミスト状にして噴霧する。離型剤を高密度に分布させる場合には、クリーニングヘッド34を上下金型間に複数回進入させて離型剤を供給する。
なお、第1のプレス装置10が上型と下型の双方に樹脂成形部(キャビティ)が設けられ、上型と下型の双方の金型面に残留樹脂が付着するような場合には、クリーニングヘッド34の上下面に半導体レーザーアレイ等のエネルギー線照射部31を設けることにより、クリーニングヘッド34を上下の金型間に進入させる操作によって上型と下型の双方の金型面にエネルギー線を照射することができる。
エネルギー線(レーザー光)を金型面に照射するクリーニング操作を行った後、型開きした状態でロードハンド70により第1のプレス装置10に新たに被成形品5を供給し、樹脂モールド金型により被成形品5をクランプして樹脂モールドする。前述したように、金型面にエネルギー線(レーザー光)を照射する目的は、金型面に付着して残留する樹脂かす等の汚れと金型面との接着力を低下させ、汚れが金型面から剥離しやすくするためである。
図3に、金型面にエネルギー線を照射して樹脂モールドする場合の作用について説明する。図3(a)、(b)は金型12の金型面にエネルギー線照射部31からレーザー光を照射している状態、図3(c)は、上型11と下型12とで被成形品5をクランプして樹脂モールドしている状態、図3(d)は、成形品5aを金型12から離型した状態を示す。
図3(a)、(b)に示すように、金型面を走査するようにエネルギー線照射部31を移動させることにより、金型面に付着する樹脂かすなどの汚れAにレーザー光が照射され、汚れAは加熱され分解されて金型面から剥がれやすい状態になる。この結果、被成形品5を樹脂モールドする(図3(c))と、成形樹脂6に一体に汚れAが固着た状態に樹脂モールドされ、汚れAが成形樹脂6aとともに一体に離型される(図3(d))。すなわち、本実施形態の樹脂モールド方法によれば、レーザー光を金型面に照射して汚れAを金型面から剥離しやすい状態にすることにより、成形樹脂6に汚れAを固着させて成形品5aとともに汚れAを金型外に排出することができる。
このように、本実施形態の樹脂モールド方法によれば、樹脂モールド操作ごとに金型面に付着した汚れが成形品5aとともに金型外に排出され、樹脂モールド金型の金型面に汚れが堆積することを防止し、金型面のクリーニングを行いながら樹脂モールドすることができる。
本実施形態の樹脂モールド装置においては、第1のプレス装置10のクリーニングが終了した後、クリーニングヘッド34を第2のプレス装置20に向けて旋回し、第2のプレス装置20において被成形品5の樹脂モールドが完了し、オフロード停止2の位置でオフロードハンド80により成形品5aを搬出した後、クリーニング装置30のクリーニングヘッド34を上下の金型間に進入させ、金型をクリーニングする。エネルギー線照射部31により金型面にレーザー光を照射して金型面をクリーニングする方法は、第1のプレス装置10における場合と同様である。
本実施形態においては、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20が樹脂モールドするタイミングが交互になるように制御し、これらの樹脂モールドのタイミングに合わせてクリーニング装置30のロボットハンド36を旋回駆動することによって、1台のクリーニング装置30により第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の2台のプレス装置をクリーニングすることができる。もちろん、プレス装置ごとにクリーニング装置30を設置してもよい。
また、クリーニング操作は、樹脂モールド操作ごと、すなわち1ショットごとに行うように制御することもできるし、複数ショットごとにクリーニングするように制御することもできる。
また、クリーニングヘッド34により金型面をクリーニングする際に、レーザー光を所定の幅状に照射し、N回のクリーニング操作によって金型面の全面にレーザー光を照射してクリーニングすることも可能である。すなわち、1回のクリーニング操作では金型面の1/Nの領域範囲をスイープし、順次レーザー光を照射する位置を移動して、N回のクリーニング操作で金型面の全域に及ぶようにクリーニングする。このように金型面を分割して、部分的にレーザー光を照射する方法を繰り返して金型面の全面に及ぶようにする方法は、金型面の全面に一度にレーザー光を照射する場合と比較して金型の温度上昇を防止することができるという利点がある。また、この場合には、スキャン照射が従来のブラシによる機械式クリーナーの作業時間内に完了でき、生産性の低下が生じないという利点もある。
(エネルギー線照射部:面的照射)
エネルギー線照射部31に配置する半導体レーザーは適宜配置とすることができる。図4は、エネルギー線照射部31における半導体レーザーの他の配置例を示したもので、波長が異なる3種類の半導体レーザー31a、31b、31cをそれぞれ複数個ずつ一列状に配置し、列ごとに半導体レーザー31a、31b、31cの列内の長手方向の位置を偏位させて配置した(本実施形態では1/2ピッチ偏位)例である。図中の矢印は、クリーニングヘッド34が金型面をスイープする際の移動方向を示している。本実施形態のように、クリーニングヘッド34の移動方向に直交する方向が長手(列方向)となるように半導体レーザー31a、31b、31cを配列し、千鳥配置のように、列ごとに半導体レーザー31a、31b、31cの位置を偏位させて配置することにより、クリーニングヘッド34を走査移動させた際に、金型面の全域を略均一に半導体レーザー31a、31b、31cによって照射することができる。
なお、一列状に配置する半導体レーザーの列ごとに偏位させる量は、クリーニングヘッド34を走査移動させる際に金型面が均等にレーザー光によって照射されるように適宜設定すればよい。本実施形態において半導体レーザーの配置位置を列ごとに偏位させているのは、クリーニングヘッド34を走査移動させる際に、金型面に均一にレーザー光を照射させるためである。したがって、図2に示すように、半導体レーザーを縦横に整列させて配置した場合には、クリーニングヘッド34を走査移動させる際に、クリーニングヘッド34の向きを走査移動方向に直交する方向から若干傾斜させ、クリーニングヘッド34の走査移動方向と半導体レーザーが平行配置(重複配置)となることを回避し、金型面に均等にレーザー光が照射されるようにしてもよい。
また、エネルギー線照射部31を走査移動方向とは直交する方向に揺動可能に支持するとともに、エネルギー線照射部31を走査移動方向とは直交する方向に揺動させる揺動機構を設け、エネルギー線照射部31からレーザー光を照射する際に、エネルギー線照射部31を走査移動方向とは直交する方向に揺動させることによって、エネルギー線照射部31における半導体レーザーの配置により金型面に照射されるレーザー光の強度に生じるばらつきを均等化させることができる。
波長が異なる複数種の半導体レーザーをエネルギー線照射部31に配置すると、金型面に付着する樹脂(汚れ)に異なった作用を及ぼすことができ、金型面から樹脂を剥離あるいは浮かせる作用を効果的に発揮させることができる。たとえば、赤外線域のレーザー光は、金型表面の樹脂汚れを透過し、金型面で熱エネルギーに変換され、金型面の有機物を焼くように作用して樹脂汚れを浮かせるように作用する。紫外線域のレーザー光は、金型面に付着した樹脂の表面で吸収され有機物に作用して酸化あるいは活性化させる作用を有し、樹脂モールドの際の成形樹脂との結合力を高め、成形樹脂に汚れ(樹脂)を固着させ、成形樹脂とともに樹脂汚れを除去することができる。
エネルギー線照射部31に、波長が異なる複数種の半導体レーザーを配置した場合に、すべての半導体レーザーから同時にレーザー光を照射するように制御することもできるし、特定の波長の半導体レーザーを選択して照射するように制御することもできる。また、金型内にクリーニングヘッド34が進入するときと金型内から退避するときとで、別種の半導体レーザーからレーザー光を照射するようにすることもできる。
なお、上記説明ではエネルギー線照射部31に半導体レーザー素子を配置した場合について説明したが、半導体レーザーにかえて単なる赤外線光を放射する半導体ダイオード、あるいは紫外線光を放射する半導体ダイオードを使用する場合もまったく同様に適用することができる。
(実験例)
波長375nmの紫外線半導体レーザーをエネルギー線の照射源として、フッ素系表面処理を施した金型表面をクリーニングする実験を行った。エネルギー線照射部は、縦横14.5mm角のパッケージ内に280μm角のレーザーチップを27個封止した紫外線半導体レーザー(平均出力100mW)を、金型の幅(170mm)方向の全域をカバーするように一列に11個、4列並列に配置したものを使用した。
樹脂モールド操作の5ショットごとにエネルギー線照射部により金型面を50秒間照射し、100ショット後に、金型面の汚れ状態を目視したところ、金型面の汚れは大きく成長せず、成形品のパッケージの表面に金型面の汚れが転写されることも認められなかった。さらに5ショットごと上記エネルギー線照射部から金型面に紫外線を照射する操作を繰り返し、300ショットまで樹脂モールドを行い、金型面の汚れ状態を目視した。金型面には樹脂汚れが付着していたが、成形品のパッケージへの汚れの転写の痕跡は確認されなかった。
この実験結果から、紫外線半導体レーザーによる一定程度の樹脂汚れに対するクリーニング作用が認められた。紫外線半導体レーザー製品では紫外線波長の短波長化や出力の改善が図られている。したがって、より出力の大きな半導体レーザー製品を使用することによってさらに効果的な金型面のクリーニング作用が可能になると考えられる。
また、エネルギー線照射部に、たとえば4列に半導体レーザーを配置する場合に、4列ともに紫外線半導体レーザーを配置することもできるし、4列のうちの2列に紫外線半導体レーザーを配置し、2列に赤外線半導体レーザーを配置することもできる。また、紫外線半導体レーザーあるいは赤外線半導体レーザーとして波長の異なる半導体レーザーを用いることにより、金型面に付着する多様な汚れに対してクリーニング作用を及ぼすようにすることができ、さらに有効に金型面をクリーニングすることができる。
また、エネルギー線照射部を、半導体レーザー製品を交換装着可能な構成とすることによって、出力の大きな半導体レーザー製品に交換したり、異なる波長の半導体レーザー製品に交換したりすることが容易にできて有効である。
(エネルギー線照射部:ライン照射)
図5は、金型面にライン状にレーザー光を照射して樹脂汚れを除去する他の方法を示す。本実施形態において使用するレーザー光の照射装置は、金型面に平行に金型内に進入する位置と、金型から退避する位置との間で進退動するスライダ90と、スライダ90内に装着されスライダ90の移動方向と直交する向きに往復動する移動駒92とを備え、移動駒92に設けた第1のミラー94によりレーザー光源からスライダ90に導入されたレーザー光をスポット光として金型面に照射するように構成されている。レーザー光源としてはたとえばYAGレーザー照射装置が使用され、レーザー光源から投射されるレーザー光がスライダ90の側面位置に固定された第2のミラー95によって反射され第1のミラー94に導かれるように構成されている。
スライダ90はガイドレールに支持され、駆動機構によりプレス装置に対して進退動するように設けられる。移動駒92は駆動モータ96により回動駆動されるボールネジ97に螺合して設けられるとともに、スライダ90の移動方向とは直交する方向に移動方向を規制するスライドガイドに係合して設けられている。ボールネジ97は軸線方向をスライダ90の移動方向とは直交する方向に配置され、金型12の全幅について移動駒92を可動とする長さに形成されている。
図5は、スライダ90を金型12の奥側(図の右側:P点)から手前側(図の左側:Q点)まで移動させ、その際にレーザー光をスポット的に照射した状態を示す。図ではレーザー光の照射位置を小円によって示した。レーザー光源からスライダ90内に導入されたレーザー光は、第2のミラー95および第1のミラー94によって反射され、金型面に照射される。本実施形態では、スライダ90をP点からQ点に向けて移動させながら、駆動モータ96を駆動しボールネジ97上で移動駒92を移動させてレーザー光を照射する。図中で示した範囲Rが移動駒92が移動する範囲である。移動駒92は金型面上でX−Y方向に移動し、レーザー光源から一定時間間隔でレーザー光を放射することにより、レーザー光によるスポット照射位置が重複しながら連続した軌跡を描いて移動する。スライダ90と移動駒92の移動速度を制御することによって移動駒92は直線的に移動し、レーザー光のスポット位置は図のような屈曲図形を描く。
金型面にレーザー光をスポット光として照射する際には、レーザー光によって金型面が損傷しない程度にレーザー光を拡散させエネルギー密度を下げて照射する。レーザー光のスポット径が大きくなると、スポットの中心側と外周側とでエネルギー密度が異なるから、スポット光を走査する際には、スポット光の照射位置が重複するようにスキャン位置を一回の操作ごとに偏位させてスキャンする。これによって、金型面の全面を均等にレーザー光によって照射することができる。たとえば、レーザー光のスポット径を20mmとした場合には、レーザー光のスキャン位置を10mm程度ずつ移動させてスキャンすればよい。レーザー光を拡散させたスポット光とすることによって、金型面を走査する効率を向上させることができる。
図5に示したスポット位置は、スライダ90を金型面上で1回スキャンさせた状態を示す。本実施形態においては、1回の樹脂モールド操作ごとに1回のレーザー光のスキャン操作を行い、次回のスキャン操作では、レーザー光のスキャン開始位置を前回のスキャン開始位置に対してスポット光による照射位置が重複する1ピッチ分移動させてスキャンする操作を繰り返して、金型の全面にレーザー光を照射するように制御する。すなわち、1回のスキャン操作によって金型の全面にレーザー光を照射するのではなく、N回のスキャン操作によって金型の全面にレーザー光を照射する。
レーザー光のN回のスキャン操作によって金型の全面にレーザー光が照射されるようにするためには、レーザー光のスポット径と、レーザー光のスキャン開始位置を移動させる移動量と、レーザー光を放射させる時間間隔を適宜設定し、レーザースポットが重複して配置されるようにする必要がある。上記例ではP点からQ点に向けて移動させたが、逆にQ点からP点に移動しながらレーザー光を照射することもできる。また、N回のスキャン操作によって金型の全面にレーザー光が照射されるようにするから、レーザー光を照射したことによって樹脂汚れを除去する作用が消失しない回数で初期のスキャン開始位置に復帰するように、スキャン処理回数(N値)を設定する。
このように、N回のレーザー光のスキャン操作によって金型の全面にレーザー光を照射する方法であれば、金型面の温度上昇を抑えることができ、樹脂汚れの飛散を防止して、効果的に樹脂汚れを除去することができる。
(スキャン例)
図5において、P−Q方向をオフロードハンド80が進退動する方向とし、スライダ90をオフロードハンド80に取り付け、オフロードハンド80とともにスライダ90が進退動するように設定する。P−Q方向の金型の長さ(長手方向の長さ)を200mm、金型の幅方向(PQ方向とは直交する方向)の長さを150mmとする。まず、移動駒92を下金型の幅方向の端縁位置から10mm内側の位置に固定し、樹脂モールド後、型開きした状態で、第1のミラー94の向きをレーザー光が上金型に照射される向きに切り換え、その状態でオフロードハンド80を金型内に進入させながら上金型にレーザー光を照射する。型開きした状態で成形品は下金型に支持されているから、オフロードハンド80を進入させながら上金型に向けてレーザー光を照射することによって上金型の金型面にレーザー光が照射される。
オフロードハンド80が金型の奥位置まで進入し、上金型の長手方向の全長にわたってスキャン照射が完了した後、第1のミラー94を下金型に向けてレーザー光が照射される向きに切り換え、オフロードハンド80によって成形品をチャックした後、オフロードハンド80を金型外に向けて移動させながらレーザー光を下金型にスキャン照射する。
このようにオフロードハンド80を金型内に進入させる際に上金型にレーザー光を照射し、オフロードハンド80を金型外に向けて移動させる際に下金型にレーザー光を照射した後、移動駒92を幅方向に10mm内側にピッチ移動させてレーザー光をスキャン照射することによって、下金型と上金型について樹脂モールド操作ごとに、レーザー光がスキャン照射される。
なお、エアベントが金型の長手方向に沿って設けられている場合は、移動駒92の位置をエアベントの位置に位置合わせし、下金型と上金型のエアベント部分にレーザー光を照射する。通常、一つの金型には対称配置に2つの被成形品が配置され、各々の被成形品の成形位置に2箇所(幅方向の側縁位置)ずつエアベントが設けられているから、エアベント部のレーザー光の照射に4回の樹脂モールド操作を要する。こうして、エアベント部のレーザー光の照射を合わせると19回の樹脂モールド操作によって金型面の全面にレーザー光が照射される。
照射周期が20(ショット/秒)であるレーザーシステムを使用すると、200mm/秒でオフロードハンド80を移動させることができるので、長手方向の長さが200mmの金型の場合には1秒でスキャンできる。実際の樹脂モールド装置では、ブラッシングと真空吸引を併用しているため、オフロードハンド80は全長200mmを約4秒で移動している。したがって、レーザー光のスキャン照射によって樹脂モールドの生産性が低下することはない。
オフロードハンド80の移動速度を50mm/秒、レーザーシステムの照射周期を20(ショット/秒)とすると、スポット径20mmのレーザービームは2.5mmピッチで照射され、クリーニング強度が向上する。また、移動駒92の移動ピッチを15mmに設定することができ、この場合には10回の樹脂モールド操作によって金型全面をレーザー光によって照射することができる。
上記スキャン例では、エアベント部分についてもレーザー光を照射したが、グリーン樹脂のような金型面との密着性が強い樹脂を使用して樹脂モールドする場合には、キャビティ面における樹脂汚れよりも、エアベント部分での樹脂汚れが問題となることがある。このような場合に、エアベント部分にレーザー光を照射して、エアベント部分に樹脂汚れが生じないように設定することは有効である。
なお、上記実施形態では、レーザー光源から放射されたレーザー光をスライダ90内に導く方法として、第2のミラー95によってレーザー光を反射させて第1のミラー94に導くようにしたが、他に、光ファイバーで導いたレーザー光をエキスパンダなどの光学機器を用いてビーム径を拡大して第2のミラー95に導くことができ、さらに、ミラーにかえて、光ファイバーによりレーザー光源から第1のミラー94にレーザー光を導くこともできる。このように、レーザー光源からスライダ90内にレーザー光を導く導光器の構成は適宜構成とすることができる。
ライン状にレーザー光を金型面に照射して樹脂汚れを防止する方法の場合も、前述した波長が異なる複数種類の半導体レーザーを配置する場合と同様に、波長が異なるレーザー光源を使用することが可能である。この場合には、たとえばYAGレーザーの場合、基本波長の1064nmの光源の他に、波長532nm高調波の光源を用意し、波長を切り換えて使用するか、あるいは同時に2種類のレーザー光を照射すればよい。2種類のレーザー光を使用する場合は、第1のミラー94と第2のミラー95のコーティングを、レーザー波長(1064nm、532nm)に対応して2個ずつ設ける。
また、本実施形態の樹脂モールド装置に使用する樹脂モールド金型としては、フッ素系のコーティングやトリアジン・チオール等の有機系の表面処理を施した金型を使用することができる。この場合には、無機系の金型を使用した場合と比較して耐熱性は劣るものの、型汚れが少ない段階で、僅かなエネルギー線の照射量によってクリーニングすることができ、エネルギー線の照射量を抑えることによって、型温の温度上昇を抑えることができ、金型の表面を劣化させずにクリーニングすることが可能である。
また、本実施形態のように、樹脂モールド操作の1ショットごと、あるいは複数ショットごとに金型面をクリーニングして樹脂モールドする方法であれば、金型面に汚れが厚く堆積したり、汚れが金型面に固着したりする前に金型面をクリーニングすることができるから、グリーン樹脂のように、従来の樹脂とくらべて金型面との密着性が強い樹脂を使用した場合でも、型汚れを防止しながら樹脂モールドすることができる。
また、1ショットごと、あるいは複数回のショットごとに金型にエネルギー線を照射して金型面をクリーニングして樹脂モールドする方法によることで、従来のように、数百ショットごとにプレス装置から金型を取り外して、紫外線やレーザー光を金型に照射してクリーニングする操作が不要となり、クリーニングの際に生産作業を停止するといった必要がなくなり、生産性を向上させることができる。
また、金型面にエネルギー線を照射するとともに、パーティング面をブラッシングし、金型面上の飛散ダストを真空吸引して排出する。パーティング面の樹脂ばりは、金型汚れとなった厚い汚れであり、回転ブラシによって機械的に剥離して除去することができる。ブラシ装置を用いてパーティング面をブラッシングする作業は従来の樹脂モールド装置において行っており、本実施形態のように、樹脂モールド操作ごとにクリーニング装置30を使用して金型をクリーニングする操作を行っても従来にくらべて生産性が低下することはない。
また、本実施形態では金型面に照射するレーザー光等のエネルギー線は、金型面に付着して残留する樹脂かす等の汚れを金型面から剥がれやすくする作用を目的とするから、型温が高温になるような高エネルギーの照射源を必要とせず、したがって装置の構成も簡易となり、エネルギー線を照射する操作も短時間で済ませられるという利点がある。
(実験例)
レーザー光による作用を検証する目的で、レーザー光を金型面に照射(照射位置を固定)し、レーザー光を照射した際の金型表面の性状の変化、金型面に付着した樹脂汚れが除去されるか否かについて実験を行った。平均出力10WのYb−YAGレーザー(波長1064nm、パルス幅30ナノ秒、照射サイクル1000Hz)の焦点距離190mmのレンズ集光式レーザーではスポット径は60μmであった。このレーザー光をハードクロムめっきされた金型の表面に照射すると金型面が溶融し、金型の機能を失った。このレーザー光の焦点位置をずらしてビーム径を1mmとしたところ、金型面に損傷は生じなかった。平均出力10WのYb−YAGレーザー(波長1064nm、パルス幅200ナノ秒、照射サイクル5Hz)を、15mm径の平行ビームとして300ショットの樹脂モールドを経た金型面に照射したところ、金型面に付着した樹脂汚れが吹き飛ばされて除去された。この15mm径のレーザー光を2000回、金型面に照射しても金型面は損傷しなかった。
平均出力10WのYb−YAGレーザー(波長1064nm、連続発振(CW:continuous wave))の出力を70%に下げ、20mm径の平行ビームとして、300ショットの樹脂モールドを経た金型面に照射した。金型面に付着した樹脂汚れはレーザー光の照射によって吹き飛ばされることはなかったが、レーザー光を照射した後、樹脂モールドすることによって、成形品側に樹脂汚れの20%程度が金型から剥離して付着(転写)した。これは、レーザー光の照射によって樹脂汚れが金型面から剥離しやすい状態になったことを示す。
上記例と同様に、平均出力10WのYb−YAGレーザー(波長1064nm、連続発振(CW:continuous wave))の出力を70%に下げ、20mm径の平行ビームとしたレーザー光を100ショット経過後の金型面に照射した。金型面にはキャビティ面積の85%程度に樹脂汚れが付着していたが、レーザー光を照射した後、樹脂モールドすることによって、樹脂汚れの一部が成形品のパッケージ表面に付着して金型から剥離し、金型面にはキャビティ面積の20%程度に樹脂汚れが付着する状態となった。その後、100ショットごとに上記と同一条件で金型面にレーザー光を照射し、300ショット経過時まで金型面の汚れを目視によって観察した。その結果、金型面には25%程度の樹脂汚れ(残渣)が残るものの、300ショット経過まで、樹脂汚れが成長する傾向はみられず、成形品のパッケージ表面に転写されるような樹脂汚れは発生しなかった。このことは、レーザー光の照射によって金型面で樹脂汚れが成長することが抑制されたこと、金型面での樹脂汚れが抑制されたことによって成形品への転写量も抑制されたものと考えられる。
なお、金型面にエネルギー線を照射して、金型に付着して残留する型汚れを金型面から剥離しやすくする樹脂モールド方法は、リリースフィルムにより金型の樹脂成形面(キャビティ)を被覆して樹脂モールドする方法に適用することも可能である。リリースフィルムによって金型の樹脂成形面を被覆して樹脂モールドする場合は、樹脂成形面には封止用の樹脂は直接的には接触しないが、樹脂モールド操作を繰り返し行った場合に、樹脂成形面になんらかの汚れが発生することがあり得る。このような汚れを除去する方法として、リリースフィルムを透過させてエネルギー線を樹脂成形面(金型面)に照射し、金型面から汚れを剥離しやすくしてから、樹脂モールド時の樹脂成形圧力によりリリースフィルムに汚れを押し付け、リリースフィルムを搬送する際にリリースフィルムに付着させて金型外に搬出し、巻き取りローラに巻き取るようにすることもできる。
(離型剤のミスト噴霧)
金型面にレーザー光等のエネルギー線を照射してクリーニングした場合に、金型面が清浄になり過ぎると、樹脂との直接的な接触状態が生じて化学的な結合が強固になり、その上、金型面の微細な凹凸が再生されて、かえって成形品の離型が困難になることが知られている。このような場合には、クリーニングヘッド34に設けたマイクロミスト噴霧部32から金型面に離型剤を噴霧する操作を併用する。
金型面に離型剤を噴霧する操作は、樹脂モールド操作の1ショットごとに行ってもよいが、通常は複数ショットごとに行えばよい。クリーニングヘッド34を金型内に進入させる操作の際に、マイクロミスト噴霧部32から金型面に離型剤をミスト状に噴霧することによって離型剤を供給することができる。クリーニングヘッド34の先端側にマイクロミスト噴霧部32を配置し、クリーニングヘッド34が金型内に進入する際にエネルギー線照射部31によって金型面にエネルギー線を照射し、クリーニングヘッド34が戻り移動する際にマイクロミスト噴霧部32により離型剤を噴霧することによってエネルギー線照射部31を離型剤のミストによって汚さないようにすることができる。
図6(a)、(b)は、金型面にミスト状に離型剤を噴霧した状態で、キャビティ12aの底面に点状に離型剤の粒32aが付着した状態を説明的に示している。図6(c)、(d)は、被成形品5を樹脂モールドした状態で、樹脂圧により離型剤の粒32aが押しつぶされてキャビティ12aの内面に沿って膜状に広がった様子を示す。32bが膜状に広がった離型剤を示す。
このように、金型面に離型剤を供給する場合は、離型剤は薄く金型面上に粒状に付着する程度に供給する。金型面に粒状に離型剤が付着した場合でも、樹脂圧によって離型剤が膜状に広がり、成形品が離型しやすくなる。
マイクロミスト噴霧部32から金型面に離型剤を供給しながら樹脂モールドする方法によれば、離型剤を含まない封止用の樹脂を用いて樹脂モールドすることが可能であり、自動車用品のような高信頼性やLEDのような高い光学特性が求められる製品であっても容易に樹脂モールドすることができる。
また、離型剤を金型面に噴霧して樹脂モールドする方法によれば、上述したクリーニング操作と併用して樹脂モールドすることにより、成形品の離型性を損なわずに樹脂モールドすることができ、グリーン樹脂のような金型面との密着性の高い樹脂を使用して樹脂モールドすることも容易になる。
なお、本実施形態ではマイクロミスト噴霧部32をクリーニングヘッド34に取り付ける構造としたが、マイクロミスト噴霧部32をクリーニングヘッド34とは別の搬送機構により支持して金型面に離型剤を供給するように構成することもできる。また、ワークの給排機構を構成するロードハンド70あるいはオフロードハンド80にマイクロミスト噴霧部32を取り付けて金型面に離型剤を供給する構成とすることもできる。
また、本実施形態の樹脂モールド装置では、第1のプレス装置10と第2のプレス装置20の中間にクリーニング装置30を配置する構成としたが、このような配置以外に、4台のプレス装置を2台のクリーニング装置によりクリーニングしながら樹脂モールドする構成とすることもできるし、1台のクリーニング装置の周囲に複数台、たとえば4台のプレス装置を配置し、1台のクリーニング装置によって4台のプレス装置をクリーニングするといった構成とすることもできる。また、プレス装置をモジュール化して組み合わせを可変とした樹脂モールド装置にも適用できる。また、従来の樹脂モールド装置のブラシおよび吸引によるクリーニング機構と同様に、アンローダハンド(オフロードハンド)の先端にクリーニングヘッド34を設ける構成とすることもできる。
図7は、マイクロミスト噴霧部によって第1のプレス装置10の上型11と下型12の金型面に離型剤を噴霧して供給する例を示す。図示例のマイクロミスト噴霧部33は、先端にノズルヘッド33aを備えたスプレー部本体33bと、スプレー部本体33bを金型面に平行に進退動させる駆動機構に連繋した支持アーム33cとを備える。ノズルヘッド33aは、上型11と下型12に対向する位置にノズル孔が設けられ、1回の噴霧操作によって上型11と下型12の双方の金型面に離型剤が供給可能となっている。
マイクロミスト噴霧部33はスプレー部本体33bにスプレー缶を装備し、スプレー缶を交換可能に装着する。離型剤はスプレー缶を交換することによって切り換えることができる。スプレー部本体33bに設けられたノズルヘッド33aを電磁ソレノイド等の手段によって押動することによって離型剤の噴霧開始、停止を制御することができる。電磁ソレノイドのかわりに、ノズルヘッド33aにピエゾ素子を用いた噴霧回路を形成し、ピエゾ素子を駆動制御して離型剤の噴霧開始、停止時、噴霧時間を制御するとともに、ミスト径の大きさと噴霧密度を制御することができる。
マイクロミスト噴霧部33は金型面に平行に進入あるいは退避移動する際にノズルヘッド33aから離型剤を金型面に向けて噴霧することにより上型11と下型12に離型剤を供給する。金型面に供給する離型剤の供給量はマイクロミスト噴霧部33の移動速度を調節することによって制御することができる。マイクロミスト噴霧部33の移動速度を遅くすると離型剤の供給量が増え、移動速度を速くすると離型剤の供給量は少なくなる。離型剤の供給量を増やす場合に、マイクロミスト噴霧部33の移動速度を遅くすると金型面でミスト同士が重なって成長し、ミストが結合して大きくなりミストの分布が偏ってしまう。したがって、離型剤の供給量を増やす場合には、マイクロミスト噴霧部33の移動速度を遅くせずに、マイクロミスト噴霧部33を複数回往復動させて供給量を確保するようにするのがよい。
このように、マイクロミスト噴霧部33を複数回往復動させて離型剤を供給する方法によると、最初のミスト供給操作によって供給した離型剤は毛細管現象によって金型面の微細な凹凸に吸い込まれ、金型の表面に浮くようにならないから、続いてミスト供給操作してもミスト同士が結合することが抑えられ、金型の表面に均一に離型剤を供給することができる。このように金型面に均一に離型剤を供給することによって、成形品の離型性を向上させることができる。LED製品の樹脂成形においては、金型面に離型剤が過剰に供給されていないと離型剤の痕跡による油膜状の光学的滲みが生じることがある。このような場合に、離型剤を薄く、均一に供給する方法は有効である。
なお、マイクロミスト噴霧部33はスプレー缶を使用する他に、圧縮空気を用いてベンチュリー効果を利用して離型剤を噴霧する方法によることも可能である。この場合は外部から供給する圧縮空気の圧力を制御することによって離型剤のミスト径、噴霧量を制御することができる。この方法による場合は金型に設けられたキャビティに向けて単数あるいは複数のノズルを配置し、また、ポットとプランジャ、カルに向けて単数あるいは複数のノズルを配置して、これらの離型剤を噴霧するように構成する。ノズルを支持するノズルブロックをロードハンド70あるいはオフロードハンド80の先端に取り付け、ノズルブロックを上下金型間で移動させながら圧縮空気を供給することによって離型剤を噴霧することができる。
また、離型剤を噴霧するさらに他の方法として、超音波振動を利用する方法がある。すなわち、離型剤液に超音波振動を作用させて離型剤液を霧化し、霧化した離型剤を噴出させる送気手段を設けた噴霧装置を上下金型間で移動させて離型剤を噴霧する。離型剤液に作用させる超音波振動と送気手段を制御することによって、離型剤のミスト径、噴霧量を制御することができる。
(樹脂モールド金型)
上記のように、マイクロミスト噴霧部から金型面に離型剤を供給して樹脂モールドする場合に、金型面に微細で滑らかな凹凸を形成した樹脂モールド金型を使用すると、金型面から僅かずつ継続的に離型剤が供給され、離型性を維持した金型として使用することができる。図8は、キャビティ12aの内面に凹凸を形成する例を示す。図8(a)は、金型12のキャビティ12aの内面にレーザー光を照射して金型12の底面に微小な溝13を多数個形成している状態を示す。図8(b)は、フォーカス位置をキャビティ12aの底面から変位させてレーザー光を若干ぼかして金型12の底面に照射することによって、キャビティ12aの底面に滑らかな凹面を形成している状態を示す。
高エネルギーのレーザー光を使用すると、図8(a)、(b)に示すように、金型の表面に溝や凹部を形成することは容易であり、金型面にきわめて微細な溝や凹部を形成することができる。そして、このような微細な凹凸を形成した金型面に離型剤を供給すると、金型面に離型剤が保持される作用が生じ、樹脂モールド時に凹部内から少しずつ離型剤が供給されて金型の離型性を保持することが可能になる。
図9は、図8(b)に示す、キャビティ12aの内面に滑らかな曲面状の微小な凹部14を形成した場合で、金型面14aに離型剤Bを供給して樹脂モールドする際の作用を示している。図9(a)は、キャビティ12aに樹脂を充填して樹脂モールドしている状態を拡大して示したもので、図9(b)に、凹部14に滞留する離型剤Bの常圧時の高さ(D線)と、樹脂モールド時における樹脂の外形線、浸出位置(C線)を示す。
図9(a)に示すように、キャビティ12aに樹脂6bが充填され成形樹脂圧力が作用して樹脂6bが凹部14の離型剤Bの溜まりに押し付けられると、離型剤Bの方が樹脂6bよりも流動性が高いので、樹脂6bにより離型剤Bが押し出され金型面の凹部14を通って広がり凸部分を含む広い領域を被覆するようになる。
成形樹脂圧力と離型剤の内圧が均衡して離型剤の押し出しがなくなった後でも、離型剤は硬化しないので、毛細管現象で金型面の微細な凹凸部や樹脂パッケージ(樹脂成形部)と金型面との隙間を通して浸透し、次回の樹脂成形の離型作用に寄与する。
樹脂パッケージと金型面との境界面では、離型剤は金型面の微細な凹凸やクラック内に毛細管現象で留まるが、樹脂パッケージ側へは金型の微細な凹凸は転写されないから、離型剤が樹脂パッケージに付着して金型外に持ち去られる率は低く、金型面の離型機能は数回の樹脂モールド操作については保持される。したがって、数ショットごとに離型剤を補充する方法によって、成形品を確実に離型させながら樹脂モールドすることができる。凹部14は、滑らかな表面に加工されているから、樹脂6bを金型にくいつかせるアンカー作用が抑えられ、グリーン樹脂のような金型との密着性の高い樹脂を使用した場合でも容易に成形品を離型させることができ、型汚れを防止することができる。
図10、11は、金型にレーザー加工を施した場合の金型の表面の性状を観察した電子顕微鏡写真を示す。いずれも、加工用のレーザー光のフォーカス位置を金型面から外した位置として、凹部が平底あるいは浅い鍋底となるように加工したものである。
図10は、凹部が並列配置となるようにレーザー光の照射位置を少しずつ移動して加工した場合、図11は、照射位置を重複させて千鳥配置に凹部を形成した例である。このように、レーザー光をスポット的に照射することにより、金型面に所定の大きさの凹部を形成することができる。したがって、金型面へのレーザー光の照射位置を適宜選択することにより、金型面に凹部を形成することも容易である。図10、11は金型面が粗面に見えるが、図は電子顕微鏡写真(60μm/div)であり、この金型面の面性状は一般的な放電加工や研磨加工によって仕上げた金型面と比較すると、はるかに滑らかな面になっている。
図12に、レーザー加工によって金型面が平滑面に形成される様子を観察した電子顕微鏡写真を示す。図12は、放電加工面とレーザー加工を施した面が隣接している部位を撮影したものである。放電加工面は複雑な溝が形成された表面性状となっているのに対して、レーザー加工を施した面は、金型の表面が溶融されて固化した状態になっている。
金型表面の突起部分は頂部に熱が集中して溶融しやすいし、金型の表面が溶融された際には表面張力によって凹凸が平坦化され、固化することによって平坦面となる。放電加工によって形成した金型面、さらに研磨加工による仕上げ加工を施した従来の金型にくらべて、レーザー加工によって溶融した面は、はるかに平滑面になる。高エネルギーのレーザー光を用いて金型面を瞬時に加熱して溶融すると、金型の表面は熱によって焼きなましの状態になるが、表面層からわずかに下層の金型部分は焼き入れ硬度を保持し、これによって金型が磨耗することが防止される。
また、高エネルギーのレーザー光を用いて金型面を瞬時に加熱する方法を、熱処理前の空冷鋼に適用することによって、焼き入れ処理と同時に表面を平滑面に加工することができる。この方法では表層の瞬時に焼き入れするので過度に酸化することがなく、焼き狂いが生じないことから、仕上げしろ無しの金型寸法で加工することができる。
図8(c)は、金型にレーザー加工を施して、キャビティ12aの内面を平滑面に形成した後、金型面にめっきを施して金型の表面にめっき粒15を析出させた状態を示す。このように、平坦面に加工した金型面にめっき粒15を析出させることにより、キャビティ12aの内面に微小な凹凸が形成される。したがって、この方法によっても金型面に離型剤を供給して樹脂モールドすることにより、僅かずつ離型剤を浸出させて樹脂モールドすることができ、離型性を向上させることができる。
レーザー加工は金型面を平滑面に形成する方法として有効であり、キャビティ12aの底面の他にキャビティ12aの内側面、キャビティ12a以外のゲート部分、ランナー部分、エアベント部分、カル部分等の樹脂モールド時に樹脂が接する部位にレーザー光を照射してこれらの面を滑らかな面に形成することができる。レーザー加工によって凹部14を滑らかな面に形成したと同様に、樹脂モールド金型の樹脂が接する面を滑らかな面にすることによって、樹脂とのくいつきを抑え、樹脂の離型性を向上させることができる。
このように成形品およびランナー樹脂、カル樹脂、エアベント樹脂と金型との離型性を向上させ、前述したように、樹脂が接触する金型面に離型剤をミスト状に供給する方法を利用すれば、成形品と硬化樹脂の離型性がさらに良好となるから、成形品を離型する際に、キャビティの底面にエジェクタピンを配置せず、キャビティの外部に配置したエジェクタピンを使用して成形品とともに硬化樹脂を離型することが可能となる。図6(d)に、エジェクタピン18をキャビティ12aの平面領域の外側に配置した例を示す。従来の樹脂モールド金型では、成形品を離型させるためにキャビティの底面にエジェクタピンを配置して、エジェクタピンによってキャビティ内から成形品を突き出して離型している。本実施形態では、キャビティ12aの外部にエジェクタピン18を配置し、エジェクタピン18によって被成形品5を突き出すことによって、成形品と樹脂モールド金型内で硬化した樹脂(ランナー樹脂、カル樹脂)を離型することができる。
このように、キャビティ12aの外部にエジェクタピン18を配置する構成とした場合は、金型製作が非常に容易になるという利点がある。
キャビティ12a内にエジェクタピンを配した場合には、エジェクタピンの端面に彫り込んで形成したキャビティ番号や、文字、図形を樹脂パッケージの外面に転写しているが、キャビティ12aの外部にエジェクタピンを配置した場合は、キャビティ12aの内面にレーザー加工によって所要の番号、文字、図形を加工して樹脂パッケージに転写されるようにすればよい。
図13は、上述したレーザー加工の応用例として、金型にエアベント16を設けた例を示す。エアベント16は金型により被成形品をクランプしてキャビティ12aに樹脂を充填する際に、キャビティ12aに残留したエアをキャビティ12a外に排出する作用をなすもので、キャビティ12aと金型外とを連絡する配置として、樹脂の通過を阻止してエアを排出するために、きわめて浅い溝状に形成する。
従来は、研削加工によってエアベントを設けているが、上述したレーザー加工方法を利用すれば、金型面にきわめて浅い狭幅の溝を加工することは容易であり、任意の位置に加工することができるから、図13に示すように、キャビティ12aを囲むクランプ面Eの領域にエアベント16を設けることが可能である。
レーザー加工によってエアベント16を形成する方法は、研削加工による方法と比較して容易にエアベント16を形成できること、エアベント16の配置位置を任意にできること、エアベント16の溝の深さと幅についても高精度に制御できるという利点がある。図13(b)は、キャビティ12aのコーナー部に設けるエアベント16aの長さをキャビティ12aの辺部分に設けるエアベント16bの長さと一致するように、辺部分に設けるエアベント16bを、辺に直角向きから傾斜させた配置とした例である。このように、エアベント16の向きを変更するといったこともレーザー加工によれば容易である。エアベント16の配置は、キャビティ12aに充填される樹脂の流れ性や充填性に影響を与えることがあり、製品にあわせてエアベント16の配置や形状を任意に設定できることは高品質の樹脂モールドを可能にする点で有効となる。
本発明に係る樹脂モールド装置の全体構成を示す平面図である。 クリーニング装置の平面図である。 金型にエネルギー線を照射して樹脂モールドする作用を示す説明図である。 エネルギー線照射部における半導体レーザーの配置例を示す説明図である。 金型面にレーザー光を照射して樹脂汚れを除去する他の方法を示す説明図である。 金型にミスト状に離型剤を噴霧して樹脂モールドする作用を示す説明図である。 金型にミスト状に離型剤を噴霧するミスト噴霧部の作用を示す説明図である。 キャビティに凹凸を形成する方法を示す説明図である。 金型面に離型剤を供給して樹脂モールドする際の作用を示す説明図である。 金型面にスポット状にレーザー光を照射して加工した金型面の性状を示す電子顕微鏡写真である。 金型面にスポット状にレーザー光を照射して加工した金型面の性状を示す電子顕微鏡写真である。 金型表面の放電加工部分とレーザー加工部分を示す電子顕微鏡写真である。 金型にエアベントを設ける例を示す説明図である。
5 被成形品
5a 成形品
6、6a 成形樹脂
6b 樹脂
10 第1のプレス装置
11 上型
12 金型(下型)
12a キャビティ
14 凹部
14a 金型面
18 エジェクタピン
20 第2のプレス装置
30 クリーニング装置
31 エネルギー線照射部
31a、31b、31c 半導体レーザー
32、33 マイクロミスト噴霧部
34 クリーニングヘッド
36 ロボットハンド
40 ワークローダー
50 ワークオフローダー
60 ガイドレール
70 ロードハンド
80 オフロードハンド
90 スライダ
92 移動駒

Claims (7)

  1. 被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド金型の加工方法であって、
    前記モールド金型のキャビティの底面を含む金型面にレーザー光をフォーカスしながら照射し、照射位置を移動しながら微細な溝を多数形成して当該多数の溝を含む滑面を形成する工程を含むことを特徴とする樹脂モールド金型の加工方法。
  2. 被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド金型の加工方法であって、
    前記モールド金型のキャビティの底面を含む金型面にレーザー光のフォーカスが広がるように変位させて照射し、照射位置を移動しながら微細な凹凸部を含む滑面を形成する工程を含むことを特徴とする樹脂モールド金型の加工方法。
  3. 前記キャビティの底面にレーザー光のフォーカスが広がるように変位させて照射することで形成される凹部が並列配置若しくは千鳥配置になるようにレーザー光の照射位置を移動させる請求項2記載の樹脂モールド金型の加工方法。
  4. 被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド金型の加工方法であって、
    前記モールド金型のキャビティの内面にレーザー加工を施して平滑面を形成する工程と、
    前記平滑面に形成された金型面にめっき加工を施して金型表面にめっき粒を析出させて凹凸部を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする樹脂モールド金型の加工方法。
  5. 前記レーザー加工若しくはめっき加工により凹凸部が形成された金型面に離型剤を供給して凹部に滞留させる工程、を含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の樹脂モールド金型の加工方法。
  6. 前記凹凸部は、前記キャビティの底部の他に内側面、金型ゲート、金型ランナー、エアベント、金型カルの少なくともいずれかに形成されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の樹脂モールド金型の加工方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかの樹脂モールド金型の加工方法を用いて加工されたことを特徴とする樹脂モールド金型。
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