JP2012139417A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライバーショットの飛距離が大きいゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(f)金属化合物を含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、飛行性能に優れたゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ゴルフボールのコアの改良に関するものである。
ドライバーショットのゴルフボールの飛距離を伸ばす方法として、例えば、反発性の高いコアを用いる方法と、コアの中心から表面に向かって、硬度が高くなる硬度分布を有するコアを用いる方法がある。前者は、ゴルフボールの初速を高める効果があり、後者は、打出角を高くして、低スピンにする効果がある。高打出角および低スピンのゴルフボールは、飛距離が大きくなる。
コアの反発性を高める技術として、例えば、特許文献1〜4がある。特許文献1には、アクリル酸亜鉛を共架橋剤としてゴム100重量部に対して25〜45重量部配合するとき、共架橋助剤としてパルミチン酸、ステアリン酸またはミリスチン酸をアクリル酸亜鉛に対して5〜25重量%、共架橋助剤として酸化亜鉛をアクリル酸亜鉛に対して20重量%以上、反応速度遅延剤をアクリル酸亜鉛に対して1〜3重量%配合した内核を有し、ボールコンプレッションがPGA表示で80〜95であることを特徴とするソリッドゴルフボールが開示されている。
特許文献2には、基材ゴムに、充填材、有機過酸化物、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を必須成分とし、これに飽和又は不飽和脂肪酸の銅塩が配合されてなるゴム組成物の架橋成型物を構成要素とすることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
特許文献3には、ポリブタジエン及び他のエラストマーとのポリブタジエンの混合物からなる群より選択されたベースエラストマー、不飽和のモノカルボン酸の少なくとも一つの金属の塩、フリーラジカル開始剤、並びに、非共役ジエンの単量体を含む組成物から成形された、ゴルフボール、又はそれの構成成分が開示されている。
特許文献4には、ゴム材料に不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を混合した不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩のマスターバッチを予め作成し、このマスターバッチを使用して上記ゴム材料を含むゴム組成物を作成し、このゴム組成物の加熱成形物をゴルフボールの構成要素とするゴルフボールの製造方法であって、上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩のマスターバッチが、下記(A)〜(C)を含有することを特徴とするゴルフボールの製造方法が開示されている。
(A)ビニル含量0〜2%及びシス1,4−結合含量80%以上有し、かつ活性末端を有するポリブタジエンであって、その活性末端が少なくとも1種のアルコキシシラン化合物で変性される変性ポリブタジエン 20〜100質量%
(B)上記(A)ゴム成分以外のジエン系ゴム 80〜0質量%
[上記数字は、(A)と(B)との合計量を100とした場合の質量%を示す。]
(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩
例えば、特許文献5〜8は、硬度分布を有するコアを開示する。特許文献5には、基材ゴム、共架橋剤および有機過酸化物を含有するゴム組成物から形成されたコアと、カバーとからなるツーピースゴルフボールにおいて、該コアがJIS−C型硬度計による表示において、中心硬度1:58〜73、中心から5〜10mmでの硬度2:65〜75、中心から15mmでの硬度3:74〜82、表面硬度4:76〜84の硬度分布を有し、硬度2が硬度範囲内でほぼ一定で、かつ、その他が1<2<3≦4なる関係を満足するツーピースゴルフボールが開示されている。
特許文献6には、ソリッドコアと、これを被覆するカバー層とを具備するソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを60〜100質量%含むゴム基材100質量部に対して、有機硫黄化合物0.1〜5質量部、不飽和カルボン酸又はその金属塩、無機充填剤及び老化防止剤を含むゴム組成物から形成されると共に、ソリッドコアの初期荷重10kgfから終荷重130kgfまで負荷したときの変形量が2.0〜4.0mmであり、かつソリッドコアが下記表の硬度分布を有するゴルフボールが開示されている。
Figure 2012139417
特許文献7には、ソリッドコアと、これを被覆するカバー層とを具備するソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを60〜100質量部含むゴム基材100質量部に対して、有機硫黄化合物0.1〜5質量部、不飽和カルボン酸又はその金属塩、無機充填剤を含むゴム組成物から形成されると共に、ソリッドコアの初期荷重10kgfから終荷重130kgfまで負荷したときの変形量が2.0〜4.0mmであり、かつソリッドコアが下記表の硬度分布を有するソリッドゴルフボールが開示されている。
Figure 2012139417
特許文献8には、コアと、これを被覆する包囲層と、これを被覆する該中間層と、これを被覆し、表面に多数のディンプルが形成されたカバーとを備えたマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記コアがゴム材を主材として形成され、コアの中心からコア表面まで硬度が漸次増加し、コア中心とコア表面との硬度差がJIS−C硬度で15以上であり、かつコア中心から約15mm離れた位置とコア中心との断面硬度の平均値を(I)、コア中心から約7.5mm離れた位置の断面硬度を(II)とした場合、両硬度差(I)−(II)がJIS−C硬度で±2以内であると共に、上記の包囲層,中間層及びカバーの硬度が、カバー硬度>中間層硬度>包囲層硬度の条件を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
特開昭61−37178号公報 特開2008−212681号公報 特表2008−523952号公報 特開2009−119256号公報 特開平6−154357号公報 特開2008−194471号公報 特開2008−194473号公報 特開2010−253268号公報
本発明は、ドライバーショットの飛距離が大きいゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(f)金属化合物を含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
本発明は、上記のように構成されることにより、球状コアの硬度分布が、コア中心から表面に向かってほぼ直線的に増加するところに要旨がある。コア硬度分布が、コア中心から表面に向かってほぼ直線的に増加し、かつ、外剛内柔構造の度合が強くなることにより、ドライバースピン量が低下して、飛距離が大きくなる。また本発明では、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を必須成分として使用するため、コアの反発性が高くなる。これらの相乗作用の結果、本発明のゴルフボールは、ドライバーショットの飛距離が大きい。通常、コアの外剛内柔構造の度合が強くなると、反発性が低下する。しかし、本発明では、(d)カルボン酸および/またはその塩と(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物とを併用することにより、コア硬度分布がほぼ直線的に増加し、かつ、外剛内柔度合が強くなる上に、反発性がさらに向上する。
前記ゴム組成物から形成される球状コアの硬度分布が、コア中心から表面に向かってほぼ直線的に増加する理由は、以下のように考えられる。コアを成形する際のコア内部温度は、コア中心部で高く、コア表面に向かって低下する。基材ゴムの架橋反応の反応熱がコア中心部で溜まるからである。(d)前記カルボン酸および/またはその塩は、コア成形時において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩と反応する。すなわち、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩とカチオンを交換し、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩による金属架橋を切断する。このカチオンの交換反応は、温度が高いコア中心部において起こりやすく、表面にむかって起こりにくくなる。言い換えると、金属架橋の切断は、コア中心部において起こりやすく、表面に向かって起こりにくくなる。その結果、コア内部の架橋密度が、コア中心から表面に向かって高くなるので、コア硬度が、コア中心から表面に向かってほぼ直線的に増加するものと考えられる。本発明では、(d)カルボン酸および/またはその塩とともに(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を用いることにより、硬度分布の勾配を制御することができ、コアの外剛内柔構造の度合を一層高めることができる。
本発明によれば、ドライバーショットの飛距離が大きいゴルフボールを提供することができる。
球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。 球状コアの硬度分布を示したグラフ。
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(f)金属化合物を含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする
まず、本発明で使用する基材ゴムについて説明する。(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
次に、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩について説明する。(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、共架橋剤として、ゴム組成物に配合されるものであり、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。本発明で使用するゴム組成物が、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合、ゴム組成物は、(f)金属化合物をさらに含有することが好ましい。ゴム組成物中で炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を金属化合物で中和することにより、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を使用する場合と実質的に同様の効果が得られるからである。また、共架橋剤として、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とその金属塩とを併用する場合においても(f)金属化合物を用いてもよい。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、アクリル酸亜鉛が好適である。なお、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が15質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が50質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
(c)架橋開始剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下である。0.2質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
本発明で使用し得る(d)カルボン酸および/またはその塩について説明する。本発明で使用する(d)カルボン酸および/またはその塩は、コア成形時にコア中心部において、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩による金属架橋を切断する作用を有するものと考えられる。(d)前記カルボン酸は、カルボキシル基を有する化合物であれば、特に限定されないが、共架橋剤として使用する(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸は含まれないものとする。
(d)前記カルボン酸は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩とカチオン成分を交換できるものであれば、脂肪族カルボン酸(本発明において、単に「脂肪酸」と称する場合がある)または芳香族カルボン酸のいずれであってもよい。前記カルボン酸としては、炭素数が4〜30のカルボン酸が好ましく、炭素数が9〜30のカルボン酸がより好ましく、炭素数が14〜28のカルボン酸がさらに好ましい。
前記脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであっても良いが、飽和脂肪酸であることが好ましい。前記脂肪酸の具体例としては、例えば、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ミリストレイン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、12−ヒドロキシステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、べヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、ネルボン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)、メリシン酸(C30)などを挙げることができる。前記脂肪酸は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記脂肪酸として好ましいのは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、または、オレイン酸である。
芳香族カルボン酸は、芳香環とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されない。芳香族カルボン酸の具体例としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘメミリット酸(ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸)、トリメリット酸(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、トリメシン酸(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、メロファン酸(ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸)、プレーニト酸(ベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボン酸)、ピロメリット酸(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、メリット酸(ベンゼンヘキサカルボン酸)、ジフェン酸(ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸)、トルイル酸(メチル安息香酸)、キシリル酸、プレーニチル酸(2,3,4−トリメチル安息香酸)、γ−イソジュリル酸(2,3,5−トリメチル安息香酸)、ジュリル酸(2,4,5−トリメチル安息香酸)、β−イソジュリル酸(2,4,6−トリメチル安息香酸)、α−イソジュリル酸(3,4,5−トリメチル安息香酸)、クミン酸(4−イソプロピル安息香酸)、ウビト酸(5−メチルイソフタル酸)、α−トルイル酸(フェニル酢酸)、ヒドロアトロパ酸(2−フェニルプロパン酸)、ヒドロケイ皮酸(3−フェニルプロパン酸)などを挙げることができる。
また、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基で置換された芳香族カルボン酸としては、例えば、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、アニス酸(メトキシ安息香酸)、クレソチン酸(ヒドロキシ(メチル)安息香酸)、o−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸)、m−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸)、p−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−5−メチル安息香酸)、o−ピロカテク酸(2,3−ジヒドロキシ安息香酸)、β−レソルシル酸(2,4−ジヒドロキシ安息香酸)、γ−レソルシル酸(2,6−ジヒドロキシ安息香酸)、プロトカテク酸(3,4−ジヒドロキシ安息香酸)、α−レソルシル酸(3,5−ジヒドロキシ安息香酸)、バニリン酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸)、イソバニリン酸(3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸)、ベラトルム酸(3,4−ジメトキシ安息香酸)、o−ベラトルム酸(2,3−ジメトキシ安息香酸)、オルセリン酸(2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸)、m−ヘミピン酸(4,5−ジメトキシフタル酸)、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、シリング酸(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸)、アサロン酸(2,4,5−トリメトキシ安息香酸)、マンデル酸(ヒドロキシ(フェニル)酢酸)、バニルマンデル酸(ヒドロキシ(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸)、ホモアニス酸((4−メトキシフェニル)酢酸)、ホモゲンチジン酸((2,5−ジヒドロキシフェニル)酢酸)、ホモプロトカテク酸((3,4−ジヒドロキシフェニル)酢酸)、ホモバニリン酸((4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸)、ホモイソバニリン酸((3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)酢酸)、ホモベラトルム酸((3,4−ジメトキシフェニル)酢酸)、o−ホモベラトルム酸((2,3−ジメトキシフェニル)酢酸)、ホモフタル酸(2−(カルボキシメチル)安息香酸)、ホモイソフタル酸(3−(カルボキシメチル)安息香酸)、ホモテレフタル酸(4−(カルボキシメチル)安息香酸)、フタロン酸(2−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、イソフタロン酸(3−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、テレフタロン酸(4−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、ベンジル酸(ヒドロキシジフェニル酢酸)、アトロラクチン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸)、トロパ酸(3−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸)、メリロット酸(3−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン酸)、フロレト酸(3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロカフェー酸(3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロフェルラ酸(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロイソフェルラ酸(3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロパン酸)、p−クマル酸(3−(4−ヒドロキシフェニル)アクリル酸)、ウンベル酸(3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸)、カフェー酸(3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸)、フェルラ酸(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アクリル酸)、イソフェルラ酸(3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)アクリル酸)、シナピン酸(3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)アクリル酸)などを挙げることができる。
(d)前記カルボン酸塩としては、上述したカルボン酸の塩を用いることできる。カルボン酸塩のカチオン成分としては、金属イオンおよび有機陽イオンのいずれであってもよい。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの二価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記有機陽イオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオンが挙げられる。前記有機アンモニウムイオンとしては、例えば、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオンなどの1級アンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンなどの2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンなどの3級アンモニウムイオン;ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの有機陽イオンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(d)前記カルボン酸塩としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、または、オレイン酸のカリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が特に好ましい。
(d)前記カルボン酸および/またはその塩の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは7.5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上で、特に好ましくは12質量部以上あって、40質量部または40質量部未満が好ましく、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以下である。5質量部未満では、(d)カルボン酸および/またはその塩を添加した効果が十分ではなく、コア硬度分布の直線性が低下するおそれがある。また、含有量が40質量部を超えると、得られるコアの硬度が全体的に低下して、反発性が低下するおそれがある。
(d)前記カルボン酸および/またはその塩として、カルボン酸塩のみを使用する場合には、カルボン酸塩の含有量を以下のようにすることがさらに好ましい。(d)前記カルボン酸塩の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは12質量部以上であって、40質量部未満が好ましく、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以下である。(d)カルボン酸塩の含有量が10質量部未満では、(d)カルボン酸塩を添加した効果が十分ではなく、コア硬度分布の直線性が低下するおそれがある。また、含有量が40質量部以上になると、得られるコアの硬度が全体的に低下して、反発性が低下するおそれがある。
なお、共架橋剤として使用されるアクリル酸亜鉛の表面は、ゴムへの分散性を向上するためにステアリン酸またはステアリン酸亜鉛で処理されている場合がある。このようなステアリン酸またはステアリン酸亜鉛で表面処理されたアクリル酸亜鉛を使用する場合、本発明では、表面処理剤であるステアリン酸またはステアリン酸亜鉛の量が(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量に含まれるものとする。例えば、ステアリン酸またはステアリン酸亜鉛の表面処理量が10質量%であるアクリル酸亜鉛を25質量部用いた場合には、ステアリン酸またはステアリン酸亜鉛の量が2.5質量部であり、アクリル酸亜鉛の量が22.5質量部とし、(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量として、2.5質量部を計上する。
次に、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物について説明する。(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を使用することにより、コア硬度分布の略直線性を維持しつつ、コアの外剛内柔構造の度合が強まる。(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物としては、分子内にナフタレン環と硫黄原子を有する有機化合物であれば、特に限定されず、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チオカルボン類、ジチオカルボン類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類またはこれらの金属塩などを挙げることができる。
前記金属塩としては、ナトリウム、カリウム、銅(I)、銀(I)などの1価の金属塩、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン(II)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、ジルコニウム(II)、スズ(II)などの2価の金属塩が挙げられる。
(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物としては、チオナフトール類またはその金属塩が好ましい。チオナフトール類としては、例えば、2−ナフタレンチオール、1−ナフタレンチオール、2−クロロ−1−ナフタレンチオール、2−ブロモ−1−ナフタレンチオール、2−フルオロ−1−ナフタレンチオール、2−シアノ−1−ナフタレンチオール、2−アセチル−1−ナフタレンチオール、1−クロロ−2−ナフタレンチオール、1−ブロモ−2−ナフタレンチオール、1−フルオロ−2−ナフタレンチオール、1−シアノ−2−ナフタレンチオール、1−アセチル−2−ナフタレンチオール、または、これらの金属塩を挙げることができ、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオール、または、これらの亜鉛塩が好ましい。
(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。0.05質量部未満では、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、5.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
特に、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物として、チオナフトール類を用いる場合には、チオナフトール類の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、2.0質量部以下が好ましく、より好ましくは1.5質量部以下である。0.05質量部未満では、チオナフトール類を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、2.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
本発明に用いられるゴム組成物は、さらに、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。また上述したように、本発明で使用するゴム組成物が、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合、ゴム組成物は、(f)金属化合物をさらに含有することが好ましい。
(f)前記金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。(f)前記金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。これらの中でも、(f)金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。これらの(f)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記老化防止剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
本発明で使用するゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を混合して、混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
本発明のゴルフボールが有する球状コアは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。球状コアは、例えば、130℃〜200℃、圧力2.9MPa〜11.8MPaで10分間〜60分間の条件、あるいは、130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間の2段階で加熱する条件で成形することができる。本発明では、球状コアが所望の硬度分布を有するように成形条件を選択することが好ましい。
前記球状コアは、コア半径を12.5%間隔で等分した9点で測定した硬度と、コア中心からの距離とをプロットしたときに、最小二乗法によって求めた線形近似曲線のRが0.95以上であることが好ましい。すなわち、コア中心からの距離が0%(コア中心)、12.5%、25%、37.5%、50%、62.5%、75%、87.5%、100%(コア表面)の9点において、JIS−C硬度を測定する。次に、上記のように測定されたJIS−C硬度を縦軸とし、コア中心からの距離(%)を横軸として、測定結果をプロットしてグラフを作成する。本発明では、このプロットから最小二乗法により求めた線形近似曲線のRが、0.95以上であることが好ましい。最小二乗法によって求めた線形近似曲線のRは、得られたプロットの直線性を指標するものである。Rが0.95以上であれば、球状コアの硬度分布が略直線であることを意味する。本発明では、球状コアの任意の半径を12.5%間隔で等分した9点でJIS−C硬度を測定しているので、コア硬度分布の直線性の精度が極めて高くなる。硬度分布が略直線状である球状コアを用いたゴルフボールは、ドライバーショットのスピン量が低下する。その結果、ドライバーショットの飛距離が大きくなる。前記線形近似曲線のRは、0.96以上がより好ましい。直線性が高まることによって、ドライバーショットの飛距離がより大きくなる。
前記球状コアの表面硬度Hsと中心硬度H0との硬度差(Hs−H0)は、JIS−C硬度で、15以上が好ましく、18以上がより好ましく、22以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下がさらに好ましい。コア表面とコア中心の硬度差が大きいと、高打出角および低スピンの飛距離が大きいゴルフボールが得られる。
球状コアの中心硬度H0は、JIS−C硬度で、30以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上である。球状コアの中心硬度H0がJIS−C硬度で30未満であると、軟らかくなりすぎて反発性が低下する場合がある。また、球状コアの中心硬度H0は、JIS−C硬度で70以下であることが好ましく、より好ましくは65以下である。前記中心硬度H0がJIS−C硬度で70を超えると、硬くなり過ぎて、打球感が低下する傾向があるからである。
球状コアの表面硬度Hsは、JIS−C硬度で、78以上が好ましく、より好ましくは80以上であり、100以下が好ましく、より好ましくは95以下、さらに好ましくは90以下である。前記球状コアの表面硬度を、JIS−C硬度で78以上とすることにより、球状コアが軟らかくなり過ぎることがなく、良好な反発性が得られる。また、前記球状コアの表面硬度をJIS−C硬度で100以下とすることにより、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.8mm以上、6.0mm以下が好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
本発明のゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらのなかでも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記アイオノマー樹脂は、単独で若しくは2種以上を混合して使用しても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が向上する。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、ドライバーショットでは、本発明のコアにより、高飛距離化がはかれるとともに、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、上記範囲内であれば、同一あるいは異なっても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.5mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下好ましく、40μm以下より好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.8mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.8mm以下であり、さらに好ましくは3.6mm以下である。前記圧縮変形量が2.5mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
本発明のゴルフボールの構造は、球状コアと、前記球状コアを被覆する一層以上のカバーとを有するものであれば、特に限定されない。球状コアは、単層構造であることが好ましい。単層構造の球状コアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。また、カバーは、一層以上の構造であればよく、単層構造、あるいは、少なくとも二層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のゴルフボールとしては、例えば、球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された単層のカバーとからなるツーピースゴルフボール;球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された二層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む);球状コアと前記球状コアの周囲に設けられた糸ゴム層と、前記糸ゴム層を被覆するように配設されたカバーとを有する糸巻きゴルフボールなどを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)圧縮変形量(mm)
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(2)反発係数
各コアまたはゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびコアまたはゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各コアまたはゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各コアまたはゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのコアまたはゴルフボールの反発係数とした。反発係数は、ゴルフボールNo.1〜No.13については、ゴルフボールNo.13を基準として、ゴルフボールNo.14〜No.26については、ゴルフボールNo.16を基準として、反発係数の差で示した。
(3)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(4)コア硬度分布(JIS−C硬度)
スプリング式硬度計JIS−C型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、コアの表面部において測定したJIS−C硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定した。なお、JIS−C硬度は、中心から所定の距離の4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。
(5)ドライバー飛距離(m)およびスピン量(rpm)
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(SRIスポーツ社製、XXIO S ロフト11°)を取り付け、ヘッドスピード40m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃直後のゴルフボールのスピン速度、ならびに飛距離(発射始点から静止地点までの距離)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。なお、打撃直後のゴルフボールのスピン速度は、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって測定した。ドライバー飛距離およびスピン量は、ゴルフボールNo.1〜No.13については、ゴルフボールNo.13を基準として、ゴルフボールNo.14〜No.26については、ゴルフボールNo.16を基準として、ドライバー飛距離およびスピン量の差で示した。
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表3〜表6に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状コアを得た。得られた球状コアNo.1〜No.26の硬度分布を図1〜図12に示した。
Figure 2012139417
Figure 2012139417
Figure 2012139417
Figure 2012139417
BR730:JSR社製、ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
サンセラーSR:三新化学工業社製アクリル酸亜鉛(10質量%ステアリン酸コーティング品)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製「硫酸バリウムBD」、最終的に得られるゴルフボールの質量が45.4gとなるように調整した。
2−チオナフトール:東京化成工業社製
ステアリン酸:日油社製
ステアリン酸亜鉛:和光純薬工業社製
ミリスチン酸:東京化成工業社製(純度99.2%)
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
(2)カバーの作製
次に、表7に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボールを作製した。カバー用組成物としては、ショアD硬度が50以上のカバー用組成物を用いてディスタンス系ゴルフボールNo.1〜No.13を作製し、ショアD硬度が50未満のカバー用組成物を用いてスピン系ゴルフボールNo.14〜No.26を作製した。
Figure 2012139417
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1855:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸−イソブチルアクリレート共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1856:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸−イソブチルアクリレート共重合体系アイオノマー樹脂
エラストランXNY85A:BASFジャパン社製熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY97A:BASFジャパン社製熱可塑性ポリウレタンエラストマー
表3〜6の結果から、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(f)金属化合物を含有するゴム組成物から形成されているゴルフボールは、ドライバースピン量が低く、飛距離が大きいことが分かる。
本発明のゴルフボールは、ドライバーショットの飛距離が大きい。

Claims (9)

  1. 球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)カルボン酸および/またはその塩、および、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(f)金属化合物を含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(d)カルボン酸および/またはその塩を5質量部〜40質量部含有する請求項2に記載のゴルフボール。
  3. 前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(e)ナフタレン環を有する有機硫黄化合物を0.05質量部〜5質量部含有する請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記ゴム組成物は、(e)ナフタンレン環を有する有機硫黄化合物として、チオナフトール類を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、チオナフトール類を0.05質量部〜2質量部含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記ゴム組成物は、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. (d)前記カルボン酸および/またはその塩は、脂肪酸および/または脂肪酸塩である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  8. (d)前記カルボン酸および/またはその塩は、炭素数が4〜30のカルボン酸および/またはその塩である請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  9. 前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を15質量部〜50質量部含有するものである請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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