JP5924948B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、コアとカバーとを備えており、このカバーが2以上の層を有するゴルフボールに関する。
ゴルフボールに対するゴルファーの最大の要求は、飛行性能である。ゴルファーは、特にドライバーでのショットにおける飛行性能を重視する。飛行性能は、ゴルフボールの反発性能と相関する。反発性能に優れたゴルフボールが打撃されると、速い速度で飛行し、大きな飛距離が達成される。
ゴルファーは、ゴルフボールのスピン性能も重視する。バックスピンの速度が大きいと、ランが小さい。ゴルファーにとって、バックスピンのかかりやすいゴルフボールは、目標地点に静止させやすい。サイドスピンの速度が大きいと、ゴルフボールは曲がりやすい。ゴルファーにとって、サイドスピンのかかりやすいゴルフボールは、意図的に曲げやすい。スピンがかかりやすいゴルフボールは、コントロール性能に優れている。上級ゴルファーは、特にショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能を重視する。
反発性能に優れたコアを備えたゴルフボールが、特開昭61−37178号公報、特開2008−212681公報、特表2008−523952公報及び特開2009−119256公報に記載されている。
特開昭61−37178号公報に記載されたコアは、共架橋剤及び架橋助剤を含むゴム組成物から得られる。この公報には、架橋助剤として、パルミチン酸、ステアリン酸及びミリスチン酸が記載されている。
特開2008−212681公報に記載されたコアは、有機過酸化物、α,β−不飽和カルボン酸金属塩及び脂肪酸銅塩を含むゴム組成物から得られる。
特表2008−523952公報に記載されたコアは、不飽和モノカルボン酸の金属塩、フリーラジカル開始剤及び非共役ジエン単量体を含むゴム組成物から得られる。
特開2009−119256公報に記載されたコアは、ビニル含量が2%以下であり、シス1,4−結合含量が80%以上であり、活性末端を有し、この活性末端がアルコキシシラン化合物で変性されたポリブタジエンを含むゴム組成物から得られる。
大きな飛距離が達成されるには、適度な弾道高さが必要である。弾道高さは、スピン速度及び打ち出し角度に依存する。大きなスピン速度によって高い弾道を達成するゴルフボールでは、飛距離が不十分である。大きな打ち出し角度によって高い弾道を達成するゴルフボールでは、大きな飛距離が得られる。ゴルフボールに外剛内柔構造が採用されることにより、小さなスピン速度と大きな打ち出し角度とが達成されうる。コアの硬度分布に関する工夫が、特開平6−154357号公報、特開2008−194471公報及び特開2008−194473公報に記載されている。
特開平6−154357号公報に記載されたコアでは、中心のJIS−C硬度H1は58から73であり、中心からの距離が5mm以上10mm以下である領域のJIS−C硬度H2は65以上75以下であり、中心からの距離が15mmである地点のJIS−C硬度H3は74以上82以下であり、表面のJIS−C硬度H4は76以上84以下である。硬度H2は硬度H1より大きく、硬度H3は硬度H2より大きく、硬度H4は硬度H3と同じか大きい。
特開2008−194471公報に記載されたコアでは、中心のショアD硬度度は30以上48以下であり、中心からの距離が4mmである地点のショアD硬度は34以上52以下であり、中心からの距離が8mmである地点のショアD硬度は40以上58以下であり、中心からの距離が12mmである地点のショアD硬度は43以上61以下であり、表面からの距離が2mm以上3mm以下である領域のショアD硬度は36以上54以下であり、表面のショアD硬度は41以上59以下である。
特開2008−194473公報に記載されたコアでは、中心のショアD硬度は25以上45以下であり、中心からの距離が5mm以上10mm以下である領域のショアD硬度は39以上58以下であり、中心からの距離が15mmである地点のショアD硬度は36以上55以下であり、表面のショアD硬度は55以上75以下である。
特開2010−253268公報には、コア、包囲層、中間層及びカバーを備えたゴルフボールが記載されている。このコアでは、中心から表面に向かって、硬度が漸次増加する。表面のJIS−C硬度と中心のJIS−C硬度との差は、15以上である。カバーの硬度は中間層の硬度よりも大きく、中間層の硬度は包囲層の硬度よりも大きい。
特開昭61−37178号公報 特開2008−212681号公報 特表2008−523952号公報 特開2009−119256号公報 特開平6−154357号公報 特開2008−194471号公報 特開2008−194473号公報 特開2010−253268号公報
ゴルファーは、ゴルフボールの打球感も重視する。ゴルファーは、ソフトな打球感を好む。打球感には、改良の余地がある。ゴルファーはさらに、ロングアイアンでのショットにおけるスピン速度の安定性及び飛距離の安定性も重視する。ゴルファーは、スピン速度及び飛距離が、クラブヘッド打点及び実効ロフト角の影響を受けにくいゴルフボールを望んでいる。スピン速度及び飛距離の安定性には、改良の余地がある。本発明の目的は、打球感並びにスピン速度及び飛距離の安定性に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、その半径がR(mm)であるコアと、このコアの外側に位置しており2以上の層を有するカバーとを備える。横軸がコアの中心点からの距離(mm)であり、縦軸がJIS−C硬度であるグラフに、カバーのそれぞれの層の厚み方向中点がプロットされて得られる線形近似曲線が、下記数式(I)で表されるとき、コアの表面のJIS−C硬度Hsは、硬度HL(R)よりも大きい。
HL(X) = A ・ X + B (I)
この数式において、Xは上記コアの中心点からの距離(mm)を表し、HL(X)はJIS−C硬度を表し、A及びBはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。好ましくは、硬度Hsと硬度HL(R)との差は、1.0以上である。
横軸が上記コアの中心点からの距離(mm)であり、縦軸がJIS−C硬度であるグラフに、コアの表面から中心点に向かって5.0mm及び2.5mである点、並びにコア表面の3点がプロットされて得られる線形近似曲線が、下記数式(II)で表されるとき、好ましくは、比(A/a)は4.0よりも大きい。
HC(x) = a ・ x + b (II)
この数式において、xは上記コアの中心点からの距離(mm)を表し、HC(x)はJIS−C硬度を表し、a及びbはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。
好ましくは、カバーの最も外側の層のJIS−C硬度は、ゴルフボールの他のいずれの部位のJIS−C硬度よりも大きい。好ましくは、カバーの厚みは、2.5mm以下である。
コアは、ゴム組成物が架橋されることで成形されうる。好ましくは、このゴム組成物は、
(a)基材ゴム、
(b)共架橋剤、
(c)架橋開始剤、
及び
(d)カルボン酸塩
を含む。共架橋剤(b)は、
(b1)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸
又は
(b2)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸の金属塩
である。
好ましくは、このゴム組成物は、100質量部の基材ゴム(a)に対して1質量部以上40質量部未満のカルボン酸塩(d)を含む。好ましいカルボン酸塩(d)は、脂肪酸塩である。好ましくは、カルボン酸塩(d)のカルボン酸成分の炭素数は、4以上30以下である。
好ましくは、このゴム組成物は、
(e)有機硫黄化合物
をさらに含む。好ましい有機硫黄化合物(e)は、チオフェノール類、硫黄数が2以上4以下であるポリスルフィド類、チオナフトール類若しくはチウラム類又はこれらの金属塩である。
このゴム組成物が、α,β−不飽和カルボン酸(b1)を含むとき、このゴム組成物は、
(f)金属化合物
をさらに含む。
好ましくは、このゴム組成物は、100質量部の基材ゴム(a)に対して15質量部以上50質量部以下の共架橋剤(b)を含む。好ましくは、このゴム組成物は、100質量部の基材ゴム(a)に対して0.2質量部以上5.0質量部以下の架橋開始剤(c)を含む。好ましくは、このゴム組成物は、100質量部の基材ゴム(a)に対して0.05質量部以上5質量部以下の有機硫黄化合物(e)を含む。
好ましくは、硬度Hsとコアの中心点のJIS−C硬度H(0)との差(Hs−H(0))は、15以上である。好ましくは、カバーの、最も外側の層のJIS−C硬度Hoと最も内側の層のJIS−C硬度Hiとの差(Ho−Hi)は、5以上30以下である。
本発明に係るゴルフボールでは、コアの表面近傍の硬度とカバー硬度との関係が適正である。このゴルフボールは、打球感に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。 図2は、図1のゴルフボールのコアの硬度が示されたグラフである。 図3は、図1のゴルフボールのカバーの硬度が示されたグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置するカバー6とを備えている。このカバー6は、内側カバー8と、外側カバー10とからなる。このカバー6は、2層構造を有する。外側カバー10の表面には、多数のディンプル12が形成されている。ゴルフボール2の表面のうちディンプル12以外の部分は、ランド14である。このゴルフボール2は、外側カバー10の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
本明細書において「コア4」とは、ゴム組成物が架橋されることで成形された球状の部位を意味する。本発明において「カバー6」とは、コア4の外側に位置しており、樹脂組成物から成形された部位を意味する。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特により好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明では、以下の9の測定点において、JIS−C硬度が測定される。これらの測定点の、コア4の中心点からの距離は、以下の通りである。
第一点 0.0mm(中心点)
第二点 2.5mm
第三点 5.0mm
第四点 7.5mm
第五点 10.0mm
第六点 12.5mm
第七点 15.0mm
第八点 17.5mm
第九点 表面
コア4が切断されて得られる半球の切断面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、第一点から第八点の硬度が測定される。球状のコア4の表面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、第九点の硬度が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
本発明では、コア4の中心点からの距離がLmmである測定点のJIS−C硬度は、H(L)で表される。コア4の中心点の硬度はH(0)と表される。コア4の表面硬度は、Hsと表される。
本発明では、コア4の内部の点であって、このコア4の表面からの距離がLmmである測定点のJIS−C硬度は、Hs(−L)で表される。距離Lは、コア4の表面からコア4の中心点に向かう線に沿って測定される。コア4の表面から2.5mmである点の硬度はHs(−2.5)と表され、コア4の表面から5.0mmである点の硬度はHs(−5.0)と表される。コア4が切断されて得られる半球の切断面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、Hs(−5.0)及びHs(−2.5)が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。本実施形態では、Hs(−5.0)は75.6であり、Hs(−2.5)は79.2であり、Hsは83.4である。
図2は、図1のゴルフボール2のコア4の硬度分布の一部が示された散布図である。このグラフの横軸は、コア4の中心点からの距離(mm)である。このグラフの縦軸は、JIS−C硬度である。このグラフには、コア4の表面からの距離Lが5.0mm及び2.5mmである点、並びにコア4の表面の3点がプロットされている。
図2には、3の測定点の距離と硬度とに基づいて、最小二乗法によって得られた線形近似曲線も示されている。この線形近似曲線は、下記数式(II)で表される。
HC(x) = a ・ x + b (II)
この数式において、xはコア4の中心点からの距離(mm)を表し、HC(x)はJIS−C硬度を表し、a及びbはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。本実施形態では、傾きaは1.56であり、切片bは52.40である。
前述の通り、カバー6は、内側カバー8と外側カバー10とからなる。換言すれば、カバー6の最も内側の層は、内側カバー8である。この最も内側の層のJIS−C硬度は、Hiで表される。硬度Hiは、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「P1」)に取り付けられたJIS−C型硬度計によって測定される。測定には、熱プレスで成形された、厚みが約2mmであるスラブが用いられる。23℃の温度下に2週間保管されたスラブが、測定に用いられる。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。内側カバー8の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。
カバー6の最も外側の層は、外側カバー10である。この最も外側の層のJIS−C硬度は、Hoで表される。硬度Hoは、硬度Hiと同等の方法で測定される。測定には、外側カバー10の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。
図3は、図1のゴルフボール2のカバー6の硬度分布の一部が示された散布図である。このグラフの横軸は、コア4の中心点からの距離(mm)である。このグラフの縦軸は、JIS−C硬度である。前述の通り、カバー6は2層構造を有する。従って、図3のグラフには、内側カバー8の点と外側カバー10の点との2点が、プロットされている。カバー6のそれぞれの層のコア4の中心点からの距離は、この層の厚み方向中点とコア4の中心点との距離である。
図3には、2の測定点の距離と硬度とに基づいて、最小二乗法によって得られた線形近似曲線も示されている。この線形近似曲線は、下記数式(I)で表される。
HL(X) = A ・ X + B (I)
この数式において、Xはコア4の中心点からの距離(mm)を表し、HL(X)はJIS−C硬度を表し、A及びBはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。本実施形態では、傾きAは8.75であり、切片Bは−91.31である。
カバー6が3の層を有するゴルフボール2では、3の測定点に基づいて、線形近似曲線が得られる。カバー6が4の層を有するゴルフボール2では、4の測定点に基づいて、線形近似曲線が得られる。カバー6が5の層を有するゴルフボール2では、5の測定点に基づいて、線形近似曲線が得られる。カバー6が6の層を有するゴルフボール2では、6の測定点に基づいて、線形近似曲線が得られる。
コア4の表面のJIS−C硬度Hsは、硬度HL(R)よりも大きい。ここでRは、コア4の半径(mm)を表す。従って、硬度HL(R)は、上記数式(I)で表される線形近似曲線の上の、仮想された硬度である。硬度Hsが硬度HL(R)よりも大きいゴルフボール2は、打球感に優れている。このゴルフボール2では、ソフトな打球感が得られる。その理由は、コア4とカバー6との境界において衝撃が吸収されるためと推測される。このゴルフボール2はさらに、ロングアイアンでのショットにおけるスピン速度及び飛距離の安定性に優れている。
打球感並びにスピン速度及び飛距離の安定性の観点から、硬度Hsと硬度HL(R)との差(Hs−HL(R))は1.0以上が好ましく、1.9以上が特に好ましい。ゴルフボール2の製造の容易の観点から、差(Hs−HL(R))は40以下が好ましい。
上記数式(I)で表される線形近似曲線の傾きAの、上記数式(II)で表される線形近似曲線の傾きaに対する比(A/a)は、4.0よりも大きいことが好ましい。換言すれば、傾きaに比して傾きAが十分に大きいことが好ましい。比(A/a)が4.0より大きいゴルフボール2は打球感に優れている。このゴルフボール2では、ソフトな打球感が得られる。その理由は、内側カバー8において衝撃が吸収されるためと推測される。このゴルフボール2はさらに、ロングアイアンでのショットにおけるスピン速度及び飛距離の安定性に優れている。
打球感並びにスピン速度及び飛距離の安定性の観点から、比(A/a)は4.3以上がより好ましく、4.8以上が特に好ましい。ゴルフボール2の製造の容易の観点から、比(A/a)は20以下が好ましい。
打球感並びにスピン速度及び飛距離の安定性の観点から、傾きAは6.5以上が好ましい。カバー6の製造の容易の観点から、傾きAは30以下が好ましい。
線形近似曲線(II)の算出において、コア4の表面から中心点に向かって5.0mm及び2.5mmである点、並びにコア4表面の3点が選択される理由は、カバー6の硬度分布と、コア4のうちカバー6に近い部位の硬度分布とが対比されるためである。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることで成形されている。このゴム組成物は、
(a)基材ゴム、
(b)共架橋剤、
(c)架橋開始剤
及び
(d)カルボン酸塩
を含んでいる。
基材ゴム(a)として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされることが好ましい。具体的には、基材ゴム全量に対するポリブタジエンの量の比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。ポリブタジエンにおけるシス−1,4結合の比率は40質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
1,2−ビニル結合の比率が2.0質量%以下であるポリブタジエンが好ましい。このポリブタジエンは、ゴルフボール2の反発性能に寄与しうる。この観点から、1,2−ビニル結合の比率は1.7質量%以下が好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
1,2−ビニル結合の比率が少なく、かつ重合活性に優れたポリブタジエンが得られるとの観点から、希土類元素系触媒で合成されたポリブタジエンが好ましい。特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジムを含む触媒で合成されたポリブタジエンが好ましい。
好ましい共架橋剤(b)として、
(b1)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸
及び
(b2)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸の金属塩
が例示される。
ゴム組成物が、共架橋剤(b)として、α,β−不飽和カルボン酸(b1)のみを含んでもよく、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)のみを含んでもよい。ゴム組成物が、共架橋剤(b)として、α,β−不飽和カルボン酸(b1)とα,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)との両方を含んでもよい。
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)は、基材ゴムの分子鎖にグラフト重合することにより、ゴム分子を架橋する。ゴム組成物が、α,β−不飽和カルボン酸(b1)を含む場合、このゴム組成物は、金属化合物(f)をさらに含むことが好ましい。この金属化合物(f)は、ゴム組成物中でα,β−不飽和カルボン酸(b1)と反応する。この反応によって得られた塩が、基材ゴムの分子鎖にグラフト重合する。
金属化合物(f)の例として、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム及び水酸化銅のような金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛及び酸化銅のような金属酸化物;並びに炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム及び炭酸カリウムのような金属炭酸化物が挙げられる。二価金属を含む化合物が、好ましい。二価金属を含む化合物は、共架橋剤(b)と反応して、金属架橋を形成する。特に好ましい金属化合物(f)は、亜鉛化合物である。2種以上の金属化合物が併用されてもよい。
α,β−不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びクロトン酸が例示される。α,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)における金属成分として、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、カドミウムイオン、アルミニウムイオン、錫イオン及びジルコニウムイオンが例示される。α,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)が、2種以上のイオンを含んでもよい。ゴム分子間の金属架橋が生じやすいとの観点から、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン及びカドミウムイオンのような、二価の金属イオンが好ましい。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸の金属塩(b2)は、アクリル酸亜鉛である。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤(b)の量は、基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上が特に好ましい。打球感の観点から、この量は50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
好ましい架橋開始剤(c)は、有機過酸化物である。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。汎用性の観点から、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、架橋開始剤(c)の量は、基材ゴム100質量部に対して0.2質量部以上が好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感及び耐久性の観点から、この量は、5.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
本発明では、カルボン酸塩(d)の概念には、共架橋剤(b)は含まれない。カルボン酸塩(d)のカルボン酸成分は、カルボキシル基を有する。後述されるように、このカルボン酸成分は、共架橋剤(b)との間で、カチオン成分を交換する。
カルボン酸塩(d)のカルボン酸成分の炭素数は、4以上30以下が好ましい。カルボン酸塩としては、脂肪族カルボン酸の塩(脂肪酸塩)及び芳香族カルボン酸の塩が例示される。脂肪酸塩が、好ましい。ゴム組成物が、飽和脂肪酸の塩を含んでもよく、不飽和脂肪酸の塩を含んでもよい。飽和脂肪酸の塩が好ましい。
脂肪酸として、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(オクタン酸)(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(デカン酸)(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ミリストレイン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、12−ヒドロキシステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、べヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、ネルボン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)及びメリシン酸(C30)が例示される。2種以上の脂肪酸が併用されてもよい。
芳香族カルボン酸は、芳香環とカルボキシル基とを有する。芳香族カルボン酸として、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘメミリット酸(ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸)、トリメリット酸(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、トリメシン酸(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、メロファン酸(ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸)、プレーニト酸(ベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボン酸)、ピロメリット酸(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、メリット酸(ベンゼンヘキサカルボン酸)、ジフェン酸(ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸)、トルイル酸(メチル安息香酸)、キシリル酸、プレーニチル酸(2,3,4−トリメチル安息香酸)、γ−イソジュリル酸(2,3,5−トリメチル安息香酸)、ジュリル酸(2,4,5−トリメチル安息香酸)、β−イソジュリル酸(2,4,6−トリメチル安息香酸)、α−イソジュリル酸(3,4,5−トリメチル安息香酸)、クミン酸(4−イソプロピル安息香酸)、ウビト酸(5−メチルイソフタル酸)、α−トルイル酸(フェニル酢酸)、ヒドロアトロパ酸(2−フェニルプロパン酸)及びヒドロケイ皮酸(3−フェニルプロパン酸)が例示される。
ゴム組成物が、ヒドロキシル基、アルコキシ基又はオキソ基で置換された芳香族カルボン酸塩を含んでもよい。このカルボン酸としては、サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)、アニス酸(メトキシ安息香酸)、クレソチン酸(ヒドロキシ(メチル)安息香酸)、o−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸)、m−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸)、p−ホモサリチル酸(2−ヒドロキシ−5−メチル安息香酸)、o−ピロカテク酸(2,3−ジヒドロキシ安息香酸)、β−レソルシル酸(2,4−ジヒドロキシ安息香酸)、γ−レソルシル酸(2,6−ジヒドロキシ安息香酸)、プロトカテク酸(3,4−ジヒドロキシ安息香酸)、α−レソルシル酸(3,5−ジヒドロキシ安息香酸)、バニリン酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸)、イソバニリン酸(3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸)、ベラトルム酸(3,4−ジメトキシ安息香酸)、o−ベラトルム酸(2,3−ジメトキシ安息香酸)、オルセリン酸(2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸)、m−ヘミピン酸(4,5−ジメトキシフタル酸)、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、シリング酸(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸)、アサロン酸(2,4,5−トリメトキシ安息香酸)、マンデル酸(ヒドロキシ(フェニル)酢酸)、バニルマンデル酸(ヒドロキシ(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸)、ホモアニス酸((4−メトキシフェニル)酢酸)、ホモゲンチジン酸((2,5−ジヒドロキシフェニル)酢酸)、ホモプロトカテク酸((3,4−ジヒドロキシフェニル)酢酸)、ホモバニリン酸((4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸)、ホモイソバニリン酸((3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)酢酸)、ホモベラトルム酸((3,4−ジメトキシフェニル)酢酸)、o−ホモベラトルム酸((2,3−ジメトキシフェニル)酢酸)、ホモフタル酸(2−(カルボキシメチル)安息香酸)、ホモイソフタル酸(3−(カルボキシメチル)安息香酸)、ホモテレフタル酸(4−(カルボキシメチル)安息香酸)、フタロン酸(2−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、イソフタロン酸(3−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、テレフタロン酸(4−(カルボキシカルボニル)安息香酸)、ベンジル酸(ヒドロキシジフェニル酢酸)、アトロラクチン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸)、トロパ酸(3−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸)、メリロット酸(3−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン酸)、フロレト酸(3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロカフェー酸(3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロフェルラ酸(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン酸)、ヒドロイソフェルラ酸(3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロパン酸)、p−クマル酸(3−(4−ヒドロキシフェニル)アクリル酸)、ウンベル酸(3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸)、カフェー酸(3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸)、フェルラ酸(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アクリル酸)、イソフェルラ酸(3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)アクリル酸)及びシナピン酸(3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)アクリル酸)が例示されうる。
カルボン酸塩のカチオン成分は、金属イオン又は有機陽イオンである。金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、銀イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、カドミウムイオン、銅イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、錫イオン、ジルコニウムイオン及びチタンイオンが例示される。2種以上のイオンが併用されてもよい。
有機陽イオンは、炭素鎖を有する陽イオンである。有機陽イオンとして、有機アンモニウムイオンが挙げられる。有機アンモニウムイオンとして、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン及び2−エチルヘキシルアンモニウムイオンのような1級アンモニウムイオン;ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン及びオクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンのような2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンのような3級アンモニウムイオン;並びにジオクチルジメチルアンモニウムイオン及びジステアリルジメチルアンモニウムイオンのような4級アンモニウムイオンが例示される。2種以上の有機陽イオンが併用されてもよい。
好ましいカルボン酸塩として、オクタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸のカリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩又はコバルト塩が例示される。特に好ましいカルボン酸塩は、ステアリン酸亜鉛及びオクタン酸亜鉛である。
コア4の硬度分布の直線性の観点から、カルボン酸塩(d)の量は、基材ゴム100質量部に対して1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、3.0質量部以上が特に好ましい。反発性能の観点から、この量は40質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
共架橋剤(b)として、アクリル酸亜鉛が好んで用いられている。ゴムへの分散性の向上を目的として、その表面がステアリン酸亜鉛でコーティングされているアクリル酸亜鉛が存在する。このアクリル酸亜鉛をゴム組成物が含む場合、ステアリン酸亜鉛がカルボン酸塩(d)として機能する。例えば、ステアリン酸亜鉛を10質量%含むアクリル酸亜鉛を、ゴム組成物が25質量部含む場合は、ステアリン酸亜鉛の量は2.5質量部とみなされ、アクリル酸亜鉛の量は22.5質量部とみなされる。
好ましくは、ゴム組成物は、有機硫黄化合物(e)をさらに含む。有機硫黄化合物(e)は、コア4の硬度分布の直線性と外剛内柔構造の程度との、コントロールに寄与しうる。有機硫黄化合物(e)として、チオール基又は硫黄数が2以上4以下であるポリスルフィド結合を有する有機化合物が挙げられる。この有機化合物の金属塩も、有機硫黄化合物(e)に含まれる。有機硫黄化合物(e)として、脂肪族チオール、脂肪族チオカルボン酸、脂肪族ジチオカルボン酸及び脂肪族ポリスルフィドのような脂肪族化合物;複素環式化合物;脂環式チオール、脂環式チオカルボン酸、脂環式ジチオカルボン酸及び脂環式ポリスルフィドのような脂環式化合物;並びに芳香族化合物が例示される。有機硫黄化合物(e)の具体例として、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チオカルボン類、ジチオカルボン類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類及びチアゾール類が挙げられる。好ましい有機硫黄化合物(e)は、チオフェノール類、チオナフトール類、硫黄数が2以上4以下であるポリスルフィド類及びチウラム類並びにこれらの金属塩である。
外剛内柔構造が得られやすいとの観点から、特に好ましい有機硫黄化合物(e)は、2−ナフタレンチオール、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド及び2,6−ジクロロチオフェノールである。
外剛内柔構造が得られやすいの観点から、有機硫黄化合物(e)の含有量は、基材ゴム100質量部に対して0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。反発性能の観点から、この量は5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が特に好ましい。
コア4に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤の量は、コア4の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、比重調整の役割のみならず、架橋助剤としても機能する。
コア4のゴム組成物には、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤、硫黄、加硫促進剤等が、必要に応じて添加される。このゴム組成物に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が分散してもよい。
コア4を加熱するとき、基材ゴムの架橋反応の反応熱は、コア4の中心近傍に溜まる。従って、コア4を加熱するとき、中心部の温度は高い。温度は、中心から表面に向かって漸減する。カルボン酸塩(d)は、共架橋剤(b)の金属塩と反応し、カチオンを交換する。この交換反応は、温度が高いコア4の中心部において起こりやすく、表面近傍において起こりにくい。換言すれば、金属架橋の切断は、コア4の中心の近傍において起こりやすく、表面近傍において起こりにくい。その結果、コア4の架橋密度が、内側から外側に向かって高くなる。このコア4では、内側から外側に向かって硬度が直線的に増加する。さらに、ゴム組成物がカルボン酸塩(d)と共に有機硫黄化合物(e)を含むことにより、硬度分布の勾配をコントロールすることができ、コア4の外剛内柔構造の程度を高めることができる。
このコア4では、中心点から表面に向かって、硬度が徐々に大きくなっている。表面硬度Hsと中心硬度H(0)との差(Hs−H(0))は、15以上が好ましい。差(Hs−H(0))が15以上であるコア4は、外剛内柔構造を有する。このゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、コア4におけるリコイル(ねじり戻り)が大きいので、スピンが抑制される。このコア4は、ゴルフボール2の飛行性能に寄与する。飛行性能の観点から、差(Hs−H(0))は20以上がより好ましく、28以上が特に好ましい。コア4が容易に成形されうるとの観点から、差(Hs−H(0))は50以下が好ましい。
コア4の中心点の硬度H(0)は、40.0以上70.0以下が好ましい。硬度H(0)が40.0以上であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度H(0)は45.0以上がより好ましく、50.0以上が特に好ましい。硬度H(0)が70.0以下であるコア4では、外剛内柔構造が達成されうる。このコア4を備えたゴルフボール2では、スピンが抑制されうる。この観点から、硬度H(0)は65.0以下がより好ましく、60.0以下が特に好ましい。
コア4の表面の硬度Hsは、75.0以上95.0以下が好ましい。硬度Hsが75.0以上であるコア4では、外剛内柔構造が達成されうる。このコア4を備えたゴルフボール2では、スピンが抑制されうる。この観点から、硬度Hsは80.0以上がより好ましく、82.0以上が特に好ましい。硬度Hsが96.0以下であるゴルフボール2は、耐久性に優れる。この観点から、硬度Hsは90.0以下がより好ましく、85.0以下が特に好ましい。
コア4の直径は、38.0mm以上41.5mm以下が好ましい。直径が38.0mm以上であるコア4により、ゴルフボール2の優れた反発性能が達成されうる。この観点から、直径は38.5mm以上がより好ましく、39.0mm以上が特に好ましい。直径が41.5mm以下であるコア4を有するゴルフボール2では、内側カバー8及び外側カバー10が十分な厚みを有しうる。内側カバー8及び外側カバー10の厚みが大きなゴルフボール2は、耐久性に優れる。この観点から、直径は41.0mm以下がより好ましく、40.5mm以下が特に好ましい。
打球感の観点から、コア4の圧縮変形量(comp’n)は3.0mm以上が好ましく、3.5mm以上が特に好ましい。反発性能の観点から、圧縮変形量は4.5mm以下が好ましく、4.0mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定には、YAMADA式コンプレッションテスターが用いられる。このテスターでは、コア4が金属製の剛板の上に置かれる。このコア4に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたコア4は、変形する。コア4に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、測定される。
内側カバー8には、樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド及びポリオレフィンが例示される。
特に好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。アイオノマー樹脂を含む内側カバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。内側カバー8に、アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合、基材ポリマーの主成分がアイオノマー樹脂であることが好ましい。具体的には、基材ポリマーの全量に対するアイオノマー樹脂の比率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンとアクリル酸との共重合体、及びエチレンとメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」、「ハイミランAM7329」、「ハイミランAM7337」、「ハイミランMK7320」及び「ハイミランMK7329」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。
内側カバー8に、2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。1価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂とが併用されてもよい。
アイオノマー樹脂と併用されうる好ましい樹脂は、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーである。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、アイオノマー樹脂との相溶性に優れる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物は、流動性に優れる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーを含む内側カバー8により、大きな傾きAが達成されうる。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の化合物が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
本発明において、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、オレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、アイオノマー樹脂との相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイが用いられることにより、ゴルフボール2の反発性能が向上する。好ましくは、炭素数が2以上10以下のオレフィンが用いられる。好適なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例としては、三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例としては、ダイセル化学工業社の商品名「エポフレンドA1010」及びクラレ社の商品名「セプトンHG−252」が挙げられる。
内側カバー8の樹脂組成物には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。
飛行性能の観点から、内側カバー8の硬度Hiは70以上が好ましく、73以上がより好ましく、76以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、硬度Hiは95以下が好ましく、90以下がより好ましく、87以下が特に好ましい。
打球感の観点から、内側カバー8の厚みは、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。飛行性能の観点から、内側カバー8の厚みは2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下が特に好ましい。
外側カバー10には、樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。内側カバー8に関して前述されたアイオノマー樹脂が、外側カバー10にも用いられうる。アイオノマー樹脂を含む外側カバー10を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。外側カバー10に、アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合、基材ポリマーの主成分がアイオノマー樹脂であることが好ましい。具体的には、基材ポリマーの全量に対するアイオノマー樹脂の比率は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
アイオノマー樹脂と併用されうる樹脂として、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン及びポリウレタンが例示される。
外側カバー10には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。
大きな傾きAが得られるとの観点から、外側カバー10の硬度Hoは85以上が好ましく、90以上がより好ましく、92以上が特に好ましい。打球感の観点から、硬度Hoは95以下が好ましい。スピンの抑制の観点から、カバー6の最も外側の層(外側カバー10)のJIS−C硬度が、ゴルフボール2の他のいずれの部位のJIS−C硬度よりも大きいことが好ましい。
打球感の観点から、外側カバー10の厚みは0.4mm以上が好ましく、0.6mm以上が特に好ましい。飛行性能の観点から、外側カバー10の厚みは2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下が特に好ましい。
外側カバー10の形成には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手法が採用されうる。外側カバー10の成形時に、成形型のキャビティ面に形成されたピンプルにより、ディンプル12が形成される。
カバー6の、最も外側の層(外側カバー10)の硬度Hoと最も内側の層(内側カバー8)の硬度Hiとの差(Ho−Hi)は、5以上が好ましい。この差(Ho−Hi)が5以上であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、この差(Ho−Hi)は7以上がより好ましく、9以上が特に好ましい。ゴルフボール2の製造の容易の観点から、この差(Ho−Hi)は30以下が好ましい。
カバー6の厚みは、2.5mm以下が好ましい。カバー6の厚みが2.5mm以下であるゴルフボール2では、コア4が十分に大きい。このコア4は、ゴルフボール2の反発性能に寄与しうる。この観点から、この厚みは2.2mm以下がより好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。カバー6の成形の容易の観点から、この厚みは0.6mm以上がより好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。カバー6の厚みは、カバー6の全ての層の厚みの合計である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、26質量部のアクリル酸亜鉛(三新化学工業社の商品名「サンセラーSR」)、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.2質量部の2−ナフタレンチオール、10質量部のステアリン酸亜鉛及び0.75質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で25分間加熱して、直径が39.5mmであるコアを得た。
40質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、20質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)及び6質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型にコアを投入した。樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに射出し、内側カバーを成形した。この内側カバーの厚みは、0.8mmであった。
5質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、10質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、55質量部のさらに他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、30質量部のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ニュクレルN1050H」)、3質量部の二酸化チタン(A220)及び0.2質量部のヒンダードアミン系光安定剤(チバ・ジャパン社の商品名「チヌビン770」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなり、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に、コア及び内側カバーからなる球を投入した。樹脂組成物を射出成形法にてこの球の周りに射出し、外側カバーを成形した。この外側カバーの厚みは、0.8mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が42.7mmである実施例1のゴルフボールを得た。
[実施例2から8及び比較例1から4]
コア及び内側カバーの仕様を下記の表3及び4に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から8及び比較例1から4のゴルフボールを得た。それぞれのゴルフボールのコアの組成は、実施例1のコアの組成と同一である。コアの硬度分布が、下記の表1に示されている。内側カバーの組成が、下記の表2に示されている。
Figure 0005924948
Figure 0005924948
[打球感]
10名のゴルファーにサンドウェッジにてゴルフボールを打撃させ、打球感を聞き取った。各ゴルファーに、打球感を、5点満点で格付けさせた。この平均値が、下記の表3及び4に示されている。値が大きいほど好ましい。
[飛行テスト]
ツルテンパー社のスイングマシンに、5番アイアン(SRIスポーツ社の商品名「NEW XXIO」、シャフト硬度:R)を装着した。下記の条件1でゴルフボールを打撃し、打撃直後のスピン速度と、発射地点から静止地点までの距離とを測定した。10回測定されて得られた、スピン速度の平均値S1と、飛距離の平均値L1とを算出した。さらに、下記の条件2でゴルフボールを打撃し、打撃直後のスピン速度と、発射地点から静止地点までの距離とを測定した。10回測定されて得られた、スピン速度の平均値S2と、飛距離の平均値L2とを算出した。
条件1
ヘッド速度:34m/sec
実効ロフト角:20.5°
打点:フェースセンターよりも5mm上方
条件2
ヘッド速度:34m/sec
実効ロフト角:23.5°
打点:フェースセンターよりも5mm下方
条件1でのスピン速度は、条件2でのスピン速度よりも小さい。条件1での飛距離は、条件2での飛距離よりも大きい。差(L1−L2)及び差(S2−S1)が、下記の表3及び4に示されている。
Figure 0005924948
Figure 0005924948
表3及び4に示されるように、各実施例に係るゴルフボールは、打球感に優れている。さらに、さらに、各実施例に係るゴルフボールの差(S2−S1)は、1318rpm以下である。換言すれば、本発明に係るゴルフボールでは、スピン速度が十分に安定している。これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフ場でのプレーや、ドライビングレンジにおけるプラクティスに用いられうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・カバー
8・・・内側カバー
10・・・外側カバー
12・・・ディンプル
14・・・ランド

Claims (18)

  1. その半径がR(mm)であるコアと、このコアの外側に位置しており2以上の層を有するカバーとを備えており、
    上記カバーの最も外側の層のJIS−C硬度Hoが90以上であり、
    横軸が上記コアの中心点からの距離(mm)であり、縦軸がJIS−C硬度であるグラフに、上記カバーのそれぞれの層の厚み方向中点がプロットされて得られる線形近似曲線が、下記数式(I)で表されるとき、上記コアの表面のJIS−C硬度Hsが硬度HL(R)よりも大きいゴルフボール。
    HL(X) = A ・ X + B (I)
    (上記数式において、Xは上記コアの中心点からの距離(mm)を表し、HL(X)はJIS−C硬度を表し、A及びBはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。)
  2. 上記硬度Hsと上記硬度HL(R)との差が1.0以上である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 横軸が上記コアの中心点からの距離(mm)であり、縦軸がJIS−C硬度であるグラフに、上記コアの表面から中心点に向かって5.0mm及び2.5mmである点、並びにコア表面の3点がプロットされて得られる線形近似曲線が、下記数式(II)で表されるとき、比(A/a)が4.0よりも大きい請求項1又は2に記載のゴルフボール。
    HC(x) = a ・ x + b (II)
    (上記数式において、xは上記コアの中心点からの距離(mm)を表し、HC(x)はJIS−C硬度を表し、a及びbはそれぞれ線形近似曲線の傾き及び切片を表す。)
  4. 上記カバーの最も外側の層のJIS−C硬度が、上記ゴルフボールの他のいずれの部位のJIS−C硬度よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記カバーの厚みが2.5mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 上記コアが、ゴム組成物が架橋されることで成形されたものであり、
    上記ゴム組成物が、
    (a)基材ゴム、
    (b)共架橋剤、
    (c)架橋開始剤、
    及び
    (d)カルボン酸塩
    を含んでおり、
    上記共架橋剤(b)が、
    (b1)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸
    又は
    (b2)その炭素数が3以上8以下であるα,β−不飽和カルボン酸の金属塩
    である請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 上記ゴム組成物が、100質量部の基材ゴム(a)に対して1質量部以上40質量部未満の上記カルボン酸塩(d)を含む請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 上記カルボン酸塩(d)が脂肪酸塩である請求項6又は7に記載のゴルフボール。
  9. 上記カルボン酸塩(d)のカルボン酸成分の炭素数が4以上30以下である請求項6から8のいずれかに記載のゴルフボール。
  10. 上記ゴム組成物が、
    (e)有機硫黄化合物
    をさらに含む請求項6から9のいずれかに記載のゴルフボール。
  11. 上記有機硫黄化合物(e)が、チオフェノール類、硫黄数が2以上4以下であるポリスルフィド類、チオナフトール類若しくはチウラム類又はこれらの金属塩である請求項10に記載のゴルフボール。
  12. 上記ゴム組成物が、上記α,β−不飽和カルボン酸(b1)を含み、
    さらにこのゴム組成物が、
    (f)金属化合物
    を含む請求項6から11のいずれかに記載のゴルフボール。
  13. 上記ゴム組成物が、100質量部の基材ゴム(a)に対して15質量部以上50質量部以下の上記共架橋剤(b)を含む請求項6から12のいずれかに記載のゴルフボール。
  14. 上記ゴム組成物が、100質量部の基材ゴム(a)に対して0.2質量部以上5.0質量部以下の上記架橋開始剤(c)を含む請求項6から13のいずれかに記載のゴルフボール。
  15. 上記ゴム組成物が、100質量部の基材ゴム(a)に対して0.05質量部以上5質量部以下の上記有機硫黄化合物(e)を含む請求項10又は11に記載のゴルフボール。
  16. 上記硬度Hsと上記コアの中心点のJIS−C硬度H(0)との差(Hs−H(0))が15以上である請求項1から15のいずれかに記載のゴルフボール。
  17. 上記カバーの、最も外側の層のJIS−C硬度Hoと最も内側の層のJIS−C硬度Hiとの差(Ho−Hi)が5以上30以下である請求項1から16のいずれかに記載のゴルフボール。
  18. 上記数式(I)の傾きAが6.67以上17.78以下である請求項1から17のいずれかに記載のゴルフボール。
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