JP2021101929A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性に優れたゴルフボールを提供する。【解決手段】本発明は、ワンピースゴルフボール、又は、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記ワンピースゴルフボール、球状コア、または内層コアと外層コアとからなる球状コアの外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有するゴム組成物から形成されており、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴルフボールに関し、より詳細には、ゴルフボールの耐久性を向上させる技術に関する。
例えば、特許文献1には、コアとカバーを有するソリッドゴルフボールにおいて、上記コアの少なくとも表面部にゾルーゲル法により生成したシリカ粒子を含有することを特徴とするソリッドゴルフボールが開示されている。
特許文献2には、ゴム組成物の加硫体であるボール本体と、該ボール本体表面に形成された塗膜とを有するワンピースゴルフボールであって、前記ゴム組成物には、基材ゴム100質量部あたり、シランカップリング剤0.1〜5.0質量部配合しているワンピースゴルフボールが開示されている。
特許文献3には、センターと、このセンターの外側に位置する中間層と、この中間層の外側に位置するカバーとを備えており、上記センターの直径が1mm以上15mm以下であり、上記センターにおいて、中心点のJIS−C硬度H1が20以上50以下であり、上記中間層において、表面のJIS−C硬度H4と最内部のJIS−C硬度H3との差(H4−H3)が10以上であるゴルフボールが開示されている。前記センターには、シリカと共に、シラン系のカップリング剤が配合されてもよいことが記載されている。
特許文献4には、ゴルフボールの材料となるゴルフボール用ゴム組成物であって、トチュウゴムを30.0重量%以上含有する基材ゴムを100.0重量部と、シリカを5.0重量部以上と、前記シリカに対して0.1〜15.0重量%のシランカップリング剤とを含むことを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物が開示されている。
特開平10−43330号公報 特開2001−212262号公報 特開2009−285451号公報 特開2017−179348号公報
ドライバーショットのゴルフボールの飛距離を伸ばす方法として、例えば、コアの硬度分布を外剛内柔に制御する方法がある。コアを外剛内柔構造とした場合、コアの表面硬度が高くなる。表面硬度が高いコアは、ゴルフクラブにより繰り返し打撃すると、コア表面から亀裂を生じやすくなり、耐久性が低下する傾向がある。また、コアの耐久性を向上させる方法として、コア全体の硬度を低くする方法がある。しかし、コア全体を低硬度とすると、反発係数が低下してしまい、飛距離が低下するという問題点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コア表面の硬度を高くしつつ、耐久性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明のゴルフボールは、ワンピースゴルフボール、又は、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする。
また、本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアは、内層コアと外層コアとからなり、
前記外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、前記球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする。
本発明によれば、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。
本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。 本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
本発明のゴルフボールは、ワンピースゴルフボール、又は、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする。
また、本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアは、内層コアと外層コアとからなり、
前記外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、前記球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする。
本発明のゴルフボールには、ワンピースゴルフボール(態様1)、および、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボール(態様2)、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが内層コアと外層コアとからなるゴルフボール(態様3)が含まれる。まず、本発明で使用する材料について説明する。
[第1ゴム組成物]
前記ワンピースゴルフボール、球状コア、または、内層コアと外層コアとからなる球状コアの外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されている。
(a)前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
(a)前記基材ゴムは、ハイシスポリブタジエンを含有することが好ましい。基材ゴム中のハイシスポリブタジエンの含有率は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、(a)前記基材ゴムが、ハイシスポリブタジエンのみからなることも好ましい態様である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300−1(2013)に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
(b)前記共架橋剤は、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。(b)前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩が好ましい。(b)前記共架橋剤として使用されるα,β−不飽和カルボン酸の炭素数は、3〜8が好ましく、より好ましくは3〜6、さらに好ましくは3または4である。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの三価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩が好ましく、より好ましくはアクリル酸亜鉛である。なお、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(b)前記共架橋剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。(b)共架橋剤の含有量が15質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、(b)共架橋剤の含有量が50質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
(c)前記架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
(c)前記架橋開始剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下である。0.2質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
(d)シリカは、二酸化珪素(SiO)を主成分とする粒子状の固体である。シリカ中の二酸化ケイ素(SiO)成分の含有率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。シリカには、天然品と合成品がある。また、結晶質と非晶質のシリカがある。
天然品の結晶質シリカとしては、水晶、石英、珪砂などを挙げることができる。天然品の非晶質シリカとしては、例えば、珪藻土、酸性白土などを挙げることができる。
合成品の非晶質(アモルファス)シリカとしては、その製造方法により、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、シリカゲルなどが挙げられる。
シリカとしては、合成シリカが好ましく、湿式シリカまたは乾式シリカがより好ましい。
シリカは、通常、1次粒子が凝集した1次粒子凝集体、あるいは、前記1次粒子凝集体がさらに凝集してなる2次粒子凝集体として存在している。シリカの1次粒子の形状は特に限定されず、球状、針状、棒状、板状等を挙げることができるが、球状に近い形状であることが好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、100m/g以上がさらに好ましく、250m/g以下が好ましく、220m/g以下がより好ましく、200m/g以下が更に好ましい。なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
(d)前記シリカの比重は、1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.8以下であることが好ましく、2.6以下であることがより好ましく、2.4以下であることがさらに好ましい。
前記ゴム組成物中の(d)シリカの含有量は、(a)前記基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。前記含有量が、1質量部以上であれば、耐久性がより向上するからである。また、前記含有量が、10質量部以下であれば、反発性など耐久性以外の性能が低下しにくいからである。
(e)シランカップリング剤
(e)前記シランカップリング剤は、(a)前記基材ゴム中での前記(d)シリカの分散性を向上させる。(e)前記シランカップリング剤の種類は特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
(e)前記シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、スルフィド系が好ましい。スルフィド系シランカップリング剤(スルフィド結合を有するシランカップリング剤)としては、効果がより好適に得られるという理由から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドが好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
前記第1ゴム組成物中の(e)シランカップリング剤の含有量は、(d)前記シリカ100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、15質量部以下が好ましく、より好ましくは13質量部以下、さらに好ましくは11質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、シリカの分散性がより良好となり、効果が好適に得られるからである。
なお、本発明では、(d)シリカと(e)シランカップリング剤とを別々にゴム組成物に配合するようにしてもよいし、あるいは、予め(e)シランカップリング剤で表面処理された(d)シリカをゴム組成物に配合するようにしてもよい。
前記第1ゴム組成物は、(f)カルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。前記(f)カルボン酸および/またはその塩を含有することで、得られるワンピースゴルフボールまたはコアの外剛内柔度合を大きくできる。前記(f)カルボン酸および/またはその塩としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸塩が挙げられる。(f)前記カルボン酸および/または塩は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸(以下、「飽和脂肪酸」と称する場合がある。)、不飽和脂肪族カルボン酸(以下、「不飽和脂肪酸」と称する場合がある。)のいずれであっても良い。また、脂肪族カルボン酸は、分岐構造や環状構造を有していてもよい。前記飽和脂肪酸の炭素数は、1以上が好ましく、5以上がより好ましく、8以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。前記不飽和脂肪酸の炭素数は、5以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは9以上であり、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。なお、(f)脂肪族カルボン酸および/またはその塩には、(b)共架橋剤として使用する炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は含まれないものとする。
前記芳香族カルボン酸としては、分子中にベンゼン環を有するもの、分子中に複素芳香環を有するものが挙げられる。前記芳香族カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ベンゼン環を有するカルボン酸としては、例えば、ベンゼン環にカルボキシ基が直接結合した芳香族カルボン酸、ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した芳香族−脂肪族カルボン酸、縮合ベンゼン環にカルボキシ基が直接結合した多核芳香族カルボン酸、縮合ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した多核芳香族−脂肪族カルボン酸などが挙げられる。前記複素芳香環を有するカルボン酸としては、例えば、複素芳香環に直接カルボキシ基が結合したものが挙げられる。
(f)脂肪族カルボン酸塩または芳香族カルボン酸塩としては、上述した脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の塩を用いることできる。これらの塩のカチオン成分としては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、および、有機陽イオンを挙げることができる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの二価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記有機陽イオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオンが挙げられる。前記有機アンモニウムイオンとしては、例えば、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオンなどの1級アンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンなどの2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンなどの3級アンモニウムイオン;ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの有機陽イオンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(f)前記脂肪族カルボン酸および/またはその塩としては、飽和脂肪酸および/またはその塩が好ましく、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸もしくはオレイン酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。(f)前記芳香族カルボン酸および/またはその塩としては、特に、安息香酸、ブチル安息香酸、アニス酸(メトキシ安息香酸)、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、アセトキシ安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フランカルボン酸もしくはテノイル酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
(f)前記カルボン酸および/またはその塩の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であって、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量が0.5質量部以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、40質量部以下であれば、コア硬度の低下が抑制され、反発性が良好となる。
なお、共架橋剤として使用される化合物の表面は、ゴムへの分散性を向上するためにステアリン酸亜鉛等で処理されている場合がある。このようなステアリン酸亜鉛等で表面処理された共架橋剤を使用する場合、本発明では、表面処理剤であるステアリン酸亜鉛等の量が(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量に含まれるものとする。例えば、ステアリン酸亜鉛の表面処理量が10質量%であるアクリル酸亜鉛を25質量部用いた場合には、ステアリン酸亜鉛の量が2.5質量部であり、アクリル酸亜鉛の量が22.5質量部とし、(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量として、2.5質量部を計上する。
(f)前記カルボン酸および/またはその塩を用いる場合、前記共架橋剤としては炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を用いることが好ましい。(f)前記カルボン酸および/またはその塩を用いる場合に、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を使用する際は、(g)金属化合物をさらに含有することが好ましい。
(g)前記金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(g)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。(g)前記金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。これらの(g)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第1ゴム組成物は、さらに(h)有機硫黄化合物を含有することが好ましい。(h)前記有機硫黄化合物を含有することで、得られる球状コアの反発性をより高めることができる。(h)前記有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン類、ジチオカルボン類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。球状コアの硬度分布が大きくなるという観点から、(h)有機硫黄化合物としては、チオール基(−SH)を有する有機硫黄化合物、または、その金属塩が好ましく、チオフェノール類、チオナフトール類、または、これらの金属塩が好ましい。(h)前記有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
(h)前記有機硫黄化合物としては、チオフェノール類および/またはその金属塩、チオナフトール類および/またはその金属塩、ジフェニルジスルフィド類、チウラムジスルフィド類が好ましく、より好ましくは2,4−ジクロロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、1−チオナフトール、2−チオナフトール、ジフェニルジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
(h)前記有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。(h)前記有機硫黄化合物の含有量が、0.05質量部以上であれば、得られるゴルフボールの反発性がより向上し、5.0質量部以下であれば、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなりすぎず、反発性の低下が抑制される。
本発明に用いられる第1ゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤(例えば、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン)、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
前記第1ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
第1ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
第1ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記老化防止剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
[第2ゴム組成物]
態様3の本発明のゴルフボールにおいて、球状コアの内層コアは、第2ゴム組成物から形成される。第2ゴム組成物としては、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤を含有するものが挙げられる。第2ゴム組成物には、必要に応じて、(f)前記カルボン酸および/またはその塩、(g)金属化合物および/または(h)有機硫黄化合物、ならびに、添加剤を含有してもよい。なお、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(f)前記カルボン酸および/またはその塩、(g)金属化合物、(h)有機硫黄化合物、および、添加剤としては、第1ゴム組成物で例示したものと同一のものを使用することができる。また、各原材料の好ましい配合量の範囲も第1ゴム組成物で例示したものを適用することができる。
[カバー用組成物]
好ましい態様2または態様3において、本発明のゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱ケミカル(株)から商品名「テファブロック」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらの中でも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・ダウポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記アイオノマー樹脂は、単独で若しくは2種以上を混合して使用しても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が大きくなる。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、ドライバーショットでは、本発明のコアにより、高飛距離化がはかれるとともに、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、上記範囲内であれば、同一あるいは異なっても良い。
カバーを複層形成する場合、カバー同士の接着性を高めるために、カバー間に補強層を設けることが好ましい。前記補強層は、樹脂成分を含有する補強層用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、二液硬化型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液硬化型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層の強度及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
補強層用組成物は、着色材(例えば、二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
[ゴルフボール構造]
本発明のゴルフボールには、ワンピースゴルフボール(態様1)、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボール(態様2)、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが内層コアと外層コアとからなるゴルフボール(態様3)が含まれる。
[ワンピースゴルフボール(態様1)について]
本発明のワンピースゴルフボールの表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、83以上であり、好ましくは85以上である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で83以上であれば、ワンピースゴルフボールが軟らかくなり過ぎることはなく、良好な反発性が得られる。また、前記表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、95以下が好ましく、より好ましくは91以下である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で95以下であれば、ワンピースゴルフボールが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記ワンピースゴルフボールの中心硬度(Ho)は、ショアC硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは75以下、さらに好ましくは70以下である。前記中心硬度(Ho)がショアC硬度で40以上であると、ワンピースゴルフボールが軟らかくなり過ぎることはなく、良好な反発性が得られ、前記中心硬度(Ho)がショアC硬度で80以下であれば、ワンピースゴルフボールが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記ワンピースゴルフボールの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、22以上であり、好ましくは24以上であり、より好ましくは26以上である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であれば、ワンピースゴルフボールの外剛内柔度合が大きくなり、ドライバーショットにおける飛距離が大きくなる。また、前記硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、45以下が好ましく、より好ましくは42以下、さらに好ましくは40以下である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で45以下であれば、ワンピースゴルフボールの打球感が良好になる。
前記ワンピースゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、前記ワンピースゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
前記ワンピースゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.3mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上であり、4.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.2mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のワンピースゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.5mm以下にすることにより、ワンピースゴルフボールの反発性が高くなる。
[球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボール(態様2)について]
態様2において、前記球状コアは、単層構造であることが好ましい。単層構造の球状コアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。
前記球状コアの表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、83以上であり、好ましくは85以上である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で83以上であれば、球状コアが軟らかくなり過ぎることはなく、良好な反発性が得られる。また、前記表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、95以下が好ましく、より好ましくは91以下である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で95以下であれば、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記球状コアの中心硬度(Ho)は、ショアC硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは42以上、さらに好ましくは45以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。前記中心硬度(Ho)がショアC硬度で40以上であると、球状コアが軟らかくなり過ぎることはなく、良好な反発性が得られ、前記中心硬度(Ho)がショアC硬度で80以下であれば、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、22以上であり、好ましくは24以上、さらに好ましくは26以上である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、ドライバーショットにおける飛距離が大きいゴルフボールが得られる。また、前記硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、45以下が好ましく、より好ましくは42以下、さらに好ましくは40以下である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で55以下であれば、打球感が良好なゴルフボールが得られる。
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、2.8mm以上がより好ましく、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
態様2の本発明のゴルフボールにおいて、カバーは少なくとも一層であることが好ましく、二層以上であってもよい。多層カバーの具体例としては、例えば、内層カバーと外層カバーとを有する態様を挙げることができる。内層カバーは、アイオノマー樹脂を含むカバー組成物から形成されることが好ましい。外層カバーは、アイオノマー樹脂やポリウレタンを含むカバー組成物から形成されることが好ましい。
態様2における本発明のゴルフボールのカバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm以上であれば、カバーの耐久性や耐摩耗性が良好となる。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
好ましい態様2において、本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.6mm以上であり、5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を5.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
[球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが内層コアと外層コアとからなるゴルフボール(態様3)について]
前記内層コアの表面硬度(Hs1)は、ショアC硬度で、50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり、85以下が好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは75以下である。前記表面硬度(Hs1)がショアC硬度で50以上であれば、得られるゴルフボールの反発性がより向上する。前記表面硬度(Hs1)がショアC硬度で85以下であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり得られるゴルフボールの反発性が向上し、また得られるゴルフボールの打球感もより良好となる。
前記内層コアの中心硬度(Ho)は、ショアC硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは75以下、さらに好ましくは70以下である。前記中心硬度(Ho)がショアC硬度で40以上であると、得られるゴルフボールの反発性がより向上する。前記中心硬度(Ho1)がショアC硬度で80以下であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり得られるゴルフボールの反発性が向上し、また得られるゴルフボールの打球感もより良好となる。なお、前記内層コア全体の中心硬度(Ho)は球状コアの中心硬度となる。
前記内層コアの表面硬度(Hs1)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs1−Ho)は、ショアC硬度で、0以上であることが好ましく、より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上であり、15以下が好ましく、より好ましくは13以下、さらに好ましくは11以下である。前記硬度差(Hs1−Ho)がショアC硬度で0以上であれば、得られるゴルフボールの反発性がより向上する。前記硬度差(Hs1−Ho)がショアC硬度で15以下であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり得られるゴルフボールの反発性が向上し、また得られるゴルフボールの打球感もより良好となる。
前記内層コアの直径は、5mm以上が好ましく、より好ましくは7mm以上、さらに好ましくは10mm以上であり、25mm以下が好ましく、より好ましくは22mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。
前記球状コアの表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、83以上であり、好ましくは85以上である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で83以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、得られるゴルフボールの反発性が向上する。また、前記表面硬度(Hs)は、ショアC硬度で、95以下が好ましく、より好ましくは91以下である。前記表面硬度(Hs)がショアC硬度で95以下であれば、得られるゴルフボールの打球感がより良好となる。なお、前記球状コアの表面硬度(Hs)は、外層コアの表面硬度と同一である。
前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、22以上であり、好ましくは24以上、さらに好ましくは26以上である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、ドライバーショットにおける飛距離が大きいゴルフボールが得られる。また、前記硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、45以下が好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは42以下である。前記硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で45以下であれば、打球感が良好なゴルフボールが得られる。
前記外層コアの厚みは、5mm以上が好ましく、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは8mm以上であり、20mm以下が好ましく、より好ましくは18mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。
前記内層コアと外層コアとからなる球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、2.2mm以上がより好ましく、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
態様3の本発明のゴルフボールにおいて、カバーは少なくとも一層であることが好ましく、二層以上であってもよい。多層カバーの具体例としては、例えば、内層カバーと外層カバーとを有する態様を挙げることができる。内層カバーは、アイオノマー樹脂を含むカバー組成物から形成されることが好ましい。外層カバーは、アイオノマー樹脂やポリウレタンを含むカバー組成物から形成されることが好ましい。
態様3における本発明のゴルフボールのカバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm以上であれば、カバーの耐久性や耐摩耗性が良好となる。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
好ましい態様3において、本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.1mm以上であり、さらに好ましくは2.2mm以上であり、5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を5.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
本発明のゴルフボールの具体例としては、ワンピースゴルフボール、球状コアと前記球状コアを被覆する単層カバーとを有するツーピースゴルフボール、球状コアと前記球状コアを被覆する二層カバーとを有するスリーピースゴルフボール、球状コアと前記球状コアを被覆する三層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール、内層コアと外層コアからなる球状コアと単層カバーとを有するスリーピースゴルフボール、内層コアと外層コアからなる球状コアと二層カバーとを有するフォーピースゴルフボール、内層コアと外層コアからなる球状コアと三層以上のカバーとを有するマルチピースゴルフボールなどを挙げることができる。
本発明のゴルフボールには、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。ディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
本発明のゴルフボールには、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
[本発明のゴルフボールの製造方法]
態様1(ワンピースゴルフボール)について
本発明のワンピースゴルフボールに使用するゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、(e)シランカップリング剤、および、必要に応じてその他の添加剤などを混合して、混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
本発明のワンピースゴルフボールは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。成形する温度は、120℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、170℃以下が好ましい。成形温度が170℃を超えると、ワンピースゴルフボールの表面硬度(Hs)が低下する傾向がある。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
態様2および態様3のゴルフボールについて
態様2の本発明のゴルフボールの球状コアは、上述した第1ゴム組成物から形成される。前記第1ゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、(e)シランカップリング剤を混合して、混練することにより得られる。第1ゴム組成物には、必要に応じて、(f)前記カルボン酸および/またはその塩、(h)有機硫黄化合物、(g)金属化合物、その他添加剤を配合してもよい。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
態様2の本発明のゴルフボールの球状コアは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。成形する温度は、120℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、170℃以下が好ましい。成形温度が170℃を超えると、コアの表面硬度(Hs)が低下する傾向がある。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
態様3の本発明のゴルフボールの内層コアは、上述した第2ゴム組成物から形成される。第2ゴム組成物の調製は、例えば、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤を配合し、混練することにより行われる。第2ゴム組成物には、必要に応じて、(f)前記カルボン酸および/またはその塩、(h)有機硫黄化合物、(g)金属化合物、その他添加剤を配合してもよい。混練の方法は、特に限定されず、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
前記内層コアは、混練後の第2ゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。成形する温度は、120℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、170℃以下が好ましい。成形温度が170℃を超えると、コアの表面硬度(Hs)が低下する傾向がある。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
次に、前記内層コアを被覆する外層コアを形成する。外層コアは、上述の第1ゴム組成物から形成される。外層コアの成形方法としては、例えば、第1ゴム組成物から中空殻状のシェルを成形し、内層コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、第1ゴム組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、内層コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)が挙げられる。第1ゴム組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、10℃以上、100℃以下の成形温度を挙げることができる。ハーフシェルを用いて外層コアを成形する方法としては、例えば、内層コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して外層コアに成形する条件としては、例えば、2MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、100℃以上、200℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する外層コアを成形できる。
態様2および態様3の本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。
図1は、本発明の好ましい態様2に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール2は、球状コア4と、球状コア4を被覆するカバー12とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル14が形成されている。このゴルフボール2の表面のうち、ディンプル14以外の部分は、ランド16である。このゴルフボール2は、カバー12の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
図2は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール2は、内層コア3と内層コア3を被覆する外層コア5とからなる球状コア4と、前記球状コア4を被覆するカバー12とを有する。このカバー12の表面には、多数ディンプル14が形成されている。このゴルフボールの表面のうち、ディンプル14以外の部分は、ランド16である。このゴルフボールは、カバーの外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)ワンピースゴルフボールまたはコア硬度分布(ショアC硬度)
スプリング式硬度計ショアC型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、ワンピースゴルフボールまたはコアの表面部において測定したショアC硬度を表面硬度とした。また、ワンピースゴルフボールまたはコアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したショアC硬度を中心硬度とした。
(2)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(3)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(4)耐久性
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製ウッド1番クラブ(ドライバー)を取り付けて、ヘッドスピードを45m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、衝突板に衝突させて評価した。評価基準はゴルフボールが壊れるまでの打撃回数を測定した。ゴルフボールNo.1〜No.8の耐久性については、ゴルフボールNo.1の打撃回数を100として指数化した。ゴルフボールNo.12、13、14の耐久性については、それぞれ、ゴルフボールNo.9、10、11の打撃回数を100として指数化した。ゴルフボールNo.20〜No.23の耐久性については、ゴルフボールNo.15の打撃回数を100として指数化した。ゴルフボールNo.24〜27の耐久性については、それぞれ、ゴルフボールNo.16〜No.19の打撃回数を100として指数化した。指数が大きいほどゴルフボールの耐久性が優れていることを示す。
[ワンピースゴルフボールの作製]
表1に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより、ワンピースゴルフボール(直径42.7mm、質量45.5g)を得た。
Figure 2021101929
BR−730:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZN−DA90SN」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)
シリカ:エボニック社製ウルトラジルVN3 GR、造粒シリカ(不定形)
シランカップリング剤:エボニック社製Si266、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
[ツーピースゴルフボールの作製]
(1)球状コアの作製
表2に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.7mm、質量38.5gの球状コアを得た。
Figure 2021101929
BR−730:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZN−DA90SN」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」
2−チオナフトール:東京化成工業社製、2−チオナフトール
安息香酸:シグマアルドリッチ社製(純度99.5%以上)
オクタン酸亜鉛:三津和化学薬品社製(純度99%以上)
ステアリン酸亜鉛:和光純薬工業社製(純度99%以上)
シリカ:エボニック社製ウルトラジルVN3 GR、造粒シリカ(不定形)
シランカップリング剤:エボニック社製Si266、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
(2)カバーの作製
次に、表3に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物No.aを調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られたカバー用組成物No.aを上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボール(直径42.7mm、質量45.5g)を作製した。
Figure 2021101929
ハイミラン1605:三井・ダウポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井・ダウポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井・ダウポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
サーリン8945:デュポン社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
エラストランNY82A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
[フォーピースゴルフボールの作製]
(内層コアの作製)
100質量部のポリブタジエンゴムに対して、アクリル酸亜鉛18質量部、酸化亜鉛5質量部、硫酸バリウム、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド0.3質量部、ジクミルパーオキサイド0.9質量部を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径20mmの内層コアを得た。なお、硫酸バリウムの配合量は、内層コアの質量が6.5gとなるように調整した。得られた内層コアの中心硬度(Ho)は、ショアC硬度で57であり、表面硬度(Hs1)は、ショアC硬度で61であった。
内層コア用ゴム組成物としては、以下の材料を用いた。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:三新化学工業社製サンセラーSR
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」
ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド:川口化学工業社製ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド
(外層コアの作製)
表4に示す外層コア用ゴム組成物を混練し、前記外層コア用ゴム組成物からハーフシェルを成形した。ハーフシェルの成形は、外層コア用ゴム組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに投入し、加圧した。圧縮成形は成形温度25℃、成形時間3分、成形圧力15MPaの条件で行った。前記で得た内層コアを2枚のハーフシェルで被覆した。内層コアおよびハーフシェルを、共に半球状キャビティを備えた上型および下型からなる金型に投入し、所定条件で加熱プレスして球状コアを得た(外層コアの厚み9.85mm)。なお、硫酸バリウムの配合量は、最終的に得られるゴルフボールの質量が45.5gとなるように調整した。
外層コア用ゴム組成物としては、以下の材料を用いた。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:三新化学工業社製サンセラーSR
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」
2−チオナフトール:東京化成工業社製、2−チオナフトール
安息香酸:シグマアルドリッチ社製(純度99.5%以上)
オクタン酸亜鉛:三津和化学薬品社製(純度99%以上)
ステアリン酸亜鉛:和光純薬工業社製(純度99%以上)
ミリスチン酸亜鉛:日油社製(純度90%以上)
シリカ:エボニック社製ウルトラジルVN3 GR、造粒シリカ(不定形)
シランカップリング剤:エボニック社製Si266、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
[カバー用組成物の調製]
次に、表3に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。
[内層カバーの作製]
表3に示したように、得られカバー用組成物No.bを、上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆する内層カバー(厚さ1mm)を有する球体を作製した。
[補強層の作製]
二液硬化型エポキシ樹脂を基材樹脂とする補強層用組成物(神東塗料社製、商品名「ポリン(登録商標)750LE」)を調製した。主剤は、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を30質量部と、溶剤を70質量部含有する。硬化剤は、変性ポリアミドアミンを40質量部、二酸化チタンを5質量部、溶剤を55質量部含有する。主剤と硬化剤との質量比は、1/1とした。この補強層用組成物を内層カバーの表面にエアガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を形成した。補強層の厚みは、7μmであった。
[外層カバーの作製]
ペレット状のカバー用組成物No.cをハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。補強層を形成した球体を2枚のハーフシェルで同心円状に被覆した。この球体およびハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入した。圧縮成形によりカバー(厚さ:0.5mm)を成形し、ゴルフボール本体を得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
Figure 2021101929
表1の結果より、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有するゴム組成物から形成されているワンピースゴルフボールであって、前記ワンピースゴルフボールの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記ワンピースゴルフボールの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とする本発明のゴルフボールは、耐久性に優れる。
表2の結果より、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有するゴム組成物から形成されており、前記球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上である本発明のゴルフボールは、耐久性に優れる。
表4の結果より、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、内層コアと外層コアとからなり、前記外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有するゴム組成物から形成されており、前記球状コアの表面硬度(Hs2)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、前記球状コアの表面硬度(Hs)と球状コアの中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上である本発明のゴルフボールは、耐久性に優れる。
本発明は、耐久性に優れるゴルフボールとして好適である。
2:ゴルフボール、3:内層コア、4:球状コア、5:外層コア、12:カバー、14:ディンプル、16:ランド

Claims (9)

  1. ワンピースゴルフボール、又は、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、
    前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、
    前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記球状コアは、内層コアと外層コアとからなり、
    前記外層コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)シリカ、および、(e)シランカップリング剤を含有する第1ゴム組成物から形成されており、
    前記球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で83以上であり、かつ、
    前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で22以上であることを特徴とするゴルフボール。
  3. 前記第1ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(d)シリカを1質量部〜10質量部含有する請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記第1ゴム組成物は、(d)シリカ100質量部に対して、(e)シランカップリング剤を1質量部〜15質量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載にゴルフボール。
  5. 前記シランカップリング剤は、スルフィド結合を有するシランカップリング剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で85以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記ワンピースゴルフボールまたは球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)がショアC硬度で24以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  8. 前記第1ゴム組成物は、さらに(f)カルボン酸および/またはその塩を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  9. (f)前記カルボン酸および/またはその塩の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上、40質量部以下である請求項8に記載のゴルフボール。
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