JP2012061013A - 麦芽飲料のコクおよび味わいを高める方法 - Google Patents

麦芽飲料のコクおよび味わいを高める方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、標準的麦芽飲料、すなわちビールと同等のフレーバ、味わいおよびコクを有する低カロリーまたは低アルコール含量の麦芽飲料、たとえばビールの調製手段を提供する。
【解決手段】ホップ、麦芽および糖重合体、たとえばポリデキストロースを含む麦芽飲料であって、前記糖重合体が以下の特性、ビールのフレーバ、泡保持力またはコクの少なくとも1つ、より好ましくは3つの特性の少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全てを高めるために十分な量で存在する麦芽飲料を調製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、麦芽飲料の泡特性、コクおよび風味を高める方法およびこれらの特性のいずれか1つを備えた組成物に関する。より具体的には、本発明は発酵麦芽飲料の泡特性を高める方法、コクおよび風味を高める方法に関する。
本明細書では、「麦芽飲料」という用語には麦芽のみのビール、エール、ドライビール、ニアービアー、ライトビール、低アルコールビール、低カロリービール、ポーター、ボックビール、スタウト、麦芽酒、ノンアルコール麦芽酒などが含まれる。「麦芽飲料」の用語には又、代替麦芽飲料、たとえば果実風味の麦芽飲料、たとえば、柑橘類風味、たとえば、レモン、オレンジ、ライムまたはイチゴ類風味の麦芽飲料、酒風味の麦芽飲料、たとえば、ウォッカ、ラム、またはテキーラ風味の麦芽酒、またはコーヒー風味の麦芽飲料、たとえば、カフェイン風味の麦芽酒などが含まれる。
ビールは伝統的に麦芽から得られたアルコール飲料のことであり、オオムギ、任意選択で穀物などの添加物から得られ、ホップで風味が付けられている。
ビールは、様々な穀物から、本質的に同様の方法で製造することができる。穀物澱粉は全て、グルコース残基がアルファ-1,4-結合またはアルファ-1,6-結合のいずれかによって結合したグルコースホモポリマーであり、前者の結合の方が主である。
発酵麦芽飲料の製造方法は、通常醸造と呼ばれる。これらの飲料の製造で使用する主要な原料は水、ホップおよび麦芽である。さらに、一般的な挽き割りトウモロコシ、精製挽き割りトウモロコシ、醸造用粉砕酵母、コメ、モロコシ、精製コーンスターチ、オオムギ、コムギ澱粉、焙煎穀物、穀物断片、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、およびシロップ、たとえば、コーンシロップ、サトウキビシロップ、転化糖シロップ、オオムギおよび/またはコムギシロップなどの添加物を澱粉の原料として使用してよい。澱粉は、最終的にデキストリンおよび発酵性糖に変換される。
多くの理由のため、精選されたオオムギ種から主に得られる麦芽は、ビールの特性全体および品質に非常に大きな影響をもたらす。第1に、麦芽はビールの主要な着香剤である。第2に、麦芽は、発酵性糖の大部分をもたらす。第3に、麦芽は蛋白質をもたらし、ビールのコクと泡特性に関与する。第4に、麦芽はマッシングに必要な酵素活性をもたらす。
ホップは又、風味を含めたビールの品質に著しく関与する。特に、ホップ(またはホップ成分)はビールに望ましい苦み物質を添加する。さらに、ホップは蛋白質沈殿剤として作用し、保存剤を作り上げ、泡の形成および安定化を促進する。
ビール製造方法は当業界では周知であるが、簡単には5工程、
(a)マッシング、
(b)ロータリングおよびスパージング、
(c)煮沸および麦汁へのホップ添加、
(d)冷却、発酵および保存、および
(e)熟成、加工および瓶詰め
が含まれる。
第1工程では、製粉または粉砕した麦芽を湯と混合して、温度制御下でしばらく維持し、麦芽に存在する酵素によって麦芽に存在する澱粉を発酵性糖に変換させる。
第2工程では、マッシュ液を「ロータリング槽」に移し、液体を穀物残渣から分離する。この甘い液体は「麦汁」と呼ばれる。マッシュ液には一般的に、マッシュ液をさらに水ですすいで穀物残渣中に残っている麦汁を回収するスパージングを行う。
第3工程では、麦汁を強く煮沸する。これによって麦汁を滅菌し、色、フレーバおよび香の熟成を助ける。ホップを煮沸中のある時点で添加する。
第4工程では、麦汁を冷却し、酵母が入っているか、または酵母を添加する発酵槽に移す。酵母の発酵によって糖はアルコールと二酸化炭素ガスに変換される。非発酵性糖のみが残存するまで発酵を続ける。この時点で、発酵槽を冷却して発酵を停止させる。容器の底に溜まった酵母を除去する。
最後の工程では、ビールを冷却してある期間保存し、この間にビールは清澄し、フレーバは熟成し、外観、フレーバおよびビールの貯蔵寿命を損なう可能性がある物質は沈殿し得る。瓶詰めの前に、ビールに二酸化炭素を飽和させ、任意選択で濾過し低温殺菌する。
発酵後、飲料は通常約3重量%から約6重量%のアルコールを含有することがわかっている。非発酵性の炭水化物は発酵中に変換されず、最終的なビールにおいて可溶性固形物の大部分を形成する。麦芽アミラーゼは澱粉のアルファ-1,6-結合を加水分解できないので、このような残渣が残存する。非発酵性の炭水化物は、ビール12オンス(28.4グラム)当たり約50カロリーをもたらす。
近年、特に合衆国市場において、ライトビールと称する醸造飲料、カロリーを抑えたビールまたは低カロリービールが一般に広まってきた。合衆国で定義されたように、これらのビールのカロリーは「通常の」製造ビールよりも約30%少ない。
しかし、これらのビールの調製方法は非常に様々である。総カロリー量を減少させる一方法は、ビールを水で希釈または調節する方法である。しかし、これでは、アルコールと炭水化物カロリー源の両方を希釈して最終的なアルコール量を通常のビールよりも少なくするので、好ましい解決法ではない。このようなアルコールと炭水化物含量両方の減少は、ビールのフレーバおよび口当たり、すなわちコクに悪影響を及ぼす。
総カロリー量を減少させる他の方法は、標準的ビールよりも比重の軽い麦汁を発酵させる方法である。標準的ビールでは、麦汁の初期比重は10から12度プラート(゜P)で、一方ライトビールは初期比重6から9゜Pの麦汁から発酵することが可能である。アルコール含量は、発酵性糖の添加物原料、たとえば前述したものを使用することによって、標準的ビールと揃えることができる。
カロリーを減少させる第3の方法は、残存炭水化物を加水分解する糖化酵素を使用して、発酵によってアルコールに変換する方法である。たとえば、Gablinger他の米国特許第3379534号、Line他の米国特許第4355110号、Pratt他の米国特許第4251630号、およびZastrowの米国特許第4272552号を参照すること。
カロリー量を減少させるその他の方法は当業界で公知で、たとえば、いくつか例を挙げると、方法において麦芽を部分的に発酵性糖に置き換えて使用したり、デキストリン同化酵母、添加物発酵方法、および第2発酵方法を使用したりする。
低カロリービールと並んで、ここ数年の間アルコール含量を抑えたビールなどのアルコール飲料の需要も又高まってきた。低アルコールまたはアルコールを抑えたビールとは、約2%以下のアルコールを含有することを意味する。本明細書では、低アルコールビールには、非常にアルコールの低いビール(0.5%から1.0%)および0.5%未満、より好ましくは0.05%未満のアルコールを含有する「アルコールの入っていない」ビールが含まれる。
アルコール濃度が高くなりすぎる前に発酵を中止したり(欧州特許出願番号213220号参照)、アルコールを産生しない種類の酵母を使用して発酵を行ったり(欧州特許出願番号245891号)、エタノール含量を下げるためにエタノールを蒸留したり、たとえばBraveriindustrie 71 (1986) page 480参照、透析蒸発(欧州特許出願番号332738号参照)、透析、たとえばWeinwirtschaft Tech. 9(1986)、page 346参照など別の技法を使用して、ほとんど、または全くアルコールを含有しないビールが調製された。
米国特許第4617127号に記載されたビールのアルコール含量を抑える他の方法は、逆浸透である。ビールに逆浸透方法を行うと、本質的に水およびいくらかのアルコールから成る浸透液、ならびに元のビールよりもアルコール含量の高い滞留物質(滞留物)が得られる。滞留物を水で元の量まで希釈すると、元の飲料よりもアルコール含量の少ない製品が得られる。
しかし、これらの様々な低アルコールまたは低カロリービール製品は、一般的に消費者を満足させないことがわかっている。たとえば、低アルコールビールはきれが悪く、フレーババランスが不十分であると指摘された。他方、低カロリービールは標準的ビールに対してコクおよび口当たりが不十分であると指摘された。さらに、いずれも標準的ビールのフレーバが不足している。
その他の非発酵性糖重合体を添加することによって低カロリービールまたは低アルコールビールのコクを高めるいくつかの試みがなされてきた。Bussiere他の米国特許第4680180号は、水素添加した澱粉加水分解物で調製された低アルコールビールについて記載している。醸造過程中に麦芽の総乾燥抽出物の20%を水素添加澱粉加水分解物と置換する工程によって、「好ましい味わい」および「十分なコク」を備えた低アルコールビールが得られる。しかし、水素添加澱粉加水分解物は比較的甘く、標準的ビールに見られる好ましい苦みよりも生成したビールに甘みをもたらしてしまう。比較例では、同様の方法であるが、マルトデキストリンを使用した方法で製造されたビールは、「濃厚な」または「締まりのない」印象を味に与える。
特願平10-215848および特願平8-249は、最終的な飲料の繊維含量を増加させ、コクを高めるために、ビール製造において酵母による同化が乏しい水溶性食物繊維を使用することを開示している。列挙された繊維は、プルラン、ペクチン、水溶性トウモロコシ食物繊維およびカラギーナンである。しかし、ビールの味は食物繊維特有の味のために標準ビールとははっきり異なっていた。このように製造されたビールの泡特性については全くそこには触れられていなかった。
特願平8-9953では、原料としてピロデキストリンを使用することによって消化されにくい成分を含有する糖重合体添加物の使用について開示している。このように製造されたビールは、コクと味が良いと言われている。しかし、コンニャクマンナンまたはグアガムなどの本発明の特定の消化しにくい多糖類以外の非消化性糖重合体を使用すると、特にフレーバに関しては本発明の目的は実現できないことが指摘された。
米国特許第3379534号 米国特許第4355110号 米国特許第4251630号 米国特許第4272552号 欧州特許出願番号213220号 欧州特許出願番号245891号 Braveriindustrie 71 (1986) page 480 欧州特許出願番号332738号 Weinwirtschaft Tech. 9 (1986)、page 346 米国特許第4617127号 米国特許第4680180号 特願平10-215848 特願平8-249 特願平8-9953 米国特許第2436967号 米国特許第2719179号 米国特許第4965354号 米国特許第3766165号 米国特許第5051500号 米国特許第5424418号 米国特許第5378491号 米国特許第5645747号 米国特許第5773603号 米国特許第5667593号 米国特許第5645647号 米国特許第5601863号 米国特許第5620871号 米国特許第5424418号 米国特許第5612072号 米国特許第5079011号 WO000/23561
本発明では、対応する標準的麦芽飲料、すなわちビールと同等のフレーバ、味わいおよびコクを有する低カロリーまたは低アルコール含量の麦芽飲料、たとえばビールの調製手段を発見した。たとえば、糖重合体(この糖重合体は以下に定義するように麦芽飲料製造において従来技術で使用されたものとは異なる)、たとえばポリデキストロースを低カロリー麦芽飲料、たとえばビールに添加することによって、それらにコクを与え、したがって得られた麦芽飲料、たとえばビールは標準的麦芽飲料、たとえばビールのコクを備えた。さらに、これらの糖重合体、たとえばポリデキストロースを添加してもカロリーはほとんど、または全く付加されないことがわかった。さらに、驚いたことにこれらの糖重合体、たとえばポリデキストロースを添加すると、甘みを付与せずに、麦芽飲料、たとえばビールのフレーバを維持しながら、低カロリー麦芽飲料、たとえば低カロリービールのフレーバが高まることが発見された。その上、糖重合体、たとえばポリデキストロースをその他の麦芽飲料、たとえば低アルコール麦芽飲料、たとえばビールに添加すると、それらへの添加によって低アルコール麦芽飲料、たとえばビールのフレーバが高まることが発見された。さらに、糖重合体、たとえばポリデキストロースの添加によって低アルコール麦芽飲料、たとえばビールのコクが高まることが発見された。最後に、糖重合体、たとえばポリデキストロースの添加は、低アルコールまたは低カロリー麦芽飲料、たとえばビールの泡特性を高めることが発見された。
したがって、本発明は、ホップ、麦芽および糖重合体、たとえばポリデキストロースを含む麦芽飲料を目的としており、前記糖重合体は以下の特性、ビールのフレーバ、泡保持力またはコクの少なくとも1つ、より好ましくは3つの特性の少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全てを高めるために十分な量で存在する。他の実施形態は、水、麦芽、ホップおよび任意選択で糖および/または添加物を醸造し、醸造製品を発酵して麦芽飲料を製造する麦芽飲料の改善された調製方法を目的とし、改善にはコクを高めるのに有効な量の糖重合体、たとえばポリデキストロースをそれらに添加する工程が含まれ、前記糖重合体は発酵の前、最中、または後に添加される。
他の実施形態では、本発明は、醸造前、最中、または後に有効量の糖重合体、たとえばポリデキストロースを麦汁に添加する工程によって、以下の麦芽飲料の官能特性、
(a)コクまたは口当たり、
(b)フレーバ、または
(c)泡特性
の少なくとも1つを高める方法を目的とする。
本発明は又、前記ポリデキストロースを酵母で発酵させ、前記酵母はグルコースをエタノールおよび二酸化炭素に変換するために有効な量で存在させ、それらからアルコールおよび二酸化炭素を分離する工程を含むグルコース不純物を含有するポリデキストロースの精製方法を目的とする。
本明細書では、「ポリデキストロース」という用語は、胃内における酵素による消化に耐性のある低カロリーグルコース重合体である。グルコース、マルトース、グルコースのオリゴマーまたは澱粉の加水分解物から調製されたグルコースの重合生成物、または酸、たとえばルイス酸、無機酸または、モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびポリカルボン酸を含む有機酸の存在下で熱処理することによって重合化した澱粉、たとえば本明細書に参考として内容を援用した米国特許第2436967号、第2719179号、第4965354号、第3766165号、5051500号、第5424418号、第5378491号、第5645747号および第5773603号に記載された方法によって調製された製品が含まれるがこれだけに限定されない。「ポリデキストロース」という用語にはまた、酸の存在下で、および糖アルコール、たとえばポリオールの存在下で前述のグルコース、マルトース、グルコースのオリゴマーまたは澱粉加水分解物の重縮合、たとえば、米国特許第3766165号で記載された反応によって調製されたグルコースの重合体生成物が含まれる。さらに、「ポリデキストロース」という用語には、以下の、
(a)いずれも内容を参考通して援用した米国特許第5667593号および第5645647号に記載されたように、塩基をそれらに添加するか、またはポリデキストロースの濃縮水溶液を吸着樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂、II型強塩基性イオン交換樹脂、塩基性イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を含む混合床樹脂に通過させる工程によってポリデキストロースに付随する酸を中和する工程、
(b)ポリデキストロースを活性炭または木炭と接触させるか、スラリにするか、溶液を固形吸着床に通過させるか、または亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などによって漂白することによって脱色する工程、
(c)UF(限外濾過)、RO(逆浸透)、サイズ排除などの分子篩い分け方法、
(d)酵素処理ポリデキストロース、
(e)当業界で公知のその他の公知の任意の方法
のいずれか、または全てを含めるが、これだけに限定されない当業界で記載された技術によって精製されたグルコース重合体が含まれる。
さらに、ポリデキストロースという用語には、還元、たとえば、水素添加したポリデキストロースが含まれ、本明細書では、当業者にとって公知の技術によって調製された水素添加または還元ポリグルコース生成物が含まれる。これらの技術のいくつかは、全ての内容を参考として援用したBorden他の米国特許第5601863号、Cabocheの米国特許第5620871号およびDuflotの米国特許第5424418号に記載されている。
本明細書では「糖重合体」という用語は、ヒト胃の酵素消化に耐性で、ポリデキストロースについては前述の方法のいずれかによって、開始物質として1種または複数の糖を使用して調製した食品として許容される非毒性糖重合体を意味する。「糖重合体」という用語には、ポリデキストロースが含まれるだけでなく、前述したように、重縮合反応でグルコースの代わりにその他の糖を使用したその他の食品として許容される製品も含まれる。したがって、たとえば、酸および、任意選択であるが好ましくは糖アルコールの存在下での糖の重合によって得られる製品、ならびに前述した精製技術のいずれかを使用する工程を含むそれらの精製製品が含まれる。本明細書で定義したように、当業界で公知の技術によって還元または水素添加された糖重合体を意味する「水素添加糖重合体」、たとえば前述の米国特許第5601863号、第5620871号および第5424418号で記載されたものも又含まれる。
本明細書では、「糖」は、単糖類、二糖類またはオリゴ糖類を意味する。D体およびL体の糖類を使用することができるが、D体の糖類が好ましい。
本明細書では、単糖類は3〜6個の炭素原子を含有し、アルドース、たとえば、ヘキソースが含まれる。単糖類の例には、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プリコース、フルクトース、ソルボース、タガトースなどが含まれる。単糖類は、DまたはL異性体のいずれかで存在することが可能であるが、D異性体が好ましい。
二糖類の例には、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソマルトース、およびイソマルツロースが含まれる。
オリゴ糖類には、平均して3〜10個の糖単位、より好ましくは3〜6個の糖単位が含まれる。オリゴ糖類の例には、フルクト-オリゴ糖類、マルトトリオースなどが含まれる。
しかし、重合化反応で使用する糖は、単糖類、およびペントースまたはヘキソースが好ましい。
本発明の麦芽飲料製造方法で使用する糖重合体、たとえばポリデキストロースは、精製することが好ましい。したがって、前記で定義したように、糖重合体は、還元糖重合体であっても非還元糖重合体、すなわち、いかなる還元も受けていない糖重合体であってもよい。糖重合体は精製されていることが好ましく、非還元であっても、還元されていてもよい。
本発明の方法で使用した最も好ましい糖重合体は、本明細書で定義したようにポリデキストロースである。
ポリデキストロースは、非還元ポリデキストロース、すなわち還元を受けていないポリデキストロースにせよ、還元ポリデキストロースにせよ、当業界で公知の従来技術、たとえば前述の技術を使用して精製することが好ましい。ポリデキストロースは還元された精製ポリデキストロースまたは還元されていない精製ポリデキストロースであることが最も好ましい。
本発明によって製造された麦芽飲料には、糖重合体、たとえばポリデキストロースもまた存在すること以外は、このような種類の麦芽飲料に通常含有される成分が含まれる。したがって、たとえば、麦芽飲料がビールの場合、ビールは標準的ビールであるにせよ、低カロリービール、低アルコールビールなどであるにせよ、このような種類のビールに通常見いだされる成分に追加して糖重合体、たとえば本明細書で定義したようなポリデキストロースが含有される。たとえば、ビールの調製で使用される成分には、水、ホップ、酵母および麦芽、特にオオムギ麦芽が含まれる。さらに、添加物、特にコメ、トウモロコシ、およびモロコシなどの澱粉含有食品、または糖類、特に単糖類、より特にグルコースをそれに添加することが可能である。
本発明によって製造された麦芽飲料は、当業者に公知の従来技術に従って製造されるが、糖重合体、たとえばポリデキストロースをそれに添加することのみが異なる。糖重合体、たとえば、ポリデキストロースは、過程のどの工程で添加してもよい。最初に、過程の前、または過程の途中、すなわちマッシング工程で添加することが可能で、発酵前または発酵後に麦汁に添加することが可能である。言い換えると、最初にマッシング中、またはロータリングおよびスパージング工程、または麦芽の煮沸またはホップ添加工程、冷却工程または発酵工程に添加することが可能で、または保存中、熟成中など、または前述の工程のいずれか1つ以上において添加することが可能である。過程の最後瓶詰め前に添加することも又可能である。発酵前に添加することが好ましい。
糖重合体、たとえばポリデキストロースは、固形物として添加してよく、または水溶液として添加してよい。
驚いたことに、糖重合体、たとえばポリデキストロースは、麦芽飲料、たとえばビールの調製条件下で安定である。より具体的には、糖重合体、たとえばポリデキストロースは、発酵中安定して維持され、すなわち、酵母、たとえば醸造酵母は糖重合体を攻撃しない。
一実施形態では、本発明は、コクを高めるのに有効量の糖重合体、たとえばポリデキストロースを麦芽飲料形成成分に麦芽飲料形成過程の任意の工程または最終麦芽飲料生成物に添加することによって、麦芽飲料、たとえばビールのコク、すなわち口当たりを高める方法を目的とする。添加する糖重合体、たとえばポリデキストロースの量は、実験的に不適切な量ではなく、当業者によって容易に決定することができ、様々な要因、たとえば製造する麦芽飲料の種類、酵素分解または加水分解に対する不安定性、糖重合体の粘度などに応じて変化させることが可能である。しかし、0.1重量%から約10重量%の糖重合体を最終麦芽飲料製品内容物に存在させることが好ましく、約0.5重量%から約5重量%の糖重合体を最終麦芽飲料製品に存在させることがより好ましく、約1重量%から約3重量%の糖重合体を最終麦芽飲料製品に存在させることが最も好ましい。
ポリデキストロースの添加効果の有効性の例として、本発明者らは糖重合体、たとえばポリデキストロースを低カロリービールに添加することによってそのコクが非常に高まることを発見した。前述したように、消費者の苦情の1つは、低カロリービールでは標準的ビールのコクが著しく不足していることである。しかし、糖重合体、たとえばポリデキストロースを添加すると、低カロリービールにコクまたは口当たりが付与され、コクを高めるのに有効な量を添加すると、コクは標準的ビールと実質的に同じになる。さらに、糖重合体、たとえばポリデキストロースを、コクを高める有効量で市販のライトビールに添加すると、そのコクが著しく高まる。
さらに、得られたビールは通常のカロリー数よりも低いことが特徴である。ライトビールを製造するために現在使用されている方法とは異なり、本発明の方法によって調製されたビールは、通常のビールのコク、たとえば口当たりがあるだけでなく、カロリーが少ない。得られたビールは、通常のビールの比重を有する。さらに、糖重合体は最終的な醸造製品の色を増強することができる。
他の実施例として、糖重合体、たとえばポリデキストロースを低アルコールビールに添加するとそのフレーバが著しく高まる。より具体的には、消費者の苦情は、通常より少ないアルコールを含有するビール種は味が悪く、フレーバのバランスが悪いことである。しかし、糖重合体、たとえば、ポリデキストロースを低アルコールビール製造過程の任意の工程でビールに添加すると、製造された低アルコールビールのフレーバが高まっただけでなく、滑らかさが増強された。さらに、フレーバの安定性は、対応する低アルコールビールと比較して高まっている。
前述したフレーバを高める量は、本明細書で前述したコクを高めるために効果的な量と同じ範囲である。好ましくは、フレーバを高める量の範囲は、最終製品の0.1重量%から約10重量%で、より好ましくは約0.5重量%から約5重量%、最も好ましくは最終ビール含量の約1重量%から約3重量%である。
本発明の他の利点は、本発明の方法によって製造された麦芽飲料、たとえばビールは、注ぎ入れたり、注ぎ出したりしたとき、より長い時間泡またはヘッドを維持する。消費者が麦芽飲料、たとえばビールに期待する泡特性には3つの側面、(a)泡の形成、(b)泡の持続および(C)ガラスの側面に吸い付く泡の能力である。本発明にしたがって、麦芽飲料形成過程に糖重合体を添加すると、前述の特性の少なくとも1つ、たとえば長時間泡のヘッドの持続を高めることができる。さらに、糖重合体を麦芽飲料に添加するとまた、前述の泡特性の2つまたは3つ全てが高められる。
消費者は、広告媒体を通じてビールの泡がたったグラスまたはジョッキを頻繁に目の当たりにしているので、泡は消費者が望む一特性である。泡は一般的に、ビールを注ぎ入れるか、注ぎ出したときに消費者が気付く最初の特性である。いくつかのビールは、注いだ直後に比較的良好な泡を形成するが、このように形成された泡は通常消費者が所望するほど持続することができない。ビールをグラスに注いだときの良好ないわゆる泡のヘッドの形成は、視覚的に判断するビールの品質であると大勢の人が考えている。微細で、クリーミーで、安定した泡は、多くの消費者の心理にはっきりと訴えかける。
したがって、多くの消費者が、グラスに注いだとき、ビールが消費されるまで持続される安定した泡が形成される製品を所望する。
泡を高める量で糖重合体、たとえばポリデキストロースを添加すると、泡の保持が高まる。さらに、グラスの側面に吸い付く能力もまた、高めることが可能である。泡の持続を高めるために使用する好ましい量は、フレーバの増強および/またはコクの増強に関して前述したのと同じ量である。
糖重合体、たとえばポリデキストロースは、ビールに適合しており、すなわち、一般的にそれらによって分解されず、麦芽飲料を分解することもなく、得られた麦芽飲料は安定性を維持している。
したがって、糖重合体、たとえばポリデキストロースを麦芽飲料製造過程に添加すると、その特性が著しく高められる。たとえば、麦芽飲料、たとえば、低カロリービール、標準的ビール、低アルコールまたはノンアルコールビールなどは、カロリーが十分なビールが備えている望ましい特性、たとえばコクが不十分で、麦芽飲料製造過程中に糖重合体を添加すると実質的にコクが高まった麦芽飲料が製造される。他の例では、麦芽飲料、たとえば低カロリービールまたは低アルコールまたはノンアルコールビール、または標準的ビールなどは、所望するフレーババランスが不十分な場合、糖重合体、たとえばポリデキストロースを増強有効量で麦芽飲料製造過程中に添加するとそのフレーババランスが著しく高められる。さらに、麦芽飲料、たとえば低カロリービールまたは低アルコールまたはノンアルコールビール、または標準的ビールの所望する泡特性が不十分な場合、糖重合体、たとえばポリデキストロースを増強有効量で麦芽飲料製造過程中に添加すると泡特性が著しく高められる。さらに、糖重合体、たとえばポリデキストロースを添加すると、以下の特性、フレーバ、泡特性および口当たりの1つ以上が高められることが好ましく、たとえば、好ましくはその添加によってこれらの特性の少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てが高められる。さらに、麦芽飲料製造過程に糖重合体を添加によってカロリー量は増加せず、同時に麦芽飲料のカロリー量を下げることが可能である。
本明細書で説明した方法は、いかなる麦芽飲料、たとえば、標準的ビール、低アルコールまたはノンアルコールビール、または低カロリービールの調製にも適用することができる。すなわち、これらのビールはときに過程中に、糖重合体、たとえばポリデキストロースをそれらに添加すること以外は標準的方法によって調製される。
したがって、たとえば、ノンアルコールビールは、糖重合体を本明細書で説明したビール製品製造過程のある時点で添加すること、たとえば過程の任意の工程で麦汁に添加できること以外は、固定酵母、たとえば、全ての内容を参考として援用した米国特許第5612072号および第5079011号およびWO000/23561で記載されたものを使用する技術によって調製することができる。
本発明者らは、本発明の方法は又ポリデキストロースを精製することを発見した。グルコースからポリデキストロースを調製する方法で、重合化しないグルコースのいくらかは、それらの不純物となる。酵母はグルコースをエタノールと二酸化炭素に発酵するので、本発明者らはポリデキストロースに結合したグルコース、場合によってはポリデキストロースの2.5重量%から約4重量%に及ぶグルコースを安価かつ完全に除去する手段を発見した。したがって、本発明の一実施形態は、グルコースを二酸化炭素とエタノールに変換する発酵条件下でポリデキストロースを酵母で発酵すること、およびそれらからエタノールおよび二酸化炭素を分離することを含むポリデキストロースからグルコース不純物を除去する方法を目的とする。酸化を実施するために必要な酵母はほんの少量であると理解されている。しかし、より多くの酵母が存在すると、発酵はより速く進行する。当業者であれば、最適な酵母量は容易に決定できる。グルコースと結合したポリデキストロースを、実質的にグルコース全てがエタノールと二酸化炭素に変換するまで、効果的な発酵温度で酵母処理する。
二酸化炭素は気体であるので、ポリデキストロースおよび酵母から容易に分離する。エタノールは、当業者が公知の技術によって除去することが可能である。たとえば、ポリデキストロースが固体の場合、濾過または傾瀉によって除去することが可能である。これによってポリデキストロースからエタノールを除去するだけでなく、酵母も分離される。その他の方法には、特に減圧下における留去、蒸留などが含まれる。
グルコースが結合したポリデキストロースを前記で確認した方法において使用してビールを製造すると、グルコースがエタノールに変換され、エタノールを除去する必要がないという利点がある。その代わりに、エタノールがビール製品に保持され、それによってアルコール含量が増加する。
グルコースを含有するポリデキストロースを酵母で処理すると、グルコースは完全に変換され、二酸化炭素およびエタノールが形成される。さらに、酵母は残存するソルビトールおよびさらに存在する無水グルコースを攻撃しない。糖が含まれない製品は次に、さらに当業者が公知の従来方法、たとえば濾過、樹脂処理、炭素処理、留去などによって精製し、最終製品の所望する純度およびフレーバ特性を得ることが可能である。
ポリデキストロースの他に、この技術を使用してグルコース、フルクトースまたは加水分解によってグルコースまたはフルクトースが形成されるならば、二糖、三糖または多糖の加水分解生成物から調製されたその他の糖重合体を精製することができる。
本明細書では、「ライト(light)ビール」、「ライト(lite)ビール」、および「低カロリービール」は同義で、交換可能に使用される。
反する指示がなければ、パーセントは重量による。
以下の実施例によってさらに本発明を例示する。
(実施例1)
ポリデキストロースは、Rennhardの米国特許第3766165号で記載された方法によって調製し、その製品は米国特許第5667593号の教示に従って精製した。精製ポリデキストロース488グラムおよび水1512グラムを冷却して、炭酸を飽和させて12オンス(341グラム)当たり96カロリーのポリデキストロース溶液を作製した(以後PDX溶液)。これを以下の表に上げた様々なブレンドでBud Light(登録商標)またはMiller Lite(登録商標)に添加し、得られた製品を試飲パネルが試験し、評価した。
Figure 2012061013
(実施例2)
石膏400ppmを含有する炭素濾過した上水8.15リットルを、二条麦2.77kgを入れたマッシング槽に入れた。内容物を45℃でマッシングした。温度は45℃で30分間維持した。30分後、マッシング槽の温度は、63℃に達するまで1分当たり1℃ずつ上昇させた。マッシング槽の温度を63℃で45分間維持した。45分終了時に、温度は73度に達するまで、1分当たり0.3℃ずつ上昇させた。温度を73℃に維持して、澱粉を最大限加水分解した。澱粉の加水分解過程が完了したら、内容物を73℃でロータリング槽に移し、内容物をロータリングし、石膏400ppmを含有する新鮮な炭素濾過水によって77℃でスパージングした。スパージング終了時に、麦汁の比重は9.46°Pであった。次に、麦汁を釜に移した。それにホップを添加する前に、麦汁2リットルを取り出し、以下に説明した醸造酒Aのホップを入れていない添加物に入れた。
残りの麦汁は、60分間煮沸した。Hallertauホップ13.8gをすぐに添加した。30分後、さらにHallertauホップ13.8gを添加した。45分間煮沸した後、Hallertauホップ6.9gを添加した。60分間煮沸した後、麦汁およびホップ混合物を冷却して、ホップおよび不溶性固形物を濾過によってそれらから除去し、麦汁を収集した。この麦汁を曝気して滅菌空気を飽和させた。
3種類の異なる醸造酒を以下のように設定した。
醸造酒A:(熱さを調節してある)ホップを入れていない釜の麦汁2.0リットルを脱イオン水で3.5リットルにして、オートクレーブで煮沸した。
醸造酒B:デキストロース209グラム(91.5%抽出物)を脱イオン水で3.5リットルにして、オートクレーブで煮沸した。
醸造酒C:デキストロース209グラム(91.5%抽出物)と米国特許第5645647号に記載された方法で調製したポリデキストロース150グラムを脱イオン水で3.5リットルにして、オートクレーブで煮沸した。
麦汁1リットル当たり遠心した酵母固形物2.5グラムを添加した。比重10.12゜Pを有する冷却麦汁5.5リットルをA、BおよびCで明示した3種類の異なる発酵槽に移して、それぞれの発酵槽に適切な添加物を添加して、各発酵漕の最終量は8.25゜Pで9リットルにした。
さらに、Optidex L-300(アミログルコシド)0.8mlをそれぞれの発酵槽に添加した。AE変化が1日当たり1.0゜Pで、ジアセチル前駆体試験が陰性のとき、発酵槽の内容物を素早く華氏35度に冷却した。様々な醸造酒を異なる保存容器に移して、華氏35度から華氏38度で7日間保存した。7日間の最後に、保存容器を氷水槽に移し、その内容物を華氏32度で7日間保存した。得られたビールをフィルタパッド(Whatman GF/DからGF/BからMillipore APWP 14250 0.8ミクロン)(珪藻土無し)を使用して3脚フィルタで透明なビール容器に濾過した。炭酸ガスを飽和させ、脱気した水を各瓶に添加し、2.7体積まで炭酸ガスを飽和させた。
琥珀色のリターナブル瓶に瓶詰めした。
異なる醸造酒のビールを試飲パネリストが試験した。彼らは醸造酒AとCは同等であると評価したが、醸造酒Cはデキストロースを含有する対照(醸造酒B)よりも有意に良いことを発見した。さらに、醸造酒Aおよび醸造酒Bとは異なり、醸造酒Cは非常に後味がドライで、Bud Light(登録商法)の後味と同様であった。
(実施例3)
5種類の醸造酒は全量16Lで、1つの醸造釜で初期比重13度プラートで調製した。
醸造酒A:麦芽のみの(対照)ライトビール
添加物は添加せず。
105カロリー。
醸造酒B:デキストロース添加ライトビール507.2グラムのデキストロース固形物を4リット
ルにして、釜で煮沸する前に添加した。
105カロリー。
醸造酒C:デキストロース添加物および陰イオンおよび陽イオン交換にかけたポリデキスト
ロースを含有するライトビール(カロリー追加)。
デキストロース固形物507.2グラムおよびポリデキストロースシロップ(固形物
70%)669.3グラムを4リットルにして、釜で煮沸する前に添加した。
115カロリー。
醸造酒D:デキストロース添加物および陰イオンおよび陽イオン交換にかけたポリデキスト
ロースを含有するライトビール(同等のカロリー)。
デキストロース固形物382.0グラムおよびポリデキストロースシロップ(固形物
70%)669.3グラムを4リットルにして、釜で煮沸する前に添加した。
105カロリー。
醸造酒E:デキストロース添加物および本質的にモノマーを除去したポリデキストロース
(カロリー追加)。
デキストロース固形物507.2グラムおよびポリデキストロース468.5グラム。
低モノマー粉末を4リットルにして、釜で煮沸する前に添加した。
115カロリー。
水1リットル当たり0.4グラムの石膏で処理した炭素濾過水、二条麦淡色麦芽ブレンド、Cascadeホップペレット(アルファ酸4.5%)およびHallertauホップペレット(アルファ酸3.4%)を使用して様々な醸造酒を調製した。
二条麦淡色麦芽3.30Kgを醸造用水8.15Lと混合して、マッシング槽で45℃でマッシングした。マッシュ液は、45℃で30分間維持して、次に65℃になるまで温度を1分当たり1℃ずつ上昇させた。マッシュ液は、65℃で30分間維持した。次に、75℃になるまで1分当たり1℃ずつ温度を上昇させた。澱粉の加水分解が完了したら、内容物を75℃のロータリング槽に移し、内容物を75℃でロータリングして、スパージングした。標的の最終比重は約13℃プラートで、内容物を釜に移した。
醸造酒B〜Eで説明した補助添加物を釜に添加した。ホップを以下のように釜に添加した。Cascadeホップ16グラムを煮沸60分前に添加し、Hallertauホップ13.5グラムを煮沸30分前に添加し、Hallertauホップ7.0グラムを煮沸15分前に添加した。釜の内容物を60分間煮沸した。
以下の麦汁を釜からポリカーボネートのワールプール槽に移し、清澄にした。麦汁に通気して、11〜12℃まで冷却した。麦汁1リットル当たり1.5グラムの接種率(遠心した下面発酵酵母)で、透明になった麦汁を発酵容器で発酵させた。アミログルコシダーゼ(Optidex L-300)1.40mlを麦汁16L当たりに添加した(90ppm)。麦汁を11〜12℃で10日間発酵させた。次に、発酵麦汁を3〜4℃に急速冷却した。発酵完了時に、麦汁を保存容器に移して、そこで3〜4℃で7日間維持した。次に、内容物を第2の保存容器に移して、0〜2℃で5日間最終熟成した。
得られたビールをフィルタパッド膜フィルタ(Whatman GF/DからWhatman GF/BからMillipore AAWP14250)を使用した3脚フィルタで濾過した。脱気し、炭酸飽和した炭素濾過調節水を濾過ビールに添加して、12オンス(354.9mL)瓶当たり約100カロリーの最終製品または他の添加ビールでは110カロリー/瓶を作製した。濾過ビールを透明なビールタンクに集めて、それぞれのビールに約2.2体積まで炭酸ガスを飽和させた。
CO2パージおよびCO2背圧充填技術を使用して、ビール全てを非返却の琥珀色の瓶に瓶詰めした。ビールを約10PUまで低温殺菌した。
様々な醸造ビールを試飲パネルに与えた。さらに、醸造ビールを分析して、当業界で公知の標準技術を使用して、実際の希釈度およびシグマ泡持ち値(sigma foam value)を含めた様々な測定値を得た。さらに、様々な醸造酒もまた3カ月間(90日)保存して、これらの保存ビールを分析して、試飲パネルに与えた。
結果は以下の通りである。
1)新鮮なビールと3カ月保存したビールの両方に実施した研究室分析では、それぞれの最終ビールの間に大きな差はなかった。言い換えると、ポリデキストロースを含有する醸造酒は全て、一般的に均整のとれた特性を備えたビールを生成した。
2)全てのビールの泡は、良好であると評価され、シグマ泡持ち値は以下の通りであった。
醸造酒A 醸造酒B 醸造酒C 醸造酒D 醸造酒E
122〜124 106〜110 118〜126 118〜119 113〜116
したがって、麦芽のみおよびポリデキストロース含有ビールのシグマ泡持ち値は、添加物含有ビール(醸造酒B)よりも高かった。シグマ泡持ち値が高ければ高いほど、ビールの泡特性は良好であった。
3)ポリデキストロースを含有するビールでは、時間と共に変化または分解する明らかな、または一目瞭然の徴候はなかった。
RDA値は以下の通りであった。
醸造酒A 醸造酒B 醸造酒C 醸造酒D 醸造酒E
56.24 64.01 50.65 52.18 52.75
4)3人の試飲パネルまたは最初のビールは、醸造酒Dが麦芽だけのビール(醸造酒A)と非常に類似していることを示していた。しかし、90日後に実施した3人の試飲パネルは、証拠が不十分であるが、醸造酒Eは麦芽だけのビール(醸造酒A)と非常に類似していることが示唆された。
5)新鮮なビールと90日経ったビールの試飲パネルの記述によると、醸造酒Aと醸造酒C〜Eの間にはフレーバ特性の差がほとんど無いことが示された。時間による変化は、一般的に気が抜けたり、老化過程に関連したものである(甘味、酸化、醗酵臭(breadiness)、紙臭、果実臭およびカラメル臭)。したがって、ポリデキストロースを含有するビールは、完成したビールの通常のフレーバ特性をあまり変化させなかった。
6)添加ビール(醸造酒B)とポリデキストロースビール(醸造酒C〜E)を比較する90日目の試料で実施した試飲パネルでは、醸造酒C〜Eと醸造酒Bとの間にはコクおよび口当たりの明確な差があり、醸造酒C〜Eはずっと高く評価された。最も顕著な差は、滑らかさ、クリーム状、収斂性および全体のコーティングに関連したものに見られた。したがって、データによって麦芽だけのビールとポリデキストロース含有ビールの間に類似性が示された。さらに、ポリデキストロース含有製品から加工、フレーバ、または物理的特性に悪い影響を与えずにビールが生成することがデータによって示された。ポリデキストロース製品を含めても、最終製品に悪い影響はなく、ビール環境において不安定になったり、気の抜ける過程を促進したりしなかった。
しかし、データによってまた、ポリデキストロースの添加はビールを向上させることが示された。より具体的には、ポリデキストロース含有ビールは、添加物含有ビールと比較して泡特性が著しく高まった。さらに、これらは添加物含有ビールよりもコクとフレーバが高まっていた。
(実施例4)
添加した酵母の接種率または量は、ポリデキストロース20%溶液2ガロンに対して1ドライパケット(10グラム)であった。これによって、5日間発酵させ、次に濾過して、陽イオンおよび陰イオン交換にかけた。樹脂処理したポリデキストロースの残存グルコース、ソルビトールおよび無水グルコース、ならびにポリデキストロース含量を試験した。このように処理したポリデキストロースは、グルコースの濃度が3.1%から0.2%未満に減少しており、一方ソルビトールおよび無水グルコース残渣は本質的に変化しなかった。ポリデキストロース含量は又、本質的に変化しなかった。
前述の好ましい実施形態および実施例は、本発明の範囲および精神を例示するために挙げた。これらの実施形態および実施例によって当業者にはその他の実施形態および実施例が明らかであろう。これらの他の実施形態および実施例は、本発明の計画内である。
したがって、本発明は添付のクレームによってのみ制限される。

Claims (46)

  1. 麦芽、ホップ、水、及びポリデキストロースを含む混合物を醸造する工程によって調製される麦芽飲料であって、
    同一処方であるがポリデキストロースが存在しない麦芽飲料に比して、以下に定義される官能特性:
    (a)コクまたは口当たり、
    (b)フレーバ、または
    (c)泡特性
    の1種または複数を高めるために十分な量で、前記ポリデキストロースが存在し、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、麦芽飲料。
  2. ポリデキストロースが精製されている、請求項1に記載の麦芽飲料。
  3. ポリデキストロースが、イオン交換にかける工程によって精製されている請求項2に記載の麦芽飲料。
  4. ポリデキストロースが、限外濾過または逆浸透によって精製されている請求項2に記載の麦芽飲料。
  5. ポリデキストロースが、還元されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の麦芽飲料。
  6. 低カロリービールである請求項1乃至5に記載の麦芽飲料。
  7. 低アルコールまたはノンアルコールビールである請求項1乃至5に記載の麦芽飲料。
  8. 麦汁の初期比重が10から12度プラート(゜P)の標準的ビールである請求項1乃至5に記載の麦芽飲料。
  9. 前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の麦芽飲料。
  10. 前記ポリデキストロースが、0.5重量%から5重量%の範囲の量で存在する請求項9に記載の麦芽飲料。
  11. 1種または複数の添加物を更に含む、請求項1に記載の麦芽飲料。
  12. 一種または複数の添加剤が、一般的な挽き割りトウモロコシ、精製挽き割りトウモロコシ、醸造用粉砕酵母、コメ、モロコシ、精製コーンスターチ、オオムギ、コムギ澱粉、焙煎穀物、穀物断片、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、またはシロップである、請求項11に記載の麦芽飲料。
  13. 麦汁はオオムギをマッシュする工程によって生成し、前記麦汁をホップと混合して、その後酵母で発酵させる工程によって麦芽飲料が得られる麦芽飲料製造方法において、改良として、発酵の前、最中または後に、ポリデキストロースを含有しない対応の麦芽飲料に比して、前記麦芽飲料のコク、フレーバまたは泡特性を高めるのに有効な量のポリデキストロースを前記麦汁に添加する工程を含み、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、方法。
  14. ポリデキストロースが、精製されている請求項11に記載の方法。
  15. ポリデキストロースが、イオン交換にかける工程によって精製されている請求項13に記載の方法。
  16. ポリデキストロースが、限外濾過または逆浸透によって精製される請求項13に記載の方法。
  17. ポリデキストロースが還元されている請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在する請求項13乃至17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記麦芽飲料が、低カロリービールである請求項13乃至18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記麦芽飲料が、低アルコールビールまたはノンアルコールビールである請求項13乃至18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記麦芽飲料が、麦汁の初期比重が10から12度プラート(゜P)の標準的ビールである請求項13乃至18のいずれか一項に記載の方法。
  22. 請求項13乃至21のいずれか一項の方法によって製造されたビール。
  23. ホップおよび水を含む成分から醸造された麦芽飲料を改変する方法であって、麦芽飲料を醸造して麦芽飲料成分を含有する炭酸発酵産物を生成する工程、醸造の前、最中または後にポリデキストロースを前記麦芽飲料に添加する工程を含み、以下に定義される官能特性:
    (a)コクまたは口当たり、
    (b)フレーバ、または
    (c)泡特性
    の1種または複数を高めるのに有効な量で、前記ポリデキストロースが存在し、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、方法。
  24. ポリデキストロースが、精製されている請求項23に記載の方法。
  25. ポリデキストロースが、イオン交換にかける工程によって精製されている請求項24に記載の方法。
  26. ポリデキストロースが、限外濾過または逆浸透によって精製されている請求項24に記載の方法。
  27. ポリデキストロースが、0.5重量%から5重量%の範囲の量で存在する請求項23に記載の方法。
  28. ポリデキストロースが還元されている請求項23乃至27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記麦芽飲料が、麦汁の初期比重が10から12度プラート(゜P)の標準的ビールである請求項23乃至27のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記麦芽飲料が、低カロリービールまたは低アルコールビールである請求項23乃至27のいずれか一項に記載の方法。
  31. 1種または複数の添加物が更に存在する、請求項23に記載の方法。
  32. 一種または複数の添加剤が、一般的な挽き割りトウモロコシ、精製挽き割りトウモロコシ、醸造用粉砕酵母、コメ、モロコシ、精製コーンスターチ、オオムギ、コムギ澱粉、焙煎穀物、穀物断片、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、またはシロップである、請求項31に記載の方法。
  33. 麦芽飲料の以下に定義される官能特性:
    (i)コクまたは口当たり、
    (ii)フレーバまたは
    (iii)泡特性
    の1種を高める方法であって、
    (a)水および大麦由来の麦芽を含む混合物から透明な麦汁を調製する工程、
    (b)ホップを(a)の生成物に添加し、生成物を含有するホップを煮沸する工程、
    (c)(b)の生成物を清澄にして発酵させる工程、
    (d)(c)の生成物を熟成させる工程、および
    (e)発酵工程の前、最中または後に、前記麦芽飲料の官能特性を高めるのに十分な量のポリデキストロースを麦芽混合物または麦汁に添加する工程を含み、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、方法。
  34. ポリデキストロースが、0.5重量%から5重量%の範囲の量で存在する請求項33に記載の方法。
  35. 前記官能特性の少なくとも2種を高める請求項13、28、または33のいずれか1項に記載の方法。
  36. 3種全ての官能特性を高める請求項33に記載の方法。
  37. 前記官能特性の少なくとも2種を高めた請求項1に記載の麦芽飲料。
  38. 3種全ての官能特性を高めた請求項37に記載の麦芽飲料。
  39. (a)麦芽飲料成分を混合し、(b)加工して発酵麦芽飲料を作製する麦芽飲料を調製する改良された方法において、改良が、工程(a)または工程(b)、または工程(b)の生成物に(a)コクまたは口当たり、(b)フレーバおよび(c)泡特性から成る群から選択された官能特性の少なくとも1種を高めるのに有効な量でポリデキストロースを添加する工程を含み、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、改良された方法。
  40. (a)実質的に液体の麦汁を調製する工程、
    (b)前記麦汁を煮沸する工程、
    (c)酸化を回避する条件下でガスを前記麦汁に勢いよく浸透させる工程、
    (d)前記麦汁を前記麦汁の凝固点を上回る温度まで冷却する工程、
    (e)前記麦汁を濾過する工程、および
    (f)前記冷却した濾過麦汁を、担体物質を含みそれに酵母を固定させた充填カラムに通過させる工程を含む低アルコールまたはノンアルコールのビールを低温で製造するための改良された方法において、改良がコク、フレーバおよび泡特性から成る群から選択された前記官能特性の少なくとも1種を高める量で、工程(a)〜(f)のいずれか、液体麦汁の形成前、または工程(f)後に、ポリデキストロースを麦汁に添加する工程を含み、前記ポリデキストロースが、0.1重量%から10重量%の範囲の量で存在し、前記ポリデキストロースが、酸の存在下での熱処理によって重合化されるグルコースのポリマー生成物であるかまたは、かくして得られ、次いで還元されたポリマー生成物である、改良された方法。
  41. ビールである、請求項1乃至5、9、及び10乃至12のいずれか一項に記載の麦芽飲料。
  42. 前記麦芽飲料がビールである、請求項13乃至18、23乃至28、及び31乃至38のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記麦汁が、発酵の前に着香剤と混合される請求項13乃至21のいずれか一項に記載の方法。
  44. アルコールを含まないかまたは6重量%以下で含む請求項1乃至12のいずれか一項に記載の麦芽飲料。
  45. アルコールを含まないかまたは6重量%以下で含む請求項13乃至21及び28乃至36のいずれか一項に記載の方法。
  46. ポリデキストロースが、0.5重量%から5重量%の範囲の量で存在する請求項40に記載の、改良された方法。
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