JPH08249A - 酒類の製造方法 - Google Patents
酒類の製造方法Info
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Abstract
性食物繊維を副原料に使用することを特徴とする酒類の
製造方法。 【効果】 酒類を製造するにあたり、本発明の方法に従
い食物繊維を直接添加することにより、食物繊維を含有
するビール等の酒類を製造することができる。しかも、
食物繊維を比較的多く含有させることによって、香味が
すぐれ、特にコク味のある、従来品に見られないタイプ
の酒類を製造することが可能である。
Description
し、詳しくは食物繊維を含有する酒類の製造方法に関す
る。
て、外来の難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維を
麦汁およびその発酵液あるいは発酵終了液などに直接添
加することで、食物繊維を含有する酒類を製造した例は
過去に見られない。ビールや日本酒などの酒類を製造す
る場合、主原料に副原料を加えて製造することが多い
が、添加が許容される副原料は酒税法で規定されてい
る。酒類の製造技術はほぼ確立されているが、時代によ
って、好みの指向が変化するのに対応して、使用原料や
個々の工程に種々の技術開発が行われている。近年は、
人々の健康への関心の高まりと共に、食品分野において
もヘルシーなものへの要求が強くなりつつある。また、
食生活の変化に伴い、食物繊維などの特定成分の摂取量
の不足が問題とされている。しかし、酒類の場合は、使
用原料や製法に一定の制約があるため、画期的な製品を
生み出すには至らず、アルコール濃度を低く抑えたもの
や、薬草などを配合したもの等が上市されているにすぎ
ない。
の健康指向に応え、食物繊維不足の問題を解消し、かつ
コク味のある酒類を提供することである。
を製造するにあたり、酵母難資化性水溶性食物繊維を副
原料に使用することを特徴とする酒類の製造方法であ
る。
れない食品中の多糖類を主体とした高分子成分の総体」
とみなされている〔綾野、ジャパンフードサイエンス、
12、27〜37(1988)〕。食物繊維の種類は非
常に多く、含まれる種類も食品素材により異なるが、通
常は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別される。本
発明に用いる酵母難資化性水溶性食物繊維、すなわち酵
母により資化されないか、殆ど資化されない水溶性食物
繊維としては、α−1,4、α−1,6グルカン(プル
ラン)やペクチン,水溶性トウモロコシ食物繊維,難消
化性デキストリン,カラギーナンなどがある。これら物
質の生理作用として、整腸作用や血糖値上昇抑制作用な
どが動物実験で認められている〔伊藤、月間フードケミ
カル、9、78〜83、(1990)〕。
デキストリンは澱粉の加水分解,熱分解により生成する
もので、澱粉本来の結合であるα1→4結合,α1→6
結合以外の結合であるβ1→2,β1→3,β1→6グ
ルコシド結合を含んでおり、各種アミラーゼ、特にヒト
の消化酵素によっても分解されない成分を有している。
そのため、酵母等によっても資化されないという特性が
ある。
て使用できる「糖類」とは、「例えばぶどう糖、果糖、
しょ糖、麦芽糖のように比較的低分子で水に溶け、一般
に甘味を有する炭水化物またはこれらの混合物をいう」
と定義している。また、注釈として「比較的低分子とは
三糖類以下のものをいう」とある。酒税法では、「糖
類」における糖組成については明記されていないが、上
記の定義を解釈すれば、糖組成において「三糖類以下の
糖を50%以上含み、かつ平均重合度が3以下のもの」
が望ましいと考えられる。そこで、本発明では、ビール
に使用するときは水溶性食物繊維は加水分解等の処理に
より上記要件を満足させたものを使用することが望まし
い。
例にして説明すると、難消化性デキストリン等の水溶性
食物繊維を麦汁およびその発酵液あるいは発酵終了液な
どに直接添加することにより、食物繊維を含有するビー
ルを製造するのである。ビール醸造においては、麦芽に
由来する加水分解酵素(α−アミラーゼ,β−アミラー
ゼ,α−グルコシダーゼなど)によって糖化工程中に澱
粉の液化と糖化を行い、発酵性糖類とデキストリン等が
生成する。しかし、難消化性デキストリン等の食物繊維
のように、α1→4,α1→6以外のβ結合、すなわち
β1→2,β1→3,β1→6グルコシド結合などを有
するデキストリンは存在しない。つまり、外来の難消化
性デキストリン等を添加しない限り、麦芽や澱粉あるい
は他の糖類等由来の難消化性デキストリン等は存在し得
ない。さらに、本発明に使用する難消化性デキストリン
等の食物繊維は、醸造用酵母によってはほとんど資化さ
れない非発酵性の糖であるので、麦汁およびその発酵液
あるいは発酵終了液などに直接添加すると、その含量を
ほとんど変えることなく最終製品に移行することにな
る。
時期は、ビールの製造工程における仕込工程,発酵工
程,貯酒工程および容器詰め工程中のいずれでも良い
が、好ましくは仕込工程中の麦汁を煮沸処理する前が良
い。その理由は、麦汁は通常100℃で1〜2時間程度
の煮沸処理により完全に殺菌され、その後無菌的に工程
を行えば、特に殺菌工程を必要としないからである。ま
た、食物繊維の添加量については適宜決定すればよい
が、一般的にはビールなどの酒類中の濃度が0.1〜
3.0%、好ましくは0.2〜2.0%となるように添
加する。ビールを製造するにあたり、難消化性デキスト
リン等の食物繊維を添加すること以外は、従来の製造法
や使用原料等をほとんど変える必要がない。
どの食物繊維がビール中に存在することによって、その
特徴的なコク味,風味など食物繊維特有の味を明確に呈
する新しいタイプのビールまたはビール様酒類が得られ
る。
する。なお、実施例においては、パイロット試験として
400L醸造設備を使用してビールを製造した。図1
は、400L醸造設備(仕込)の略図と各容器の最大許
容量を示したもので、仕込槽,仕込釜および煮沸釜はそ
れぞれ撹拌器と蒸気ジャケットを装備しており、種々の
温度パターンをとることができる。濾過槽下部にはステ
ンレス製網があり、その上部に麦芽の穀皮が堆積し、液
と分離される。煮沸釜ではホップを加えて麦汁を煮沸す
る。沈澱槽では煮沸後、沈澱してくる粕を分離する。ま
た、これらは配管により連結した設備であり、各容器中
の液体は、ポンプにより連接する容器に移すことができ
る。粕を除いた麦汁は、プレートクーラーにより発酵温
度にまで冷却されて400L発酵タンクに移される。4
00L発酵タンクはブラインコントロールにより温度制
御ができる。発酵液はビール濾過器(サッポロビール社
製)により酵母を取り除かれる。
事販売)を使用した。このプルランにプルラナーゼとグ
ルコアミラーゼを作用させて三糖類以下の糖類を50%
以上含み、かつ食物繊維含量37%の加水分解物を得
た。なお、分解物の還元糖はSomogyi-Nelson法で、分解
前の全糖はフェノール硫酸法でそれぞれ測定した。還元
糖量に対する全糖量の比を算出したところ、2.70で
あった。
ー、松谷化学工業社製)を使用した。この難消化性デキ
ストリンにグルコアミラーゼを作用させて三糖類以下の
糖類を50%以上含む加水分解物を得た。なお、分解物
の還元糖や分解前の全糖は、参考例1と同様にして測定
した。また、還元糖量に対する全糖量の比を算出したと
ころ、2.59であった。
のプルラン混合物(プルランにグルコースとマルトース
を添加し、三糖類以下の糖類の含量が50%以上で食物
繊維を37%含有するもの)と所定量のコーンスターチ
および粉砕麦芽5kgを投入し、100℃まで40分で
昇温し、100℃で20分間保持した。これによりプル
ラン以外の糖類はほぼ液化される。また、仕込槽では、
粉砕麦芽45kgを濃度約20%のスラリーとして、仕
込釜で液化された液と混合し、糖化した。これにより液
化された糖あるいは麦芽の糖類の殆どが糖化されるが、
プルラン混合物中の食物繊維は未分解のままである。こ
の麦汁に泥状ビール酵母を加え、5〜11℃で発酵させ
た後、0℃で貯酒を行った。次いで、発酵液を濾過した
ものを瓶詰めして製品ビールとした。
て資化されないため、ビール中に食物繊維はそのまま存
在する。なお、本試験では、副原料比率を対麦芽換算で
40%とした。また、プルラン混合物の添加量をA:0
kg、B:5kg、C:10kg、D:20kgの4水
準とし、通常ビールの副原料であるコーンスターチの添
加量をA:20kg、B:15kg、C:10kg、
D:0kgとした。
デキストリン混合物〔難消化性デキストリン(松谷化学
工業社製、商品名:パインファイバー)にグルコースと
マルトースを添加し、三糖以下の糖類の含量が50%以
上で食物繊維を44%含有するもの〕を使用したこと以
外は実施例1と同様にして製品ビールを得た。すなわ
ち、難消化性デキストリン混合物の添加量をE:0k
g、F:5kg、G:10kg、H:20kgの4水準
とし、通常ビールの副原料であるコーンスターチの添加
量をE:20kg、F:15kg、G:10kg、H:
0kgとして製品ビールを製造した。
ルについて仮性エキス含量(重量%)を測定したとこ
ろ、次のような結果が得られた。なお、記号A〜Hは、
実施例1および2の記載に対応する製品ビールを示す。 A:1.62,B:1.70,C:2.03,D:2.
48,E:1.60,F:1.78,G:2.10,
H:2.64
添加量が多いもの程仮性エキス含量が高く、これは添加
した食物繊維が最終製品に移行していることに起因する
ものと考えられる。ここでいう仮性エキスとは、アルコ
ールを含んだままの発酵液の比重から求めた20℃/2
0℃における重量%である。
ついて官能検査を10名のパネラーで行ったところ、食
物繊維の添加量多い製品程味において濃味とコク味があ
り、無添加のビールとは明らかに味が異なるという評価
が得られた。また、記号CおよびGで表される製品(す
なわち、副原料のコーンスターチの半量を食物繊維で置
き換えたもの)はコク味のバランスが最も良いとの評価
を得た。
に従い食物繊維を直接添加することにより、食物繊維を
含有するビール等の酒類を製造することが可能となっ
た。しかも、食物繊維を比較的多く含有させることによ
って、香味がすぐれ、特にコク味のある、従来品に見ら
れないタイプの酒類を製造することが可能である。
造するための一連の装置を示し、各装置の許容量も示し
た。
横軸方向は時間、縦軸方向は温度である。仕込釜のマイ
シェは仕込槽に送られ混合される。
Claims (2)
- 【請求項1】 酒類を製造するにあたり、酵母難資化性
水溶性食物繊維を副原料に使用することを特徴とする酒
類の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法で得た食物繊維を含
有する酒類。
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