JP2012018241A - 電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層が電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)とを含有する硬化性組成物からの硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】図1
Description
電子写真方式の画像形成装置とは一般に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像器と、付着したトナーを被転写物に転写を行なう転写手段と転写されずに感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング器等を一体に備えたものである。
有機感光体は、上記のような帯電、現像、転写及びクリーニング等の各工程を繰り返すことによって感光体表面が化学的あるいは物理的に劣化し、摩耗が促進されたり、傷が形成されたりする。これによって早期に画質が劣化してしまうため、有機感光体の機械的耐久性は最も重要な課題の一つとされていた。それに対し、有機感光体の機械的耐久性を高める目的で保護層を設ける技術が数多く開示されている。
まず、異物付着について述べる。機械的耐久性に優れた感光体であっても、長期間使用すると異常画像が発生することがある。紙粉やトナー添加剤の付着がその原因となることがある。これらが付着した部分は正しく帯電や露光が行われず、異常画像を発生する場合がある。機械的耐久性に劣る感光体であれば、最表面が摩耗するため、異常画像の発生が抑制可能であるが、長寿命化の達成は困難である。従って異物付着を防止することは、非常に重要である。
特許文献15には、保護層中に潤滑性微粒子を含有させた感光体が記載されている。また、特許文献16には、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有した含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層を有する感光体が記載されている。また、特許文献17には架橋型表面層にフッ素系UV硬化型ハードコート剤と1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化し、さらに潤滑性微粒子を含有した保護層を有する感光体が記載されている。フッ素系材料を使用することは、感光体とトナー間の付着力を低減する有効な手段である。特に硬化型保護層に含有させると、機械的高耐久性と、感光体とトナー間の付着力低減の両立が可能となる。しかしながら、十分に付着力を低減するためには、相当量のフッ素材料を含有させる必要がある。これらフッ素系材料は、電荷輸送構造を有していないため、大量に添加すると、明部電位が上昇することがある。さらに膜強度が低下する傾向がある。
(1) 導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層が電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)とを含有する硬化性組成物からの硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
(2) 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)が、アダマンタン骨格中にフッ素原子を有することを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
(3) 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が1官能もしくは2官能であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電子写真感光体。
(4) 前記硬化型保護層が、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)とに加え、3官能以上のラジカル重合性化合物(C)を含有する硬化性組成物からの硬化物をさらに含むことを特徴とする(3)に記載の電子写真感光体。
(5) 前記3官能以上のラジカル重合性化合物(C)の、官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする(4)に記載の電子写真感光体。
(6) 前記硬化型保護層に含有されるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)の含有量が、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)と3官能以上のラジカル重合性化合物(C)の合計量に対し、重量比で0.2以上0.9以下であることを特徴とする(4)または(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7) 前記電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)が、下記一般式(1)又は(2)で示される化合物の少なくとも一種であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9) 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、電子写真感光体上のトナー像を直接紙に転写する転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(10) 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
<<電子写真感光体の構成>>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に本発明の感光層について説明する。感光層は、単層もしくは複数の積層でもよいが、はじめに積層型から説明する。積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層されることによって構成されている。
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また下記一般式(7)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
本発明の電荷輸送層には電荷輸送物質として正孔輸送物質は含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。各々の例を以下に示す。なお、電荷輸送物質とは電子輸送物質および正孔輸送物質を意味する。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部がましく、より好ましくは40〜150重量部が適当である。
本発明においては、感光層が単層構成であっても使用可能である。感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質(電子輸送剤及び正孔輸送剤)は、前述の電荷発生層及び電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。また、バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層で挙げた樹脂の他に、電荷発生層で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
次に、本発明の硬化型保護層の構成材料について説明する。
硬化型保護層は、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)との硬化物を含む。
また、本発明における硬化型保護層には、前記電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)、及び/又は3官能以上のラジカル重合性化合物(C)を含む硬化性組成物からの硬化物の他に、他の樹脂成分またはその前駆体例えばエポキシ化合物やポリイソシアネート化合物を含むことができる。その量は、他の樹脂成分またはその前駆体の種類および充填剤粒子等の他の添加剤の種類と量にもよるが、ラジカル重合性化合物(A)ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合性化合物(C)の合計100重量部に対し、150重量部以下であることが好ましく、130重量部以下であることがより好ましい。
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有する。アダマンタンは対称性が高く、安定な骨格である。
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・式(10)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR78基(R78は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CY−X2− ・・・・式(11)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR79基(R79は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR80R81(R80及びR81は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
3官能以上のラジカル重合性化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
本発明に用いられる電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物としては、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
R40のアラルキル基、アリール基は置換基を有してもよい。R41のアルキル基、アラルキル基、アリール基は置換基を有してもよい。R42及びR43のアルキル基、アラルキル基、アリール基は置換基を有してもよい。Ar2、Ar3のアリーレン基は置換もしくは無置換でもよく、同一であっても異なってもよい。Ar4、Ar5のアリール基は置換もしくは無置換でもよく、同一であっても異なってもよい。Xのアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンエーテル基は置換基を有しても良い。Zのアルキレン基、アルキレンエーテル基は置換基を有しても良い。
前記一般式(1)、(2)において、R40の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
R40の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1、1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9、9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar4、Ar5で表わされるアリール基は、例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(2)アルキル基;
好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(式中、R82は(2)で定義したアルキル基を表わす。)
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4アルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、エチレングリコール、プロピレングリコール等から誘導されるアルキレンジオキシ基、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等から誘導されるジまたはポリ(オキシアルキレン)オキシ基等が挙げられ、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
置換もしくは無置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
本発明の硬化型保護層には、耐摩耗性の向上、機能性付与を目的としてフィラー微粒子を含有させることができる。
硬化型保護層中にフィラーを含有させると、樹脂部の耐摩耗性が高く、上記不均一な摩耗が抑制される。これに加えて、樹脂中に分散されたフィラー微粒子は、硬化樹脂架橋マトリックスに捉えられ、該架橋マトリックスのフィラー保持力が大きいため、フィラーの脱落も防止される。したがって、非常に耐摩耗性が高まると考えられる。また、導電性のフィラーを含有させることで、膜に電荷輸送性を付与することができる。
硬化型保護層は、熱、光、電離性放射線の少なくとも何れかを用いて同時に硬化させる。熱エネルギーや光エネルギーを用いて硬化型保護層を形成する場合には、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために硬化型保護層中に重合開始剤を使用してもよい。電離性放射線を用いた架橋を行う場合は、通常重合開始剤を用いることなく架橋反応を得ることが可能であるが、電離性放射線照射後に残存する未硬化成分を硬化させるために、後処理として熱エネルギー及び/又は光エネルギーを付与することも可能であり、その場合でも下記に示す重合開始剤を添加すると効果的である。
更に、本発明の硬化型保護層には必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分100重量部に対し20重量部以下、好ましくは10重量部以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分100重量部に対し3重量部以下が適当である。
塗布に用いられる塗工液はラジカル重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。ここで用いられる溶剤としては、通常用いられるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。
硬化型保護層/電荷輸送層間での接着性不良による層間剥離を防ぐことを目的として、必要に応じて両層間に接着層を設けてもよい。
接着層としては前記ラジカル重合性化合物を用いてもよいし、非架橋系の高分子化合物を用いてもよい。非架橋系の高分子化合物としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるがこれに限定されない。また、ラジカル重合性化合物と非架橋系高分子化合物はいずれを用いる場合についても単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。さらには、十分な接着性が得られるならばラジカル重合性化合物と非架橋系高分子化合物を併用してもよい。もちろん、本明細書に記載の電荷輸送物質を用いても、併用してもよい。また、接着性を向上することを目的とすれば、適宜添加剤を用いてもよい。
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間にさらにブロッキング層を設けることも可能である。ブロッキング層は、導電性支持体からのホールの注入を抑制するために加えられるもので、主目的は地汚れの抑制にある。ブロッキング層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。ブロッキング層の形成法としては、前記した方法、さらに公知の塗布法が採用される。なお、ブロッキング層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。ブロッキング層と下引き層の2層構成とすることにより、地汚れ抑制効果は飛躍的に高まるが、残留電位上昇の影響が増加する傾向にある。そのため、ブロッキング層及び下引き層の組成や膜厚を十分考慮して決める必要がある。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、画質の安定性を向上させる目的で、硬化型保護層、感光層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2、4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して、好ましくは0.01〜10重量部である。
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法、並びに、画像形成装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
感光体(10)は図2中の矢印の方向に回転し、感光体(10)の周りには、帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、除電部材(18)等が配置される。クリーニング部材(17)や除電部材(18)が省略されることもある。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体(10)に光が照射される。但し、除電工程における感光体(10)への露光は、感光体(10)に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
前記プロセスカートリッジとは、図3に示すように、感光体(10)を内蔵し、他に帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、及び除電部材を含んだ1つの装置(部品)である。
最初に、電荷発生物質(チタニルフタロシアニン結晶)の合成例について記載する。
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
次に、硬化型保護層に用いられる1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物の合成例について記載する。
本発明における電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記式A)113.85部(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138部(0.92mol)にスルホラン240部を加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99部(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。
この反応液にトルエン約1500部を加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。
その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。
得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして下記式Bの白色結晶88.1部(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(式B)82.9部(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4部、水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2部(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.7の白色結晶80.73部(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
導電性支持体としての直径100mmのアルミニウムシリンダーに、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液、硬化型保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、約3.5μmの下引き層、約0.2umの電荷発生層、約23μmの電荷輸送層、約5μmの硬化型保護層を形成し、積層感光体を作製した。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層は130℃、電荷発生層は95℃、電荷輸送層は120℃で各々20分乾燥を行った。
硬化型保護層は、硬化型保護層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層感光体上に塗布した後にUVランプ(バルブ種 Hバルブ)(FusionUVシステムズ社製)を用いて、ランプ出力200W/cm、照度:450mW/cm2、照射時間:30秒の条件で光照射を行なうことで架橋させた。この後、130℃20分の乾燥を行なうことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層/硬化型保護層からなる電子写真感光体を得た。
・酸化チタン(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業(株)製)
50部
・アルキッド樹脂
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)製)
14部
・メラミン樹脂(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製)
8部
・2−ブタノン: 70部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びチタニルフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
・チタニルフタロシアニン結晶 15部
・ポリビニルブチラール(積水化学製 BX−1) 10部
・2−ブタノン 280部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050帝人化成株式会社製)
10部
・下記構造の電荷輸送物質 7部
・テトラヒドロフラン 68部
電荷輸送構造を有しないラジカル重合性化合物(下記ラジカル重合性化合物の合計) 10部
・アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物
・アダマンタン骨格を有しないラジカル重合性化合物
電荷輸送物質 10部
・電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物
あるいは
・下記構造の電荷輸送物質・・・CTM−1
重合開始剤
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製) 1部
溶媒
テトラヒドロフラン 119部
・アダマンタン−1 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-A-101)
・アダマンタン−2 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート A-201)
・アダマンタン−3 (出光興産株式会社製: 特開2000−119220実施例2に記載の方法により合成)
・アダマンタン−4 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-F-102)
・アダマンタン−5 (出光興産株式会社製:特許公開番号WO07/020901に記載の方法を用いて合成を行なった。)
・アダマンタン−6 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-F-204)
・APC・・・(下記構造を有し、粘度平均分子量50000)
・トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製) ・・・(AM−1)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)・・・(AM−3)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
・イソボロニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学)・・・AM−4
・シクロへキシルアクリレート(ビスコート#155、大阪有機化学)・・・AM−5
・テトラヒドロフルフリルアクリレート(ビスコート#150)・・・AM−6
・ベンジルアクリレート(ビスコート#160)・・・AM−7
なお、AM―4〜AM−7はアダマンタン骨格ではない環状構造を有するラジカル重合性化合物である。
(硬化型保護層処方)
上記電子写真感光体を使用し、評価を行った。実機による通紙試験前後のトナー転写率、膜摩耗量、画像評価を行った。
実機による通紙試験は、電子写真用プロセスカートリッジに前記電子写真感光体を装着し、リコー製imagio Neo753を用いて、30万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper)を実施した。その前後で摩耗量測定、転写率測定、画像評価を行った。
転写率測定は下記式を用いて算出した。
通紙30万枚終了後に感光体を取り出し、通紙試験前後の感光体の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用いた。
通紙前、30万枚通紙後に日本画像学会テストチャートNo.3を出力し、画質を評価した。評価は以下の基準で目視にてランク評価を行った。
◎:画像品質にほとんど低下がないレベル。
○:画像品質は若干低下したが、目視観察では問題ないレベル
△:目視観察でも画像品質の低下がわかるレベル
×:画像品質上重大な問題があるレベル
表6に、摩耗量測定、転写率測定、画像評価の試験結果を示す。
実施例7〜22は通紙試験後に僅かに画質の劣化が認められた。
アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物と、3官能以上のラジカル重合性化合物との混合系は耐摩耗性に優れる。さらに3官能以上のラジカル重合性化合物の分子量/官能基数が、250以下であれば耐摩耗性はさらに向上する。
また、実施例1と11,12との比較から、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物が一般式(1)で表されるものであれば耐摩耗性、離型性ともに良好である。
比較例8と実施例1〜6の結果から、アダマンタン骨格がラジカル重合性官能基を有する方が離型性、機械的耐久性に優れる。
以上より、本発明によって高い耐摩耗性と高離型性を有し、直接転写プロセスであっても長寿命を有する電子写真感光体を提供することができる
11 帯電部材
12 画像露光部材
13 現像部材
14 搬送ローラ
15 転写紙
16 転写部材
17 クリーニング部材
18 除電部材
31 導電性支持体
32 電荷発生層
33 硬化型保護層
Claims (10)
- 導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層が電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)とを含有する硬化性組成物からの硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)が、アダマンタン骨格中にフッ素原子を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が1官能もしくは2官能であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化型保護層が、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)と、前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)とに加え、3官能以上のラジカル重合性化合物(C)を含有する硬化性組成物からの硬化物をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記3官能以上のラジカル重合性化合物(C)の、官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化型保護層に含有されるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)の含有量が、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)と3官能以上のラジカル重合性化合物(C)の合計量に対し、重量比で0.2以上0.9以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(A)が、下記一般式(1)又は(2)で示される化合物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、電子写真感光体上のトナー像を直接紙に転写する転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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