JP5042835B2 - 含フッ素アダマンタン誘導体、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体及びそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents
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Description
近年、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高視野角化、高画質化、電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信など、光学・電子部品の高性能化・改良検討が進められている。
その中で、ディスプレイ用反射防止膜の低屈折率層や通信用の光ファイバー、光導波路などにフッ素系有機材料が使用されており、それらフッ素系材料の改良が行われている。一般にフッ素原子を有する化合物は低屈折率を示し、低屈折率の含フッ素樹脂材料を液晶や有機ELディスプレイ用などの反射防止膜、フルネルレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズアレイなどのレンズ類、光ファイバーや光導波路へ適用する検討が行われている。例えば、反射防止膜においては、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層して反射を防止しているが、その低屈折率層の樹脂として直鎖状の含フッ素アクリレート類の重合物が使用されている(例えば、特許文献4及び5参照)。しかし、これらは直鎖状であるために十分な表面硬度が得られず、耐擦傷性等に問題がある。また、光ファイバーや光導波路では、有機化合物のC−H結合が光損失の原因となることはよく知られているが、その対策としてC−H結合をC−F結合に置換した材料が使用されている。その1つに直鎖状の含フッ素アクリレート樹脂が用いられているが(例えば、特許文献6参照)、通信時の発熱やはんだリフロー時に耐え得る耐熱性が十分ではない。
すなわち本発明は、以下の含フッ素アダマンタン誘導体、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、その製造方法及びそれを含有する樹脂組成物を提供するものである。
1. 下記一般式(I)で表される含フッ素アダマンタン誘導体。
で表される基を示す。a,b及びcは0以上の整数であり、かつa+b+c≧1である。X1及びX2は、それぞれ独立に水酸基又はアミノ基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのYが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。s及びtは1〜15の整数、uは0〜14の整数であり、かつs+t+u=16である。]
2. 下記一般式(II)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体。
で表される重合性基を示す。]
3. 下記一般式(I)で表される含フッ素アダマンタン誘導体と、重合性基含有化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(II)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の製造方法。
4. 上記2に記載の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
上記一般式(I)において、a,b及びcは0以上の整数であり、かつa+b+c≧1である。X1及びX2は、それぞれ独立に水酸基又はアミノ基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのYが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。
Yで示される環式炭化水素基としては、例えば炭素数5〜10のシクロアルキル基、具体的にはシクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びエチルシクロヘキシル基などが挙げられる。また、ハロゲン置換環式炭化水素基としては、上記環式炭化水素基の水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換された基、例えばフルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基、トリフルオロメチルシクロペンチル基及びトリフルオロメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。sは1〜15、好ましくは1〜12の整数、tは1〜15、好ましくは4〜15の整数、uは0〜14、好ましくは0〜4の整数であり、かつs+t+u=16である。
上記水酸基含有含フッ素アダマンタン類と反応させるハロゲン含有化合物としては、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、3−クロロ−1−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、1−ブロモ−2−プロパノール、2−クロロ−1−プロパノール、2−ブロモ−1−プロパノール、4−クロロ−1−ブタノール、4−ブロモ−1−ブタノール、5−クロロ−1−ペンタノール、5−ブロモ−1−ペンタノール、2−(2−クロロエトキシ)エタノール、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−クロロエチルアミン、2−ブロモエチルアミン、3−クロロプロピルアミン、3−ブロモプロピルアミン、4−クロロブチルアミン及び4−ブロモブチルアミンなどが挙げられる。
上記反応に際しては、反応速度を上げるために、触媒としてヨウ化カリウムを用いることが好ましい。反応原料に対するヨウ化カリウムの使用割合は、水酸基含有含フッ素アダマンタン類/ヨウ化カリウム(モル比)が、0.1〜5程度となる量であり、好ましくは0.5〜2となる量である。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
上記含フッ素アダマンタン誘導体Iと、エステル又はアミドを形成する重合性基含有化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド及びα−トリフルオロメチルアクリル酸クロリドなどが挙げられる。
含フッ素アダマンタン誘導体IIのうちの含フッ素アダマンタンエステル誘導体は、公知の共沸脱水法や酸クロリド法により合成することができる。共沸脱水法の場合、反応は、通常50〜200℃程度、望ましくは100〜150℃の温度において行う。反応温度が50℃以上であると、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮される。また、反応温度が200℃以下であると、副反応が起こらず、かつ生成物の着色が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が10MPa以下であると、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは1〜10時間である。
上記反応に際しては、触媒として硫酸やp−トルエンスルホン酸を用いる。触媒の使用割合は、含フッ素アダマンタン誘導体Iに対して0.01〜10mol%程度であり、好ましくは0.05〜5mol%である。
反応に際しては、必要によりヒドロキノン、メトキノン、フェノチアジン及びメトキシフェノチアジンなどの重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の使用割合は、含フッ素アダマンタン誘導体Iに対して、通常10〜10000質量ppm程度、好ましくは50〜2000質量ppmである。
上記反応に際しては、反応により発生する酸の捕捉剤として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどの有機アミンや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム及び燐酸カリウムなどの無機塩基を使用することができる。含フッ素アダマンタン誘導体Iに対する塩基の使用割合は、塩基/含フッ素アダマンタン誘導体I(モル比)が、0.5〜5程度となる量であり、好ましくは1〜3となる量である。
反応に際しては、必要によりヒドロキノン、メトキノン、フェノチアジン及びメトキシフェノチアジンなどの重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の使用割合は、含フッ素アダマンタン誘導体Iに対して、通常10〜10000質量ppm程度、好ましくは50〜2000質量ppmである。
含フッ素アダマンタン誘導体IIのうちの含フッ素アダマンタンアミド誘導体も、上記含フッ素アダマンタンエステル誘導体と同様の反応条件にて合成することができる。この場合、縮合剤として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどを使用してもよい。縮合剤の使用割合は、縮合剤/含フッ素アダマンタン誘導体I(モル比)が、1〜10程度となる量であり、好ましくは1〜5となる量である。
含フッ素アダマンタン誘導体Iと上記化合物との反応は、通常0〜200℃程度、望ましくは50〜150℃の温度において行う。反応温度が0℃以上であると、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮される。また、反応温度が200℃以下であると、生成物の着色が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が10MPa以下であると、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは1〜10時間である。
含フッ素アダマンタン誘導体Iに対する塩基性触媒の使用割合は、塩基性触媒/含フッ素アダマンタン誘導体I(モル比)が、0.5〜10程度となる量であり、好ましくは1〜5となる量である。
反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、含フッ素アダマンタン誘導体Iの溶解度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上の溶媒を用いるのが有利である。溶媒の使用量は上記含フッ素アダマンタン類の濃度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上となる量である。このとき、上記含フッ素アダマンタン類は懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。溶媒として具体的には、ヘキサン,ヘプタン、トルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、酢酸エチル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
上記含フッ素アダマンタン誘導体IIと、上記他の重合性モノマー及び/又はエポキシ樹脂との混合樹脂中、上記含フッ素アダマンタン誘導体IIの含有量は5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。この含フッ素アダマンタン誘導体IIの含有量が5質量%以上であると、本発明の樹脂組成物の光学特性、長期耐熱性及び電気特性が充分なものとなる。
光重合開始剤としては、光により、不飽和結合を有する基、エポキシ基あるいはオキセタニル基と反応するものであればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、アシルホスフィン酸エステル類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ヨードシル塩、芳香族スルホキソニウム塩及びメタロセン化合物などが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤及び/又は光重合開始剤の使用量は、上記含フッ素アダマンタン誘導体II又は上記混合樹脂100質量部(以下、「樹脂成分」と称することがある。)に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。重合開始剤の含有率を上記範囲とすることにより、良好な重合及び光学特性などの物性が発現される。
上記硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは併用してもよい。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類、リン化合物を用いることが好ましい。
硬化促進剤の含有率は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.01〜8.0質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量部である。硬化促進剤の含有率を上記範囲とすることにより、充分な硬化促進効果を得られ、また、得られる硬化物に変色が見られない。
フェノール系化合物としては、イルガノクス1010(Irganox1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1076(Irganox1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1330(Irganox1330、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3114(Irganox3114、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3125(Irganox3125、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3790(Irganox3790、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)BHT、シアノクス1790(Cyanox1790、サイアナミド社製、商標)、スミライザーGA−80(SumilizerGA−80、住友化学社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
有機硫黄系化合物としては、DSTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、DLTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、DLTOIB(吉富社製、商標)、DMTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、Seenox 412S(シプロ化成社製、商標)、Cyanox 1212(サイアナミド社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
紫外線の照射により光硬化する場合、紫外線の照射強度は、樹脂成分や重合開始剤の種類、硬化物の膜厚などから決められるので任意であるが、通常100〜5000mJ/cm2程度、好ましくは500〜4000mJ/cm2である。紫外線照射後に後加熱を行ってもよく、70〜200℃で0.5〜12時間行うことが好ましい。
成形方法としては射出成形、ブロー成形、プレス成形等、特に限定されるものではないが、好ましくはペレット状の樹脂組成物を射出成形機に用いて、射出成形することにより製造される。
このため本発明の樹脂組成物は、半導体素子/集積回路(IC他),個別半導体(ダイオード、トランジスタ、サーミスタなど)として、LED(LEDランプ、チップLED、受光素子、光半導体用レンズ),センサー(温度センサー、光センサー、磁気センサー)、受動部品(高周波デバイス、抵抗器、コンデンサなど)、機構部品(コネクター、スイッチ、リレーなど)、自動車部品(回路系、制御系、センサー類、ランプシールなど)、接着剤(光学部品、光学ディスク、ピックアップレンズ)などに用いられ、表面コーティング用として光学用フィルムなどにも用いられる。
(1)ガラス転移温度
示差走査型熱量計(セイコーインスツル社製,DSC6200)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下、10℃/分で昇温させることにより得られた熱流束曲線に観測される不連続点をガラス転移温度Tgとした。
(2)デュロメータ硬さD
JIS K7215に準拠して測定した。測定装置はショア社製デューロメータDを用いた。
(3)曲げ試験
JIS K7171に準拠して測定した。測定装置はインストロン社製万能材料試験機5582型を用いた。
(4)屈折率
アタゴ社製アッベ屈折計を用い、23℃にて測定を行った。
還流冷却管、攪拌機、温度計を備え付けた内容積500mLの4つ口フラスコにペルフルオロ−1,3−アダマンタンジオール30.0g(71mmol)、2−クロロエタノール57.5g(714mmol)、炭酸カリウム29.6g(214mmol)及びヨウ化カリウム11.9gを量りとり、DMF100mlを加えた。これを110℃のオイルバスに入れ、2時間加熱攪拌した。反応液を冷却後、固形分をろ過し、ろ液を分液ロートに移した。酢酸エチル100ml、5質量%塩化ナトリウム水溶液100ml加え、目的物を酢酸エチル層に抽出した。酢酸エチル層を、5質量%塩化ナトリウム水溶液100mlで1回、5質量%リン酸ナトリウム水溶液100mlで2回洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、エバポレーターにて溶媒を留去し、粗生成物を得た。この粗生成物を0℃で静置させ、結晶化させた。得られた結晶をn−ヘキサンで洗浄しながら取り出し、恒量になるまで減圧乾燥させ、ペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタンを得た(収率74%、ガスクロマトグラフィー(GC)純度98.9%)。
このペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタンを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR、19F−NMR)及びGC−MSにより同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてDMSO−d6を用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定し、GC−MSは、株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010により測定した。
13C-NMR(125MHz):60.0,73.6
19F-NMR(465MHz):-113.1,-117.2,-120.8,-219.9
GC-MS(EI):448(M+,15.4%),45(100%),31(36.8%)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートを備え付けた内容積1Lの4つ口フラスコに実施例1で得られたペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン20.0gを量りとり、酢酸エチル200mlに溶解させた。これにトリエチルアミン13.6mlを加えた後、アクリル酸クロリド8.0mlを、反応系内の温度が25℃を超えないように滴下ロートよりフラスコ内に滴下した。滴下終了後、室温にて1時間攪拌した。その後、酢酸エチルを300mlと5質量%リン酸ナトリウム水溶液200mlを加え、10分間攪拌した。酢酸エチル層を分液した後、水層を酢酸エチル300mlでさらに抽出し、酢酸エチル層を分液した。これらの酢酸エチル層を合わせ、5質量%リン酸ナトリウム水溶液200mlで洗浄した。次いで、酢酸エチル層を分液した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、エバポレーターにて溶媒を留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をn−ヘプタン500mlに溶解させ、シリカゲル3.0gを加え30分間攪拌して脱色を行った。シリカゲルをろ過した後、n−ヘプタンをエバポレーターにて留去し、ペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンを得た(収率78%、GC純度99.0%)。
このペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR、19F−NMR)及びGC−MSにより同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定し、GC−MSは、株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010により測定した。このペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンは下記式で表される。
13C-NMR(125MHz):62.5,68.9,127.8,131.5,165.7
19F-NMR(465MHz):-113.7,-117.5,-121.0,-220.9
GC-MS(EI):472(M+,12.6%),99(6.4%),55(100%),27(13.3%)
実施例2で得られたペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタン100質量部に、光重合開始剤としてベンゾインイソブチルエーテル2質量部を加え、十分に混合して真空脱気し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をガラス製のセルに流し込み、水銀灯にて紫外線を1000mJ/cm2の強度で照射し、厚さ1mmの硬化物を得た。得られた硬化物を上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例3において、ペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンを下記式
ディーンスターク付き還流冷却管、攪拌基、温度計、三方コックを備え付けた内容積300mlの4つ口フラスコに実施例1で得られたペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン20.0g、アクリル酸5.96g、98質量%硫酸0.39g、メトキノン6.0mg及びトルエン100mlを量りとった。これを130℃のオイルバスに浸漬し、三方コックより少量のエアーを流し、攪拌を開始しトルエンが還流し始めてから8時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、n−ヘプタン100mlを加え、分液ロートに移し、5質量%塩化ナトリウム水溶液で1回、3質量%リン酸水素二ナトリウム水溶液で1回、さらに5質量%塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ過によって取り除き、シリカゲル3.0gを加え、30分間攪拌して脱色を行った。シリカゲルをろ過した後、溶媒をエバポレーターで留去し、ペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンを得た(収率81%、GC純度98%)。このペルフルオロ−1,3−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)アダマンタンの核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR、19F−NMR)及びGC−MSスペクトルは実施例2で得られたものと同じであった。
還流冷却管、攪拌基、温度計を備え付けた内容積500mlの4つ口フラスコに実施例1で得られたペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン35.0g、エピクロロヒドリン102.0g、水酸化ナトリウム6.89g及びテトラエチルアンモニウムブロミド3.50gを量りとった。これを25℃のウォーターバスに浸漬し、20時間攪拌した。この反応溶液をトルエン450mlに溶解させ、分液ロートに移し、450mlの純水で1回、0.1mol/L塩酸水溶液450mlで1回、さらに純水450mlで1回洗浄した。有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ過によって取り除き、溶媒をエバポレーターで留去し、ペルフルオロ−1,3−ビス(グリシジルオキシエトキシ)アダマンタンを得た(収率85%、GC純度96%)。
このペルフルオロ−1,3−ビス(グリシジルオキシエトキシ)アダマンタンを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR、19F−NMR)及びGC−MSにより同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定し、GC−MSは、株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010により測定した。このペルフルオロ−1,3−ビス(グリシジルオキシエトキシ)アダマンタンは下記式で表される。
13C-NMR(125MHz):44.0,50.9,69.8,70.9,72.0
19F-NMR(465MHz):-113.5,-117.4,-121.1,-220.8
GC-MS(EI):29(100%), 43(32.2%), 45(68.6%), 57(93.6%), 87(30.8%), 100(46.4%), 473(14.3%), 491(5.1%)
さらに、本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、その硬化物の屈折率が低く、かつ耐熱性も有することから光ファイバーや光導波路用材料としても有用である。
さらに、本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、その硬化物の屈折率が低いため、半導体レジスト用の反射防止膜の反射防止膜材料や体積ホログラムの屈折率変調材料などとしても有用である。
Claims (7)
- 下記一般式(I)で表される含フッ素アダマンタン誘導体。
で表される基を示す。a,b及びcは0以上の整数であり、かつa+b+c≧1である。X1及びX2は、それぞれ独立に水酸基又はアミノ基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのYが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。sは1〜12の整数、tは4〜15の整数、uは0〜11の整数であり、かつs+t+u=16である。] - 前記一般式(I)中、s=2、t=14、u=0である、請求項1に記載の含フッ素アダマンタン誘導体。
- 下記一般式(II)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体。
で表される基を示す。a,b及びcは0以上の整数であり、かつa+b+c≧1である。X3及びX4は、それぞれ独立に下記一般式(III)〜(VI)
で表される重合性基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのYが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。sは1〜12の整数、tは4〜15の整数、uは0〜11の整数であり、かつs+t+u=16である。] - 前記一般式(II)中、s=2、t=14、u=0である、請求項3に記載の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体。
- 下記一般式(I)で表される含フッ素アダマンタン誘導体と、重合性基含有化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(II)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の製造方法。
で表される基を示す。a,b及びcは0以上の整数であり、かつa+b+c≧1である。X1及びX2は、それぞれ独立に水酸基又はアミノ基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのYが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。X3及びX4は、それぞれ独立に下記一般式(III)〜(VI)
で表される重合性基を示す。sは1〜12の整数、tは4〜15の整数、uは0〜11の整数であり、かつs+t+u=16である。] - 前記一般式(I)及び(II)中、s=2、t=14、u=0である、請求項5に記載の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の製造方法。
- 請求項3又は4に記載の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
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